JP2011077255A - 電源用薄形トランス - Google Patents
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Abstract
【課題】リーケージ・インダクタンスと縦方向電流をともに減らすという相反する現象を共に満足し、かつ、高さを可能な限り低くして、組み立て作業も簡単な電源用薄形トランスを提供すること。
【解決手段】絶縁被膜の銅線をヘリカル状に巻いた少なくとも1次コイルと2次コイルを具備し、これら2つのコイルを、間に絶縁板を介在して積層し、これらの1次コイルと2次コイルと絶縁板の中心部にEI型フェライト・コアの脚柱部を貫通するように配置した電源用薄形トランスにおいて、前記2次コイルの内径を1次コイルの内径よりも大きくなるように巻回し、かつ、前記絶縁板の厚さを個別に調整してコイル間のインピーダンスを増やして1次コイルと2次コイルの間を流れる交流電流を減少せしめる。
【選択図】図1
【解決手段】絶縁被膜の銅線をヘリカル状に巻いた少なくとも1次コイルと2次コイルを具備し、これら2つのコイルを、間に絶縁板を介在して積層し、これらの1次コイルと2次コイルと絶縁板の中心部にEI型フェライト・コアの脚柱部を貫通するように配置した電源用薄形トランスにおいて、前記2次コイルの内径を1次コイルの内径よりも大きくなるように巻回し、かつ、前記絶縁板の厚さを個別に調整してコイル間のインピーダンスを増やして1次コイルと2次コイルの間を流れる交流電流を減少せしめる。
【選択図】図1
Description
本発明は、出力が50W以下などの比較的低出力のスイッチング電源に使用する電源用薄形トランスに関するものである。
従来から何層かのスパイラル状のコイルを積層して構成した薄型のトランスが提案されている(特許文献1)。
この特許文献1に示された薄型トランスの構造を図13(a)(b)に基づき説明する。これらの図において、1次コイル10は、端子等で接続せずに連続2層巻きにし、また、2次コイル11も2層に分割している。この1次コイル10の1層目と2層目の間に分割された一方の2次コイル11を挟み、他方の2次コイル11を1次コイル10の下層にして4層をできるだけ薄い絶縁紙を介在して交互に積層し、ベース板17の上に載せ、1次コイル10の両端を1次コイル接続部14に接続し、2次コイル11の両端を2次コイル接続部15に接続したものである。16は、端子である。
この特許文献1に示された薄型トランスの構造を図13(a)(b)に基づき説明する。これらの図において、1次コイル10は、端子等で接続せずに連続2層巻きにし、また、2次コイル11も2層に分割している。この1次コイル10の1層目と2層目の間に分割された一方の2次コイル11を挟み、他方の2次コイル11を1次コイル10の下層にして4層をできるだけ薄い絶縁紙を介在して交互に積層し、ベース板17の上に載せ、1次コイル10の両端を1次コイル接続部14に接続し、2次コイル11の両端を2次コイル接続部15に接続したものである。16は、端子である。
一般に、図12に示すようなスイッチング回路40と整流回路41の間を結合するトランス42においては、1次コイル10と2次コイル11との間にリーケージ・インダクタンスが発生し、これがスイッチング電源の電力損失を増やし、ノイズを大きくしている。
これを解決するため、特許文献1記載の発明では、端子等で接続せずに連続2層巻きにした1次コイル10と、2層に分割した2次コイル11との4層をできるだけ薄い絶縁紙を介在して交互に積層してリーケージ・インダクタンスを少なくし、かつ、トランスの高さを低くしている。
これを解決するため、特許文献1記載の発明では、端子等で接続せずに連続2層巻きにした1次コイル10と、2層に分割した2次コイル11との4層をできるだけ薄い絶縁紙を介在して交互に積層してリーケージ・インダクタンスを少なくし、かつ、トランスの高さを低くしている。
ところが、図12に示す一般的なスイッチング電源回路では、1次コイル10と2次コイル11との間に生じた分布容量43を介して入力側から出力側に、スイッチング周波数とその高調波の交流電流44が流れ、このスイッチング電源回路の負荷側にノイズとしてあらわれる。この交流電流44は、縦方向電流といい、極力小さくする必要がある。
この縦方向電流を小さくするためには、1次コイル10と2次コイル11との間の絶縁紙を厚くし、分布容量43をできるだけ少なくしなければならない。この分布容量43を少なくするということは、1次コイル10と2次コイル11の間隔を増やすことになり、前述のリーケージ・インダクタンスを大きくすることになるので、縦方向電流に対するノイズ源が増え、その低減にはならない。
