JP2011074630A - 建具取り付け用枠材の調整装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コスト、簡単作業によって取り付けが可能で、取り付け用枠材の長期間の固定が確実にできる取り付け用枠材の調整装置を提供する。
【解決手段】本発明の建具取り付け用枠材の調整装置は、壁面に取り付け可能である壁側取り付け部材2と、壁面と対向する取り付け用枠材に取り付け可能であって、壁側取り付け部材2と対になる枠側取り付け部材3とを備え、壁側取り付け部材2は、外周面に第1ねじ溝4を形成した第1筒部5と、壁面に固定される固定手段6と、を有し、枠側取り付け部材3は、第1筒部5を内部に挿入可能な貫通孔7を有すると共に、貫通孔7の内周面に第1ねじ溝4と螺合する第2ねじ溝8を形成した第2筒部9と、枠側取り付け部材を取り付け用枠材に固定可能な座部10とを備え、座部10により取り付け用枠材に固定された枠側取り付け部材3に対して、壁側取り付け部材2が回転することで、壁面と取り付け用枠材との対向距離が増減する。
【選択図】図1

Description

本発明は、壁や柱などの建物の構造物に、ドア、戸板、窓などを取り付ける建具取り付け用枠材の、取り付け位置や取り付け角度を調整する建具取り付け用枠材の調整装置に関するものである。
戸建て住宅、集合住宅、商業ビルなどの建築物は、多数のドア、戸板、窓などを含む。ドアや窓などは、壁や柱に直接取り付けられるのではなく、ドアや窓を取り付ける取り付け用枠材を介して取り付けられる。
従来は、壁や柱などの建築工事が終了し内装工事前の時点において、壁や柱に取り付け用枠材が取り付けられる。この場合には、取り付けられるドアや窓の大きさ、形状に合わせて取り付け用枠材が取り付けられる。すなわち、内装工事が開始される際には、壁や柱に取り付け用枠材が取り付け済みである。
しかしながら、内装工事を行っている最中に、部材や作業者が取り付け用枠材にぶつかるなどによって、取り付け用枠材の取り付け位置がずれることがある。この場合には、位置のずれた取り付け用枠材に、ドアや窓の形状や大きさをあわせる必要が生じる。最終的な施工業者へのしわ寄せが大きい問題がある。
また、後からドアや窓のサイズを変えたり取り付け用枠材を取り替えたりするためには、壁の一部から取り壊す必要もあった。
あるいは、取り付け用枠材が取り付けられた後で、建築物の最終完成までには、多くの業者や作業者が出入りする。この出入りの際の取り付け用枠材の破損防止のために、取り付け用枠材は、養生される必要がある。しかし、養生をしていたとしても、取り付け用枠材は壁面の角部に位置するため、作業中に破損や傷が生じてしまう。このような破損や傷に対しては、施工および取り付け用枠材の製造業者へのクレームとなることもある。
もちろん、このような破損や傷は、取り付け用枠材の水平・垂直調整を狂わせてしまうことになる。
このように、取り付け用枠材を内装工事まえに取り付けてしまうことは、クレームの原因となったり、事後的なコストアップや低い柔軟性を生じさせてしまったりする。
このため、取り付け用枠材を内装工事の後に取り付ける工事方法が用いられ始めている。このような取り付け用枠材の後からの取り付けは、壁や柱の施工仕上がり具合に対応して、取り付け用枠材の取り付け位置を調整する必要がある。具体的には、壁面と取り付け用枠材との間隔を調整することが必要である。
このような取り付け用枠材の調整に用いられる装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許3245773号公報
しかしながら、特許文献1の調整装置は、部品点数が多く構造も複雑である。このため、調整装置そのものの製造コストと調整作業コストとが高くなる問題がある。
また、特許文献1の調整装置は、円筒部材内部のカム板によって回転が停止されてロックされる。しかし、カム板によるロックでは、経時劣化によってロックが緩んでしまう。また、特許文献1の調整装置は、取り付け用枠材側の部材が回転することで、取り付け用枠材の位置が調整される。このため、カム板の緩みによって回転部が、不用意に回転してしまうこともありうる。この場合には、次第に取り付け用枠材の調整位置がずれてしまうこともある。あるいは、なんらかの衝撃によって調整位置がずれることも生じる。
一方で、戸建て住宅や商業ビルそのものに要求される耐用年数は増加する一方である。
このため、経時劣化の度合いが大きく調整位置のずれが簡単に生じてしまうと、ドアや窓の開閉が難しくなることもある。高齢化と戸建て住宅の耐用年数が伸びることにあわせて、住宅には高齢者が多くなり、高齢者にとっては、ドアや窓の開閉がしにくいことは不便である。
災害や経年劣化に強く、高齢者や体の弱い者にとってやさしい戸建て住宅や商業ビルを実現するには、日々使用するドアや窓の開閉が長期に渡ってスムーズであることが必要である。
特許文献1が開示する調整装置は、コスト面、作業工数面、および施工後の耐用についての技術が不足している問題がある。
本発明は、上記課題を解決し、低コスト、簡単作業によって取り付けが可能で、取り付け用枠材の長期間の固定が確実にできる取り付け用枠材の調整装置を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明の建具取り付け用枠材の調整装置は、壁面に取り付け可能である壁側取り付け部材と、壁面と対向する取り付け用枠材に取り付け可能であって、壁側取り付け部材と対になる枠側取り付け部材と、を備え、壁側取り付け部材は、外周面に第1ねじ溝を形成した第1筒部と、壁面に固定される固定手段と、を有し、枠側取り付け部材は、第1筒部を内部に挿入可能な貫通孔を有すると共に、貫通孔の内周面に第1ねじ溝と螺合する第2ねじ溝を形成した第2筒部と、枠側取り付け部材を、取り付け用枠材に固定可能な座部と、を備え、座部により取り付け用枠材に固定された枠側取り付け部材に対して、壁側取り付け部材が回転することで、壁面と取り付け用枠材との対向距離が増減する。
