JP2011071335A - プラズマエッチング方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラズマ内に存在するラジカル種及びイオン種の種類又は密度を制御し、プロセスに対して適したプラズマを生成し、かつ、照射範囲の制御可能な光の照射の有無によりプラズマ状態の切り換えをすることができるラズマエッチング方法及び装置を提供する。
【解決手段】プロセスチャンバの内部にプロセスガスを一定の流量で導入し、前記プロセスチャンバの内部の圧力を一定に保ち、電源により前記プロセスチャンバの内部に存在するガスを励起しプラズマを発生させ、被エッチング材をプラズマによりエッチングするプラズマエッチング方法において、前記プロセスチャンバの内部にガス分子の光解離をさらに誘起する光を光源から前記プロセスチャンバの内部に導入し、前記光は、前記光源と、チャンバへの導入口の間に備えられた光学系により、照射範囲を拡大、または縮小されることを特徴とするプラズマエッチング方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体製造及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)製造等におけるプラズマエッチング方法及び装置に関するものである。
プラズマエッチング方法及び装置は、基板上に微細な凹凸形状を形成するために用いられる。気体分子を電力などの印加により励起することで生成することのできるプラズマ中には、中性分子のほか、ラジカルと呼ばれる反応性の高い状態にある原子、もしくは分子や、中性分子が電離して生じる電子や、正イオンなどが存在する。
プラズマ中のラジカルや正イオンと基板表面物質とが化学反応などを起こすことで、基板表面から反応を生じた部分が脱離する。以下、これをエッチング反応と記す。
基板上に樹脂などによる保護膜に覆われた部分と、基板表面が露出している部分を形成し、基板表面物質とエッチング反応を生じる物質を含むプラズマに晒した後、保護膜を除去すれば、エッチング反応により表面物質の一部が脱離した部分と、保護膜により保護されていた部分からなる、基板上の凹凸形状が形成できる。
プラズマを発生させる際には、ある一定の圧力に保たれた空間に対し、外力を印加し、空間内の中性分子を電離させ、さらに発生した電子を加速するなどして、電離、解離、イオン化などを繰り返し発生させる必要がある。
この時、印加する外力が非常に強ければ、電離して発生する電子のエネルギーは非常に大きくなるため、空間内に存在する中性分子は電子との衝突を繰り返すことにより、細分化される。したがって、エッチング反応手段を考慮した上で、チャンバ内に封入するガス種や、外部から印加する力を制御することが重要となる。
また、プラズマを用いたエッチングでは、数百ミクロンの高さの溝を形成する場合がある。その代表例として、MEMS製造プロセス等に用いられる、ケイ素基板の深堀エッチング技術がある。ケイ素はフッ素原子と非常に反応性が高く、そのためフッ素の供給源として代表的なSF6をプロセスガスとして選択し、プラズマエッチングをすると、非常に高速でエッチングが進行することが知られている。
しかしながら、SF6ガスプラズマによるケイ素のエッチングは、自発的なエッチング反応の進行が支配的であり、エッチングが等方的に進行してしまうことから、SF6ガスのみでのプロセスでは、高アスペクト比の形状を形成するのが困難である。
そこで、フッ素によるエッチングステップ(以下エッチングステップと記述)と、重合体による凹凸形状の側壁保護(以下デポジッションステップと記述)を繰り返し行うことで、等方的なエッチングの進行を防ぎ、非常に深い溝を形成するプロセスが発案された(特許文献1参照)。
現在、ケイ素の異方性深堀エッチングとして代表的な方法は、ボッシュ法と呼ばれる方法であり、エッチングステップにSF6を、デポジッションステップにCHF3やC4F8をそれぞれメインプロセスガスとして採用している。
しかしながら、ボッシュ法においては、エッチングステップ、及びデポジッションステップを短時間で繰り返し、そのたびにプロセスガスを入れ換えなくてはならず、そのためプラズマが不安定な時間が多く、制御が困難であるという問題がある。
また、このようなボッシュ法にかかわらず、基板表面と反応するラジカル種やイオン種を効率的に生成することが、他のラジカル種、イオン種の生成反応と競合してしまい、困難になってしまうという問題がある。
特表平7−503815号公報
