JP2011047512A - 静圧気体軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動調心機能を持つ、組立て部品化した静圧気体軸受を提供する。
【解決手段】静圧気体軸受1を軸の外周面に対向配置される内筒筐体2と、ハウジングHの内周面に対向配置される外筒筐体3とから成し、内筒筐体又は外筒筐体の互いに対向する面にラジアル軸受面3a及びスラスト軸受面3bを設け、軸受面を静圧気体軸受の内部に設ける。ラジアル軸受隙間に対して裏側の面にOリング4を設け、スラスト軸受隙間に対して裏側の面であって、Oリングが備えられた筐体にバネ5を設け、Oリングとバネに軸とハウジングとの不均一な隙間量を吸収させるとともに、外筒筐体を軸とハウジングとの角度変化に追従して連続的に首を振るように動かす。
【選択図】図3

Description

この発明は、固定部と回転部との間にあって回転部を支える静圧気体軸受に関し、特に自動調心機能を持つ、組立て部品化(アセンブリー化ともいう)した静圧気体軸受に関する。
従来、静圧気体軸受は、回転精度が高く、摩擦抵抗がないことから、主に精密検査装置の高精度回転台や、高速加工機の高速回転軸に用いられている。
静圧気体軸受としては、ハウジングの内周面に少なくとも2個のOリングを介してスリーブを弾性支持することで、Oリングにスリーブの振れ回りを吸収させて、軸受面と軸との接触を防いだものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、別の静圧気体軸受としては、静圧軸受部とカバー部との間にOリングを介在させることで、Oリングにハウジングの歪(ゆが)みによる不均一な隙間(すきま)を吸収させて、ハウジングの加工精度を高めなくても、組み付け調整治具を用いなくても、簡単に組み付けられるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平8−219159号公報(段落0007,0009,0022、図1) 特開平7−35140号公報(段落0010,0011,0026、図1)
しかしながら、静圧気体軸受は、その性能を発揮させるために、静圧気体軸受が組み付けられる装置自体にも高い精度、例えば軸に対するハウジングの直角度や、軸の真直度が求められるため、静圧気体軸受を組み付けられる装置が限られてしまう。
前記特許文献1に係る静圧気体軸受では、スラスト軸受が軸の一端側部に突設したフランジ状の鍔(つば)部の平面状のスラスト軸受を挟持するように構成されているため、スリーブのスラスト方向の振れ回りを吸収できない。
前記特許文献2に係る静圧気体軸受では、依然としてラジアル軸受隙間(特許文献2において静圧軸受部の軸受孔と回転軸との隙間をいう)を数μmに調整しなければならないため、静圧気体軸受の組み付けには高度な組立て技術と正確な測定技術が求められる。
そこで、この発明では、前記した課題を解決し、自動調心機能を持つ、組立て部品化した静圧気体軸受を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明では、静圧気体軸受を軸の外周面に対向配置される内筒筐体(きょうたい)と、ハウジングの内周面に対向配置される外筒筐体とから成し、内筒筐体又は外筒筐体の互いに対向する面にラジアル軸受面及びスラスト軸受面を設け、これら軸受面の間に形成されたラジアル軸受隙間及びスラスト軸受隙間に圧縮気体を供給して、軸とハウジングを非接触状態に保持するようにした。そして、ラジアル軸受隙間に対して裏側の面に、第1の弾性体を設けるようにした。さらに、スラスト軸受隙間に対して裏側の面であって、第1の弾性体が備えられた筐体に、第2の弾性体を設けるようにした。