この縦方向電流を小さくするためには、1次コイル10と2次コイル11との間の絶縁紙を厚くし、分布容量43をできるだけ少なくしなければならない。この分布容量43を少なくするということは、1次コイル10と2次コイル11の間隔を増やすことになり、前述のリーケージ・インダクタンスを大きくすることになるので、縦方向電流に対するノイズ源が増え、その低減にはならない。
このように、特許文献1に記載の発明では、リーケージ・インダクタンスを減らすことを目的にしているため、1次コイル10を連続2層巻きにし、2次コイル11を2層に分割し、これらを交互に積層し、かつ、絶縁紙を薄くしている。このことは、縦方向電流については、考慮されておらず、むしろ増加している。
また、1次コイル10と2次コイル11をそれぞれ2層ずつ4層にしているため、高さが高くなるばかりか組み立て作業も面倒になるという問題があった。
また、1次コイル10と2次コイル11をそれぞれ2層ずつ4層にしているため、高さが高くなるばかりか組み立て作業も面倒になるという問題があった。
本発明は、リーケージ・インダクタンスと縦方向電流をともに減らすという相反する現象を共に満足し、かつ、高さを可能な限り低くして、組み立て作業も簡単な電源用薄形トランスを提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1記載の電源用薄形トランスは、絶縁被膜の銅線をヘリカル状に巻いた少なくとも2つのコイルを、間に絶縁板を介在して積層し、これらの2つのコイルと、絶縁板の中心部にフェライト・コアの脚柱部を貫通するように配置した電源用薄形トランスにおいて、前記少なくとも2つのコイルは、一方の内径より他方の内径を大きくなるように巻回したことを特徴とする。
本発明の請求項2記載の電源用薄形トランスは、絶縁被膜の銅線をヘリカル状に巻いた少なくとも1次コイルと2次コイルを具備し、これら2つのコイルを、間に絶縁板を介在して積層し、これらの1次コイルと2次コイルと絶縁板の中心部にEI型フェライト・コアの脚柱部を貫通するように配置した電源用薄形トランスにおいて、前記2次コイルの内径を1次コイルの内径よりも大きくなるように巻回したことを特徴とする。
本発明の請求項3記載の電源用薄形トランスは、絶縁被膜の銅線をヘリカル状に巻いた少なくとも1次コイルと2次コイルと補助コイルを具備し、これら3つのコイルを、間にそれぞれ絶縁板を介在して積層し、これらの1次コイルと2次コイルと補助コイルと絶縁板の中心部にEI型フェライト・コアの脚柱部を貫通するように配置した電源用薄形トランスにおいて、前記2次コイルと補助コイルの内径を1次コイルの内径よりも大きくなるように巻回したことを特徴とする。
本発明の請求項4記載の電源用薄形トランスは、それぞれのコイルは、ヘリカル状に1層巻きとしたことを特徴とする。
本発明の請求項5記載の電源用薄形トランスは、それぞれのコイル間に介在した絶縁板の厚さを個別に調整して1次コイルと2次コイルの間を流れる交流電流を減少せしめたことを特徴とする。
本発明の請求項6記載の電源用薄形トランスは、1次コイルの内径より内径の大きな2次コイルの内径部分に絶縁リングを介在したことを特徴とする。
本発明の請求項7記載の電源用薄形トランスは、2次コイルの外径を1次コイルの外径以下としたことを特徴とする。
本発明の請求項8記載の電源用薄形トランスは、EI型フェライト・コアの脚柱部を円柱状としたことを特徴とする。
本発明の請求項1記載の電源用薄形トランスは、EI型フェライト・コアの脚柱部を角柱状としたことを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、電源用薄形トランスにおいて、少なくとも2つのコイルは、一方の内径より他方の内径を大きくなるように巻回したので、従来のトランスに比べて、実装高さの低い扁平なトランスが実現でき、これをスイッチング電源に適用すれば、薄型の電源モジュールが実現できる。また、コイルの製作が容易で、その電気的特性のバラツキがなく安定し、トランスの漏れ磁束を減らし、発生ノイズを低減させたものを安価に提供可能である。さらに、コイルを機械で、先に作成しておき、ボビンに組み付けるだけで、トランスができるので、製造が容易になり、コストが下がる。
