JP2011109643A - スキャナ装置、スキャナ補助装置、およびスキャナシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】 より大きな読取対象の記載内容を読み取ることができるとともに、保管スペースを削減できるスキャナ装置およびスキャナ補助装置を提供すること。
【解決手段】 原稿Dcまたはその周囲を押さえつけた状態で原稿Dcの記載内容を2次元画像として読み取るスキャナ装置A1であって、原稿Dc側から進行してきた光を通過させる光通過空間1bが形成されたフード1と、光通過空間1bを通過した光を集束させ、原稿Dcの記載内容を撮像するカメラ5と、カメラ5を保持する保持部材2と、を備え、保持部材2は、保持部材2の少なくとも一部分がフード1に対し原稿Dcと反対側に位置する第1の位置と、当該第1の位置よりDc読取対象に近接する第2の位置とをとる。
【選択図】 図2
【解決手段】 原稿Dcまたはその周囲を押さえつけた状態で原稿Dcの記載内容を2次元画像として読み取るスキャナ装置A1であって、原稿Dc側から進行してきた光を通過させる光通過空間1bが形成されたフード1と、光通過空間1bを通過した光を集束させ、原稿Dcの記載内容を撮像するカメラ5と、カメラ5を保持する保持部材2と、を備え、保持部材2は、保持部材2の少なくとも一部分がフード1に対し原稿Dcと反対側に位置する第1の位置と、当該第1の位置よりDc読取対象に近接する第2の位置とをとる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、スキャナ装置、スキャナ補助装置、およびスキャナシステムに関する。
原稿などに記載された内容を画像データとして読み取るためのスキャナ装置としては、たとえば2次元エリアセンサを備えたカメラモジュールを用いて構成されたものがある。このようなスキャナ装置は、たとえば原稿読取面に載置された原稿の画像を光学レンズ系によって2次元エリアセンサ上に結像させ、この2次元エリアセンサによって2次元画像データを取得するように構成されている(たとえば、特許文献1を参照)。
特許文献1においては、光学レンズ系として画角が大きい広角レンズあるいは超広角レンズを採用したスキャナ装置が示されている。このような広角レンズ等を用いれば、比較的に大きいサイズの原稿を読み取る場合においても、レンズから原稿読取面までの距離を短くすることができ、スキャナ装置の薄型化を図ることができる。
近年、このようなスキャナ装置をさらに大きな原稿を読み取る用途に用いたいといった要望がある。さらに大きな原稿を読み取る場合には、スキャナ装置の高さ(厚さ)を大きくすることが考えられる。しかしながらスキャナ装置を厚くすることは、スキャナ装置を使用しないときの保管スペースが大きくなるため好ましくない。一方、さらに大きな原稿を読み取るために、スキャナ装置を厚くせず、レンズの画角をより大きくすることも考えられる。しかしながらレンズの画角を大きくすることは、撮像される画像の歪みが大きくなるため好ましくない。
原稿などに記載された内容を画像データとして読み取るためのスキャナシステムとしては、ラインイメージセンサを備えたいわゆるフラットベッド型と称されるものが広く用いられている(たとえば特許文献2参照)。このようなスキャナシステムにおいては、原稿の1ラインが、ラインイメージセンサによって撮影されることにより、主走査方向に沿って1列に並ぶ複数の画素データとして取り込まれる。原稿は通常平面状に広がっているため、原稿のすべての領域を読み取るには、ラインイメージセンサによって数百もしくは数千回におよぶ撮影を行う必要がある。しかも、各撮影の間には、ラインイメージセンサを副走査方向に1ライン分移動させる処理と、ラインイメージセンサからスキャナシステムに備えられた制御手段に画素データを転送する処理とを行う必要がある。これらの処理が誤ったタイミングで行われないように、これらの処理の合間には、待ち時間を設定せざるを得ない。この待ち時間が数百もしくは数千回発生するため、原稿のすべてを読み取るには、相当な時間が費やされていた。
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、より大きな読取対象の記載内容を読み取ることができるとともに、保管スペースを削減できるスキャナ装置およびスキャナ補助装置を提供することをその主たる課題とする。また、読取に要する時間を短縮することが可能なスキャナシステムを提供することを他の課題とする。
本発明の第1の側面によって提供されるスキャナ装置は、読取対象またはその周囲を押さえつけた状態で上記読取対象を2次元画像として読み取るスキャナ装置であって、上記読取対象側から進行してきた光を通過させる第1光通過空間が形成された第1フードと、上記第1光通過空間を通過した光を集束させ、上記読取対象を撮像するカメラと、上記カメラを保持する保持部材と、を備え、上記保持部材は、上記保持部材の少なくとも一部分が上記第1フードに対し上記読取対象と反対側に位置する第1の位置と、当該第1の位置より上記読取対象に近接する第2の位置とをとることを特徴としている。
このような構成によれば、上記保持部材を上記第1の位置に位置させると、上記第2の位置に上記保持部材が位置している場合と比べ上記カメラと上記読取対象との距離が大きくなる。そのため、上記スキャナ装置が読み取ることのできる読取対象を大きくすることができる。一方、上記保持部材を上記第2の位置に位置させることにより、上記保持部材が上記第1の位置に位置している場合と比べ、上記スキャナ装置の厚みは小さくなる。上記スキャナ装置の厚みを小さくできると、上記スキャナ装置の保管スペースを削減できる。したがって、このようなスキャナ装置によれば、より大きな読取対象の記載内容を読み取ることができ、かつ、保管スペースを削減できる。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記保持部材は、上記第1フードから着脱可能である。このような構成によれば、上記保持部材を上記第1フードから取り外すことにより、上記保持部材と上記第1フードとを別々にして保管できる。これにより、上記スキャナ装置の保管スペースを削減できる。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記保持部材は上記第1フードに対し、上記読取対象に接近および離間する方向の少なくともいずれかに向かい相対移動可能である。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記保持部材は、上記第1光通過空間を通過した光を通過させる第2光通過空間が形成された第2フードを含み、上記第1フードには、上記第2フードがはめ込まれた第1の孔が形成されている。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2フードは、上記第1の孔の縁と係合し、且つ、上記読取対象に接近および離間する方向における上記保持部材の移動を係止する1または複数の第2フード係止部を有する。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2フード係止部は、上記第1の孔の縁が入り込むくびれである。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記くびれは、上記第1の孔の縁の全周が入り込む形状である。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2フードの複数の係止状態における読取範囲がそれぞれ、複数の所定の規格サイズに各別に一致する。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記カメラは、互いに直角な第1および第2方向に沿ってそれぞれ所定の配列ピッチでマトリクス状に配置された複数の受光領域が形成された受光面を有する撮像素子と、上記読取対象側から進行してきた光を上記受光面に結像させる光学系と、を含む。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1方向および上記第2方向のいずれにも直角な第3方向における上記カメラとの距離が、上記第1方向において上記読取対象側に向かうほど大きく、且つ、上記第2方向において一定である反射面を有する反射部材をさらに備える。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記読取対象側から進行してくる光を通過させる第3光通過空間が形成され、且つ、上記第1フードがはめ込まれた第3の孔を有する第3フードをさらに備える。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1フードは、上記第3の孔の縁と係合し、且つ、上記読取対象に接近および離間する方向における上記第1フードの移動を係止する第1フード係止部を有する。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記保持部材は、上記第1フードに収容可能な大きさである。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1フードは、上記読取対象側に開口する開口部を有し、上記開口部を塞ぐ透明板と、上記第1フードに設けられた取手と、をさらに備え、上記保持部材が上記第1フードに収容された状態で持ち運び可能である。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1フードに設けられ、且つ、上記読取対象に光を照射する照射シート、をさらに備える。
本発明の第2の側面によって提供されるスキャナ補助装置は、読取対象またはその周囲を押さえつけた状態で上記読取対象を2次元画像として読み取る際に用いるスキャナ補助装置であって、上記読取対象側から進行してきた光を通過させる光通過空間が形成されたフードと、上記光通過空間を通過した光を集束させる光学系と、上記光学系を保持する保持部材と、を備え、上記保持部材は、上記保持部材の少なくとも一部分が上記第1フードに対し上記読取対象と反対側に位置する第1の位置と、当該第1の位置より上記読取対象に近接する第2の位置とをとり、上記光学系により集束された光をカメラのレンズ部分に進行させる状態で用いることを特徴としている。
