JP2011105894A - 付着テープの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】所望の付着力を有する付着要素を備えた付着テープを低コストで製造する。
【解決手段】付着要素を備えた付着テープの製造方法であって、基板の上に自立可能な密度で所定の長さの付着要素を形成する工程と、所定の間隔で配列された複数の同形状の転写領域に含まれる付着要素を選択して転写テープに転写する工程と、を有することを特徴とする付着テープの製造方法。
【選択図】図1
【解決手段】付着要素を備えた付着テープの製造方法であって、基板の上に自立可能な密度で所定の長さの付着要素を形成する工程と、所定の間隔で配列された複数の同形状の転写領域に含まれる付着要素を選択して転写テープに転写する工程と、を有することを特徴とする付着テープの製造方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、主にファンデルワールス力によって実現される付着力を有する付着要素を備えた付着テープの製造方法に関する。
近年、エネルギー効率の面で生物模倣機構(バイオミメティック)が注目されつつある。その一つとしてヤモリの優れた付着能力がある。ヤモリが天井や壁面にも付着するのは、その足裏面にびっしり生えているナノサイズの足毛によるものである。足毛による付着力の実態は、足毛の先端と付着面との間に発生するファンデルワールス力であり、足毛と付着面が接触するだけでこの力が発生する。
人工的にこの足毛を製作し、利用しようと研究が進み、理想的な形態が明らかになりつつある。
ファンデルワールス力は互いの表面エネルギーだけで決まるため、理想的には表面エネルギーが大きくなるよう材料と面積を選択すれば2つの物体が付着するはずである。
しかしながら、一般的な物体の付着面はミクロサイズからマクロサイズまでの凸凹およびうねりがあり、実際の接触面積は非常に小さくなっているため、表面エネルギー差の大きい2つの物体間でもファンデルワールス力による付着力を見いだすことはできない。
一方、微細で長く斜めに傾斜したヤモリの足毛は、付着面の凸凹やうねりに対して見事に追従して付着する。すなわち、ヤモリの足毛は、付着力を実現する最適な形状と構造的な柔軟性を兼ね備えている。
このようなヤモリの足毛の特性に着目し、ヤモリの足毛を模した付着力高い付着要素を人工的に作製する方法が各種検討されている。
例えば、ファンデルワールス力による付着力を有する付着要素を備えた基板をナノインプリント技術を用いてプラスチック材料から成形する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、基材上において多孔質膜の孔に樹脂を充填し、樹脂を硬化させて多孔質膜の孔中に柱状構造物を形成し、さらにプラズマエッチング処理によって2段の階層を有する柱状構造物に加工した後、多孔質膜を除去して2段の階層を有する柱状構造物(付着要素)を作製する製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、CVD法を用いてシリコン基板上に高アスペクト比なカーボンナノチューブを均一な高さで、高密度に成長させた後、カーボンナノチューブをテープに転写してヤモリテープを作製する製造方法が開示されている(例えば、非特許文献1、2参照)。
PNAS、June 26,2007 Vol.104,10792−10795ページ
日東電工技報、90号(vol.47)、2009年 48−51ページ
前述のような付着要素を用いて付着面に付着させる方法は、従来の付着方法の弱点である耐汚染性や耐久性の問題を克服できるので、本発明者らは体内を自由に移動して検査を行うマイクロカプセルロボット等への応用を検討している。マイクロカプセルロボット等の医療機器や民生機器へ応用する場合は、低コストで所望の付着力を有する付着要素を形成することが課題である。
しかしながら、特許文献1に開示されている製造方法は、大量生産に適しているが、作成可能な付着要素の材料や形状(アスペクト比)に製造上の制約があり、マイクロカプセルロボット等に応用できるような付着力の強い付着要素は作製できない。
また、特許文献2に開示されている製造方法は、付着力の強い付着要素を作製することはできるが、工程数が多く、また加工時間の長い工程が含まれるので、大量生産に不向きであり製造コストは非常に高いものになってしまう。
