JP2011086424A - 端子付電線の防食剤塗布方法、防食剤塗布端子付電線及び防食剤塗布用パレット - Google Patents
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Abstract
【課題】安定した供給量で防食剤の塗布作業を行えるようにすること。
【解決手段】端子付電線10を保持部72に保持する。粒状に形成された防食剤30を、案内部84を通じて、端子付電線10の芯線端部16の露出部分16a、16bに向けて案内しその露出部分16a、16b上で位置決め支持する。この状態で、露出部分16a、16b及び粒状の防食剤30を加熱することにより、粒状の防食剤30を溶融させて前記露出部分16a、16bに皮膜状に塗布する。
【選択図】図15
【解決手段】端子付電線10を保持部72に保持する。粒状に形成された防食剤30を、案内部84を通じて、端子付電線10の芯線端部16の露出部分16a、16bに向けて案内しその露出部分16a、16b上で位置決め支持する。この状態で、露出部分16a、16b及び粒状の防食剤30を加熱することにより、粒状の防食剤30を溶融させて前記露出部分16a、16bに皮膜状に塗布する。
【選択図】図15
Description
自動車及び機器用ハーネス等の端子付電線に対する電食抑制技術に関する。
自動車及び機器用ハーネスには、電線端部に金属端子が取付けられた端子付電線が組込まれることがあり、この端子付電線の芯線及び端子にはそれぞれ異種金属が採用されることがある。この場合、異種金属の接触部に電解質水溶液としての水分が付着すると、金属同士の標準電極電位差により、標準電極電位が低い金属に腐食(電食)が発生する恐れがある。このような異種金属間の電食を抑制する対策として、異種金属のうち電位が低い金属表面に対して防食剤による皮膜を形成する構成が考えられる。
被膜形成方法としては、各種ワセリン、グリース、或は、特許文献1に開示の処理剤のように常温で流動性を有する防食剤を、常温下で金属表面に塗布する方法がある。
しかしながら、上記のような防食剤は、熱或は溶剤等により、容易に揮発、溶出する恐れがあり、その防食効果が低下する恐れがある。
そこで、金属表面との密着性に優れ、長期間にわたって安定した防食効果を発揮し得るように、常温下では固体であり、所定の高温下で溶融して液体に変化する防食剤を、溶融させて金属表面に塗布する技術が種々開発されている。
しかしながら、上記のような芯線と端子との接触部近傍の防食対象部分には、塗布過多或は塗布不足を抑制するために、上記のような防食剤を適切な量ずつ供給する必要があるところ、溶融状態にある防食剤を一定量ずつ供給することは困難である。
そこで、この発明は、安定した供給量で防食剤の塗布作業を行えるようにすることを目的とする。
上記課題を解決するため、第1の態様に係る端子付電線の防食剤塗布方法は、電線に端子が圧着され、前記電線の芯線端部と前記端子とが異種金属である端子付電線に対して防食剤を塗布する、端子付電線の防食剤塗布方法であって、(a)粒状に形成された前記防食剤を、前記芯線端部の露出部分に配設する工程と、(b)前記芯線端部の露出部分及び粒状の前記防食剤を加熱することにより、粒状の前記防食剤を溶融させて前記芯線端部の露出部分に皮膜状に塗布する工程と、を備える。
第2の態様に係る端子付電線の防食剤塗布方法は、第1の態様に係る端子付電線の防食剤塗布方法であって、端子付電線を保持する保持部と、粒状の前記防食剤を、前記保持部により保持された前記端子付電線の前記芯線端部の露出部分に向けて案内しその露出部分上で位置決め支持する案内部とを備える防食剤塗布用パレットを用い、前記工程(a)は、前記端子付電線を前記保持部に保持させた状態で、粒状の前記防食剤を、前記案内部を通じて前記芯線端部の露出部分に配設する工程であり、前記工程(b)は、前記案内部により粒状の前記防食剤が前記芯線端部の露出部分上に位置決め支持された状態で、前記芯線端部の露出部分及び粒状の前記防食剤を加熱する工程とされている。
第3の態様に係る端子付電線の防食剤塗布方法は、第1又は第2の態様に係る端子付電線の防食剤塗布方法であって、前記工程(b)は、前記端子の端子嵌合部を冷却しつつ、前記芯線端部の露出部分及び粒状の前記防食剤を加熱することにより、粒状の前記防食剤を溶融させて、前記芯線端部の露出部分に皮膜状に塗布する工程とされたものである。
第4の態様に係る端子付電線の防食剤塗布端子付電線は、第1〜第3のいずれか一つに係る端子付電線の防食剤塗布方法によって防食剤が塗布されたものである。
また、上記課題を解決するため、第5の態様に係る防食剤塗布用パレットは、電線に端子が圧着され、前記電線の芯線端部と前記端子とが異種金属である端子付電線に対して防食剤を塗布するための防食剤塗布用パレットであって、端子付電線を保持する保持部と、粒状の前記防食剤を、前記保持部により保持された前記端子付電線の前記芯線端部の露出部分に向けて案内しその露出部分上で位置決め支持する案内部と、を備える。
第6の態様に係る防食剤塗布用パレットは、第5の態様に係る防食剤塗布用パレットであって、前記案内部は、粒状の防食剤が通過可能なフッ素樹脂製チューブを有し、前記フッ素樹脂製チューブの一端側開口を前記保持部により保持された前記端子付電線の前記芯線端部の露出部分に対向配置されることで、粒状の前記防食剤が前記フッ素樹脂製チューブを通って前記芯線端部の露出部分に向けて案内されてその露出部分上で位置決め支持されるようにしたものである。
第7の態様に係る防食剤塗布用パレットは、第5又は第6の態様に係る防食剤塗布用パレットであって、前記保持部に保持された前記端子付電線の端子のうち前記芯線端部に圧着可能な圧着部に対応して配設され、前記圧着部に熱伝達可能な加熱用部材をさらに備える。
