JP2011136381A - 刃組立物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】円盤刃15と、軸から遠ざかる方向に突出するホルダー他方突出面を有し軸を中心に回転するホルダー303と、円盤刃の刃他方面とホルダー他方突出面とによって形成された凹溝381に嵌入される付勢手段341とを有してなり、凹溝の幅は軸からの距離の増加に応じた単調関数になり、付勢手段は、凹溝の単調関数部分において刃他方面及びホルダー他方突出面の両面に当接し該両面の間を拡げるように付勢することでホルダーに対して円盤刃を軸方向の一方側に向けて付勢する。刃当接面と付勢手段との間の静摩擦係数と、ホルダー当接面と付勢手段との間の静摩擦係数とのうち、いずれか大なる摩擦係数FHがいずれか小なる摩擦係数FLに対する比(FH/FL)が1.3以上である。
【選択図】図1
Description
特許文献1には、「長尺で広幅(例えば1m以上)に巻取られたフィルムを細幅に切断することは不可能であるため、シヤーカット方式、レザーカット方式、スコアーカット方式等種々の切断法によるスリッターが用いられるようになってきた。これらの方式のうちでは、切断精度の点などからシヤーカット方式が優れており広く採用されている。・・・・・シヤーカット方式は鋏と同じ原理であり、上下2枚の円形刃を1組にして噛み合ったところで切断する方法である。・・・・・シヤーカットは、図8に示すように、通常回転する円形片凌刃114aと円筒状刃114bとからなり、円形片凌刃114aは常にスプリング等により円筒状刃114bに接触しながらクリアランス零で切断するので切断面は非常にシャープに仕上がる。」(特許文献1の発明の詳細な説明中の段落番号0002〜0004)ことが示されている(特許文献1の円形片凌刃114aが本発明にいう第1円形刃に、そして円筒状刃114bが本発明にいう第2円形刃に、それぞれ該当する。)。
かかる特許文献1のカッター装置によれば、「薄物シートにおいても厚物シートにおいても一対の第1および第2円形片凌刃がシートの両面から切り込むことによりシート厚みの中央で切断されるので、切断面がシャープである上に、シート切断後巻取の際に巻取断面が不揃いとなることなく良好な切断面が得られる」(特許文献1の発明の詳細な説明中の段落番号0008)。
この特許文献1は本願出願人に係る特許出願であるが、これ以外にも本願出願人はカッター装置に関し、これまでに特許出願をしてきた(特許文献2〜4等)。
図9〜図11においては、上記の通り、第1軸(中心軸A)を中心に回転する第1円形刃321を含む第1刃組立物たる従来組立物501を示しているが、第1軸(中心軸A)と平行な第2軸を中心に回転し、第1円形刃321に第1軸(中心軸A)方向の一方側から当接する第2円形刃(図9〜図11においては、該一方は左であり、従って該一方側から当接するとは、図9〜図11においては矢印Bにて示すように左側から当接することを意味する。)は図示を省略している。従来組立物501は、第1円形刃321と図示しない第2円形刃との間で、薄膜状の被切断物を切断する。
回転シャフト301は、中心軸Aを軸とした半径rsの直円柱形状をした鋼製の丸棒によって形成されており、中心軸Aを中心に回転される。
ホルダー本体305は、中心軸Aを軸とした半径raの中空の直円柱形状をした小径部305aと、中心軸Aを軸とした半径rb(rb>ra)の中空の直円柱形状をした大径部305bと、小径部305aと大径部305bとを連結する中心軸Aを軸とした円錐台(半径rbの円形の大なる底面と、半径raの円形の小なる底面と、を有する)形状をした遷移部305cと、を一体に有してなる(ホルダー本体305は、回転シャフト301を貫通させるための中心軸Aを軸とした半径rf(rs<rf<ra)の直円柱形状を略した内部空間を有する。)。なお、図示は省略するが、大径部305bには、中心軸Aに対して垂直方向にネジ貫入用貫通穴(内面に雌ネジが螺刻されている)が穿設されており、該雌ネジに螺合する雄ネジが外周に螺刻された固定ネジがネジ貫入用貫通穴に嵌入され、該固定ネジの先端が回転シャフト301に当接することで回転シャフト301に対してホルダー303は固定されている。
係止リング309は、一部が切り欠かれた環状(アルファベットの「C」形状)のバネ鋼製のリングであり、この切欠を拡げるようにしてリング嵌入溝307に嵌入し装着することができる。
このホルダー本体305と第1円形刃321との間にホルダー303の外周を巡るように形成された環状溝381が形成されており(詳細には、第1円形刃321の主表面321bと、ホルダー本体305(主として遷移部305c)の外周面305sと、により形成される)、環状溝381の第1軸(中心軸A)に平行な幅Wは第1軸(中心軸A)からの距離の増加に応じた単調関数(ここでは、該距離の増加につれて一次関数に略従って幅Wが増加する略単調増加関数)になっている。
このようにリングスプリング341は、第1軸(中心軸A)に平行な幅Wが第1軸(中心軸A)からの距離の増加に応じた単調関数(ここでは単調増加関数)になっている環状溝381(凹溝)を構成する第1円形刃321の主表面321b(刃他方面)及びホルダー本体305(主として遷移部305c)の外周面305s(ホルダー他方突出面)の両面に当接し該両面の間を拡げるように付勢することでホルダー303に対して第1円形刃321を第1軸(中心軸A)方向の一方側(図9〜図11においては、該一方側は左側)に向けて付勢する付勢手段として機能する。
