JP2011092056A - 遺伝子転写制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】微生物において標的遺伝子の転写を促進する方法であって、LiaR及びLiaSをコードする遺伝子又はこれらに相当する遺伝子、ならびにliaIHプロモーターDNA又はこれに相当するDNAを有する微生物において、該liaIHプロモーターDNA又はこれに相当するDNAの下流に該標的遺伝子を作動可能に連結させる工程、ならびに該微生物に細胞壁ストレスを負荷して該LiaR及びLiaSをコードする遺伝子又はこれらに相当する遺伝子の発現を活性化させる工程を含む、方法。
【選択図】なし
Description
(1)微生物において標的遺伝子の転写を促進する方法であって、LiaR及びLiaSをコードする遺伝子又はこれらに相当する遺伝子、ならびにliaIHプロモーターDNA又はこれに相当するDNAを有する微生物において、該liaIHプロモーターDNA又はこれに相当するDNAの下流に該標的遺伝子を作動可能に連結させる工程、ならびに該微生物に細胞壁ストレスを負荷して該LiaR及びLiaSをコードする遺伝子又はこれらに相当する遺伝子の発現を活性化させる工程を含む、方法。
(2)細胞壁ストレスが抗生物質である、(1)記載の方法。
(3)抗生物質がenduracidinである、(2)記載の方法。
(4)微生物がバチルス属細菌である、(1)〜(3)のいずれか1に記載の方法。
(5)バチルス属細菌が枯草菌又はその変異株である、(4)に記載の方法。
(6)標的遺伝子が異種タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子である、(1)〜(5)のいずれか1に記載の方法。
(7)LiaR及びLiaSをコードする遺伝子又はこれらに相当する遺伝子、ならびにliaIHプロモーターDNA又はこれに相当するDNAを有し、且つ該liaIHプロモーターDNA又はこれに相当するDNAの下流に目的遺伝子産物をコードする遺伝子が作動可能に連結されている組換え微生物。
(8)前記liaIHプロモーターDNA又はこれに相当するDNAと前記目的遺伝子産物をコードする遺伝子とが組み込まれた発現ベクターを有する(7)記載の組換え微生物。
(9)前記liaIHプロモーターDNA又はこれに相当するDNAと前記目的遺伝子産物をコードする遺伝子とがゲノムに組み込まれている(7)記載の組換え微生物。
(10)微生物がバチルス属細菌である、(7)〜(9)のいずれか1に記載の組換え微生物。
(11)バチルス属細菌が枯草菌又はその変異株である、(10)に記載の組換え微生物。
(12)(7)〜(11)のいずれか1に記載の組換え微生物に細胞壁ストレスを負荷する工程を特徴とする、目的遺伝子産物の生産方法。
(13)細胞壁ストレスが抗生物質である、(12)記載の方法。
(14)抗生物質がenduracidinである、(13)記載の方法。
(1)pMutin12His−liaR
枯草菌168株のゲノムDNAをテンプレートとしてプライマー37と38(配列番号37及び38)によって増幅したliaIの3’末端領域のPCR断片を、SalI、XhoIにより消化し、DNA断片を得た。このDNA断片をpMutin12His(Ishikawa et al., Mol. Microbiol., 2006, 60(6):1364-80)のSalI、XhoI部位にクローニングすることによって、pMutin12His−liaR(図3参照)を作製した。得られたクローンについてはシークエンシングによって挿入塩基配列の確認を行った。
枯草菌168株のゲノムDNAをテンプレートとしてプライマー39と40(配列番号39及び40)によって増幅したPliaI (-120 to +84)のPCR断片を、EcoRI、BamHIにより消化し、DNA断片を得た。このDNA断片をpDL2(Fukuchi et al., Microbiology, 2000, 146(Pt 7):1573-83)のEcoRI、BamHI切断部位にクローニングすることによって、pDL2−liaI (-120 to +84)(図4参照)を作製した。得られたクローンについてはシークエンシングによって挿入塩基配列の確認を行った。
枯草菌168株のゲノムDNAをテンプレートとしてプライマー41と42(配列番号41及び42)によって増幅したliaHのPCR断片を、SpeI、BamHIにより消化し、DNA断片を得た。このDNA断片をpX(Kim et al., Gene, 1996, 181:71-76)のSpeI、BamHI切断部位にクローニングすることによって、pX−liaH(図5参照)を作製した。得られたクローンについてはシークエンシングによって挿入塩基配列の確認を行った。