本発明の第3の側面によって提供されるスキャナ装置は、読取対象またはその周囲を押さえつけた状態で上記読取対象を2次元画像として読み取るスキャナ装置であって、上記読取対象側から進行してきた光を通過させる光通過空間が形成されたフードと、上記光通過空間を通過した光を集束させ、上記読取対象を撮像するカメラと、を備えることを特徴としている。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記フードは、光を拡散させつつ透過させる材質からなる。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記フードに設けられ、且つ、上記読取対象に光を照射する照射シートを備える。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記フードに設けられた導光体、およびこの導光体に光を入射させる光源を備える。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記導光体は、上記フードの外側に設けられている。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記導光体は、上記フードの内側に設けられている。
本発明の第4の側面によって提供されるスキャナシステムは、本発明の第3の側面によって提供されるスキャナ装置と、上記スキャナ装置を収容し、かつ上記読取対象からの光を上記スキャナ装置に到達させる開口を有する筺体と、上記スキャナ装置を上記読取対象に沿った第1方向、およびこの第1方向と交差する方向である第2方向に移動させる駆動機構と、上記第1および第2方向において互いに異なる複数の位置において上記スキャナ装置によって撮影された複数の画像から一の上記読取対象の画像を生成する制御手段と、を備えることを特徴としている。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記筺体は、上記開口を囲んでおり、かつ上記スキャナ装置側の面に区画マークが記された枠体を有している。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記筐体には、上記読取対象を押さえる蓋が設けられており、上記蓋のうち上記スキャナ装置に対面する部位には、区画マークが記されている。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記筺体は、上記開口を囲む枠体を有しており、上記枠体には、上記スキャナ装置に上記区画マークを臨ませる窓部が形成されている。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記制御手段は、上記複数の画像のうち、同一の上記区画マークが写っているもの同士を、この区画マークが一致するように合成する。
本発明の第5の側面によって提供されるスキャナシステムは、本発明の第3の側面によって提供されるスキャナ装置と、上記読取対象を押さえ、かつ上記読取対象からの光を上記スキャナ装置に到達させる開口を有する枠体と、を備えることを特徴としている。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記枠体には、上記スキャナ装置の外側面と接することにより上記スキャナ装置の位置を規定する内側面を有する位置決め開口が形成されている。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記読取対象に沿った第1方向、およびこの第1方向と交差する方向である第2方向における互いに異なる複数の位置において撮影された上記スキャナ装置の複数の画像から、一の上記読取対象の画像を生成する制御手段を備える。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記制御手段は、上記スキャナ装置に接続されたパーソナルコンピュータである。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記枠体の上記スキャナ装置側の面には、区画マークが記されている。
本発明の好ましい実施の形態においては、上記制御手段は、上記複数の画像のうち、同一の上記区画マークが写っているもの同士を、この区画マークが一致するように合成する。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜図9を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態にかかるスキャナ装置の斜視図である。図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。これらの図に示すスキャナ装置A1は、読取対象である原稿Dcもしくは原稿Dcの周囲を押さえつけた状態で、原稿Dcの記載内容を2次元画像のデータとして読み取るためのものである。
スキャナ装置A1は、フード1、保持部材2、基板4、カメラ5、図示しない透明板、制御IC71、およびメモリチップ72を備える。
フード1は、原稿Dcを押さえつけることによって原稿Dcの読取部分を覆って外部と区切るためのものである。フード1は、原稿Dc側に矩形状の開口端1aを有する箱状である。より具体的には、フード1は、上板11と、傾斜板12と、側板13とを備える。上板11の中央には、矩形状の孔11aが形成されている。傾斜板12は、上板11に対し傾斜し、且つ、上板11につながる。側板13は傾斜板12につながり、その端が開口端1aとなっている。フード1は、たとえばアクリル系、エポキシ系、ポリカーボネート系の白色の半透明樹脂からなる。そのため、フード1は、外光を透過させるとともに散乱させ得る。
フード1には、上板11と傾斜板12と側板13とに囲まれた光通過空間1bが形成されている。原稿Dc側から進行してきた光は、光通過空間1bを通過し、孔11aに向かい進行する。
保持部材2は、基端部21と、フード22とを備える。保持部材2は、フード1に対し図2の上下方向に移動可能に、フード1に支持されている。
基端部21は、原稿Dc側に開口する箱状である。基端部21は、たとえば遮光性に優れた黒色の樹脂からなる。フード22は、フード1と同様に、原稿Dc側に矩形状の開口端22aを有する箱状である。フード22は、基端部21を支持している。またフード22は、孔11aにはめ込まれ、フード1に対し図2の上下方向に移動可能に、フード1に支持されている。これにより、保持部材2がフード1に対し、図2の上下方向に移動可能となっている。
フード22は、上板221と、傾斜板222と、側板223とを備える。上板221の中央には、円形状の孔221aが形成されている。傾斜板222は、上板221に対し傾斜し、且つ、上板221につながる。側板223は、傾斜板222につながり、その端が開口端22aとなっている。側板223は、くびれ22c,22d,22eを有する。図3には、くびれ22d近傍の要部拡大図を示している。くびれ22c,22d,22eは、孔11aの縁11a’と係合することにより、図2の上下方向において移動しているフード22を係止する。また、くびれ22c,22d,22eはそれぞれ、側板223の周囲を囲むように形成されている。すなわち、くびれ22c,22d,22eは、孔11aの縁11a’の全周が入り込む形状である。フード22は、たとえばアクリル系、エポキシ系、ポリカーボネート系の白色の半透明樹脂からなる。そのため、フード22は、外光を透過させるとともに散乱させうる。本発明の係止部としては、本実施形態に示すくびれであってもよいし、フード22に形成された凸部であってもよい。
フード22には、上板221と傾斜板222と側板223とに囲まれた光通過空間22bが形成されている。光通過空間1bを通過してきた光は、光通過空間22bを通過し、孔221aに向かい進行する。
基板4は、たとえば長矩形状のプリント配線基板である。基板4は、たとえば銅からなる金属配線層と樹脂層とが積層された構造を有する。基板4は、基端部21に搭載されている。
カメラ5は、基板4に搭載されている。これにより、カメラ5は、基端部21に収容され、基板4を介して、保持部材2に保持されている。図5に示すように、カメラ5は、撮像素子51と、光学系52と、ホルダ53とを備える。
撮像素子51は、たとえばCCD型もしくはCMOS型のカメラ素子と呼ばれるものである。図4および図5に示すように、撮像素子51は矩形状の受光面511を有する。受光面511大きさは、たとえば、縦が3.6mmであり、横が約2.7mmである。受光面511には、複数の矩形状の単位受光領域512がマトリクス状に配置されている。各単位受光領域512は、受けた光の光量に応じた起電力を生じさせる、いわゆる光電変換機能を発揮する領域である。単位受光領域512の配列ピッチは、たとえば約2μmである。本実施形態においては、受光面511には、1600×1200個の単位受光領域512が配置されている。これにより、撮像素子51は、L版サイズの原稿Dcを320DPIの解像度で読取できる。受光面511が光を受けると、各単位受光領域512ごとの受光量に対応した出力レベルの画像信号が撮像素子51から出力される。
光学系52は、原稿Dcから向かってきた光を撮像素子51の受光面511に結像させる。本実施形態において光学系52は、いわゆる広角レンズである。図5に示すように、光学系52は、物体側レンズ521、収束レンズ522、および結像面側レンズ群523を備える。物体側レンズ521、収束レンズ522、および結像面側レンズ群523は、それぞれのレンズ中心が一致するように、ホルダ53に保持されている。
