〔実施形態1〕
本発明の一実施形態について、図1〜図5を用いて説明する。
(発電取引支援システム1の構成概要)
はじめに、発電取引支援システム1の構成の概要について説明する。図1は、本発明に係る発電取引支援システム1の構成を示す図である。発電取引支援システム1は、太陽光発電システム10(第1の発電設備)と太陽光発電システム20(第2の発電設備)とサーバ装置30とを含んで構成される。
太陽光発電システム10は、一戸建住宅に設置されており、太陽電池パネルアレイ11とパワーコンディショナー12と端末装置13とを含んでいる。太陽光発電システム20は、高層マンションに設置されており、太陽電池パネルアレイ21とパワーコンディショナー22と端末装置23とを含んでいる。太陽光発電システム10および太陽光発電システム20は、ネットワーク40を介してサーバ装置30に接続されており、それぞれサーバ装置30とデータの送受信が可能である。なお、本実施形態では、第一の発電設備は、一戸建住宅に、第二の発電設備は高層マンションに設置した例で説明するが、これに限らず、それぞれがオフィスビルや工場など、事業所設備の建物であっても良い。
太陽光発電システム10、20は、発電に関するデータをサーバ装置30に送信する。サーバ装置30は、太陽光発電システム10、20からの発電に関するデータに基づいて、発電に関する取引を支援するための機能を提供する。
なお、本実施形態では、説明を簡略にするため、一戸建住宅に設置された太陽光発電システム10と高層マンションに設置された太陽光発電システム20との2つがネットワークを介してサーバ装置30に接続された構成について説明するが、2つ以上の太陽光発電システムがサーバ装置30に接続された構成であってもよい。
また、ネットワーク40は、インターネットを含むネットワークであってもよいし、小規模なローカルエリアネットワークであってもよい。また、太陽発電システム10、20とサーバ装置30とが、ネットワークを介さずに、直接、データ通信する構成であってもよく、特に限定はされない。さらに、太陽光発電システム10、20とサーバ装置30との間のデータ通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。
ここで、本発明に係る発電取引支援システム1を適用した一戸建住宅と高層マンションの例について説明する。図2は、一戸建住宅100と高層マンション200の日照の様子を示す図であり、(a)は午前のある時刻における日照の様子を示す図であり、(b)は午後のある時刻における日照の様子を示す図である。一戸建住宅100には、太陽光発電システム10が設置されており、高層マンション200には、太陽光発電システム20が設置されている。
図2(a)に示すとおり、午前には、一戸建住宅100は、高層マンション200の日影になっていないが、図2(b)に示すとおり、午後には、一戸建住宅100は、高層マンション200の日影になってしまう。
一戸建住宅100の太陽光発電システム10は、高層マンション200が建設されていない場合には、午前だけでなく午後も、太陽光の日照を受けた状態で発電することが可能である。しかしながら、一戸建住宅100は、高層マンション200によって午後の日照を妨げられるため、本来、太陽光発電システム10により発電することができる電力よりも少ない電力しか発電できていないことになる。つまり、一戸建住宅100では、高層マンション200によって、発電量の損失が発生している。
そこで、本発明に係る発電取引支援システム1では、高層マンション200による一戸建住宅100における発電量の損失を評価し、高層マンション200と一戸建住宅100との間における発電量の損失を調整するための支援を行う。
(太陽光発電システム10、20)
太陽光発電システム10では、一戸建住宅の屋根の上に、複数の太陽電池パネルが電気的に接続されて配列された太陽電池パネルアレイ11が設置されている。各太陽電池パネルは、シリコンなどの半導体からなる複数の太陽電池素子を含んでいる。各太陽電池素子は、太陽光を吸収し、光のエネルギーを電力に変換して発電する。太陽電池パネルアレイ11で発電された直流電力は、パワーコンディショナー12に伝送される。
パワーコンディショナー12は、太陽電池パネルアレイ11からの直流電力を交流電力に変換し、家庭内で利用される電気機器類に供給する。パワーコンディショナー12によって変換された交流電力のうち、家庭内の電機機器で消費されて残った余りの残余電力は、電力会社の商用電力系統に送られて、電力会社に売却される。
また、パワーコンディショナー12は、交流電力に変換された電力を測定し、端末装置13に発電量の測定データを送信する。端末装置13は、発電量の測定データを、ネットワーク40を介して、サーバ装置30に送信する。端末装置13は、ユーザのパーソナルコンピュータを用いて構成されてもよいし、専用の装置として構成されてもよい。
太陽光発電システム20は、太陽電池パネルアレイ21が高層マンションの屋上に設置されており、高層マンションによって太陽電池パネルに対する日照が妨げられない点において太陽光発電システム10と異なるが、太陽電池パネルアレイ21、パワーコンディショナー22、および端末装置23の機能および動作については、それぞれ、太陽電池パネルアレイ11、パワーコンディショナー12、および端末装置13と同様であり、説明を省略する。
図3は、ある一日の太陽光発電システムによる発電量を示す図であり、(a)は高層ビル200に設置された太陽光発電システム20の発電量を示す図であり、(b)は一戸建住宅100に設置された太陽光発電システム10の発電量を示す図であり、(c)は太陽光発電システム10、20の1時間ごとの発電量のデータを示す図である。
図3(a)および(b)では、1時間ごとの発電量をプロットしており、図3(a)および(b)において、黒点とそれを結ぶ実線は、発電量の実測値を示している。太陽発電システム10および20において発電された1時間ごとの発電量の測定データは、それぞれ、端末装置13および23を介して、サーバ装置30に送信される。図3(a)および(b)では、1時間ごとの発電量を記録した場合の例を示しているが、発電量の瞬時値を連続的に記録し、サーバ装置30に送信する構成であってもよい。なお、図3(c)では、6時から18時までのデータのみを示しているが、他の時間帯についても計測は行われている。
図3(a)および(b)に示すとおり、太陽光発電システム10・20では、いずれも6時過ぎから発電が始まっているが、太陽光発電システム20では、17時過ぎまで発電しているのに対して、太陽光発電システム10では、13時過で発電が停止している。これは、上述したように、午後になって太陽の位置が移動することによって、一戸建住宅100が高層マンション200の日影に入ってしまい、日照を受けられなくなるためである。
しかしながら、一戸建住宅100と高層マンション200との間の距離は、高層マンション200の日影に一戸建住宅100が入る程度に至近距離であるため、本来、一戸建住宅100は、高層マンション200と同じ日照を得ることができる。したがって、高層マンション200の日影に入らなければ、一戸建住宅100の太陽光発電システム10における一日の発電量の変化の傾向は、高層マンション200の太陽光発電システム20における一日の発電量の変化の傾向と同じになる。ここで、高層マンション200の太陽光発電システム20は、一戸建て住宅100の太陽光発電システム10が高層マンション200によって発電を妨げられていない場合と略同一の発電条件を得られる場所に設置されている。
図3(b)において、白点とそれを結ぶ破線は、太陽光発電システム10において、本来、発電することができたと予測される電力量(以下、予測発電量と称する)を示している。予測発電量は、サーバ装置30において、端末装置13および23を介して太陽光発電システム10および20から送信される1時間ごとの発電量の測定データに基づいて算出されるが、具体的な算出方法については後述する。
なお、本実施の形態では、太陽光発電システム10と太陽光発電システム20とでは、太陽電池の性能や太陽電池パネルアレイの面積が異なっており、太陽光発電システム10のシステム容量は、2kW(1kW/m2日射入射時)であり、太陽光発電システム20のシステム容量は、4kW(1kW/m2日射入射時)である。図3(c)に示す例では、同じ日照を得られる時間帯では、1時間毎の太陽光発電システム10と太陽光発電システム20との発電量の測定データの比率は、おおよそ1:2で推移している。