本発明の取り付け用枠材の調整装置は、部品点数が少なく、製造コストおよび作業コストを低減できる。
また、本発明の調整装置は、枠材に固定される座部が枠側取り付け部材と一体であり、壁側取り付け部材が調整のために回転するので、経年劣化に強く、不要な回転が生じることもない。このため、調整位置が時間経過と共にずれることが少ない。このため、一つの枠材に必要となる調整装置の数も少なくなり、建築コストの上昇も抑えられる。
また、ロック部材は、壁側取り付け部材と同じ径を有する工具で回転できる。このため、作業者は単一サイズの工具のみで作業できる。このため、作業工数を大幅に減らすこともできるので、建築コストが低減する。
本発明の第1の発明に係る建具用取り付け用枠材の調整装置は、壁面に取り付け可能である壁側取り付け部材と、壁面と対向する取り付け用枠材に取り付け可能であって、壁側取り付け部材と対になる枠側取り付け部材と、を備え、壁側取り付け部材は、外周面に第1ねじ溝を形成した第1筒部と、壁面に固定される固定手段と、を有し、枠側取り付け部材は、第1筒部を内部に挿入可能な貫通孔を有すると共に、貫通孔の内周面に第1ねじ溝と螺合する第2ねじ溝を形成した第2筒部と、枠側取り付け部材を取り付け用枠材に固定可能な座部と、を備え、座部により取り付け用枠材に固定された枠側取り付け部材に対して、壁側取り付け部材が回転することで、壁面と取り付け用枠材との対向距離が増減する。
この構成により、調整装置は、わずか2つのシンプルな部材だけで、壁面と取り付け用枠材との対向距離を容易に調整できる。
本発明の第2の発明に係る建具用取り付け用枠材の調整装置では、第1の発明に加えて、第1筒部は、取り付け用枠材の外部から貫通孔を通じて挿入される工具を挿入可能な凹部を備え、壁側取り付け部材は、凹部に挿入された工具によって回転可能である。
この構成により、調整装置は、貫通孔から工具を差し込むだけで、第1筒部の挿入量の増減を可能とする。この結果、作業コストが低減する。
本発明の第3の発明に係る建具用取り付け用枠材の調整装置では、第2の発明に加えて、凹部は、六角形を有し、工具は、凹部と嵌合する六角レンチである。
この構成により、調整装置は、大掛かりな工具を必要とせず、作業効率を向上させる。
本発明の第4の発明に係る建具用取り付け用枠材の調整装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、座部は、取り付け用枠材に固定される固定手段を更に備え、固定手段は、ねじ、釘、ビス、鋲の少なくとも1つによって枠側取り付け部材を取り付け用枠材に固定する。
この構成により、枠側取り付け部材は、容易かつ確実に取り付け用枠材に固定される。
本発明の第5の発明に係る建具用取り付け用枠材の調整装置では、第2から第4のいずれかの発明に加えて、壁側取り付け部材は壁面に仮固定され、枠側取り付け部材は取り付け用枠材に固定された上で、貫通孔を通じて凹部に嵌合された工具によって、壁側取り付け部材が枠側取り付け部材に対して回転させられる。
この構成により、作業効率が高まる。また、作業者の熟練を要さずとも、簡単に、取り付け用枠材の壁面への取り付けと調整が行える。また、固定された枠側取り付け部材に対して、壁側取り付け部材が回転するので、調整が容易であり、調整後の緩みやずれも生じにくい。
本発明の第6の発明に係る建具用取り付け用枠材の調整装置では、第1から第5のいずれかの発明に加えて、壁側取り付け部材の回転によって、第1筒部は、貫通孔内部を前後移動する。
この構成により、調整装置は、壁側取り付け部材の枠側取り付け部材に対する回転だけで、壁面と取り付け用枠剤との対向距離を調整できる。
本発明の第7の発明に係る建具用取り付け用枠材の調整装置では、第1から第6のいずれかの発明に加えて、枠側取り付け部材に対する壁側取り付け部材の回転を停止させるロック部材を更に備え、ロック部材は、貫通孔に挿入可能であり、該ロック部材の外周面に形成される第2ねじ溝と螺合する第3ねじ溝と、凹部と同径の孔を有し、孔に挿入された工具によって回転される。
この構成により、壁側取り付け部材の回転は確実に停止される。また、壁側取り付け部材の第1筒部と連通して、ロック部材は壁側取り付け部材の回転を停止させるので、調整装置の設置後の長期間にわたって、確実に回転を停止させる。結果として、ドアや窓の開閉における使用感が、長期にわたって維持される。
本発明の第8の発明に係る建具用取り付け用枠材の調整装置では、第7の発明に加えて、孔は、ロック部材の一方の端面においては、凹部と同径であって、ロック部材の他方の端面においては、凹部よりも小さい径を有する。
この構成により、工具がロック部材を貫通して第1筒部を回転させることがなくなる。このため、未熟な作業者が、作業を失敗するリスクを回避できる。
本発明の第9の発明に係る建具用取り付け用枠材の調整装置では、第7又は第8の発明に加えて、壁面と取り付け用枠材との対向距離が所定量となるように壁側取り付け部材の回転量が調整された後に、ロック部材が貫通孔に挿入され、ロック部材の端面が第1筒部の端面と接する位置まで、ロック部材が押し込まれることで、壁側取り付け部材の回転が停止する。
この構成により、第1筒部を回転させる工具と同じ工具だけで、作業者はロック部材による固定を行うことができる。工具が一種類で済むことで、作業効率が向上し、作業ミスの防止、作業コストの低減が図られる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
まず、建具取り付け用枠材の調整装置(以下、「調整装置」という)の全体概要について説明する。
(全体概要)
図1は、本発明の実施の形態1における調整装置の斜視図である。
調整装置1は、まず大きく2つの部材である、壁側取り付け部材2と枠側取り付け部材3とを備える。壁側取り付け部材2と枠側取り付け部材3とは、対となって、取り付け用枠材の固定および調整に用いられる。壁側取り付け部材2と枠側取り付け部材3とは、それぞれに異なる役割を有して、壁に対する取り付け用枠材の位置や距離を調整する。
