JP2011144472A - ポリアリーレンスルフィド不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】強度が高く、寸法安定性に優れ、且つ耐薬品性、耐熱性に優れたポリアリーレンスルフィド不織布の提供。
【解決手段】単繊維の引張強度が2.0〜8.0cN/dtexであるポリアリーレンスルフィド繊維から主として構成される不織布を含み、ポリアリーレンスルフィド繊維がポリアリーレンスルフィド 92〜99.9重量%とポリアルキレンテレフタレート0.1〜8重量%のブレンドポリマーからなることを特徴とする不織布により解決される。
【選択図】なし

Description

本発明はポリアリーレンスルフィド繊維に関するものであり、さらに詳しくは寸法安定性に優れ、且つ耐薬品性、耐熱性に優れたポリアリーレンスルフィド繊維に関するものである。
ポリアリーレンスルフィド(PAS)は、その優れた耐熱性,耐薬品性,難燃性を生かして電気・電子機器部材,自動車機器部材として注目を集めている。また、射出成形,押出成形等により各種成型部品,フィルム,シート,繊維等に成形可能であり、耐熱性,耐薬品性,難燃性の要求される分野に幅広く用いられている。
ポリアリーレンスルフィドの不織布製造技術は従来より知られている(特許文献1、2)。このようにして得られた不織布は耐熱性が高く、中でもポリフェニレンスルフィド(PPS)不織布は工業用フィルターなど過酷な条件下で使用する繊維製品の素材として用いられている。
近年、ポリフェニレンスルフィド不織布の使用条件は更に過酷となっており、この過酷な条件下における耐熱性、耐薬品性、寸法安定性が求められている。
特許文献3にはポリフェニレンスルフィドに含まれる低分子量物を徹底的に除去することで繊維強度を改善することが提案されている。しかし、この方法では低分子量物を除去するためにPPSの洗浄を何度も繰り返す必要があり、商業的にはコストも高くなる問題がある。
一方、PPSに別のポリマーを混練し、PPSの改質を行うことは従来から行われている。特許文献4にはPPSに共重合PETを含有させた樹脂組成物について提案されている。この方法では確かにエポキシとの接着性は向上するものの繊維形態における寸法安定性については低いものであった。また、特許文献5にはPPSとポリエチレンテレフタレート(PET)のアロイ樹脂組成物について提案されている。この方法によれば、PPSアロイ繊維の寸法安定性はPPSと比較し同等である。しかしながら、PETが高濃度で含まれているため耐薬品性、耐熱性は低下することがわかった。
更に特許文献6には結晶性向上剤として各種ポリマーを少量添加しているが、寸法安定性は確かに向上するものの、強度が低下することがわかった。
このように、従来技術では耐熱性、耐薬品性、高温時での寸法安定性を満足するような繊維は得られていない。
特公平7−138860号公報 特開2009−228152号公報 特開平4−100915号公報 特開平6−166816号公報 特開2004−231908号公報 特表2008−501872号公報
本発明の目的は寸法安定性に優れ、且つ耐薬品性、耐熱性に優れたポリアリーレンスルフィド不織布を提供することである。
前記した課題は、単繊維の引張強度が2.0〜8.0cN/dtexであるポリアリーレンスルフィド繊維から主として構成される不織布を含み、ポリアリーレンスルフィド繊維がポリアリーレンスルフィド 92〜99.9重量%とポリアルキレンテレフタレート0.1〜8重量%のブレンドポリマーからなることを特徴とする不織布により達成される。
本発明によれば、産業資材用途に適した熱的寸法安定性に優れ、耐薬品性、耐熱性に優れたポリアリーレンスルフィド不織布を提供できる。
本発明について詳細に説明する。
本発明はポリアリーレンスルフィド 92〜99.9重量%とポリアルキレンテレフタレート 0.1〜8重量%のブレンドポリマーからなることを特徴とした不織布である。
本発明はポリアルキレンテレフタレート(PAT)の含有量は0.1〜8重量%とすることを特徴としている。ポリアルキレンテレフタレートの含有量をこの範囲とすることにより熱的寸法安定性と耐薬品性、耐熱性が良好となる。
繊維の熱的寸法安定性が向上させる方法として様々考えられるが、繊維の結晶化度が高くすることで繊維の熱的寸法安定性が向上する。本発明者らはポリアリーレンスルフィドとポリアルキレンテレフタレートを一定の割合でブレンドするとポリアリーレンスルフィドの結晶化速度が向上することを見出した。この原因は明らかではないが、ポリアルキレンテレフタレートがポリアリーレンスルフィドと相溶し、ポリアリーレンスルフィド分子鎖の運動性が向上するため、結晶形態となりやすくなり結晶化速度が向上すると考えている。
即ち、ポリアルキレンテレフタレートの含有量が少なくなると結晶化速度が著しく低下し、0.1重量%より少ないと熱的寸法安定性が得られない。一方、ポリアルキレンテレフタレートの含有量が8重量%を越えると特殊な条件であればポリアルキレンテレフタレートがポリアリーレンスルフィドに相溶する状態となるが、一般的にはポリアリーレンスルフィド中にポリアルキレンテレフタレートが分散相を形成し、そのサイズは大きくなる。ポリアルキレンテレフタレートを分解しやすいアルカリや酸などが存在する場ではポリアルキレンテレフタレートが分解し、繊維中にボイドなどの欠点を生成するため繊維強度の低下を引き起こす。また、高温ではポリアルキレンテレフタレートの配向が乱れ繊維強度が大きく低下する。
