以下、本発明を具体化した実施形態による加速度センサについて図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態による加速度センサの構成を示す。加速度センサ1は、加速度を検出するセンサであり、センサチップ2と、電気回路を集積化したIC3とを備える。センサチップ2及びIC3は、パッケージ4に収納されて、回路基板5に実装されている。
図2(a)(b)は、センサチップ2の構成を示す。センサチップ2は、支持体21と、支持体21に対して変位自在に支持された変位体22とを備える。加速度センサ1は、支持体21に対する変位体22の相対的な回動変位に基いて加速度を検出するようになっている。
支持体21は、第1の固定電極31及び第2の固定電極32を有する。なお、支持体21は、変位体22が繋がっている中間体37と、中間体37の上部に接合された上部固定板38と、中間体37の下部に接合された下部固定板39とによって構成されており、中間体37に上部固定板38及び下部固定板39が固定的に接合されている。中間体37は、シリコンにより形成されており、上部固定板38及び下部固定板39は、ガラスにより形成されている。第1の固定電極31及び第2の固定電極32は、上部固定板38に設けられている。
変位体22は、2つのビーム部40を介して支持体21の中間体37に繋がっており、変位体22と支持体21の中間体37との間、変位体22と支持体21の上部固定板38との間、及び変位体22と支持体21の下部固定39との間に空間が形成されている。すなわち、変位体22は、支持体21の内部空間(中間体37、上部固定板38、及び下部固定板39により囲まれた空間)において、2つのビーム部40を軸として(2つのビーム部40を結ぶ線を軸として)、支持体21に対して回動変位自在になっている。なお、変位体22及び2つのビーム部40は、シリコンにより、支持体21の中間体37と一体的に形成されている。
変位体22は、第1の可動電極41及び第2の可動電極42を有する。第1の可動電極41は、2つのビーム部40を結ぶ線に交差する方向において、片方の位置にあり、第2の可動電極42は、2つのビーム部40を結ぶ線に交差する方向において、他方の位置にある。また、第1の可動電極41は、第1の固定電極31に対向する位置にあり、第2の可動電極42は、第2の固定電極32に対向する位置にある。従って、変位体22は、2つのビーム部40を結ぶ線を軸として、第1の可動電極41が第1の固定電極31に近づくと共に第2の可動電極42が第2の固定電極32から遠ざかる方向(第1の方向)、及び第1の可動電極41が第1の固定電極31から遠ざかると共に第2の可動電極42が第2の固定電極32に近づく方向(第2の方向)に回動変位自在になっている。
また、変位体22は、慣性質量部49を有する。質量慣性部49は、2つのビーム部40を結ぶ線に交差する方向において、片方の位置にある。すなわち、変位体22は、2つのビーム部40を結ぶ線に交差する方向において、質量分布が非対称になっている。従って、変位体22は、支持体21が加速度運動をすると、自身の慣性によって支持体21に対して相対的に回動変位し、支持体21が加速度運動をしたときの加速度の方向によって、第1の可動電極41が第1の固定電極31に近づくと共に第2の可動電極42が第2の固定電極32から遠ざかる方向、又は、第1の可動電極41が第1の固定電極31から遠ざかると共に第2の可動電極42が第2の固定電極32に近づく方向の、いずれかの方向に回動変位する。
支持体21に対して変位体22が相対的に回動変位すると、その変位(回動方向及び回動角度)に応じて、第1の固定電極31と第1の可動電極41との距離、及び第2の固定電極32と第2の可動電極42との距離が変化し、第1の固定電極31と第1の可動電極41との静電容量、及び第2の固定電極32と第2の可動電極42との静電容量が変化する。
図3は、加速度センサ1の電気的ブロック構成を示す。IC3は、支持体21に対する変位体22の相対的な変位を検出する検出部(検出手段)51と、変位体22が支持体21に対して正常に変位するか否かを自己診断するための自己診断処理部(自己診断手段)52とを備える。
検出部51は、静電容量測定部61、62と、容量差算出部63とを有している。静電容量測定部61は、第1の固定電極31と第1の可動電極41との静電容量C1を測定し、静電容量測定部62は、第2の固定電極32と第2の可動電極42との静電容量C2を測定する。容量差算出部63は、静電容量測定部61により測定された静電容量C1と静電容量測定部62により測定された静電容量C2との静電容量差C1−C2を算出する。
