JP2011038879A - 植物の葉のクロロフィル濃度測定装置及び測定方法 - Google Patents

植物の葉のクロロフィル濃度測定装置及び測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】非破壊的に植物の葉のクロロフィル濃度を測定するクロロフィル濃度測定装置を提供する。
【解決手段】クロロフィル濃度測定装置10は、光源301、レンズ302、反射板303、分光器313、受光素子306、制御部308等から構成される。制御部308は、植物の葉からの3種類の波長の応答光の強度指数v1、v2及びv3を用いて、(v1−v2)/v3によりクロロフィル指数を算出する指数演算部308a、算出したクロロフィル指数を用いて、濃度演算式により、クロロフィルの推定濃度を算出する濃度演算部308bを含む。算出した推定濃度が前記対象物のクロロフィル濃度として表示部309により表示される。
【選択図】図31

Description

本発明は、植物の葉のクロロフィル濃度を測定する技術に関する。
葉内クロロフィル濃度は、植物の生理学的状態を示すので、葉内クロロフィルの定量は、活力評価の鍵となる手法である。高等植物において、クロロフィルaとb(以降、Chl aおよびChl bと表す。)は、葉が吸収する日射量を主にコントロールしており、それゆえに、植物個体内のクロロフィル濃度分布は、植物の光合成能力や一次生産をコントロールする。クロロフィルはまた、植物の栄養状態、特に窒素の状態を反映しており、さまざまなストレス下で減少する 。
従来、クロロフィル濃度は、クロロフィルを有機溶媒により抽出し、分光光度計で測定することによって、定量されてきた。しかしながら、この方法は、破壊的であり時間を要するという不利な点を持っている。より最近では、葉の分光特性に基づく新しい代替手法が開発され、非破壊的に、迅速に、そして野外においてクロロフィル濃度を定量することを可能にしている。
SPAD-502葉緑素計(コニカミノルタ社、日本。以下、SPAD葉緑素計と呼ぶ。)は、葉内クロロフィル濃度のレベルを、それゆえに植物の窒素の状態を、非破壊的に測定するためのもっとも普及している器械である。SPAD葉緑素計は多くの科学研究において有効に使われているが、いくつかの限界も知られている。例えば、クロロフィル濃度とSPAD葉緑素計による測定値であるSPAD値の間の相関はいくつかの種でより弱いこと (Uddlingら, 2007。別掲の参考文献を参照。以下同様。)、ブドウの葉においては300 mg/m2を超えるクロロフィルのレベルで器械の正確さが著しく低減すること (Steeleら, 2008)などである。
ハイパースペクトル・データの取得方法の開発にともない、葉内色素濃度の定量のための植生スペクトルの分析手法の開発の研究がますます増えている (Blackburn, 2007)。
葉内色素の情報を抽出するために、植生反射スペクトルに影響を与える他の要因も考慮に入れなければならない (Blackburn, 2007)。葉の反射は、葉内色素濃度とは無関係に、例えば、毛やワックスといった葉の表面の特徴や、葉の厚さの違いの影響を受ける (Sims and Gamon, 2002; Levizouら, 2005)。
Richardsonら (2002)は、放射の吸収量を直接に測定することによってクロロフィル濃度を推定する測定器は、反射を測定する器械よりもよい精度で推定することが可能であるとの仮説を立てることができると述べた。しかしながら、その研究では、吸収スペクトルの性能は評価されておらず、透過型の器械と考えられる2つのハンディ葉緑素計CCM-200(Opti-Sciences社、アメリカ合衆国)とSPAD-502が評価されているだけである。
特開昭60−93946号公報 特開平01−040809号公報 特開2002−168771号公報 特開2006−317195号公報 特開昭62−282244号公報 特開昭62−282243号公報
le Maire G, Francois C, Dufrene E (2004) Towards universal broad leaf chlorophyll indices using PROSPECT simulated database and hyperspectral reflectance measurements. Remote Sens Environ 89: 1-28.
葉のクロロフィル濃度を推定する指数は、数多く提案されているが(例えば、非特許文献1)、それらの多くは植物全般に適用することを目指した指数である。しかし、植物全般に適用を目指した指数は、種により葉の表面や内部構造が異なるため、高い精度での推定は難しいという課題がある。
また、一般的には、小型のSPAD葉緑素計により、非破壊的にかつ簡便に、クロロフィル濃度の多少が数値化されるが、SPAD葉緑素計は、イネの葉を用いて開発されたため、使用される波長帯(バンド)がイネ以外の植物には最適ではない。そのため、推定の精度は劣る。また、SPAD値という独自の単位により表示されるため、クロロフィル濃度の絶対値はわからない。
さらに、これまでクロロフィル濃度の推定のための指数は、2バンドを用いるものが主流であったが、3バンドを利用する指数も提案され始めている。しかし、3バンド目は、葉の表面や内部構造のサンプル間の差異を取り除くために、1バンド目や2バンド目の反射率から3バンド目の反射率を差し引くという形においてのみ用いられている。なお、この操作において、葉の表面や内部構造の差異はスペクトル全体に加算的に影響を与え、また3バンド目はクロロフィル濃度の影響を受けず一定であると仮定されているが、このような仮定が常に妥当であるかは不確かである。
上述したように、植物の活力評価を行う上で、葉内のクロロフィルの定量は、鍵となる手法であるので、分光学的方法により野外で非破壊的に定量する研究が多くなされているが、決め手に欠けるという問題がある。
上記の問題を解決するために、本発明は、特定の種の植物について、その葉の分光特性に基づき、非破壊的にクロロフィル濃度を測定することを可能にするクロロフィル濃度測定装置及び測定方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、植物の葉のクロロフィル濃度を測定するクロロフィル濃度測定装置であって、測定の対象物に光を照射する照射手段と、前記対象物からの3種類の波長の応答光を受ける受光手段と、各応答光の強度指数v1、v2及びv3を用いて、(v1−v2)/v3によりクロロフィル指数を算出する指数算出手段と、算出したクロロフィル指数を用いて、濃度演算式により、クロロフィルの推定濃度を算出する濃度算出手段と、算出した推定濃度を、前記対象物のクロロフィル濃度として出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
この構成によると、特定の植物の葉のクロロフィル濃度を精度高く測定することができる。
以下に、ヤマザクラとソメイヨシノを対象の植物とした場合を例に用いて説明する。
ここで、前記クロロフィル濃度測定装置は、ヤマザクラの葉のクロロフィルbの濃度を測定し、前記対象物は、ヤマザクラの葉であり、前記受光手段は、前記応答光として、波長455nm、745nm及び590nmそれぞれを含む帯域において、背面に黒色反射板を配した前記対象物表面からの反射光を受け、前記指数算出手段は、それぞれの帯域において、前記強度指数v1、v2及びv3として、前記反射光の強度の一階微分値fR1、fR2及びfR3を算出し、前記クロロフィル指数x=(fR1−fR2)/fR3を算出し、前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式22.6+20.3x−0.996x2 により、前記推定濃度を算出してもよい。
ここで、前記クロロフィル濃度測定装置は、ヤマザクラの葉のクロロフィルbの濃度を測定し、前記対象物は、ヤマザクラの葉であり、前記受光手段は、前記応答光として、波長950nm、400nm及び725nmにおいて、背面に黒色反射板を配した前記対象物表面からの反射光を受け、前記指数算出手段は、それぞれの帯域において、前記強度指数v1、v2及びv3として、前記反射光の強度R1、R2及びR3を用いて、前記クロロフィル指数x=(R1−R2)/R3を算出し、前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式−235.4+256.7xにより、前記推定濃度を算出してもよい。
ここで、前記クロロフィル濃度測定装置は、ヤマザクラの葉のクロロフィルa及びクロロフィルbを合わせた濃度を測定し、前記対象物は、ヤマザクラの葉であり、前記受光手段は、波長760nm、770nm及び710nmそれぞれを含む帯域において、前記応答光を受け、前記指数算出手段は、それぞれの帯域において、透過光の前記強度指数v1、v2及びv3として、前記応答光に基づく強度の一階微分値fT1、fT2及びfT3を算出し、前記クロロフィル指数x=(fT1−fT2)/fT3を算出し、前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式55.1+4640.3x−11670.3x2 により、前記推定濃度を算出してもよい。
ここで、前記クロロフィル濃度測定装置は、ヤマザクラの葉のクロロフィルbの濃度を測定し、前記対象物は、ヤマザクラの葉であり、前記受光手段は、波長970nm、725nm及び740nmそれぞれを含む帯域において、前記応答光を受け、前記指数算出手段は、それぞれの帯域において、透過光の前記強度指数v1、v2及びv3として、前記応答光に基づく強度の一階微分値fT1、fT2及びfT3を算出し、前記クロロフィル指数x=(fT1−fT2)/fT3を算出し、前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式577.7e1.11x により、前記推定濃度を算出してもよい。
ここで、前記クロロフィル濃度測定装置は、ソメイヨシノの葉のクロロフィルa及びクロロフィルbを合わせた濃度を測定し、前記対象物は、ソメイヨシノの葉であり、前記受光手段は、前記応答光として、波長555nm、755nm及び560nmそれぞれを含む帯域において、背面に黒色反射板を配した前記対象物表面からの反射光を受け、前記指数算出手段は、それぞれの帯域において、前記強度指数v1、v2及びv3として、前記反射光の強度の一階微分値fR1、fR2及びfR3を算出し、前記クロロフィル指数x=(fR1−fR2)/fR3を算出し、前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式138.5+325.1x−35.0x2 により、前記推定濃度を算出してもよい。
ここで、前記クロロフィル濃度測定装置は、ソメイヨシノの葉のクロロフィルaの濃度を測定し、前記対象物は、ソメイヨシノの葉であり、前記受光手段は、前記応答光として、波長555nm、755nm及び565nmそれぞれを含む帯域において、背面に黒色反射板を配した前記対象物表面からの反射光を受け、前記指数算出手段は、それぞれの帯域において、前記強度指数v1、v2及びv3として、前記反射光の強度の一階微分値fR1、fR2及びfR3を算出し、前記クロロフィル指数x=(fR1−fR2)/fR3を算出し、前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式116.4+386.5x−77.0x2 により、前記推定濃度を算出してもよい。
前記クロロフィル濃度測定装置は、ソメイヨシノの葉のクロロフィルbの濃度を測定し、前記対象物は、ソメイヨシノの葉であり、前記受光手段は、前記応答光として、波長570nm、585nm及び720nmそれぞれを含む帯域において、背面に黒色反射板を配した前記対象物表面からの反射光を受け、前記指数算出手段は、それぞれの帯域において、前記強度指数v1、v2及びv3として、前記反射光の強度の一階微分値fR1、fR2及びfR3を算出し、前記クロロフィル指数x=(fR1−fR2)/fR3を算出し、
前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式370.5e15.7x により、前記推定濃度を算出してもよい。
ここで、前記クロロフィル濃度測定装置は、ソメイヨシノの葉のクロロフィルa及びクロロフィルbを合わせた濃度を測定し、前記対象物は、ソメイヨシノの葉であり、前記受光手段は、前記応答光として、波長710nm、700nm及び540nmにおいて、背面に黒色反射板を配した前記対象物表面からの第1反射光を受け、背面に白色反射板を配した前記対象物表面からの第2反射光を受け、前記指数算出手段は、波長710nm、700nm及び540nmにおける第1反射光の強度R1、R2、R3、第2反射光と第1反射光との差分により求めた透過光の強度T1、T2、T3により、前記強度指数v1、v2、v3として、吸収光の強度A1=1−R1−T1、A2=1−R2−T2及びA3=1−R3−T3を算出し、前記クロロフィル指数x=(A1−A2)/A3を算出し、前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式1516.8e8.20x により、前記推定濃度を算出してもよい。
ここで、前記クロロフィル濃度測定装置は、ソメイヨシノの葉のクロロフィルaの濃度を測定し、前記対象物は、ソメイヨシノの葉であり、前記受光手段は、前記応答光として、波長710nm、700nm及び560nmにおいて、背面に黒色反射板を配した前記対象物表面からの第1反射光を受け、背面に白色反射板を配した前記対象物表面からの第2反射光を受け、前記指数算出手段は、波長710nm、700nm及び560nmにおける第1反射光の強度R1、R2、R3、第2反射光と第1反射光との差分により求めた透過光の強度T1、T2、T3により、前記強度指数v1、v2、v3として、吸収光の強度A1=1−R1−T1、A2=1−R2−T2及びA3=1−R3−T3を算出し、前記クロロフィル指数x=(A1−A2)/A3を算出し、前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式1146.0e7.94x により、前記推定濃度を算出してもよい。
ここで、前記クロロフィル濃度測定装置は、ソメイヨシノの葉のクロロフィルbの濃度を測定し、前記対象物は、ソメイヨシノの葉であり、前記受光手段は、前記応答光として、波長765nm、520nm及び825nmそれぞれを含む帯域において、背面に黒色反射板を配した前記対象物表面からの第1反射光を受け、背面に白色反射板を配した前記対象物表面からの第2反射光を受け、前記指数算出手段は、それぞれの帯域において、第1反射光の強度R1、R2、R3、第2反射光と第1反射光との差分により求めた透過光の強度T1、T2、T3により、前記強度指数v1、v2、v3として、吸収光の強度A1=1−R1−T1、A2=1−R2−T2及びA3=1−R3−T3を算出し、それぞれの帯域において、前記強度指数として、前記吸収光の強度の一階微分値fA1、fA2及びfA3を算出し、前記クロロフィル指数x=(fA1−fA2)/fA3を算出し、前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式149.3+9.72x+0.250x2 により、前記推定濃度を算出してもよい。
ここで、前記クロロフィル濃度測定装置は、ソメイヨシノの葉のクロロフィルa及びクロロフィルbを合わせた濃度を測定し、前記対象物は、ソメイヨシノの葉であり、前記受光手段は、前記応答光として、波長845nm、720nm及び725nmのそれぞれを含む帯域において、前記対象物からの透過光を受け、前記指数算出手段は、それぞれの帯域において、前記強度指数v1、v2、v3として、前記透過光の強度の一階微分値fT1、fT2及びfT3を算出し、前記クロロフィル指数x=(fT1−fT2)/fT3を算出し、前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式9263.9e3.33x により、前記推定濃度を算出してもよい。
ここで、前記クロロフィル濃度測定装置は、ソメイヨシノの葉のクロロフィルaの濃度を測定し、前記対象物は、ソメイヨシノの葉であり、前記受光手段は、前記応答光として、波長835nm、725nm及び730nmのそれぞれを含む帯域において、前記対象物からの透過光を受け、前記指数算出手段は、それぞれの帯域において、前記強度指数v1、v2、v3として、前記透過光の強度の一階微分値fT1、fT2及びfT3を算出し、前記クロロフィル指数x=(fT1−fT2)/fT3を算出し、前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式2991.0+3863.0x+1270.2x2 により、前記推定濃度を算出してもよい。
ここで、前記クロロフィル濃度測定装置は、ソメイヨシノの葉のクロロフィルbの濃度を測定し、前記対象物は、ソメイヨシノの葉であり、前記受光手段は、前記応答光として、波長845nm、730nm及び735nmのそれぞれを含む帯域において、前記対象物からの透過光を受け、前記指数算出手段は、それぞれの帯域において、前記強度指数v1、v2、v3として、前記透過光の強度の一階微分値fT1、fT2及びfT3を算出し、前記クロロフィル指数x=(fT1−fT2)/fT3を算出し、前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式1300.2+1643.8x+524.2x2 により、前記推定濃度を算出してもよい。
ここで、前記受光手段は、前記応答光として、それぞれの帯域の各波長において、背面に黒色反射板を配した前記対象物表面からの第1反射光を受け、背面に白色反射板を配した前記対象物表面からの第2反射光を受け、前記指数算出手段は、それぞれの帯域の各波長において、第2反射光と第1反射光との差分により推定透過光の強度を算出してもよい。
ここで、前記受光手段は、前記応答光として、それぞれの帯域の各波長において、前記対象物を透過した透過光を受け、前記指数算出手段は、それぞれの帯域の各波長において、前記透過光の強度を算出してもよい。
また、本発明は、植物の葉のクロロフィル濃度を測定するクロロフィル濃度測定装置で用いられるクロロフィル濃度測定方法であって、測定の対象物に光を照射する照射ステップと、前記対象物からの3種類の波長の応答光を受ける受光ステップと、各応答光の強度指数v1、v2及びv3を用いて、(v1−v2)/v3によりクロロフィル指数を算出する指数算出ステップと、算出したクロロフィル指数を用いて、濃度演算式により、クロロフィルの推定濃度を算出する濃度算出ステップと、算出した推定濃度を、前記対象物のクロロフィル濃度として出力する出力ステップとを含むことを特徴とする。
この方法を用いることにより、特定の植物の葉のクロロフィル濃度を精度高く測定することができる。
