JP2011103827A - Rna上の2’−o−メチル化部位の検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
RNA、特にmRNA上の2’−O−メチル化部位の検出方法を提供すること。
【解決手段】
この発明の検出方法は、まず、2’−O−メチル化調査対象部位を含むRNA分子を含む試料RNAに2’−O−メチル化調査対象部位と相補的な配列をもつ2’-OMe
RNA-DNAキメラオリゴヌクレオチドを対合させ、次に試料RNA-キメラオリゴヌクレオチドハイブリッドにRNase Hを加え、切断反応を行い、続いて、試料RNAを鋳型とした逆転写反応により、cDNAを合成するとともに、このcDNA溶液をPCR反応の鋳型に用いて、PCR反応により、試料中の標的RNA分子上の2’−O−メチル化調査対象部位を含む塩基配列部分の増幅を行う。次に、PCR反応を終えた反応溶液をアガロースゲル電気泳動により分析する。つまり、RNase Hを添加しなかった非切断コントロール試料の増幅産物量を基準とし、RNase H切断を経た試料と非切断コントロール試料で増幅産物量に差が認められない場合は、調査対象部位が全て、あるいは非常に高頻度で2’−O−メチル化を受けていること、またRNase H切断を経た試料で増幅産物が確認できなかった場合は、2’−O−メチル化が起きていないことが想定される。
【選択図】なし

Description

この発明は、RNA上の2’−O−メチル化部位の検出方法に関し、更に詳細には、特にmRNA上のリボース2’−O−メチル化部位の検出方法に関するものである。
RNAは、DNAとはいくつかの分子構造上の特徴的な違いがあり、DNAの遺伝情報に基づいて合成され、DNAからRNAへの遺伝情報の転写は、RNAポリメラーゼによって行われることは周知である。このRNAには、主にリボソームRNA(rRNA)、トランスファーRNA(tRNA)およびメッセンジャーRNA(mRNA)の3種類がある。
RNAのうち、リボソームRNA(rRNA)やトランスファーRNA(tRNA)は、転写後に様々な修飾を受けることが知られている。かかる修飾のうちの1つとして、リボース2’−O−メチル化という現象がある。この現象は、RNA分子の骨格の特異的な位置に存在するリボースの2’位OH基が特異的なメチル化酵素(フィブリラリン)の作用によりメトキシ基(−OMe)に変換される反応である。このフィブリラリンという特異的なメチル化酵素は、直接無作為に標的を選ぶのではなく、標的と対合可能な配列を持つ核小体RNA(snoRNA)分子に誘導されて標的をメチル化するので、このsnoRNAを同定できれば標的を予測することが可能である。
リボソームRNA(rRNA)やトランスファーRNA(tRNA)は、細胞や組織中に同一種の分子が多量に存在するので、このような修飾が容易に検出できたものと考えられる。一方、メッセンジャーRNA(mRNA)は、生体内のRNA分子のうち僅かに3〜5%程度しか含まれておらず、その内訳にしても各遺伝子に由来する数万種類のmRNA分子の混合物として存在しているため、ある特定のmRNA分子を単離するのが極めて困難であることから、その特定のmRNA分子の構造については、その塩基配列以外の情報、例えば2’−O−メチル化等の修飾などの情報についてはほとんど知られていないのが実状である。
mRNA分子においては、2’−O−メチル化という修飾は、プラダー・ウィリ症候群(Prader-Willi Syndrome)という遺伝病に関連して発見されている。この遺伝病では、15番染色体の一部分が大きく欠損しており、この領域に含まれる遺伝子の1つとして発見されたのが「HBII-52
snoRNA」をコードする遺伝子である。このHBII-52の標的が、バイオインフォマティクスの手法によりデータベースからセロトニン2C受容体(5HT2CR)のmRNAであると予測され、その5HT2CRのmRNA上で2’−O−メチル化が起きているとの結果が示されている。しかし、この結果は、2’−O−メチル基を直接的に検出する実験手法で導き出されたものではないので、今ひとつ決め手に欠けていると言わざるを得ない。
