JP2011035736A - 動画像符号化・復号装置と動画像符号化・復号方法及び動画像符号化・復号プログラム - Google Patents

動画像符号化・復号装置と動画像符号化・復号方法及び動画像符号化・復号プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 著しく状態の悪い通信路を伝送する場合でも高画質の復号画像を提供する。
【解決手段】 動画像信号についてGOF構成処理を実行し(S11)、GOF毎にまとめられたLf枚のフレームそれぞれに対して空間方向のウェーブレット変換を行い(S12)、この変換で得られた各フレームのウェーブレット係数をN個のグループに分散的に分割し(S13)、分割されたN個のグループそれぞれに対して時間方向ウェーブレット変換を行って符号化ビット系列を生成し(S14)、N個のグループそれぞれのフレームの係数を量子化し(S15)、量子化されたN個のグループをそれぞれ処理単位として、N個に分割された最も周波数の低いサブバンドのウェーブレット係数に関して、第n番目のグループに残りN−1個のグループに割り当てられた最も周波数の低いサブバンドの係数をそれぞれ離間して配置されるように複製処理することで伝送系列を生成する(S16)。
【選択図】 図2

Description

本発明は、誤り耐性機能を有する動画像符号化・復号装置に係り、特に3次元ウェーブレット変換に基づく動画像符号化・復号処理に関する。
3次元ウェーブレット変換に基づく動画像符号化処理にあっては、通信路の伝送路誤りに起因するビット誤りやパケット誤りによって復号画像が著しく劣化するという問題が指摘されている。この問題の解決法として、符号化器で近隣の画素を分散的に複数のグループに分割し、それぞれのグループ毎にSet Partitioning in Hierarchical Trees (SPIHT)法(非特許文献1参照)に基づく3次元ウェーブレット変換を用いて符号化し、グループ間インターリーブによって各グループの先頭から順番にウェーブレット係数を取り出していくことで1つの送信ストリームを構成し、復号器では受信した送信ストリームをデインターリーブして複数のグループを再生し、グループ毎に客ウェーブレット変換を用いて復号し、復号された全てのグループを結合することで再生する手法が提案されている(非特許文献2参照)。
一方で、この符号化復号法を用いて、パケット誤り等が原因で再生動画像に消失画素が発生した場合、消失した画素とその周辺画素から消失画素の補間を行う手法が提案されている(非特許文献3参照)。この手法は最も周波数の低いサブバンド(L)、水平方向のサブバンド(H)、垂直方向のサブバンド(V)、斜め方向のサブバンド(D)それぞれのサブバンドによって異なる補間法を用いる(非特許文献3参照)。
A.Said and W.A.Pearlman, "A New, Fast, and Efficient Image Codec Based on Set Partitioning in Hierarchical Trees," IEEE Transactions on Circuit and Systems for Video Technology, Vol.6, No.3, pp.243-249. June 1996. B.Kim, Z.Xiong and W.A.Pearlman, "Low Bit-Rate Scarable Video Coding with 3-D Set Partitioning in Hierarchical Trees (3-D SPIHT)," IEEE Transactions on Circuit and Systems for Video Technology, Vol.10, No.8, pp.1374-1387, December 2000. S.Cho and W.A.Pearlman, "Error Resilient Video Coding With Improved 3-D SPIHT and Error Concealment," Proceedings on the International Society for Optical Engineering, Vol.5022, pp.125-136, January 2003. Xin Li and M.T.Ochard, "Novel Sequential Error-Concealment Techniques Using Orientation Adaptive Interpolation," Circuits and Systems for Video Technology, IEEE Transactions, Vol.12, No.10, pp.857-864, Oct. 2002.
