JP2011134590A - イオンビーム加工装置 - Google Patents

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陽 今泉
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Abstract

【課題】ニュートラライザの寿命を向上させるとともに、被加工物の帯電を効果的に除去し、ビーム加工位置を長時間に亘って安定させて成果物の品質を向上させる。
【解決手段】ニュートラライザ102は、印加される電圧Vに応じた照射量の電子を被加工物に照射する。変位量算出部125は、被加工物の目標加工位置を基準とするビーム加工位置の変位量ΔGを算出する。電圧値設定部126は、変位量算出部125で算出された変位量ΔGが所定閾値を上回った場合、ニュートラライザ102に印加する電圧の電圧値V を、被加工物の中和に必要な荷電粒子の照射量となる第1電圧値に設定する。また、電圧値設定部126は、変位量ΔGが所定閾値を下回った場合、電圧値V を、第1電圧値よりも低い第2電圧値に設定する。電源部112bは、電圧値設定部126にて設定された電圧値V に対応する電圧Vをニュートラライザ102に印加する。
【選択図】図2

Description

本発明は、イオンビームで光学ガラス表面などの被加工物を加工するイオンビーム加工装置に関するものである。
従来の超精密面加工用のイオンビーム加工装置においては、Ar等のガスからプラズマを生成するイオン源と、イオン源からイオンビームを引き出すための引出電極とを有して構成されるイオンビームガンが利用される。さらに、イオンビーム加工装置は、出射されたイオンビームにより表面が加工される被加工物が収容される加工用真空チャンバと、任意の位置を加工できるように被加工物を位置決め制御するステージとを備えている。ステージを駆動して、被加工物全面をビーム走査することにより、大面積の精密面加工が実施される。
このようなビーム加工装置においては、イオンビームの持つ電荷が被加工物表面に帯電し、帯電により被加工物表面が破損したり、電荷の存在によりイオンビームが曲げられてビーム照射位置がずれたりする等の問題が発生する。そのため、このようなイオンビーム加工装置には、イオンビームの持つ電荷と逆極性の荷電粒子を被加工物に照射して被加工物表面を中性化するニュートラライザが設置されている。この種のニュートラライザとして、フィラメントから熱電子を放出するものや、マイクロ波放電によりプラズマを発生させ、このプラズマから電子を放出するものが知られている(特許文献1参照)。
特開昭63−157887号公報
しかし、被加工物の帯電量を直接測定することは困難であるので、イオンビームが被加工物の帯電により斥力を受けて軌道が曲がらないようにニュートラライザを常に高出力で動作させる必要がある。上述したイオンビーム加工装置により、光学ガラス表面のような超精密大面積加工を実施する場合、ビームによる単位時間あたりの加工量が微量であることから、全面を加工するには長い加工時間を必要とする。このような場合、ニュートラライザを長時間に亘って動作させることとなる。このように、ニュートラライザを長時間に亘って高出力で動作させると、ニュートラライザが過熱し、出力が低下することがあった。そして、ニュートラライザの出力にムラがあると、被加工物の中和不足が生じる場合があり、イオンビームによる被加工物のビーム加工位置が安定しないという問題があった。さらに、ニュートラライザを長時間に亘って高出力で動作させると、ニュートラライザの劣化が激しくなり、寿命が短くなるという問題があった。
例えば、フィラメントを利用したニュートラライザにおいては、フィラメントに流れる電流値を高め、長時間に亘って過熱すると、フィラメントの消耗が激しくなり、ニュートラライザの寿命が短くなる。また、フィラメントの過熱、劣化に伴い、熱電子放出量にムラが生じてしまうため、被加工物の中和不足が生じる。マイクロ波放電を利用したニュートラライザにおいては、マイクロ波電力の増大に伴いイオン運動が活発となり、ニュートラライザの筐体内面をスパッタする作用が発生する。そのため、スパッタされたニュートラライザ構成材料がマイクロ波導入窓に付着し、マイクロ波導入効率の低下を引き起こし、ニュートラライザの寿命が短くなる。
そこで、本発明は、ニュートラライザの寿命を向上させるとともに、被加工物の帯電を効果的に除去し、ビーム加工位置を長時間に亘って安定させて成果物の品質を向上させることができるイオンビーム加工装置を提供することを目的とする。
