JP2011067128A - フグ未受精卵の遺伝的不活性化方法、性染色体がyyからなる超雄フグの生産方法、及びこれらを利用した雄フグの生産方法 - Google Patents

フグ未受精卵の遺伝的不活性化方法、性染色体がyyからなる超雄フグの生産方法、及びこれらを利用した雄フグの生産方法 Download PDF

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Abstract

【課題】性染色体がYYからなる超雄フグを確実に得られ、以って最終的に雄フグのみを確実に生産できる技術を提案する。
【解決手段】フグの未受精卵1に50〜800Gyの放射線3を照射することにより卵を遺伝的に不活性化する放射線照射工程と、遺伝的不活性化未受精卵4に正常な雄フグ5の精子6を授精させる授精工程と、半数体胚7にヒートショック8を与え、第二卵割を阻止させて染色体を倍数化するヒートショック工程と、を経て性染色体がYYからなる超雄フグ11を得る。超オスフグ11と正常な雌フグ12とを交配して、雄フグ15のみを生産できる。フグは、トラフグまたはマフグが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、最終的に雄フグのみを生産するための技術に関する。
従来からフグは好んで食されるが、生殖腺、内臓、皮膚などに、通称フグ毒と称される毒を有する。例えば、トラフグの体内にはテトロドトキシンがあることが広く知られており、他にハコフグ等が保有するパフトキシンもある。フグ毒が存在する場所はフグ種によっても異なり、皮膚や生殖腺にフグ毒があり身(肉)のみしか食せないもの、皮膚は食せないが生殖腺(雄の精巣)と肉は食せるもの、皮膚、生殖腺、及び肉のいずれも食用可能なものなどがある。1983年に厚生省局長から通達された「フグの衛生確保についての新しい措置基準」に基づけば、現在、食用が認められているフグは22種類ある。例えば、肉のみ食用可能なフグとしては、フグ科のクサフグ、コモンフグ、ヒガンフグ、サンサイフグが挙げられている。皮膚や精巣にフグ毒がない種であれば、精巣は白子として、皮膚はヒレ酒などとして食される。雄の精巣を食用可能なフグとして、最も代表的には高級食材としてのトラフグがある。
一般的に、トラフグ雄の白子は珍味とされ、高価な値段で消費者に提供される。これに対し、トラフグ雌の卵巣は毒を有しているため廃棄が義務付けられている。安全性の面から見ても、有毒なトラフグ雌の卵巣よりも、無毒なトラフグ雄の精巣(白子)のほうが重要とされる。そのため、トラフグ雌に比してトラフグ雄の需要は高い。トラフグは、通常の環境条件下で成長した場合、一般的に雌と雄とは約1:1の割合となる。この雌雄比は養殖生産においても同様である。つまり、養殖生産されるトラフグのおよそ50%は雌であり、養殖生産されたトラフグの生殖腺の50%は廃棄されていることになる。しかも、トラフグの生殖腺は、魚体重に占める割合すなわちGSI(生殖腺指数)が大きく、繁殖期には魚体重の20〜30重量%前後まで発達する。トラフグ雌の場合はこれを全て廃棄するため、可食部の歩留まりが極端に低下することになる。
トラフグは外観上で雌雄を判別することは困難であるため、現状では雌雄の区別なく同価格で売買される。繁殖期を中心に腹部触診にて雌雄の判別ができるという報告が一部にあるが、100%正確な判別ではない。しかも、出荷時には数百〜数万尾という大量のトラフグが取り扱われるため、腹部触診による判別は大変な労力を要する。種苗生産現場において仔稚魚期にDNA判定によって雌雄を判別することも考えられるが、数十万尾単位で取り扱われる仔稚魚全てでDNA判定をすることは、コストや労力などの点において現実的に不可能である。そのため、重宝されるトラフグ雄の白子の供給は不安定であり、計画的かつ安定的生産が求められる。そもそも、トラフグの雌雄比は約1:1であるため、単に雌雄を判別するだけでは結局雌も存在していることになり、根本的な解決には至らない。したがって、トラフグの雄のみを生産供給できることが理想である。これを受けて、トラフグの全雄化に向けた技術の確立が目指されている。なお、このような課題は、トラフグほど重要視はされていないが、卵巣が食用とならず雄の精巣が食用可能である限り、他の種のフグに関しても同様である。
