JP2011025138A - 感磁性キレート材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、産業廃水、河川水、地下水から、磁気分離技術を使うことにより簡単かつ安全に効率よく、金属イオンを捕集、除去、濃縮、回収することが可能であり、磁性体含有比率が高いため良好な感磁性を有しており、安全な方法により製造することができ、さらに、耐酸性が高い感磁性キレート材料を提供することにある。
【解決手段】側鎖にキレート基を有する重合体がマイクロカプセル表面に結合しており、感磁性樹脂微粒子を内包していることを特徴とするマイクロカプセル型感磁性キレート材料を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、外部磁場の働きにより容易に分散と凝集の制御が可能であり、水中や有機溶媒中に含まれる微量の金属イオンを回収するための分離機能性材料として使用できる感磁性キレート材料に関するものである。
産業廃水には様々な有害金属イオンが含まれていることがあり、環境汚染防止の観点から、これらは廃水処理によって十分に除去される必要がある。また、河川水や地下水中に含まれる様々な成分の中には人体に悪影響を及ぼすものがあり、河川水や地下水を利用するにあたっては十分に配慮しなければならない。一方、産業廃水中には、回収すべき有用金属イオンが含まれていることもあり、資源有効活用の観点からこれらを効率よく回収することも必要である。
有害金属イオンを除去するために最もよく用いられている方法は、高分子凝集剤とキレート剤により有害金属イオンを沈殿させる方法である。生成する沈殿物は排水から分離され、主に埋め立て処理されているが、埋め立て場所の確保や、埋め立て場所からの漏出といった新たな問題を引き起こしている。一方、この沈殿法で有用金属イオンの回収を実施しようとすると、沈殿物の分離後に有用金属イオンと沈殿形成のための薬剤の分離が必要である。この作業のためには強酸や強塩基が必要となり、さらに沈殿形成のための薬剤由来の新たな廃棄物が生じることから、コスト的にも、また、環境的にも好ましくない。金属イオンを捕集するキレート基を導入したフィルター類による処理も提案されているが、比較的短時間で流量が低下しやすく、また、逆洗によっても性能が回復しにくいという問題がある。
別の方法として、イオン交換樹脂やキレート樹脂が提案され、広く使用されている。これらの樹脂は、いずれも直径0.5mm前後のビーズ状であるため、充填塔方式による使用形態が取られ、加圧送水のための設備が必要である。処理量が増すに従い、目詰まりなど流量の低下が頻繁に起こり、その都度逆洗を実施する必要が出てくる。吸着性能は樹脂の充填量や通水流速に依存しており、吸着性能を上げるために流速を小さくすると処理液量が少なくなり、樹脂充填量を増やすと経済的でないというジレンマを抱えている。樹脂粒子内部へのイオンの拡散速度が小さいという問題点もある。これらの樹脂が、ジビニルベンゼンなどの架橋剤によって剛直な三次元構造を有しているためである。拡散速度が遅いため、樹脂を再生する際に長い時間がかかるだけでなく、大量の再生廃水が生じるという事態にも至っている。
イオン交換樹脂やキレート樹脂に代わる材料として、繊維を基材とするイオン交換体やキレート交換体が提案され、商品化されている(例えば、特許文献1参照)。これらは、繊維の比表面積が大きく、かつ、繊維表面にイオン交換基やキレート基が導入されているため、イオン交換樹脂やキレート樹脂に比べて吸着速度が大きくなるという利点を有している。しかしながら、繊維を基材とするイオン交換体やキレート交換体といえども、商品化にあたっては充填塔方式による使用形態が主流であり、送水のための設備が必要である(例えば、特許文献2参照)。これらはまた、イオン交換樹脂やキレート樹脂に比べると、充填塔への装入や外部への排出に際して、流れ方向下流側に圧密された状態を形成しやすく、移送性が悪いという問題を抱えている。
こういった問題を解決する方法として、磁気分離技術を併用する提案がなされている(例えば、特許文献3参照)。キレート基を持つ有機化合物層を有する磁性体粒子を被処理水中に添加し、キレート形成後、該磁性体粒子を磁気分離するというものである。近年改良が進んだ超電導磁気分離装置と組み合わせることで、効率よく磁性体粒子と被処理水の分離を行うことができるとしている。しかしながら、提案されている磁性体粒子は、粒子を覆うポリマー層の主鎖に結合した官能基を利用してキレート基を形成するものであり、キレート基の存在密度が低いという問題がある。