物体側レンズ521は、凹レンズである。物体側レンズ521は、物体側の入射面521aと、結像面側の出射面521bとを備える。入射面521aは、凸の非球面である。入射面521aは、物体側レンズ521のレンズ中心付近から遠ざかるにつれて曲率半径が小さくなる形状である。出射面521bは、凹球面である領域をもつ。本実施形態においては、出射面521bの全体が凹球面である。出射面521bは正確な凹球面であることが望ましい。だが、出射面521bに、たとえば色消しのための樹脂層がコーティングされていてもよい。また、出射面521bに、各種収差を補正するためのわずかな変更を加えてもよい。
収束レンズ522は、凸レンズである。収束レンズ522は、物体側レンズ521から進行してくる光を、平行光ないしは略平行光として、結像面側レンズ群523へと入射させる。
結像面側レンズ群523は、それ自体で収差が少なく物体像を結像面に結像できるものが採用される。結像面側レンズ群523は、本実施形態の場合、非球面凸レンズ523aと非球面凹レンズ523bとを含む。なお、結像面側レンズ群523と撮像素子51との間に赤外線フィルタ54を設けてもよい。この場合、撮像素子51に赤外線が入射することを防止できる。
本実施形態における光学系52によると、物体側レンズ521の入射面521aを上記のように凸の非球面としたことによって比較的に広角でありながら像歪みが少なくなっている。光学系52の画角はたとえば100°程度であり、像歪みが±3%以内である。なお、光学系52の画角をより大きくするために、物体側レンズ521を複数のレンズからなる物体側レンズ群としてもよい。
図示しない透明板は、フード1の開口端1aから光学系52側に少し入り込んだ位置に設けられている。透過板は、たとえば透明樹脂製からなる。透明板は、光学系52を保護する機能を果たす。透明板はさらに、たとえば原稿Dcのうねりや反りが大きい場合には、原稿Dcをほぼ平らな状態に押さえる機能も果たす。
制御IC71は、演算処理回路が作り込まれた半導体チップである。制御IC71は、撮像素子51の駆動を制御したり、メモリチップ72へのデータを転送したり、スキャナ装置A1の外部とのデータを送受する。メモリチップ72は、たとえばフラッシュメモリである。メモリチップ72は、制御IC71の駆動制御によって得られた画像データを記憶する。
次に図6〜図9を用いて、スキャナ装置A1の使用方法について説明する。
以下では、4種類の大きさの異なる原稿Dc1,Dc2,Dc3,Dc4の記載内容の読取方法について述べる。これらの原稿Dc1,Dc2,Dc3,Dc4の大きさは、原稿Dc1が最も小さく、原稿Dc1,Dc2,Dc3,Dc4の順に大きくなっている。原稿Dc1,Dc2,Dc3,Dc4はたとえば、それぞれ、規格サイズの原稿である。具体例をあげると、原稿Dc1はL版、原稿Dc2はA5版、原稿Dc3はB5版、原稿Dc4はA4版の原稿である。
まず図6を用いて、最小サイズの原稿Dc1の記載内容を読み取る方法について説明する。同図に示すように、原稿Dc1の記載内容を読み取る際には保持部材2のみを用いる。フード22の開口端22aが原稿Dc1の周囲を押さえつけた状態で、原稿Dc1の記載内容を読み取る。保持部材2の読取範囲R1は、原稿Dc1のサイズにほぼ一致する。
次に、図7〜図9を用いて、原稿Dc1より大きい原稿Dc2,Dc3,Dc4の記載内容を読み取る方法について説明する。これらの図に示すように、原稿Dc2,Dc3,Dc4の記載内容を読み取る際には、保持部材2がフード1にはめ込まれたスキャナ装置A1を用いる。
図7に示すように、原稿Dc2の記載内容を読み取る際には、フード22のくびれ22cに縁11a’が入り込むように、保持部材2をフード1の孔11aにはめ込む。そしてフード1の開口端1aが原稿Dc2の周囲を押さえつけた状態で、原稿Dc2の記載内容を読み取る。同図に示すスキャナ装置A1の読取範囲R2は、原稿Dc2のサイズにほぼ一致する。
図8に示すように、原稿Dc2より大きい原稿Dc3の記載内容を読み取る際には、保持部材2を原稿Dc3と離間する方向にスライドさせる。フード22のくびれ22dが縁11a’に入り込むと、スライドしている保持部材2が係止される。そしてフード1の開口端1aが原稿Dc3の周囲を押さえつけた状態で、原稿Dc3の記載内容を読み取る。同図に示すスキャナ装置A1の読取範囲R3は、原稿Dc3のサイズにほぼ一致する。
図9に示すように、最大サイズの原稿Dc4の記載内容を読み取る際には、保持部材2を原稿Dc4と離間する方向にさらにスライドさせる。フード22のくびれ22eが孔11aの縁11a’に入り込むと、スライドしている保持部材2が係止される。そしてフード1の開口端1aが原稿Dc4の周囲を押さえつけた状態で、原稿Dc4の記載内容を読み取る。同図に示すスキャナ装置A1の読取範囲R4は、原稿Dc4のサイズにほぼ一致する。
このようにして、スキャナ装置A1を使用する。
次に、スキャナ装置A1の作用について説明する。
スキャナ装置A1においては、図7〜図9に示したように、保持部材2をフード1に対しスライドさせることができる。図9に示した位置に保持部材2をスライドさせることにより、比較的大きいサイズの原稿Dc4の記載内容を読み取ることができる。一方、図9に示した位置から図7に示した位置に保持部材2をスライドさせることにより、フード1からの保持部材2の突出高さを小さくすることができる。そのため図7に示したスキャナ装置A1の厚さを、図9に示したスキャナ装置A1の厚さより小さくすることができる。スキャナ装置A1の厚さを小さくできると、スキャナ装置A1の保管スペースを削減できる。このように、スキャナ装置A1によると、比較的大きな原稿Dc4の記載内容を読み取ることができるとともに、保管スペースを削減できる。
また本実施形態においては、保持部材2はフード1から取り外すことができる。そのため、スキャナ装置A1を使用しない場合には、保持部材2とフード1とを別々にして保管できる。保持部材2とフード1とを別々に保管することにより、保持部材2がフード1の孔11aにはめ込まれた状態でスキャナ装置A1を保管する場合よりも、保管スペースを削減できる。また図10に示すように、フード1に保持部材2を収容して、スキャナ装置A1を保管するとよい。
図6に示したように、保持部材2のみを用いても、スキャナ装置A1を用いて原稿Dcの記載内容を読み取るのと同様に、比較的小さな原稿Dc1の記載内容を読み取ることができる。保持部材2のみを用いて原稿Dc1の記載内容を読み取る場合には、原稿Dc1の大きさに読取範囲R1が近づく。原稿Dc1の大きさに読取範囲R1を近づけることができると、撮像素子51の単位受光領域512のうち、より多くの単位受光領域512に原稿Dc1からの光を入射させることができる。そのため、原稿Dc1をより高画素で撮像することができる。このように、スキャナ装置A1によると、異なる大きさの原稿Dcをより高画素で撮像することができる。
フード22には、孔11aの縁11a’と係合するくびれ22c,22d,22eが形成されている。そのため、フード1に対する保持部材2の位置決めが容易になる。フード1に対する保持部材2の位置決めが容易になると、スキャナ装置A1の読取範囲を、原稿Dcの種類に応じたものに容易に切り替えることができる。
くびれ22c,22d,22eは、孔11aの縁11a’の全周が入り込む形状となっている。そのため、各くびれ22c,22d,22eと縁11a’との間を光が通りにくい。これにより、フード1の外部から光通過空間1bへの意図しない光の進入を抑制することができる。
以下に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には上記実施形態と同一の符号を付しており、適宜説明を省略する。
図11〜図15を用いて本発明の第2実施形態について説明する。図11は、本実施形態にかかるスキャナ装置の要部断面図である。第1実施形態にかかる光学系52は図5に示した通りであった。本実施形態にかかるスキャナ装置A2は、光学系52が反射部材526を備える点において、第1実施形態にかかるスキャナ装置A1と異なる。スキャナ装置A2の構成は、カメラ5を除き、第1実施形態にかかるスキャナ装置A1の構成と同様である。
本実施形態において基板4は、基端部21の側壁部分に搭載されている。カメラ5は、撮像素子51と、光学系52と、ホルダ53とを備える。
図12は、図11のXII―XII線に沿う要部矢視図である。図13は、本実施形態のスキャナ装置における原稿Dcの読取範囲について示す図である。図14は、撮像素子51の要部平面図である。図15は、図14の要部拡大図である。なお、図12においては、便宜上、光学系52およびホルダ53を省略している。
図12、図14に示すように、撮像素子51は、矩形状の受光面511を有する。受光面511大きさは、たとえば、縦が5.8mmであり、横が約7.7mmである。図14、図15に示すように、受光面511には、複数の単位受光領域512がマトリクス状に配置されている。各単位受光領域512は、方向xおよび方向yに辺が延びる矩形である。方向xにおける単位受光領域512の配列ピッチp1は、たとえば約4.5μmである。配列ピッチp1は、各単位受光領域512の方向xにおけるサイズw1よりも僅かに大きい。方向yにおける単位受光領域512の配列ピッチp2は、たとえば約8μmである。配列ピッチp2は、各単位受光領域512の方向yにおけるサイズw2よりも僅かに大きい。本実施形態においては、受光面511には、1280×960個の単位受光領域512が配置されている。これにより、撮像素子51は、L版サイズの原稿Dcを265DPIの解像度で読取できる。
図11に示すように、光学系52は、レンズ525と反射部材526とを備える。レンズ525は、ホルダ53に保持されている。レンズ525は、原稿Dc側から進行してきた光を撮像素子51の受光面511に結像させる。本実施形態においてレンズ525は、たとえば画角が50°程度のいわゆる標準レンズである。