また、一戸建住宅100に設置される太陽光発電システムと高層マンション200に設置される太陽光発電システムとは、性能が同じである必要はなく、例えば、高層マンション200に設置される太陽光発電システムは、一日の発電量を測定することのみを目的とした発電量センサとしての小規模な太陽光発電システムであってもよいし、高層マンション200に居住する住民が使用する電気機器を動作させるための電源として利用される構成であってもよい。
(サーバ装置)
サーバ装置30は、太陽光発電システム10および20からの発電量の測定データに基づいて、太陽光発電システム10における上記予測発電量を算出する。図4は、サーバ装置30の構成を示す図である。
図4に示されるように、サーバ装置30は、ハードウェア構成として、CPU(Central Processing Unit)31と、メモリ32と、通信IF(Interface)33と、入力装置34と、ディスプレイ35と、記録媒体ドライブ装置36と、HD(Hard Disc)38とを含んで構成される。
入力装置34は、サーバ装置30の操作者が操作するキーボード及びマウス等で構成され、サーバ装置30に各種操作情報等を入力するのに用いられる。ディスプレイ35は、サーバ装置30の操作者が利用するディスプレイ等で構成され、各種情報(又は画面)等を表示するのに用いられる。
通信IF33は、サーバ装置30をネットワーク等に接続するネットワーク接続装置である。サーバ装置30の機能及び動作等に係るプログラムは、例えば、CD−ROM等の記録媒体37によってサーバ装置30に提供されるか、ネットワーク等を通じてダウンロードされる。記録媒体37は、記録媒体ドライブ装置36にセットされ、プログラムが記録媒体37から記録媒体ドライブ装置37を介してHD38にインストールされる。
メモリ32は、サーバ装置30の電源投入時に最初に読み込まれるプログラム等を記録する。メモリ32は、サーバ装置30のメインメモリである。CPU31は、必要に応じて、HD38よりプログラムやデータを読み出して、メモリ32に展開し、プログラムを実行することで、機能及び処理等を実現する。
なお、サーバ装置30は、ハードウェア構成として必ずしも入力装置34、ディスプレイ35、記録媒体ドライブ装置36等を含まなくてもよい。
図5は、サーバ装置30の機能ブロックを示す図である。図5に示すとおり、サーバ装置30は、発電量データ受信部301と、データ格納部302と、時間別予測発電量算出部(発電量予測手段)303と、日別予測発電量算出部(発電量予測手段)304と、日別実績発電量積算部305と、日別損失発電量算出部(損失評価手段)306と、月別損失発電量算出部(損失評価手段)307と、損失金額算出部(損失評価手段)308と、請求金額通知部309とを含んで構成される。
発電量データ受信部301は、太陽光発電システム10および20からの1時間ごとの発電量の測定データを受信し、データ格納部302に格納する。発電量データ受信部301は、1時間ごとに発電量の測定データを受信する構成であってもよいし、1日分の測定データをまとめて受信する構成であってもよい。
時間別予測発電量算出部303は、太陽光発電システム10における1時間ごとの本来の発電量を算出する。上述のとおり、一戸建住宅100は、午後から高層マンション200の日影になるため、その影響により、太陽光発電システム10での発電量は減少する。そこで、時間別予測発電量算出部303は、高層マンション200が建設されていない場合、すなわち、高層マンション200の日影に入ることなく午前から午後を通じて日照を得ることができる場合の太陽光発電システム10の発電量を予測する。
以下に、時間別予測発電量算出部303における予測発電量の算出方法について、より具体的に説明する。一戸建住宅100と高層マンション200とは近い距離にあるため、本来、同じ日照量を得ることができる。したがって、本来、一戸建住宅100の太陽光発電システム10と高層マンション200の太陽光発電システム20とでは、システムの発電容量の差に起因して実際の発電量は異なるものの、発電量の経時変化は同じ傾向を示すことになる。そこで、時間別予測発電量算出部303は、太陽光発電システム10と太陽光発電システム20との発電量の比例関係に基づいて、予測発電量を算出する。
図3に示すとおり、太陽光発電システム10および20の発電量の測定データ(黒点)を比較すると、一戸建住宅100は、高層マンション200の日影になる時間帯があるため、発電量の経時変化の傾向は異なる。しかしながら、高層マンション200の日影は、太陽の位置の変化に伴って移動するため、一戸建住宅100と高層マンション200とで、一日のうち、同じ日照が得られる時間帯が存在する。
同じ日照量が得られる時間帯を示すデータについては、ユーザによって予めサーバ装置30に登録されている。同じ日照量が得られる時間帯は、例えば、一戸建住宅100と高層マンション200との両方に日照計を設置して、実際に日照量を計測することによって、調査することができる。同じ日照量が得られる時間帯は、例えば、季節ごと(数ヶ月単位)、あるいは、一ヶ月ごとのデータとして登録される構成であってもよい。あるいは、発電量の計測と同時に、毎時間の日照量を計測し、同じ日照量が得られている時間帯のデータをサーバ装置30に送信する構成であってもよい。
本実施の形態においては、一戸建住宅100と高層マンション200とで、午前6時〜9時まで同じ日照量が得られる場合の例について説明する。時間別予測発電量算出部303は、はじめに、データ格納部302から、同じ日照量が得られる時間帯(すなわち、午前6時〜9時)と、その時間帯に対応する太陽光発電システム10および20の発電量の測定データ(すなわち、午前6時〜9時までの1時間ごとの発電量の測定データ)を読み出す。
次に、時間別予測発電量算出部303は、太陽光発電システム10および20の日照量が同じ時間帯の測定データについて比率を算出する。図3(c)に示す例では、太陽光発電システム10の発電量に対する太陽光発電システム20の発電量の比率が、6時〜7時の測定データ、7時〜8時の測定データ、8時〜9時の測定データについて、それぞれ、「1.95」、「2.00」、「2.02」であり、概ね「2」前後の比率で推移している。
そして、時間別予測発電量算出部303は、これらの比率の平均値(この例では「1.99」)を算出し、太陽光発電システム20における発電量の1時間ごとの各測定データを、算出した平均値で除算することにより、太陽光発電システム10における1時間ごとの予測発電量(図3に示す白点の値)を算出する。そして、時間別予測発電量算出部303は、予測発電量を日別予測発電量積算部304に出力する。
なお、太陽光発電システム20の発電量に対する太陽光発電システム10の発電量の比率を、太陽光発電システム20における発電量の1時間ごとの各測定データに乗じて予測発電量を算出してもよい。また、本実施の形態では、時間別予測発電量算出部303は、日照量が同じ時間帯の測定データの比率の平均値を用いて予測発電量を算出したが、平均値の代わりにメジアンやモードなどを用いる構成であってもよく、特に限定されない。さらに、太陽光発電システム10および20のシステム容量の比率と、太陽光発電システム20における発電量の測定データとから、予測発電量を算出する構成であってもよい。すなわち、太陽光発電システム10のシステム容量に対する太陽光発電システム20のシステム容量の比率は、「2」であり、太陽光発電システム20における発電量の1時間ごとの各測定データを、システム容量の比率「2」で除算して、予測発電量を算出する構成であってもよい。あるいは、太陽光発電システム20のシステム容量に対する太陽光発電システム10のシステム容量の比率を、太陽光発電システム20における発電量の測定データに乗じて予測発電量を算出してもよい。