請求項1に係る発明によれば、静圧気体軸受を軸の外周面に対向配置される内筒筐体と、ハウジングの内周面に対向配置される外筒筐体とから成し、内筒筐体又は外筒筐体の互いに対向する面にラジアル軸受面及びスラスト軸受面を設け、これら軸受面の間に形成されたラジアル軸受隙間及びスラスト軸受隙間に圧縮気体を供給して、軸とハウジングを非接触状態に保持するようにしたので、静圧気体軸受を組み立て部品化することができる。
つまり、請求項1に係る発明によれば、軸受面を静圧気体軸受の内部に設けるようにしたので、例えばラジアル軸受隙間を調整した状態であらかじめ組み立てておくと、従来のように静圧気体軸受の組み付け現場で、ラジアル軸受面と支軸との隙間を数μmに調整しなくても、組立て部品化された静圧気体軸受をハウジングの嵌(は)め合い部分に挿入するだけで、簡単に静圧気体軸受を取り付けることができる。そのため、静圧気体軸受の組み付け作業時や調整作業時における静圧気体軸受の破損を防ぐことができる。
請求項1に係る発明によれば、ラジアル軸受隙間に対して裏側の面に、第1の弾性体を設けるようにしたので、軸に対するハウジングの直角度精度が劣る場合であっても、第1の弾性体が広い隙間においては弱く、狭い隙間においては強く圧縮され、隙間に応じて変形してハウジングの直角度精度の狂いを吸収できる。そのため、組立て部品化された静圧気体軸受をハウジングの嵌め合い部分に挿入するだけで、簡単に静圧気体軸受を取り付けることができる。
また、軸の真直度精度が劣る場合には、装置の運転時にラジアル方向にいわゆる縄跳び現象(例えば、軸が1回転すると、軸は半回転ごとに真直度の狂い分だけ軸心から外れ、1回転ごとに元に戻る現象をいう)が起こり、軸とハウジングとの角度が変化するためにラジアル軸受隙間を維持できなくなるところ、第1の弾性体が変形し、ラジアル軸受を軸に対して傾かせる(この動きを、軸受が首を振るという)ことができる。つまり、第1の弾性体が変形することで、軸とハウジングとの角度変化に追従して連続的に、ラジアル軸受と軸との角度を変化させることができる。このようにラジアル軸受に首振り機構を設けたので、軸とハウジングとの角度が変化しても、ラジアル軸受隙間を自動的に平行かつ最適な間隔に調整することができる。
請求項1に係る発明によれば、スラスト軸受隙間に対して裏側の面であって、第1の弾性体が備えられた筐体に、第2の弾性体を設けるようにしたので、軸に対するハウジングの直角度精度が劣る場合であっても、第2の弾性体によって内筒筐体又は外筒筐体がスラスト方向に付勢されるため、スラスト軸受隙間を自動的に平行かつ最適な間隔に調整することができる。そのため、組立て部品化された静圧気体軸受をハウジングの嵌め合い部分に挿入するだけで、簡単に静圧気体軸受を取り付けることができる。
また、例えば荷重が加わることで、軸がスラスト方向に移動する場合には、第2の弾性体が伸び縮みし、内筒筐体又は外筒筐体を軸の移動に追従して移動させることができる。このように、スラスト軸受に緩衝機構を設けたので、スラスト軸受隙間を自動的に平行かつ最適な間隔に調整することができる。
以上のように、請求項1に係る発明によれば、首振り機構と緩衝機構による自動調心機能によって、ラジアル軸受隙間とスラスト軸受隙間を自動的に平行かつ最適な間隔に調整することができる。その結果として、軸に対するハウジングの直角度や、軸の真直度の精度が劣る装置であっても、静圧気体軸受を取り付けることができる。
また、請求項1に係る発明によれば、軸受隙間を自動的に平行かつ最適な間隔に保つことで、非接触状態を維持し摩擦抵抗をなくすことができるため、常に軸受性能を発揮させることができる。そして、低消費動力や、回転誤差の低減、ひいては静圧気体軸受が取り付けられた装置の検査精度や加工精度の向上にも貢献することができる。
