JP2011091339A - 光電変換素子 - Google Patents

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忠 伊藤
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Abstract

【課題】励起されたキャリアが持つエネルギーのフォノンへの散逸抑制効果が大きく、かつキャリア移動度が十分大きい光電変換素子の提供。
【解決手段】以下の構成を備えた光電変換素子。(a)光電変換素子は、量子ドット配列構造を有する光吸収層と、光吸収層の電子取り出し端側に形成された第1エネルギー選択性コンタクト及び電子取り出し電極と、光吸収層の正孔取り出し端側に形成された正孔取り出し電極とを備える。(b)量子ドット材料の電子の有効質量meは、0.1以下。(c)量子ドット材料の電子と正孔の有効質量比me/mhは、0.3以下。(d)量子ドット材料のεg(bulk)+εe1+εh1は、0.5≦εg(bulk)+εe1+εh1≦1.5eVの範囲。(e)電子の障壁ポテンシャルVeは、1.0+εe1≦Ve≦5.0eVの範囲。(f)正孔の障壁ポテンシャルVhは、−0.1≦Vh≦0.5eVの範囲。(g)障壁層の厚さdは、1≦d≦5nmの範囲。
【選択図】図4

Description

本発明は、光電変換素子に関し、さらに詳しくは、光吸収層に量子ドットを用いたホットキャリア型の光電変換素子に関する。
光電変換素子とは、光量子のエネルギーを何らかの物理現象を介して電気的信号に変換(光電変換)することが可能な素子をいう。太陽電池は、光電変換素子の一種であり、太陽光線の光エネルギーを電気エネルギーに効率よく変換することができる。
一般に、太陽電池において、バンドギャップより大きなエネルギーを持つ光が光吸収層に照射されると、電子は、伝導帯下端よりも高い準位まで励起される。励起された電子は、直ちに余分なエネルギーをフォノンへ散逸しながら、伝導帯下端に達する。同様に、価電子帯上端より低い準位に励起された正孔は、余分なエネルギーを散逸しながら価電子帯上端に移動する。この過程により散逸されたエネルギーは、光電変換には寄与しないので、高い変換効率は得られない。また、この場合に得られる出力電圧は、光吸収層を構成する材料のバルクのバンドギャップよりも低い。
一方、光励起により生じたキャリアを、そのエネルギーがフォノンへ散逸する前に、エネルギー選択性コンタクトを通じて外部に取り出すことができれば、高い変換効率が得られる。また、この場合に得られる出力電圧は、励起直後の電子と正孔のエネルギー準位の差の平均に近い値となり、光吸収層を構成する材料のバルクのバンドギャップより大きくなる。このような太陽電池は、ホットキャリア型太陽電池と呼ばれている(例えば、非特許文献1参照)。
ホットキャリア型太陽電池を実現するためには、フォノンへのエネルギーの散逸が抑制されるような材料が必要である。これまでに、量子ドット中において、エネルギーの散逸が抑制されることが見出されている(例えば、非特許文献2参照)。量子ドットを太陽電池の光吸収層に利用する際には、光を十分に吸収させるためにこれを規則配列させ、量子ドット間に障壁層を形成する必要がある。
ここで、量子ドットとは、電子のド・ブロイ波長(数nm〜20nm)程度の寸法を持つ半導体の微結晶をいう。量子ドット内において、キャリアは、3次元すべての方向への移動が規制されるため、エネルギー準位は離散化される。
量子ドットは、その大きさによってエネルギー準位(すなわち、吸収される光の波長)が変化する。また、障壁層を介して量子ドットを規則配列させる場合において、量子ドットの間隔を狭くしていくと、量子ドット間の相互作用により、量子ドットのエネルギー準位が幅を持ったミニバンドに変化する。このような量子ドットを太陽電池に応用すると、単接合の太陽電池であっても白色光である太陽光を効率よく電力に変換することができると考えられている。
G.Conibeer et al., Thin Solid Films 511(2006)654 H.Yu et al., Appl.Phys.Lett. 69, 4087(1996)
ホットキャリア型の光電変換素子において、量子ドット中の閉じ込め準位にあるキャリアに関しては、エネルギーのフォノンへの散逸は抑制される。しかしながら、障壁ポテンシャル上端より高い準位に励起されたキャリアは、そのエネルギーを散逸しながら直ちに障壁ポテンシャル上端にまで達する。この過程により散逸されたエネルギーは、光電変換には寄与しない(図2参照)。そのため、障壁ポテンシャルが高いほど、エネルギー散逸の抑制効果が顕著となる。また、量子ドットの間に形成する障壁層の厚さが厚いほど、閉じ込め効果は大きくなるため、エネルギー散逸の抑制効果はやはり顕著となる。