ヤマザクラの葉を対象として体系的に選択された最適なクロロフィル指数を示す(反射スペクトルの場合)。 ヤマザクラの葉を対象として体系的に選択された最適なクロロフィル指数を示す(吸収スペクトルの場合)。 ヤマザクラの葉を対象として体系的に選択された最適なクロロフィル指数を示す(透過スペクトルの場合)。 ソメイヨシノの葉を対象として体系的に選択された最適なクロロフィル指数を示す(反射スペクトルの場合)。 ソメイヨシノの葉を対象として体系的に選択された最適なクロロフィル指数を示す(吸収スペクトルの場合)。 ソメイヨシノの葉を対象として体系的に選択された最適なクロロフィル指数を示す(透過スペクトルの場合)。 ヤマザクラの葉のクロロフィル濃度の推定における既存の植生指数とSPADの性能を示す。 ソメイヨシノの葉のクロロフィル濃度の推定における既存の植生指数とSPADの性能を示す。 ヤマザクラの葉についての反射スペクトルを示す。 ヤマザクラの葉についての反射スペクトルの1階微分スペクトルを示す。 ヤマザクラの葉についての反射スペクトルの2階微分スペクトルを示す。 ヤマザクラの葉についての吸収スペクトルを示す。 ヤマザクラの葉についての吸収スペクトルの1階微分スペクトルを示す。 ヤマザクラの葉についての吸収スペクトルの2階微分スペクトルを示す。 ソメイヨシノの葉についての反射スペクトルを示す。 ソメイヨシノの葉についての反射スペクトルの1階微分スペクトルを示す。 ソメイヨシノの葉についての反射スペクトルの2階微分スペクトルを示す。 ソメイヨシノの葉についての吸収スペクトルを示す。 ソメイヨシノの葉についての吸収スペクトルの1階微分スペクトルを示す。 ソメイヨシノの葉についての吸収スペクトルの2階微分スペクトルを示す。 クロロフィル濃度測定装置10の外観図を示す。 実施の形態1のクロロフィル濃度測定装置10の構成を示すブロック図である。 実施の形態1のクロロフィル濃度測定装置10の詳細の動作を示すフローチャートである。図24へ続く。 実施の形態1のクロロフィル濃度測定装置10の詳細の動作を示すフローチャートである。図23から続く。 実施の形態1の変形例(1)としてのクロロフィル濃度測定装置10の詳細の動作を示すフローチャートである。図26へ続く。 実施の形態1の変形例(1)としてのクロロフィル濃度測定装置10の詳細の動作を示すフローチャートである。図25から続く。 実施の形態1の変形例(2)としてのクロロフィル濃度測定装置10の詳細の動作を示すフローチャートである。図28へ続く。 実施の形態1の変形例(2)としてのクロロフィル濃度測定装置10の詳細の動作を示すフローチャートである。図27から続く。 実施の形態2のクロロフィル濃度測定装置10aの構成を示すブロック図である。 実施の形態2のクロロフィル濃度測定装置10aの詳細の動作を示すフローチャートである。 実施の形態3のクロロフィル濃度測定装置10bの構成を示すブロック図である。 実施の形態3のクロロフィル濃度測定装置10bの詳細の動作を示すフローチャートである。図33へ続く。 実施の形態3のクロロフィル濃度測定装置10bの詳細の動作を示すフローチャートである。図32から続く。 実施の形態3の変形例(1)としてのクロロフィル濃度測定装置10bの詳細の動作を示すフローチャートである。図35へ続く。 実施の形態3の変形例(1)としてのクロロフィル濃度測定装置10bの詳細の動作を示すフローチャートである。図34から続く。 実施の形態3の変形例(2)としてのクロロフィル濃度測定装置10bの詳細の動作を示すフローチャートである。図37へ続く。 実施の形態3の変形例(2)としてのクロロフィル濃度測定装置10bの詳細の動作を示すフローチャートである。図36から続く。 実施の形態4のクロロフィル濃度測定装置10cの構成を示すブロック図である。 実施の形態4のクロロフィル濃度測定装置10cの詳細の動作を示すフローチャートである。図40へ続く。 実施の形態4のクロロフィル濃度測定装置10cの詳細の動作を示すフローチャートである。図39から続く。 変形例としてのクロロフィル濃度測定装置10dの構成を示すブロック図である。 ソメイヨシノの葉における反射スペクトルよる最適なクロロフィル指数の性能を示す。 ソメイヨシノの葉における吸収スペクトルよる最適なクロロフィル指数の性能を示す。 ソメイヨシノの葉における透過スペクトルよる最適なクロロフィル指数の性能を示す。 ヤマザクラの葉における反射スペクトルよる最適なクロロフィル指数の性能を示す。 ヤマザクラの葉における吸収スペクトルよる最適なクロロフィル指数の性能を示す。 ヤマザクラの葉における透過スペクトルよる最適なクロロフィル指数の性能を示す。 ソメイヨシノの葉におけるSPADの性能を示す。 ヤマザクラの葉におけるSPADの性能を示す。 ソメイヨシノの葉における既存指数(R850 −R710 )/(R850 −R680 )の性能を示す。 ヤマザクラの葉における既存指数(R850 −R710 )/(R850 −R680 )の性能を示す。 ソメイヨシノの葉における既存指数(R770-800 /R720-730 )−1の性能を示す。 ヤマザクラの葉における既存指数(R770-800 /R720-730 )−1の性能を示す。 ソメイヨシノの葉における既存指数(fR754 /fR704 )の性能を示す。 ヤマザクラの葉における既存指数(fR754 /fR704 )の性能を示す。 既存の植生指数と文献のリストを示す。
I.反射、吸収及び透過スペクトルによるヤマザクラおよびソメイヨシノの葉内クロロフィル濃度の非破壊的定量方法についての研究
植物活力評価において、葉内のクロロフィルの定量は、鍵となる手法である。分光学的方法により野外で非破壊的に定量する研究が多くなされている。正確な定量のためには、種に特化したクロロフィル指数の開発が合理的である。なぜなら、葉のスペクトルは、クロロフィル濃度に関係のない、葉の表面や構造といった種間で異なる要因の影響も受けるからである。
本研究は、ヤマザクラ(Cerasus jamasakura (Siebold ex Koidz.) H. Ohba var. jamasakura)とソメイヨシノ(Cerasus ×yedoensis ‘Somei-yoshino’)の葉内クロロフィル濃度を推定するための最適な反射指数、吸収指数及び透過指数を開発し、それらが既存のクロロフィル指数やSPADと比較してどのくらいの性能をもつのかを検討することを目的とする。
96枚と100枚の葉のサンプルに対して、リーフクリップ付きの分光放射計とSPAD-502葉緑素計による測定を行い、N, N'-ジメチルホルムアミドによる抽出によってクロロフィル濃度を定量した。そして、8個のタイプの指数を使って、最適な葉内クロロフィル指数を体系的に開発した。その結果、選択されたクロロフィル指数は、既存のクロロフィル指数やSPADよりも性能が高く、SPADの約2倍よい精度を持つことが確認された。また、新しく提案された指数のタイプである差分・比一体型指数は、クロロフィル濃度推定のために有用な型である可能性が示された。吸収率の測定は直接的であり、より高い可能性を持っているとの仮説に反して、吸収指数は反射指数と同等の結果を示した。
1.サンプルの採取
ヤマザクラCerasus jamasakura (Siebold ex Koidz.) H. Ohba var. jamasakura(あるいは、Prunus serrulata Lindl. var. spontanea (Maxim.) E. H. Wilsonや Prunus jamasakura Siebold ex Koidz.として知られる)と、ソメイヨシノCerasus×yedoensis ‘Somei-yoshino’(あるいは、Prunus×yedoensis Matsum. cv. Yedoensisとして知られる)を対象として、以下に示すように、サンプルを採取した。
ヤマザクラは、英語ではJapanese mountain cherryとして知られ、もっとも親しまれている野生のサクラである。西日本の山地、しばしば二次林に多く見られる落葉高木であり、観賞植物として広範に植栽されている。5枚の花弁をもつ花は薄いピンク色であり、花弁の大きさは約1.1〜1.9 cmである。芽立ちの頃の葉は褐色を帯びた紅色〜紅色であり、花とともに調和のとれた景観を作り出す。成葉は長さ8〜12 cm、幅3〜4.5 cmである。葉の表面は、はじめ微毛が散生するが、後に無毛となる。
ソメイヨシノは、英語ではPotomac cherryやYoshino cherry blossom treeとして知られる、もっともありふれたサクラで、全国で広く植栽されている落葉高木である。ソメイヨシノは、オオシマザクラCerasus speciosa (Koidz.) H. OhbaとエドヒガンCerasus spachiana Lavallee ex E. Otto f. ascendens (Makino) H. Ohbaの雑種に由来すると考えられている。ソメイヨシノは、接ぎ木などの栄養繁殖によって増やされているので、個体差はないと、普通、思われているが、花期や花色の異なるものなど個体差があることが観察されている。5枚の花弁をもつ花は薄いピンク色であり、花弁の大きさは約1.5 cmであり、開葉に先立って多くのピンク色の花を咲かせる。成葉は長さ7〜11 cm、幅4〜6 cmである。葉は両面とも無毛かまばらに毛がある。裏面は淡緑色である。
2008年7月24日と28日に、ヤマザクラ96枚、ソメイヨシノ100枚の葉のサンプルを、京都市の岡崎疎水、山科疎水、円山公園、哲学の道から採取した。サンプルは、事前に目視によって葉色が評価され、広範なクロロフィル濃度のレベルをカバーするように選定された。採取後、サンプルは、水分を保持するように直ちに処置され、冷暗所に保管された。
2.分光測定とクロロフィル濃度の定量
採取後、数時間内に、実験室においてすべてのサンプルに次の処理を行った。
まず、スポットサイズ直径10 mmのプラントプローブとリーフクリップを接続したFieldSpec HandHeld分光放射計(Analytical Spectral Devices社、アメリカ合衆国)によって、325〜1,075 nmの波長の葉の反射スペクトル及び吸収スペクトルを測定し、記録した。サンプリングの波長間隔は1.6 nmで、半値幅は約3.5 nmである。測定器からの出力は、1 nm間隔に補間されている。プラントプローブとリーフクリップを接続すると、リーフクリップの端部の標準白板と標準黒板を用いて、葉の反射スペクトルと透過スペクトルを測定することが可能となり、したがってそれらから吸収スペクトルも、簡易に測定することが可能となる。透過スペクトルは、標準白板と標準黒板の測定値の差から求めるため、透過スペクトルと吸収スペクトルは近似的であるが、野外において非破壊的に測定するためには、積分球で測定するよりも現実的であると考えた。葉の測定のたびに、15回のスキャンが繰り返され、その平均値が記録された。
さらに、SPAD葉緑素計によって、葉のスペクトルを測定した同じ部位において、3回の測定を行い、記録した。SPAD葉緑素計は、その重量が225 gで、0.06 cm2の測定面積をもつ測定器であり、650 nmと940 nmにおける透過率をもとにしてSPAD値という指数を計算する (Markwell et al. 1995)。SPAD葉緑素計のカタログに掲載の精度は、± 1.0 SPAD値である。以下の分析では、3回の測定の平均値を用いた。
SPAD値の測定の後、直ちに、各葉の同じ部位から直径15 mmの円形サンプルを型で抜き取り、半分に切って、2 mlのN, N'-ジメチルホルムアミド(DMF)によって4℃で1晩の間、クロロフィルを抽出した。クロロフィルの吸光度を、NanoDrop 1000分光光度計(Thermo Fisher Scientific社、アメリカ合衆国)によって測定し、Porraら (1989)の式を用いてクロロフィル濃度を定量した。
3.データの前処理
反射スペクトルと吸収スペクトルに含まれるノイズを除去するために、17点の移動窓で、4次多項式のSavitzky-Golayコンボルーション・フィルターを適用した。さらに、同フィルターを用いて、1階微分スペクトルと2階微分スペクトルを直接、求めた(Savitzky and Golay, 1964)。微分スペクトルは、植生ストレスに独特の情報を含むため (Curranら 1990; Imanishiら 2004; Imanishiら 2007)、さらに検討を行った。センサーの特性上、スペクトルの両端にはより多くのノイズが含まれるため、以降の分析では400〜1000 nmの波長を分析した。
4.種に特化した最適なクロロフィル指数の探索
以下の8タイプのクロロフィル指数の検討を行った。
T1) 単独型 V1
T2) 差分型 V1 - V2
T3) 比型 V1 / V2
T4) 正規化差分型 (V1-V2)/(V1+V2)
T5) 第3バンドを含む比型 (V1-V3)/(V2-V3)
T6) 第3バンドを含む正規化差分型 (V1-V2)/(V1+V2-2×V3)
T7) 面積型
Figure 2011038879
T8) 差分・比一体型 (V1-V2)/V3
なお、V1、V2、V3は、それぞれ異なる波長の反射スペクトルの値を表す。又は、V1、V2、V3は、それぞれ異なる波長の吸収スペクトルの値を表し、それぞれ異なる波長の透過スペクトルの値を表し、それぞれ異なる波長の1階微分スペクトルの値若しくはそれぞれ異なる波長の2階微分スペクトルの値を表す。 また、T7のクロロフィル指数におけるλ1、λ2は、異なる波長を表し、λ1<λ2である。
T8のクロロフィル指数は、本発明で新しく提案するものである。T8のクロロフィル指数は、個々の葉の表面や構造の差異あるいは分光測定中の照射光の変化によって生ずるスペクトルへの加算的効果と乗算的効果の両方を除去し、さらによい結果を生み出すのではないかとのアイデアに基づき、開発された。
他のタイプT1〜T7のクロロフィル指数は、光学リモートセンシングによる葉内クロロフィル濃度の推定に関する文献のレビューから得られたものである。
最初の4タイプT1〜T4のクロロフィル指数は、よく知られた基本的な型である。T5やT6のクロロフィル指数は、第3のバンドを、葉の表面の差異によるスペクトルへの加算的で一定な影響を除去するための補正項として含み (Sims and Gamon, 2002)、T3やT4のクロロフィル指数の修正型として最近になって知られるようになったものである。T7のクロロフィル指数は、2つの波長間の面積に関係する。このタイプT7のクロロフィル指数は、先行研究において深く研究されてはいないが、クロロフィルの減少にともないスペクトルの一部が増加あるいは減少することが一般的であり、また、連続した複数バンドを用いるので、単独型T1のクロロフィル指数よりも安定していると予想されるため、有用である可能性があると考えられる。
ヤマザクラ及びソメイヨシノそれぞれのChl a+b(Chl a+bは、Chl a及びChl bの両方を示す。)、Chl a及びChl bを推定するために、反射スペクトル、吸収スペクトル又は透過スペクトルにより、最適なクロロフィル指数を選択するために、次のようにした。
ヤマザクラのChl a+bについて、反射スペクトルにより、タイプT5のクロロフィル指数(V1-V3)/(V2-V3)を用いる場合には、400〜1000 nmの波長の帯域から、5 nmの間隔で3個の波長を選んで、生成可能な全ての組合せを生成した。3個の波長の組合せの全ては、次の通りである。
(400,405,410),(400,405,415),(400,405,420),(400,405,425),・・・,(400,405,1000),
(400,410,415),(400,410,420),(400,410,425),・・・,(400,410,1000),
(400,415,420),(400,415,425),・・・,(400,415,1000),
・・・
(990,995,1000),
ここで、3個の波長を選んだのは、タイプT5のクロロフィル指数に、3個のV1、V2及びV3が含まれているからである。このように、何個の波長を選択するかは、クロロフィル指数に依存している。
これらの全ての組合せの各々について、上記の採取した96枚のヤマザクラの葉のそれぞれに対して、上記のFieldSpec HandHeld分光放射計によって、Chl a+bについて測定した3個の波長のそれぞれにおける3個の反射スペクトルの値V1、V2、V3を用いて、タイプT5のクロロフィル指数(V1-V3)/(V2-V3)を算出し、算出したクロロフィル指数値と、FieldSpec HandHeld分光放射計の測定の対象サンプルからのN, N'-ジメチルホルムアミド(DMF)を用いた抽出により得られたChl a+bについてのクロロフィル濃度と対応付けて、記録した。次に、直線、2次多項式及び指数関数(当てはめ関数)を、算出したクロロフィル指数値と実験室において定量されたクロロフィル濃度のデータセットに当てはめて、10重交差確認RMSE(cvRMSE)を計算した。また、その交差確認R2(cvR2)を求めた。
また、他の7個のクロロフィル指数について、上記と同様に、10重交差確認RMSE(cvRMSE)を計算し、また、その交差確認R2(cvR2)を求めた。
続いて、ヤマザクラを対象とする反射スペクトルによるクロロフィル指数及び推定式の組の内、最小のcvRMSEが得られたクロロフィル指数と、対応する当てはめ関数(推定式)との組み合わせを選択した。こうして得られたChl a+bについての最上位のクロロフィル指数及び推定式の組を図1に示す。
また、Chl a及びChl bのそれぞれについて、上記と同様に、10重交差確認RMSE(cvRMSE)を計算し、また、その交差確認R2(cvR2)を求め、続いて、反射スペクトルによるクロロフィル指数の推定組の内、最小のcvRMSEが得られたクロロフィル指数と、対応する当てはめ関数との組み合わせを選択した。こうして得られたChl aについての最上位のクロロフィル指数及び推定式の組、及びChl bについての最上位のクロロフィル指数及び推定式の組を図1に示す。
さらに、ヤマザクラのChl a+b、Chl a及びChl bのそれぞれについて、吸収スペクトル及び透過スペクトルについて、上記と同様に、10重交差確認RMSE(cvRMSE)を計算し、また、その交差確認R2(cvR2)を求め、続いて、クロロフィル指数の推定組の内、最小のcvRMSEが得られたクロロフィル指数と、対応する当てはめ関数との組み合わせを選択し、こうして得られた吸収スペクトルについて、Chl a+b、Chl a及びChl bのそれぞれに関して、最上位のクロロフィル指数及び推定式の組を図2に示す。また、同様に、透過スペクトルについて、Chl a+b、Chl a及びChl bのそれぞれに関して、最上位のクロロフィル指数及び推定式の組を図3に示す。
さらに、ソメイヨシノを対象として、反射スペクトル、吸収スペクトル及び透過スペクトルにより、最適なクロロフィル指数と当てはめ関数(推定式)の組合せを選択した。その結果を図4〜図6に示す。
また、例えば、低価格のハンディ測定器を開発するために、必要とされるバンド数を少なくすることが時には重要となるため、最適なクロロフィル指数を選択する際には、利用可能なバンド数について、次の3つの場合を仮定した。
1)ハイパースペクトル・データのように、微分スペクトルを計算することも可能な、より多くのバンドを利用可能な場合
2)3バンドのみを利用可能な場合
3)ハンディなSPAD葉緑素計のように2バンドのみを利用可能な場合
選択されたクロロフィル指数がクロロフィル濃度の変動を説明する機構を理解するために、クロロフィル指数を構成する要素のcvR2を分析した。クロロフィル指数のcvR2の80 %以上のcvR2を単独でもつ要素を主要要素と定義し、クロロフィル指数のcvR2の80 %未満のcvR2を単独でもつ要素を副次要素と定義する。
(a)反射スペクトルによるヤマザクラの葉のクロロフィル指数(図1の説明)
図1に、反射スペクトルによるヤマザクラの葉を対象として体系的に選択された最適なクロロフィル指数の性能について記述している。この図には、Chl a+b、Chl a及びChl bについて、それぞれ、最上位のケースについて、利用可能なバンド数(仮定)、選択された最適なクロロフィル指数、cvR2、cvRMSE、主要要素、副次要素及び推定式の組を示している。
Chl a+bについて、第1のケース101では、バンド数は、「多」であり、選択された最適なクロロフィル指数は、(R915−R645)/(R620−R645)である。ここで、R915、R645及びR620は、それぞれ、915nm、645nm及び620nmにおける反射率(反射スペクトルの値)である。このように、Riは、i nmにおける反射スペクトルの値である。以下においても同様である。このクロロフィル指数は、タイプT5のクロロフィル指数である。 cvR2は、0.963であり、cvRMSEは、22.2であり、主要要素は、R620及びR645であり、副次要素は、R915であり、推定式は、0.0955+11.1x-0.0577x2である。推定式において、xは、クロロフィル指数の値であり、つまり、x=(R915−R645)/(R620−R645)であり、xを推定式に代入することにより、クロロフィル濃度が推定的に得られる。