本発明の目的は、基板のエッチングに対して効果的なラジカル種又はイオン種の密度を制御することにより、エッチングに対して有効なプラズマを生成して効果的なエッチング加工を行うことができるプラズマエッチング方法及び装置を提供することにある。
本発明の請求項1に係る発明は、プロセスチャンバの内部にプロセスガスを一定の流量で導入し、前記プロセスチャンバの内部の圧力を一定に保ち、電源により前記プロセスチャンバの内部に存在するガスを励起しプラズマを発生させ、被エッチング材をプラズマによりエッチングするプラズマエッチング方法において、前記プロセスチャンバの内部にガス分子の光解離をさらに誘起する光を光源から前記プロセスチャンバの内部に導入し、前記光は、前記光源と、チャンバへの導入口の間に備えられた光学系により、照射範囲を拡大、または縮小されることを特徴とするプラズマエッチング方法としたものである。
本発明の請求項2に係る発明は、前記光学系が、1つ以上のレンズを含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマエッチング方法としたものである。
本発明の請求項3に係る発明は、前記光学系が、1つ以上の球面反射板を含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマエッチング方法としたものである。
本発明の請求項4に係る発明は、前記光源はレーザ光を放射することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のプラズマエッチング方法としたものである。
本発明の請求項5に係る発明は、前記光源は波長可変な光を放射することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のプラズマエッチング方法としたものである。
本発明の請求項6に係る発明は、前記光源は波長可変なレーザ光を放射することを特徴とする請求項4に記載のプラズマエッチング方法としたものである。
本発明の請求項7に係る発明は、前記電源はパルス制御でき、前記光源はパルスレーザであることを特徴とする請求項4または請求項6に記載のプラズマエッチング方法としたものである。
本発明の請求項8に係る発明は、プロセスチャンバの内部にプロセスガスを一定の流量で導入するガス導入手段と、前記プロセスチャンバの内部の圧力を一定に保つ圧力保持手段と、電源により前記プロセスチャンバの内部に存在するガスを励起しプラズマを発生させるプラズマ発生手段と、被エッチング材を前記プラズマによりエッチングするエッチング手段と、前記プロセスチャンバの内部にガス分子の光解離をさらに誘起する光を光源から前記プロセスチャンバの内部に導入する光導入手段と、前記光源と、チャンバへの導入口の間に、前記光の照射範囲を拡大、または縮小する光学系とを具備することを特徴とするプラズマエッチング装置としたものである。
本発明の請求項9に係る発明は、前記光学系が、1つ以上のレンズを含むことを特徴とする請請求項8に記載のプラズマエッチング装置としたものである。
本発明の請求項10に係る発明は、前記光学系が、1つ以上の球面反射板を含むことを特徴とする請求項8に記載のプラズマエッチング装置としたものである。
本発明の請求項11に係る発明は、前記光源はレーザ光を放射することを特徴とする請求項9または請求項10に記載のプラズマエッチング装置としたものである。
本発明の請求項12に係る発明は、前記光源は波長可変な光を放射することを特徴とする請求項9または請求項10に記載のプラズマエッチング装置としたものである。
本発明の請求項13に係る発明は、前記光源は波長可変なレーザ光を放射することを特徴とする請求項11に記載のプラズマエッチング装置としたものである。
本発明の請求項14に係る発明は、前記ガスを励起し前記プラズマを発生させる前記電源はパルス制御でき、かつ、前記光源はパルスレーザであることを特徴とする請求項11または請求項13に記載のプラズマエッチング装置としたものである。
本発明によれば、プロセスチャンバの内部にガス分子の光解離をさらに誘起する光をプロセスチャンバの設計に応じた照射範囲を定めたのち、プロセスチャンバ内部に導入するため、基板のエッチングに対して効果的なラジカル種又はイオン種の密度をプロセスチャンバの設計に応じた範囲で制御することにより、エッチングに対して有効なプラズマを生成して効果的なエッチング加工を行うことができる。
