JP2011038795A - エンコーダ装置、制御システム及び観察装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型軽量化及び省配線化を図ることができるエンコーダ装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るエンコーダ装置は、センサドグ10とセンサ20とを有し、センサドグ10が移動部30に設けられ、X軸方向で原点位置P0を基準とした移動部30の位置を検出するためのインクリメンタル型のエンコーダ装置である。センサドグ10には、センサ20が反応するドグ凸部11とセンサ20が反応しないスリット部12とがX軸方向に交互に設けられ、ドグ凸部11の幅とスリット部12の幅との比は、原点位置P0を境に異なっており、センサ20は、移動部30が原点位置P0にあることを検出するためにも使用される。
【選択図】図2

Description

本発明は、移動部の位置を検出するエンコーダ装置、制御システム及び観察装置に関する。
モータ等のアクチュエータを用いて移動部を移動させる機器においては、移動部の位置を検出するためのエンコーダ装置が広く用いられている。このようなエンコーダ装置には、移動部の相対的な位置(移動量)を検出するインクリメンタル型と、移動部の絶対的な位置を検出するアブソリュート型とがある。
インクリメンタル型のエンコーダ装置は、電源投入時等においては移動部の現在位置が不明であるため、移動部を原点位置に復帰させる原点復帰動作が必要とされる。一方、アブソリュート型のエンコーダ装置は、電源投入時等においても移動部の現在位置を特定できるため、原点復帰動作が不要であるが、インクリメンタル型よりも構造が複雑である。
従来のインクリメンタル型のエンコーダ装置としては、位置検出用センサと、原点位置検出用センサと、被検出体(センサドグ)とを有する構成が知られている(特許文献1及び2参照)。特許文献1及び2に記載のエンコーダ装置では、移動部と共に移動する被検出体に、原点位置検出用センサ用のスリットと、位置検出用センサ用のスリットとが個別に形成されている。原点復帰動作時には、原点位置検出用センサの出力に応じて移動部を原点位置に復帰させ、位置決め動作時には、位置検出用センサの出力に応じて移動部を目標位置に移動させる。
特開平5−263338号公報 特開2003−35564号公報
ところで、エンコーダ装置は、小型軽量化が要求され、且つ、エンコーダ装置に接続される配線に繰り返し屈曲が加わることによる断線への対策のために省配線化が要求される。
しかしながら、特許文献1及び2に記載のエンコーダ装置には位置検出用センサ及び原点位置検出用センサの2つのセンサが必要となり、当該2つのセンサによりエンコーダ装置のサイズ及び重量が増大し、且つ、当該2つのセンサによりエンコーダ装置に接続される配線数が増加するという問題があった。
そこで、本発明は、小型軽量化及び省配線化を図ることができるエンコーダ装置、制御システム及び観察装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。まず、本発明のエンコーダ装置の特徴は、所定方向(例えばX軸方向)に沿って延びる被検出体(例えばセンサドグ10)と、前記被検出体に対向するように配置される位置検出用センサ(例えばセンサ20)と、特定物(例えば容器320)を移動させる移動部(例えば移動部30)とを有し、前記被検出体又は前記位置検出用センサの何れかが移動部に設けられ、前記所定方向において原点位置(例えば原点位置P0)を基準とした前記移動部の位置を検出するためのインクリメンタル型のエンコーダ装置(例えばセンサドグ10、センサ20、移動部30)であって、前記被検出体には、前記位置検出用センサが反応する反応部分(例えばドグ凸部11)と、前記位置検出用センサが反応しない非反応部分(例えばスリット部12)とが、前記所定方向に交互に設けられ、前記所定方向での前記反応部分の幅と前記非反応部分の幅との比は、前記原点位置を境に異なることを要旨とする。
このようなエンコーダ装置によれば、交互に設けられる反応部分と非反応部分とにより、原点位置を基準とした移動部の位置を検出可能である。また、反応部分の幅と非反応部分の幅との比は原点位置を境に異なっているため、原点位置も検出可能である。これにより、位置検出用センサ及び原点位置検出用センサそれぞれの機能を1つのセンサに持たせることができ、位置検出用センサ及び原点位置検出用センサの2つのセンサを使用する場合と比較して、小型軽量化及び省配線化を図ることができる。