他方、RNAのうちのリボソームRNA(rRNA)の2’−O−メチル化を直接的に検出する手法としては、試料RNAの2’−O−メチル化調査対象部位に2’−O−メチルRNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせ、RNase Hで分解する手法が報告されている(非特許文献1)。RNase HはRNA−DNAハイブリッドのRNA鎖を非特異的に分解するが、RNA残基の2’位のOH基がメチル化されている場合にはRNA鎖を切断しないという特性を持っている(非特許文献2)。この手法は、試料RNAの調査対象部位リボースの2’位がメチル化されている場合には、そのRNA鎖はRNase Hで切断されず、メチル化されていない場合には、そのRNA鎖はRNase Hによりその部位で特異的に分解され、2個のRNAフラグメントに切断されることになる。このようにして切断して得られたRNAフラグメントは、アガロース−ホルムアルデヒドゲル上に展開し、オ−トラジオグラフ法でその2’−O−メチル化が確認されている。ただし、この手法は、細胞や組織中に同一種の分子が多量に存在するリボソームRNA(rRNA)やトランスファーRNA(tRNA)を対象とする場合には結果を導くことができるが、細胞や組織中に数万種類の微量成分が混在しているmRNA分子の2’−O−メチル化部位の特定には直接応用できないという欠点がある。
また、ヒトHBII-52およびマウスMBII-52
snoRNAは、セロトニン2C型受容体(5HT2CR)pre-mRNA上のRNA編集部位と相補的な配列をもち、その相互作用がRNA編集の調節に関与すると報告されている。一方、HBII-52およびMBII-52はBox
C/D snoRNAの構造的特徴をもつことから、標的RNA配列中のリボース2’−O−メチル化に関与すると考えられた。in
vitroで5HT2CR pre-mRNAにMBII-52を作用させた研究では2’−O−メチル化を示す結果が報告されているが、生体組織内での同様の現象は証明されていない。
さらに、Prader-Willi症候群において、あるいは実験的にHBII-52の発現が欠損または低下した場合、5HT2CR
mRNAの5つのRNA編集部位のうちC部位における編集効率の亢進が報告されている。今回の結果から、生体内では実際にHBII-52およびMBII-52
snoRNAを介した2’−O−メチル化により5HT2CR
mRNAのRNA編集が調節されていると考えられた。この分子機構が情動制御に重要な意義をもつ可能性が考えられる。
Yu, Yi-Tao, et al., RNA (1997), 3:324 -331 Inoue, H., et al., FEBS Lett. (1987), 215:327 - 330; Lapham,J/, et al., RNA (1996), 2:289 – 296
そこで、本発明者は、mRNA分子の2’−O−メチル化部位を直接特定できる方法を開発すべく、マウス脳の5HT2CR
mRNAにおいてMBII-52の作用による2’−O−メチル化部位を検出する実験を行った。本発明者は、Yuらの方法(非特許文献1)に従い、5HT2CR
mRNA上のMBII-52標的部位における2’−O−メチル化について解析した。すなわち、マウス脳RNAに対して標的部位と相補的な配列をもつ2’−O−メチル化RNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせ、RNase Hを作用させることにより、非メチル化RNAの切断を行った。その後、切断を受けなかった5HT2CR
mRNAをRT−PCRにより増幅し、2’−O−メチル化RNAの半定量的解析を行った結果、in
vitroでの結果と同様に、マウス脳で発現した5HT2CR mRNAの配列上で、RNA編集C部位の2’−O−メチル化が示された。