枯草菌168株のゲノムDNAをテンプレートとしてプライマー43と44(配列番号43及び44)によって増幅したPCR断片を、pDONR201(Invitrogen)にBPリアクションによる組み替えによって挿入した。構築されたプラスミドを大腸菌DH5a株に導入し、導入株をKm耐性マーカーにより選択し、選択株からpDONR−liaH(図6参照)を得た。得られたクローンについてはシークエンシングによって挿入塩基配列の確認を行った。
pAPNC213(Morimoto et al., Microbiology, 2002, 148(Pt 11):3539-52)のマルチクローニングサイトに、gateway cloning system(Invitorogen)をGatewayベクターコンバージョンシステム(Invitrogen)によって導入し、pAPNCGW(図6参照)を作製した。このpAPNCGWと上記pDONR−liaHとの間で、LRリアクションによる組み換え反応を行い、得られたプラスミドを大腸菌DH5a株に導入した。導入株をAmp耐性マーカーにより選択し、選択株からpAPNCGW−liaH(図6参照)を得た。得られたクローンについてはPCRにより目的配列の挿入を確認した。
枯草菌168株のゲノムDNAをテンプレートとしてプライマー49と50(配列番号49及び50)によって増幅したliaIコーディング領域のPCR断片を、EcoRI、SalIにより消化し、得られたDNA断片をpGEX−4T−1(Amarsham)のEcoRI、SalI部位にクローニングすることによって、pGEX−liaR(図7参照)を作製した。得られたクローンについてはシークエンシングによって挿入塩基配列の確認を行った。
(1)BAB1〜BAB6:liaIHGFSR各ノーマーカー削除株
ノーマーカー削除法(特願2009−044193)に従って、下記のとおりBAB1〜BAB6株を作製した。
枯草菌168(aprE::spec, lacI, Pspac-chpA)株の染色体DNAを鋳型として、APNC−Fプライマー(51)とchpA−Rプライマー(52)(配列番号51及び52)を用いてPCRを行った。増幅したDNA断片を選択マーカー遺伝子カセットと称する。また、枯草菌168株の染色体DNAを鋳型として、欠失対象領域の5’外側領域(断片A)、3’外側領域(断片B)及び第1相同組み換え領域上流(断片C)を、それぞれプライマー1と2(配列番号1及び2)、3と4(配列番号3及び4)及び5と6(配列番号5及び6)を用いてPCRにより増幅した。
次に、これらPCRによって得られた選択マーカー遺伝子カセット、5’外側領域(断片A)、3’外側領域(断片B)及び第1相同組み換え領域上流(断片C)、ならびにプライマー1と6(配列番号1及び6)を用いてSOE−PCR法(Gene, 1989, 77(1):61-68)を行った。これにより、5’外側領域(断片A)、3’外側領域(断片B)、選択マーカー遺伝子カセット及び第1相同組み換え領域上流(断片C)がこの順で配置した供与体DNA断片(図2)を取得することができた。
上述のように取得された供与体DNAを用いて、コンピテントセル形質転換方法(J. Bacteriol., 1967, 93(6):1925-1937)に従って、枯草菌168株を形質転換した。形質転換は、PCR産物を20μg以上用いて行った。
得られた形質転換体を、供与体DNAに含まれるスペクチノマイシン耐性遺伝子を用いて選択した。すなわち、上記形質転換処理後の細胞を、100μg/mlのスペクチノマイシンを含むLB寒天平板培地で、37℃で一晩培養し、コロニーを得た。この培養によれば、第1相同組み換え(図2)によって供与体DNAが組み込まれてスペクチノマイシン耐性を示す枯草菌のみが生育することとなる。
次に、スペクチノマイシン耐性を指標として選択された形質転換体をLB液体培地で一晩培養し、希釈した培養液を1mM IPTGを入れたLB寒天プレートに塗布した。IPTG含有LB寒天プレート上に生育した形質転換枯草菌は、第2相同組み換え(図2)によって、欠失対象領域とともに供与体DNAが宿主DNAから欠失したliaIノーマーカー削除株である。得られた株について、PCR法によりliaI遺伝子の欠失を確認した。
上記(1)の選択マーカー遺伝子カセット及び表2−1〜2−2に記載のプライマーを用いて、上記と同様の手順を行うことによって、liaHGFSR各ノーマーカー削除株BAB2〜BAB6を作製した。得られた株について、PCR法によりliaHGFSR各遺伝子の欠失を確認した。
枯草菌168野生株を、実施例1(1)で作製したpMutin12His−liaRにより形質転換し、0.5μg/mlエリスロマイシンを含むLB寒天平板培地で、37℃で一晩培養し、得られたコロニーをliaR−12His株として取得した。得られたliaR−12His株は、シークエンシングによりLiaRのC末端に12個のHisタグが付加していることを確認した(図3)。