上記の特徴において、前記反応部分の幅と前記非反応部分の幅との比は、前記原点位置を境に反転する。
例えば、原点位置を基準とした一方の領域で反応部分の幅:非反応部分の幅=a:bである場合、原点位置を基準とした他方の領域では反応部分の幅:非反応部分の幅=b:aになる。
これにより、一方の領域における反応部分と非反応部分との切り替わり位置の間隔と、他方の領域における反応部分と非反応部分との切り替わり位置の間隔とが等しくなるため、反応部分と非反応部分との切り替わりの回数を単にカウントし、カウント値から位置を検出できる。したがって、移動部の位置を高速に検出でき、移動部の高速移動にも対応できる。ただし、反応部分と非反応部分との切り替わり位置の間隔が原点位置でのみ変わるため、原点位置を跨って移動する際には、反応部分の幅又は非反応部分の幅1ヶ分加算するといった処理が必要である。
本発明の制御システム(例えば制御システム1)の特徴は、上記の特徴に係るエンコーダ装置と、前記移動部を移動させるための駆動力を発生させる動作を行うアクチュエータ(例えばアクチュエータ50)と、前記位置検出用センサの出力と前記アクチュエータの動作量とに基づいて前記アクチュエータを制御することで、前記移動部を目標位置に移動させる位置決め動作を行う制御部(例えば駆動制御部60)とを備え、前記アクチュエータの動作量により前記移動部の位置を検出する際の分解能は、前記位置検出用センサの出力により前記移動部の位置を検出する際の分解能よりも高く、前記制御部は、前記位置決め動作において、前記アクチュエータの動作量により検出した前記移動部の位置を、前記位置検出用センサの出力により検出した前記移動部の位置で補正することを要旨とする。
アクチュエータの動作量により移動部の位置を検出する場合には、伝動機構による減速やバックラッシュ等により分解能は高いが精度は低い。一方で、位置検出用センサの出力により移動部の位置を検出する場合には、分解能は低いが精度は高い。本発明の特徴によれば、位置検出用センサの出力に応じて、アクチュエータの動作量により検出された位置を補正することによって、高分解能と高精度とを両立できる。
上記の特徴において、前記反応部分の幅及び前記非反応部分の幅のうち何れか狭い方の幅は、前記位置検出用センサの出力を用いない場合の位置決め誤差、前記位置検出用センサの検出誤差、及び、前記被検出体の形状誤差のそれぞれの最大値の和の略2倍である。これにより、位置検出用センサの分解能を高めることができる。
上記の特徴において、前記反応部分の幅及び前記非反応部分の幅のうち何れか広い方の幅は、前記位置検出用センサの出力を用いない場合の位置決め誤差、前記位置検出用センサの検出誤差、及び前記被検出体の形状誤差のそれぞれの最大値と、前記狭い方の幅とを加算した値である。これにより、位置検出用センサの分解能を高めることができる。
本発明の観察装置(例えば観察装置300)は、上記の特徴に係るエンコーダ装置と、撮像光学系(例えば撮像光学系380)とを備え、前記移動部は、観察対象物が設置されるステージ部(例えばXYステージ310)であり、前記撮像光学系は、前記ステージ部に設置された前記観察対象物の撮像に用いられることを要旨とする。
このような特徴によれば、小型軽量化及び省配線化を図ることができるエンコーダ装置を用いて観察装置のステージ部の位置検出を行うことで、観察装置の小型軽量化及び省配線化が実現できる。
本発明によれば、小型軽量化及び省配線化を図ることができるエンコーダ装置、制御システム及び観察装置を提供できる。
本発明の実施形態に係る制御システムの概略構成図である。 本発明の実施形態に係るセンサドグの詳細構成図である。 本発明の実施形態に係る原点復帰動作の概要を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る原点復帰動作の動作フローを示すフロー図である。 本発明の実施形態に係る位置決め動作の概要を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る位置決め動作の動作フローを示すフロー図である。 本発明の実施例に係る観察システムの概略構成を示す図である。
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。具体的には、(1)制御システムの概要、(2)センサドグの詳細構成、(3)制御システムの動作、(4)実施形態の効果、(5)実施例、(6)その他の実施形態について説明する。
以下の実施形態における図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