これに対して、キレート基を有する側鎖をグラフト反応により導入することでキレート基の存在密度を上げる提案がなされている(例えば、特許文献4、5、非特許文献1参照)。本発明者の検討によれば、これらの提案においては、グラフト反応を行うために安全性の点で好ましくないγ線、β線、X線などの放射線が必要であったり、不安定な酸ハロゲン化物が必要であったりといった問題がある。あるいは、グラフト反応の起点を確保するため、高濃度の分散剤と特殊な反応装置を使う懸濁重合が必要な上に、粒子を覆うポリマー層の機械的強度が低いために、その厚みを厚くする必要があり、結果的に磁性体粒子に含まれる磁性体含有比率が少なくなって感磁性が低下してしまい、実用性に乏しいものであった。
これらのイオン交換基やキレート基を用いて金属イオンを捕集する場合、金属イオンの吸着と脱着は液のpHを変化させることによって実施される。例えば、代表的なキレート基であるイミノジ酢酸基の場合、金属イオンの脱着には2規定の塩酸または硫酸が用いられる。しかも、処理液量が増えるにつれ、極めて長時間にわたって、このような酸に浸されることになる。磁性体成分は基本的に酸によって冒されるため、金属イオンを捕集する目的に使われる磁性体粒子には、極めて高い耐酸性が必要になる。この高い耐酸性を確保するために、これまでに様々な提案がなされている(例えば、特許文献6〜9参照)。しかし、本発明者の検討によれば、これまで提案されてきた方法では耐酸性が不十分であり、吸着と脱着を繰り返し行った場合や、長時間にわたって酸に浸した場合には磁性体成分が溶出し、感磁性が低下または消失するという問題点が見られた。
例えば、特許文献6では、磁性体粒子をデキストランやメタクリル酸誘導体の重合体でコートした担体や、磁性体をポリアクリルアミドゲル中に保持させた後に粉砕した担体を作っておき、これらにキレート官能基を有する基体を結合させた金属捕集剤が記述されている。しかしながら、デキストランやポリアクリルアミドゲルの酸を遮蔽する能力は高くない。メタクリル酸誘導体の重合体によるコートも、繰り返しの使用や何らかの機械的衝撃で亀裂が入れば、内層は磁性体のみからなっているので、その欠損部分から酸溶出が拡大するという問題点がある。
特許文献7においては、重合体マトリックス中に強磁性体を含有する粒状基質に、機能性単量体のグラフト反応が施されている。グラフト反応の結果、粒状基質に対して機能性単量体の重合体が殻として形成されるとしているが、グラフト反応の延長として、線状ポリマーが粒状基質表面に沈着しているだけであり、架橋構造もなく、殻としての強度や均一性に乏しいものである。従って、酸への長時間の暴露において、磁性体の溶出を抑えることはできない。
特許文献8においては、磁性体をポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等でコーティングし、その上に陰イオン樹脂または陽イオン樹脂層を設ける形態が記述されている。酸やアルカリによる磁性体の腐食を、樹脂コーティングで防止できるとしているが、繰り返しの使用や何らかの機械的衝撃で亀裂が入れば、内層は磁性体のみからなっているので、その欠損部分から酸溶出が拡大するという問題点がある。
特許文献9においては、ストロンチウムフェライトまたはバリウムフェライトが、フェノール/アルデヒド重縮合体中に担持されている。フェノール/アルデヒド重縮合体は、磁性体を保持しつつ、微小な球状体を形成するためだけに用いられており、酸を遮蔽する能力は持っていないので、ストロンチウムフェライトやバリウムフェライトが直接酸に接触する構造になっている。長期にわたる使用において、高度の耐酸性は期待できない。
特開2000−248467号公報 特開2006−26462号公報 特開2003−275758号公報 国際公開第2005/042622号パンフレット 特開2006−265451号公報 特開昭63−175686号公報 特開昭53−108189号公報 公開実用新案公報昭56−129825号公報 特開平2−241548号公報
