JP2011022046A - 複数種類の金属ナノ粒子層を持つ基板及びその作製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面プラズモン測定用チップ、ラマン分光分析用のチップ、金属ナノ粒子を触媒として利用するマイクロTASやマイクロ流路チップ等の基板として用いた場合に、公知のこれらのチップでは実現不可能な機能又は性能を発揮することを可能にする基板及びその作製方法を提供すること。
【解決手段】基板は、複数種類の異なる金属のナノ粒子からそれぞれ形成された層であって、各金属を含む溶液からの析出により形成された複数の金属ナノ粒子層が所望のパターンで形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数種類の金属ナノ粒子層を持つ基板の作製方法及び該作製方法により作製された基板に関する。本発明の基板は、表面プラズモン測定用チップ、ラマン分光分析用のチップ、マイクロTAS(total analysis system)チップ、マイクロ流路チップ等の基板等として利用可能である。
表面プラズモンを利用した高感度分析や、触媒として金属ナノ粒子の利用が進められている。従来、表面プラズモン測定用チップ、ラマン分光分析用のチップ、金属ナノ粒子を触媒として利用するマイクロTASやマイクロ流路チップにおいては、1種類の金属ナノ粒子が用いられている。銀や金等の金属ナノ粒子から成る層をガラス基板等の基板上に形成する方法は公知である(特許文献1〜4)。
特開2009−031023号公報 特開2008−135416号公報 特開2007−198933号公報 特開2005−077362号公報
1種類の金属ナノ粒子を用いる、公知の表面プラズモン測定用チップ、ラマン分光分析用のチップ、金属ナノ粒子を触媒として利用するマイクロTASやマイクロ流路チップにおいては、当然ながら、それらの機能や特性は、その1種類の金属ナノ粒子の特性により制限される。
従って、本発明の目的は、表面プラズモン測定用チップ、ラマン分光分析用のチップ、金属ナノ粒子を触媒として利用するマイクロTASやマイクロ流路チップ等の基板として用いた場合に、公知のこれらのチップでは実現不可能な機能又は性能を発揮することを可能にする基板及びその作製方法を提供することである。
本願発明者らは、1枚の基板上に複数種類の金属のナノ粒子から形成される層を所望のパターンで形成することができれば、金属ナノ粒子を触媒として用いる場合には、異なる触媒能を所望のパターンで、すなわち、異なる触媒能を場所特異的に付与することができ、マイクロTAS等において、これまで実現できなかった新たな性能を付与することができ、また、表面プラズモン測定やラマン分光分析等において、単一種類の金属ナノ粒子を用いた場合には、実現できなかった新たな性能を付与することができるかもしれないことに想到した。しかしながら、これまで、1枚の基板上に複数種類の金属のナノ粒子から形成される層を所望のパターンで形成する方法は全く報告されていない。
本願発明者らは、鋭意研究の結果、所望の金属を含む溶液中における反応により、該所望の金属ナノ粒子を前記基板上に所望のパターンで析出させ、次に、先の金属とは種類が異なる金属を含む溶液中における反応により、該金属ナノ粒子を、最初に析出させた金属ナノ粒子が析出していない前記基板の領域上に所望のパターンで析出させ、以下、同様にして逐次的に析出反応を行わせることにより、複数種類の異なる金属のナノ粒子からそれぞれ形成される層が所望のパターンで形成された基板を作製可能であることを見出し、かつ、作製した基板は、1種類の金属ナノ粒子層では得られない性能を有することを実験的に確認し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、複数種類の異なる金属のナノ粒子からそれぞれ形成された層であって、各金属を含む溶液からの析出により形成された複数の金属ナノ粒子層が所望のパターンで形成された基板を提供する。