JP2011010146A - 通信装置及び遅延量検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】通信装置において、通信相手装置からの信号の受信タイミングの遅延量を正確に検出することが可能な技術を提供する。
【解決手段】通信装置1の検出部8は、1つのサブスロットの末尾のシンボル期間とそれに続く1つのシンボル期間のそれぞれにおいて受信部20が受信した復調複素シンボルパターンと既知のTCCHシンボルパターンとの相関演算を行う相関演算部と、当該相関演算部での演算結果に基づいて通信相手装置からの信号の受信タイミングの遅延量を求める受信状態取得部とを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、通信相手装置からの信号の受信タイミングの遅延量を検出する通信装置及び当該遅延量を検出する方法に関する。
従来から無線通信に関して様々な技術が提案されている。例えば特許文献1には、基地局が、通信端末から送信される既知信号に基づいて、当該通信端末の送信タイミングを制御する技術が開示されている。また非特許文献1には、次世代PHS(Personal Handyphone System)についての規格が記載されている。
特開2009−10662号公報
"OFDMA/TDMA TDD Broadband Wireless Access System(Next Generation PHS) ARIB STANDARD"、ARIB STD-T95 Version1.1、平成20年6月6日、社団法人電波産業会
さて、次世代PHSでは、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を用いたOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式によって、基地局は複数の通信端末と同時に通信することが可能である。基地局は、自装置でのタイミングを基準タイミングとして各通信端末と通信を行うことから、基地局と通信端末との間で同期が取れておらず、通信端末が独自のタイミングで信号を送信すると、基地局では、通信端末からの信号が適切なタイミングでFFT(Fast Fourier Transform)処理されないことがある。その結果、基地局は、通信端末からの信号を適切に復調できず、当該信号に含まれる情報を正確に取得できないことがある。特にOFDMA方式では、複数の通信端末からの信号で1つのOFDM信号が構成されることから、複数の通信端末の間において送信タイミングが一致していない場合には、複数の通信端末からの信号の間の直交性が崩れてしまい、基地局では複数の通信端末からの信号に含まれる情報を正確に取得できなくなる。
このような問題を解決するために、基地局と通信端末とが通信を開始する際には、両者の間でレンジング処理が行われる。このレンジング処理では、基地局は、通信端末から送信される既知信号に基づいて、通信端末からの信号の受信タイミングについての、自装置で規定されている基準タイミングからの遅延量を求める。そして、基地局は、求めた遅延量に基づいて、通信端末の送信タイミングを制御する。これにより、基地局は、複数の通信端末からの信号をすべて基準タイミングで受信することができる。その結果、基地局では、各通信端末からの信号を適切なタイミングでFFT処理することができるとともに、複数の通信端末からの信号の間の直交性を確保することができる。よって、基地局は、各通信端末からの信号に含まれる情報を正確に取得することができる。なお、このような通信端末の送信タイミングの制御と同様の技術が上記の特許文献1に記載されている。
このように、通信装置においては、通信相手装置からの信号の受信タイミングの遅延量を検出することがあり、当該遅延量を正確に検出することが望まれる。
そこで、本発明は上述の点に鑑みて成されたものであり、通信装置において、通信相手装置からの信号の受信タイミングの遅延量を正確に検出することが可能な技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る通信装置は、通信相手装置と通信を行う通信装置であって、前記通信相手装置でのタイミングで規定された、連続する複数の相手側単位期間の間、前記通信相手装置から、連続的に繰り返して送信される既知信号を受信する受信部と、前記通信装置でのタイミングで規定された、前記複数の相手側単位期間に相当する複数の自装置側単位期間及び当該複数の自装置側単位期間に続く1つの後続自装置側単位期間において、先頭の単位期間及び末尾の単位期間のどちらか一方と、当該先頭の単位期間を除いた前記複数の自装置側単位期間のうちの1つとを含む少なくとも2つの単位期間のそれぞれにおいて、前記受信部が受信する信号と前記既知信号との相関演算を行う相関演算部と、前記相関演算部での演算結果に基づいて、前記通信相手装置からの信号の受信タイミングの遅延量を求める遅延量取得部とを備える。
また、本発明に係る通信装置の一態様では、前記少なくとも2つの単位期間は、前記複数の相手側単位期間に相当する複数の自装置側単位期間及び当該複数の自装置側単位期間に続く1つの後続自装置側単位期間において、先頭の単位期間と、当該先頭の単位期間に連続して続く複数の単位期間とから成る。
また、本発明に係る通信装置の一態様では、前記遅延量取得部で求められた前記遅延量を通知する信号を前記通信相手装置に送信する送信部がさらに設けられている。
また、本発明に係る通信装置の一態様では、前記相関演算部での演算結果に基づいて、前記通信相手装置からの信号の受信レベルを求める受信レベル取得部がさらに設けられている。