Z.Y.Ma、外3名、「Synthesis of Magnetic Chelator for High−Capacity Immobilized Metal Affinity Adsorption of Protein by Cerium Initiated Graft Polymerization」、Langmuir、2005年、第21巻、p.6987−6994
本発明の課題は、上記のような事情に着目してなされたものであって、その課題とするところは、産業廃水、河川水、地下水から、磁気分離技術を使うことにより簡単かつ安全に効率よく、金属イオンを捕集、除去、濃縮、回収することが可能であり、磁性体含有比率が高いため良好な感磁性を有しており、安全な方法により製造することができる感磁性キレート材料を提供することにある。さらに、耐酸性が高い感磁性キレート材料を提供することにある。
本発明者は上記課題を鋭意研究し、側鎖にキレート基を有する重合体がマイクロカプセル表面に結合しており、感磁性樹脂微粒子を内包していることを特徴とするマイクロカプセル型感磁性キレート材料が、前記課題の解決に極めて有効であること、該マイクロカプセルがin situ重合法によって形成されていることが好ましいこと、さらに、感磁性樹脂微粒子を構成する樹脂が、エチレン性不飽和結合を持つ化合物の重合体であることが好ましいことを見いだして本発明に到達した。
本発明の感磁性キレート材料は、金属イオンへのキレート能を有するキレート基が、感磁性樹脂微粒子を内包するマイクロカプセル皮膜表面から伸びた重合体側鎖に配置されており、マイクロカプセル単位体積あたりのキレート基存在密度が高い。そのため、被処理水に対して少量添加するだけで、効率よく金属イオンを捕集、除去、濃縮、回収することができる。本発明の感磁性キレート材料に含まれる磁性成分は、樹脂とともに微粒子状に固着された上に、緻密なマイクロカプセル被膜によって包まれている。マイクロカプセル皮膜が持つ酸遮蔽性に加えて、何らかの原因によって酸成分がカプセル内包物に到達しても、磁性成分が樹脂とともに固着されている結果、酸による磁性成分の溶出は容易には進まない。その結果、本発明の感磁性キレート材料は極めて高い耐酸性を示し、繰り返し使用しても、あるいは長時間酸に浸しても感磁性が低下しない。また、マイクロカプセルの製造と重合体側鎖の導入はいずれも、特殊な薬品や装置あるいは電磁波等を用いることなく、安全な方法により実施することができる。
本発明の感磁性キレート材料は、感磁性樹脂微粒子を内包し、in situ重合法によって皮膜が製造されたマイクロカプセルが、その皮膜表面にキレート基を有する重合体側鎖を有している。
本発明において用いられる感磁性樹脂微粒子は、金属およびその酸化物、合金およびその酸化物からなる群から選択される少なくとも1種以上の磁性材料と、樹脂から形成されていることが好ましい。金属としては、鉄、コバルトまたはニッケル等が挙げられる。化学的な安定性に優れることから、マグヘマイト、マグネタイト、ニッケル亜鉛フェライトおよびマンガン亜鉛フェライトからなる群から選択される少なくとも1種以上の磁性材料が好ましい。その中でも、大きな磁化量を有するために、磁界に対する感応性が優れるマグネタイトが特に好ましい。感磁性樹脂微粒子中の磁性材料含有率は、10〜70質量%の範囲が好ましい。この値が10%未満では感磁性が小さくなり、磁石により効率よく集めることができなくなる場合がある。また、70%を超えると、樹脂による耐酸性向上効果が小さくなる場合がある。
感磁性樹脂微粒子を構成する樹脂については、特に制限はなく、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂などを用いることができる。これらの樹脂を、磁性材料とともに溶融混練し、粉砕することにより感磁性樹脂微粒子が得られる。これらの樹脂の中ではさらに、エチレン性不飽和結合を持つ化合物の重合により得られる樹脂が、懸濁重合法や乳化重合法を用いることで感磁性樹脂微粒子を容易に製造できるので好ましい。