JP2011137513A - 振動低減型噛合チェーン - Google Patents

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Abstract

【課題】噛合チェーンの駆動時における内歯プレート同士および外歯プレート同士の衝撃と振動を抑制するとともに噛合チェーンの噛み合い時に優れた座屈強度を発揮する振動低減型噛合チェーンを提供すること。
【解決手段】内歯プレート110、中間歯プレート140、外歯プレート150の座屈規制部分112、142、152が、内歯プレート110、中間歯プレート140、外歯プレート150のフック部分111、141、151に対してチェーン長手方向の他端に形成されているとともに内歯プレート110同士、中間歯プレート140同士、外歯プレート150同士を相互に接触させて相互に反対側に膨出する複数の曲面112a、142a、152a、を含んで構成されている振動低減型噛合チェーン100。
【選択図】図5

Description

本発明は、各種製造分野の製造設備、運輸分野の移送設備、医療福祉分野の介護設備、芸術分野の舞台設備などに用いて被駆動物を設置面に対して平行に進退動させる駆動装置に組み込まれる噛合チェーンに関するものである。
従来、駆動装置として、相互に噛み合って一体的に駆動される一対の噛合チェーン、所謂、チャックチェーンを用いて重量物などの被駆動物を移動させる駆動装置がある。
このような従来の駆動装置に用いる噛合チェーンは、噛合チェーンの駆動時にブシュに接触するスプロケットによって駆動される(例えば、特許文献1参照。)。
特開2009−113872号公報(特許請求の範囲、図5参照。)
しかしながら、従来の噛合チェーンでは、内歯プレートおよび外歯プレートのそれぞれのフック面のプレート長手方向の反対側領域に形成されてチェーン噛合姿勢を保持する座屈規制部分を平坦面で構成していることにより、座屈規制部分同士の噛み合い開始時から噛み合い完了時までが短時間となるため、内歯プレート同士或いは外歯プレート同士が相互に噛み合うことで一対の噛合チェーンが直線状に一体化する際にスプロケットの歯数に対応した振動が発生したり、内歯プレート同士および外歯プレート同士で衝撃が発生したりするという問題点があり、しかも、噛合チェーンが一体に噛み合った際の座屈強度が劣るという問題点があった。
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、噛合チェーンの駆動時における内歯プレート同士および外歯プレート同士の衝撃と振動を抑制するとともに噛合チェーンの噛み合い時に優れた座屈強度を発揮する振動低減型噛合チェーンを提供することである。
まず、本請求項1に係る発明は、左右一対で離間配置される内歯プレートに前後一対のブシュを圧入嵌合してなる内リンクユニットがチェーン幅方向の最も外側に配置される外歯プレートの前後一対のピン孔に圧入嵌合する前後一対の連結ピンによりチェーン長手方向に多数連結され、ブシュと噛合う一対の駆動用スプロケットにそれぞれ対向配置させて偏向しながら相互に対向する内歯プレート同士および外歯プレート同士をチェーン長手方向に半ピッチずらした状態で内歯プレートのフック部分同士および外歯プレートのフック部分同士をそれぞれ噛み合わせると同時に内歯プレートの座屈規制部分同士および外歯プレートの座屈規制部分同士をそれぞれ接触させ、相互に噛み合った内歯プレート同士および外歯プレート同士を一対の駆動用スプロケットにより偏向させて内歯プレートの座屈規制部分同士および外歯プレートの座屈規制部分同士の接触を開放させると同時に内歯プレートのフック部分同士および外歯プレートのフック部分同士をそれぞれ噛み外して分岐させる振動低減型噛合チェーンにおいて、内歯プレートおよび外歯プレートの座屈規制部分が、内歯プレートおよび外歯プレートのチェーン長手方向の一端に形成されたフック部分に対してチェーン長手方向の他端に形成されているとともに内歯プレート同士および外歯プレート同士を相互に接触させて相互に反対側に膨出する少なくとも複数の曲面を含んでそれぞれ構成されていることにより、前述した課題を解決したものである。
尚、本発明で言う「座屈規制部分」とは、内歯プレートおよび外歯プレートのフック部分に形成されたフック状噛合面と湾曲状噛合受面の反対側領域、すなわち、内歯プレートおよび外歯プレートのフック部分に対してチェーン長手方向の他端に形成されてチェーン噛合姿勢を保持する部分のことを意味している。