Chl a+bについて、第2のケース102では、バンド数は、「3」である。その他の選択された最適なクロロフィル指数、cvR2、cvRMSE、主要要素、副次要素及び推定式は、第1のケース101におけるものと同じである。
Chl a+bについて、第3のケース103では、バンド数は、「2」であり、選択された最適なクロロフィル指数は、R915/R725である。このクロロフィル指数は、タイプT3のクロロフィル指数である。cvR2は、0.955であり、cvRMSEは、24.3であり、主要要素は、R725であり、副次要素は、R915であり、推定式は、-1038.0+1064.3xである。推定式において、第1のケース101と同様に、xは、クロロフィル指数の値であり、推定式により、クロロフィル濃度が推定的に得られる。
以上のように、Chl a+bについて、第1のケース101及び第2のケース102では、cvRMSEは、22.2であり、第3のケース103では、cvRMSEは、24.3である。第1のケース101及び第2のケース102のcvRMSEが、第3のケース103のcvRMSEより小さいので、利用可能なバンド数の仮定に制限がない場合は、第1のケース101及び第2のケース102のクロロフィル指数及び推定式が選択される。
次に、Chl aについて、第1のケース104では、バンド数は、「多」であり、選択された最適なクロロフィル指数は、(R915−R645)/(R620−R645)である。このクロロフィル指数は、タイプT5のクロロフィル指数である。cvR2は、0.961であり、cvRMSEは、17.7であり、主要要素は、R620及びR645であり、副次要素は、R915であり、推定式は、-0.236+8.74x-0.0465x2である。推定式において、xは、クロロフィル指数の値であり、推定式により、クロロフィル濃度が推定的に得られる。
Chl aについて、第2のケース105では、バンド数は、「3」である。その他の選択された最適なクロロフィル指数、cvR2、cvRMSE、主要要素、副次要素及び推定式は、第1のケース104におけるものと同じである。
Chl aについて、第3のケース106では、バンド数は、「2」であり、選択された最適なクロロフィル指数は、R645−R615である。このクロロフィル指数は、タイプT2のクロロフィル指数である。cvR2は、0.953であり、cvRMSEは、19.3であり、主要要素は、R615及びR645であり、副次要素は無く、推定式は、575.5e50.0Xである。推定式において、xは、クロロフィル指数の値であり、推定式により、クロロフィル濃度が推定的に得られる。
以上のように、Chl aについて、第1のケース104及び第2のケース105では、cvRMSEは、17.7であり、第3のケース106では、cvRMSEは、19.3である。第1のケース104及び第2のケース105のcvRMSEが、第3のケース106のcvRMSEより小さいので、利用可能なバンド数の仮定に制限がない場合は、第1のケース104及び第2のケース105のクロロフィル指数及び推定式が選択される。
次に、Chl bについて、第1のケース107では、バンド数は、「多」であり、選択された最適なクロロフィル指数は、(fR455−fR745)/fR590である。ここで、fR455、fR590及びfR745は、それぞれ、455nm、590nm及び745nmにおける反射スペクトルの値の1階微分値である。このように、fRiは、i nmにおける反射スペクトルの値の1階微分値である。以下においても同様である。このクロロフィル指数は、タイプT8のクロロフィル指数である。cvR2は、0.890であり、cvRMSEは、8.87であり、主要要素は、fR745であり、副次要素は、fR590及びfR455であり、推定式は、22.6+20.3x-0.996x2である。推定式において、xは、クロロフィル指数の値であり、推定式により、クロロフィル濃度が推定的に得られる。
次に、Chl bについて、第2のケース108では、バンド数は、「3」であり、選択された最適なクロロフィル指数は、(R950−R400)/R725である。このクロロフィル指数は、タイプT8のクロロフィル指数である。cvR2は、0.889であり、cvRMSEは、8.91であり、主要要素は、R725であり、副次要素は、R950及びR400であり、推定式は、-235.4+256.7xである。推定式において、xは、クロロフィル指数の値であり、推定式により、クロロフィル濃度が推定的に得られる。
Chl bについて、第3のケース109では、バンド数は、「2」であり、選択された最適なクロロフィル指数は、R810/R730である。このクロロフィル指数は、タイプT3のクロロフィル指数である。cvR2は、0.883であり、cvRMSEは、9.2であり、主要要素は無く、副次要素は、R730及びR810であり、推定式は、-387.1+389.1xである。推定式において、xは、クロロフィル指数の値であり、推定式により、クロロフィル濃度が推定的に得られる。
以上のように、Chl bについて、第1のケース107及び第2のケース108では、cvRMSEは、それぞれ、8.87、8.91であり、第3のケース109では、cvRMSEは、9.2である。第1のケース107及び第2のケース108のcvRMSEが、第3のケース109のcvRMSEより小さいので、利用可能なバンド数の仮定に制限がない場合は、第1のケース107又は第2のケース108のクロロフィル指数及び推定式が選択される。第1のケース107と第2のケース108とでは、両者のcvRMSEの差が0.1未満であり、従って、どちらかを選ぶのではなく、どちらの性能も同等であると考える。
(b)吸収スペクトルによるヤマザクラの葉のクロロフィル指数(図2の説明)
図2に、吸収スペクトルによるヤマザクラの葉を対象として体系的に選択された最適なクロロフィル指数の性能について記述している。この図には、Chl a+b、Chl a及びChl bについて、それぞれ、最上位のケースについて、利用可能なバンド数(仮定)、選択された最適なクロロフィル指数、cvR2、cvRMSE、主要要素、副次要素及び推定式の組を示している。この図において、Aiは、i nmにおける吸収スペクトルの値であり、sAiは、i nmにおける吸収スペクトルの値の2階微分値である。
図2に示すように、Chl a+bについて、第1のケース111では、cvRMSEは、22.8であり、他のケース112及び113のcvRMSEよりも小さいので、利用可能なバンド数の仮定に制限がない場合は、第1のケース111のクロロフィル指数及び推定式が選択される。
また、Chl aについて、第1のケース114では、cvRMSEは、17.0であり、他のケース115及び116のcvRMSEよりも小さいので、利用可能なバンド数の仮定に制限がない場合は、第1のケース114のクロロフィル指数及び推定式が選択される。
さらに、Chl bについて、第1のケース117では、cvRMSEは、9.3であり、他のケース118及び119のcvRMSEよりも小さいので、利用可能なバンド数の仮定に制限がない場合は、第1のケース117のクロロフィル指数及び推定式が選択される。
(c)透過スペクトルによるヤマザクラの葉のクロロフィル指数(図3の説明)
図3に、透過スペクトルによるヤマザクラの葉を対象として体系的に選択された最適なクロロフィル指数の性能について記述している。この図には、Chl a+b、Chl a及びChl bについて、それぞれ、最上位のケースについて、利用可能なバンド数(仮定)、選択された最適なクロロフィル指数、cvR2、cvRMSE、主要要素、副次要素及び推定式の組を示している。この図において、Tiは、i nmにおける透過スペクトルの値であり、fTiは、i nmにおける透過スペクトルの値の1階微分値である。
図3に示すように、Chl a+bについて、第1のケース121では、cvRMSEは、26.7であり、他のケース122及び123のcvRMSEよりも小さいので、利用可能なバンド数の仮定に制限がない場合は、第1のケース121のクロロフィル指数及び推定式が選択される。
また、Chl aについて、第1のケース124では、cvRMSEは、21.4であり、他のケース125及び126のcvRMSEよりも小さいので、利用可能なバンド数の仮定に制限がない場合は、第1のケース124のクロロフィル指数及び推定式が選択される。
さらに、Chl bについて、第1のケース127では、cvRMSEは、9.8であり、他のケース128及び129のcvRMSEよりも小さいので、利用可能なバンド数の仮定に制限がない場合は、第1のケース127のクロロフィル指数及び推定式が選択される。
(d)反射スペクトルによるソメイヨシノの葉のクロロフィル指数(図4の説明)
図4に、反射スペクトルによるソメイヨシノの葉を対象として体系的に選択された最適なクロロフィル指数の性能について記述している。この図には、Chl a+b、Chl a及びChl bについて、それぞれ、最上位のケースについて、利用可能なバンド数(仮定)、選択された最適なクロロフィル指数、cvR2、cvRMSE、主要要素、副次要素及び推定式の組を示している。
図4に示すように、Chl a+bについて、第1のケース131では、cvRMSEは、33.3であり、他のケース132及び133のcvRMSEよりも小さいので、利用可能なバンド数の仮定に制限がない場合は、第1のケース131のクロロフィル指数及び推定式が選択される。
また、Chl aについて、第1のケース134では、cvRMSEは、25.8であり、他のケース135及び136のcvRMSEよりも小さいので、利用可能なバンド数の仮定に制限がない場合は、第1のケース134のクロロフィル指数及び推定式が選択される。
さらに、Chl bについて、第1のケース137では、cvRMSEは、11.1であり、他のケース138及び139のcvRMSEよりも小さいので、利用可能なバンド数の仮定に制限がない場合は、第1のケース137のクロロフィル指数及び推定式が選択される。
(e)吸収スペクトルによるソメイヨシノの葉のクロロフィル指数(図5の説明)
図5に、吸収スペクトルによるソメイヨシノの葉を対象として体系的に選択された最適なクロロフィル指数の性能について記述している。この図には、Chl a+b、Chl a及びChl bについて、それぞれ、最上位のケースについて、利用可能なバンド数(仮定)、選択された最適なクロロフィル指数、cvR2、cvRMSE、主要要素、副次要素及び推定式の組を示している。
図5に示すように、Chl a+bについて、第1のケース141及び第2のケース142では、cvRMSEは、34.5であり、他のケース143のcvRMSEよりも小さいので、利用可能なバンド数の仮定に制限がない場合は、第1のケース141及び第2のケース142のクロロフィル指数及び推定式が選択される。
また、Chl aについて、第1のケース144及び第2のケース145では、cvRMSEは、26.0であり、他のケース146のcvRMSEよりも小さいので、利用可能なバンド数の仮定に制限がない場合は、第1のケース144及び第2のケース145のクロロフィル指数及び推定式が選択される。
さらに、Chl bについて、第1のケース147では、cvRMSEは、11.6であり、他のケース148及び149のcvRMSEよりも小さいので、利用可能なバンド数の仮定に制限がない場合は、第1のケース147のクロロフィル指数及び推定式が選択される。
(f)透過スペクトルによるソメイヨシノの葉のクロロフィル指数(図6の説明)
図6に、透過スペクトルによるソメイヨシノの葉を対象として体系的に選択された最適なクロロフィル指数の性能について記述している。この図には、Chl a+b、Chl a及びChl bについて、それぞれ、最上位のケースについて、利用可能なバンド数(仮定)、選択された最適なクロロフィル指数、cvR2、cvRMSE、主要要素、副次要素及び推定式の組を示している。
図6に示すように、Chl a+bについて、第1のケース151では、cvRMSEは、35.5であり、他のケース152及び153のcvRMSEよりも小さいので、利用可能なバンド数の仮定に制限がない場合は、第1のケース151のクロロフィル指数及び推定式が選択される。
また、Chl aについて、第1のケース154では、cvRMSEは、27.5であり、他のケース155及び156のcvRMSEよりも小さいので、利用可能なバンド数の仮定に制限がない場合は、第1のケース154のクロロフィル指数及び推定式が選択される。
さらに、Chl bについて、第1のケース157では、cvRMSEは、12.4であり、他のケース158及び159のcvRMSEよりも小さいので、利用可能なバンド数の仮定に制限がない場合は、第1のケース157のクロロフィル指数及び推定式が選択される。
5.既存のクロロフィル指数とSPADの性能の評価
文献レビューにより、46個の既存のクロロフィル指数をリストアップした(図56)。すべての既存のクロロフィル指数は、反射スペクトルか、反射の微分スペクトルに基づいており、吸収スペクトルを利用したクロロフィル指数はなかった。既存のクロロフィル指数とSPADの性能は、上記と同じ方法に従い10重交差確認RMSE(cvRMSE)と10重交差確認R2(cvR2)を計算して評価し、記載した(図7及び図8)。
6.結果
(1)サンプルの定量結果
DMF抽出により定量されたクロロフィル濃度は、ヤマザクラのChl a+bについては、61.9〜544.3 mg/m2、Chl aについては、52.1〜436.9 mg/m2、Chl bについては、9.7〜129.8 mg/m2であった。また、ソメイヨシノのChl a+bについては、191.6〜663.6 mg/m2、Chl aについては、140.4〜515.0 mg/m2、Chl bについては、37.6〜151.1 mg/m2であった。a/b比の平均値と標準偏差は、ヤマザクラでは、3.8 ± 0.9、ソメイヨシノでは、3.6 ± 0.6であった。Chl aとChl bの間のピアソンの積率相関係数は、ヤマザクラでは、0.933、ソメイヨシノでは、0.908であった。
(2)クロロフィル濃度にともなう葉のスペクトルの変化
ヤマザクラの葉についての代表的なスペクトルを図9〜図14に示す。図9〜図14は、それぞれ、反射スペクトル、反射スペクトルの1階微分スペクトル、反射スペクトルの2階微分スペクトル、吸収スペクトル、吸収スペクトルの1階微分スペクトル、吸収スペクトルの2階微分スペクトルを示す。また、図9〜図14のそれぞれには、単位面積当たり、5個の異なるクロロフィルa+bの濃度(61.9 mg/m2,182.3 mg/m2,293.6 mg/m2,419.0 mg/m2,544.3 mg/m2)についての、スペクトルを示している。これらの図面では、横軸に、波長を示し、縦軸に、スペクトルの値を示している。
同様に、ソメイヨシノの葉についての代表的なスペクトルを図15〜図20に示す。図15〜図20は、それぞれ、反射スペクトル、反射スペクトルの1階微分スペクトル、反射スペクトルの2階微分スペクトル、吸収スペクトル、吸収スペクトルの1階微分スペクトル、吸収スペクトルの2階微分スペクトルを示す。また、図15〜図20のそれぞれには、単位面積当たり、5個の異なるクロロフィルa+bの濃度(191.6 mg/m2,301.3 mg/m2,431.4 mg/m2,551.1 mg/m2,663.6 mg/m2)についての、スペクトルを示している。これらの図面では、横軸に、波長を示し、縦軸に、スペクトルの値を示している。
全体的に、クロロフィル濃度に対するスペクトルの応答は、ヤマザクラとソメイヨシノで似通っていた(図9〜図14、図15〜図20)。
反射スペクトル(図9及び図15)においては、550 nm付近の緑の波長域のピークは、クロロフィル濃度の増加にともなって反射率が低下しており、単純に応答しているようであった。しかしながら、近赤外域は不安定であった。
1階微分スペクトル(図10及び図16)においては、レッドエッジのブルーシフトが観察された。すなわち、700 nm付近のピークはクロロフィル濃度の低下にともなって短波長側に移動していた。
2階微分スペクトル(図11及び図17)においては、クロロフィル濃度の低下にともなって、ピークの高さと谷の深さは、増加していた。
吸収スペクトルとその微分スペクトル(図12〜図14、図18〜図20)においては、クロロフィル濃度にたいするスペクトルの変化の特徴は、全体的に反射スペクトルと類似していた。ただし、反射スペクトルにおけるピークは吸収スペクトルの谷に対応するというように、波形の方向は逆になっていた。
ピークと谷の大きさは、ソメイヨシノでは、ヤマザクラよりも小さく、面積当たりのクロロフィル濃度が増加するにともなって小さくなる傾向があった。680 nm付近の赤の波長域の反射率と吸収率は、ヤマザクラおよびソメイヨシノの両方において、Chl a+bが約300 mg/m2を超えると飽和しているようであった。
(3)種に特化したクロロフィル指数の性能
選択された最適なクロロフィル指数のcvR2は、ヤマザクラで0.963〜0.861、ソメイヨシノで0.903〜0.774と高かった(図1〜図6)。cvR2やcvRMSEから判断される最適な指数の性能は、反射スペクトルと吸収スペクトルの間で同等であった。利用可能なバンド数が2バンドからより多くのバンドに増えると、cvR2とcvRMSEは改善された。反射スペクトルにおけるヤマザクラのChl a+bとChl aを推定する指数(これらはChl a+bとChl aの間でも同一であった)や、吸収スペクトルにおけるソメイヨシノのChl a+bとChl aを推定する指数は、3バンドを用いた最適な指数と、より多くのバンドを利用可能な指数とが同一であった。
新しく提案された指数タイプである差分・比一体型(T8)は、ヤマザクラにおいて3バンド以上を利用可能な12ケース中の4ケース(2ケースは反射指数、2ケースは吸収指数)と、ソメイヨシノにおいては同様の12ケース中の10ケース(4ケースは反射指数、6ケースは吸収指数)において選択されていた。
主要要素が位置する波長は、ヤマザクラの反射指数では615、620、645 nm(飽和していない赤の波長域)と745 nm(レッドエッジ域)、ヤマザクラの吸収指数では530、540 nm(緑の波長域)、635 nm(飽和していない赤の波長域)、690、695、700、715、725、740 nm(レッドエッジ域)、ソメイヨシノの反射指数では570、585 nm(黄の波長域)、705、720、755 nm(レッドエッジ域)、ソメイヨシノの吸収指数では520、540、550、560 nm(緑の波長域)、700、710、765 nm(レッドエッジ域)であった(図1〜図6)。
副次要素のみで構成されるクロロフィル指数、すなわち、単独の要素の利用と比較してクロロフィル濃度の変動の説明力が著しく向上した要素の組み合わせは、ヤマザクラの反射指数における730 nm(レッドエッジ域)と810 nm(近赤外域)の組み合わせと、ソメイヨシノの4つの反射指数における565、575 nm(黄の波長域)、735、740 nm(レッドエッジ域)、770、830、845、855 nm(近赤外域)の組み合わせであった(図1〜図6)。これら5つの反射指数のすべてにおいて、近赤外域の波長が組み入れられていた。
(4)既存のクロロフィル指数とSPADの性能
既存の指数の中に、種に特化した最適なクロロフィル指数の性能を超える指数はなかった。
既存の植生指数の中でも、Datt (1999)の反射比指数、(R850-R710 )/(R850-R680 )(以降、DattのRIと表す)は、ヤマザクラのChl a+bとChl aにおいて1位、ソメイヨシノのChl a+bとChl aにおいて3位に順位づけられた(図7及び図8)。
Datt (1999)の1階微分比指数、fR754/fR704は、ソメイヨシノのChl a+b、Chl a、Chl bにおいて1位に順位づけられたが、ヤマザクラのChl a+bとChl aにおいては34位、Chl bでは19位であった(図7及び図8)。
