JP2011042582A - 抗菌性モンモリロナイトおよびその製造方法 - Google Patents

抗菌性モンモリロナイトおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】抗菌剤の耐熱性を向上させ、そしてその表面疎水性を上昇させるとともに、細菌、黴、藻類、原生動物といった数多くの微生物に対し殺滅的な効果を有し、繊維、紙、フィルム、プラスチック、ゴムなどへの練り込みが可能であり、抗菌効果の持続性が高い抗菌剤とその製造方法を提供すること。
【解決手段】化学式Na2/3Si8(Al10/3Mg2/3)O20・(OH)4で表される層状構造を有するナトリウム型モンモリロナイトの層間に、化合物(1)をインターカレートさせたことを特徴とする抗菌性モンモリロナイト。
【選択図】なし

Description

本発明は工業用殺菌剤に関し、さらに詳しくは層状珪酸塩鉱物であるモンモリロナイトの層間に抗菌性、抗黴性有機系抗菌剤をインターカレートさせたことを特徴とし、徐放的に抗菌性、抗黴性有機化合物を溶出し、耐熱性および耐紫外線などの耐候性に優れ、高い表面疎水性を有する抗菌性モンモリロナイト(抗菌性組成物)に関する。
従来、抗菌性化合物としては、塩化ベンザルコニウムや塩化セチルピリジニウムなどの第四アンモニウム塩系、エタノールやイソプロパノールなどのアルコール系、ホルマリンやグリオキザールなどのアルデヒド系、石炭酸、クレゾールあるいはキシレノールなどのフェノール系、ソルビン酸や安息香酸などのカルボン酸系、クロルヘキシジンやn−ドデシルグアニジンアセテートなどのグアニジン系、その他多くが知られている。
しかしながら、上述した抗菌性化合物は、耐熱性に乏しく、蒸気圧も比較的高く、また、水やその他の溶媒への溶解度が高い。これらの理由で、上述した抗菌性化合物は、繊維、紙、フィルム、プラスチック、ゴムなどへの練り込みのような加熱を必要とする場合や、塗料やシーリング材などへの配合のような抗菌剤の有機溶媒中における高い分散性を必要とする場合や、開放空間や流水中において長期間にわたって抗菌効果を持続させようとする場合に使用するには不適当であった。
そこで、このような従来の問題点を解決するために、抗菌性化合物の耐熱性を高めるとともに、蒸気圧ならびに溶解度を低くすることにより、繊維、紙、フィルム、プラスチック、ゴムなどへの練り込みができ、有機溶媒中での分散性を向上させた、抗菌効果の持続性が高い抗菌剤とその製造方法が多く公開されている。
例えば、特許文献1では、結晶性層状リン酸塩の層間に脂肪族第一アミンを挿入し、脂肪族第一アミンの熱安定性を向上させ、疎水性を付与させた無機−有機複合体を開示し、脂肪族第一アミンの高温下での使用、またその疎水性に基づき、樹脂などでの高い分散性について言及している。特許文献2、3および4では、抗菌作用を有する第四アンモニウム塩もしくはチアゾール系化合物をトリポリリン酸アルミニウムなどの層状リン酸塩の層間に担持させることにより、層間化合物が、抗菌効果を有すること以外にも、熱安定性や溶媒に対する安定性などの利点があることを開示している。
しかしながら、特許文献3のトリポリリン酸アルミニウムに塩化ベンザルコニウムを挿入した複合化合物の熱安定性は優れているとはいえない。なぜなら、示差/熱重量変化の結果、塩化ベンザルコニウムの燃焼による重量減少開始温度は140℃から200℃へと上昇し、300℃でほぼ完全に塩化ベンザルコニウムが燃焼していると考えられが、その重量減少開始温度から、複合化合物の熱安定性は優れているとはいえず、プラスチックなどへの練り込みには適さない。従って、熱安定性を著しく向上させることのできる層状無機塩について検討が必要と考える。
他に、特許文献5では、層状構造を有する難溶性リン酸塩の層間に、抗菌作用を有する色素を担持させたことにより、耐熱性、耐溶剤性、耐候性などの安定性に優れ、しかも抗菌作用を備えた着色顔料を開示している。
