JP2011123265A - 記録装置 - Google Patents

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政寛 佐藤
Daiki Gan
大樹 鳫
Kyotaro Tomoda
恭太郎 友田
Shigehiko Sasaki
茂彦 佐々木
Akira Ichiboshi
彰 一星
Tsutomu Ishii
努 石井
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Abstract

【課題】光記録型の表示媒体に画像を記録する場合において、表示媒体に表示される画像のコントラストの低下を抑制すること。
【解決手段】本発明の実施形態に係る記録装置は、光記録型の表示媒体に対して、指示体の指示に応じた画像を記録するときに印加する電圧について、電圧の印加開始、印加停止のときの電圧値が変化する時間を制御して、液晶層に分圧される電圧により生じる電界の立ち上がり時のピーク、立ち下がり時のピークを小さくする。これにより、既に記録されている画像のコントラストの低下を抑制する。
【選択図】図7

Description

本発明は、記録装置に関する。
印加される電圧と照射される光とに応じた画像が記録される光記録型の表示媒体が知られている。ペン状の指示体を用いて、この表示媒体に表示されている画像に追記を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−321736号公報
本発明は、光記録型の表示媒体に画像を記録する場合において、表示媒体に表示される画像のコントラストの低下を抑制することにある。
本発明の請求項1に係る記録装置は、分圧されることにより印加された電圧が第1電圧値未満である場合には配向状態が変化せず、第1電圧値以上第2電圧値未満である場合には第1配向状態、前記第2電圧値以上である状態から予め決められた時間内に前記第1電圧値未満の予め決められた第3電圧値まで減少した場合には第2配向状態となる液晶層、および光が照射されると抵抗値が変化する感光層を含む積層された複数の層を有する光記録型表示媒体であって、当該光記録型表示媒体に電圧が印加されると当該複数の層により当該電圧が分圧されるとともに、前記液晶層に含まれる分極成分の分極の進行によって当該液晶層に生じる電界の強度を減少させる光記録型表示媒体に対して、電圧を印加する電圧印加手段と、前記液晶層に生じる電界強度の時間の経過に伴う減少の程度に対応した時間を変化時間として設定する設定手段と、前記感光層に光が照射された領域に対応する前記液晶層のうち第2配向状態である領域が第1配向状態に変化する印加電圧値の電圧を、前記光記録型表示媒体に対して印加させるように前記電圧印加手段を制御する電圧制御手段とを具備し、前記電圧制御手段は、前記制御における電圧の印加を開始してから前記印加電圧値に到達させるまでの電圧値を変化させる時間、または当該電圧の印加を停止するまでの電圧値を変化させる時間を、前記変化時間に対応させた電圧変化時間で制御することを特徴とする。
本発明の請求項2に係る記録装置は、請求項1に記載の記録装置において、前記電圧変化時間は、前記予め決められた時間より長い時間であり、前記電圧制御手段は、前記制御を行う前に、前記液晶層の少なくとも一部の領域が第2配向状態に変化するように、前記電圧印加手段によって前記光記録型表示媒体に対して印加させることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る記録装置は、請求項1または請求項2に記載の記録装置において、前記電圧制御手段は、前記制御において電圧を印加する時間が予め決められた時間より短い場合に、当該時間より長い場合に比べて、当該電圧の印加の停止に係る時間を短くすることを特徴とする。
本発明の請求項4に係る記録装置は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の記録装置において、利用者による入力を受け付ける受付手段をさらに具備し、前記設定手段は、前記受付手段によって受け付けられた入力により、予め測定した前記液晶層に生じる電界強度の時間の経過に伴う減少の程度に対応した時間を前記変化時間として設定することを特徴とする。
本発明の請求項5に係る記録装置は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の記録装置において、前記光記録型表示媒体における前記液晶層に生じる電界強度の時間の経過に伴う減少の程度に関する物理量を測定する測定手段をさらに具備し、前記設定手段は、前記測定手段によって測定された物理量に応じた時間を前記変化時間として設定することを特徴とする。
本発明の請求項6に係る記録装置は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の記録装置において、前記電圧制御手段は、前記制御が行われた後に再び前記制御を行う場合には、先に前記制御が行われてから再び前記制御が行われるまでの時間が予め決められた時間より短い場合に、当該時間より長い場合に比べて、再び行う前記制御における電圧の印加の開始に係る時間を短くすることを特徴とする。
本発明の請求項7に係る記録装置は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の記録装置において、前記感光層に光を照射する照射手段と、前記電圧制御手段による前記制御における電圧の印加を開始してから前記印加電圧値に到達させるまでの電圧値を変化させる期間において、前記照射手段から照射される光の強度を変化させる照射制御手段とをさらに具備することを特徴とする。
本発明の請求項1に記載の発明によれば、表示媒体に印加する電圧の印加開始または印加停止のときの電圧を変化させる時間を制御しない場合に比べて、表示媒体に表示される画像のコントラストの低下を抑制することができる。
本発明の請求項2に記載の発明によれば、表示媒体に印加する電圧の印加開始または印加停止のときの電圧を変化させる時間を制御しない場合に比べて、表示媒体に表示される画像のコントラストの低下を抑制することができる。
本発明の請求項3に記載の発明によれば、表示媒体に印加する電圧の印加停止のときの電圧を変化させる時間を、表示媒体への電圧印加が行われる時間に応じて制御しない場合に比べて、表示媒体に表示される画像のコントラストの低下を抑制することができる。
本発明の請求項4に記載の発明によれば、表示媒体に印加する電圧の印加開始または印加停止のときの電圧を変化させる時間を、予め測定した表示媒体の特性を反映させた時間とすることができる。
本発明の請求項5に記載の発明によれば、表示媒体に印加する電圧の印加開始または印加停止のときの電圧を変化させる時間を、表示媒体の特性を測定して反映させた時間とすることができる。