また、特殊な条件によりポリアリーレンスルフィドとポリアルキレンテレフタレートを相溶化した場合、ポリアリーレンスルフィドの運動性が向上するがポリアルキレンテレフタレートがポリアリーレンスルフィドの結晶形態を阻害するため結晶性が低下し熱的寸法安定性が低下する。
本発明のようにポリアリーレンスルフィドとポリアルキレンテレフタレートの量比を適正化することにより熱的寸法安定性と耐熱性、耐薬品性を両立させることができる。また、驚くべきことに本発明の範囲内とすることにより、耐薬品性、耐熱性についてはポリアリーレンスルフィド単独と比較し向上することを見出した。この原因については明らかではないが、ポリアリーレンスルフィド繊維の構造が密になっているため耐薬品性や耐熱性が向上していると考えている。このように本発明の繊維は従来のポリアリーレンスルフィドよりも耐薬品性、耐熱性が向上していることから、過酷な条件で使用される特殊フィルター用途においても適用することが可能である。
更に本発明の範囲とすることにより、ポリアリーレンスルフィドの低温での流動性が著しく向上する。従来のポリアリーレンスルフィドは紡糸温度が300℃以上でなければ到底溶融紡糸することができなかったが、本発明のようにポリアリーレンスルフィドとポリアルキレンテレフタレートの量比を適正化することによりはじめて290℃という従来のポリアリーレンスルフィドでは紡糸が不可能であった低い温度においても溶融紡糸が可能となり、その結果ポリマーの分解が抑制され、不織布としての単繊維強度が向上する。ポリアルキレンテレフタレートの含有量は好ましくは1.5〜8重量%であり、より好ましくは2〜5重量%である。
本発明のポリアルキレンテレフタレートとは、ポリアルキレンテレフタレート、アルキレンテレフタレートのコポリエステル、ポリアルキレンテレフタレートの混合物などが挙げられる。
上記のポリアルキレンテレフタレートとしては、ジオール成分とテレフタル酸成分を用いて得られる重合体が挙げられ、ジオール成分としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(2′−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどおよびエステル形成能を持つそれらの誘導体が挙げられる。中でも1,4ブタンジオールまたはそのエステル形成能を有するその誘導体と、テレフタル酸またはそのエステル形成能を有するその誘導体とを重縮合して得られるポリブチレンテレフタレート、トリメチレングリコールまたはそのエステル形成能を有するその誘導体と、テレフタル酸またはそのエステル形成能を有するその誘導体とを重縮合して得られるポリトリメチレンテレフタレート、エチレングリコールまたはエステル形成能を有するその誘導体と、テレフタル酸またはそのエステル形成能を有するその誘導体とを重縮合して得られるポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
特にエチレンテレフタレートユニットが90モル%以上のポリエチレンテレフタレートを用いると、不織布の熱的寸法安定性が向上する傾向にありより好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィドの含有量は92〜99.9重量%とすることを特徴としている。ポリアリーレンスルフィドの含有量をこの範囲とすることにより熱的寸法安定性と耐薬品性、耐熱性が良好となる。
ポリアリーレンスルフィドは耐薬品性、耐熱性の高い樹脂であり、ポリアリーレンスルフィドを単繊維の主として表面部に配することで耐薬品性、耐熱性を得ることができる。よって、ポリアリーレンスルフィドが92重量%より少ないと耐薬品性、耐熱性が低下し、耐薬品性、耐熱性を必要とする用途では使用することができない。ポリアリーレンスルフィドの含有量は95重量%以上が好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィドとは式−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とするホモポリマーまたはコポリマーである。上記Arとしては、下記式(A)から式(K)などで表わされる単位などが例示されるが、なかでも式(A)で表わされる単位が特に好ましい。
Figure 2011144472
(ただし、式中のR1,R2は、水素、アルキル基、アルコキシ基およびハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一であっても異なっていてもよい)この繰り返し単位を主要構成単位とする限り、下記式(L)から式(N)などで表される少量の分岐単位または架橋単位を含むことができる。これら分岐単位または架橋単位の共重合量は、−(Ar−S)−単位に対して0〜5モル%の範囲であることが好ましく、1モル%以下の範囲であることがより好ましい。
Figure 2011144472
また、本発明におけるポリアリーレンスルフィド樹脂は、下記繰り返し単位を含むランダム共重合体、ブロック共重合体およびそれらの混合物であってもよい。
Figure 2011144472
これらPAS樹脂の代表例としては、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体およびそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいポリアリーレンスルフィド樹脂としては、ポリマーの主要構成単位としてp−フェニレン単位