また、層状珪酸塩に抗菌性有機化合物を担持させることにより層状珪酸塩化合物の分散性を高め、かつ抗菌性有機化合物の徐放的溶出能を付与した化合物も公開されている。例えば、特許文献6では、層状珪酸塩の層間にトリアゾール系防黴性有機化合物を担持させた防黴剤が開示され、特許文献7では、アルキルアンモニウムイオンで処理した、防藻、防黴性層状珪酸塩が開示されている。さらに、特許文献8では、無機酸化物表面にイソチアゾロン系化合物を吸着させることにより持続的な防腐性能を付与した複合体の抗菌組成物について言及している。特許文献9では、抗菌性および防カビ性に優れ、かつ耐熱性、耐紫外線性などの耐侯性にも優れた、イソチアゾール系化合物および/またはイミダゾール系化合物を層状珪酸塩の層間に担持させた化合物が開示されている。
特開平5−32406号公報 特開平5−124806号公報 特開平5−186208号公報 特開平5−213609号公報 特開平6−157014号公報 特開平10−176124号公報 特開2003−342527号公報 特開2007−332111号公報 特開2004−155967号公報
このように、有機系抗菌剤に徐放性を付与する目的で様々な結晶性無機塩に挿入もしくは吸着させてなる徐放性抗菌剤が開発されてきたが、前記の特許文献において徐放性抗菌剤に応用される有機系抗菌剤に問題がある。具体的には、塩化ベンザルコニウムに代表される第四アンモニウム塩や4−メチル−5−クロロイソチアゾリン−3−オンなどのイソチアゾロン系化合物は、細菌に対する抗菌性に優れているが、黴に対してそれは劣る。
一方で、α−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル−エタノールなどのトリアゾール系化合物、そして2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾールなどのイミダゾール系化合物は抗黴性に優れているが、細菌に対する抗菌性は劣っている。従って、上述した徐放性抗菌剤は、その抗菌剤を使用する環境の微生物相に制限されるという欠点があり、数多くの微生物に対し有効な抗菌性を発揮させるためには、上述した化合物を大量に使用する、もしくは化合物を併用するといった使用規則を伴う。
このような問題点を解決するため、特許文献9では、イソチアゾール系化合物とイミダゾール系化合物を併用した層状珪酸塩を抗菌組成物として用いている。しかしながら、その抗菌スペクトルおよびその抗菌力には十分な改良の余地がある。
以上のように、現在までに発明された層状無機塩に担持させる有機系抗菌剤の抗菌性は十分に優れているとはいえず、層間導入させる有機系抗菌剤についてもさらなる検討が必要と考える。
上述したように、抗菌性、防黴性、防藻性に優れた有機系抗菌剤を層状無機塩の層間に導入することにより、耐熱、耐紫外線性などの耐候性および耐変色性に優れ、そして徐放性を有する抗菌組成物が開発されているが、その抗菌性、防黴性、防藻性、徐放性、耐候性に関してはさらなる改良が望まれている。
そこで本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、抗菌剤の耐熱性を向上させ、そしてその表面疎水性を上昇させるとともに、細菌、黴、藻類、原生動物といった数多くの微生物に対し殺滅的な効果を有し、繊維、紙、フィルム、プラスチック、ゴムなどへの練り込みが可能であり、抗菌効果の持続性が高い工業用抗菌剤とその製造方法を提供することを目的としてなされたものである。
上記目的達成のため本発明者らは鋭意研究の結果、特開2006−1889号公報、特開2006−22031号公報、特開2006−21105号公報及び特開2006−22069号公報で言及しているように、抗菌性、抗黴性、防藻性に優れ、さらに原生動物、原虫に対しても優れた活性を有している下記式で表される抗菌性、抗黴性化合物(1)(商品名:ハイジェニア(登録商標)、タマ化学製)を層間導入させる有機系抗菌剤として応用できるのであれば、数多くの微生物に対し抗菌性を示し、徐放的に該有機系抗菌剤を溶出する特性を有し、長期間にわたり下記化合物(1)が持つ優れた抗菌性能を発揮することのできる抗菌組成物となり得ると考えた。