請求項2記載の発明によれば、電源用薄形トランスにおいて、2次コイルの内径を1次コイルの内径よりも大きくなるように巻回したので、1次コイルと2次コイルを有するスイッチング電源回路に好適である。
請求項3記載の発明によれば、少なくとも1次コイルと2次コイルと補助コイルを具備し電源用薄形トランスに好適である。
請求項4記載の発明によれば、それぞれのコイルは、ヘリカル状に1層巻きとしたので、極めて薄型の電源用薄形トランスを容易に構成できる。
請求項5記載の発明によれば、それぞれのコイル間に介在した絶縁板の厚さを個別に調整してコイル間のインピーダンスを増やして1次コイルと2次コイルの間を流れる交流電流を減少せしめたので、ラジオ、テレビ受信機、電話機等の電源として、縦方向電流の規制されている電源に適用すれば、容易に規格を満足させられる。
請求項6記載の発明によれば、1次コイルの内径より内径の大きな2次コイルの内径部分に絶縁リングを介在したので、2次コイルの位置を正確に保持して特性の優れた電源用薄形トランスを提供できる。
請求項7記載の発明によれば、2次コイルの外径を1次コイルの外径以下としたので、1次コイルと2次コイルの外径を一致させることがなくなり、製造及び組み立てが容易になる。
請求項8記載の発明によれば、EI型フェライト・コアの脚柱部を円柱状としたので、コイルの巻回が容易になる。
請求項9記載の発明によれば、EI型フェライト・コアの脚柱部を角柱状としたので、磁束を有効に発生させることができる。
本発明は、絶縁被膜の銅線をヘリカル状に巻いた少なくとも2つのコイルを、間に絶縁板を介在して積層し、これらの2つのコイルと、絶縁板の中心部にフェライト・コアの脚柱部を貫通するように配置した電源用薄形トランスにおいて、前記少なくとも2つのコイルは、一方の内径より他方の内径を大きくなるように巻回する。
前記2つのコイルは、1次コイルと2次コイルとし、2次コイルの内径を1次コイルの内径よりも大きくなるように巻回し、フェライト・コアは、EI型を用いる。
前記2つのコイルは、1次コイルと2次コイルとし、2次コイルの内径を1次コイルの内径よりも大きくなるように巻回し、フェライト・コアは、EI型を用いる。
ヘリカル状に巻いたコイルは、1次コイルと2次コイルの他に、補助コイルを具備し、2次コイルと補助コイルの内径を1次コイルの内径よりも大きくなるように巻回する。
それぞれのコイルは、ヘリカル状に1層巻きとして可能な限り薄形とする
それぞれのコイルは、ヘリカル状に1層巻きとして可能な限り薄形とする
それぞれのコイル間に介在した絶縁板の厚さを個別に調整してコイル間のインピーダンスを増やして1次コイルと2次コイルの間を流れる交流電流を減少せしめる。
1次コイルの内径より内径の大きな2次コイルの内径部分に絶縁リングを介在して積層する。
1次コイルの内径より内径の大きな2次コイルの内径部分に絶縁リングを介在して積層する。
本発明による電源用薄形トランスの実施例1を図1ないし図4に基づき説明する。
電源用薄形トランスは、図3に示すように、1次コイル接続部(入力端子)24に接続された1次コイル20と2次コイル接続部(出力端子)25に接続された2次コイル21とがEI形フェライトコア22の脚柱部23に巻回されて構成される。
図4に示すように、EI形フェライトコア22は、EI形の上部フェライトコア22aと下部フェライトコア22bとからなる。ここで、EI形とは、図示の例のように、中央から全く同一の2個のE形を組み合わせたものと、E形に棒状のI形を組み合わせたものの両方を指すものとする。
電源用薄形トランスは、図3に示すように、1次コイル接続部(入力端子)24に接続された1次コイル20と2次コイル接続部(出力端子)25に接続された2次コイル21とがEI形フェライトコア22の脚柱部23に巻回されて構成される。
図4に示すように、EI形フェライトコア22は、EI形の上部フェライトコア22aと下部フェライトコア22bとからなる。ここで、EI形とは、図示の例のように、中央から全く同一の2個のE形を組み合わせたものと、E形に棒状のI形を組み合わせたものの両方を指すものとする。
前記1次コイル20は、絶縁被覆の電線を1重にヘリカル巻きしたもので、プラスチックからなる中心のボビン嵌合孔32が後述のボビン26に嵌合する内径d1とし、外径d2が収納部31に嵌合する大きさとする。
前記2次コイル21は、絶縁被覆の電線を1重にヘリカル巻きしたもので、中心の絶縁リング嵌合孔33が前記d1より大きな内径d3とする。この内径d3の設定方法は、後述する。
