JP2011148037A - 形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータおよびその制御方法 - Google Patents

形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータおよびその制御方法 Download PDF

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一登 高嶋
Rossiter Jonathan
ロシタ,ジョナサン
Toshiharu Mukai
利春 向井
Shiketsu Kaku
士傑 郭
Kazunobu Hashimoto
和信 橋本
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Abstract

【課題】安定して強い力により2つの部材の関節角度を一定の状態に保持することができるアクチュエータおよびその制御方法を提供する。
【解決手段】ゴムチューブ83の両端は、第一,第二固定部材81,82にそれぞれ取り付けられる。ゴムチューブ83が径方向へ膨張変形すると、動力変換部材86により第一固定部材81と第二固定部材82の離間距離を短くする力を発生する。さらに、ゴム状態とガラス状態に変化する形状記憶ポリマー87が、ゴムチューブ83の内周側、動力変換部材86の外周側、および、ゴムチューブ83と動力変換部材86の中間層の少なくとも何れか一つに配置される。形状記憶ポリマー87をゴム状態にして、ゴムチューブ83の筒内部への供給流体圧力を制御して、第一,第二部材10,20の回転角度を変更する。形状記憶ポリマー87をガラス状態にして、第一,第二部材10,20の回転角度を保持する。
【選択図】図4

Description

本発明は、形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータおよびその制御方法に関するものである。
例えば、特許文献1〜4などに、アクチュエータとしてマッキベン型人工筋が知られている。マッキベン型アクチュエータは、例えば、関節部により揺動可能に連結される2つの部材において、2つの部材の関節角度を変更するためのアクチュエータとして用いられているものがある。このマッキベン型アクチュエータは、筒状のゴムの内部に圧縮空気を供給すると筒長さが収縮し、空気を排出すると筒長さが元に戻るアクチュエータである。そして、複数のマッキベン型アクチュエータを拮抗駆動型とすることにより、2つの部材の揺動方向を両方向にすることができる。
特公平3−14592号公報 特開2008−12358号公報 特開2004−29999号公報 特開2001−355608号公報
ここで、2つの部材の関節角度を一定の状態に保持するためには、力を発揮する方向の異なるマッキベン型アクチュエータを拮抗させることにより実現している。そのため、関節角度を一定の状態に保持するために、各アクチュエータが十分な剛性を有する必要がある。従って、アクチュエータの本数を増加させるか、各アクチュエータの剛性の高いものにする必要がある。さらに、関節角度を一定の状態に保持するためには、拮抗している状態(力が釣り合っている状態)を維持しなければならない。しかし、複数のアクチュエータが拮抗している状態を維持するように制御することは、容易ではない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、安定して強い力により2つの部材の関節角度を一定の状態に保持することができるアクチュエータおよびその制御方法を提供することを目的とする。
(形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータ)
上記の課題を解決するため、本発明のアクチュエータは、形状記憶ポリマーを用いることとした。形状記憶ポリマーとは、ガラス転移温度以上においてゴム状態となると共に、ガラス転移温度未満においてガラス状態となるポリマーである。そして、形状記憶ポリマーがゴム状態の場合にアクチュエータとして駆動させ、形状記憶ポリマーがガラス状態とすることで位置を保持することとする。
具体的には、第一発明の形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータは、
回転可能に連結された第一部材と第二部材において、前記第一部材に対して前記第二部材を回転するように駆動するアクチュエータであって、
前記第一部材に取り付けられた第一固定部材と、
前記第二部材に取り付けられた第二固定部材と、
ゴム弾性体により筒状に形成され、前記筒状の一端に前記第一固定部材が接合され、前記筒状の他端に前記第二固定部材が接合されるゴムチューブと、
筒状に形成され、前記ゴムチューブの外周側に一体的に設けられ、前記ゴムチューブが径方向へ膨張変形することによって前記第一固定部材の前記第一部材側の取付位置と、前記第二固定部材の前記第二部材側の取付位置との離間距離を短くする力を発生する動力変換部材と、
前記ゴムチューブの内周側、前記動力変換部材の外周側、および、前記ゴムチューブと前記動力変換部材の中間層の少なくとも何れか一つに配置され、ガラス転移温度以上においてゴム状態となると共に前記ガラス転移温度未満においてガラス状態となり、前記ガラス状態において前記ゴムチューブおよび前記動力変換部材の動作を規制する形状記憶ポリマーと、
前記第一固定部材と前記第二固定部材の一方と接続し、前記形状記憶ポリマーの温度を前記ガラス転移温度に対して相対的に変動させる相対温度変更手段と、
前記第一固定部材と前記第二固定部材の一方と接続し、前記ゴムチューブの筒内部に圧力流体を供給することにより、前記ゴムチューブを径方向へ膨張変形させる圧力流体供給手段と、
前記相対温度変更手段を制御することにより前記形状記憶ポリマーの温度を相対的に前記ガラス転移温度以上にすると共に、前記圧力流体供給手段を制御することによって、前記ゴムチューブの径方向の膨張変形量を制御する膨張変形制御手段と、
前記圧力流体供給手段を制御することにより前記ゴムチューブの変形状態を維持している状態で、前記相対温度変更手段を制御することにより前記形状記憶ポリマーの温度を相対的に前記ガラス転移温度未満にすることによって、前記ゴムチューブの変形形状を保持させる形状保持制御手段と、
を備える。
第一発明によれば、第一部材に対して第二部材を回転させる場合には、形状記憶ポリマーをゴム状態にしておく。この状態で、圧力流体供給手段によってゴムチューブを径方向へ膨張変形させることにより、動力変換部材によって第一固定部材の第一部材側の取付位置と第二固定部材の第二部材側の取付位置との離間距離が短くなるように力が発生する。つまり、形状記憶ポリマーがゴム状態になってからここまでの動作は、マッキベン型アクチュエータと同様の動作となる。
その後、第一発明によれば、形状記憶ポリマーをガラス状態にすることで、ゴムチューブが現在形状に固定されることになる。つまり、形状記憶ポリマーをガラス状態にすることで、非常に強い力によって、第一部材と第二部材との回転角度が保持される。そして、形状記憶ポリマーはガラス転移温度未満であれば、ガラス状態を維持し続けるため、第一部材と第二部材との回転角度を、安定して保持できる。そして、第一部材と第二部材との回転角度を変更させたい場合には、再び、形状記憶ポリマーをゴム状態にして、ゴムチューブの内部の流体圧力を制御することで、実現できる。このように、本発明によれば、安定して強い力により、第一部材と第二部材との回転角度を一定の状態に保持することができる。
なお、第一発明において、形状記憶ポリマーをゴムチューブの内周側に配置する場合、後述するが、圧力流体供給手段により供給する流体を加熱および冷却することにより、形状記憶ポリマーの温度を変更する場合には、流体により形状記憶ポリマーを直接的に加熱冷却できる。従って、温度制御が容易となる。また、形状記憶ポリマーを動力変換部材の外周側に配置する場合、製造が容易となる。
また、形状記憶ポリマーをゴムチューブと動力変換部材の中間層に配置する場合には、形状記憶ポリマーを均一の厚みに塗布することができる。仮に、ゴムチューブの外周側に網目状の動力変換部材を配置した上で、その外周側に形状記憶ポリマーを配置する場合には、形状記憶ポリマーを網目状の動力変換部材の上から塗布することになる。そうすると、動力変換部材の網目の部位とそれ以外の部位とにおいて、形状記憶ポリマーの塗布ムラが発生するおそれがある。これに対して、形状記憶ポリマーを中間層に配置する場合には、網目状の動力変換部材とは無関係に形状記憶ポリマーをゴムチューブの外周面に塗布できるため、動力変換部材の網目の部位もそれ以外の部位も形状記憶ポリマーを均一に塗布できる。これにより、形状変形する際に、形状記憶ポリマーにかかる応力の均一化を図ることができる。
また、第二発明の形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータは、
回転可能に連結された第一部材と第二部材において、前記第一部材に対して前記第二部材を回転するように駆動するアクチュエータであって、
前記第一部材に取り付けられた第一固定部材と、
前記第二部材に取り付けられた第二固定部材と、
筒状に形成され、前記筒状の一端に前記第一固定部材が接合され、前記筒状の他端に前記第二固定部材が接合され、ガラス転移温度以上においてゴム状態となると共に前記ガラス転移温度未満においてガラス状態となる形状記憶ポリマーと、
筒状に形成され、前記形状記憶ポリマーの外周側に一体的に設けられ、前記形状記憶ポリマーが径方向へ膨張変形することによって前記第一固定部材の前記第一部材側の取付位置と、前記第二固定部材の前記第二部材側の取付位置との離間距離を短くする力を発生する動力変換部材と、
前記第一固定部材と前記第二固定部材の一方と接続し、前記形状記憶ポリマーの温度を前記ガラス転移温度に対して相対的に変動させる相対温度変更手段と、
前記第一固定部材と前記第二固定部材の一方と接続し、前記形状記憶ポリマーの筒内部に圧力流体を供給することにより、前記ゴム状態の前記形状記憶ポリマーを径方向へ膨張変形させる圧力流体供給手段と、
前記相対温度変更手段を制御することにより前記形状記憶ポリマーの温度を相対的に前記ガラス転移温度以上にすると共に、前記圧力流体供給手段を制御することによって、前記形状記憶ポリマーの径方向の膨張変形量を制御する膨張変形制御手段と、
前記圧力流体供給手段を制御することにより前記ゴム状態の前記形状記憶ポリマーの変形状態を維持している状態で、前記相対温度変更手段を制御することにより前記形状記憶ポリマーの温度を相対的に前記ガラス転移温度未満にすることによって、前記形状記憶ポリマーの変形形状を保持させる形状保持制御手段と、
を備える。