非特許文献1、2に開示されている製造方法は、付着力の強い付着要素を作製することが可能であり、コスト面では特許文献2に開示されている製造方法より有利だが、医療機器や民生機器へ応用するためには不十分であり、より一層の低コスト化が求められる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、所望の付着力を有する付着要素を備えた付着テープを低コストで製造することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は以下のような特徴を有するものである。
1.主にファンデルワールス力によって実現される付着力を有する付着要素を備えた付着テープの製造方法であって、
基板の上に自立可能な密度で所定の長さの付着要素を形成する工程と、
所定の間隔で配列された複数の転写領域に含まれる前記付着要素を選択して転写テープに転写する工程と、
を有することを特徴とする付着テープの製造方法。
基板の上に自立可能な密度で所定の長さの付着要素を形成する工程と、
所定の間隔で配列された複数の転写領域に含まれる前記付着要素を選択して転写テープに転写する工程と、
を有することを特徴とする付着テープの製造方法。
2.前記付着要素は、
カーボンナノチューブであることを特徴とする前記1に記載の付着テープの製造方法。
カーボンナノチューブであることを特徴とする前記1に記載の付着テープの製造方法。
3.前記付着要素を選択して転写テープに転写する工程で、転写される前記付着要素の割合は形成された前記付着要素の50%以下であることを特徴とする前記1または2に記載の付着テープの製造方法。
4.前記付着要素を選択して転写テープに転写する工程の後に、
前記基板に残された前記付着要素を新たな転写テープに転写する工程を少なくとも1回行うことを特徴とする前記1から3の何れか1項に記載の付着テープの製造方法。
前記基板に残された前記付着要素を新たな転写テープに転写する工程を少なくとも1回行うことを特徴とする前記1から3の何れか1項に記載の付着テープの製造方法。
5.前記転写領域の形状は、三角形、または四角形、または六角形のいずれかであることを特徴とする前記1から4の何れか1項に記載の付着テープの製造方法。
6.前記転写領域の形状は三角形であり各辺の長さは前記付着要素の長さ以下であることを特徴とする前記5に記載の付着テープの製造方法。
7.前記転写領域の形状は四角形、または六角形であり全ての対角の長さは前記付着要素の長さ以下であることを特徴とする前記5に記載の付着テープの製造方法。
8.前記転写テープは、少なくとも一方の面に熱硬化性および紫外線硬化性を有する接着剤からなる接着層を備えることを特徴とする前記1から7の何れか1項に記載の付着テープの製造方法。
9.前記転写領域に対応する部分以外に開口が設けられたマスクを介して前記接着層に紫外線を照射する工程と、
前記接着層を前記接着層と対向する前記付着要素の側に押圧し、前記付着要素の先端を前記接着層の紫外線による硬化がされていない領域に押し込む工程と、
前記接着層を加熱し、前記接着層に押し込まれた前記付着要素を前記接着層と接着する工程と、
前記転写テープを前記基板から引き離す工程と、
を有することを特徴とする前記8に記載の付着テープの製造方法。
前記接着層を前記接着層と対向する前記付着要素の側に押圧し、前記付着要素の先端を前記接着層の紫外線による硬化がされていない領域に押し込む工程と、
前記接着層を加熱し、前記接着層に押し込まれた前記付着要素を前記接着層と接着する工程と、
前記転写テープを前記基板から引き離す工程と、
を有することを特徴とする前記8に記載の付着テープの製造方法。
10.前記転写テープは、少なくとも一方の面に熱可塑性材からなる接着層を備えることを特徴とする前記1から7の何れか1項に記載の付着テープの製造方法。
11.前記転写領域に対応する部分に開口が設けられたマスクを前記基板の上に自立している前記付着要素の先端に載置する工程と、
前記接着層を加熱するとともに前記接着層と前記マスクを挟んで対向する前記付着要素の側に押圧し、前記開口から飛び出した前記付着要素の先端を前記接着層に押し込む工程と、
前記接着層を冷却し、前記接着層に押し込まれた前記付着要素を前記接着層と接着する工程と、
前記転写テープを前記基板から引き離す工程と、
を有することを特徴とする前記10に記載の付着テープの製造方法。
前記接着層を加熱するとともに前記接着層と前記マスクを挟んで対向する前記付着要素の側に押圧し、前記開口から飛び出した前記付着要素の先端を前記接着層に押し込む工程と、
前記接着層を冷却し、前記接着層に押し込まれた前記付着要素を前記接着層と接着する工程と、
前記転写テープを前記基板から引き離す工程と、
を有することを特徴とする前記10に記載の付着テープの製造方法。