実施例2(1)で作製したBAB2株(liaH削除株)を実施例1(2)で作製したpDL2−liaI (-120 to +84)により形質転換し、5μg/mlクロラムフェニコールを含むLB寒天平板培地で、37℃で一晩培養し、得られたコロニーをamyE::PliaI (-120 to +84)−lacZ株として取得した。得られたamyE::PliaI (-120 to +84)−lacZ株は、PCRにより枯草菌amyE領域にPliaI (-120 to +84)−lacZが挿入されていることを確認した(図4)。
実施例2(1)で作製したBAB2株(liaH削除株)を実施例1(3)で作製したpX−liaHにより形質転換し、5μg/mlのクロラムフェニコールを含むLB寒天平板培地で、37℃で一晩培養し、得られたコロニーをamyE::Pxyl−liaH株として取得した。得られたamyE::Pxyl−liaH株はPCRにより枯草菌amyE領域にPxylが挿入されていることを確認した(図5)。
枯草菌168野生株を実施例1(5)で作製したpAPNCGW−liaHにより形質転換し、100μg/mlスペクチノマイシンを含むLB寒天平板培地、37℃で一晩培養し、得られたコロニーをaprE::Pspac−liaH株として取得した。得られたaprE::Pspac−liaH株はPCRにより枯草菌aprE領域にPspac−liaHが挿入されていることを確認した(図6)。
(1)liaI転写誘導の抗生物質間での比較
(方法)
RNAハイブリダイゼーションプローブの調製: T7 RNAポリメラーゼ認識配列を付加したプライマー47、48(配列番号47、48)を作製し、これらプライマー47、48を用いて枯草菌野生株ゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、liaI配列を増幅した。得られたPCR断片をDIG Labeling Kit(Roche)のマニュアルに従いジゴキシゲニン標識を行った。
抗生物質ストレス負荷: 枯草菌野生株168、ならびに実施例2で作製したBAB6(ΔliaR)及びBAB2(ΔliaH)の各菌株をLB培地にOD600=0.01で殖菌し、37℃でOD600=0.2まで培養した。次いで最終濃度0.025μg/ml enduracidin、50μg/ml bacitracinをそれぞれ添加して、15分後に菌を採取し、トータルRNAを調製した。対照として、それぞれの株について抗生物質非添加条件でRNAを調製した。トータルRNAの調製はIgo & Losick (J. Mol. Biol., 1986, 191, 615-624.)の方法に従って行った。
ノーザンハイブリダイゼーション: 調製したトータルRNA 1μgを1% formaldehyde−agaroseゲルで電気泳動し、ナイロンメンブラン(Hybond N+、Amersham Pharmachia)にブロッティングを行った。ブロッティング後のメンブランはUVクロスリンカー(Stratalinker 1800、Stratagene)を用いてクロスリンク後、上記で調製したジゴキシゲニンラベルしたRNAプローブを用いて68℃で10時間ハイブリダイゼーションを行った。シグナルの検出にはCSPD(登録商標)ready to use(Roche)を用いた。
ウエスタンブロッティング: 実施例2で作製したliaR−12his株(BAB7)をLB培地にOD600=0.01で殖菌し、37℃でOD600=0.2になるまで培養し、次いで最終濃度0.1μg/ml enduracidin、100μg/ml bacitracinをそれぞれ加えた後、0、15、30、45、60、75分後に培養液を採取し、集菌した菌体のOD=600が、10 OD/mlになるように0.5mg/ml lysozymeを加えた10mM Tris−HCl(pH7.4)に懸濁し、37℃で10分間処理した。その後、1/4量の5×SDS sample bufferを加え、95℃で5分間処理した。得られたサンプル2μlをSDS−PAGEに供し、PVDF膜Hybond−P(Amersham)にブロッティングし、その後、一次抗体Anti−His−Tag抗体、次いで二次抗体Anti−Rabit IgG HRP conjugate(BioRad)を膜に反応させ、ECL plus(Amersham)を用いてシグナルを検出した。
ノーザンハイブリダイゼーションの結果を図8Aに示す。抗生物質非添加の対照群及びliaR削除株(BAB6:レーン2)、ではliaI遺伝子の転写誘導は見られなかった。一方、構成物質を添加した野生株及びliaH削除株(BAB2:レーン3)では強い転写誘導が観察された。さらに、enduracidin添加群では、2000分の1の添加濃度にもかかわらず、bacitracin添加群と同等以上の転写が観察されたことから、LiaRS系によるliaIHオペロンの転写誘導はenduracidinにより顕著に活性化されることが示された。