これら以外にも、静圧気体軸受の特有の効果として、転がり軸受のように注油の必要がないため保守が容易であり、転がり軸受のような摩擦による摩耗がないため長寿命でもある。
実施形態に係る静圧気体軸受の斜視図である。 実施形態に係る静圧気体軸受の分解斜視図である。 実施形態に係る静圧気体軸受を取り付けたスピンコーターの角度変化への追従の様子を示す断面図である。 実施形態に係る静圧気体軸受を取り付けたスピンコーターのスラスト方向への追従の様子を示す断面図である。 他の実施形態に係る静圧気体軸受の斜視図である。 他の実施形態に係る静圧気体軸受の分解斜視図である。 他の実施形態に係る静圧気体軸受を取り付けたガイドロール装置の全体斜視図である。 他の実施形態に係る静圧気体軸受を取り付けたガイドロール装置の要部断面図である。 他の実施形態に係る静圧気体軸受を取り付けたガイドロール装置の自動調心の様子を示す断面図である。
次に、この発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、実施形態に係る静圧気体軸受の斜視図であり、図2は、実施形態に係る静圧気体軸受の分解斜視図である。
図1に示すように、静圧気体軸受1は、軸の外周面に対向配置される内筒筐体2と、ハウジングの内周面に対向配置される外筒筐体3とを有して構成されている。そして、外筒筐体3には、その外周面に環状に第1の弾性体4と、その一端面に第2の弾性体5が備えられている。
図2に示すように、内筒筐体2は、筒状の部材である内筒21と、その一端面に配設される鍔状の部材であるフランジ22とを有して構成されている。
外筒筐体3は、筒状の部材であって、その内周面に多孔質材料から成るラジアル軸受面3aと、その一端面に多孔質材料から成るスラスト軸受面3bが形成されている。
そして、内筒筐体2と外筒筐体3は、内筒21の外周面とラジアル軸受面3aがラジアル軸受隙間を有して対向するように、フランジ22の鍔面とスラスト軸受面3bがスラスト軸受隙間を有して対向するように構成されている。
外筒筐体3には、その外周面(ラジアル軸受隙間に対して裏側の面に相当する)に、環状に第1の弾性体4、ここでは0リング4が外筒筐体3の中央部に1つ備えられている。また、外筒筐体3には、スラスト軸受面3bが形成されていない端面(スラスト軸受隙間の対して裏側の面に相当する)に、第2の弾性体5、ここではバネ5が円周上にわたって複数備えられている。
以上のように構成される静圧気体軸受1は、内筒筐体2と外筒筐体3がラジアル軸受隙間を調整した状態で組み立てられ、組立て部品化されている。そして、静圧気体軸受1は、静圧気体軸受1の組み付け現場で、あらかじめ組み立てられた静圧気体軸受1をハウジングの嵌め合い部分に挿入して装置に取り付けられる。
図3は、実施形態に係る静圧気体軸受1を取り付けたスピンコーターの角度変化への追従の様子を示す断面図であり、図4は、実施形態に係る静圧気体軸受1を取り付けたスピンコーターのスラスト方向への追従の様子を示す断面図である。
図3と図4に示すように、静圧気体軸受1は、内筒筐体2がスピンコーターScの回転軸の外周面に対向し、外筒筐体3がハウジングHの内周面に対向した状態で、スピンコーターScに取り付けられている。
静圧気体軸受1には、外筒筐体3の外周面(ラジアル軸受隙間に対して裏側の面に相当する)に、第1の弾性体4、ここではOリング4が外筒筐体3とハウジングHとに当接した状態で備えられている。
また、静圧気体軸受1には、外筒筐体3のスラスト軸受面3bが形成されていない端面(スラスト軸受隙間の対して裏側の面に相当する)に、第2の弾性体5、ここではバネ5a,5bが外筒筐体3とハウジングHとに押圧され縮んだ状態で、外筒筐体3に形成された凹(おう)部に差し入れられている。