しかしながら、上記非特許文献2に記載される手法では、グループ間インターリーブを行い1つの送信ストリームを構成するため、パケット誤りが発生した際には各グループの同程度の重要度をもつウェーブレット係数が同時に欠落するという問題がある。また、非特許文献3に記載される手法では、最も周波数の低いサブバンド(L)で補間すると、消失画素が多ければ再生画像が劣化するという新たな問題が生じてしまう。
本発明は上記の問題を解決するためになされたもので、通信路のパケット誤り、ビット誤りに対する耐性を高め、著しく状態の悪い通信路を伝送する場合でも、パケット誤り、ビット誤りによる復号画像の劣化を低減することができ、これによって高画質の復号画像を提供することのできる動画像符号化・復号装置と動画像符号化・復号方法及び動画像符号化・復号プログラムを提供することを目的とする。
上記問題を解決するために、本発明に係る動画像符号化装置は、以下のような特徴的構成を備える。
(1)動画像信号について規定枚数のフレームを1つの処理単位としてまとめる処理単位形成手段と、前記処理単位毎にまとめられた規定枚数のフレームそれぞれに対して空間方向のウェーブレット変換を行う空間方向変換手段と、前記空間方向のウェーブレット変換で得られた各フレームのウェーブレット係数をN個のグループに分散的に分割する分割手段と、前記分割手段で得られたN個のグループそれぞれに対して時間方向ウェーブレット変換を行って符号化ビット系列を生成する時間方向変換手段と、前記時間方向変換で得られたN個のグループそれぞれのフレームのウェーブレット係数を量子化する量子化手段と、前記量子化されたN個のグループをそれぞれ処理単位として、N個に分割された最も周波数の低いサブバンドのウェーブレット係数に関して、第n番目のグループ(1≦n≦N)に残りN−1個のグループに割り当てられた最も周波数の低いサブバンドのウェーブレット係数をそれぞれ離間して配置されるように複製処理することで伝送系列を生成する複製手段とを具備することを特徴とする。
(2)(1)の構成において、前記分割手段は、前記空間方向のウェーブレット係数をN個のグループに分割する際、同じグループに属する近隣の画素が最大限離れた場所の画素になるように選択することを特徴とする。
(3)(2)の構成において、前記複製手段は、前記第n番目のグループ以外の残りのN−1個のグループに割り当てられた最も周波数が低いサブバンドのウェーブレット係数のうち、全て或いは選択された一部のグループ分の係数を第n番目のグループに離散的に配置するように複製することを特徴とする。
(4)(1)の構成において、さらに、前記複製手段で生成された伝送系列の情報量を圧縮する圧縮手段を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る動画像符号化方法は、以下のように構成される。
動画像信号について規定枚数のフレームを1つの処理単位としてまとめ、前記処理単位毎にまとめられた規定枚数のフレームそれぞれに対して空間方向のウェーブレット変換を実行し、前記空間方向のウェーブレット変換で得られた各フレームのウェーブレット係数をN個のグループに分散的に分割し、前記分割処理で得られたN個のグループそれぞれに対して時間方向ウェーブレット変換を行って符号化ビット系列を生成し、前記時間方向変換で得られたN個のグループそれぞれのフレームのウェーブレット係数を量子化し、前記量子化されたN個のグループをそれぞれ処理単位として、N個に分割された最も周波数の低いサブバンドのウェーブレット係数に関して、第n番目のグループ(1≦n≦N)に残りN−1個のグループに割り当てられた最も周波数の低いサブバンドのウェーブレット係数をそれぞれ離間して配置されるように複製処理することで伝送系列を生成することを特徴とする。
(6)(5)の構成において、前記分割処理は、前記空間方向のウェーブレット係数をN個のグループに分割する際、同じグループに属する近隣の画素が最大限離れた場所の画素になるように選択することを特徴とする。
(7)(6)の構成において、前記複製処理は、前記第n番目のグループ以外の残りのN−1個のグループに割り当てられた最も周波数が低いサブバンドのウェーブレット係数のうち、全て或いは選択された一部のグループ分の係数を第n番目のグループに離散的に配置するように複製することを特徴とする。
(8)(5)の構成において、さらに、前記複製処理で生成された伝送系列の情報量を圧縮することを特徴とする。
また、本発明に係る動画像符号化プログラムは、以下のように構成される。