(1)制御システムの概要
図1は、本実施形態に係る制御システム1の概略構成図である。本実施形態では、直動ステージ機構等の位置決めを行う直動機器に適用される制御システム1を説明する。
図1に示すように、制御システム1は、センサドグ10(被検出体)、センサ20(位置検出用センサ)、移動部30、伝動機構40、アクチュエータ50、駆動制御部60(制御部)、及び回転検出部70を有する。
本実施形態では、連続するスリット状のセンサドグ10が直動機器の固定部分に配置され、センサ20が直動機器の移動部30に配置される。センサ20は、センサドグ10に対向するように配置される。センサドグ10は、櫛状に形成されている。
センサ20としては、磁気センサ、静電容量センサ、又は光学式センサ等が使用できるが、本実施形態では静電容量センサを使用する。本実施形態においてセンサドグ10及びセンサ20は、インクリメンタル型のリニアエンコーダ装置を構成する。当該エンコーダ装置は、X軸方向(所定方向)において原点位置P0(図2参照)を基準とした移動部30の位置を検出するために使用される。なお、移動部30がY軸方向にも移動するよう構成されている場合、センサドグ10及びセンサ20をY軸方向に設けてもよい。
移動部30は、アクチュエータ50から伝動機構40を介して伝達される駆動力によりX軸方向に沿って移動する。移動部30に観察対象物等の特定物が設置される場合、移動部30の移動に伴い当該特定物が移動する。センサドグ10は、X軸方向(移動部30の移動方向)に沿って延びる。
アクチュエータ50は、移動部30を移動させるための駆動力を発生させる動作を行う。アクチュエータ50としては、パルスモータ又はサーボモータ等が使用できる。伝動機構40は、ギア、タイミングベルト、ボールネジ等を用いて構成される。
回転検出部70は、アクチュエータ50の回転軸に取り付けられており、アクチュエータ50の回転量(動作量)を検出する。回転検出部70としては例えばロータリエンコーダが使用できる。
あるいは、アクチュエータ50としてパルスモータを用いる場合には、アクチュエータ50の回転量は駆動制御部60からアクチュエータ50に入力される指令パルスによって定まるため、駆動制御部60はアクチュエータ50の回転量を把握している。このため、アクチュエータ50としてパルスモータを用いる場合には、アクチュエータ50に取り付けられる回転検出部70が不要である。
なお、回転検出部70は、アクチュエータ50に内蔵されていてもよい。アクチュエータ50の回転量から移動部30の位置が計算できる。ここで、回転検出部70の出力により移動部30の位置を検出する際の分解能は、センサ20の出力により移動部30の位置を検出する際の分解能よりも高い。
駆動制御部60は、例えばCPUやメモリを用いて構成され、制御システム1全体を制御する。具体的には、駆動制御部60は、センサ20の出力、及びアクチュエータ50の回転量(回転検出部70の出力)に基づいてアクチュエータ50を制御する。尚、アクチュエータ50としてパルスモータを用いる場合には、回転検出部70の出力の代わりに、駆動制御部60が把握しているアクチュエータ50の回転量を使用することができる。
駆動制御部60は、移動部30を原点位置P0に移動させる原点復帰動作と、移動部30を目標位置に移動させる位置決め動作と、移動部30が移動可能範囲の限界位置(リミット位置)に居ることを検知する動作とを実行する。
(2)センサドグの詳細構成
図2は、センサドグ10の詳細構成図である。図2に示すように、センサドグ10には、センサ20が反応するドグ凸部11と、センサ20が反応しないスリット部12とが、X軸方向(+方向D1及び−方向D2)に沿って交互に設けられている。センサドグ10は、例えば金属板を打ち抜いて製作されてもよく、エッチングにより製作されてもよい。
図2の例では、X軸上で原点位置P0よりも右側の領域を+領域とし、X軸上で原点位置P0よりも左側の領域を−領域としている。X軸上でのドグ凸部11の幅とスリット部12の幅との比は、原点位置P0を境に反転する。原点位置P0を基準とした一方の領域でドグ凸部11の幅:スリット部12の幅=a:bである場合、原点位置P0を基準とした他方の領域ではドグ凸部11の幅:スリット部12の幅=b:aになる。
ドグ凸部11の幅及びスリット部12の幅のうち何れか狭い方の幅は、センサ20の出力を用いない場合の位置決め誤差、センサ20の検出誤差、及び、被検出体の形状誤差のそれぞれの最大値の和の略2倍である。