Figure 2011042582
上記化合物(1)を層間導入させる層状珪酸塩としては、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイトなどのスメクタイト族、バームキュウライト族、イライト、白雲母、金雲母、黒雲母などの雲母族、マーガライト、クリントナイトなどの脆雲母族、スドーアイトなどの緑泥石族、カオリナイト、ハロイサイトなどのカオリン類、アンチゴライトなどの蛇紋石族などがある。そこで本発明者らは、上記化合物(1)を最も効率良く層間導入できる層状珪酸塩を鋭意研究の末、スクリーニングした結果、一般式(Al2-yMgy)Si410(OH)2・(M+,M1/2 2+y・nH2O(式中のMは、交換性陽イオンNa、K、Ca、Mg、Hなど、nは層間水の量を示す)で表されるモンモリロナイトの内、化学式Na2/3Si8(Al10/3Mg2/3)O20・(OH)4で表されるナトリウム型モンモリロナイトが、陽イオン交換体、そして上記化合物(1)の支持担体として最も優れていることを見出した。
すなわち、本発明は、化学式Na2/3Si8(Al10/3Mg2/3)O20・(OH)4で表される優れた陽イオン交換能を有するナトリウム型モンモリロナイトのイオン交換可能なイオンの一部または全部を前記化合物(1)と置換させ、前記化合物(1)の一部または全部をインターカレートさせることにより、前記化合物(1)を担持させた抗菌性モンモリロナイトが得られることを見出した発明であり、これまでに本発明の組み合わせにより製造された抗菌剤の開示はされていない。また、本発明の抗菌性モンモリロナイトは、抗菌効果を有するだけでなく、高い熱安定性や、高い表面疎水性を備えていることを特徴とする。
さらに第2の本発明は、上記の抗菌性モンモリロナイトの製造方法に関するものであり、化学式Na2/3Si8(Al10/3Mg2/3)O20・(OH)4で表されるナトリウム型モンモリロナイトを、前記化合物(1)を含む水性溶液に接触させた後、固液分離し、乾燥させることを特徴とするものであり、本発明の製造方法によれば、目的の抗菌性モンモリロナイトを簡易な方法で大量に製造することができる。
本発明の抗菌性モンモリロナイトの製造に当たっては、第四アンモニウム塩である前記化合物(1)を含む水性溶液に、化学式Na2/3Si8(Al10/3Mg2/3)O20・(OH)4で表されるナトリウム型モンモリロナイトを接触させてイオン交換を行なう。イオン交換により第四アンモニウム塩である前記化合物(1)が、ナトリウム型モンモリロナイトの層間にインターカレートされ担持される反応は、次式(1)のように考えられる。ただし、次式(1)に限らない。
3n[Na2/3Si8(Al10/3Mg2/3)O20・(OH)4]+n[QAC]2+・2nBr-
[QAC]n・[Si8(Al10/3Mg2/3)O20・(OH)43n+2nNaBr・・・(1)
ここで[QAC]2+は、前記化合物(1)から2Br-を除いた化合物を示す。上記(1)式のように、ナトリウム型モンモリロナイト内の負電荷を補償するために取り込まれているナトリウムイオンが、第四アンモニウム塩である前記化合物(1)とイオン交換し、一部または全部の[QAC]2+はインターカレートされ、モンモリロナイト内に担持される。
このように本発明の抗菌性モンモリロナイトは、モンモリロナイトの陽イオン交換の性質を利用したものであり、抗菌性化合物である前記化合物(1)をイオン交換後、層間に導入させることによって、モンモリロナイトに抗菌性を付与したものである。
本発明によれば、抗菌剤の耐熱性を向上させ、そしてその表面疎水性を上昇させるとともに、細菌、黴、藻類、原生動物といった数多くの微生物に対し殺滅的な効果を有し、繊維、紙、フィルム、プラスチック、ゴムなどへの練り込みが可能であり、抗菌効果の持続性が高い抗菌剤とその製造方法を提供することができる。