そして、本請求項2に係る発明は、請求項1に係る振動低減型噛合チェーンにおいて、前記座屈規制部分が、相互の面接触により干渉しながら弾性変形することにより、前述した課題をさらに解決したものである。
そして、本請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る振動低減型噛合チェーンにおいて、前記内歯プレートおよび外歯プレートの少なくとも座屈規制部分が、シェービング加工あるいはファインブランキング加工されていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
本発明の振動低減型噛合チェーンは、左右一対で離間配置される内歯プレートに前後一対のブシュを圧入嵌合してなる内リンクユニットがチェーン幅方向の最も外側に配置される外歯プレートの前後一対のピン孔に圧入嵌合する前後一対の連結ピンによりチェーン長手方向に多数連結されていることにより、ブシュと噛合う一対の駆動用スプロケットにそれぞれ対向配置させて偏向しながら相互に対向する内歯プレート同士および外歯プレート同士をチェーン長手方向に半ピッチずらした状態で内歯プレートのフック部分同士および外歯プレートのフック部分同士をそれぞれ噛み合わせると同時に内歯プレートの座屈規制部分同士および外歯プレートの座屈規制部分同士をそれぞれ接触させ、相互に噛み合った内歯プレート同士および外歯プレート同士を一対の駆動用スプロケットにより偏向させて内歯プレートの座屈規制部分同士および外歯プレートの座屈規制部分同士の接触を開放させると同時に内歯プレートのフック部分同士および外歯プレートのフック部分同士をそれぞれ噛み外して分岐させるため、噛合チェーン稼動時における内歯プレートおよび外歯プレートのガタつきを抑制して駆動騒音の発生を防止することができるばかりでなく、以下のような特有の構成に対応した格別の効果を奏することができる。
すなわち、本請求項1に係る振動低減型噛合チェーンは、内歯プレートおよび外歯プレートの座屈規制部分が、内歯プレートおよび外歯プレートのチェーン長手方向の一端に形成されたフック部分に対してチェーン長手方向の他端に形成されているとともに内歯プレート同士および外歯プレート同士を相互に接触させて相互に反対側に膨出する少なくとも複数の曲面を含んでそれぞれ構成されていることによって、従来のような平坦面から構成された座屈規制部分同士が相互に接触する場合に比べて、座屈規制部分同士の噛み合い開始が早くなることで座屈規制部分の噛い合い開始時から噛み合い完了時までの時間が長くなり、内歯プレート、中間歯プレートおよび外歯プレートの加速度が減少するため、チェーン駆動時における座屈規制部分同士の衝突と振動を抑制することができるとともに相互に噛み合う噛合チェーンのチェーン剛性を確保して優れた座屈強度を発揮することができる。
そして、本請求項2に係る振動低減型噛合チェーンは、請求項1に係る振動低減型噛合チェーンが奏する効果に加えて、座屈規制部分が相互の面接触により干渉しながら弾性変形するように形成されていることにより、噛み合い時に座屈規制部分が内歯プレートおよび外歯プレートに負荷される衝撃や振動を確実に吸収緩和するため、内歯プレートおよび外歯プレートに負荷される衝撃や振動を一層抑制することができる。
さらに、本請求項3に係る振動低減型噛合チェーンは、請求項1または請求項2に係る振動低減型噛合チェーンが奏する効果に加えて、前記内歯プレートおよび外歯プレートの少なくとも座屈規制部分が、シェービング加工あるいはファインブランキング加工されていることにより、座屈規制部分同士の接触が円滑に行われるため、衝撃および振動をより一層抑制することできる。
本発明の一実施例である振動低減型噛合チェーンを用いた使用態様図。 図1から昇降テーブルとパンタアームを除いた状態を示す斜視図。 振動低減型噛合チェーンの一部拡大図。 振動低減型噛合チェーンの一部断面図。 相互に噛み合った外歯プレートの平面図。 座屈規制部分が相互に噛み合った状態を示す拡大図。 噛合開始時における外歯プレート同士の状態を示す説明図。 噛合途中における外歯プレート同士の状態を示す説明図。 外歯プレート同士が噛み合った状態を示す説明図。 本発明の実施例で用いた外歯プレートの第1変形例を示す平面図。 本発明の実施例で用いた外歯プレートの第2変形例を示す平面図。 本発明の実施例で用いた外歯プレートの第3変形例を示す平面図。 従来の外歯プレートの噛合状態を示す平面図。 従来の座屈規制部分が相互に噛み合った状態を示す拡大図。 本実施例の座屈規制部分の噛合開始時における噛合角度を示す模式図。 比較例の座屈規制部分の噛合開始時における噛合角度を示す模式図。 本実施例と従来例との座屈規制部分における噛合角度と重なり面積との相互関係を示す図。