また、本発明に係る通信装置の一態様では、前記受信レベル取得部で求められた前記受信レベルに基づいて、前記通信相手装置での送信レベルを決定する決定部と、前記決定部で決定された前記送信レベルを通知する信号を前記通信相手装置に送信する送信部とが設けられている。
また、本発明に係る遅延量検出方法は、通信装置において、通信相手装置からの信号の受信タイミングの遅延量を検出する遅延量検出方法であって、前記通信相手装置でのタイミングで規定された、連続する複数の相手側単位期間の間、前記通信相手装置から、連続的に繰り返して送信される既知信号を受信する受信工程と、前記通信装置でのタイミングで規定された、前記複数の相手側単位期間に相当する複数の自装置側単位期間及び当該複数の自装置側単位期間に続く1つの後続自装置側単位期間において、先頭の単位期間及び末尾の単位期間のどちらか一方と、当該先頭の単位期間を除いた前記複数の自装置側単位期間のうちの1つとを含む少なくとも2つの単位期間のそれぞれにおいて、前記受信部が受信する信号と、前記既知信号との相関演算を行う演算工程と、前記演算工程での演算結果に基づいて、前記通信相手装置からの信号の受信タイミングの遅延量を求める遅延量取得工程とを備える。
本発明によれば、通信相手装置からの信号の受信タイミングについて、1つの単位期間以上の遅延を検出することができる。
本発明の実施の形態に係る通信装置の構成を示す図である。 TCCH用のPRUの構成を示す図である。 TCCH信号の時間波形を示す図である。 本発明の実施の形態に係る検出部の構成を示す図である。 復調複素シンボルとTCCH複素シンボルとの相関値を示す図である。 相関値グラフを示す図である。 本発明の実施の形態に係る状態取得部の動作を示すフローチャートである。 TCCH信号の受信タイミングを示す図である。 本発明の実施の形態に係る検出部の変形例の構成を示す図である。
図1は本発明の実施の形態に係る通信装置1の構成を示す図である。通信装置1は、例えば、上述の非特許文献1に規定されている次世代PHSに準拠した基地局であって、OFDMA方式で複数の通信端末(図示せず)と双方向の無線通信を行う。通信装置1は、時間軸と周波数軸とからなる2次元で特定される無線リソースを複数の通信端末のそれぞれに個別に割り当てることによって、当該複数の通信端末と同時に通信することが可能となっている。
図1に示されるように、通信装置1は、受信部20及び送信部21を有する無線通信部2と、A/D変換器12と、フィルタ3,11と、FFT処理部4と、並び替え処理部5と、チャネル推定部6と、イコライザ7と、検出部8と、データ処理部9と、IFFT処理部10と、D/A変換器13とを備えている。受信部20及び送信部21は送受信アンテナ23を共有している。
受信部20は、送受信アンテナ23で受信されたOFDM信号に対して増幅処理やダウンコンバートを行って、当該OFDM信号をベースバンド信号に変換して出力する。A/D変換器12は、受信部20から出力されるアナログ形式のベースバンド信号をデジタル形式のベースバンド信号に変換する。
フィルタ3は、バンドパスフィルタであって、A/D変換器12から出力されるベースバンド信号をフィルタリングして出力する。FFT処理部4は、フィルタ3でフィルタリングされたベースバンド信号に対してFFT処理を行って、当該ベースバンド信号に含まれる複数のサブキャリアを分離して出力する。具体的には、FFT処理部4からは、ベースバンド信号に含まれる複数のサブキャリアのそれぞれについて、当該サブキャリアを変調する複素シンボルが出力される。
並び替え処理部5は、FFT処理部4から出力される各サブキャリアの複素シンボルを、サブキャリアの周波数の順番に並び替えて出力する。チャネル推定部6は、並び替え処理部5から出力される複素シンボルに基づいて、通信装置1(基地局)と通信端末との間の伝送路の特性を推定する。イコライザ7は、チャネル推定部6での推定結果に基づいて、並び替え処理部5から出力される複素シンボルを補正する。これにより、複素シンボルに含まれる、伝送路の特性による歪みが除去される。データ処理部9は、補正後の複素シンボルに対してデスクランブル処理やビタビ復号処理等を行って、通信端末から送信されたビットデータを再生する。
また、データ処理部9は、通信端末に向けての送信データを生成し、生成した送信データに対応する複数の複素シンボルを生成する。データ処理部9は、生成した複数の複素シンボルに対して畳み込み符号化処理やスクランブル処理等を行ってIFFT処理部10に入力する。IFFT処理部10は、入力された複数の複素シンボルに対してIFFT(Inverse FFT)処理を行って、当該複数の複素シンボルで変調された複数のサブキャリアが合成されたベースバンド信号を出力する。
フィルタ11は、IFFT処理部10から出力されるベースバンド信号をフィルタリングして出力する。D/A変換器13は、フィルタ11から出力されるデジタル形式のベースバンド信号をアナログ形式のベースバンド信号に変換する。送信部21は、D/A変換器13から出力されるベースバンド信号を、アップコンバート及び増幅処理を行った後、送受信アンテナ23に入力する。これにより、送受信アンテナ23からは、通信端末に向かって無線信号が送信される。