実施例1の抗菌性モンモリロナイトと、乾燥させた未処理のモンモリロナイト(未処理)の粉末X線回折パターンを示す図。 実施例1の抗菌性モンモリロナイトのDTA−TG曲線を示す図。 化合物(1)のDTA−TG曲線を示す図。 未処理のモンモリロナイトのDTA−TG曲線を示す図。
本発明の抗菌性モンモリロナイトは、モンモリロナイトの層間に前記化合物(1)を担持させたものである。担体として用いるモンモリロナイトとしては、金属陽イオン型のモンモリロナイト、化学式Na2/3Si8(Al10/3Mg2/3)O20・(OH)4で表されるナトリウム型モンモリロナイトであることが特に好ましい。モンモリロナイトのカチオン交換能は、通常0.5〜3meq/g程度であり、カチオン交換能が0.1meq/g以上であることが好ましい。例えば、本発明で使用したナトリウム型モンモリロナイトの理論的陽イオン交換能は、100g当たり115ミリグラム当量である。モンモリロナイトの平均粒径は、15μm以下の粉末が好ましく、より好ましくは平均粒径0.1〜7μmの粉末であり、さらに粒度分布が狭く、均一な粒径であることがよい。
本発明の抗菌性モンモリロナイトは、Na2/3Si8(Al10/3Mg2/3)O20・(OH)4で表されるナトリウム型モンモリロナイトと前記化合物(1)とを含水溶媒中で接触させた後、固液分離し、乾燥させることにより得られる。
上記ナトリウム型モンモリロナイトと前記化合物(1)の接触は、含水溶媒中でナトリウム型モンモリロナイトと前記化合物(1)とを混合撹拌させればよい。含水溶媒に用いる有機溶媒は、水と任意混合可能であればよく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノールなどの低級アルコール類と水の混合溶媒、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール系溶媒と水の混合溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒と水の混合溶媒、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどの極性溶媒と水の混合溶媒などが挙げられる。しかし、ナトリウム型モンモリロナイトに最も効率良く前記化合物(1)を層間導入させるためには水が最適である。
ナトリウム型モンモリロナイトと前記化合物(1)との接触方法は、上述含水溶媒中でナトリウム型モンモリロナイトと前記化合物(1)とを撹拌子または電動式撹拌棒を用い、均一条件下で行えばよいが、前記化合物(1)の層間導入効率、反応後の抗菌性モンモリロナイトの取り出し工程を考慮すると、前記化合物(1)を含む含水溶媒中に、撹拌条件の下、ナトリウム型モンモリロナイトをゆっくりと継続して少量ずつ加えるのが好適である。例えば、実施例1に記載のように、ナトリウム型モンモリロナイト100gを加える場合、1時間以上かけて前記化合物(1)に添加するのが好ましい。撹拌温度は、含水溶媒の沸点以下であれば特に制限はないが、室温から80℃であることが好ましい。
こうして第四アンモニウム塩である前記化合物(1)を、モンモリロナイトに層間導入させた後、固相を分離し、洗浄し、余剰の第四アンモニウム塩である前記化合物(1)を除去した後、乾燥することにより、ナトリウム型モンモリロナイトのイオン交換可能なイオンの一部または全部を前記化合物(1)と置換させ、前記化合物(1)の一部または全部を層間にインターカレートさせてなるモンモリロナイト、すなわち本発明の抗菌性モンモリロナイトを効率良く、簡易的かつ大量に製造することができる。