本発明の請求項6に記載の発明によれば、表示媒体への電圧印加が複数回にわたって行われるときの表示媒体に印加する電圧の印加開始のときの電圧を変化させる時間を、先に行われた電圧印加からの再び行われるまでの間隔に応じて制御しない場合に比べて、表示媒体に表示される画像のコントラストの低下を抑制することができる。
本発明の請求項7に記載の発明によれば、感光層に照射する光の強度を制御しない場合に比べて、表示媒体に表示される画像のコントラストの低下を抑制することができる。
実施形態である記録装置に係る記録システムの全体構成を示す図である。 実施形態に係る表示媒体の断面の構造を示す図である。 液晶層に生じる電界の変化に応じた反射率の変化を示す模式図である。 実施形態に係る記録装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 実施形態に係る照射部の構成を示す図である。 実施形態に係る制御部が手書きによる画像の記録を行うときに実現する機能的構成を示す機能ブロック図である。 実施形態に係る電圧制御部、照射制御部および調光制御部における制御態様を説明する図である。 液晶層の分極成分が時間の経過に伴い分極していく状態を説明する図である。 シミュレーションに用いた液晶成分および分極成分の等価回路を示す図である。の等価回路を示す図である。 電圧VAとしてパルス電圧を印加した場合における電界D3の電界強度の変化を示す図である。 立ち上がり時間TA、立ち下がり時間TBにおいて指数関数的に電圧値が変化する電圧VA、および電圧VAを印加した場合における電界D3の電界強度の変化を示す図である。 立ち上がり時間TA、立ち下がり時間TBにおいて一定の割合で電圧値が変化する電圧VA、および電圧VAを印加した場合における電界D3の電界強度の変化を示す図である。 時定数τの測定方法のうち、第1の例について説明する図である。 時定数τの測定方法のうち、第2の例について説明する図である。
<実施形態>
図1は、本発明の一実施形態である記録装置に係る記録システムの全体構成を示す図である。図1に示すように、記録システム10は、記録装置100と、表示媒体200と、指示体300とを備える。
記録装置100は、表示媒体200に電圧を印加する構成を含んでいる。表示媒体200は、例えば、記録された画像を表示するコレステリック液晶を有する光記録型の電子ペーパなどであって、記録装置100に対して着脱される構成を有し、予め決められた状態で記録装置100に装着されているときに、画像が記録される。指示体300は、例えば、棒状の物体であり、表示媒体200の表面の位置を指示する。指示体300は、使用者が手で持ちやすい形状であることが望ましい。また、指示体300は、使用者が指示する位置が明確となるように、先端(指示する側)に向かって細くなる形状であると、より望ましい。この例においては、表示媒体200に対する画像の記録は、使用者の手書きによる記録の場合について説明する。手書きによる記録とは、使用者が指示体300によって表示媒体200の表面を指示し、指示した位置を移動させると、その指示した位置の階調が変化することによって、画像を記録することである。
図2は、表示媒体200の断面の構造を示す図である。表示媒体200は、第1の面200aと第2の面200bとを有する。第1の面200aは、記録された画像を表示する面である。また、第1の面200aは、指示体300により指示される側の面であり、図1に示すように、表示媒体200が記録装置100に装着されている場合において露出し、指示体300によって位置が指示される面である。第2の面200bは、図2に示す各層を介して第1の面200aと対向する面であり、表示媒体200が記録装置100に装着されている場合において記録装置100側を向き、画像を記録するときの光が照射される面となる。
第1の面200aと第2の面200bの間には、第1の面200a側から順に、保護層210、透明導電層220、液晶層230、感光層240、透明導電層250および保護層260が形成されている。
保護層210、260は、表示媒体200の表面を保護するための層である。保護層210及び260は、例えば、PET(ポリエチレンテレフタラート)樹脂を用いて作られる。
透明導電層220、250は、液晶層230および感光層240に電圧を印加するための層である。透明導電層220、250は、いわゆる透明電極であり、例えば、ITO(酸化インジウム錫)を用いて作られる。透明導電層220、250には、それぞれ端子221、251が電気的に接続され、表示媒体200が記録装置100に装着されている場合に、記録装置100から印加される電圧を透明導電層220、250に伝達する。このようにして、記録装置100から印加された電圧は、透明導電層220、250に挟まれる各層において分圧され、この例においては、液晶層230と感光層240において分圧される。
液晶層230は、液晶層230に分圧される電圧に応じて配向状態を変化させ、反射する光を変化させる表示素子を含む層であり、例えば、バインダ樹脂中にマイクロカプセル状のコレステリック液晶表示素子が複数分散されたものである。また、この液晶層230には、不純物イオンなどによる分極成分が含まれている。分極成分の挙動については後述する。
感光層240は、例えば、有機光導電体(Organic Photoconductor:OPC)であって、照射される光に応じて電気抵抗を変化させる。その結果、記録装置100から電圧が印加されている場合において、光が照射された領域と照射されてない領域とでは、その領域に対応する液晶層230に分圧される電圧が異なる。この例においては、感光層240は、光が照射されると電気抵抗が低くなり、液晶層230に分圧される電圧を増加させる。
コレステリック液晶は、螺旋状に配向した棒状分子であり、プレーナ配向状態、フォーカルコニック配向状態、ホメオトロピック配向状態の3種類の配向状態となりうる。このうち、プレーナ配向状態とフォーカルコニック配向状態は、無電界で双安定に存在する。ホメオトロピック配向状態とは、液晶層230に螺旋配向が解けるある特定の値以上の強度の電界が発生しているときに現れる配向状態であり、この電界を発生させている電圧の印加が停止し、予め決められた時間内に予め決められた電圧値未満に減少すると、プレーナ配向状態となる。プレーナ配向状態においては、液晶の螺旋ピッチに応じた波長の光を干渉反射する特性を有し、この例においては、白色を呈する。一方、フォーカルコニック配向状態にある場合は光を透過して感光層240の光吸収に応じた色、この例においては黒色を呈するものとする。なお、液晶層230と感光層240とに挟まれるように着色層を設けることにより、着色層の色を呈するようにしてもよい。
