特許文献1により開示されている静電容量式タッチパネル100は、指などの入力操作体を静電容量の変化から検出する為に、多数の電極へ順次所定のパルス電圧を印加する走査が必要であり、電力消費量が大きく、限られた電池容量で動作する携帯機器に備えることができない。
入力操作を待機しているスリープモードで、多数の電極へパルス電圧を印加する走査を間欠動作で実行し、電力消耗を図ることも考えられるが、多数の電極に順にパルス電圧を印加し、更に、個々のパルス電圧を印可した電極毎に、その電極に交差する電極との静電容量の変化を検出しなければならないために入力操作の検出を短時間で行うことができず、入力操作を確実に検出する例えば100msecの周期内で、充分な休止時間をとることができず、電力消費をおさえることができなかった。
特許文献2に開示されている静電容量式センサ200は、スリープモードでの入力操作の検出をするために、操作ボタン201を押し下げて復帰スイッチ用電極E11、E12間を接続するメカニカルスイッチを設けているものであり、非接触での入力操作を検知できないので、表示素子などの下方に配置することができない。
また、入力操作位置を検出する容量素子用電極E1〜E4の他に、入力操作を検知するための復帰スイッチ用電極E11、E12を別に配置する必要があり、更に、操作ボタン201のいずれの入力操作位置が入力操作であっても検知しなければならないてので、容量素子用電極E1〜E4の周囲をリング状に囲って復帰スイッチ用電極E11、E12を配置するので、全体が大型化するという問題があった。
従って、非接触で入力操作を検出する静電容量式タッチパネルには、入力操作を行わない待機中にスリープモードとしてバッテリーの消耗を防ぐことが望まれているにも関わらず、短時間に非接触の入力操作を検知する手段がないので、低消費電力のスリープモードで入力操作を待機する静電容量式タッチパネルは実現できなかった。
本発明は、このような従来の問題点を考慮してなされたものであり、短時間に非接触の入力操作を検出でき、従って、入力操作の待機中に低消費電力のスリープモードで動作可能な静電容量式タッチパネルを提供することを目的とする。
また、ノーマルモードで入力操作位置を検出する為の検出電極を用いて、スリープモードで入力操作を検出する静電容量式タッチパネルを提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、請求項1の静電容量式タッチパネルは、絶縁パネル上に互いに絶縁して配置される複数の検出電極と、各検出電極に接続し、各検出電極の浮遊容量の大きさに応じてそれぞれ基準時t0から二値データが反転するまでの経過時間が変化し、検出電極へ入力操作を行わない間は、基準時t0から第1経過時間の経過時に、検出電極に入力操作体が接近する入力操作の間は、基準時t0から第2経過時間の経過後に、二値データが反転する二値信号を出力する複数の容量−時間変換手段と、各容量−時間変換手段から出力される二値信号について、基準時t0から第1経過時間の経過後で第2経過時間が経過する前の判定時の二値データと、基準時t0の二値データとを比較し、いずれかの容量−時間変換手段から出力される二値信号の判定時の二値データが基準時t0の二値データから変化しない場合に、入力操作と判定する入力判定手段と、各容量−時間変換手段から出力される二値信号から各検出電極の浮遊容量の大きさを比較し、特定の検出電極へ入力操作体を接近させる入力操作を検出する入力操作位置検出手段とを備え、ノーマルモードで動作する入力操作位置検出手段が所定期間入力操作を検出しない場合に、入力操作位置検出手段の動作が休止し、複数の各容量−時間変換手段と、入力判定手段が間欠動作するスリープモードに移行し、スリープモードで間欠動作する入力判定手段が入力操作と判定した場合に、入力操作位置検出手段が動作するノーマルモードに移行することを特徴とする。
各検出電極へ入力操作が行われない間は、二値信号の二値データが基準時t0から第1経過時間の経過時に反転するので、全ての容量−時間変換手段から出力される二値信号の二値データは判定時に反転している。一方、入力操作によって入力操作体がいずれかの検出電極に接近すると、その検出電極の浮遊容量が増大し、検出電極に接続する容量−時間変換手段から出力される二値信号の二値データは、基準時t0から第2経過時間が経過するまで反転しないので、いずれかの容量−時間変換手段から出力される二値信号の基準時t0の二値データが判定時にも反転しないことから、入力判定手段で入力操作が検出され、ノーマルモードに移行する。
請求項2の静電容量式タッチパネルは、複数の各容量−時間変換手段が、検出電極の浮遊容量に直列若しくは並列に接続する抵抗と、前記抵抗の抵抗値と検出電極の浮遊容量とで定まる時定数で、基準時t0から浮遊容量を充電若しくは放電し、検出電極の電位を第1電位と第1電位より高い第2電位との間で引き上げ若しくは引き下げる充放電回路と、検出電極の電位を、第1電位と第2電位との間に設定した基準電位と比較する比較回路とを備え、比較回路から、検出電極の浮遊容量の大きさに応じて、基準時t0から二値データが反転するまでの経過時間が変化する二値信号を出力することを特徴とする。