また、本発明は、複数種類の異なる金属のナノ粒子からそれぞれ形成される層が所望のパターンで形成された基板の作製方法であって、第1の金属を含む溶液中における反応により、該第1の金属ナノ粒子を前記基板上に所望のパターンで析出させる工程と、次いで第2の金属を含む溶液中における反応により、該第2の金属ナノ粒子を、前記第1の金属ナノ粒子が析出していない前記基板の領域上に所望のパターンで析出させる工程と、金属の種類が3種類以上の場合には、以下、同様に各種類の金属ナノ粒子を所望のパターンで逐次的に基板上に析出させる工程を含む、複数種類の異なる金属ナノ粒子からそれぞれ形成される、複数の所望のパターンの金属ナノ粒子層を有する基板の作製方法を提供する。
本発明により、複数種類の異なる金属のナノ粒子からそれぞれ形成される層が所望のパターンで形成された基板が初めて提供された。本発明の基板をマイクロTASやマイクロ流路チップ等の基板に適用することにより、異なる種類の金属ナノ粒子による異なる触媒能を所望のパターンで場所特異的に発揮させることができる。この場合、ナノ粒子のパターニング精度、すなわち、後述するマイクロコンタクトプリント法等によれば100nmオーダーの精度で、異なる化学反応を生起することができ、100nmオーダーの空間分解能で異種材料を反応生成することができ、従来のマイクロTASやマイクロ流路チップでは実現できない性能を発揮することができる。また、下記実施例において具体的に記載されるように、複数種類の金属ナノ粒子から成る層を隣接して配置した場合、吸収波長域を紫外可視分光光度計(UV-VIS)により分析すると、各単独の金属ナノ粒子の中間の値にピークが得られる。従って、各金属ナノ粒子の析出割合により、最大の吸収波長を制御することが可能である。従って、本発明の基板を、複数の励起光を用いたラマン分光分析等に適用することにより、高感度生化学センシングが可能になる。
本発明では、溶液から金属ナノ粒子を基板上に析出させるので、金属蒸着法のように真空を用いる必要がなく、簡便に実施することができ、低コストである。また、本発明の方法では、金属ナノ粒子層のパターニングにマイクロコンタクトプリント法を採用することが可能であり、この場合には、フォトリソグラフィーのようにパターニングに光学的手法を用いる必要がない。この点からも簡便に、かつ、低コストで実施することができる。
本発明の実施例において行った基板の作製方法を説明するための模式図である。 本発明の実施例において作製した基板の顕微鏡写真である。 本発明の実施例において作製した基板の波長と吸収の関係を、単独種類の金属ナノ粒子層が形成された基板と比較して示す図である。
本発明の基板の材料は、金属ナノ粒子が析出可能な材料であれば特に限定されるものではなく、ガラス、シリコン、貴金属基板等を挙げることができる。これらのうち、ガラスが好ましい。
上記の通り、本発明の基板は、複数種類の異なる金属のナノ粒子からそれぞれ形成された複数の層を有する。金属の種類の数は、特に限定されないが、数が多くなると作製方法が複雑になるので、2種類又は3種類が好ましく、特に2種類が好ましい。
ナノ粒子を形成する金属は、溶液中における反応により基板上に析出可能な金属であれば特に限定されず、金、銀、白金、パラジウム、コバルト等を挙げることができる。これらのうち、金及び銀が好ましい。また、「ナノ粒子」は、直径(球状以外の場合は長径)が1000μm未満のサイズの粒子を意味し、通常、1nm〜100nm程度のサイズを有する。溶液中から金属を基板上に析出させた場合、基板上に析出する金属は、通常、ナノ粒子の形態にある。
各金属のナノ粒子は、それぞれの金属元素を含む溶液、通常、各金属元素を含む、塩、酸、塩基、錯体等のイオン性化合物の溶液に還元剤を作用させて金属を還元する還元プロセスにより基板上に析出させることができる。この際、溶液中の金属化合物を分散させる分散剤を併用することが好ましい。ただし、後述の銀の場合のように、還元力のある分散剤を用いれば分散剤と還元剤を兼ねることもできる。なお、還元プロセスを、基板が溶液と接触している状態で行うことにより、基板上に金属ナノ粒子を析出させることもできるし、基板を接触させる前に還元プロセスを行って金属ナノ粒子を形成し、得られた金属ナノ粒子溶液と基板を接触させることにより基板上に金属ナノ粒子を析出させることもできる。後者の方法は、後述する、金属ナノ粒子が結合する官能基を有する化合物が、所望のパターンで基板上に結合されている場合に好ましく適用される。