Cigandaら (2009)のレッドエッジ・クロロフィル指数、(R770-800/R720-730)-1(以降、CigandaのRECIと表す)は、ヤマザクラのChl a+bにおいて2位、Chl bにおいて1位に順位づけられ、ソメイヨシノのChl a+bとChl aにおいて2位、Chl bにおいて3位に順位づけられた(図7及び図8)。
SPAD-502の指数値は、ヤマザクラのChl a+b、Chl a、Chl bにおいて39位であり、ソメイヨシノのChl a+bとChl aにおいては41位、Chl bでは39位であった。SPADのcvRMSEは、ヤマザクラのChl a+b、Chl a、Chl bに対してそれぞれ43.2、33.4、13.2 mg/m2であり、ソメイヨシノのChl a+b、Chl a、Chl bに対してそれぞれ70.0、54.9、17.5 mg/m2であった。
7.考察
本研究において開発された種に特化した指数は、ヤマザクラ(図1〜図3、図7)あるいはソメイヨシノ(図4〜図6、図8)の葉内クロロフィル濃度の推定において、既存のどの指数やSPADよりも優れていた。反射指数においては、黄や飽和していない赤の波長域(本研究においては570〜645 nm)とレッドエッジ域(705〜755 nm)の波長が、主要要素として選択されていた(図1〜図6)。また、吸収指数においては、緑の波長域(520〜560 nm)とレッドエッジ域(690〜765 nm)が主要要素として選択されていた(図1〜図6)。したがって、これらの波長は、葉内クロロフィル濃度を推定するために特に重要であると考えられた。これは、反射スペクトルについての先行研究の結果と一致していた (Carter, 1994; Gitelson and Merzlyak, 1994; Datt, 1998; Maccioniら, 2001; Richardsonら, 2002; Blackburn, 2007)。
一方、紫の波長域(本研究においては400 nm)と青の波長域(455 nm)や近赤外域(770 nm以長)は、これらの波長域ではクロロフィル濃度にともなうスペクトルの変化が不安定であったため、最適な指数では主要要素として選択されず、単独の使用は有効でなかった(図1〜図6、図9〜図20)。しかしながら、近赤外域は、5つの反射指数が近赤外の波長によって著しく改善されたように(図1〜図6)、黄の波長域やレッドエッジ域との組み合わせにおいて有効であると考えられた。おそらく、近赤外域は、クロロフィルの吸収に直接関係しておらず、また、反射スペクトルにおいては葉における反射率が高く、紫や青の波長域に比べてノイズが少ないため、照射光の変化などの測定時の誤差を除去するのに有効であったのであろうと考えられる。
紫や青の波長は、3バンド以上を利用する指数において利用されており(図1〜図6)、葉の表面の個体差の影響を低減する補助的な機能があった可能性がある。例えば、445 nmは、可視全域にわたって反射率を高める傾向にある葉の表面の高い(鏡面)反射を補正するための指標として提案されている (Sims and Gamon, 2002)。
新しく提案された指数のタイプである差分・比一体型指数(T8)は、最適なクロロフィル指数において、ヤマザクラの3バンド以上を利用可能な12ケース中の4ケースで、ソメイヨシノの同様の12ケース中の10ケースで選択された(図1〜図6)ように、有効であると考えられた。このタイプは、第3バンドの使用の点で新しい。すなわち、従来、第3バンドはT5やT6のV1-V3やV2-V3に見られるように、他の2バンドにおける望まれない影響を除去するためだけに使用されてきた。なお、T6の分子は、項が整理されていることに注意する必要がある。一方、T8、(V1-V2)/V3は、差分タイプと比タイプを組み合わせ、第3バンドを独自の変数として用いている。T8は、その型から、スペクトルにたいする加算的影響と乗算的影響の両方を除去することができたと考えられた。
クロロフィル濃度にともなうスペクトルの変化の特徴は、全体として、反射スペクトルと吸収スペクトルの間で基本的に類似していたが、ピークと谷はお互いに逆の関係であった(図1、2)。反射指数と吸収指数の性能は、ヤマザクラとソメイヨシノの両方において、ほぼ同等であった(図1〜図6)。Richardsonら (2002)は、吸収率は反射率よりもクロロフィル濃度のよりよい推定が可能であるはずであるとの仮説を立てたが、本研究において、反射指数と吸収指数の性能の差は小さかった(図1〜図6)。
DattのRIやCigandaのRECIは、ヤマザクラおよびソメイヨシノの両方の葉内クロロフィル濃度の推定に有用であることがわかった(図7〜図8)。DattのRIは、数樹種のユーカリの葉内クロロフィル濃度を推定するために開発された (Datt, 1999)。Datt (1999)は、この指数は多重散乱補正(Multiple Scatter Correction)の適用に関わらず相関係数やRMSEが同一に保たれたことから、加算的および乗算的な散乱要素を効果的に除去すると主張している。DattのRIはまた、あらゆる広葉樹に適用可能な葉内クロロフィル指数の開発を目的としたle Maireら (2004)の研究においてもよい結果を残した。本研究における結果は、DattのRIの性能をさらに支持するものである。
CigandaのRECIは、反射率の逆数をもとに開発された (Gitelson et al., 2003)。定数の−1は、本来、Chl a+bに対する指数の切片を0に近づけるために重要であった (Gitelson et al., 2003)。しかしながら、CigandaのRECIは、実際には、より広い波長域の複数バンドを利用するという事実を除いては、比型(T3)に類似している。2バンドで比型の最適な反射指数は、すべて、近赤外域とレッドエッジ域の反射率の比をとるという点においてCigandaのRECIに類似していたことから(図1〜図6)、近赤外域とレッドエッジ域の反射率の比は、有効な指数のタイプである可能性がある。
SPADは、種に特化した最適なクロロフィル指数やほとんどの既存の指数よりも、性能がよくなかった。SPADの誤差(cvRMSE)は、本研究において最適な指数の約2倍大きかった(図1〜図6、図7〜図8)。SPAD-502は、日本においてイネ(Oryza sativa L.)の窒素の状態を診断するために開発されたので(Wangら, 2004)、SPAD-502において選択されている波長は最適でなかった可能性がある。
8.結論
本研究は、野外において近似的ではあるが現実的な方法によって、非破壊的な分光測定を行い、1個の新しいタイプを含む8個の指数タイプの検討によって、ヤマザクラとソメイヨシノの最適な葉内クロロフィル指数を体系的に開発した。その結果、選択されたクロロフィル指数は、既存のクロロフィル指数やSPADよりも性能が高く、SPADの約2倍よい精度を持つことが確認された。また、新しく提案された指数のタイプである差分・比一体型指数は、クロロフィル濃度推定のために有用な型である可能性が示された。さらに、吸収率の測定は直接的であり、より高い可能性を持っているとの仮説に反して、吸収指数は反射指数と同等の結果を示した。既存の指数では、Datt (1999)の反射比指数やCigandaら (2009)のレッドエッジ・クロロフィル指数がヤマザクラおよびソメイヨシノの両方の葉内クロロフィル濃度の推定に特に効果的であった。一方、SPADは、これらの指数ほどにはよいクロロフィル指数ではなかった。
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II.クロロフィル濃度測定装置
上記の研究成果に基づくクロロフィル濃度測定装置について説明する。
1.実施の形態1
本発明に係る1の実施の形態としてのクロロフィル濃度測定装置10について説明する。
クロロフィル濃度測定装置10は、図1のケース108に対して適用される装置であり、950nm、400nm及び725nmの波長成分を用いて、ヤマザクラのクロロフィルbの濃度を測定する。
1.1 クロロフィル濃度測定装置10の構成
クロロフィル濃度測定装置10は、図21及び図22に示すように、光源301、レンズ302、反射板303、三分岐オプティカルファイバ304、フィルタ305a、305b、305c、受光素子306a、306b、306c、AD変換器307、制御部308、表示部309、電源部310及び入力部312から構成される。制御部308は、指数演算部308a、濃度演算部308b、表示制御部308c、主制御部308d及び情報記憶部308fから構成されている。制御部308は、具体的には、マイクロプロセッサとメモリとから構成されるコンピュータシステムであり、メモリには、制御部308を構成する各構成部の機能を実現するためのコンピュータプログラムが記憶されており、前記マイクロプロセッサが前記コンピュータプログラムに従って動作することにより、その機能を実現している。
光源301は、広い波長範囲にわたって発光する光源であり、主制御部308dの制御により、反射板303の手前に置かれた測定の対象物であるヤマザクラの葉311に向けて、光を照射する。光源301は、例えばタングステンランプ、水銀ランプ、ハロゲンランプなどのランプ類である。
入力部312は、操作者からの操作を受け付け、その結果を主制御部308dへ出力する。
反射板303は、薄板状の円盤であり、黒色に塗布された黒色面と白色に塗布された白色面とからなる。反射板303は、図示していない支持部材により、支持されており、操作者の手操作により、黒色面をレンズ302側に配置、又は白色面をレンズ302側に配置可能である。
三分岐オプティカルファイバ304は、1本の主軸304dと、3本の分岐軸304a、304b及び304cとから構成される光ファイバであり、1本の主軸304dの端面の中央は、レンズ302の焦点位置に配置され、3本の分岐軸304a、304b及び304cの端面は、それぞれ、フィルタ305a、305b及び305cに対向して配置されている。
レンズ302は、その光軸が、反射板303の中心点において、反射板303の表面に対して垂直となるように、配置されている。レンズ302は、反射板303の表面又は対象物の表面で反射した光を、三分岐オプティカルファイバ304の主軸304dの端面の中央に集光する。
フィルタ305a、305b及び305cは、それぞれ、950nm、400nm及び725nmの波長成分の光を透過する透過フィルタである。
受光素子306a、306b及び306cは、それぞれ、フィルタ305a、305b及び305cに対向して配置され、フィルタ305a、305b及び305cを透過した950nm、400nm及び725nmの波長成分の光を受光し、光電変換し、各波長の光強度を電気信号としてAD変換器307へ出力する。
AD変換器307は、各波長の光強度を示すアナログの電気信号を各波長の光強度を示すデジタル信号に変換し、デジタル信号を制御部308へ出力する。
制御部308の主制御部308dは、入力部312から操作者の操作指示を受け取り、指数演算部308a、濃度演算部308b、表示制御部308c、光源301を制御する。
制御部308の指数演算部308aは、波長950nm、400nm及び725nmの光強度を示すデジタル信号v1、v2及びv3を受け取り、受け取ったデジタル信号に基づいて、次の式により、クロロフィル指数xを算出する。
クロロフィル指数x=(v1−v2)/v3
なお、このクロロフィル指数の算出式は、上記において、T8)差分・比一体型として説明したものである。
指数演算部308aは、算出したクロロフィル指数xを濃度演算部308bへ出力する。
濃度演算部308bは、クロロフィル指数xを受け取り、受け取ったクロロフィル指数xを用いて、次の式により、推定クロロフィル濃度を算出する。
推定クロロフィル濃度=−235.4+256.7x
次に、濃度演算部308bは、算出した推定クロロフィル濃度を表示制御部308cへ出力する。
表示制御部308cは、推定クロロフィル濃度を受け取ると、推定クロロフィル濃度を表示するように、表示部309を制御する。
表示部309は、推定クロロフィル濃度を、対象物のクロロフィル濃度として表示する。
1.2 クロロフィル濃度測定装置10の動作
ここでは、図23〜図24に示すフローチャートを用いて、クロロフィル濃度測定装置10の詳細の動作について説明する。
主制御部308dは、サクラの葉をセットすることなく、反射板303の白色面をレンズ302側に向けて配置する旨の表示を、表示制御部308cを介して、表示部309へ出力し、表示部309は、その旨を表示する(ステップS101)。
操作者は、前記の表示を視認すると、反射板303の白色面をレンズ302側に向けて配置するとともに、反射板303の白色面をレンズ302側に向けての配置が完了したことを示す操作を入力部312に対して行う。入力部312は、当該操作を受け付け、受け付けた操作を主制御部308dへ出力する(ステップS102)。
主制御部308dは、光源301に対して光を照射するように制御し、照射された光は、反射板303により反射し、レンズ302により集光し、三分岐オプティカルファイバ304を介して、フィルタ305a、305b及び305cにより、透過する。フィルタ305a、305b及び305cによって、それぞれ、950nm、400nm及び725nmの波長成分の光が透過され、各波長成分の光は、受光素子306a、306b及び306cにより受光され、AD変換器307は、各波長の光強度を示すデジタル信号を制御部308の主制御部308dへ出力する(ステップS103)。
主制御部308dは、950nm、400nm及び725nmの波長成分の光強度を示すデジタル信号を受信すると、受信した各デジタル信号を白色強度W950 、W400 及びW725 として、情報記憶部308fへ書き込む(ステップS104)。
主制御部308dは、サクラの葉をセットし、かつ、反射板303の黒色面をレンズ302側に向けて配置する旨の表示を、表示制御部308cを介して、表示部309へ出力し、表示部309は、その旨を表示する(ステップS105)。
操作者は、前記の表示を視認すると、サクラの葉をセットし、反射板303の黒色面をレンズ302側に向けて配置するとともに、サクラの葉のセット及び反射板303の黒色面をレンズ302側に向けての配置が完了したことを示す操作を入力部312に対して行う。入力部312は、当該操作を受け付け、受け付けた操作を主制御部308dへ出力する(ステップS106)。
次に、主制御部308dは、光源301に対して光を照射するように制御し、照射された光は、ヤマザクラの葉311の表面により反射し、反射光をレンズ302により集光し、三分岐オプティカルファイバ304を介して、フィルタ305a、305b及び305cにより、透過する。フィルタ305a、305b及び305cによって、それぞれ、950nm、400nm及び725nmの波長成分の光が透過され、各波長成分の光は、受光素子306a、306b及び306cにより受光され、AD変換器307は、各波長の光強度を示すデジタル信号を指数演算部308aへ出力する(ステップS107)。
次に、指数演算部308aは、950nm、400nm及び725nmの波長成分の光強度を示すデジタル信号を受信すると、以下の式に示すように、受信した各デジタル信号(受光強度Q950 、Q400 及びQ725 )を、情報記憶部308fに記憶している白色強度により割ることにより、補正反射強度を算出する(ステップS108)。
補正反射強度R950 =受光強度Q950 /白色強度W950 (950nmの波長成分について)
補正反射強度R400 =受光強度Q400 /白色強度W400 (400nmの波長成分について)
補正反射強度R725 =受光強度Q725 /白色強度W725 (725nmの波長成分について)
次に、指数演算部308aは、以下に示す式により、クロロフィル指数xを算出する(ステップS109)。
クロロフィル指数x=(補正反射強度R950 −補正反射強度R400 )/補正反射強度R725
次に、濃度演算部308bは、指数演算部308aから算出されたクロロフィル指数xを受け取り、受け取ったクロロフィル指数xを用いて、次の式により、推定クロロフィル濃度を算出する(ステップS110)。
推定クロロフィル濃度=−235.4+256.7x
次に、濃度演算部308bは、算出した推定クロロフィル濃度を表示制御部308cへ出力し、表示制御部308cは、推定クロロフィル濃度を受け取ると、推定クロロフィル濃度を表示するように、表示部309を制御し、表示部309は、推定クロロフィル濃度をクロロフィル濃度として表示する(ステップS111)。
以上、実施の形態1としてのクロロフィル濃度測定装置10は、図1のケース108に対して適用されることを説明した。
なお、実施の形態1は、図4に示すケース138の場合において、同様に適用できる。図4に示すケース138の場合には、575nm、565nm及び845nmの波長成分を用いればよい。この場合のクロロフィル濃度の推定式は、以下の通りである。
推定クロロフィル濃度=400.4e43.8x
1.3 変形例(1)
ここでは、実施の形態1の変形例(1)としてのクロロフィル濃度測定装置10について説明する。このクロロフィル濃度測定装置10は、図22に示すクロロフィル濃度測定装置10と同様の構成を有する。この変形例(1)としてのクロロフィル濃度測定装置10は、図3のケース122に対して適用される装置であり、520nm、720nm及び990nmの波長成分を用いて、ヤマザクラのクロロフィルa+bの濃度を測定する。
ここでは、フィルタ305a、305b及び305cは、それぞれ、520nm、720nm及び990nmの波長成分の光を透過する透過フィルタである。
図25〜図26に示すフローチャートを用いて、変形例(1)としてのクロロフィル濃度測定装置10の詳細の動作について説明する。
主制御部308dは、図23のステップS101と同様に、反射板303の白色面のセットを要求し(ステップS121)、図23のステップS102と同様に、操作者は、反射板303の白色面をセットする(ステップS122)。
主制御部308dは、光源301に対して光を照射するように制御し、照射された光は、反射板303により反射し、レンズ302により集光し、三分岐オプティカルファイバ304を介して、フィルタ305a、305b及び305cを、透過する。フィルタ305a、305b及び305cによって、それぞれ、520nm、720nm及び990nmの波長成分の光が透過され、各波長成分の光は、受光素子306a、306b及び306cにより受光され、AD変換器307は、各波長の光強度を示すデジタル信号を制御部308の主制御部308dへ出力する(ステップS123)。
主制御部308dは、520nm、720nm及び990nmの波長成分の光強度を示すデジタル信号を受信すると、受信した各デジタル信号を白色強度W520 、W720 及びW990 として、情報記憶部308fへ書き込む(ステップS124)。
主制御部308dは、図23のステップS105と同様に、サクラの葉と反射板303の黒色面の配置を要求し(ステップS125)、図23のステップS106と同様に、操作者は、サクラの葉をセットし、反射板303の黒色面を配置する(ステップS126)。
次に、主制御部308dは、光源301に対して光を照射するように制御し、照射された光は、ヤマザクラの葉311の表面により反射し、反射光をレンズ302により集光し、三分岐オプティカルファイバ304を介して、フィルタ305a、305b及び305cを、透過する。フィルタ305a、305b及び305cによって、それぞれ、520nm、720nm及び990nmの波長成分の光が透過され、各波長成分の光は、受光素子306a、306b及び306cにより受光され、AD変換器307は、各波長の光強度を示すデジタル信号を指数演算部308aへ出力する(ステップS127)。
次に、指数演算部308aは、520nm、720nm及び990nmの波長成分の光強度を示すデジタル信号を受信すると、以下の式に示すように、受信した各デジタル信号(受光強度Q520 、Q720 及びQ990 )を、情報記憶部308fに記憶している白色強度W520 、W720 及びW990 により割ることにより、補正反射強度R520 、R720 及びR990 を算出し、算出して得られた各補正反射強度を情報記憶部308fへ書き込む(ステップS128)。
