JP2011140010A - ストレーナ及びストレーナ設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】既設のストレーナにも容易に適用可能であり、安価で逆洗時の洗浄性能に優れるストレーナ及びストレーナ設備を提供する。
【解決手段】海水などの原水をケーシング3内に収納したフィルタ7でろ過し、ろ過水を排出すると共に、洗浄水でフィルタ7を逆洗し、洗浄排水及びフィルタ7から剥離した固形物をブロー管9を通じてケーシング3外に排出する逆洗機能を備えるストレーナ1において、ブロー管9は、フィルタ7の底板21を貫通するように取付けられた短管27と、短管27の先端部に連結し、洗浄排水及びフィルタ7から剥離した固形物を吸込む2本の吸込管29a、29bと、を備え、2本の吸込管29a、29bのうち1の吸込管29aは、吸込口31aを前方斜め下に向け、他方の吸込管29bは、吸込口31bを後方斜め下に向け、二つの吸込口31a、31bは平面視において180°に位置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、海水などの原水に含まれる固形分を除去しろ過水を製造するストレーナ及びストレーナ設備に関し、特に逆洗時の洗浄性能に優れるストレーナ及びストレーナ設備に関する。
火力発電所などでは、海水などを復水器の冷却水として利用している。海水には貝類などの固形物が含まれるため、海水をストレーナで事前にろ過し、ろ過水を冷却水として利用している。ストレーナは、運転に伴い固形物がフィルタ上に徐々に堆積するため、圧力損失が上昇する。このため一般には、ストレーナの圧力損失を測定し圧力損失が上昇したときは、ストレーナのろ過操作を一時停止した後、洗浄水でフィルタを逆洗し、固形物を系外へ排出している。フィルタの洗浄が十分に行われない場合には、ストレーナを開放しフィルタを機械的に掃除する必要が生じる。フィルタの掃除には多くの時間と労力が必要なため、掃除を回避すべく洗浄性能に優れるストレーナが開発されている。
例えば、ろ過用のフィルタを回転させ、フィルタ面に付着した固形物を剥ぎ取ると同時に剥ぎ取った固形分を吸い取るストレーナがある(例えば特許文献1参照)。また、ストレーナに供給される原水を螺旋式整流羽根により旋回させ、円筒形のフィルタ内で固形物を効果的に分離し、フィルタの下部より抜き出す方法が提案されている(例えば特許文献2参照)。また、本願出願人は、ストレーナ内のフィルタの逆洗排水を吸込み排出するブロー管の吸込み口を垂下させたストレーナを発明し特許出願中である(特許文献3参照)。
特開2007−83102号公報 実用新案登録第3123449号公報 特開2005−193161号公報
特許文献1及び特許文献2に記載のストレーナは、回転フィルタの採用及び螺旋式整流羽根採用などでフィルタの洗浄効果を高めている。しかしこのようなストレーナは、従来のストレーナに比較すると構造も複雑で製造コストも高くなってしまう。また既設のストレーナに適用する場合にも、改造が大掛かりとなりコストも高くなる。特許文献3に記載のストレーナは、構造が簡単で既設のストレーナへの適用も容易であり、これにより洗浄効果を高めることができるが、さらに洗浄効果を高め、ストレーナの清掃作業を可能な限り低減させることが望ましい。
本発明の目的は、既設のストレーナにも容易に適用可能であり、安価で逆洗時の洗浄性能に優れるストレーナ及びストレーナ設備を提供することである。
本発明は、フィルタをケーシング内に収納し、原水をフィルタでろ過しろ過水を排出すると共に、洗浄水でフィルタを逆洗し、洗浄排水及びフィルタから剥離した固形物をブロー管を通じてケーシング外に排出可能な逆洗機能を備えるストレーナにおいて、前記ブロー管は、前記フィルタの底板を貫通するように取付けられた短管と、前記短管の先端部に連結し洗浄排水及びフィルタから剥離した固形物を吸込む2本の吸込管と、を備え、前記2本の吸込管のうち1の吸込管は、吸込口を前方斜め下に向け、他方の吸込管は、吸込口を後方斜め下に向け、二つの吸込口は平面視において180°に位置することを特徴とするストレーナである。
また本発明は、前記ストレーナにおいて、前記吸込管は、円弧状の管であることを特徴とする。
