JP2011079872A - 熱輸送媒体組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱伝導率を高めることの容易な熱輸送媒体組成物を提供する。
【解決手段】熱輸送媒体組成物には、使用温度において液体である基剤と、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーの少なくとも一方の熱伝導性材料とが含有されている。熱伝導性材料のアスペクト比は20以上である。熱伝導性材料は、ラマン分光分析のGバンド及びDバンドにおいてGバンドの強度(G)に対するDバンドの強度(D)の強度比(D/G比)が0.7以下の条件と、熱重量分析で測定される熱分解温度が700℃以上の条件とを満たしている。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えば内燃機関及びモーターの冷却液、例えば給湯、暖房、冷房及び冷凍システムの熱媒体、並びに例えば融雪システム及びロードヒーティングの熱媒体として用いられることで、熱源からの熱を輸送する熱輸送媒体組成物に関する。
使用温度において液体である基剤を含有する熱輸送媒体組成物は、例えば内燃機関及びモーターの冷却液として利用されている。熱輸送媒体組成物は、廃熱源から廃熱を熱交換器へ輸送する用途の他に、加熱源から熱を輸送して加熱対象物を加熱する用途にも利用されている。こうした熱輸送の効率を高める手段の一つとして、熱輸送媒体組成物の熱伝導率を高めることが所望されている。特許文献1には、冷却液組成物において、カーボンナノチューブを含有することで熱伝導率を高める構成が開示されている。また、カーボンナノチューブにおける直径に対する長さの比の増大、すなわちアスペクト比の増大は、カーボンナノチューブ/水分散系の熱伝導性を高めることが報告されている(非特許文献1参照)。
特開2006−291002号公報
Xing Zhang;Hua Gu;Motoo Fujii,Effective thermal conductivity and thermal diffusivity of nanofluids containing spherical and cylindrical nanoparticles,Journal of Applied Physics, Volume 100, 044325(2006)
ところで、カーボンナノチューブのアスペクト比は、熱輸送媒体組成物の熱伝導率を高める因子となり得るものの、アスペクト比のより高いカーボンナノチューブであっても、熱輸送媒体組成物の熱伝導率の上昇度合いが低いという問題があった。本発明は、熱輸送媒体組成物において、熱伝導率を顕著に高めることのできるカーボンナノチューブを見出すことでなされたものである。
本発明の目的は、熱伝導率を高めることの容易な熱輸送媒体組成物を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の熱輸送媒体組成物は、使用温度において液体である基剤と、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーの少なくとも一方の熱伝導性材料とを含有してなり、前記熱伝導性材料のアスペクト比が20以上である熱輸送媒体組成物であって、前記熱伝導性材料は、ラマン分光分析のGバンド及びDバンドにおいて前記Gバンドの強度(G)に対する前記Dバンドの強度(D)の強度比(D/G比)が0.7以下の条件と、熱重量分析で測定される熱分解温度が700℃以上の条件とを満たすことを特徴とする熱輸送媒体組成物。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の熱輸送媒体組成物において、更に、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種の分散剤を含有してなることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の熱輸送媒体組成物において、前記基剤として、水、アルコール類、グリコール類、及びグリコールエーテル類から選ばれる少なくとも一種を含むことを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の熱輸送媒体組成物において、前記基剤として、鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも一種を含むことを要旨とする。
本発明によれば、熱伝導率を高めることの容易な熱輸送媒体組成物を提供することができる。
以下、本発明の熱輸送媒体組成物を具体化した実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の熱輸送媒体組成物には、使用温度において液体である基剤と、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーの少なくとも一方の熱伝導性材料とが含有されている。
基剤は、熱輸送媒体組成物の主成分であり、熱伝導性材料の分散媒として含有される。基剤は、水性の基剤と油性の基剤とに分類される。水性の基剤としては、好ましくは、水、アルコール類、グリコール類、及びグリコールエーテル類から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。
アルコール類としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、及びオクタノールが挙げられる。
グリコール類としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール及びヘキシレングリコールが挙げられる。