この結果、本発明者は、2’−O−メチルRNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドをRNase Hで分解する手法がmRNA分子の2’−O−メチル化部位を直接特定できることともに、この2’−O−メチルRNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドのRNase Hによる分解方法と、RT−PCR法とを組み合わせることによってmRNA分子の2’−O−メチル化部位を特定することができることを見出すとともに、さらに、この発明に係る方法が、mRNA分子の2’−O−メチル化部位を直接特定できるばかりではなく、あらゆるRNA分子の2’−O−メチル化部位を直接特定することも可能であることも見出して、この発明を完成した。
したがって、この発明は、RNA分子の2’−O−メチル化部位を直接特定できる検出方法を提供することを目的としている。つまり、この発明は、特にmRNA分子の2’−O−メチル化部位を直接特定できる検出方法を提供することを目的としている。
また、この発明は、その好ましい態様として、試料RNAの2’−O−メチル化調査対象部位に2’−O−メチルRNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドをハイブリダイズさせた状態にRNase Hを作用させて分解し、切断されずに残った2’−O−メチル化RNAをRT−PCRにより増幅・定量することからなるRNA分子の2’−O−メチル化部位の検出方法を提供することを目的としている。
さらに、この発明は、その好ましい態様として、試料RNAとハイブリダイズさせるキメラオリゴヌクレオチドにおいて、試料RNAの2’−O−メチル化調査対象部位に対合する部位およびその両側を非修飾DNA配列とし、それ以外の部分を2’−O−メチル化RNAとして設計・合成し、そのDNA部位が試料RNAの2’−O−メチル化部位と塩基対合するようにハイブリダイズした後、RNase Hを作用させ、切断されずに残った2’−O−メチル化RNAをRT−PCRにより増幅・定量することからなるRNA分子の2’−O−メチル化部位の検出方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、この発明は、RNA分子の2’−O−メチル化部位を直接特定できる検出方法を提供することを目的としている。つまり、この発明は、試料RNA、特にmRNAと2’-OMe
RNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドのハイブリッドにRNase Hを作用させて2’−O−メチル化調査対象部位の切断反応を行った後、逆転写酵素を用いた反応により試料中の全RNAに由来するcDNAを合成し、そのcDNAを鋳型として、試料中に含まれる標的分子上の2’−O−メチル化調査対象部位を含む塩基配列部分をPCR反応により増幅し、得られたPCR反応溶液をアガロースゲルを用いた電気泳動で分析してRNA上の2’−O−メチル化部位を検出することからなるRNA上の2’−O−メチル化部位の検出方法を提供する。
この発明は、上記試料RNAと2’-OMe
RNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドのハイブリッドにRNase Hを作用させて2’−O−メチル化調査対象部位の切断反応を行った後、逆転写酵素を用いた反応により試料中の全RNAに由来するcDNAを合成し、そのcDNAを鋳型として、試料中に含まれる標的分子上の2’−O−メチル化調査対象部位を含む塩基配列部分をPCR反応により増幅し、得られたPCR反応溶液を用いた電気泳動で分析してRNA上の2’−O−メチル化部位の検出することからなるRNA上の2’−O−メチル化部位の検出方法を提供する。
この発明は、上記2’-OMe
RNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドが、試料RNAの2’−O−メチル化調査対象部位を含む周辺部位と塩基対合するDNAオリゴヌクレオチド部位と、その周辺部位の外側のRNA周辺部位と塩基対合する2’−O−メチル化RNAオリゴヌクレオチド部位とのハイブリッドからなることからなるRNA上の2’−O−メチル化部位の検出方法。
この発明は、上記2’-OMe RNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドが、試料RNAの2’−O−メチル化調査対象部位を含む周辺部位と塩基対合するDNAオリゴヌクレオチド部位と、その周辺部位の外側のRNA周辺部位と塩基対合する2’−O−メチル化RNAオリゴヌクレオチド部位とのハイブリッドからなることからなるRNA上の2’−O−メチル化部位の検出方法を提供する。