一方、量子ドットを所定の間隔で並べた構造の場合、ある量子ドットにて形成されたキャリアは、順次隣の量子ドットに移動し、エネルギー選択性コンタクトに到達する。従って、高い変換効率を得るためには、これらキャリアの移動度が十分大きくなければならない。一般に、障壁ポテンシャルが小さく、障壁層が薄いほど、移動度は大きくなる。
このように、障壁ポテンシャルの高さ及び障壁層の厚さの変化に対して、エネルギー散逸抑制効果とキャリアの移動度は、トレードオフの関係にあるという問題がある。しかし、エネルギー散逸抑制効果と十分大きいキャリア移動度とを両立させることが可能なホットキャリア型の光電変換素子が提案された例は、従来にはない。
本発明が解決しようとする課題は、励起されたキャリアが持つエネルギーのフォノンへの散逸を抑制する効果が大きく、かつキャリア移動度が十分大きい光電変換素子を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る光電変換素子は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(a)前記光電変換素子は、
規則配列した量子ドットと、前記量子ドットの隙間に形成された障壁層とを備えた光吸収層と、
前記光吸収層の電子取り出し端側に形成された第1エネルギー選択性コンタクトと、
前記第1エネルギー選択性コンタクトの外側に形成された電子取り出し電極と、
前記光吸収層の正孔取り出し端側に形成された正孔取り出し電極と
を備えている。
(b)前記量子ドットを構成する材料の電子の有効質量(me)は、0.1以下である。
(c)前記量子ドットを構成する材料の正孔の有効質量(mh)に対する前記電子の有効質量(me)の比(me/mh)は、0.3以下である。
(d)前記量子ドットを構成する材料のバルクのバンドギャップεg(bulk)、前記量子ドットの伝導体下端から測った電子の第1閉じ込め準位のエネルギーεe1、及び前記量子ドットの価電子帯上端から測った正孔の第1閉じ込め準位のエネルギーεh1の和は、
0.5≦εg(bulk)+εe1+εh1≦1.5eVの範囲にある。
(e)電子の障壁ポテンシャル(Ve)は、1.0+εe1≦Ve≦5.0eVの範囲にある。
(f)正孔の障壁ポテンシャル(Vh)は、−0.1≦Vh≦0.5eVの範囲にある。
(g)前記障壁層の厚さ(d)は、1≦d≦5nmの範囲にある。
本発明に係る光電変換素子は、さらに以下のような構成を備えていても良い。
(h)前記光電変換素子は、前記光吸収層と、前記正孔取り出し電極との間に形成された第2エネルギー選択性コンタクトを備えている。
量子ドットを用いたホットキャリア型の光電変換素子において、me、me/mh、εg(bulk)+εe1+εh1、Ve、Vh、及びdを最適化すると、量子ドット配列構造内において光励起されたキャリアからフォノンへのエネルギー散逸の抑制効果が顕著となる。また、これと同時に、キャリアの移動度を十分大きくすることができる。
量子ドット配列構造内における量子ドットを構成する材料のバルクのバンドギャップεg(bulk)、量子ドットの電子の第1閉じ込め準位εe1、量子ドットの正孔の第1閉じ込め準位εh1、電子の障壁ポテンシャルVe、及び正孔の障壁ポテンシャルVhの関係を示すバンド図である。 エネルギー散逸過程を模式的に示すバンド図である。 計算に用いた量子ドット配列構造の模式図である。 図3に示す量子ドット配列構造のキャリアの有効質量(mA)に及ぼす、量子ドットのバルクの有効質量(mQD(bulk))、量子ドットのサイズ(a)、障壁層厚さ(d)、及び障壁ポテンシャル(V)の影響を示す図である。 図5(a)及び図5(b)は、それぞれ1000倍集光時及び非集光時の有効質量比(me/mh)と変換効率との関係を示す図である。 図6(a)及び図6(b)は、それぞれ1000倍集光時及び非集光時の変換効率に及ぼす、光吸収端エネルギー(εa)及びVe−εe1の影響を示す図である。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 光電変換素子]
[1.1. 光電変換素子の構造]
本発明に係る光電変換素子は、光吸収層と、第1エネルギー選択性コンタクトと、電子取り出し電極と、正孔取り出し電極とを備えている。光電変換素子は、さらに第2エネルギー選択性コンタクトを備えていても良い。
[1.1.1. 光吸収層]
光吸収層は、規則配列した量子ドットと、量子ドットの隙間に形成された障壁層とを備えている。