図3は、液晶層230に生じる電界の変化に応じた反射率の変化を示す模式図である。図3に示すように、液晶層230に分圧された電圧により生じる電界の強度がしきい値Epf未満である場合には、液晶層230におけるコレステリック液晶の配向状態が変化せずに維持される。液晶層230に分圧された電圧により生じる電界の強度がしきい値Epf以上であり、しきい値Efh未満である場合には、フォーカルコニック配向状態となり黒色を呈して反射率が減少する。すなわち、プレーナ配向状態であった領域はフォーカルコニック配向状態となり、フォーカルコニック配向状態であった領域はそのままの配向状態を維持する。液晶層230に分圧された電圧により生じる電界がしきい値Efh以上である場合には、ホメオトロピック配向状態となり、電圧の印加が停止されると、プレーナ配向状態となり白色を呈して反射率が増加する。このように、液晶層230は、分圧されることにより印加された電圧により生じる電界強度に応じて、フォーカルコニック配向状態またはプレーナ配向状態のいずれかの配向状態となり、画像が記録される。
ここで、液晶層230に分圧される電圧により生じる電界に応じて配向状態が変化するが、この変化は直ちに生じるのではなく、配向状態の変化は、電界の強度、およびその電界が生じている時間に応じて行われる。そのため、その電界が生じている時間が短いほど、配向状態の変化が少なく、結果として反射率の変化が少ない場合がある。
図4は、記録装置100のハードウェア構成を示すブロック図である。図5に示すように、記録装置100は、制御部110、電圧印加部120、位置特定部130、照射部140、記憶部150および操作部160を備える。
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置やメモリを備え、予め記憶されたプログラムを実行することにより、記録装置100の各部の動作を制御する。
電圧印加部120は、電源を備え、表示媒体200が記録装置100に装着された状態においては端子221、251と導通して、制御部110の制御によって表示媒体200に電圧を印加する。
位置特定部130は、指示体300により指示された第1の面200a上の位置(以下、「指示位置」という。)を特定する。位置特定部130は、例えば、指示体300の先端から超音波、赤外線などが発され、予め決められた複数の位置で超音波を検知し、これらの超音波の相違に基づいて当該先端の位置を特定する構成(いわゆる波動方式)を採用し得る。
なお、位置特定部130は、電磁誘導を利用し位置を特定する方式も採用し得る。この方式においては、指示体300は、その先端にコイルが一つ埋め込まれ、コンデンサと接続してLC共振回路を形成している。位置特定部130は、X座標検出用とY座標検出用の2系統のセンサコイル群により磁場を発生させて、指示体300のコイルを介した電磁誘導によりコンデンサを充電する。そして、位置特定部130は、センサコイル群による磁場の発生を停止すると、指示体300のコンデンサに充電された電力がコイルに放電し、これによって生じた磁界をセンサコイル群が検知することによって、指示体300により指示された位置を特定する。
また、指示体300は、その先端部への他の物体の接触を検知する接触センサを有する。この接触センサは、例えば、指示体300の先端部への圧力を測定する圧力センサなどを用いて構成され、測定された圧力が予め決められた値を超えると先端部への他の物体の接触を検知する。位置特定部130は、指示体300が有する接触センサから、接触の検知の有無を示す信号を取得して、接触の有無を特定する。これにより、位置特定部130は、指示体300の先端部における接触の検知がある状態を、指示体300が表示媒体200に対して接触している状態として特定する。これにより、位置特定部130は、指示位置の特定だけなく、指示体300が表示媒体200に接触して、筆圧が生じている状態(筆圧オン)である期間を特定する。
そして、位置特定部130は、この例においては、指示体300が表示媒体200に対して接触している状態であるときに、指示位置を示すデータ(以下、位置データという)を出力する。なお、指示位置を示すデータは指示体300の接触状態にかかわらず出力されるものとして、さらに接触の検知の有無を示すデータを出力して、これらのデータを取得することによって筆圧オンである期間を特定させてもよい。
照射部140は、制御部110の制御によって、記録装置100に装着された表示媒体200に対して光を照射する。表示媒体200のうち光が照射される領域は、位置特定部130により特定された指示位置に対応する領域である。照射部140は、上述したように、表示媒体200における指示体300によって指示される側と反対の側から光を照射する。
図5は、照射部140の構成を示す図である。図5に示すように、照射部140は、バックライト141と、調光パネル142とを備える。バックライト141は、導光板と、導光板のいずれかの辺から光を照射する光源(冷陰極管、発光ダイオードなど)とを有するエッジライト方式を用いたものであってもよいし、表示媒体200に向けて光を照射する光源と、表示層の各位置に照射される光の強さが均等になるように光を拡散する拡散板とを有する直下型方式を用いたものであってもよい。
調光パネル142は、バックライト141により照射された光が表示媒体200に到達する量を調節する。調光パネル142は、光を透過する状態と光を遮る状態とに制御される液晶素子を有する複数の画素と、各画素の液晶素子の状態を制御するドライバとを備える。調光パネル142は、ドライバにより光を透過する画素と光を遮る画素とを制御することにより、表示媒体200に光が照射される領域を制御する。
なお、この光を透過する状態とは、そうでない状態(光を遮る状態)よりも多くの光を透過する状態をいい、その透過率が100%である状態のみを指すものではない。光を遮る状態とは、そうでない状態(光を透過する状態)よりも光の透過を妨げる状態をいい、その透過率が0%である状態のみを指すものではない。しかしながら、光を透過する状態と光を遮る状態とにおける光の透過率の差は、より大きい方が望ましい。
図4に戻って説明を続ける。記憶部150は、各種データを記憶する。記憶部150は、例えばフラッシュメモリ等の記憶媒体を備えるが、いわゆるメモリカードとそのリーダライタとを備える構成のように、記憶媒体が記録装置100に対して着脱される構成であってもよい。操作部160は、利用者が記録装置100に対して選択、確認、取り消しなどの指示を行うための操作を行うタッチパネル、キーボードなどであって、利用者の操作を受け付け、操作内容を示す情報を制御部110に出力する受付手段として機能する。制御部110の制御によって情報が表示される表示画面を有していてもよい。
図6は、本実施形態の制御部110が手書きによる画像の記録を行うときに実現する機能的構成を示す機能ブロック図である。制御部110は、プログラムを実行することにより、図6に示す位置取得部111、電圧制御部112、照射制御部113、調光制御部114および変化時間設定部115の各機能を実現する。
位置取得部111は、位置特定部130から位置データを取得して出力する。
電圧制御部112は、位置取得部111により取得された位置データに基づいて、表示媒体200に画像が記録されるときに、電圧印加部120に電圧の印加を行わせる。表示媒体200に印加される電圧は、予め決められた電圧値の電圧であるが、印加を開始して、予め決められた電圧値に到達させるまでの電圧値を変化させるとき、電圧の印加を停止するまでの電圧値を変化させるときにおける電圧値の変化の態様については、変化時間設定部115の設定に応じて決められる。詳細については、後述する。