本発明は、イオンビームを出射するイオン出射部を備え、前記イオン出射部により出射されたイオンビームを被加工物に照射して前記被加工物の加工を行うイオンビーム加工装置において、イオンビームが照射される前記被加工物のビーム加工位置を検出する検出部と、イオンビームとは逆極性であって、印加される電圧に応じた照射量の荷電粒子を、前記被加工物に照射するニュートラライザと、前記被加工物の目標加工位置を基準とする前記ビーム加工位置の変位量を算出する変位量算出部と、前記変位量算出部で算出された変位量が所定閾値を上回った場合、前記ニュートラライザに印加する電圧の電圧値を、前記被加工物の中和に必要な荷電粒子の照射量となる第1電圧値に設定し、前記変位量が前記所定閾値を下回った場合、前記電圧値を、前記第1電圧値よりも低い第2電圧値に設定するニュートラライザ用の電圧値設定部と、前記ニュートラライザ用の電圧値設定部にて設定された電圧値に対応する電圧を前記ニュートラライザに印加するニュートラライザ用の電圧印加部と、を備えたことを特徴とするものである。
本発明によれば、変位量が所定閾値を上回る場合は、被加工物の中和に必要な照射量で荷電粒子が被加工物に照射される。したがって、被加工物の帯電が効果的に除去され、ビーム加工位置のズレを防止することができ、被加工物の加工面形状を精度良く創成することが可能となる。さらに、変位量が所定閾値を下回る場合には、変位量が所定閾値を上回るときよりもニュートラライザに印加される電圧が低くなるので、荷電粒子の照射量が減少する。したがって、被加工物の帯電の除去が必要ないときには、ニュートラライザの出力が低下され、ニュートラライザが常に高出力で動作するのを回避することができるので、ニュートラライザの寿命を向上させることができる。ゆえに、ニュートラライザの出力が長時間に亘って安定し、ビーム加工位置が長時間に亘って安定するので、成果物の品質を向上させることができる。
本発明の実施の形態に係るイオンビーム加工装置の概略構成を示す説明図である。 イオンビーム加工装置の演算装置の機能ブロック図である。 図2のニュートラライザ用の電圧値設定部における制御動作を示すフローチャートを示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るイオンビーム加工装置の概略構成を示す説明図である。図1に示すイオンビーム加工装置100は、イオンビームIを被加工物Wに照射して被加工物Wの加工を行うものである。被加工物Wは、例えばレンズとなる石英等の絶縁体である。このイオンビーム加工装置100は、イオンビームIを出射するイオン出射部であるイオンビームガン101と、被加工物WにイオンビームIとは逆極性の荷電粒子を照射するニュートラライザ102とを備えている。イオンビームガン101によりイオンビームIを被加工物Wに照射することにより、被加工物Wの加工が行われる。本実施の形態では、イオンビームガン101は、Arのプラズマを生成してArの正イオンのイオンビームIを照射する。従って、ニュートラライザ102は、被加工物Wに荷電粒子として電子を照射する。これにより、ニュートラライザ102は、イオンビームIによる加工点付近の帯電を中和する。このニュートラライザ102は、フィラメント102aを有し、フィラメント102aに電圧が印加されて電流が流れることにより、フィラメント102aから熱電子が放出される。そして、ニュートラライザ102は、この印加される電圧の大きさに応じた照射量の電子を放出し、被加工物Wに照射する。
イオンビームガン101、ニュートラライザ102及び被加工物Wは、真空チャンバ103内に配置されている。イオンビームガン101及びニュートラライザ102は、真空チャンバ103に固定され、被加工物Wは、イオンビームガン101のビームライン上に配置された移動ステージ104に載置される。移動ステージ104は、XYZの並進3軸、及び回転2軸の5軸ステージである。この移動ステージ104により被加工物Wを移動させることにより、被加工物Wの表面にイオンビームIが走査され、被加工物Wの表面全体がイオンビームIによって加工される。このとき、移動ステージ104の動作によりイオンビームガン101と、イオンビームガン101のイオンビーム出射方向の直線上に位置する被加工物Wの目標加工位置との距離Lは、一定に保持される。