本発明の実施の形態1に係るプラズマエッチング装置を示す概略図である。 本発明の実施の形態2に係るプラズマエッチング装置を示す概略図である。 本発明の実施の形態3に係るプラズマエッチング装置を示す概略図である。 本発明の実施の形態4に係るプラズマエッチング装置を示す概略図である。 本発明の実施の形態5に係るプラズマエッチング装置を示す概略図である。 本発明の実施の形態6に係るプラズマエッチング装置を示す概略図である。 本発明の実施例1を示す概略図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を用いながら説明する。また、以下に示す本発明の一実施形態は、外部アンテナ方式で、プロセスチャンバの上部に誘導コイルが設置された誘導結合型プラズマ(ICP:Inductive Coupled Plasma)エッチング装置に本発明を適用した場合である。本発明は、分子の電子、振動励起を誘起する光の光軸を遮ることの無い構造することで、側壁に誘導コイルを設置した装置、及び、内部アンテナ式のICP型エッチング装置にも、適用できる。また、本発明は、他のプラズマ源を持つエッチング装置に関しても同様に光軸を遮ることの無い構造にすることにより適用可能である。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係るプラズマエッチング装置を示す概略図である。本発明の実施の形態1に係るプラズマエッチング装置は、外部アンテナ式のICPエッチング装置であり、プロセスチャンバ1の上部に配置されている誘電コイル2を具備し、誘電コイル2の周辺を覆う絶縁層3を具備している。また、プロセスチャンバ1の内部には、バイアス電極4が配置されている。バイアス電極4の上には、エッチングを行う被エッチング材である基板100が設置される。
また、プラズマエッチング装置は、プロセスチャンバ1の外部に配置されている誘電コイル電源7及びバイアス電源8を具備している。誘電コイル電源7は、誘電コイル2に接続されており、誘電コイル2に所定の電力を与える。バイアス電源8は、バイアス電極4に接続されており、バイアス電極4に所定のバイアス電圧を与える。
プロセスチャンバ1の側壁には、2つの窓9が対向するように形成されている。一方の窓9の外には、光源10が配置されており、これらの間には光源10側から凹レンズ31、凸レンズ32の順でレンズが設置されている。光源10から放射された光は凹レンズ31を透過することで照射範囲が拡大され、凸レンズ32を透過することで照射範囲が一定となり、一方の窓9からプロセスチャンバ1の内部に導入され、かつ、他方の窓9から導出される。
また、プラズマエッチング装置は、ガス導入ライン5及び排気手段6を具備している。ガス導入ライン5からプロセスチャンバ1へプロセスガスが一定流量で導入され、排気手段6で排気速度を調節することにより、プロセスチャンバ1の内の圧力を制御する。ガス導入ライン5から導入するガスは、単一分子からなるガスでも混合ガスでもよいが、光源10からの光によって、光解離が誘起される分子が含まれている。
ガス導入ライン5は、プロセスチャンバ1の内部にプロセスガスを一定の流量で導入するガス導入手段を構成している。また、ガス導入ライン5及び排気手段6は、プロセスチャンバの内部の圧力を一定に保つ圧力保持手段を構成している。
プロセスチャンバ1の内部の圧力が一定になったところで、誘導コイル電源7により誘導コイル2に所定の電力を与え、かつ、バイアス電源8によりバイアス電極4に所定のバイアス電圧を印加し、プラズマを発生させる。
この段階で、光源10からの光をプロセスチャンバ1に導入し、プラズマ中に存在する中性分子を光解離させる。光解離した分子はラジカルとして基板100と反応又はプラズマ内で励起し、イオン化して基板100と反応又は衝突することで、エッチングを進行させる。必要に応じ、プロセスチャンバ1を通過した光は、対向の窓9の外部の設置した光遮断機構11にて遮断される。
このように、プロセスチャンバ1に導入される光を調節することにより、基板のエッチングに対して効果的なラジカル種又はイオン種の密度をプロセスチャンバの設計に応じた範囲で制御することができ、エッチングに対して有効なプラズマを生成して効果的なエッチング加工を行うことができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2を図面に基づいて説明する。図2は本発明の実施の形態2に係るプラズマエッチング装置を示す概略図である。本発明の実施の形態2においては、本発明の実施の形態1と同じ構成要素には同じ参照符号を付してその説明を省略する。
図2に示すように、本発明の実施の形態2に係るプラズマエッチング装置は、光源としてレーザ光源12を具備している。