エチレン性不飽和結合を持つ化合物として具体的には、スチレン、クロロスチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン等の重合性不飽和芳香族類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、エチレングリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸エステル等の重合性カルボン酸エステル類;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクロレイン、(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ブタジエン、イソプレン、酢酸ビニル、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等の不飽和カルボン酸アミド類、重合性不飽和ニトリル類、ハロゲン化ビニル類、共役ジエン類を挙げることができる。上記のエチレン性不飽和結合を持つ化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明において用いられる感磁性樹脂微粒子の形状には特に制限はなく、球状、楕円球状、板状、針状、または、立方体状などの多面体状であってもよいが、マイクロカプセルに内包させることから、球状または楕円球状であることが好ましい。また、そのサイズについては、マイクロカプセルに内包されるサイズのものであれば特に制限はないが、感磁性樹脂微粒子の最も長い軸の長さが4nm〜10μmのものが好ましい。
本発明において用いられるマイクロカプセル化法に特に制限はなく、例えば田中眞人著、「ナノ・マイクロカプセル調製のキーポイント」、(株)テクノシステム、2008年に詳しく記載されている、化学的方法、物理化学的方法、機械的方法のいずれも用いることができる。中でも、化学的方法の中のin situ重合法によれば、容易な操作により、緻密で、酸を遮蔽する能力が高いマイクロカプセル皮膜が得られるので好ましい。
一般に、in situ重合法によるマイクロカプセル化においては、互いに混じり合わない内相(芯物質)と外相のどちらか一方の相に、モノマーまたはプレポリマーと重合開始剤や触媒を溶解しておいて、界面で膜を形成させる。本発明においては、感磁性樹脂微粒子を内相とするので、モノマーまたはプレポリマーと重合開始剤や触媒を外相から供給することになる。膜形成に用いられるモノマーまたはプレポリマーとしては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、酢酸ビニル、スチレン、ジビニルベンゼン等の重合性二重結合を有するモノマーの組み合わせ、有機アミンと水溶性エポキシ化合物の組み合わせ、複素環状アミンと多価アルデヒドの組み合わせ等々、種々のものが知られている。とりわけ、尿素とホルムアルデヒドの重縮合による尿素−ホルムアルデヒド重合皮膜、メラミンとホルムアルデヒドの重縮合によるメラミン−ホルムアルデヒド重合皮膜、または重合性二重結合を有するモノマーの重合皮膜を有するマイクロカプセルが、高濃度カプセルが得られる、耐水性や耐溶剤性等に優れる、緻密性に優れる等の長所を有しており、本発明において好ましく用いられる。
本発明において用いられるマイクロカプセルの直径は1〜100μmが好ましい。直径が1μmより小さいと、内包される感磁性樹脂微粒子が少なくなり、感磁性が小さくなる場合がある。直径が100μmより大きい場合には、機械的な強度が低下してくる場合がある。なお、マイクロカプセルの直径はその電子顕微鏡写真に基づいて求められる。
本発明において用いられるキレート基の具体例としては、イミノジ酢酸、イミノジホスホノメタン、ニトリロトリ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、1,3−プロパンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、イミノジエタノール等から誘導される基を挙げることができる。また、各種多価アミン、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン等から誘導される基、各種アミノ酸、例えば、フェニルアラニン、リジン、ロイシン、バリン、プロリン等から誘導される基、各種糖類、例えば、グルカミン、N−メチルグルカミン等から誘導される基、8−ヒドロキシキノリンから誘導される基等を挙げることができる。これらの中で、コバルト、ニッケル、銅等の重金属に対して高い選択性を持つイミノジ酢酸から誘導される基、ホウ素、ヒ素、ゲルマニウム、セレン等の半金属に対して高い選択性を持つN−メチルグルカミンから誘導される基が好ましい。