この発明は、上記2’-OMe
RNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドが、下記一般式:
(式中、NはA、G、TおよびUから選択されるRNAヌクレオチドを意味し、Xは2’-O-メチル化の調査対象とするRNAヌクレオチドを意味し、Mは塩基対合した2’-O-メチル化されたA、G、TおよびUから選択されるRNAオリゴヌクレオチドを意味し、Dは、Nで表すヌクレオチドと、Xで表す2’-O-メチル化の調査対象とするヌクレオチドと塩基対合するA、C、GおよびTから選択されるDNAオリゴヌクレオチドを意味する。)
で表されることからなるRNA上の2’−O−メチル化部位の検出方法を提供する。
この発明は、その好ましい態様として、RNase Hを添加しなかった非切断コントロール試料のPCR増幅産物量を基準とし、RNase H切断を経た試料と非切断コントロール試料とでPCR増幅産物量に差が認められない場合は、調査対象部位が全て、あるいは非常に高頻度で2’−O−メチル化を受けていると、またRNase H切断を経た試料でPCR増幅産物が確認できなかった場合は、2’−O−メチル化が起きていないと想定することを特徴とするRNA上の2’−O−メチル化部位の検出方法を提供する。
この発明は、特に、リボソームRNA(rRNA)やトランスファーRNA(tRNA)などの細胞や組織中に同一種の分子が多量に存在するRNAとは異なって、細胞や組織中に少量しか存在しない上に数万種も異なる種類が存在して単離が困難なメッセンジャーRNA(mRNA)の2’−O−メチル化を特定できるという効果を持っている。
この発明に係るRNA上の2’−O−メチル化部位の検出方法の反応スキームを示す図。
この発明に係るRNA上の2’−O−メチル化部位の検出方法は、図1に示すような順で実施することができる。この発明の検出方法において、RNA分子を構成するヌクレオシド(例えばアデノシン)および2’−O−メチル化を受けたヌクレオシド(例えばアデノシン)の化学構造は下記に示すとおりである。
まず、図1に示すように、2’−O−メチル化調査対象部位を含むRNA分子を含む標的RNA分子に2’−O−メチル化調査対象部位と相補的な配列をもつ2’-OMe
RNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドを加え、加熱・放冷により両者を対合させる。ここで、RNA分子中の2’−O−メチル化部位の検出に用いる2’-OMe
RNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドの一般的な設計法は次の通りである。
上記式中、NはA、G、TおよびUから選択されるRNAヌクレオチドを意味し、Xは2’-O-メチル化の調査対象とするRNAヌクレオチドを意味し、Mは塩基対合した2’-O-メチル化RNAオリゴヌクレオチドを意味し、Dは、Nで表すヌクレオチドと、Xで表す2’-O-メチル化の調査対象とするヌクレオチドと塩基対合するA、C、GおよびTから選択されるDNAオリゴヌクレオチドを意味する。
なお、DNAオリゴヌクレオチドを作成するに当たっては、その塩基数が、理論的には、RNase Hによるメチル化標的部位とその3'側に隣接するヌクレオチド間を切断するために必要な最低限2塩基になるように、また3塩基もしくは4塩基になるように作成するのがよい。ただし、DNAオリゴヌクレオチドの塩基数は、RNase Hによるメチル化標的部位とその3'側に隣接するヌクレオチド間だけが切断されるのであれば、特に制限されることはない。また、2’−O−メチル化RNA部分を含む全体の長さは、標的に対する対合の特異性をもたせるためには、22塩基以上で設計するのがよく、25塩基程度に設計するのがより好ましい。
次に、試料RNA−キメラオリゴヌクレオチドハイブリッドにRNase Hを加え、切断反応を行う。このようなハイブリッド状態の2’-OMe
RNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドにRNase Hを作用させると、標的mRNA上に2’−O−メチル化が存在しない場合にはX ヌクレオチドの3’側が切断を受け、標的RNA分子は2つの断片に分断される。X ヌクレオチドのリボースが2’−O−メチル化を受けている場合には、RNase Hによる標的RNA分子の切断は起こらない。
このRNase Hによる標的RNA分子の切断反応においては、RNase Hは、一本鎖DNAを生じるリボヌクレアーゼであり、非特異的なエンドヌクレアーゼであるところから、DNA/RNAハイブリッド二本鎖を形成しているRNAを切断して一本鎖DNAを生じる。また、DNAと塩基対合しているRNA鎖は加水分解によって構成要素であるリボヌクレオシド−5‘−一リン酸を生じる。
また、RNase Hの2’-OMe RNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドに対する作用機序は次の通りである。RNase H は、2’−O−メチル化リボヌクレオチドから成るオリゴヌクレオチドとハイブリッド形成しているRNA鎖には作用しない。しかし、上述のとおり、2’−O−メチル化RNAオリゴヌクレオチドの一部分の3〜4ヌクレオチドのみをDNAとして合成されたキメラオリゴヌクレオチドとRNA鎖がハイブリッド形成している場合には、DNA部分の5’側より第2番目に位置するデオキシヌクレオチドと対合する位置のRNA鎖リボヌクレオチドの3’側が加水分解されることにより、2つのRNA断片を生じる結果となる。
このとき、他の条件はすべて同一とし、RNase Hのみを加えない反応溶液を併せて調製し、非切断コントロール試料とする。
続いて、試料RNAを鋳型とした逆転写反応により、cDNAを合成する。この逆転写反応にしても、当該技術分野では慣用されている常套手段である。反応終了後、滅菌蒸留水で希釈したcDNA溶液をPCR反応の鋳型に用いる。PCR反応により、試料中の標的RNA分子上の2’−O−メチル化調査対象部位を含む塩基配列部分の増幅を行う。標的RNA分子上の2’−O−メチル化調査対象部位の5’側および3’側塩基配列を参照して設計したセンスおよびアンチセンスプライマーを用い、標準的なPCRプログラムにより増幅反応を行う。
次に、PCR反応を終えた反応溶液をアガロースゲル電気泳動により分析する。RNase Hを添加しなかった非切断コントロール試料(この場合、調査対象部位の2’−O−メチル化の有無に関わらず、調査対象とするRNA分子全量がRT-PCRの増幅源となる)の増幅産物量を基準とし、RNase H切断を経た試料における増幅産物量が、調査対象部位の2’−O−メチル化の程度を反映することとなる。RNase H切断を経た試料と非切断コントロール試料で増幅産物量に差が認められない場合は、調査対象部位が全て、あるいは非常に高頻度で2’−O−メチル化を受けていることが想定される。RNase H切断を経た試料で増幅産物が確認できなかった場合は、2’−O−メチル化が起きていないことが想定される。
最後に、2’−O−メチル化RNAの半定量的解析方法を次のように行うのがよい。つまり、上記のように、試料RNAと2’-OMe
RNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドのハイブリッドにRNase Hを作用させ、2’−O−メチル化調査対象部位の切断反応を行った後、逆転写酵素を用いた反応により試料中の全RNAに由来するcDNAを合成し、さらにPCR反応により、試料中に含まれる標的RNA分子上の2’−O−メチル化調査対象部位を含む塩基配列部分の増幅を行うのがよい。PCR反応を終えた反応溶液をアガロースゲルを用いた電気泳動で分析する。RNase Hを添加しなかった非切断コントロール試料(この場合、調査対象部位の2’−O−メチル化の有無に関わらず、調査対象とするRNA分子全量がRT−PCRの増幅源となる)の増幅産物量を基準とし、RNase H切断を経た試料における増幅産物量が、調査対象部位の2’−O−メチル化の程度を反映することとなる。RNase H切断を経た試料と非切断コントロール試料で増幅産物量に差が認められない場合は、調査対象部位が全て、あるいは非常に高頻度で2’−O−メチル化を受けていることが想定される。RNase H切断を経た試料で増幅産物が確認できなかった場合は、2’−O−メチル化が起きていないことが想定される。