補正反射強度R520 =受光強度Q520 /白色強度W520 (520nmの波長成分について)
補正反射強度R720 =受光強度Q720 /白色強度W720 (720nmの波長成分について)
補正反射強度R990 =受光強度Q990 /白色強度W990 (990nmの波長成分について)
次に、主制御部308dは、サクラの葉をセットしたまま、反射板303の白色面をレンズ302側に向けて配置する旨の表示を、表示制御部308cを介して、表示部309へ出力し、表示部309は、その旨を表示する(ステップS129)。
操作者は、前記の表示を視認すると、反射板303の白色面をレンズ302側に向けて配置するとともに、反射板303の白色面をレンズ302側に向けての配置が完了したことを示す操作を入力部312に対して行う。入力部312は、当該操作を受け付け、受け付けた操作を主制御部308dへ出力する(ステップS130)。
次に、主制御部308dは、光源301に対して光を照射するように制御し、照射された光は、ヤマザクラの葉311の表面により反射する。また、ヤマザクラの葉311を透過した透過光は、反射板303により反射する。ヤマザクラの葉311の表面により反射した反射光と、ヤマザクラの葉を透過した透過光とは、レンズ302により集光し、三分岐オプティカルファイバ304を介して、フィルタ305a、305b及び305cを、透過する。フィルタ305a、305b及び305cによって、それぞれ、520nm、720nm及び990nmの波長成分の光が透過され、各波長成分の光は、受光素子306a、306b及び306cにより受光され、AD変換器307は、各波長の光強度を示すデジタル信号(受光強度S520 、S720 及びS990 )を制御部308の指数演算部308aへ出力する(ステップS132)。
次に、指数演算部308aは、520nm、720nm及び990nmの波長成分の光強度を示すデジタル信号を受信すると、以下の式に示すように、受信した各デジタル信号(受光強度S520 、S720 及びS990 )と、情報記憶部308fに記憶している白色強度W520 、W720 及びW990 と、情報記憶部308fに記憶している補正反射強度R520 、R720 及びR990 とを用いて、演算透過強度T520 、T720 及びT990 を算出する(ステップS132)。
演算透過強度T520 =受光強度S520 /白色強度W520 − 補正反射強度R520 (520nmの波長成分について)
演算透過強度T720 =受光強度S720 /白色強度W720 − 補正反射強度R720 (720nmの波長成分について)
演算透過強度T990 =受光強度S990 /白色強度W990 − 補正反射強度R990 (990nmの波長成分について)
次に、指数演算部308aは、以下に示す式により、クロロフィル指数xを算出する(ステップS133)。
クロロフィル指数x=(演算透過強度T520 − 演算透過強度T720)/演算透過強度T990
次に、濃度演算部308bは、指数演算部308aから算出されたクロロフィル指数xを受け取り、受け取ったクロロフィル指数xを用いて、次の式により、推定クロロフィル濃度を算出する(ステップS134)。
推定クロロフィル濃度=1071.9+2536.6x+1633.6x2
次に、濃度演算部308bは、算出した推定クロロフィル濃度を表示制御部308cへ出力し、表示制御部308cは、推定クロロフィル濃度を受け取ると、推定クロロフィル濃度を表示するように、表示部309を制御し、表示部309は、推定クロロフィル濃度をクロロフィル濃度として表示する(ステップS135)。
以上、実施の形態1の変形例(1)としてのクロロフィル濃度測定装置10は、図3のケース122に対して適用されることを説明した。
なお、変形例(1)は、図3のケース125の場合に適用できる。図3に示すケース125の場合には、575nm、715nm及び990nmの波長成分を用いればよい。この場合のクロロフィル濃度の推定式は、以下の通りである。
推定クロロフィル濃度=715.4+2288.1x+2065.1x2
1.4 変形例(2)
ここでは、実施の形態1の変形例(2)としてのクロロフィル濃度測定装置10について説明する。このクロロフィル濃度測定装置10は、図22に示すクロロフィル濃度測定装置10と同様の構成を有する。この変形例(2)としてのクロロフィル濃度測定装置10は、図5のケース144に対して適用される装置であり、710nm、700nm及び560nmの波長成分を用いて、ソメイヨシノの葉のクロロフィルaの濃度を測定する。
ここでは、フィルタ305a、305b及び305cは、それぞれ、710nm、700nm及び560nmの波長成分の光を透過する透過フィルタである。
図27〜図28に示すフローチャートを用いて、変形例(2)としてのクロロフィル濃度測定装置10の詳細の動作について説明する。
主制御部308dは、図23のステップS101と同様に、反射板303の白色面のセットを要求し(ステップS141)、図23のステップS102と同様に、操作者は、反射板303の白色面をセットする(ステップS142)。
主制御部308dは、光源301に対して光を照射するように制御し、照射された光は、反射板303により反射し、レンズ302により集光し、三分岐オプティカルファイバ304を介して、フィルタ305a、305b及び305cを、透過する。フィルタ305a、305b及び305cによって、それぞれ、710nm、700nm及び560nmの波長成分の光が透過され、各波長成分の光は、受光素子306a、306b及び306cにより受光され、AD変換器307は、各波長の光強度を示すデジタル信号を制御部308の主制御部308dへ出力する(ステップS143)。
主制御部308dは、710nm、700nm及び560nmの波長成分の光強度を示すデジタル信号を受信すると、受信した各デジタル信号を白色強度W710 、W700 及びW560 として、情報記憶部308fへ書き込む(ステップS144)。
主制御部308dは、図23のステップS105と同様に、サクラの葉と反射板303の黒色面の配置を要求し(ステップS145)、図23のステップS106と同様に、操作者は、サクラの葉をセットし、反射板303の黒色面を配置する(ステップS146)。
次に、主制御部308dは、光源301に対して光を照射するように制御し、照射された光は、ソメイヨシノの葉311の表面により反射し、反射光をレンズ302により集光し、三分岐オプティカルファイバ304を介して、フィルタ305a、305b及び305cを、透過する。フィルタ305a、305b及び305cによって、それぞれ、710nm、700nm及び560nmの波長成分の光が透過され、各波長成分の光は、受光素子306a、306b及び306cにより受光され、AD変換器307は、各波長の光強度を示すデジタル信号を指数演算部308aへ出力する(ステップS147)。
次に、指数演算部308aは、710nm、700nm及び560nmの波長成分の光強度を示すデジタル信号を受信すると、以下の式に示すように、受信した各デジタル信号(受光強度Q710 、Q700 及びQ560 )を、情報記憶部308fに記憶している白色強度W710 、W700 及びW560 により割ることにより、補正反射強度R710 、R700 及びR560 を算出し、算出して得られた補正反射強度R710 、R700 及びR560 を情報記憶部308fへ書き込む(ステップS148)。
補正反射強度R710 =受光強度Q710 /白色強度W710 (710nmの波長成分について)
補正反射強度R700 =受光強度Q700 /白色強度W700 (700nmの波長成分について)
補正反射強度R560 =受光強度Q560 /白色強度W560 (560nmの波長成分について)
次に、主制御部308dは、サクラの葉をセットしたまま、反射板303の白色面をレンズ302側に向けて配置する旨の表示を、表示制御部308cを介して、表示部309へ出力し、表示部309は、その旨を表示する(ステップS149)。
操作者は、前記の表示を視認すると、反射板303の白色面をレンズ302側に向けて配置するとともに、反射板303の白色面をレンズ302側に向けての配置が完了したことを示す操作を入力部312に対して行う。入力部312は、当該操作を受け付け、受け付けた操作を主制御部308dへ出力する(ステップS150)。
次に、主制御部308dは、光源301に対して光を照射するように制御し、照射された光は、ソメイヨシノの葉311の表面により反射する。また、ソメイヨシノの葉311を透過した透過光は、反射板303により反射する。ソメイヨシノの葉311の表面により反射した反射光と、ソメイヨシノの葉を透過した透過光とは、レンズ302により集光し、三分岐オプティカルファイバ304を介して、フィルタ305a、305b及び305cを、透過する。フィルタ305a、305b及び305cによって、それぞれ、710nm、700nm及び560nmの波長成分の光が透過され、各波長成分の光は、受光素子306a、306b及び306cにより受光され、AD変換器307は、各波長の光強度を示すデジタル信号(受光強度S710 、S700 及びS560 )を制御部308の指数演算部308aへ出力する(ステップS151)。
次に、指数演算部308aは、710nm、700nm及び560nmの波長成分の光強度を示すデジタル信号を受信すると、以下の式に示すように、受信した各デジタル信号(受光強度S710 、S700 及びS560 )と、情報記憶部308fに記憶している白色強度W710 、W700 及びW560 と、情報記憶部308fに記憶している補正反射強度R710 、R700 及びR560 を用いて、演算透過強度T710 、T700 及びT560 を算出する(ステップS152)。
演算透過強度T710 =受光強度S710 /白色強度W710 − 補正反射強度R710 (710nmの波長成分について)
演算透過強度T700 =受光強度S700 /白色強度W700 − 補正反射強度R700 (700nmの波長成分について)
演算透過強度T560 =受光強度S560 /白色強度W560 − 補正反射強度R560 (560nmの波長成分について)
次に、指数演算部308aは、以下の式に示すようにして、吸収強度A710 、A700 及びA560 を算出する(ステップS153)。
吸収強度A710 =1−補正反射強度R710 − 演算透過強度T710 (710nmの波長成分について)
吸収強度A700 =1−補正反射強度R700 − 演算透過強度T700 (700nmの波長成分について)
吸収強度A560 =1−補正反射強度R560 − 演算透過強度T560 (560nmの波長成分について)
次に、指数演算部308aは、以下に示す式により、クロロフィル指数xを算出する(ステップS154)。
クロロフィル指数x=(吸収強度A710 − 吸収強度A700)/吸収強度A560
次に、濃度演算部308bは、指数演算部308aから算出されたクロロフィル指数xを受け取り、受け取ったクロロフィル指数xを用いて、次の式により、推定クロロフィル濃度を算出する(ステップS155)。
推定クロロフィル濃度=1146.0e7.94x
次に、濃度演算部308bは、算出した推定クロロフィル濃度を表示制御部308cへ出力し、表示制御部308cは、推定クロロフィル濃度を受け取ると、推定クロロフィル濃度を表示するように、表示部309を制御し、表示部309は、推定クロロフィル濃度をクロロフィル濃度として表示する(ステップS156)。
以上、実施の形態1の変形例(2)としてのクロロフィル濃度測定装置10は、図5のケース144に対して適用されることを説明した。
なお、変形例(2)は、図2のケース112、115の場合に、同様に適用でき、また、図5のケース141、142、145、148の場合に同様に適用できる。
図2に示すケース112の場合には、700nm、695nm及び400nmの波長成分を用いればよい。この場合のクロロフィル濃度の推定式は、以下の通りである。
推定クロロフィル濃度=930.6e17.4x
また、図2に示すケース115の場合には、700nm、695nm及び400nmの波長成分を用いればよい。この場合のクロロフィル濃度の推定式は、以下の通りである。
推定クロロフィル濃度=722.9e17.3x
また、図5に示すケース141及び142の場合には、710nm、700nm及び540nmの波長成分を用いればよい。この場合のクロロフィル濃度の推定式は、以下の通りである。
推定クロロフィル濃度=1516.8e8.20x
また、図5に示すケース145の場合には、710nm、700nm及び560nmの波長成分を用いればよい。この場合のクロロフィル濃度の推定式は、以下の通りである。
推定クロロフィル濃度=1146.0e7.94x
また、図5に示すケース148の場合には、550nm、585nm及び710nmの波長成分を用いればよい。この場合のクロロフィル濃度の推定式は、以下の通りである。
推定クロロフィル濃度=234.7+3458.0x+16504.5x2
2.実施の形態2
本発明に係る別の実施の形態としてのクロロフィル濃度測定装置10aについて説明する。
クロロフィル濃度測定装置10aは、図3のケース122に対して適用される装置であり、520nm、720nm及び990nmの波長成分を用いて、ヤマザクラのクロロフィルa+bの濃度を測定する。
2.1 クロロフィル濃度測定装置10aの構成
クロロフィル濃度測定装置10aは、図29に示すように、光源301、レンズ302、三分岐オプティカルファイバ304、フィルタ305a、305b、305c、受光素子306a、306b、306c、AD変換器307、制御部308、表示部309、電源部310及び入力部312から構成される。制御部308は、指数演算部308a、濃度演算部308b、表示制御部308c、主制御部308d及び情報記憶部308fから構成されている。
クロロフィル濃度測定装置10aは、図22に示すクロロフィル濃度測定装置10と同様の構成を有している。ここでは、クロロフィル濃度測定装置10との相違点を中心として説明する。
光源301は、測定の対象物であるヤマザクラの葉311に向けて、光を照射する。
反射板は、クロロフィル濃度測定装置10aにおいては存在しない。
レンズ302は、その光軸が、ヤマザクラの葉311の表面に対してほぼ垂直となるように、ヤマザクラの葉311を中心として、光源301とは反対側に配置されており、レンズ302は、ヤマザクラの葉311を透過した光を、三分岐オプティカルファイバ304の主軸304dの端面の中央に集光する。
三分岐オプティカルファイバ304は、1本の主軸304dと、3本の分岐軸304a、304b及び304cとから構成される光ファイバであり、1本の主軸304dの端面の中央は、レンズ302の焦点位置に配置されている。
フィルタ305a、305b及び305cは、それぞれ、520nm、720nm及び990nmの波長成分の光を透過する透過フィルタである。
制御部308の指数演算部308aは、波長520nm、720nm及び990nmの光強度を示すデジタル信号v1、v2及びv3を受け取り、受け取ったデジタル信号に基づいて、次の式により、クロロフィル指数を算出する。
クロロフィル指数x=(v1−v2)/v3
なお、このクロロフィル指数の算出式は、上記において、T8)差分・比一体型として説明したものである。
濃度演算部308bは、クロロフィル指数xを受け取り、受け取ったクロロフィル指数xを用いて、次の式により、推定クロロフィル濃度を算出する。
推定クロロフィル濃度=1071.9+2536.6x+1633.6x2
表示部309は、推定クロロフィル濃度を、対象物のクロロフィル濃度として表示する。
2.2 クロロフィル濃度測定装置10aの動作
ここでは、図30に示すフローチャートを用いて、クロロフィル濃度測定装置10aの詳細の動作について説明する。
主制御部308dは、サクラの葉をセットしない(つまり、ブランクの)旨の表示を、表示制御部308cを介して、表示部309へ出力し、表示部309は、その旨を表示する(ステップS161)。
操作者は、前記の表示を視認すると、サクラの葉をセットしていない状態が完了したことを示す操作を入力部312に対して行う。入力部312は、当該操作を受け付け、受け付けた操作を主制御部308dへ出力する(ステップS162)。
主制御部308dは、光源301に対して光を照射するように制御し、照射された光は、レンズ302により集光し、三分岐オプティカルファイバ304を介して、フィルタ305a、305b及び305cを、透過する。フィルタ305a、305b及び305cによって、それぞれ、520nm、720nm及び990nmの波長成分の光が透過され、各波長成分の光は、受光素子306a、306b及び306cにより受光され、AD変換器307は、各波長の光強度を示すデジタル信号を制御部308の主制御部308dへ出力する(ステップS163)。
主制御部308dは、520nm、720nm及び990nmの波長成分の光強度を示すデジタル信号を受信すると、受信した各デジタル信号を白色強度W520 、W720 及びW990 として、情報記憶部308fへ書き込む(ステップS164)。
主制御部308dは、サクラの葉をセットする旨の表示を、表示制御部308cを介して、表示部309へ出力し、表示部309は、その旨を表示する(ステップS165)。
操作者は、前記の表示を視認すると、サクラの葉をセットし、サクラの葉のセットが完了したことを示す操作を入力部312に対して行う。入力部312は、当該操作を受け付け、受け付けた操作を主制御部308dへ出力する(ステップS166)。
次に、主制御部308dは、光源301に対して光を照射するように制御し、照射された光は、ヤマザクラの葉311を透過し、透過した透過光をレンズ302により集光し、三分岐オプティカルファイバ304を介して、フィルタ305a、305b及び305cにより、透過する。フィルタ305a、305b及び305cによって、それぞれ、520nm、720nm及び990nmの波長成分の光が透過され、各波長成分の光は、受光素子306a、306b及び306cにより受光され、AD変換器307は、各波長の光強度を示すデジタル信号を指数演算部308aへ出力する(ステップS167)。
次に、指数演算部308aは、520nm、720nm及び990nmの波長成分の光強度を示すデジタル信号を受信すると、以下の式に示すように、受信した各デジタル信号(受光強度Q520 、Q720 及びQ990 )を、情報記憶部308fに記憶している白色強度W520 、W720 及びW990 により割ることにより、補正透過強度T520 、T720 及びT990 を算出する(ステップS168)。
補正透過強度T520 =受光強度Q520 /白色強度W520 (520nmの波長成分について)
補正透過強度T720 =受光強度Q720 /白色強度W720 (720nmの波長成分について)
補正透過強度T990 =受光強度Q990 /白色強度W990 (990nmの波長成分について)
次に、指数演算部308aは、以下に示す式により、クロロフィル指数xを算出する(ステップS169)。
クロロフィル指数x=(補正透過強度T520 −補正透過強度T720 )/補正透過強度T990
次に、濃度演算部308bは、指数演算部308aから算出されたクロロフィル指数xを受け取り、受け取ったクロロフィル指数xを用いて、次の式により、推定クロロフィル濃度を算出する(ステップS170)。
推定クロロフィル濃度=1071.9+2536.6x+1633.6x2
次に、濃度演算部308bは、算出した推定クロロフィル濃度を表示制御部308cへ出力し、表示制御部308cは、推定クロロフィル濃度を受け取ると、推定クロロフィル濃度を表示するように、表示部309を制御し、表示部309は、推定クロロフィル濃度をクロロフィル濃度として表示する(ステップS171)。
以上、実施の形態2のクロロフィル濃度測定装置10aは、図3のケース122に対して適用されることを説明した。