なお、本発明においては、ナトリウム型モンモリロナイト100gあたり、前記化合物(1)を1〜45g担持させることが好ましく、前記化合物(1)の担持量が1g未満であると有効な徐放的殺菌能が得られず、前記化合物(1)の担持量が45gを超えるとモンモリロナイト表層への前記化合物(1)のイオン的吸着が著しくなり、本発明の抗菌性有機化合物を層間導入した徐放特性を有した抗菌性モンモリロナイトから逸脱してしまう。
また、本発明において、「前記化合物(1)の一部または全部を層間にインターカレートさせる」とは、化合物(1)の2個のカチオンの内の1個または2個のカチオンをインターカレートさせるという意味である。
ナトリウム型モンモリロナイトの層間に、前記化合物(1)を担持させた抗菌性、防黴性、防藻性を有する本発明の抗菌性モンモリロナイトは、本発明を特徴づける重要な構成要素であり、徐放的に前記化合物(1)を溶出し、抗菌、防黴、防腐、防藻効果の持続性を有する。また、前記化合物(1)をモンモリロナイトに担持させたことにより、前記化合物(1)の耐熱性、耐紫外線性、耐変色性が向上する。また、前記化合物(1)の担持により、抗菌性モンモリロナイトの表面疎水性は上昇し、有機溶媒中での分散性に優れる。
本発明に用いる前記化合物(1)は、抗菌性、抗黴性、防藻性に優れ、さらに原生動物、原虫に対しても優れた活性を有しているため、該抗菌性、抗黴性有機化合物をモンモリロナイトの層間に保持させた本発明の抗菌性モンモリロナイトは、数多くの微生物に対し有効な抗菌性を示し、また、徐放的に抗菌性化合物を溶出する特性を持つことから、長期間にわたり優れた抗菌性能を発揮することのできる抗菌組成物となり得る。
そして、モンモリロナイトに担持させたことにより、前記化合物(1)の熱安定性は著しく向上し、耐紫外線なども含めた耐候性および耐変色性に優れた抗菌性モンモリロナイトが得られ、繊維、紙、フィルム、プラスチック、ゴムなどに配合することが可能と考えられる。
また、前記化合物(1)のモンモリロナイトへの担持により、該有機化合物の疎水性に起因し、抗菌性モンモリロナイトの撥水性が高まるため、有機溶媒中での分散性に優れ、抗菌性塗料、抗菌性シーリング材としての応用が期待でき、その撥水性は、雨水や湿気などを受ける屋内外の環境、および海水中において使用される抗菌性塗料、抗菌性シーリング材にとって好都合である。また、本発明の製造方法によれば、目的の抗菌性組成物を簡易な方法で大量に製造することができる。
次に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
実施例1[前記化合物(1)(商品名:ハイジェニア(登録商標)、タマ化学製)のモンモリロナイトへの担持(抗菌性モンモリロナイトの製造)]
30gの前記化合物(1)を蒸留水2Lに溶解し、この溶液に、十分に真空乾燥したナトリウム型モンモリロナイト(化学式Na2/3Si8(Al10/3Mg2/3)O20・(OH)4、クニピア−F、クニミネ工業株式会社製)100gを1時間要し、少量ずつ加え、70℃に加熱しながら24時間撹拌した。撹拌した溶液を濾過後、蒸留水2Lで洗浄し合成物を得た。これを60℃にて真空下で十分乾燥させた。乾燥後、乳鉢で粉砕を行い、本発明の抗菌性モンモリロナイトを120g得た。
実施例2[元素分析]
実施例1の抗菌性モンモリロナイトに担持している前記化合物(1)を定量するため、実施例1の抗菌性モンモリロナイトと乾燥させた未処理のモンモリロナイト(化学式Na2/3Si8(Al10/3Mg2/3)O20・(OH)4)、それぞれ20mgについて元素分析(MT−5、柳本)を行い、炭素、水素、および窒素量の定量を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2011042582
元素分析の結果の炭素量(表1)より、抗菌性モンモリロナイト100g当たり、16.2gの[QAC]2+([QAC]2+は、前記化合物(1)から2Br-を除いた化合物を表す。)が担持され、前記化合物(1)として20.9gが層間に担持されていることが分かった。また、本実施例のモンモリロナイトの理論的陽イオン交換能は、100g当たり115ミリグラム当量であることから、イオン交換可能なナトリウムイオンのうち50.8%が[QAC]2+で置換されていることが分かった。