2’−O−メチル化調査対象部位を含むセロトニン2C型受容体(5HT2CR)をコードするmRNA分子を含む試料RNA(マウス脳より抽出したもの) 0.5
μgに、下記構造式で示す2’−O−メチル化調査対象部位と相補的な配列を持つキメラオリゴヌクレオチド10 ngを加えて5 μLの水溶液とし、ヒートブロックインキュベーターを用いて95℃、3分間加熱したのち、室温まで約3時間放冷することにより両者を対合させた。
本実施例で使用した2’-OMe
RNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドの構造は下記の通りであり、このキメラオリゴヌクレオチドは、当該記述分野で慣用されている常法に従って作製した。
5’-GGattaCGUAUUGCUACAUACCGGU-3’ (配列番号1)
小文字部分:DNAオリゴヌクレオチド
大文字部分:2’−O−メチル化RNAオリゴヌクレオチド
このキメラオリゴヌクレオチドは、標的とする5HT2CR mRNA(配列番号2)上の2’−O−メチル化調査対象部位周辺と下記のように塩基対合すると想定される。
このようなハイブリッド状態の2’-OMe
RNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドにRNase Hを作用させると、標的mRNA上に2’−O−メチル化が存在しない場合にはA ヌクレオチドの3’側が切断を受け、標的RNA分子は2つの断片に分断される。A ヌクレオチドのリボースが2’−O−メチル化を受けている場合には、RNase Hによる標的RNA分子の切断は起こらない。
次に、試料RNA-キメラオリゴヌクレオチドハイブリッドにバッファー成分(最終濃度 =
50 mM Tris-HCl, 75 mM KCl, 3 mM
MgCl2, 10 mM dithiothreitol,
pH 7.5)およびRNase H
2.5 Uを加えて10μLの水溶液とし、37℃で30分間切断反応を行った。このとき、他の条件はすべて同一とし、RNase Hのみを加えない反応溶液を併せて調製し、非切断コントロール試料とした。フェノール-クロロホルム抽出およびエタノール沈殿法により試料中のRNA成分を精製した。
続いて、逆転写反応を行った(タカラバイオ・PrimeScript 1st strand cDNA synthesis kitの標準的使用法に準拠)。RNA試料を滅菌蒸留水に溶解後、ランダムヘキサヌクレオチド50 pmolを加えて5.7μLの溶液とし、65℃で10分間加熱して変性させた。その後、氷上で冷却することによりRNA試料にランダムヘキサヌクレオチドをアニールさせた。
試料溶液に5×反応緩衝液2μL(最終濃度 =
50 mM Tris-HCl, 75 mM KCl, 3 mM
MgCl2, pH 8.3)、dNTP
mixture(最終濃度 = 各0.5 mM)、RNase
inhibitor 10 U、PrimeScript
Reverse Transcriptase 100 Uを加えて10μLの水溶液とし、30℃で10分間保温後、42℃で1時間、逆転写反応を行った。反応終了後、95℃・5分間の加熱により酵素を失活させ、滅菌蒸留水で10倍に希釈した溶液をcDNA溶液としてPCR反応の鋳型に用いた。
PCR反応により、試料中の5HT2CR
mRNA分子上の2’−O−メチル化調査対象部位を含む塩基配列部分の増幅を行った。タカラバイオ・PrimeStar GXL DNA polymeraseの標準的使用法に準拠し、1反応あたり10μLのDNA増幅反応溶液を調製した。鋳型DNAとしてのcDNA溶液を1μL用いた。また、試料RNA分子上の2’−O−メチル化調査対象部位の5’側塩基配列を参照して設計したセンスプライマー、および3’側塩基配列を参照して設計したアンチセンスプライマーを、各0.25μMとなるように加えた。標準的なPCRプログラム(「98℃ 10秒; 55℃ 15秒; 68℃ 1分」× 30回)により、増幅反応を行った。