なお、実施の形態2は、図3のケース125の場合に適用できる。図3に示すケース125の場合には、575nm、715nm及び990nmの波長成分を用いればよい。この場合のクロロフィル濃度の推定式は、以下の通りである。
推定クロロフィル濃度=715.4+2288.1x+2065.1x2
3.実施の形態3
本発明に係る別の実施の形態としてのクロロフィル濃度測定装置10bについて説明する。
クロロフィル濃度測定装置10bは、図1のケース107に対して適用される装置であり、455nm、745nm及び590nmの波長成分を用いて、ヤマザクラのクロロフィルbの濃度を測定する。
3.1 クロロフィル濃度測定装置10bの構成
クロロフィル濃度測定装置10bは、図31に示すように、光源301、レンズ302、反射板303、分光器313、受光素子306、AD変換器307、制御部308、表示部309、電源部310及び入力部312から構成されている。制御部308は、微分部308e、指数演算部308a、濃度演算部308b、表示制御部308c、主制御部308d及び情報記憶部308fから構成されている。制御部308は、具体的には、マイクロプロセッサとメモリとから構成されるコンピュータシステムであり、メモリには、制御部308を構成する各構成部の機能を実現するためのコンピュータプログラムが記憶されており、前記マイクロプロセッサが前記コンピュータプログラムに従って動作することにより、その機能を実現している。
クロロフィル濃度測定装置10bは、図22に示すクロロフィル濃度測定装置10と同様の構成を有している。ここでは、図22に示すクロロフィル濃度測定装置10との相違点を中心として説明する。
クロロフィル濃度測定装置10bは、クロロフィル濃度測定装置10が有する三分岐オプティカルファイバ304、フィルタ305a、305b、305c、受光素子306a、306b、306cに代えて、分光器313及び受光素子306を備えている。
分光器313は、Czerny-Turner配置の回析格子分光器である。分光器313は、入口スリットS1、出口スリットS2、入口スリットS1に焦点を置く球面コリメーター鏡M2(図示していない)、回折格子G(図示していない)、出口スリットS2に焦点を置く球面カメラ鏡M2(図示していない)から構成されている。入口スリットS1からの入射光は、球面コリメーター鏡M2により平行光に変換され、回折格子Gに入射する。回折格子Gによって、波長に依存した角度で回折された平行光は、球面カメラ鏡M2によって出口スリットS2上に結像される。回折格子Gの角度は、主制御部308dにより制御される。なお、分光器313は、他の種類の分光器、例えば、Michelson干渉形の分光器であるとしてもよい。出口スリットS2から出力光は、受光素子306へ照射される。
レンズ302は、対象物の表面で反射した光を、分光器313の入口スリットS1に集光する。
主制御部308dは、450nm、455nm、460nm、740nm、745nm、750nm、585nm、590nm及び595nmにおける波長成分を出力するように、分光器313を制御する。
微分部308eは、AD変換器307から、455nmの帯域におけるデジタル信号v1450 、v1455 及びv1460 を受け取る。ここで、デジタル信号v1450 、v1455 及びv1460 は、それぞれ、450nm、455nm及び460nmにおけるデジタル信号である。次に、デジタル信号v1450 、v1455 及びv1460 から、微分値v1を算出し、算出した微分値v1を指数演算部308aへ出力する。
同様に、微分部308eは、AD変換器307から、745nmの帯域におけるデジタル信号v2740 、v2745 及びv2750 を受け取る。ここで、デジタル信号v2740 、v2745 及びv2750 は、それぞれ、740nm、745nm及び750nmにおけるデジタル信号である。次に、デジタル信号v2740 、v2745 及びv2750 から、微分値v2を算出し、算出した微分値v2を指数演算部308aへ出力する。
さらに、微分部308eは、AD変換器307から、590nmの帯域におけるデジタル信号v3585 、v3590 及びv3595 を受け取る。ここで、デジタル信号v3585 、v3590 及びv3595 は、それぞれ、585nm、590nm及び595nmにおけるデジタル信号である。次に、デジタル信号v3585 、v3590 及びv3595 から、微分値v3を算出し、算出した微分値v3を指数演算部308aへ出力する。
指数演算部308aは、455nm、745nm及び590nmの光強度を示すデジタル信号の微分値v1、v2及びv3を受け取り、受け取ったデジタル信号を用いて、次の式により、クロロフィル指数xを算出する。
クロロフィル指数x=(v1−v2)/v3
指数演算部308aは、算出したクロロフィル指数xを濃度演算部308bへ出力する。
濃度演算部308bは、クロロフィル指数xを受け取り、受け取ったクロロフィル指数xを用いて、次の式により、推定クロロフィル濃度を算出する。
推定クロロフィル濃度=22.6+20.3x−0.996x2
次に、濃度演算部308bは、算出した推定クロロフィル濃度を表示制御部308cへ出力する。
表示制御部308cは、推定クロロフィル濃度を受け取ると、推定クロロフィル濃度を表示するように、表示部309を制御する。
表示部309は、推定クロロフィル濃度を、対象物のクロロフィル濃度として表示する。
3.2 クロロフィル濃度測定装置10bの動作
図32〜図33に示すフローチャートを用いて、クロロフィル濃度測定装置10bの詳細の動作について説明する。
主制御部308dは、図23のステップS101と同様に、反射板303の白色面のセットを要求し(ステップS201)、図23のステップS102と同様に、操作者は、反射板303の白色面をセットする(ステップS202)。
主制御部308dは、光源301に対して光を照射するように制御し、照射された光は、反射板303により反射し、レンズ302により集光し、分光器313の入力スリットS1に照射される。分光器313は、主制御部308dの制御により、450nm、455nm及び460nmの各波長成分の光を透過し、各波長成分の光は、受光素子306により受光され、AD変換器307は、各波長の光強度を示すデジタル信号を制御部308の主制御部308dへ出力する。また、分光器313は、主制御部308dの制御により、740nm、745nm及び750nmの各波長成分の光を透過し、各波長成分の光は、受光素子306により受光され、AD変換器307は、各波長の光強度を示すデジタル信号を制御部308の主制御部308dへ出力する。さらに、分光器313は、主制御部308dの制御により、585nm、590nm及び595nmの各波長成分の光を透過し、各波長成分の光は、受光素子306により受光され、AD変換器307は、各波長の光強度を示すデジタル信号を制御部308の主制御部308dへ出力する(ステップS203)。
主制御部308dは、450nm、455nm、460nm、740nm、745nm、750nm、585nm、590nm及び595nmの各波長成分の光強度を示すデジタル信号を受信すると、受信した各デジタル信号を白色強度W450 、W455 、W460 、W740 、W745 、W750 585 、W590 及びW595 として、情報記憶部308fへ書き込む(ステップS204)。
主制御部308dは、図23のステップS105と同様に、サクラの葉と反射板303の黒色面の配置を要求し(ステップS205)、図23のステップS106と同様に、操作者は、サクラの葉をセットし、反射板303の黒色面を配置する(ステップS206)。
次に、主制御部308dは、光源301に対して光を照射するように制御し、照射された光は、反射板303により反射し、レンズ302により集光し、分光器313の入力スリットS1に照射される。分光器313は、主制御部308dの制御により、450nm、455nm、460nm、740nm、745nm、750nm、585nm、590nm及び595nmの各波長成分の光を透過し、各波長成分の光は、受光素子306により受光され、AD変換器307は、各波長の光強度を示すデジタル信号を微分部308eへ出力する(ステップS207)。
次に、微分部308eは、450nm、455nm、460nm、740nm、745nm、750nm、585nm、590nm及び595nmの波長成分の光強度を示すデジタル信号を受信すると、以下の式に示すように、受信した各デジタル信号(受光強度Q450 、Q455 、Q460 、Q740 、Q745 、Q750 、Q585 、Q590 、Q595 )を、情報記憶部308fに記憶している白色強度W450 、W455 、W460 、W740 、W745 、W750 、W585 、W590 及びW595 により割ることにより、補正反射強度R450 、R455 、R460 、R740 、R745 、R750 、R585 、R590 及びR595 を算出し、算出して得られた各補正反射強度を情報記憶部308fへ書き込む(ステップS208)。
補正反射強度R450 =受光強度Q450 /白色強度W450
補正反射強度R455 =受光強度Q455 /白色強度W455
補正反射強度R460 =受光強度Q460 /白色強度W460
補正反射強度R740 =受光強度Q740 /白色強度W740
補正反射強度R745 =受光強度Q745 /白色強度W745
補正反射強度R750 =受光強度Q750 /白色強度W750
補正反射強度R585 =受光強度Q585 /白色強度W585
補正反射強度R590 =受光強度Q590 /白色強度W590
補正反射強度R595 =受光強度Q595 /白色強度W595
次に、微分部308eは、455nm帯域について、補正反射強度R450 、R455 及びR460 を用いて、1階微分値fR455 を算出し、745nm帯域について、補正反射強度R740 、R745 及びR750 を用いて、1階微分値fR745 を算出し、590nm帯域について、補正反射強度R585 、R590 及びR595 を用いて、1階微分値fR590 を算出し、1階微分値fR455 、1階微分値fR745 及び1階微分値fR590 を指数演算部308aへ出力する(ステップS209)。
次に、指数演算部308aは、以下に示す式により、クロロフィル指数xを算出する(ステップS210)。
クロロフィル指数x=(1階微分値fR455 − 1階微分値fR745 )/1階微分値fR590
次に、濃度演算部308bは、指数演算部308aから算出されたクロロフィル指数xを受け取り、受け取ったクロロフィル指数xを用いて、次の式により、推定クロロフィル濃度を算出する(ステップS211)。
推定クロロフィル濃度=22.6+20.3x−0.996x2
次に、濃度演算部308bは、算出した推定クロロフィル濃度を表示制御部308cへ出力し、表示制御部308cは、推定クロロフィル濃度を受け取ると、推定クロロフィル濃度を表示するように、表示部309を制御し、表示部309は、推定クロロフィル濃度をクロロフィル濃度として表示する(ステップS212)。
以上、実施の形態3のクロロフィル濃度測定装置10bは、図1のケース107に対して適用されることを説明した。
なお、実施の形態3は、図4のケース131、134、137の場合に同様に適用できる。
図4のケース131の場合には、555nm、755nm及び560nmの波長成分を用いればよい。この場合のクロロフィル濃度の推定式は、以下の通りである。
推定クロロフィル濃度=138.5+325.1x−35.0x2
また、図4のケース134の場合には、555nm、755nm及び565nmの波長成分を用いればよい。この場合のクロロフィル濃度の推定式は、以下の通りである。
推定クロロフィル濃度=116.4+386.5x−77.0x2
また、図4のケース137の場合には、570nm、585nm及び720nmの波長成分を用いればよい。この場合のクロロフィル濃度の推定式は、以下の通りである。
推定クロロフィル濃度=370.5e15.7x
3.3 変形例(1)
ここでは、実施の形態3の変形例(1)としてのクロロフィル濃度測定装置10bについて説明する。このクロロフィル濃度測定装置10bは、図31に示すクロロフィル濃度測定装置10bと同様の構成を有する。この変形例(1)としてのクロロフィル濃度測定装置10bは、図5のケース147に対して適用される装置であり、765nm、520nm及び825nmの波長成分を用いて、ソメイヨシノの葉のクロロフィルbの濃度を測定する。
変形例(1)としてのクロロフィル濃度測定装置10bにおいて、主制御部308dは、760nm、765nm、770nm、515nm、520nm、525nm、820nm、825nm及び830nmにおける波長成分を出力するように、分光器313を制御する。
次に、図34〜図35に示すフローチャートを用いて、実施の形態3の変形例(1)としてのクロロフィル濃度測定装置10bの詳細の動作について説明する。
主制御部308dは、図23のステップS101と同様に、反射板303の白色面のセットを要求し(ステップS231)、図23のステップS102と同様に、操作者は、反射板303の白色面をセットする(ステップS232)。
主制御部308dは、光源301に対して光を照射するように制御し、照射された光は、反射板303により反射し、レンズ302により集光し、分光器313の入力スリットS1に照射される。分光器313は、主制御部308dの制御により、760nm、765nm、770nm、515nm、520nm、525nm、820nm、825nm及び830nmの各波長成分の光を透過し、各波長成分の光は、受光素子306により受光され、AD変換器307は、各波長の光強度を示すデジタル信号を制御部308の主制御部308dへ出力する(ステップS233)。
主制御部308dは、760nm、765nm、770nm、515nm、520nm、525nm、820nm、825nm及び830nmの各波長成分の光強度を示すデジタル信号を受信すると、受信した各デジタル信号を白色強度W760 、W765 、W770 、W515 、W520 、W525 、W820 、W825 及びW830 として、情報記憶部308fへ書き込む(ステップS234)。
主制御部308dは、図23のステップS105と同様に、サクラの葉と反射板303の黒色面の配置を要求し(ステップS235)、図23のステップS106と同様に、操作者は、サクラの葉をセットし、反射板303の黒色面を配置する(ステップS236)。
次に、主制御部308dは、光源301に対して光を照射するように制御し、照射された光は、サクラの葉311の表面により反射し、レンズ302により集光し、分光器313の入力スリットS1に照射される。分光器313は、主制御部308dの制御により、760nm、765nm、770nm、515nm、520nm、525nm、820nm、825nm及び830nmの各波長成分の光を透過し、各波長成分の光は、受光素子306により受光され、AD変換器307は、各波長の光強度を示すデジタル信号を微分部308eへ出力する(ステップS237)。
次に、微分部308eは、760nm、765nm、770nm、515nm、520nm、525nm、820nm、825nm及び830nmの波長成分の光強度を示すデジタル信号を受信すると、以下の式に示すように、受信した各デジタル信号(受光強度Q760 、Q765 、Q770 、Q515 、Q520 、Q525 、Q820 、Q825 、Q830 )を、情報記憶部308fに記憶している白色強度W760 、W765 、W770 、W515 、W520 、W525 、W820 、W825 、W830 により割ることにより、補正反射強度R760 、R765 、R770 、R515 、R520 、R525 、R820 、R825 、R830 を算出し、算出して得られた各補正反射強度を情報記憶部308fへ書き込む(ステップS238)。
補正反射強度R760 =受光強度Q760 /白色強度W760
補正反射強度R765 =受光強度Q765 /白色強度W765
補正反射強度R770 =受光強度Q770 /白色強度W770
補正反射強度R515 =受光強度Q515 /白色強度W515
補正反射強度R520 =受光強度Q520 /白色強度W520
補正反射強度R525 =受光強度Q525 /白色強度W525
補正反射強度R820 =受光強度Q820 /白色強度W820
補正反射強度R825 =受光強度Q825 /白色強度W825
補正反射強度R830 =受光強度Q830 /白色強度W830
次に、主制御部308dは、サクラの葉をセットしたまま、反射板303の白色面をレンズ302側に向けて配置する旨の表示を、表示制御部308cを介して、表示部309へ出力し、表示部309は、その旨を表示する(ステップS239)。
操作者は、前記の表示を視認すると、反射板303の白色面をレンズ302側に向けて配置するとともに、反射板303の白色面をレンズ302側に向けての配置が完了したことを示す操作を入力部312に対して行う。入力部312は、当該操作を受け付け、受け付けた操作を主制御部308dへ出力する(ステップS240)。
次に、主制御部308dは、光源301に対して光を照射するように制御し、照射された光は、反射板303により反射し、レンズ302により集光し、分光器313の入力スリットS1に照射される。分光器313は、主制御部308dの制御により、760nm、765nm、770nm、515nm、520nm、525nm、820nm、825nm及び830nmの各波長成分の光を透過し、各波長成分の光は、受光素子306により受光され、AD変換器307は、各波長の光強度を示すデジタル信号を微分部308eへ出力する(ステップS241)。
次に、微分部308eは、760nm、765nm、770nm、515nm、520nm、525nm、820nm、825nm及び830nmの波長成分の光強度を示すデジタル信号を受信すると、以下の式に示すように、受信した各デジタル信号(受光強度S760 、S765 、S770 、S515 、S520 、S525 、S820 、S825 、S830 )を、情報記憶部308fに記憶している白色強度W760 、W765 、W770 、W515 、W520 、W525 、W820 、W825 、W830 により割り、情報記憶部308fに記憶している補正反射強度R760 、R765 、R770 、R515 、R520 、R525 、R820 、R825 、R830 を引くことにより、演算透過強度を算出する(ステップS242)。
演算透過強度T760 =受光強度S760 /白色強度W760 − 補正反射強度R760
演算透過強度T765 =受光強度S765 /白色強度W765 − 補正反射強度R765
演算透過強度T770 =受光強度S770 /白色強度W770 − 補正反射強度R770
演算透過強度T515 =受光強度S515 /白色強度W515 − 補正反射強度R515
演算透過強度T520 =受光強度S520 /白色強度W520 − 補正反射強度R520
演算透過強度T525 =受光強度S525 /白色強度W525 − 補正反射強度R525
演算透過強度T820 =受光強度S820 /白色強度W820 − 補正反射強度R820
演算透過強度T825 =受光強度S825 /白色強度W825 − 補正反射強度R825
演算透過強度T830 =受光強度S830 /白色強度W830 − 補正反射強度R830
次に、微分部308eは、以下の式に示すように、吸収強度を算出する(ステップS243)。
吸収強度A760 =1 − 補正反射強度R760 − 演算透過強度T760
吸収強度A765 =1 − 補正反射強度R765 − 演算透過強度T765
吸収強度A770 =1 − 補正反射強度R770 − 演算透過強度T770
吸収強度A515 =1 − 補正反射強度R515 − 演算透過強度T515
吸収強度A520 =1 − 補正反射強度R520 − 演算透過強度T520
吸収強度A525 =1 − 補正反射強度R525 − 演算透過強度T525