ところで、上述したように、高層マンション200に設置されるのが太陽光発電システムではなく、一日の発電量を測定することのみを目的とした発電量センサとしての小規模な太陽光発電システムである場合もある。この場合、小規模な太陽光発電システムよりも太陽光発電システム10のほうが発電量が大きくなることも考えられ、太陽光発電システム10から見た比率が、「0.2」や「0.5」などと設定されることになるが、予測発電量の算出方法自体は上述したものと同じでよい。
日別予測発電量積算部304は、時間別予測発電量算出部303からの時間別の予測発電量を積算し、一日の予測発電量を算出し、日別損失発電量算出部306に出力する。また、日別実績発電量算出部305は、データ格納部302から、太陽光発電システム10における1時間ごとの発電量の測定データを読み出して積算し、一日の実績発電量を算出して、日別損失発電量算出部306に出力する。
日別損失発電量算出部306は、日別予測発電量積算部304からの一日の予測発電量から、日別実績発電量算出部305からの一日の実績発電量を減算して、一日の損失発電量を算出し、データ格納部302に格納する。なお、一日の損失発電量は、日々、算出されてもよいし、一定の期間ごとに算出されてもよい。月別損失発電量算出部307は、各月ごとに、日々の損失発電量をデータ格納部302から読み出して積算し、月別の損失発電量を算出して、損失金額算出部308に出力する。
損失金額算出部308は、月別の損失発電量に、予め定められた電力料金の単価を乗じて、損失金額を算出し、データ格納部302に格納する。そして、請求金額通知部309は、毎月、予め定められた日に、データ格納部302から損失金額を読み出して、高層マンション200の所有者に対して、高層マンション200に日照が妨げられたことによって発生した当月分の損失金額をメールなどにより通知する。高層マンション200の所有者は、請求金額通知部309から通知された損失金額を確認し、一戸建住宅100の所有者に支払う。月別の損失金額の算出は、毎月、算出されてもよいし、数ヶ月ごとに算出される構成であってもよい。また、高層マンション200の所有者は、一戸建住宅100の所有者に対して、損失発電量を、お金ではなく、自家発電した電力で補填する構成であってもよい。
ここで、本実施の形態に係る発電取引支援システム1において、月1回のバッチ処理により、毎月の損失発電量および損失金額を算出する例について、図6を用いて説明する。図6は、サーバ装置30における処理の流れを示すフローチャートであり、(a)は処理の概要を示すフローチャートであり、(b)は発電量予測処理の詳細を示すフローチャートであり、(c)は損失評価処理の詳細を示すフローチャートである。
図6(a)に示すとおり、バッチ処理が開始されると、サーバ装置30は、はじめに、発電を妨げられている側の太陽光発電システム10における本来の発電量を予測する発電量予測処理を行う(ステップS001)。その後、サーバ装置30は、マンション200によって発電を妨げられることによって発生する太陽光発電システム10の損失を評価する損失評価処理を行う(ステップS002)。
図6(b)を参照して発電量予測処理について説明すれば、以下のとおりである。サーバ装置30は、はじめに、太陽光発電システム10における本来の時間別の予測発電量を算出する(ステップS011)。上述のとおり、本実施の形態では、サーバ装置30は、太陽光発電システム10および20からの1時間ごとの発電量の測定データを格納している。そして、サーバ装置30は、太陽光発電システム10および20が同じ発電条件で発電している時間帯の測定データについて、1時間ごとの測定データの比率を算出し、算出した比率と太陽光発電システム20の1時間ごとの発電量の測定データとを用いて、太陽光発電システム10の1時間ごとの発電量を予測する。例えば、サーバ装置30は、太陽光発電システム10の発電量に対する太陽光発電システム20の発電量の比率で、太陽光発電システム20の発電量の測定データを除して、太陽光発電システム10の1時間ごとの発電量を予測する。次に、発電量予測処理において、サーバ装置30は、ステップS011において算出した太陽光発電システム10の時間別の予測発電量を日ごとに全て加算して、日別の予測発電量を算出する(ステップS012)。
また、図6(c)を参照して損失評価処理について説明すれば、以下のとおりである。サーバ装置30は、はじめに、太陽光発電システム10における時間別の発電量(実測値)を日ごとに全て加算して、太陽光発電システム10における日別の実績発電量を算出する(ステップS021)。次に、サーバ装置30は、ステップS012において算出した日別の予測発電量から、ステップS021において算出した日別の実績発電量を減算して、日別の損失発電量を算出する(ステップS022)。さらに、サーバ装置30は、ステップS022において算出した日別の損失発電量を月ごとに全て加算して、月別の損失発電量を算出する(ステップS023)。そして、サーバ装置30は、ステップS203において算出された月別の損失発電量に、予め定められた発電量の単価を乗算することによって損失金額を算出する(ステップS024)。サーバ装置30は、月1回のバッチ処理において、以上の処理の流れにより、毎月の損失発電量および損失金額を決定する。
なお、本実施形態では、太陽光発電システム10における発電量の実績値を予測発電量から減算した電力量(または、それを金額に換算した損失額)を損失として決定する構成であるが、予測発電量のうち、予め定められた割合(または、それを金額に換算した損失額)を損失として決定する構成であってもよい。あるいは、予測発電量に対応した損失金額が予め定められており、その損失金額により損失を評価する構成であってもよい。すなわち、予測発電量を用いて、予め定められた何らかの評価基準に従って損失を決定する構成であればよい。
なお、本実施の形態では、時間別予測発電量算出部303および日別予測発電量積算部304と、日別損失発電量算出部306、月別損失発電量算出部307、および損失金額算出部308とが同じサーバ装置30に備えられているが、異なるサーバ装置に備えられている構成であってもよい。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図7〜図8を用いて説明する。
(発電取引支援システム1’の構成概要)
はじめに、発電取引支援システム1’の構成の概要について説明する。図7は、本発明に係る発電取引支援システム1’の構成を示す図である。発電取引支援システム1’は、風力発電システム10’(第1の発電設備)と風力発電システム20’(第2の発電設備)とサーバ装置30とを含んで構成される。
風力発電システム10’は、一戸建住宅に設置されており、風力発電プロペラ11’とパワーコンディショナー12’と端末装置13’とを含んでいる。風力発電システム20’は、高層マンションに設置されており、風力発電プロペラ21’とパワーコンディショナー22’と端末装置23’とを含んでいる。風力発電システム10’および風力発電システム20’は、ネットワーク40’を介してサーバ装置30に接続されており、それぞれサーバ装置30とデータの送受信が可能である。実施形態1と同様に、本実施形態においても、建物は住居に限られることはない。
風力発電システム10’、20’は、発電に関するデータをサーバ装置30に送信する。サーバ装置30は、風力発電システム10’、20’からの発電に関するデータに基づいて、発電に関する取引を支援するための機能を提供する。
なお、本実施形態では、説明を簡略にするため、一戸建住宅に設置された風力発電システム10’と高層マンションに設置された風力発電システム20’との2つがネットワークを介してサーバ装置30に接続された構成について説明するが、2つ以上の風力発電システムがサーバ装置30に接続された構成であってもよい。
また、ネットワーク40’は、インターネットを含むネットワークであってもよいし、小規模なローカルエリアネットワークであってもよい。また、風力発電システム10’、20’とサーバ装置30とが、ネットワークを介さずに、直接、データ通信する構成であってもよく、特に限定はされない。さらに、風力発電システム10’、20’とサーバ装置30との間のデータ通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。