照射制御部113は、バックライト141が照射する光の強さを制御する。照射制御部113は、この制御を、位置取得部111により取得された位置データを用いて行う。具体的には、照射制御部113は、筆圧オンの状態である期間、およびその後に筆圧オフの状態になったときから、予め決められた時間(後述する照射時間TL)が経過するまで、バックライト141を予め決められた強度L0で発光させる。
調光制御部114は、調光パネル142の各画素における液晶素子の状態を制御する。調光制御部114は、この制御を、位置取得部111により取得された位置データを用いて行う。具体的には、調光制御部144は、位置データが示す位置、すなわち指示体300が指示する位置を認識し、調光パネル142の各画素のうち、認識した位置に対応する画素を光が透過する状態に制御する。その結果、照射部140は、表示媒体200における指示体300が指示している位置に対応する領域に対して光を照射する。そして、指示体300が指示する位置が移動しても、調光制御部114は、指示体300が指示した位置に対応する領域に対して、予め決められた時間(以下、照射時間TLという)が経過するまでは、光の照射を続ける。
変化時間設定部115は、電圧印加部120における電圧の印加開始、停止のときの電圧値が変化する時間(変化時間)が設定され、具体的には、電圧印加部120における電圧の印加が開始され、予め決められた電圧値に達するまでの立ち上がり時間TA、および印加されていた電圧を停止させるときの立ち下がり時間TBが設定されている。この設定値に応じて電圧印加部120における電圧印加開始および停止のときにおける電圧値の変化の態様が決定される。変化時間設定部115は、この例においては、操作部160からの操作により、立ち上がり時間TA、立ち下がり時間TBが設定される。この設定値は、表示媒体200に対して電圧が印加されたときに液晶層230に分圧される電圧により生じる電界強度が、分極成分の分極が進むことにより時間の経過に応じて減少する程度(例えば後述する時定数)に対応して定められるものである。このように変化時間設定部115の設定に応じて電圧制御部112が行う制御を時間制御という。
次に、電圧制御部112、照射制御部113および調光制御部114における制御の一例について図7、図8を用いて説明する。この例においては、利用者の手書きによる画像の記録の一例として、記録装置100に装着された表示媒体200上に指示体300を接触させ、接触させた状態で円を描くように移動させた後、表示媒体200から指示体300が離れた場合について説明する。ここでは、時刻t0に指示体300が表示媒体200に接触(筆圧オン)し、時刻t3において円を描くのが終了して指示体300が表示媒体200から離れた(筆圧オフ)ものとする。
図7は、電圧制御部112、照射制御部113および調光制御部114における制御態様を説明する図である。横軸は時刻の進行を示している。図7(a)は電圧制御部112の制御態様、図7(b)は照射制御部113の制御態様、図7(c)は調光制御部114の制御態様を説明する図である。図7(c)において破線で描いた円は、表示媒体200上を指示体300が移動することによって描く円を示している。また、P0からP3は、各時刻における指示体300が指示する位置を示し、W2からW4は、表示媒体200に対して光が照射される領域を示している。
まず、時刻t0において、筆圧オンの状態になると、電圧制御部112は、変化時間設定部115に設定された立ち上がり時間TAが経過する時刻t1まで、電圧印加部120に印加させる電圧の電圧値を増加させ、予め決められた電圧値V0に到達させる。この電圧値V0が印加されているときには、光が照射されていない領域に対応する液晶層230に分圧される電圧により生じる電界強度が図3に示すしきい値Epf未満であり、光が照射された領域に対応する液晶層230に分圧される電圧により生じる電界強度がしきい値Epf以上しきい値Efh未満となるように、電圧値V0が決められている。なお、図7(a)に示す例においては、一定割合で電圧値を増加させているが、立ち上がり時間TAが経過すると電圧値V0に到達するように増加させれば、どのような態様で増加させてもよく、単調増加であることが望ましい。
一方、図7(b)に示すように、時刻t0において、筆圧オンの状態になると、照射制御部113は、バックライト141を予め決められた強度L0で発光させる。
また、図7(c)に示すように、時刻t0において、調光制御部114は、調光パネル142を制御して、指示体300が指示する位置P0に対応する表示媒体200の領域に対してバックライト141からの光を照射させる。時刻t2において指示体300が指示する位置が位置P2まで移動すると、調光制御部114は、時刻t2より照射時間TL前に指示体300によって指示されていた位置A2から位置P2までの軌跡W2に対応する表示媒体200の領域に対して光を照射させている状態となる。
このように、光が照射されることにより、指示体300が指示した位置に応じた領域における液晶層230がフォーカルコニック配向状態となり、指示した位置に対応して表示媒体200に画像(黒色の軌跡)が記録されていく。
図7(c)に示すように、時刻t3に達して、指示体300の指示する位置が位置P3となり筆圧オフの状態になると、調光制御部114は、時刻t3より照射時間TL前に指示体300によって指示されていた位置A3から位置P3までの軌跡W3に対応する表示媒体200の領域に対して光を照射させている状態となる。調光制御部114は、時刻t3から照射時間TLが経過する前の時刻t4においては、時刻t4より照射時間TL前に指示体300によって指示されていた位置A4から指示体300を表示媒体200から離した位置P3までの軌跡W4に対応する表示媒体200の領域に対して光を照射させている状態となる。そして、時刻t3から照射時間TLが経過した時刻t5においては、表示媒体200に対して光が照射される領域は消滅する。
また、照射制御部113は、時刻t5において、バックライト141の発光を停止する。なお、図7(b)においては、照射制御部113は、時刻t5においてバックライト141の発光を停止させているが、時刻t5を過ぎてから停止させてもよい。
時刻t5から、予め決められた時間が経過した時刻t6に達すると、電圧制御部112は、変化時間設定部115に設定された立ち下がり時間TBが経過する時刻t7まで、電圧印加部120に印加させる電圧の電圧値を減少させ、電圧の印加を停止(この例においては「0V」)させる。なお、図7(a)に示す例においては、一定割合で電圧値を減少させているが、立ち上がり時間TBが経過すると印加される電圧が停止されるように減少させれば、どのような態様で減少させてもよく、単調減少であることが望ましい。