検出部8は、通信装置1と同期が取れていない通信端末からの信号の受信タイミングについての基準タイミングからの遅延量を検出するとともに、当該通信端末からの信号の受信レベルを検出する。データ処理部9は、検出部8で検出された遅延量を、通信端末の送信タイミングの補正量とする。また、データ処理部9は、検出部8で検出された受信レベルに基づいて、通信端末の適切な送信レベルを決定する。そして、データ処理部9は、上記補正量を通信端末に通知するための情報と、決定した送信レベルを通信端末に通知するための情報とを含む送信データを生成する。この送信データは、無線信号となって送受信アンテナ23から通信端末に送信される。
各通信端末は、通信装置1から送信タイミングの補正量が通知されると、当該補正量に基づいて送信タイミングを補正する。これにより、通信装置1では、各通信端末からの信号を適切なタイミングで受信できるようになる。その結果、通信装置1では、FFT処理部4において各通信端末からの信号を適切なタイミングでFFT処理することができるとともに、複数の通信端末からの信号の間の直交性を確保することができる。よって、通信装置1では、各通信相手装置からの信号に含まれる情報を正確に取得することができる。
また、各通信端末は、通信装置1から送信レベルが通知されると、当該送信レベルに従って信号を送信する。これにより、通信装置1においては、各通信端末からの信号の受信レベルが適切となり、受信部20において各通信端末からの信号を適切に処理することができる。さらに、通信装置1では、複数の通信端末からの信号の受信レベルが均一となり、当該信号で構成されるOFDM信号の周波数特性が平坦となる。よって、通信装置1では、各通信相手装置からの信号に含まれる情報を正確に取得することができる。
ここで、次世代PHSでは、基地局と通信端末との通信はPRU(Physical Resourse Unit)単位で行われる。例えば、基地局では、通信端末に対する無線リソースの割り当てはPRU単位で行われ、通信端末に送信データを送信する際に使用する変調方式はPRUごとに決定される。1つのPRUは、帯域幅が900kHzの1つのサブチャネルと、時間幅が625μsの1つのスロットとで表現される。1つのサブチャネルは24個のサブキャリアで構成されている。
検出部8は、通信装置1と通信端末との通信が開始したときに、当該通信端末がTCCH(Timing Correct Channel)を利用して送信する既知信号に基づいて、上記の遅延量と受信レベルを求める。図2はTCCH用のPRU100の構成例を示す図である。図2では横方向及び縦方向が時間及び周波数をそれぞれ示している。図2のS1〜S19はシンボル期間の番号を示しており、図2のF1〜F24はサブキャリアの周波数番号を示している。
PRU100は、時間軸と周波数軸とからなる2次元で表現される。PRU100は、図2に示されるように、複数のTCCHシンボル101と、複数のヌルシンボル102とを含んでいる。PRU100には、時間軸方向において、先頭に第1ガードタイムGT1が、末尾に第2ガードタイムGT2がそれぞれ設けられている。PRU100では、連続する3つのシンボル期間S3〜S5が第1サブスロットSS1を構成し、連続する3つのシンボル期間S7〜S9が第2サブスロットSS2を構成し、連続する3つのシンボル期間S11〜S13が第3サブスロットSS3を構成し、連続する3つのシンボル期間S15〜S17が第4サブスロットSS4を構成している。第1サブスロットSS1〜第4サブスロットSS4における、周波数F2〜F12,F13〜F24のサブキャリアのそれぞれがTCCHシンボル101となっている。また、周波数F1のサブキャリアがガードキャリアとなっており、周波数F13のサブキャリアがDCキャリアとなっている。そして、シンボル期間S1〜S19のそれぞれのガードキャリア及びDCキャリアのそれぞれがヌルシンボル102となっている。
通信端末は、自装置でのタイミングで規定された第1サブスロットSS1〜第4サブスロットSS4のいずれか1つのサブスロットSSn(1≦n≦4)における複数のTCCHシンボル101を使用して、通信装置1に対して既知のTCCH信号を送信する。以後、1つのサブスロットSSnを構成する3つのシンボル期間のうち、先頭のシンボル期間Sk(k=3,7,11,15)を「先頭シンボル期間」、その次のシンボル期間S(k+1)を「中間シンボル期間」、最後のシンボル期間S(k+2)を「末尾シンボル期間」と呼ぶことがある。
図3は、TCCH信号200の時間波形を示す図である。図3では、説明の便宜上、TCCH信号200が正弦波で示されているが、TCCH信号200は周波数の異なる複数のサブキャリアが合成されたOFDM信号であるため、実際の時間波形は正弦波とはならない。
図3に示されるように、次世代PHSの各シンボル期間は、ガードインターバルGIと有効シンボル期間ESとで構成されている。各シンボル期間では、有効シンボル期間ESにおける末尾の1/8の期間の信号が先頭のガードインターバルGIに含められる。これにより、各シンボル期間では信号の時間波形が連続する。
また、次世代PHSでは、TCCH信号200が送信される1つのサブスロットSSnでは、周波数F2〜F12,F14〜24のサブキャリアのそれぞれの時間波形が全期間で連続した正弦波となっている。その結果、図3に示されるように、TCCH信号200が送信される1つのサブスロットSSnでは、周波数F2〜F12,F14〜24のサブキャリアと、ガードキャリアと、DCサブキャリアとの合成信号、つまりTCCH信号200の時間波形が連続するようになる。