また、ドグ凸部11の幅及びスリット部12の幅のうち何れか広い方の幅は、センサ20の出力を用いない場合の位置決め誤差、センサ20の検出誤差、被検出体の形状誤差のそれぞれの最大値と、ドグ凸部11の幅及びスリット部12の幅のうち何れか狭い方の幅とを加算した値である。
ドグ凸部11及びスリット部12は、移動部30の移動可能範囲に対応する範囲に亘って形成される。なお、スリット部12に異物等が溜まることを防止するために、スリット部12の開口方向を重力方向に一致させた状態でセンサドグ10を配設することが好ましい。
X軸上でのドグ凸部11の幅とスリット部12の幅との比は、移動部30の原点位置P0を境に異なっている。センサ20は、移動部30が原点位置P0にあることを検出するための原点位置検出用センサとしても使用される。
センサドグ10において、移動部30の移動可能範囲の一端である動作リミット位置P1に対応する位置には、動作リミット部分15が形成され、移動部30の移動可能範囲の他端である動作リミット位置P2に対応する位置には、動作リミット部分16が形成される。
動作リミット部分15及び動作リミット部分16は、スリット形状ではない。図2の例では、動作リミット部分15においてスリット部12(スリット部12x)が存在しなくなり、動作リミット部分16においてドグ凸部11(ドグ凸部11x)が存在しなくなる。
したがって、駆動制御部60は、センサ20の出力により、スリット部12が存在しなくなったことを以て移動部30が動作リミット部分15に対応する位置(動作リミット位置P1)に居ることを認識できる。また、駆動制御部60は、センサ20の出力により、ドグ凸部11(ドグ凸部11x)が存在しなくなったことを以て移動部30が動作リミット部分16に対応する位置(動作リミット位置P2)に居ることを認識できる。
(3)制御システムの動作
次に、制御システム1の動作について、(3.1)原点復帰動作、(3.2)位置決め動作の順で説明する。
(3.1)原点復帰動作
図3は、原点復帰動作の概要を説明するための図である。原点復帰動作は、電源投入時等の制御システム1の動作開始時、長時間に渡って移動部30を動かした場合、又は、長時間に渡って移動部30を停止させた場合等に行われる。
まず、駆動制御部60は、図3(a)に示すように、センサ20がエッジ(ドグ凸部11からスリット部12への切り替わり点、又は、スリット部12からドグ凸部11への切り替わり点)を2回検出するまで、移動部30を任意の方向へ移動させる。図3(a)の例では、駆動制御部60は、移動部30を−方向D2へ移動させる。
駆動制御部60は、センサ20の反応状態、及び回転検出部70が検出するアクチュエータ回転量から、ドグ凸部11又はスリット部12の幅を計算し、X軸上で移動部30が原点位置P0に対してどちら側(+領域、−領域)に居るかを判定する。図3(a)の例では、駆動制御部60は、幅が狭いドグ凸部11aが検出されため、−領域に居ると判定する。
次に、駆動制御部60は、図3(b)に示すように、ドグ凸部11又はスリット部12の幅が変わるまで、ドグ凸部11及びスリット部12の幅を計算しながら原点位置P0の方向へ移動部30を移動させる。図3(b)の例では、駆動制御部60は、幅が広いドグ凸部11bを検出した時点で、+領域に移ったことを認識する。
そして、駆動制御部60は、図3(c)に示すように、原点となるドグ凸部11bのエッジE1が検出されるまで、逆方向へ移動部30を移動させる。その結果、原点復帰動作が完了する。
図4は、原点復帰動作の動作フローを示すフロー図である。
ステップS11において、駆動制御部60は、センサ20の出力を監視しながら、移動部30を−方向へ移動させる。
エッジが2回検出された場合(ステップS12;YES)、ステップS13において、駆動制御部60は、ドグ凸部11又はスリット部12の幅を計算し、移動部30が原点位置P0に対してどちら側(+領域、−領域)に居るかを判定する。
移動部30が原点位置P0に対して+領域側に居ると判定された場合(ステップS14;YES)、ステップS15Aにおいて駆動制御部60は、センサ20の出力を監視しながら移動部30を−方向へ移動させる。
スリット部12の幅が広くなった場合(ステップS16A;YES)、ステップS17Aにおいて駆動制御部60は、センサ20の出力を監視しながら移動部30を+方向へ移動させる。
スリット部12からドグ凸部11へ切り替わるエッジが検出された場合(ステップS18A;YES)、ステップS19において駆動制御部60は、当該エッジを原点位置P0として認識する。
一方、ステップS14で移動部30が−領域に居ると判定された場合(ステップS14;NO)、ステップS15Bにおいて駆動制御部60は、センサ20の出力を監視しながら移動部30を+方向へ移動させる。