第8の態様に係る防食剤塗布用パレットは、第5〜第7のいずれかの一つの態様に係る防食剤塗布用パレットであって、前記保持部に保持された前記端子付電線の端子の端子嵌合部に対応して配設され、前記端子嵌合部からの熱を伝達可能な冷却用部材をさらに備えるものである。
第1の態様に係る端子付電線の防食剤塗布方法によると、一定の大きさに揃えやすい粒状の防食剤を芯線端部の露出部分に配設し、芯線端部の露出部分及び粒状の防食剤を加熱することにより、その防食剤を溶融させて前記芯線端部の露出部分に皮膜状に塗布しているため、芯線端部の露出部分に対する防食剤の供給量をなるべく一定にすることができ、安定した供給量で防食剤の塗布作業を行える。
第2の態様によると、粒状の防食剤の供給作業及び供給後の加熱作業を容易に行うことができると共に、案内部により粒状の防食剤を安定した位置で芯線端部の露出部分に配設した状態で、加熱作業を行うことができ、防食剤の塗布状態がより安定する。
第3の態様によると、端子嵌合部を冷却しつつ、前記芯線端部の露出部分及び粒状の防食剤を加熱するため、加熱により溶融した防食剤が端子嵌合部に流れ込み難い。このため、端子嵌合部における接触不良等を抑制できる。
第4の態様によると、適切な量で防食剤が塗布された防食剤塗布端子付電線を得ることができる。
第5の態様に係る防食剤塗布用パレットによると、粒状の防食剤の供給作業及び供給後の加熱作業を容易に行うことができる。また、案内部により粒状の防食剤を安定した位置で芯線端部の露出部分に配設し、この位置で位置決めして加熱作業を行うことができるため、防食剤の配設位置及び加熱状況を安定させることができ、防食剤の塗布状態が安定する。
第6の態様によると、粒状の防食剤をスムーズに供給することができる。
第7の態様によると、加熱用部材により端子の圧着部を加熱することにより、芯線端部の露出部分及び粒状の防食剤を加熱し、もって溶融した防食剤を芯線端部の露出部分に塗布することができる。
第8の態様によると、端子嵌合部からの熱を冷却用部材に伝達して当該端子嵌合部を冷却することができる。これにより、前記芯線端部の露出部分及び粒状の防食剤を加熱しつつ、端子嵌合部を冷却することができ、加熱により溶融した防食剤が端子嵌合部に流れ込み難い。このため、端子嵌合部における接触不良等を抑制できる。
以下、実施形態に係る端子付電線の防食剤塗布方法、防食剤塗布端子付電線及び防食剤塗布用パレットについて説明する。
図1は端子付電線の防食剤塗布方法を示す工程図であり、図2は塗布対象となる端子付電線10を示す側面図である。
説明の便宜上、本塗布方法により防食剤を塗布する対象である端子付電線10について説明しておく。端子付電線10は、電線12に端子20が圧着されることにより構成されたものであり、特に、電線12の芯線端部16と端子20とが異種金属(ここでは特に標準電極電位が異なる場合をいう)により構成されている(図2参照)。
すなわち、電線12は、アルミニウム(或いはアルミニウム合金)線で構成された芯線と、芯線の外周に樹脂等を押出被覆等すること形成された被覆部14とを有している。芯線は、アルミニウム(或いはアルミニウム合金)素線を複数撚り合わせることにより、又は、アルミニウム(或いはアルミニウム合金)の単芯線により構成されている。そして、電線12の端部の被覆部14が皮剥され、その端部に芯線端部が露出している。以下、電線12の端部に露出した端部を芯線端部16として説明する。端子20は、一方向に長尺に形成され、その長手方向先端側から基端側に向けて順に、端子嵌合部22、芯線圧着部24及び被覆圧着部26を有している。これらの端子嵌合部22、芯線圧着部24及び被覆圧着部26は、端子20の長手方向において、端子20の底部26において相互連結され、底部26より上方部分では相互に離間している。
かかる端子20は、銅(或いは黄銅等の銅合金、或はこれらのスズメッキ)板を打ち抜き、屈曲等することにより形成されている。ここでは、端子20がメス端子である場合について説明する。もっとも、端子はオス端子であってもよい。
端子嵌合部22は、オス端子28等が挿入接続可能に構成されている。ここでは、端子嵌合部22は、端子20の長手方向に沿って貫通する筒状(より具体的には角筒状)に形成され、その内部にオス端子28が挿入接続可能に形成されている。なお、端子嵌合部22内部には、前記オス端子28接触用の接触片22aが備えられていることがある。なお、オス端子の場合、端子嵌合部は、略長方形平板状或は長尺棒状に形成される。
端子20のうち端子嵌合部22よりも基端側部分は、端子嵌合部22の一部から端子20の長手方向に延びる底部23から、芯線圧着部24及び被覆圧着部26が端子20の長手方向に直交する一方側に向けて突出するように形成されている。これらの芯線圧着部24及び被覆圧着部26は、電線12に対する圧着前の状態では、一方側が開口する断面視略U字形状に形成されている。
そして、電線12の芯線端部16が端子20のうち芯線圧着部24内に配設されると共に、被覆部14の端部が被覆圧着部26内に配設された状態で、芯線圧着部24及び被覆圧着部26が圧着用金型等により圧着される。これにより、芯線圧着部24が芯線端部16の長手方向中間部分にその外周囲略全体を覆うように圧着されると共に、被覆圧着部26が被覆部14のうちの芯線端部16側端部に圧着される。この状態では、芯線端部16の基端部は芯線圧着部24と被覆圧着部26との間に露出しており(以下、この部分を露出部分16bという場合がある)、芯線端部16の先端部は芯線圧着部24と端子嵌合部22との間に露出している(以下、この部分を露出部分16aという場合がある)。
なお、ここでは、端子付電線10について、電線12の端部に露出する芯線端部16に対して端子20を圧着する例で説明するが、必ずしもその必要はない。例えば、端子付電線は、電線の長手方向中間部に露出する芯線端部に、他の電線の芯線端部を接続するために、端子を圧着した構成であってもよい。