本発明において、「量子ドット」とは、長径が1〜20nmの範囲にある半導体の微結晶をいう。半導体としては、一般に、IV族半導体(例えば、Si、Geなど、又はこれらの混晶)、III-V族半導体(例えば、GaAs、GaP、InAsなど、又はこれらの混晶)、II-VI族半導体(例えば、ZnS、CdS、ZnSe、ZnTeなど、又はこれらの混晶)、酸化物系半導体などがある。本発明において、量子ドットには、これらの半導体の内、後述する諸条件を満たす材料を用いる。
後述する諸条件を満たす半導体としては、例えば、InAs、GaSb、Geなどがある。
「量子ドットが規則配列している」とは、少なくとも光が透過する方向に量子ドットが規則性を持って並んでいることをいう。量子ドットは、さらに光が透過する方向と垂直方向に規則性を持って並んでいても良い。
一般に、量子ドット配列の規則性が大きくなるほど、キャリアの閉じ込め効果が大きくなり、フォノンへのエネルギーの散逸を抑制することができる。高いエネルギー散逸抑制効果を得るためには、量子ドットの中心間距離の平均値(Lm)に対する量子ドットの中心間距離の標準偏差(σ)の割合(=σ×100/Lm)は、10%以下が好ましい(例えば、C.-W.Jiang_ and M.A.Green, J.Appl.Phys. 99, 114902(2006)参照)。
障壁層は、量子ドットにキャリアを閉じ込めるためのものである。そのためには、障壁層を構成する材料は、少なくとも
(1)そのバンドギャップが量子ドットを構成する材料のバルクのバンドギャップ(εg(bulk))より大きく、
(2)その価電子帯上端が量子ドットを構成する材料の価電子帯上端より低い、
半導体である必要がある(図1参照)。
また、エネルギー散逸抑制効果と十分大きいキャリア移動度とを両立させるためには、障壁層は、さらに後述する各種の条件を満たす材料である必要がある。
障壁層の材料は、量子ドットの材料に応じて最適なものを選択する。量子ドット/障壁層の材料の組み合わせとしては、例えば、InAs/AlSb、GaSb/AlAs、Ge/AlAsなどがある。
[1.1.2. 第1エネルギー選択性コンタクト]
第1エネルギー選択性コンタクトは、光吸収層の電子取り出し端側に形成される。「第1エネルギー選択性コンタクト」とは、量子ドットに閉じ込められた電子の内、特定のエネルギー準位にある電子を選択的に透過させる作用を持つものをいう。
量子ドット内の特定準位の電子が第1エネルギー選択性コンタクトに透過すると、量子ドット内に残った電子間でエネルギーの授受が行われ、特定準位の電子が新たに生成する。新たに生成した特定準位の電子は、同様の過程を経て第1エネルギー選択性コンタクトに透過する。そのため、電子が吸収したエネルギーをフォノンへ散逸させることなく、効率よく電力に変換することができる。
第1エネルギー選択性コンタクトには、光吸収層と同様に、量子ドットが障壁層を介して規則配列した材料を用いる。この場合、量子ドット内の特定の電子の閉じ込め準位とほぼ同等のエネルギー準位が第1エネルギー選択性コンタクトに形成され、量子ドット内の特定の閉じ込め準位にある電子のみが第1エネルギー選択性コンタクトに透過するように、また正孔は透過しないように、第1エネルギー選択性コンタクトを構成する量子ドット及び障壁層の材料や量子ドットの大きさを選択する。
具体的には、第1エネルギー選択性コンタクトの量子ドットの材料は、光吸収層の量子ドットの材料と比べて、バルクにおいて伝導帯下端が近く、価電子帯上端が十分に深い材料を用い、この中の電子に対して閉じ込め効果を生じさせるような材料を障壁層に用いる。
例えば、光吸収層を構成する量子ドット/障壁層の材料の組み合わせがInAs/AlSbである場合、第1エネルギー選択性コンタクトを構成する量子ドット/障壁層の材料の組み合わせは、InP/GaPが好ましい。
また、例えば、光吸収層を構成する量子ドット/障壁層の材料の組み合わせがGaSb/AlAsである場合、第1エネルギー選択性コンタクトを構成する量子ドット/障壁層の材料の組み合わせは、GaAs/AlSbが好ましい。
また、例えば、光吸収層を構成する量子ドット/障壁層の材料の組み合わせがGe/AlAsである場合、第1エネルギー選択性コンタクトを構成する量子ドット/障壁層の材料の組み合わせは、AlAs/AlSbが好ましい。
[1.1.3. 第2エネルギー選択性コンタクト]
第2エネルギー選択性コンタクトは、光吸収層の正孔取り出し端(すなわち、光吸収層と、後述する正孔取り出し電極との間)に形成される。「第2エネルギー選択性コンタクト」とは、量子ドットに閉じ込められた正孔の内、特定のエネルギー準位にある正孔を選択的に透過させる作用を持つものをいう。
光吸収層を構成する材料として後述する条件を満たすものを用いると、正孔は、価電子帯上端に励起されやすくなる。価電子帯上端に励起された正孔は、エネルギーをフォノンへ散逸させることなく隣接する量子ドットに容易に移動することができる。従って、このような場合には、第2エネルギー選択性コンタクトは、必ずしも必要ではない。