TCCH信号200では、末尾シンボル期間の有効シンボル期間ESでの周波数F2〜F12,F14〜24のサブキャリア(22本のサブキャリア)が、既知の複数の複素シンボルから成るTCCHシンボルパターンで変調されている。具体的には、末尾シンボル期間の有効シンボル期間ESでの22本のサブキャリアが、TCCHシンボルパターンを構成する既知の22個の複素シンボルでそれぞれで変調されている。そして、TCCH信号200では、末尾シンボル期間の最後から先頭シンボル期間の最初にかけて、末尾シンボル期間の有効シンボル期間ESでの部分信号200a(TCCHシンボルパターンで変調されている部分であって、以後「TCCHパターン信号200a」と呼ぶ)が3つと3/8だけ連続して存在している。つまり、TCCH信号200が送信される1つのサブスロットSSnでは、連続的な時間波形となるようにTCCHパターン信号200aが繰り返して送信される。
このようなTCCH信号200においては、FFT処理部4が、どの部分における有効シンボル長の信号を標本化したとしても、標本化したサブキャリア間の直交性は維持され、TCCHシンボルパターンを取得することができる。ただし、標本化する部分によっては、FFT処理部4で得られるTCCHシンボルパターンは、本来のTCCHシンボルパターンと比較して位相回転を生じることがある。
次世代PHSでは、6種類のTCCHシンボルパターンが規定されている。したがって、TCCH信号200及びTCCHパターン信号200aもそれぞれ6種類存在することになる。各通信端末は、6種類のTCCH信号200のうちの1つの種類を、1つのサブスロットSSnにおいて送信する。以後、TCCHシンボルパターンを構成する複数の複素シンボルのそれぞれを「TCCH複素シンボル」と呼ぶ。
ここで、次世代PHSでは、基地局での動作タイミングが基準タイミングとなって、基地局と通信端末とが通信を行う。そのため、通信装置1と通信端末との間で同期が取れていない場合には、通信端末からの信号が、通信装置1のFFT処理部4に適切なタイミングで入力されないことがある。その結果、通信装置1では、通信端末からの信号を適切に復調できず、当該信号に含まれる情報を正確に取得できないことがある。
そこで、本実施の形態に係る通信装置1では、検出部8が、通信端末から送信されるTCCH信号200の受信タイミングの遅延量を検出し、データ処理部9がこの遅延量を当該通信端末の送信タイミングの補正量とする。
また、通信装置1において、通信端末からの信号の受信レベルが適切な値となっていない場合にも、当該通信端末の信号に含まれる情報を正確に取得することができない。本実施の形態に通信装置1では、検出部8が、通信端末から送信されるTCCH信号200の通信装置1での受信レベルを検出し、データ処理部9が、検出された受信レベルに基づいて、当該通信端末の適切な送信レベルを決定する。
以下に検出部8の構成及び動作について詳細に説明する。
図4は検出部8の構成を示す図である。図4に示されるように、検出部8は、TCCH抜き出し部80と、6種類のTCCHシンボルパターンにそれぞれ対応して設けられた6つのTCCH処理部81とを備えている。TCCH抜き出し部80は、FFT処理部4の出力信号から、TCCH用のPRU100におけるシンボル期間S1〜S19での各サブキャリアの複素シンボルを抜き出す。以後、TCCH抜き出し部80で抜き出された複素シンボルを「復調複素シンボル」と呼ぶ。
各TCCH処理部81は、当該TCCH処理部81に対応するTCCHシンボルパターンと復調複素シンボルとの相関演算を行う相関演算部812と、相関演算部812での演算結果に基づいて、通信端末からの信号の受信タイミングの遅延量と当該信号の受信レベルを求める受信状態取得部815とを備えている。相関演算部812は、相関値算出部810とIFFT処理部811を有し、受信状態取得部815は、演算結果処理部813と状態取得部814と備えている。
相関値算出部810は、TCCH抜き出し部80で抜き出された複数の復調複素シンボルから、1つのサブスロットSSnの末尾シンボル期間における、周波数F1〜F12,F14〜F24のサブキャリアについての復調複素シンボルを取得する。そして、相関値算出部810は、取得した複数の復調複素シンボルから成る復調複素シンボルパターンと、当該相関値算出部810が属するTCCH処理部81に対応する1つの種類のTCCHシンボルパターンとの相関値を求める。具体的には、相関値算出部810は、末尾シンボル期間における複数の復調複素シンボルのそれぞれについて、当該復調複素シンボルと、それと同じ周波数のサブキャリアを変調するTCCH複素シンボルとの相関値を求める。
図5は相関値を求める方法を説明するための図である。周波数番号Fm(m=1〜12,14〜24)のサブキャリアの復調複素シンボルを(am+jbm)、TCCH複素シンボルを(cm+jdm)とすると、相関値算出部810は、(am+jbm)と(cm−jbm)とを掛け合わせて得られる複素数(am+jbm)・(cm−jbm)を相関値とする。これにより、末尾シンボル期間について、復調複素シンボルとTCCH複素シンボルとの相関値が22個得られる。
さらに、相関値算出部810は、末尾シンボル期間S(k+2)の後に連続するシンボル期間S(k+3)、例えば、第1サブスロットSS1の末尾シンボル期間S5であれば、シンボル期間S6における複数の復調複素シンボルのそれぞれについて、当該復調複素シンボルと、それと同じ周波数のサブキャリアを変調するTCCH複素シンボルとの相関値を同様にして求める。これにより、末尾シンボル期間S(k+2)の後に連続するシンボル期間S(k+3)について、復調複素シンボルとTCCH複素シンボルとの相関値が22個得られる。
