JP2011099803A - 光吸収型ガス検知器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 上記課題は、各々同一の被検査ガスが導入される、光路長の大きさが互いに異なる少なくとも2つの測定セルを具えてなり、光源よりの光が個々の測定セルを透過して光検出器によって検出される総透過光量の、個々の測定セルに入射される光の総入射光量に対する光量変化に基づいて、被検査ガス中の検知対象ガスのガス濃度を測定する機能を有する構成とされた光吸収型ガス検知器により、達成される。
【選択図】 図1
Description
このような赤外線ガス検知器は、例えば、被検査ガスが導入される一定の光路長を有する測定セルの一端側に赤外線光源が配置されると共に他端側に受光素子が配置されて構成されており、被検査ガス中の検知対象ガスの濃度が、下記式(1)で表されるランベルト・ベールの法則に従って、検知対象ガスによって赤外線が吸収されることによる赤外線光量の減衰の程度に応じて算出される。
(式1) P/P0 =exp(−εbc)
上記式(1)において、Pは測定セルを透過した赤外線の強度、P0 は測定セルに入射される赤外線の強度、εはガス固有の吸収係数、cはガス濃度、bは透過光路長(セル長)である。
しかしながら、一つの測定セルによって、同一ガス成分について、低濃度範囲から高濃度範囲まで広い濃度範囲において十分に高い信頼性で濃度測定を行うことは実質的に不可能である。すなわち、光路長が比較的短い測定セルにおいて低濃度範囲の濃度測定を行うと、検知対象ガスによる光吸収がほとんどないため、光量の変化が小さく十分に高い信頼性(精度)を得ることができず、一方、光路長が比較的長い測定セルにおいて高濃度範囲の濃度測定を行うと、赤外線の吸収が飽和してしまうため、所期のガス濃度の測定を行うことができない。
一方、例えば、図3に示すように、目的とする大きさの連続した濃度測定範囲Rを確保するために、光路長の長い測定セルによる適正濃度測定範囲RL と光路長の短い測定セルによる適正濃度測定範囲RH とが不連続となる中間濃度範囲が形成されるよう構成した場合においては、当該中間濃度範囲に対して、光路長の長い測定セルおよび光路長の短い測定セルのいずれのものの検出出力を選択的に用いた場合であっても、十分な光量変化を得ることができず、信頼性の高い濃度測定を行うことができないため、中間濃度範囲を適正濃度測定範囲RM とする中間濃度測定用セルを用いること、すなわち測定セルの数を増やすことなどの措置を講ずることが必要となる。
光源よりの光が個々の測定セルを透過して光検出器によって検出される総透過光量の、個々の測定セルに入射される光の総入射光量に対する光量変化に基づいて、被検査ガス中の検知対象ガスのガス濃度を測定する機能を有することを特徴とする。
図1は、本発明の光吸収型ガス検知器の一例における構成の概略を示す説明図である。 この光吸収型ガス検知器は、互いに光路長の大きさが異なる2つの測定セル11、12を有する、両端部が板状の赤外線透過性部材15によって閉塞された、例えば角筒型のチャンバ10を具えてなり、当該チャンバ10の一端側外方位置において単一の赤外線光源20が配置されると共に、チャンバ10の他端側外方位置において、個々の測定セル11、12を透過した赤外線を検出する単一の光検出器25が配置されて、構成されている。
そして、一方の空間部における光検出器側空間領域は、例えば赤外線吸収特性を示さないガス例えば窒素ガスが封入されて赤外線に対する不感領域11Aが形成されており、従って、一方の測定セル11が他方の測定セル12より光路長が短い状態とされている。
以下においては、光路長が短い一方の測定セル11を「短セル」、光路長が長い他方の測定セル12を「長セル」というものとする。
光路長比(Lb/La)が上記範囲内であることにより、十分な光量変化を得ることのできる、短セル11の光路長Laに応じた適正濃度測定範囲と、長セル12の光路長Lbに応じた適正濃度測定範囲とが不連続となる中間濃度範囲が形成され、同一成分のガスについて、短セルに係る適正濃度測定範囲および長セルに係る適正濃度測定範囲の両方を単に組み合わせたものより拡張された連続した広い濃度測定範囲を得ることができる。