図11に示すように、反射部材526は、基端部21に取付けられている。反射部材526は、たとえばアルミニウムからなる。反射部材526は、反射率が高い鏡面からなる反射面526aを有する。反射面526aはレンズ525の正面に位置する。反射面526aは凸状の非球面である。より具体的には、図13に示すように、反射面526aは、方向zにおけるレンズ525との距離が、方向xにおいては原稿Dc側に向かうほど大きく、且つ、方向yにおいては一定である。すなわち、反射面526aは、方向xにおいてレンズ525側に膨らんだ凸曲面である。さらに凸曲面からなる反射面526aは、レンズ525から遠ざかるにつれて曲率が小さくなるように構成されている。このような構成により、反射部材526は、原稿Dcから進行してきた光を反射面526aによって反射し、レンズ525に向かわせる。
次に、スキャナ装置A2の作用について説明する。
スキャナ装置A2においては、第1実施形態にかかるスキャナ装置A1と同様に、保持部材2をフード1に対しスライドさせることができる。そのため、スキャナ装置A2によると、比較的大きな原稿Dcの記載内容を読み取ることができるとともに、保管スペースを削減できる。
本実施形態によれば、上述したように、原稿Dc側から進行してきた光を反射部材526の反射面526aによって折り曲げてレンズ525に向かわせることができる。そのため、スキャナ装置A2の厚さを厚くすることなく、反射部材526からレンズ525までの距離を大きくできる。反射部材526からレンズ525までの距離を大きくすると、原稿Dcからレンズ525までの距離が大きくなる。原稿Dcからレンズ525までの距離を大きくすると、スキャナ装置A2の読取範囲が大きくなる。このように反射部材526を有するスキャナ装置A2によると、スキャナ装置A2の厚さを厚くすることなく、読取範囲を大きくすることができる。なお、レンズ525として画角がより大きいレンズを用いた場合であっても、スキャナ装置A2の薄型化を図りつつ、標準レンズを用いた場合に増して広範囲の撮像を可能とすることができる。
本実施形態によれば、反射面526aは方向xにおいて膨らんだ凸曲面とされている。このため、レンズ525自体の画角が小さくても、反射面526aを介して撮像素子51により撮像される範囲については、方向xに対応する垂直画角の広角化を図ることができる。かかる構成は、スキャナ装置A2の薄型化を図る上で好適である。
反射面526aは、レンズ525から遠ざかるにつれて曲率が小さくなるように構成されている。これにより、原稿Dcの読取画像においては、広角化方向の画像端寄りの部分に生じうる歪みを抑制することができる。これにより、原稿Dcの記載内容をより正確に読み取ることができる。
さらに、本実施形態は、第1実施形態で述べた利点と同様の利点も有する。
図16を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。図16は、本実施形態にかかるスキャナ装置の要部断面図である。同図に示されたスキャナ装置A3は、2つのレンズ525を備える。これらのレンズ525は、基端部21の両側壁部分に基板4を介して搭載されている。本実施形態では、反射部材526は、平面からなる2つの反射面526aを有する。これらの反射面526aは、2つのレンズ525に対応するように位置している。図16に表れているように、2つのレンズ525による原稿Dcの読取範囲は、中央において重複している。フード22における孔221aには、透明板61が配置されている。透明板61には、方向zにおける中央に検出マーク611が付されている。
本実施形態では、2つのレンズ525によって2つの画像データが読み取られる。これらの画像データにはそれぞれ検出マーク611が写り込んでいる。そのため、これらの画像データにおける重複部分を検出できる。そして、たとえば制御IC71によって2つの画像データの合成処理を実行することにより、広範囲の1つの画像データを取得することができる。このように、スキャナ装置A3によれば、反射部材526として平面の反射面526aを有することにより反射面526aを介して撮像される範囲の広角化がなされない構成であっても、原稿Dcの広範囲について正確な2次元画像を取得できる。また、反射面526aが第2実施形態に示した曲面状である場合には、さらなる広角化が期待できる。
図17〜図19を用いて、本発明の第4実施形態について説明する。図17は、本実施形態にかかるスキャナ装置の要部断面図である。これらの図に示したスキャナ装置A4は、フード3をさらに備え、フード1がフード3の孔31aにはめ込まれている点において、第1実施形態にかかるスキャナ装置A1と相違する。本実施形態におけるフード1、および保持部材2の厚さは、第1実施形態に示したものと比較して小さくなっている。
フード3は、原稿Dc側に矩形状の開口端3aを有する箱状である。フード3には孔31aが形成されている。フード3は、たとえばアクリル系、エポキシ系、ポリカーボネート系の白色の半透明樹脂からなる。そのため、フード3は、外光を透過させるとともに散乱させ得る。フード3の内部は、光通過空間3bである。原稿Dcからの光は、光通過空間3bを通り、図上方に進行する。
フード1における側板13は、孔31aと係合することにより、図17の上下方向におけるフード1の移動を係止する複数のくびれ1c,1dを有する。くびれ1c,1dは、孔31aの縁31a’が入り込むくびれである。さらに当該くびれは、孔31aの縁31a’の全周が入り込む形状である。
次に、スキャナ装置A4の作用について説明する。
スキャナ装置A4においては、フード1をフード3に対しスライドさせることができる。また保持部材2をフード1に対しスライドさせることができる。図17に示した位置に保持部材2を位置させることにより、比較的大きいサイズの原稿Dcの記載内容を読み取ることができる。一方、図17に示した位置から図18に示す位置に保持部材2とフード1とをスライドさせることにより、スキャナ装置A4の厚さをより小さくできる。スキャナ装置A4の厚さを小さくできると、スキャナ装置A4の保管スペースを削減できる。このように、スキャナ装置A4は、上記実施形態と同様、比較的大きな原稿Dcの記載内容を読み取ることができるとともに、保管スペースを削減できる。さらに、図19に示すように、フード3にフード1と保持部材2とを収容した状態で、スキャナ装置A4を保管することによっても保管スペースを削減できる。
本実施形態にかかるスキャナ装置A4は、カメラ5が広角レンズを備える構成にかえて、第2実施形態もしくは第3実施形態で示した反射板526を有する構成であってもよい。
図20を用いて、本発明の第5実施形態について説明する。図20は、本実施形態にかかるスキャナ装置を示す断面図である。同図に示したスキャナ装置A5は、上板11に配置された照射シート81をさらに備える点において、第1実施形態にかかるスキャナ装置A1と相違する。照射シート81は、たとえば有機ELシートである。このようなスキャナ装置A5において、照射シート81は、フード1の上側から光通過空間1bに向かう光を遮断する。一方、照射シート81から照射された光は、白色樹脂からなる上板11を透過することにより、原稿Dcに散乱光として照射される。このようにして、原稿Dcに適切な量の光を照射することが可能となる。
照射シート81を備える構成を、第2、第3、第4実施形態の各スキャナ装置に適用してもよい。また照射シート81を、上板11に配置するのではなく、傾斜板12に配置してもよいし、側板13に配置してもよい。
図21を用いて、本発明の第6実施形態について説明する。図21は、本実施形態にかかるスキャナ装置の断面図である。同図に示したスキャナ装置A6は、上板11と、傾斜板12の中央寄りの部分とに、設けられた遮光膜82をさらに備える点において、第1実施形態にかかるスキャナ装置A1と相違する。遮光膜82は、たとえば黒色の樹脂からなる。スキャナ装置A6において、傾斜板12の外周寄りの部分と、側板13とは、遮光膜82に覆われずに、外周側の表面が露出している。この露出部分は、散乱透過部125である。この散乱透過部125に外光が到達すると、当該外光は、半透明樹脂を透過することによって、散乱光としてフード1の内側の原稿Dcに向けて照射される。
本実施形態によれば、フード1の開口端1aが原稿Dcの周囲を押さえ付けた状態において、部屋の照明光あるいは太陽光などの外光を、散乱透過部125を介してフード1の内側に取り入れ、散乱光として原稿Dcに向けて比較的に均一に照射することができる。したがって、本構成を用いれば、従来のフラットベッド型の画像読取装置とは異なり、原稿Dcが書物やアルバムといった段差などを有するものである場合においても、フード1を原稿Dcに覆い被せるだけで原稿Dcの記載内容を適正に読取ることができる。また、スキャナ装置A6によれば、比較的に重量や厚さが嵩む原稿Dcについても、フラットベッド型の画像読取装置のように読取部分を裏返してセットする必要がないため、画像読取のための作業そのものを簡単に行うことができる。
図22を用いて、本発明の第7実施形態について説明する。図22は、本実施形態にかかるスキャナ装置の断面図である。本実施形態のスキャナ装置A7は、フード1において、散乱透過部125が配される範囲が上記実施形態と異なっている。具体的には、複数の遮光膜82が分離して形成されており、これに伴って、散乱透過部125も複数個所に分離して設けられている。そして、複数の散乱透過部125については、フード1の横断面方向(図中左右方向)において外周寄りのものほど散乱透過部125どうしの離間幅が大とされている。このような構成によれば、フード1においては、横断面方向における中央から外周寄りへ向かうにつれて外光の透過光量が多くなり、原稿Dcにおいては、読取部分の端部に寄るほど高い照度の光が照射されることになる。このことは、取り込まれる画像データを均一な明るさとするうえで、より好ましい。