吸収強度A820 =1 − 補正反射強度R820 − 演算透過強度T820
吸収強度A825 =1 − 補正反射強度R825 − 演算透過強度T825
吸収強度A830 =1 − 補正反射強度R830 − 演算透過強度T830
次に、微分部308eは、765nm帯域について、吸収強度A760 、A765 及びA770 を用いて、1階微分値fA765 を算出し、520nm帯域について、吸収強度A515 、A520 及びA525 を用いて、1階微分値fA520 を算出し、825nm帯域について、吸収強度A820 、A825 及びA830 を用いて、1階微分値fA825 を算出し、1階微分値fA765 、1階微分値fA520 及び1階微分値fA825 を指数演算部308aへ出力する(ステップS244)。
次に、指数演算部308aは、以下に示す式により、クロロフィル指数xを算出する(ステップS245)。
クロロフィル指数x=(1階微分値fA765 − 1階微分値fA520 )/1階微分値fA825
次に、濃度演算部308bは、指数演算部308aから算出されたクロロフィル指数xを受け取り、受け取ったクロロフィル指数xを用いて、次の式により、推定クロロフィル濃度を算出する(ステップS246)。
推定クロロフィル濃度=149.3+9.72x+0.250x2
次に、濃度演算部308bは、算出した推定クロロフィル濃度を表示制御部308cへ出力し、表示制御部308cは、推定クロロフィル濃度を受け取ると、推定クロロフィル濃度を表示するように、表示部309を制御し、表示部309は、推定クロロフィル濃度をクロロフィル濃度として表示する(ステップS247)。
以上、実施の形態3の変形例(1)としてのクロロフィル濃度測定装置10bは、図5のケース147に対して適用されることを説明した。
3.4 変形例(2)
ここでは、実施の形態3の変形例(2)としてのクロロフィル濃度測定装置10bについて説明する。このクロロフィル濃度測定装置10bは、図31に示すクロロフィル濃度測定装置10bと同様の構成を有する。この変形例(2)としてのクロロフィル濃度測定装置10bは、図6のケース157に対して適用される装置であり、845nm、730nm及び735nmの波長成分を用いて、ソメイヨシノの葉のクロロフィルbの濃度を測定する。
変形例(2)としてのクロロフィル濃度測定装置10bにおいて、主制御部308dは、840nm、845nm、850nm、725nm、730nm、735nm、740nmにおける波長成分を出力するように、分光器313を制御する。
次に、図36〜図37に示すフローチャートを用いて、実施の形態3の変形例(2)としてのクロロフィル濃度測定装置10bの詳細の動作について説明する。
主制御部308dは、図23のステップS101と同様に、反射板303の白色面のセットを要求し(ステップS261)、図23のステップS102と同様に、操作者は、反射板303の白色面をセットする(ステップS262)。
主制御部308dは、光源301に対して光を照射するように制御し、照射された光は、反射板303により反射し、レンズ302により集光し、分光器313の入力スリットS1に照射される。分光器313は、主制御部308dの制御により、840nm、845nm、850nm、725nm、730nm、735nm、740nmの各波長成分の光を透過し、各波長成分の光は、受光素子306により受光され、AD変換器307は、各波長の光強度を示すデジタル信号を制御部308の主制御部308dへ出力する(ステップS263)。
主制御部308dは、840nm、845nm、850nm、725nm、730nm、735nm、740nmの各波長成分の光強度を示すデジタル信号を受信すると、受信した各デジタル信号を白色強度W840 、W845 、W850 、W725 、W730 、W735 、W740 として、情報記憶部308fへ書き込む(ステップS264)。
主制御部308dは、図23のステップS105と同様に、サクラの葉と反射板303の黒色面の配置を要求し(ステップS265)、図23のステップS106と同様に、操作者は、サクラの葉をセットし、反射板303の黒色面を配置する(ステップS266)。
次に、主制御部308dは、光源301に対して光を照射するように制御し、照射された光は、サクラの葉311の表面により反射し、レンズ302により集光し、分光器313の入力スリットS1に照射される。分光器313は、主制御部308dの制御により、840nm、845nm、850nm、725nm、730nm、735nm、740nmの各波長成分の光を透過し、各波長成分の光は、受光素子306により受光され、AD変換器307は、各波長の光強度を示すデジタル信号を微分部308eへ出力する(ステップS267)。
次に、微分部308eは、840nm、845nm、850nm、725nm、730nm、735nm、740nmの波長成分の光強度を示すデジタル信号を受信すると、以下の式に示すように、受信した各デジタル信号(受光強度Q840 、Q845 、Q850 、Q725 、Q730 、Q735 、Q740 )を、 情報記憶部308fに記憶している白色強度W840 、W845 、W850 、W725 、W730 、W735 、W740 により割ることにより、補正反射強度R840 、R845 、R850 、R725 、R730 、R735 、R740 を算出し、算出して得られた各補正反射強度を情報記憶部308fへ書き込む(ステップS268)。
補正反射強度R840 =受光強度Q840 /白色強度W840
補正反射強度R845 =受光強度Q845 /白色強度W845
補正反射強度R850 =受光強度Q850 /白色強度W850
補正反射強度R725 =受光強度Q725 /白色強度W725
補正反射強度R730 =受光強度Q730 /白色強度W730
補正反射強度R735 =受光強度Q735 /白色強度W735
補正反射強度R740 =受光強度Q740 /白色強度W740
次に、主制御部308dは、サクラの葉をセットしたまま、反射板303の白色面をレンズ302側に向けて配置する旨の表示を、表示制御部308cを介して、表示部309へ出力し、表示部309は、その旨を表示する(ステップS269)。
操作者は、前記の表示を視認すると、反射板303の白色面をレンズ302側に向けて配置するとともに、反射板303の白色面をレンズ302側に向けての配置が完了したことを示す操作を入力部312に対して行う。入力部312は、当該操作を受け付け、受け付けた操作を主制御部308dへ出力する(ステップS270)。
次に、主制御部308dは、光源301に対して光を照射するように制御し、照射された光は、サクラの葉311の表面及び反射板303により反射し、レンズ302により集光し、分光器313の入力スリットS1に照射される。分光器313は、主制御部308dの制御により、840nm、845nm、850nm、725nm、730nm、735nm、740nmの各波長成分の光を透過し、各波長成分の光は、受光素子306により受光され、AD変換器307は、各波長の光強度を示すデジタル信号を制御部308の微分部308eへ出力する(ステップS271)。
次に、微分部308eは、840nm、845nm、850nm、725nm、730nm、735nm、740nmの波長成分の光強度を示すデジタル信号を受信すると、以下の式に示すように、受信した各デジタル信号(受光強度S840 、S845 、S850 、S725 、S730 、S735 、S740 )を、情報記憶部308fに記憶している白色強度W840 、W845 、W850 、W725 、W730 、W735 、W740 により割り、情報記憶部308fに記憶している補正反射強度R840 、R845 、R850 、R725 、R730 、R735 、R740 を引くことにより、演算透過強度を算出する(ステップS272)。
演算透過強度T840 =受光強度S840 /白色強度W840 − 補正反射強度R840
演算透過強度T845 =受光強度S845 /白色強度W845 − 補正反射強度R845
演算透過強度T850 =受光強度S850 /白色強度W850 − 補正反射強度R850
演算透過強度T725 =受光強度S725 /白色強度W725 − 補正反射強度R725
演算透過強度T730 =受光強度S730 /白色強度W730 − 補正反射強度R730
演算透過強度T735 =受光強度S735 /白色強度W735 − 補正反射強度R735
演算透過強度T740 =受光強度S740 /白色強度W740 − 補正反射強度R740
次に、微分部308eは、845nm帯域について、演算透過強度T840 、T845 及びT850 を用いて、1階微分値fT845 を算出し、730nm帯域について、演算透過強度T725 、T730 及びT735 を用いて、1階微分値fT730 を算出し、735nm帯域について、演算透過強度T730 、T735 及びT740 を用いて、1階微分値fT735 を算出し、1階微分値fT845 、1階微分値fT730 及び1階微分値fT735 を指数演算部308aへ出力する(ステップS273)。
次に、指数演算部308aは、以下に示す式により、クロロフィル指数xを算出する(ステップS274)。
クロロフィル指数x=(1階微分値fT845 − 1階微分値fT730 )/1階微分値fT735
次に、濃度演算部308bは、指数演算部308aから算出されたクロロフィル指数xを受け取り、受け取ったクロロフィル指数xを用いて、次の式により、推定クロロフィル濃度を算出する(ステップS275)。
推定クロロフィル濃度=1300.2+1643.8x+524.2x2
次に、濃度演算部308bは、算出した推定クロロフィル濃度を表示制御部308cへ出力し、表示制御部308cは、推定クロロフィル濃度を受け取ると、推定クロロフィル濃度を表示するように、表示部309を制御し、表示部309は、推定クロロフィル濃度をクロロフィル濃度として表示する(ステップS276)。
以上、実施の形態3の変形例(2)としてのクロロフィル濃度測定装置10bは、図6のケース157に対して適用されることを説明した。
なお、変形例(2)は、図3のケース121、127の場合に同様に適用でき、図6のケース151、154の場合に同様に適用できる。
図3のケース121の場合には、760nm、770nm及び710nmの波長成分を用いればよい。この場合のクロロフィル濃度の推定式は、以下の通りである。
推定クロロフィル濃度=55.1+4640.3x−11670.3x2
また、図3のケース127の場合には、970nm、725nm及び740nmの波長成分を用いればよい。この場合のクロロフィル濃度の推定式は、以下の通りである。
推定クロロフィル濃度=577.7e1.11x
また、図6のケース151の場合には、845nm、720nm及び725nmの波長成分を用いればよい。この場合のクロロフィル濃度の推定式は、以下の通りである。
推定クロロフィル濃度=9263.9e3.33x
また、図6のケース154の場合には、835nm、725nm及び730nmの波長成分を用いればよい。この場合のクロロフィル濃度の推定式は、以下の通りである。
推定クロロフィル濃度=2991.0+3863.0x+1270.2x2
4.実施の形態4
本発明に係る別の実施の形態としてのクロロフィル濃度測定装置10cについて説明する。
クロロフィル濃度測定装置10cは、図6のケース157に対して適用される装置であり、845nm、730nm及び735nmの波長成分を用いて、ヤマザクラのクロロフィルbの濃度を測定する。
4.1 クロロフィル濃度測定装置10cの構成
クロロフィル濃度測定装置10cは、図38に示すように、光源301、レンズ302a、分光器313、受光素子306、AD変換器307、制御部308、表示部309、電源部310、入力部312及び光ファイバ314から構成されている。制御部308は、微分部308e、指数演算部308a、濃度演算部308b、表示制御部308c、主制御部308d及び情報記憶部308fから構成されている。
クロロフィル濃度測定装置10cは、図31に示すクロロフィル濃度測定装置10bと同様の構成を有している。図31に示すクロロフィル濃度測定装置10bとの相違点は、以下の通りである。つまり、図31に示すクロロフィル濃度測定装置10bにおいては、クロロフィル濃度の検出対象であるサクラの葉311に対して、同一側に、光源301及びレンズ302が配されている。これに対して、クロロフィル濃度測定装置10cにおいては、クロロフィル濃度の検出対象であるサクラの葉311に対して、一方の側に、光源301が配され、他方の側に、レンズ302が配されている。また、クロロフィル濃度測定装置10cは、反射板を備えていない。
光源301は、主制御部308dの制御により、測定の対象物であるサクラの葉311に向けて、光を照射する。
レンズ302は、その光軸が、サクラの葉311の表面に対して垂直となるように、配置されている。レンズ302は、サクラの葉311を透過した光を、光ファイバ314の端面の中央に集光する。
光ファイバ314の一端の端面の中央は、レンズ302aの焦点位置に配置され、他端の端面は、分光器313の入力スリットS1に接続されている。
光源301から照射された光は、サクラの葉311を透過し、透過光が、レンズ302a、光ファイバ314を介して、分光器313の入力スリットS1に入射される。
主制御部308dは、840nm、845nm、850nm、725nm、730nm、735nm、740nmにおける各波長成分を出力するように、分光器313を制御する。
4.2 クロロフィル濃度測定装置10cの動作
次に、図39〜図40に示すフローチャートを用いて、クロロフィル濃度測定装置10cの詳細の動作について説明する。
主制御部308dは、サクラの葉をセットしない(つまり、ブランクの)旨の表示を、表示制御部308cを介して、表示部309へ出力し、表示部309は、その旨を表示する(ステップS281)。
操作者は、前記の表示を視認すると、サクラの葉をセットしていない状態が完了したことを示す操作を入力部312に対して行う。入力部312は、当該操作を受け付け、受け付けた操作を主制御部308dへ出力する(ステップS282)。
主制御部308dは、光源301に対して光を照射するように制御し、照射された光がレンズ302aにより集光し、光ファイバ314を介して、分光器313の入力スリットS1に照射される。分光器313は、主制御部308dの制御により、840nm、845nm、850nm、725nm、730nm、735nm、740nmの各波長成分の光を透過し、各波長成分の光は、受光素子306により受光され、AD変換器307は、各波長の光強度を示すデジタル信号を制御部308の主制御部308dへ出力する(ステップS283)。
主制御部308dは、840nm、845nm、850nm、725nm、730nm、735nm、740nmの各波長成分の光強度を示すデジタル信号を受信すると、受信した各デジタル信号を白色強度W840 、W845 、W850 、W725 、W730 、W735 、W740 として、情報記憶部308fへ書き込む(ステップS284)。
主制御部308dは、サクラの葉をセットする旨の表示を、表示制御部308cを介して、表示部309へ出力し、表示部309は、その旨を表示する(ステップS285)。
操作者は、前記の表示を視認すると、サクラの葉をセットし、サクラの葉のセットが完了したことを示す操作を入力部312に対して行う。入力部312は、当該操作を受け付け、受け付けた操作を主制御部308dへ出力する(ステップS286)。
次に、主制御部308dは、光源301に対して光を照射するように制御し、照射された光は、サクラの葉311を透過し、透過光がレンズ302aにより集光し、光ファイバ314を介して、分光器313の入力スリットS1に照射される。分光器313は、主制御部308dの制御により、840nm、845nm、850nm、725nm、730nm、735nm、740nmの各波長成分の光を透過し、各波長成分の光は、受光素子306により受光され、AD変換器307は、各波長の光強度を示すデジタル信号を制御部308の微分部308eへ出力する(ステップS287)。
次に、微分部308eは、840nm、845nm、850nm、725nm、730nm、735nm、740nmの波長成分の光強度を示すデジタル信号を受信すると、以下の式に示すように、受信した各デジタル信号(受光強度Q840 、Q845 、Q850 、Q725 、Q730 、Q735 、Q740 )を、情報記憶部308fに記憶している白色強度W840 、W845 、W850 、W725 、W730 、W735 、W740 により割ることにより、補正透過強度T840 、T845 、T850 、T725 、T730 、T735 、T740 を算出する(ステップS288)。
補正透過強度T840 =受光強度Q840 /白色強度W840
補正透過強度T845 =受光強度Q845 /白色強度W845
補正透過強度T850 =受光強度Q850 /白色強度W850
補正透過強度T725 =受光強度Q725 /白色強度W725
補正透過強度T730 =受光強度Q730 /白色強度W730
補正透過強度T735 =受光強度Q735 /白色強度W735
補正透過強度T740 =受光強度Q740 /白色強度W740
次に、微分部308eは、845nm帯域について、補正透過強度T840 、T845 及びT850 を用いて、1階微分値fT845 を算出し、730nm帯域について、補正演算透過強度T725 、T730 及びT735 を用いて、1階微分値fT730 を算出し、735nm帯域について、補正透過強度T730 、T735 及びT740 を用いて、1階微分値fT735 を算出し、1階微分値fT845 、1階微分値fT730 及び1階微分値fT735 を指数演算部308aへ出力する(ステップS289)。
次に、指数演算部308aは、以下に示す式により、クロロフィル指数xを算出する(ステップS290)。
クロロフィル指数x=(1階微分値fT845 − 1階微分値fT730 )/1階微分値fT735
次に、濃度演算部308bは、指数演算部308aから算出されたクロロフィル指数xを受け取り、受け取ったクロロフィル指数xを用いて、次の式により、推定クロロフィル濃度を算出する(ステップS291)。
推定クロロフィル濃度=1300.2+1643.8x+524.2x2
次に、濃度演算部308bは、算出した推定クロロフィル濃度を表示制御部308cへ出力し、表示制御部308cは、推定クロロフィル濃度を受け取ると、推定クロロフィル濃度を表示するように、表示部309を制御し、表示部309は、推定クロロフィル濃度をクロロフィル濃度として表示する(ステップS292)。
以上、実施の形態4のクロロフィル濃度測定装置10cは、図6のケース157に対して適用されることを説明した。
なお、実施の形態4は、図3のケース121、127の場合に同様に適用でき、 図6のケース151、154の場合に同様に適用できる。
図3のケース121の場合には、760nm、770nm及び710nmの波長成分を用いればよい。この場合のクロロフィル濃度の推定式は、以下の通りである。
推定クロロフィル濃度=55.1+4640.3x−11670.3x2
また、図3のケース127の場合には、970nm、725nm及び740nmの波長成分を用いればよい。この場合のクロロフィル濃度の推定式は、以下の通りである。
推定クロロフィル濃度=577.7e1.11x
また、図6のケース151の場合には、845nm、720nm及び725nmの波長成分を用いればよい。この場合のクロロフィル濃度の推定式は、以下の通りである。
推定クロロフィル濃度=9263.9e3.33x
また、図6のケース154の場合には、835nm、725nm及び730nmの波長成分を用いればよい。この場合のクロロフィル濃度の推定式は、以下の通りである。
推定クロロフィル濃度=2991.0+3863.0x+1270.2x2
5.性能の表示
ソメイヨシノの葉における反射スペクトル、吸収スペクトル及び透過スペクトルによる最適なクロロフィル指数の性能の一例を、それぞれ、図42〜図44に示す。