Figure 2011144472
を90モル%以上含有するPPS、ポリフェニレンスルフィドスルホンおよびポリフェニレンスルフィドケトンが挙げられ、PPSが特に好ましい。
本発明のブレンドポリマーとは、後述するような様々な方法により溶融紡糸が完結する以前の任意の段階においてポリアリーレンスルフィドとポリアルキレンテレフタレートとが混練(ブレンド)されてなるポリマー組成物を意味する。
本発明において、ブレンドポリマーには、本発明の効果を妨げない範囲で、ポリアリーレンスルフィドとポリアルキレンテレフタレート以外のポリマーを配合することができる。
本発明の不織布は320℃で5分間溶融し液体窒素で急冷した後に、示差走査熱量分析(DSC)測定で昇温速度16℃/minにて測定した結晶化温度(Tc)が90〜130℃である単繊維を含んでなることが好ましい。
単繊維の結晶化温度をこの範囲とすることで不織布の熱的寸法安定性が向上する傾向にある。より好ましくは100〜125℃である。
本発明の不織布は320℃で5分間溶融し液体窒素で急冷した後に、示差走査熱量分析(DSC)測定で昇温速度16℃/minにて測定した結晶化温度ピークの半値幅(D)が5℃以下である単繊維を含んでなることが好ましい。単繊維の半値幅(D)を5℃以下とすることで不織布の熱的寸法安定性が向上する傾向にあり、更に繊維の内部構造(結晶化度など)が均一化するために強度も向上する。より好ましくは4.5℃以下である。
本発明の不織布は、単繊維の強度が2.0〜8.0cN/dtexであることを特徴としている。単繊維の強度が2.0cN/dtex未満では不織布の引張強度が低下しバグフィルターなどのフィルター用途では破れが発生する。一方、8.0cN/dtexを越えると工業的に安定して製造することが困難となる。
このような単繊維の強度を得るためには、溶融紡糸温度285〜310℃で達成することができる。従来のポリアリーレンスルフィドは溶融紡糸温度300℃以上であったが、本発明のようにポリアリーレンスルフィドとポリアルキレンテレフタレートの量比を適正化することにより285℃という従来のポリアリーレンスルフィドでは紡糸が不可能であった低い温度においても溶融紡糸が可能となることを見出した。これにより、ポリマーの分解が抑制され、不織布の単繊維強度が向上し、単繊維の強度を本発明の範囲内とすることができたものである。単繊維の強度はより好ましくは2.5cN/dtex以上、さらに好ましくは3.0cN/dtexである。
本発明の不織布は、単繊維が短繊維、フィラメントであることが好ましい。これらの形態とすることで本発明の効果を十分に発揮することができる。
また、断面形状は、丸断面、中空断面、扁平断面、三葉断面等の多葉断面、W断面、X断面その他の異形断面についても自由に選択することが可能である。
本発明の単繊維として短繊維とした場合、実用的な観点から繊維長が3〜200mmであることが好ましい。
本発明の不織布は、上記のような形態とすることで耐熱性が向上することを見出した。耐熱性の指標として、例えば、180℃で24時間の加熱処理した後の収縮率や強度保持率で評価することができる。本発明の不織布は従来のPPS不織布と比較して収縮率が小さく熱的寸法安定性が向上し、更に強度保持率も向上する。
収縮率や強度保持率は繊維の製造条件を適正化することで容易に変えることは一般的に知られている。しかしながら、本発明の繊維とすることでこれらの特性とすることが可能となる。例えば汎用のポリフェニレンスルフィド繊維の強度保持率は実施例中の比較例1に示すとおり収縮率が5.5%、強度保持率が90%となるが、本発明の繊維とすることで同一の繊維製造条件を採用しても実施例1に示すように収縮率が5.0%であり強度保持率も92%と非常に高い強度保持率を得ることができる。一方、比較例2のようにポリフェニレンスルフィド中のポリエチレンテレフタレートの含有量を多くした場合には強度保持率が大きく低下する傾向にある。このように、本発明の不織布は耐熱性が高く、バグフィルターに使用した場合、長期間使用しても品質の状態が良好であり、強度の低下も小さい。
また、本発明の不織布は耐薬品性も向上する。耐薬品性の指標として、例えば、93℃の30%水酸化ナトリウム水溶液に24時間浸漬した際の強度保持率の測定が上げられる。本来、ポリアリーレンスルフィド繊維はアルカリに対する耐性は高い繊維である。しかし、アリーレンスルフィド繊維に耐アルカリ性の低いポリエステルなどを混合すると、アルカリによりポリエステル成分が分解し、繊維の強度は低下する傾向にある。しかしながら、本発明の繊維はポリアルキレンテレフタレートの含有量を適正化することにより耐アルカリ性を向上させることに成功した。また、驚くべきことにポリアルキレンテレフタレートを含有していないPPS繊維と比較し、耐アルカリ性は向上することを発見したものである。そのメカニズムについては明らかとなっていないが、本発明の繊維ではポリアルキレンテレフタレートは繊維強度には起因しておらず、ポリアルキレンテレフタレートを含有することで繊維の構造が密となりアルカリ処理後の繊維強度低下を抑制しているものと考えている。
本発明のポリアリーレンスルフィド不織布は、優れた耐熱性、耐薬品性を有した繊維であり、経済性に優れるため、バグフィルター、乾燥機または熱処理機内搬送用ベルトおよびフィルターなどの用途に用いることができる。
中でも本発明の不織布はバグフィルターが好適に用いることができる。
