JP2011045735A - 膜を有する血管内器具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】血管壁の患部、損傷部または脆弱部を処置するために体内血管5に挿入される血管内器具10であって、機械的に拡張可能な器具11であって、該機械的に拡張可能な器具が、半径方向に外向きに拡張することで、該機械的に拡張可能な器具の外周面が該血管の内面と密着し、該血管への血液の経路を維持する、器具と;該機械的に拡張可能な器具の該外周面の少なくとも一部を覆う膜40であって、該膜が複数の孔を含み、該膜の多孔度が、該孔の大きさと隣接する孔の間の距離によって決定される該膜の材料表面積の比率によって定められる、膜とを含み;該機械的に拡張可能な器具が体内血管に留置され、膜が該血管壁の少なくとも該患部、損傷部または脆弱部を覆い、該膜の多孔度によって血管壁の該患部、損傷部または脆弱部への血液供給が阻害され、該血管の治癒を促進する。
【選択図】図5
Description
本発明は、血管壁の患部、損傷部または脆弱部を処置するために体内血管中に挿入するための血管内器具に関するものである。
異物が体内血管に移植された場合に体内血管が示す反応は、一般的にネガティブなものである。異物が留置されると、細胞が防御反応を示して炎症反応を引き起こし、さらに体内血管の狭窄や閉塞の原因となる血管内膜の増殖が起こる。
第1の好適な態様においては、血管壁の患部、損傷部または脆弱部を処置するために体内血管に挿入される血管内器具であって、該血管内器具が:
第1の位置から第2の位置へと拡張することができる、機械的に拡張可能な器具であって、該機械的に拡張可能な器具が、該第2の位置へと半径方向に外向きに拡張することで、該機械的に拡張可能な器具の外周面が該血管の内面と密着し、該血管への流体の経路を維持する、器具と;
該機械的に拡張可能な器具の該外周面の少なくとも一部を覆う膜であって、該膜が複数の孔を含み、該膜の多孔度が、該孔の大きさと隣接する孔の間隔によって決定される該膜の材料表面積の比率によって定められる、膜と、
を含み;
該機械的に拡張可能な器具が体内血管に留置され、該膜が該血管壁の少なくとも該患部、損傷部または脆弱部を覆い、該膜の多孔度によって該血管壁の該患部、損傷部または脆弱部への血液供給が阻害され、該体内血管の治癒を促進する、
血管内器具が提供される。
マクロ多孔質膜の隣接する孔の間隔は、約40μm〜100μmである場合がある。
マクロ多孔質膜の厚さは、約0.0005インチ〜0.003インチである場合がある。
ミクロ多孔質膜の各孔の大きさは、約1μm〜30μmである場合がある。
ミクロ多孔質膜の隣接する孔の間隔は、約10μm〜100μmである場合がある。
膜の材料表面積の比率は、マクロ多孔質膜では約25%〜75%、ミクロ多孔質膜では約75%〜100%である場合がある。
孔は、第1の領域においては互いに第1の距離を隔てて配置される場合があり、第2の領域においては互いに第2の距離を隔ててさらに配置される場合がある。
第1の領域における各孔の大きさは、第2の領域における各孔の大きさよりも小さい場合がある。
第1の領域は、血管壁の患部、損傷部または脆弱部に隣接している場合がある。
第1の領域には、体内血管中の血流の方向に基づいて、第2の領域よりも先に血液が流入する場合がある。
第1の位置から第2の位置へと拡張することができる、機械的に拡張可能な器具であって、該機械的に拡張可能な器具が、該第2の位置へと半径方向に外向きに拡張することで、該機械的に拡張可能な器具の外周面が該血管の内面と密着し、該血管への流体の経路を維持する、器具;および
該機械的に拡張可能な器具の該外周面の少なくとも一部を覆う膜と、
を含み、
該機械的に拡張可能な器具が体内血管内に留置され、該膜が該血管壁の少なくとも患部、損傷部または脆弱部を覆い;
該膜が生体適合性の高弾性ポリマーから作製され、該ポリマーが末端基を有するポリウレタン系材料であり、該血管内器具が該体内血管に挿入された後の該体内血管の狭窄を最小限に抑える、
血管内器具が提供される。