本発明の付着テープの製造方法は、基板の上に自立可能な密度で所定の長さの付着要素を形成する工程と、所定の間隔で配列された複数の転写領域に含まれる前記付着要素を選択して転写テープに転写する工程と、を有している。そのため、一つの基板から所望の付着力を有する複数の付着テープを作製することができる。
したがって、所望の付着力を有する付着要素を備えた付着テープを低コストで製造することができる。
以下、本発明に係る実施の一形態を図面に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
図1は、第1の実施形態の付着テープの製造方法を説明する説明図である。第1の実施形態の付着テープの製造方法では、基板1上に付着要素2を形成し、付着要素2を覆うようにマスク3を載置した後、マスク3により選択された転写領域の付着要素2を転写テープ7に転写する。
図1を用いて、第1の実施形態の付着テープの製造方法を順を追って説明する。
図1(a)〜図1(g)は、各部材の断面図である。
第1の実施形態の付着テープの製造方法の一例として、次の工程S1〜S5を説明する。
S1・・・・・基板1の上に自立可能な密度で所定の長さの付着要素2を形成する工程。
S2・・・・・所定の間隔で配列された複数の同形状の転写領域に含まれる付着要素2を選択して転写テープ7に転写する工程。
S2−1・・マスク3を付着要素2の先端に載置する工程。
S2−2・・接着層4を加熱するとともに接着層4とマスク3を挟んで対向する付着要素2の側に押圧し、開口から飛び出した付着要素2の先端を接着層4に押し込む工程。
S2−3・・接着層4を冷却し、接着層4に押し込まれた付着要素2を接着層4と接着する工程。
S2−4・・転写テープ7を基板1から引き離す工程。
S3・・・・・前記基板に残された前記付着要素を新たな転写テープに転写する工程。
S3−1・・マスク3の開口部3bと基板1に残された付着要素2bの位置をあわせて付着要素2bに先端に載置する工程。
S3−2・・接着層4を加熱するとともに接着層4とマスク3を挟んで対向する付着要素2の側に押圧し、開口から飛び出した付着要素2の先端を接着層4に押し込む工程。
S3−3・・接着層4を冷却し、接着層4に押し込まれた付着要素2を接着層4と接着する工程。
S3−4・・転写テープ7bを基板1から引き離す工程。
以下、各工程について順に説明する。
S1・・・・・基板1の上に自立可能な密度で所定の長さの付着要素2を形成する工程。
工程S1では、図1(a)のように所定の長さの付着要素2を基板1上の全面に自立可能な密度で形成する。
本実施形態では、カーボンナノチューブからなる付着要素2を形成する例を説明する。
基板1は、例えばシリコン基板であり、基板1上に高密度に形成した触媒となる金属粒子を種にCVD法(蒸着気相法)を用いてカーボンナノチューブを成長させる。カーボンナノチューブは、金属粒子を種に基板1の法線方向に成長する。カーボンナノチューブの直径は例えば、数nm〜20nm、長さLは200μm以下である。
金属粒子は、スパッタ法または蒸着法により、例えば膜厚1nm相当の触媒金属を堆積後、熱処理によって触媒金属を凝集させることにより形成することができる。また、触媒金属としては、Ni、Co、Fe等の遷移金属材料またはこれらを含む合金材料を用いることができる。
付着要素2がある程度の長さに成長すれば、それぞれの付着要素2は互いのファンデルワールス力で凝集するようになる。そのため、種となる金属粒子の間隔が所定範囲(所定範囲の密度)の場合、付着要素2(カーボンナノチューブ)は基板1の法線方向に真直ぐ伸び、図1(a)や図2(a)のように基板1上に自立した所定の長さの付着要素2が形成される。
一方、種となる金属粒子の間隔が広い(低密度)場合は、付着要素2の凝集がばらばらに起こったり、全く起こらなかったりするため図2(b)のように長さや方向が揃わない付着要素2ができてしまう。このように付着要素2の長さや方向がばらばらの状態では、十分な付着力が得られない。
基板1上に形成する金属粒子の密度は、アニール条件(温度、処理時間)により制御することができる。自立したカーボンナノチューブを形成するためには、アニール条件を制御し、金属粒子の密度を面積密度で50%程度にすることが望ましい。
次に、このようにして形成した付着要素2自身の持つしなやかさを活用する方法を説明する。
形成された付着要素2は、およその長さLは揃っているが10%ほどのばらつきを持つ。また、付着面にも凸凹があるため、付着要素2は、付着面との接触(付着要素2先端の表面への倣い)に伴い、横方向へ膨れる。
図3(a)は、このような付着要素2の特性を説明するための説明図である。
図3(a)では、長さLの付着要素2が長手方向に0.1L、すなわち10%変位すると、横方向へ0.16L、すなわち長さLの16%程度膨れることを示している。