このようなリングスプリング341(付勢手段)の位置SP1と位置SP2との間での円滑な運動が妨げられることは、上述の通り、第1円形刃321と第2円形刃(不図示)との間の隙間(クリアランス)を常に零に保つことができないので、第1円形刃321と第2円形刃(不図示)との間で被切断物をシャープに切断することができない問題を生じたり、常に隙間(クリアランス)を零に保つためにリングスプリング341(付勢手段)の収縮力(付勢力)を強めた結果、第1円形刃321と第2円形刃(不図示)とが強く当たりすぎて刃を摩耗させたり傷める問題を生じうる。
本組立物は、第1円形刃(従来組立物501においては第1円形刃321)と、ホルダー(従来組立物501においてはホルダー303)と、付勢手段(従来組立物501においてはリングスプリング341)と、を有してなる。
第1円形刃は、円形の外縁を有する円盤状をなすものであり、両主表面を連絡するように形成された嵌入穴と、外周縁に形成された刃部と、を有する。
ホルダーに対し第1円形刃が第1軸方向に沿って所定範囲内でスライド自在になるように、ホルダーは、第1円形刃に形成された該嵌入穴に内嵌される。ホルダーはホルダー他方突出面を有する。ホルダー他方突出面は、ホルダーに外嵌された第1円形刃に対し第1軸方向の他方(前記一方とは反対)側において第1軸から遠ざかる方向に突出する。そして、ホルダーは、第1軸を中心に回転する。
付勢手段は凹溝に嵌入される。
凹溝は、刃他方面(第1円形刃の該両主表面のうち第1軸方向の他方(前記一方とは反対)側の面)と、ホルダー他方突出面と、によって形成される。
凹溝は単調関数部分を有する。単調関数部分は、第1軸に平行な幅が第1軸からの距離の増加に応じた単調関数になる部分である。なお、単調関数部分は、第1軸に平行な幅が第1軸からの距離の増加に応じた単調関数になればよく、該単調関数は、単調増加関数又は単調減少関数のいずれであってもよい。
付勢手段は、凹溝の単調関数部分を構成する刃他方面及びホルダー他方突出面の両面に当接し該両面(刃他方面及びホルダー他方突出面)の間を拡げるように付勢することによって、付勢手段は、ホルダーに対して第1円形刃を第1軸方向の一方側に向けて付勢する。
比(FH/FL)が1.3以上とされた本組立物においては、いずれか小なる摩擦係数FLを有する面を付勢手段が円滑かつ容易に摺動することで、いずれか大なる摩擦係数FHを有する面を付勢手段が転動等することを促進し(いずれか大なる摩擦係数FHを有する面を付勢手段が摺動することを要さない)、それによって第1円形刃やホルダーとの摩擦の影響が少なく付勢手段が円滑に運動することが可能になる。
この付勢手段の運動を円滑ならしめる点からは、比(FH/FL)は大きい方がよく、好ましくは2.5以上であり、より好ましくは3.5以上である。また、FHがあまり大きくなると、付勢手段に引っかかり等が生じる可能性があるので、その点からは比(FH/FL)は、好ましくは7.0以下である。
これらFH及びFLを構成する静摩擦係数F1及びF2は、いずれもJISK7125(プラスチック−フィルム及びシート−摩擦係数試験方法)に準じて計測する。詳述すれば、静摩擦係数F1は、付勢手段の表面と同じ表面(例えば、付勢手段表面と同じ材質によって形成され、付勢手段表面と同じ平滑性及び硬度を有する表面)を有する板又はシートが、刃他方面のうち付勢手段が当接する刃当接面と同じ表面(例えば、刃当接面と同じ材質によって形成され、刃当接面と同じ平滑性及び硬度を有する表面)を有する板又はシートの上を滑ることによって計測される静摩擦係数をF1とし、同様に、付勢手段の表面と同じ表面(例えば、付勢手段表面と同じ材質によって形成され、付勢手段表面と同じ平滑性及び硬度を有する表面)を有する板又はシートが、ホルダー他方突出面のうち付勢手段が当接するホルダー当接面と同じ表面(例えば、ホルダー当接面と同じ材質によって形成され、ホルダー当接面と同じ平滑性及び硬度を有する表面)を有する板又はシートの上を滑ることによって計測される静摩擦係数をF2としてもよい。
付勢手段は、凹溝の単調関数部分を構成する刃他方面及びホルダー他方突出面の両面に当接し該両面の間を拡げるように付勢することでホルダーに対して第1円形刃を第1軸方向の一方側に向けて付勢することができるものであれば、特に限定されず使用することができるが(例えば、環状のコイルばねや環状の伸縮性バンド(樹脂製やゴム製))等を例示できる。)、ホルダーを周回するように配設される環状のコイルばねを用いれば、ホルダーの周囲を取り囲むように装着されるので、確実に該両面に当接し該両面の間を拡げるように付勢することができる。
なお、凹溝が有する単調関数部分の第1軸に平行な幅が、第1軸からの距離に応じた該単調関数が単調増加関数であれば、付勢手段が該両面の間を拡げるように付勢するには、付勢手段が第1軸方向へ近づくように収縮力を発揮する引っ張りコイルばねとすればよく、該単調関数が単調減少関数であれば、付勢手段が該両面の間を拡げるように付勢するには、付勢手段が第1軸から遠ざかるように膨張力を発揮する圧縮コイルばねとすればよい。
とりわけ、該単調関数が単調増加関数の場合、ホルダーを周回するように配設され、その収縮力によって刃当接面とホルダー当接面との両面の間を拡げるように付勢する環状の引っ張りコイルばねを付勢手段とすれば、付勢手段たる引っ張りコイルばねの脱着を容易かつ確実に行うことができる。
凹溝が閉曲線に沿って連続して形成されれば、付勢手段が凹溝に保持されやすくなり、確実に付勢手段が刃当接面とホルダー当接面との両面に当接し該両面の間を拡げるよう付勢させることができる。