ドグ凸部11の幅が広くなった場合(ステップS16B;YES)、ステップS17Bにおいて駆動制御部60は、センサ20の出力を監視しながら移動部30を−方向へ移動させる。
ドグ凸部11からスリット部12へ切り替わるエッジが検出された場合(ステップS18B;YES)、ステップS19において駆動制御部60は、当該エッジを原点位置P0として認識する。
(3.2)位置決め動作
図5は、位置決め動作の概要を説明するための図である。
図5(a)の例では、ドグ凸部11の幅を7mmとし、スリット部12の幅を3mmとしている。また、b点からa点へ移動部30を移動させるものとする。b点の位置は、モータ回転量に基づく計算上ではX=1であるが、伝動機構40のヒステリシス特性(例えばバックラッシュによる誤差)等により、実際にはX=1.2の位置にある。a点の位置は、X=73である。なお、駆動制御部60は、センサドグ10の各エッジの位置を、予め記憶しているセンサドグ形状から各エッジの位置を適宜算出するものとする。
次に、駆動制御部60は、図5(b)に示すように、回転検出部70が検出するモータ回転量を用いた制御により、目標位置付近のエッジまで移動部30を移動させる。図5(b)の例では、目標位置直前のエッジ(X=70)の1mm手前であるX=69に移動するよう制御する。68mmの移動で0.1mmの誤差が発生し、実際にはc点(X=69.3)に移動したものとする。
駆動制御部60は、図5(c)に示すように、センサ20の出力からエッジを検出するまで移動部30を移動させ、エッジを検出した時点で現在位置(計算値)を補正する。図5(c)の例では、エッジdにて計算値をX=70に更新する。
そして、駆動制御部60は、図5(d)に示すように、目標位置までの残る距離については、回転検出部70が検出するモータ回転量を用いた制御により移動部30を移動させる。図5(c)の例では、エッジdから3mm移動するよう制御し、e点に到達する。目標位置までの残る距離は僅かであるため、誤差の影響も微少であり、その結果、位置決めを精度良く行うことができる。
図6は、位置決め動作の動作フローを示すフロー図である。
ステップS21において、駆動制御部60は、現在位置(計算値)、目標位置、及びセンサドグ形状から、目標位置直前のエッジ位置を算出し、移動部30を目標位置へ向けて移動させる。
ステップS22において、駆動制御部60は、目標位置直前のエッジ位置の手前で移動部30を停止させる。
ステップS23において、駆動制御部60は、センサ20の出力を監視しながら、目標位置直前のエッジに向け移動部30を移動させる。
目標位置直前のエッジが検出された場合(ステップS24;YES)、ステップS25において駆動制御部60は、現在位置(計算値)を当該エッジの位置(実位置)で補正する。
ステップS26において、駆動制御部60は、補正後の現在位置と、目標位置との差から残りの移動量を算出する。
ステップS27において、駆動制御部60は、残りの移動量に応じて移動部30を目標位置に移動させる。
(4)実施形態の効果
本実施形態に係るエンコーダ装置によれば、交互に設けられるドグ凸部11とスリット部12とにより、原点位置P0を基準とした移動部30の位置を検出可能である。また、ドグ凸部11の幅とスリット部12の幅との比は原点位置P0を境に異なっているため、原点位置P0も検出可能である。
これにより、移動部30の相対的な位置を検出する位置検出用センサ、及び、移動部30が原点位置P0にあることを検出する原点位置検出用センサのそれぞれの機能を1つのセンサ20に持たせることができ、位置検出用センサ及び原点位置検出用センサの2つのセンサを使用する場合と比較して、小型軽量化及び省配線化を図ることができる。
本実施形態では、駆動制御部60は、位置決め動作において、回転検出部70の出力により検出(計算)した移動部30の位置を、センサ20の出力により検出した移動部30の位置で補正する。
このように、分解能は高いが精度の低い回転検出部70の出力に応じて移動部30の位置を検出しつつ、分解能は低いが精度の高いセンサ20の出力に応じて当該検出された位置を補正することによって、高分解能と高精度とを両立できる。
本実施形態では、X軸上において、ドグ凸部11の幅とスリット部12の幅との比は、原点位置P0を境に反転するため、移動部30の位置を高速に検出でき、移動部30の高速移動にも対応できる。