上記のような端子付電線10では、電線12の芯線端部16がアルミニウム(或はアルミニウム合金)により形成され、端子20が銅(或いは黄銅等の銅合金、或はこれらのスズメッキ)板により形成されている。このため、端子20の標準電極電位より芯線端部16の標準電極電位が低い。これにより、芯線圧着部24と芯線端部16との接触部近傍部分に水(電解質水溶液)が付着すると、芯線端部16の露出部分16a、16bに腐食(電食)が発生する恐れがある。本実施形態では、それらの露出部分16a、16b及びその近傍部分に、防食剤を皮膜状に塗布して覆うことで、電食を抑制する技術について説明する。
もっとも、圧着状態で、芯線圧着部24の両側側の圧着片端部間に隙間が設けられ、その部分に芯線端部16が露出していてもよい。この場合には、当該圧着片間の露出部分も防食剤の塗布対象とするとよい。すなわち、芯線端部16のうち端子20との接触部分近傍で外部に露出する部分が防食剤の塗布対象とされる。
この端子付電線10の防食剤塗布方法は、防食剤配設工程P1と、加熱工程P2とを備えている(図1参照)。
防食剤配設工程P1は、粒状に形成された防食剤30を、芯線端部16の露出部分16a、16bに配設する工程である(図2参照)。
ここで、防食剤30は、電食抑制対象箇所を覆うことで電食を抑制するものであり、キレート剤とも呼ばれる。この防食剤は、常温では固体であり、加熱されることにより溶融して液体に変化する物性を有している。上記粒状の防食剤30は、予め別工程にて粒状の固体に形成されている。粒状の防食剤30の形成方法例については後で説明する。本工程P1は、通常、常温下で実施され、上記防食剤30は、粒状の固体形態で、上記露出部分16a、16b上に載置上に配設される。
なお、粒状の防食剤30の大きさ(つまり、供給量)は、次の加熱工程P2によって、少なくとも露出部分16a又は露出部分16bの外周囲を覆うことができる程度の大きさ(量)であり、より好ましくは、芯線圧着部24表面にも付着できる程度の大きさ(量)である(図16参照)。適切な粒状防食剤30の大きさ(量)は、加熱工程P2後の端子付電線10の防食剤塗布状況を観察することによって、実験的経験的に決定することができる。また、粒状の防食剤30は、略球状、扁平な粒状、角柱状、円柱状等、いずれの形状であってもよい。
加熱工程P2は、露出部分16a、16b及び粒状の防食剤30の近傍部分を加熱することにより、粒状に形成された防食剤30を溶融させて、当該防食剤30を露出部分16a、16bに皮膜状に塗布する工程である(図16参照)。
加熱方法としては、例えば、ホットプレート等からの熱伝導を利用した加熱、高温槽等による熱伝達(対流)を利用した加熱、ハロゲンヒーター等による熱放射を利用した加熱等を挙げることができる。具体的な例については後に詳述する。
本加熱工程P2において、前記露出部分16a、16b及び粒状に形成された防食剤30が加熱され、防食剤30が溶融すると、防食剤30は、露出部分16a、16bを中心としてその近傍部分(芯線圧着部24等)表面に広がっていく。そして、この後、端子付電線10が自然冷却或は強制冷却されると、防食剤30は、露出部分16a、16bの表面及び芯線圧着部24の表面に皮膜状に塗布された状態で凝固し、防食構造部32が製造される(図16参照)。これにより、露出部分16a、16bが電食することを抑制している。
以上のように構成された端子付電線10の防食剤塗布方法によると、一定の大きさに揃えやすい粒状の防食剤30を芯線端部16の露出部分16a、16bに配設し、芯線端部16の露出部分16a、16b及び粒状の防食剤30を加熱することにより、その防食剤30を溶融させて芯線端部16の露出部分16a、16bに皮膜状に塗布しているため、安定した供給量で防食剤の塗布作業を行える。これにより、適切な量で防食剤30が塗布された防食剤塗布端子付電線10を得ることができる。
<粒状の防食剤製造例>
粒状の防食剤30の製造方法例について説明する。図3は、粒状の防食剤30を製造する工程を示す説明図である。同図では、平滑な主面を有する板部材40と、防食剤吐出部44を用いて粒状の防食剤30を連続的に形成している。
粒状の防食剤30の製造方法例について説明する。図3は、粒状の防食剤30を製造する工程を示す説明図である。同図では、平滑な主面を有する板部材40と、防食剤吐出部44を用いて粒状の防食剤30を連続的に形成している。
板部材40は、平滑な主面を上向きにした姿勢で一定位置に配設されている。この板部材40は、溶融した防食剤30を硬化可能な温度条件下、ここでは、常温条件下に配設されている。
防食剤吐出部44は、溶融された防食剤30を、予め設定された量ずつ、吐出可能に構成されている。ここでは、防食剤吐出部44は、防食剤30を吐出可能に軟化させた溶融状態(例えば、JISK7206等に規定されるビカット軟化温度以上、例えば、摂氏130度等)に加熱しつつ貯留する貯留部44aと、当該貯留部に貯留された溶融状態の防食剤30を吐出するノズル44bとを有しており、エア送給等による加圧機構によって前記防食剤吐出部44内を加圧することによって、前記ノズル44bから予め設定された量の防食剤30を吐出できるようになっている。なお、吐出する防食剤30の調整は、例えば、防食剤吐出部44に断続的に送給するエアの送給時間(エアパルス時間)を調整することによって行われる。このような防食剤吐出部44としては、いわゆるディスペンサと呼ばれるものを用いることができる。
そして、防食剤吐出部44が、板部材40の主面上の移動及び静止を繰返しつつ、各静止状態で、溶融された防食剤30を予め設定された量だけ吐出することを繰返す。すると、吐出された防食剤30が、板部材40の主面上で冷却、凝固して、粒状に形成される。これにより、複数の粒状の防食剤30を連続的に多数製造することができる。
粒状の防食剤30を製造する方法は、さらに他の方法によって製造することも可能である。例えば、長尺線状の防食剤を所定寸法ずつに切断する方法、或は、防食剤を金型に流し込んで製造する方法等を採用することができる。