上述の電圧制御部112、照射制御部113および調光制御部114における一連の制御により、利用者が指示体300を用いて手書きにより描いた円が表示媒体200に画像として記録される。
次に、液晶層230に分圧された電圧により分極成分が分極する状態について、図8を用いて説明する。この説明においては、説明の便宜上、単層の液晶層230Sおよび液晶層230Sに電圧を印加する電極220S、250Sを用いる。
図8は、液晶層230Sの分極成分が時間の経過に伴い分極していく状態を説明する図である。まず、液晶層230Sに電圧が印加されると、電極220S、250Sに蓄積される電荷により、液晶層230Sには電界D1が生じる(図8(a)参照)。その後時間が経過すると、分極成分の分極が進行し、分極成分の分極により生じる電界D2が電極220S、250Sに蓄積された電荷により生じる電界D1を打ち消す方向に生じる。これにより、時間の経過に伴い、液晶層230Sに生じる電界強度は特定の時定数をもって減少していき、分極成分の量に応じた電界強度に漸近していく(図8(b)参照)。以下、電界D1が電界D2によって打ち消された状態の電界、すなわち、液晶層230Sの液晶の配向状態に影響を与える電界を電界D3という(図8(c))。
分極成分が分極している状態で、液晶層230Sに対する電圧印加を停止すると、電極220S、250Sに蓄積された電荷により生じる電界D1が消滅し、電界の向きが逆転し、分極成分の分極による電界D2が液晶層230Sに生じた状態になる(図8(d))。この状態においては、電界D3は電界D2と等価である。その後、時間の経過に伴い、分極成分の分極が解消されることで、液晶層230Sに生じる電界強度は特定の時定数をもって減少していく。
次に、上述した制御において、電圧制御部112は、表示媒体200に電圧を印加するときには、立ち上がり時間TA、立ち下がり時間TBを設けて、印加する電圧の電圧値の制御を行っていたが、これらの時間を設けない場合、およびこれらの時間の長さを変更した場合のそれぞれにおける影響について、シミュレーション結果を用いて説明する。ここでは、説明の便宜のため、表示媒体200に印加される電圧と、液晶層230に分圧される電圧とは、比例関係にあるものとする。
図9は、液晶層230Sにおける液晶成分231Sおよび分極成分232Sの等価回路を示す図である。シミュレーションに用いる分極成分232Sおよび液晶成分231Sの等価回路は、それぞれ、抵抗(R1、R2)とコンデンサ(C1、C2)とが並列に接続されたもので表される。
以下の説明においては、液晶成分231Sおよび分極成分232S全体、すなわち液晶層230Sに対して印加される電圧VAは、実施形態における液晶層230に分圧される電圧に対応し、図8の説明における電界D1に相当する。また、液晶成分231Sに分圧される電圧VBは、実施形態における液晶層230に分圧される電圧のうち、実効的に液晶成分に電界を生じさせる電圧に対応し、図8の説明における電界D3に相当する。
図10は、電圧VAとしてパルス電圧を印加した場合における電界D3の電界強度の変化を示す図である。横軸は時刻の進行を示し、縦軸は液晶層230Sに生じる電界D3の電界強度(電圧VA印加中に生じる電界の方向を正とする)である。このシミュレーション結果は、電圧VAとしてパルス電圧を印加した場合、すなわち、電圧制御部112の制御により印加する電圧に立ち上がり時間TA、立ち下がり時間TBが設けられていない場合(以下、パルス電圧という)における電界D3の変化を示すものである。図8の説明に対応した電界D3の挙動は、図10に示すものとなる。この場合における電界D3の電界強度の変化における時定数を時定数τとする。この時定数τは、分極成分の分極の進行の程度を示す時定数にも相当する。
図10に示すように、電圧VAの印加中においては、電界D3は時間の経過に伴い減少する。そして、電圧VAの印加が停止すると、逆方向の電界が発生して、電界が消滅していく。このように、電圧VAの印加開始直後、印加停止直後においては、電界D3の電界強度の絶対値が電圧VA印加中のそれ以外の期間に比べて大きくなる期間(以下、これら期間における電界D3の電界強度の変化を、それぞれ、立ち上がり時のピーク、立ち下がり時のピークという)が発生する。立ち上がり時のピーク、立ち下がり時のピークにより、しきい値Epfを一時的に超える状態が生じると、表示媒体200に対して光照射が行われていない液晶層230の領域においても、プレーナ配向状態である領域がわずかにフォーカルコニック配向状態に変化し、反射率が低下する場合がある。反射率が低下すると、元々表示媒体に200に記録されていた画像のコントラストの低下を招く。また、上述のように指示体300を用いた画像の記録が行われるたびに、コントラストの低下を招き、その影響が大きくなる。次に、電圧VAに立ち上がり時間TA、立ち下がり時間TBを設けた場合のシミュレーション結果について、図11、図12を用いて説明する。
図11は、立ち上がり時間TA、立ち下がり時間TBにおいて指数関数的に電圧値が変化する電圧VA、および電圧VAを印加した場合における電界D3の電界強度の変化を示す図である。図11(a)は、横軸が時刻の進行を示し、縦軸が電圧VAの電圧値を示している。図11(b)は、横軸が時刻の進行を示し、縦軸が電界D3の電界強度を示している。
図11(a)には、電圧VAの立ち上がり時間TAおよび立ち下がり時間TBに対応する期間について、時定数τの1/2倍、1倍、2倍の時定数で指数関数的に目標とする電圧値(立ち上がり時は特定の設定値、立ち下がり時は0V)に漸近するように変化させた場合の電圧VAを示している。図11(b)は、このようにして電圧VAが印加された場合の電界D3を示している。また、比較対象として、図10に示した電界D3(図中の「0倍」の波形)についても併せて記載してある。
図11(b)に示すように、電圧VAの立ち上がり、立ち下がりの時間を制御することにより、電圧VAがパルス電圧である場合(図10)において見られた電界D3における立ち上がり時のピーク、立ち下がり時のピークが小さくなり、上述したコントラストの低下が抑制される。そして、電圧VAの立ち上がり、立ち下がりが指数関数的に目標とする電圧に漸近させるものである場合には、その指数関数的に変化する場合の時定数が、パルス電圧の電圧VAを印加した場合における電界D3の時定数τに応じて決めることが望ましい。例えば、電圧VAが立ち上がり時間TA、立ち下がり時間TBにおいて指数関数的に変化する場合の時定数が、パルス電圧の電圧VAを印加した場合における電界D3の時定数τの1/4から4倍であることが望ましく、より望ましくは1/2から2倍であればよい。
また、指数関数的に変化する場合の時定数は、電界D3の最大電界強度(絶対値)が、予め決められた値(例えば、しきい値Epf)を超えないように決められてもよい。なお、電圧VAが指数関数的に変化する場合における電圧印加期間中(立ち上がり時間TAの期間+目標電圧値である期間)の電界D3の電界強度の積分値が、電圧VAがパルス電圧である場合における電界D3に係る積分値の1/2以下になるように、その指数関数的に変化する場合の時定数が決められるようにしてもよい。いずれの決め方によっても、時定数τに関連して立ち上がり時間TA、立ち下がり時間TBが決められている。