検出電極の電位は、抵抗の抵抗値と検出電極の浮遊容量とで定まる時定数が大きいほど緩やかに上昇若しくは下降するので、基準時t0から基準電位を越えるまでの時間が長くなり、容量−時間変換手段の比較回路は、検出電極の浮遊容量の大きさに応じて、基準時t0から二値データが反転するまでの経過時間が変化する二値信号を出力する。
各検出電極の浮遊容量について、その検出電極に接続する容量−時間変換手段を用いて、それぞれ独立して浮遊容量の変化を検出できるので、検出時間を重複させて、全ての検出電極への入力操作を短時間に検出できる。
請求項3の静電容量式タッチパネルは、基準時t0から二値信号の二値データが反転するまでの第1経過時間が、各容量−時間変換手段でほぼ同一となるように、検出電極と検出電極に接続する容量−時間変換手段の回路定数を調整するとともに、各容量−時間変換手段の基準時t0を同期させ、入力判定手段は、各容量−時間変換手段から出力される二値信号について、同一時刻の判定時の二値データと、基準時t0の二値データとを比較することを特徴とする。
各検出電極へ入力操作を行わない間は、全ての容量−時間変換手段から出力される二値信号の二値データは同一時刻の第1経過時間の経過時に反転する。一方、入力操作によって入力操作体がいずれかの検出電極に接近すると、その検出電極の浮遊容量が増大し、各容量−時間変換手段で共通の判定時に二値データが反転しないことから、入力判定手段で入力操作が検出され、ノーマルモードに移行する。
請求項4の静電容量式タッチパネルは、複数の各容量−時間変換手段の基準時t0を同期させ、第2経過時間より充分に短い周期で、各容量−時間変換手段からそれぞれ出力される二値信号の二値データを、新たな二値データが入力されるまで複数ビットのパラレルデータとして一時記憶するパラレル入力レジスタと、パラレル入力レジスタに記憶されるパラレルデータを監視し、新たに入力される二値データによる前記パラレルデータの少なくともいずれかのビットデータの変化を検知するレジスタ値監視手段と、基準時t0からの経過時間を計数するカウンタと、レジスタ値監視手段がパラレル入力レジスタに記憶されるパラレルデータの変化を検知する毎に、検知時のカンウター値と、検知時にパラレル入力レジスタに記憶されたパラレルデータとを関連づけて記憶する記憶手段とを備え、入力判定手段は、全ての容量−時間変換手段から出力される二値信号の二値データが反転した後、記憶手段に記憶されたカンウター値とパラレルデータとから、各容量−時間変換手段から出力される二値信号の判定時の二値データと、基準時t0の二値データとを比較することを特徴とする。
複数の容量−時間変換手段は、基準時t0を同期させるので、各検出電極の浮遊容量の大きさを含む容量−時間変換手段の回路定数に応じて順に二値データが反転した二値信号を出力し、二値データの反転出力時にその容量−時間変換手段に対応するビットを変化させたパラレルデータがパラレル入力レジスタに記憶される。記憶手段に記憶されたパラレルデータは、基準時t0からの経過時間を示すカウンタ値と関連づけて記憶されるので、パラレルデータのいずれかのビットデータが変化する変化履歴を表し、カンウター値から得るその直前のパラレルデータとを比較することにより、変化したビットデータと、そのビットに対応する容量−時間変換手段から出力される二値信号の二値データが反転するまでの経過時間が得られる。いずれかの容量−時間変換手段の二値データが反転するまでの経過時間が、その容量−時間変換手段についての基準時t0から判定時までの経過時間より長い場合に、入力操作があったと判定する。
請求項5の静電容量式タッチパネルは、基準時t0から二値信号の二値データが反転するまでの第1経過時間が、各容量−時間変換手段でほぼ同一となるように、検出電極と検出電極に接続する容量−時間変換手段の回路定数を調整し、入力操作位置検出手段は、全ての容量−時間変換手段から出力される二値信号の二値データが反転した後、記憶手段に記憶されたカンウタ値とパラレルデータとから、特定の検出電極へ入力操作体を接近させる入力操作を検出することを特徴とする請求項4に記載の静電容量式タッチパネル。
複数の容量−時間変換手段は、基準時t0を同期させるので、各検出電極の浮遊容量の大きさに応じて順に二値データが反転した二値信号を出力し、二値データの反転出力時にその容量−時間変換手段に対応するビットを変化させたパラレルデータがパラレル入力レジスタに記憶される。記憶手段に記憶されたパラレルデータは、基準時t0からの経過時間を示すカウンタ値と関連づけて記憶されるので、パラレルデータのいずれかのビットデータが変化する変化履歴を表し、カンウター値から得るその直前のパラレルデータとを比較することにより、変化したビットデータと、基準時t0からのそのビットデータが変化するまでの経過時間が得られる。