本発明は、左右一対で離間配置される内歯プレートに前後一対のブシュを圧入嵌合してなる内リンクユニットがチェーン幅方向の最も外側に配置される外歯プレートの前後一対のピン孔に圧入嵌合する前後一対の連結ピンによりチェーン長手方向に多数連結され、ブシュと噛合う一対の駆動用スプロケットにそれぞれ対向配置させて偏向しながら相互に対向する内歯プレート同士および外歯プレート同士をチェーン長手方向に半ピッチずらした状態で内歯プレートのフック部分同士および外歯プレートのフック部分同士をそれぞれ噛み合わせると同時に内歯プレートの座屈規制部分同士および外歯プレートの座屈規制部分同士をそれぞれ接触させ、相互に噛み合った内歯プレート同士および外歯プレート同士を一対の駆動用スプロケットにより偏向させて内歯プレートの座屈規制部分同士および外歯プレートの座屈規制部分同士の接触を開放させると同時に内歯プレートのフック部分同士および外歯プレートのフック部分同士をそれぞれ噛み外して分岐させる振動低減型噛合チェーンにおいて、内歯プレートおよび外歯プレートの座屈規制部分が、内歯プレートおよび外歯プレートのチェーン長手方向の一端に形成されたフック部分に対してチェーン長手方向の他端に形成されているとともに内歯プレート同士および外歯プレート同士を相互に接触させて相互に反対側に膨出する少なくとも複数の曲面を含んでそれぞれ構成され、噛合チェーンの駆動時における内歯プレート同士および外歯プレート同士の衝撃と振動を抑制するとともにチェーン噛み合い時に優れた座屈強度を発揮するものであれば、その具体的な実施の態様は、如何なるものであっても何ら構わない。
すなわち、本発明の振動低減型噛合チェーンにおいては、チェーン幅方向に並列配置する内リンクユニットの列数は、単列、または、2列や3列などの複列のいずれであっても良く、内リンクユニットがチェーン幅方向に複数配置されている場合には、一対の噛合チェーンの一方を構成する外歯プレートと内歯プレートが、これに対向する他方の噛合チェーンを構成する外歯プレートと内歯プレートに対してチェーン方向の複列に亙ってそれぞれフック状、所謂、チャック状に多重かつ強固に噛み合うので、噛合チェーンのチェーン幅方向に生じがちな座屈を確実に抑制して優れたチェーン耐久性を実現でき、また、チェーン幅方向における駆動用スプロケットとの噛合バランスを向上できる。
また、本発明の噛合チェーンで用いる内歯プレート、外歯プレート、および、中間歯プレートの具体的な形状については、相互に対向する同種のプレート同士をそれぞれ噛み合せて一体するとともにそれぞれ噛み外して分岐するものであれば如何なる形状を呈するものであってもよい。
そして、本発明の噛合チェーンに形成される座屈規制部分の具体的な形態については、前記内歯プレートおよび外歯プレートの座屈規制部分が、前記内歯プレートおよび外歯プレートのチェーン長手方向の一端に形成されたフック部分に対してチェーン長手方向の他端に形成されているとともに前記内歯プレート同士および外歯プレート同士を相互に接触させて相互に反対側に膨出する少なくとも複数の曲面を含んでいれば良く、さらに、その複数の曲面の具体的な形態については、複数の曲面とともに平坦面を含んで構成されていても良い。
また、本発明の振動低減型噛合チェーンにおいて用いられるブシュは、通常形状のブシュや、内歯プレートに圧入嵌合するプレート側圧入部と該プレート側圧入部より大径のスプロケット噛合部とを一体成形することで得られるブシュなど如何なるものであってもよく、プレート側圧入部とスプロケット噛合部とからなるブシュを採用した場合、スプロケット噛合部の特定された外周面で駆動用スプロケットと安定して接触するため、ローラを用いた場合のように駆動用スプロケットとの噛み合い時に連結ピンもしくはブシュの中心軸に対してローラの中心軸が偏在して駆動用スプロケットとの間で発生しがちな接触振動や接触騒音を防止でき、さらには、ローラを用いた場合と比べて、スプロケット噛合部がブシュと一体に成形されて充分な肉厚を確保できるため、重量物などの被駆動物を駆動する際にかかる負荷に対して高い耐負荷性能を発揮できる。
さらに、本発明の振動低減型噛合チェーンが組み込まれる噛合チェーン式駆動装置は、設置面が据え置き設置形態となる床面であっても、吊り下げ設置形態となる天井面であっても昇降動作に何ら支障はなく、さらには、片持ち支持形態となる垂直壁面であっても前述した昇降動作に相当する進退動作に何ら支障はない。