以上のように構成された静圧気体軸受1では、図3に示すように、軸に対する直角度精度が劣るハウジングHであっても、Oリング4とバネ5a,5bが変形することで、組立て部品化された静圧気体軸受1をハウジングHの嵌め合い部分に挿入するだけで取り付けられるとともに、静圧気体軸受1が回転軸に対して直角となるように自動的に調心される。
詳細に説明すると、軸に対する直角度精度が劣るハウジングHでは、軸とハウジングHとの隙間量が不均一となる。しかし、静圧気体軸受1では、Oリング4が広い隙間においては弱く、狭い隙間においては強く圧縮されて変形し、不均一な隙間量を吸収する。このとき、図3に示すように、スラスト軸受面3bが形成されていない端面(スラスト軸受隙間の対して裏側の面に相当する)とハウジングHの隙間量が不均一な場合には、バネ5aが伸びながら、バネ5bは縮みながら、外筒筐体3をスラスト軸受面3b側に付勢し続ける。その結果として、静圧気体軸受1が回転軸に対して直角となるように自動的に調心され、ラジアル軸受隙間とスラスト軸受隙間も平行かつ最適な間隔に保たれる。
また、軸の真直度精度が劣る場合には、軸を回転させると軸とハウジングHとの角度が変化し、軸受部の接触などが起こり軸受性能を発揮できなくなる。しかし、静圧気体軸受1では、Oリング4が力が加わる方向に滑りながら押しつぶされ、バネ5a,5bが外筒筐体3の動きを妨げないように伸び縮みして、外筒筐体3が軸とハウジングHとの角度変化に追従して連続的に、首を振るように動く。その結果として、ラジアル軸受隙間とスラスト軸受隙間は、平行かつ最適な間隔に保たれる。
図4に示すように、例えばスピンコーターScの回転軸が加重によって矢印に示すスラスト方向へ移動する場合であっても、バネ5は、スラスト軸受面3bが形成されていない端面とハウジングHの隙間が狭まることで縮みながら、外筒筐体3をスラスト軸受面3b側に付勢し続ける。その結果として、軸のスラスト方向移動に追従して、スラスト軸受面3bが形成されていない端面とハウジングHの隙間が自動的に調整され、スラスト軸受隙間が平行かつ最適な間隔に保たれる。
図3と図4に示すように、スピンコーターScは、コンプレッサーなどの圧力気体供給源からチューブTを介してラジアル軸受面3aとスラスト軸受面3bに圧縮気体を供給するようになっている。実施形態に係る静圧気体軸受1では、この圧縮気体を供給する機構が、固定部であるハウジングHの内周面に対向配置される、外筒筐体3に設けられている。このように、圧縮気体を供給する機構を、固定部に対向配置される筐体側に設けるようにしたので、静圧気体軸受1の構造を簡素化することができる。
実施形態に係る静圧気体軸受1を取り付けるスピンコーターScは、装置の精度が不足していても、組立て部品化された静圧気体軸受1をハウジングHの嵌め合い部分に挿入するだけで簡単に取り付けられるため、従来のように高精度の装置に限らず、幅広い装置に静圧気体軸受を用いられる。また、実施形態に係る静圧気体軸受1を取り付けたスピンコーターScでは、装置の精度不足や精度変化に対して自動的に調心されるため、スピンコーターScが安定して回転する。
続いて、この発明の他の実施形態に係る静圧気体軸受について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図5は、他の実施形態に係る静圧気体軸受の斜視図であり、図6は、他の実施形態に係る静圧気体軸受の分解斜視図である。
図5に示すように、他の実施形態に係る静圧気体軸受11は、軸の外周面に対向配置される内筒筐体12と、ハウジングの内周面に対向配置される外筒筐体13とを有して構成されている。そして、内筒筐体12には、その内周面に環状に第1の弾性体14と、その一端面に第2の弾性体15が備えられている。