また、粒状の防食剤30は、上記工程P1が実施される前に製造されていればよく、上記工程P1及びP2を実施する者によって製造されたものであっても、工程P1及びP2を実施する者以外の者によって製造されたものであってもよい。
図4は、粒状の防食剤30を選別して一つずつ取出す工程を示す説明図である。同図では、平板状の選別板50に選別孔52が形成されている。選別孔52は、端子付電線10への塗布に適した量に対応する大きさの粒径に応じた外径及び深さ寸法の貫通孔に形成されている。また、複数の選別孔52は、複数の各列において、間隔を有して直線状に並ぶように形成されている。また、選別板50の下方には、選別孔52の各列の下方に位置して、選別孔52の下方開口を閉塞する閉塞板54が当該列の延びる方向に沿ってスライド移動(挿脱)可能に配設されている。
そして、製造された複数の粒状の防食剤30を、選別板50上に流し込むように供給し、選別板50をその面方向に揺らす。すると、選別孔52内に嵌り込み可能な大きさを有する粒状の防食剤30が選別孔52内に嵌り込み、選別孔52内に嵌り込み不能な大きさの粒状の防食剤30は、選別孔52内に嵌り込まないで選別板50上に残存する。そして、選別板50上に残存する粒状の防食剤30を除去することにより、端子付電線10に対して過大な塗布量となる粒状の防食剤30を排除することができる。
次に、図5に示すように、上記のように各選別孔52内に粒状の防食剤30が嵌り込んだ状態で、閉塞板54を、選別板50下から外方へずらしていくと、列状に並ぶ複数の選別孔52の下方開口が順次開放され、当該選別孔52に嵌り込んだ粒状の防食剤30を順次取出していくことができる。
各選別孔52から取出された粒状の防食剤30は、直接的に後述する防食剤塗布用パレット70に供給されてもよいし、或は、一旦別箇所に貯留された後、防食剤塗布用パレット70に供給されてもよい。
<防食剤塗布用パレット及び塗布装置>
端子付電線10に対して防食剤30を塗布するための防食剤塗布用パレット及び防食剤塗布用パレットを含む塗布装置について説明する。
端子付電線10に対して防食剤30を塗布するための防食剤塗布用パレット及び防食剤塗布用パレットを含む塗布装置について説明する。
図6は塗布装置60の全体構成を示す側面図である。この塗布装置60は、加熱装置62と、冷却介在装置64と、防食剤塗布用パレット70とを備えており、加熱装置62上に、冷却介在装置64を介して、防食剤塗布用パレット70が載置状に配設されている。
加熱装置62は、上面が平坦な加熱板62aの下方に電熱線等の加熱部62bを配設した装置であり、いわゆるホットプレートと呼ばれる装置である。そして、前記加熱部62bにより加熱板62aが加熱され、加熱板62aの上面が所定の温度に昇温されるようになっている。
図7は冷却介在装置64を示す平面図である。図6及び図7に示すように、この冷却介在装置64は、冷却部65と、冷却部支持部66と、介在伝熱部67と、取付ブラケット68とを有している。
冷却部65は、アルミニウム、銅、鉄等の金属で形成された略直方体状部材に形成されている。冷却部65内には、孔状又は溝状の媒体流通路65Pが蛇行状に形成されており、その媒体流通路65Pの両端は、冷却部65の一側部の両端部分に媒体入出口65Paとして外部に開口している。そして、ポンプ等を利用した冷媒供給源69からの冷媒(水(液体)又は空気(気体))を、一方側の媒体入出口65Paを介して媒体流通路65P内に導入すると共に他方側の媒体入出口65Pbから導出するようにして、媒体流通路65P内に循環供給することで、冷却部65が冷却されるようになっている。
もっとも、冷却部としては、上記構成に限られるものではなく、熱を発散し得る各種構成を採用し得る。例えば、冷却部としては、フィン状の部分を有する構成、或は、冷却対象に対して送風する機構等を採用することができる。
冷却部支持部66は、セラミックス等、耐熱性及び断熱性に優れた材料(特に、冷却部65及び介在伝熱部67よりも断熱性に優れた材料)により形成されている。冷却部支持部66は、冷却部65を載置支持可能な底部66aと、底部66aの一側部から上方に突出する壁部66bとを有している。この底部66aの上面と壁部66bの内向き面との間で、冷却部65を配設可能な側面視略L字状の凹部66cが形成されており、冷却部65が当該凹部66c内に配設固定された状態で、ネジ等により取付固定されている。そして、本冷却介在装置64を加熱板62a上に配設した状態で、冷却部65と加熱板62aとの間に、冷却部支持部66の底部66aが介在し、加熱板62aからの熱が冷却部65に伝わり難い構成とされている。また、次述する介在伝熱部67が、壁部66bの外面に対して密接状に固定され、当該壁部66bによって冷却部65と介在伝熱部67との間での熱的な遮断が図られている。
また、介在伝熱部67は、アルミニウム、銅、鉄等の金属で形成された略直方体状部材に形成されており、上記加熱板62a上に密接状に載置されることで、当該加熱板62aの熱を上面に伝達可能に構成されている。
取付ブラケット68は、セラミックス等、耐熱性及び断熱性に優れた材料により、略直方体状に形成されている。また、取付ブラケット68の上面部分には、防食剤塗布用パレット70を位置決めするための位置決孔68hが形成されている。本取付ブラケット68は、介在伝熱部67を挟んで、冷却部65及び冷却部支持部66の反対側に配設されている。そして、本取付ブラケット68側から図示省略のネジが取付ブラケット68及び介在伝熱部67を挿通して冷却部支持部66に締結されることで、取付ブラケット68及び介在伝熱部67が冷却部支持部66に取付固定されている。この一体化形態で、冷却部支持部66、介在伝熱部67及び取付ブラケット68の底部は同一平面状に配設されており、本冷却介在装置64を加熱板62a上に安定して載置できるようになっている。なお、同一体化形態で、冷却部65及び介在伝熱部67の上面も、同一平面状に配設され、冷却部65上に冷却用部材82が面接触状に配設され、介在伝熱部67上に加熱用部材80が同じく面接触状に配設されるようになっている。