(9)動画像信号を符号化する動画像符号化処理をコンピュータに実行させる動画像符号化プログラムであって、前記動画像信号について規定枚数のフレームを1つの処理単位としてまとめる処理単位形成処理を実行させ、前記処理単位毎にまとめられた規定枚数のフレームそれぞれに対して空間方向のウェーブレット変換を行う空間方向変換処理を実行させ、前記空間方向のウェーブレット変換で得られた各フレームのウェーブレット係数をN個のグループに分散的に分割する分割処理を実行させ、前記分割処理で得られたN個のグループそれぞれに対して時間方向ウェーブレット変換を行って符号化ビット系列を生成する時間方向変換処理を実行させ、前記時間方向変換で得られたN個のグループそれぞれのフレームのウェーブレット係数を量子化する量子化処理を実行させ、前記量子化されたN個のグループをそれぞれ処理単位として、N個に分割された最も周波数の低いサブバンドのウェーブレット係数に関して、第n番目のグループ(1≦n≦N)に残りN−1個のグループに割り当てられた最も周波数の低いサブバンドのウェーブレット係数をそれぞれ離間して配置されるように複製処理することで伝送系列を生成する複製処理を実行させることを特徴とする。
(10)(9)の構成において、前記分割処理は、前記空間方向のウェーブレット係数をN個のグループに分割する際、同じグループに属する近隣の画素が最大限離れた場所の画素になるように選択することを特徴とする。
(11)(10)の構成において、前記複製処理は、前記第n番目のグループ以外の残りのN−1個のグループに割り当てられた最も周波数が低いサブバンドのウェーブレット係数のうち、全て或いは選択された一部のグループ分の係数を第n番目のグループに離散的に配置するように複製することを特徴とする。
(12)(9)の構成において、さらに、前記複製処理で生成された伝送系列の情報量を圧縮する圧縮処理を実行させることを特徴とする。
また、本発明に係る動画像復号装置は、以下のように構成される。
(13)請求項1乃至4記載の動画像符号化装置で生成され伝送路を介して受信された伝送系列から元の動画像信号を復号する動画像復号装置であって、前記伝送系列を入力して前記N個のグループのうち一部の伝送系列しか受信できなかったことを検出する誤り検出手段と、前記N個のうち一部の伝送系列しか受信できなかったことが検出された場合に、受信できた伝送系列のみから前記複製処理で行ったウェーブレット係数の複製部分で符号化ビット系列を再構成する第1誤り補間手段と、前記再構成された符号化ビット系列に対して時間方向ウェーブレット逆変換を行う時間方向変換手段と、前記時間方向の逆変換を受けた符号化ビット系列に対して受信できたグループと受信できなかったグループの最も周波数が低いサブバンドのウェーブレット係数を用いて規定枚数のフレームを再生することで、分割前の状態に戻す逆分割手段と、前記分割前に戻された規定枚数のフレームに対して空間方向ウェーブレット逆変換を行って復号動画像を復元する空間方向逆変換手段と、前記復元された各フレームにおいて、受信できなかったグループに対応する位置の画素が欠落していて復号後の画像でパケット誤りによる画素の消失が残る場合に、消失画素をその周辺画素を用いて補間する第2誤り補間手段とを具備することを特徴とする。
(14)(13)の構成において、前記第2誤り補間手段は、MMSE(Minimum Mean Square Error)アルゴリズムによる補間法を用いることを特徴とする。
また、本発明に係る動画像復号方法は、以下のように構成される。
(15)請求項5乃至8記載の動画像符号化方法で生成され伝送路を介して受信された伝送系列から元の動画像信号を復号する動画像復号方法であって、前記伝送系列を入力して前記N個のグループのうち一部の伝送系列しか受信できなかったことを検出し、前記N個のうち一部の伝送系列しか受信できなかったことが検出された場合に、受信できた伝送系列のみから前記複製処理で行ったウェーブレット係数の複製部分で符号化ビット系列を再構成し、前記再構成された符号化ビット系列に対して時間方向ウェーブレット逆変換を行い、前記時間方向の逆変換を受けた符号化ビット系列に対して受信できたグループと受信できなかったグループの最も周波数が低いサブバンドのウェーブレット係数を用いて規定枚数のフレームを再生することで、分割前の状態に戻し、前記分割前に戻された規定枚数のフレームに対して空間方向ウェーブレット逆変換を行って復号動画像を復元し、前記復元された各フレームにおいて、受信できなかったグループに対応する位置の画素が欠落していて復号後の画像でパケット誤りによる画素の消失が残る場合に、消失画素をその周辺画素を用いて補間することを特徴とする。
(16)(15)の構成において、前記消失画素を周辺画素を用いて補間する処理に、MMSE(Minimum Mean Square Error)アルゴリズムによる補間法を用いることを特徴とする。
また、本発明に係る動画像復号プログラムは、以下のように構成される。