図23を用いて、本発明の第8実施形態について説明する。図23は、本実施形態にかかるスキャナ装置の平面図である。本実施形態のスキャナ装置A8は、フード1において、散乱透過部125が配される範囲が上記実施形態と異なっている。具体的には、遮光膜82が平面視における楕円形領域に形成されており、この楕円形領域の外側が散乱透過部125となっている。このような構成によれば、散乱透過部125は、矩形状の読取部分の4隅付近に占める面積比率が他の部分に占める面積比率よりも大きくなる。したがって、光量が不足しがちな読取部分の4隅(画角端)付近に対して比較的高い照度の光を照射することが可能である。このことは、たとえば読取った画像データをOCR(光学式文字読取装置)によって処理する場合において、読取部分周辺部の光量不足に起因して識別不能となるといった不都合を解消するうえで有利である。なお、読取部分が正方形に近い形状である場合には、散乱透過部125を、図23のような楕円形領域の外側に設ける構成に代えて、円形領域の外側に設ける構成としてもよい。
図24を用いて、本発明の第9実施形態について説明する。図24は、本実施形態にかかるスキャナ装置の断面図である。本実施形態のスキャナ装置A9は、フード1の外側に照明手段84が追加的に設けられている点において、上記実施形態と異なる。照明手段84は、原稿Dcに向けて散乱光を照射するためのものである。照明手段84は、図示しない光源と、および全体として棒状に延びる導光体841とを備える。光源は、たとえば赤色光、緑色光、および青色光を発光する3つのLEDチップを含む。光源は導光体841の端部に設けられている。光源の駆動制御は、たとえば図示しない配線を介して接続された制御IC71によって行う。光源から光が発せられると、その光は導光体841内を長手方向に沿って進行する。
導光体841は、たとえばアクリル樹脂からなる透明度が高い部材である。導光体841は、略全長にわたって断面略円形状を有する。導光体841は、フード1の側板13の外面に取り付けられた支持部材842に支持されている。導光体841は、散乱透過部125の外周に沿って配置されている。
このような光源および導光体841を有する構成によれば、線状光を照射することができる。この線状光は、散乱透過部125を透過することによって主に原稿Dcの読取部分の周辺部に散乱光として照射されることになる。そのため、たとえば、外部環境によっては外光を取り入れるだけでは光量が不足する場合においても、そのような不足分の光量を照明手段84によって適切に補うことができる。また、導光体841から照射される線状光は、散乱透過部125を介してフード1内に散乱光として取り入れられる。そのため当該線状光は、画像データに直接写り込みにくい。
図25を用いて、本発明の第10実施形態について説明する。図25は、本実施形態にかかるスキャナ装置の断面図である。本実施形態のスキャナ装置A10は、フード1の内側に照明手段84が設けられている点において、上記実施形態と異なる。照明手段84は、図示しない光源、導光体841、および支持部材842を有する。照明手段84は、基本構造としては上記実施形態の照明手段84と同様であるが、支持部材842の配置、および導光体841からの線状光の出射方向が上記第9実施形態と異なる。本実施形態では、支持部材842はフード1の上板11に支持されている。導光体841から照射される光は、傾斜板12もしくは側板13の内面によって反射される。傾斜板12もしくは側板13の内面の内面については、導光体841からの線状光を散乱反射させるような構成とするのが好ましい。線状光を散乱させるためたとえば微細粗面に形成してもよい。また、これとは異なり、傾斜板12もしくは側板13の内面を反射率の高い平滑面に形成してもよい。
このような構成によれば、導光体841から出射される線状光は、傾斜板12もしくは側板13の内面において反射されることによって散乱光として原稿Dcに向けて照射される。本実施形態によれば、たとえば、外部環境によっては外光を取り入れるだけでは光量が不足する場合、不足分の光量を照明手段84によって適切に補うことができる。さらに、照明手段84は、フード1の内側に設けられているので、スキャナ装置A10を大型にする必要がない。
図26〜図28を用いて、本発明の第11実施形態について説明する。図26は、本実施形態にかかるスキャナ装置の断面図である。本実施形態のスキャナ装置A11は、スキャナ装置A11の厚さ方向の寸法がより小さくなっている点、制御IC71が画像歪みを補正する補正回路をさらに備えている点が、第6実施形態と異なる。また、本実施形態では、広角レンズとして、画角が138°程度のものを用いている。上記補正回路は、撮像素子51により撮像された原稿Dcの撮像画像データから、原稿Dcの像歪みが補正された補正画像データを生成する。
図27は、撮像素子51により撮像された原稿Dcのサンプルの画像であり、上記補正回路により画像補正がされる前のものを示している。図28は、図27で示した画像について上記補正回路により歪み補正がされたものを示している。これらの図から明らかなように、図27に示した画像における画角端周辺部の像歪みが、図28では、補正されほぼ無くなっている。
上記補正回路は、たとえば次のような処理をおこなう。まず、上記補正回路には、撮像素子51により撮像された撮像画像データが入力される。この撮像画像データは、たとえば、単位受光領域512ごとに、ある二次元座標系における座標(補正前座標とする)と色彩に関する情報とが与えられたものとなっている。次に、補正前座標について座標変換する。単位受光領域512の補正前座標を、所定の変換式により、歪みが補正された画像となるような二次元座標系における座標(補正後座標)に変換する。そして、単位受光領域512ごとに補正後座標と色彩に関する情報とが与えられた補正画像データとして、スキャナ装置A11外などにこのデータを出力する。
ここで、上記変換式は、広角レンズの特性により決まるものである。この変換式のパラメータは、格子状のテストパターンを撮像し、いくつかの補正前後の座標をこの変換式に代入することにより求められる。まず、目盛りの付いた格子状のテストパターンを撮像し、樽型の画像を得る。このとき、たとえば軸が画像の横方向と縦方向とである直交座標系における、格子の各交点の座標(補正前座標)を得る。次に、格子における各線分が互いに平行となるような座標系における、格子の各交点の座標(補正後座標)を決定する。次に、格子の各交点の補正前後の座標をパラメータが決定されていない上記変換式に代入し、これらのパラメータを求めることができる。
もちろん、補正前座標および補正後座標の対応関係を示すテーブルが既知である場合には、上記変換式を用いずに当該テーブルを用いて、補正前座標から補正後座標を得てもよい。
スキャナ装置A11は上記補正回路を備えていることから、スキャナ装置A11を薄型にしても、歪みの少ない画像を得ることができる。
図29および図30を用いて、本発明の第12実施形態について説明する。図29は、本実施形態のスキャナ装置の断面図である。同図に示されたスキャナ装置A12は、フード1に取手67と開閉板68とが設けられた点において、第1実施形態にかかるスキャナ装置A1と相違する。また、透明板6は、フード1の図29の左端に連結されておりフード1に対し開閉可能である。スキャナ装置A12を持ち運ぶ場合には、保持部材2をフード1から取り外しフード1に収容する。そして図30に示すように、開閉板68により孔11aを塞ぐ。このようにして、スキャナ装置A12を持ち運びできるカバンとしても用いることができる。
図31を用いて、本発明の第13実施形態について説明する。図31は、本実施形態のスキャナ装置の要部断面図である。同図に示されたスキャナ装置A13は、保持部材2が、蛇腹状の連結部材29によりフード1に連結されている点において、第1実施形態にかかるスキャナ装置A1と相違する。このような構成であっても、保持部材2は、フード1に対し図上下方向に相対移動できる。そのため、スキャナ装置A13によっても、比較的大きな原稿Dcの記載内容を読み取ることができるとともに、保管スペースを削減できる。
図32は、本発明にかかるスキャナ補助装置の実施形態の一例を示している。本実施形態のスキャナ補助装置Bは、撮像素子および結像面側レンズ群を備えておらず、基端部21は、原稿Dcとは反対側の図中上方に開口端21aを有する筒状とされている。このスキャナ補助装置Bは、たとえば、電子撮像装置を備えたカメラ9(デジタルカメラやカメラ機能搭載の携帯電話機など)のレンズ部分を開口端21aに臨ませた状態において、カメラ9を開口端21a側の端部に取り付けることができるように構成されている。このように、スキャナ補助装置Bは、カメラ9を取り付けることによって、広角撮像が可能なハンディタイプスキャナとして利用することができる。
図33〜図36を用いて、本発明にかかるスキャナ装置の他の実施形態について説明する。
これらの図に示されたスキャナ装置Cは、基板100、撮像素子200、光学系としての広角レンズ300、ケース400、透明板500、および照射シート503を備えて構成されている。スキャナ装置Cは、読取対象である原稿Dcの記載内容を画像データとして読み取るためのものである。
基板100は、たとえばプリント配線基板であり、図34に示すように長矩形状とされている。基板100は、銅などからなる金属配線層と樹脂層とが積層された構造を有する。基板100の中央部分には、撮像素子200および広角レンズ300が実装されている。基板100には、制御IC501およびメモリチップ502が実装されている。
撮像素子200は、たとえばCCD型やCMOS型と呼ばれるものであり、図35および図36に示すように、矩形状の受光面210を有している。受光面210には、複数の単位受光領域220が形成されている。各単位受光領域220は、受けた光の光量に応じた起電力を生じさせる、いわゆる光電変換機能を発揮する部分である。複数の単位受光領域220は、たとえば2μm程度の一定の配列ピッチでマトリクス状に配置されている。本実施形態においては、受光面210は、1,600個×1,200個の単位受光領域220によって構成されており、約3.6mm×約2.7mmのサイズとされている。これにより、撮像素子200は、L版サイズの原稿Dcを320DPIの解像度で読取可能である。受光面210が光を受けると、各単位受光領域220ごとの受光量に対応した出力レベルの画像信号が撮像素子200から出力される。