一方、光路長比が5より小さい場合には、高い信頼性で濃度測定を行うことのできる濃度測定範囲を、短セル11に係る適正濃度測定範囲と長セル12に係る適正濃度測定範囲を単に組み合わせた大きさのものとすることしかできず、光路長比が200より大きい場合には、短セル11に係る適正濃度測定範囲と長セル12に係る適正濃度測定範囲との間の中間濃度範囲において、十分に高い信頼性を得ることができない。
また、検知対象ガスがi−C4 H10である場合には、例えば0〜100%LEL(0〜1.8vol%)程度を適正濃度測定範囲とする長セル12の光路長Lbが50〜150mm、例えば10〜100vol%程度を適正濃度測定範囲とする短セル11の光路長Laが1〜5mmであり、光路長比(Lb/La)が10〜150である。
赤外線光源20が例えばパルス電流が供給されて一定の点滅周期で点滅駆動されると、赤外線光源20からの赤外線が、各々同一の被検査ガスが導入された短セル11および長セル12の各々に所定の光量比(Pa:Pb)で分光されて入射され、短セル11を透過した透過光および長セル12を透過した透過光が、例えばバンドパスフィルターなどの光学フィルタ(図示せず)を介して共通の光検出器25によって受光され、これにより、短セル11を透過した赤外線の透過光量P0 aと長セル12を透過した赤外線の透過光量P0 bとを重畳した総透過光量の、短セル11および長セル12の各々の測定セルに入射される赤外線の総入射光量に対する光量変化(減衰の程度)に応じたガス濃度が算出される。
すなわち、短セル11における赤外線の光量変化が小さい低濃度範囲については、信頼性の高い濃度測定を行うことのできる十分な大きさの赤外線の光量変化が長セル12における赤外線の光量変化によって補償されると共に、長セル12における赤外線の光量変化が小さい高濃度範囲については、信頼性の高い濃度測定を行うことのできる十分な大きさの赤外線の光量変化が短セル11における赤外線の光量変化によって補償され、しかも、中間濃度範囲については、短セル11における赤外線の光量変化および長セル12における赤外線の光量変化が重畳されることによって信頼性の高い濃度測定を行うことのできる十分な大きさを有する赤外線の光量変化が得られる。
従って、少ない測定セル数で、同一ガス成分について、例えばppmレベルの低濃度範囲から%レベルの高濃度範囲までの連続した広い濃度範囲にわたって十分に信頼性の高い濃度測定を行うことでき、例えば、ppmレベルと%レベルとの間での急激な濃度変化が生じた場合でも、動作条件の調整などを行うことなしにガス濃度測定を行うことができる。
上記光吸収型ガス検知器は、短セル11と長セル12との光路長比が5倍以上となる構成とされた場合、すなわち、短セル11に係る適正濃度測定範囲と長セル12に係る適正濃度測定範囲が不連続となる構成の場合に実用上有効なものとなる。
<実験例1>
図1に示す構成に従って、短セルの光路長(La)が4mm(下記試験ガスについての適正濃度測定範囲が10〜100vol%)、長セルの光路長(Lb)が130mm(下記試験ガスについての適正濃度測定範囲が0〜2vol%)、光路長比が32.5である試験用ガス検知器を作製した。
試験用ガスとして、下記表1に示す3つの濃度レンジの各々において1デジット毎(濃度単位毎)設定された濃度値のi−C4 H10ガスを用い、これらの試験用ガスの各々について、下記表1に示す3つの濃度レンジの各々における出力変化率を算出した。結果を下記表1に示す。
『出力変化率』は、各試験用ガスを短セルおよび長セルの各々に導入したときの、短セルを透過した赤外線の透過光量および長セルを透過した赤外線の透過光量を重畳した総透過光量に応じた検出出力値(Cn )の、ガス濃度が0〔ppm〕である試験用ガスを短セルおよび長セルの各々に導入したときの、短セルを透過した赤外線の透過光量および長セルを透過した赤外線の透過光量を重畳した総透過光量に応じた検出出力値(C0 )に対する出力変化量(C0 −Cn )を、各濃度レンジに応じて設定された濃度単位(1デジット)で除した値であって、表1に示す各濃度レンジの値は、同一の濃度レンジに含まれる複数の試験用ガスについての最小値である。