(方法)
細胞壁ストレス負荷: 実施例2で作製したBAB8株をLB培地にOD600=0.01で殖菌し、37℃でOD600=0.2まで培養し、次いで様々な細胞壁ストレスを加え、30分後に集菌した。細胞ストレスは0.1μg/ml enduracidin、100μg/ml bacitracin、2μg/ml vancomycin、4%エタノール、0.6M NaCl、ならびに30℃および40℃の熱ショックをそれぞれ行った。対照として抗生物質非添加群を調製した。
LacZアッセイ: LacZアッセイはYoungman et al.(In Molecular Biology of Microbial Differentation. 1985, American Society for Microbiology Washington D.C., pp47-54)の方法に従った。細胞を10μg/ml DNaseI、100μg/ml lysozymeを含む、200μl Z buffer(0.06M Na2HPO4、0.04M NaH2PO4、0.01M KCl、0.001M MgSO4、0.001M DTT)に懸濁し、37℃で20分インキュベートして細胞を溶解し、14000rpm、2分間、4℃で遠心を行い、得られた上清50μlに0.4mg/ml MUG10μlを加え、37℃で10分間反応させた後、95℃で10分間処理して反応を停止させた。4MUの蛍光はFluoroscan II(Labsystems)を用いて測定した。また、上清のタンパク質量はProtein assay reagent(BioRad)を用いて定量し、サンプル間の補正に使用した。
LacZアッセイの結果を図9に示す。BAB8株において、PliaIHの転写量のレポーターであるLacZの活性が抗生物質によって顕著に向上した。特に、enduracidinは、bacitracinの1000分の1、及びvancomycinの20分の1の濃度で高い効果を示した。またエタノールによって僅かにPliaIHからの転写の誘導が観察された。
(方法)
野生株168株、実施例2で作製したBAB9株及びBAB10株をそれぞれLB培地にOD600=0.01で殖菌し、37℃でOD600=0.2まで培養した。次いで、168株の培地には0.05μg/ml enduracidinを、BAB9株の培地には2% xyloseを、BAB10株には1mM IPTGをそれぞれ添加した。15分後に菌を採取し、トータルRNAを調製し、(1)と同様の手順でノーザンハイブリダイゼーションを行った。
結果を図10に示す。LiaRS系による転写誘導は、IPTGやキシロースによる誘導と比較して顕著に強力であった。
(1)方法
(GST−LiaR融合タンパク質の精製)
大腸菌BL21(DE3)pLysS株に実施例1で作製したpGEX 4.1−liaRを導入し、LB培地で30℃にて一晩培養した培養液を800mlのLB培地にOD0.01になるように殖菌し、30℃でOD0.5まで培養した。この培養液に終濃度1mMのIPTGを加え、さらに3時間培養した。この細胞を遠心機により集菌し、phosphate−buffered saline(PBS;140mM NaCl、2.7mM KCl、10.1mM Na2HPO4、1.8mM KH2PO4、pH7.3)20mlに再懸濁し、超音波により破砕した。この細胞破砕液を8000rpm、10分間、4℃で遠心を行い、GST Purification Module(GE)を用い、添付マニュアルに従い精製を行った。
(ゲルシフトアッセイ)
DNA断片はliaIの転写開始点の−95から+25までの121bpを、プライマー45、46(配列番号45、46)を用いてPCRによって増幅した。このPCR産物を、T4 polynucleotide kinase(Takara)と[γ32P]ATPとを37℃で30分反応させることにより標識した。標識したDNAはNick column(Pharmacia)により精製した。DNAとタンパク質の結合反応は25pmol(5000cpm)のlabeled DNA、1μl Poly dI−dC、5×binding buffer(100mM Tris−Cl pH7.4、25mM MgCl2、250mM KCl、250μg/ml BSA、10μg/ml salmon sperm DNA、50% glycerol、1mM EDTA)とGST−YvqC protein(0−50pmol)と水をトータル15μlになるように混ぜ、30℃で15分間インキュベーションを行ったあと、5% ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。シグナルはイメージングプレートとBAS2000(Fuji film)を用いて検出を行った。