(17)請求項1乃至4記載の動画像符号化装置で生成され伝送路を介して受信された伝送系列から元の動画像信号を復号する動画像復号処理をコンピュータに実行させる動画像復号プログラムであって、前記伝送系列を入力して前記N個のグループのうち一部の伝送系列しか受信できなかったことを検出する誤り検出処理を実行させ、前記N個のうち一部の伝送系列しか受信できなかったことが検出された場合に、受信できた伝送系列のみから前記複製処理で行ったウェーブレット係数の複製部分で符号化ビット系列を再構成する第1誤り補間処理を実行させ、前記再構成された符号化ビット系列に対して時間方向ウェーブレット逆変換を行う時間方向変換処理を実行させ、前記時間方向の逆変換を受けた符号化ビット系列に対して受信できたグループと受信できなかったグループの最も周波数が低いサブバンドのウェーブレット係数を用いて規定枚数のフレームを再生することで、分割前の状態に戻す逆分割処理を実行させ、前記分割前に戻された規定枚数のフレームに対して空間方向ウェーブレット逆変換を行って復号動画像を復元する空間方向逆変換処理を実行させ、前記復元された各フレームにおいて、受信できなかったグループに対応する位置の画素が欠落していて復号後の画像でパケット誤りによる画素の消失が残る場合に、消失画素をその周辺画素を用いて補間する第2誤り補間処理を実行させることを特徴とする。
(18)(17)の構成において、前記第2誤り補間処理は、MMSE(Minimum Mean Square Error)アルゴリズムによる補間法を用いることを特徴とする。
以上のように、本発明によれば、符号化処理において、1処理単位を構成する各フレームについて空間方向にウェーブレット変換を行い、各フレームのウェーブレット係数をNグループに分散的に分割した後、各グループに対して時間方向のウェーブレット変換を行って符号化ビット系列を生成する。その上で、各ウェーブレット係数を量子化し、第n番目のグループにおける最も周波数の低いサブバンド以外の、N−1個のグループに割り当てられた最も周波数の低いサブバンドの係数のうち、全て或いは選択された一部のグループ分の係数を第n番目のグループに離間的に配置するようにコピーして、伝送系列を生成するようにしている。
一方、復号処理において、受信した伝送系列に誤り検出処理を行い、N個のうち一部の伝送系列しか受信できなかった場合に、第1誤り補間処理として、受信できた伝送系列のみから複製処理で行ったサブバンドのウェーブレット係数のコピーを取り除き、符号化ビット系列を再構成する。このとき受信できなかった伝送系列のサブバンドの係数は、複製処理によって受信できた伝送系列内にコピーされているため、サブバンドの係数は全て再構成することができる。その後、受信できた符号化ビット系列の時間方向ウェーブレット逆変換を行い、受信できたグループと受信できなかったグループのサブバンドのウェーブレット係数を用いて規定枚数のフレームを再生することで分割前の状態に戻し、規定枚数の各フレームに対して空間方向ウェーブレット逆変換を行い、復号動画像を規定枚数フレーム分復元する。最後に、第2誤り補間処理を実行し、復号後の画像でパケット誤りによる消失画素について、周辺画素を用いてそれを補間する。
このようにしたことで、通信路のパケット誤り、ビット誤りに対する耐性を高めることができ、著しく状態の悪い通信路を伝送する場合でも、パケット誤り、ビット誤りによる復号画像の劣化を低減することができ、これによって高画質の復号画像を提供することのできる動画像符号化・復号装置と動画像符号化・復号方法及び動画像符号化・復号プログラムを提供することができる。
本発明が適用される動画像伝送システムの構成を示すブロック図。 本発明に係る動画像符号化装置(エンコーダ)及び動画像復号装置(デコーダ)の一実施形態として、各装置のアルゴリズムにおける処理の流れを示すフローチャート。 図2に示す分割処理において、各ウェーブレット係数をN個のグループに分散的に分割する様子を示す概念図。 図2に示す複製処理において、N個の各グループを処理単位として伝送系列を生成する様子を示す概念図。 上記実施形態の効果として、計算機シミュレーションにより評価した結果を示す図。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明が適用される動画像伝送システムの構成を示すブロック図である。図1において、11は送信装置、12は受信装置である。送信装置11において、入力映像信号(動画像)はエンコーダ111により符号化された後、変調器112で伝送用の誤り耐性に優れた方式の変調処理を受け、周波数変換器113でRF(無線周波数)帯の信号に変換され、電力増幅器114で増幅されて、アンテナ115から空間に送出される。