一方、正孔が価電子帯上端より低いエネルギー準位に励起された場合には、正孔は、価電子帯上端と励起直後の正孔の閉じ込め準位の差に相当するエネルギーをフォノンへ散逸しながら、価電子帯上端に移動しやすくなる。従って、このような場合には、第2エネルギー選択性コンタクトを設けるのが好ましい。
第2エネルギー選択性コンタクトには、光吸収層と同様に、量子ドットが障壁層を介して規則配列した材料を用いる。この場合、量子ドット内の特定の正孔の閉じ込め準位とほぼ同等のエネルギー準位が第2エネルギー選択性コンタクトに形成され、量子ドット内の特定の閉じ込め準位にある正孔のみが第2エネルギー選択性コンタクトに透過するように、また電子は透過しないように、第2エネルギー選択性コンタクトを構成する量子ドット及び障壁層の材料や量子ドットの大きさを選択する。
具体的には、第2エネルギー選択性コンタクトの量子ドットの材料は、光吸収層の量子ドットの材料に比べて、バルクにおいて価電子帯上端が近く、伝導帯下端が十分に高い材料を用い、この中の正孔に対して閉じ込め効果を生じさせるような材料を障壁層に用いる。
例えば、光吸収層を構成する量子ドット/障壁層の材料の組み合わせがInAs/AlSbである場合、第2エネルギー選択性コンタクトを構成する量子ドット/障壁層の材料の組み合わせは、InP/GaPが好ましい。
また、例えば、光吸収層を構成する量子ドット/障壁層の材料の組み合わせがGaSb/AlAsである場合、第2エネルギー選択性コンタクトを構成する量子ドット/障壁層の材料の組み合わせは、AlAs/AlSbが好ましい。
また、例えば、光吸収層を構成する量子ドット/障壁層の材料の組み合わせがGe/AlAsである場合、第2エネルギー選択性コンタクトを構成する量子ドット/障壁層の材料の組み合わせは、AlAs/AlSbが好ましい。
[1.1.4. 電子取り出し電極]
電子取り出し電極は、第1エネルギー選択性コンタクトの外側に形成される。
電子取り出し電極には、電子伝導体を用いる。光を光吸収層に到達させる必要があるので、後述する正孔取り出し電極が透光性が極めて低い又は透光性のない材料である場合には、電子取り出し電極には、高い透光性を有する材料を用いる必要がある。一方、正孔側から光吸収層に光を照射できる場合には、電子取り出し電極の透光性は必ずしも必要ではない。
電子取り出し電極に用いる高い透光性を有する材料としては、例えば、スズドープ酸化インジウム(In23:Sn)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(ZnO:Al)、ガリウムドープ酸化亜鉛(ZnO:Ga)、フッ素ドープ酸化スズ(SnO2:F)などがある。透光性が必要でない場合には、電子取り出し電極には、金属材料を用いることができる。
[1.1.5. 正孔取り出し電極]
正孔取り出し電極は、光吸収層の正孔取り出し端側に形成される。第2エネルギー選択性コンタクトを設ける場合、正孔取り出し電極は、第2エネルギー選択性コンタクトの外側に形成される。
正孔取り出し電極には、正孔伝導体を用いる。光を光吸収層に到達させる必要があるので、上述した電子取り出し電極が透光性の極めて低い又は透光性のない材料である場合には、正孔取り出し電極には、高い透光性を有する材料を用いる必要がある。一方、電子側から光吸収層に光を照射できる場合には、正孔取り出し電極の透光性は必ずしも必要ではない。
正孔取り出し電極に用いる高い透光性を有する材料としては、例えば、NiO:Li、CuAlO2、CuGaO2、CuInO2、SrCu22、LnCuO(Ln=La〜Ndのランタノイド)、CuCr1-xMgx2、及びこれらの中のO(酸素)の少なくとも一部をS(硫黄)に置換したものなどがある。透光性が必要でない場合には、正孔取り出し電極には、金属材料を用いることができる。
[1.1.6. その他の構成要素]
上述した光吸収層、第1エネルギー選択性コンタクト(及び、第2エネルギー選択性コンタクト)、電子取り出し電極、及び正孔取り出し電極のみで自立可能であるときは、これをそのまま太陽電池などの各種光電変換素子として用いることができる。
一方、上述した構成要素のみでは自立できないときは、これらの構成要素を適当な基板上に形成する。基板は、電子側又は正孔側のいずれに形成しても良い。最表面に形成された電極が透光性を有する場合、基板には、必ずしも透光性を有する材料を用いる必要はない。一方、最表面に形成された電極が透光性の極めて低い又は透光性のない材料である場合には、基板には、高い透光性を有する材料を用いる必要がある。
基板に透光性が必要である場合、基板には、ガラス、サファイア、SrTiO3などを用いることができる。また、基板に透光性が必要でない場合、基板には、Si、Ge、GaAsなど、あるいは金属材料を用いることができる。