静電容量C1及び静電容量C2は、支持体21に対する変位体22の相対的な変位(回動方向及び回動角度)に応じて変化することから、静電容量C1と静電容量C2との静電容量差C1−C2は、支持体21に対する変位体22の相対的な変位に対応する。
すなわち、検出部51は、第1の固定電極31と第1の可動電極41との静電容量C1、及び第2の固定電極32と第2の可動電極42との静電容量C2に基いて、支持体21に対する変位体22の相対的な変位を検出し、静電容量C1と静電容量C2との静電容量差C1−C2を支持体21に対する変位体22の相対的な変位として検出する。
支持体21に対する変位体22の相対的な変位は、支持体21が加速度運動をしたときの加速度に応じて変化することから、静電容量C1と静電容量C2との静電容量差C1−C2は、支持体21が加速度運動をしたときの加速度に対応する。検出部51により検出された静電容量C1と静電容量C2との静電容量差C1−C2は、加速度の検出出力Voutとして、IC3の検出出力端子11から出力(不図示の外部機器に出力)される。すなわち、加速度センサ1は、支持体21に対する変位体22の相対的な変位に基いて、静電容量C1と静電容量C2との静電容量差C1−C2を、加速度の検出出力VoutとしてIC3の検出出力端子11から出力する。
自己診断処理部52は、自己診断処理を行う。自己診断処理とは、変位体22が支持体21に対して正常に変位するか否かを自己診断するために、変位体22を強制的に変位させて、擬似的に加速度の検出出力Vout(C1−C2)を出力させる処理である。すなわち、自己診断処理部52は、変位体22が支持体21に対して正常に変位するか否かを自己診断するために、変位体22を強制的に変位させることにより自己診断処理を行う。
自己診断処理部52は、自己診断処理において、第1の固定電極31と第1の可動電極41との間、及び第2の固定電極32と第2の可動電極42との間に電圧を印加することにより、第1の固定電極31と第1の可動電極41との間、及び第2の固定電極32と第2の可動電極42との間に静電気力を発生させて、その静電気力によって変位体22を変位させる。
自己診断処理部52は、自己診断を行わせるための信号である自己診断信号STinがIC3の自己診断信号入力端子12から入力(不図示の外部機器から入力)されると、自己診断処理を行う。自己診断処理部52は、自己診断処理において、第1の固定電極31と第1の可動電極41との間に電圧を印加するフェーズ、及び第2の固定電極32と第2の可動電極42との間に電圧を印加するフェーズの複数のフェーズを有しており、自己診断信号入力端子12から自己診断信号STinが入力されると、自己診断処理を開始して、自己診断処理におけるフェーズを自動的に移行させる。
図4(a)(b)は、加速度センサ1の自己診断処理部52による自己診断処理の動作を示す。外部機器からは、自己診断信号STinとして、所定の周期でON/OFFを2回繰り返す信号が入力される。
自己診断処理部52は、自己診断信号STinが入力されると、自己診断処理を開始して、自己診断処理におけるフェーズを、入力された自己診断信号STinの信号波形に同期して自動的に移行させる。すなわち、自己診断処理部52は、自己診断信号STinの1回目の立上りに同期して、自己診断処理におけるフェーズをフェーズ1にし、自己診断信号STinの2回目の立上りに同期して、自己診断処理におけるフェーズをフェーズ2にする。また、自己診断処理部52は、自己診断信号STinが2回目に立下ってから所定時間経過すると、自動的に自己診断処理を終了する。
フェーズ1においては、自己診断処理部52は、自己診断信号STinの1回目の立上りに同期して、第1の固定電極31と第1の可動電極41との間に電圧を印加するのを開始し、そして、自己診断信号STinの1回目の立下りに同期して、第1の固定電極31と第1の可動電極41との間に電圧を印加するのを終了する。
また、フェーズ2においては、自己診断処理部52は、自己診断信号STinの2回目の立上りに同期して、第2の固定電極32と第2の可動電極42との間に電圧を印加するのを開始し、そして、自己診断信号STinの2回目の立下りに同期して、第2の固定電極32と第2の可動電極42との間に電圧を印加するのを終了する。
このような自己診断処理によれば、フェーズ1において第1の固定電極31と第1の可動電極41との間に電圧を印加している間、第1の固定電極31と第1の可動電極41との間に発生する静電気力によって、変位体22が支持体21に対して第1の方向(第1の可動電極41が第1の固定電極31に近づくと共に第2の可動電極42が第2の固定電極32から遠ざかる方向)に変位することになる。また、フェーズ2において第2の固定電極32と第2の可動電極42との間に電圧を印加している間、第2の固定電極32と第2の可動電極42との間に発生する静電気力によって、変位体22が支持体21に対して第2の方向(第1の可動電極41が第1の固定電極31から遠ざかると共に第2の可動電極42が第2の固定電極32に近づく方向)に変位することになる。