金属ナノ粒子層のパターニングは、好ましくは、マイクロコンタクトプリント法により、金属ナノ粒子が選択的に析出する官能基を基板に選択的に結合させることにより行うことができる。金属ナノ粒子が選択的に析出する官能基は、例えば金ナノ粒子の場合にはアミノ酸基やチオール基等である。マイクロコンタクトプリント法自体は公知であり(特許文献1参照)、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)などのポリマーから成るスタンプに、前記官能基を有する化合物を塗布し、基板にはんこのようにスタンプする方法である。この方法によれば、フォトリソグラフィーのように光学的手法や現像工程等が不要であり、非常に簡便にパターニングを行うことができ、有利である。
以下、本発明の好ましい態様である、金及び銀の2種類の金属のナノ粒子から成る2種類の層が所望のパターンで形成された基板について詳細に説明する。
金及び銀の2種類の金属のナノ粒子から成る2種類の層が所望のパターンで形成された基板は、好ましくは、先ず、金ナノ粒子から成る層を基板上に所望のパターンで選択的に析出させ、次いで、金ナノ粒子が析出されていない基板上の領域に銀を析出させることにより作製することができる。以下、この方法を図1を参照して説明する。
金ナノ粒子から成る層を基板上に所望のパターンで選択的に析出させる工程は、好ましくは、基板上に、金ナノ粒子が選択的に結合する官能基を有する化合物を所望のパターンで結合させ、次いで、基板上に金粒子を析出させることにより行うことができる。金ナノ粒子が選択的に結合する官能基としては、アミノ基やチオール基を挙げることができる。また、このような官能基を有する化合物としては、基板上で自己組織化単分子膜(SAM)を形成する化合物(以下、「SAM形成性化合物」)が、金ナノ粒子を均一に析出する観点から好ましい。基板がガラス製である場合の好ましい自己組織化単分子膜形成性化合物は、シラン化合物であり、金と結合する官能基であるアミノ基を有するシラン化合物が好ましい。このようなシラン化合物の好ましい例として、3-アミノプロピル-トリメトキシシラン(AEAPTS)のようなアミノアルキルトリアルコキシシラン(アミノアルキル基及びアルコキシル基の炭素数は好ましくは1〜4)を挙げることができる。
AEAPTS 等のSAM形成性化合物は、図1の(a)に示すように、マイクロコンタクトプリント法により所望のパターンで基板上に結合させることができる。マイクロコンタクトプリント法では、基板上にSAM形成性化合物を結合させたいパターンが凸部になるように表面が成形されたスタンプ10を用いる。スタンプ10は、例えば、該パターンを有する鋳型を用いてポリジメチルシロキサン(PDMS)などのポリマーを成形することにより作製することができる。スタンプ10の凸部上に前記AEAPTS のようなSAM形成性化合物12'の溶液を塗布し、ガラス基板14に接触させてSAM形成性化合物12'をガラス基板14上に転写する。転写は常温で行うことができる。これにより、図1の(a)の一番下の図に示すように、ガラス基板14上に、SAM形成性化合物12'が選択的に塗布される。塗布後、基板を熱処理することにより、SAM形成性化合物12'とガラス基板14が反応し、ガラス基板14上にSAM形成性化合物が結合すると共にSAM12が形成される。熱処理は、通常、100℃〜120℃程度の温度下で3分〜10分程度でよい。なお、転写前に、ガラス基板14を酸素プラズマ又は強酸(硫酸と過酸化水素水の混合液など)により洗浄しておくことが、SAMを良好に形成させ、基板に結合するために好ましい。