本実施形態では、ドグ凸部11の幅及びスリット部12の幅のうち何れか狭い方の幅は、センサ20の出力を用いない場合の位置決め誤差、センサ20の検出誤差、及び、被検出体の形状誤差のそれぞれの最大値の和の略2倍である。また、ドグ凸部11の幅及びスリット部12の幅のうち何れか広い方の幅は、センサ20の出力を用いない場合の位置決め誤差、センサ20の検出誤差、及び被検出体の形状誤差のそれぞれの最大値と、ドグ凸部11の幅及びスリット部12の幅のうち何れか狭い方の幅とを加算した値である。
このようにドグ凸部11及びスリット部12を構成する理由について、図6を参照して説明する。ステップS21の状態での位置誤差は、センサ20の検出誤差(の最大値)+センサドグ10形状誤差(の最大値)+センサドグ10を用いない場合の位置決め誤差(の最大値)の和である。
そこから補正に用いるエッジを探すためにステップS22が行われるが、効率良く移動するためには、なるべくエッジ直前で止まるのが望ましい。エッジ直前で止まることができれば、エッジを探索しながら移動する距離が少なくて済むためである。
ステップS22における移動では、センサドグ10を用いない場合の位置決め誤差が上記の位置誤差に付加される。従って、ステップS22終了後の位置誤差は、センサドグ10を用いない場合の位置決め誤差(の最大値)×2+センサ20の検出誤差(の最大値)+センサドグ10形状誤差(の最大値)の和になる。
さらに、補正に用いるエッジが、スリット部12からドグ凸部11に変わる部分の場合には、ステップS22が終了した状態でセンサ20がそのスリット部12を検出しており、また、補正に用いるエッジが、ドグ凸部11からスリット部12に変わる部分の場合には、ステップS22が終了した状態でセンサ20がそのドグ凸部11を検出している状態でなければならないため、センサドグ10の形状やセンサ20の検出誤差を考慮して、(センサドグ10を用いない場合の位置決め誤差(の最大値)×2)+(センサ20の検出誤差(の最大値)×2)+(センサドグ10形状誤差(の最大値)×2)の和となる。
(5)実施例
次に、本実施形態に係るエンコーダ装置を観察装置に適用する実施例を説明する。図7は、本実施例に係る観察システムの概略構成を示す図である。
本実施例では、観察システムは、細胞等を培養しつつ定期的に撮像できる。図7に示すように、観察システムは、制御PC100、制御ユニット200及び観察装置300を有する。制御PC100と制御ユニット200とはケーブル500を介して接続され、制御ユニット200と観察装置300とはケーブル600を介して接続される。
制御PC100は、操作者からの操作を受け付け、各種の動作指令を制御ユニット200に送信する。制御PC100は、観察装置300の動作に関する情報を制御ユニット200から受信する。
制御ユニット200は、制御PC100から受信する動作指令と、観察装置300からフィードバックされる情報とに応じて観察装置300を制御する。
観察装置300は、観察対象物330としての細胞等の生育状態を観察するために、細胞等の観察対象物330を撮像し、撮像により得られた画像データを制御ユニット200に送信する。制御PC100は、制御ユニット200を介して画像データ受信し、受信した画像データを保存したり、表示したりする。
観察装置300は、温度及び湿度が一定に保たれたインキュベータ400内の棚401上に設置される。観察装置300は、観察対象物330を撮像するための撮像光学系380を有する。観察装置300は、撮像光学系380の光軸Zに直交する方向(具体的には、X軸方向及びY軸方向)に沿って移動するXYステージ310を有する。XYステージ310上には、観察対象物330を含んだ容器320が設置される。
本実施例においてXYステージ310は、X軸方向及びY軸方向に沿って移動する移動部を構成する。撮像光学系380は、XYステージ310に設置される容器320内の観察対象物330の撮像に用いられる。上述した実施形態に係るセンサドグ10、センサ20、伝動機構40、アクチュエータ50、駆動制御部60、及び回転検出部70は、観察装置300内に設けられる。ただし、駆動制御部60を観察装置300に設ける場合に限らず制御ユニット200に設けてもよい。
本実施例によれば、小型軽量化及び省配線化を図ることができるエンコーダ装置を用いて観察装置300のXYステージ310の位置検出を行うことで、観察装置300の小型軽量化及び省配線化が実現できる。
また、XYステージ310に関して作業者が作業する際、容器320の中身をこぼす、あるいは作業者の手に付着した異物が舞うといった問題があるが、センサドグ10のスリット部12の開口方向を重力方向に一致させた状態でセンサドグ10を配設することで、スリット部12に異物等が溜まりにくくなり、また、拭き取り清掃しやすくなる。
(6)その他の実施形態