前記2次コイル21は、絶縁被覆の電線を1重にヘリカル巻きしたもので、中心の絶縁リング嵌合孔33が前記d1より大きな内径d3とする。この内径d3の設定方法は、後述する。
前記1次コイル20と2次コイル21の間には、絶縁板28が介在される。この絶縁板28は、ボビン嵌合孔32の内径がd1で、外径がd2で、ボビン嵌合孔32が外周まで1次コイル20のリード線を通す切り溝29が形成されており、かつ、所定の厚さを有する。この厚さは、縦方向電流を減少させるためのもので、詳細は、後述する。
前記2次コイル21の絶縁リング嵌合孔33には、絶縁リング30が嵌め込まれる。この絶縁リング30は、外径が前記絶縁リング嵌合孔33の内径d3で、内径がd1で、かつ、2次コイル21と略同じ厚さを有する。
前記2次コイル21の絶縁リング嵌合孔33には、絶縁リング30が嵌め込まれる。この絶縁リング30は、外径が前記絶縁リング嵌合孔33の内径d3で、内径がd1で、かつ、2次コイル21と略同じ厚さを有する。
前記ボビン26の周りには、収納部31が形成され、この収納部31の外側に2個のベース板27が形成され、それぞれ1次コイル接続部(入力端子)24と2次コイル接続部(出力端子)25が設けられている。また、前記ボビン26の中心には、前記脚柱部23が嵌合する嵌合孔37が上下貫通して形成されている。
以上のように構成された各部品は、下部フェライトコア22bの脚柱部23に、ボビン26の嵌合孔37を嵌合し、このボビン26の周りの収納部31に、1次コイル20と、絶縁板28と、絶縁リング30を順次積層し、絶縁リング30の外周に2次コイル21を嵌合し、最後に上部フェライトコア22aを嵌合固着する。
1次コイル20のリード線は、1次コイル接続部(入力端子)24に接続され、2次コイル21のリード線は、2次コイル接続部(出力端子)25に接続される。図2は、組み立て後の電源用薄形トランスの斜視図であり、図1は、縦断面図である。
1次コイル20のリード線は、1次コイル接続部(入力端子)24に接続され、2次コイル21のリード線は、2次コイル接続部(出力端子)25に接続される。図2は、組み立て後の電源用薄形トランスの斜視図であり、図1は、縦断面図である。
以上のように構成した電源用薄形トランスが1次コイル20と2次コイル21間の静電容量を少なくし、かつ、リーケージ・インダクタンスを小さくする理由を説明する。
図1及び図4に示すようにスパイラル状に巻かれた1次コイル20と2次コイル21を脚柱部23の中心軸方向に絶縁板28を介在して適当な距離dをとり、同心円となるように積層している。また1次コイル20の最小内径d1と2次コイル21の最小内径d3が異なるように作成されている。
1次コイル20と2次コイル21の間の静電容量Cは、一般に知られている次式(1)で示される。この(1)式のdは、1次コイル20と2次コイル21の間隔であり、絶縁板28の厚みになる。また、Sは、1次コイル20と2次コイル21の対向する面積である。式(1)より、この静電容量Cは、間隔dに反比例することがわかる。このdを厚くするように調整することにより、課題の縦方向電流の低減ができる。なお、εは、絶縁板28の誘電率である。
図1及び図4に示すようにスパイラル状に巻かれた1次コイル20と2次コイル21を脚柱部23の中心軸方向に絶縁板28を介在して適当な距離dをとり、同心円となるように積層している。また1次コイル20の最小内径d1と2次コイル21の最小内径d3が異なるように作成されている。
1次コイル20と2次コイル21の間の静電容量Cは、一般に知られている次式(1)で示される。この(1)式のdは、1次コイル20と2次コイル21の間隔であり、絶縁板28の厚みになる。また、Sは、1次コイル20と2次コイル21の対向する面積である。式(1)より、この静電容量Cは、間隔dに反比例することがわかる。このdを厚くするように調整することにより、課題の縦方向電流の低減ができる。なお、εは、絶縁板28の誘電率である。
また、1次コイル20と2次コイル21の間のリーケージ・インダクタンスσは、よく知られている次式(2)、(3)、(4)、(5)、(6)を基本原理として式(7)のように算出できる。
これらの式において、M12は、図5(a)における1次コイル20と2次コイル21の相互インダクタンス、μ0は、透磁率、K(k)は、第1種楕円関数、E(k)は、第2種楕円関数、kは、パラメータ、Kは、結合係数、Lpは、1次コイル20の自己インダクタンス、Lsは、2次コイル21の自己インダクタンス、σは、1次コイル20と2次コイル21の間のリーケージ・インダクタンスをそれぞれ表している。