また本発明は、前記ストレーナにおいて、前記短管は、前記フィルタの底板に穿設された貫通孔及び前記ケーシングの底板に穿設された排出口に挿入され、途中に固定用フランジを有し、前記ブロー管は、前記固定用フランジを介してフィルタの底板に着脱可能に取付けられていることを特徴とする。
また本発明は、前記ストレーナにおいて、前記ブロー管は、さらに前記短管の先端部に連結する1本又は2本の吸込管を有し、吸込管は、平面視においてY字状、又は十字状に取付けられていることを特徴とする。
また本発明は、前記ストレーナにおいて、前記吸込管は、さらに連結管を介して上下方向に複数段設けられていることを特徴とする。
また本発明は、前記ストレーナが2基並列に配置され、ストレーナを交互に運転し、1のストレーナから排出されるろ過水を他方のストレーナの逆洗時の洗浄水に使用することを特徴とするストレーナ設備である。
本発明に係るストレーナは、逆洗時の洗浄排水及びフィルタから剥離した固形物を系外に排出するブロー管を備え、このブロー管は、二つの吸込口が平面視において180°に位置する、吸込口を前方斜め下に向けた吸込管と吸込口を後方斜め下に向けた吸込管とを備えるので、逆洗を効果的に行うことが可能であり、逆洗時の洗浄性能、不要な固形物の排出性能に優れる。このようなストレーナは、構造も簡単で安価に製造することができる。さらに既設のストレーナに適用する場合にも、ストレーナのケーシング、フィルタなどを改造する必要がなく、容易に適用することができる。
また本発明によれば、吸込管は、円弧状の管であるので、固形物の大きさが比較的大きくても、固形物が吸込管に詰まることなくスムーズに排出される。
また本発明によれば、ブロー管は、フィルタの底板に固定され、ケーシングに対してはケーシングの底板に穿設された排出口に挿入されているだけなので、フィルタを取り外すときも簡単である。
また本発明によれば、ブロー管は、さらに短管の先端部に連結する1本又は2本の吸込管を有し、吸込管は、平面視においてY字状、又は十字状に取付けられているので、大型のストレーナも効果的に逆洗することができる。
また本発明によれば、吸込管は、さらに連結管を介して上下方向に複数段設けられているので、高さの高いストレーナも効果的に逆洗することができる。
本発明に係るストレーナ設備は、前記ストレーナが2基並列に配置され、ストレーナを交互に運転し、1のストレーナから排出されるろ過水を他方のストレーナの逆洗時の洗浄水に使用するので、洗浄水を別途用意する必要がなく便利である。また、ろ過水を連続的に供給することができる。
本発明の実施の一形態としてのストレーナ1の概略的構成を示す図である。 図1の矢視II−IIから見た図である。 図1に示すストレーナ1を90度回転させた図であり、フィルタ7内の逆洗排水の流れを説明するための図である。 本発明の実施の一形態としてのストレーナ1の変形例であって、吸込管29を、上下2段とした例を示す図である。 本発明の他の実施形態であるストレーナ設備51の概略的な系統図である。
図1は、本発明の実施の一形態としてのストレーナ1の概略的構成を示す図である。図2は、図1の矢視II−IIから見た図である。図3は、図1に示すストレーナ1を90度回転させた図であり、フィルタ7内の逆洗排水の流れを説明するための図である。以下、火力発電所で用いられる海水用のストレーナ1を例に具体的に説明する。
火力発電所では、復水器、軸受冷却水冷却器を始め冷却器の冷却媒体として海水を多く使用している。海水には、貝類、海草類、土石類などの不要な固形物が含まれているため、ポンプの前段にストレーナ1を取付けこれらの固形物をろ過し除去している。
ストレーナ1は、ケーシング3、蓋5、フィルタ7及びブロー管9を含み構成されている。ケーシング3は、原水である海水をろ過するフィルタ7を収納する、上部が開口した円筒形の金属製容器である。ケーシング3の側面には、海水を取り入れるための原水入口管11、及び原水入口管11と相対する位置にフィルタ7でろ過されたろ過水を取り出すろ過水出口管13が設けられている。ケーシング3の底面には、詳細は後述するが、フィルタ7を逆洗したときに発生する逆洗排水を排出するための排出口15が設けられている。また、ケーシング3内の上部には、フィルタ7を吊り下げ収納するための突起部17が取付けられている。ケーシング3の大きさは、特定の大きさに限定されるものではないが一例を示すと、内径が1000〜1200mm、高さが1200〜1600mm、原水入口管11及びろ過水出口管13の内径が約700mm程度である。