ゲルシフトアッセイの結果を図11に示す。liaIの転写開始点の−95から+25領域(図11B)とLiaRタンパク質との結合量は、LiaRタンパク質の濃度とともに増加した(図11A)。よって当該−95から+25領域とLiaRタンパク質とが能動的に結合していることが示された。
(1)方法
(ChAP−chipアッセイ)
ChAP法によるLiaR−12Hisタンパク質の精製は、Ishikawaらの方法(Ishikawa et al., DNA Res. 2007, 14(4) 155-168)の方法を改変して行った。LB液体培地、37℃で一晩培養した168 liaR−12His株を400mlのLB培地にOD600=0.01になるように殖菌し、O.D600=0.2まで培養した後に最終濃度0.025μg/mlのenduracidinを加えた。対照として、enduracidin非添加群を作製した。さらに30分培養後、最終濃度1%のホルムアルデヒドを加え、37℃で30分間クロスリンク処理を行った。その後、細胞を遠心して集菌し、3mlのUT bufferに懸濁し、超音波により破砕した。この細胞液を8000rpm、10分間、4℃で遠心し、上清からNiビーズを用いてLiaR−12Hisの精製を行った。その後、上記Ishikawaらの方法に従い、枯草菌用に作られたAffymetrix GeneChip(BSTILE2b520515F)を用いてLiaR−12Hisタンパク質の枯草菌DNA結合部位の解析を行い、結果をIMC AE(In silico biology)プログラムにより視覚化した。
enduracidinを負荷した場合、yvqI(liaI)から下流において遺伝子の転写が強力に誘導された。一方、対照群においてはyvq(lia)遺伝子の転写誘導は見られなかった(図12A)。これらの結果は、上記ノーザンハイブリダイゼーション及びLacZ解析の結果と一致する。また、ChAP−chip解析(図12B)により、LiaR−12Hisタンパク質が枯草菌liaIHプロモーター領域に特異的に結合することが示された。ゲノム全体における解析において、LiaR−12Hisタンパク質が結合する箇所は上記liaIHプロモーター領域のみであった。
Claims (14)
- 微生物において標的遺伝子の転写を促進する方法であって、LiaR及びLiaSをコードする遺伝子又はこれらに相当する遺伝子、ならびにliaIHプロモーターDNA又はこれに相当するDNAを有する微生物において、該liaIHプロモーターDNA又はこれに相当するDNAの下流に該標的遺伝子を作動可能に連結させる工程、ならびに該微生物に細胞壁ストレスを負荷して該LiaR及びLiaSをコードする遺伝子又はこれらに相当する遺伝子の発現を活性化させる工程を含む、方法。
- 細胞壁ストレスが抗生物質である、請求項1記載の方法。
- 抗生物質がenduracidinである、請求項2記載の方法。
- 微生物がバチルス属細菌である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- バチルス属細菌が枯草菌又はその変異株である、請求項4に記載の方法。
- 標的遺伝子が異種タンパク質又はポリペプチドをコードする遺伝子である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- LiaR及びLiaSをコードする遺伝子又はこれらに相当する遺伝子、ならびにliaIHプロモーターDNA又はこれに相当するDNAを有し、且つ該liaIHプロモーターDNA又はこれに相当するDNAの下流に目的遺伝子産物をコードする遺伝子が作動可能に連結されている組換え微生物。
- 前記liaIHプロモーターDNA又はこれに相当するDNAと前記目的遺伝子産物をコードする遺伝子とが組み込まれた発現ベクターを有する請求項7記載の組換え微生物。
- 前記liaIHプロモーターDNA又はこれに相当するDNAと前記目的遺伝子産物をコードする遺伝子とがゲノムに組み込まれている請求項7記載の組換え微生物。
- 微生物がバチルス属細菌である、請求項7〜9のいずれか1項に記載の組換え微生物。
- バチルス属細菌が枯草菌又はその変異株である、請求項10に記載の組換え微生物。
- 請求項7〜11のいずれか1項に記載の組換え微生物に細胞壁ストレスを負荷する工程を特徴とする、目的遺伝子産物の生産方法。
- 細胞壁ストレスが抗生物質である、請求項12記載の方法。
- 抗生物質がenduracidinである、請求項13記載の方法。
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