一方、受信装置12において、アンテナ121で受信されたRF帯の伝送信号は低雑音増幅器122で増幅され、周波数変換器123でIF(中間周波数)帯の信号に変換された後、復調器124で元の符号化信号が復調され、デコーダ125で復号されて元の映像信号が取り出される。
上記構成において、エンコーダ111とデコーダ125は対応関係にあり、図2に示すアルゴリズムで処理を行う。
エンコーダ111において、ステップS11では、入力映像信号(動画像)について、GOF(Group Of Frames)構成処理を実行する。すなわち、符号化は複数のフレームを1つの処理単位(GOF)として行う。ここでは、Lf枚のフレームを集めて1GOFを構成する。
ステップS12では、空間方向変換(Spatial Composition)処理として、Lf枚のフレームに対してそれぞれフレーム毎に空間方向のウェーブレット変換を実行する。
ステップS13では、分割(Partition)処理として、図3に示すように、各ウェーブレット係数をN個のグループに分散的に分割する。
ここで、空間方向のウェーブレット係数をN個のグループに分割する際、同じグループに属する近隣の画素が最大限離れた場所の画素になるように選択する。具体的に第n番目のグループ(1≦n≦N)に割り当てられる画素は、第k番目のフレームにおける画素の座標(u,v)を用いて、以下のように求められる。
n=(u+v+k)mod N (1)
ステップS14では、時間方向変換(Temporal Composition)処理として、N個の各グループに対して時間方向ウェーブレット変換を行い、符号化ビット系列を生成する。
ステップS15では、量子化(Quantization)処理として、各ウェーブレット係数を量子化する。
ステップS16では、複製(Duplication)処理として、N個の各グループを処理単位として伝送系列を構成する。このとき、第n番目のグループにおける最も周波数が低いサブバンド(図3におけるLLの領域)の係数はN分割されているため、全体の1/Nだけが含まれている。そこで、図4に示すように、残りのN−1個のグループに割り当てられたLL領域の係数のうち、全て或いは選択された一部のグループ分の係数を第n番目のグループに離散的に配置するように複写して、伝送系列を生成する。
このように、本発明では、複製処理において、N個に分割された最も周波数の低いサブバンド(L)の係数に関して、第n番目のグループに残りN−1個のグループに割り当てられた最も周波数の低いサブバンド(L)の係数をそれぞれ離間して配置することを特徴とする。
ステップS17では、上記複製処理で生成された伝送系列に対し、例えばハフマン符号化等のエントロピー符号化(Entropy coding)処理を実行して情報量を圧縮する。
一方、デコーダ125において、ステップS21では、エンコーダ111でエントロピー符号化された伝送系列に対し、エントロピー復号(Entropy decoding)を実行して元の伝送系列に戻す。
ステップS22では、誤り検出(Detection Error)処理として、伝送路でパケット誤り、ビット誤りが発生し、N個のうち一部の伝送系列しか受信できなかった或いは受信した伝送系列の中に誤りがあること等を検出する。
ステップS23では、第1誤り補間(Error Concealment I)処理として、N個のうち一部の伝送系列しか受信できなかった場合に、受信できた伝送系列のみからステップS16の複製(Duplication)処理で行ったLL領域のウェーブレット係数のコピーを取り除き、符号化ビット系列を再構成する。このとき欠落した(受信できなかった)伝送系列のLL領域の係数は、ステップS16の複製処理によって受信できた伝送系列内にコピーされているため、LL領域の係数は全て再構成することができる。
ステップS24では、時間方向逆変換(Temporal decomposition)処理として、受信できた符号化ビット系列の時間方向ウェーブレット逆変換を行う。
ステップS25では、逆分割(Inverse Partitioning)処理として、受信できたグループと受信できなかったグループのLL領域のウェーブレット係数を用いてLf枚のフレームを再生することで、分割前の状態に戻す。
ステップS26では、空間方向逆変換(Spatial decomposition)処理として、Lf枚の各フレームに対して空間方向ウェーブレット逆変換を行い、復号動画像をLfフレーム分復元する。
ステップS27では、第2誤り補間(Error Concealment II)処理を実行する。すなわち、復元された各フレームにおいて、受信できなかったグループに対応する位置の画素が欠落していることで、復元画像に劣化が生じる。すなわち、復号後の画像でパケット誤りによる画素の消失が残る場合は、消失画素の周辺画素を用いてそれを補間するために、欠落した画素とその周辺画素から補間処理を行う。例えばMMSE(Minimum Mean Square Error)アルゴリズムによる補間法(非特許文献4参照)を用いることで、簡単な処理で高精度の補間が実現できる。