フェーズ1において、変位体22が支持体21に対して第1の方向に正常に変位すれば、第1の固定電極31と第1の可動電極41との静電容量C1、及び第2の固定電極32と第2の可動電極42との静電容量C2の変化量が規定値に達し、検出出力Voutが規定値Vth+に達する。一方、フェーズ1において、変位体22が支持体21に対して第1の方向に正常に変位しなければ(異物などにより、変位体22の第1の方向への変位が阻害されていれば)、第1の固定電極31と第1の可動電極41との静電容量C1、及び第2の固定電極32と第2の可動電極42との静電容量C2の変化量が規定値に達せず、検出出力Voutが規定値Vth+に達しない。
また、フェーズ2において、変位体22が支持体21に対して第2の方向に正常に変位すれば、第1の固定電極31と第1の可動電極41との静電容量C1、及び第2の固定電極32と第2の可動電極42との静電容量C2の変化量が規定値に達し、検出出力Voutが規定値Vth−に達する。一方、フェーズ2において、変位体22が支持体21に対して第1の方向に正常に変位しなければ(異物などにより、変位体22の第2の方向への変位が阻害されていれば)、第1の固定電極31と第1の可動電極41との静電容量C1、及び第2の固定電極32と第2の可動電極42との静電容量C2の変化量が規定値に達せず、検出出力Voutが規定値Vth−に達しない。
従って、自己診断処理を行っているときの検出出力Voutが規定値Vth+、Vth−に達するか否かを判定することにより、変位体22が支持体21に対して正常に変位するか否かを診断することができる。なお、図4(b)では、変位体22が支持体21に対して正常に変位した場合を示している。
本実施形態では、不図示の外部機器により、IC3の検出出力端子11から出力される検出出力Voutが規定値Vth+、Vth−に達するか否かを判定することによって、変位体22が支持体21に対して正常に変位するか否かが診断される。
本実施形態の加速度センサ1によれば、自己診断信号入力端子12から加速度センサ1に自己診断信号STinを入力すると、自己診断処理が行われ、そして、自己診断処理におけるフェーズが、自己診断信号STinの信号波形に同期して自動的に移行して、第1の固定電極31と第1の可動電極41との間、及び第2の固定電極32と第2の可動電極42との間に電圧が印加される。従って、自己診断処理を行わせるために加速度センサ1に入力する自己診断信号STinとして、第1の固定電極31と第1の可動電極41との間と、第2の固定電極32と第2の可動電極42との間の、どちらに電圧を印加するのかを示す信号を入力する必要がなく、自己診断処理を行わせるために加速度センサ1に入力する自己診断信号STinを簡潔にすることができる。
しかも、自己診断処理を行わせるために加速度センサ1に入力する自己診断信号STinとして、所定の周期でON/OFFを2回繰り返す信号(すなわち、自己診断処理におけるフェーズ数だけON/OFFする波形の信号)を採用しているため、自己診断処理を行わせるために加速度センサ1に入力する自己診断信号STinをより簡潔にすることができる。
<第2の実施形態>
図5(a)(b)(c)は、第2の実施形態による加速度センサのセンサチップの構成を示す。本実施形態の加速度センサでは、センサチップ2は、変位体22を複数(2つ)備え、支持体21は、複数の変位体22に対応して、第1の固定電極31及び第2の固定電極32を複数(2つ)有する。
各変位体22(22a、22b)は、上記第1の実施形態と同様に、2つのビーム部40を介して支持体21(支持体21の中間体37)に繋がっている。変位体22aを支持体21に繋ぐ2つのビーム部40を結ぶ線と、変位体22bを支持体21に繋ぐ2つのビーム部40を結ぶ線は、互いに平行で、一直線になっている。
また、各変位体22(22a、22b)は、上記第1の実施形態と同様の構成である。各変位体22(22a、22b)の第1の可動電極41は、対応する第1の固定電極31に対向する位置にあり、各変位体22(22a、22b)の第2の可動電極42は、対応する第2の固定電極32に対向する位置にある。但し、各変位体22(22a、22b)の慣性質量部49は、2つのビーム部40を結ぶ線に対して、互いに逆側の位置にある。