グリコールエーテル類としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、及びテトラエチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。
油性の基剤としては、鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。合成油としては、例えばポリブテン又はその水素化物、ポリα−オレフィン又はその水素化物、ジエステル、ポリオールエステル、マレイン酸ジブチル等のジカルボン酸類と炭素数2〜30のα−オレフィンとの共重合体、及び芳香族系合成油が挙げられる。α−オレフィン又はその水素化物としては、例えば1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリα−オレフィン、及びその水素化物が挙げられる。ジエステルとしては、ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、及びジ−2−エチルヘキシルセバケートが挙げられる。ポリオールエステルとしては、例えばトリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、及びペンタエリスリトールペラルゴネートが挙げられる。
こうした基剤は、単独種を選択するか、又は複数種を相溶させることで、熱輸送媒体組成物の使用される温度よりも凝固点が低くなるように構成される。これにより、熱輸送媒体組成物は、その使用温度において液状とされることで、その組成物の流動性を確保する。
熱輸送媒体組成物中における基剤の含有量は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上である。
熱伝導性材料は、熱輸送媒体組成物の熱伝導率を高める。カーボンナノチューブ(CNT)は、六角網目状のグラファイトシート(グラフェン)が円筒状をなした構造を有している。なお、グラファイトシートの単層から形成されているものは、単層カーボンナノチューブ(SWNT)と呼ばれ、グラファイトシートの多層から形成されているものは多層カーボンナノチューブ(MWNT)と呼ばれている。こうしたカーボンナノチューブの直径は、数nm(例えば1nm〜20nm程度)であり、長さは数μm(例えば0.1μm〜100μm程度)である。カーボンナノチューブとしては、フラーレンを内包したものであってもよい。カーボンナノファイバー(CNF)は、例えば直径が約100nmから10μm程度のカーボンファイバーを含む。
こうした熱伝導性材料の直径に対する長さの比、すなわちアスペクト比が20以上の形状をなすことで、上記基剤に分散させた際に熱伝導性を高める効果が発揮される。アスペクト比は、例えば粒度分布画像解析装置を用いたフロー方式画像解析法及び電子顕微鏡写真を用いて測定することができる。なお、熱伝導性材料の入手が容易であるという観点から、アスペクト比は10000以下であることが好ましい。なお、熱伝導性材料の直径は、好ましくは1nm〜10μmの範囲であり、より好ましくは1nm〜1000nmの範囲である。
熱輸送媒体組成物に含有される熱伝導性材料は、ラマン分光分析のGバンド及びDバンドにおいて、Gバンドの強度(G)に対するDバンドの強度(D)の強度比(D/G比)が0.7以下の条件を満たしている。
ラマン分光分析におけるDバンドは、1285〜1400cm−1の帯域、特に1350cm−1付近に発現するラマンシグナルである。Dバンドの強度は、上記熱伝導性材料の結晶性と相関性があり、結晶の欠陥が多いほど、Dバンドの強度が大きくなる。すなわち、Dバンドは、アモルファスカーボンに由来するピークである。ラマン分光分析におけるGバンドは、1580〜1595cm−1の帯域、特に1590cm−1付近に発現するラマンシグナルである。Gバンドのラマンシグナルは、グラファイトに基づくものであって、炭素のsp2結合の存在を示している。なお、上記強度比(D/G比)は、結晶の欠陥を有しない熱伝導性材料の場合は、Dバンドにおいてラマンシグナルが確認されないため、理論的には“0”となる。
熱伝導性材料は、熱重量分析(TGA)で測定される熱分解温度が700℃以上の条件を満たしている。この熱分解温度は、昇温速度5℃/minの条件で得られるDTA曲線(示差熱分析曲線)のピークが最大値を示す温度である。こうした熱重量分析で測定される熱分解温度が700℃以上であるとともに、上記強度比(D/G比)が0.7以下であることで、熱輸送媒体組成物の熱伝導率を高める効果が顕著に得られるようになる。
熱輸送媒体組成物中における熱伝導性材料の含有量は、例えば基剤の熱伝導率よりも1.2倍以上高めるように設定されることが好ましく、基剤の熱伝導率よりも1.5倍以上高めるように設定されることがより好ましい。熱輸送媒体組成物中における熱伝導性材料の含有量は、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上である。熱伝導性材料の含有量を0.1質量%以上とすることで、熱伝導率を顕著に高めることが容易である。なお、ここでの熱伝導率は、非定常面熱源法の理論から導かれたホットディスク法で測定される熱伝導率を示す。一方、熱輸送媒体組成物中における熱伝導性材料の含有量の上限は、例えば10質量%以下であることが好ましい。熱伝導性材料の含有量が10質量%を超える場合、熱輸送媒体組成物の流動性を低下させる傾向にある。
熱輸送媒体組成物には、熱伝導性材料を基剤に分散する分散剤として、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種を含有させることが好ましい。アニオン系界面活性剤としては、例えばカルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、及びリン酸エステル塩が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、例えばアルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアンモニウム塩、及びアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレン脂肪酸エステルが挙げられる。熱輸送媒体組成物中における分散剤の含有量は、例えば0.1質量%〜10質量%の範囲が好適である。