上記アルゴリズムを計算機シミュレーションにより評価した結果を図5に示す。図5において、シミュレーションの諸元を表1に示す。
Figure 2011035736
すなわち、図5において、(a)は原動画像(誤りが全くない状態)、(b)は図2に示す実施形態の符号化アルゴリズムを用いないで3次元ウェーブレットによる符号化を行い、全ストリームのうち、20%分のストリームが欠落したときの復元動画像、(c)は図2に示す実施形態の符号化アルゴリズムを用いて符号化処理を行い、復号処理は誤り補間(Error Concealment)処理を一切行わなかった場合の復元動画像、(d)は図2に示す符号化・復号アルゴリズムの誤り補間を含む全ての処理を行った時の復元動画像である。但し、図5(b)において、欠落した伝送ストリームの先頭からの位置は(c)−(d)と同じ位置の同じ長さ分だけが欠落したものとしている。
ここで、図5(b),(c)を比較すると、20%のパケット消失という非常に劣悪な伝送環境下においても、画質がかなり良くなっていることがわかる。さらに、復号側で誤り補間処理を行うことで、図5(d)に見られるように、格段の画質改善効果があることがわかる。
以上のように、上記構成による動画像符号化・復号装置によれば、符号化処理において、1GOFを構成する各フレームについて空間方向にウェーブレット変換を行い、各フレームのウェーブレット係数をNグループに分散的に分割した後、各グループに対して時間方向のウェーブレット変換を行って符号化ビット系列を生成する。その上で、各ウェーブレット係数を量子化し、第n番目のグループにおける最も周波数の低いサブバンド以外の、N−1個のグループに割り当てられた最も周波数の低いサブバンド(LL領域)の係数のうち、全て或いは選択された一部のグループ分の係数を第n番目のグループに離間的に配置するようにコピーして、伝送系列を生成するようにしている。
一方、復号処理において、受信した伝送系列に誤り検出処理を行い、N個のうち一部の伝送系列しか受信できなかった場合に、第1誤り補間処理として、受信できた伝送系列のみから複製処理で行ったLL領域のウェーブレット係数のコピーを取り除き、符号化ビット系列を再構成する。このとき受信できなかった伝送系列のLL領域の係数は、複製処理によって受信できた伝送系列内にコピーされているため、LL領域の係数は全て再構成することができる。その後、受信できた符号化ビット系列の時間方向ウェーブレット逆変換を行い、受信できたグループと受信できなかったグループのLL領域のウェーブレット係数を用いてLf枚のフレームを再生することで、分割前の状態に戻し、Lf枚の各フレームに対して空間方向ウェーブレット逆変換を行い、復号動画像をLfフレーム分復元する。最後に、第2誤り補間処理を実行し、復号後の画像でパケット誤りによる消失画素について、周辺画素を用いてそれを補間する。
このようにしたことで、通信路のパケット誤り、ビット誤りに対する耐性を高めることができ、著しく状態の悪い通信路を伝送する場合でも、パケット誤り、ビット誤りによる復号画像の劣化を低減して高画質の復号画像を提供することができる。
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
11…送信装置、111…エンコーダ、112…変調器、113…周波数変換器、114…電力増幅器、115…アンテナ、12…受信装置、121…アンテナ、122…低雑音増幅器、123…周波数変換器、124…復調器、125…デコーダ。

Claims (18)

  1. 動画像信号について規定枚数のフレームを1つの処理単位としてまとめる処理単位形成手段と、
    前記処理単位毎にまとめられた規定枚数のフレームそれぞれに対して空間方向のウェーブレット変換を行う空間方向変換手段と、
    前記空間方向のウェーブレット変換で得られた各フレームのウェーブレット係数をN個のグループに分散的に分割する分割手段と、
    前記分割手段で得られたN個のグループそれぞれに対して時間方向ウェーブレット変換を行って符号化ビット系列を生成する時間方向変換手段と、
    前記時間方向変換で得られたN個のグループそれぞれのフレームのウェーブレット係数を量子化する量子化手段と、
    前記量子化されたN個のグループをそれぞれ処理単位として、N個に分割された最も周波数の低いサブバンドのウェーブレット係数に関して、第n番目のグループ(1≦n≦N)に残りN−1個のグループに割り当てられた最も周波数の低いサブバンドのウェーブレット係数をそれぞれ離間して配置されるように複製処理することで伝送系列を生成する複製手段と