図2で示したように、レーザ光源12は、高い指向性を有しているため、凹レンズ31により拡散させた後、凸レンズ32により再び高い指向性へと戻すことで、光源12より放射したレーザ光の照射範囲は拡大される。さらに、レーザ光源から放射されたレーザ光は高い光子密度を有しているため、広範囲に渡り光解離の効率を上げることが可能となる。
一般的に光解離は、分子に光が入射し、解離性ポテンシャルへと励起した場合に生じる。この解離性ポテンシャルへの励起は、分子の基底状態から直接遷移するものの他に、一度準安定な電子励起状態へと遷移し、この電子状態のポテンシャルと解離性ポテンシャルが交差することによる前期解離がある。したがって、様々な分子種を用いる場合、効率的に光解離させるには、光解離に用いる光源は波長可変であることが必要である。特定の分子のみ光解離を生じさせる場合で、固体レーザや半導体レーザ又は気体レーザなどの既存の特定の波長光源を用いて光解離が可能であるならば、出力の範囲が広いため、有利である場合もある。レーザ光源12は、パルス制御することにより、1パルス時間内の光子密度を上げることができ、効率的に光解離を行うことができる。また、光解離反応により生成するラジカル種の中には、非常に寿命が短く、ナノ秒、ピコ秒スケールで再結合してしまうものもあるが、本実施形態によれば、こうしたラジカル種についてもエッチングに対して効率的に作用させることができる。
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3を図面に基づいて説明する。図3は本発明の実施の形態3に係るプラズマエッチング装置を示す概略図である。本発明の実施の形態3においては、本発明の実施の形態1と同じ構成要素には同じ参照符号を付してその説明を省略する。
図3に示すように、本発明の実施の形態3に係るプラズマエッチング装置は、光源としてパルスレーザ光源13を具備し、電源として誘導コイルパルス電源14を具備している。
パルスレーザ光源13と誘導コイルパルス電源14とは、パルスレーザ光源13のパルスと誘導コイルパルス電源14のパルスをパルスジェネレータ15により同期させることで、光解離により生成したラジカル種をエッチングに対して効率的に作用させることが可能となる。レーザ光源13からの光のプロセスチャンバ1への導入、遮断の切り換えにより、光解離反応の発生も容易に切り換えることが可能である。
図3のプラズマエッチング装置を用いて説明する。光解離により生成されるラジカル種をエッチングに作用させたい場合には、パルスレーザ光源13から発振したレーザ光は、凹レンズ31、凸レンズ32において照射範囲を拡大され、窓9からプロセスチャンバ1へ導入される。反対に、光解離により生成されるラジカル種をエッチングに作用させたくない場合は、パルスレーザ光源13からの発振は止められるか、又は、パルスレーザ光源13と窓9の間で発振されたレーザ光を遮断すればよい。
この手法を用いることにより、これまでプロセスチャンバ1へ導入するガス種を切り換えることにより行ってきたエッチングステップと、デポジッションプロセスとの繰返しによる基板100の深堀エッチングは、ガス種を切り換えることなく、光の導入又は遮断による切り換えにより可能となる。
プロセスガスとして、SF6、C4F8、I2が選択され、ケイ素の深堀エッチングが行われる場合を説明する。
ケイ素はフッ素に対して非常に高い反応性を示し、そのため、SF6プラズマのみのエッチングでは等方的にエッチングが進行し、垂直な形状を形成するのは困難となる。一方、C4F8は、プラズマ中でCとFからなる重合体を形成しやすく、この重合体が保護膜となり、フッ素によるパターン側壁へのエッチングを阻害する。
したがって、ケイ素の深堀エッチングを実施するには、SF6とC4F8が混在する空間内において、フッ素によるエッチングステップが支配的となるのか、CとFからなる重合体によるデポジッションステップが支配的となるのかを、制御することができれば、側壁へのエッチングを抑制し、垂直な形状を形成することが可能となる。
次に、I2ガスの混合について説明する。ヨウ素原子は、非常に高いフッ素吸着性をもつ原子として知られており、IF5やIF7という構造を持った化合物を形成する。
したがって、SF6、C4F8、I2の混合ガスによるプラズマ放電を行い、フッ素によるエッチングステップが十分進行するように制御されたプラズマにおいて、I2の光解離を促進するレーザ光を照射することにより、ヨウ素原子によるフッ素の吸着が進行し、エッチングの進行が抑制される。
一方で、C4F8のプラズマ中での挙動は、CF2などの化合物を重合前駆体とする重合体形成が支配的であり、安定した化合物を形成することにより、ヨウ素原子によるフッ素吸着性の影響を無視することができる。