出力変化率が0.05%より大きい場合には、十分な光量変化(分解能)が得られることを示し、出力変化率が0.05%以下である場合には、十分な光量変化(分解能)が得られず、所期の濃度測定を行うことができないことを示す。
また、短セルへの入射光量(Pa)と長セルへの入射光量(Pb)との入射光量比(Pa:Pb)を6:4とした。
上記実験例1において、長セルを遮光して短セルのみを選択的に用いたことの他は実験例1と同様にして、短セルのみを用いた場合における各濃度レンジの出力変化率を算出した。結果を下記表1に示す。
上記実験例1において、短セルを遮光して長セルのみを選択的に用いたことの他は実験例1と同様にして、長セルのみを用いた場合における各濃度レンジの出力変化率を算出した。結果を下記表1に示す。
これに対して、短セルおよび長セルのいずれか一方を選択的に用いて一の測定セルの透過光量を検出する比較実験例1および比較実験例2の両者を単に組み合わせた場合では、短セルの光路長に応じた適正濃度測定範囲と、長セルの光路長に応じた適正濃度測定範囲とが不連続となる中間濃度範囲(2〜10vol%)について、十分な光量変化(分解能)が得られないことが確認された。
従って、短セルおよび長セルのいずれか一方における検出出力を選択的に用いて検知対象ガスのガス濃度を測定する構成のものにおいては、本発明に係るガス検知器と同等の大きさの連続した濃度測定範囲を得るためには、中間濃度範囲を適正濃度測定範囲とする光路長を有する中間濃度用セルが必要であり、本発明によれば、測定セルの数が同一である構成のものと比較したとき、連続した濃度測定範囲を広く設定することができる。
例えば、本発明の光吸収型ガス検知器においては、検知対象ガスの種類、目的とする濃度測定範囲等に応じて、複数の測定セルのうちの一つを個別に使用して濃度測定を行う構成とすることもできる。例えば、図1に示す構成のものを例に挙げて説明すると、高濃度範囲のガス濃度測定においては、光路長の長い測定セル(長セル)12に対する赤外線光源20よりの赤外線を遮光し、一方、低濃度範囲のガス濃度測定においては、光路長の短い測定セル(短セル)11に対する赤外線光源20よりの赤外線を遮光し、短セル11の適正濃度測定範囲と長セル12の適正濃度測定範囲との間の中間濃度範囲のガス濃度測定においては、赤外線光源20よりの赤外線が短セル11および長セル12の個々の測定セルに入射させる、例えばシャッタ機構などを設けた構成とすればよい。
さらにまた、複数の測定セルの各々に対する光源よりの光の入射光量、入射光量比およびその他の条件は、検知対象ガスの種類、目的とする濃度測定範囲等に応じて適宜に調整することができる。
さらにまた、複数の測定セルの各々に対して光源および光検出器が設けられた構成とされていてもよい。例えば、図1に示す構成のものにおいて、短セル11を透過した赤外線の透過光量を検出する第1の光検出器と、長セル12を透過した赤外線の透過光量を検出する第2の光検出器とが用いられる場合には、第1の光検出器による検出出力値と、第2の光検出器による検出出力値が重畳されて、ガス濃度が算出される。
11 一方の測定セル(短セル)
11A 不感領域
12 他方の測定セル(長セル)
15 赤外線透過性部材
16 区画壁
17 仕切壁
20 赤外線光源
25 光検出器
Claims (3)
- 各々同一の被検査ガスが導入される、光路長の大きさが互いに異なる少なくとも2つの測定セルを具えてなり、
光源よりの光が個々の測定セルを透過して光検出器によって検出される総透過光量の、個々の測定セルに入射される光の総入射光量に対する光量変化に基づいて、被検査ガス中の検知対象ガスのガス濃度を測定する機能を有することを特徴とする光吸収型ガス検知器。 - 前記2つの測定セルの光路長比が5〜200であることを特徴とする請求項1に記載の光吸収型ガス検知器。
- 個々の測定セルに対して単一の光源より光が分光されて入射されると共に、個々の測定セルを透過した光が単一の光検出器によって検出されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光吸収型ガス検知器。
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