本発明において用いられるキレート基は、マイクロカプセル皮膜表面に結合された重合体側鎖に導入される。このような構造を実現するためには、1)キレート基を有するモノマーをマイクロカプセル皮膜表面にグラフト重合させる方法、2)後段でキレート基を導入するために利用できる官能基を有するモノマーをグラフト重合させた後に、キレート基を導入する方法がある。1)で用いられるキレート基を有するモノマーとしては、例えば、メタクリル酸グリシジルとイミノジ酢酸、イミノジエタノールあるいはN−メチルグルカミンとの反応物を挙げることができる。ただし、一般に、キレート基を有するモノマーは分子量が大きくなるために、反応性が低下する傾向があり、グラフト率が下がることがあるため、2)の方法が好ましい。2)で用いられる後段でキレート基を導入するために利用できる官能基を有するモノマーの例としては、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
モノマーをマイクロカプセル表面にグラフト重合させるための重合開始方法としては、放射線を使う方法や、増感剤と紫外線を併用する方法も使うことができるが、特殊な装置が不用で、安全性が高く、グラフト反応を低温で開始できることから、レドックス開始剤を使用する方法が好ましい。レドックス開始剤の具体例としては、低原子価の鉄イオンや銅イオンと過酸化水素や過硫酸塩の組み合わせや、4価のセリウム塩を挙げることができる。
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものでない。なお、実施例中の部数や百分率は、特にことわりのない場合、質量基準である。
<感磁性樹脂微粒子Aの製造>
ボールミルにて予め混練しておいたスチレン45部、n−ブチルメタクリレート5部、ジビニルベンゼン1部、表面疎水化処理したマグネタイト30部、ベンゾイルパーオキシド1部の混合物を、ポリビニルアルコール(ケン化度98%、重合度1700)5部を溶解したイオン交換水500部に添加し、ホモミキサーで6000rpm×10分間の分散を行った。このものをフラスコに移し、窒素気流下にて80℃、8時間加熱攪拌した。生成物は、水洗後、磁石により集めて乾燥し、感磁性樹脂微粒子Aを得た。100個の粒子について走査型電子顕微鏡により観察したところ、粒子の形状は球状であり、その平均粒径は11μmであった。
<感磁性樹脂微粒子Bの製造>
フタル酸と脂肪族ジオールを主成分とする共重合ポリエステル50部と表面疎水化処理したマグネタイト30部を溶融混練した後、機械式粉砕機で粉砕し、さらに粉砕物を分級した。生成物は角の取れた楕円球を主体とする不定形な粒の集まりであったが、長軸と短軸の平均がおよそ10μmの感磁性樹脂微粒子Bを得た。粒径の測定方法は、100個の粒子について走査型電子顕微鏡で観察することにより行った。
<感磁性樹脂微粒子Aを内包するマイクロカプセル1Aの製造>
2gの感磁性樹脂微粒子Aに、酢酸でpHを4.5、濃度を5質量%に調整したα−メチルスチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液100gを加え、ホモミキサーで6000rpm×1分間攪拌混合した。ここへ、予めメラミン粉末5gに37%ホルムアルデヒド水溶液6.5gと水10gを加え、pHを8に調整した後、液温70℃まで加熱して調製しておいたメラミン−ホルマリン初期縮合物水溶液を添加し、70℃で2時間攪拌した後、pHを9に調整してマイクロカプセル1Aのスラリーを得た。仕込みに用いた感磁性樹脂微粒子Aは、ほぼ全量マイクロカプセルに内包されていた。マイクロカプセル1Aは、走査型電子顕微鏡の観察によれば、直径15〜25μmの球状または楕円球状構造を持つ粒子であった。
<感磁性樹脂微粒子Bを内包するマイクロカプセル1Bの製造>
感磁性樹脂微粒子Aの替わりに感磁性樹脂微粒子Bを用いる以外は同様に操作して、マイクロカプセル1Bのスラリーを得た。マイクロカプセル1Bは、走査型電子顕微鏡の観察によれば、直径14〜23μmの球状または楕円球状構造を持つ粒子であった。
<感磁性樹脂微粒子Aを内包するマイクロカプセル2Aの製造>