各変位体22(22a、22b)は、上記実施形態と同様に、支持体21が加速度運動をすると、自身の慣性によって支持体21に対して相対的に回動変位し、支持体21が加速度運動をしたときの加速度の方向によって、第1の可動電極41が第1の固定電極31に近づくと共に第2の可動電極42が第2の固定電極32から遠ざかる方向(第1の方向)、又は、第1の可動電極41が第1の固定電極31から遠ざかると共に第2の可動電極42が第2の固定電極32に近づく方向(第2の方向)の、いずれかの方向に回動変位する。
このとき、各変位体22(22a、22b)は、慣性質量部49が2つのビーム部40を結ぶ線に対して互いに逆側の位置にあるため、支持体21が加速度運動をしたときの加速度の方向によって、互いに異なる態様(異なる方向、又は、同じ方向であっても異なる角度)で回動変位する。本実施形態の加速度センサでは、支持体21に対する各変位体22(22a、22b)の相対的な回動変位に基いて、2軸方向の加速度を検出することができる。
図6は、本実施形態の加速度センサの電気的ブロック構成を示す。本実施形態の加速度センサ1では、IC3は、複数(2つ)の変位体22(22a、22b)に対応して、検出部51を複数(2つ)備える。
各検出部51(51a、51b)は、上記第1の実施形態の構成と同様である。検出部51aは、変位体22aに対応する第1の固定電極31と変位体22aの第1の可動電極41との静電容量C1、及び変位体22aに対応する第2の固定電極32と変位体22aの第2の可動電極42との静電容量C2に基いて、支持体21に対する変位体22aの相対的な変位を検出し、静電容量C1と静電容量C2との静電容量差C1−C2を支持体21に対する変位体22aの相対的な変位として検出する。検出部51bは、変位体22bに対応する第1の固定電極31と変位体22bの第1の可動電極41との静電容量C3、及び変位体22bに対応する第2の固定電極32と変位体22bの第2の可動電極42との静電容量C4に基いて、支持体21に対する変位体22bの相対的な変位を検出し、静電容量C3と静電容量C4との静電容量差C3−C4を支持体21に対する変位体22bの相対的な変位として検出する。
支持体21に対する変位体22aの相対的な変位、及び支持体21に対する変位体22bの相対的な変位は、各々、支持体21が加速度運動をしたときの加速度に応じて変化することから、静電容量C1と静電容量C2との静電容量差C1−C2、及び静電容量C3と静電容量C4との静電容量差C3−C4は、各々、支持体21が加速度運動をしたときの加速度に対応する。検出部51aにより検出された静電容量C1と静電容量C2との静電容量差C1−C2、及び検出部51bにより検出された静電容量C3と静電容量C4との静電容量差C3−C4は、各々、加速度の検出出力Vout1、Vout2として、IC3の検出出力端子11a、11bから出力(不図示の外部機器に出力)される。すなわち、加速度センサ1は、支持体21に対する変位体22aの相対的な変位、及び支持体21に対する変位体22bの相対的な変位に基いて、静電容量C1と静電容量C2との静電容量差C1−C2、及び静電容量C3と静電容量C4との静電容量差C3−C4を、加速度の検出出力Vout1、Vout2としてICの検出出力端子11a、11bから出力する。
自己診断処理部52は、自己診断処理を複数の変位体22(22a、22b)の各々に対して行う。すなわち、自己診断処理部52は、自己診断処理において、変位体各22a、22bが支持体21に対して正常に変位するか否かを自己診断するために、各変位体22a、22bを強制的に変位させて、擬似的に加速度の検出出力Vout(C1−C2)、Vout2(C3−C4)を出力させる。
自己診断処理部52は、複数の変位体22の各々に対する自己診断処理において、第1の固定電極31と第1の可動電極41との間、及び第2の固定電極32と第2の可動電極42との間に電圧を印加することにより、第1の固定電極31と第1の可動電極41との間、及び第2の固定電極32と第2の可動電極42との間に静電気力を発生させて、その静電気力によって変位体22を変位させる。
また、自己診断処理部52は、複数の変位体22の各々に対する自己診断処理において、第1の固定電極31と第1の可動電極41との間に電圧を印加するフェーズ、及び第2の固定電極32と第2の可動電極42との間に電圧を印加するフェーズの複数のフェーズを有しており、自己診断信号入力端子12から自己診断信号STinが入力されると、自己診断処理を開始して、自己診断処理におけるフェーズを自動的に移行させる。
図7(a)(b)は、本実施形態の加速度センサ1の自己診断処理部52による自己診断処理の動作を示す。本実施形態では、上記第1の実施形態と同様に、外部機器からは、自己診断信号STinとして、所定の周期でON/OFFを2回繰り返す信号が入力される。