第二発明によれば、第一部材に対して第二部材を回転させる場合には、形状記憶ポリマーをゴム状態にしておく。この状態で、圧力流体供給手段によって形状記憶ポリマーを径方向へ膨張変形させることにより、動力変換部材によって第一固定部材の第一部材側の取付位置と第二固定部材の第二部材側の取付位置との離間距離が短くなるように力が発生する。つまり、形状記憶ポリマーがゴム状態になってからここまでの動作は、マッキベン型アクチュエータと同様の動作となる。
その後、第二発明によれば、形状記憶ポリマーをガラス状態にすることで、形状記憶ポリマーが現在形状に固定されることになる。つまり、形状記憶ポリマーをガラス状態にすることで、非常に強い力によって、第一部材と第二部材との回転角度が保持される。そして、形状記憶ポリマーはガラス転移温度未満であれば、ガラス状態を維持し続けるため、第一部材と第二部材との回転角度を、安定して保持できる。そして、第一部材と第二部材との回転角度を変更させたい場合には、再び、形状記憶ポリマーをゴム状態にして、形状記憶ポリマーの内部の流体圧力を制御することで、実現できる。このように、本発明によれば、安定して強い力により、第一部材と第二部材との回転角度を一定の状態に保持することができる。
ここで、本発明を構成する相対温度変更手段は、形状記憶ポリマーの温度をガラス転移温度に対して相対的に変動させることとしている。この意味は、以下の3つの場合がある。第一の場合は、ガラス転移温度は一定のままで、形状記憶ポリマーの温度そのものを変更することにより、形状記憶ポリマーの温度をガラス転移温度に対して変動させる場合である。第二の場合は、形状記憶ポリマーの温度は一定のままで、ガラス転移温度を変更することにより、形状記憶ポリマーの温度をガラス転移温度に対して相対的に変動させる場合である。第三の場合は、第一の場合と第二の場合とを併せ持つ場合である。つまり、第三の場合は、形状記憶ポリマーの温度を変更すると共に、ガラス転移温度も変更することで、形状記憶ポリマーの温度をガラス転移温度に対して相対的に変動させる場合である。
また、本発明の形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータにおいて、前記形状記憶ポリマーは、前記ゴム状態において径方向の膨張量が小さくなる方向に形状回復するようにするとよい。ゴムチューブが径方向への膨張変形は、上述したように、ゴムチューブの筒内部に供給される流体の圧力を高くすることによって行われる。一方、ゴムチューブが膨張変形している状態から元の状態に戻すためには、ゴムチューブの筒内部に供給される流体の圧力を小さくするか、流体の供給を遮断することにより行われる。このことに加えて、形状記憶ポリマーの形状回復機能を利用することにより、より確実にかつ効率的に、ゴムチューブの径方向への膨張変形状態を元の状態に戻すことができるようになる。なお、形状記憶ポリマーは、ゴム状態になると、成形された初期形状に回復する機能を有している。
また、本発明の形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータにおいて、動力変換部材は、繊維により網目状かつ筒状に形成されるようにしてもよい。これにより、第一発明におけるゴムチューブおよび第二発明における形状記憶ポリマーが径方向に膨張変形することにより発生する力を、動力変換部材によって、第一固定部材の第一部材側の取付位置と第二固定部材の第二部材側の取付位置との離間距離を短くする力に、確実に変換することができる。
また、本発明の形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータにおいて、
前記相対温度変更手段は、前記形状記憶ポリマーを加熱および冷却する加熱冷却手段であり、
前記制御手段は、前記加熱冷却手段により前記形状記憶ポリマーの温度を変更することによって、前記形状記憶ポリマーの温度を前記ガラス転移温度未満の温度と前記ガラス転移温度以上の温度とに変動させるようにしてもよい。
これにより、確実に形状記憶ポリマーの温度をガラス転移温度前後の温度に変動させることができる。つまり、形状記憶ポリマーをゴム状態とガラス状態とを確実に変更することができる。
そして、加熱冷却手段は、前記圧力流体供給手段により供給する流体を加熱および冷却することにより、前記形状記憶ポリマーの温度を変更するようにしてもよい。これにより、確実に、形状記憶ポリマーの温度を変更することができる。さらに、圧力流体供給手段により供給する流体の温度を制御することは容易に行うことができるため、結果として、形状記憶ポリマーの温度を容易に変更することができる。また、熱源および冷却手段を、形状記憶ポリマーの近傍に設置する場合には、ゴムチューブおよび形状記憶ポリマーの変形場所に干渉しないようにしなければならないが、第一発明におけるゴムチューブの筒内部および第二発明における形状記憶ポリマーの筒内部に供給する流体を利用することで、ゴムチューブおよび形状記憶ポリマーの変形を制限することがない。従って、設計の自由度が非常に高い。
この場合、流体としては、水などの液体を適用してもよいし、空気などの気体を適用してもよい。すなわち、この場合、第一発明におけるゴムチューブの筒内部および第二発明における形状記憶ポリマーの筒内部に供給される流体は、温風または冷風、もしくは、温水または冷水などとなる。
また、加熱冷却手段は、上記の他に、前記形状記憶ポリマーに含有させた導電体と、前記導電体に電流を供給する電流供給手段と、を備え、前記導電体に供給される電流によって前記形状記憶ポリマーの温度を変更するようにしてもよい。この場合も、上述した流体を利用する場合と同様に、ゴムチューブおよび形状記憶ポリマーの変形を制限することがないため、ゴムチューブおよび形状記憶ポリマーの設計の自由度が非常に高い。さらに、加熱冷却手段に導電体を用いることで、形状記憶ポリマーを内部から全体を加熱することができる。従って、形状記憶ポリマーの温度を容易に且つ高速に加熱することができる。さらに、電流制御により形状記憶ポリマーの温度を制御するため、高精度に温度制御ができる。
また、加熱冷却手段は、上記の他に、前記形状記憶ポリマーに含有させ且つ光、電場または磁場を与えることにより発熱する発熱体と、前記形状記憶ポリマーに前記光、電場または磁場を与える刺激付与手段と、を備え、前記形状記憶ポリマーに前記光、電場または磁場を与えることによって前記発熱体の発熱作用により前記形状記憶ポリマーの温度を変更するようにしてもよい。
つまり、光、電場または磁場を与えることにより、形状記憶ポリマーを加熱させることができ、光、電場または磁場を与えなければ、形状記憶ポリマーの温度が低下していく。従って、確実に形状記憶ポリマーの温度を、ガラス転移温度前後に変化させることができる。
光を与えることにより発熱する発熱体としては、カーボンブラックを適用できる。この場合、形状記憶ポリマーに含有するカーボンブラックが光熱効果を増すことにより、発熱する。また、発熱体として赤外線により反応する材料を適用し、形状記憶ポリマーに赤外線を当てることにより形状記憶ポリマーを加熱する。また、電場を与えることにより発熱する発熱体として、カーボンナノチューブを適用できる。この場合、形状記憶ポリマーに含有するカーボンナノチューブが電場に反応してジュール熱を利用することで、発熱する。また、磁場を与えることにより発熱する発熱体として、磁場に反応する粒子を適用した場合には、当該粒子を形状記憶ポリマーに含有させておき、形状記憶ポリマーに振動磁場を与えることにより形状記憶ポリマーを加熱する。
その他に、加熱冷却手段として、形状記憶ポリマーの外周面に温風または冷風を当てる手段や、形状記憶ポリマーの外周面に温水または冷水を当てる手段、形状記憶ポリマーに当接して設けられるペルチェ素子などが適用できる。
また、本発明の形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータにおいて、
前記相対温度変更手段は、前記形状記憶ポリマーに対して水分を吸収させ且つ脱水することにより、前記ガラス転移温度を変更する水分吸脱手段であり、
前記制御手段は、前記水分吸脱手段により前記形状記憶ポリマーに吸収させる水分量を制御することによって前記ガラス転移温度を変更させ、前記形状記憶ポリマーの温度を前記ガラス転移温度未満の温度と前記ガラス転移温度以上の温度とに相対的に変動させるようにしてもよい。
これにより、確実にガラス転移温度を変動させることができる。その結果、形状記憶ポリマーの温度をガラス転移温度前後の温度に相対的に変動させることができる。つまり、形状記憶ポリマーをゴム状態とガラス状態とを確実に変更することができる。
(形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータの制御方法)
また、第三発明の形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータの制御方法は、
回転可能に連結された第一部材と第二部材において、前記第一部材に対して前記第二部材を回転するように駆動するアクチュエータの制御方法であって、
前記アクチュエータは、
前記第一部材に取り付けられた第一固定部材と、
前記第二部材に取り付けられた第二固定部材と、
ゴム弾性体により筒状に形成され、前記筒状の一端に前記第一固定部材が接合され、前記筒状の他端に前記第二固定部材が接合されるゴムチューブと、
筒状に形成され、前記ゴムチューブの外周側に一体的に設けられ、前記ゴムチューブが径方向へ膨張変形することによって前記第一固定部材の前記第一部材側の取付位置と前記第二固定部材の前記第二部材側の取付位置との離間距離を短くする力を発生する動力変換部材と、
前記ゴムチューブの内周側、前記動力変換部材の外周側、および、前記ゴムチューブと前記動力変換部材の中間層の少なくとも何れか一つに配置され、ガラス転移温度以上においてゴム状態となると共に前記ガラス転移温度未満においてガラス状態となり、前記ガラス状態において前記ゴムチューブおよび前記動力変換部材の動作を規制する形状記憶ポリマーと、
前記第一固定部材と前記第二固定部材の一方と接続し、前記形状記憶ポリマーの温度を前記ガラス転移温度に対して相対的に変動させる相対温度変更手段と、
前記第一固定部材と前記第二固定部材の一方と接続し、前記ゴムチューブの筒内部に圧力流体を供給することにより、前記ゴムチューブを径方向へ膨張変形させる圧力流体供給手段と、
を備え、
前記相対温度変更手段を制御することにより前記形状記憶ポリマーの温度を相対的に前記ガラス転移温度以上にすることにより、前記形状記憶ポリマーを前記ゴム状態とし、
前記形状記憶ポリマーが前記ゴム状態の場合に、前記圧力流体供給手段により前記ゴムチューブの径方向の膨張変形量を大きくすることによって、前記動力変換部材により前記第一固定部材の前記第一部材側の取付位置と前記第二固定部材の前記第二部材側の取付位置との離間距離を短くし、