図3(b)は、付着要素2の基板1に対する面積密度と比較的平坦な付着面との間においての付着力との関係を示すグラフである。面積密度は、基板1の面積に対する付着要素2の占める面積の割合を%で表す。図3(b)のグラフに示すように、付着要素2の面積密度が50%までは面積密度が増加するにつれて付着力も増加するが、面積密度が50%より高くなると付着力は減少に転じる。
これは、付着要素2が基板1に対して50%を越える面積密度になると、付着要素2が横方向への膨らむ余裕が減少するため、付着要素2が凸凹のある付着面と十分に接触することができなくなりかえって付着力が減少してしまうからである。そのため、付着要素2を基板1の全面に形成する場合は、付着要素2の面積密度が約50%になるようにすると最も高い付着力が得られる。
一方、図4(a)のように、間隔Wを空けて高密度で付着要素2の形成された部分を基板1上に形成した場合は、図4(b)のように矢印の方向に被付着物20を付着要素2に押しつけても付着要素2のアスペクト比が高く、間隔Wが空いているので横に膨らむ余裕がある。そのため、付着要素2は被付着物20の付着面と十分に接触できるので付着力を大きく確保できる。
図4(a)のように、付着要素2を間隔Wを空けて所定の面積密度で基板1上に形成した場合も、基板1の面積に対する全ての付着要素2が占める面積の割合が50%程度であれば、場合によっては全面に付着要素2を形成した場合の最大付着力以上の付着力が得られる。
付着要素2の付着力は強力であり、条件によっては接着剤に近い付着力が得られる。そのため、マイクロカプセルロボット等アプリケーションによっては、そこまでの付着力は必要なく、逆に面積密度を落として使用しなければならない場合もある。
本発明では、この点に着目し、基板1の全面に高い面積密度で形成した付着要素2を、以降の工程で所定の間隔で配列された複数の同形状の転写領域に含まれる付着要素2を選択して転写テープ7に転写し、付着テープ100を製造する。すなわち、転写領域の面積を最適化することにより、付着要素2を全面に形成した基板1から所望の付着力を有する付着要素を備えた付着テープを複数作製できるので、低コストの製造が可能になる。
なお、本実施形態では、基板1上に付着要素2としてCVD法を用いてカーボンナノチューブを形成する例に説明したが、本工程は特にこの製法やカーボンナノチューブに限定されるものでは無い。例えば、ゴム系の材料やプラスチック材料などからなる高アスペクト比の細毛を付着要素2として用い、細毛を静電植毛により接着剤を塗布した基板上に吸引させ、基板に垂直に所定の密度で植毛するようにしても良い。
S2・・・・・所定の間隔で配列された複数の同形状の転写領域に含まれる付着要素2を選択して転写テープ7に転写する工程。
第1の実施形態の転写テープ7は、少なくとも一方の面に熱可塑性剤からなる接着層4を備えている。基材5は、耐熱性と可堯性を有する基材、例えば耐熱性フィルムからなる。第1の実施形態では、加熱した転写テープ7の接着層4に、マスク3で選択した付着要素2の先端を押し込んだ後、転写テープ7を冷却することにより付着要素2を接着層4に接着し、次に転写テープ7を基板1から引き離して付着要素2を転写テープ7に転写している。
第1の実施形態の工程S2は、4つの工程S2−1、S2−2、S2−3、S2−4からなる。以下、各工程を順に説明する。
S2−1・・マスク3を付着要素2の先端に載置する工程。
図1(b)のようにマスク3を、基板1上に自立している付着要素2の先端に載置する。マスク3は、厚みが付着要素2の長さに対し十分に薄い薄板であり、所定の間隔で配列された複数の同形状の開口部3bと遮蔽部3aとが形成されている。本実施形態では、開口部3bが転写領域になる。開口部3bの面積の総和は、マスク3全体の面積の50%以下である。
マスク3は、例えば金属の薄板を加工したものであり、その表面は表面エネルギーを低下させるためフッ素コートなどの処理が行われている。
図5はマスク3のパターン例である。
図5(a)は、同形状の四角形の開口部3bと遮蔽部3aとを市松状に配列した例、図5(b)は、同形状の三角形の開口部3bと遮蔽部3aとを交互に配列した例である。図5(c)は、マスク3を同形状の六角形で蜂の巣状に区分し、開口部3bの六角形が隣接しないよう遮蔽部3aと開口部3bを2対1の割合で配列した例である。
図5(a)、図5(b)のマスク3を工程S2で用いることにより付着要素2が転写された領域の割合が全体の1/2の付着テープ100が得られる。また、後に説明する工程S3で同じマスク3を用いることにより、付着要素2が転写された領域の割合が全体の1/2の付着テープ100がもう1枚得られる。