[1.2. 光吸収層を構成する量子ドット及び障壁層]
光励起されたキャリアからフォノンへのエネルギー散逸を抑制すると同時に、キャリアの移動度を十分大きくするためには、光吸収層を構成する量子ドット及び障壁層は、以下のような条件を満たしている必要がある。
[1.2.1. 電子の有効質量(me)]
量子ドットを構成する材料の電子の有効質量(me)は、0.1以下である必要がある。電子の有効質量が0.1を超えると、フォノンへのエネルギー散逸が大きくなり、電子の移動度も低下する。電子の有効質量は、さらに好ましくは、0.06以下である。
[1.2.2. 有効質量比(me/mh)]
量子ドットを構成する材料の正孔の有効質量(mh)に対する電子の有効質量(me)の比(=有効質量比(me/mh))は、0.3以下である必要がある。有効質量比が0.3を超えると、フォノンへのエネルギーの散逸が大きくなる。有効質量比は、さらに好ましくは、0.2以下である。
[1.2.3. 光吸収端エネルギーεa(εg(bulk)+εe1+εh1)]
量子ドットを構成する材料のバルクのバンドギャップεg(bulk)、量子ドットの伝導体下端から測った電子の第1閉じ込め準位のエネルギーεe1、及び量子ドットの価電子帯上端から測った正孔の第1閉じ込め準位のエネルギーεh1の和(=光吸収端エネルギー(εg(bulk)+εe1+εh1))は、次の(1)式の範囲内にある必要がある。
0.5≦εg(bulk)+εe1+εh1≦1.5eV ・・・(1)
ここで、εg(bulk)は、量子ドットを構成する材料で決まる値である。一方、εe1、εh1は、量子ドットの寸法に依存する値である。
図1に、量子ドット配列構造を有する光吸収層のバンド図を示す。図1中、太線は、それぞれ、量子ドット及び障壁材料のバルクでの価電子帯上端及び伝導帯下端を示す。破線は、量子閉じ込め準位を示す。
図1に示すように、量子ドット配列構造を有する光吸収層においてキャリアを励起させるためには、少なくともεg(bulk)+εe1+εh1に相当するエネルギー(εa)が必要である。この光吸収端エネルギーεaが0.5eV未満である場合、吸収エネルギーの平均値が低くなる。出力電圧は、吸収エネルギーの平均値に依存するので、吸収エネルギーの平均値が低くなるほど、出力電圧が低下し、効率が低下する。従って、光吸収端エネルギーεaは、0.5eV以上である必要がある。
一方、光吸収端エネルギーεaが1.5eVを超えると、吸収できる光子の数が減少する。出力電流は、吸収できる光子数に依存するので、吸収できる光子数が少なくなるほど、出力電流が低下し、効率が低下する。従って、光吸収端エネルギーεaは、1.5eV以下である必要がある。
[1.2.4. 電子の障壁ポテンシャル(Ve)]
電子の障壁ポテンシャル(Ve)は、次の(2)式の範囲内にある必要がある。
1.0+εe1≦Ve≦5.0eV ・・・(2)
図2に示すように、電子の障壁ポテンシャル(Ve)が小さすぎると、電子の閉じ込め効果が不十分となり、フォノンへのエネルギー散逸が著しくなる。従って、電子の障壁ポテンシャル(Ve)は、1.0+εe1(eV)以上である必要がある。
一方、電子の障壁ポテンシャル(Ve)が大きすぎると、電子が障壁を透過する確率が小さくなり、電子の移動度が低下する。従って、電子の障壁ポテンシャル(Ve)は、5.0(eV)以下である必要がある。電子の障壁ポテンシャル(Ve)は、さらに好ましくは、3.0(eV)以下である。
[1.2.5. 正孔の障壁ポテンシャル(Vh)]
正孔の障壁ポテンシャル(Vh)は、次の(3)式の範囲内にある必要がある。
−0.1≦Vh≦0.5eV ・・・(3)
正孔の障壁ポテンシャル(Vh)が0<Vh≦0.5eVのとき、正孔の閉じ込め効果が十分でなく、フォノンへのエネルギーの散逸が著しくなる。さらに、−0.1≦Vh≦0eVのときには閉じ込め効果がなくなる。しかし、以下に述べるように、高い正孔の移動度を得るという観点から、この範囲内にある必要がある。
正孔の障壁ポテンシャル(Vh)が大きすぎると、正孔が障壁を透過する確率が小さくなり、正孔の移動度が低下する。従って、正孔の障壁ポテンシャル(Vh)は、0.5(eV)以下である必要がある。正孔の障壁ポテンシャル(Vh)は、さらに好ましくは、0.3(eV)以下である。
高い正孔の移動度を得るためには、正孔の障壁ポテンシャル(Vh)は、負であっても良い。しかし、正孔の障壁ポテンシャル(Vh)が負に大きくなると、電子の波動関数とと正孔の波動関数の重なりが小さくなるため、光吸収係数が小さくなるおそれがある。また、正孔の障壁ポテンシャル(Vh)が負に大きくなりすぎると、正孔の移動度はかえって低下する。従って、正孔の障壁ポテンシャル(Vh)は、−0.1(eV)以上である必要がある。正孔の障壁ポテンシャル(Vh)は、さらに好ましくは、−0.05(eV)以上である。