前記圧力流体供給手段を制御することにより前記ゴムチューブの変形状態を維持している状態で、前記相対温度変更手段を制御することにより前記形状記憶ポリマーの温度を相対的に前記ガラス転移温度未満にすることによって、前記ゴムチューブの変形形状を保持させる。
また、第四発明の形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータの制御方法は、
回転可能に連結された第一部材と第二部材において、前記第一部材に対して前記第二部材を回転するように駆動するアクチュエータの制御方法であって、
前記アクチュエータは、
前記第一部材に取り付けられた第一固定部材と、
前記第二部材に取り付けられた第二固定部材と、
筒状に形成され、前記筒状の一端に前記第一固定部材が接合され、前記筒状の他端に前記第二固定部材が接合され、ガラス転移温度以上においてゴム状態となると共に前記ガラス転移温度未満においてガラス状態となり、前記ゴム状態の場合に前記第一部材に対する前記第二部材の回転角度に応じて筒長さが伸縮可能となる形状記憶ポリマーと、
筒状に形成され、前記形状記憶ポリマーの外周側に一体的に設けられ、前記形状記憶ポリマーが径方向へ膨張変形することによって前記第一固定部材の前記第一部材側の取付位置と、前記第二固定部材の前記第二部材側の取付位置との離間距離を短くする力を発生する動力変換部材と、
前記第一固定部材と前記第二固定部材の一方と接続し、前記形状記憶ポリマーの温度を前記ガラス転移温度に対して相対的に変動させる相対温度変更手段と、
前記第一固定部材と前記第二固定部材の一方と接続し、前記形状記憶ポリマーの筒内部に圧力流体を供給することにより、前記ゴム状態の前記形状記憶ポリマーを径方向へ膨張変形させる圧力流体供給手段と、
を備え、
前記相対温度変更手段を制御することにより前記形状記憶ポリマーの温度を相対的に前記ガラス転移温度以上にすることにより、前記形状記憶ポリマーを前記ゴム状態とし、
前記形状記憶ポリマーが前記ゴム状態の場合に、前記圧力流体供給手段により前記形状記憶ポリマーの径方向の膨張変形量を大きくすることによって、前記動力変換部材により前記第一固定部材の前記第一部材側の取付位置と前記第二固定部材の前記第二部材側の取付位置との離間距離を短くし、
前記圧力流体供給手段を制御することにより前記ゴム状態の前記形状記憶ポリマーの変形状態を維持している状態で、前記相対温度変更手段を制御することにより前記形状記憶ポリマーの温度を相対的に前記ガラス転移温度未満にすることによって、前記形状記憶ポリマーの変形形状を保持させる。
これらの制御方法により、上述したアクチュエータによる効果と同一の効果を奏する。すなわち、安定して強い力により第一部材と第二部材との相対位置を保持することができる。
第一実施形態:アクチュエータの全体構成図である。 (a)は初期状態における人工筋本体の径方向外方から見た図である。(b)は図2(a)の状態の人工筋本体の軸方向断面図である。 (a)は人工筋本体の筒内部の圧力を高めた場合の状態において、人工筋本体の径方向外方から見た図である。(b)は、図3(a)の状態の人工筋本体の軸方向断面図である。 第二部材が第一部材と直線上に位置する状態から、第二部材が第一部材に対して角度をとっている状態へ変化させる場合に、アクチュエータの動作を示す図である。 第二部材が第一部材に対して角度をとっている状態から、第二部材が第一部材と直線上に位置する状態へ変化させる場合に、アクチュエータの動作を示す図である。 (a)第一実施形態の第一変形態様:初期状態における人工筋本体の軸方向断面図である。(b)第一実施形態の第二変形態様:初期状態における人工筋本体の軸方向断面図である。 第一実施形態の第三変形態様:初期状態における人工筋本体の軸方向断面図である。 第二実施形態:アクチュエータの全体構成図である。 第三実施形態:アクチュエータの全体構成図である。 第四実施形態:アクチュエータの全体構成図である。 形状記憶ポリマーの吸水量に対するガラス転移温度Tgの関係を示すグラフである。 第二部材が第一部材に対して角度をとっている状態から、第二部材が第一部材と直線上に位置する状態へ変化させる場合に、アクチュエータの動作を示す図である。 第五実施形態:(a)第二部材が第一部材と直線上に位置する状態におけるアクチュエータの全体構成図である。(b)第二部材が第一部材に対して角度をとっている状態におけるアクチュエータの全体構成図である。
本実施形態の形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータは、第一部材に対して第二部材を回転するように駆動するアクチュエータである。すなわち、第一部材と第二部材との回転角度を変更するアクチュエータである。そして、本実施形態のアクチュエータは、例えば、いわゆる人工筋として用いることができる。つまり、人間共存型ロボットの各関節部のアクチュエータとして用いることができ、特にロボットハンドの関節部として有効に用いることができる。また、ロボットではなく、人間の動作を支援する装置(例:特開2008−12358号公報)としても適用できる。本実施形態においては、例えば、ロボットハンドの関節部を想定して、第一部材に対して第二部材が回転可能に連結されている場合に、第一部材と第二部材との回転角度を変更するアクチュエータを対象として説明する。なお、第一部材および第二部材は、金属製であってもよいし、樹脂製であってもよい。
<第一実施形態>
(アクチュエータの全体構成)
第一実施形態のアクチュエータの全体構成について、図1を参照して説明する。図1に示すように、アクチュエータは、第一部材10に対して第二部材20を回転するように駆動するアクチュエータである。第二部材20は、連結軸11を中心に第一部材10に対して揺動可能に、第一部材10に連結されている。つまり、第一部材10と第二部材20との回転角度(関節角度)が変更可能となるように、第一部材10と第二部材20とが相対的に動作できる。
ここで、後述する第一人工筋30および第二人工筋40の作用によって、第二部材20は、図1に示すように、第一部材10に対して角度をとっている状態と、第一部材10に対して直線上に位置する状態との間を、揺動可能とされている。そして、アクチュエータは、形状記憶ポリマーを人工筋に含んでいる。以下、詳細に説明する。
本実施形態のアクチュエータは、第一人工筋30と、第二人工筋40と、空気供給装置50と、加熱冷却装置60と、制御装置70とを有して構成される。
第一人工筋30の一端は、第一部材10の外周面のうち、第一部材10と第二部材20の内関節側に取り付けられている。第一人工筋30の他端は、第二部材20の外周面のうち、第一部材10と第二部材20の内関節側に取り付けられている。この第一人工筋30は、第一部材10と第二部材20とが直線上に位置する状態から、第一部材10に対して第二部材20が角度をとった状態へ動作するための力を作用する。つまり、第一人工筋30は、第一部材10に対して第二部材20を直線上から角度をとる方向に引張力を発生させる。
第二人工筋40の一端は、第一部材10の外周面のうち、第一部材10と第二部材20の外関節側に取り付けられている。第二人工筋40の他端は、第二部材20の外周面のうち、第一部材10と第二部材20の外関節側に取り付けられている。すなわち、第二人工筋40は、第一人工筋30の裏面側に取り付けられている。この第二人工筋40は、第一部材10に対して第二部材20が角度をとっている状態から、第一部材10と第二部材20とが直線上に位置する状態へ動作するための力を作用する。つまり、第二人工筋40は、第一部材10に対して第二部材20を伸ばす方向に引張力を発生させる。
空気供給装置50(本発明の「圧力流体供給手段」に相当)は、第一人工筋30および第二人工筋40の筒内部に空気を供給する装置である。空気供給装置50は、供給する空気の圧力を自由に制御することができる。さらに、空気供給装置50は、第一人工筋30と第二人工筋40のそれぞれに、異なる圧力の空気を供給することができる。
加熱冷却装置60(本発明の「相対温度変更手段」に相当)は、空気供給装置50により第一人工筋30および第二人工筋40へ供給される空気の温度を加熱または冷却する。そして、加熱冷却装置60は、供給する空気の温度を、第一人工筋30および第二人工筋40を構成する形状記憶ポリマー87(後述する)のガラス転移温度Tg未満の温度にしたり、当該ガラス転移温度Tg以上の温度にしたりすることができる。
制御装置70(本発明の「膨張変形制御手段」および「形状保持制御手段」に相当)は、空気供給装置50の空気の供給の有無、および、供給する空気の圧力を制御する。さらに、制御装置70は、加熱冷却装置60による加熱および冷却を制御することにより、空気供給装置50が供給する空気の温度を制御する。
(第一人工筋30、第二人工筋40の詳細構成)
次に、第一人工筋30および第二人工筋40の詳細構成について、図2および図3を参照して説明する。ここで、第一人工筋30と第二人工筋40とは、同一構成からなる。まず、第一,第二人工筋30,40の概要について説明する。
第一,第二人工筋30,40(以下、単に「人工筋30,40」と称する)は、図2(a)に示すような円筒状となる状態(初期状態)と、図3(a)に示すような軸方向中間部が径方向に膨張変形する状態に変形することができる。そして、図2(a)に示すように、人工筋30,40が初期状態の場合には、人工筋30,40の軸方向長さは、L1となる。一方、図3(a)に示すように、人工筋30,40の軸方向中間部が径方向に膨張変形している場合には、人工筋30,40の軸方向長さは、L2となる。ここで、膨張変形した状態の人工筋30,40の軸方向長さL2は、初期状態における人工筋30,40の軸方向長さL1よりも短くなる。つまり、人工筋30,40が初期状態から膨張変形すると、人工筋30,40の第一部材10側の取付位置と人工筋30,40の第二部材20側の取付位置との離間距離が短くなる。
人工筋30,40の詳細について、説明する。人工筋30,40は、第一固定部材81と、第二固定部材82と、ゴムチューブ83と、第一空気供給チューブ84と、第二空気供給チューブ85と、動力変換部材86と、形状記憶ポリマー87とを有して構成されている。
第一固定部材81は、金属製または樹脂製からなり、直方体状に形成されている。この第一固定部材81は、第一部材10に取り付けられている。すなわち、第一人工筋30の第一固定部材81は、第一部材10の外周面のうちの内関節側に固定され、第二人工筋40の第一固定部材81は、第一部材10の外周面のうちの外関節側に固定される。さらに、この第一固定部材81には、貫通孔81aが形成されている。