なお、実際に図5(a)、図5(b)のパターンのマスク3を作製する際は、遮蔽部3aを互いに連結する部分を設ける必要があるため開口面積は減少する。
図5(c)のマスク3を工程S2で用いることにより付着要素2の面積密度が1/3の付着テープ100が得られる。また、後に説明する工程S3で同じマスク3を用いることにより、付着要素2が転写された領域の割合が全体の1/3の付着テープ100をもう2枚得ることができる。
図5(c)のマスク3は、開口部3bが互いに隣接した部分が無いので、図5(a)、図5(b)のマスク3のように遮蔽部3aを互いに連結するために開口面積を減らす必要が無い。そのため、開口部3bの位置を3回ずらせて転写すると、基板1から余すところ無く付着要素2を転写テープ7に転写することができる。
転写領域である開口部3bの対角長または最大径は、付着要素2の長さLよりも短くすることが好ましい。例えば図5(a)の場合、カーボンナノチューブの平均長が100μmの場合、四角形の対角は100μm以下にする。また、図5(b)の場合は、三角形の各辺の長さを100μm以下に、図5(c)の場合は、六角形の中心を通る対角を100μm以下にする。
このようにすると、転写テープ7に転写された付着要素2が付着面に押しつけられても横に膨らむ余裕があるので十分な付着力が得られる。
S2−2・・接着層4を加熱するとともに接着層4とマスク3を挟んで対向する付着要素2の側に押圧し、開口から飛び出した付着要素2の先端を接着層4に押し込む工程。
図示せぬヒータを転写テープ7の基材5に当接させ、図1(c)の矢印方向に所定の位置まで移動させる。すると、図1(c)のように開口部3bから飛び出した付着要素2の先端が加熱により柔らかくなった接着層4に押し込まれる。
S2−3・・接着層4を冷却し、接着層4に押し込まれた付着要素2を接着層4と接着する工程。
ヒータを転写テープ7から離間し、例えば空気冷却により転写テープ7を十分に冷却する。熱可塑性剤からなる接着層4は硬化し、接着層4に押し込まれた付着要素2は接着層4と接着される。
S2−4・・転写テープ7を基板1から引き離す工程。
接着層4に接着された付着要素2がはがれ落ちないよう、転写テープ7の端部からまくり上げるように転写テープ7を引き離す。図1(d)のように、転写テープ7にはマスク3の開口部3bと同形状の転写領域に付着要素2aが転写されている。
本工程で得られた所望の転写領域に付着要素2aが転写された転写テープ7が、作製された1枚目の付着テープ100aである。
S3・・・・・基板1に残された付着要素2bを新たな転写テープ7bに転写する工程
工程S2と同様の工程を繰り返すことにより基板1に残された付着要素2bを新たな転写テープ7bに転写し、新たな付着テープ100bを作製する。
工程S2と同様の工程を繰り返すことにより基板1に残された付着要素2bを新たな転写テープ7bに転写し、新たな付着テープ100bを作製する。
S3−1・・マスク3の開口部3bと基板1に残された付着要素2bの位置をあわせて付着要素2bに先端に載置する工程。
図5(a)のような四角形の市松配列の場合は、開口部3bと遮蔽部3aの位置が入れ替わるようマスク3を、図1(e)の矢印方向に四角形の1辺に相当する距離だけ移動させる。
なお、図5(b)のような三角形の配列の場合は、マスク3を180°回転させて開口部3bと付着要素2bの位置を合わせる。また、図5(c)のような六角形の場合は、マスク3を斜め30°方向に移動させ開口部3bと付着要素2bの位置を合わせる。
開口部3bと付着要素2bの位置を合わせた後、図1(e)のようにマスク3の開口部3bから板厚を超えて飛び出すまでマスク3を付着要素2bの方向に移動させる。
S3−2・・接着層4を加熱するとともに接着層4とマスク3を挟んで対向する付着要素2の側に押圧し、開口から飛び出した付着要素2の先端を接着層4に押し込む工程。
図示せぬヒータを転写テープ7bの基材5に当接させ、図1(f)の矢印方向に所定の位置まで移動させる。すると、図1(f)のように開口部3bから飛び出した付着要素2の先端が加熱により柔らかくなった接着層4に押し込まれる。
S3−3・・接着層4を冷却し、接着層4に押し込まれた付着要素2を接着層4と接着する工程。
ヒータを転写テープ7bから離間し、例えば空気冷却により転写テープ7bを十分に冷却する。熱可塑性剤からなる接着層4は硬化し、接着層4に押し込まれた付着要素2は接着層4と接着される。
S3−4・・転写テープ7bを基板1から引き離す工程。
接着層4に接着された付着要素2bがはがれ落ちないよう、転写テープ7の端部からまくり上げるように転写テープ7を引き離す。図1(g)のように、転写テープ7bにはマスク3の開口部3bと同形状の転写領域に付着要素2bが転写されている。