とりわけ付勢手段が、ホルダーを周回するように配設される環状のコイルばねであれば、閉曲線に沿って連続して形成される凹溝に沿って嵌入できるので、一層確実に付勢手段が凹溝に保持される。
本組立物においては、付勢手段が、ホルダーに対して第1円形刃を第1軸方向の一方側に向けて付勢するので、ホルダーに外嵌された第1円形刃がホルダーに対して該一方側に移動してホルダーから脱落することを防止するようにしてもよい。このためには、第1円形刃の前記両主表面のうち第1軸方向の該一方側の面に当接することによって、第1円形刃の第1軸方向の該一方側への更なる移動を制限する一方側移動制限手段をホルダーが有するようにしてもよい。
一方側移動制限手段は、第1円形刃の前記両主表面のうち第1軸方向の該一方側の面に当接することによって、第1円形刃の第1軸方向の該一方側への更なる移動を制限するものであり、そしてホルダー他方突出面は、第1円形刃に対して第1軸方向の他方側において第1軸から遠ざかる方向に突出するように形成されるので、これら一方側移動制限手段とホルダー他方突出面とが存在する状態ではホルダーに第1円形刃を脱着することが困難な場合がある。このためホルダーに第1円形刃を脱着する際、一方側移動制限手段を形成する部分と、ホルダー他方突出面を形成する部分と、が分離できるように別体として形成されてもよい。
本組立物においては、刃他方面のうち付勢手段が当接する刃当接面と付勢手段との間の静摩擦係数F1と、ホルダー他方突出面のうち付勢手段が当接するホルダー当接面と付勢手段との間の静摩擦係数F2と、を異ならせて、第1円形刃やホルダーとの摩擦の影響が少なく付勢手段の円滑な運動を可能ならしめるが、第1円形刃やホルダーを形成する材料は、ステンレス鋼や炭素鋼等といった鋼材が多用される。刃当接面及びホルダー他方突出面の両面がこのような鋼材によって形成される場合には、付勢手段(ステンレス鋼や炭素鋼等といった鋼材により形成されることが多い)に面する刃当接面の静摩擦係数F1及びホルダー当接面の静摩擦係数F2を大きく異ならせることは困難なことが多い。かかる点から、第1円形刃が、前記刃部が外周縁に形成された本体部(通常は、ステンレス鋼や炭素鋼等といった鋼材により形成されることが多い)と、本体部とは別材質にて形成され摩擦係数FLの刃当接面を構成する表面を有する低摩擦材質部と、を含んでなるようにすれば、刃に要求される性質(例えば、硬度や靭性等)を本体部が満たしつつ、摩擦係数FLの刃当接面を構成する表面を低摩擦材質部によって無理なく構成することができる。
なお、低摩擦材質部を形成する該別材質としては、本体部の表面よりも低い静摩擦係数を与えると共に必要な物理的性質(例えば、強度、安定性、耐熱性等)を満たすものであれば特に制限なく用いることができ、一例を挙げれば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のようなフッ素系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のようなポリエステル系樹脂、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン等のようなポリエチレン系樹脂、ナイロン6(ポリアミド6)、ナイロン66(ポリアミド66)、日本ポリペンコ株式会社製の商品名「MCナイロン」等のようなポリアミド系樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート等を例示できる。なお、これらの樹脂材料には滑剤等を添加することで、自己潤滑性を付与したものを用いてもよい。また、低摩擦材質部には付勢手段が摺接するので、高滑性、高耐摩耗性、高耐フィブリル性(付勢手段が摺接してもささくれ立つこと(フィブリル化)が少ないこと)等を有する材質とされることが好ましく、かかる点からはPTFE等のようなフッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール、超高分子量ポリエチレンが特に好ましい。
さらに、第1円形刃を構成する本体部と低摩擦材質部とは、分離された別個のものとされても、また接着、塗着、融着、焼付等によって一体のものとされても、いずれであってもよい。
本組立物においては、刃他方面のうち付勢手段が当接する刃当接面と付勢手段との間の静摩擦係数F1と、ホルダー他方突出面のうち付勢手段が当接するホルダー当接面と付勢手段との間の静摩擦係数F2と、を異ならせて、第1円形刃やホルダーとの摩擦の影響が少なく付勢手段の円滑な運動を可能ならしめるが、第1円形刃やホルダーを形成する材料は、ステンレス鋼や炭素鋼等といった鋼材が多用される。刃当接面及びホルダー他方突出面の両面がこのような鋼材によって形成される場合には、付勢手段(ステンレス鋼や炭素鋼等といった鋼材により形成されることが多い)に面する刃当接面の静摩擦係数F1及びホルダー当接面の静摩擦係数F2を大きく異ならせることは困難なことが多い。かかる点から、ホルダーが、第1円形刃の前記嵌入穴に内嵌される本体部(通常は、ステンレス鋼や炭素鋼等といった鋼材により形成されることが多い)と、本体部とは別材質にて形成され摩擦係数FLのホルダー当接面を構成する表面を有する低摩擦材質部と、を含んでなるようにすれば、ホルダーに要求される性質(例えば、硬度や靭性等)を本体部が満たしつつ、摩擦係数FLのホルダー当接面を構成する表面を低摩擦材質部によって無理なく構成することができる。