トラフグの全雄化に関する技術としては、例えば非特許文献1や非特許文献2に開示されている。当該非特許文献1によれば、先ず、性染色体がXYである遺伝的(本来的に)雄のトラフグに、女性ホルモンの一種であるエストロゲンを投与して、性染色体はXYのままであるが卵巣を有するように性転換させた偽雌を生産する。なお、遺伝的な(正常な)雌の性染色体はXXである。得られた偽雌が2〜3年かけて成熟したところで、当該偽雌から未受精卵を取り出して、性染色体がXYからなる正常な雄の精子と受精させる。すると、通常自然界では存在し得ない、性染色体がYYからなる超雄(スーパーメイル)が得られる。当該超雄と性染色体がXXからなる正常な雌とを交配させて得られるフグは全て雄になる。これにより、トラフグの全雄化が可能となるとされている。非特許文献2では、放射線を照射することにより遺伝的に不活性化させたニジマス等の未受精卵と通常の雄魚の精子とを授精させ雄性発生を誘起させる。次いでこの授精卵を10℃で培養した後、適度の水圧を与えて倍数化し、通常自然界には存在しないY性染色体を2本持つ超雄を得ている。なお、非特許文献2にはフグに関しての記述はない。このように、最終的に雄フグのみを生産するためには、性染色体がYYからなる超雄フグを生産することが必須となる。
なお、フグの生産に関する技術ではないが、卵に放射線を照射して不活性化させる技術が、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1では、鶏の卵に2〜50Gy程度のガンマ線を照射することで、卵を遺伝的に不活性化させている。
特表2005−511067号公報
「全雄化は可能か?トラフグの性決定・性分化研究」 山口明彦 [つくる漁業の総合情報紙]養殖 No567 緑書房 2008.7 P22〜26 水産学シリーズ75「水産増養殖と染色体操作」 恒星社厚生閣 鈴木亮編 1998 「雄性発生」小野里坦 P60〜69
トラフグの全雄化に関する基本的な理論は非特許文献1に開示されている。しかし、非特許文献1では、超雄フグを得るために大前提となるフグの性転換、すなわち性染色体がXYからなる機能的雌を生産できるには至っていない。具体的には、非特許文献1では、女性ホルモンの一種であるエストロゲンを所定量飼料に添加して経口投与することでフグの性転換を図っているが、成功には至っていない。これは、飼料摂取率にバラツキがあること、エストロゲンの作用が不安定であることなどが起因していると解される。
また、放射線を照射して卵を遺伝的に不活性化する技術が非特許文献1や特許文献1に開示されてはいるが、処理対象や処理目的などによって好適な放射線量は異なる。したがって、非特許文献1や特許文献1などに記載の放射線量を、そのままフグ未受精卵の不活性化技術に応用できるものではない。
そこで、本発明は上記課題を解決するものであって、性染色体がYYからなる超雄フグが確実に得られ、以って最終的に雄フグのみを確実に生産できる技術を提案することを目的とする。
本発明の性染色体がYYからなる超雄フグの生産方法は、フグの未受精卵に放射線を照射することにより卵を遺伝的に不活性化する放射線照射工程と、前記不活性化未受精卵に正常な雄フグの精子を授精させる授精工程と、前記授精工程によって得られた授精卵にヒートショックを与え、第二卵割を阻止させて染色体を倍数化するヒートショック工程と、を有する。なお、「超雄」とは、本発明において便宜上使用している用語であり、通常自然界では存在しない性染色体がYYからなる雄を超雄と定義する。正常な雄フグは、性染色体がXYである。