本工程で、得られた所望の転写領域に付着要素2bが転写された転写テープ7bが、基板1に残された付着要素2bから作製された付着テープ100bである。
図5(c)のような六角形のマスク3を用いた場合は、工程S3をもう一度繰り返すことによりさらにもう1枚の付着テープ100を作製することができる。
次に、第2の実施形態の付着テープの製造方法を説明する。
第2の実施形態の転写テープ8は、少なくとも一方の面に熱硬化性および紫外線硬化性を有する接着剤からなる接着層6を備えている。本実施形態では、マスク3で覆った接着層6に紫外線を照射して硬化させた後、転写テープ8の接着層6に、付着要素2の先端を押し込んだ後、転写テープ8を加熱することにより付着要素2を接着層4に接着する。次に、転写テープ8を基板1から引き離して付着要素2を転写テープ8に転写し、付着テープ100を作製する。
そのため、第2の実施形態では、接着層6の遮蔽部3aに覆われた部分が転写領域になる。すなわち、遮蔽部3aに覆われた部分は照射された紫外線によって硬化されないので、後の工程で付着要素2を押し込むことができる転写領域になる。
マスク3は、図5に示すパターンのものを利用することができるが、遮蔽部3aに覆われた部分が転写領域になる点を留意する必要がある。図5(c)に示すパターンのマスク3を用いる場合は、転写領域が接着層6の2/3の面積になるので、斜め30°方向に位置をずらせて紫外線照射を2回行う必要がある。
以下の説明では第1の実施形態と同じ機能要素や工程は、同番号を付し説明を省略する。
図6は、第2の実施形態の付着テープの製造方法を説明する説明図である。図6を用いて、マスク3により転写領域が予め選択された転写テープ8を用いて基板1上に形成された付着要素2を転写テープ8に転写する製造方法について順を追って説明する。
図6(a)〜図6(g)は、各部材の断面図である。
第2の実施形態の付着テープの製造方法の一例として、次の工程S1〜S5を説明する。
S1・・・・・基板1の上に自立可能な密度で所定の長さの付着要素2を形成する工程。
S2・・・・・所定の間隔で配列された複数の同形状の転写領域に含まれる付着要素2を選択して転写テープ8に転写する工程。
S2−A・・転写領域に対応する部分以外に開口部3bが設けられたマスク3を介して接着層6に紫外線を照射する工程。
S2−B・・接着層6を接着層6と対向する付着要素2の側に押圧し、付着要素2の先端を接着層6の紫外線による硬化がされていない領域に押し込む工程。
S2−C・・接着層6を加熱し、接着層6に押し込まれた付着要素2を接着層6と接着する工程。
S2−D・・転写テープ8を基板1から引き離す工程。
S3・・・・・前記基板に残された前記付着要素を新たな転写テープに転写する工程
S3−A・・転写領域に対応する部分以外に開口部3bが設けられたマスク3を介して接着層6に紫外線を照射する工程。
S3−A・・転写領域に対応する部分以外に開口部3bが設けられたマスク3を介して接着層6に紫外線を照射する工程。
S3−B・・接着層6を接着層6と対向する付着要素2の側に押圧し、付着要素2の先端を接着層6の紫外線による硬化がされていない領域に押し込む工程。
S3−C・・接着層6を加熱し、接着層6に押し込まれた付着要素2を接着層6と接着する工程。
S3−D・・転写テープ8bを基板1から引き離す工程。
以下、各工程について順に説明する。
S1・・・・・基板1の上に自立可能な密度で所定の長さの付着要素2を形成する工程。
工程S1では、第1の実施形態と同様の方法で、図6(a)のように所定の長さの付着要素2を基板1上の全面に自立可能な密度で形成する。
S2・・・・・所定の間隔で配列された複数の同形状の転写領域に含まれる付着要素2を選択して転写テープ8に転写する工程。
マスク3で覆った接着層6に紫外線を照射して硬化させた後、転写テープ8aの接着層6に、付着要素2の先端を押し込んだ後、転写テープ8を加熱することにより付着要素2を接着層4に接着し、次に転写テープ8aを基板1から引き離して付着要素2を転写テープ8aに転写している。
第2の実施形態の工程S2は、4つの工程S2−A、S2−B、S2−C、S2−Dからなる。以下、各工程を順に説明する。
S2−A・・転写領域に対応する部分以外に開口部3bが設けられたマスク3を介して接着層6に紫外線を照射する工程。
図6(b)のように、マスク3を転写テープ8aの接着層6に密着させ矢印で示すようにマスク3の側から紫外線を照射する。なお、図5(c)のような六角形の場合は、マスク3を斜め30°方向に移動させ、さらにもう1回紫外線を照射する。