蓋5は、ケーシング3の上部の開口部を密閉するための金属製の蓋であり、ストレーナ1の内部の点検、フィルタ7の掃除などを行うときは開放されるが通常は閉められている。
フィルタ7は、円筒形で、側面にろ材19が取付けられている。フィルタ7の上部は、開口しており底部には底板21が設けられている。また、フィルタ7には、原水をフィルタ7内に導くための原水導入孔25がケーシング3の原水入口管11の面に開けられており、原水導入孔25の外周は、ケーシング3の原水入口管11の端部に密着している。
フィルタ7は、上部の吊り板23がケーシング3の突起部17に吊り下げられ、吊り板23がケーシング3と蓋5に挟まれた状態でフィルタ7は固定されている。そのため、蓋5が閉められているときは、フィルタ7の上部開口部は蓋5で密閉されている。
ろ材19は、原水をろ過するためのもので金属製の網で作られている。網は、一般的な市販されている金網であり、目開きは、原水に含まれる固形分の大きさに応じて適宜選択することができる。また、底板21は、フィルタ7の底部を密閉するもので後述するブロー管9が中央に取付けられている。
原水は、ケーシング3の原水入口管11からフィルタ7内に入り、フィルタ7のろ材19で原水に含まれる不要な固形物がろ過され除去される。フィルタ7で浄化されたろ過水は、ケーシング3のろ過水出口管13から取り出され冷却水などに利用される。この過程でフィルタ7上に固形物が付着、堆積し、フィルタ7の圧力損失が徐々に増加する。ストレーナ1の圧力損失が所定の値に達すると、原水の供給を止め、ろ過操作を停止する。その後、洗浄水をろ過水出口管13からケーシング3内に供給しフィルタ7を逆洗する。逆洗操作によりろ材19から剥離した固形物は逆洗排水と共に系外へ排出する。その後、再びろ過操作を行うことになる。
ブロー管9は、フィルタ7を逆洗した後の逆洗排水及びろ材19から剥離した固形物を系外へ排出する管である。ブロー管9は、短管27及び短管27の上部の先端部に連結する2本の吸込管29(29a、29b)を備えている。短管27は、管路途中の外壁に固定用フランジ33を備え、固定用フランジ33がボルト及びナット(図示を省略)などでフィルタ7の底板21に取付けられることで、ブロー管9は固定される。
短管27は、下部の先端がフィルタ7の底板21に穿設された貫通孔35を貫通しケーシング3の排出口15に挿入されている。ストレーナ1内の点検又はフィルタ7の掃除などのために、蓋5を開けフィルタ7を引き上げ取り外す場合、短管27は排出口15に差し込まれているだけなので容易に抜ける。そのためフィルタ7は、ケーシング3から簡単に取り外すことができる。
2本の吸込管29a、29bは、共に、90°エルボ又は90°ベンドのように管の曲がり角度(図1中θ1)が90°の円弧状の曲管であり、短管27の上部の先端部に平面視において180°となるように連結する。吸込管29の短管27への連結は、短管27の上部に直接連結する他、短管27の上部にT形の管継手を取付け、このT形の管継手に吸込管29を連結してもよい。さらに、短管27の上部又はT形の管継手と吸込管29との間にさらに短管を設けてもよい。
2本の吸込管29のうち1の吸込管29aは、吸込口31aが平面視において斜め前、側面視において水平面に対し斜め下45°(図3中θ2)になるように取付けられている。他方の吸込管29bは、吸込口31bが平面視において斜め後、側面視において水平面に対し斜め下45°(図3中θ3)になるように取付けられている。二つの吸込口31a、31bは、平面視において180°に位置している。なお、吸込管29aを吸込口31aが平面視において斜め後、側面視において水平面に対し斜め下45°になるように取付け、他方の吸込管29bを、吸込口31bが平面視において斜め前、側面視において水平面に対し斜め下45°になるように取付けてもよい。
吸込管29は、鋭角に曲がる曲管ではなく、曲率半径の大きい円弧状の曲管が好ましい。上記吸込管29は、円弧状の管であるため、固形物の大きさが比較的大きくても、固形物が吸込管29に詰まることがなく、スムーズに排出される。吸込管29は、曲がり角度θ1が90°の曲管に限定されるものでなく、曲がり角度が15°〜90°の曲管であってもよい。吸込口31の取付け角度(θ2、θ3)は、45°に限定されるものではなく、水平面に対し斜め下15°〜75°の範囲で設定できる。