[1.2.6. 障壁層厚さ(d)]
障壁層の厚さdは、次の(4)式の範囲内にある必要がある。
1≦d≦5nm ・・・(4)
障壁層の厚さ(d)が薄すぎると、キャリアの閉じ込め効果が不十分となる。従って、障壁層の厚さ(d)は、1nm以上である必要がある。
一方、障壁層の厚さ(d)が厚すぎると、キャリアの移動度が低下する。従って、障壁層の厚さ(d)は、5nm以下である必要がある。障壁層の厚さ(d)は、さらに好ましくは、3nm以下である。
[2. 光電変換素子の製造方法]
本発明に係る光電変換素子は、種々の方法により製造することができる。以下に、基板上に、正孔取り出し電極、光吸収層、第1エネルギー選択性コンタクト、及び電子取り出し電極をこの順に形成した光電変換素子の製造方法の一例について説明する。
なお、基板側に電子取り出し電極を形成する場合や第2エネルギー選択性コンタクトを形成する場合もこれと同様であり、積層順序を変えるだけで所望の構成を備えた光電変換素子を製造することができる。また、光吸収層等の構成要素のみで自立可能なときは、各層を形成した後、基板を除去することもできる。
[2.1. 正孔取り出し電極形成工程]
まず、基板上に、正孔取り出し電極を形成する(正孔取り出し電極形成工程)。正孔取り出し電極の形成方法は、特に限定されるものではなく、周知の方法を用いることができる。正孔取り出し電極の形成方法としては、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積法(PLD)法、メッキ法、電気泳動成膜法(EPD)、化学気相成膜法(CVD),スプレー熱分解成膜法(SPD)、スクリーン印刷法、スピンコート法、微粒子堆積法などがある。
[2.2. 光吸収層形成工程]
次に、正孔取り出し電極の上に、規則配列した量子ドットと、これらの量子ドットの隙間に形成された障壁層とを備えた光吸収層を形成する(光吸収層形成工程)。
障壁層を介して量子ドットが規則配列している光吸収層は、以下のような種々の方法により製造することができる。
第1の方法は、量子ドット材料の島状薄膜成長又はStranski-Krastanovモード薄膜成長を利用し、障壁層材料と量子ドット材料とを交互に製膜する方法である。(例えば、R.Oshima et al., Proc.22nd Europ n Photovoltatic Solar Energy Conference(Milan, Italy, 2007)60参照)。
第2の方法は、
(1)化学的に量子ドットを形成し、塗布、乾燥により配列させ(例えば、S.J.Kim et al., Appl.Phys.Lett. 92, 031107(2008)参照)、
(2)原子層堆積法、ケミカルバスデポジション法、エレクトロデポジション方法などにより、空隙に障壁層材料を充填する(例えば、Nanu M et al., Adv.Mater. 16, 453(2004)参照)、
方法である。
量子ドットは、溶液中にてカチオン化合物(例えば、カチオンの酢酸塩、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物など)と、アニオン化合物(例えば、アニオンのアルカリ金属塩、硫酸塩など)とを等モル比となるように混合し、析出させることにより得られる。
第3の方法は、
(1)量子ドット/障壁層のコア/シェル粒子を作製し(例えば、A.D.Yoffe, Adv.Phys. 50, 1(2001)参照)、
(2)これを溶媒に分散させ、塗布、乾燥により配列させる(例えば、Nanu M et al., Adv.Mater. 16, 453(2004)参照)
方法である。
コア/シェル粒子は、上述の方法を用いて化学的に量子ドットを形成した後、溶液内に障壁層の前駆体を添加し、表面に障壁層を形成することにより得られる。障壁層の厚さは、前駆体の添加量により調整することができる。
[2.3. 第1エネルギー選択性コンタクト形成工程]
次に、光吸収層の上に、第1エネルギー選択性コンタクトを形成する(第1エネルギー選択性コンタクト形成工程)。
第1エネルギー選択性コンタクトは、量子ドット及び障壁層を構成する材料と、量子ドットのサイズ、障壁層の厚さが異なる以外は、光吸収層と同様の方法により製造することができる。この点は、正孔取り出し電極と光吸収層との間に第2エネルギー選択性コンタクトを形成する場合も同様である。第1エネルギー選択性コンタクトの製造方法に関する詳細は、光吸収層形成工程と同様であるので、説明を省略する。
[2.4. 電子取り出し電極形成工程]