以下、本発明の一実施例である振動低減型噛合チェーン100を図1乃至図17に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の一実施例である振動低減型噛合チェーンを用いた使用態様図であり、図2は、図1から昇降テーブルとパンタアームを除いた状態を示す斜視図であり、図3は、振動低減型噛合チェーンの一部拡大図であり、図4は、振動低減型噛合チェーンの一部断面図であり、図5は、相互に噛み合った外歯プレートの平面図であり、図6は、座屈規制部分が相互に噛み合った状態を示す拡大図であり、図7は、噛合開始時における外歯プレート同士の状態を示す説明図であり、図8は、噛合途中における外歯プレート同士の状態を示す説明図であり、図9は、外歯プレート同士が噛み合った状態を示す説明図であり、図10は、相互に噛み合った外歯プレートの変形例1の平面図であり、図11は、相互に噛み合った外歯プレートの変形例2の平面図であり、図12は、相互に噛み合った外歯プレートの変形例3の平面図であり、図13は、比較例における外歯プレートの噛合状態を示す平面図であり、図14は、比較例における座屈規制部分が相互に噛み合った状態を示す拡大図であり、図15は、本実施例の座屈規制部分の噛合開始時における噛合角度を示す模式図であり、図16は、従来の座屈規制部分の噛合開始時における噛合角度を示す模式図であり、図17は、本実施例と比較例との座屈規制部分における噛合角度と重なり面積との相互関係を示す図である。
まず、図1に示す噛合チェーン式駆動装置Eは、作業床面に据え置き状態で設置されて、重量物などの被駆動物(図示しない)を搭載する昇降テーブルTを設置面に対して平行に昇降させるものであって、本発明の一実施例である振動低減型噛合チェーン100は、このような噛合チェーン式駆動装置Eに組み込まれて使用される。
本実施例の振動低減型噛合チェーン100を適用した噛合チェーン式駆動装置Eは、図1および図2に示すように、前述した昇降テーブルTが平行に昇降する設置面に据え付けたベースプレートPと、このベースプレートPに対して平行に併置された一対の回転軸を中心に同一面内で相互に対向して反対方向に正逆回転する一対の駆動用スプロケットSと、これらの一対の駆動用スプロケットSと噛み外れることによって昇降テーブルTを昇降する一対の振動低減型噛合チェーン100と、この振動低減型噛合チェーン100の上端に固着されて一体に昇降する前述した昇降テーブルTと、一対の駆動用スプロケットSを駆動する駆動モータMとを基本的な装置構成として備えている。
なお、図1および図2に示す符号Cは、駆動モータMの出力軸側に同軸配置した一対の駆動側スプロケットであり、符号Dは、駆動側スプロケットCから一対の駆動用スプロケットS側へ動力伝達するためのローラチェーンからなる一対の動力伝達チェーンであり、符号Gは、一対の動力伝達チェーンDから一方向の回転を変速させるとともに一対の駆動用スプロケットSへ相互に反対方向に正逆回転するように動力伝達するための同期ギア群であり、符号Aは、昇降テーブルTと設置面側のベースプレートPとの間に設置されたX字状のパンタアームと称するインナーアームA1とアウターアームA2とからなる上下2段連結形態の昇降補助ガイド手段であり、符号Rは、インナーアームA1の下端が昇降動作に応じて摺動するスライドレールであり、符号Bは、相互に噛み外して分岐した一対の振動低減型噛合チェーン100の一方を収納する巻き取り型のチェーン収納ボックスである。
また、噛合チェーン式駆動装置Eにおいて一対で用いられる本実施例の振動低減型噛合チェーン100は、図3および図4に示すように、左右一対で離間配置される内歯プレート110に前後一対のブシュ120を圧入嵌合してなる内リンクユニット130がチェーン幅方向に2枚の中間歯プレート140を介して並列配置されているとともに、内リンクユニット130がチェーン幅方向の最も外側に配置される外歯プレート150の前後一対のピン孔に圧入嵌合する前後一対の連結ピン160によりチェーン長手方向に多数連結されたものである。
そして、ブシュ120の外周には、ローラ170が外嵌されている。