前記放射線照射工程において未受精卵に照射する放射線量は、50〜800Gyとする。フグとしては、フグ目に属するフグであって、精巣が食用可能なフグが好適である。中でも、トラフグまたはマフグがより好ましい。上記各工程を経て得られた超雄フグと、性染色体がXXの正常な雌フグとを交配することで、雄フグのみを生産することができる。
フグ未受精卵を確実に遺伝的に不活性化する場合は、フグの未受精卵に100〜800Gyの範囲で放射線を照射する。
本発明によれば、性染色体がYYからなる超雄フグを確実に得られ、以って最終的に雄フグのみを確実に生産できる。したがって、雄フグの精巣(白子)を計画的かつ安定的に生産することができる。
本発明の手順を示す模式図である。 正常胚の写真である。 γ線照射卵由来の写真である。 未受精卵へ放射線を照射した時のHertwig効果を示すグラフである。
本発明では、フグの未受精卵に放射線を照射する放射線照射工程と、遺伝的に不活性化させた未受精卵を授精させる授精工程と、授精卵にヒートショックを与えるヒートショック工程と、を経て、性染色体がYYからなる超雄フグを生産する。そして、当該超雄フグと正常な雌フグとを交配すれば、全て性染色体がXYの雄フグのみが得られる。
生産対象(処理対象)となるフグは、フグ目に属し精巣を食用可能なフグ全般である。本発明で得られた超雄フグを基点として、最終的には雄フグのみを養殖生産し、商品価値の高い白子の生産性の向上と安定供給を図るためである。したがって、精巣を食せないフグに適用しても構わないが、その実益は少ない。具体的には、1983年に厚生省局長から通達された「フグの衛生確保についての新しい措置基準」に挙げられたフグのうち、フグ目フグ科に属するトラフグ、マフグ、ショウサイフグ、ナシフグ、メフグ、アカメフグ、カラス、シマフグ、ゴマフグ、カナフグ、シロサバフグ、クロサバフグ、ヨリトフグや、フグ目ハリセンボン科に属するハリセンボン、イシガキフグ、ヒトズラハリセンボン、ネズミフグや、フグ目ハコフグ科に属するハコフグである。中でも、食用として代表的なトラフグやマフグが好ましく、高級食品であるトラフグが最も好ましい。
本発明の手順について、図1を参照しながら詳しく説明する。図1に示すように、超雄フグを生産するに際して、先ず、性染色体がXXである正常な雌フグ1から未受精卵2を採卵し、これに放射線3を照射する(放射線照射工程)。放射線としては、ガンマ線(γ線)、エックス線(X線)、紫外線(UV)がある。これらのいずれを使用しても良く、1種のみを単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用しても良い。これらの透過力は、ガンマ線、エックス線、紫外線の順で高い。したがって、放射線を1種のみ使用する場合は、ガンマ線が最も好ましく、次いでエックス線が好ましい。また、放射線を2種以上混合使用する場合は、少なくともガンマ線を使用することが好ましい。
未受精卵2は、放射線3が照射されることで卵(雌)由来の遺伝的形質は消滅し、遺伝的に不活性化した不活性化未受精卵4となる。未受精卵に照射する放射線量は、50〜800Gyの範囲とする。50Gy未満では、放射線量が少なすぎて十分に不活性化できていない場合が多くなる。一方、800Gyを超えると、放射線量が多すぎるため卵細胞質までが損傷を受け、精子を授精させても発生できなくなり、卵自体が死滅する確率が高くなる。放射線量が50Gy以上100Gy未満であれば、放射線量が比較的低いので卵に対する負荷も比較的低く、成長が止まったり死滅したりした廃棄卵の数を低減できる。すなわち、遺伝的不活性化未受精卵の生産性が高い。しかしその反面、放射線量が50Gy以上100Gy未満では、一部の染色体しか不活性化しないため、遺伝的に完全に不活性化した未受精卵を得るという観点からは若干の課題がある。放射線量が100Gy以上であれば、遺伝的不活性化未受精卵のみを確実に得ることができる。これらを考慮すると、未受精卵に照射する放射線量は、100〜800Gyが好ましく、より好ましくは200〜600Gyであり、さらに好ましくは300〜500Gyである。放射線の照射量は、フグ種、未受精卵の量(数)や状態、環境条件などの諸条件に応じて適宜調整することができる。具体的には、照射距離を一定にして照射時間にて調整したり、照射時間を一定にして照射距離を調整したりできる。これらは、単独で調整しても良いし、適宜組み合わせてもよい。