CとFからなる重合体形成におけるレーザ光の照射の影響が無視できるのであれば、結果としてレーザ光を照射している間はCとFとからなる重合体によるデポジッションステップが支配的となる。
エッチングステップとデポジッションステップとをより明確に切り換えるために、誘導コイルパルス電源14が用いられ、プラズマ放電の際の印加電力がパルス制御される。
SF6、C4F8、I2の混合ガスがガス導入ライン5からプロセスチャンバ1へと導入され、パルスジェネレータ15から発振される信号により、パルス制御された電力が誘導コイルパルス電源14から印加されプラズマを発生させる。
パルスジェネレータ15は、誘導コイルパルス電源14のパルスとパルスレーザ光源13から発振するレーザ光を同期させ、プロセスチャンバ1にパルスレーザ光を導入する。プロセスチャンバ1に導入するパルスレーザ光波長は、I2の光解離を誘起する波長に設定される。
パルスジェネレータ15は、誘導コイルパルス電源14のパルスとパルスレーザ光源13から発振するレーザ光の遅延時間を制御することで、プラズマ放電によるフッ素原子発生の時間と、レーザ光照射によるヨウ素原子発生の時間を調節することができる。
エッチングする基板100がプロセスチャンバ1の内部に挿入され、プラズマエッチングが実施される。エッチングステップの間には、レーザ光はプロセスチャンバ1に導入する前で遮断し、デポジッションステップの間には、レーザ光をプロセスチャンバ1に導入する。
以上の動作により、ガス種を切り換えずに、エッチングステップとデポジッションステップの繰返しによる基板100の深堀エッチングを実施することができる。
(実施の形態4)
図4は本発明の実施の形態1に係るプラズマエッチング装置を示す概略図である。本発明の実施の形態4に係るプラズマエッチング装置は、外部アンテナ式のICPエッチング装置であり、プロセスチャンバ1の上部に配置されている誘電コイル2を具備し、誘電コイル2の周辺を覆う絶縁層3を具備している。また、プロセスチャンバ1の内部には、バイアス電極4が配置されている。バイアス電極4の上には、エッチングを行う被エッチング材である基板100が設置される。
また、プラズマエッチング装置は、プロセスチャンバ1の外部に配置されている誘電コイル電源7及びバイアス電源8を具備している。誘電コイル電源7は、誘電コイル2に接続されており、誘電コイル2に所定の電力を与える。バイアス電源8は、バイアス電極4に接続されており、バイアス電極4に所定のバイアス電圧を与える。
プロセスチャンバ1の側壁には、2つの窓9が対向するように形成されている。一方の窓9の外には、光源10が配置されており、これらの間には光源10側から凸面反射板33、凹面反射板34の順で球面反射板が設置されている。光源10から放射された光は凸面反射板33の表面で反射されることで照射範囲が拡大され、凹面反射板34表面で反射されることで照射範囲が一定となり、一方の窓9からプロセスチャンバ1の内部に導入され、かつ、他方の窓9から導出される。
また、プラズマエッチング装置は、ガス導入ライン5及び排気手段6を具備している。ガス導入ライン5からプロセスチャンバ1へプロセスガスが一定流量で導入され、排気手段6で排気速度を調節することにより、プロセスチャンバ1の内の圧力を制御する。ガス導入ライン5から導入するガスは、単一分子からなるガスでも混合ガスでもよいが、光源10からの光によって、光解離が誘起される分子が含まれている。
ガス導入ライン5は、プロセスチャンバ1の内部にプロセスガスを一定の流量で導入するガス導入手段を構成している。また、ガス導入ライン5及び排気手段6は、プロセスチャンバの内部の圧力を一定に保つ圧力保持手段を構成している。
プロセスチャンバ1の内部の圧力が一定になったところで、誘導コイル電源7により誘導コイル2に所定の電力を与え、かつ、バイアス電源8によりバイアス電極4に所定のバイアス電圧を印加し、プラズマを発生させる。
この段階で、光源10からの光をプロセスチャンバ1に導入し、プラズマ中に存在する中性分子を光解離させる。光解離した分子はラジカルとして基板100と反応又はプラズマ内で励起し、イオン化して基板100と反応又は衝突することで、エッチングを進行させる。
必要に応じ、プロセスチャンバ1を通過した光は、対向の窓9の外部の設置した光遮断機構11にて遮断される。