ビットデータが変化した基準時t0からの経過時間は、そのビットに対応する容量−時間変換手段の二値データが反転するまでの経過時間であり、容量−時間変換手段が接続する検出電極の浮遊容量の大きさを表すので、ビットデータ毎に基準時t0からの経過時間を比較し、浮遊容量が大きい検出電極を入力操作体が接近する特定の検出電極として、その配置位置から入力操作の入力操作位置が検出される。
請求項1の発明によれば、スリープモードでの入力操作の検出に専用の検出スイッチを別に備えることなく、ノーマルモードで入力操作位置を検出する為の容量−時間変換手段と検出電極を利用するので、構成を複雑、大型化することなく、スリープモードで非接触の入力操作を検出できる。
また、スリープモードでは、入力操作位置を検出しないので電力消費量が少なく、携帯機器へ搭載する指示入力装置として利用することができる。
また、スリープモードで、非接触の入力操作を検出することができるので、表示素子の背面側に配置し、表示素子に接近させるだけの入力操作であっても入力操作位置を検出するノーマルモードへ移行できる。
請求項2の発明によれば、パルス電圧などの検出信号を発生する発生手段を用いずに、時定数回路の簡単な構成で検出電極の浮遊容量の変化を検出できる。
各検出電極の浮遊容量の変化を、検出時間を重複させて短時間に検出できるので、スリープモード中に間欠動作させる休止期間Trsを長くとることができ、電力消費を低減できる。
請求項3の発明によれば、全ての検出電極について入力操作の検出を同時に行うことができ、スリープモード中に充放電時間を短時間として、入力操作を検出できる。
また、同時刻である判定時に、全ての容量−時間変換手段から出力される二値信号の二値データを、基準時t0の二値データと比較するだけで、非接触の入力操作の有無を判定できる。
請求項4の発明によれば、複数の容量−時間変換手段について共通する1つのカウンタとパラレル入力レジスタを用いて、複数の検出電極のいずれかの浮遊容量の変化を検出できる。
また、複数の検出電極の浮遊容量の変化を、基準時t0を同期させて同時に検出できるので、短時間に、いずれかの検出電極に接近する入力操作を検出できる。
また、複数の容量−時間変換手段を構成する抵抗の抵抗値、充放電電圧、基準電位などが異なり、第1経過時間と第2経過時間が容量−時間変換手段毎に異なるものであっても、基準時t0を同期させて、同時に各検出電極の浮遊容量の変化を検出できる。
請求項5の発明によれば、スリープモードで入力操作を検出するカウンタとパラレル入力レジスタを用いて、ノーマルモードで入力操作位置を検出できる。
以下、本発明の第1実施の形態に係る静電容量式タッチパネル(以下、タッチパネルという)1を、図1乃至図5を用いて説明する。このタッチパネル1は、図示しない絶縁パネル上に例えば数mmの間隔で互いに絶縁して複数の検出電極31、32、33、34が配置される。各検出電極3の浮遊容量Csは、その周囲の導電パターン、機器を遮蔽するシールドケース、大地との間に形成される容量の総和で表されるが、他の容量が略一定であるの対して、操作者の指等の入力操作体が接近すると増大する。そこで、各検出電極3の浮遊容量Cs1、Cs2、Cs3、Cs4を比較し、いずれかの検出電極3の浮遊容量Csが増大したときに、その検出電極3に対して入力操作の入力操作体が接近したものとして、入力操作と判定し、低消費電力で入力操作のみを検出するスリープモードから入力操作位置を検出するノーマルモードへ移行する。
ここでは、説明の都合上、タッチパネル1が4つの検出電極31、32、33、34の浮遊容量Cs1、Cs2、Cs3、Cs4のいずれかが増大することから入力操作を検出するものとして説明する。各検出電極3の浮遊容量Cs1、Cs2、Cs3、Cs4の大きさを監視するため、図1に示すように、各検出電極3には、それぞれの浮遊容量Csを二値信号の時間幅で表して出力する容量−時間変換回路2が接続されている。
各容量−時間変換回路2は、コモン端子を基準充電電圧Vddと接地電位GNDとの間で切り換える充放電スイッチ4と、充放電スイッチ4のコモン端子と検出電極3間に直列に接続され、検出電極3の浮遊容量Csのコンデンサと時定数回路を形成する検出抵抗R1、R2と、非反転入力を検出抵抗R1、R2の接続点に接続し、反転入力を基準電位VSHの電位としたコンパレータ5とを備えている。基準電位VSHは、基準充電電圧Vddと接地電位GNDの間の所定の電位で、ここではVddの70%の電位に設定され、これにより、充放電スイッチ4が接地電位GNDから基準充電電圧Vdd側に切り換えられると、検出抵抗R1、R2の抵抗値と浮遊容量Csから定まる時定数で浮遊容量Csが充電され、接地電位GNDから上昇する検出電極3の電位が基準電位VSHを越えると、コンパレータ5の出力cが反転する。また、充放電スイッチ4が基準充電電圧Vddから接地電位GND側へ切り換えられると、浮遊容量Csに蓄積されていた電荷が放電され、下降する検出電極3の電位が基準電位VSH未満となると、コンパレータ5の出力cが再び反転し、充放電スイッチ4が切り換えられない限り、検出電極3の電位は、接地電位GNDまで下降する。