また、本実施形態では、上記第1の実施形態と同様に、自己診断処理部52は、自己診断信号STinが入力されると、自己診断処理を開始して、自己診断処理におけるフェーズを、入力された自己診断信号STinの信号波形に同期して自動的に移行させる。すなわち、自己診断処理部52は、自己診断信号STinの1回目の立上りに同期して、自己診断処理におけるフェーズをフェーズ1にし、自己診断信号STinの2回目の立上りに同期して、自己診断処理におけるフェーズをフェーズ2にする。また、自己診断処理部52は、自己診断信号STinが2回目に立下ってから所定時間経過すると、自動的に自己診断処理を終了する。
但し、本実施形態では、フェーズ1においては、自己診断処理部52は、自己診断信号STinの1回目の立上りに同期して、変位体22aに対応する第1の固定電極31と変位体22aの第1の可動電極41との間に電圧を印加するのを開始すると共に、変位体22bに対応する第2の固定電極32と変位体22bの第2の可動電極42との間に電圧を印加するのを開始し、そして、自己診断信号STinの1回目の立下りに同期して、変位体22aに対応する第1の固定電極31と変位体22aの第1の可動電極41との間に電圧を印加するのを終了すると共に、変位体22bに対応する第2の固定電極32と変位体22bの第2の可動電極42との間に電圧を印加するのを終了する。
また、フェーズ2においては、自己診断処理部52は、自己診断信号STinの2回目の立上りに同期して、変位体22aに対応する第2の固定電極32と変位体22aの第2の可動電極42との間に電圧を印加するのを開始すると共に、変位体22bに対応する第1の固定電極31と変位体22bの第1の可動電極41との間に電圧を印加するのを開始し、そして、自己診断信号STinの2回目の立下りに同期して、変位体22aに対応する第2の固定電極32と変位体22aの第2の可動電極42との間に電圧を印加するのを終了すると共に、変位体22bに対応する第1の固定電極31と変位体22bの第1の可動電極41との間に電圧を印加するのを終了する。
このような自己診断処理によれば、フェーズ1において変位体22aに対応する第1の固定電極31と変位体22aの第1の可動電極41との間に電圧を印加している間、静電気力によって、変位体22aが支持体21に対して第1の方向(第1の可動電極41が第1の固定電極31に近づくと共に第2の可動電極42が第2の固定電極32から遠ざかる方向)に変位することになる。また、フェーズ1において変位体22bに対応する第2の固定電極32と変位体22bの第2の可動電極42との間に電圧を印加している間、静電気力によって、変位体22bが支持体21に対して第2の方向(第1の可動電極41が第1の固定電極31から遠ざかると共に第2の可動電極42が第2の固定電極32に近づく方向)に変位することになる。また、フェーズ2において変位体22aに対応する第2の固定電極32と変位体22aの第2の可動電極42との間に電圧を印加している間、静電気力によって、変位体22aが支持体21に対して第2の方向(第1の可動電極41が第1の固定電極31から遠ざかると共に第2の可動電極42が第2の固定電極32に近づく方向)に変位することになる。また、フェーズ2において変位体22bに対応する第1の固定電極31と変位体22bの第1の可動電極41との間に電圧を印加している間、静電気力によって、変位体22bが支持体21に対して第1の方向(第1の可動電極41が第1の固定電極31に近づくと共に第2の可動電極42が第2の固定電極32から遠ざかる方向)に変位することになる。
従って、自己診断処理を行っているときの検出出力Vout1が規定値Vth+、Vth−に達するか否かを判定することにより、変位体22aが支持体21に対して正常に変位するか否かを診断することができ、また、自己診断処理を行っているときの検出出力Vout2が規定値Vth+、Vth−に達するか否かを判定することにより、変位体22bが支持体21に対して正常に変位するか否かを診断することができる。なお、図7(b)では、各変位体22a、22bが支持体21に対して正常に変位した場合を示している。
本実施形態では、不図示の外部機器により、IC3の検出出力端子11a、11bから出力される検出出力Vout1、Vout2が規定値Vth+、Vth−に達するか否かを判定することによって、各変位体22a、22bが支持体21に対して正常に変位するか否かが診断される。