第二固定部材82は、金属製または樹脂製からなり、直方体状に形成されている。第二固定部材82の外形は、第一固定部材81の外形とほぼ同形状に形成されている。この第二固定部材82は、第二部材20に取り付けられている。すなわち、第一人工筋30の第二固定部材82は、第二部材20の外周面のうちの内関節側に固定され、第二人工筋40の第二固定部材82は、第二部材20の外周面のうちの外関節側に固定される。なお、この第二固定部材82は、中実に形成されており、貫通孔は形成されていない。
ゴムチューブ83は、ゴム弾性体より円筒状に形成されている。つまり、ゴムチューブ83は、筒内部に高い圧力の流体(空気など)が供給されると、径方向に膨張変形する。ただし、ゴムチューブ83は、第一,第二固定部材81,82および動力変換部材86によって、ゴムチューブ83の変形方向は規制されている。詳細は、後述する。
このゴムチューブ83の両端は、それぞれ、第一,第二固定部材81,82に接合されている。具体的には、第一人工筋30のゴムチューブ83の一端は、第一人工筋30の第一固定部材81に接合されている。ここで、ゴムチューブ83は、ゴムチューブ83の筒内部が第一固定部材81の貫通孔81aに連通するように、第一固定部材81に接合されている。第一人工筋30のゴムチューブ83の他端は、第一人工筋30の第二固定部材82に接合されている。つまり、第一人工筋30のゴムチューブ83は、その両端を第一部材10の内関節側と第二部材20の内関節側とにそれぞれ間接的に取り付けられている。
また、第二人工筋40のゴムチューブ83の一端は、第二人工筋40の第一固定部材81に接合されている。ここで、ゴムチューブ83は、ゴムチューブ83の筒内部が第一固定部材81の貫通孔81aに連通するように、第一固定部材81に接合されている。第二人工筋40のゴムチューブ83の他端は、第二人工筋40の第二固定部材82に接合されている。つまり、第二人工筋40のゴムチューブ83は、その両端を第一部材10の外関節側と第二部材20の外関節側とにそれぞれ間接的に取り付けられている。
従って、ゴムチューブ83の両端が第一,第二固定部材81,82に接合されているため、ゴムチューブ83の両端部は変形規制されていることになる。そのため、図3(a)(b)に示すように、ゴムチューブ83の筒内部に高い圧力の空気を供給した場合には、ゴムチューブ83の軸方向中間部が径方向外方に膨張変形することになる。
動力変換部材86は、繊維により網目状かつ筒状に形成されている。繊維には、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の高弾性率繊維を使用する。つまり、動力変換部材86は、軸方向に伸縮変形することができ、且つ、径方向に膨張変形することができる。ただし、動力変換部材86を形成する繊維そのものは、伸縮性がないため、動力変換部材86は、網目状であることによる変形範囲に制限されている。従って、動力変換部材86は、軸方向に伸ばすように変形させると、同時に径方向に収縮変形する。一方、動力変換部材86は、径方向に膨張変形するように変形させると、同時に軸方向に収縮変形する。つまり、動力変換部材86は、軸方向の変形と径方向の変形とが相互に影響を受ける。
そして、この動力変換部材86は、ゴムチューブ83の外周側に一体的に設けられている。さらに、この動力変換部材86の両端が、それぞれ、第一,第二固定部材81,82に接合されている。具体的には、第一人工筋30の動力変換部材86の一端は、第一人工筋30の第一固定部材81に接合されている。第一人工筋30の動力変換部材86の他端は、第一人工筋30の第二固定部材82に接合されている。つまり、第一人工筋30の動力変換部材86は、その両端を第一部材10の内関節側と第二部材20の内関節側とにそれぞれ間接的に取り付けられている。また、第二人工筋40の動力変換部材86の一端は、第二人工筋40の第一固定部材81に接合されている。第二人工筋40の動力変換部材86の他端は、第二人工筋40の第二固定部材82に接合されている。つまり、第二人工筋40の動力変換部材86は、その両端を第一部材10の外関節側と第二部材20の外関節側とにそれぞれ間接的に取り付けられている。
つまり、ゴムチューブ83が径方向に膨張変形しようとすると、動力変換部材86は、径方向に膨張変形すると同時に軸方向に収縮変形する。一方、ゴムチューブ83が径方向に収縮変形しようとすると、動力変換部材86は、径方向に収縮変形すると同時に軸方向に伸張変形しようとする。このように、動力変換部材86は、ゴムチューブ83による径方向へ変形しようとする力を、軸方向に変形しようとする力に変換している。従って、ゴムチューブ83が径方向へ膨張変形する場合には、動力変換部材86は、第一固定部材81の第一部材10側の取付位置と第二固定部材82の第二部材20側の取付位置との離間距離が短くなるような力を発生する。
一方、ゴムチューブ83が径方向へ収縮変形する場合には、動力変換部材86は、第一固定部材81の第一部材10側の取付位置と第二固定部材82の第二部材20側の取付位置との離間距離が短くなるような力が発生しなくなる。ここで、動力変換部材86およびゴムチューブ83は、撓み変形を許容している。そのため、ゴムチューブ83が径方向へ収縮変形する場合であっても、動力変換部材86は、第一固定部材81の第一部材10側の取付位置と第二固定部材82の第二部材20側の取付位置との離間距離を遠ざけるような力は発生しない。
形状記憶ポリマー87は、ガラス転移温度Tg以上においてゴム状態となると共に、ガラス転移温度Tg未満においてガラス状態となるポリマーである。また、この形状記憶ポリマー87は、ガラス転移温度Tg以上になると、外力を受けていない状態においては、初期状態形状に回復する性質を有している。
この形状記憶ポリマーは、ポリウレタン、ポリノルボルネン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体などが適用される。特に、ポリウレタンは、形状回復温度であるガラス転移温度Tgを任意に設定できるという点から好適である。形状記憶ポリマーとして通常使用されるポリウレタンは、ポリオール、ジイソシアネート、及び、短鎖グリコールやアミン類などの鎖延長剤からなるブロック共重合体であって、これら構成成分のモル比を変えることによって、形状回復温度であるガラス転移温度Tgを−40℃から120℃まで自由に設定できる。ただし、本実施形態においては、ガラス転移温度Tgを常温(例えば20℃)よりも高い温度、例えば、45℃に設定している。
なお、通常の汎用ゴム、例えば、天然ゴムやブチルゴムなども、ガラス転移温度Tg以上においてゴム状態となると共に、ガラス転移温度Tg未満においてガラス状態となるという性質を有する。ここで、天然ゴムのガラス転移温度は−79℃〜−69℃であって、ブチルゴムのガラス転移温度は−75℃〜−67℃である。
ここで、ゴム状態とガラス状態とを制御するために用いる媒体は、制御の容易性の観点から、極低温の媒体を使用することが要求される。そのため、天然ゴムやブチルゴムのガラス転移温度は、低温であるため、ゴム状態とガラス状態とを制御することが容易ではない。これに対して、上述したポリウレタン、ポリノルボルネン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体などは、ガラス転移温度を高く設定できるため、ゴム状態とガラス状態とを制御することが容易となる。特に、ポリウレタンが、ガラス転移温度を−40℃〜120℃で自由に設定できるため、非常に制御が容易となる。
そして、形状記憶ポリマー87は、動力変換部材86の外周面に薄く塗布されている。そのため、形状記憶ポリマー87の塗布を非常に容易に行うことができる。ここで、動力変換部材86は、繊維により網目状に形成されているため、形状記憶ポリマー87は、網目をくぐることにより、動力変換部材86の内周側にあるゴムチューブ83の外周面にも塗布されていることになる。なお、図2(b)および図3(b)において、形状記憶ポリマー87は、ゴムチューブ83と接触していないように図示しているが、これは各構成部材の位置を明確化するためにこのような記載としている。実際には、上述したように、形状記憶ポリマー87は、動力変換部材86の外周面であると共に、ゴムチューブ83の外周面に接着している。
従って、この形状記憶ポリマー87の温度がガラス転移温度Tg以上となってゴム状態の場合に、形状記憶ポリマー87に外力を加えると、形状記憶ポリマー87単体としては自由に変形することができる。つまり、形状記憶ポリマー87は、ゴム状態の場合には、ゴムチューブ83および動力変換部材86の形状変化に追従する。一方、形状記憶ポリマー87の温度がガラス転移温度Tg未満となってガラス状態となると、ゴムチューブ83および動力変換部材86の動作を規制する。
また、形状記憶ポリマー87は、ゴムチューブ83および動力変換部材86が図2(a)(b)に示す状態において、塗布されている。つまり、形状記憶ポリマー87の初期状態は、図2(a)(b)に示す状態となる。従って、形状記憶ポリマー87の温度がガラス転移温度Tg以上となってゴム状態になり、かつ、形状記憶ポリマー87に外力が加えられていない状態になると、形状記憶ポリマー87は初期状態に回復しようとする力が発生する。
第一空気供給チューブ84の一端は、空気供給装置50の第一の空気出力口に取り付けられ、第一空気供給チューブ84の他端は、第一人工筋30の第一固定部材81の貫通孔81aの開口に取り付けられている。つまり、第一空気供給チューブ84は、空気供給装置50から供給される空気を、第一人工筋30のゴムチューブ83の筒内部に供給する。換言すると、空気供給装置50および加熱冷却装置60は、第一空気供給チューブ84を介して第一固定部材81に接続し、設定された圧力かつ調整された温度の空気を第一人工筋30のゴムチューブ83の筒内部に供給できる。
第二空気供給チューブ85の一端は、空気供給装置50の第二の空気出力口に取り付けられ、第二空気供給チューブ85の他端は、第二人工筋40の第一固定部材81の貫通孔81aの開口に取り付けられている。つまり、第二空気供給チューブ85は、空気供給装置50から供給される空気を、第二人工筋40のゴムチューブ83の筒内部に供給する。換言すると、空気供給装置50および加熱冷却装置60は、第二空気供給チューブ85を介して第二人工筋40の第一固定部材81に接続し、設定された圧力かつ調整された温度の空気を第一人工筋30のゴムチューブ83の筒内部に供給できる。
(アクチュエータの動作)
次に、アクチュエータの動作について、図4および図5を参照して説明する。まず、最初に、図4を参照して、第二部材20が第一部材10と直線上に位置する状態から、第二部材20が第一部材10に対して角度をとっている状態へ変化させる場合に、アクチュエータの動作について説明する。