本実施例では、内リンクユニット130をチェーン幅方向に並列配置したことにより、一対の振動低減型噛合チェーン100の一方を構成する内歯プレート110と中間歯プレート140と外歯プレート150とが、これに対向する他方の振動低減型噛合チェーン100を構成する内歯プレート110と中間歯プレート140と外歯プレート150とに対してチェーン方向の複列に亙ってそれぞれフック状、所謂、チャック状に多重かつ強固に噛み合うため、振動低減型噛合チェーン100のチェーン幅方向に生じがちな座屈を確実に抑制し、また、チェーン幅方向における駆動用スプロケットSとの噛合バランスを向上するようになっている。
そして、一対の振動低減型噛合チェーン100は、図2および図3に示すように、前述したブシュ120と噛合う一対の駆動用スプロケットSにそれぞれ対向配置させ、水平方向から垂直方向へ偏向しながら相互に対向する内歯プレート110同士、中間歯プレート140同士、外歯プレート150同士をチェーン長手方向に半ピッチずらした状態で内歯プレート110のフック部分111同士、中間歯プレート140のフック部分141同士、外歯プレート150のフック部分151同士をそれぞれ噛み合わせると同時に内歯プレート110の座屈規制部分112同士、中間歯プレート140の座屈規制部分142同士、外歯プレート150の座屈規制部分152同士をそれぞれ接触させる一方で、相互に噛み合った内歯プレート110同士および外歯プレート150同士を一対の駆動用スプロケットSにより垂直方向から水平方向へ偏向させて内歯プレート110の座屈規制部分112同士および外歯プレート150の座屈規制部分152同士の接触を開放させると同時に内歯プレート110のフック部分111同士、中間歯プレート140のフック部分141同士、外歯プレート150のフック部分151同士をそれぞれ噛み外して分岐させるように構成されている。
そこで、前述した本実施例の振動低減型噛合チェーン100が最も特徴とする内歯プレート110と中間歯プレート140と外歯プレート150の具体的な形態について、図5乃至図9により詳しく説明する。
なお、本実施例の振動低減型噛合チェーン100では、内歯プレート110と中間歯プレート140と外歯プレート150が全て同一のプレート外形、プレート寸法、プレート厚みを有しているため、これらの一つである外歯プレート150を例示して説明し、内歯プレート110と中間歯プレート140の具体的な形態については、この外歯プレート150の符号50番台の数字を10番台若しくは40番台の数字に置き換えることによって、内歯プレート110と中間歯プレート140の説明を省略する。
まず、図5および図6に示すように、前述した外歯プレート150は、一対の駆動用スプロケットSにそれぞれ対向配置させた外歯プレート150同士を相互に噛み合わせて一体化するフック部分151がチェーン長手方向の一端に形成され、さらに、このフック部分151は、相互の噛み合わせを誘導するための湾曲状噛合誘導面151aとこの湾曲状噛合誘導面151aに連続して形成して相互に噛み合うためのフック状噛合面151bとで構成されている。
したがって、前述した湾曲状噛合誘導面151aとフック状噛合面151bとは、図5に示すように、相互に対向する一対の振動低減型噛合チェーン100同士を噛み合わせる際に、外歯プレート150aの湾曲状噛合誘導面151aとフック状噛合面151bが、この外歯プレート150aに対向して後続する外歯プレート150cの湾曲状噛合誘導面151aとフック状噛合面151bに凹凸係合してチェーン噛合姿勢を保持している。
他方、前述した外歯プレート150は、図5および図6に示すように、外歯プレート150同士を相互に接触させて噛み合って一体化した姿勢を保持する座屈規制部分152が前述したフック部分151に対してチェーン長手方向の他端に形成され、さらに、この座屈規制部分152は、外歯プレート150同士を相互に接触させて相互に反対側の膨出する少なくとも複数の曲面152aを含んで構成されている。
なお、図5に示す仮想線は、振動低減型噛合チェーン100の外歯プレート150に形成された座屈規制部分152の外形を示している。
したがって、このような複数の曲面152aを含んで構成された本実施例の座屈規制部分152は、従来のような平坦面からなる座屈規制部分に比べると、座屈規制部分152同士の噛み合い開始が早まるとともに座屈規制部分152同士の接触領域が長くなって、座屈規制部分152の噛い合い開始時から噛み合い完了時までの時間が長くなるため、外歯プレート150の加速度を減少させるとともに相互に噛み合った一対の噛合チェーンの剛性を確保するようになっている。
また、この座屈規制部分152は、相互の面接触により干渉しながら弾性変形するように形成されている。