なお、低摩擦材質部を形成する該別材質としては、本体部の表面よりも低い静摩擦係数を与えると共に必要な物理的性質(例えば、強度、安定性、耐熱性等)を満たすものであれば特に制限なく用いることができ、前述の低摩擦材質刃当接面本組立物と同様の材料を例示できる。
さらに、ホルダーを構成する本体部と低摩擦材質部とは、分離された別個のものとされても、また接着、塗着、融着、焼付等によって一体のものとされても、いずれであってもよい。
低摩擦材質部は、低摩擦材質刃当接面本組立物及び低摩擦材質ホルダー当接面本組立物のいずれにおいても、いずれか小なる摩擦係数FLを有する面を形成し、いずれか小なる摩擦係数FLを有する該面を付勢手段が摺動するので、付勢手段の摺動等により低摩擦材質部は摩耗等しやすい。このため低摩擦材質部を本体部とは別体にしておき低摩擦材質部を必要に応じて交換可能にしておいてもよい。また、本体部とは別体の低摩擦材質部を、既存の第1刃組立物(例えば、従来組立物501)に取り付けることで、既存の第1刃組立物をそのまま使用して本組立物を構成することができる。
なお、低摩擦材質部を本体部とは別体にする場合、付勢手段が摺接しても低摩擦材質部が変形したり破壊しないような物理的強度を低摩擦材質部が有することが好ましく、付勢手段が摺接する方向に対して垂直方向の寸法(通常は厚み)は、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上とされてもよく、また逆に該寸法があまり大きいと低摩擦材質部を本体部に付設しにくいことから、通常、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下、とされてもよい。
図1は、一実施形態の本発明の第1刃組立物(以下、「第1本組立物」という。)11の断面図(回転シャフト301が回転する回転軸(中心軸A)を含む平面による断面(従来技術の説明にて参照した図9と同じ断面)を示している。)であり、図2は図1の矢印E部の拡大断面図(具体的には、図2(a)は第1円形刃15が位置P1に存しリングスプリング341が位置SP1に存する状態を示し、図2(b)は第1円形刃15が位置P2に存しリングスプリング341が位置SP2に存する状態を示している。なお、これら図2(a)及び(b)それぞれは従来技術の説明にて参照した図10及び図11と同じ断面である。)であり、そして図3は第1本組立物11に用いた樹脂シート13を示す図(具体的には、図3(a)は樹脂シート13の両主表面13a、13bのうち主表面13aに対して垂直な方向から見たところを示しており、図3(b)は図3(a)の矢印F方向から見たところを示している。)である。なお、第1本組立物11においては、第1円形刃15は、第1円形刃本体部16と樹脂シート13とによって形成されているが、第1円形刃本体部16は従来組立物における第1円形刃321と同様のものであるので、第1本組立物11は、従来技術として説明した第1刃組立物(従来組立物501)に比して、樹脂シート13を有することが異なるのみで、その余りについては従来組立物501と同様の構成を有している。なお、図1〜図3において、従来組立物と同じ要素については図9〜図11と同じ参照番号を付して示し、従来組立物における同様の説明はここでは省略する(必要があれば従来組立物の説明を参照されたい。)。
また、樹脂シート13(主表面13b)に当接するリングスプリング341は、ホルダー本体305の遷移部305c(ステンレス鋼製)の外周面305sにも当接している。
第1本組立物11においては、凹溝(環状溝381)が閉曲線(ここでは第1軸(中心軸A)に対して垂直な平面に存する第1軸(中心軸A)を中心とする円)に沿って連続して形成されるものである。
第1本組立物11においては、ホルダー303が、第1円形刃15の前記両主表面(主表面321aと主表面13b)のうち第1軸(中心軸A)方向の一方(図1及び図2中、左)側の面(主表面321a)に当接することで第1円形刃15の第1軸(中心軸A)方向の一方(図1及び図2中、左)側への更なる移動を制限する一方側移動制限手段(ここでは係止リング309)を有するものである。
第1本組立物11においては、一方側移動制限手段を形成する部分(係止リング309)と、ホルダー他方突出面(外周面305s)を形成する部分(ホルダー本体305)と、が別体にて形成されるものである。
第1本組立物11においては、第1円形刃15が、前記刃部323が外周縁に形成された本体部(第1円形刃本体部16)と、本体部(ステンレス鋼製の第1円形刃本体部16)とは別材質(PTFE)にて形成され摩擦係数FLの刃当接面(主表面13b)を構成する表面を有する低摩擦材質部(樹脂シート13)と、を含んでなる。また、低摩擦材質部(樹脂シート13)が本体部(第1円形刃本体部16)とは別体である。