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態5を図面に基づいて説明する。図5は本発明の実施の形態5に係るプラズマエッチング装置を示す概略図である。本発明の実施の形態5においては、本発明の実施の形態4と同じ構成要素には同じ参照符号を付してその説明を省略する。
図5に示すように、本発明の実施の形態5に係るプラズマエッチング装置は、光源としてレーザ光源12を具備している。
図2で示したように、レーザ光源12は、高い指向性を有しているため、凸面反射板33により拡散させた後、凹面反射板34により再び高い指向性へと戻すことで、光源12より放射したレーザ光の照射範囲は拡大される。さらに、レーザ光源から放射されたレーザ光は高い光子密度を有しているため、広範囲に渡り光解離の効率を上げることが可能となる。一般的に光解離は、分子に光が入射し、解離性ポテンシャルへと励起した場合に生じる。この解離性ポテンシャルへの励起は、分子の基底状態から直接遷移するものの他に、一度準安定な電子励起状態へと遷移し、この電子状態のポテンシャルと解離性ポテンシャルが交差することによる前期解離がある。
したがって、様々な分子種を用いる場合、効率的に光解離させるには、光解離に用いる光源は波長可変であることが必要である。特定の分子のみ光解離を生じさせる場合で、固体レーザや半導体レーザ又は気体レーザなどの既存の特定の波長光源を用いて光解離が可能であるならば、出力の範囲が広いため、有利である場合もある。レーザ光源12は、パルス制御することにより、1パルス時間内の光子密度を上げることができ、効率的に光解離を行うことができる。また、光解離反応により生成するラジカル種の中には、非常に寿命が短く、ナノ秒、ピコ秒スケールで再結合してしまうものもあるが、本実施形態によれば、こうしたラジカル種についてもエッチングに対して効率的に作用させることができる。
(実施の形態6)
次に、本発明の実施の形態6を図面に基づいて説明する。図6は本発明の実施の形態6に係るプラズマエッチング装置を示す概略図である。本発明の実施の形態6においては、本発明の実施の形態4と同じ構成要素には同じ参照符号を付してその説明を省略する。
図6に示すように、本発明の実施の形態6に係るプラズマエッチング装置は、光源としてパルスレーザ光源13を具備し、電源として誘導コイルパルス電源14を具備している。
パルスレーザ光源13と誘導コイルパルス電源14とは、パルスレーザ光源13のパルスと誘導コイルパルス電源14のパルスをパルスジェネレータ15により同期させ、光解離により生成したラジカルをエッチングに対して効率的に作用させることが可能となる。レーザ光源13からの光のプロセスチャンバ1への導入、遮断の切り換えにより、光解離反応の発生も容易に切り換えることが可能である。
図3のプラズマエッチング装置を用いて説明する。光解離により生成されるラジカル種をエッチングに作用させたい場合には、パルスレーザ光源13から発振したレーザ光は、凹面反射板33、凸面反射板34において照射範囲を拡大され、窓9からプロセスチャンバ1へ導入される。反対に、光解離により生成されるラジカル種をエッチングに作用させたくない場合は、パルスレーザ光源13からの発振は止められるか、又は、パルスレーザ光源13と窓9の間で発振されたレーザ光を遮断すればよい。
この手法を用いることにより、これまでプロセスチャンバ1へ導入するガス種を切り換えることにより行ってきたエッチングステップと、デポジッションプロセスとの繰返しによる基板100の深堀エッチングは、ガス種を切り換えることなく、光の導入又は遮断による切り換えにより可能となる。
プロセスガスとして、SF6、C4F8、I2が選択され、ケイ素の深堀エッチングが行われる場合を説明する。
ケイ素はフッ素に対して非常に高い反応性を示し、そのため、SF6プラズマのみのエッチングでは等方的にエッチングが進行し、垂直な形状を形成するのは困難となる。一方、C4F8は、プラズマ中でCとFからなる重合体を形成しやすく、この重合体が保護膜となり、フッ素によるパターン側壁へのエッチングを阻害する。
したがって、ケイ素の深堀エッチングを実施するには、SF6とC4F8が混在する空間内において、フッ素によるエッチングステップが支配的となるのか、CとFからなる重合体によるデポジッションステップが支配的となるのかを、制御することができれば、側壁へのエッチングを抑制し、垂直な形状を形成することが可能となる。
次に、I2ガスの混合について説明する。ヨウ素原子は、非常に高いフッ素吸着性をもつ原子として知られており、IF5やIF7という構造を持った化合物を形成する。