ここで、指数関数的に漸近する場合には、予め決められた割合(例えば、目標とする電圧値の95%など)に達したら、目標とする電圧値に達したものとして、立ち上がり時間TA、立ち下がり時間TBを定めてもよい。
利用者は、予め画像を記録すべき表示媒体200におけるパルス電圧の電圧VAが印加された場合の電界D3に対応する電界強度の変化に係る時定数τを測定(詳細は後述する)しておき、時定数τに応じて、変化時間設定部115に立ち上がり時間TAおよび立ち下がり時間TBを設定するようにすればよい。なお、立ち上がり時間TAと立ち下がり時間TBとは必ずしも一致した時間でなくてもよい。
図12は、立ち上がり時間TA、立ち下がり時間TBにおいて一定の割合で電圧値が変化する電圧VA、および電圧VAを印加した場合における電界D3の電界強度の変化を示す図である。図12(a)は、横軸が時刻の進行を示し、縦軸が電圧VAの電圧値を示している。図12(b)は、横軸が時刻の進行を示し、縦軸が電界D3の電界強度を示している。
図12(a)には、電圧VAの立ち上がり時間TAおよび立ち下がり時間TBについて、時定数τの1/2倍、1倍、2倍として変化させた場合の電圧VAを示している。図12(b)は、このようにして電圧VAが印加された場合の電界D3を示している。また、比較対象として、図10に示した電界D3(図中の「0倍」の波形)についても併せて記載してある。
図12(b)に示すように、電圧VAの立ち上がり、立ち下がりの時間を制御することにより、電圧VAがパルス電圧である場合(図10)において見られた電界D3における立ち上がり時のピーク、立ち下がり時のピークが小さくなり、上述したコントラストの低下が抑制される。このようにして電圧値が変化する電圧VAであっても、図10において説明したようにコントラストの低下が抑制される。そして、電圧VAの立ち上がり、立ち下がりが一定の割合で変化するものである場合には、立ち上がり時間TA、立ち下がり時間TBを、パルス電圧の電圧VAを印加した場合における電界D3の時定数τに応じて決めることが望ましい。例えば、立ち上がり時間TA、立ち下がり時間TBが、パルス電圧の電圧VAを印加した場合における電界D3の時定数の1/4から4倍であることが望ましく、より望ましくは1/2から2倍であればよい。
また、立ち上がり時間TA、立ち下がり時間TBは、電界D3の最大電界強度(絶対値)が、予め決められた値(例えば、しきい値Epf)を超えないように決められてもよい。なお、電圧VAが立ち上がり時間TA、立ち下がり時間TBにおいて一定の割合で変化する場合における電圧印加期間中(立ち上がり時間TAの期間+目標電圧値である期間)の電界D3の電界強度の積分値が、電圧VAがパルス電圧である場合における電界D3に係る積分値の1/2以下になるように、立ち上がり時間TA、立ち下がり時間TBが決められるようにしてもよい。いずれの決め方によっても、時定数τに関連して立ち上がり時間TA、立ち下がり時間TBが決められている。
利用者は、予め画像を記録すべき表示媒体200におけるパルス電圧の電圧VAが印加された場合の電界D3に対応する電界強度の変化に係る時定数τを測定しておき、時定数τに応じて、変化時間設定部115に立ち上がり時間TAおよび立ち下がり時間TBを設定するようにすればよい。なお、立ち上がり時間TAと立ち下がり時間TBとは必ずしも一致した時間でなくてもよい。
以上、電圧VAの立ち上がり時間TA、立ち下がり時間TBにおける電圧値の変化について、2つの態様を説明したが、これらの態様に限られるものではなく、立ち上がり時間TA、立ち下がり時間TBに対応する期間において、目標とする電圧値に到達するように変化し、これにより、電圧VAがパルス電圧である場合の電界D3における立ち上がり時のピーク、立ち下がり時のピークが小さくなればよい。また、立ち上がり時間、立ち下がり時間において、どのように電圧値を変化させるか(一定の割合での変化、指数関数的な変化など)については、電圧制御部112に予め設定されるようにすればよい。
次に、上述したように、変化時間設定部115に立ち上がり時間TAおよび立ち下がり時間TBを設定するときに用いる時定数τの測定方法について、図13(第1の例)、図14(第2の例)を用いて説明する。
図13は、時定数τの測定方法のうち、第1の例について説明する図である。図13(a)は、図8において説明した素子構造において、0msec.から特定の時間(この図においては800msec.)にわたってパルス電圧を液晶層230Sに印加した場合における液晶層230Sの誘電率の時間変化を示したものである。このパルス電圧の電圧値は、上述した電界D3の電界強度がしきい値Epfを超えない程度の電圧値として設定されている。図13(a)の横軸は時刻の進行を示し、縦軸は誘電率を示している。この誘電率は、実質的に配向状態を示しているものであり、誘電率が大きくなるほどフォーカルコニック配向状態の成分が多く、誘電率が小さいほどプレーナ配向状態の成分が多いことを示す。
図13(a)に示すように、パルス電圧の印加が停止すると、誘電率の上昇が見られるが、これは、電圧印加中に分極した分極成分による電界D2により、わずかな時間であっても、電界強度がしきい値Epfを超えることによる。そのため、誘電率上昇幅Pmは分極成分の分極の大きさに相関を持つことになる。また、図8の説明でも述べたように、電圧印加時間Tmが長いほど飽和状態に向けて分極成分の分極が進むことから、分極の大きさは、電圧印加時間Tmにも相関を持つ。したがって、電圧印加時間Tmと誘電率上昇幅Pmとの関係を測定することで、分極成分の分極の時定数(時定数τに相当)が算出される。図13(b)は、電圧印加時間Tmと誘電率上昇幅Pmとの関係を測定した結果の一例を示す図である。この結果から算出される時定数τは概ね450msec.である。
図14は、時定数τの測定方法のうち、第2の例について説明する図である。図14は、図8において説明した素子構造において、液晶層230Sの容量成分についての印加電圧の周波数依存性を測定した結果の一例を示す図である。図14の横軸は周波数、縦軸は単位面積あたりの容量を示している。図14に示すように、高周波数になるほど、分極成分の分極が進む前に印加される電圧の極性が反転するため、分極成分の影響が少ない、すなわち、分極成分による誘電率上昇が生じにくい状態となる。一方、低周波数になるほど、分極成分の分極が進むため、分極による誘電率の上昇を生じ、容量が増加する。このように、印加される電圧の極性が変わる前に、分極成分の分極がどの程度進むかにより時定数τが算出されることになる。
ここで、時定数τは、容量が大きく変化する変極点(両対数グラフで表した場合)の周波数に概ね対応し、図14に示す場合においては、変極点の周波数は概ね0.7Hzである。この場合、印加される電圧の極性が維持される時間は700msec.程度であるから、時定数τは、700msec.程度であると算出される。