ここで、本発明に係る発電取引支援システム1’を適用した一戸建住宅と高層マンションの例について説明する。図8は、一戸建住宅100’と高層マンション200’における風向きを示す図であり、(a)はある時刻における風向きを示す図であり、(b)は別の時刻における風向きを示す図である。一戸建住宅100’には、風力発電システム10’が設置されており、高層マンション200’には、風力発電システム20’が設置されている。
図8(a)に示す風向きでは、一戸建住宅100’の風力発電システム10’は、高層マンション200’によって風の流れが妨げられていないが、図8(b)に示す風向きでは、一戸建住宅100’の風力発電システム10’は、高層マンション200’によって風の流れが妨げられてしまう。
一戸建住宅100’の風力発電システム10’は、高層マンション200’が建設されていない場合には、一日中、風の流れを妨げられることなく、発電することが可能である。しかしながら、一戸建住宅100’は、高層マンション200’によって風向きによっては風の流れを妨げられるため、本来、風力発電システム10’により発電することができる電力よりも少ない電力しか発電できていないことになる。つまり、一戸建住宅100’では、高層マンション200’によって、発電量の損失が発生している。
そこで、本発明に係る発電取引支援システム1’では、高層マンション200’による一戸建住宅100’における発電量の損失を評価し、高層マンション200’と一戸建住宅100’との間における発電量の損失を調整するための支援を行う。
(風力発電システム10’、20’)
風力発電システム10’では、一戸建住宅の屋根の上に、風力発電プロペラ11’が設置されている。風力発電プロペラは、翼に風を受けると回転し、回転運動を発電機で電気に変換する。風力発電プロペラ11’で発電された直流電力は、パワーコンディショナー12’に伝送される。
パワーコンディショナー12’は、風力発電プロペラ11’からの直流電力を交流電力に変換し、家庭内で利用される電気機器類に供給する。パワーコンディショナー12’によって変換された交流電力のうち、家庭内の電機機器で消費されて残った余りの残余電力は、電力会社の商用電力系統に送られて、電力会社に売却される。
また、パワーコンディショナー12’は、交流電力に変換された電力を測定し、端末装置13’に発電量の測定データを送信する。端末装置13’は、発電量の測定データを、ネットワーク40’を介して、サーバ装置30に送信する。端末装置13’は、ユーザのパーソナルコンピュータを用いて構成されてもよいし、専用の装置として構成されてもよい。
風力発電システム20’は、風力発電プロペラ21’が高層マンションよりも高い位置(例えば高層マンションの屋上など)に設置されていて、高層マンションによりプロペラに対する風の流れを妨げられない点において風力発電システム10’と異なるが、風力発電プロペラ21’、パワーコンディショナー22’、および端末装置23’の機能および動作については、それぞれ、風力発電プロペラ11’、パワーコンディショナー12’、および端末装置13’と同様であり、説明を省略する。
図9は、ある一日の風力発電システムによる発電量を示す図であり、(a)は高層ビル200’に設置された風力発電システム20’の発電量を示す図であり、(b)は一戸建住宅100’に設置された風力発電システム10’の発電量を示す図であり、(c)は風力発電システム10’、20’の1時間ごとの発電量のデータを示す図である。
図9(a)および(b)では、1時間ごとの発電量をプロットしており、図9(a)および(b)において、黒点とそれを結ぶ実線は、発電量の実測値を示している。風力発電システム10’および20’において発電された1時間ごとの発電量の測定データは、それぞれ、端末装置13’および23’を介して、サーバ装置30に送信される。図9(a)および(b)では、1時間ごとの発電量を記録した場合の例を示しているが、発電量の瞬時値を連続的に記録し、サーバ装置30に送信する構成であってもよい。なお、図9(c)では、7時から19時までのデータのみを示しているが、他の時間帯についても計測は行われている。
図9(a)および(b)に示すとおり、風力発電システム10’・20’では、いずれも6時過ぎから12時まで発電しているが、風力発電システム20’では、12時から18時の間も発電しているのに対して、風力発電システム10’では、12時以降はほとんど発電していない。これは、風向きが変わってしまったことによって、風が高層マンション200’によって遮られてしまい、一戸建住宅100’の風力発電システム10’が風を受けられなくなるためである。
しかしながら、一戸建住宅100’と高層マンション200’との間の距離は、高層マンション200’によって一戸建住宅100’への風を遮る程度に至近距離であるため、本来、一戸建住宅100’は、高層マンション200’と同じ風量を得ることができる。したがって、高層マンション200’によって風が遮られなければ、一戸建住宅100’の風力発電システム10’における一日の発電量の変化の傾向は、高層マンション200’の風力発電システム20’における一日の発電量の変化の傾向と同じになる。ここで、高層マンション200’の風力発電システム20’は、一戸建て住宅100’の風力発電システム10’が高層マンション200’によって発電を妨げられていない場合と略同一の発電条件を得られる場所に設置されている。
図9(b)において、白点とそれを結ぶ破線は、太陽光発電システム10’において、本来、発電することができたと予測される電力量(以下、予測発電量と称する)を示している。予測発電量は、サーバ装置30において、端末装置13’および23’を介して風力発電システム10’および20’から送信される1時間ごとの発電量の測定データに基づいて算出されるが、具体的な算出方法については後述する。
なお、本実施の形態では、風力発電システム10’と風力発電システム20’とでは、モーターの性能やプロペラの大きさが異なっており、風力発電システム10’のシステム容量は、0.5kW(風速12m)であり、風力発電システム20’のシステム容量は、1kW(風速12m)である。図9(c)に示す例では、同じ風量を得られる時間帯では、1時間毎における太陽光発電システム10と太陽光発電システム20との発電量の測定データの比率は、おおよそ1:2で推移している。
なお、一戸建住宅100’に設置される風力発電システムと高層マンション200’に設置される風力発電システムとは、性能が同じである必要はなく、例えば、高層マンション200’に設置される風力発電システムは、一日の発電量を測定することのみを目的とした発電量センサとしての小規模な風力発電システムであってもよいし、高層マンション200’に居住する住民が使用する電気機器を動作させるための電源として利用される構成であってもよい。
(サーバ装置30)
サーバ装置30は、風力発電システム10’および20’からの発電量の測定データに基づいて、風力発電システム10’における上記予測発電量を算出する。なお、サーバ装置30のハードウェア構成および機能ブロックは、実施形態1と同様であり、図4および図5を用いて上述したとおりである。以下では、図5を用いて、本実施の形態に係るサーバ装置30の動作について説明する。
発電量データ受信部301は、風力発電システム10’および20’からの1時間ごとの発電量の測定データを受信し、データ格納部302に格納する。時間別予測発電量算出部303は、風力発電システム10における1時間ごとの本来の発電量を算出する。上述のとおり、一戸建住宅100は、高層マンション200によって風の流れを遮られる時間帯があり、その分、太陽光発電システム10’での発電量は減少する。そこで、時間別予測発電量算出部303’は、高層マンション200’が建設されていない場合、すなわち、1日を通じて、高層マンションによって風の流れを遮られることのない場合における風力発電システム10’の発電量を予測する。
以下に、時間別予測発電量算出部303における予測発電量の算出方法について、より具体的に説明する。一戸建住宅100’と高層マンション200’とは近い距離にあり、周辺の風の流れは同じになるため、本来、同じ風量を得ることができる。したがって、本来、一戸建住宅100’の風力発電システム10’と高層マンション200’の風力発電システム20’とでは、システムの発電容量の差に起因して実際の発電量は異なるものの、発電量の経時変化は同じ傾向を示すことになる。そこで、時間別予測発電量算出部303は、風力発電システム10’と風力発電システム20’との発電量の比例関係に基づいて、予測発電量を算出する。