本実施の形態では、容量−時間変換回路2の検出抵抗R1、R2の抵抗値、コンパレータ5等の回路定数、基準電位VSHの電位は、各容量−時間変換回路2について同一であり、又、各充放電スイッチ4は、同一の基準時t0に基準充電電圧Vddが印加されるように、図2に示すマイコン20からの切り換え制御信号aによって同時に切り換え制御される。従って、上述の浮遊容量Cs(説明上、浮遊容量Csのコンデンサを浮遊容量Csという)が基準充電電圧Vddで充電される際の検出電極3の電位の上昇速度は、検出抵抗R1、R2の抵抗値に浮遊容量Csを乗じた時定数で決定されるが、専ら浮遊容量Csに依存し、浮遊容量Csが大きくなるほど、電圧の上昇が緩やかになり、基準時t0からコンパレータ5の出力cが反転するまでの時間も長くなる。一般に、検出電極3についての浮遊容量Csは、約10pFであり、指などの入力操作体の接近により変化する浮遊容量Csの変化量は、1乃至3pF程度であるので、その変化を出力cが反転するまでの時間から判別するために、各検出抵抗R1、R2の抵抗値を、ここでは10MΩとしている。
各容量−時間変換回路2の充放電スイッチ4へ切り換え制御するマイコン20は、クロック発信回路9からここでは50MHzのクロック信号が入力され、図5に示すスリープモードとノーマルモードで動作し、各モードでクロック信号から生成した切り換え制御信号aを充放電スイッチ4へ出力する。スリープモードでは、入力操作の検出に必要な容量−時間変換回路2、マイコン20、クロック発振回路9等を残して、入力操作位置を検出するための図2に示す第1レジスタ(T)6、第2レジスタ(T−1)7、レジスタ値比較回路8、カウンタ11、RAM10の動作が停止し、これらの回路素子への電源供給が停止されることにより電力消費量が低減される。
図2に示すように、上記各容量−時間変換回路2のコンパレータ5の出力c1、c2、c3、c4は、それぞれマイコン20と4ビットのPIPO(並列入力並列出力形)レジスタである第1レジスタ(T)6に接続し、スリープモードで、マイコン20の入力ポートに入力されるとともに、ノーマルモードで、第1レジスタ(T)6に4ビットのパラレルデータとして並列入力される。
本実施の形態では、各容量−時間変換回路2を構成する回路素子の回路定数とし、検出電極3の浮遊容量Csへ同一の基準時t0に同一電位の基準充電電圧Vddで充電するので、入力操作が行われていない状態で、基準時t0からコンパレータ5の出力c1、c2、c3、c4が反転するまでの第1経過時間は、各出力c1、c2、c3、c4で同一となっている。一方、いずれかの検出電極3に指などの入力操作体が接近すると、その検出電極3の浮遊容量Csが増加し、コンパレータ5の出力cは、第1経過時間より長い第2経過時間が経過した後に反転するので、基準時t0から第1経過時間の経過後で第2経過時間が経過する前の判定時tjにコンパレータ5の出力cが反転しているか否かで、入力操作を判定できる。
そこで、スリープモードで動作するマイコン20は、各コンパレータ5の出力c1、c2、c3、c4の二値データを、それぞれ各充放電スイッチ4が基準充電電圧Vdd側に切り換えられる基準時t0と上記判定時tjとで比較し、いずれかの基準時t0の二値データが判定時tjであっても反転していない場合に入力操作があったものとしてノーマルモードへ移行する。
ノーマルモードで、第1レジスタ(T)6に入力されるパラレルデータの各ビットは、各出力c1、c2、c3、c4に対応し、2値信号の出力cが「H」であるときに「1」、「L」であるときに「0」のビットデータが記憶される。また、第1レジスタ(T)6の並列出力は、同様に構成された4ビットのPIPOレジスタである第2レジスタ(T−1)7の並列入力に接続している。第1レジスタ(T)6と第2レジスタ(T−1)7は、マイコン20の共通するシフトクロック端子(SFT)とリセット出力端子(RESET)に接続し、クロック端子(SFT)からシフトクロックが入力される毎に記憶する4ビットのレジスタ値の入出力を行うとともに、リセット出力端子(RESET)からリセット信号が入力されると、記憶している4ビットのレジスタ値をリセットする。つまり、第1レジスタ(T)6は、シフトクロックが入力された際に4ビットのレジスタ値として記憶した各出力c1、c2、c3、c4の二値データを次にシフトクロックが入力されるまで記憶し、同様に第2レジスタ(T−1)7は、第1レジスタ(T)6から出力される4ビットのレジスタ値を次にシフトクロックが入力されるまで記憶する。また、第1レジスタ(T)6は、後述するレジスタ値比較回路8からトリガー信号が入力されると、そのときに記憶しているレジスタ値をRAM10へ記憶する。
第1レジスタ(T)6に出力c1、c2、c3、c4の新たな4ビットのレジスタ値が記憶される毎に、レジスタ値比較回路8において、そのレジスタ値と第2レジスタ(T−1)7に記憶されるレジスタ値とが比較され、少なくとも4ビットのいずれかのビットデータが異なる場合にレジスタ値比較回路8から第1レジスタ(T)6とカンウタ11にトリガー信号が出力される。第2レジスタ(T−1)7に記憶されるレジスタ値は、最新のシフトクロックが入力される直前に第1レジスタ(T)6に記憶されたレジスタ値であるので、トリガー信号は、出力c1、c2、c3、c4の少なくともいずれかの二値データが変化した場合に出力される。