また、イオンビーム加工装置100は、被加工物Wを撮像し、被加工物Wのビーム加工位置Pの発光を検出する検出部としてのCCDカメラ105を備えている。このCCDカメラ105は、光学レンズ105aとCCD素子105bとを有し、光学レンズ105aは、目標加工位置に焦点が合わせられている。この光学レンズ105aにより被加工物Wのビーム加工位置Pの発光光がCCD素子105bに結像され、CCD素子105bによりビーム加工位置Pが検出される。このように、イオンビーム加工において、イオンビームIが被加工物Wに照射された際に、被加工物Wの構成分子との相互作用により発生する2次光を検出することでビーム加工位置Pのインプロセス検出を行う。このCCDカメラ105は、真空チャンバ103の外部に配置され、真空チャンバ103には、外部からビーム加工位置Pの発光を検出できるようにビューポート106が設置されている。なお、このCCD素子105bの代わりに、2次元PSD素子を用いてもよい。
イオンビームガン101によりイオンビームIを被加工物Wの表面に照射すると、被加工物Wの表面が加工される。このときの被加工物Wのビーム加工位置Pにおける発光プロファイルは、照射するイオンビームIのビームプロファイルと相似な形状となる。本実施の形態では、イオンビームIのプロファイルはガウス分布となっており、ビーム直径はピーク値に対する半値幅で2mm程度となっている。半値幅2mmのビームをCCDカメラ105のCCD素子105bに結像して位置検出を行う場合、光学レンズ105aがCCD素子105bのサイズに対して1/2程度のサイズのスポット径となるように拡大する。本実施の形態において使用するCCD素子105bのサイズは8mm×8mmで、素子数は1000×1000であるため、光学レンズ105aは×2倍の拡大光学系を使用する。CCD素子105bからは12ビットパラレルLVDS信号として各画素の輝度情報が出力される。つまり、CCDカメラ105によりビーム加工位置Pの情報を含む画像が取得される。
ところで、真空チャンバ103内は、イオンビームガン101及びニュートラライザ102への通電による電磁場の変動があり、イオンビームIの軌道が電磁場の影響で曲がってしまうため、イオンビームIによる加工を高精度に行うために補正する必要がある。そこで、本実施の形態では、イオンビーム加工装置100は、イオンビームガン101により出射されたイオンビームIを偏向するビーム偏向部107を備えている。このビーム偏向部107は、イオンビームガン101と被加工物Wとの間のビームライン上に配置され、電圧が印加される。これにより、ビーム偏向部107は、イオンビームガン101のイオンビーム出口近傍に電界又は磁界を発生させ、印加された電圧、即ち、発生させた電界又は磁界に応じた偏向角度でイオンビームIを偏向する。
イオンビーム加工装置100は、イオンビーム加工装置全体を制御する制御装置110を備えており、CCDカメラ105からビーム加工位置Pの情報を含む画像情報を入力し、ニュートラライザ102及びビーム偏向部107に電圧を印加する。この制御装置110は、CPU111a、ROM111b及びRAM111cを有する演算装置111と、ニュートラライザ102及びビーム偏向部107に電圧を印加して電力を供給する電源装置112とを有している。ROM111bには、制御プログラムを予め記憶させており、CPU111aは、この制御プログラムに基づいて動作する。RAM111cは、演算結果等が一時的に記憶される作業領域である。電源装置112は、指令値を示す電圧値を入力してビーム偏向部107に電圧値に対応する電圧を印加するビーム偏向部用の電圧印加部としての電源部112aを有する。また、電源装置112は、指令値を示す電圧値を入力してニュートラライザ102に電圧値に対応する電圧を印加するニュートラライザ用の電圧印加部としての電源部112bとを有する。
以下、演算装置111の機能について詳細に説明する。図2は、演算装置111の機能ブロック図であり、上述した制御プログラムに基づくCPU111aの機能を示したものである。つまり、各ブロックの制御動作は、CPU111aによって実行される。具体的には、演算装置111は、ビーム加工位置算出部121、相対位置算出部122、偏向角度値算出部123、ビーム偏向部用の電圧値設定部124、変位量算出部125及びニュートラライザ用の電圧値設定部126を有する。
ビーム加工位置算出部121は、CCDカメラ105から画像情報を入力し、画像情報からビーム加工位置Pの算出を行う。ビームスポットの形状は前述のようにガウス分布となっているため、ビーム中心部を輝度ピークとして対称なスポット形状となる。そのため、ビーム中心の輝度ピーク位置をビーム中心位置と規定する。ビーム加工位置算出部121は、CCDカメラ105からの画像情報からビーム中心位置Pを算出するアルゴリズムとして、以下の数1で表される演算アルゴリズムを使用する。