本発明のバグフィルターは、目付が200〜1000g/mである。バグフィルターとして使用した場合、捕集した塵埃を除去するために逆洗を行う。逆洗とは、捕集時とは逆方向に圧空パルスを掛け、捕集した塵埃をふるい落とす操作である。目付が200g/m未満の場合、塵埃の捕集容積が小さくなり頻繁に逆洗を掛けることになり、フィルター寿命を低下させてしまう。また、目付が1000g/mを超えると、不必要にフィルターが重くなり、また通気抵抗も高くなるため、設備上コストアップとなり不利である。
本発明のバグフィルターのタテヨコ平均強力は、200〜2000N/50mm以下である。200N/50mm未満の場合、逆洗による衝撃や、圧空パルス噴射後のリテーナへの衝突の衝撃により、繊維が劣化し捕集効率が悪化する。また、タテヨコ平均強力が2000N/50mmを超えると、不必要にフィルターが重くなり、また通気抵抗も高くなるため、設備上コストアップとなり不利である。
本発明のバグフィルターは、見掛け密度が0.25〜0.70g/cm以下であることが好ましい。見掛け密度を0.25g/cm以上とすることにより、摩耗に対する耐久性が向上すると共に、捕集効率が低下しにくい。また、見掛け密度を0.70g/cm以下とすることにより、過大な通気抵抗を必要とせずに塵埃を捕集することができる。
本発明のバグフィルターは不織布を含む物であることは前述の通りであるが、全てが不織布からなるものであっても、不織布と織編物から構成されているものであってもよい。すなわち、バグフィルターには、捕集効率の向上との強力の向上という二つの特性が要求される。捕集効率の向上には、織編物では織り目や編み目の部分に大きな空隙が形成されるために、不織布が好適に用いられる。しかし強力の面では、不織布のみではやや小さいため、コストおよび設計上可能であれば、織編物を組みあわせることが好ましく採用される。織編物と不織布の組合せの方法は、不織布/織編物/不織布の3層構造としても良いし、不織布/織編物の2層構造としても差し支えない。かかる製造方法としては、繊維絡合前の不織布と織編物とを積層しておいて、ニードルパンチやウォータージェットパンチなどにより、不織布の絡合と織編物との一体化を達成する製造方法が好ましい。このように、繊維構造体を構成するポリアリーレンスルフィド繊維不織布に、織編物を挿入することにより、高強力の繊維構造体を得ることができる。なお、織編物を組みあわせる場合には、ポリアリーレンスルフィド繊維はもちろんのこと、他の素材による繊維からなる織編物を用いることもできる。例えば、フッ素繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、炭素繊維などが好ましく用いられる。フッ素繊維は有機繊維ではあるが極めて耐熱性が高い繊維であり、ガラス繊維、シリカ繊維、炭素繊維は無機繊維であって、やはり極めて耐熱性の高い繊維である。これらの耐熱性の高い繊維を織編物として用いることにより、より高温下に暴露されるプラントのバグフィルターとして使用された場合においても、さらに耐熱性が高く、高温下でも破断の生じにくいバグフィルターを得ることができる。
本発明の不織布はポリアリーレンスルフィド 92〜99.9重量%とポリアルキレンテレフタレート0.1〜8重量%のブレンドポリマーからなる繊維100%で構成することもできるが、ガラス繊維、シリカ繊維、フッ素繊維、炭素繊維、ポリアリーレンスルフィド繊維から選ばれる少なくとも1種からなる異種繊維との混綿不織布であってもよい。すなわち、これらの異種繊維との混綿とすることにより、摩耗などの機械的強度の向上したバグフィルター濾布を提供することができる。
続いて本発明の不織布の製造方法について記載する。
本発明の不織布の製造方法は(a)ポリアリーレンスルフィド樹脂92〜99.9重量%と、(b)ポリアルキレンテレフタレート樹脂0.1〜8重量%を溶融混練した後、紡糸温度285〜310℃で溶融紡糸することを特徴としている。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂とは式−(Ar−S)−の繰り返し単位を主要構成単位とするホモポリマーまたはコポリマーである。上記Arとしては、下記式(A)から式(K)などで表わされる単位などが例示されるが、なかでも式(A)で表わされる単位が特に好ましい。
Figure 2011144472
(ただし、式中のR1,R2は、水素、アルキル基、アルコキシ基およびハロゲン基から選ばれた置換基であり、R1とR2は同一であっても異なっていてもよい)この繰り返し単位を主要構成単位とする限り、下記式(L)から式(N)などで表される少量の分岐単位または架橋単位を含むことができる。これら分岐単位または架橋単位の共重合量は、−(Ar−S)−単位に対して0〜5モル%の範囲であることが好ましく、1モル%以下の範囲であることがより好ましい。
Figure 2011144472
また、本発明におけるポリアリーレンスルフィド樹脂は、下記繰り返し単位を含むランダム共重合体、ブロック共重合体およびそれらの混合物であってもよい。
Figure 2011144472
これらPAS樹脂の代表例としては、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体およびそれらの混合物などが挙げられる。特に好ましいポリアリーレンスルフィド樹脂としては、ポリマーの主要構成単位としてp−フェニレン単位
Figure 2011144472