壁側取り付け部材2は、外周面に第1ねじ溝4を形成した第1筒部5と、壁側取り付け部材2を壁面に取り付ける固定手段6を有する。固定手段6は、図1に示されるように、第1筒部5の座面となる座板と座板を固定するねじやビスなどとの組み合わせなどを用いる。あるいは、図1では、壁側取り付け部材2の内部であるので透視することはできないが、第1筒部5の内部から座板を通じて貫通孔が設けられ、貫通孔をねじやビスなどが貫いて、壁側取り付け部材2を壁面に固定してもよい。
枠側取り付け部材3は、第1筒部5を挿入可能な貫通孔7を有する。貫通孔7は、その内周面に第1ねじ溝4と螺合する第2ねじ溝8を備える。第1ねじ溝4と第2ねじ溝8とが螺合することで、第1筒部5は、貫通孔7に挿入される。枠側取り付け部材3は、この貫通孔7を備える第2筒部9を備える。
また、枠側取り付け部材3は、第2筒部9の座面となるように第2筒部9に固定されると共に、枠側取り付け部材3を取り付け用枠材に固定可能な座部10を有する。座部10は、ねじ孔11を備えており、このねじ孔11にねじ、釘、ビス、鋲などの少なくとも1つが挿入されて、座部10(すなわち枠側取り付け部材3)が取り付け用枠材に固定される。
調整装置1は、壁と取り付け用枠材との対向面に設置される。
図2は、本発明の実施の形態1における調整装置の使用態様を示す説明図である。
図2は、調整装置1が壁20と取り付け用枠材21との対向面に設置される状態を示している。壁20の側面に取り付け用枠材21が取り付けられる。取り付け用枠材21には、点線で示すとおり、施工の最終段階でドア22が取り付けられる。
壁20は、取り付け用枠材21を取り付ける壁面23を有しており、壁面23は、取り付け用枠材21と対向する面である。壁20は、内装工事前には設計が完了しており、取り付け用枠材21と壁面23との距離によって、取り付け用枠材21の位置・角度が調整される。
壁面23と取り付け用枠材21との間には、複数の調整装置1が設置され、複数の調整装置1のそれぞれは、第1ねじ溝4と第2ねじ溝8との螺合度合いによって、壁側取り付け部材2と枠側取り付け部材3との距離を増減させる。座部10は、取り付け用枠材21に枠側取り付け部材3を固定する。壁側取り付け部材2は、壁面23に仮固定される。次いで、壁側取り付け部材2は、第1筒部5が第2筒部9の貫通孔7に挿入されて回転させられる(第1ねじ溝4が第2ねじ溝8に螺合して回転する)。この回転によって、第1筒部5の貫通孔7への挿入量が増減する。この挿入量の増減によって、座部10と固定手段6との距離も増減する。この結果、壁面23と取り付け用枠材21との対向距離が増減する。この対向距離の大きさは、壁面23と取り付け用枠材21との距離を決める。枠側取り付け部材3に対して壁側取り付け部材2が回転することで、壁面23と取り付け用枠材21との対向距離が増減できる。
壁面23と取り付け用枠材21との対向距離が決まれば、壁側取り付け部材2の仮固定を本固定に切り替えて、調整装置1による調整が完了する。調整装置1による調整が完了すれば、取り付け用枠材21の設置が完了する。
図3は、第1筒部5が貫通孔7に挿入された状態を示す。図3より明らかな通り、第1ねじ溝4と第2ねじ溝8とが螺合して第1筒部5が貫通孔7に一定量挿入されている。この挿入によって、座部10と固定手段6との距離がある状態に設定される。この距離が、壁面23と取り付け用枠材21との距離を設定する。なお、図3は、本発明の実施の形態1における調整装置の斜視図である。
以上のように、壁側取り付け部材2と枠側取り付け部材3の2つの部材のみで、容易に壁面23と取り付け用枠材21との対向距離を増減でき、壁20に対する取り付け用枠材21の距離、位置、角度を調整できる。
(調整装置の設置と調整)
次に、図4を用いて、調整装置1の設置と調整とを説明する。
図4は、本発明の実施の形態1における調整装置の側面図である。図4は、第1筒部5が貫通孔7に挿入され、枠側取り付け部材3の座部10が壁面23とある距離を有する状態を示している。
壁20は、壁面23が取り付け用枠材21と対向している。
まず、壁面23には、壁側取り付け部材2が取り付けられる。このとき、第1筒部5は、枠側取り付け部材3の貫通孔7と通じる貫通孔25もしくは凹部26を有しており、貫通孔7および貫通孔25を通じて、取り付け用枠材21側から壁面23にねじ30を打ち込んで、壁側取り付け部材2が壁面23に固定される。なお、このとき壁側取り付け部材2は、完全に固定されるのではなく、回転可能な程度に仮固定される。なお、壁側取り付け部材2が回転可能になる程度の仮固定が好ましいが、壁側取り付け部材2が回転さえすれば、相当の強度で固定されても良い。
壁側取り付け部材2と対になる枠側取り付け部材3は、座部10に設けられたねじ孔から、取り付け用枠材21にねじ31が打ち込まれて、取り付け用枠材21に固定される。
壁側取り付け部材2の第1筒部5は、枠側取り付け部材3の有する貫通孔7に挿入される。このとき、貫通孔7と貫通孔25とは連通しており、貫通孔7の外側(取り付け用枠材21側)から挿入された工具によって、貫通孔25が回転させられ、貫通孔25の回転によって第1筒部5が貫通孔7の中で回転する。
例えば、貫通孔25が六角形の断面を有しており、この六角形の断面に嵌合する六角レンチが、貫通孔7より挿入される。この六角レンチが貫通孔25に嵌合して貫通孔25を回転させると、第1ねじ溝4と第2ねじ溝8とが螺合して第1筒部5が貫通孔7の中を回転する。この回転において、第1ねじ溝4と第2ねじ溝8との螺合によって第1筒部5の貫通孔7への挿入量が増減する。
第1筒部5の貫通孔7への挿入量が増減することで、壁側取り付け部材2と枠側取り付け部材3との距離が増減する。