これらの式において、M12は、図5(a)における1次コイル20と2次コイル21の相互インダクタンス、μ0は、透磁率、K(k)は、第1種楕円関数、E(k)は、第2種楕円関数、kは、パラメータ、Kは、結合係数、Lpは、1次コイル20の自己インダクタンス、Lsは、2次コイル21の自己インダクタンス、σは、1次コイル20と2次コイル21の間のリーケージ・インダクタンスをそれぞれ表している。
前記(2)式は、図5(a)のような2個の円環の1次コイル20と2次コイル21の間の相互インダクタンスを算出するものである。図5(b)のように、半径a1,a2,…anのnターンの1次コイル20と半径bの2次コイル21の円環が中心軸38に垂直で、距離dを隔てて配置されているものとする。このような2個のスパイラルコイルの場合の計算をするには、図5(b)を、図5(c)のように、直径の異なる円環20a,20b,…20nの総和として計算する。この例では、円環が3個の場合を示しているが、実際は、巻数の数だけ分解する必要がある。このようにして得られた相互インダクタンスMは、1次コイル20の自己インダクタンスをLp、2次コイル21の自己インダクタンスをLsとすると、これらの1次コイル20と2次コイル21からなるトランスの等価回路は、図6に示すようになり、このリーケージ・インダクタンス52とリーケージ・インダクタンス53がリーケージ・インダクタンスσとなり、これらのリーケージ・インダクタンス52とリーケージ・インダクタンス53は、等しい値である。このリーケージ・インダクタンスσは、式(7)で示されるが、式(6)のKをパラメータとして、結局、図5(a)に示す1次コイル20の半径a,2次コイル21の半径b、絶縁板28の距離(厚さ)dの関数である。
リーケージ・インダクタンスσを実測した例を図7に示す。内径と外径を異ならせて実測に使用した1次コイル20と2次コイル21の例を図8(a)(b)(c)(d)に示す。図7において、横軸は、左端を1次コイル20の内径d1とし、右端を1次コイル20の外径d2としたときの2次コイル21の内径d3の大きさを表し、縦軸はリーケージ・インダクタンスσの大きさを示す。ここで、1次コイル20の外径d2と2次コイル21の外径d4は、d4≦d3の関係に構成するものとする。
図8(d)は、d3≒d1であるから図7の特性図における左端に近い特性を有し、図8(c)は、d3≒d2であるから図7の右端に近い特性を有し、いずれもリーケージ・インダクタンスσが大きいことを示している。これに対し、図8(a)と(b)は、d3>d1であるから図7の中央に近い特性を有する。このことは、2個のスパイラルの1次コイル20と2次コイル21でトランスを作る場合、d3>d1の関係にあるコイルを組み合わせると結合がよく、リーケージ・インダクタンスの小さいものができることがわかる。なお、2次コイル21の内径d3を1次コイル20の内径d1よりもどれだけ大きくするか、即ち、図8の(a)と(b)のいずれを選択するかは、構成部品によって異なる図7の特性図に応じて決定する。
以上のように、本発明による電源用薄形トランスのリーケージ・インダクタンスの調整は、2次コイル21の内径に嵌合する絶縁リング30の直径の調整で行い、また、縦方向電流の調整は、絶縁板28を厚くするような調整で行う。
図8(d)は、d3≒d1であるから図7の特性図における左端に近い特性を有し、図8(c)は、d3≒d2であるから図7の右端に近い特性を有し、いずれもリーケージ・インダクタンスσが大きいことを示している。これに対し、図8(a)と(b)は、d3>d1であるから図7の中央に近い特性を有する。このことは、2個のスパイラルの1次コイル20と2次コイル21でトランスを作る場合、d3>d1の関係にあるコイルを組み合わせると結合がよく、リーケージ・インダクタンスの小さいものができることがわかる。なお、2次コイル21の内径d3を1次コイル20の内径d1よりもどれだけ大きくするか、即ち、図8の(a)と(b)のいずれを選択するかは、構成部品によって異なる図7の特性図に応じて決定する。
以上のように、本発明による電源用薄形トランスのリーケージ・インダクタンスの調整は、2次コイル21の内径に嵌合する絶縁リング30の直径の調整で行い、また、縦方向電流の調整は、絶縁板28を厚くするような調整で行う。