以上、指示体300に指示された位置に応じた画像を表示媒体200に記録する場合について説明したが、続いて、記憶部150などに記憶された画像を示す画像情報に応じて、表示媒体200に画像を記録する場合について説明する。
利用者が操作部160を操作するなどして、記録装置100に装着された表示媒体200に対して画像情報に応じた画像の記録を記録装置100に指示すると、制御部110は、画像情報を記憶部150などから取得し、画像の白色に対応する領域と黒色に対応する領域を認識する。
そして、制御部110(上述した電圧制御部112であってもよい、以下同じ)は、液晶層230に分圧される電圧により生じる電界の強度が、しきい値Efh以上となるように、電圧印加部120に印加させる電圧を制御する。ここで、電圧印加部120に印加させる電圧は、例えば、パルス電圧であるが、立ち上がり時間、立ち下がり時間が設けられたものであってもよい。その場合には、制御部110は、立ち上がり時間、立ち下がり時間を、変化時間設定部115に設定された立ち上がり時間TA、立ち下がり時間TBよりも短くなるように電圧印加部120を制御する。電圧印加部120が電圧を印加する時間が短い場合、印加する電圧が周波数の高い交流である場合には短くすることが効果的であり、また、立ち上がり時のピーク、立ち下がり時のピークが発生して一時的に液晶層230に高電圧が印加される状態となっても、ここで印加すべき電圧により生じる電界の強度がしきい値Efh以上であることから配向状態への影響が少ない。
ただし、立ち下がり時間については、電圧印加部120による電圧の印加が停止したときに、液晶層230における配向状態がホメオトロピック配向状態からプレーナ配向状態に変化するように、予め決められた時間より短く制御する。この時間より長くなるように制御すると、プレーナ配向状態に変化する前にフォーカルコニック配向状態に変化してしまうからである。この例においては、立ち下がり時間TBは、この予め決められた時間よりも長い時間として設定されているものとする。
なお、制御部110は、照射部140を制御して、表示媒体200の画像が記録される領域全面に光を照射して、その結果、液晶層230に分圧される電圧により生じる電界がしきい値Efh以上となるようにしてもよい。また、全面ではなく一部の領域に光が照射されるようにして、その一部領域をプレーナ配向状態に変化させてもよい。
このようにして、表示媒体200には全面白色の画像が記録される。そして、制御部110は、液晶層230に分圧される電圧により生じる電界の強度が、光が照射されない領域では、しきい値Epf未満となり、光が照射された領域では、しきい値Epf以上となるように、電圧印加部120に印加させる電圧を制御する。この電圧については、パルス電圧であってもよいし、立ち上がり時間、立ち下がり時間が設けられたものであってもよい。立ち上がり時間、立ち下がり時間が設けられる場合には、それぞれ、変化時間設定部115に設定された立ち上がり時間TA、立ち下がり時間TBとすれば、コントラストの低下が抑制される。
また、制御部110は、画像情報が示す画像の黒色に対応する表示媒体200の領域に光を照射するように、照射部140を制御する。これにより、表示媒体200には、画像情報が示す画像が記録される。このようにして画像が記録された表示媒体200を用いて、上述した利用者の手書きによる画像の記録を行って、すでに記録されている画像に追記してもよい。
このように、本発明の実施形態に係る記録装置100は、光記録型の表示媒体200に対して、指示体300の指示に応じた画像を記録するときに印加する電圧について、電圧の印加開始、印加停止のときの電圧値が変化する時間を制御して、液晶層230に分圧される電圧に生じる電界の立ち上がり時のピーク、立ち下がり時のピークを小さくする。これにより、既に記録されている画像のコントラストの低下を抑制する。
<変形例>
上述した実施形態は、本発明の一例である。本発明は、上述した実施形態に限られず、例えば、以下の変形例によって実施されてもよい。また、本発明は、以下の変形例を組み合わせた実施を妨げない。
[変形例1]
上述した実施形態においては、電圧制御部112の時間制御において立ち上がり時間および立ち下がり時間を設けていたが、いずれか一方の時間のみ設けてもよい。また、電圧制御部112における立ち上がり時間および立ち下がり時間は、変化時間設定部115に設定された立ち上がり時間TA、立ち下がり時間TBに応じた時間であればよく、必ずしも一致している必要はない。
[変形例2]
上述した実施形態においては、電圧制御部112が行う時間制御において、立ち上がり時間は、変化時間設定部115に設定された立ち上がり時間TAとしていたが、時間制御が行われた後に、再び指示体300の指示に応じた画像の記録を行うことにより時間制御が行われる場合には、その間の時間が予め決められた時間より短い場合に、再び行う時間制御における立ち上がり時間を先に行う時間制御における立ち上がり時間TAより短くしてもよい。
電圧VAにおける立ち下がり時間に対応する期間の電界D3の電界強度が「0」になる前に、再び時間制御が行われ電圧VAが印加されると、そのときの電界D3の電界強度の影響により、立ち上がり時のピークが小さくなる。したがって、電界D3の電界強度が「0」になる前に、再び時間制御が行われる場合には、立ち上がり時間を立ち上がり時間TAより短くしてもコントラストの低下が抑制される。また、電界D3の電界強度が大きいほど再び時間制御を行うときの立ち上がり時のピークが低減されるから、時間制御が行われる間隔が短いほど、より短い立ち上がり時間になるように時間制御をしてもよい。
[変形例3]
上述した実施形態においては、電圧制御部112が行う時間制御において、立ち下がり時間は、変化時間設定部115に設定された立ち下がり時間TBとしていたが、電圧制御部112が電圧を印加する時間が予め決められた時間より短い場合には、立ち下がり時間が立ち下がり時間TBより短くなるようにしてもよい。
電圧VA印加時間が短いほど印加停止時における電界D3の電界強度は高くなる。この電界D3の電界強度が高いほど、立ち下がり時のピークが小さくなる。したがって、電界D3の電界強度が高い場合、すなわち筆圧オンの時間が短く電圧印加時間が短い場合は、立ち下がり時間を立ち下がり時間TBより短くしてもコントラストの低下が抑制される。また、電界D3の電界強度が大きいほど、立ち下がり時のピークが低減されるから、電圧印加時間が短いほど、より短い立ち下がり時間になるように時間制御をしてもよい。
[変形例4]
上述した実施形態においては、液晶層230の分極成分の分極に係る時定数τを予め測定し、測定結果に応じて利用者が操作部160を操作するなどして変化時間設定部115の設定を行っていたが、別の方法で設定されるようにしてもよい。