2gの感磁性樹脂微粒子Aに、10%部分ケン化ポリ酢酸ビニル水溶液7gをイオン交換水120gに溶かした溶液を加え、ホモミキサーで6000rpm×1分間攪拌混合した。このものへ、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.3g、α−メチルスチレンダイマー0.2g、メチルメタクリレート6g、ヒドロキエチルメタクリレート1gをエタノール50gに溶かした溶液をゆっくりと添加し、次いで窒素気流下にて80℃で4時間加熱攪拌して、マイクロカプセル2Aのスラリーを得た。仕込みに用いた感磁性樹脂微粒子Aは、ほぼ全量マイクロカプセルに内包されていた。マイクロカプセル2Aは、走査型電子顕微鏡の観察によれば、直径17〜24μmの球状構造を持つ粒子であった。
<感磁性樹脂微粒子Aを内包するマイクロカプセル3Aの製造>
感磁性樹脂微粒子A2gと酢酸エチル20部を混合し、このものへ、キシリレンジイソシアネート−トリメチロールプロパン3:1付加物を7g加えてよく攪拌、混合後、水相溶液として調製したポリビニルアルコール5%水溶液135gに添加し、ホモミキサーにて6000rpm×1分間攪拌混合した。この液を50℃にて3時間加熱攪拌して界面重合反応を進行させ、マイクロカプセル3Aのスラリーを得た。仕込みに用いた感磁性樹脂微粒子Aはほぼ全量マイクロカプセルに内包されていた。マイクロカプセル3Aは、走査型電子顕微鏡の観察によれば、直径13〜30μmの凹凸のある球状構造を持つ粒子であった。
実施例1
マイクロカプセル1Aのスラリー14gを蒸留水40mlで希釈し、メタクリル酸グリシジル1.2g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1g、硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物0.08g、二酸化チオ尿素0.05gを加えて、窒素雰囲気下にて1時間攪拌した。ここへ、30%過酸化水素0.14gを蒸留水1mlに溶かした溶液を滴下し、55℃にて2時間加熱攪拌した。生成物は水にあけ、磁石を使って感磁性のもののみを取り出した。このものへ、イミノジ酢酸二ナトリウム3g、水27ml、エタノール13mlを加えて4時間加熱環流させた。生成物は水にあけ、磁石を使って感磁性のもののみを取り出し、乾燥して、感磁性キレート材料1を1.32g得た。
実施例2
イミノジ酢酸二ナトリウム3gの替わりに、N−メチルグルカミン3.3gを用いる以外は実施例1と同様に操作して、感磁性キレート材料2を1.41g得た。
実施例3
マイクロカプセル1Aのスラリー14gの替わりに、マイクロカプセル1Bのスラリー14gを用いる以外は実施例1と同様に操作して、感磁性キレート材料3を1.36g得た。
実施例4
マイクロカプセル1Aのスラリー14gの替わりに、マイクロカプセル2Aのスラリー20gを用いる以外は実施例1と同様に操作して、感磁性キレート材料4を1.31g得た。
実施例5
マイクロカプセル1Aのスラリー14gの替わりに、マイクロカプセル3Aのスラリー16gを用いる以外は実施例1と同様に操作して、感磁性キレート材料5を1.26g得た。
比較例1
磁性流体((株)シグマハイケミカル製、商品名:E−600;磁性成分80%)20gへ、酢酸でpHを4.5、濃度を5質量%に調整したα−メチルスチレン−無水マレイン酸共重合体水溶液100gを加え、ホモミキサーで6000rpm×1分間攪拌混合した。ここへ、予めメラミン粉末5gに37%ホルムアルデヒド水溶液6.5gと水10gを加え、pHを8に調整した後、液温70℃まで加熱して調製しておいた、メラミン−ホルマリン初期縮合物水溶液を添加し、70℃で2時間攪拌した後、pHを9に調整して磁性流体内包マイクロカプセルのスラリーを得た。仕込みに用いた磁性流体はほぼ全量マイクロカプセルに内包されていた。走査型電子顕微鏡の観察によれば、直径5〜10μm程度の球状または楕円球状構造を持つ粒子であった。このマイクロカプセルスラリー5.5gを蒸留水40mlで希釈し、メタクリル酸グリシジル1.2g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1g、硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物0.08g、二酸化チオ尿素0.05gを加えて、窒素雰囲気下にて1時間攪拌した。ここへ、30%過酸化水素0.14gを蒸留水1mlに溶かした溶液を滴下し、55℃にて2時間加熱攪拌した。生成物は水にあけ、磁石を使って感磁性のもののみを取り出した。このものへ、イミノジ酢酸二ナトリウム3g、水27ml、エタノール13mlを加えて4時間加熱環流させた。生成物は水にあけ、磁石を使って感磁性のもののみを取り出し、乾燥して、感磁性キレート材料6を1.29g得た。