図5は、六角レンチによって、このような壁側取り付け部材2が回転させられる状態を示している。図5は、本発明の実施の形態1における壁側取り付け部材を回転させる状態を示す説明図である。
図5より明らかな通り、貫通孔7に六角レンチ51が差し込まれている。六角レンチ51の形状と径は、第1筒部5の貫通孔25の断面形状と径とに嵌合する。作業者は、六角レンチ51を貫通孔7より差込み、貫通孔25に六角レンチ51を嵌合させる。六角レンチ51が回転すると、貫通孔25が回転して第1筒部5が回転する。第1筒部5の回転によって、壁側取り付け部材2が枠側取り付け部材3に対して回転する。この回転によって、壁側取り付け部材2と枠側取り付け部材3との距離が増減する。
この壁側取り付け部材2と枠側取り付け部材3との距離の増減によって、壁面23と取り付け用枠材21との対向距離40が増減する。対向距離40が増減することで、壁面23に対する取り付け用枠材21の位置や角度が調整される。
対向距離40が決定されると、貫通孔7より貫通孔25を通じて、壁側取り付け部材2を壁面23に取り付けているねじ30に工具が挿入され、工具は、ねじ30を回転させて、本固定を行う。ねじ30が確実に締められると、壁側取り付け部材2は、壁面23に確実に固定される。壁側取り付け部材2は壁面23に固定され、枠側取り付け部材3は取り付け用枠材21に固定される。壁側取り付け部材2と枠側取り付け部材3とが相互に固定されることで、壁面23に対してある距離を有して取り付け用枠材21が固定される。この距離が、壁面23に対する取り付け用枠材21の調整状態を示す。
なお、壁側取り付け部材2が最初に仮固定され、壁面23との距離が調整された後で壁側取り付け部材2が本固定されることでもよいが、壁側取り付け部材2が回転可能であれば、最初から壁側取り付け部材2が本固定に近い状態で固定されても良い。
1つの取り付け用枠材21において複数の調整装置1が取り付けられることで、壁面23に対する取り付け用枠材21の角度が調整できる。例えば、図2において、取り付け用枠材21の上部に設置された調整装置1における対向距離40が、取り付け用枠材21の下部に設置された調整装置1における対向距離40よりも大きい場合には、壁面23に対して取り付け用枠材21が斜めに取り付けられる。
斜めであることが好ましい場合などに適当である。
図6は、本発明の実施の形態1における取り付け用枠材に装着された調整装置の側面図である。図6に示されるように、取り付け用枠材21に取り付けられた枠側取り付け部材3に対して、ある距離をもって、壁側取り付け部材2が固定される。この距離が、壁面23に対する取り付け用枠材21の調整量であり、調整装置1は、この調整量によって、壁面23に対して取り付け用枠材21の位置、角度を調整できる。なお、図6では、壁側取り付け部材2が壁面に固定される固定手段6が、第1筒部5と一体である座面50を有している。このような座面50によって、壁面への固定が強化される。
次に、各部の詳細について説明する。
(壁側取り付け部材)
壁側取り付け部材2は、外周面に第1ねじ溝4を形成し、内部に貫通孔25を有する第1筒部5と、固定手段6とを有する。また、壁側取り付け部材2を壁面23に固定しやすいように、第1筒部5に座面13が設けられてもよい。座面13が設けられると、壁側取り付け部材2と壁面との接触面積が増大して摩擦が増大し、壁側取り付け部材2の壁面23に対する固定力が増加する。
壁側取り付け部材2は、金属、木材、樹脂、合金などのさまざまな素材によって形成されればよい。また、金型、鋳物、削り出しなどの種々の工程で製造されればよい。
壁側取り付け部材2は、大きく第1筒部5と座面13との2つの要素に分解できるが、これら2つの要素は別体で形成されてもよいし、一体で形成されてもよい。ただし、耐久性の観点から一体で形成されることが好ましい。
第1ねじ溝4は、第1筒部5の外周面に形成される。第1ねじ溝4は、第2ねじ溝8と螺合するような形状を有している。第1ねじ溝4は、第1筒部5にレーザーや切削器具によって切削されて形成されてもよいし、第1筒部5が形成される際に予めねじ溝4が形成されてもよい。
第1筒部5は、内部に貫通孔25を有することが好適である。なお、貫通孔25でなくとも、第1筒部5が貫通孔7と対向する部分において凹部26を有するだけでもよい。貫通孔25および凹部26は、所定の形状と径を有しているが、第1筒部5を回転させるために用いられる工具に嵌合する形状と径を有していることが好ましい。例えば、工具が六角レンチである場合には、この六角レンチに嵌合する形状と径を有していればよい。
また、第1筒部5を工具によって回転させるだけであれば、第1筒部5は、その内部に凹部26を有していればよいが、壁面23に壁側取り付け部材2を固定するのにねじ、釘、ビス、鋲などが用いられる場合には、ねじなどが壁面23に打ち込まれるように、第1筒部5は、貫通孔25を備えていることが好適である。貫通孔25は、第1筒部5の一方の端面から他方の端面にかけて貫通しており、ねじなどは、貫通孔25を貫いて壁面に打ち込まれる。このとき、貫通孔7から差し込まれた工具が、貫通孔25を貫通して、ねじやビスなどを壁面23に打ち込む(差し込む)。
すなわち、貫通孔25は、第1筒部5(壁側取り付け部材2)を回転させるために、貫通孔7より挿入された工具に嵌合する役割と、壁側取り付け部材2を壁面23に固定するねじや釘への工具を挿入させる役割とを有することになる。
また、壁側取り付け部材2は、壁面23との接触面に、接着面を有していてもよい。接着面を有することにより、壁側取り付け部材2の壁面への固定が強化されるからである。
壁側取り付け部材2は、枠側取り付け部材3と対になるので、例えば壁側取り付け部材2が枠側取り付け部材3に挿入されて一対となった状態で作業者に提供されることも好適である。一対となった状態で提供されることで、作業効率が高まるからである。
(枠側取り付け部材)
次に枠側取り付け部材3について説明する。