各相関値算出部810は、以上のような相関値の算出を、第1サブスロットSS1〜第4サブスロットSS4のそれぞれについて行う。したがって、各相関値算出部810では、第1サブスロットSS1の末尾シンボル期間S5とそれに続くシンボル期間S6での相関値と、第2サブスロットSS2の末尾シンボル期間S9とそれに続くシンボル期間S10での相関値と、第3サブスロットSS3の末尾シンボル期間S13とそれに続くシンボル期間S14での相関値と、第4サブスロットSS4の末尾シンボル期間S17とそれに続くシンボル期間S18での相関値とが求められる。
通信端末からは、第1サブスロットSS1〜第4サブスロットSS4のいずれかのサブスロットSSnにおいてTCCHシンボルパターンが送信されることから、第1サブスロットSS1〜第4サブスロットSS4のそれぞれについて上記のような相関値を求めることにより、通信装置1では、通信端末から受信したTCCHシンボルパターンと、予め記憶する理想的なTCCHシンボルパターンとの相関値を求めることができる。
IFFT処理部811は、相関値算出部810で求められた相関値に対してIFF処理を行う。具体的には、IFFT処理部811は、第1サブスロットSS1〜第4サブスロットSS4のそれぞれについて、末尾シンボル期間での22個の相関値に対してIFFT処理を行うとともに、当該末尾シンボル期間の後に続くシンボル期間での22個の相関値に対してIFFT処理を行う。
ここで、本実施の形態では、IFFTのサンプル数(ポイント数)は例えば128であるため、IFFT処理部811への入力数は128必要である。そのため、IFFT処理部811には、22個の相関値と、106個の零の値を入力する。これにより、IFFT処理部811からは、時系列順に並ぶ128個のサンプル値が出力される。本実施の形態では、IFFT処理部811から出力される、時系列順に並ぶ128個のサンプル値に対してサンプル番号0〜127をそれぞれ付与する。
IFFT処理部811から出力されるサンプル値は、TCCHシンボルパターンを位相回転して得られる遅延TCCHシンボルパターンと、復調複素シンボルパターンとの相関値を示している。具体的には、サンプル番号l(0≦l≦127)のサンプル値は、有効シンボル長をTとすると、TCCHシンボルパターンを(T×l/128)に相当する量だけ位相回転して得られる遅延TCCHシンボルパターンと、復調複素シンボルパターンとの相関値を示している。つまり、サンプル番号lのサンプル値は、TCCHシンボルパターンを構成する複数のTCCH複素シンボルをそれぞれ(T×l/128)に相当する量だけ位相回転して得られる複数の遅延TCCH複素シンボルと、複数の復調複素シンボルとのそれぞれの相関値の総和となる。サンプル番号lのサンプル値SMPlは、周波数番号Fmのサブキャリアについての遅延TCCH複素シンボルを(ccm+jddm)とすると、以下の式(1)で表現される。
SMPl=(a1+jb1)・(cc1−jdd1)+(a2+jb2)・(cc2−jdd2)+・・・+(a12+jb12)・(cc12−jdd12)+(a14+jb14)・(cc14−jdd14)+(a15+jb15)・(cc15−jdd15)+・・・+(a24+jb24)・(cc24−jdd24) ・・・(1)
なお、サンプル番号0のサンプル値SMP0は、複数の本来のTCCH複素シンボルと複数の復調複素シンボルとのそれぞれの相関値の総和となる。
IFFT処理部811では、第1サブスロットSS1〜第4サブスロットSS4のそれぞれについて、末尾シンボル期間S(k+2)での128個のサンプル値と、当該末尾シンボル期間S(k+2)の後に続くシンボル期間S(k+3)での128個のサンプル値が得られる。つまり、各IFFT処理部811では、それに対応するTCCHシンボルパターンに応じて、128個のサンプル値が8組得られる。
演算結果処理部813は、IFFT処理部811で得られたサンプル値の各組について、128個のサンプル値のそれぞれの大きさを求める。具体的には、演算結果処理部813は、サンプル値SMPlを(el+jfl)とすると、当該サンプル値SMPlの大きさとして(el2+fl2)を求める。図6は、一組の128個のサンプル値の大きさの一例を示す図である。図6では横軸がサンプル番号を示し、縦軸がサンプル値の大きさを示している。以後、1つのシンボル期間における128個のサンプル値を図6のように示したグラフを「相関値グラフ」と呼ぶ。
演算結果処理部813は、サンプル値の各組について全サンプル値の大きさを求めると、第1サブスロットSS1〜第4サブスロットSS4のそれぞれについて、末尾シンボル期間S(k+2)での128個のサンプル値の大きさのピーク値(最大値)を求めるとともに、当該ピーク値の大きさを有するサンプル値のサンプル番号(以後、「ピーク位置」と呼ぶ)を特定する。図6の例では、サンプル番号50のサンプル値の大きさがピークを示しているため、ピーク位置は“50”となる。
また、演算結果処理部813は、第1サブスロットSS1〜第4サブスロットSS4のそれぞれについて、末尾シンボル期間S(k+2)の後に続くシンボル期間S(k+3)での128個のサンプル値の大きさのピーク値を求める。
さらに、演算結果処理部813は、第1サブスロットSS1〜第4サブスロットSS4のそれぞれについて、末尾シンボル期間S(k+2)での128個のサンプル値の平均値(以後、単に「平均値」と呼ぶ)を求める。
状態取得部814は、演算結果処理部813で求められたピーク値、ピーク位置及び平均値に基づいて、通信端末からの信号の受信タイミングの遅延量と当該信号の受信レベルを求める。以下に、状態取得部814の動作について図7,8を参照して詳細に説明する。