を90モルパーセント以上含有するPPS、ポリフェニレンスルフィドスルホンおよびポリフェニレンスルフィドケトンが挙げられ、PPSが特に好ましい。
本発明の不織布の製造において用いられるポリアリーレンスルフィドの形状は特に限定されるものではない。例えば、PPSでは樹脂の形状が公知の製造方法によれば顆粒状かパウダー状であるので、それをそのまま使用してもかまわない。また、一旦フレークやペレットの形状にした後、使用してもかまわない。
本発明の製造方法において、ポリフェニレンスルフィド樹脂が92〜99.9重量%であることを特徴としている。PPSの供給量をこの範囲とすることで、樹脂組成物のPPS含有量が92〜99.9重量%とすることができ、得られた樹脂組成物は耐熱性、耐薬品性、難燃性等のPPSの優れた特徴を有することができる。
本発明の製造方法において、ポリアルキレンテレフタレート樹脂とは、ポリアルキレンテレフタレート、アルキレンテレフタレートのコポリエステル、ポリアルキレンテレフタレートの混合物などが挙げられる。
上記のポリアルキレンテレフタレートとしては、ジオール成分とテレフタル酸成分を用いて得られる重合体が挙げられ、ジオール成分としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(2′−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどおよびエステル形成能を持つそれらの誘導体が挙げられる。中でも1,4ブタンジオールまたはそのエステル形成能を有するその誘導体と、テレフタル酸またはそのエステル形成能を有するその誘導体とを重縮合して得られるポリブチレンテレフタレート、トリメチレングリコールまたはそのエステル形成能を有するその誘導体と、テレフタル酸またはそのエステル形成能を有するその誘導体とを重縮合して得られるポリトリメチレンテレフタレート、エチレングリコールまたはエステル形成能を有するその誘導体と、テレフタル酸またはそのエステル形成能を有するその誘導体とを重縮合して得られるポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。
特にエチレンテレフタレートユニットが90モル%以上のポリエチレンテレフタレートを用いると、不織布の熱的寸法安定性が向上する傾向にありより好ましい。
本発明で用いられるポリアルキレンテレフタレート樹脂の形状は特に限定されるものではなく、例えば、ペレット、フレーク、顆粒状、パウダーなどが挙げられる。
本発明の製造方法はポリアルキレンテレフタレートが0.1〜8重量%の範囲で供給すること特徴としている。ポリアルキレンテレフタレートの供給量をこの範囲とすることで、樹脂組成物のポリアルキレンテレフタレートの含有量が0.1〜8重量%とすることができ、樹脂組成物の流動性および結晶性が飛躍的に向上する。
本発明の製造方法で用いられるポリアルキレンテレフタレート樹脂の固有粘度は0.5〜1.1であることが好ましい。固有粘度が0.5以上とすることで結晶性が向上し、また、ポリアルキレンテレフタレートのブリードアウトなどを抑制することができる。固有粘度が1.1以下で分散性が向上し樹脂組成物の機械特性が向上する。
溶融混練の方法は特に限定されず、公知の加熱溶融混合装置を使用することができる。
加熱溶融混合装置としては、単軸押出機、2軸押出機、スクリューが3軸以上備えられた多軸押出機、それらの組み合わせの多軸押出機、ニーダー・ルーダーなどを使用することができる。中でも、2軸押出機を用いるとポリアリーレンスルフィドとポリアルキレンテレフタレートの分散性が向上することから紡糸性が向上するため好ましく用いられる。より好ましくはニーディングゾーンが2箇所以上ある2軸押出機を用いることである。
溶融混練の方法において、混練時のポリアリーレンスルフィドおよびポリアルキレンテレフタレートの混練機への供給方法は特に限定されず、例えば、ポリアリーレンスルフィドおよびポリアルキレンテレフタレートを予めブレンドし混練機へ供給する方法、ポリアリーレンスルフィドおよびポリアルキレンテレフタレートの各々を計量しながら混練機へ供給する方法、ポリアリーレンスルフィドを供給した混練機へポリアルキレンテレフタレートをサイドフィードで供給する方法が挙げられる。
溶融混練の温度は、280〜350℃で溶融混練することが好ましい、ここでいう温度とは混練部分や混練機先端にある樹脂の温度である。通常、混練機先端に温度計を取付けて測定することができる。溶融混練の温度がこの範囲とすることで紡糸の安定性や得られる繊維の強度、色調など品質が良好となるので好ましい。
混練時間は特に限定されないが、0.5〜30分であることが好ましい。混練時間をこの範囲とすることで、分散性とポリアリーレンスルフィドの熱分解抑制が両立でき、紡糸の安定性や得られる繊維の強度、色調など品質が良好となるので好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド繊維の製造方法において、溶融混練工程を経て、溶融紡糸工程により溶融紡糸されれば特に限定されるものではない。具体的には例えばPPS樹脂とポリアルキレンテレフタレート樹脂を予め押出機で溶融混練したペレットを使用しても良いし、ポリアルキレンテレフタレート樹脂を高濃度に含有したマスターバッチを作成しておき、紡糸工程で任意の濃度に希釈しても良い。また、混練機を紡糸機に直結し、ペレットを得ることなく混練した溶融物を直接紡糸してもかまわない。