本実施形態においては、2本の吸込管29を平面視において一直線に配置する例を示したけれども、平面視において3本の吸込管29をY字状、又は4本の吸込管29を十字状に取付けても良い。必要に応じて吸込管29の本数を増やすことで大型のストレーナ1も効果的に逆洗することができる。
図4は、ストレーナ1の変形例であって、吸込管29を、上下2段とした例を示す図である。図4においては、吸込管29が短い連結管30を介してさらにもう1段設けられている。図4の吸込管29は、上段の吸込管29c、29dと下段の吸込管29a、29bとが平面視において、90°ずれて取付けられている。吸込管29は、一段に限定されるものではなく、必要に応じて吸込管29の段数を増やすことで高さの高いストレーナ1も効果的に逆洗することができる。
ブロー管9の大きさ、取付け高さは、特定の大きさ、取付け高さに限定されるものではなく、ストレーナの大きさに応じて逆洗時の洗浄効果が高くなるように適宜設定すればよい。ブロー管9の大きさの一例を示すと、内径が1000mm〜1200mm程度のケーシング3の場合、ブロー管9の水平方向の長さ(図2中L1)は400mm〜500mm程度、吸込管29の吸込口31から底板21までの距離は150〜300mm程度、吸込管29の口径は、25〜80mm程度である。
次にストレーナ1を逆洗しているときのフィルタ7内の逆洗排水の流れとブロー管9との関係を説明する。逆洗水は、ストレーナ1のろ過水出口管13から供給されフィルタ7のろ材19を通過しフィルタ7内に入る。逆洗水は、ろ材19を外から内へ通過する過程でろ材19の内面に付着している貝類、海草類、土石類などの不要な固形物からなる付着物41の一部を剥ぎ取る。具体的には、逆洗水により付着力が弱い固形物は剥ぎ取られ、付着力が強い固形物は剥がれずに残る。この中間の付着力を持つ固形物は部分的に剥がれた状態になるが、なおろ材19に付着し残ることになる。
ろ材19を外から内へ通過し、ろ材19を洗浄した逆洗水は、逆洗排水となりフィルタ7内で下降流43となり、ろ材19の内面近傍を下降する。逆洗排水は、フィルタ7内を下降する過程で、ろ材19から部分的に剥がれろ材19の内面に付着した付着物41を一部剥ぎ取る。剥ぎ取られた付着物41は、そのまま逆洗排水に同伴されてブロー管9の吸込管29に入り短管27から排出口15を通り系外に排出されるか、フィルタ7の底部の底板21上に堆積する。堆積した付着物41も最終的には、逆洗排水に同伴されてブロー管9の吸込管29に入り短管27から排出口15を通り系外に排出される。
逆洗時の洗浄効果を高めるためには、付着物41をろ材19から効率よく剥ぎ取ること、剥ぎ取られた付着物41をブロー管9の吸込管29に吸込ませ、付着物41を確実に系外に排出させることが重要である。付着物41をろ材19から効率よく剥ぎ取るには、逆洗水がろ材19を外から内へ通過する過程で部分的に剥ぎ取った付着物41を、フィルタ7内を下降する洗浄排水を利用して剥ぎ取ることが効果的である。また、剥ぎ取られた付着物41を確実に排出するには、ろ材19から剥離しフィルタ7の底部に堆積した付着物41を効率的にブロー管9の吸込管29に吸込ませることが効果的である。
逆洗排水は、フィルタ7内で流動抵抗が小さい流路を形成し吸込口31に吸込まれる。吸込管29は、吸込口31が斜め下に向けられているため、逆洗排水の下降流43はフィルタ7の底部付近で、流動抵抗が小さい大きな円弧状の反転流45を形成し、吸込口31にほぼ垂直に吸込まれる。
反転流45は大きな円弧になるほど流動抵抗が小さくなる。そのため、下降流43はろ材19の内面近傍に形成される。この下降流43によって部分的に剥ぎ取られた付着物41は効果的に剥ぎ取られる。また、円弧状の反転流45は、堆積した付着物41の直上を円弧を描いて流れるためフィルタ7の底部に堆積した付着物41を吸込み吹き上げる。吹き上げられた付着物41は、洗浄排水に同伴され吸込管29の吸込口31に入り短管27を通り排出される。
特開2005−193161号公報では、ブロー管の短管に連結した吸込管の吸込口を垂直下方に配置している。この場合、吸込口の外周近傍に小さな反転流が形成される。一方、本発明のブロー管9は、吸込管29の吸込口31が斜め下に傾斜しているため、大きな円弧の反転流45が吸込口31に向けて形成される。そのため、洗浄排水の下降流43は、ろ材19内面のより近傍に形成され、部分的に剥ぎ取られた付着物41を効果的に剥ぎ取る。また、大きな円弧の反転流45は、堆積した付着物41を吸込み吹き上げる力が大きい。