したがって、SF6、C4F8、I2の混合ガスによるプラズマ放電を行い、フッ素によるエッチングステップが十分進行するように制御されたプラズマにおいて、I2の光解離を促進するレーザ光を照射することにより、ヨウ素原子によるフッ素の吸着が進行し、エッチングの進行が抑制される。
一方で、C4F8のプラズマ中での挙動は、CF2などの化合物を重合前駆体とする重合体形成が支配的であり、安定した化合物を形成することにより、ヨウ素原子によるフッ素吸着性の影響を無視することができる。
CとFからなる重合体形成におけるレーザ光の照射の影響が無視できるのであれば、結果としてレーザ光を照射している間はCとFとからなる重合体によるデポジッションステップが支配的となる。
エッチングステップとデポジッションステップとをより明確に切り換えるために、誘導コイルパルス電源14が用いられ、プラズマ放電の際の印加電力がパルス制御される。
SF6、C4F8、I2の混合ガスがガス導入ライン5からプロセスチャンバ1へと導入され、パルスジェネレータ15から発振される信号により、パルス制御された電力が誘導コイルパルス電源14から印加されプラズマを発生させる。
パルスジェネレータ15は、誘導コイルパルス電源14のパルスとパルスレーザ光源13から発振するレーザ光を同期させ、プロセスチャンバ1にパルスレーザ光を導入する。プロセスチャンバ1に導入するパルスレーザ光波長は、I2の光解離を誘起する波長に設定される。
パルスジェネレータ15は、誘導コイルパルス電源14のパルスとパルスレーザ光源13から発振するレーザ光の遅延時間を制御することで、プラズマ放電によるフッ素原子発生の時間と、レーザ光照射によるヨウ素原子発生の時間を調節することができる。
エッチングする基板100がプロセスチャンバ1の内部に挿入され、プラズマエッチングが実施される。エッチングステップの間には、レーザ光はプロセスチャンバ1に導入する前で遮断し、デポジッションステップの間には、レーザ光をプロセスチャンバ1に導入する。
以上の動作により、ガス種を切り換えずに、エッチングステップとデポジッションステップの繰返しによる基板100の深堀エッチングを実施することができる。
(実施例1)
次に、本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。図7は、本発明の実施例1を示す概略図である。本発明の実施例1においては、本発明の実施の形態3と同じ構成要素には同じ参照符号を付してその説明を省略する。
本発明の実施例1に係るプラズマエッチング装置は、誘導結合型プラズマ発生装置20、プロセスチャンバ1、誘電コイル2、絶縁層3、ガス導入ライン5、排気手段6、電極21、石英窓22、Nd:YMGレーザ23、色素レーザ24、ダンパ25、パルスジェネレータ15、プラズマ発光分光装置26及びICPコイル電源29、石英凹レンズ35、石英凸レンズ36を具備している。Nd:YAGレーザ23は、パルス制御可能なものである。また石英窓22の直径は100mmである
プロセスガスとしてSF、O、Iが選択され、これらがプロセスチャンバ1に導入され、プラズマ放電させた場合について解説する。プラズマ放電はパルス制御可能な外部アンテナ式の誘導結合型(ICP)プラズマ発生装置21が用いられた。
SFを35sccmの流量とし、Oを5sccmの流量とし、Iを10sccmの流量とし、これらの混合ガスがガス導入管5からプロセスチャンバ1へと導入され、排気機構6を調節することで、プロセスチャンバ1の内圧力が10mTorrにされた。
パルスジェネレータ15から遅延時間無く同期した10MHzの信号がICPコイル電源29及びNd:YAGレーザ23に送られた。誘電コイル2に350Wが印加され、プラズマを発生させた。プラズマ発光分光装置26によりプラズマ発光分光スペクトルを観測したところ、観測された複数のピークから704nmにフッ素原子に起因するピークが確認された。
Nd:YAGレーザ23の第三高調波を励起源とし、クマリン系の色素を用いた色素レーザ24からレーザ光が繰り返し周波数10MHzで発振された。色素レーザ24から発振されたレーザビームの直径は約5mmであり、これを石英凹レンズ35及び石英凸レンズ36によりレーザビームの直径約95mmまで拡大し、石英窓22からプロセスチャンバ1の内部へレーザ光が導入された。
450−510nmでレーザ光の波長を掃引したところ、704nmのフッ素原子起因のピーク強度の減少が確認され、その後、波長が451nmに固定された。
ICPコイル電源29に電力印加するためのパルス信号と、Nd:YAGレーザ23の発振のパルス信号との遅延時間が、704nmのピーク強度が最も減少する時間に調節された。