紡糸工程では、増粘によるゲル化を防止するため、窒素雰囲気下で上記紡糸温度に加熱し、口金より吐出することが望ましい。口金は通常の溶融紡糸に使用するもの、例えば吐出孔径Dが0.15〜5mmφで、吐出孔深さLが0.2〜2.0mm程度のものが好ましく用いられる。
本発明の不織布の製造方法において、上記溶融混練した後、紡糸温度は285〜310℃で溶融紡糸することを特徴としている。紡糸温度が310℃を越えるとポリアルキレンテレフタレートが分解し、ポリアルキレンテレフタレートの分子量が低下するため繊維構造の欠陥となり強度が低下する。一方、紡糸温度が285℃未満では紡糸時の流動性が悪くなり繊維表面の凹凸が発生するため強度低下が起こる。紡糸温度をこの温度範囲とすることでポリマーの流動性とポリマーの分解抑制が両立でき、不織布の単繊維強度が向上する。また、有機系低重合度物や分解物などの揮発成分の発生量が抑制でき、安定して繊維を製造することができる。より好ましい紡糸温度は285〜300℃である。
本発明の不織布の製造方法において、短繊維からなる不織布はポリアリーレンスルフィドとポリアルキレンテレフタレートを溶融混練したポリマー組成物を溶融紡糸、延伸、熱処理して得ることができる。溶融紡糸は紡糸速度が400〜3000m/分であることが好ましい。また延伸、熱処理は、紡糸に引き続いて行ってもよく、紡糸した後に一旦、キャンに収納、または巻き取った後に、延伸熱処理工程に通すこともできる。延伸は、溶融紡糸された繊維の物性に応じて、延伸倍率1.5〜7倍の1段または多段で延伸し、引き続いて最高温度150〜270℃で熱処理する。このポリアリーレンスルフィド繊維は、強度2.0〜8.0cN/dtexである必要がある。また、破断伸度10〜60%、弾性率20〜70cN/dtexとすることが好ましい。
引き続き、得られた繊維に捲縮を付与し、カッティングした短繊維をカーディングして繊維を分繊かつ繊維方向を揃え、クロスラッパーで積層してウェブとし、該ウェブを交絡あるいは一体化させて不織布とすることができる。交絡の方法としては、ニードルを打って交絡させるニードルパンチ方法や、水流を与えて交絡させるウォータージェットパンチ製法などが、好ましく用いられる。あるいは一体化の方法としては、熱プレスや熱エンボスプレスによって、部分的に押し固めて一体化する方法なども用いられる。この、熱プレスや熱エンボスによる方法においては、あらかじめ熱軟化する繊維を少量混綿しておく方法も好ましく用いられる。混綿する繊維の具体的な例としては、ポリ四フッ化エチレン繊維やメタアラミド繊維などが挙げられる。
本発明の不織布の製造方法において、フィラメントからなる不織布の製造方法としてはスパンボンド法やメルトブロー法が用いられる。
スパンボンド法では、前記したように口金から吐出したポリマーアロイ繊維をエアイジェクターで高速で引き取り、エアイジェクター下方に設置した開繊板に糸条を衝突させ、静電気力で開繊させた後、さらに下方に設置した捕集装置でこの開繊繊維を捕集することで乾式不織布を得ることができる。ここで、引き取り速度はエアイジェクターに導入する高圧気流の空気圧で調整することができるが、引き取り速度は2000〜6000m/分とすることができる。そして、繊維の熱寸法安定性向上の観点から、紡糸過程で配向結晶化させることが好ましい。具体的な引き取り速度は、2500m/分以上とすることが好ましい。また、紡糸での糸切れを抑制する観点からは、引き取り速度は5000m/分以下とすることが好ましい。また、エアイジェクター下方に設置した開繊板に糸条を衝突させ、静電気力で開繊させることも可能である。
メルトブロー法は口金に高圧気流を導入し、この気流にポリマー融液を乗せ、口金から一気に吹き飛ばすものである。これは、細い繊維を簡便に得るために適した方法であり、該ポリマーアロイ繊維の太さを小さくする際に有効な方法である。スパンボンド法、メルトブロー法とも通常の紡糸よりもポリマーの溶融粘度を低く設定する方が、紡糸性や糸の極細化に有利であることから、ポリアリーレンスルフィドとポリアルキレンテレフタレートを溶融混練したポリマー組成物は溶融粘度が低下することから好適に用いることができる。メルトブロー法では通常の紡糸に比べはるかに大きなドラフト比となるため、ここでポリアリーレンスルフィド繊維の微細化を達成できる。
以下に本発明を実施例で具体的に説明する。なお、実施例における材料特性は次の方法で行った。
(1)結晶化温度(Tc)および結晶化ピーク半値幅(D)
示差走査熱量分析(DSC)を用い、JIS−K−7122(1987年)に従って測定・算出した。まず始めに、繊維を320℃で5分間保持して、完全に融解させた後、液体窒素にて急冷し、樹脂中に結晶が残存しない状態とした。続いて50℃から320℃まで16℃/分で昇温したときに観測される発熱ピークの温度を求めた。
装置 :TA Instruments製 DSC Q2000
データ解析:TA Instruments製 ユニバーサル アナリシス 2000
(2)単繊維の強度(cN/dtex)、伸度(%)
不織布より繊維を抜き出し、JIS L 1013の方法に準拠し、試長25cm、引張り速度30cm/分の条件で測定した。
(3)180℃熱処理後の熱収縮率、強度保持率
熱安定性の指標として熱収縮率を180℃に温度調節されたでオーブンに24時間放置後の初期長さに対する熱収縮率(%)として求めた。
また、加熱処理後の繊維の強度を測定し、初期の強度に対する強度保持率(%)として求めた。
(4)NaOH処理強度保持率