    を具備することを特徴とする動画像符号化装置。
  2. 前記分割手段は、前記空間方向のウェーブレット係数をN個のグループに分割する際、同じグループに属する近隣の画素が最大限離れた場所の画素になるように選択することを特徴とする請求項1記載の動画像符号化装置。
  3. 前記複製手段は、前記第n番目のグループ以外の残りのN−1個のグループに割り当てられた最も周波数が低いサブバンドのウェーブレット係数のうち、全て或いは選択された一部のグループ分の係数を第n番目のグループに離散的に配置するように複製することを特徴とする請求項2記載の動画像符号化装置。
  4. さらに、前記複製手段で生成された伝送系列の情報量を圧縮する圧縮手段を備えることを特徴とする請求項1記載の動画像符号化装置。
  5. 動画像信号について規定枚数のフレームを1つの処理単位としてまとめ、
    前記処理単位毎にまとめられた規定枚数のフレームそれぞれに対して空間方向のウェーブレット変換を実行し、
    前記空間方向のウェーブレット変換で得られた各フレームのウェーブレット係数をN個のグループに分散的に分割し、
    前記分割処理で得られたN個のグループそれぞれに対して時間方向ウェーブレット変換を行って符号化ビット系列を生成し、
    前記時間方向変換で得られたN個のグループそれぞれのフレームのウェーブレット係数を量子化し、
    前記量子化されたN個のグループをそれぞれ処理単位として、N個に分割された最も周波数の低いサブバンドのウェーブレット係数に関して、第n番目のグループ(1≦n≦N)に残りN−1個のグループに割り当てられた最も周波数の低いサブバンドのウェーブレット係数をそれぞれ離間して配置されるように複製処理することで伝送系列を生成することを特徴とする動画像符号化方法。
  6. 前記分割処理は、前記空間方向のウェーブレット係数をN個のグループに分割する際、同じグループに属する近隣の画素が最大限離れた場所の画素になるように選択することを特徴とする請求項5記載の動画像符号化方法。
  7. 前記複製処理は、前記第n番目のグループ以外の残りのN−1個のグループに割り当てられた最も周波数が低いサブバンドのウェーブレット係数のうち、全て或いは選択された一部のグループ分の係数を第n番目のグループに離散的に配置するように複製することを特徴とする請求項6記載の動画像符号化方法。
  8. さらに、前記複製処理で生成された伝送系列の情報量を圧縮することを特徴とする請求項5記載の動画像符号化方法。
  9. 動画像信号を符号化する動画像符号化処理をコンピュータに実行させる動画像符号化プログラムであって、
    前記動画像信号について規定枚数のフレームを1つの処理単位としてまとめる処理単位形成処理を実行させ、
    前記処理単位毎にまとめられた規定枚数のフレームそれぞれに対して空間方向のウェーブレット変換を行う空間方向変換処理を実行させ、
    前記空間方向のウェーブレット変換で得られた各フレームのウェーブレット係数をN個のグループに分散的に分割する分割処理を実行させ、
    前記分割処理で得られたN個のグループそれぞれに対して時間方向ウェーブレット変換を行って符号化ビット系列を生成する時間方向変換処理を実行させ、
    前記時間方向変換で得られたN個のグループそれぞれのフレームのウェーブレット係数を量子化する量子化処理を実行させ、
    前記量子化されたN個のグループをそれぞれ処理単位として、N個に分割された最も周波数の低いサブバンドのウェーブレット係数に関して、第n番目のグループ(1≦n≦N)に残りN−1個のグループに割り当てられた最も周波数の低いサブバンドのウェーブレット係数をそれぞれ離間して配置されるように複製処理することで伝送系列を生成する複製処理を実行させることを特徴とする動画像符号化プログラム。
  10. 前記分割処理は、前記空間方向のウェーブレット係数をN個のグループに分割する際、同じグループに属する近隣の画素が最大限離れた場所の画素になるように選択することを特徴とする請求項9記載の動画像符号化プログラム。
  11. 前記複製処理は、前記第n番目のグループ以外の残りのN−1個のグループに割り当てられた最も周波数が低いサブバンドのウェーブレット係数のうち、全て或いは選択された一部のグループ分の係数を第n番目のグループに離散的に配置するように複製することを特徴とする請求項10記載の動画像符号化プログラム。
  12. さらに、前記複製処理で生成された伝送系列の情報量を圧縮する圧縮処理を実行させることを特徴とする請求項9記載の動画像符号化プログラム。
  13. 請求項1乃至4記載の動画像符号化装置で生成され伝送路を介して受信された伝送系列から元の動画像信号を復号する動画像復号装置であって、