図8は防食剤塗布用パレット70を示す平面図であり、図9は図8のIX−IX線断面図であり、図10は図8のX−X線断面図であり、図11は図8のXI−XI線断面図であり、図12は防食剤塗布用パレット70の案内部を示す平面図であり、図13は図12のXIII−XIII線断面図であり、図14は図8のXIV−XIVにおいて端子付電線10を保持した状態を示す説明図である。
図6、図8〜図14に示すように、この防食剤塗布用パレット70は、保持部72と、案内部84とを備えている。
保持部72は、端子付電線10を一定姿勢で保持可能に構成されている。ここでは、保持部72は、複数の端子付電線10を、間隔を有して略並列姿勢で保持可能に構成されている。
より具体的には、保持部72は、基板部74と、電線抑え部75と、先端側挟持部76と、先端側抑え部77とを備えている。
基板部74は、セラミックス等、耐熱性及び断熱性に優れた材料により、略方形板状に形成されており、その一主面の両側部に一対の側壁部73がねじ止等により固定されている。側壁部73の突出面長手方向中間部には、案内部84を位置決め保持するための案内部保持凹部73aが形成されている。
基板部74のうち上記一対の側壁部73で囲まれる領域の略中間部には、当該一対の側壁部73を結ぶ方向に沿って長い細長四角状の開口部74hが形成されている。基板部74の一主面のうち、前記開口部74hを挟んで一端側部分74a上に電線抑え部75が配設され、他端側部分74b上に先端側挟持部76及び先端側抑え部77が配設されている。
基板部74の一端側部分74aには、複数の電線収容溝74gが間隔を有して並列状に形成されている。各電線収容溝74gは、基板部74の一端側縁部から開口部74hに至る直線状の溝であり、電線12を収容可能な幅及び深さを有している(図9参照)。そして、複数の電線12が、各電線収容溝74g内に収容されて並列状に保持される。
電線抑え部75は、金属板等により、基板部74の一端側部分74a上に配設可能な板状に形成されている。そして、上記各電線収容溝74g内に電線12を収容した状態で、電線抑え部75を当該一端側部分74a上に配設する。この状態で、ネジS1が電線抑え部75のネジ挿通溝75aを通って基板部74の一端側部分74aにネジ締め固定されると、電線抑え部75が一端側部分74a上に積層状態で固定される。これにより、電線収容溝74gからの電線12の抜止め保持がなされるようになっている。
なお、ネジS1の先端部は、基板部74の底面に突出しており、上記取付ブラケット68の位置決孔68h内に嵌め込み可能に構成されている。
また、上記電線抑え部75のネジ挿通溝75aは、電線抑え部75の一側部に開口する平面視略U字状溝に形成されている。これにより、ネジS1を若干緩めた状態で、電線抑え部75を外側方にずらすことにより、当該電線抑え部75を容易に着脱できるようになっている。
先端側挟持部76及び先端側抑え部77は、セラミックス等、耐熱性及び断熱性に優れた材料により形成された部材であり、基板部74の他端側部分74b及び開口部74hのうち他端側部分74bよりの部分上に配設可能な略方形板状に形成されている。
先端側挟持部76のうち開口部74h上に配設される部分には、スリット状の収容溝76aが並列状に複数形成されている。各収容溝76aは、端子嵌合部22を一定位置及び一定姿勢にて保持可能な大きさに形成されている。ここでは、各収容溝76aは、端子嵌合部22の幅寸法及び厚み寸法と略同じ幅寸法及び厚み寸法を有し、さらに、端子嵌合部22の長さ寸法と略同じ長さ寸法を有しており、端子嵌合部22の略全体を収容溝76a内に収容保持できるようになっている。
そして、先端側挟持部76及び先端側抑え部77が、基板部74の他端側部分74b及び開口部74hのうち他端側部分74bよりの部分上に配設された状態で、基板部74にネジ等により固定されている。
この防食剤塗布用パレット70では、基板部74の一端側部分74aと電線抑え部75とによって電線12を保持する部分が構成されている。また、先端側挟持部76及び先端側抑え部77によって端子20の端子嵌合部22を保持する部分が構成されている。もっとも、端子嵌合部22の先端部等、その位置を保持する構成であってもよい。また、基板部74の一端側部分74aと、先端側挟持部76及び先端側抑え部77との間には、芯線圧着部24の長さ寸法よりも大きな空間が設けられており、上記保持状態において、当該空間に端子付電線10のうち露出部分16a、16b及び芯線圧着部24が露出して配設されるようになっている。もっとも、保持部は、端子付電線10の少なくとも一部を保持することで、当該端子付電線10を一定姿勢で保持可能であればよい。
また、この防食剤塗布用パレット70には、加熱用部材80及び冷却用部材82が取付けられている。
加熱用部材80は、上記保持部72に保持された端子付電線10の端子20のうち芯線圧着部24に対応する部分に、当該芯線圧着部24に熱伝達可能な態様で配設されている。
より具体的には、加熱用部材80は、アルミニウム、銅、鉄等の金属により、開口部74hのうち一端側部分74aよりの部分に配設可能な略方形厚板状に形成されている。この加熱用部材80は、上記開口部74hのうち一端側部分74aよりの位置に配設した状態で、基板部74の底面にねじ止等により固定されている。この状態で、加熱用部材80の底面は、基板部74の底面よりも下方に突出している。また、端子付電線10が保持部72により保持された状態で、加熱用部材80が端子20の芯線圧着部24の底面に接触可能とされている。これにより、上記加熱装置62で生じた熱を、介在伝熱部67を介して加熱用部材80に伝達することで、芯線圧着部24及び芯線圧着部24により圧着された芯線端部16(露出部分16a、16bを含む)、さらに露出部分16a、16b上に配設された粒状の防食剤30を加熱できるようになっている。