耐アルカリの指標として、30%のNaOH水溶液に不織布を浸漬した。その後、NaOH水溶液を加熱し、93℃で24時間熱処理後の不織布の引張強度の強度を測定し、初期の強度に対する強度保持率(%)として求めた。
(5)バグフィルターの使用後の状態
190℃の雰囲気下で1ヶ月間使用した後、バグフィルターの表面を観察し、破れやタルミが無いものを○、破れやタルミが認められたものを×とした。
(6)バグフィルターの強度保持率
190℃の雰囲気下で1ヶ月間使用した後、バグフィルターより5cm幅、30cm長さのサンプルを切り出し、使用前の破談強度との比を100分率で求め、バグフィルターの強度保持率(%)とする。なお、引張試験は200mm/minの定速引張で実施し、試験片の幅は50mm、チャック間距離は200mmとする。
実施例1
PPS(東レ(株)社製、E2280)95重量%および固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(東レ(株)社製、以下PETと略記)5重量%を320℃に加熱されたベント式2軸混練押出機に供給して、せん断速度100sec−1、滞留時間1分にて溶融押出し、PPS95重量%およびPET5重量%であるポリマーチップを得た。
次いで、得られたポリマーチップを150℃で10時間、真空乾燥し、2軸混練押出機が接続された紡糸機に供給した。紡糸機に接続された2軸混練押出機は設定温度300℃、せん断速度100sec−1とした。また、紡糸温度は295℃、口金口径0.23mm、口金孔数100ホール、800m/分の条件で紡糸し、未延伸糸を得た。
引き続き、得られた未延伸糸を、温度98℃の温水中で延伸倍率を3.2倍として延伸を行い、次いで熱延伸後と定長熱処理の間で2%弛緩、定長熱処理と捲縮付与前の間で2%弛緩させた条件で、200℃に加熱されたローラーにて4秒間の定長熱処理を行った。その後スタッフィングボックス型クリンパー内で210℃のスチームで捲縮を付与し、熱固定した後、油剤を付与、90℃で乾燥してから長さ51mmに切断して、PPS原綿を得た。
さらにカードに通し開繊させた後、クロスラップウエーバーでPPS繊維からなるフェルトを作製した。このフェルトを1500本/cmでニードルパンチを施し、PPS繊維からなる不織布を得た。結果を表1に示す。
比較例1
PPS(東レ(株)社製、E2280)を2軸混練押出機が接続された紡糸機に供給した。紡糸機に接続された2軸混練押出機は設定温度320℃、せん断速度100sec−1とした。また、紡糸温度は320℃、口金口径0.23mm、口金孔数100ホール、800m/分の条件で紡糸し、未延伸糸を得た。
引き続き、得られた未延伸糸を、温度98℃の温水中で延伸倍率を3.2倍として延伸を行い,次いで熱延伸後と定長熱処理の間で2%弛緩、定長熱処理と捲縮付与前の間で2%弛緩させた条件で、200℃に加熱されたローラーにて4秒間の定長熱処理を行った。その後スタッフィングボックス型クリンパー内で210℃のスチームで捲縮を付与し、熱固定した後、油剤を付与、90℃で乾燥してから長さ51mmに切断して、PPS短繊維を得た。さらにカードに通し開繊させた後、クロスラップウエーバーでPPS繊維からなるフェルトを作製した。このフェルトを1500本/cmでニードルパンチを施し、PPS繊維からなる不織布を得た。結果を表1に示す。
得られたPPS単独糸の不織布は、同一条件で製造した本発明の不織布と比較し、180℃における収縮率や強度保持率は低いことから耐熱性に劣り、また、耐アルカリ性の指標であるNaOH処理後の強度保持率も低いものであり、本発明の不織布よりも耐アルカリ性についても劣るものであった。
実施例2、比較例2
PETをポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリプロピレン(PP)に変更した以外は実施例1と同様にして行った。結果を表1に示す。PPに変更した比較例1は熱的寸法安定性が低く(収縮率が大きい)、180℃加熱処理後の強度保持率が大きく低下し、実用の範囲より外れるものであった。
Figure 2011144472
実施例3〜5、比較例3
PPSとPETの比率を変更した以外は実施例1と同様にして行った。結果を表2に示す。PETの量が10重量%であった比較例3は、熱的寸法安定性が低く(収縮率が大きい)、180℃加熱処理後の強度保持率が低下した。また、耐アルカリ性が大きく低下し、実用の範囲より外れるものであった。
Figure 2011144472
実施例6
PPS(東レ(株)社製、E2280)95重量%および固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート(東レ(株)社製、以下PETと略記)5重量%を320℃に加熱されたベント式2軸混練押出機に供給して、せん断速度100sec−1、滞留時間1分にて溶融押出し、PPS95重量%およびPET5重量%であるポリマーチップを得た。
次いで、得られたポリマーチップを150℃で10時間、真空乾燥し、2軸混練押出機が接続された紡糸機に供給した。紡糸機に接続された2軸混練押出機は設定温度320℃、せん断速度100sec−1とした。また、紡糸温度は320℃とし口金より繊維状に押出し、紡糸速度4500m/分でPPS繊維を高速空気で引取り、引続き、電圧をかけた場に通し、帯電させ、さらに衝突板に衝突せしめ、移動するコンベアー上に開繊・補集し、単糸繊度が2デニールの連続繊維からなるウエッブを得た。次に、該ウエッブをニードルパンチマシンに通しニードルバンチし、不織布とした。更に結果を表3に示す。