図6に示すように、内筒筐体12は、筒状の部材であって、その外周面に多孔質材料から成るラジアル軸受面12aと、その一端面に多孔質材料から成るスラスト軸受面12bが形成されている。また、内筒筐体12には、スラスト軸受面12bが形成されていない端面(スラスト軸受隙間に対して裏側の面に相当する)に、ラジアル軸受面12aとスラスト軸受面12bに圧縮気体を供給するための圧縮気体供給孔12cが形成されている。
内筒筐体12には、その内周面に環状に第1の弾性体41、ここでは0リング41が内筒筐体12の中央部に1つ備えられている。また、内筒筐体12には、スラスト軸受面12bが形成されていない端面に第2の弾性体51、ここではバネ51がその端面の円周上にわたって複数備えられている。
外筒筐体13は、筒状の部材である外筒131と、その一端面に配設される鍔状の部材であるフランジ132とを有して構成されている。そして、外筒131は、内筒筐体12に形成されたラジアル軸受面12aとラジアル軸受隙間を有して対向するように構成されている。また、フランジ132は、内筒筐体12に形成されたスラスト軸受面12bとスラスト軸受隙間を有して対向するように構成されている。
以上のように構成される静圧気体軸受11は、内筒筐体12と外筒筐体13がラジアル軸受隙間を調整した状態で組み立てられ、組立て部品化されている。そして、静圧気体軸受11は、静圧気体軸受11の組み付け現場で、あらかじめ組み立てられた静圧気体軸受11をハウジングの嵌め合い部分に挿入して装置に取り付けられる。
図7は、他の実施形態に係る静圧気体軸受11を取り付けたガイドロール装置の全体斜視図である。図7に示すように、静圧気体軸受11は、ガイドロール装置Gの両端部に設けられたハウジングの嵌め合い部分に差し入れられ、ガイドロール装置Gに取り付けられている。
ガイドロール装置Gは、コンプレッサーなどの圧縮気体供給源からチューブTを介して静圧気体軸受11に圧縮気体が供給されることで、静圧気体軸受11が支軸Sを非接触状態に保持するように構成されている。そして、ガイドロール装置Gでは、例えばシート材を矢印方向に搬送する場合には、シート材から受ける摩擦力によって、ガイドロール部材G’がシート材の走行速度と同期して回転することで、シート材に張力を与えながらシート材を各種装置に搬送するように構成されている。
図8は、他の実施形態に係る静圧気体軸受11を取り付けたガイドロール装置Gの要部断面図であり、図9は、他の実施形態に係る静圧気体軸受11を取り付けたガイドロール装置Gの自動調心の様子を示す断面図である。
図8に示すように、他の実施形態に係る静圧気体軸受11は、内筒筐体12が支軸Sの外周面に対向し、外筒筐体13がハウジングHの内周面に対向した状態で、ガイドロール装置Gに取り付けられている。
静圧気体軸受11には、内筒筐体12の内周面(ラジアル軸受隙間に対して裏側の面に相当する)に、第1の弾性体41、ここではOリング41が内筒筐体12の中央部に、内筒筐体12と支軸Sとに当接した状態で備えられている。
また、静圧気体軸受11には、内筒筐体12のスラスト軸受面12bが形成されていない端面(スラスト軸受隙間に対して裏側の面に相当する)に、第2の弾性体51、ここではバネ51が内筒筐体12とハウジングHとに押圧され縮んだ状態で、内筒筐体12に形成された凹(おう)部に差し入れられている。
静圧気体軸受11では、圧縮気体を供給する機構が、固定部である支軸Sの外周面に対向配置される、内筒筐体12に設けられている。このように、圧縮気体を供給する機構を、固定部に対向配置される筐体側に設けるようにしたので、静圧気体軸受11の構造を簡素化することができる。
以上のように構成された静圧気体軸受11では、図9に示すように、ガイドロール部材G’(図7参照)が自重によって撓み、ガイドロール部材G’(図9においてハウジングH)と支軸Sとの角度が変化する方向に、直角方向からずれた方向に力が加わると、その力によってOリング41とバネ51a,51bが変形し、ラジアル軸受隙間とスラスト軸受面隙間が平行かつ最適な間隔に保たれる。