そして、不活性化未受精卵4に、放射線照射工程と並行して採精しておいた、性染色体がXYである正常な雄フグ5の精子6を授精させる(授精工程)。なお、採卵された未受精卵2は、時間経過とともに過熟状態が進行して卵質の低下を招き、授精率の低下等の原因となるため、未受精卵2に放射線3を照射する際は、採卵してからできるだけ短時間で放射線照射を行い、続いて、できるだけ短時間で精子6を授精させることが好ましい。
不活性化未受精卵4は卵(雌)由来の遺伝的形質が消滅しているので、精子(雄)由来の遺伝的形質のみで受精卵の発生、すなわち雄性発生が進行する。当該雄性発生となる受精卵(胚)7は、精子6の性染色体のみを有する半数体となっている。当該半数体胚7は、仮にそのまま卵割が進んで稚魚が孵化しても生存できない。そこで、第二卵割を阻止して半数体胚7の染色体を倍数化させるために、半数体胚7にヒートショック8を与える(ヒートショック工程)。これにより、半数体胚7の第ニ卵割が阻止されて性染色体が倍数化し、性染色体がYYからなるニ倍体の生存性の胚9が得られる。これらが成長していくと、通常自然界では存在しない性染色体がYYからなる超雄フグ11が得られる。なお、正常な雄フグ5からは性染色体がXの精子100も採取される。実際の現場では性染色体がXの精子100と性染色体がYの精子6とを区別できないので、双方共に遺伝的不活性化未受精卵4へ受精させることになる。性染色体がXの精子100と授精した遺伝的不活性化未受精卵4からは、ヒートショック8を与えて倍数化することで、性染色体がXXからなる正常な雌フグ101が得られる。
ヒートショック8の処理条件は、水温摂氏35〜40℃程度、10〜60秒程度の範囲で、フグ種、受精卵の量(数)や状態、環境などの諸条件に応じて適宜調整すればよい。処理温度や処理時間がこれらより低い(短い)と、的確に半数体胚7を倍数化できないおそれがある。逆に、処理温度や処理時間がこれらより高い(長い)と、半数体胚7が破損するおそれがある。
そして、得られた超雄フグ11から採精した性染色体が全てYからなる精子14と正常な雌フグ12から採卵した未受精卵13とを交配すれば、これにより得られるフグは全て雄フグ15となる。採卵直後の未受精卵13は、精子14と授精後間もなく減数分裂が生じ、Xを放出してXYとなる。これにより、フグの全雄化が確立される。而して、養殖により得られるフグの生殖腺は全て精巣であり、高値で売買される白子の生産量が従来の2倍となる。
<試験>
フグ未受精卵へ放射線を照射して遺伝的に不活性化させ、かつ精子由来の染色体のみで胚形成させるための至適照射量を確認するための試験を行った。中部飼料株式会社大井川試験場にて養成したトラフグ雌親魚および雄親魚を無作為に選び出し、採卵および採精を行った。トラフグ未受精卵にガンマ線を照射後、すばやく雄親魚より採取した精子を授精させた後、500mlビーカーにおよそ100粒ずつ収容した。放射線は、照射時間を一定にしながらガンマ線源からの距離を調整して、放射線量を種々変更させた。
得られた受精卵は、水温16〜18℃にて7日間卵管理を行った後、ブアン氏液にて固定し、胚形成の状況を確認した。判別の規準は、胚の大きさ、胚体長、頭の大きさ、体軸の湾曲の有無等の観察により正常胚(2倍体)と異常胚(半数体及び異数体)とに判別し、その数から形成率を計算した。その結果を図4に示す。なお、正常胚は、図2に示されるように、頭部と尾部が明確に判別でき、胚全体が卵黄を一周するほどの大きさである。異常胚は、図3(a)に示されるように、頭部と尾部が不明瞭な上、胚自体が小さく尾部が湾曲している。また、図3(b)に示されるように、頭部と尾部は明瞭であるが、いずれも胚体は正常胚に比べ有意に小さい。胚形成が中止したもの、及び死卵は除外した。なお、図4中の◆は、正常胚と異常胚とを含めた全ての胚形成率である。図4中の■は、正常胚の形成率である。したがって、全胚形成率(◆)と正常胚形成率(■)との差が、異常胚(異数体及び半数体)の形成率となる。