図4は、他の一実施形態の本発明の第1刃組立物(以下、「第2本組立物」という。)21の断面図(回転シャフト301が回転する回転軸(中心軸A)を含む平面による断面(従来技術の説明にて参照した図9と同じ断面)を示している。)であり、図5は図4の矢印G部の拡大断面図(具体的には、図5(a)は第1円形刃321が位置P1に存しリングスプリング341が位置SP1に存する状態を示し、図5(b)は第1円形刃321が位置P2に存しリングスプリング341が位置SP2に存する状態を示している。なお、これら図5(a)及び(b)は従来技術の説明にて参照した図10及び図11と同じ断面である。)であり、そして図6は第2本組立物21に用いた樹脂リング23を示す図(具体的には、図6(a)は樹脂リング23の軸Yに沿った方向から見たところを示しており、図6(b)は図6(a)のJ−J断面を示している。)である。なお、第2本組立物21においては、ホルダー24が、ホルダー本体部25と、ホルダー本体部25(後述の小径部25a)の外周を巡るように環状に形成されたリング嵌入溝25nに嵌入された係止リング29と、ステンレス鋼製のホルダー本体部25とは別のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)にて形成された樹脂リング23と、を有してなる。第2本組立物21は、従来技術として説明した第1刃組立物(従来組立物501)に比して、ホルダー24が樹脂リング23を有することが異なるのみで、その余りについては従来組立物501と同様の構成を有している。なお、図4〜図6において、従来組立物と同じ要素については図9〜図11と同じ参照番号を付して示し、従来組立物と同じ説明はここでは省略する(必要があれば従来組立物の説明を参照されたい。)。
係止リング29は、一部が切り欠かれた環状(アルファベットの「C」形状)のバネ鋼製のリングであり、この切欠を拡げるようにしてリング嵌入溝25nに嵌入し装着することができる。
ここでは樹脂リング23はホルダー本体部25に接着して取り付けられることで、中心軸Aを中心に回転シャフト301が回転されることに伴って、樹脂リング23はホルダー本体部25と一緒に中心軸A(軸Y)を中心に回転される。
なお、樹脂リング23とホルダー本体部25とが一体になった形状は、上述のホルダー本体305と同様の形状を形成している。
また、樹脂リング23の側面23aに当接するリングスプリング341は、第1円形刃321の主表面321b(ステンレス鋼製)にも当接している。
第2本組立物21においては、凹溝(環状溝381)が閉曲線(第1軸(中心軸A)に対して垂直な平面に存する第1軸(中心軸A)を中心とする円)に沿って連続して形成されるものである。
第2本組立物21においては、ホルダー24が、第1円形刃321の前記両主表面321a、321bのうち第1軸(中心軸A)方向の一方(図4及び図5中、左)側の面(主表面321a)に当接することで第1円形刃321の第1軸(中心軸A)方向の一方(図4及び図5中、左)側への更なる移動を制限する一方側移動制限手段(ここでは係止リング29)を有するものである。
第2本組立物21においては、一方側移動制限手段を形成する部分(係止リング29)と、ホルダー他方突出面(樹脂リング23の側面23a)を形成する部分(樹脂リング23)と、が別体にて形成されるものである。
第2本組立物21においては、ホルダー24が、第1円形刃321の前記嵌入穴に内嵌される本体部(ホルダー本体部25)と、本体部(ステンレス鋼製のホルダー本体部25)とは別材質(PTFE)にて形成され摩擦係数FLのホルダー当接面(樹脂リング23の側面23aの一部)を構成する表面(樹脂リング23の側面23a)を有する低摩擦材質部(樹脂リング23)と、を含んでなる。また、ここでは低摩擦材質部(樹脂リング23)が本体部(ホルダー本体部25)とは別体である。
図7は、別の一実施形態の本発明の第1刃組立物(以下、「第3本組立物」という。)31の一部省略断面図(回転シャフト301が回転する回転軸(中心軸A)を含む平面による断面を示している)である。図7を参照して、第3本組立物31について説明する。
第3本組立物31は、第1本組立物11における第1円形刃15(第1円形刃本体部16と樹脂シート13とによって構成される。)と同じ第1円形刃15を有しており、第1本組立物11に比してホルダー401が異なるのみであるので、ここでは主としてホルダー401について説明し第1本組立物11と同様の第1円形刃15についての説明は省略する(必要があれば、第1本組立物11の第1円形刃15についての説明を参照されたい。)。
ホルダー本体405は、中心軸Aを軸とした半径rjの中空の直円柱形状をした小径部405aと、中心軸Aを軸とした半径rk(rk>rj)の中空の直円柱形状をした大径部405bと、小径部405aと大径部405bとを連結する中心軸Aを軸とした半径rmの中空の直円柱形状をした中径部405c(rj<rm<rk)と、を一体に有してなる(ホルダー本体405は、外半径rsの回転シャフト301を貫通させるための中心軸Aを軸とした半径rf(rs<rf<rj)の直円柱形状を略した内部空間を有する。)。なお、図示は省略するが、大径部405bには、中心軸Aに対して垂直方向にネジ貫入用貫通穴(内面に雌ネジが螺刻されている)が穿設されており、該雌ネジに螺合する雄ネジが外周に螺刻された固定ネジがネジ貫入用貫通穴に嵌入され、該固定ネジの先端が回転シャフト301に当接することで回転シャフト301に対してホルダー401は固定されている。
係止板409は、中心軸Aを軸とした半径rk(大径部405b半径と同じ)の大なる底面と、中心軸Aを軸とした半径rn(rm<rn<rk)の小なる底面と、を有する高さT(厚み。なお、Tは小径部405aの中心軸A方向に沿った寸法と同じにされている。)の中心軸Aを軸とする(直)円錐台形状の円盤部材に、中心軸Aを軸とした半径rjよりもやや大きな半径の直円柱形状を略有する中心穴を穿設されることで形成されている。そして、係止板409は、半径rnの底面が中径部405cに面すると共に、該中心穴に小径部405aが嵌入された状態で、図示しない固定ネジによってホルダー本体405に取り付けられている。