図4(a)は、第二部材20が第一部材10と直線上に位置している状態である。このとき、第一,第二人工筋30,40は、軸方向中央部が径方向へ僅かに膨張変形しており、ほぼ同一形状をなしている。
さらに、図4(a)においては、空気供給装置50により空気は供給されていない。従って、第一,第二人工筋30,40の形状記憶ポリマー87は、常温となっている。つまり、形状記憶ポリマー87は、ガラス状態となっており、図4(a)の状態で固定されている。
この状態から、図4(b)に示すように、制御装置70が、空気供給装置50および加熱冷却装置60を制御する。具体的には、空気供給装置50により、第一,第二人工筋30,40のゴムチューブ83の筒内部に空気を供給する。供給される空気の温度は、加熱冷却装置60によりガラス転移温度Tgよりも高い温度T1となるように加熱されている。また、第一,第二人工筋30,40のゴムチューブ83の筒内部に供給される空気の圧力がP1となるようにされている。ここで、圧力P1は、形状記憶ポリマー87がゴム状態の場合に、図4(a)に示す形状となる程度の圧力に設定されている。
つまり、図4(b)に示すように、圧力P1で温度T1(>Tg)の空気を、第一,第二人工筋30,40のゴムチューブ83の筒内部に供給している。そして、空気の熱がゴムチューブ83の外周側の形状記憶ポリマー87に伝達されることにより、第一,第二人工筋30,40の形状記憶ポリマー87は、ガラス状態からゴム状態に変化する。
続いて、図4(c)に示すように、空気供給装置50により、第一人工筋30のゴムチューブ83の筒内部に供給する空気の圧力を、P1からP2に高める。ここで、圧力P2は、第一人工筋30のゴムチューブ83および形状記憶ポリマー87の径方向の膨張変形量が所望の量となるような圧力である。つまり、制御装置70は、第一人工筋30のゴムチューブ83および形状記憶ポリマー87の径方向の膨張変形量が所望の量になるように、空気の圧力P2を制御している。一方、空気供給装置50により、第二人工筋40のゴムチューブ83の筒内部に供給する空気の圧力を、P1からP0に低くする。ここで、圧力P0は、形状記憶ポリマー87がゴム状態の場合に、ゴムチューブ83および形状記憶ポリマー87が径方向へ膨張しない程度の圧力に設定されている。そして、両者のゴムチューブ83の筒内部に供給する空気の温度は、T1を維持している。
そうすると、図4(d)に示すように、第一人工筋30の形状記憶ポリマー87は、ゴム状態であるため、第一人工筋30のゴムチューブ83および形状記憶ポリマー87は径方向にさらに膨張変形しようとする。このようなゴムチューブ83の径方向への膨張変形しようとする力によって、動力変換部材86が軸方向に収縮しようとする力を発生する。
一方、第二人工筋40の形状記憶ポリマー87は、ゴム状態であって、ゴムチューブ83の筒内部に供給される空気の圧力がP0であるため、ゴムチューブ83および形状記憶ポリマー87の径方向の膨張量が小さくなる方向に形状回復しようとする。つまり、ゴムチューブ83および形状記憶ポリマー87は、径方向へ収縮変形しようとする。その結果、第二人工筋40における第一固定部材81の第一部材10側の取付位置と第二固定部材82の第二部材20側の取付位置との離間距離を規制する力が解除される。
従って、第一人工筋30の動力変換部材86の軸方向への収縮変形しようとする力によって、第一人工筋30の第一固定部材81の第一部材10側の取付位置と第二固定部材82の第二部材20側の取付位置との離間距離を短くするように、第二部材20が動作する。つまり、図4(d)に示すように、第二部材20が第一部材10に対して直線上の状態から角度をとる状態に揺動する。
続いて、図4(e)に示すように、空気供給装置50および加熱冷却装置60によって、第一人工筋30のゴムチューブ83の筒内部に供給される空気の圧力はP2を維持しつつ、当該空気の温度をT0に低下する。同時に、第二人工筋40のゴムチューブ83の筒内部に供給される空気の圧力はP0を維持しつつ、当該空気の温度をT0に低下する。ここで、温度T0は、形状記憶ポリマー87のガラス転移温度Tgよりも低い温度、例えば、常温(例:20℃)程度とする。
従って、第一,第二人工筋30,40の形状記憶ポリマー87がゴム状態からガラス状態へ変化する。そうすると、形状記憶ポリマー87により、ゴムチューブ83および動力変換部材86の動作が規制されている。つまり、図4(e)に示す状態にて、第一部材10と第二部材20とが位置決めされる。
続いて、図4(f)に示すように、制御装置70は、空気供給装置50により供給されていた空気の供給を遮断する。ここで、形状記憶ポリマー87の温度は、実質的に外気温付近の温度(例えば、20℃)となるため、ガラス転移温度Tgよりも低い温度である。そうすると、第一,第二人工筋30,40は、図4(e)の状態を保持することができる。このように、何の動力を用いることなく、第一部材10と第二部材20との相対位置を固定することができる。
次に、図5を参照して、第二部材20が第一部材10に対して角度をとっている状態から、第二部材20が第一部材10と直線上に位置する状態へ変化させる場合における、アクチュエータの動作について説明する。
図5(a)は、第二部材20が第一部材10に対して角度をとっている状態である。このとき、第一人工筋30は、軸方向中央部が径方向へ大きく膨張変形しており、第一固定部材81の第一部材10側の取付位置と第二固定部材82の第二部材20側の取付位置との離間距離が短い状態である。一方、第二人工筋40は、軸方向全長に亘ってほぼ同径の筒状をなしている。ただし、第二人工筋40は、第一部材10と第二部材20との連結部位により角度をとっている状態となっている。
さらに、図5(a)においては、空気供給装置50により空気は供給されていない。従って、第一,第二人工筋30,40の形状記憶ポリマー87は、常温(例えば20℃)となっている。つまり、形状記憶ポリマー87は、ガラス状態となっており、図5(a)の状態で固定されている。そして、形状記憶ポリマー87がガラス状態となることにより、ゴムチューブ83および動力変換部材86の動作が規制されている。
この状態から、図5(b)に示すように、制御装置70が、空気供給装置50および加熱冷却装置60を制御する。具体的には、空気供給装置50により、第一,第二人工筋30,40のゴムチューブ83の筒内部に空気を供給する。供給される空気の温度は、加熱冷却装置60によりガラス転移温度Tgよりも高い温度T1となるように加熱されている。例えば、T1は、60℃以上の温度である。また、第一人工筋30のゴムチューブ83の筒内部に供給される空気の圧力がP2となるようにされている。ここで、圧力P2は、形状記憶ポリマー87がゴム状態の場合にゴムチューブ83および形状記憶ポリマー87が径方向へ大きく膨張変形する圧力に設定されている。一方、第二人工筋40のゴムチューブ83の筒内部に供給される空気の圧力がP0となるようにされている。ここで、圧力P0は、形状記憶ポリマー87がゴム状態の場合に、ゴムチューブ83および形状記憶ポリマー87が径方向へ膨張しない程度の圧力に設定されている。
つまり、図5(b)に示すように、圧力P0で温度T1(>Tg)の空気を、第一,第二人工筋30,40のゴムチューブ83の筒内部に供給している。そして、空気の熱がゴムチューブ83の外周側の形状記憶ポリマー87に伝達されることにより、第一,第二人工筋30,40の形状記憶ポリマー87は、ガラス状態からゴム状態に変化する。
続いて、図5(c)に示すように、空気供給装置50により、第二人工筋40のゴムチューブ83の筒内部に供給する空気の圧力を、P0からP1に高める。ここで、圧力P1は、第二人工筋40のゴムチューブ83および形状記憶ポリマー87の径方向の膨張変形量が所望の僅かな量(中間程度の膨張量)となるような圧力である。つまり、制御装置70は、第二人工筋40のゴムチューブ83および形状記憶ポリマー87の径方向の膨張変形量が所望の僅かな量になるように、空気の圧力P1を制御している。一方、空気供給装置50により、第一人工筋30のゴムチューブ83の筒内部に供給する空気の圧力を、P2からP1に低くする。つまり、第一,第二人工筋30,40のゴムチューブ83の筒内部に供給する空気の圧力を同一の圧力P1にする。そして、両者のゴムチューブ83の筒内部に供給する空気の温度は、T1を維持している。
そうすると、図5(d)に示すように、第二人工筋40の形状記憶ポリマー87はゴム状態であるため、第二人工筋40のゴムチューブ83および形状記憶ポリマー87は径方向に膨張変形しようとする。このようなゴムチューブ83の径方向への膨張変形しようとする力によって、動力変換部材86が軸方向に収縮しようとする力を発生する。
一方、第一人工筋30の形状記憶ポリマー87は、ゴム状態であって、ゴムチューブ83の筒内部に供給される空気の圧力がP2からP1へ低下するため、ゴムチューブ83および形状記憶ポリマー87の径方向の膨張量が小さくなる方向に形状回復しようとする。つまり、ゴムチューブ83および形状記憶ポリマー87は、径方向へ収縮変形しようとする。その結果、第一人工筋30における第一固定部材81の第一部材10側の取付位置と第二固定部材82の第二部材20側の取付位置との離間距離を規制する力が解除される。
従って、第二人工筋40の動力変換部材86の軸方向への収縮変形しようとする力によって、第二人工筋40の第一固定部材81の第一部材10側の取付位置と第二固定部材82の第二部材20側の取付位置との離間距離を短くするように、第二部材20が動作する。そして、図5(d)に示すように、第二部材20が第一部材10と直線上に位置するように揺動する。
続いて、図5(e)に示すように、空気供給装置50および加熱冷却装置60によって、第一,第二人工筋30,40のゴムチューブ83の筒内部に供給される空気の圧力はP1を維持しつつ、当該空気の温度をT0に低下する。ここで、温度T0は、形状記憶ポリマー87のガラス転移温度Tgよりも低い温度、例えば、常温(例:20℃)程度とする。
従って、第一,第二人工筋30,40の形状記憶ポリマー87がゴム状態からガラス状態へ変化する。そうすると、形状記憶ポリマー87により、ゴムチューブ83および動力変換部材86の動作が規制されている。つまり、図5(e)に示す状態にて、第一部材10と第二部材20とが位置決めされる。
続いて、図5(f)に示すように、制御装置70は、空気供給装置50により供給されていた空気の供給を遮断する。ここで、形状記憶ポリマー87の温度は、実質的に外気温付近の温度(例えば、20℃)となるため、ガラス転移温度Tgよりも低い温度である。そうすると、第一,第二人工筋30,40は、図5(e)の状態を保持することができる。このように、何の動力を用いることなく、第一部材10と第二部材20との相対位置を固定することができる。