    前記伝送系列を入力して前記N個のグループのうち一部の伝送系列しか受信できなかったことを検出する誤り検出手段と、
    前記N個のうち一部の伝送系列しか受信できなかったことが検出された場合に、受信できた伝送系列のみから前記複製処理で行ったウェーブレット係数の複製部分で符号化ビット系列を再構成する第1誤り補間手段と、
    前記再構成された符号化ビット系列に対して時間方向ウェーブレット逆変換を行う時間方向変換手段と、
    前記時間方向の逆変換を受けた符号化ビット系列に対して受信できたグループと受信できなかったグループの最も周波数が低いサブバンドのウェーブレット係数を用いて規定枚数のフレームを再生することで、分割前の状態に戻す逆分割手段と、
    前記分割前に戻された規定枚数のフレームに対して空間方向ウェーブレット逆変換を行って復号動画像を復元する空間方向逆変換手段と、
    前記復元された各フレームにおいて、受信できなかったグループに対応する位置の画素が欠落していて復号後の画像でパケット誤りによる画素の消失が残る場合に、消失画素をその周辺画素を用いて補間する第2誤り補間手段と
    を具備することを特徴とする動画像復号装置。
  14. 前記第2誤り補間手段は、MMSE(Minimum Mean Square Error)アルゴリズムによる補間法を用いることを特徴とする請求項13記載の動画像復号装置。
  15. 請求項5乃至8記載の動画像符号化方法で生成され伝送路を介して受信された伝送系列から元の動画像信号を復号する動画像復号方法であって、
    前記伝送系列を入力して前記N個のグループのうち一部の伝送系列しか受信できなかったことを検出し、
    前記N個のうち一部の伝送系列しか受信できなかったことが検出された場合に、受信できた伝送系列のみから前記複製処理で行ったウェーブレット係数の複製部分で符号化ビット系列を再構成し、
    前記再構成された符号化ビット系列に対して時間方向ウェーブレット逆変換を行い、
    前記時間方向の逆変換を受けた符号化ビット系列に対して受信できたグループと受信できなかったグループの最も周波数が低いサブバンドのウェーブレット係数を用いて規定枚数のフレームを再生することで、分割前の状態に戻し、
    前記分割前に戻された規定枚数のフレームに対して空間方向ウェーブレット逆変換を行って復号動画像を復元し、
    前記復元された各フレームにおいて、受信できなかったグループに対応する位置の画素が欠落していて復号後の画像でパケット誤りによる画素の消失が残る場合に、消失画素をその周辺画素を用いて補間することを特徴とする動画像復号方法。
  16. 前記消失画素を周辺画素を用いて補間する処理に、MMSE(Minimum Mean Square Error)アルゴリズムによる補間法を用いることを特徴とする請求項15記載の動画像復号方法。
  17. 請求項1乃至4記載の動画像符号化装置で生成され伝送路を介して受信された伝送系列から元の動画像信号を復号する動画像復号処理をコンピュータに実行させる動画像復号プログラムであって、
    前記伝送系列を入力して前記N個のグループのうち一部の伝送系列しか受信できなかったことを検出する誤り検出処理を実行させ、
    前記N個のうち一部の伝送系列しか受信できなかったことが検出された場合に、受信できた伝送系列のみから前記複製処理で行ったウェーブレット係数の複製部分で符号化ビット系列を再構成する第1誤り補間処理を実行させ、
    前記再構成された符号化ビット系列に対して時間方向ウェーブレット逆変換を行う時間方向変換処理を実行させ、
    前記時間方向の逆変換を受けた符号化ビット系列に対して受信できたグループと受信できなかったグループの最も周波数が低いサブバンドのウェーブレット係数を用いて規定枚数のフレームを再生することで、分割前の状態に戻す逆分割処理を実行させ、
    前記分割前に戻された規定枚数のフレームに対して空間方向ウェーブレット逆変換を行って復号動画像を復元する空間方向逆変換処理を実行させ、
    前記復元された各フレームにおいて、受信できなかったグループに対応する位置の画素が欠落していて復号後の画像でパケット誤りによる画素の消失が残る場合に、消失画素をその周辺画素を用いて補間する第2誤り補間処理を実行させることを特徴とする動画像復号プログラム。
  18. 前記第2誤り補間処理は、MMSE(Minimum Mean Square Error)アルゴリズムによる補間法を用いることを特徴とする請求項17記載の動画像復号プログラム。
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