次に図1の(b)に示すように、金化合物の溶液に基板を浸漬し、還元プロセスにより金ナノ粒子をSAM上に選択的に析出させる。金化合物としては、金の塩、酸、塩基、錯体等が利用可能であり、これらのうち塩化金酸が好ましい。還元剤としては、クエン酸又はその塩が好ましい。クエン酸又はその塩は、分散剤としても機能するので、還元剤としてクエン酸又はその塩を用いた場合には、別途分散剤を用いる必要はない。塩化金酸の水溶液とクエン酸又はその塩の水溶液を混合し、撹拌下、熱処理することにより、金ナノ粒子が生成する。塩化金酸水溶液の濃度は、通常、0.3mM〜1.0mM程度、好ましくは0.4mM〜0.6mM程度であり、クエン酸又はその塩の水溶液の濃度は、通常、0.07M〜0.26M程度、好ましくは0.1M〜0.15M程度である。また、混合比率は、塩化金酸水溶液100mLに対して、通常、クエン酸又はその塩の水溶液1.5mL〜6mL程度、好ましくは2mL〜4mL程度である。反応は、通常、95℃以上で行われ、好ましくは煮沸下で行われる。反応時間は、通常、10分〜40分程度、好ましくは15分〜30分程度である。反応終了後、一旦室温に冷却して金ナノ粒子を十分に生成させることが好ましい。
次に、AEAPTS 等のSAM12をパターニングした基板を得られた金ナノ粒子水溶液16に浸漬する。すると、金ナノ粒子は、SAM12に結合し、金ナノ粒子から成る層が選択的に形成される。この際の浸漬時間により、金ナノ粒子層の膜厚を調節することができる。通常、浸漬時間は60分〜1440分程度、好ましくは180分〜720分程度である。その後、基板を溶液から取り出し、純水で洗浄する。これにより図1の(c)に示すように、ガラス基板14上に、SAM12が選択的に結合され、その上に、金ナノ粒子18が選択的に析出した基板が得られる。
一方、アンモニア水溶液と、硝酸銀等の銀塩の水溶液を混合して銀アンモニア錯体水溶液を調製する。アンモニア水溶液の濃度は、通常、1〜5%程度、好ましくは2〜4%程度、硝酸銀水溶液の濃度は、通常、2%〜10%程度、好ましくは4%〜6%程度である。この混合液は、銀ナノ粒子の分散性を高めて均一に銀ナノ粒子を析出させるために、さらに分散剤を含むことが好ましい。分散剤としては、顔料の分散に用いられている湿潤分散剤、特に、酸性基を有するコポリマー等のアニオン性高分子(例えば、BYK Additives & Instruments社のDisperbyk-102(商品名)等)が好ましい。分散剤の添加量は、たとえば、Disperbyk-102(商品名)の場合、アンモニアと硝酸銀の混合液に対して、通常、2〜10v/v%程度、好ましくは4〜6v/v%程度である。
次に、この混合溶液に、先に得られた、金ナノ粒子18が選択的に析出した基板を浸漬すると共に、還元剤21を添加する(図1の(d))。そうすると、銀ナノ粒子が、ガラス基板14の露出部分(金ナノ粒子18が析出していない領域)上に選択的に析出する。還元剤としては、ヒドラジンが好ましく、添加量は、アンモニア、硝酸銀、分散剤の混合液に対して通常、10v/v%〜30v/v%程度、好ましくは15v/v%〜25v/v%程度である。浸漬時間は、不必要に長くすると金ナノ粒子の上にも銀ナノ粒子が一部析出するので、10秒〜120秒程度が好ましく、さらに20秒〜80秒程度が好ましい。この浸漬は常温で行うことができる。以上の工程により、ガラス基板14上に、金ナノ粒子18と銀ナノ粒子20が所望のパターンで析出した基板が得られる(図1の(e))。
上記説明では、金ナノ粒子と銀ナノ粒子を場所選択的に析出させる方法について説明したが、3種類以上の金属のナノ粒子を選択的に析出させる場合には、上記の工程を上記と同様に繰り返す。なお、ナノ粒子を析出させることができる金、銀以外の金属としては、例えば、白金、パラジウム、コバルト等の金属を挙げることができる。これらの金属のナノ粒子を場所選択的に析出させることも可能である。すなわち、それぞれの金属元素を含む溶液、通常、各金属元素を含む、塩、酸、塩基、錯体等のイオン性化合物の溶液に還元剤を作用させて金属を還元する還元プロセスにより基板上に析出させることができる。例えば白金ナノ粒子の場合、白金化合物としては、白金の塩、酸、塩基、錯体等が利用可能であり、これらのうち塩化白金酸が好ましい。還元剤としては、クエン酸又はその塩が好ましい。クエン酸又はその塩は、分散剤としても機能するので、還元剤としてクエン酸又はその塩を用いた場合には、別途分散剤を用いる必要はない。アミノ基を有するシラン化合物等を用いることにより、得られた白金ナノ粒子基板上に選択的に固定化することが可能である。