熱輸送媒体組成物中には、必要に応じて、各種添加剤を含有させることもできる。水性の基剤を含有する熱輸送媒体組成物では、例えば着色剤、消泡剤、pH調整剤、及び酸化防止剤を含有させてもよい。油性の基剤を含有する熱輸送媒体組成物では、例えば酸化防止剤、防錆剤、金属不活性剤、粘度指数向上剤、流動点低下剤、耐摩耗剤、消泡剤、紫外線吸収剤、洗浄剤、及び着色剤が挙げられる。
熱輸送媒体組成物には、防錆剤を含有させることが好ましい。特に、水性の基剤を含有する熱輸送媒体組成物において防錆剤を含有させることで、熱輸送系を構成する金属の腐食を好適に抑制することができる。防錆剤としては、例えばホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、亜硝酸塩、硝酸塩、モリブデン酸塩、脂肪族一塩基酸、脂肪族二塩基酸、芳香族一塩基酸、芳香族二塩基酸、トリアゾール、及びチアゾールが挙げられる。
ホウ酸塩としては、例えばアルカリ金属塩が挙げられる。ケイ酸塩としては、例えばアルカリ金属塩が挙げられる。リン酸塩としては、例えばリン酸、ピロリン酸及びポリリン酸のアルカリ金属塩が挙げられる。亜硝酸塩及び硝酸塩としては、例えばアルカリ金属塩が挙げられる。モリブデン酸塩としては、例えばアルカリ金属塩が挙げられる。
脂肪族一塩基酸は、脂肪族一塩基酸塩であってもよい。脂肪族一塩基酸としては、例えばペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸及びステアリン酸が挙げられる。脂肪族一塩基酸塩としては、例えばナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。
脂肪族二塩基酸は、脂肪族二塩基酸であってもよい。脂肪族二塩基酸としては、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピペリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン2酸、ドデカン2酸、ブラシル酸、及びタプチン酸が挙げられる。脂肪族二塩基酸塩としては、例えばナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。
芳香族一塩基酸は、芳香族一塩基酸塩であってもよい。芳香族一塩基酸としては、例えば安息香酸、ニトロ安息香酸ヒドロキシ安息香酸等の安息香酸類、p−トルイル酸、p−エチル安息香酸、p−プロピル安息香酸、p−イソプロピル安息香酸、p−tertブチル安息香酸などのアルキル安息香酸、一般式RO−C−COOH(Rは炭素数1〜5のアルキル基)で表されるアルコキシ安息香酸、及び、一般式R−C−CH=COOH(Rは炭素数1〜5のアルキル基又はアルコキシ基)で表されるケイ皮酸類(ケイ皮酸、アルキルケイ皮酸及びアルコキシケイ皮酸)が挙げられる。芳香族一塩基酸塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。
芳香族二塩基酸は、芳香族二塩基酸塩であってもよい。芳香族二塩基酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸が挙げられる。芳香族二塩基酸塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。
トリアゾールは、トリアゾール塩であってもよい。トリアゾールとしては、例えばベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、4−フェニル−1、2、3−トリアゾール、2−ナフトトリアゾール、及び4−ニトロベンゾトリアゾールが挙げられる。トリアゾール塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。
チアゾールは、チアゾール塩であってもよい。チアゾールとしては、ベンゾチアゾール、及びメルカプトベンゾチアゾールが挙げられる。チアゾール塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩等のアルカリ金属塩が挙げられる。
防錆剤は、熱輸送媒体組成物中に単独で含有させてもよいし、複数種を組み合わせて含有させてもよい。熱輸送媒体組成物中における防錆剤の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%である。
本実施形態の熱輸送媒体組成物は、基剤に熱伝導性材料を分散させることで調製される。熱伝導性材料の分散は、例えば撹拌機、超音波発生装置等の分散装置を用いた常法にしたがって行うことができる。
熱輸送媒体組成物は、廃熱源から廃熱を熱交換器へ輸送する用途、及び加熱源から熱を輸送して加熱対象物を加熱する用途に利用することができる。熱輸送媒体組成物は、具体的には、例えば内燃機関及びモーターの冷却液、例えば給湯、暖房、冷房及び冷凍システムの熱媒体、例えば融雪システム及びロードヒーティングの熱媒体、並びに電子機器の冷却媒体として用いることができる。
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1)前記熱伝導性材料は、Gバンドの強度(G)に対するDバンドの強度(D)の強度比(D/G比)が0.7以下の条件と、熱分解温度が700℃以上である条件とを満たしている。こうした熱伝導性材料は、基剤の熱伝導率を顕著に高める効果を発揮するようになる。このため、熱伝導率を高めることが容易な熱輸送媒体組成物を提供することができる。