ノーマルモードで動作するマイコン20は、切り換え制御信号aを出力して充放電スイッチ4を切り換え制御するとともに、50MHzのクロック周波数を分周した周波数の上記シフトクロックによりレジスタ6、7の動作を制御する。ここで、入力操作によって出力cの二値データが反転するまでの時間差は、10乃至30μsec程度であるので、その時間差を確実に検出するために、シフトクロックの周波数は少なくとも1MHz以上の周波数としている。ノーマルモードで、マイコン20は、図5の検出周期Tpn毎にRAM10に関連づけて記憶されたカウンタ値とレジスタ値との組合せから、入力操作体が接近する検出電極3を特定し、その検出電極3の配置位置への入力操作を検出する検出処理を実行する。
カウンタ11は、クロック発振回路9から出力されるクロック信号の周波数を分周した周波数でカウンタ値をカウントアップする。カウンタ11のカンウタ値は、マイコン20から出力されるリセット信号でリセットされ、レジスタ値比較回路8からトリガー信号が入力されると、図2に示すように、その時のカウンタ値がRAM10に出力される。
一時記憶装置であるRAM10は、図2に示すように、レジスタ値比較回路8からトリガー信号が出力される毎に、その時のカンウタ11のカウンタ値と第1レジスタ(T)6に記憶されているレジスタ値とを関連付けて記憶し、全てのビットデータが「1」となるレジスタ値が入力されるまで、カンウター値と関連づけた各組合せを記憶する。RAM10に記憶されたこれらの各組合せのデータは、ノーマルモードでの検出周期Tpn毎に基準時t0前にマイコン20からの制御によりクリアされる。
このように構成されたタッチパネル1は、マイコン20のスリープモードとノーマルモードの2種類の動作モードに従って動作し、以下、図5に示すスリープモードとノーマルモードの順にその動作を説明する。
タッチパネル1を起動した直後は、マイコン20は入力操作を検出するスリープモードで動作し、図3、図5に示すように、各検出電極3の浮遊容量Csを充放電する充電時間Tcと放電時間Tdに休止時間Trsを加えたスリープモード検出周期Tpsで、入力操作の検出を繰り返す。
充電時間Tcは、充放電スイッチ4を基準充電電圧Vdd側へ切り換える基準時t0から接地電位GNDへ切り換える切り換え時tgまでの時間であり、切り換え時tgは、入力操作の有無に関わらず、基準時t0から全ての検出電極3の電位が基準電位VSHを越える第2経過時間が経過した以降の時に設定される。浮遊容量Csの最大値は、10pF程度であり、本実施の形態では、10MΩの直列に接続した検出抵抗R1、R2を介して浮遊容量Csが充電されるので、検出電極3の電位がほぼ基準充電電圧Vddに達するまでの時間は約100μsecであり、切り換え時tgまでの充電時間Tcを、100μsecとしている。
また、放電時間Tdは、充電時間Tcと同一の100μsecに設定され、切り換え時tgから放電時間Tdが経過した後は、全ての検出電極3の電位が基準時t0の電位である接地電位GNDとなる。
休止時間Trsは、非接触の入力操作を確実に検出可能なスリープモード検出周期Tpsから充電時間Tcと放電時間Tdを除いた時間であり、ここでは、スリープモード検出周期Tpsを100msecとして、休止時間Trsを99msec以上としている。これにより、スリープモードでは、入力操作の検出に必要な容量−時間変換回路2、マイコン20、クロック発振回路9等のみが動作するが、その動作期間も入力操作を待機している期間中の1%以下であり、極めて低消費電力で入力操作を検出できる。
全ての充放電スイッチ4を基準充電電圧Vdd側へ切り換えた基準時t0に、各検出電極3の電位は、基準電位VSH未満の接地電位GNDであるので、マイコン20へ入力されるコンパレータ5の出力c1、c2、c3、c4は、図3に示すように「L」となっている。入力操作が行われていないものとすると、各検出電極3の浮遊容量Csは増加せず、基準時t0から第1経過時間Tfが経過した時点で各検出電極3の電位が基準電位VSHを越えて、各出力c1、c2、c3、c4は「H」に反転する。従って、マイコン20は、基準時t0から第1経過時間より更に経過した判定時tjに入力される全ての出力c1、c2、c3、c4の二値データが、基準時t0の「L」から「H」に反転していることから、入力操作が行われていないと判定し、スリープモードを継続させる。マイコン20の上記判定に前後して、マイコン20は、充放電スイッチ4を接地電位GND側へ切り換える切り換え制御信号aを出力し、放電時間Td中に検出電極3の電位を接地電位GNDとした後、動作を停止する休止時間Trs後に、次のスリープモード検出周期Tpsの動作を開始する。