本発明の基板は、複数種類の異なる金属のナノ粒子から成る層が所望のパターンで形成されているので、これらの金属ナノ粒子がそれぞれの触媒能を場所選択的に発揮することができるため、例えば、マイクロTAS用のチップや、種々の化学反応プロセスを行うマイクロ流路チップ等に好適に適用することができる。すなわち、例えば、これらのチップのマイクロ流路の一部領域に金ナノ粒子を析出させ、マイクロ流路の他の領域に銀粒子を析出させると、該マイクロ流路内を流通する反応液は、金ナノ粒子による触媒作用と、銀ナノ粒子による触媒作用を逐次的に受けることができる。なお、金ナノ粒子により触媒される反応としては、例えば、一酸化炭素を燃焼できる低温酸化活性や、エポキシ化反応(プロピレンからのプロピレンオキシド合成)活性等を挙げることができ、また、銀ナノ粒子による触媒作用を逐次的に受けることができる。なお、銀ナノ粒子により触媒される反応としては、例えば、エチレンの酸化活性やニトリルからアミドへの環境調和型水和反応活性等を挙げることができる。
また、下記実施例において具体的に記載されるように、複数種類の金属ナノ粒子から成る層を隣接して配置した場合、吸収波長域を紫外可視分光光度計(UV-VIS)により分析すると、各単独の金属ナノ粒子の中間の値にピークが得られる。従って、各金属ナノ粒子の析出割合により、最大の吸収波長を制御することが可能である。従って、本発明の基板は、ラマン分光分析等ためのチップとして好適であり、この場合、複数の励起光を用いたラマン分光分析等に適用することにより、高感度生化学センシングが可能になる。さらに、本発明の基板を、表面プラズモン測定用チップとして適用した場合には、異なる種類の金属粒子を用いた表面プラズモン共鳴分析が1枚のチップで可能になる。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1 金ナノ粒子と銀ナノ粒子を場所選択的に析出させた基板の作製
先に説明した図1に示す方法により、以下の方法により金ナノ粒子と銀ナノ粒子を場所選択的に析出させた基板を作製した。
すなわち、まず、ポリジメチルシロキサン(PDMS)から成るスタンプを作製した。「Transducers」の文字から成る溝を有する鋳型にPDMSを入れて成形することにより、「Transducers」の文字を凸部としたスタンプを作製した。
次に、この凸部に、AEAPTS溶液(溶媒トルエン、濃度0.1v/v%)を塗布した。一方、ガラス基板(スライドガラス)の表面を酸素プラズマ処理して洗浄したのち、上記スタンプをガラス基板に常温で接触させて「Transducers」の文字のパターンにAEAPTS溶液を基板に塗布した。次に、基板を110℃で5分間処理して、AEAPTSから成るSAMを基板上に形成し結合させた。
一方、塩化金酸(0.5mM、100ml)を沸騰させた後、クエン酸ナトリウム(0.13M,3ml)を加え、100℃で20分煮沸攪拌、室温で冷却した後、金ナノ粒子溶液を5℃で保存した。その後、室温下で金ナノ粒子溶液にAEAPTSがパターニングされたガラス基板を720分間浸漬した。これにより、「Transducers」の文字のパターン状のSAM上に金ナノ粒子が析出した。溶液から基板を取り出し、純水で洗浄した。
次に、アンモニア溶液(5.7%, 8ml)、純水 (20ml)、分散剤(BYK Additives & Instruments社製 Disperbyk-102(商品名)、1.5ml)、硝酸銀溶液(5%, 5ml)からなる銀含有溶液19に、ヒドラジン(98%, 6ml)を加えると共に、金ナノ粒子が析出したAEAPTSがパターニングされているガラス基板を常温で80秒間浸漬すると、AEAPTSがパターニングされておらずガラスが露出している箇所に、選択的に銀ナノ粒子が析出した。基板を溶液から取り出し、純水で洗浄した。