実施例3
実施例1の抗菌性モンモリロナイトに前記化合物(1)が担持されていることを確認するため、粉末X線回折法による実施例1の抗菌性モンモリロナイトの層間距離の測定を行った。実施例1の抗菌性モンモリロナイトと乾燥させた未処理のモンモリロナイトを各々1g秤取り、セルロース2gと混合し、乳鉢で十分に練った。これをペレット状に成型し、エックス線結晶回折(リガクRIX−300)を行った。
図1に実施例1の抗菌性モンモリロナイトと乾燥させた未処理のモンモリロナイト(未処理)の粉末X線回折パターンを示す。担持の事実は、抗菌性モンモリロナイトの層間距離を示すピーク位置が小さい方へ変化すること、すなわち、層間距離が広がることにより確認できる。図1より、未処理モンモリロナイトの層間距離を示すピーク位置は2θ=6.5°であるが、前記化合物(1)を担持することにより、層間距離を示すピーク位置が2θ=4.6°へ小さい方へ移動した。従って、粉末X線回折パターンより、抗菌性モンモリロナイトは前記化合物(1)を担持していることが確認された。
実施例4[抗菌性モンモリロナイトの微分熱重量分析と示差熱分析]
実施例1の抗菌性モンモリロナイトの熱安定性を確認するために微分熱重量分析と示差熱分析(DTA−TG)を行なった。実施例1の抗菌性モンモリロナイト約10mgを白金パンに秤取り、対照は酸化アルミニウム約10mgとし、DTG−60(島津製作所)を使用し、昇温速度5℃/min、40〜500℃間で測定を行った。
図2(a)に、実施例1の抗菌性モンモリロナイト、図2(b)に前記化合物(1)、図2(c)に未処理のモンモリロナイトのDTA−TG曲線を各々示す。図2(a)の実施例1の抗菌性モンモリロナイトのDTA−TG曲線より、重量減少を伴う294℃における発熱ピークおよび363℃における発熱ピークが観察され、約270℃から約390℃にかけて化合物(1)の燃焼に伴う約4%の重量減少が確認された。一方、図2(b)の化合物(1)のDTA−TG曲線より、重量減少を伴う233℃における吸熱ピークおよび270℃における発熱ピークが観察され、約170℃から約390℃にかけて78%の重量減少が確認された。
図2(c)の未処理のモンモリロナイトのDTA−TG曲線より、約250℃に至るまでに結晶水の離脱による重量減少が観察された。以上の結果より、実施例1の抗菌性モンモリロナイトの重量減少開始温度は、化合物(1)のその温度より約100℃上昇(170℃から270℃へと上昇)していることが分かり、抗菌性モンモリロナイトの層間に担持させた化合物(1)の熱安定性は向上し、すなわち抗菌性モンモリロナイトは、耐熱性に優れていることが証明された。
実施例5[抗菌性モンモリロナイトの徐放性試験と抗菌性試験]
実施例1の抗菌性モンモリロナイトの徐放性とその抗菌性能を、溶出溶媒として3%NaClおよびイオン交換水を用い評価した。
実施例1の抗菌性モンモリロナイト50mgに対して5mlの3%NaCl水溶液、またはイオン交換水を加え、25℃で1時間撹拌した(本実施例では溶出速度を高めるため撹拌接触とした)。1時間後、懸濁液を遠心(8900G×2min)し、上澄みと3%NaCl水溶液またはイオン交換水処理済み抗菌性モンモリロナイトの沈殿を得た。上澄みについて、前記化合物(1)の最大吸収波長(265nm)で吸光度測定を行うことにより、抗菌性モンモリロナイトからの前記化合物(1)の溶出量を決定した。この操作を5回繰り返し、徐放性を検討した。
表2、3より、実施例1の抗菌性モンモリロナイトを各種溶媒で洗浄することにより、その上澄みに化合物(1)が溶出することが分かった。また、その溶出は徐放的に起こり、実施例1の抗菌性モンモリロナイトは、徐放性機能を有していることが証明された。
Figure 2011042582
Figure 2011042582