図9に示すとおり、風力発電システム10’および20’の発電量の測定データ(黒点)を比較すると、一戸建住宅100’は、高層マンション200’によって風を遮られる時間帯があるため、発電量の経時変化の傾向は異なる。しかしながら、風向きは一日のうちで変化するため、一戸建住宅100’と高層マンション200’とで、一日のうち、同じ風量が得られる時間帯が存在する。
同じ風量が得られる時間帯のデータについては、ユーザによって予めサーバ装置30に登録されている。同じ風量が得られる時間帯は、例えば、一戸建住宅100’と高層マンション200’との両方に風量計を設置して、実際に風量を計測することによって、調査することができる。同じ風量が得られる時間帯は、例えば、季節ごと(数ヶ月単位)、あるいは、一ヶ月ごとのデータとして登録される構成であってもよい。あるいは、発電量の計測と同時に、毎時間の風量を計測し、同じ風量が得られている時間帯のデータをサーバ装置30に送信する構成であってもよい。さらに、風量計だけでなく、風向計による風向の計測も行い、風向きが同じで風量が同じ時間帯のデータを用いて予測発電量を算出する構成であってもよい。
本実施の形態においては、一戸建住宅100’と高層マンション200’とで、午前8時から午後11時まで同じ風量が得られる場合の例について説明する。時間別予測発電量算出部303は、はじめに、データ格納部302から、同じ日照量が得られる時間帯(すなわち、午前8時〜午後11時)と、その時間帯に対応する風力発電システム10’および20’の発電量の測定データ(すなわち、午前8時〜11時までの1時間ごとの発電量の測定データ)を読み出す。
次に、時間別予測発電量算出部303は、風力発電システム10’および20’の風量が同じ時間帯の測定データについて比率を算出する。図9(c)に示す例では、風力発電システム10’の発電量に対する風力発電システム20’の発電量の比率が、8時〜9時の測定データ、9時〜10時の測定データ、10時〜11時の測定データについて、それぞれ、「2.00」、「1.93」、「2.03」であり、概ね「2」前後の比率で推移している。
そして、時間別予測発電量算出部303は、これらの比率の平均値(この例では「1.99」)を算出し、風力発電システム20’における発電量の1時間ごとの各測定データを、算出した平均値で除算することにより、風力発電システム10’における1時間ごとの予測発電量(図9に示す白点の値)を算出する。そして、時間別予測発電量算出部303は、予測発電量を日別予測発電量積算部304に出力する。
なお、風力発電システム20’の発電量に対する風力発電システム10’の発電量の比率を、風力発電システム20’における発電量の1時間ごとの各測定データに乗じて予測発電量を算出してもよい。また、本実施の形態では、時間別予測発電量算出部303は、風量が同じ時間帯の測定データの比率の平均値を用いて予測発電量を算出したが、平均値の代わりにメジアンやモードなどを用いる構成であってもよく、特に限定されない。さらに、風力発電システム10’および20’のシステム容量の比率と、風力発電システム20’における発電量の測定データとから、予測発電量を算出する構成であってもよい。すなわち、風力発電システム10’のシステム容量に対する風力発電システム20’のシステム容量の比率は、「2」であり、風力発電システム20’における発電量の1時間ごとの各測定データを、システム容量の比率「2」で除算して、予測発電量を算出する構成であってもよい。あるいは、風力発電システム20’のシステム容量に対する風力発電システム10’のシステム容量の比率を、風力発電システム20’における発電量の測定データに乗じて予測発電量を算出してもよい。
以下、日別予測発電量積算部304、日別実績発電量算出部305、日別損失発電量算出部306、月別損失発電量算出部307、損失金額算出部308、請求金額通知部309の動作は、実施形態1と同様であり、説明を省略する。また、本実施の形態に係る発電取引支援システム1’においても、毎月の損失発電量や損失金額の算出は、例えば、月1回のバッチ処理により行われるが、図6に示す実施形態1のフローチャートと同様の処理の流れであるため、説明を省略する。
なお、本実施形態では、風力発電システム10’における発電量の実績値を予測発電量から減算した電力量(または、それを金額に換算した損失額)を損失として決定する構成であるが、予測発電量のうち、予め定められた割合(または、それを金額に換算した損失額)を損失として決定する構成であってもよい。あるいは、予測発電量に対応した損失金額が予め定められており、その損失金額により損失を評価する構成であってもよい。すなわち、予測発電量を用いて、予め定められた何らかの評価基準に従って損失を決定する構成であればよい。
なお、本実施の形態では、時間別予測発電量算出部303および日別予測発電量積算部304と、日別損失発電量算出部306、月別損失発電量算出部307、および損失金額算出部308とが同じサーバ装置30に備えられているが、異なるサーバ装置に備えられている構成であってもよい。
〔実施形態3〕
本実施の形態では、発電を妨げられる一戸建住宅および発電を妨げる高層マンションのいずれからもサーバ装置31に対して、発電量や日照量等の測定データが送信されない構成について説明する。本実施の形態では、例えば、発電を妨げられる一戸建住宅に未だ発電設備が備えられていなかったり、あるいは、発電を妨げられる一戸建住宅の発電設備が故障したりしており、さらに、高層マンションにも発電システムや日照量の計測機器を設置するのが困難な場合に好適である。
図10は、本実施の形態に係る発電取引支援システムを説明するための図である。本実施の形態では、高層マンション201(第2の建物)によって一戸建住宅101、102、103(第1の建物)の発電のチャンスが妨げられており、高層マンション201の所有者が一戸建住宅101、102、103の所有者に対して、発電チャンスの損失を補填する。高層マンション201によって一戸建住宅101、102、103のそれぞれが被る発電チャンスの損失は、サーバ装置31において算出される。
図11は、サーバ装置31の機能ブロックを示す図である。図11に示すとおり、サーバ装置31は、データ入力受付部311とデータ格納部312と月別損失発電量算出部313と請求金額通知部314と損失金額算出部315とを含んで構成される。
図12は、サーバ装置31のデータ格納部312に格納されているデータを示す図である。図12に示すとおり、サーバ装置31には、一戸建住宅101、102、103のそれぞれについて、日照がある場合に高層マンションによって日影となる時間帯を示す月別のデータ(時間帯情報)が格納されている。また、図12に示すとおり、サーバ装置31には、一戸建住宅101、102、103のそれぞれについて、日影一時間当たりの損失発電量を示すデータ(発電相当量情報)が格納されている。ここで、損失発電量とは、一戸建住宅101、102、103ごとに、高層マンション201の日影となることによって損なわれると想定される1時間あたりの発電量であって、例えば、日影となる各住宅の屋根の面積等から各住宅に適当であろうと想定されるソーラーパネルの1時間当たりの発電量であってもよいし、あるいは、日影となる各住宅の地域における過去の日照量の統計データ等も考慮した上で想定されるソーラーパネルの1時間当たりの発電量であってもよく、発電取引の当事者間(高層マンション201および一戸建住宅101、102、103の所有者間)で決定される。
当事者間で決定された日影一時間当たりの損失発電量のデータおよび高層マンションによって日影となる時間帯データは、ユーザにより、データ入力受付部311を介して、サーバ装置31にデータとして登録される。