部分的に剥ぎ取られた付着物41がろ材19に残った状態でろ過操作を再開した場合、部分的に剥がれた付着物41は、再びろ材19の内面に付着するため、ろ材19の圧力損失は急速に高くなる。状況によっては、ストレーナ1の蓋5を開けフィルタ7を機械的に掃除をしなければならない。しかし、上記のように本実施形態に示すストレーナ1は、特徴的なブロー管9を採用するので、前述したように逆洗を効果的に行うことが可能であり、逆洗時の洗浄性能、不要な固形物の排出性能に優れ、後述の実施例に示すようにフィルタ7の掃除を殆ど行う必要がなくなる。フィルタ7の底部にブロー管9を設けることなく、フィルタ7の底板21に穿設された貫通孔35とケーシング3の排出口15とを短管で連絡すると、ろ過操作中に貝類、海草類、土石類などの固形物が排出口15に入り込み排出口15が閉塞し、逆洗が困難となるが、本実施形態に示すストレーナ1は、ブロー管9が取付けられているので、このような問題が生じることはなく十分に逆洗を行うことができる。また、上記のように本実施形態に示すストレーナ1は構造が簡単であり、安価に製造可能であると共に、既設のストレーナに適用するときもストレーナ1のケーシング3、フィルタ7などを改造する必要がないので、容易に又安価に適用することができる。
次に図1から図3に示すストレーナ1が2基並列に組み込まれろ過水で逆洗するストレーナ設備51について説明する。図5は、ストレーナ設備51の概略的系統を示す図である。ストレーナ設備51は、A系統、B系統の2系統からなり、各系統は、ストレーナ1A、1B、原水ライン53A、53B、ろ過水ライン55A、55B及び排水ライン57A、57B及び各ラインに介装された弁で構成されている。ストレーナ設備51は、A系統、B系統を切り替えながら連続的に通水を行い、ろ過水を製造する。また、ストレーナ1A(1B)の逆洗用の洗浄水には、運転中のろ過水を使用する。
ストレーナ設備51の運転要領の一例を示す。A系統が通水中で、B系統が待機状態とする。原水は、原水ライン52から原水ライン53Aに送られる。原水は、入口弁59Aを介して原水ライン53Aと接続する原水入口管11Aからストレーナ1Aのフィルタ7A内へ送られろ過される。フィルタ7Aを出たろ過水は、ろ過水出口管13A、出口弁61A、ろ過水ライン55Aを通りろ過水ライン56から排出される。この時、入口弁59A、出口弁61A、61B及びろ過水弁62は開かれており、入口弁59B、排水弁63A、63Bは閉じられている。
A系統を一定期間運転するとフィルタ7Aに海水中の貝類などの固形物が詰まり圧力損失が増加する。ストレーナ1Aの圧力損失が所定の値に達すると、B系統の弁、入口弁59Bを開けた後、A系統の弁、入口弁59A、出口弁61Aを閉じ、系統の切り替えを行い、B系統で通水を継続する。次にA系統のストレーナ1Aを逆洗すべく、排水弁63Aを開け、出口弁61Aを適度に開く。これによりB系統のろ過水の一部がストレーナ1Aに流れ込み、フィルタ7Aを逆洗する。フィルタ7Aを逆洗した逆洗排水は、ブロー管9Aにより吸込み排水ライン57Aから系外に排出される。
適当な時間、例えば5〜10分程度逆洗した後、出口弁61A及び排水弁63Aを閉じ逆洗操作を終了する。上記逆洗操作を適当な間隔を置いて、2〜3回行う。一連の逆洗操作が終了した後、B系統で通水を継続した状態でストレーナ1Aの入口弁59Aを開け、出口弁61Aを徐々に全開とする。この状態でストレーナAの圧力損失を測定し、逆洗の効果を確認する。ストレーナ1Aの圧力損失が所定の値まで低下した場合は、入口弁59Bを閉じ、B系統を待機状態にする。なお、ストレーナ1Aの圧力損失が所定の値に低下していなかった場合は、再度、一例の逆洗操作を繰り返す。B系統からA系統に切り替え、B系統のストレーナ1Bを逆洗する場合も同じ要領で行う。上記ストレーナ設備51の運転要領では、逆洗のときのみ他系統を使用し、逆洗操作が終了した後は、再度、逆洗を行なった系統を用いて通水する例を示したが、逆洗を行なう系統の逆洗操作が終了した後も他系統を用いて通水を継続するように運転を行うこともできる。