次に、第1エネルギー選択性コンタクトの上に、電子取り出し電極を形成する(電子取り出し電極形成工程)。電子取り出し電極の形成方法は、特に限定されるものではなく、周知の方法を用いることができる。電子取り出し電極の形成方法としては、例えば、スパッタ法、真空蒸着法、パルスレーザー堆積法(PLD)法、メッキ法、電気泳動成膜法(EPD)、化学気相成膜法(CVD),スプレー熱分解成膜法(SPD)、スクリーン印刷法、スピンコート法、微粒子堆積法などがある。
[3. 光電変換素子の作用]
[3.1. 障壁層厚さ及び障壁ポテンシャル高さとキャリア移動度]
まず、障壁層の厚さ及び障壁ポテンシャルの高さと、キャリア(電子及び正孔)移動度との関係を調べた。図3のように、立方体の量子ドットが単純立方格子の格子点を占めるような構造を考えた。閉じ込め準位の波動関数とエネルギーを、有効質量近似を用いて求め、波数と第1エネルギー準位の分散関係から、量子ドット配列構造のキャリアの有効質量mAを求めた。
簡単化のため、量子ドットと障壁層のバルクでのキャリアの有効質量を等しい(=mQD(bulk))とする。但し、障壁層の有効質量は、結果にあまり影響しない。このとき、キャリアの有効ハミルトニアンは、(a)式のように表される。これの固有関数を平面波展開((b)式)により表し、展開係数Ak(nx、ny、nz)と固有値E(k)を求めた。この結果と(c)式の関係より、mAを求めた(C.-W.Jiang_ and M.A.Green, J.Appl.Phys. 99, 114902(2006)参照)。
Figure 2011091339
図4に、この結果を示す。mQD(bulk)が0.04m0及び0.1m0(m0は、電子の静止質量)の場合には、障壁ポテンシャル高さ(V)が2≦V≦5eV、障壁層厚さ(d)がd≦5nmの範囲において、mA≦2m0となる場合があった。移動度は、このmAと散乱頻度により求められる。散乱頻度がバルク物質とおおよそ同じであるとすると、mAが通常のバルク物質に近い値(おおよそ2m0以下)であれば、移動度もバルク物質に近い値であり、キャリアの取り出しが可能であると考えられる。
一方、mQD(bulk)=0.4m0の場合において、1≦V≦5eV、d≧1nmのときには、mA≫m0であった。すなわち、このVの条件にてmA≦2m0となるためには、d<1nmが必要であるが、これを実際に作製することは困難である。一方、作製可能な1nm≦d≦5nmの範囲でmA≦2m0となり、キャリアの取り出しが可能となるためには、V≦0.5eVが必要である。
Vは負であっても構わない。その場合、量子ドットの大きさが2〜10nm程度であることを考えると、Vの絶対値が大きいとキャリアを取り出すことができない。従って、−0.1eV≦Vが必要である。
[3.2. 変換効率]
次に、高エネルギーのキャリアがエネルギーを散逸してポテンシャル障壁上端まで達することを考慮したホットキャリア型太陽電池の変換効率ηを計算した。
多くの物質において、正孔の有効質量は、0.1よりも大きい。従って、正孔の取り出しのためには、Vhが0.5eV以下であることが必要である。このとき、正孔に対する閉じ込め効果は小さく、閉じ込め準位間隔は小さいので、正孔に対するエネルギー散逸の抑制効果は小さい。そこで、近似として、正孔のエネルギーがすべて散逸し、価電子帯上端に達してから外部に取り出される場合を考える。この場合には、吸収された光エネルギーの大部分が電子のエネルギーとなることが必要である。電子、正孔のエネルギーεe、εhは、バンドギャップの中央をエネルギーの原点とし、光のエネルギーをεとすると、それぞれ、(d)式及び(e)式となる。
Figure 2011091339
それぞれのバンド端からの余剰分である(ε−εg)mh/(me+mh)が(ε−εg)me/(me+mh)に比べて十分大きくなるためには、me/mhが0.3以下であることが必要であり、0.2以下が好ましい。この条件下でのηは、(f)式のように表される。
Figure 2011091339
ここで、jabs及びjemは、それぞれ太陽からの入射光スペクトル及び太陽電池からの輻射スペクトル、Pinは太陽光エネルギーである。εaは、光吸収端エネルギーである。q、h、c、kB、Te、TRTは、それぞれ電荷素量、プランク定数、真空中の光速度、ボルツマン定数、電子温度(=1200Kとした)、室温(=300K)である。μe及びμhは、それぞれ、電子及び正孔のフェルミレベル、τre及びτthe-e(=1nsとした)は、それぞれ、キャリアが光吸収により発生してから外部へ取り出される平均時間及びキャリアのエネルギーが散逸する時間である。光吸収層の厚さd(=100nmとした)とキャリア密度ncとは、(g)式の関係にある。太陽光スペクトル及びエネルギーは、AM1.5G(ASTM G173−03)を用いた。
Figure 2011091339