そして、サーバ装置31では、月別損失発電量算出部313が、日影となる各住宅について、高層マンションによって日影となる時間に、日影1時間当たりの損失発電量を乗じて一日の損失発電量を算出し、さらに、一日の損失発電量に一月の日数を乗じて、月別の損失発電量を算出する。そして、損失金額算出部315が、月別の損失発電量に、損失発電量の単価を乗じて、損失金額を算定し、データ格納部312に格納する。なお、損失発電量の単価も発電取引の当事者間によって決定され、予めデータ格納部312に格納されている。その後、予め定められた時期(例えば月末など)に、請求金額通知部314が、データ格納部312から損失金額を読み出し、高層マンション201や一戸建住宅101、102、103の所有者にメール等により送信する。
ここで、本実施の形態に係る発電取引支援システムにおいて、月1回のバッチ処理により、毎月の損失発電量および損失金額を算出する例について、図13を用いて説明する。図13は、サーバ装置31における処理の流れを示すフローチャートである。図13に示すとおり、バッチ処理が開始されると、サーバ装置31は、はじめに、発電を妨げられている側の太陽光発電システム10における月別の損失発電量を算出する(ステップS131)。本実施の形態では、一戸建住宅101、102、103ごとに、マンション201によって発電を妨げられることによって発生する太陽光発電システムの1時間あたりの損失発電量が予め定められており、サーバ装置31に登録されている。また、1日のうちマンション201によって太陽光発電システムが日影となる時間(すなわち、発電を妨げられる時間)を示す月別のデータも、サーバ装置31に予め登録されている。そして、サーバ装置31は、ステップS131において、当月、高層マンション201によって日影となる1日の時間と、1時間あたりの損失発電量とを乗算した結果に、当月の日数を乗じることにより、1ヶ月の損失発電量を算出する。そして、サーバ装置31は、ステップS131において算出された1ヶ月の損失発電量に、予め定められた損失発電量の単価を乗じて、損失金額を算出する。サーバ装置31は、月1回のバッチ処理において、以上の処理の流れにより、毎月の損失発電量および損失金額を決定する。
なお、本実施の形態では、高層マンションによって日影となる時間帯のデータを月ごとに登録しているが、例えば、一週間ごとや半月ごとなど、より細かく設定してもよいし、季節ごと(3月ごと)に登録する構成であってもよい。また、日照時間のデータについても、1時間ごとではなく、例えば、30分ごとの日照時間のデータであってもよい。
また、本実施の形態では、高層マンション201によって一戸建住宅101、102、103の太陽光発電システムによる発電が妨げられる構成であるが、一戸建住宅101、102、103に風力発電システムが備えられていて、風力発電システムによる発電が妨げられる場合においても、同様の構成によって発電取引支援システムを構築することができる。
これにより、本実施の形態に係る発電取引支援システムによれば、簡易な構成により低コストで発電チャンスの損失を評価することができる。
〔実施形態4〕
本実施の形態では、発電を妨げられる一戸建住宅からサーバ装置に対して、発電量や日照量のデータが送信されないが、発電を妨げる高層マンションからサーバ装置に対して、日照量等のデータが送信される構成について説明する。本実施形態の構成は、例えば、発電を妨げられる一戸建住宅に未だ発電設備が備えられていない場合や、発電を妨げられる一戸建住宅の発電設備が故障している場合に好適である。
図14は、本実施の形態に係る発電取引支援システムを説明するための図である。本実施の形態では、高層マンション202によって一戸建住宅101、102、103の発電のチャンスが妨げられており、高層マンション202の所有者が一戸建住宅101、102、103の所有者に対して、発電チャンスの損失を補填する。本実施の形態に係る高層マンション202は、日照計および日照計による計測データをサーバ装置32に送信するための機器が備えられている点において、実施の形態3における高層マンション201と異なる。高層マンション202によって一戸建住宅101、102、103のそれぞれが被る発電チャンスの損失は、サーバ装置32において算出される。
図15は、サーバ装置32の機能ブロックを示す図である。図14に示すとおり、サーバ装置32は、日照データ受信部320とデータ入力受付部321とデータ格納部322と月別損失発電量算出部323と請求金額通知部324と損失金額算出部325とを含んで構成される。
図16は、サーバ装置32のデータ格納部312に格納されているデータを示す図であり、(a)は日照がある場合に高層マンションによって日影となる時間帯を示す月別のデータおよび日影一時間当たりの損失発電量を示す図であり、(b)は高層マンション202において測定された日照時間のデータを示す図である。図16(a)に示すとおり、サーバ装置32には、サーバ装置31と同様、一戸建住宅101、102、103のそれぞれについて、日照がある場合に高層マンションによって日影となる時間帯を示す月別のデータと、日影一時間当たりの損失発電量とが格納されている。ここで、損失発電量とは、一戸建住宅101、102、103ごとに、高層マンション202の日影となることによって損なわれると想定される1時間あたりの発電量であって、例えば、日影となる各住宅の屋根の面積等から各住宅に適当であろうと想定されるソーラーパネルの1時間当たりの発電量であってもよいし、あるいは、日影となる各住宅の地域における過去の日照量の統計データ等も考慮した上で想定されるソーラーパネルの1時間当たりの発電量であってもよく、発電取引の当事者間(高層マンション202および一戸建住宅101、102、103の所有者間)で決定される。
当事者間で決定された日影一時間当たりの損失発電量のデータおよび高層マンションによって日影となる時間帯データは、ユーザにより、データ入力受付部321を介して、サーバ装置32にデータとして登録される。
ところで、雨や曇りの日には、高層マンションの有無に関わらず、一戸建住宅101、102、103において発電することはできないため、必ずしも高層マンションによって発電量を損なわれているわけではないものの、実施形態3では、日々の天気を考慮することなく、予め定められた高層マンションによって日影となる時間に、日影1時間当たりの損失発電量を乗じている。そのため、実施形態3の構成は、簡易な構成により低コストで発電取引支援システムを提供できるが、一戸建住宅101、102、103における1日の損失発電量を必ずしも正確に算出するものではない。そこで、本実施の形態では、雨や曇りなどの天候により、本来、一戸建住宅101、102、103において発電できない時間帯については損失発電量の算出の対象とせずに、高層マンション202の日影となる時間帯のうち、十分な日照が得られた時間帯についてのみ、一日の損失発電量の算出の対象とすることによって、より正確に発電チャンスの損失を評価する。以下では、本実施の形態における特徴的構成について、より詳細に説明する。
上述のとおり、高層マンション202は、日照計および日照計による計測データの送信機器を備えており、毎日、日照量を測定し、1時間ごとの日照時間(例えば、120W/m2以上である時間)を表すデータをサーバ装置32に送信する。サーバ装置32では、日照データ受信部320が、サーバ装置32からの高層マンション202における日照時間のデータを受信し、データ格納部322に格納する。図16(b)に示すとおり、サーバ装置32は、高層マンション202における毎日の1時間ごとの日照時間のデータを格納している。ここで、一戸建住宅101、102、103は、高層マンション202の日影になる位の近い距離に建っているため、サーバ装置32では、高層マンション202において測定された日照時間のデータを、一戸建住宅101、102、103の日照時間として格納している。そして、サーバ装置32では、月別損失発電量算出部323が、一戸建住宅101、102、103のそれぞれについて、高層マンションによって日影となる時間帯を示す月別のデータと、日影一時間当たりの損失発電量と、毎日の1時間ごとの日照時間のデータとを用いて、一月の損失発電量を算出する。