広角レンズ300は、原稿Dcから向かってきた光を撮像素子200の受光面210に結像させるためのものであり、図36に示すように、物体側レンズ310、収束レンズ320、および結像面側レンズ群330を備えている。物体側レンズ310、収束レンズ320、および結像面側レンズ群330は、それぞれのレンズ中心が一致するように、レンズホルダ340に保持されている。
物体側レンズ310は、凹レンズとされており、物体側の入射面310aと、結像面側の出射面310bとを備えている。入射面310aは、凸の非球面とされており、そのレンズ中心付近の曲率半径に対し、レンズ中心から遠ざかるにつれて曲率半径が小さくなる形状とされている。出射面310bは、凹球面とされた領域をもっている。本実施形態においては、上記凹球面とされた領域は、ほぼ180°に及んでいる。出射面310bは、正確な凹球面であることが望ましいが、たとえば色消しのための樹脂層をコーティングすることはなんら差し支えないし、また、各種収差を補正するためにわずかな変更を加えても差し支えない。
収束レンズ320は、物体側レンズ310が凹レンズからなるために、発散しながら進行してくる光を、平行光ないしは略平行光に修正して、結像面側レンズ群330へと入射させる役割を果たす。したがって、収束レンズ320は、全体として凸レンズとされている。
結像面側レンズ群330は、本実施形態の場合、非球面凸レンズ331と非球面凹レンズ332の組み合わせからなる。この結像面側レンズ群330は、それ自体で収差少なく物体像を結像面に結像できるものが採用される。なお、撮像素子200に赤外線が入射することを防止するために、結像面側レンズ群330と撮像素子200との間に赤外線フィルタ350を設けてもよい。
本実施形態における広角レンズ300は、物体側レンズ310の入射面310aを上記のように凸の非球面としたことによって比較的に広角でありながら像歪みが少なくなっており、たとえば画角が100°程度、像歪みが±3%以内である。なお、画角をより大きくするために、物体側のレンズを複数のレンズからなる物体側レンズ群として構成してもよい。
ケース400は、基端部410、およびフード420を有している。基端部410は、図中下方に開口端を有する箱状とされており、たとえば遮光性に優れた黒色の樹脂製である。この基端部410には基板100が搭載されており、これにより、撮像素子200および広角レンズ300は、基板100を介して基端部410に収容保持されている。
フード420は、原稿Dcを押え付けることによって当該原稿Dcの読取部分を覆って外部と区切るためのものであり、図中下方の原稿Dc側に長矩形状の開口端420aを有する箱状とされている。より具体的には、フード420は、中央に貫通孔421aを有する上板421と、この上板421につながる傾斜板422と、傾斜板422につながる側板423とを備えて構成されており、広角レンズ300が貫通孔421aに臨む姿勢で基端部410の開口端部に取り付けられている。傾斜板422は、広角レンズ300から開口端420aに向かうにつれて横断面が外方に広がる傾斜状とされている。本実施形態においては、フード420は、外光を透過させるとともに散乱させることが可能な構成とされており、たとえば白色の半透明樹脂からなる。このようなフード420の材質としては、たとえばアクリル系、エポキシ系、あるいはポリカーボネート系の樹脂が挙げられる。
照射シート503は、傾斜板422のほぼ全体に形成されている。照射シート503はたとえば有機ELのシートである。照射シート503は、傾斜板422に向かって光を照射する。照射シート503から発せられた光は、傾斜板422を透過し、原稿Dcに向かう。
透明板500は、たとえば透明樹脂製であり、フード420に取り付けられている。本実施形態では、透明板500は、フード420の開口端420aから広角レンズ300側に少し入り込んだ位置に設けられている。この透明板500は、広角レンズ300を保護する役割を有するとともに、たとえば原稿Dcのうねりや反りが大きい場合には、原稿Dcをほぼ平らな状態に押さえる役割を担う。なお、透明板500の下面には、反射防止膜を形成してもよい。この場合、原稿Dcから広角レンズ300に向かう光の透明板500表面での反射による光量ロスを抑制することができる。上板421と傾斜板422と側板423と透明板500とに囲まれた空間が本発明の光透過空間の一例に相当する。
制御IC501は、演算処理回路が作り込まれた半導体チップであり、撮像素子200の駆動制御、メモリチップ502へのデータ転送、およびスキャナ装置C外とのデータ送受を行う。メモリチップ502は、たとえばフラッシュメモリであり、制御IC501の駆動制御によって得られた画像データを記憶しておくためのものである。
次に、スキャナ装置Cの作用について説明する。
本実施形態によれば、フード420の開口端420a側を原稿Dcに押さえ付けた状態において、部屋の照明光あるいは太陽光などの外光を、照射シート503により遮断しつつ、照射シート503からの光を散乱光としてフード420の内側に取り入れることができる。したがって、スキャナ装置Cを用いれば、従来のフラットベッド型の画像読取装置とは異なり、原稿Dcが書物やアルバムといった段差などを有するものである場合においても、フード420を原稿Dcに覆い被せるだけで原稿Dcの記載内容を適正に読取ることができる。また、スキャナ装置Cによれば、比較的に重量や厚さが嵩む原稿Dcについても、フラットベッド型の画像読取装置のように読取部分を裏返してセットする必要がないため、画像読取のための作業そのものを簡単に行うことができる。このようなことから、スキャナ装置Cは、ハンディタイプスキャナとして利用するのに適している。
スキャナ装置Cにおいては、光学系として広角レンズ300を備えることにより、広角でありかつ歪みが少ない結像をすることが可能である。これにより、広角レンズ300をケース400の開口端420aから比較的近い位置に配置することが可能であり、スキャナ装置Cの薄型化を図ることができる。
本発明の範囲は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
本発明にかかるスキャナ装置を、テレビなどに接続し文字拡大機として用いてもよい。もしくは、本発明にかかるスキャナ装置を、プレゼンテーション用やファクシミリの補助スキャナとして用いてもよい。
図37および図38は、本発明に係るスキャナシステムの一例を示している。本実施形態のスキャナシステムD1は、筐体600,駆動機構700,制御手段710,およびスキャナ装置Cを備えている。スキャナシステムD1は、上述したスキャナ装置Cをその一部に備えることにより、たとえばA4サイズの原稿Dcを読み取り対象とした比較的高速な画像読み取り処理が可能とされたシステムである。なお、スキャナ装置Cの構成は上述した通りであるが、たとえば図33および図34に示された照射シート503に代えて、図24および図25に示された照明手段84を備える構成であってもよい。
筐体600は、スキャナ装置C、駆動機構700、および制御手段710を収容している。筐体600には、透明板604が取り付けられている。透明板604は、原稿Dcが置かれる面を構成するものである。筐体600には、蓋601が取り付けられている。蓋601は読み取り処理を行う際に、原稿Dcを抑える役目を果たす。
筐体600には、枠体602が形成されている。枠体602は、原稿Dcからの光をスキャナ装置Cに到達させるための開口605を囲む矩形環状とされている。枠体602のスキャナ装置C側の面には、後述する区画マーク641,642,643,644が記されている。
駆動機構700は、筐体600内においてスキャナ装置Cを原稿Dcに沿ってx方向およびy方向に移動させるための機構であり、ロッド701、モータ702、およびベルト703を有している。ロッド701は、x方向に延びており、スキャナ装置Cをx方向において摺動可能に支持している。また、ロッド701は、図示しないモータによってy方向に移動可能となっている。ベルト703は、x方向に長く延びる楕円環状にかけまわされており、モータ702によって駆動される。ベルト703は、スキャナ装置Cに連結されている。モータ702の駆動により、スキャナ装置Cは、x方向に移動可能とされている。なお、ラインセンサを備えた構成においてラインセンサを1ラインずつ移動させることが強いられることとは異なり、本実施形態においては、スキャナ装置Cをx方向およびy方向それぞれにおいて2箇所の位置へ移動させるだけでよい。このため、駆動機構700としては、モータ702に代えて、たとえばバネを用いた機構や、使用者が手動でスキャナ装置Cを移動させる構成であってもよい。
制御手段710は、駆動機構700の動作、スキャナ装置Cの撮影処理、および機外とのデータ授受などを制御するためのものであり、たとえばCPU、メモリ、およびデータインターフェースを具備している。
図39は、原稿Dcが置かれた状態を筐体600の内側から見た図である。原稿Dcの周りには、枠体602の下面が表れている。枠体602の下面には、区画マーク641,642,643,644が記されている。区画マーク641,643は、y方向に延びる太線状のマークであり、区画マーク642,644は、x方向に延びる太線状のマークである。なお、区画マーク641,642,643,644としては、太線状のものに限定されず、四角形、三角形、円形など、後述する画像の合成処理を適切に行える形状であればよい。
スキャナシステムD1による画像読み取り処理は、以下の手順で行われる。
まず、制御手段710の指令により、駆動機構700がスキャナ装置Cを撮影位置651へと移動させる。この撮影位置651において原稿Dcの画像をスキャナ装置Cによって撮影する。図40に示すように、この撮影によって得られる画像661には、原稿Dcの一部とともに、区画マーク641,644が写りこむ。
次いで、制御手段710の指令により、駆動機構700がスキャナ装置Cを図39に示す撮影位置652へと移動させる。この撮影位置652において原稿Dcの画像をスキャナ装置Cによって撮影する。図40に示すように、この撮影によって得られる画像662には、原稿Dcの一部とともに、区画マーク641,642が写りこむ。