得られた基板の顕微鏡写真を図2に示す。図2中、「Transducers」の文字は、金ナノ粒子で書かれており、背景は銀ナノ粒子である。
実施例2 光学的特性
実施例1で作製した基板の吸収波長域を紫外可視分光光度計(UV-VIS)により分析した。結果を図3に示す。比較のため、金ナノ粒子のみを析出させた基板及び銀ナノ粒子のみを析出させた基板についての結果も併せて示す。図3に示すように、金ナノ粒子のみでの吸収ピーク(C)、銀ナノ粒子のみでの吸収ピーク(A)の中間の値にピーク(B)が得られた。すなわち、金・銀ナノ粒子の析出割合により、最大の吸収波長を制御することが可能である。
10 スタンプ
12 自己組織化単分子膜(SAM)
14 ガラス基板
16 金ナノ粒子水溶液
18 金ナノ粒子
19 銀含有溶液
20 銀ナノ粒子
21 還元剤

Claims (13)

  1. 複数種類の異なる金属のナノ粒子からそれぞれ形成された層であって、各金属を含む溶液からの析出により形成された複数の金属ナノ粒子層が所望のパターンで形成された基板。
  2. 前記金属の種類が2種類であり、金及び銀である請求項1記載の基板。
  3. 複数種類の異なる金属のナノ粒子は、前記各溶液からの還元プロセスにより析出されたものである請求項1又は2記載の基板。
  4. 複数種類の異なる金属のナノ粒子からそれぞれ形成される層が所望のパターンで形成された基板の作製方法であって、
    第1の金属を含む溶液中における反応により、該第1の金属ナノ粒子を前記基板上に所望のパターンで析出させる工程と、
    次いで第2の金属を含む溶液中における反応により、該第2の金属ナノ粒子を、前記第1の金属ナノ粒子が析出していない前記基板の領域上に所望のパターンで析出させる工程と、
    金属の種類が3種類以上の場合には、以下、同様に各種類の金属ナノ粒子を所望のパターンで逐次的に基板上に析出させる工程を含む、
    複数種類の異なる金属ナノ粒子からそれぞれ形成される、複数の所望のパターンの金属ナノ粒子層を有する基板の作製方法。
  5. 前記複数種類の異なる金属が2種類であり、
    溶液中における反応により前記第1の金属ナノ粒子を前記基板上に所望のパターンで析出させる第1工程と、
    次いで前記第2の金属ナノ粒子を、溶液中における反応により、前記第1の金属ナノ粒子が析出していない前記基板の領域上に析出させる第2工程とを含む、
    請求項4記載の方法。
  6. 前記第1の金属が金であり、前記第2の金属が銀である請求項5記載の方法。
  7. 前記第1工程は、前記第1の金属ナノ粒子が析出する官能基を有する化合物を、マイクロコンタクトプリント法により前記基板上に前記所望のパターンに結合させ、次いで該パターン上に前記第1の金属ナノ粒子を析出させることを含む請求項5又は6記載の方法。
  8. 前記官能基がアミノ基である請求項7記載の方法。
  9. 前記マイクロコンタクトプリント法により前記基板上に結合させる前記化合物は、前記基板上で自己組織化単分子膜を形成する請求項7又は8記載の方法。
  10. 前記基板がガラス基板であり、前記自己組織化単分子膜を形成する化合物がアミノ基を持つシラン化合物である請求項9記載の方法。
  11. 前記複数種類の異なる金属のナノ粒子は、前記各溶液からの還元プロセスにより析出する請求項4〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記第1の金属が金であり、金のナノ粒子は、塩化金酸溶液にクエン酸を添加することにより析出される請求項6〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記第2の金属が銀であり、銀のナノ粒子は、銀アンモニア錯体を含む溶液に還元剤を添加することにより析出される請求項6〜12のいずれか1項に記載の方法。
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