第1円形刃15は、第1円形刃本体部16と樹脂シート13とを貫通するように形成された中心穴にホルダー本体405の中径部405cが貫通するように内嵌されている。該中心穴の内半径rh2は、大径部405bの外半径rkよりも小さく、かつここでは係止板409が有する前記小なる底面の半径rnよりも小さいので、第1円形刃15は中心軸Aに沿った方向に関しては大径部405bと係止板409との間にスライド自在に保持される。なお、図7には、第1円形刃15が大径部405b側に最もスライドした状態(大径部405bに当接している。以下、位置P1という。また、このときのリングスプリング341の位置を位置SP1という。)を示しているが、第1円形刃15が係止板409側に最もスライドした状態(係止板409に当接)を位置P2(このときのリングスプリング341の位置を位置SP2という。)として説明する。
第1本組立物11と同様のリングスプリング341が、環状溝481に嵌入されており、リングスプリング341が位置SP1から位置SP2までのいずれの位置に存しても、常にリングスプリング341と第1円形刃本体部16との間に樹脂シート13(PTFE製)が挟持され介在した状態になっている(即ち、リングスプリング341は、樹脂シート13の主表面13bに当接するが、第1円形刃本体部16の表面に接触することはない。)。また、樹脂シート13に当接するリングスプリング341は、係止板409の拡径面409c(ステンレス鋼製)にも当接している。
第3本組立物31においては、凹溝(環状溝481)が閉曲線(第1軸(中心軸A)に対して垂直な平面に存する第1軸(中心軸A)を中心とする円)に沿って連続して形成されるものである。
第3本組立物31においては、ホルダー401が、第1円形刃15の前記両主表面(主表面321aと主表面13b)のうち第1軸(中心軸A)方向の一方(図7では左)側の面(主表面321a)に当接することで第1円形刃15の第1軸(中心軸A)方向の一方(図7では左)側への更なる移動を制限する一方側移動制限手段(大径部405b)を有するものである。
第3本組立物31においては、一方側移動制限手段(大径部405b)を形成する部分(ホルダー本体405)と、ホルダー他方突出面(係止板409の表面)を形成する部分(係止板409)と、が別体にて形成されるものである。
第3本組立物31においては、第1円形刃15が、前記刃部323が外周縁に形成された本体部(第1円形刃本体部16)と、本体部(ステンレス鋼製の第1円形刃本体部16)とは別材質(PTFE)にて形成され摩擦係数FLの刃当接面(主表面13bの一部)を構成する表面(主表面13b)を有する低摩擦材質部(樹脂シート13)と、を含んでなる。また、低摩擦材質部(樹脂シート13)が本体部(第1円形刃本体部16)とは別体である。
図8は、更なる別の一実施形態の本発明の第1刃組立物(以下、「第4本組立物」という。)41の一部省略断面図(回転シャフト301が回転する回転軸(中心軸A)を含む平面による断面を示している)である。図8を参照して、第4本組立物41について説明する。
第4本組立物41は、第3本組立物31における第1円形刃15の樹脂シート13が取り除かれ(第3本組立物31における第1円形刃本体部16と同様のものを第4実施形態では第1円形刃321として示している。)、その代わりにホルダー401の係止板409の拡径面409cに樹脂シート421が貼着されたことが異なるのみで、その余りは第3本組立物31と同様である。このためここでは主として第3本組立物31と異なる点について説明し、第3本組立物31と同様の説明は省略する(図8中にて、図7における第3本組立物31と同様の要素には同じ番号を付すことで、重複する説明は省略する。必要があれば第3本組立物31の説明を参照されたい。)。
樹脂シート421は、拡径面409cを丁度覆うような形状に形成されたPTFE製の薄いシートによって構成されており、拡径面409cに接着により固定されている。
第3本組立物31と同様のリングスプリング341が、環状溝491に嵌入されており、リングスプリング341が位置SP1から位置SP2までのいずれの位置に存しても、常にリングスプリング341と係止板409との間に樹脂シート421(PTFE製)が介在した状態になっている(即ち、リングスプリング341は、樹脂シート421の主表面に当接するが、係止板409の表面に接触することはない。)。また、樹脂シート421に当接するリングスプリング341は、第1円形刃321の主表面321b(ステンレス鋼製)にも当接している。
第4本組立物41においては、凹溝(環状溝491)が閉曲線(第1軸(中心軸A)に対して垂直な平面に存する第1軸(中心軸A)を中心とする円)に沿って連続して形成されるものである。
第4本組立物41においては、ホルダー401が、第1円形刃321の前記両主表面321a、321bのうち第1軸(中心軸A)方向の一方(図8では左)側の面(主表面321a)に当接することで第1円形刃321の第1軸(中心軸A)方向の一方(図8では左)側への更なる移動を制限する一方側移動制限手段(大径部405b)を有するものである。
第4本組立物41においては、一方側移動制限手段(大径部405b)を形成する部分(ホルダー本体405)と、ホルダー他方突出面(係止板409の表面及び樹脂シート421の表面)を形成する部分(係止板409及び樹脂シート421)と、が別体にて形成されるものである。