上記実施形態に示すストレーナ設備51は、2基のストレーナ1A、1Bを有し、ストレーナ1A、1Bを交互に運転し、1のストレーナから排出されるろ過水を他方のストレーナの逆洗水として使用するので、逆洗水を別途用意する必要がなく便利である。なお、2系統のろ過水系統を設けた場合、必ずしも逆洗水に他系統のろ過水を使用する必要はなく、別の系統から逆洗水を導入してもよい。
弊社火力発電所での実施例を示す。
ストレーナ設備は、図5に示すストレーナ設備と同様、A系統、B系統の2系統のろ過水ラインを有し、これを交互に切り替え運転している。A系統、B系統のろ過水ライン、ストレーナは全く同じ仕様である。ストレーナは、図1から図3に示すストレーナと同一であり、ケーシングの径が1000mm、高さが1600mm、フィルタの径が800mm、原水ライン及びろ過水ラインの口径は700Aである。ブロー管の径L1は500mm、吸込管の口径は、50A、吸込管の高さは底板から約250mmである。各ストレーナの前後には、圧力損失を測定する差圧計が設けられている。
ストレーナの圧力損失が0.05MPaに達した時点で、系統を切り替え、上記実施系形態に示す要領でストレーナの逆洗を行った。一回の逆洗操作を5〜10分行い、5〜10分の間隔をおいて、逆洗操作を2〜3回行った。逆洗操作後、通水を行い圧力損失を確認した。このとき圧力損失が0.02MPa以下で逆洗操作を終了した。逆洗の効果は認められるが、圧力損失が0.02MPa以下に達していない場合は、再度、一連の逆洗操作を行った。逆洗操作を行っても、圧力損失が低下しなかったときは、ストレーナを開放しフィルタを取出し、掃除した。
図1から図3に示すストレーナを用いる前においては、年間9回のストレーナの掃除が必要であった。図1から図3に示すストレーナを用いた後は、掃除の回数は初年度で年間3回、次年度も約半年間で1回と激減した。
1、1A、1B ストレーナ
3、3A、3B ケーシング
7、7A、7B フィルタ
9、9A、9B ブロー管
15 排出口
19 ろ材
21 底板
27 短管
29、29a、29b、29c、29d 吸込管
30 連結管
31、31a、31b 吸込口
33 固定用フランジ
35 貫通孔
41 付着物
51 ストレーナ設備

Claims (6)

  1. フィルタをケーシング内に収納し、原水をフィルタでろ過しろ過水を排出すると共に、洗浄水でフィルタを逆洗し、洗浄排水及びフィルタから剥離した固形物をブロー管を通じてケーシング外に排出可能な逆洗機能を備えるストレーナにおいて、
    前記ブロー管は、前記フィルタの底板を貫通するように取付けられた短管と、
    前記短管の先端部に連結し洗浄排水及びフィルタから剥離した固形物を吸込む2本の吸込管と、
    を備え、
    前記2本の吸込管のうち1の吸込管は、吸込口を前方斜め下に向け、他方の吸込管は、吸込口を後方斜め下に向け、二つの吸込口は平面視において180°に位置することを特徴とするストレーナ。
  2. 前記吸込管は、円弧状の管であることを特徴とする請求項1に記載のストレーナ。
  3. 前記短管は、前記フィルタの底板に穿設された貫通孔及び前記ケーシングの底板に穿設された排出口に挿入され、途中に固定用フランジを有し、
    前記ブロー管は、前記固定用フランジを介してフィルタの底板に着脱可能に取付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のストレーナ。
  4. 前記ブロー管は、さらに前記短管の先端部に連結する1本又は2本の吸込管を有し、吸込管は、平面視においてY字状、又は十字状に取付けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のストレーナ。
  5. 前記吸込管は、さらに連結管を介して上下方向に複数段設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のストレーナ。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のストレーナが2基並列に配置され、ストレーナを交互に運転し、1のストレーナから排出されるろ過水を他方のストレーナの逆洗時の洗浄水に使用することを特徴とするストレーナ設備。
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