S2−B・・接着層6を接着層6と対向する付着要素2の側に押圧し、付着要素2の先端を接着層6の紫外線による硬化がされていない領域に押し込む工程。
工程S2−Aで転写テープ8aの接着層6は、硬化部6bと未硬化部6aにパターニングされている。
図2(c)のように付着要素2の先端に押し当てる。すると、付着要素2の先端が柔らかい未硬化部6aに押し込まれる。
S2−C・・接着層6に押し込まれた付着要素2を接着層6と接着する工程。
図示せぬヒータを転写テープ8aの基材5に当接させ、ヒータにより転写テープ8aを十分に加熱する。接着層6の未硬化部6aは硬化し、未硬化部6aに押し込まれた付着要素2aは接着層6と接着される。
S2−D・・転写テープ8aを基板1から引き離す工程。
接着層6に接着された付着要素2aがはがれ落ちないよう、転写テープ8aの端部からまくり上げるように転写テープ8aを引き離す。図6(d)のように、転写テープ8にはマスク3で遮蔽された部分と同形状の転写領域に付着要素2aが転写されている。
本工程で得られた所望の転写領域に付着要素2aが転写された転写テープ8aが、作製された1枚目の付着テープ100aである。
S3・・・・・基板1に残された付着要素2bを新たな転写テープ8bに転写する工程
工程S2と同様の工程を繰り返すことにより基板1に残された付着要素2bを新たな転写テープ8bに転写し、新たな付着テープ100bを作製する。
工程S2と同様の工程を繰り返すことにより基板1に残された付着要素2bを新たな転写テープ8bに転写し、新たな付着テープ100bを作製する。
S3−A・・転写領域に対応する部分以外に開口部3bが設けられたマスク3を介して接着層6に紫外線を照射する工程。
図5(a)のような四角形の市松配列の場合と、図5(b)のような三角形の配列の場合は、本工程を省略しても良い。
図5(c)のような六角形の場合は、マスク3を斜め30°方向に移動させ転写領域に対応する部分以外に紫外線を照射する。
S3−B・・接着層6を接着層6と対向する付着要素2の側に押圧し、付着要素2の先端を接着層6の紫外線による硬化がされていない領域に押し込む工程。
図6(f)のように付着要素2の先端に押し当てる。すると、付着要素2の先端が柔らかい接着層6に押し込まれる。なお、図6(f)は工程S3−Aで紫外線照射を行っていない場合の例である。
S3−C・・接着層6に押し込まれた付着要素2を接着層6と接着する工程。
図示せぬヒータを転写テープ8bの基材5に当接させ、ヒータにより転写テープ8bを十分に加熱する。接着層6は硬化し、接着層6に押し込まれた付着要素2bは接着層6と接着される。
S3−D・・転写テープ8bを基板1から引き離す工程。
接着層6に接着された付着要素2bがはがれ落ちないよう、転写テープ8bの端部からまくり上げるように転写テープ8bを引き離す。図6(g)のように、転写テープ8bにはマスク3で遮蔽された部分と同形状の転写領域に付着要素2bが転写されている。
本工程で得られた所望の転写領域に付着要素2bが転写された転写テープ8bが、基板1上に残った付着要素2bから作製された付着テープ100bである。
図5(c)のような六角形のマスク3を用いた場合は、工程S3をもう一度繰り返すことにより付着テープ100がさらにもう1枚作製することができる。
以上このように、本発明によれば、所望の付着力を有する付着要素を備えた付着テープを低コストで製造することができる。
1 基板
2 付着要素
3 マスク
4 接着層
5 基材
6 接着層
7 転写テープ
8 転写テープ
20 被付着物
100 付着テープ
2 付着要素
3 マスク
4 接着層
5 基材
6 接着層
7 転写テープ
8 転写テープ
20 被付着物
100 付着テープ
Claims (11)
- 主にファンデルワールス力によって実現される付着力を有する付着要素を備えた付着テープの製造方法であって、
基板の上に自立可能な密度で所定の長さの付着要素を形成する工程と、
所定の間隔で配列された複数の転写領域に含まれる前記付着要素を選択して転写テープに転写する工程と、
を有することを特徴とする付着テープの製造方法。 - 前記付着要素は、
カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1に記載の付着テープの製造方法。 - 前記付着要素を選択して転写テープに転写する工程で、転写される前記付着要素の割合は形成された前記付着要素の50%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の付着テープの製造方法。
- 前記付着要素を選択して転写テープに転写する工程の後に、