Figure 2011134590
上記の数1において、Wijは、CCDカメラ105のCCD素子105bにおけるx−y直交座標系の座標(i,j)における輝度の値であり、座標(G,G)は演算されたビーム中心位置PのCCD素子105bにおける座標である。数1は画像情報(輝度情報)を尺度とした重心の座標に対応している。このようなアルゴリズムにより重心位置を算出する場合、1画素以下の分解能でビーム位置変動を検出することが可能となる。
次に、相対位置算出部122は、被加工物Wの目標加工位置を基準とするビーム加工位置Pの相対位置を算出する。この目標加工位置は演算装置111に予め設定されている。具体的に説明すると、目標加工位置の座標を(O,O)とすると、算出される相対位置は、(G−O,G−O)で表される。この目標加工位置を基準とするビーム加工位置Pのズレは、ビームライン上の電磁場が変動することによってイオンビームIが曲がることによって発生する。
偏向角度値算出部123は、イオンビームガン101と被加工物Wの目標加工位置との距離をLとしたとき、距離L及び相対位置(G−O,G−O)を用いて、イオンビームIの偏向角度の指令値を示す偏向角度値(θ,φ)を算出する。即ち、偏向角度値算出部123は、以下の数2に示す所定の演算式を用いて偏向角度値(θ,φ)を算出する。
Figure 2011134590
電圧値設定部124は、偏向角度値(θ,φ)に対応する偏向角度でイオンビームIが偏向されるように、ビーム偏向部107に印加する電圧の指令値を示す電圧値V (電圧指令値)を設定する。この偏向角度値(θ,φ)は、電圧値V と対応関係にあり、例えば不図示のテーブルや演算式で電圧値V が導き出される。これらテーブルや演算式は、予め実験により求められる。このようにして生成された電圧値V は、電源部112aに出力される。
電源部112aは、電圧値V に対応する電圧Vをビーム偏向部107に印加する。これにより、ビーム偏向部107は、電磁場の影響を相殺するように、印加された電圧Vの大きさに応じた電界又は磁界を発生させ、イオンビームIを偏向角度値(θ,φ)に対応する偏向角度で偏向する。従って、真空チャンバ103内のイオンビームガン101及びニュートラライザ102の電流変動に伴い発生する電磁場変動によるビーム加工位置Pのズレが補正され、ビーム位置Pが目標加工位置に近づけられる。これにより、真空チャンバ103内の電磁場の変動があっても、ビーム加工位置を安定させることができる。
演算装置111は、上述したビーム偏向部107によるビーム位置補正を、CCDカメラ105が画像情報を出力する度に実行する。本実施の形態においては、CCDカメラ105からは30フレーム/秒のレートで画像転送され、位置補正は30Hzで実施される。
このように、イオンビームガン101及びニュートラライザ102による電磁場変動に起因する位置変動をビーム偏向部107により補正することができる。しかし、このビーム偏向部107では、被加工物Wが帯電することにより発生するビーム加工位置近傍の電磁場変動の影響を除去することは難しく、被加工物Wに帯電が発生したときにビーム加工位置Pの補正を十分に実施することができない。具体的には、ビーム偏向部107にてビーム加工位置Pを補正しても、被加工物Wの表面の帯電による電磁場発生の影響により、ビーム加工位置Pのズレが発生する。ところが、帯電状況(帯電している位置や帯電量)は正確に把握することができないため、ビーム加工位置Pのズレに及ぼす影響量は予測困難で、帯電が発生した場合には速やかに帯電を除去することが必要である。
変位量算出部125は、被加工物Wの目標加工位置を基準とするビーム加工位置Pの変位の大きさを示す変位量ΔGを算出する。具体的には、以下の数3に示す演算式で算出する。
Figure 2011134590
電圧値設定部126は、ニュートラライザ102に印加する電圧の指令値を示す電圧値V (電圧指令値)を設定する。ここで、変位量ΔGが大きいほど、被加工物Wの帯電量が大きいことを示しており、電圧値設定部126では、被加工物Wの帯電の有無を、ビーム偏向部107によるビーム加工位置補正の成否によって判断する。