(2)熱輸送媒体組成物には、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種の分散剤が含有されることで、基剤中における熱伝導性材料の分散安定性を高めることができる。
(3)熱輸送媒体組成物の基剤として、水、アルコール類、グリコール類、及びグリコールエーテル類から選ばれる少なくとも一種を含むことで、特に内燃機関又はモーターの冷却液として好適に利用することができる。
(4)熱輸送媒体組成物の基剤として、鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも一種を含むことで、例えば暖房システムの熱媒体として好適に利用することができる。
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・油性の基油として、例えばデカン、ドデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、流動パラフィン、及びパラフィンから選ばれる少なくとも一種の脂肪族炭化水素、例えばo−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、及びオクチルベンゼンから選ばれる少なくとも一種の芳香族炭化水素を用いてもよい。
・熱輸送媒体組成物は、使用時に基剤で希釈するように構成してもよい。
・熱輸送媒体組成物の基剤は、使用条件下において液状をなしていればよい。すなわち、例えば熱輸送媒体組成物の保存時、又は熱輸送系の非稼働時においては固体状をなしていてもよい。
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)更に、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、亜硝酸塩、硝酸塩、モリブデン酸塩、脂肪族一塩基酸、脂肪族二塩基酸、芳香族一塩基酸、芳香族二塩基酸、トリアゾール、及びチアゾールから選ばれる少なくとも一種の防錆剤を含有する熱輸送媒体組成物。
(ロ)前記熱伝導性材料の含有量は、前記基剤の熱伝導率よりも前記基剤の熱伝導率よりも1.2倍以上高める含有量とされている熱輸送媒体組成物。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
<熱伝導性材料>
表1に示されるように、カーボンナノチューブ(CNT)の市販品(A)〜(F)について、D/G比、及び熱分解温度を測定した。D/G比は、高感度・小型顕微ラマンシステム(日本分光製、NRS−1000)を用いて、レーザー波長532nm、露光時間10秒、積算回数5回、レーザー出力9.6mW及びスリット幅100μmの条件で測定した。熱分解温度は、示差熱/熱重量同時測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー製、TG/DTA 6200)を用いて150℃で15分保持した後、昇温速度5℃/minの条件で測定したDTA曲線から求めた。アスペクト比は、各市販品のカタログ値を採用した。
Figure 2011079872
表1に示されるように、市販品(A)及び(B)では、D/G比が0.7以下であるとともに、熱重量分析で測定される熱分解温度が700℃以上である。これに対して、市販品(C)、(D)及び(F)では、D/G比が0.7を超えるとともに、熱分解温度が700℃未満であった。また、市販品(E)では、D/G比は0.7以下であるものの、熱分解温度が700℃未満であった。
(実施例1及び2)
表2に示されるように、各実施例では、基剤、CNT及び分散剤を撹拌機で混合することにより熱輸送媒体組成物を調製した。
(比較例1)
比較例1は、CNTを含有させずに各実施例と同様に組成物を調製した。
(比較例2〜5)
各比較例では、CNTの種類を変更した以外は、各実施例と同様に熱輸送媒体組成物を調製した。
<熱伝導率の測定>
各例の熱輸送媒体組成物について、ホットディスク法熱物性測定装置(京都電子製、TPA−501)を用いて熱伝導率を測定した。その測定結果を表2に示している。
Figure 2011079872
表2には、比較例1の熱伝導率を基準(100%)とした場合の向上率を併記している。表2に示されるように、各実施例では、それぞれ市販品(A)及び(B)のCNTが含有されているため、各実施例の熱伝導率は、向上率欄からも明らかなように、比較例2〜5に対して顕著に高まっていることが分かる。

Claims (4)

  1. 使用温度において液体である基剤と、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーの少なくとも一方の熱伝導性材料とを含有してなり、前記熱伝導性材料のアスペクト比が20以上である熱輸送媒体組成物であって、
    前記熱伝導性材料は、
    ラマン分光分析のGバンド及びDバンドにおいて前記Gバンドの強度(G)に対する前記Dバンドの強度(D)の強度比(D/G比)が0.7以下の条件と、熱重量分析で測定される熱分解温度が700℃以上の条件とを満たすことを特徴とする熱輸送媒体組成物。
  2. 更に、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種の分散剤を含有してなることを特徴とする請求項1に記載の熱輸送媒体組成物。
  3. 前記基剤として、水、アルコール類、グリコール類、及びグリコールエーテル類から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱輸送媒体組成物。
  4. 前記基剤として、鉱油及び合成油から選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の熱輸送媒体組成物。
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