冷却用部材82は、保持部72に保持された端子付電線10の端子20のうち端子嵌合部22からの熱を伝達可能に配設されている。ここで、端子嵌合部22からの熱を伝達するとは、例えば、端子嵌合部22からの熱を吸収して当該端子嵌合部22の温度を下げるように、当該端子嵌合部22からの熱を自己に或は外部に伝達する場合をいう。
また、冷却用部材82は、アルミニウム、銅、鉄等の金属により、開口部74hのうち他端側部分74bよりの部分に配設可能な略方形厚板状に形成されている。この冷却用部材82は、上記開口部74hのうち他端側部分74bよりの位置に配設した状態で、基板部74の底面にねじ止等により固定されている。この状態で、冷却用部材82と上記加熱用部材80との間には、隙間が設けられており、冷却用部材82と上記加熱用部材80との間で熱的な遮断が図られている。また、冷却用部材82の底面は、基板部74の底面よりも下方に突出し、上記加熱用部材80の底面と略同一面上に配設されている。さらに、端子付電線10が保持部72により保持された状態で、冷却用部材82が先端側挟持部76及び先端側抑え部77によって保持された端子嵌合部22の底面に接触可能とされている。これにより、端子嵌合部22の熱を、冷却用部材82から冷却部65に伝達して、端子嵌合部22を冷却できるようになっている。
案内部84は、上記保持部72に組付けられ、粒状の防食剤30を、保持部72により保持された端子付電線10の芯線端部16の露出部分16a、16bに向けて案内し、その露出部分16a、16b上で位置決め支持可能に構成されている。
より具体的には、案内部84は、案内基板部86と、チューブ部88とを有している。
案内基板部86は、上記一対の側壁部73の外面よりも長い略長方形板状に形成されている。案内基板部86の短寸方向の寸法は、上記側壁部73の案内部保持凹部73a内に配設可能な寸法に設定され、また、案内基板部86の両端部には、位置決突部86aが突設されている。そして、一対の位置決突部86aを一対の側壁部73の外面に当接させるようにしつつ、案内基板部86の両端部を案内部保持凹部73a内に配設することで、案内部84が保持部72に対して一定位置及び姿勢で取付及び保持されるようになっている。
もっとも、保持部と案内部とは一定位置及び姿勢で保持されればよく、そのための構成は上記例に限られない。例えば、保持部又は案内部の一方に突設されたガイドロッドが他方に形成されたガイド孔に嵌め込まれる構成、保持部と案内部とが、ピン又はネジ等を介して合体される構成等であってもよい。
また、案内基板部86のうち、保持部72により保持される複数の端子付電線10の各露出部分16a、16bに対応する位置(つまり、露出部分16a、16bの上方位置)にはチューブ取付孔87が複数形成されている。チューブ取付孔87は、案内基板部86の両面に貫通する孔であり、ここでは、チューブ取付孔87は、露出部分16a及び露出部分16bに対応して2列設けられている。また、各列では、複数のチューブ取付孔87が、各端子20の間隔に対応する間隔を有して形成されている。
チューブ部88は、上記チューブ取付孔87に挿入可能でかつ当該チューブ取付孔87から露出部分16a、16bの手前に向けて延在可能に構成されている(図12〜図14参照)。
ここでは、チューブ部88は、フッ素樹脂製(例えば、テフロン(登録商標)製)チューブにより構成されている。フッ素樹脂製チューブは、耐熱性に優れると共に、表面をなめらかにできるため、粒状の防食剤30を円滑に送込むことができるというメリットがある。
また、チューブ部88は、上記チューブ取付孔87内に挿通保持されており、その一端部である先端部は、保持部72により保持された端子付電線10の露出部分16a、16bに向けて延出し、当該先端側開口が当該露出部分16a、16bに対向配置されている。チューブ部88の先端側開口は、粒状の防食剤30を露出部分16a、16bに向けて送込み可能で、かつ、送込んだ粒状の防食剤30を当該露出部分16a、16b上で位置決め支持可能な位置に配設されている(図15参照)。より具体的には、先端側開口は露出部分16a、16bに対しては非接触であり、かつ粒状の防食剤30が露出部分16a、16b上に配設された状態で、粒状の防食剤30の上端部がチューブ部88の先端側開口内に部分的に配設された状態となって、当該粒状の防食剤30が露出部分16a、16b上から脱落せずに位置決めされるようになっている。例えば、粒状の防食剤30が球形であるとした場合、チューブ部88の先端面と露出部分16a、16bとの間の距離が、当該粒状の防食剤30の直径よりも小さくなるように設定されている。これにより、粒状の防食剤30がチューブ部88を介して露出部分16a、16b上に案内されると、チューブ部88の先端側開口によって当該粒状の防食剤30が露出部分16a、16b上で位置決め支持されるようになっている。なお、チューブ部88の上方開口はチューブ取付孔87の上方開口と略一致している。
上記防食剤塗布用パレット70を用いた防食剤配設工程P1及び加熱工程P2について説明する。
まず、防食剤塗布用パレット70を準備し、保持部72から案内部84を取外し、さらに、ネジS1を緩めて、電線抑え部75を取外す。そして、端子付電線10の端子嵌合部22を各収容溝76a内に挿入すると共に、電線12の端部を基板部74の一端側部分74aの電線収容溝74g内に配設する。これを繰返して、複数の端子付電線10を、各収容溝76a及び各電線収容溝74g内に配設し、複数の端子付電線10を保持部72により並列状に保持する。そして、電線抑え部75を外側方からスライドするようにして、基板部74の一端側部分74a上に重ね合せ、ネジS1をネジ締めする。この後、案内部84を保持部72上の所定位置に配設する。これにより、図14に示すように、保持された端子付電線10の露出部分16a、16bの上方に、チューブ部88の先端側開口が対向状に配設された状態となる。