比較例4
PPS(東レ(株)社製、E2280)を2軸混練押出機が接続された紡糸機に供給した。紡糸機に接続された2軸混練押出機は設定温度320℃、せん断速度100sec−1とした。また、紡糸温度は320℃とし口金より繊維状に押出し、紡糸速度4500m/分でPPS繊維を高速空気で引取り、引続き、電圧をかけた場に通し、帯電させ、さらに衝突板に衝突せしめ、移動するコンベアー上に開繊・補集し、単糸繊度が2デニールの連続繊維からなるウエッブを得た。
次に、該ウエッブをニードルパンチマシンに通しニードルバンチし、不織布とした。結果を表3に示す。
得られたPPS単独糸の不織布は同一条件で製造した本発明の不織布と比較し、180℃における収縮率や強度保持率は低いことから寸法安定性や耐熱性に劣り、また、耐アルカリ性の指標であるNaOH処理後の強度保持率も低いものであり、本発明の不織布よりも耐アルカリ性についても劣るものであった。
実施例7、比較例5
PETをポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリプロピレン(PP)に変更した以外は実施例6と同様にして行った。結果を表3に示す。PPに変更したもの(比較例5)は4500m/分では引き取ることができず不織布を作成することができなかった。
Figure 2011144472
実施例8〜10、比較例6
PPSとPETの比率を変更した以外は実施例6と同様にして行った。結果を表4に示す。PETの量が10重量%であった比較例6は、強度や熱的寸法安定性が低く(収縮率が大きい)、180℃加熱処理後の強度保持率が低下した。また、耐アルカリ性が大きく低下し、実用の範囲より外れるものであった。
Figure 2011144472
実施例11
実施例1のPPS原綿を用いて、通常の方法に従って、カードスライバー、粗紡、精紡の各工程を経て、20番手のPPS紡績糸を得た。得られたPPS紡績糸を用いて、通常の織布工程を経て、目の粗い目付け130g/mの平織りPPS織布を得た。更に、実施例1と同様にして得られたPPSフェルト2枚とPPS織布を用いて、不織布/職布/不織布の順に3層を積層し、ニードルパンチ工程を経てバグフィルターを得た。
得られたバグフィルターの性能を表5に示す。
実施例12〜15、比較例7、8
原綿、フェルトを変更した以外は実施例11と同様にして行った。得られたバグフィルターの性能を表5に示す。
本発明の請求の範囲から外れるバグフィルターは、強度低下が大きく耐久性の低いものであった。
Figure 2011144472
実施例16
実施例6のPPS原綿を用いて、通常の方法に従って、カードスライバー、粗紡、精紡の各工程を経て、20番手のPPS紡績糸を得た。得られたPPS紡績糸を用いて、通常の織布工程を経て、目の粗い目付け130g/mの平織りPPS織布を得た。更に、実施例7と同様にして得られたウェブ2枚とPPS織布を用いて、不織布/職布/不織布の順に3層を積層し、ニードルパンチ工程を経てバグフィルターを得た。
得られたバグフィルターの性能を表6に示す。
実施例17〜20、比較例9
原綿、フェルトを変更した以外は実施例16と同様にして行った。得られたバグフィルターの性能を表6に示す。
本発明の請求の範囲から外れるバグフィルターは、強度低下が大きく耐久性の低いものであった。
Figure 2011144472

Claims (7)

  1. 単繊維の引張強度が2.0〜8.0cN/dtexであるポリアリーレンスルフィド繊維から主として構成される不織布であり、ポリアリーレンスルフィド繊維がポリアリーレンスルフィド 92〜99.9重量%とポリアルキレンテレフタレート0.1〜8重量%のブレンドポリマーからなることを特徴とする不織布。
  2. 320℃で5分間溶融し液体窒素で急冷した後に、示差走査熱量分析(DSC)測定で昇温速度16℃/minにて測定した結晶化温度(Tc)が90〜130℃である単繊維を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の不織布。
  3. 320℃で5分間溶融し液体窒素で急冷した後に、示差走査熱量分析(DSC)測定で昇温速度16℃/minにて測定した結晶化温度ピークの半値幅(D)が5℃以下である単繊維を含んでなることを特徴とする請求項1または2記載の不織布。
  4. ポリアルキレンテレフタレートが、エチレンテレフタレートユニットが90%以上有するリエチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の不織布。
  5. ポリフェニレンスルフィドがポリフェニレンスルフィドであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の不織布。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の不織布を含むバグフィルターであって、目付け200〜1000g/mであることを特徴とするバグフィルター。
  7. (a)ポリアリーレンスルフィド樹脂92〜99.9重量%、(b)ポリアルキレンテレフタレート樹脂0.1〜8重量%を溶融混練した後、紡糸温度285〜310℃で溶融紡糸することを特徴とするポリフェニレンスルフィド不織布の製造方法。
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