詳細に説明すると、例えばガイドロール部材G’が下方に撓むと、ガイドロール部材G’の左端部と静圧気体軸受11には、矢印に示す方向に力が加わる。このとき、Oリング41は、矢印に示す方向に滑りながら、加わる力によって押しつぶされる。
また、このとき、バネ51aは、内筒筐体12とハウジングHの隙間が広がるため、圧縮力が弱まり伸びる。一方、バネ51bは、内筒筐体12とハウジングHの隙間が狭まるため、圧縮力が強まり縮む。
このように、Oリング41が滑りながら変形し、バネ51a,51bが内筒筐体12の動きを妨げないように伸び縮みする。そして、内筒筐体12は、ハウジングHと支軸Sとの角度変化に追従して連続的に、首を振るように動く。その結果として、ラジアル軸受隙間は、平行かつ最適な間隔に保たれる。
また、バネ51aは伸びながら、バネ51bは縮みながら、内筒筐体12をスラスト軸受面12b側に付勢し続ける。その結果として、スラスト軸受隙間は、平行かつ最適な間隔に保たれる。
さらに、ガイドロール部材G’が撓むと、ガイドロール部材G’がスラスト方向中央に引っ張られる。このとき、バネ51は、内筒筐体12とハウジングHの隙間が広がるため、圧縮力が弱まり伸びる。そして、バネ51は伸びながら、内筒筐体12をスラスト軸受面12b側に付勢し続ける。その結果として、スラスト軸受隙間は、平行かつ最適な間隔に保たれる。
他の実施形態に係る静圧気体軸受11を取り付けたガイドロール装置Gでは、ガイドロール部材G’が撓んでも、ラジアル軸受隙間とスラスト軸受隙間が平行かつ最適な間隔に保たれるため、ガイドロール部材G’が安定して回転する。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は前記実施形態には限定されない。例えば、この発明に係る第1の弾性体4,41はOリングに限られるものではなく、バネでも構わない。さらに、弾性体と同じ役目を果たす球面座でも構わない。また、この発明に係る第2の弾性体5,51はコイルバネに限られるものではなく、板バネでも構わない。さらに、バネ以外に、ゴムでも構わない。
また、第1の弾性体4,41が備えられる位置は、ラジアル軸受隙間に対して裏側の面であればよく、前記実施形態のようにラジアル軸受面3a,12aの反対面に限定されない。
この発明においてラジアル軸受隙間に対して裏側の面とは、ラジアル隙間を形成する面の反対面をいう。また、この発明においてスラスト軸受隙間に対して裏側の面とは、スラスト隙間を形成する面の反対面をいう。そのため、例えば静圧気体軸受1では、内筒筐体2の内周面と軸と間に第1の弾性体4を備えるようにしても構わない。この場合には、第2の弾性体5は、スラスト隙間を形成する面の反対面であって、内筒筐体2に備えられる。
1,11 静圧気体軸受
2,12 内筒筐体
3,13 外筒筐体
3a,12a ラジアル軸受面
3b,12b スラスト軸受面
4,41 第1の弾性体(Oリング)
5,51 第2の弾性体(バネ)

Claims (1)

  1. 軸の外周面に対向配置される内筒筐体と、ハウジングの内周面に対向配置される外筒筐体とから成り、内筒筐体又は外筒筐体の互いに対向する面にラジアル軸受面及びスラスト軸受面を設け、これら軸受面の間に形成されたラジアル軸受隙間及びスラスト軸受隙間に圧縮気体を供給し、軸とハウジングを非接触状態に保持する静圧気体軸受において、
    前記ラジアル軸受隙間に対して裏側の面に第1の弾性体を備え、
    前記スラスト軸受隙間に対して裏側の面であって、第1の弾性体が備えられた筐体に第2の弾性体を備えることを特徴とする静圧気体軸受。
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