図42、図43、図44において、横軸に、それぞれ、クロロフィル指数(fR555 −fR755 )/fR560 、(A710 −A700 )/A540 、(fT645 −fT720 )/T725 を取り、縦軸に、クロロフィルa+bの濃度(mg/m2)を取り、採取したサンプルについて得られたクロロフィル指数及びクロロフィルa+bの濃度をプロットした。
また、ヤマザクラの葉における反射スペクトル、吸収スペクトル及び透過スペクトルによる最適なクロロフィル指数の性能の一例を、それぞれ、図45〜図47に示す。
図45、図46、図47において、横軸に、それぞれ、クロロフィル指数(R915 −R645 )/(R620 −R645 )、(sA690 −sA655 )、(fT760 −fT770 )/fT710 を取り、縦軸に、クロロフィルa+bの濃度(mg/m2)を取り、採取したサンプルについて得られたクロロフィル指数及びクロロフィルa+bの濃度をプロットした。
図48及び図49には、それぞれ、ソメイヨシノ及びヤマザクラについてのSPADの性能を示している。
また、図50及び図51には、それぞれ、ソメイヨシノ及びヤマザクラの葉における既存指数(R850 −R710 )/(R850 −R680 )の性能を示す。
また、図52及び図53には、それぞれ、ソメイヨシノ及びヤマザクラの葉における既存指数(R770-800 /R720-730 )−1の性能を示す。
さらに、図54及び図55には、それぞれ、ソメイヨシノ及びヤマザクラの葉における既存指数(fR754 /fR704 )の性能を示す。
6.その他の変形例
なお、本発明を上記の実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されないのはもちろんである。以下のような場合も本発明に含まれる。
(1)図41に示すクロロフィル濃度測定装置10dは、光源301、レンズ302、レンズ302a、反射板303、分光器313、受光素子306、AD変換器307、制御部308、表示部309、電源部310及び入力部312から構成されている。制御部308は、微分部308e、指数演算部308a、濃度演算部308b、表示制御部308c、主制御部308d及び情報記憶部308fから構成されている。
クロロフィル濃度測定装置10dは、サクラの葉311の表面による反射光を受光し、又はサクラの葉311を透過する透過光を受光することを目的としている。
(2)上記の各実施の形態及び各変形例において、微分部308eは、3個のデジタル信号から、微分値を算出している。しかし、本発明は、これには、限定されない。さらに多くのデジタル信号から微分値を算出するとしてもよい。
(3)本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。ここで、コンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
また、本発明は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD―ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc)、半導体メモリなど、に記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号であるとしてもよい。
また、本発明は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリとを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムに従って動作するとしてもよい。
また、前記プログラム又は前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、又は前記プログラム又は前記デジタル信号を前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
(4)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
本発明の装置及び方法は、特定の植物の葉のクロロフィル濃度の精度高い測定を可能としている。サクラ類などの植物の活力評価は、その植物の管理のために重要であり、本発明の装置及び方法は、これらの植物の管理において、有効に利用することができる。
10、10a〜10d クロロフィル濃度測定装置
301 光源
302 レンズ
303 反射板
304 三分岐オプティカルファイバ
305a、305a、305b フィルタ
306 受光素子
306a、306a、306b 受光素子
307 AD変換器
308 制御部
308a 指数演算部
308b 濃度演算部
308c 表示制御部
308d 主制御部
308e 微分部
308f 情報記憶部
309 表示部
310 電源部
312 入力部
313 分光器

Claims (17)

  1. 植物の葉のクロロフィル濃度を測定するクロロフィル濃度測定装置であって、
    測定の対象物に光を照射する照射手段と、
    前記対象物からの3種類の波長の応答光を受ける受光手段と、
    各応答光の強度指数v1、v2及びv3を用いて、(v1−v2)/v3によりクロロフィル指数を算出する指数算出手段と、
    算出したクロロフィル指数を用いて、濃度演算式により、クロロフィルの推定濃度を算出する濃度算出手段と、
    算出した推定濃度を、前記対象物のクロロフィル濃度として出力する出力手段と
    を備えることを特徴とするクロロフィル濃度測定装置。
  2. 前記クロロフィル濃度測定装置は、ヤマザクラの葉のクロロフィルbの濃度を測定し、前記対象物は、ヤマザクラの葉であり、
    前記受光手段は、前記応答光として、波長455nm、745nm及び590nmそれぞれを含む帯域において、背面に黒色反射板を配した前記対象物表面からの反射光を受け、
    前記指数算出手段は、それぞれの帯域において、前記強度指数v1、v2及びv3として、前記反射光の強度の一階微分値fR1、fR2及びfR3を算出し、前記クロロフィル指数x=(fR1−fR2)/fR3を算出し、
    前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式22.6+20.3x−0.996x2 により、前記推定濃度を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載のクロロフィル濃度測定装置。
  3. 前記クロロフィル濃度測定装置は、ヤマザクラの葉のクロロフィルbの濃度を測定し、前記対象物は、ヤマザクラの葉であり、
    前記受光手段は、前記応答光として、波長950nm、400nm及び725nmにおいて、背面に黒色反射板を配した前記対象物表面からの反射光を受け、
    前記指数算出手段は、それぞれの帯域において、前記強度指数v1、v2及びv3として、前記反射光の強度R1、R2及びR3を用いて、前記クロロフィル指数x=(R1−R2)/R3を算出し、
    前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式−235.4+256.7xにより、前記推定濃度を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載のクロロフィル濃度測定装置。
  4. 前記クロロフィル濃度測定装置は、ヤマザクラの葉のクロロフィルa及びクロロフィルbを合わせた濃度を測定し、前記対象物は、ヤマザクラの葉であり、
    前記受光手段は、波長760nm、770nm及び710nmそれぞれを含む帯域において、前記応答光を受け、
    前記指数算出手段は、それぞれの帯域において、透過光の前記強度指数v1、v2及びv3として、前記応答光に基づく強度の一階微分値fT1、fT2及びfT3を算出し、前記クロロフィル指数x=(fT1−fT2)/fT3を算出し、
    前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式55.1+4640.3x−11670.3x2 により、前記推定濃度を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載のクロロフィル濃度測定装置。
  5. 前記クロロフィル濃度測定装置は、ヤマザクラの葉のクロロフィルbの濃度を測定し、前記対象物は、ヤマザクラの葉であり、
    前記受光手段は、波長970nm、725nm及び740nmそれぞれを含む帯域において、前記応答光を受け、
    前記指数算出手段は、それぞれの帯域において、透過光の前記強度指数v1、v2及びv3として、前記応答光に基づく強度の一階微分値fT1、fT2及びfT3を算出し、前記クロロフィル指数x=(fT1−fT2)/fT3を算出し、
    前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式577.7e1.11x により、前記推定濃度を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載のクロロフィル濃度測定装置。
  6. 前記クロロフィル濃度測定装置は、ソメイヨシノの葉のクロロフィルa及びクロロフィルbを合わせた濃度を測定し、前記対象物は、ソメイヨシノの葉であり、
    前記受光手段は、前記応答光として、波長555nm、755nm及び560nmそれぞれを含む帯域において、背面に黒色反射板を配した前記対象物表面からの反射光を受け、
    前記指数算出手段は、それぞれの帯域において、前記強度指数v1、v2及びv3として、前記反射光の強度の一階微分値fR1、fR2及びfR3を算出し、前記クロロフィル指数x=(fR1−fR2)/fR3を算出し、
    前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式138.5+325.1x−35.0x2 により、前記推定濃度を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載のクロロフィル濃度測定装置。
  7. 前記クロロフィル濃度測定装置は、ソメイヨシノの葉のクロロフィルaの濃度を測定し、前記対象物は、ソメイヨシノの葉であり、
    前記受光手段は、前記応答光として、波長555nm、755nm及び565nmそれぞれを含む帯域において、背面に黒色反射板を配した前記対象物表面からの反射光を受け、
    前記指数算出手段は、それぞれの帯域において、前記強度指数v1、v2及びv3として、前記反射光の強度の一階微分値fR1、fR2及びfR3を算出し、前記クロロフィル指数x=(fR1−fR2)/fR3を算出し、
    前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式116.4+386.5x−77.0x2 により、前記推定濃度を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載のクロロフィル濃度測定装置。
  8. 前記クロロフィル濃度測定装置は、ソメイヨシノの葉のクロロフィルbの濃度を測定し、前記対象物は、ソメイヨシノの葉であり、
    前記受光手段は、前記応答光として、波長570nm、585nm及び720nmそれぞれを含む帯域において、背面に黒色反射板を配した前記対象物表面からの反射光を受け、
    前記指数算出手段は、それぞれの帯域において、前記強度指数v1、v2及びv3として、前記反射光の強度の一階微分値fR1、fR2及びfR3を算出し、前記クロロフィル指数x=(fR1−fR2)/fR3を算出し、
    前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式370.5e15.7x により、前記推定濃度を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載のクロロフィル濃度測定装置。
  9. 前記クロロフィル濃度測定装置は、ソメイヨシノの葉のクロロフィルa及びクロロフィルbを合わせた濃度を測定し、前記対象物は、ソメイヨシノの葉であり、
    前記受光手段は、前記応答光として、波長710nm、700nm及び540nmにおいて、背面に黒色反射板を配した前記対象物表面からの第1反射光を受け、背面に白色反射板を配した前記対象物表面からの第2反射光を受け、
    前記指数算出手段は、波長710nm、700nm及び540nmにおける第1反射光の強度R1、R2、R3、第2反射光と第1反射光との差分により求めた透過光の強度T1、T2、T3により、前記強度指数v1、v2、v3として、吸収光の強度A1=1−R1−T1、A2=1−R2−T2及びA3=1−R3−T3を算出し、前記クロロフィル指数x=(A1−A2)/A3を算出し、
    前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式1516.8e8.20x により、前記推定濃度を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載のクロロフィル濃度測定装置。
  10. 前記クロロフィル濃度測定装置は、ソメイヨシノの葉のクロロフィルaの濃度を測定し、前記対象物は、ソメイヨシノの葉であり、
    前記受光手段は、前記応答光として、波長710nm、700nm及び560nmにおいて、背面に黒色反射板を配した前記対象物表面からの第1反射光を受け、背面に白色反射板を配した前記対象物表面からの第2反射光を受け、
    前記指数算出手段は、波長710nm、700nm及び560nmにおける第1反射光の強度R1、R2、R3、第2反射光と第1反射光との差分により求めた透過光の強度T1、T2、T3により、前記強度指数v1、v2、v3として、吸収光の強度A1=1−R1−T1、A2=1−R2−T2及びA3=1−R3−T3を算出し、前記クロロフィル指数x=(A1−A2)/A3を算出し、
    前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式1146.0e7.94x により、前記推定濃度を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載のクロロフィル濃度測定装置。
  11. 前記クロロフィル濃度測定装置は、ソメイヨシノの葉のクロロフィルbの濃度を測定し、前記対象物は、ソメイヨシノの葉であり、
    前記受光手段は、前記応答光として、波長765nm、520nm及び825nmそれぞれを含む帯域において、背面に黒色反射板を配した前記対象物表面からの第1反射光を受け、背面に白色反射板を配した前記対象物表面からの第2反射光を受け、
    前記指数算出手段は、それぞれの帯域において、第1反射光の強度R1、R2、R3、第2反射光と第1反射光との差分により求めた透過光の強度T1、T2、T3により、前記強度指数v1、v2、v3として、吸収光の強度A1=1−R1−T1、A2=1−R2−T2及びA3=1−R3−T3を算出し、それぞれの帯域において、前記強度指数として、前記吸収光の強度の一階微分値fA1、fA2及びfA3を算出し、前記クロロフィル指数x=(fA1−fA2)/fA3を算出し、
    前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式149.3+9.72x+0.250x2 により、前記推定濃度を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載のクロロフィル濃度測定装置。
  12. 前記クロロフィル濃度測定装置は、ソメイヨシノの葉のクロロフィルa及びクロロフィルbを合わせた濃度を測定し、前記対象物は、ソメイヨシノの葉であり、
    前記受光手段は、前記応答光として、波長845nm、720nm及び725nmのそれぞれを含む帯域において、前記対象物からの透過光を受け、
    前記指数算出手段は、それぞれの帯域において、前記強度指数v1、v2、v3として、前記透過光の強度の一階微分値fT1、fT2及びfT3を算出し、前記クロロフィル指数x=(fT1−fT2)/fT3を算出し、
    前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式9263.9e3.33x により、前記推定濃度を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載のクロロフィル濃度測定装置。
  13. 前記クロロフィル濃度測定装置は、ソメイヨシノの葉のクロロフィルaの濃度を測定し、前記対象物は、ソメイヨシノの葉であり、
    前記受光手段は、前記応答光として、波長835nm、725nm及び730nmのそれぞれを含む帯域において、前記対象物からの透過光を受け、
    前記指数算出手段は、それぞれの帯域において、前記強度指数v1、v2、v3として、前記透過光の強度の一階微分値fT1、fT2及びfT3を算出し、前記クロロフィル指数x=(fT1−fT2)/fT3を算出し、
    前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式2991.0+3863.0x+1270.2x2 により、前記推定濃度を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載のクロロフィル濃度測定装置。
  14. 前記クロロフィル濃度測定装置は、ソメイヨシノの葉のクロロフィルbの濃度を測定し、前記対象物は、ソメイヨシノの葉であり、
    前記受光手段は、前記応答光として、波長845nm、730nm及び735nmのそれぞれを含む帯域において、前記対象物からの透過光を受け、
    前記指数算出手段は、それぞれの帯域において、前記強度指数v1、v2、v3として、前記透過光の強度の一階微分値fT1、fT2及びfT3を算出し、前記クロロフィル指数x=(fT1−fT2)/fT3を算出し、
    前記濃度算出手段は、算出したクロロフィル指数xを用いて、濃度演算式1300.2+1643.8x+524.2x2 により、前記推定濃度を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載のクロロフィル濃度測定装置。
  15. 前記受光手段は、前記応答光として、それぞれの帯域の各波長において、背面に黒色反射板を配した前記対象物表面からの第1反射光を受け、背面に白色反射板を配した前記対象物表面からの第2反射光を受け、
    前記指数算出手段は、それぞれの帯域の各波長において、第2反射光と第1反射光との差分により推定透過光の強度を算出する
    ことを特徴とする請求項4〜5及び12〜14のいずれかに記載のクロロフィル濃度測定装置。
  16. 前記受光手段は、前記応答光として、それぞれの帯域の各波長において、前記対象物を透過した透過光を受け、
    前記指数算出手段は、それぞれの帯域の各波長において、前記透過光の強度を算出する
    ことを特徴とする請求項4〜5及び12〜14のいずれかに記載のクロロフィル濃度測定装置。
  17. 植物の葉のクロロフィル濃度を測定するクロロフィル濃度測定装置で用いられるクロロフィル濃度測定方法であって、
    測定の対象物に光を照射する照射ステップと、
    前記対象物からの3種類の波長の応答光を受ける受光ステップと、
    各応答光の強度指数v1、v2及びv3を用いて、(v1−v2)/v3によりクロロフィル指数を算出する指数算出ステップと、
    算出したクロロフィル指数を用いて、濃度演算式により、クロロフィルの推定濃度を算出する濃度算出ステップと、
    算出した推定濃度を、前記対象物のクロロフィル濃度として出力する出力ステップと
    を含むことを特徴とするクロロフィル濃度測定方法。
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