これにより、外歯プレート150に形成された座屈規制部分152が、この外歯プレート150に対向して先行する外歯プレート150に形成された座屈規制部分152に面接して干渉しながら弾性変形するため、噛み合い時に外歯プレート150に負荷される衝撃や振動を確実に吸収緩和してチェーン噛合姿勢を保持するようになっている。
さらに、前述した内歯プレート110、中間歯プレート140および外歯プレート150の少なくとも座屈規制部分152は、ブランク材をポンチで打ち抜いて形成した打ち抜き部分の縁部の輪郭よりも、僅かに大きな輪郭を有する棒状又は柱状のシェービング工具を用い、ポンチと同様にしてブランク材の打ち抜き部分を押し抜くことにより、縁部の輪郭を少量削り取り、ポンチの打ち抜き時に生じた粗面やダレを除去して、打ち抜き部分の表面粗さや表面精度を向上させるシェービング加工によって形成されている。
また、前述した内歯プレート110、中間歯プレート140および外歯プレート150の少なくとも座屈規制部分152は、プレス加工の一種であって、プレス加工の持つ量産性と、大量生産に必要なバラツキのない高品質な製品を加工できるファインブランキング加工によって形成されていても良い。
前述の内歯プレート110、中間歯プレート140および外歯プレート150がシェービング加工あるいはファインブランキング加工されていることにより、内歯プレート110同士、中間歯プレート140同士あるいは外歯プレート150同士を噛み合わせる際に、座屈規制部分152同士を円滑に接触させて、衝撃および振動をより一層抑制するようになっている。
次に、一対の振動低減型噛合チェーン100の噛合時における外歯プレート150の動作について図7乃至図9に基づいて説明する。
図7に示すように、相互に対向して噛み合う外歯プレート150同士は、連結ピン160を中心として相互に噛み外れた状態からチェーン進行方向の繰り出し側へ相互に接近するようにそれぞれ回動した後、図8に示すように、相互に対向して噛み合う外歯プレート150同士は、それぞれの湾曲状噛合誘導面151aに相手方のフック状噛合面151bを摺接させて相互に噛み合いを開始し、確実に凹凸係合させることで相互に噛み合う。
そして、図9に示すように、相互に対向して噛み合う外歯プレート150同士は、座屈規制部分152同士を相互に面接触させることで位置決め保持され、相互に噛み合い姿勢が確保され、一連の噛み合い動作を達成する。
なお、外歯プレート150同士の噛み外れ動作については、上述した噛み合い動作の逆の手順となる動作を行うことにより達成されることは言うまでもない。
また、内歯プレート110と中間歯プレート140の具体的な形態については、前述したように、外歯プレート150と同じ形態であり、その噛み合い動作および噛み外れ動作についても、前述した外歯プレート150と同じである。
つぎに、図10乃至図12に基づいて、本発明で用いた外歯プレート150のプレート形態を変形させた第1変形例乃至第3変形例を説明する。
なお、各変形例で用いられた外歯プレート150については、基本的には前述した本実施例の外歯プレート150と作用効果において実質的な差異はない。
図10に示すように、本発明の第1変形例である外歯プレート150は、その座屈規制部分152が、外歯プレート150同士を相互に接触させて相互に反対側の膨出する2つの曲面152aと、曲面152aから外歯プレート150の外側に向かって延びる平坦面152bとを含んで構成されている。
図11に示すように、本発明の第2変形例である外歯プレート150は、その座屈規制部分152が、外歯プレート150同士を相互に接触させて相互に反対側の膨出する2つの曲面152aと、2つの曲面152a間に形成された平坦面152bとを含んで構成されている。
図12に示すように、本発明の第3変形例である外歯プレート150は、その座屈規制部分152が、外歯プレート150同士を相互に接触させて相互に反対側の膨出する2つの曲面152aを連続的に繋げてなる形状として構成されている。
これら変形例1乃至3のそれぞれに係る座屈規制部分152が、従来のような平坦面からなる座屈規制部分に比べると、前述した複数の曲面152aのみを含んでなる場合と同様に、外歯プレート150の加速度を減少させるとともに相互に噛み合った一対の噛合チェーンの剛性を確保するようになっている。
つぎに、図6、図13乃至図17に基づいて、本実施例の振動低減型噛合チェーン100を比較例の噛合チェーン500と比較しながらさらに説明を加える。