上記のように、本発明は実施形態及び実施例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
例えば、上述した実施形態では、センサ20が反応する反応部分がドグ凸部11であり、センサ20が反応しない非反応部分がスリット部12であったが、他の構成も採用可能である。例えば、センサ20として光学式のセンサを用いる場合には、スリット部12を使用せずに、センサ20が反応する反応部分として反射面を使用し、センサ20が反応しない非反応部分として非反射面を使用してもよい。
上述した実施形態では、直動ステージ機構等の位置決めを行う直動機器に適用されるエンコーダ装置(すなわち、リニアエンコーダ)について説明したが、ロータリエンコーダに本発明を適用してもよい。この場合、回転板の周方向(所定方向)に沿って被検出体が延設される。
上述した実施形態では、スリット部12を切り欠き状に形成することでセンサドグ10が櫛状に形成されていたが、スリット部12を開口状に形成してもよい。
上述した実施形態では、センサドグ10が直動機器の固定部分に配置され、センサ20が直動機器の移動部30に配置されていたが、逆の構成も可能である。すなわち、センサドグ10が移動部30に配置され、センサ20が直動機器の固定部分に配置されてもよい。
なお、上述した実施形態では特に説明しなかったが、バックラッシュによる誤差を補正するための従来手法を適用してもよい。
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
1…制御システム、10…センサドグ、11…ドグ凸部、12…スリット部、15,16…動作リミット部分、20…センサ、30…移動部、40…伝動機構、50…アクチュエータ、60…駆動制御部、70…回転検出部、100…制御PC、200…制御ユニット、300…観察装置、310…XYステージ、380…撮像光学系、400…インキュベータ、401…棚

Claims (6)

  1. 所定方向に沿って延びる被検出体と、
    前記被検出体に対向するように配置される位置検出用センサと、
    特定物を移動させる移動部とを有し、
    前記被検出体又は前記位置検出用センサの何れかが前記移動部に設けられ、
    前記所定方向において原点位置を基準とした前記移動部の位置を検出するためのインクリメンタル型のエンコーダ装置であって、
    前記被検出体には、前記位置検出用センサが反応する反応部分と、前記位置検出用センサが反応しない非反応部分とが、前記所定方向に交互に設けられ、
    前記所定方向での前記反応部分の幅と前記非反応部分の幅との比は、前記原点位置を境に異なるエンコーダ装置。
  2. 前記反応部分の幅と前記非反応部分の幅との比は、前記原点位置を境に反転する請求項1に記載のエンコーダ装置。
  3. 請求項1又は2に記載のエンコーダ装置と、
    前記移動部を移動させるための駆動力を発生させる動作を行うアクチュエータと、
    前記位置検出用センサの出力と前記アクチュエータの動作量とに基づいて前記アクチュエータを制御することで、前記移動部を目標位置に移動させる位置決め動作を行う制御部と
    を備え、
    前記アクチュエータの動作量により前記移動部の位置を検出する際の分解能は、前記位置検出用センサの出力により前記移動部の位置を検出する際の分解能よりも高く、
    前記制御部は、前記位置決め動作において、前記アクチュエータの動作量により検出した前記移動部の位置を、前記位置検出用センサの出力により検出した前記移動部の位置で補正する制御システム。
  4. 前記反応部分の幅及び前記非反応部分の幅のうち何れか狭い方の幅は、前記位置検出用センサの出力を用いない場合の位置決め誤差、前記位置検出用センサの検出誤差、及び、前記被検出体の形状誤差のそれぞれの最大値の和の略2倍である請求項3に記載の制御システム。
  5. 前記反応部分の幅及び前記非反応部分の幅のうち何れか広い方の幅は、前記位置検出用センサの出力を用いない場合の位置決め誤差、前記位置検出用センサの検出誤差、及び前記被検出体の形状誤差のそれぞれの最大値と、前記狭い方の幅とを加算した値である請求項4に記載の制御システム。
  6. 請求項1又は2に記載のエンコーダ装置と、撮像光学系とを備え、
    前記移動部は、観察対象物が設置されるステージ部であり、
    前記撮像光学系は、前記ステージ部に設置された前記観察対象物の撮像に用いられる、観察装置。
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