複数の孔であって、該膜の多孔度が、該孔の大きさと隣接する孔の間隔によって決定される膜の材料表面積の比率によって定められる、複数の孔、
を含み;
該膜が該血管壁の少なくとも該患部、損傷部または脆弱部を覆い、該膜の該多孔度によって該血管壁の該患部、損傷部または脆弱部への血液供給が阻害され、該体内血管の治癒を促進する、
膜が提供される。
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
血管壁の患部、損傷部または脆弱部を処置するために体内血管に挿入される血管内器具であって、上記血管内器具が:
第1の位置から第2の位置へと拡張することができる、機械的に拡張可能な器具であって、上記機械的に拡張可能な器具が、上記第2の位置へと半径方向に外向きに拡張することで、上記機械的に拡張可能な器具の外周面が上記血管の内面と密着し、上記血管への流体の経路を維持する、器具と;
上記機械的に拡張可能な器具の上記外周面の少なくとも一部を覆う膜であって、上記膜が複数の孔を含み、上記膜の多孔度が、上記孔の大きさおよび隣接する孔の間隔によって決定される上記膜の材料表面積の比率によって定められる、膜と、
を含み;
上記機械的に拡張可能な器具が上記体内血管に留置され、上記膜が上記血管壁の少なくとも上記患部、損傷部または脆弱部を覆い、上記膜の多孔度によって上記血管壁の上記患部、損傷部または脆弱部への血液供給が阻害され、上記血管の治癒を促進する、
血管内器具。
(項目2)
上記膜が生体適合性の高弾性ポリマーで作製される、項目1に記載の器具。
(項目3)
上記ポリマーがポリエーテルウレタン(PEU)またはポリカーボネートウレタン(PCU)である、項目2に記載の器具。
(項目4)
上記ポリマーが、末端基を有するポリウレタン系材料であって、上記末端基が、フルオロカーボン表面修飾末端基、ならびにポリエチレングリコールおよびシリコン表面修飾末端基からなる群のうちのいずれか1つである、項目2に記載の器具。
(項目5)
上記膜がマクロ多孔質膜またはミクロ多孔質膜である、項目1に記載の器具。
(項目6)
上記マクロ多孔質膜の多孔度が、主要動脈の穿通枝への血液供給を可能にする、項目5に記載の器具。
(項目7)
上記マクロ多孔質膜の各孔の大きさが、約20μm〜150μmである、項目5に記載の器具。
(項目8)
上記マクロ多孔質膜の隣接する孔の間隔が、約40μm〜100μmである、項目5に記載の器具。
(項目9)
上記マクロ多孔質膜の厚さが、約0.0005インチ〜0.003インチである、項目5に記載の器具。
(項目10)
上記ミクロ多孔質膜の上記多孔度が、より早い内皮化のために、促進された内皮細胞の遊走および組織の内部成長を可能にする、項目5に記載の器具。
(項目11)
上記ミクロ多孔質膜の各孔の大きさが、約1μm〜30μmである、項目5に記載の器具。
(項目12)
上記ミクロ多孔質膜の隣接する孔の間隔が、約10μm〜100μmである、項目5に記載の器具。
(項目13)
上記膜の材料表面積の比率が、マクロ多孔質膜では約25%〜75%、ミクロ多孔質膜では約75%〜100%である場合がある、項目1に記載の器具。
(項目14)
上記孔が互いに等間隔に配置される、項目1に記載の器具。
(項目15)
上記孔が、第1の領域においては互いに第1の間隔を隔てて配置され、第2の領域においては互いに第2の間隔を隔ててさらに配置される、項目1に記載の器具。
(項目16)
第1の領域における各孔の大きさが、第2の領域における各孔の大きさよりも小さい、項目1に記載の器具。
(項目17)
上記第1の領域が、上記血管壁の上記患部、損傷部または脆弱部に隣接している、項目15または16に記載の器具。
(項目18)
上記第1の領域には、体内血管の血流の方向に応じて、上記第2の領域よりも先に血液が流入する、項目17に記載の器具。
(項目19)
血管壁の患部、損傷部または脆弱部を処置するために体内血管に挿入される血管内器具であって、上記血管内器具が:
第1の位置から第2の位置へと拡張することができる、機械的に拡張可能な器具であって、上記機械的に拡張可能な器具が、上記第2の位置へと半径方向に外向きに拡張することで、上記機械的に拡張可能な器具の上記外周面が上記血管の内面と密着し、上記血管への流体の経路を維持する、器具と;
上記機械的に拡張可能な器具の上記外周面の少なくとも一部を覆う膜と、
を含み、
上記機械的に拡張可能な器具が上記体内血管内に留置され、上記膜が上記血管壁の少なくとも患部、損傷部または脆弱部を覆い;
上記膜が生体適合性の高弾性ポリマーから作製され、上記ポリマーが末端基を有するポリウレタン系材料であり、上記血管内器具が上記体内血管に挿入された後の上記体内血管の狭窄を最小限に抑える、
血管内器具。
(項目20)
上記末端基が、フルオロカーボン表面修飾末端基、ならびにポリエチレングリコールおよびシリコン表面修飾末端基からなる群のうちのいずれか1つである、項目19に記載の器具。
(項目21)
上記膜および/または機械的に拡張可能な器具と、上記体内血管の上記血管壁との摩擦を減らすため、上記膜の外面および/または上記機械的に拡張可能な器具の外周面に塗布する潤滑層をさらに含む、項目1または19に記載の器具。
(項目22)
上記潤滑層が、親水性ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ヒドロゲル、ポリエチレンオキシド、およびゼラチンからなる群のうちのいずれか1つのポリマーから作製される、項目21に記載の器具。
(項目23)
上記膜の材料が、上記膜の所定の表面特性が得られるように、上記潤滑層の上記ポリマーを使用して修飾される、項目22に記載の器具。
(項目24)
上記血管壁の上記患部、損傷部または脆弱部への上記膜の位置合わせが可能になるように、上記機械的に拡張可能な器具上に配置される放射線不透過性マーカーをさらに含む、項目1または19に記載の器具。
(項目25)
上記血管壁の上記患部、損傷部または脆弱部が、頭蓋内動脈瘤、嚢状動脈瘤、広基性動脈瘤、紡錘状動脈瘤、頸動脈海綿静脈洞瘻、および動静脈奇形(AVM)からなる群のうちのいずれか1つである、項目1または19に記載の器具。
(項目26)
上記体内血管の内径が約2.0〜4.5mmである、項目1または19に記載の器具。
(項目27)
血管壁の患部、損傷部または脆弱部を処置するために体内血管に挿入される血管内器具のための多孔質膜であって、上記膜が:
複数の孔であって、上記膜の多孔度が、上記孔の大きさと隣接する孔の間隔によって決定される膜の材料表面積の比率によって定められる、複数の孔、
を含み;
上記膜が上記血管壁の少なくとも上記患部、損傷部または脆弱部を覆い、上記膜の上記多孔度によって上記血管壁の上記患部、損傷部または脆弱部への血液供給が阻害され、上記体内血管の治癒を促進する、
膜。
(項目28)
上記膜が生体適合性の高弾性ポリマーで作製される、項目27に記載の膜。
(項目29)
上記ポリマーが、末端基を有するポリウレタン系材料であって、上記末端基が、フルオロカーボン表面修飾末端基、ならびにポリエチレングリコールおよびシリコン表面修飾末端基からなる群のうちのいずれか1つである、項目28に記載の膜。
図1〜6を参照すると、血管壁の患部、損傷部または脆弱部50を処置するために血管5に挿入される血管内器具10が提供される。患部、損傷部または脆弱部50は動脈瘤である場合がある。血管内器具10は、ステント11および膜20を有する。ステント11はバルーン拡張型または自己拡張型である場合がある。膜20は、ステント11の外周面の少なくとも一部を覆う。膜20は複数の孔25を有する。膜20の多孔度は、孔25の大きさ21と、隣接する孔25の間隔22によって決定される膜20の材料表面積の比率によって定められる。ステント11は、膜20が血管壁の少なくとも患部、損傷部または脆弱部50を覆うように、血管5に留置される。膜20の多孔度によって血管壁の患部、損傷部または脆弱部50への血液供給が阻害され、血管5の治癒が促進される。
マクロ多孔質器具10は、中等度から高度の多孔性を有する膜20を有する。マクロ多孔質器具10の一用途は、分枝または穿通枝55に極めて近い場所に発生した動脈瘤を処置することである。別の特定用途は、動脈瘤50に極めて近い場所にある親動脈から穿通枝55が分岐する場合に、眼動脈の上方に発生した頭蓋内嚢状動脈瘤または広基性動脈瘤50を処置することである。