スリープモード中に、例えば検出電極32へ入力操作体を接近させる入力操作があったものとすると、図3に示すように、充電時間Tc中にコンパレータ5の出力c2が基準時t0から第2経過時間Tsが経過した後に反転する。つまり、基準時t0から第1経過時間の経過後で第2経過時間が経過する前の判定時tjに、マイコン20に入力されるコンパレータ5の出力c2は、基準時t0と同じ二値データの「L」であり、マイコン20は判定時tjであっても基準時t0から二値データが反転しない出力c2があることから、入力操作と判定し、放電時間Tdと休止時間Trsが経過した後、入力操作位置を検出するノーマルモードへ移行する。
ノーマルモードに移行すると、スリープモードで動作していた各回路素子に加えて、第1レジスタ(T)6、第2レジスタ(T−1)7、レジスタ値比較回路8、カウンタ11及びRAM10にも電源が供給され、これらの回路素子が起動する。ノーマルモードでは、図5に示すように、各検出電極3の浮遊容量Csを充放電する充電時間Tcと放電時間Tdに休止時間Trnを加えたノーマルモード検出周期Tpnで、入力操作位置の検出を繰り返す。ノーマルモードにおいても、マイコン20は、スリープモードと同じタイミングで、基準時t0から切り換え制御信号aを出力し、従って、各検出電極3の浮遊容量Csは、スリープモードと同じ充電時間Tcと放電時間Tdで充放電される。
入力操作位置の検出頻度を上げるためには、放電時間Tdが経過した時を基準時t0として、必ずしもノーマルモード検出周期Tpnに休止時間Trnを設けなくてもよいが、本実施の形態では、1.8msecの休止時間Trnを設けて、ノーマルモード検出周期Tpnを2msecとしている。マイコン20は、この放電時間Tdから休止時間Trにかけて、RAM10に記憶されたデータから入力操作位置を算出する検出処理を行う。
このように、本実施の形態によれば、多数の容量−時間変換回路2の浮遊容量Csに対して同時に充放電を行うので、容量−時間変換回路2の数によって充電時間Tcと放電時間Tdが増加せず、充分に長い休止時間Trnを設けても、短い検出周期Tpで入力操作を検出できる。従って、マイコン20が入力操作位置を検出するノーマルモードであっても、低電力消費量で非接触の入力操作位置を検出できる。
ノーマルモードのマイコン20は、ノーマルモード検出周期Tpnが開始する基準時t0に、リセット出力端子(RESET)からリセット信号を出力し、第1レジスタ(T)6と第2レジスタ(T−1)7のレジスタ値とカウンタ11のカンウタ値をリセットするとともに、RAM10に記憶されているデータをクリアする。ここでは、後述するように、基準時t0での第1レジスタ(T)6のレジスタ値を、RAM10へ記憶させるため、第1レジスタ(T)6と第2レジスタ(T−1)7のリセットしたレジスタ値を全て「1」とするが、検出周期Tpnが経過した時点で第1レジスタ(T)6と第2レジスタ(T−1)7の各レジスタ値は、「1」となっているので、必ずしもリセットする必要はない。
また、マイコン20は、同一の基準時t0に各充放電スイッチ4を基準充電電圧Vdd側に切り換える切り換え制御信号aを出力し、検出電極3の浮遊容量Csを基準充電電圧Vddで充電する。基準時t0まで充放電スイッチ4が接地電位GNDに切り換えられていた検出電極3の電位は、基準電位VSH以下の接地電位GNDであるので、基準時t0の各コンパレータ5の出力c1、c2、c3、c4は、いずれも「L」であり、第1レジスタ(T)6の4ビットの「0000」のパラレルデータが記憶される。
レジスタ値比較回路8は、このレジスタ値が、リセットにより第2レジスタ(T−1)7に記憶されたレジスタ値「1111」と異なることからカンウター11と第1レジスタ(T)6へトリガー信号を出力し、図2に示すように、RAM10は、基準時t0を表すカンウター値Ct0と、基準時t0に第1レジスタ(T)6に記憶されるレジスタ値「0000」を関連づけて記憶する。
検出電極32の配置位置から離れ、入力操作の入力操作体による影響を受けない検出電極34の浮遊容量Cs4は最小であり、図4に示すように、検出抵抗R1、R2の抵抗値との時定数で上昇する検出電極34の電位が最も早く、基準時t0から第1経過時間Tfが経過した時刻t1で基準電位VSHを越える。その結果、コンパレータ5の出力c4が「L」から「H」に反転し、第1レジスタ(T)6に、最下位ビットが「1」となったパラレルデータ「0001」が記憶される。レジスタ値比較回路8は、このレジスタ値が、第2レジスタ(T−1)7に記憶されたレジスタ値「0000」と異なることからカンウター11と第1レジスタ(T)6へトリガー信号を出力し、RAM10に、時刻t1を表すカンウター値C(t1)と、新たに第1レジスタ(T)6に記憶されたレジスタ値「0001」を関連づけて記憶される。