枠側取り付け部材3は、壁側取り付け部材2と対になる部材である。すなわち、調整装置1は、壁側取り付け部材2と枠側取り付け部材3との2つの要素で成立する。この結果、調整装置1の製造コストが低減すると共に作業コストも低減する。
枠側取り付け部材3は、第2筒部9と座部10との大きく2つの要素を備える。第2筒部9は、内部に第2ねじ溝8を形成する貫通孔7を備えて、第1筒部5(言い換えると壁側取り付け部材2)を挿入させる。座部10は、枠側取り付け部材3を取り付け用枠材21に固定する。このように、枠側取り付け部材3は、取り付け用枠材21に自らを固定した上で、枠側取り付け部材3に対する壁側取り付け部材2との距離関係を調整する。第2筒部9と座部10とは、一体で形成されてもよいし、別体で形成されてもよい。ただし、強度確保の観点から、一体で形成されることが好適である。
枠側取り付け部材3は、金属、樹脂、木材、合金、あるいはこれら素材の組み合わせで形成される。また、壁側取り付け部材2と同様に、金型、鋳物、切り出しなどの種々の工程で製造されればよい。なお、枠側取り付け部材3と壁側取り付け部材2との素材や製造工程が異なってもよい。
第2筒部9は、内部に貫通孔7を備える。貫通孔7は、第1筒部5が備える凹部や貫通孔25と嵌合する工具を通す役割と、第1筒部5を挿入させる役割とを有する。このため、貫通孔7は、第1筒部5と嵌合する径であって工具直径よりも大きな径を有する。
貫通孔7は、その内周面に第1ねじ溝4と螺合する第2ねじ溝8を有している。貫通孔7の内部に入り込む第1筒部5が、その外周面の第1ねじ溝4を第2ねじ溝8に螺合させることで、第1筒部5は、貫通孔7の内部で固定される。また、
第1筒部5は、凹部もしくは貫通孔25に挿入された工具によって回転される。この回転の際に第1ねじ溝4が第2ねじ溝8に螺合して、第1筒部5は、貫通孔7の中を前後移動する。
このとき、第1ねじ溝4と第2ねじ溝8との螺合の進み具合によって、第1筒部5の貫通孔7への挿入量が増減する。この挿入量の増減によって、壁側取り付け部材2と枠側取り付け部材3との距離が定まる。更には、壁面23と取り付け用枠材21との対向距離40も定まる。
第2ねじ溝8は、貫通孔7の形成後に切削などにより形成されてもよいし、貫通孔7の形成時に同時に形成されてもよい。
次に、座部10は、枠側取り付け部材3を取り付け用枠材21に固定する。図7は、本発明の実施の形態1における調整装置を設置した取り付け用枠材の斜視図である。図7より明らかな通り、枠側取り付け部材3は、取り付け用枠材21に固定される。このとき、座部10が有する孔にねじ、釘、ビス、鋲などが差し込まれ、座部10をこれらねじなどが取り付け用枠材21に打ち込まれることで、枠側取り付け部材3を取り付け用枠材21に固定する。図7では、ねじ31によって、座部10が固定される。
座部10は、複数のねじや釘などで取り付け用枠材21に固定されることで、高い固定力を発揮する。
座部10は、第2筒部9と一体であることが好ましいが、別体で製造されて、接着や溶接されて一体化されてもよい。また、座部10は、円形、楕円形、方形、多角形など種々の形状を有していればよい。
座部10が枠側取り付け部材3を取り付け用枠材21に固定することで、貫通孔7に挿入された第1筒部5が、取り付け用枠材21の外側(取り付け用枠材21を基準に、壁側取り付け部材2と反対側)より、貫通孔7に挿入された工具によって回転される。この回転によって、第1筒部5の貫通孔7への挿入量が増減する。この増減によって、壁面23と取り付け用枠材21との対向距離40が増減する。
図8は、本発明の実施の形態1における調整装置を設置した取り付け用枠材の斜視図である。
図8は、調整装置1が取り付けられた状態を、取り付け用枠材21の外側(壁面と対向しない側)からの視点で示している。枠側取り付け部材3が取り付け用枠材21に設けられた孔に挿入されて固定されている。図8では隠れているが、取り付け用枠材21の逆側において、壁側取り付け部材2が枠側取り付け部材3と嵌合している。このように、壁側取り付け部材2と枠側取り付け部材3とによって、壁面23に取り付け用枠材21が取り付けられる。
(その他の設置作業)
実施の形態1における調整装置1は、壁側取り付け部材2と枠側取り付け部材3との2つの部材だけで取り付け用枠材21の壁面23への固定と調整との役割を果たせる。
ここで、壁側取り付け部材2の第1筒部5が、枠側取り付け部材3の貫通孔7に、第1ねじ溝4と第2ねじ溝8との螺合によって固定される。挿入量は、第1ねじ溝4と第2ねじ溝8との螺合の量によって定まる。加えて、従来技術と異なり、回転する別の部材を有していないので、壁側取り付け部材2と枠側取り付け部材3とのそれぞれが、壁面23と取り付け用枠材21とのそれぞれに固定されれば、挿入量が変化することはほとんどない。このため、貫通孔7に第1筒部5を所定量だけ挿入させれば、調整装置1は、所定の挿入量(これが、壁面23と取り付け用枠材21との対向距離40になる)を保ったままとなる。
一方、壁面23の形状や取り付け用枠材21の形状などから、調整すべき壁面23と取り付け用枠材21との対向距離40が、経験的に分かっている場合が多い。
これらのことから、所定の挿入量で、貫通孔7に第1筒部5を挿入させた調整装置1を、作業者に供給することで、住宅やビルなどの建設現場での現場作業が軽減される。作業者は、予め所定の挿入量(これは所定の対向距離40である)を有して壁側取り付け部材2と枠側取り付け部材3とが合体された調整装置1を、壁面23と取り付け用枠材21とに固定して微調整するだけで作業を終えることができる。
従来技術の調整装置は、予め複数の部材を合体させておいても、回転量を固定しておくことができない。このため、複数の部材のそれぞれを壁面や取り付け用枠材に固定してから、調整に入らなければならなかった。実施の形態1における調整装置1は、ある程度の調整を施した調整装置1を建設現場に運搬し、作業者の現場での工程数を削減できる。作業の工程数が削減できることで、作業ミスを低減できるメリットも生じる。