前記基板に残された前記付着要素を新たな転写テープに転写する工程を少なくとも1回行うことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の付着テープの製造方法。 - 前記転写領域の形状は、三角形、または四角形、または六角形のいずれかであることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の付着テープの製造方法。
- 前記転写領域の形状は三角形であり各辺の長さは前記付着要素の長さ以下であることを特徴とする請求項5に記載の付着テープの製造方法。
- 前記転写領域の形状は四角形、または六角形であり全ての対角の長さは前記付着要素の長さ以下であることを特徴とする請求項5に記載の付着テープの製造方法。
- 前記転写テープは、少なくとも一方の面に熱硬化性および紫外線硬化性を有する接着剤からなる接着層を備えることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の付着テープの製造方法。
- 前記転写領域に対応する部分以外に開口が設けられたマスクを介して前記接着層に紫外線を照射する工程と、
前記接着層を前記接着層と対向する前記付着要素の側に押圧し、前記付着要素の先端を前記接着層の紫外線による硬化がされていない領域に押し込む工程と、
前記接着層を加熱し、前記接着層に押し込まれた前記付着要素を前記接着層と接着する工程と、
前記転写テープを前記基板から引き離す工程と、
を有することを特徴とする請求項8に記載の付着テープの製造方法。 - 前記転写テープは、少なくとも一方の面に熱可塑性材からなる接着層を備えることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の付着テープの製造方法。
- 前記転写領域に対応する部分に開口が設けられたマスクを前記基板の上に自立している前記付着要素の先端に載置する工程と、
前記接着層を加熱するとともに前記接着層と前記マスクを挟んで対向する前記付着要素の側に押圧し、前記開口から飛び出した前記付着要素の先端を前記接着層に押し込む工程と、
前記接着層を冷却し、前記接着層に押し込まれた前記付着要素を前記接着層と接着する工程と、
前記転写テープを前記基板から引き離す工程と、
を有することを特徴とする請求項10に記載の付着テープの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009264701A JP2011105894A (ja) | 2009-11-20 | 2009-11-20 | 付着テープの製造方法 |
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JP2009264701A JP2011105894A (ja) | 2009-11-20 | 2009-11-20 | 付着テープの製造方法 |
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JP2009264701A Pending JP2011105894A (ja) | 2009-11-20 | 2009-11-20 | 付着テープの製造方法 |
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JP (1) | JP2011105894A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013115146A1 (ja) * | 2012-02-03 | 2013-08-08 | 日東電工株式会社 | ナノインデンター用試料固定部材 |
WO2014099562A1 (en) * | 2012-12-21 | 2014-06-26 | 3M Innovative Properties Company | Patterned structured transfer tape |
-
2009
- 2009-11-20 JP JP2009264701A patent/JP2011105894A/ja active Pending
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US9711744B2 (en) | 2012-12-21 | 2017-07-18 | 3M Innovative Properties Company | Patterned structured transfer tape |
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