続いて検出電極32の両側に配置され、検出電極32に接近する入力操作体に対してほぼ等距離に配置された検出電極31と検出電極33の浮遊容量Cs1、Cs3が浮遊容量Cs4より大きく、検出電極31、33の電位が時刻t2で基準電位VSHを越え、コンパレータ5の出力c1、c3が「L」から「H」に反転し、第1レジスタ(T)6にパラレルデータ「1011」が記憶される。レジスタ値比較回路8は、このレジスタ値の1ビット目と3ビット目が、第2レジスタ(T−1)7に記憶されたレジスタ値「0001」と異なることからカンウター11と第1レジスタ(T)6へトリガー信号を出力し、RAM10に、時刻t2を表すカンウター値C(t2)と関連づけて新たに第1レジスタ(T)6に記憶されたレジスタ値「1011」が記憶される。
入力操作位置に最も近い検出電極32の浮遊容量Cs2は他と比較して最大となるので、図4に示すように、その検出電極32の電位は、基準時t0から第2経過時間Tsが経過した時刻t3の最後に基準電位VSHを越え、コンパレータ5の出力c3が「L」から「H」に反転する。その結果、第1レジスタ(T)6には、時刻t3にパラレルデータ「1111」が記憶され、レジスタ値比較回路8は、このレジスタ値が、第2レジスタ(T−1)7に記憶されたレジスタ値「1011」と異なることからカンウター11と第1レジスタ(T)6へトリガー信号を出力し、図2に示すように、RAM10に、時刻t3を表すカンウター値C(t3)と、第1レジスタ(T)6に記憶されたレジスタ値「1111」が関連づけて記憶される。
マイコン20は、基準時t0から充電時間Tcが経過した切り換え時tgに、各充放電スイッチ4を基準充電電圧Vdd側から接地電位GNDへ切り換え、放電時間Td中に各浮遊容量Csに蓄積された電荷を放電し、全ての検出電極3の電位を接地電位GNDとする。
切り換え時tgには、全ての検出電極3の電位が基準電位VSHを越えているので、第1レジスタ(T)6に記憶されるレジスタ値「1111」は、切り換え時tgまで変化せず、マイコン20は、切り換え時tgにRAM10に記憶されている各カンウター値C(t)とレジスタ値との組合せを読み出す。カンウター値C(t)は、充電を開始した基準時t0からの経過時間を表し、レジスタ値は、その直前の組合せのレジスタ値と比較してビットデータが変化したビットを示している。また、各レジスタ値のビットは、各検出電極3の浮遊容量Csに対応し、浮遊容量Csの大きさによって基準時t0からの経過時間が長くなるので、マイコン20は、RAM10に記憶された各組合せのデータから、検出電極3の浮遊容量Csの大きさを比較できる。
ここでは、図2に示すように、第4ビット(LSB)、第1ビット(MSB)と第3ビット、第2ビットの順に4ビットのビットデータが変化するので、浮遊容量Csは、Cs4、Cs1とCs3、Cs2の順に大きくなることが検出される。これにより、マイコン20は、浮遊容量Cs2が最大の検出電極32の配置位置に入力操作体が接近したものと判定でき、その検出電極32の配置位置を入力操作位置とする入力操作を検出する。
尚、入力操作位置の検出は、複数の検出電極3の浮遊容量Csの大きさを比較し、複数の浮遊容量Csを按分した比から得る複数の検出電極3の配置位置間の位置を、入力操作位置としてもよい。
また、マイコン20は、検出周期Tp毎に入力操作位置への入力操作を検出するが、RAM10に記憶される各組合せのデータを、複数の検出周期Tpnの間残し、各検出周期Tpnで検出した浮遊容量Csや入力操作位置の異常値を除いて、複数の入力操作位置の相関から入力操作位置を算出してもよい。
また、ビットデータが変化したビットとカンウター値C(t)との組合せから、そのビットに対応する容量−時間変換回路2の基準時t0から出力cが反転するまでの経過時間がわかるので、基準時t0からの経過時間が第2経過時間Ts以上である場合に、その容量−時間変換回路2の検出電極3が配置された位置から入力操作位置を検出できる。例えば、図4に示す基準時t0から時刻t3までの経過時間が第2経過時間Ts以上であることから、検出電極32の配置位置を入力操作位置として検出することもできる。
マイコン20は、このようにして検出した入力操作位置を、表示画面上のカーソル移動制御や電子機器の動作を制御する外部制御回路へ出力し、入力操作位置に応じた所定の処理を実行させる。
マイコン20は、放電時間Tdとその後の休止時間Trnの間に、上記入力操作位置と入力操作の検出処理を実行し、入力操作を検出した後、次の検出周期Tpnが開始される基準時t0前に、RAM10に記憶されているデータをクリアする。
マイコン20はノーマルモードで動作する間、ノーマルモード検出周期Tpnで入力操作位置の検出を繰り返す。ノーマルモードで入力操作があったことは、入力操作位置として検出した検出電極3と隣接する位置に配置された複数の検出電極3の浮遊容量Csが増大することや、基準時t0から第2経過時間Tsを経過した後に、全てのビットデータが変化することから検出でき、ノーマルモードで、例えば20秒間の一定期間、入力操作を検出しない場合には、スリープモードに移行し、上記スリープモードでの処理を繰り返す。
上記第1実施の形態では、各容量−時間変換回路2の検出抵抗R1、R2の抵抗値などの回路定数、コンパレータで比較する基準電位VSHの電位等を同一として、各容量−時間変換回路2について第1経過時間Tfがほぼ同一となるようにしたが、必ずしもこれらの回路定数、基準電位VSH等を同一としなくても、スリープモードで、一度の充電時間Tc若しくは放電時間Td内に入力操作を検出できる。