(効果)
本実施形態のアクチュエータによれば、形状記憶ポリマー87がゴム状態である場合の第一,第二人工筋30,40の動作は、実質的にマッキベン型アクチュエータと同様の動作となる。従って、確実に、第一部材10に対して第二部材20の位置を移動させることができる。
そして、本実施形態のアクチュエータは、マッキベン型アクチュエータとは、外周面に形状記憶ポリマー87が塗布されている点が相違する。本実施形態によれば、形状記憶ポリマー87をガラス状態にすることで、ゴムチューブ83および形状記憶ポリマー87が現在形状に固定されることになる。つまり、形状記憶ポリマー87をガラス状態にすることで、非常に強い力によって、第一部材10に対する第二部材20の相対的な位置が保持される。そして、形状記憶ポリマー87はガラス転移温度Tg未満であれば、ガラス状態を維持し続けるため、第一部材10に対する第二部材20の相対的な位置を、何の動力を用いることなく、安定して強い力により保持できる。
<第一実施形態の変形態様>
第一実施形態においては、形状記憶ポリマー87を動力変換部材86の外周側に塗布した。この他に、図6(a)に示すように、形状記憶ポリマー87をゴムチューブ83の内周面に塗布するようにしてもよい。この場合、空気供給装置50により供給する空気が形状記憶ポリマー87に直接的に触れるため、形状記憶ポリマー87の温度制御が容易となる。
また、図6(b)に示すように、形状記憶ポリマー87を、ゴムチューブ83と動力変換部材86の中間層に配置してもよい。すなわち、形状記憶ポリマー87をゴムチューブ83の外周面に塗布し、その外周側に動力変換部材86を配置することもできる。この場合、形状記憶ポリマー87を均一の厚みに塗布することができる。
第一実施形態のように、ゴムチューブ83の外周側に網目状の動力変換部材86を配置した上で、さらにその外周側に形状記憶ポリマー87を配置する場合には、形状記憶ポリマー87を網目状の動力変換部材86の上から塗布することになる。そうすると、動力変換部材86の網目の部位とそれ以外の部位とおいて、形状記憶ポリマー87の塗布ムラが発生するおそれがある。これに対して、図6(b)に示すように、形状記憶ポリマー87を中間層に配置する場合には、網目状の動力変換部材86とは無関係に形状記憶ポリマー87をゴムチューブ83の外周面に塗布できるため、動力変換部材86の網目の部位もそれ以外の部位も形状記憶ポリマー87を均一に塗布できる。これにより、形状変形する際に、形状記憶ポリマー87にかかる応力の均一化を図ることができる。
また、図7に示すように、第一実施形態におけるゴムチューブ83を形状記憶ポリマー187により形成し、第一実施形態において外周面に塗布していた形状記憶ポリマー87を無しとするようにしてもよい。つまり、形状記憶ポリマー187の外周側に、動力変換部材86が配置されている。この場合、形状記憶ポリマー187が、第一実施形態におけるゴムチューブ83による機能と、第一実施形態における形状記憶ポリマー87の機能とを併せ持つことになる。つまり、この場合の形状記憶ポリマー187の厚みは、第一実施形態のゴムチューブ83の厚み相当が必要となる。これらいずれの変形態様においても、第一実施形態と同様の動作をし、同様の効果を発揮する。
また、第一実施形態において、ゴムチューブ83の筒内部に供給する空気によって、形状記憶ポリマー87の温度を変更している。そこで、ゴムチューブ83の筒内部を空気が流通できるような構成、例えば、第二固定部材82に貫通孔を形成してゴムチューブ83の筒内部と空気供給装置50との間を空気が循環するような構成としてもよい。このような構成によれば、より容易に形状記憶ポリマー87の温度を所望の温度に制御することができる。
<第二実施形態>
第二実施形態におけるアクチュエータについて、図8を参照して説明する。図8に示すように、本実施形態のアクチュエータは、第一人工筋130と、第二人工筋140と、空気供給装置50と、電流供給装置160と、制御装置170とを有して構成される。ここで、第二実施形態において、第一実施形態と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
第一,第二人工筋130,140は、基本的な構成は、第一実施形態における第一,第二人工筋30,40と同様である。ただし、ゴムチューブ83または形状記憶ポリマー87に導電体(本発明の「加熱冷却手段」に相当)が含有されている。この導電体は、電流が供給されることによって、発熱する部材である。
電流供給装置160は、第一,第二人工筋130,140のゴムチューブ83または形状記憶ポリマー87に含まれる導電体に電流を供給する。そして、制御装置170は、電流供給装置160が当該導電体に供給する電流を制御する。また、制御装置170は、空気供給装置50がゴムチューブ83の筒内部に供給する空気の圧力を制御している。
この場合、導電体による発熱作用を用いて、形状記憶ポリマー87を加熱するため、容易に且つ高速に形状記憶ポリマー87を加熱することができる。さらに、導電体が形状記憶ポリマー87に含有されている場合には、発熱部位が形状記憶ポリマー87の内部となる。従って、形状記憶ポリマー87全体を確実に且つ容易に所望の温度に加熱することができる。
<第二実施形態の変形態様>
第二実施形態においては、導電体をゴムチューブ83または形状記憶ポリマー87の内部に含有させたが、この他に、ペルチェ素子を用いることもできる。ペルチェ素子に電流を供給すると、加熱または冷却することができる。そこで、ペルチェ素子をゴムチューブ83または形状記憶ポリマー87に当接するように設け、ペルチェ素子に電流供給装置160によって電流を供給することで、形状記憶ポリマー87を加熱することができ、且つ、冷却することができる。
<第三実施形態>
第三実施形態におけるアクチュエータについて、図9を参照して説明する。図9に示すように、本実施形態のアクチュエータは、第一人工筋230と、第二人工筋240と、空気供給装置50と、光付与装置260と、制御装置270とを有して構成される。ここで、第三実施形態において、第一実施形態と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
第一,第二人工筋230,240は、基本的な構成は、第一実施形態における第一,第二人工筋30,40と同様である。ただし、ゴムチューブ83または形状記憶ポリマー87には、光を与えると加熱する発熱体(本発明の「加熱冷却手段」に相当)が含有されている。この発熱体としては、カーボンブラックが好適に用いられる。
光付与装置260(本発明の「刺激付与手段」に相当)は、第一,第二人工筋230,240のゴムチューブ83または形状記憶ポリマー87に向けて、光を当てる。そして、制御装置270は、光付与装置260がゴムチューブ83または形状記憶ポリマー87に向けて付与する光の量を制御する。また、制御装置270は、空気供給装置50がゴムチューブ83の筒内部に供給する空気の圧力を制御している。
ゴムチューブ83または形状記憶ポリマー87に含有されている発熱体がカーボンブラックの場合には、光が付与されることで、光熱効果を増すことにより、発熱する。このように、光を付与することにより生じる発熱体の発熱作用を用いて、形状記憶ポリマー87を加熱するため、容易に且つ高速に形状記憶ポリマー87を加熱することができる。さらに、発熱体が形状記憶ポリマー87に含有されている場合には、発熱部位が形状記憶ポリマー87の内部となる。従って、形状記憶ポリマー87全体を確実に且つ容易に所望の温度に加熱することができる。
<第三実施形態の変形態様>
第三実施形態においては、光付与装置260として、赤外線を付与する装置を適用し、発熱体として赤外線が付与される場合に発熱するものを適用することもできる。
また、光の他に、電場または磁場を適用することもできる。すなわち、発熱体として、電場が付与される場合に電場に反応して発熱する粒子を適用し、光付与装置260に変えてゴムチューブ83または形状記憶ポリマー87の存在する領域に電場を付与できる電場付与装置を適用することもできる。電場に反応する発熱体としては、カーボンナノチューブを適用することができ、電場に反応してジュール熱を利用することで発熱する。また、発熱体として、磁場が付与される場合に磁場に反応して発熱する粒子を適用し、光付与装置260に変えてゴムチューブ83または形状記憶ポリマー87の存在する領域に磁場を付与できる磁場付与装置を適用することもできる。
<第四実施形態>
第四実施形態におけるアクチュエータの構成について、図10および図11を参照して説明する。図10に示すように、本実施形態のアクチュエータは、第一人工筋30と、第二人工筋40と、空気供給装置50と、水分吸脱装置360と、制御装置370とを有して構成される。ここで、第四実施形態において、第一実施形態と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
第一,第二人工筋30,40は、第一実施形態における第一,第二人工筋30,40と同様である。ただし、本実施形態においては、第一,第二人工筋30,40において上記にて説明していない作用を用いている。第一,第二人工筋30,40の形状記憶ポリマー87は、図11に示すように、水の吸水量に応じてガラス転移温度Tgが変化する。具体的には、形状記憶ポリマー87の吸水量が少ないほど、ガラス転移温度Tgが高く、形状記憶ポリマー87の吸水量が多いほど、ガラス転移温度Tgが低くなる。このように、形状記憶ポリマー87自体の温度を変化しなくても、吸水量を制御することによってガラス転移温度Tgを変化させることで、相対的に、形状記憶ポリマー87の温度をガラス転移温度Tg前後に変動させることができる。
水分吸脱装置360(本発明の「水分吸脱手段」に相当)は、形状記憶ポリマー87に対して水分を吸収させ、且つ、脱水することできる装置である。つまり、水分吸脱装置360は、実質的に、形状記憶ポリマー87のガラス転移温度Tgを変更させる装置である。そして、制御装置370は、水分吸脱装置360を制御することにより、形状記憶ポリマー87の吸水量を制御する。また、制御装置370は、空気供給装置50がゴムチューブ83の筒内部に供給する空気の圧力を制御している。ここで、空気供給装置50によりゴムチューブ83に供給される空気の温度は、T2(図11に示す)に設定されている。つまり、当該温度T2は、形状記憶ポリマー87の吸水量が所定値Vより少ない場合のガラス転移温度Tgよりも低く、且つ、形状記憶ポリマー87の吸水量が所定値Vより多い場合のガラス転移温度Tgよりも高く設定されている。