図4の結果から、放射線量が0Gy、すなわち放射線を照射していなければ、全ての胚が正常胚であった。そして、放射線量を増量するにつれて正常胚の形成率が低下していることから、放射線により未受精卵が遺伝的に不活性化できることが確認される。放射線量について具体的に検討すると、放射線量が50Gyまでは、異常胚よりも正常胚の形成率の方が高い。したがって、放射線量が50Gy未満では放射線量が低すぎ、未受精卵の遺伝的不活性化が十分でないことが確認された。放射線量が50Gy以上あれば、正常胚形成率が極端に低下している。したがって、未受精卵を遺伝的に不活性化するには、少なくとも照射する放射線量を50Gy以上とすることが必要であることがわかった。但し、放射線量が100Gy未満では、僅かながら正常胚が形成される可能性がある。一方、放射線量が100Gy以上あれば、正常胚形成率は0%であった。つまり、得られる胚の全てが異常胚であった。
異常胚の形成率について検討すると、照射する放射線量が100Gyで一旦最も低くなり、さらに放射線量を増量することで再度異常胚の形成率は増加し、放射線量が400Gyで最も高くなっている。さらに放射線量を増量すると、異常胚の形成率は徐々に低下し、900Gyでは胚形成率は0%であった。この傾向は、Hertwig効果を裏付けている。Hertwig効果とは、放射線量の増加と共に胚の生存率は低下するが、ある放射線量を超えると逆に生存率の回復がみられる現象をいう。したがって、雄性発生誘起のための最適放射線量を求めるときは、Hertwig効果が指標となる。以上の結果より、遺伝的不活性卵に精子を授精させれば、精子由来の遺伝的形質のみで受精卵の発生、すなわち雄性発生を進行させることができることが確認された。また、照射する放射線量は、少なくとも50〜800Gyとし、好ましくは100〜800Gy、より好ましくは200〜600Gy、さらに好ましくは300〜500Gyであることがわかった。
1・12 雌フグ
2・13 未受精卵
3 放射線
4 遺伝的不活性化未受精卵
5・15 雄フグ
6 性染色体がYの精子精子
7 半数体胚
8 ヒートショック
9 倍数化受精卵
11 超雄フグ
14 精子(全てY)

Claims (7)

  1. フグの未受精卵に放射線を照射することにより卵を遺伝的に不活性化する放射線照射工程と、
    前記遺伝的に不活性化した未受精卵に正常な雄フグの精子を授精させる授精工程と、
    前記授精工程によって得られた授精卵にヒートショックを与え、第二卵割を阻止させて染色体を倍数化するヒートショック工程と、
    を有する、性染色体がYYからなる超雄フグの生産方法。
  2. 前記放射線照射工程において未受精卵に照射する放射線量が50〜800Gyである、請求項1に記載の超雄フグの生産方法。
  3. 前記フグが、フグ目に属するフグであって、精巣を食用可能なフグである、請求項1または請求項2に記載の超雄フグの生産方法。
  4. 前記フグが、トラフグまたはマフグである、請求項3に記載の超雄フグの生産方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の超雄フグの生産方法によって生産された超雄フグ。
  6. 請求項5に記載の超雄フグと正常な雌フグとを交配して雄フグのみを生産する、雄フグの生産方法。
  7. フグの未受精卵に100〜800Gyの範囲で放射線を照射し、フグ未受精卵を遺伝的に不活性化する、フグ未受精卵の不活性化方法。

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