以下に、一戸建住宅101を例に、より具体的に説明する。1月の損失発電量を算出する場合、月別損失発電量算出部323は、データ格納部322から、図16(a)に示す一戸建住宅101のデータ(日照がある場合に高層マンションによって日影となる1月の時間帯)を読み出す。また、月別損失発電量算出部323は、図16(b)に示す高層マンション202の日照時間を、一戸建住宅101の日照時間のデータとして読み出す。図16(a)に示すとおり、一戸建住宅101は、1月には、10時〜13時の時間帯に日照がある場合、高層マンションによって日影になる。また、図16(b)に示すとおり、1月20日には、10時〜13時のうち、10時〜11時の間は日照時間が60分(すなわち、高層マンション202による損失発電量は100%)、11時〜12時の間は日照時間が30分(すなわち、高層マンション202による損失発電量は50%)、12時〜13時の間は日照時間が0分(すなわち、高層マンション202による損失発電量は0%)である。つまり、1月20日には、高層マンション202によって一戸建住宅101が日影となる時間は、3時間ではなく、実質的には、90分(60分+30分+0分)である。そこで、月別損失発電量算出部323は、図16(a)に示す一戸建住宅101の日影1時間あたりの損失発電量(2kW)に、1.5時間(=90分)を乗じて、1月20日の1日の損失発電量を3kWと算定する。月別損失発電量算出部323は、他の日についても同様にして損失発電量を算出し、1月の各日の損失発電量を積算して、1月の損失発電量を算出する。なお、月別損失発電量算出部323は、図16(a)に示す一戸建住宅101の日影1時間あたりの損失発電量(2kW)に、図16(a)に示す高層マンションによって日影となる時間帯から求められる日影の時間(3時間)を乗じた結果に、1/2(=1.5時間/3時間)を乗じて、1月20日の1日の損失発電量を3kWと算定してもよい。
さらに、損失金額算出部325が、月別の損失発電量に、損失発電量の単価を乗じて、損失金額を算定し、データ格納部322に格納する。なお、損失発電量の単価も発電取引の当事者間によって決定され、予めデータ格納部322に格納されている。その後、予め定められた時期(例えば月末など)に、請求金額通知部324が、データ格納部322から損失金額を読み出し、高層マンション202や一戸建住宅101、102、103の所有者にメール等により送信する。
また、本実施の形態に係る発電取引支援システムにおいても、毎月の損失発電量や損失金額の算出は、例えば、月1回のバッチ処理により行われ、図13に示す実施形態3のフローチャートと同様の処理の流れであるが、ステップS131における処理の内容が異なる。より具体的には、本実施の形態では、一戸建住宅101、102、103ごとに、予め定められたマンション202によって発電を妨げられることにより発生する太陽光発電システムの1時間あたりの損失発電量、および、1日のうち高層マンション202によって太陽光発電システムが日影となる時間(すなわち、発電を妨げられる時間)を示す月別のデータに加えて、高層マンション202における毎日の1時間ごとの日照時間(実測値)がサーバ装置32に登録されている。そして、サーバ装置32は、当月、高層マンションに202によって太陽光発電システムが日影になる1日の時間のうち、太陽光発電システムが発電可能な日照を得られる時間と、1時間あたりの損失発電量とを乗算した結果を積算し、1ヶ月分の損失発電量を算出する点において、実施形態3の構成と異なる。他の処理内容については、実施形態3と同様であり、説明を省略する。
これにより、本実施の形態に係る発電取引支援システムによれば、日々の天候も考慮して、損失発電量を算出するため、発電チャンスの損失を正確に評価できるようになる。
本実施の形態では、高層マンションによって日影となる時間帯における本来の日照時間に、日影1時間あたりの損失発電量を乗じる構成であるが、高層マンションによって日影となる時間帯における本来の日照量と、各一戸建住宅に適当であろうと想定される太陽光発電パネルの性能(例えば、ある日照条件の元での1時間当たりの発電量)とから算出する構成であってもよい。この場合、高層マンション202では、日照計によって測定した日照量のデータをサーバ装置32に送信し、サーバ装置32では、図16と同様の形式でデータを格納し、高層マンションによって日影となる時間帯における日照量のデータを取り出して、損失発電量を算出することになる。
なお、本実施の形態では、高層マンションによって日影となる時間帯のデータを月ごとに登録しているが、例えば、一週間ごとや半月ごとなど、より細かく設定してもよいし、季節ごと(3月ごと)に登録する構成であってもよい。また、日照時間のデータについても、1時間ごとではなく、例えば、30分ごとの日照時間のデータであってもよい。
また、本実施の形態では、高層マンション202には日照計を備えた構成としたが、実際の日照量データを計測できるものであれば良いため、当然ながら他の実施の形態と同様にソーラーパネルを設置して日照量のデータを取得しても良い。
更に、本実施の形態では、高層マンション201によって一戸建住宅101、102、103の太陽光発電システムによる発電が妨げられる構成であるが、一戸建住宅101、102、103に風力発電システムが備えられていて、風力発電システムによる発電が妨げられる場合においても、同様の構成によって発電取引支援システムを構築することができる。
〔実施形態5〕
近年、ソーラーパネルの薄型化やコストダウンにより、壁面や窓(以下、併せて壁面等と称する)への装着が増加している。そして、オフィスビル、マンションなどの集合建築物では、各戸の各壁面で太陽光を受けることができる時間帯が異なる。そこで、本実施の形態では、発電を妨げられる建物が集合住宅の場合に、集合住宅を構成する戸別に発電チャンスの損失を補償するための構成について説明する。なお、必ずしも集合住宅を構成する全ての戸が発電設備を備えている必要はなく、一部の戸だけが発電設備を備えている構成であってもよい。
図17は、本実施の形態に係る発電権取引支援システム1’’を説明するための図である。発電取引支援システム1’’は、太陽光発電システム10(第1の発電設備)と太陽光発電システム20(第2の発電設備)とサーバ装置30とを含んで構成される。本実施の形態では、太陽光発電システム10が集合住宅を構成する戸別に設置されており、図17に示すとおり、一つの集合住宅内に複数の太陽光発電システム10が設置されている。各太陽光発電システム10は、いずれもネットワークに接続されており、サーバ装置30とのデータ通信を行うことが可能である。なお、太陽光発電システム10は、小型のものが各戸の壁面や窓等に設置されていたり、半透過型のものが窓に設置されていたりしており、各戸ごとに設置可能なものであれば特に限定はされない。また、太陽光発電システム10および20のそれぞれの構成については、実施形態1において説明したとおりである。
図18は、ある時刻における集合住宅400と集合住宅500の日照の様子を示す図である。本実施の形態では、集合住宅500(第2の建物)によって集合住宅400(第1の建物)の発電チャンスが妨げられており、集合住宅500の所有者が集合住宅400を構成する各部屋の所有者に対して、発電チャンスの損失を補填する。集合住宅500によって集合住宅400の各部屋のそれぞれが被る発電チャンスの損失は、実施形態1と同様、サーバ装置30において算出される。サーバ装置30の機能構成は、図5に示すとおりである。
図18に示すとおり、ある時刻において、集合住宅400は、全戸が集合住宅500によって日照を妨げられるわけではない。つまり、各戸ごとに集合住宅500によって日照を妨げられる時間帯が異なる。そこで、本実施の形態に係る発電取引支援システム1’’では、戸別に太陽光発電システムを導入している集合住宅の場合に、集合住宅400の戸別に発電量の損失を評価し、集合住宅400と集合住宅500を構成する各戸との間における発電量の損失を調整するための支援を行う。
本実施の形態においても、実施の形態1において図3を用いて説明した構成と同様、集合住宅500に設置された太陽光発電システム20の発電量の実測値と、集合住宅400の戸別に設置された太陽光発電システム10の発電量の実測値とに基づいて、発電量の損失を調整するための支援を行う。
本実施の形態では、図3(a)に示す実測値は、集合住宅500の屋上に設置された太陽光発電支援システム20によって測定された値であり、図3(b)に示す実測値は、集合住宅400の各戸に設置された太陽光発電支援システム10によって測定された値である。そして、本実施の形態においても、実施形態1と同様、図3に示す太陽光発電システム10および20における発電量の測定データがサーバ装置30に送信される。