また、壁面23の傾き量なども、壁面23の位置や高さによって経験的に分かっていることが多い。例えば、壁面23の上のほうでは傾き量が小さいが壁面23の下では傾き量が大きい。このため、取り付け用枠材21が、この壁面23の傾きを吸収するように設置されるためには、壁面23の上部での対向距離40は小さく、壁面23の下部での対向距離40は大きくなるように、調整装置1が設置されればよい。
対向距離40が大きく調整された調整装置1と対向距離40が小さく調整された調整装置1との2種類、あるいは中間の量で調整された調整装置1などを加えた、複数の調整装置1が作業者に供給される。作業者は、対向距離40の大きい調整装置1を壁面23の下部に固定し、対向距離40の中くらいの調整装置1を壁面23の中ほどに固定し、対向距離40の小さい調整装置1を壁面23の上部に固定する。これら複数の調整装置1が固定された後、作業者は、微調整を行えばよい。
このように、2つの部材同士がねじ溝によって嵌合するシンプルな構成を有する調整装置1であることで、数種類の対向距離にあわせた数種類の調整装置が予め用意され、作業者が設置場所に応じた選択をすることで、作業工程を減少し、作業ミスを減少させることもできる。
以上のように、実施の形態1における調整装置では、取り付け用枠材21に固定された枠側取り付け部材3に対して壁側取り付け部材2を回転させるので、調整がしやすい。特に、取り付け用枠材に固定された枠側取り付け部材3に対して、壁側取り付け部材2が回転して、対向距離40が調整されるので、壁側取り付け部材2の回転量と対向距離40との相関関係が一意的に決まる。このため、調整作業をマニュアル化しやすいメリットもある。枠側取り付け部材3が回転しないので、調整中に対向距離40がずれることも少ない。
加えて、壁側取り付け部材2は、貫通孔7および貫通孔25を介して壁面23に固定されるので、調整作業や固定作業は、取り付け用枠材21の外側から行える。このため、作業もやりやすい。例えば、従来技術のように、壁側取り付け部材2を先に固定した上で、枠側取り付け部材3を回転させる場合には、枠側取り付け部材3の事前の固定が確実にできない。このため、調整が終了した後で、壁面23と取り付け用枠材21との間に工具を挿入して、枠側取り付け部材3の固定を行うことが必要となる。このような作業は、作業者にとって負担であり、作業効率を著しく減じる。
これに対して、実施の形態1における調整装置では、枠側取り付け部材3が最初に取り付け用枠材21に固定されているので、対向距離40の調整後には、取り付け用枠材21の外側から壁側取り付け部材2を固定するだけでよい。このため、作業者にとっての負担は小さく、作業効率を向上させる。
また、現場での作業工程を減少させ、作業ミスを減少させることもできる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。
実施の形態2では、枠側取り付け部材に挿入された壁側取り付け部材の回転を、確実に停止させて設置後の変動を防止できる調整装置について説明する。
図9は、本発明の実施の形態2における調整装置の斜視図であり、図10は、本発明の実施の形態2における調整装置の斜視図である。
図9は、調整装置60を構成する3つの部材が分離した状態を示しており、図10は、調整装置60を構成する3つの部材が合体した状態を示している。
調整装置60は、実施の形態1で説明した壁側取り付け部材2と枠側取り付け部材3とを有している。壁側取り付け部材2および枠側取り付け部材3のそれぞれの構成や機能は、実施の形態1で説明したとおりである。壁側取り付け部材2は、第1ねじ溝4を形成する第1筒部5を備える。枠側取り付け部材3は、第1ねじ溝4と螺合する第2ねじ溝8を形成する貫通孔7を有する第2筒部9と座部10を備える。第1筒部5が貫通孔7に挿入されて、第1ねじ溝4と第2ねじ溝8との螺合によって、壁側取り付け部材2と枠側取り付け部材3とが嵌合する。このとき、第1筒部5の挿入量によって、壁面と取り付け用枠材との対向距離が調整されるので、調整装置60は、壁面に対する取り付け用枠材の取り付けを調整できる。
実施の形態2の調整装置は、ロック部材70を新たに備える。ロック部材70は、枠側取り付け部材3に対する壁側取り付け部材2の回転を停止させる。
ロック部材70は、第2ねじ溝8と螺合する第3ねじ溝71を、その外周面に有する。また、ロック部材70は、第1筒部5が有する凹部26と同一形状、同一径を有する孔72を有する。孔72は、第1筒部5を回転させる工具が差し込まれて、この工具によってロック部材70が回転されるために必要である。
ロック部材70は、外周面に第3ねじ溝71と内部に孔72を備えておれば、どのような形状でもよい。ただし、貫通孔7へ挿入される必要があるので、一般的には筒状の形状を有している。なお、貫通孔7への挿入ができればよいので、円筒状でも角形であってもよい。また、ロック部材70は、金属、木材、樹脂、合金など種々の素材で形成されればよく、金型、鋳物、削り出しなど種々の工程で製造されればよい。
次に、ロック部材70による壁側取り付け部材2の回転停止について説明する。
壁面23と取り付け用枠材21とが所定の対向距離40を有するように、枠側取り付け部材3に対して壁側取り付け部材2の回転量が調整されて壁側取り付け部材2が壁面に固定された後で、ロック部材70が、貫通孔7の端部(壁側取り付け部材2が挿入している端部と逆側の端部)から挿入される。
ロック部材70は、外周面に第3ねじ溝71を有しているので、この第3ねじ溝71が第2ねじ溝8と螺合する。更に、ロック部材70は、内部に孔72を備えており、孔72に嵌合する工具によって回転される。ロック部材70が回転されることで、ロック部材70は、貫通孔7の内部を前進する(もぐりこむ)。ロック部材70の先端が、貫通孔7の他方から挿入されている第1筒部5の先端と衝突すると、ロック部材70の回転は停止する。この結果、第1筒部5の先端とロック部材70の先端とが接触するようになる。この接触は摩擦力を生じさせるので、ロック部材70との接触摩擦によって、第1筒部5は、押さえつけられる。この接触摩擦によって、調整装置60の設置後に、第1筒部5が不意に回転したり緩んだりすることがなくなる。図10は、ロック部材70が貫通孔7に挿入されて、第1筒部5をロックした状態を示している。