PCR反応を終えた反応溶液を0.8%アガロースゲルを用いた電気泳動で分析した。RNase Hを添加しなかった非切断コントロール試料(この場合、メチル化調査対象部位の2’−O−メチル化の有無に関わらず、調査対象とするRNA分子全量がRT−PCRの増幅源となる)の増幅産物量を基準とし、RNase H切断を経た試料における増幅産物量に若干の現象が認められたことから、マウス脳中に存在する5HT2CR
mRNA分子の多くは調査対象部位が2’−O−メチル化を受けていることが想定された。さらに、RNase H切断前後の試料RNAからの増幅産物の塩基配列を解析し比較したところ、2’−O−メチル化調査対象部位周辺の塩基配列に差異が認められたことから、この実験方法により、調査対象部位の2’−O−メチル化を含め、明らかに異なる分子種から成る2つの集団を分離できたことが証明された。
この発明に係る2’−O−メチル化検出方法は、RNA、特にmRNA上のリボース2’−O−メチル化部位を特定することを可能にすることから、RNAの変異などの異常に起因もしくは関連する疾患の診断やかかる異常の治療に有用な医薬の開発に寄与すると期待される。

Claims (5)

  1. 試料RNAと2’-OMe
    RNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドのハイブリッドにRNase Hを作用させて2’−O−メチル化調査対象部位の切断反応を行った後、逆転写酵素を用いた反応により試料中の全RNAに由来するcDNAを合成し、そのcDNAを鋳型として、試料中に含まれる標的分子上の2’−O−メチル化調査対象部位を含む塩基配列部分をPCR反応により増幅し、得られたPCR反応溶液を用いた電気泳動で分析してRNA上の2’−O−メチル化部位の検出することを特徴とするRNA上の2’−O−メチル化部位の検出方法。
  2. 請求項1に記載のRNA上の2’−O−メチル化部位の検出方法であって、前記2’-OMe
    RNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドが、試料RNAの2’−O−メチル化調査対象部位を含む周辺部位と塩基対合するDNAオリゴヌクレオチド部位と、その周辺部位の外側のRNA周辺部位と塩基対合する2’−O−メチル化RNAオリゴヌクレオチド部位とのハイブリッドからなることを特徴とするRNA上の2’−O−メチル化部位の検出方法。
  3. 請求項1または2に記載のRNA上の2’−O−メチル化部位の検出方法であって、前記2’-OMe
    RNA−DNAキメラオリゴヌクレオチドが、下記一般式:
    (式中、NはA、G、TおよびUから選択されるRNAヌクレオチドを意味し、Xは2’-O-メチル化の調査対象とするRNAヌクレオチドを意味し、Mは塩基対合した2’-O-メチル化RNAオリゴヌクレオチドを意味し、Dは、Nで表すヌクレオチドと、Xで表す2’-O-メチル化の調査対象とするヌクレオチドと塩基対合するA、C、GおよびTから選択されるDNAオリゴヌクレオチドを意味する。)
    で表されることを特徴とするRNA上の2’−O−メチル化部位の検出方法。
  4. 請求項1、2または3に記載のRNA上の2’−O−メチル化部位の検出方法であって、前記RNAがmRNAであることを特徴とするRNA上の2’−O−メチル化部位の検出方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のRNA上の2’−O−メチル化部位の検出方法であって、RNase Hを添加しなかった非切断コントロール試料のPCR増幅産物量を基準とし、RNase H切断を経た試料と非切断コントロール試料とでPCR増幅産物量に差が認められない場合は、調査対象部位が全て、あるいは非常に高頻度で2’−O−メチル化を受けていると、またRNase H切断を経た試料でPCR増幅産物が確認できなかった場合は、2’−O−メチル化が起きていないと想定することを特徴とするRNA上の2’−O−メチル化部位の検出方法。
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