本実施形態の加速度センサ1によれば、自己診断信号入力端子12から加速度センサ1に自己診断信号STinを入力すると、自己診断処理が行われ、そして、自己診断処理におけるフェーズが、自己診断信号STinの信号波形に同期して自動的に移行して、各変位体22a、22bに対応する第1の固定電極31と各変位体22a、22bの第1の可動電極41との間、及び各変位体22a、22bに対応する第2の固定電極32と各変位体22a、22bの第2の可動電極42との間に電圧が印加される。従って、複数の変位体22a、22bを備える構成において、いずれの固定電極と可動電極との間に電圧を印加するのかを示す信号を入力する必要がなく、自己診断処理を行わせるために加速度センサ1に入力する自己診断信号STinを簡潔にすることができる。
また、上記第1の実施形態と同様に、自己診断処理を行わせるために加速度センサ1に入力する自己診断信号STinとして、所定の周期でON/OFFを2回繰り返す信号(すなわち、自己診断処理におけるフェーズ数だけON/OFFする波形の信号)を採用しているため、自己診断処理を行わせるために加速度センサ1に入力する自己診断信号STinをより簡潔にすることができる。
<第3の実施形態>
図8は、第3の実施形態による加速度センサの電気的ブロック構成を示す。本実施形態の加速度センサ1では、IC3は、上記第2の実施形態の構成に加え、診断判定部71をさらに備えており、また、自己診断処理部52による自己診断処理の動作が上記第2の実施形態と異なっている。本実施形態における他の構成については、上記第2の実施形態と同様である。
診断判定部71は、検出出力Vout1に基いて、変位体22aが支持体21に対して正常に変位するか否かを診断すると共に、検出出力Vout2に基いて、変位体22bが支持体21に対して正常に変位するか否かを診断し、その診断結果を示す診断結果信号TRoutを出力する。診断判定部71から出力された診断結果信号TRoutは、IC3の診断結果出力端子13から出力(不図示の外部機器に出力)される。
図9(a)(b)は、本実施形態の加速度センサ1の自己診断処理部52による自己診断処理の動作を示す。本実施形態では、上記第2の実施形態と異なり、外部機器からは、自己診断信号STinとして、一瞬だけONとなるパルス信号が入力される。
また、本実施形態では、上記第2の実施形態と異なり、自己診断処理部52は、自己診断信号STinが入力されると、自己診断処理を開始して、自己診断処理におけるフェーズを、自己診断信号STinが入力された時点からの時間経過に応じて自動的に移行させる。すなわち、自己診断処理部52は、自己診断信号STinが入力されると、自己診断処理におけるフェーズをフェーズ1にし、その後、所定時間経過する毎に、自己診断処理におけるフェーズをフェーズ2、フェーズ3、フェーズ4にする。また、自己診断処理部52は、フェーズ4に移行してから所定時間経過すると、自動的に自己診断処理を終了する。
フェーズ1においては、自己診断処理部52は、フェーズ1が始まった時点で、変位体22aに対応する第1の固定電極31と変位体22aの第1の可動電極41との間に電圧を印加するのを開始し、そして、フェーズ1が終わる前に、変位体22aに対応する第1の固定電極31と変位体22aの第1の可動電極41との間に電圧を印加するのを終了する。
また、フェーズ2においては、自己診断処理部52は、フェーズ2が始まった時点で、変位体22bに対応する第1の固定電極31と変位体22bの第1の可動電極41との間に電圧を印加するのを開始し、そして、フェーズ2が終わる前に、変位体22bに対応する第1の固定電極31と変位体22bの第1の可動電極41との間に電圧を印加するのを終了する。
また、フェーズ3においては、自己診断処理部52は、フェーズ3が始まった時点で、変位体22aに対応する第2の固定電極32と変位体22aの第2の可動電極42との間に電圧を印加するのを開始し、そして、フェーズ3が終わる前に、変位体22aに対応する第2の固定電極32と変位体22aの第2の可動電極42との間に電圧を印加するのを終了する。
また、フェーズ4においては、自己診断処理部52は、フェーズ4が始まった時点で、変位体22bに対応する第2の固定電極32と変位体22bの第2の可動電極42との間に電圧を印加するのを開始し、そして、フェーズ4が終わる前に、変位体22bに対応する第2の固定電極32と変位体22bの第2の可動電極42との間に電圧を印加するのを終了する。