従来技術の調整装置では、カム板が固定部材を押し広げることで、回転を防止していたが、不安定であり、不意に緩んだりする可能性が高い。カム板の押し広げが緩んでしまうと、調整装置の調整が狂ってしまい、取り付け用枠材に取り付けたドアや窓の開閉に支障をきたすことがある。
これに対して、実施の形態2の調整装置60は、回転部材となる壁側取り付け部材2が挿入される貫通穴7にロック部材70が挿入されるので、ロック部材70が不意に緩むことがない。そもそも壁側取り付け部材2が枠側取り付け部材3と嵌合して、壁面と取り付け用枠材とを接続しているので、壁側取り付け部材2と枠側取り付け部材3との緩みは生じにくい。これに加えて、ロック部材70が壁側取り付け部材2に接触摩擦をもって押さえつけるので、壁側取り付け部材2と枠側取り付け部材3との緩みや回転が生じることはほとんどなくなる。このため、取り付け用枠材21が、事後的にずれたりする可能性が低く、取り付け用枠材21に取り付けたドアや窓の開閉に支障をきたすことがほとんどない。このため、高齢者や力の弱い住人にとっても住みやすい住宅やビルとなる。
ここで、孔72の形状および径は、第1筒部5に設けられた貫通孔25もしくは凹部26の形状および径と同じであるので、貫通孔7より挿入して第1筒部5(壁側取り付け部材2)を回転させた工具と同一の(種類が同一であればよい)工具を、ロック部材70の回転に用いることができる。
すなわち、作業者は1つの種類の工具(特に、ここでは1つの六角レンチ)だけで、(1)第1筒部5を回転させて、壁側取り付け部材2と枠側取り付け部材3との間隔を調整して、壁面23と取り付け用枠材23との対向距離40を調整し、(2)ロック部材70を貫通孔7に挿入して、第1筒部5へ押し当てて壁側取り付け部材2の回転を停止させる、との2つの作業を実施できる。しかも、このときは工具を貫通孔7から差し込んで作業するだけなので、作業工程も容易で熟練を必要としない。結果として、作業コストを大幅に下げる。
図11は、ロック部材70が、孔72に差し込まれた工具80によって回転される状態を示している。図11は、本発明の実施の形態2におけるロック部材の挿入を示す説明図である。第1筒部5を回転させた工具と同じ工具80が用いられて、ロック部材70の孔72に差し込まれた工具80が、ロック部材70を回転させる。
ここで、ロック部材70は、孔72を有するが、孔72は、工具が挿入される端面においては、工具の断面形状および断面の径と同一であり、逆の端面においては、工具の断面の径よりも小さいことも好ましい。すなわち、ロック部材70の孔72は、一方の端面からは工具を差し込むことを許すが、他方の端面からは工具を差し込むことを許さない形状を有する。
図12は、実施の形態2におけるロック部材の端面を示す説明図である。図12に示されるように、ロック部材70は、工具80が差し込まれる側の端面での孔72の径は工具80と同一径であり、第1筒部5側の端面での孔72の径は工具80の径よりも小さい。あるいは、第1筒部5側の端面では、孔72が貫通していなくてもよい。すなわち、ロック部材70の孔72は、工具80が差し込まれる凹部だけを有していてもよい。
このロック部材70を、孔72の小さな断面側を、第1筒部5に向くように貫通孔7に挿入し、工具80を大きな断面(工具80の断面形状に嵌合する断面を有する)側に差し込んで、ロック部材70を回転させて、ロック部材70を貫通孔7の内部に押し込む。
この場合には、ロック部材70の孔72を、工具80が貫通することがなくなるので、ロック部材70ではなく第1筒部5が誤って工具80によって回転されることが防止される。このため、作業者のミスが防止され、一旦調整された調整装置60の調整が、人為的に狂わされることも防止できる。この点でも、作業者の熟練に依存する必要がないので、作業コストを低減できる。
また、図13は、本発明の実施の形態2におけるロック部材によって固定された調整装置の側面図である。図13から明らかな通り、ロック部材70が貫通孔7に挿入されて、その端面を壁側取り付け部材2の第1筒部5の端面に接している。この接触摩擦によって、第1筒部5が不用意に回転することがなく、設置後の緩みやずれを防止できる。
以上のように、ロック部材70を用いることで、調整装置60は、壁側取り付け部材2と枠側取り付け部材3とが、設置後に回転したり緩んだりすることがなくなり、住宅やビルにおける高い使用感を長期にわたって維持できる。
なお、ロック部材70は、第1筒部5と同じ系の外周と内周を有すると共に同じ螺合ピッチのねじ溝を有するので、製造された第1筒部5の一部が切断されることで、ロック部材70が製造されることも好適である。この場合には、製造コストが更に低減するメリットがある。
また、取り付け用枠材は、実施の形態1、2で説明した調整装置によって、事後的にその取り付けが調整される。このため、住宅などの建築終了後に、住人の意思によってリフォームがなされる場合に、この調整装置の取替えだけで、取り付け用枠材の再設置もできる。あるいは、建築終了後に、地震や人災によって取り付け用枠材の位置ずれが生じた場合でも、取り付け用枠材の外から、ロック部材を取り出して再調整を行うこともできる。
このとき、取り付け用枠材そのものを取り替えたい場合でも、調整装置が有する壁側取り付け部材と枠側取り付け部材とを分離するだけで、取り付け用枠材を壁面から取り外すことができる。
壁面から取り付け用枠材が取り外せれば、新しい取り付け用枠材を設置できる。これは、リフォームにおいて壁面の色を変更する場合などに有効である。
このように、実施の形態1、2の調整装置は、住宅などの建築終了後のリフォームコストをも低減できる。