次いで、制御手段710の指令により、駆動機構700がスキャナ装置Cを図39に示す撮影位置653へと移動させる。この撮影位置653において原稿Dcの画像をスキャナ装置Cによって撮影する。図40に示すように、この撮影によって得られる画像663には、原稿Dcの一部とともに、区画マーク643,644が写りこむ。
次いで、制御手段710の指令により、駆動機構700がスキャナ装置Cを図39に示す撮影位置654へと移動させる。この撮影位置654において原稿Dcの画像をスキャナ装置Cによって撮影する。図40に示すように、この撮影によって得られる画像664には、原稿Dcの一部とともに、区画マーク642,643が写りこむ。
これらの撮影処理によって得られた画像661,662,663,664のデータは、制御手段710のメモリに格納される。そして、制御手段710は、画像661,662,663,664のうち隣り合うものどうしの合成処理を行う。たとえば画像661と画像662とに、区画マーク641が写りこむことが、制御手段710に既知の情報として与えられている。制御手段710は、互いの区画マーク641が重なるように、画像661,662を重ね合わせる。同様に、区画マーク642が重なるように画像662,663を重ね合わせ、区画マーク643が重なるように画像663,664を重ね合わせ、区画マーク644が重なるように画像661,663を重ね合わせる。これらの合成処理によって、原稿Dcの全体が写っている画像660が得られる。
本実施形態によれば、原稿Dcの読み取り処理に含まれる撮影処理の回数は、4回だけである。各撮影処理の後に行われる、制御手段710への画像データ転送の回数も4回である。このため、撮影処理とデータ転送処理とを繰り返し行うことによる切り替えに要する待ち時間を、顕著に短縮させることが可能である。したがって、たとえばA4サイズの原稿Dcの読み取り処理を迅速に行うことができる。
区画マーク641,642,643,644によって画像661,662,663,664を重ね合わせるため、画像661,662,663,664どうしが正規の位置関係から過大にずれてしまうおそれが少ない。特に、駆動機構700による撮影位置651,652,653,654へのスキャナ装置Cの移動に予期せぬ位置誤差が含まれていても、区画マーク641,642,643,644が画像661,662,663,664に写りこんでいる限り、画像の重ね合わせ処理を適切に行うことができる。
図41は、スキャナシステムD1の変形例を示している。本変形例においては、蓋601に区画マーク606が設けられている。区画マーク606は、x方向およびy方向に延びる太線状部分を有する十文字状である。枠体602には、4つの窓607が形成されている。4つの窓607は、枠体602を貫通しており、蓋601を閉じたときに区画マーク606の4つの先端部分と重なる位置に設けられている。
このような変形例においても、スキャナ装置Cによって原稿Dcを撮影すると、図40に示した例と同様に、画像661〜664に区画マーク641〜644代えて区画マーク606が写りこむ。これにより、複数の画像661〜664の合成処理を適切に行うことができる。
図42および図43は、本発明に係るスキャナシステムの他の例を示している。本実施形態のスキャナシステムD2は、スキャナ装置Cと、枠体800およびパーソナルコンピュータ810とを備えている。スキャナシステムD2は、使用者がスキャナ装置Cを手に持って扱うことによって読み取り処理を行うものであり、スキャナシステムD1と比べてシンプルな構成とされている。また、スキャナ装置Cとしては、たとえば図33および図34に示された照射シート503に代えて、図24および図25に示された照明手段84を備える構成であってもよい。さらに、フード420によって撮影光源としての外光を拡散させつつ透過させる構成や、図21〜図23に示された構成ように、遮光膜82をさらに備える構成であってもよい。
枠体800は、矩形環状であり、たとえばA4サイズの原稿Dcよりも若干大とされている。枠体800には、開口804および位置決め開口805が形成されている。開口804は、原稿Dcからの光をスキャナ装置Cへと到達させるためのものである。枠体800には、透明板803が嵌めこまれている。
位置決め開口805は、開口804よりも図43における上方に位置しており、開口804よりも若干大である。位置決め開口805の内側面は、スキャナ装置Cの外側面に当接させられることにより、スキャナ装置Cのx方向およびy方向における位置を規定する。
枠体800のうち開口804を囲む部分の上面には、複数の区画マーク801が記されている。これらの区画マーク801は、上述した区画マーク641,642,643,644と同様にx方向に延びる太線状のものとy方向に延びる太線状のものとを2つずつ含んでいる。なお、区画マーク801としては、太線状のものに限定されず、四角形、三角形、円形など、後述する画像の合成処理を適切に行える形状であればよい。
枠体800の下部には、複数の支持脚802が取り付けられている。支持脚802は、上下方向に伸縮するバネを有している。枠体800は、複数の支持脚802によって支持されることにより、厚さが異なる複数の原稿Dcに対して適切に押し付け可能とされている。
パーソナルコンピュータ810は、本発明で言う制御手段の一例に相当し、たとえばケーブルを介してスキャナ装置Cと接続されている。パーソナルコンピュータ810は、スキャナ装置Cから送られてきた画像の合成処理を行う。なお、パーソナルコンピュータ810を備える構成に代えて、スキャナ装置Cに画像合成処理をつかさどる制御手段を内蔵する構成としてもよい。
スキャナシステムD2を用いた原稿Dcの読み取り処理は以下の手順によって行う。まず、枠体800によって原稿Dcを押さえつける。次いで、スキャナ装置Cの外側面を位置決め開口805の内側面に当接させた状態で、撮影を行う。次いで、位置決め開口805の内側面に沿ってスキャナ装置Cをx方向またはy方向に移動させた後に、撮影を行う。以下、スキャナ装置Cの移動と撮影とを交互に行う。合計4回の撮影処理を終えると、原稿Dcの一部ずつを含む4つの画像が得られる。これらの画像には、図40を参照して説明した例と同様に、区画マーク801が適所に写りこんでいる。これらの区画マークが重なり合うように、これらの画像をパーソナルコンピュータ810によって合成する。以上の手順により、原稿Dcの全体を含む画像が得られる。
本実施形態によれば、駆動機構700を備えないため、スキャナシステムD2のコストダウンを図ることができる。その一方で、位置決め開口805に沿わせたスキャナ装置Cの位置決め、および区画マーク801を活用した画像合成により、スキャナ装置Cよりも大きなサイズである原稿Dcの読み取りを精度よく行うことが可能である。
本発明に係るスキャナシステムは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
A1〜A13 スキャナ装置
B スキャナ補助装置
1 (第1)フード
11 上板
11a (第1の)孔
11a’ 縁
12 傾斜板
125 散乱透過部
13 側板
1a 開口端
1b (第1)光透過空間
1c,1d くびれ
2 保持部材
21 基端部
21a 開口端
22 (第2の)フード
221 上板
221a 孔
222 傾斜板
223 側板
22a 開口端
22b (第2)光透過空間
22c,22d,22e くびれ
29 連結部材
3 (第3の)フード
31a (第3の)孔
31a’ 縁
3a 開口端
3b (第3)光透過空間
4 基板
5 カメラ
51 撮像素子
511 受光面
512 単位受光領域
52 光学系
521 物体側レンズ
521a 入射面
521b 出射面
522 収束レンズ
523 結像面側レンズ群
523a 非球面凸レンズ
523b 非球面凹レンズ
525 レンズ
526 反射部材
526a 反射面
53 ホルダ
54 赤外線フィルタ
6 透明板
61 透明板
611 検出マーク
67 取手
68 開閉板
71 制御IC
72 メモリチップ
81 照射シート
82 遮光膜
84 照明手段
841 導光体
842 支持部材
9 カメラ
p1,p2 配列ピッチ
C スキャナ装置
100 基板
200 撮像素子
210 受光面
220 単位受光領域
300 広角レンズ
310 物体側レンズ
310a 入射面
310b 出射面
320 収束レンズ
330 結像面側レンズ群
331 非球面凸レンズ
332 非球面凹レンズ
340 レンズホルダ
350 赤外線フィルタ
400 ケース
410 基端部
420 フード
420a 開口端
421 上板
422 傾斜板
423 側板
500 透明板
501 制御IC
502 メモリチップ
503 照射シート
D1,D2 スキャナシステム
600 筺体
601 蓋
602 枠体
604 透明板
605 開口
606 区画マーク
607 窓部
641,642,643,644 区画マーク
651,652,653,654 撮影位置
660,661,662,663,664 画像
700 駆動機構
701 ロッド
702 モータ
703 ベルト
710 制御手段
800 枠体
801 区画マーク
802 支持脚
803 透明板
804 開口
805 位置決め開口
810 パーソナルコンピュータ(制御手段)
B スキャナ補助装置
1 (第1)フード
11 上板
11a (第1の)孔
11a’ 縁
12 傾斜板
125 散乱透過部
13 側板
1a 開口端
1b (第1)光透過空間
1c,1d くびれ
2 保持部材
21 基端部
21a 開口端
22 (第2の)フード
221 上板
221a 孔
222 傾斜板
223 側板
22a 開口端
22b (第2)光透過空間
22c,22d,22e くびれ
29 連結部材
3 (第3の)フード
31a (第3の)孔
31a’ 縁
3a 開口端
3b (第3)光透過空間
4 基板
5 カメラ
51 撮像素子
511 受光面
512 単位受光領域
52 光学系
521 物体側レンズ
521a 入射面
521b 出射面
522 収束レンズ
523 結像面側レンズ群
523a 非球面凸レンズ
523b 非球面凹レンズ