そして、サーバ装置30は、実施形態1と同様、太陽光発電システム10および20からの発電量の測定データに基づいて、太陽光発電システム10における予測発電量を算出する。図3に示すとおり、太陽光発電システム10および20の発電量の測定データ(黒点)を比較すると、集合住宅400の各戸は、集合住宅500の日影になる時間帯があるため、発電量の経時変化の傾向は異なる。しかしながら、集合住宅400の日影は、太陽の位置の変化に伴って移動するため、集合住宅400の各戸と集合住宅500の屋上とで、一日のうち、同じ日照が得られる時間帯が存在する。なお、ここでの日影とは、建築物が日光を遮ることによって日の当たらなくなる場所のことを指す。
本実施の形態においては、実施形態1と同様、図3および図5を用いて、集合住宅400の各戸と集合住宅500の屋上とで、午前6時〜9時まで同じ日照量が得られる場合の例について説明する。時間別予測発電量算出部303は、はじめに、データ格納部302から、同じ日照量が得られる時間帯(すなわち、午前6時〜9時)と、その時間帯に対応する太陽光発電システム10および20の発電量の測定データ(すなわち、午前6時〜9時までの1時間ごとの発電量の測定データ)を読み出す。
次に、時間別予測発電量算出部303は、太陽光発電システム10および20の日照量が同じ時間帯の測定データについて比率を算出する。図3(c)に示す例では、太陽光発電システム10の発電量に対する太陽光発電システム20の発電量の比率が、6時〜7時の測定データ、7時〜8時の測定データ、8時〜9時の測定データについて、それぞれ、「1.95」、「2.00」、「2.02」であり、概ね「2」前後の比率で推移している。
そして、時間別予測発電量算出部303は、これらの比率の平均値(この例では「1.99」)を算出し、太陽光発電システム20における発電量の1時間ごとの各測定データを、算出した平均値で除算することにより、太陽光発電システム10における1時間ごとの予測発電量(図3に示す白点の値)を算出する。そして、時間別予測発電量算出部303は、予測発電量を日別予測発電量積算部304に出力する。
日別予測発電量積算部304は、時間別予測発電量算出部303からの時間別の予測発電量を積算し、一日の予測発電量を算出し、日別損失発電量算出部306に出力する。また、日別実績発電量算出部305は、データ格納部302から、太陽光発電システム10における1時間ごとの発電量の測定データを読み出して積算し、一日の実績発電量を算出して、日別損失発電量算出部306に出力する。
日別損失発電量算出部306は、日別予測発電量積算部304からの一日の予測発電量から、日別実績発電量算出部305からの一日の実績発電量を減算して、一日の損失発電量を算出し、データ格納部302に格納する。なお、一日の損失発電量は、日々、算出されてもよいし、一定の期間ごとに算出されてもよい。月別損失発電量算出部307は、各月ごとに、日々の損失発電量をデータ格納部302から読み出して積算し、月別の損失発電量を算出して、損失金額算出部308に出力する。
損失金額算出部308は、月別の損失発電量に、予め定められた電力料金の単価を乗じて、損失金額を算出し、データ格納部302に格納する。そして、請求金額通知部309は、毎月、予め定められた日に、データ格納部302から損失金額を読み出して、集合住宅500の所有者に対して、集合住宅400に各戸ごとに、集合住宅500に日照が妨げられたことによって発生した当月分の損失金額をメールなどにより通知する。集合住宅500の所有者は、請求金額通知部309から通知された損失金額を確認し、集合住宅400の各戸の所有者に支払う。月別の損失金額の算出は、毎月、算出されてもよいし、数ヶ月ごとに算出される構成であってもよい。また、集合住宅500の所有者は、集合住宅400の各戸の所有者に対して、損失発電量を、お金ではなく、自家発電した電力で補填する構成であってもよい。
なお、集合住宅に発電設備が備えられていなかったり、故障したり、設置が困難な場合には、集合住宅400および500のいずれからもサーバ装置30に対して、発電量や日照量等の測定データが送信されない構成とすることも可能である。この構成について、以下に説明する。
この構成の場合、集合住宅500によって集合住宅400の各部屋のそれぞれが被る発電チャンスの損失は、実施形態3と同様、図11に示す機能構成のサーバ装置31において算出される。
この構成においても、サーバ装置31は、図12に示すようなデータを記憶している。なお、ここでは、図12の住宅101、102、103は、集合住宅400を構成する各部屋に対応する。つまり、図12に示すとおり、サーバ装置31には、集合住宅400を構成する部屋101、102、103のそれぞれについて、日照がある場合に集合住宅500によって日影となる時間帯を示す月別のデータ(時間帯情報)が格納されている。また、図12に示すとおり、サーバ装置31には、集合住宅400を構成する部屋101、102、103のそれぞれについて、日影一時間当たりの損失発電量を示すデータ(発電相当量情報)が格納されている。この損失発電量は、実施形態3において説明したとおりであり、発電取引の当事者間で決定される。
当事者間で決定された日影一時間当たりの損失発電量のデータおよび集合住宅500によって日影となる時間帯データは、ユーザにより、データ入力受付部311を介して、サーバ装置31にデータとして登録される。
そして、サーバ装置31では、月別損失発電量算出部313が、日影となる集合住宅400の各戸について、集合住宅500によって日影となる時間に、日影1時間当たりの損失発電量を乗じて一日の損失発電量を算出し、さらに、一日の損失発電量に一月の日数を乗じて、月別の損失発電量を算出する。そして、損失金額算出部315が、月別の損失発電量に、損失発電量の単価を乗じて、損失金額を算定し、データ格納部312に格納する。なお、損失発電量の単価も発電取引の当事者間によって決定され、予めデータ格納部312に格納されている。その後、予め定められた時期(例えば月末など)に、請求金額通知部314が、データ格納部312から損失金額を読み出し、集合住宅500のオーナーや集合住宅400の各部屋101、102、103の所有者にメール等により送信する。
なお、集合住宅500によって日影となる時間帯のデータを月ごとに登録しているが、例えば、一週間ごとや半月ごとなど、より細かく設定してもよいし、季節ごと(3月ごと)に登録する構成であってもよい。また、日照時間のデータについても、1時間ごとではなく、例えば、30分ごとの日照時間のデータであってもよい。
最後に、サーバ装置30の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、サーバ装置30は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるサーバ装置30の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読取り可能に記録した記録媒体を、サーバ装置30に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、サーバ装置30を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを、通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、サーバ装置30をデータセンターに備えた設備とし、ネットワーク40を介して各地からのデータを受信して処理するサービス(ASP:Application Service Provider)としての運用を行っても良い。
また、上述した実施形態においては、一戸建住宅が発電を妨げられている構成について説明したが、アパートや低層階の集合住宅であってもよいし、住居建物だけでなく、事業所や工場等の建物であってもよい。
さらに、上述した実施形態においては、各住宅や高層マンションに太陽光発電システムまたは風量発電システムのいずれか一方が備えられた構成について説明したが、各住宅に太陽光発電システムと風力発電システムとの両方から成るハイブリッド型の発電システムを備えている構成にも適用可能である。