図7は、状態取得部814における、1つのサブスロットSSnでのピーク値、ピーク位置及び平均値を使用した処理を示すフローチャートである。
図8はTCCH信号についての様々な受信タイミングを示す図である。図8では、通信装置1でのタイミングで規定されたシンボル期間Sk〜S(k+4)が一番上に示されている。また図8での受信タイミング(A)は、通信装置1において通信端末からのTCCH信号の受信タイミングに遅延がほぼ無い状態を示しており、受信タイミング(B)〜(F)は、通信装置1での通信端末からのTCCH信号の受信タイミングが遅延している状態を示している。TCCH信号の受信タイミングの遅延量は、受信タイミング(B)〜(F)の順で大きくなっており、受信タイミング(E),(F)では1シンボル期間以上TCCH信号の受信タイミングが遅れている。なお、図8では、各TCCH信号の下に、当該TCCH信号が図8に示される受信タイミングで受信された際のシンボル期間Sk〜S(k+3)でのそれぞれの相関値グラフを示している。
図7に示されるように、ステップST1において、状態取得部814は、処理対象の1つのサブスロットSSnにおける末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク値(図8ではピーク値(S(k+2))と示す)が、当該末尾シンボル期間S(k+2)での平均値(図8では平均値(S(k+2))と示す)に対して十分大きいかどうかを判定する。具体的には、状態取得部814は、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク値が、末尾シンボル期間S(k+2)での平均値のα(α>1)倍よりも大きいかを判定する。末尾シンボル期間S(k+2)において、ピーク値が平均値よりも十分に大きくない場合には、末尾シンボル期間S(k+2)での復調複素シンボルパターンと相関のある遅延TCCH複素シンボルパターンが存在しないと判定できることから、この場合には、状態取得部814は、処理対象の1つのサブスロットSSnにおいて通信端末からのTCCH信号が受信されていないか、受信されたTCCH信号に含まれるTCCHシンボルパターンが、当該状態取得部814が属するTCCH処理部81に対応するシンボルパターンではないかのどちらかであると判断し、当該1つのサブスロットSSnについての処理を終了する。一方で、末尾シンボル期間S(k+2)において、ピーク値が平均値よりも十分に大きい場合には、末尾シンボル期間S(k+2)での復調複素シンボルパターンと相関のある遅延TCCH複素シンボルパターンが存在するため、状態取得部814は、処理対象の1つのサブスロットSSnにおいて通信端末からのTCCH信号が受信されたと判定して、次のステップST2を実行する。
ステップST2では、状態取得部814は、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク値を、通信端末からのTCCH信号の受信レベルとする。状態取得部814は、ステップST2を実行すると、ステップST3において、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク位置(図8ではピーク位置(S(k+2))と示す)が、16よりも大きくかつ111よりも小さいかを判定する。状態取得部814は、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク位置が、16以下あるいは111以上と判定すると、TCCH信号の受信状態が図8の(A)あるいは(D)であると判定し、ステップST4を実行する。一方で、状態取得部814は、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク位置が、16よりも大きくかつ111よりも小さいと判定すると、TCCH信号の受信タイミングが、図8の(B)、(C)、(E)、(F)のいずれかであると判定し、ステップST5を実行する。
ステップST4では、状態取得部814は、末尾シンボル期間S(k+2)の後に続くシンボル期間S(k+3)でのピーク値(図8ではピーク値(S(k+3))と示す)が小さいかを判定する。具体的には、状態取得部814は、シンボル期間S(k+3)でのピーク値のβ(β>1)倍が末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク値よりも小さいかを判定する。状態取得部814は、シンボル期間S(k+3)でのピーク値が小さいと判定すると、TCCH信号の受信タイミングが図8の(A)、つまり、TCCH信号がシンボル期間S(k+3)に入り込んでいないと判定し、ステップST6を実行する。
一方で、状態取得部814は、シンボル期間S(k+3)でのピーク値が小さくないと判定すると、TCCH信号の受信タイミングが図8の(D)、つまり、TCCH信号がシンボル期間S(k+3)に入り込んでいると判定し、ステップST7を実行する。
ステップST6では、状態取得部814は、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク位置が16よりも大きいかを判定する。ここで、図8の(A)のように、TCCH信号の受信タイミングにほぼ遅れがない場合には、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク位置は、最小値の零に近い理想的な値となるか、最大値の127に近い値となる。ステップST6では、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク位置が、どちらの値にあるかを判断している。状態取得部814は、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク位置が16よりも大きいと判定すると、ステップST8において、TCCH信号の受信タイミングの遅延量を零とする。