本実施形態におけるアクチュエータの動作について、図12を参照して説明する。ここでは、第二部材20が第一部材10に対して角度をとっている状態から、第二部材20が第一部材10と直線上に位置する状態へ変化させる場合における、アクチュエータの動作について説明する。
まず、最初に、図12(a)に示すように、第二部材20が第一部材10に対して角度をとっている状態とする。このとき、第一人工筋30は、軸方向中央部が径方向へ大きく膨張変形しており、第一固定部材81の第一部材10側の取付位置と第二固定部材82の第二部材20側の取付位置との離間距離が短い状態である。一方、第二人工筋40は、軸方向全長に亘ってほぼ同径の筒状をなしている。ただし、第二人工筋40は、第一部材10と第二部材20との連結部位により角度をとっている状態となっている。
さらに、図12(a)においては、空気供給装置50により空気は供給されていないし、水分吸脱装置360により水分の供給もされていない。従って、第一,第二人工筋30,40の形状記憶ポリマー87は、常温(T2付近)となっており、形状記憶ポリマー87のガラス転移温度TgはT2よりも高くなっている。つまり、形状記憶ポリマー87は、ガラス状態となっており、図12(a)の状態で固定されている。そして、形状記憶ポリマー87がガラス状態となることにより、ゴムチューブ83および動力変換部材86の動作が規制されている。
この状態から、図12(b)に示すように、制御装置70が、空気供給装置50および水分吸脱装置360を制御する。具体的には、空気供給装置50により、第一,第二人工筋30,40のゴムチューブ83の筒内部に空気を供給する。供給される空気の温度は、常温T2である。また、第一人工筋30のゴムチューブ83の筒内部に供給される空気の圧力がP2となるようにされている。ここで、圧力P2は、形状記憶ポリマー87がゴム状態の場合にゴムチューブ83および形状記憶ポリマー87が径方向へ大きく膨張変形する圧力に設定されている。一方、第二人工筋40のゴムチューブ83の筒内部に供給される空気の圧力がP0となるようにされている。ここで、圧力P0は、形状記憶ポリマー87がゴム状態の場合に、ゴムチューブ83および形状記憶ポリマー87が径方向へ膨張しない程度の圧力に設定されている。
また、水分吸脱装置360により形状記憶ポリマー87に水分を供給する。つまり、形状記憶ポリマー87に水分を吸収させ、形状記憶ポリマー87の吸水量を所定値Vよりも多くする。その結果、形状記憶ポリマー87の温度T2は、形状記憶ポリマー87のガラス転移温度Tgよりも相対的に高くなる。そうすると、第一,第二人工筋30,40の形状記憶ポリマー87は、ガラス状態からゴム状態に変化する。
続いて、図12(c)に示すように、空気供給装置50により、第二人工筋40のゴムチューブ83の筒内部に供給する空気の圧力を、P0からP1に高める。ここで、圧力P1は、第二人工筋40のゴムチューブ83および形状記憶ポリマー87の径方向の膨張変形量が所望の僅かな量(中間程度の膨張量)となるような圧力である。つまり、制御装置370は、第二人工筋40のゴムチューブ83および形状記憶ポリマー87の径方向の膨張変形量が所望の僅かな量になるように、空気の圧力P1を制御している。一方、空気供給装置50により、第一人工筋30のゴムチューブ83の筒内部に供給する空気の圧力を、P2からP1に低くする。つまり、第一,第二人工筋30,40のゴムチューブ83の筒内部に供給する空気の圧力を同一の圧力P1にする。なお、形状記憶ポリマー87の吸水量は所定値Vよりも多い状態を維持している。
そうすると、図12(d)に示すように、第二人工筋40の形状記憶ポリマー87はゴム状態であるため、第二人工筋40のゴムチューブ83および形状記憶ポリマー87は径方向に膨張変形しようとする。このようなゴムチューブ83の径方向への膨張変形しようとする力によって、動力変換部材86が軸方向に収縮しようとする力を発生する。
一方、第一人工筋30の形状記憶ポリマー87は、ゴム状態であって、ゴムチューブ83の筒内部に供給される空気の圧力がP2からP1へ低下するため、ゴムチューブ83および形状記憶ポリマー87の径方向の膨張量が小さくなる方向に形状回復しようとする。つまり、ゴムチューブ83および形状記憶ポリマー87は、径方向へ収縮変形しようとする。その結果、第一人工筋30における第一固定部材81の第一部材10側の取付位置と第二固定部材82の第二部材20側の取付位置との離間距離を規制する力が解除される。
従って、第二人工筋40の動力変換部材86の軸方向への収縮変形しようとする力によって、第二人工筋40の第一固定部材81の第一部材10側の取付位置と第二固定部材82の第二部材20側の取付位置との離間距離を短くするように、第二部材20が動作する。そして、図12(d)に示すように、第二部材20が第一部材10と直線上に位置するように揺動する。
続いて、図12(e)に示すように、空気供給装置50によって、第一,第二人工筋30,40のゴムチューブ83の筒内部に供給される空気の圧力はP1を維持しつつ、水分吸脱装置360によって形状記憶ポリマー87の吸水量を所定値Vよりも少なくする。ここで、形状記憶ポリマー87の温度は、供給される空気の温度T2付近となる。そして、形状記憶ポリマー87の吸水量が所定値Vより少なくなると、形状記憶ポリマー87の温度T2は、形状記憶ポリマー87のガラス転移温度Tgより低くなる。
従って、第一,第二人工筋30,40の形状記憶ポリマー87がゴム状態からガラス状態へ変化する。そうすると、形状記憶ポリマー87により、ゴムチューブ83および動力変換部材86の動作が規制されている。つまり、図12(e)に示す状態にて、第一部材10と第二部材20とが位置決めされる。
続いて、図12(f)に示すように、制御装置370は、空気供給装置50により供給されていた空気の供給を遮断する。ここで、形状記憶ポリマー87の温度は、実質的に外気温付近の温度(例えば、20℃)となるため、現在のガラス転移温度Tgよりも低い温度である。そうすると、第一,第二人工筋30,40は、図12(e)の状態を保持することができる。このように、何の動力を用いることなく、第一部材10と第二部材20との相対位置を固定することができる。このように、本実施形態においても、第一実施形態と同様の効果を奏する。
<第五実施形態>
第五実施形態におけるアクチュエータについて、図13を参照して説明する。図13に示すように、本実施形態のアクチュエータは、第一人工筋30と、スプリング90と、空気供給装置50と、加熱冷却装置60と、制御装置70とを有して構成される。ここで、第五実施形態において、第一実施形態と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
つまり、本実施形態のアクチュエータは、第一実施形態における第二人工筋40をスプリング90に置換させた構成としている。従って、制御装置70により空気供給装置50および加熱冷却装置60を制御することによって、第一人工筋30の作用を発揮させる。この点は、第一実施形態に記載したとおりである。
そして、スプリング90は、例えば鋼材により形成される。そして、スプリング90の一端は、第一部材10の外周面のうち、第一部材10と第二部材20の外関節側に取り付けられている。一方、スプリングの他端は、第二部材20の外周面のうち、第一部材10と第二部材20の外関節側に取り付けられている。
本実施形態のアクチュエータの動作は、次のとおりである。まず、図13(a)に示すように、第一部材10と第二部材20とが直線上に位置する場合に、第一人工筋30を膨張させるように変形させて、第一人工筋30の軸方向長さを短くするように変形させる。そうすると、スプリング90のスプリング力に抗して、第二部材20が第一部材10に対して角度をとる状態となる。
そして、図13(b)に示すように、第二部材20が第一部材10に対して角度をとっている状態の場合に、第一人工筋30の膨張量を小さくなるように変形させて、第一人工筋30の軸方向長さを長くするように変形させる。そうすると、スプリング90のスプリング力によって、第二部材20が第一部材10に対して直線上に位置する状態へとなる。
ここで、第一人工筋30が図13(a)に示す状態から図13(b)に示す状態となるように膨張変形させる工程、および、第一人工筋30が図13(b)に示す状態から図13(a)に示す状態となるように収縮変形させる工程については、第一実施形態にて説明したとおりであるので、ここでは説明を省略する。
以上より、第一実施形態のアクチュエータにおける第二人工筋40をスプリング90に置換したとしても、第一実施形態のアクチュエータと同様の動作を実現できる。また、スプリング90は、ゴムなどの弾性体により筒状または柱状に形成された部材に置換することもできる。この場合も同様の効果を奏する。また、本実施形態における第一人工筋30を変形させるための構成は、第二〜第四実施形態にて説明した構成を採用することもできる。
10:第一部材、 11:連結軸、 20:第二部材
30,130,230:第一人工筋、 40,140,240:第二人工筋
50:空気供給装置、 60:加熱冷却装置
70,170,270,370:制御装置
81:第一固定部材、 81a:貫通孔、 82:第二固定部材、 83:ゴムチューブ
84:第一空気供給チューブ、 85:第二空気供給チューブ、 86:動力変換部材
87,187:形状記憶ポリマー
90:スプリング
160:電流供給装置、 260:光付与装置、 360:水分吸脱装置

Claims (11)

  1. 回転可能に連結された第一部材と第二部材において、前記第一部材に対して前記第二部材を回転するように駆動するアクチュエータであって、
    前記第一部材に取り付けられた第一固定部材と、
    前記第二部材に取り付けられた第二固定部材と、
    ゴム弾性体により筒状に形成され、前記筒状の一端に前記第一固定部材が接合され、前記筒状の他端に前記第二固定部材が接合されるゴムチューブと、
    筒状に形成され、前記ゴムチューブの外周側に一体的に設けられ、前記ゴムチューブが径方向へ膨張変形することによって前記第一固定部材の前記第一部材側の取付位置と、前記第二固定部材の前記第二部材側の取付位置との離間距離を短くする力を発生する動力変換部材と、
    前記ゴムチューブの内周側、前記動力変換部材の外周側、および、前記ゴムチューブと前記動力変換部材の中間層の少なくとも何れか一つに配置され、ガラス転移温度以上においてゴム状態となると共に前記ガラス転移温度未満においてガラス状態となり、前記ガラス状態において前記ゴムチューブおよび前記動力変換部材の動作を規制する形状記憶ポリマーと、
    前記第一固定部材と前記第二固定部材の一方と接続し、前記形状記憶ポリマーの温度を前記ガラス転移温度に対して相対的に変動させる相対温度変更手段と、