この状態で、図15に示すように、粒状の防食剤30を、案内部84の上方に開口するチューブ部88の開口内に入れる。すると、粒状の防食剤30が落下するようにしてチューブ部88内を通り露出部分16a、16b上に送込まれる。この状態では、粒状の防食剤30は、露出部分16a、16b上に載置されると共に、その上端部がチューブ部88の下側開口内に配設されて露出部分16a、16bから側方にずり落ちないように位置決めされた状態となっている(図15の2点鎖線参照)。
この後、図16に示すように、防食剤塗布用パレット70を冷却介在装置64上に配設し、冷却介在装置64を加熱装置62上に配設する。そして、加熱装置62による加熱及び冷却部65による冷却を行う。加熱装置62からの熱は、介在伝熱部67を介して加熱用部材80に伝達される。すると、加熱用部材80に接触している芯線圧着部24が加熱されると共に、芯線圧着部24により圧着されている芯線端部16(露出部分16a、16bを含む)が加熱され、さらに、露出部分16a、16b上に配設されている粒状の防食剤30が加熱される。これにより、粒状の防食剤30が溶融し、露出部分16a、16bを中心とする周辺に広がる。
この加熱の際、端子20の端子嵌合部22の熱は、冷却用部材82を介して冷却部65に伝達され吸収されるため、端子嵌合部22は冷却される。つまり、端子嵌合部22を冷却しつつ、露出部分16a、16b及び粒状の防食剤30の加熱作業を行う。このため、溶融した防食剤30が端子嵌合部22に広がろうとすると、温度が下がって凝固しようとする。このため、溶融した防食剤30が端子嵌合部22に流れ込むことを抑制することができる。
そして、その後、防食剤塗布用パレット70を加熱装置62から取外し、或は、加熱装置62による加熱動作を停止して、冷却(強制冷却、自然冷却のいずれであってもよい)することにより、防食剤30が、露出部分16a、16bの表面及び芯線圧着部24の表面に皮膜状に塗布された状態で凝固し、防食構造部32が製造される(図16、特に網線部分参照)。これにより、露出部分16a、16bが電食することを抑制している。
以上のように構成された防食剤塗布方法及び防食剤塗布用パレットによると、粒状の防食剤30を案内部84により芯線端部16の露出部分16a、16b上に送込み、案内部84により粒状の防食剤30を当該露出部分16a、16b上で位置決めした状態で加熱作業を行うことができるため、粒状の防食剤30の供給作業及び供給後の加熱作業を容易に行うことができる。また、案内部84により粒状の防食剤30を安定した位置で露出部分16a、16b上に位置決めした状態で、加熱作業を行うことができ、防食剤30の塗布状態がより安定する。
また、防食剤30の供給量の厳密な管理等を不要にすることができるため、装置の維持管理が容易になると共に、コスト削減にも貢献する。
さらに、防食剤塗布用パレット70に複数の端子付電線10を保持し、それぞれの露出部分16a、16bに粒状の防食剤30を供給して、複数の端子付電線10に対して同時に防食剤30の塗布作業を行えるため、端子付電線10の加工時間の短縮化が可能となる。
また、端子嵌合部22を冷却しつつ、芯線端部16の露出部分16a、16b及び粒状の防食剤30を加熱するため、加熱により溶融した防食剤30が端子嵌合部22に流れ込み難い。このため、防食剤30の影響による端子嵌合部22における接触不良等を抑制することができる。
また、防食剤30を、フッ素樹脂製チューブにより構成されたチューブ部88を用いて露出部分16a、16bに送込んでいるため、粒状の防食剤30をスムーズに露出部分16a、16bに向けて送込むことができる。
また、保持部72に加熱用部材80が取付けられているため、当該保持部72で端子付電線10を保持して、粒状の防食剤30を供給したそのままの状態で、簡易に露出部分16a、16b及び粒状の防食剤30の加熱を行うことができる。
また、保持部72に冷却用部材82が取付けられているため、当該保持部72で端子付電線10を保持して、粒状の防食剤30を供給したそのままの状態で、簡易に端子嵌合部22を冷却することができる。
<変形例>
もっとも、上記防食剤配設工程P1或は加熱工程P2を実施する方法及び装置は、上記例に限られない。
もっとも、上記防食剤配設工程P1或は加熱工程P2を実施する方法及び装置は、上記例に限られない。
例えば、粒状の防食剤30を案内するチューブ部88は、上記のようにフッ素樹脂製チューブにより構成されている必要はない。例えば、案内部は、粒状の防食剤を送込む金属製の管を有する構成であってもよい。要するに、案内部は、粒状の防食剤を送込む孔或は溝を有していればよい。
また、上記実施形態では、加熱装置62からの熱を介在伝熱部67及び加熱用部材80を介して芯線圧着部24、芯線端部16及び粒状の防食剤30に伝達する例を示したが、必ずしもそのような構成である必要はない。電熱線等の加熱部を組込んだ加熱用部材を、芯線圧着部24に接触可能に或はその近傍に配設して、芯線圧着部24、芯線端部16及び粒状の防食剤30をより直接的に加熱するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、端子嵌合部22からの熱を、冷却用部材82を介して冷却部65で吸収する構成としたが、必ずしもそのような構成である必要はない。例えば、冷却媒体の通路或は冷却用のフィン等を設けた冷却用部材を、端子嵌合部22に接触可能に或はその近傍に配設し、当該端子嵌合部22をより直接的に冷却するようにしてもよい。
また、防食剤塗布用パレット70に保持された端子付電線10の露出部分16a及び粒状の防食剤30を加熱する方法及び装置は、上記例に限られない。
例えば、図17に示すように、高温槽90を用いて加熱を行ってもよい。