例えば、記録装置100に、時定数τの算出を行うための測定を行う測定手段を設け、制御部110は、測定手段による測定結果に応じて変化時間設定部115の設定を行うようにすればよい。このとき、測定手段によって測定するための測定用の素子を表示媒体200に設けておいてもよいし、端子221、251を介して表示媒体200の液晶層230の特性を直接測定して時定数τの算出を行うようにしてもよい。
なお、利用者が予め測定しておくもの、または測定手段が測定するものは時定数τでなくてもよく、液晶層230に分圧される電圧により生じる電界強度の時間の経過に伴う減少の程度に関する物理量を測定するものであればよい。
[変形例5]
上述した実施形態においては、液晶層230に分圧される電圧の時間の経過に伴う変化は無いものとして説明したが、この変化がある場合、例えば、液晶層230に分圧される電圧と感光層240に分圧される電圧との割合が時間の経過に伴い変化する場合においても、図8の説明で述べた分極成分の分極が進む現象は変わるものではないから、適用を除外するものではない。
この場合においては、図8における電界D1、D3についても時間の経過に伴い変化することになるから、その変化の時定数も含めた上で、立ち上がり時間TA、立ち下がり時間TBが変化時間設定部115に設定されるようにしてもよい。
また、この場合は、液晶層230に分圧される電圧の変化に応じて、感光層240に分圧される電圧についても変化していくことになる。感光層240に分圧される電圧の大きさが大きいほど、また、照射される光の強度が大きいほど、光が照射された領域の抵抗値の変化量が大きくなる構成である場合は、照射制御部113は、感光層240に分圧される電圧の大きさに応じてバックライト141の光の強度を変化させるようにしてもよい。バックライト141の光の強度の変化の態様については、予め感光層240に分圧される電圧の大きさを測定、シミュレーションなどにより取得しておき、照射制御部113に設定しておいてもよい。なお、バックライト141の光の強度を変化させるのではなく、調光パネル142の透過率を変化させて表示媒体200に照射される光の強度を変化させてもよい。
[変形例6]
上述した実施形態においては、記録される画像が白黒である表示媒体200を用いて説明したが、異なる色を反射する液晶層を積層した表示媒体を用いて、カラーの画像を記録するものに適用してもよい。この場合においても、表示媒体に印加する電圧に立ち上がり時間、立ち下がり時間を設ければよく、これにより、各液晶層において分圧される電圧により生じる電界の立ち上がり時のピーク、立ち下がり時のピークが小さくなる。
10…記録システム、100…記録装置、110…制御部、111…位置取得部、112…電圧制御部、113…照射制御部、114…調光制御部、115…変化時間設定部、120…電圧印加部、130…位置特定部、140…照射部、141…バックライト、142…調光パネル、150…記憶部、160…操作部、200…表示媒体、210,260…保護層、220,250…透明導電層、221,251…端子、230…液晶層、240…感光層、300…指示体

Claims (7)

  1. 分圧されることにより印加された電圧が第1電圧値未満である場合には配向状態が変化せず、第1電圧値以上第2電圧値未満である場合には第1配向状態、前記第2電圧値以上である状態から予め決められた時間内に前記第1電圧値未満の予め決められた第3電圧値まで減少した場合には第2配向状態となる液晶層、および光が照射されると抵抗値が変化する感光層を含む積層された複数の層を有する光記録型表示媒体であって、当該光記録型表示媒体に電圧が印加されると当該複数の層により当該電圧が分圧されるとともに、前記液晶層に含まれる分極成分の分極の進行によって当該液晶層に生じる電界の強度を減少させる光記録型表示媒体に対して、電圧を印加する電圧印加手段と、
    前記液晶層に生じる電界強度の時間の経過に伴う減少の程度に対応した時間を変化時間として設定する設定手段と、
    前記感光層に光が照射された領域に対応する前記液晶層のうち第2配向状態である領域が第1配向状態に変化する印加電圧値の電圧を、前記光記録型表示媒体に対して印加させるように前記電圧印加手段を制御する電圧制御手段と
    を具備し、
    前記電圧制御手段は、前記制御における電圧の印加を開始してから前記印加電圧値に到達させるまでの電圧値を変化させる時間、または当該電圧の印加を停止するまでの電圧値を変化させる時間を、前記変化時間に対応させた電圧変化時間で制御する
    ことを特徴とする記録装置。
  2. 前記電圧変化時間は、前記予め決められた時間より長い時間であり、
    前記電圧制御手段は、前記制御を行う前に、前記液晶層の少なくとも一部の領域が第2配向状態に変化するように、前記電圧印加手段によって前記光記録型表示媒体に対して印加させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記電圧制御手段は、前記制御において電圧を印加する時間が予め決められた時間より短い場合に、当該時間より長い場合に比べて、当該電圧の印加の停止に係る時間を短くする
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の記録装置。
  4. 利用者による入力を受け付ける受付手段をさらに具備し、
    前記設定手段は、前記受付手段によって受け付けられた入力により、予め測定した前記液晶層に生じる電界強度の時間の経過に伴う減少の程度に対応した時間を前記変化時間として設定する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の記録装置。
  5. 前記光記録型表示媒体における前記液晶層に生じる電界強度の時間の経過に伴う減少の程度に関する物理量を測定する測定手段をさらに具備し、
    前記設定手段は、前記測定手段によって測定された物理量に応じた時間を前記変化時間として設定する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の記録装置。
  6. 前記電圧制御手段は、前記制御が行われた後に再び前記制御を行う場合には、先に前記制御が行われてから再び前記制御が行われるまでの時間が予め決められた時間より短い場合に、当該時間より長い場合に比べて、再び行う前記制御における電圧の印加の開始に係る時間を短くする
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の記録装置。
  7. 前記感光層に光を照射する照射手段と、
    前記電圧制御手段による前記制御における電圧の印加を開始してから前記印加電圧値に到達させるまでの電圧値を変化させる期間において、前記照射手段から照射される光の強度を変化させる照射制御手段と
    をさらに具備する
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の記録装置。
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