このような自己診断処理によれば、フェーズ1において変位体22aに対応する第1の固定電極31と変位体22aの第1の可動電極41との間に電圧を印加している間、静電気力によって、変位体22aが支持体21に対して第1の方向に変位することになる。また、フェーズ2において変位体22bに対応する第1の固定電極31と変位体22bの第1の可動電極41との間に電圧を印加している間、静電気力によって、変位体22bが支持体21に対して第1の方向に変位することになる。また、フェーズ3において変位体22aに対応する第2の固定電極32と変位体22aの第2の可動電極42との間に電圧を印加している間、静電気力によって、変位体22aが支持体21に対して第2の方向に変位することになる。また、フェーズ4において変位体22bに対応する第2の固定電極32と変位体22bの第2の可動電極42との間に電圧を印加している間、静電気力によって、変位体22bが支持体21に対して第2の方向に変位することになる。
従って、上記第2の実施形態と同様に、自己診断処理を行っているときの検出出力Vout1、Vout2が規定値Vth+、Vth−に達するか否かを判定することにより、各変位体22a、22bが支持体21に対して正常に変位するか否かを診断することができる。なお、図9(b)では、各変位体22a、22bが支持体21に対して正常に変位した場合を示している。
本実施形態では、診断判定部71により、検出出力Vout1、Vout2が規定値Vth+、Vth−に達するか否かを判定することによって、各変位体22a、22bが支持体21に対して正常に変位するか否かが診断される。
本実施形態の加速度センサ1によれば、自己診断信号入力端子12から加速度センサ1に自己診断信号STinを入力すると、自己診断処理が行われ、そして、自己診断処理におけるフェーズが、自己診断信号入力端子12から自己診断信号STinが入力された時点からの時間経過に応じて自動的に移行して、各変位体22a、22bに対応する第1の固定電極31と各変位体22a、22bの第1の可動電極41との間、及び各変位体22a、22bに対応する第2の固定電極32と各変位体22a、22bの第2の可動電極42との間に電圧が印加される。従って、複数の変位体22a、22bを備える構成において、いずれの固定電極と可動電極との間に電圧を印加するのかを示す信号を入力する必要がなく、自己診断処理を行わせるために加速度センサ1に入力する自己診断信号STinを簡潔にすることができる。
しかも、自己診断処理を行わせるために加速度センサ1に入力する自己診断信号STinとして、一瞬だけONとなるパルス信号(すなわち、自己診断処理を開始させるためだけの信号)を採用しているため、自己診断処理を行わせるために加速度センサ1に入力する自己診断信号STinをより簡潔にすることができる。
<第4の実施形態>
図10は、第4の実施形態による加速度センサの電気的ブロック構成を示す。本実施形態の加速度センサ1では、自己診断処理部52の構成、及び自己診断処理部52による自己診断処理の動作が上記第3の実施形態と異なっている。本実施形態における他の構成については、上記第3の実施形態と同様である。
本実施形態では、自己診断処理部52は、自己診断処理を行うことに加え、自己診断処理を行っている間、自己診断処理を行っていることを示すインジケータ信号INDoutを出力する。自己診断処理部52から出力されたインジケータ信号INDoutは、IC3のインジケータ端子14から出力(不図示の外部機器に出力)される。
図11(a)(b)は、本実施形態の加速度センサ1の自己診断処理部52による自己診断処理の動作を示す。本実施形態では、上記第3の実施形態と異なり、外部機器からは、自己診断信号STinとして、ON状態が続く信号が入力される。
また、本実施形態では、上記第3の実施形態と異なり、自己診断処理部52は、自己診断信号STinが入力されると、自己診断処理を開始し、そして、自己診断信号STinが入力され続けていれば(自己診断信号入力端子12から入力される信号がON状態を持続していれば)、自己診断処理におけるフェーズを、自己診断信号STinが入力された時点からの時間経過に応じて自動的に移行させる。すなわち、自己診断処理部52は、自己診断信号STinが入力されると、自己診断処理におけるフェーズをフェーズ1にし、その後、自己診断信号STinが入力され続けていれば、所定時間経過する毎に、自己診断処理におけるフェーズをフェーズ2、フェーズ3、フェーズ4にする。また、自己診断処理部52は、フェーズ4に移行してから所定時間経過すると、自動的に自己診断処理を終了する。また、自己診断処理部52は、自己診断処理を行っている間、自己診断処理を行っていることを示すインジケータ信号INDoutを出力する。
フェーズ1においては、自己診断処理部52は、上記第3の実施形態と同様に、フェーズ1が始まった時点で、変位体22aに対応する第1の固定電極31と変位体22aの第1の可動電極41との間に電圧を印加するのを開始し、そして、フェーズ1が終わる前に、変位体22aに対応する第1の固定電極31と変位体22aの第1の可動電極41との間に電圧を印加するのを終了する。