以上から、プロセスチャンバ1へ451nmのレーザ光が導入されることにより、プラズマ中に存在するフッ素原子の密度が抑制されることに成功した。
これにより、本発明によりエッチングに対して有効なプラズマを生成して効果的なエッチング加工を行うことができることが確認された。
MEMS製造プロセスなどにおけるSiの深堀エッチングプロセスにおいて、光源からの光の照射の有無によりエッチングステップ、及びデポジッションステップの切り換えが可能となることり、またその光の照射範囲を自在に制御することにより、効率的且つ安定なエッチングプロセスを実現できる。
1 プロセスチャンバ
2 誘導コイル
3 絶縁層
4 バイアス電極
5 ガス導入ライン
6 排気手段
7 誘導コイル電源
8 バイアス電源
9 窓
10 光源
11 光遮断手段
12 レーザ光源
13 パルスレーザ光源
14 誘導コイルパルス電源
15 パルスジェネレータ
20 電極
21 誘導結合型プラズマ発生装置
22 石英窓
23 Nd:YMGレーザ
24 色素レーザ
25 ダンパ
26 プラズマ発光分光装置
29 ICPコイル電源
31 凹レンズ
32 凸レンズ
33 凸面反射板
34 凹面反射板
35 石英凹レンズ
36 石英凸レンズ
100 基板

Claims (14)

  1. プロセスチャンバの内部にプロセスガスを一定の流量で導入し、
    前記プロセスチャンバの内部の圧力を一定に保ち、
    電源により前記プロセスチャンバの内部に存在するガスを励起しプラズマを発生させ、
    被エッチング材をプラズマによりエッチングするプラズマエッチング方法において、
    前記プロセスチャンバの内部にガス分子の光解離をさらに誘起する光を光源から前記プロセスチャンバの内部に導入し、
    前記光は、前記光源と、チャンバへの導入口の間に備えられた光学系により、照射範囲を拡大、または縮小される
    ことを特徴とするプラズマエッチング方法。
  2. 前記光学系が、1つ以上のレンズを含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマエッチング方法。
  3. 前記光学系が、1つ以上の球面反射板を含むことを特徴とする請求項1に記載のプラズマエッチング方法。
  4. 前記光源はレーザ光を放射することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のプラズマエッチング方法。
  5. 前記光源は波長可変な光を放射することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のプラズマエッチング方法。
  6. 前記光源は波長可変なレーザ光を放射することを特徴とする請求項4に記載のプラズマエッチング方法。
  7. 前記電源はパルス制御でき、前記光源はパルスレーザであることを特徴とする請求項4または請求項6に記載のプラズマエッチング方法。
  8. プロセスチャンバの内部にプロセスガスを一定の流量で導入するガス導入手段と、
    前記プロセスチャンバの内部の圧力を一定に保つ圧力保持手段と、
    電源により前記プロセスチャンバの内部に存在するガスを励起しプラズマを発生させるプラズマ発生手段と、
    被エッチング材を前記プラズマによりエッチングするエッチング手段と、
    前記プロセスチャンバの内部にガス分子の光解離をさらに誘起する光を光源から前記プロセスチャンバの内部に導入する光導入手段と、
    前記光源と、チャンバへの導入口の間に、前記光の照射範囲を拡大、または縮小する光学系と
    を具備することを特徴とするプラズマエッチング装置。
  9. 前記光学系が、1つ以上のレンズを含むことを特徴とする請請求項8に記載のプラズマエッチング装置。
  10. 前記光学系が、1つ以上の球面反射板を含むことを特徴とする請求項8に記載のプラズマエッチング装置。
  11. 前記光源はレーザ光を放射することを特徴とする請求項9または請求項10に記載のプラズマエッチング装置。
  12. 前記光源は波長可変な光を放射することを特徴とする請求項9または請求項10に記載のプラズマエッチング装置。
  13. 前記光源は波長可変なレーザ光を放射することを特徴とする請求項11に記載のプラズマエッチング装置。
  14. 前記ガスを励起し前記プラズマを発生させる前記電源はパルス制御でき、かつ、前記光源はパルスレーザであることを特徴とする請求項11または請求項13に記載のプラズマエッチング装置。
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