図9及び図10は、実施例2を示すもので、この例では、1次コイル20と2次コイル21の他に補助コイル34を有する。この場合において、図10に示すように、ボビン26の下層に中央に絶縁リング35を嵌合した補助コイル34を組み込み、この補助コイル34の上に絶縁板36を介して1次コイル20を組み込み、この1次コイル20の上に絶縁板28を介して中央に絶縁リング30を嵌合した2次コイル21を組み込む。そして、上下からEI形フェライトコア上部フェライトコア22aとEI形フェライトコア下部フェライトコア22bからなるEI形フェライトコア22を組み込んで電源用薄形トランスを構成する。
このような構成における1次コイル20に対する補助コイル34の絶縁リング35と絶縁板36の距離(厚さ)は、前述の図7及び図8で説明したと同様にして決定する。また、1次コイル20と2次コイル21の関係は、前述のとおりである。
この実施例2において、コイルの積層順序を補助コイル34と、1次コイル20と、2次コイル21としたが、これに限られるものではなく、どの順序であってもよい。
この実施例2において、コイルの積層順序を補助コイル34と、1次コイル20と、2次コイル21としたが、これに限られるものではなく、どの順序であってもよい。
前記実施例では、EI形フェライトコア22の脚柱部23の形状を円柱形としたが、これに限られるものではなく、図11に示すように角柱状とすることができる。その他楕円柱状、多角形柱状などであってもよい。
10…1次コイル、11…2次コイル、12…EI形フェライトコア、13…脚柱部、14…1次コイル接続部、15…2次コイル接続部、16…端子、17…ベース板、20…1次コイル、21…2次コイル、22…EI形フェライトコア、23…脚柱部、24…1次コイル接続部(入力端子)、25…2次コイル接続部(出力端子)、26…ボビン、27…ベース板、28…絶縁板、29…切り溝、30…絶縁リング、31…収納部、32…ボビン嵌合孔、33…絶縁リング嵌合孔、34…補助コイル、35…絶縁リング、36…絶縁板、37…嵌合孔、38…中心軸、40…スイッチング回路、41…整流回路、42…トランス、43…分布容量、44…交流電流、52…リーケージ・インダクタンス、53…リーケージ・インダクタンス。
Claims (9)
- 絶縁被膜の銅線をヘリカル状に巻いた少なくとも2つのコイルを、間に絶縁板を介在して積層し、これらの2つのコイルと、絶縁板の中心部にフェライト・コアの脚柱部を貫通するように配置した電源用薄形トランスにおいて、前記少なくとも2つのコイルは、一方の内径より他方の内径を大きくなるように巻回したことを特徴とする電源用薄形トランス。
- 絶縁被膜の銅線をヘリカル状に巻いた少なくとも1次コイルと2次コイルを具備し、これら2つのコイルを、間に絶縁板を介在して積層し、これらの1次コイルと2次コイルと絶縁板の中心部にEI型フェライト・コアの脚柱部を貫通するように配置した電源用薄形トランスにおいて、前記2次コイルの内径を1次コイルの内径よりも大きくなるように巻回したことを特徴とする電源用薄形トランス。
- 絶縁被膜の銅線をヘリカル状に巻いた少なくとも1次コイルと2次コイルと補助コイルを具備し、これら3つのコイルを、間にそれぞれ絶縁板を介在して積層し、これらの1次コイルと2次コイルと補助コイルと絶縁板の中心部にEI型フェライト・コアの脚柱部を貫通するように配置した電源用薄形トランスにおいて、前記2次コイルと補助コイルの内径を1次コイルの内径よりも大きくなるように巻回したことを特徴とする電源用薄形トランス。
- それぞれのコイルは、ヘリカル状に1層巻きとしたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の電源用薄形トランス。
- それぞれのコイル間に介在した絶縁板の厚さを個別に調整して1次コイルと2次コイルの間を流れる交流電流を減少せしめたことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の電源用薄形トランス。
- 1次コイルの内径より内径の大きな2次コイルの内径部分に絶縁リングを介在したことを特徴とする請求項2、3、4又は5記載の電源用薄形トランス。
- 2次コイルの外径を1次コイルの外径以下としたことを特徴とする請求項2又は3記載の電源用薄形トランス。
- EI型フェライト・コアの脚柱部を円柱状としたことを特徴とする請求項2又は3記載の電源用薄形トランス。
- EI型フェライト・コアの脚柱部を角柱状としたことを特徴とする請求項2又は3記載の電源用薄形トランス。
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