一方で、状態取得部814は、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク位置が16以下であると判定すると、ステップST9において、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク位置を、TCCH信号の受信タイミングの遅延量とする。上述のように、IFFT処理部811から出力されるサンプル番号lのサンプル値は、有効シンボル長をTとすると、TCCHシンボルパターンを(T×l/128)に相当する量だけ位相回転して得られる遅延TCCHシンボルパターンと、復調複素シンボルパターンとの相関値を示している。したがって、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク位置をLとすると、末尾シンボル期間S(k+2)での復調複素シンボルパターンは、TCCHシンボルパターンを(T×L/128)に相当する量だけ位相回転して得られる遅延TCCHシンボルパターンと相関がとれていることになる。したがって、時間領域で考えると、TCCH信号の受信タイミングは、(T×L/128)だけ遅延していることになる。よって、ピーク位置は、TCCH信号の受信タイミングの遅延量を示していることになる。
状態取得部814は、上述のステップST4において、TCCH信号の受信タイミングが図8の(D)の状態であると判定すると、ステップST7において、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク位置が111よりも小さいかを判定する。図8の(D)のように、TCCH信号の遅延量がほぼ有効シンボル長Tだけ遅延した場合には、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク位置は、最大値“127”に近い理想的な値となるか、最小値の零に近い値となる。ステップST7では、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク位置が、どちらの値にあるかを判断している。状態取得部814は、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク位置が111よりも小さいと判定すると、ステップST10において、TCCH信号の受信タイミングの遅延量を“127”とする。一方で、状態取得部814は、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク位置が111以上であると判定すると、上述のステップST9を実行して、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク位置をTCCH信号の受信タイミングの遅延量とする。
状態取得部814は、上述のステップST3において、TCCH信号の受信タイミングが、図8の(B)、(C)、(E)、(F)のいずれかであると判定すると、ステップST5において、末尾シンボル期間S(k+2)の後に続くシンボル期間S(k+3)でのピーク値が大きいかを判定する。具体的には、状態取得部814は、ステップST4と同様に、シンボル期間S(k+3)でのピーク値のβ倍が末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク値よりも小さいかを判定する。状態取得部814は、シンボル期間S(k+3)でのピーク値が大きくない、つまりシンボル期間S(k+3)でのピーク値のβ倍が末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク値よりも小さいと判定すると、TCCH信号の受信タイミングが図8の(B),(C)のいずれか、つまりTCCH信号がシンボル期間S(k+3)にあまり入り込んでおらず、TCCH信号の遅延が1シンボル期間以内であると判定し、上述のステップST9を実行して、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク位置をTCCH信号の受信タイミングの遅延量とする。
一方で、状態取得部814は、シンボル期間S(k+3)でのピーク値が大きい、つまり、シンボル期間S(k+3)でのピーク値のβ倍が末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク値以上であると判定すると、TCCH信号の受信タイミングが図8の(E),(F)のいずれか、つまり、TCCH信号が1シンボル期間以上遅延していると判定し、ステップST11を実行する。
ステップST11では、状態取得部814は、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク位置に対して、有効シンボル長に相当する“128”を足し合わせて得られる値を、TCCH信号の受信タイミングの遅延量とする。