また、フェーズ2においては、自己診断処理部52は、上記第3の実施形態と同様に、フェーズ2が始まった時点で、変位体22bに対応する第1の固定電極31と変位体22bの第1の可動電極41との間に電圧を印加するのを開始し、そして、フェーズ2が終わる前に、変位体22bに対応する第1の固定電極31と変位体22bの第1の可動電極41との間に電圧を印加するのを終了する。
また、フェーズ3においては、自己診断処理部52は、上記第3の実施形態と同様に、フェーズ3が始まった時点で、変位体22aに対応する第2の固定電極32と変位体22aの第2の可動電極42との間に電圧を印加するのを開始し、そして、フェーズ3が終わる前に、変位体22aに対応する第2の固定電極32と変位体22aの第2の可動電極42との間に電圧を印加するのを終了する。
また、フェーズ4においては、自己診断処理部52は、上記第3の実施形態と同様に、フェーズ4が始まった時点で、変位体22bに対応する第2の固定電極32と変位体22bの第2の可動電極42との間に電圧を印加するのを開始し、そして、フェーズ4が終わる前に、変位体22bに対応する第2の固定電極32と変位体22bの第2の可動電極42との間に電圧を印加するのを終了する。
このような自己診断処理によれば、上記第3の実施形態と同様に、静電気力によって、各変位体22a、22bが支持体21に対して変位することになる。従って、上記第3の実施形態と同様に、自己診断処理を行っているときの検出出力Vout1、Vout2が規定値Vth+、Vth−に達するか否かを判定することにより、各変位体22a、22bが支持体21に対して正常に変位するか否かを診断することができる。なお、図11(b)では、各変位体22a、22bが支持体21に対して正常に変位した場合を示している。
本実施形態では、上記第3の実施形態と同様に、診断判定部71により、検出出力Vout1、Vout2が規定値Vth+、Vth−に達するか否かを判定することによって、各変位体22a、22bが支持体21に対して正常に変位するか否かが診断される。
本実施形態の加速度センサ1によれば、上記第3の実施形態と同様に、自己診断処理におけるフェーズが、自己診断信号入力端子12から自己診断信号STinが入力された時点からの時間経過に応じて自動的に移行して、各変位体22a、22bに対応する第1の固定電極31と各変位体22a、22bの第1の可動電極41との間、及び各変位体22a、22bに対応する第2の固定電極32と各変位体22a、22bの第2の可動電極42との間に電圧が印加される。従って、上記第3の実施形態と同様に、複数の変位体22a、22bを備える構成において、自己診断処理を行わせるために加速度センサ1に入力する自己診断信号STinを簡潔にすることができる。
しかも、自己診断処理を行わせるために加速度センサ1に入力する自己診断信号STinとして、ON状態が続く信号(すなわち、自己診断処理を開始させるためだけの信号)を採用しているため、自己診断処理を行わせるために加速度センサ1に入力する自己診断信号STinをより簡潔にすることができる。
また、自己診断処理を行っている間、自己診断処理を行っていることを示すインジケータ信号INDoutが出力されるため、そのインジケータ信号INDoutによって、自己診断処理中であることを判断することができる。これにより、自己診断処理を行っているときに出力される検出出力Vout1、Vout2を、実際の加速度検出によるものと誤判断してしまうことを防ぐことができる。
なお、本発明は、上記各実施形態の構成に限られず、種々の変形が可能である。例えば、変位体が支持体に対して正常に変位しない状態として、変位体のビーム部が破損している場合に、変位体の第1の方向への変位量及び第2の方向への変位量が大きくなりすぎることも想定されるため、自己診断処理を行っているときの検出出力Vout(Vout1、Vout2)が、上記実施形態における規定値Vth+、Vth−とは別の規定値(上記実施形態における規定値Vth+、Vth−よりも絶対値が大きい規定値)を超えるか否かを判定することによって、変位体が支持体に対して正常に変位するか否かを診断するようにしてもよい。また、変位体は、3つ以上あってもよい。また、可動電極は、変位体の上側と下側にあってもよい。また、上記第1及び第2の実施形態において、加速度センサは、変位体が支持体に対して正常に変位するか否かを診断して、その診断結果を示す診断結果信号を出力する診断判定部を備えていてもよい。また、上記第1乃至第3の実施形態において、自己診断処理部は、自己診断処理を行っている間、自己診断処理を行っていることを示すインジケータ信号を出力する構成であってもよい。