第4本組立物41においては、ホルダー401が、第1円形刃321の前記嵌入穴に内嵌される本体部(ホルダー本体405と係止板409)と、本体部(ステンレス鋼製のホルダー本体405及び係止板409)とは別材質(PTFE)にて形成され摩擦係数FLのホルダー当接面(樹脂シート421の表面)を構成する表面を有する低摩擦材質部(樹脂シート421)と、を含んでなる。また、低摩擦材質部(樹脂シート421)が本体部(ホルダー本体405と係止板409)とは別体である。
図9〜図11に示した従来組立物501と第1本組立物11とを交換しつつ、同一条件により該樹脂フィルムを切断したところ、従来組立物501に比して第1本組立物11の場合は、切断縁がきれいで、かつ第1円形刃及び第2円形刃の傷みが少なく長寿命であった。また、従来組立物501は刃当接面及びホルダー当接面に明らかな摩耗が観察されたのに対し、第1本組立物11は刃当接面及びホルダー当接面ともにほとんど摩耗は観察されなかった。
同様に、図9〜図11に示した従来組立物501と第2本組立物21とを交換しつつ、同一条件により該樹脂フィルムを切断したところ、従来組立物501に比して第2本組立物21の場合は、切断縁がきれいで、かつ第1円形刃及び第2円形刃の傷みが少なく長寿命であった。また、従来組立物501は刃当接面及びホルダー当接面に明らかな摩耗が観察されたのに対し、第2本組立物21は刃当接面及びホルダー当接面ともにほとんど摩耗は観察されなかった。
そして、第3本組立物31の第1円形刃15から樹脂シート13を取り除いた組立物と、第3本組立物31と、を交換しつつ、同一条件により該樹脂フィルムを切断したところ、樹脂シート13を取り除いた組立物に比して第3本組立物31の場合は、切断縁がきれいで、かつ第1円形刃及び第2円形刃の傷みが少なく長寿命であった。また、従来組立物501は刃当接面及びホルダー当接面に明らかな摩耗が観察されたのに対し、第3本組立物31は刃当接面及びホルダー当接面ともにほとんど摩耗は観察されなかった。
さらに、第4本組立物41から樹脂シート421を取り除いた組立物と、第4本組立物41と、を交換しつつ、同一条件により該樹脂フィルムを切断したところ、樹脂シート421を取り除いた組立物に比して第4本組立物41の場合は、切断縁がきれいで、かつ第1円形刃及び第2円形刃の傷みが少なく長寿命であった。また、従来組立物501は刃当接面及びホルダー当接面に明らかな摩耗が観察されたのに対し、第4本組立物41は刃当接面及びホルダー当接面ともにほとんど摩耗は観察されなかった。
そして、比較例として、第1の実施形態におけるPTFE製のシート(厚み0.4mm)をポリ塩化ビニル製のシート(厚み0.4mm)に変えて、上記と同様に前記樹脂フィルムを切断したところ、切断面のきれいさや、第1円形刃や第2円形刃の傷みや、刃当接面及びホルダー当接面の摩耗は従来組立物501で切断した場合に比べ、あまり改善されていなかった。この時、ポリ塩化ビニル製シートの上をスプリングリングを構成する鋼が滑る場合の静摩擦係数は0.45であり、FL=0.45、FH=0.52となり、FH/FL=1.56であった。
また、第1の実施形態におけるPTFE製のシート(厚み0.4mm)をナイロン66製のシート(厚み0.4mm)に変えて、該樹脂フィルムを切断したところ、従来組立物501に比べ、切断面のきれいさや、第1円形刃や第2円形刃の傷みや、刃当接面及びホルダー当接面の摩耗は改善されたが、PTFE製のシートを使用した時ほど長寿命ではなかった。この時、ナイロン66製シートの上をスプリングリングを構成する鋼が滑る場合の静摩擦係数は0.37であり、FL=0.37、FH=0.52となり、FH/FL=1.41であった。
さらに、第1の実施形態におけるPTFE製のシート(厚み0.4mm)をポリアセタール製のシート(厚み0.4mm)に変えて、該樹脂フィルムを切断したところ、切断面はきれいで、各部位の摩耗や傷みも少なく、寿命もPTFE製シートを使用した場合と遜色がなかった。この時、ポリアセタール製シートの上をスプリングリングを構成する鋼が滑る場合の静摩擦係数は0.14であり、FL=0.14、FH=0.52となり、FH/FL=3.71であった。
加えて、上記の第1の実施形態における比較例と同様に、第2〜第4の実施形態における比較例を行ったところ、第1の実施形態における比較例と同様の結果が得られた。
図12を参照しつつ説明すれば、第1円形刃201及び第2円形刃202が回転し被切断物を切断する際には、第1円形刃201とホルダ間に介在させたリングスプリングにより第1円形刃面を第2円形刃202方向に付勢して第1円形刃面を第2円形刃面に対してうまく追従させることで該隙間(クリアランス)を常に零に保つものであるので、第1円形刃201が円滑に運動できるよう(イ)第1円形刃201、ホルダー及びリングスプリング同士が円滑に摺動可能である必要がある。
そして、第1円形刃201及び第2円形刃202が回転し被切断物を切断する際には第1円形刃201にブレが生じるので、第1円形刃201と第2円形刃202との間の隙間(クリアランス)はリングスプリングの付勢力が大きい方が生じにくくなることから、ブレの影響を減少させる点からはリングスプリングの付勢力が大きい方が好ましい(図12(c)よりも図12(a)の方がブレが少ない)。しかしながら、リングスプリングの付勢力をあまり大きくすると(図12(b))、ブレは少なくなるものの、機械的摩擦が大きくなり第1円形刃201や第2円形刃202の摩耗速度が増大したり、第1円形刃201の変形が大きくなることで逆に該隙間(クリアランス)が生じる等の問題が生じることから、該隙間(クリアランス)を常に零に保つには、図12(a)に示すように(ロ)リングスプリングの付勢力を適切な範囲に保持する必要がある。