なお、比較例に係る噛合チェーン500における外歯プレート550は、図13および図14に示すように、相互に対向する一対の噛合チェーン500同士を噛み合わせる際に、外歯プレート550に形成された座屈規制部分552が平坦面である。そして、外歯プレート550の座屈規制部分552が、この外歯プレート550に対向して先行する外歯プレート550に形成された座屈規制部分552に面接触するようになっている。
そこで、図17に示す横軸の角度θと、縦軸の重なり面積Jとの相互関係について説明する。
なお、図15および図16に示す角度θとは、外歯プレートのプレート側面が噛合チェーンの進行方向に対してなす角度をいう。また、図6および図14に示す重なり面積Jとは、座屈規制部分同士が重なった重なり領域の面積をいう。
図15に示すように、本実施例の振動低減型噛合チェーン100では、外歯プレート150のプレート側面が振動低減型噛み合いチェーン100の進行方向に対してなす角度θが6°になる時が座屈規制部分152の噛み合い開始時となり、角度θが0°になる時は、座屈規制部分152が噛み合いを完了する噛み合い完了時となる。
同様に、図16に示すように比較例の噛合チェーン500では、外歯プレート550が噛み合いチェーン500の進行方向に対してなす角度θが1.94°になる時が座屈規制部分552同士の噛み合い開始時となり、角度θが0°になる時が座屈規制部分551同士の噛み合い完了時となる。
図17に示すように、本実施例の振動低減型噛合チェーン100では、座屈規制部分151同士の噛み合い開始時を示す角度θ(=6°)から噛み合い完了時を示す角度θ(=0°)までの角度幅が、比較例の噛合チェーン500における座屈規制部分552同士の噛み合い開始時を示す角度θ(=1.94°)から噛み合い完了時を示す角度θ(=0°)までの角度幅より大きいことにより、本実施例の振動低減型噛合チェーン100のほうが比較例の噛合チェーン500より長い時間をかけて座屈規制部分152同士が噛み合っていることになるため、座屈規制部分152同士のほうが座屈規制部分551より外歯プレートの加速度の増大が抑制されてゆっくりと噛合動作を行っているといえ、座屈規制部分152同士間に発生する衝撃の抑制や、振動低減型噛合チェーン100の駆動時に発生しうる振動の抑制が実現されている。
また、本実施例の振動低減型噛合チェーン100が、比較例の噛合チェーン500に比べて重なり面積Jの最大値が小さいことに加えて、噛み合い完了時間際における重なり面積Jの増加率が小さいことにより、衝撃や振動の発生の一因となる重なり面積Jの急激な増大が抑制されているため、座屈規制部分同士間の衝撃の抑制や、噛合チェーンの駆動時に発生しうる振動を抑制している。
このようにして得られた本実施例の振動低減型噛合チェーン100は、左右一対で離間配置される内歯プレート110に前後一対のブシュ120を圧入嵌合してなる内リンクユニット130がチェーン幅方向の最も外側に配置される外歯プレート150の前後一対のピン孔に圧入嵌合する前後一対の連結ピン160によりチェーン長手方向に多数連結されていることにより、ブシュ120と噛合う一対の駆動用スプロケットSにそれぞれ対向配置させて偏向しながら相互に対向する内歯プレート110同士、中間歯プレート同士140、外歯プレート同士150をチェーン長手方向に半ピッチずらした状態で内歯プレート110のフック部分111同士、中間歯プレート140のフック部分141同士、外歯プレート150のフック部分151同士をそれぞれ噛み合わせると同時に内歯プレート110の座屈規制部分同士112、中間歯プレート140の座屈規制部分142同士、外歯プレート150の座屈規制部分152同士をそれぞれ接触させ、相互に噛み合った内歯プレート110同士、中間歯プレート140同士、外歯プレート150同士を一対の駆動用スプロケットSにより偏向させて内歯プレート110の座屈規制部分112同士、中間歯プレート140の座屈規制部分142同士、外歯プレート150の座屈規制部分152同士の接触を開放させると同時に内歯プレート110のフック部分111同士、中間歯プレート140のフック部分141同士、外歯プレート150のフック部分151同士をそれぞれ噛み外して分岐させるため、噛合チェーン稼動時における内歯プレート110、中間歯プレート140、外歯プレート150のガタつきを抑制して駆動騒音の発生を防止することができる。