すなわち、高温槽90は、外部との間で断熱を施した筐体92に、その内部空間を加熱するヒータ及びその内部空間温度を測定して当該内部空間を設定温度に保つようにヒータを制御する温度制御機構等を組込んだ構成とされ、高温槽90の内部空間が、防食剤30を溶融可能な温度(例えば、摂氏130度)に保たれている。
そして、端子付電線10を保持した防食剤塗布用パレット70を、高温槽90内に配設する。これにより、前記露出部分16a、16b及び粒状の防食剤30が加熱され、当該粒状の防食剤30が溶融し、図16に示す場合と同様に、防食剤30が露出部分16a、16bの表面に皮膜状に塗布された状態で凝固し、防食構造部32が製造される。
また、例えば、上記冷却用部材82を取外し、防食剤塗布用パレット70の下方から芯線圧着部24近傍にハロゲンヒーター等からの熱線を照射して、露出部分16a、16b及び粒状の防食剤30を加熱するようにしてもよい。
このように、上記防食剤塗布用パレット70を用いた場合でも、露出部分16a、16b及び粒状の防食剤30の加熱は、熱が固体を伝わる原理、熱が気体等の流体の移動を介して伝わる原理、熱線(電磁波)を利用した原理等、各種原理を利用して行うことができる。
10 端子付電線
12 電線
16 芯線端部
16a、16b 露出部分
20 端子
22 端子嵌合部
24 芯線圧着部
30 防食剤
60 塗布装置
62 加熱装置
64 冷却介在装置
65 冷却部
67 介在伝熱部
70 防食剤塗布用パレット
72 保持部
74g 電線収容溝
76a 収容溝
80 加熱用部材
82 冷却用部材
84 案内部
88 チューブ部
P1 防食剤配設工程
P2 加熱工程
12 電線
16 芯線端部
16a、16b 露出部分
20 端子
22 端子嵌合部
24 芯線圧着部
30 防食剤
60 塗布装置
62 加熱装置
64 冷却介在装置
65 冷却部
67 介在伝熱部
70 防食剤塗布用パレット
72 保持部
74g 電線収容溝
76a 収容溝
80 加熱用部材
82 冷却用部材
84 案内部
88 チューブ部
P1 防食剤配設工程
P2 加熱工程
Claims (8)
- 電線に端子が圧着され、前記電線の芯線端部と前記端子とが異種金属である端子付電線に対して防食剤を塗布する、端子付電線の防食剤塗布方法であって、
(a)粒状に形成された前記防食剤を、前記芯線端部の露出部分に配設する工程と、
(b)前記芯線端部の露出部分及び粒状の前記防食剤を加熱することにより、粒状の前記防食剤を溶融させて前記芯線端部の露出部分に皮膜状に塗布する工程と、
を備える端子付電線の防食剤塗布方法。 - 請求項1記載の端子付電線の防食剤塗布方法であって、
端子付電線を保持する保持部と、粒状の前記防食剤を、前記保持部により保持された前記端子付電線の前記芯線端部の露出部分に向けて案内しその露出部分上で位置決め支持する案内部とを備える防食剤塗布用パレットを用い、
前記工程(a)は、前記端子付電線を前記保持部に保持させた状態で、粒状の前記防食剤を、前記案内部を通じて前記芯線端部の露出部分に配設する工程であり、
前記工程(b)は、前記案内部により粒状の前記防食剤が前記芯線端部の露出部分上に位置決め支持された状態で、前記芯線端部の露出部分及び粒状の前記防食剤を加熱する工程である、端子付電線の防食剤塗布方法。 - 請求項1又は請求項2記載の端子付電線の防食剤塗布方法であって、
前記工程(b)は、前記端子の端子嵌合部を冷却しつつ、前記芯線端部の露出部分及び粒状の前記防食剤を加熱することにより、粒状の前記防食剤を溶融させて、前記芯線端部の露出部分に皮膜状に塗布する工程である、端子付電線の防食剤塗布方法。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の端子付電線の防食剤塗布方法によって防食剤が塗布された防食剤塗布端子付電線。
- 電線に端子が圧着され、前記電線の芯線端部と前記端子とが異種金属である端子付電線に対して防食剤を塗布するための防食剤塗布用パレットであって、
端子付電線を保持する保持部と、
粒状の前記防食剤を、前記保持部により保持された前記端子付電線の前記芯線端部の露出部分に向けて案内しその露出部分上で位置決め支持する案内部と、
を備える防食剤塗布用パレット。 - 請求項5記載の防食剤塗布用パレットであって、
前記案内部は、粒状の防食剤が通過可能なフッ素樹脂製チューブを有し、前記フッ素樹脂製チューブの一端側開口を前記保持部により保持された前記端子付電線の前記芯線端部の露出部分に対向配置されることで、粒状の前記防食剤が前記フッ素樹脂製チューブを通って前記芯線端部の露出部分に向けて案内されてその露出部分上で位置決め支持される、防食剤塗布用パレット。 - 請求項5又は6に記載の防食剤塗布用パレットであって、
前記保持部に保持された前記端子付電線の端子のうち前記芯線端部に圧着可能な圧着部に対応して配設され、前記圧着部に熱伝達可能な加熱用部材をさらに備える、防食剤塗布用パレット。 - 請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の防食剤塗布用パレットであって、
前記保持部に保持された前記端子付電線の端子の端子嵌合部に対応して配設され、前記端子嵌合部からの熱を伝達可能な冷却用部材をさらに備える、防食剤塗布用パレット。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2020166997A (ja) * | 2019-03-29 | 2020-10-08 | 矢崎総業株式会社 | 端子付き電線の製造装置および端子付き電線の製造方法 |
-
2009
- 2009-10-14 JP JP2009236918A patent/JP2011086424A/ja active Pending
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