525 レンズ
526 反射部材
526a 反射面
53 ホルダ
54 赤外線フィルタ
6 透明板
61 透明板
611 検出マーク
67 取手
68 開閉板
71 制御IC
72 メモリチップ
81 照射シート
82 遮光膜
84 照明手段
841 導光体
842 支持部材
9 カメラ
p1,p2 配列ピッチ
C スキャナ装置
100 基板
200 撮像素子
210 受光面
220 単位受光領域
300 広角レンズ
310 物体側レンズ
310a 入射面
310b 出射面
320 収束レンズ
330 結像面側レンズ群
331 非球面凸レンズ
332 非球面凹レンズ
340 レンズホルダ
350 赤外線フィルタ
400 ケース
410 基端部
420 フード
420a 開口端
421 上板
422 傾斜板
423 側板
500 透明板
501 制御IC
502 メモリチップ
503 照射シート
D1,D2 スキャナシステム
600 筺体
601 蓋
602 枠体
604 透明板
605 開口
606 区画マーク
607 窓部
641,642,643,644 区画マーク
651,652,653,654 撮影位置
660,661,662,663,664 画像
700 駆動機構
701 ロッド
702 モータ
703 ベルト
710 制御手段
800 枠体
801 区画マーク
802 支持脚
803 透明板
804 開口
805 位置決め開口
810 パーソナルコンピュータ(制御手段)
Claims (33)
- 読取対象またはその周囲を押さえつけた状態で上記読取対象を2次元画像として読み取るスキャナ装置であって、
上記読取対象側から進行してきた光を通過させる第1光通過空間が形成された第1フードと、
上記第1光通過空間を通過した光を集束させ、上記読取対象を撮像するカメラと、
上記カメラを保持する保持部材と、を備え、
上記保持部材は、上記保持部材の少なくとも一部分が上記第1フードに対し上記読取対象と反対側に位置する第1の位置と、当該第1の位置より上記読取対象に近接する第2の位置とをとることを特徴とする、スキャナ装置。 - 上記保持部材は、上記第1フードから着脱可能である、請求項1に記載のスキャナ装置。
- 上記保持部材は上記第1フードに対し、上記読取対象に接近および離間する方向の少なくともいずれかに向かい相対移動可能である、請求項1または2に記載のスキャナ装置。
- 上記保持部材は、上記第1光通過空間を通過した光を通過させる第2光通過空間が形成された第2フードを含み、
上記第1フードには、上記第2フードがはめ込まれた第1の孔が形成されている、請求項1ないし3のいずれかに記載のスキャナ装置。 - 上記第2フードは、上記第1の孔の縁と係合し、且つ、上記読取対象に接近および離間する方向における上記保持部材の移動を係止する1または複数の第2フード係止部を有する、請求項4に記載のスキャナ装置。
- 上記第2フード係止部は、上記第1の孔の縁が入り込むくびれである、請求項5に記載のスキャナ装置。
- 上記くびれは、上記第1の孔の縁の全周が入り込む形状である、請求項6に記載のスキャナ装置。
- 上記第2フードの複数の係止状態における読取範囲がそれぞれ、複数の所定の規格サイズに各別に一致する、請求項5ないし7のいずれかに記載のスキャナ装置。
- 上記カメラは、
互いに直角な第1および第2方向に沿ってそれぞれ所定の配列ピッチでマトリクス状に配置された複数の受光領域が形成された受光面を有する撮像素子と、
上記読取対象側から進行してきた光を上記受光面に結像させる光学系と、
を含む、請求項1ないし8のいずれかに記載のスキャナ装置。 - 上記第1方向および上記第2方向のいずれにも直角な第3方向における上記カメラとの距離が、上記第1方向において上記読取対象側に向かうほど大きく、且つ、上記第2方向において一定である反射面を有する反射部材をさらに備える、請求項9に記載のスキャナ装置。
- 上記読取対象側から進行してくる光を通過させる第3光通過空間が形成され、且つ、上記第1フードがはめ込まれた第3の孔を有する第3フードをさらに備える、請求項1ないし10のいずれかに記載のスキャナ装置。
- 上記第1フードは、上記第3の孔の縁と係合し、且つ、上記読取対象に接近および離間する方向における上記第1フードの移動を係止する第1フード係止部を有する、請求項11に記載のスキャナ装置。
- 上記保持部材は、上記第1フードに収容可能な大きさである、請求項2ないし8のいずれかに記載のスキャナ装置。
- 上記第1フードは、上記読取対象側に開口する開口部を有し、
上記開口部を塞ぐ透明板と、
上記第1フードに設けられた取手と、をさらに備え、
上記保持部材が上記第1フードに収容された状態で持ち運び可能である、請求項13に記載のスキャナ装置。 - 上記第1フードに設けられ、且つ、上記読取対象に光を照射する照射シート、をさらに備える、請求項1ないし14のいずれかに記載のスキャナ装置。
- 読取対象またはその周囲を押さえつけた状態で上記読取対象を2次元画像として読み取る際に用いるスキャナ補助装置であって、
上記読取対象側から進行してきた光を通過させる光通過空間が形成されたフードと、
上記光通過空間を通過した光を集束させる光学系と、
上記光学系を保持する保持部材と、を備え、
上記保持部材は、上記保持部材の少なくとも一部分が上記第1フードに対し上記読取対象と反対側に位置する第1の位置と、当該第1の位置より上記読取対象に近接する第2の位置とをとり、
上記光学系により集束された光をカメラのレンズ部分に進行させる状態で用いることを特徴とする、スキャナ補助装置。 - 読取対象またはその周囲を押さえつけた状態で上記読取対象を2次元画像として読み取るスキャナ装置であって、
上記読取対象側から進行してきた光を通過させる光通過空間が形成されたフードと、
上記光通過空間を通過した光を集束させ、上記読取対象を撮像するカメラと、
を備えることを特徴とする、スキャナ装置。 - 上記フードは、光を拡散させつつ透過させる材質からなる、請求項17に記載のスキャナ装置。
- 上記フードに設けられ、且つ、上記読取対象に光を照射する照射シートを備える、請求項17に記載のスキャナ装置。
- 上記フードに設けられた導光体、およびこの導光体に光を入射させる光源を備える、請求項17に記載のスキャナ装置。
- 上記導光体は、上記フードの外側に設けられている、請求項20に記載のスキャナ装置。
- 上記導光体は、上記フードの内側に設けられている、請求項20に記載のスキャナ装置。
- 請求項17ないし22のいずれかに記載のスキャナ装置と、
上記スキャナ装置を収容し、かつ上記読取対象からの光を上記スキャナ装置に到達させる開口を有する筺体と、
上記スキャナ装置を上記読取対象に沿った第1方向、およびこの第1方向と交差する方向である第2方向に移動させる駆動機構と、
上記第1および第2方向において互いに異なる複数の位置において上記スキャナ装置によって撮影された複数の画像から一の上記読取対象の画像を生成する制御手段と、
を備えることを特徴とする、スキャナシステム。 - 上記筺体は、上記開口を囲んでおり、かつ上記スキャナ装置側の面に区画マークが記された枠体を有している、請求項23に記載のスキャナシステム。
- 上記筐体には、上記読取対象を押さえる蓋が設けられており、
上記蓋のうち上記スキャナ装置に対面する部位には、区画マークが記されている、請求項23に記載のスキャナシステム。 - 上記筺体は、上記開口を囲む枠体を有しており、
上記枠体には、上記スキャナ装置に上記区画マークを臨ませる窓部が形成されている、請求項25に記載のスキャナシステム。 - 上記制御手段は、上記複数の画像のうち、同一の上記区画マークが写っているもの同士を、この区画マークが一致するように合成する、請求項24ないし26のいずれかに記載のスキャナシステム。
- 請求項17ないし22のいずれかに記載のスキャナ装置と、
上記読取対象を押さえ、かつ上記読取対象からの光を上記スキャナ装置に到達させる開口を有する枠体と、
を備えることを特徴とする、スキャナシステム。 - 上記枠体には、上記スキャナ装置の外側面と接することにより上記スキャナ装置の位置を規定する内側面を有する位置決め開口が形成されている、請求項28に記載のスキャナシステム。
- 上記読取対象に沿った第1方向、およびこの第1方向と交差する方向である第2方向における互いに異なる複数の位置において撮影された上記スキャナ装置の複数の画像から、一の上記読取対象の画像を生成する制御手段を備える、請求項28または29に記載のスキャナシステム。
- 上記制御手段は、上記スキャナ装置に接続されたパーソナルコンピュータである、請求項30に記載のスキャナシステム。
- 上記枠体の上記スキャナ装置側の面には、区画マークが記されている、請求項30または31に記載のスキャナシステム。
- 上記制御手段は、上記複数の画像のうち、同一の上記区画マークが写っているもの同士を、この区画マークが一致するように合成する、請求項32に記載のスキャナシステム。
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---|---|---|---|
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Cited By (2)
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JP2013200803A (ja) * | 2012-03-26 | 2013-10-03 | King Jim Co Ltd | 携帯端末、シンボル用シート、補助具、画像処理プログラム、及び画像処理方法 |
JP2015070572A (ja) * | 2013-09-30 | 2015-04-13 | 株式会社Pfu | 画像読取装置 |
-
2010
- 2010-09-30 JP JP2010220324A patent/JP2011109643A/ja active Pending
Cited By (3)
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