そして本組立物においては、リングスプリングが、摩擦の小さな面を摺動すると共に摩擦の大きな面を転動することによって、リングスプリング、第1円形刃及びホルダー相互間での摩耗が少ない。この摩耗が生じると、摩耗により生じた窪み(摩耗によって削られた部分)や摩耗粉に他のものが引っかかりを生じることから、第1円形刃面を第2円形刃面に対して追従させるためには第1円形刃面を第2円形刃202方向に付勢する付勢力を増加させざるを得ず(これによって図12(b)のような状態を招き、さらに摩耗を促進させてしまう。)、リングスプリングの付勢力を適切な範囲に保持できなくなる。上記の通り、本組立物においてはこの摩耗が少ないことから、(ロ)リングスプリングの付勢力を適切な範囲に長時間保持することができる。
以上の通り本組立物においては、(イ)第1円形刃201、ホルダー及びリングスプリング同士が円滑に摺動可能であると共に、(ロ)リングスプリングの付勢力を適切な範囲に長時間保持することができることから、被切断物を長時間にわたり切れ味よくシャープに切断することができる。
また、本組立物において摩耗粉(通常は金属粉)の発生が少ないことは、(A)被切断物への摩耗粉(異物)の付着が少なく、被切断物への異物混入問題を防止又は減少させ、(B)リングスプリング、第1円形刃及びホルダー互いの摺動面に摩耗粉が付着することで、摺動面の摩耗を促進することを防止又は減少させ(保守点検の手間を減少させると共に長寿命化をはかる)、(C)摩耗粉が摺動面に付着することでリングスプリングの円滑な運動を妨げることが少ない、という利点を有する。
13 樹脂シート
13a、13b 主表面
15 第1円形刃
16 第1円形刃本体部
21 第2本組立物
23 樹脂リング
23a 側面
23c 内部空間
24 ホルダー
25 ホルダー本体部
25a 小径部
25b 大径部
25n リング嵌入溝
29 係止リング
31 第3本組立物
41 第4本組立物
201 第1円形刃
202 第2円形刃
301 回転シャフト
303 ホルダー
305 ホルダー本体
305a 小径部
305b 大径部
305c 遷移部
305s 外周面
307 リング嵌入溝
309 係止リング
321 第1円形刃
321a、321b 主表面
323 刃部
341 リングスプリング
381 環状溝
401 ホルダー
405 ホルダー本体
405a 小径部
405b 大径部
405c 中径部
409 係止板
409c 拡径面
421 樹脂シート
481 環状溝
491 環状溝
501 従来組立物
Claims (9)
- 第1軸を中心に回転する第1円形刃を含む第1刃組立物と、第1軸と平行な第2軸を中心に回転し、第1円形刃に第1軸方向の一方側から当接する第2円形刃と、を備え、第1円形刃と第2円形刃との間で被切断物を切断する切断装置に用いる第1刃組立物であって、
両主表面を連絡するように形成された嵌入穴と、外周縁に形成された刃部と、を有する円盤状の第1円形刃と、
第1円形刃が第1軸方向に沿って所定範囲内でスライド自在に該嵌入穴に内嵌され、第1円形刃に対して第1軸方向の他方側において第1軸から遠ざかる方向に突出するように形成されたホルダー他方突出面を有し、第1軸を中心に回転するホルダーと、
第1円形刃の該両主表面のうち第1軸方向の他方側の面である刃他方面と、ホルダー他方突出面と、によって形成された凹溝に嵌入される付勢手段と、
を有してなり、
凹溝は、第1軸に平行な幅が第1軸からの距離の増加に応じた単調関数になる単調関数部分を有し、
付勢手段は、凹溝の単調関数部分を構成する刃他方面及びホルダー他方突出面の両面に当接し該両面の間を拡げるように付勢することでホルダーに対して第1円形刃を第1軸方向の一方側に向けて付勢し、
刃他方面のうち付勢手段が当接する刃当接面と付勢手段との間の静摩擦係数と、ホルダー他方突出面のうち付勢手段が当接するホルダー当接面と付勢手段との間の静摩擦係数と、のうちいずれか大なる摩擦係数FHがいずれか小なる摩擦係数FLに対する比(FH/FL)が1.3以上である、第1刃組立物。 - 前記単調関数が単調増加関数であり、
付勢手段が、ホルダーを周回するように配設され、その収縮力によって刃当接面とホルダー当接面との両面の間を拡げるように付勢する環状の引っ張りコイルばねである、請求項1に記載の第1刃組立物。 - 凹溝が閉曲線に沿って連続して形成されるものである、請求項1又は2に記載の第1刃組立物。
- ホルダーが、第1円形刃の前記両主表面のうち第1軸方向の一方側の面に当接することで第1円形刃の第1軸方向の一方側への更なる移動を制限する一方側移動制限手段を有するものである、請求項1乃至3のいずれか1に記載の第1刃組立物。
- 一方側移動制限手段を形成する部分と、ホルダー他方突出面を形成する部分と、が別体にて形成されるものである、請求項4に記載の第1刃組立物。
- 第1円形刃が、前記刃部が外周縁に形成された本体部と、本体部とは別材質にて形成され摩擦係数FLの刃当接面を構成する表面を有する低摩擦材質部と、を含んでなる、請求項1乃至5のいずれか1に記載の第1刃組立物。
- ホルダーが、第1円形刃の前記嵌入穴に内嵌される本体部と、本体部とは別材質にて形成され摩擦係数FLのホルダー当接面を構成する表面を有する低摩擦材質部と、を含んでなる、請求項1乃至5のいずれか1に記載の第1刃組立物。
- 低摩擦材質部が本体部とは別体である、請求項6又は7に記載の第1刃組立物。
- 請求項8に記載の低摩擦材質部。
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