実施例6[抗菌性モンモリロナイトの抗菌性試験]
実施例5より得られた上澄みを、無菌水で2倍段階希釈した希釈溶液と、無菌水で1×106cells/mlに調製した菌液を等量混合し、30℃、30分振盪接触させた。30分後、その混合液0.1mlを試験管3本に分注した2mlのニュートリエント培地(Difco)に接種した。37℃で24時間培養後、増殖の有無を目視で判定し、殺菌力を示す希釈倍率(最大希釈倍率256倍)を決定した。供試菌は、Staphylococcus aureus NBRC 12732(S.aureus)およびEscherichia coli NBRC 12713(E.coli)を用いた。
表4、5より、実施例5より得た溶出回数1回から5回分の上澄みは、4倍希釈から256倍希釈、または256倍希釈以上の希釈倍率において殺菌性を有することが分かった。従って、実施例1の抗菌性モンモリロナイトは、3%食塩水およびイオン交換水中で徐放的に殺菌成分である前記化合物(1)を溶出し、その殺菌成分は微生物に対し殺菌的に働くことが証明された。
Figure 2011042582
Figure 2011042582
実施例7[抗菌性モンモリロナイトの疎水性試験]
実施例1の抗菌性モンモリロナイトについて疎水性試験を行った。
10mlの試験管に疎水性溶媒および水をそれぞれ1mlずつ入れ、その中に実施例1の抗菌性モンモリロナイトを2mg加え、激しくボルテックスミキサーで撹拌した。撹拌後、室温下で5分間静置して、その状態を観察し、どちらの相に実施例1の抗菌性モンモリロナイトが存在するかで親水性、疎水性を判断した。溶媒はクロロホルム、ヘキサン、酢酸エチルを使用した。比較のため、未処理のモンモリロナイトについても同様の試験を行った。その結果を表6に示す。
Figure 2011042582
表6中の「W」および「O」の記号はそれぞれ下記の意味を有する。
W:親水性
O:疎水性
本発明の抗菌性モンモリロナイトは、従来の一過性の有機系抗菌剤と比較して、徐放的に殺菌成分を遊離し、長期間にわたり抗菌性を発揮する特徴を有する。さらに、抗菌性化合物をモンモリロナイトの層間に担持したことにより熱耐性が著しく向上し、表面疎水性が高くなることも特徴である。
これら特性によって本発明の抗菌組成物は、繊維、紙、フィルム、プラスチック、ゴム、塗料、シーリング材などに配合することにより、これら加工品、製剤に抗菌性能を付与することが可能であるため、抗菌、防黴、防腐、防藻効果を目的とした抗菌組成物として応用範囲の非常に広い抗菌剤であると期待できる。

Claims (4)

  1. 化学式Na2/3Si8(Al10/3Mg2/3)O20・(OH)4で表される層状構造を有するナトリウム型モンモリロナイトの層間に、下記化合物(1)をインターカレートさせたことを特徴とする抗菌性モンモリロナイト。
    Figure 2011042582
  2. 前記ナトリウム型モンモリロナイトのイオン交換可能なイオンの一部または全部を、前記化合物(1)と置換させ、前記化合物(1)の一部または全部を層間にインターカレートさせてなる請求項1に記載の抗菌性モンモリロナイト。
  3. Na2/3Si8(Al10/3Mg2/3)O20・(OH)4で表されるナトリウム型モンモリロナイトと下記化合物(1)とを含水溶媒中で接触させた後、固液分離し、乾燥させることを特徴とする請求項1に記載の抗菌性モンモリロナイトの製造方法。
    Figure 2011042582
  4. 含水溶媒が、水である請求項3に記載の抗菌性モンモリロナイトの製造方法。
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JP2016160192A (ja) * 2015-02-27 2016-09-05 国立大学法人北海道大学 歯科用組成物の抗菌活性回復方法

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