まず、変換効率をme/mhの関数として計算した。εa、τreは、変換が最大となるように最適化した。図5に示される結果より、me/mhが0.3以下、より望ましくは0.2以下の場合、高い変換効率が得られることがわかった。
次に、me=0.04、mh=0.4の場合について、εa、Ve−εe1の影響を調べた。τreは、変換が最大となるように最適化した。図6に示される結果より、εaが0.5から1.5eV、より望ましくは0.7〜1.3eVの範囲にあり、かつ、Ve−εe1が1.0eV以上の場合に、高い変換効率が得られることがわかった。なお、図6中の数値は、変換効率である。
[3.3. 量子ドット配列構造の条件]
これらの結果から、量子ドット配列構造内において、エネルギー散逸の抑制効果が顕著であり、かつ電子、正孔の移動度が十分大きくなる条件を考える。
多くの物質において、正孔の有効質量は、0.1よりも大きい。従って、正孔の取り出しが可能となるためには、障壁層の厚さが5nm以下であることが必要であり、3nm以下であることがより望ましい。また、Vhが−0.1〜0.5eVであることが必要であり、−0.05〜0.3eVであることがより望ましい。
この場合、正孔の閉じ込めエネルギーは小さく、無視することができ、吸収された光エネルギーのほとんどが電子のエネルギーとなる。従って、エネルギー散逸の抑制効果により変換効率が顕著に向上するためには、Ve−εe1が1.0eV以上であり、かつεaが0.5〜1.5eVの範囲にあることが必要である。また、障壁層の厚さが1nm未満になると、電子に対する閉じ込め効果が小さくなるので、エネルギー散逸の抑制効果が小さくなる。
この条件下で電子の取り出し可能とするためには、その有効質量が0.1以下であることが必要であり、0.06以下であることがより望ましい。
電子、正孔の有効質量に関しては、これらの移動の観点から上記のような値であることが必要である。一方、効果的なエネルギー散逸の抑制が実現されるためには、me/mhが0.3以下であることが必要であり、0.2以下がより望ましい。
図6に示されるように、Veが大きいほど変換効率は大きくなるが、その利点は小さく、逆に電子の移動度が小さくなる。特に、5eVを超えると、移動度が極めて小さくなる。従って、Veは、5eV以下であることが必要であり、3eV以下であることがより望ましい。
量子ドットのサイズは、1〜20nmの範囲で高いエネルギー散逸の抑制効果を得ることができる。より高いエネルギー散逸の抑制効果と構造の安定性を両立させる観点から、量子ドットのサイズは、2〜10nmがより望ましい。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明に係る光電変換素子は、
(1)電卓、腕時計、道路標識、庭園灯、街路灯、各種観測機器、人工衛星、宇宙ステーションなどの電源(太陽電池)、
(2)光導電セル、フォトダイオード、フォトトランジスタ、
などに用いることができる。

Claims (2)

  1. 以下の構成を備えた光電変換素子。
    (a)前記光電変換素子は、
    規則配列した量子ドットと、前記量子ドットの隙間に形成された障壁層とを備えた光吸収層と、
    前記光吸収層の電子取り出し端側に形成された第1エネルギー選択性コンタクトと、
    前記第1エネルギー選択性コンタクトの外側に形成された電子取り出し電極と、
    前記光吸収層の正孔取り出し端側に形成された正孔取り出し電極と
    を備えている。
    (b)前記量子ドットを構成する材料の電子の有効質量(me)は、0.1以下である。
    (c)前記量子ドットを構成する材料の正孔の有効質量(mh)に対する前記電子の有効質量(me)の比(me/mh)は、0.3以下である。
    (d)前記量子ドットを構成する材料のバルクのバンドギャップεg(bulk)、前記量子ドットの伝導体下端から測った電子の第1閉じ込め準位のエネルギーεe1、及び前記量子ドットの価電子帯上端から測った正孔の第1閉じ込め準位のエネルギーεh1の和は、
    0.5≦εg(bulk)+εe1+εh1≦1.5eVの範囲にある。
    (e)電子の障壁ポテンシャル(Ve)は、1.0+εe1≦Ve≦5.0eVの範囲にある。
    (f)正孔の障壁ポテンシャル(Vh)は、−0.1≦Vh≦0.5eVの範囲にある。
    (g)前記障壁層の厚さ(d)は、1≦d≦5nmの範囲にある。
  2. 以下の構成をさらに備えた請求項1に記載の光電変換素子。
    (h)前記光電変換素子は、前記光吸収層と、前記正孔取り出し電極との間に形成された第2エネルギー選択性コンタクトを備えている。
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