    前記第一固定部材と前記第二固定部材の一方と接続し、前記ゴムチューブの筒内部に圧力流体を供給することにより、前記ゴムチューブを径方向へ膨張変形させる圧力流体供給手段と、
    前記相対温度変更手段を制御することにより前記形状記憶ポリマーの温度を相対的に前記ガラス転移温度以上にすると共に、前記圧力流体供給手段を制御することによって、前記ゴムチューブの径方向の膨張変形量を制御する膨張変形制御手段と、
    前記圧力流体供給手段を制御することにより前記ゴムチューブの変形状態を維持している状態で、前記相対温度変更手段を制御することにより前記形状記憶ポリマーの温度を相対的に前記ガラス転移温度未満にすることによって、前記ゴムチューブの変形形状を保持させる形状保持制御手段と、
    を備えることを特徴とする形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータ。
  2. 回転可能に連結された第一部材と第二部材において、前記第一部材に対して前記第二部材を回転するように駆動するアクチュエータであって、
    前記第一部材に取り付けられた第一固定部材と、
    前記第二部材に取り付けられた第二固定部材と、
    筒状に形成され、前記筒状の一端に前記第一固定部材が接合され、前記筒状の他端に前記第二固定部材が接合され、ガラス転移温度以上においてゴム状態となると共に前記ガラス転移温度未満においてガラス状態となる形状記憶ポリマーと、
    筒状に形成され、前記形状記憶ポリマーの外周側に一体的に設けられ、前記形状記憶ポリマーが径方向へ膨張変形することによって前記第一固定部材の前記第一部材側の取付位置と、前記第二固定部材の前記第二部材側の取付位置との離間距離を短くする力を発生する動力変換部材と、
    前記第一固定部材と前記第二固定部材の一方と接続し、前記形状記憶ポリマーの温度を前記ガラス転移温度に対して相対的に変動させる相対温度変更手段と、
    前記第一固定部材と前記第二固定部材の一方と接続し、前記形状記憶ポリマーの筒内部に圧力流体を供給することにより、前記ゴム状態の前記形状記憶ポリマーを径方向へ膨張変形させる圧力流体供給手段と、
    前記相対温度変更手段を制御することにより前記形状記憶ポリマーの温度を相対的に前記ガラス転移温度以上にすると共に、前記圧力流体供給手段を制御することによって、前記形状記憶ポリマーの径方向の膨張変形量を制御する膨張変形制御手段と、
    前記圧力流体供給手段を制御することにより前記ゴム状態の前記形状記憶ポリマーの変形状態を維持している状態で、前記相対温度変更手段を制御することにより前記形状記憶ポリマーの温度を相対的に前記ガラス転移温度未満にすることによって、前記形状記憶ポリマーの変形形状を保持させる形状保持制御手段と、
    を備えることを特徴とする形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータ。
  3. 請求項1または2において、
    前記形状記憶ポリマーは、前記ゴム状態において径方向の膨張量が小さくなる方向に形状回復することを特徴とする形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータ。
  4. 請求項1または2において、
    前記動力変換部材は、
    繊維により網目状かつ筒状に形成されることを特徴とする形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータ。
  5. 請求項1または2において、
    前記相対温度変更手段は、前記形状記憶ポリマーを加熱および冷却する加熱冷却手段であり、
    前記制御手段は、前記加熱冷却手段により前記形状記憶ポリマーの温度を変更することによって、前記形状記憶ポリマーの温度を前記ガラス転移温度未満の温度と前記ガラス転移温度以上の温度とに変動させることを特徴とする形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータ。
  6. 請求項5において、
    前記加熱冷却手段は、前記圧力流体供給手段により供給する流体を加熱および冷却することにより、前記形状記憶ポリマーの温度を変更することを特徴とする形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータ。
  7. 請求項5において、
    前記加熱冷却手段は、前記形状記憶ポリマーに含有させた導電体と、前記導電体に電流を供給する電流供給手段と、を備え、前記導電体に供給される電流によって前記形状記憶ポリマーの温度を変更することを特徴とする形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータ。
  8. 請求項5において、
    前記加熱冷却手段は、前記形状記憶ポリマーに含有させ且つ光、電場または磁場を与えることにより発熱する発熱体と、前記形状記憶ポリマーに前記光、電場または磁場を与える刺激付与手段と、を備え、前記形状記憶ポリマーに前記光、電場または磁場を与えることによって前記発熱体の発熱作用により前記形状記憶ポリマーの温度を変更することを特徴とする形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータ。
  9. 請求項1または2において、
    前記相対温度変更手段は、前記形状記憶ポリマーに対して水分を吸収させ且つ脱水することにより、前記ガラス転移温度を変更する水分吸脱手段であり、
    前記制御手段は、前記水分吸脱手段により前記形状記憶ポリマーに吸収させる水分量を制御することによって前記ガラス転移温度を変更させ、前記形状記憶ポリマーの温度を前記ガラス転移温度未満の温度と前記ガラス転移温度以上の温度とに相対的に変動させることを特徴とする形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータ。
  10. 回転可能に連結された第一部材と第二部材において、前記第一部材に対して前記第二部材を回転するように駆動するアクチュエータの制御方法であって、
    前記アクチュエータは、
    前記第一部材に取り付けられた第一固定部材と、
    前記第二部材に取り付けられた第二固定部材と、
    ゴム弾性体により筒状に形成され、前記筒状の一端に前記第一固定部材が接合され、前記筒状の他端に前記第二固定部材が接合されるゴムチューブと、
    筒状に形成され、前記ゴムチューブの外周側に一体的に設けられ、前記ゴムチューブが径方向へ膨張変形することによって前記第一固定部材の前記第一部材側の取付位置と、前記第二固定部材の前記第二部材側の取付位置との離間距離を短くする力を発生する動力変換部材と、
    前記ゴムチューブの内周側、前記動力変換部材の外周側、および、前記ゴムチューブと前記動力変換部材の中間層の少なくとも何れか一つに配置され、ガラス転移温度以上においてゴム状態となると共に前記ガラス転移温度未満においてガラス状態となり、前記ガラス状態において前記ゴムチューブおよび前記動力変換部材の動作を規制する形状記憶ポリマーと、
    前記第一固定部材と前記第二固定部材の一方と接続し、前記形状記憶ポリマーの温度を前記ガラス転移温度に対して相対的に変動させる相対温度変更手段と、
    前記第一固定部材と前記第二固定部材の一方と接続し、前記ゴムチューブの筒内部に圧力流体を供給することにより、前記ゴムチューブを径方向へ膨張変形させる圧力流体供給手段と、
    を備え、
    前記相対温度変更手段を制御することにより前記形状記憶ポリマーの温度を相対的に前記ガラス転移温度以上にすることにより、前記形状記憶ポリマーを前記ゴム状態とし、
    前記形状記憶ポリマーが前記ゴム状態の場合に、前記圧力流体供給手段により前記ゴムチューブの径方向の膨張変形量を大きくすることによって、前記動力変換部材により前記第一固定部材の前記第一部材側の取付位置と前記第二固定部材の前記第二部材側の取付位置との離間距離を短くし、
    前記圧力流体供給手段を制御することにより前記ゴムチューブの変形状態を維持している状態で、前記相対温度変更手段を制御することにより前記形状記憶ポリマーの温度を相対的に前記ガラス転移温度未満にすることによって、前記ゴムチューブの変形形状を保持させることを特徴とする形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータの制御方法。
  11. 回転可能に連結された第一部材と第二部材において、前記第一部材に対して前記第二部材を回転するように駆動するアクチュエータの制御方法であって、
    前記アクチュエータは、
    前記第一部材に取り付けられた第一固定部材と、
    前記第二部材に取り付けられた第二固定部材と、
    筒状に形成され、前記筒状の一端に前記第一固定部材が接合され、前記筒状の他端に前記第二固定部材が接合され、ガラス転移温度以上においてゴム状態となると共に前記ガラス転移温度未満においてガラス状態となる形状記憶ポリマーと、
    筒状に形成され、前記形状記憶ポリマーの外周側に一体的に設けられ、前記形状記憶ポリマーが径方向へ膨張変形することによって前記第一固定部材の前記第一部材側の取付位置と、前記第二固定部材の前記第二部材側の取付位置との離間距離を短くする力を発生する動力変換部材と、
    前記第一固定部材と前記第二固定部材の一方と接続し、前記形状記憶ポリマーの温度を前記ガラス転移温度に対して相対的に変動させる相対温度変更手段と、
    前記第一固定部材と前記第二固定部材の一方と接続し、前記形状記憶ポリマーの筒内部に圧力流体を供給することにより、前記ゴム状態の前記形状記憶ポリマーを径方向へ膨張変形させる圧力流体供給手段と、
    を備え、
    前記相対温度変更手段を制御することにより前記形状記憶ポリマーの温度を相対的に前記ガラス転移温度以上にすることにより、前記形状記憶ポリマーを前記ゴム状態とし、
    前記形状記憶ポリマーが前記ゴム状態の場合に、前記圧力流体供給手段により前記形状記憶ポリマーの径方向の膨張変形量を大きくすることによって、前記動力変換部材により前記第一固定部材の前記第一部材側の取付位置と前記第二固定部材の前記第二部材側の取付位置との離間距離を短くし、
    前記圧力流体供給手段を制御することにより前記ゴム状態の前記形状記憶ポリマーの変形状態を維持している状態で、前記相対温度変更手段を制御することにより前記形状記憶ポリマーの温度を相対的に前記ガラス転移温度未満にすることによって、前記形状記憶ポリマーの変形形状を保持させることを特徴とする形状記憶ポリマーを用いたアクチュエータの制御方法。
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