以下、図3に示すフローチャートを参照しながら説明すると、電圧値設定部126は、CCDカメラ105より取得した画像が2枚目以降であるか否かを判断する(S1)。ここで、CCDカメラ105より取得した画像が2枚目以降である場合は、1枚目の画像を取得した際にビーム偏向部107によりイオンビームIが偏向されている。従って電圧値設定部126は、CCDカメラ105より取得した画像が2枚目以降である場合(S1:Yes)、前回の画像取得でビーム偏向部107よりイオンビームIを偏向させた結果、変位量ΔGが、予め設定した所定閾値thを上回るか下回るかを判断する。本実施の形態では、電圧値設定部126は、変位量ΔGが、所定閾値th以上であるか否かを判断する(S2)。つまり、変位量ΔGが、所定閾値thを上回る場合は、被加工物Wが帯電しており、所定閾値thを下回る場合は、被加工物Wが帯電していないか、帯電していても僅かな帯電である。したがって、変位量ΔGが所定閾値thを下回る場合は、イオンビームIの加工による精度に影響がなく、非帯電とみなせる。言い換えれば、所定閾値thは、被加工物Wが帯電しているとみなせるか、被加工物Wが非帯電とみなせるかの境界に設定される値である。例えば所定閾値thは、目標加工位置の補正精度が10μmの場合、10μmに設定される。この値は、目標とするビーム位置制御精度に応じて適宜変更してよい。
電圧値設定部126は、変位量ΔGが所定閾値th以上であると判断した場合(S2:Yes)、ニュートラライザ102に印加する電圧の電圧値V を、被加工物Wの中和に必要な電子の照射量となる第1電圧値V1に設定する(S3)。このようにして設定された電圧値V は、電源部112bに出力される。
電源部112bは、電圧値V に対応する電圧Vをニュートラライザ102に印加する。これにより、ニュートラライザ102のフィラメント102aには電圧Vの印加により電流が供給され、ニュートラライザ102からは被加工物Wの中和に必要な照射量の電子が被加工物Wに照射される。このようにニュートラライザ102を高出力で動作させると、中和に必要な電子が被加工物Wに照射され、被加工物Wの表面の帯電量が減少するので、変位量ΔGが減少して所定閾値thを下回ることとなる。つまり、イオンビームIの照射により被加工物Wの帯電が効果的に除去される。したがって、ビーム加工位置Pのズレを防止することができ、被加工物Wの加工面形状を精度良く創成することが可能となる。
次に、電圧値設定部126は、取得した画像が最初の1枚目であった場合(S1:No)、又は、変位量ΔGが所定閾値thを下回ったと判断した場合(S2:No)、電圧値V を、第1電圧値V1よりも低い第2電圧値V2に設定する(S4)。このようにして設定された電圧値V は、電源部112bに出力される。電源部112bは、電圧値V に対応する電圧Vをニュートラライザ102に印加する。これにより、ニュートラライザ102は低出力で動作され、ニュートラライザ102による電子の照射量が減少する。したがって、被加工物Wの帯電の除去が必要ないときには、ニュートラライザ102の出力が低下され、ニュートラライザ102において不要な電力消費を抑えられると共に、ニュートラライザ102への負担を軽減することができる。そして、ニュートラライザ102が常に高出力で動作するのを回避することができるので、ニュートラライザ102の寿命を向上させることができる。ゆえに、ニュートラライザ102の出力が長時間に亘って安定し、ビーム加工位置が長時間に亘って安定するので、成果物(加工によって形成されたレンズ等)の品質を向上させることができる。
なお、ニュートラライザ102により電子の照射量を減少させる程度として、電子の照射量を0、つまりニュートラライザ102をオフ(非通電)としてもよいが、本実施の形態では、僅かに電子を照射している。即ち、ニュートラライザ102をオフ(非通電)とするとニュートラライザ102を再起動するのに時間を要するので、フィラメント102aの消耗に影響のない程度にニュートラライザ102に電圧Vを印加してフィラメント102aに電流を流している。その後、変位量ΔGが所定閾値thを上回った場合には、ニュートラライザ102のフィラメント102aは通電状態としているので、ニュートラライザ102を迅速に立ち上げることができる。
なお、上記実施の形態では、目標加工位置の座標を(O,O)としたが、原点座標(0,0)としてもよい。この場合、相対位置は、(G,G)で表されるので、ビーム加工位置Pの座標と同じであり、相対位置を演算するまでもないので、相対位置算出部122は、省略可能である。