実施の形態1、2で説明された調整装置は、調整装置として製造・流通されてもよいし、調整装置が予め装着された建具取り付け用枠材として製造・流通されてもよい。あるいは、調整装置の内、壁側取り付け部材が壁面に装着され、枠側取り付け部材が取り付け用枠材に装着された状態で、工事作業者に提供されることも好適である。
実施の形態1、2で説明した調整装置は、シンプルでかつ少ない個数の部材から構成されるので、作業者の便益に合致するさまざまな提供スタイルが実現できる。
なお、実施の形態1〜2で説明された調整装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
本発明の実施の形態1における調整装置の斜視図である。 本発明の実施の形態1における調整装置の使用態様を示す説明図である。 本発明の実施の形態1における調整装置の斜視図である。 本発明の実施の形態1における調整装置の側面図である。 本発明の実施の形態1における壁側取り付け部材を回転させる状態を示す説明図である。 本発明の実施の形態1における取り付け用枠材に装着された調整装置の側面図である。 本発明の実施の形態1における調整装置を設置した取り付け用枠材の斜視図である。 本発明の実施の形態1における調整装置を設置した取り付け用枠材の斜視図である。 本発明の実施の形態2における調整装置の斜視図である。 本発明の実施の形態2における調整装置の斜視図である。 本発明の実施の形態2におけるロック部材の挿入を示す説明図である。 実施の形態2におけるロック部材の端面を示す説明図である。 本発明の実施の形態2におけるロック部材によって固定された調整装置の側面図である。
1 調整装置
2 壁側取り付け部材
3 枠側取り付け部材
4 第1ねじ溝
5 第1筒部
6 固定手段
7 貫通孔
8 第2ねじ溝
9 第2筒部
10 座部
70 ロック部材
71 第3ねじ溝
72 孔

Claims (10)

  1. 壁面に取り付け可能である壁側取り付け部材と、
    前記壁面と対向する取り付け用枠材に取り付け可能であって、前記壁側取り付け部材と対になる枠側取り付け部材と、を備え、
    前記壁側取り付け部材は、
    外周面に第1ねじ溝を形成した第1筒部と、
    前記壁面に固定される固定手段と、を有し、
    前記枠側取り付け部材は、
    前記第1筒部を内部に挿入可能な貫通孔を有すると共に、前記貫通孔の内周面に前記第1ねじ溝と螺合する第2ねじ溝を形成した第2筒部と、
    前記枠側取り付け部材を、前記取り付け用枠材に固定可能な座部と、を備え、
    前記座部により前記取り付け用枠材に固定された前記枠側取り付け部材に対して、前記壁側取り付け部材が回転することで、前記壁面と前記取り付け用枠材との対向距離が増減する建具取り付け用枠材の調整装置。
  2. 前記第1筒部は、前記取り付け用枠材の外部から前記貫通孔を通じて挿入される工具を挿入可能な凹部を備え、
    前記壁側取り付け部材は、前記凹部に挿入された工具によって回転可能である請求項1記載の建具取り付け用枠材の調整装置。
  3. 前記凹部は、六角形を有し、前記工具は、前記凹部と嵌合する六角レンチである請求項2記載の建具取り付け用枠材の調整装置。
  4. 前記座部は、前記取り付け用枠材に固定される固定手段を更に備え、
    前記固定手段は、ねじ、釘、ビス、鋲の少なくとも1つによって前記枠側取り付け部材を前記取り付け用枠材に固定する請求項1から3のいずれか記載の建具取り付け用枠材の調整装置。
  5. 前記壁側取り付け部材は前記壁面に仮固定され、前記枠側取り付け部材は前記取り付け用枠材に固定された上で、前記貫通孔を通じて前記凹部に嵌合された工具によって、前記壁側取り付け部材が前記枠側取り付け部材に対して回転させられる請求項2から4のいずれか記載の建具取り付け用枠材の調整装置。
  6. 前記壁側取り付け部材の回転によって、前記第1筒部は、前記貫通孔内部を前後移動する請求項1から5のいずれか記載の建具取り付け用枠材の調整装置。
  7. 前記枠側取り付け部材に対する前記壁側取り付け部材の回転を停止させるロック部材を更に備え、
    前記ロック部材は、
    前記貫通孔に挿入可能であり、
    該ロック部材の外周面に形成される前記第2ねじ溝と螺合する第3ねじ溝と、前記凹部と同径の孔を有し、
    前記孔に挿入された前記工具によって回転される請求項2から6のいずれか記載の建具取り付け用枠材の調整装置。
  8. 前記孔は、前記ロック部材の一方の端面においては、前記凹部と同径であって、前記ロック部材の他方の端面においては、前記凹部よりも小さい径を有する請求項7記載の建具取り付け用枠材の調整装置。
  9. 前記壁面と前記取り付け用枠材との対向距離が所定量となるように前記壁側取り付け部材の回転量が調整された後に、前記ロック部材が前記貫通孔に挿入され、前記ロック部材の端面が前記第1筒部の端面と接する位置まで、前記ロック部材が押し込まれることで、前記壁側取り付け部材の回転が停止する請求項7又は8記載の建具取り付け用枠材の調整装置。
  10. 請求項1から9のいずれか記載の建具取り付け用枠材の調整装置が取り付けられた建具取り付け用枠材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110173189A (zh) * 2019-06-05 2019-08-27 皓耀时代(福建)集团有限公司 一种房屋窗框的安装结构及其安装方法
RU212440U1 (ru) * 2022-04-26 2022-07-21 Иван Алексеевич Семенов Устройство для регулирования положения резьбового стержня

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