第2実施の形態にかかる静電容量式タッチパネルは、図1に示す各容量−時間変換回路2の検出抵抗R1、R2の抵抗値が互いに異なっているもので、その他の構成は第1実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。図6は、この第2実施の形態にかかる各容量−時間変換回路2の充放電スイッチ4を第1実施の形態と同じタイミングでスリープモード中に切り換え制御した際の各コンパレータ5から出力される出力c1、c2、c3、c4の波形を示した波形図である。
同図の左側に示す最初のスリープモード検出周期Tpsでは、入力操作が行われず、基準時t0を同期させ、同一の基準充電電圧Vddや基準電位VSHとしているにもかかわらず、検出抵抗R1、R2の抵抗値に応じて基準時t0からの第1経過時間Tfが異なるものとなっている。従って、この第2実施の形態では、第1実施の形態のように、共通する判定時tjでの各出力c1、c2、c3、c4の二値データから入力操作を判定することはできず、予め各容量−時間変換回路2毎に異なる判定時tjを定めておく。すなわち、各容量−時間変換回路2について、それぞれその検出電極3に入力操作が行われていない状態で、基準時t0からコンパレータ5の出力cが反転するまでの第1経過時間Tfと、検出電極3に接近する入力操作があった状態で、コンパレータ5の出力cが反転するまでの基準時t0からの第2経過時間Tsを予め検出しておき、各容量−時間変換回路2毎に第1経過時間Tfの経過後で第2経過時間Tsが経過するまでの判定時tjを設定しておく。
スリープモードで動作するマイコン20は、各スリープモード検出周期Tps毎に基準時t0後に入力ポートに入力される出力c1、c2、c3、c4の二値データが反転する各反転時を検出し、その出力c1、c2、c3、c4、すなわち容量−時間変換回路2毎に設定した上記判定時tjと比較する。その結果、いずれかの出力cについて、検出した反転時が判定時tjの後であった場合には、判定時tjに基準時t0での二値データが反転していないことを表すので、入力操作と判定する。一方、全ての出力cについて、検出した反転時が判定時tj前であった場合には、判定時tjに基準時t0での二値データが反転していることを表すので、入力操作が行われていないと判定する。
図6の右側に示す2番目のスリープモード検出周期Tpsでは、検出電極32に入力操作体を接近させる入力操作があった場合であり、検出電極32に接続する容量−時間変換回路2の出力c2の反転時が、その容量−時間変換回路2について設定した判定時tjの後であり、マイコン20は、検出電極32への入力操作があったものとして入力操作を検出する。
上記マイコン20での入力操作の検出は、スリープモードで休止させていた第1実施の形態に係る第1レジスタ(T)6、第2レジスタ(T−1)7、レジスタ値比較回路8、カウンタ11、RAM10を、少なくとも充電時間Tc中に動作させ、切り換え時tgにRAM10に記憶される各組合せのデータから検出してもよい。すなわち、ビットデータが変化したビットとそのビットデータが変化した時、すなわち二値データの反転時が、RAM10に記憶される各組合せのデータから得られるので、マイコン20は、いずれかのビットについて、ビットデータが変化した変化時が、そのビットに対応する容量−時間変換回路2について設定した判定時tjの後である場合に、入力操作があったものとして入力操作を検出できる。
このように入力操作位置を検出する為の回路素子を用いて入力操作を検出する場合には、第1実施の形態に比べて数msecの処理時間を要し、スリープモード検出周期Tpsでの休止期間Tpnが短縮されるが、できる限り短い周期の例えば数msecの周期で入力操作位置を検出することが望まれるノーマルモードでの場合と異なり、スリープモードでは、少なくとも一度の入力操作を行う間にその入力操作を検出すればよいので、スリープモード検出周期Tpsを上記の通り100msec程度の長い周期とすることができ、充分に長い休止期間Tpnをとることができる。
上記第2実施の形態では、容量−時間変換回路2毎に基準時t0からの第1経過時間Tfと、第2経過時間Tsが得られれば、その間の判定時tjも容量−時間変換回路2毎に設定できるので、充放電スイッチ4を切り換える切換端子側の電位や基準電位VSH等も容量−時間変換回路2毎に異なるものであってもよい。
上記各実施の形態では、レジスタ値比較回路8、第1レジスタ(T)6、第2レジスタ(T−1)7等の回路素子は、マイコン20に内蔵するものであってもよい。
また、上記各実施の形態で容量−時間変換回路2は、充電時間Tcに、検出電極3が基準電位VSHを越えるまでの経過時間で浮遊容量Csの変化を表したが、放電時間Tdに、各検出電極3について同一の電位としておいた検出電極3の電位が基準電位VSH未満となるまでの経過時間で浮遊容量Csの変化を表すこともできる。