図4を参照すると、頸動脈海綿静脈洞瘻などのように、速やかに血流を遮断するために完全な被覆が必要な病態や、眼動脈下部などの、穿通枝55の閉塞のリスクがきわめて低いか全くない場所に対して、ミクロ多孔質器具10が使用される。
器具10を手術部位に送達させる際の追従性を高めるために、ステント11の外表面に潤滑層70を塗布することができる。このコーティング70は、器具10を製造して送達装置に装着した後に塗布する場合もあれば、あるいは送達装置に装着する前に塗布する場合もある。あるいは、この層70は、さらなる表面特性として膜の材料と組み合わせて導入される場合がある。すなわち、膜20の化学構造または表面特性を修飾して、表面の摩擦係数を本質的に小さくする。層70は生体適合性を有しており、追従時のステント11および/または膜20と血管壁との間の摩擦係数を減らす特性を有する。層70はまた、安定性と耐久性のバランスに優れており、追従時の完全性を維持する。この層70は、マクロ多孔質およびミクロ多孔質器具10のどちらにも塗布することができる。
図6を参照すると、ステント11に専用のステントマーカー15が組み込まれている場合がある。これにより、膜20の材料比率が高い(被覆率が高い)部分を動脈瘤頚部に正確に合わせることができる。微小血管枝、側枝、または穿通枝55を有することが知られている領域の動脈瘤50を効果的に処置するには、正確な位置合わせが重要である。
膜20は生体適合性の高弾性ポリマーで作製される。ポリエーテルウレタン(PEU)またはポリカーボネートウレタン(PCU)が使用される場合がある。PEUの商標名には、Tecoflex TecothaneTM、HapflexTM、CardiothaneTM、PellethaneTM、およびBiospanTMが含まれる。PCUの商標名には、ChronoFlexTM、CarbothaneTM、およびCorethaneTMが含まれる。
Technology Group(PTG)(米国カリフォルニア州バークレー)が開発した材料であるBioSpan FTMで作製される。BioSpan FTMは、フルオロカーボン表面修飾末端基を有するポリウレタン系材料である。in vitroおよびin vivo試験では、この材料が微小血管の環境に適合する優れた適合性特性を示している。BioSpan FTMが持つ抗血栓特性と治癒特性から、微小血管の処置に使用する器具10の膜20にはこのBioSpan FTMを選択するのが好ましい。好ましくは、より良好な結果を得るために、膜20は上述のような特別な孔パターンを有している。これは、膜20の種々の材料を比較した一連のin vitroおよびin
vivo実験によって確認されている。
管内器具79が示されており(図右側)、血管5が15〜20%狭窄していることがわかる。
Claims (1)
- 図5に示される血管内器具。
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WO2005034803A2 (en) * | 2003-10-10 | 2005-04-21 | The Cleveland Clinic Foundation | Endoluminal prosthesis with interconnectable modules |
WO2005094726A1 (en) * | 2004-03-31 | 2005-10-13 | Merlin Md Pte Ltd | A medical device |
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- 2010-10-13 JP JP2010231001A patent/JP5323022B2/ja not_active Expired - Fee Related
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