また、上記実施の形態では、変位量ΔGが所定閾値thのときにニュートラライザ102を高出力で動作させる場合について説明したが、変位量ΔGが所定閾値thのときにニュートラライザ102を低出力で動作させるようにしてもよい。つまり、所定閾値thは境界値であるので、どちらの出力でニュートラライザ102を動作させるかは、その設定する値次第である。
また、上記実施の形態では、フィラメントを有するニュートラライザを用い、熱電子の放出により被加工物に電子を照射する場合について説明したが、このニュートラライザに限定するものではなく、マイクロ波放電を利用したニュートラライザを用いてもよい。また、上記実施の形態では、被加工物の加工に用いるイオンビームが正イオンであるので、ニュートラライザが電子を照射する場合について説明したが、イオンビームが負イオンであれば、ニュートラライザは正イオンを照射するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、相対位置に対応する偏向角度値を、所定の演算式を用いて求める場合について説明したが、予め相対位置を示すデータと偏向角度値を示すデータとを対応付けたテーブルを用いて、相対位置に対応する偏向角度値を求めてもよい。
本実施例においては上述した制御アルゴリズムを用いて、口径180mm、最大深さ320nmの凹非球面レンズに対して、形状修正加工をイオンビーム加工装置により実施した。なお、加工前の非球面レンズの形状精度は1.26nm(RMS)であった。加工にはビームエネルギが5keVのArイオンビームを使用した。イオンビーム電流は10.0μA、イオンビーム径は半値幅で1.87mmであった。加工時間は82.3時間であった。その結果、従来のイオンビーム位置補正を行わない方法で加工を実施した場合の非球面レンズの形状精度が0.66nm(RMS)であったのに対して、本実施例においては形状精度が0.28nmであった。これにより、被加工物である非球面レンズの形状精度の向上を確認できた。
100 イオンビーム加工装置
101 イオンビームガン(イオン出射部)
102 ニュートラライザ
105 CCDカメラ(検出部)
107 ビーム偏向部
112a ビーム偏向部用の電源部(ビーム偏向部用の電圧印加部)
112b ニュートラライザ用の電源部(ニュートラライザ用の電圧印加部)
123 偏向角度値算出部
124 ビーム偏向部用の電圧値設定部
125 変位量算出部
126 ニュートラライザ用の電圧値設定部

Claims (2)

  1. イオンビームを出射するイオン出射部を備え、前記イオン出射部により出射されたイオンビームを被加工物に照射して前記被加工物の加工を行うイオンビーム加工装置において、
    イオンビームが照射される前記被加工物のビーム加工位置を検出する検出部と、
    イオンビームとは逆極性であって、印加される電圧に応じた照射量の荷電粒子を、前記被加工物に照射するニュートラライザと、
    前記被加工物の目標加工位置を基準とする前記ビーム加工位置の変位量を算出する変位量算出部と、
    前記変位量算出部で算出された変位量が所定閾値を上回った場合、前記ニュートラライザに印加する電圧の電圧値を、前記被加工物の中和に必要な荷電粒子の照射量となる第1電圧値に設定し、前記変位量が前記所定閾値を下回った場合、前記電圧値を、前記第1電圧値よりも低い第2電圧値に設定するニュートラライザ用の電圧値設定部と、
    前記ニュートラライザ用の電圧値設定部にて設定された電圧値に対応する電圧を前記ニュートラライザに印加するニュートラライザ用の電圧印加部と、を備えたことを特徴とするイオンビーム加工装置。
  2. 前記イオン出射部により出射されたイオンビームを、印加される電圧に応じた偏向角度で偏向するビーム偏向部と、
    前記イオン出射部と前記目標加工位置との距離、及び前記目標加工位置を基準とする前記ビーム加工位置の相対位置から偏向角度値を算出する偏向角度値算出部と、
    前記偏向角度値算出部で算出された偏向角度値に対応する、前記ビーム偏向部に印加する電圧の電圧値を設定するビーム偏向部用の電圧値設定部と、
    前記ビーム偏向部用の電圧値設定部で設定された電圧値に対応する電圧を前記ビーム偏向部に印加するビーム偏向部用の電圧印加部と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載のイオンビーム加工装置。
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