そして、内歯プレート110、中間歯プレート140、外歯プレート150の座屈規制部分112、142、152が、内歯プレート110、中間歯プレート140、外歯プレート150のチェーン長手方向の一端に形成されたフック部分111、141、151に対してチェーン長手方向の他端に形成されているとともに内歯プレート110同士、中間歯プレート140同士、外歯プレート150同士を相互に接触させる複数の曲面152aをそれぞれ含んで構成されていることによって、従来のような平坦面から構成された座屈規制部分同士が相互に接触する場合に比べて、座屈規制部分112、142、152同士の噛み合い開始が早くなることで座屈規制部分112、142、152の噛い合い開始時から噛み合い完了時までの時間が長くなり、内歯プレート110、中間歯プレート140および外歯プレート150の加速度が減少するため、チェーン駆動時における座屈規制部分112、142、152同士の衝突と振動を抑制することができるとともに相互に噛み合った一対の噛合チェーン100の剛性を確保して優れた座屈強度を発揮することができる。
さらに、前述した座屈規制部分112、142、152が相互の面接触により干渉しながら弾性変形するように形成されていることにより、内歯プレート110、中間歯プレート140、外歯プレート150に負荷される衝撃や振動を一層抑制することができるなど、その効果は甚大である。
100 ・・・ 振動低減型噛合チェーン
110 ・・・ 内歯プレート
111 ・・・ フック部分
111a・・・ 湾曲状噛合誘導面
111b・・・ フック状噛合面
112 ・・・ 座屈規制部分
112a・・・ 曲面
112b・・・ 平坦面
120 ・・・ ブシュ
130 ・・・ 内リンクユニット
140 ・・・ 中間歯プレート
141 ・・・ フック部分
141a・・・ 湾曲状噛合誘導面
141b・・・ フック状噛合面
142 ・・・ 座屈規制部分
142a・・・ 曲面
142b・・・ 平坦面
150 ・・・ 外歯プレート
151 ・・・ フック部分
151a・・・ 湾曲状噛合誘導面
151b・・・ フック状噛合面
152 ・・・ 座屈規制部分
152a・・・ 曲面
152b・・・ 平坦面
160 ・・・ 連結ピン
170 ・・・ ローラ
E ・・・ 噛合チェーン式駆動装置
A ・・・ 昇降補助ガイド手段
A1 ・・・ インナーアーム
A2 ・・・ アウターアーム
B ・・・ チェーン収納ボックス
C ・・・ 駆動側スプロケット
D ・・・ 動力伝達チェーン
G ・・・ 同期ギア群
M ・・・ 駆動モータ
P ・・・ ベースプレート
R ・・・ スライドレール
S ・・・ 駆動用スプロケット
T ・・・ 昇降テーブル

Claims (3)

  1. 左右一対で離間配置される内歯プレートに前後一対のブシュを圧入嵌合してなる内リンクユニットがチェーン幅方向の最も外側に配置される外歯プレートの前後一対のピン孔に圧入嵌合する前後一対の連結ピンによりチェーン長手方向に多数連結され、前記ブシュと噛合う一対の駆動用スプロケットにそれぞれ対向配置させて偏向しながら相互に対向する内歯プレート同士および外歯プレート同士をチェーン長手方向に半ピッチずらした状態で内歯プレートのフック部分同士および外歯プレートのフック部分同士をそれぞれ噛み合わせると同時に内歯プレートの座屈規制部分同士および外歯プレートの座屈規制部分同士をそれぞれ接触させ、相互に噛み合った内歯プレート同士および外歯プレート同士を一対の駆動用スプロケットにより偏向させて内歯プレートの座屈規制部分同士および外歯プレートの座屈規制部分同士の接触を開放させると同時に内歯プレートのフック部分同士および外歯プレートのフック部分同士をそれぞれ噛み外して分岐させる振動低減型噛合チェーンにおいて、
    前記内歯プレートおよび外歯プレートの座屈規制部分が、前記内歯プレートおよび外歯プレートのチェーン長手方向の一端に形成されたフック部分に対してチェーン長手方向の他端に形成されているとともに前記内歯プレート同士および外歯プレート同士を相互に接触させて相互に反対側に膨出する少なくとも複数の曲面を含んでそれぞれ構成されていることを特徴とする振動低減型噛合チェーン。
  2. 前記座屈規制部分が、相互の面接触により干渉しながら弾性変形するように形成されていることを特徴とする請求項1記載の振動低減型噛合チェーン。
  3. 前記内歯プレートおよび外歯プレートの少なくとも座屈規制部分が、シェービング加工あるいはファインブランキング加工されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の振動低減型噛合チェーン。
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