<銅イオン吸着能>
感磁性キレート材料0.2gを、3.9mmol/リットルの硫酸第二銅水溶液50mlに添加し、20℃で30分間攪拌した後、磁石強度0.45Tの永久磁石を用いて固形分と母液を分離し、母液中に残存する銅イオンを誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法により定量した。分離した感磁性キレート材料は、1規定塩酸50mlとともに10分間攪拌して銅イオンを脱着し、磁石を使って1規定塩酸から分離、水洗後、再度3.9mmol/リットルの硫酸第二銅水溶液50mlを加え、1N水酸化ナトリウム水溶液でpHを5に調整して、2回目の吸着能評価を行った。この吸着と脱着の操作を20回繰り返した。
感磁性キレート材料1gあたりの銅イオン吸着能は、実施例1の感磁性キレート材料1において、1回目、20回目とも0.72mmolで、20回の繰り返しでも劣化していないことが分かった。同様に、実施例3、4、5で得られた感磁性キレート材料3、4、5を評価したところ、感磁性キレート材料1gあたりの銅イオン吸着能は、それぞれ1回目で0.71mmol、0.70mmol、0.72mmol、20回目で0.65mmol、0.70mmol、0.63mmolであった。
比較例1の感磁性キレート材料6を同様に評価したところ、感磁性キレート材料1gあたりの銅イオン吸着能は、1回目で0.72mmol、20回目で0.31mmolであった。また、この吸着と脱着の操作を繰り返すにつれ、徐々に感磁性のない浮遊物が生じた。
<ホウ素イオン吸着能>
感磁性キレート材料0.2gを、9.1mmol/リットルのホウ酸水溶液50mlに添加し、20℃で30分間攪拌した後、磁石強度0.45Tの永久磁石を用いて固形分と母液を分離し、母液中に残存するホウ素を誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法により定量した。分離した感磁性キレート材料は、1規定塩酸50mlとともに10分間攪拌してホウ素イオンを脱着し、磁石を使って1規定塩酸から分離、水洗後、再度9.1mmol/リットルのホウ酸水溶液50mlを加え、1N水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整して、2回目の吸着能評価を行った。この吸着と脱着の操作を20回繰り返した。実施例2の感磁性キレート材料2において、感磁性キレート材料1gあたりのホウ素イオン吸着能は1回目、20回目ともに1.12mmolで、20回の繰り返しでも劣化していないことが分かった。
<耐酸性の評価>
感磁性キレート材料0.2gを、1規定塩酸50mlに添加し、室温にて1週間放置した後、感磁性のない浮遊物の生成を目視で評価した。比較例1の感磁性キレート材料6からは、浮遊物が大量に生じ、実施例3と5の感磁性キレート材料3と5からもごくわずか生じていることが認められた。実施例1、2、4の感磁性キレート材料1、2、4からは全く浮遊物が生じなかった。
本発明の感磁性キレート材料は、特殊な薬品や装置を必要とすることなく、安全な方法により製造することができ、永久磁石により容易に分離、精製できることが分かる。また、本発明の感磁性キレート材料が高い耐酸性と安定な吸脱着繰り返し性を有していることが分かる。また、耐酸性の点において、マイクロカプセルがin situ重合法によって形成されていること、感磁性樹脂微粒子を構成する樹脂がエチレン性不飽和結合を持つ化合物の重合体であることが好ましいことが分かる。

Claims (3)

  1. 側鎖にキレート基を有する重合体がマイクロカプセル表面に結合しており、感磁性樹脂微粒子を内包していることを特徴とするマイクロカプセル型感磁性キレート材料。
  2. マイクロカプセルが、in situ重合法によって形成されていることを特徴とする、請求項1記載の感磁性キレート材料。
  3. 感磁性樹脂微粒子を構成する樹脂が、エチレン性不飽和結合を持つ化合物の重合体であることを特徴とする、請求項1記載の感磁性キレート材料。
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