ここで、TCCH信号が1シンボル期間だけ遅延した際には、時間領域で考えると、TCCH信号における末尾シンボル期間S(k+2)での波形(図3での中間シンボル期間の有効シンボル期間ESでの波形)は、TCCHパターン信号200aよりも、ガードインターバルGIと同じ時間だけ進んでいる。したがって、TCCH信号が1シンボル期間だけ遅延した際には、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク位置は、TCCH信号の受信タイミングに遅延が無いときの末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク位置よりもガードインターバルGIに相当する分だけ大きくなっている。したがって、状態取得部814では、TCCH信号が1シンボル期間以上遅延していると判定した際には、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク位置に対して、1シンボル期間に相当する値ではなく、有効シンボル長に相当する“128”を足し合わせる。
状態取得部814は、ステップST1において、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク値が平均値よりも十分に大きくないと判定した際には、処理対象の1つのサブスロットSSnを変更して同様の処理を行う。
データ処理部9は、状態取得部814で求められた遅延量を、通信端末の送信タイミングの補正量とする。また、データ処理部9は、状態取得部814で求められた受信レベルに基づいて、通信端末の送信レベルを決定する。つまり、データ処理部9は、通信端末の送信レベルを決定する決定部として機能する。そして、データ処理部9は、上記の補正量を通信端末に通知するための情報と、決定した送信レベルを通信端末に通知するための情報とを含む送信データを生成する。この送信データは、無線信号となって送信部21の送受信アンテナ23から通信端末に送信される。
以上のように、本実施の形態に係る通信装置1では、相関演算部812が、一の単位期間である末尾シンボル期間S(k+2)及びそれに続く単位期間であるシンボル期間S(k+3)のそれぞれにおいて、復調複素シンボルパターン(受信部20で受信された信号の周波数成分)と、TCCHシンボルパターン(既知のTCCHパターン信号200aの周波数成分)との相関演算を行っている。そして、受信状態取得部815が、相関演算部812での演算結果に基づいて、通信端末からの信号の受信タイミングの遅延量を求めている。
図8に示されるように、TCCH信号200の受信タイミングの遅延量が大きくなると、TCCH信号200においてシンボル期間S(k+3)で受信される部分が増加することから、シンボル期間S(k+3)についての、復調複素シンボルパターンと、TCCHシンボルパターンとの相関演算結果から、上述のステップST5のように、TCCH信号200が1シンボル期間以上遅延しているか否かを検出することができる。上述のステップST5においては、シンボル期間S(k+3)についての、復調複素シンボルパターンと、TCCHシンボルパターンとの相関演算結果であるピーク値が大きい場合には、TCCH信号200が1シンボル期間以上遅延していると判定している。
また、通信端末から送信されるTCCH信号200は、1つのサブスロットSSnの間、TCCHパターン信号200aが繰り返された連続波形であることから、通信装置1では、TCCH信号200の受信タイミングが1シンボル期間以上遅延したとしても、末尾シンボル期間S(k+2)においてTCCH信号200が連続して受信されることになる。よって、末尾シンボル期間S(k+2)での復調複素シンボルパターンと、TCCHシンボルパターンとの相関演算を適切に行うことができることから、その演算結果と、TCCH信号200が1シンボル期間以上遅延しているか否かの判定結果とに基づいて、通信端末からの信号の受信タイミングについての1シンボル期間以上の遅延を正確に求めることができる(ステップST9,ST11)。
<処理対象となるシンボル期間の組み合わせの変形例>
上述の例では、通信端末からの信号の受信タイミングが1シンボル期間以上遅れているか否かの判定を行う際に、1つのサブスロットSSnに続くシンボル期間S(k+3)での復調複素シンボルパターンとTCCHシンボルパターンとの相関演算結果を使用したが、その代わりに、1つのサブスロットSSnの先頭シンボル期間Skでの復調複素シンボルパターンとTCCHシンボルパターンとの相関演算結果を使用しても良い。図8に示されるように、TCCH信号200の受信タイミングの遅延量が大きくなると、TCCH信号200において先頭シンボル期間Skで受信される部分が減少することから、先頭シンボル期間Skについての、復調複素シンボルパターンと、TCCHシンボルパターンとの相関演算結果から、TCCH信号200が1シンボル期間以上遅延しているか否かを検出することができる。例えば、相関演算部812において、先頭シンボル期間Skについてのピーク値を求めて、当該ピーク値が小さい場合には、TCCH信号200が1シンボル期間以上遅延していると判定する。
また、末尾シンボル期間S(k+2)での復調複素シンボルパターンとTCCHシンボルパターンとの相関演算結果を使用する代りに、中間シンボル期間S(k+1)での復調複素シンボルパターンとTCCHシンボルパターンとの相関演算結果を使用しても良い。通信装置1では、TCCH信号200の受信タイミングが1シンボル期間遅延した場合には、中間シンボル期間S(k+1)においてTCCH信号200を連続して受信することができ、当該受信タイミングが1シンボル期間よりも多少多く遅延した場合であっても、中間シンボル期間S(k+1)の大部分においてTCCH信号を連続して受信することができることから、中間シンボル期間S(k+1)での復調複素シンボルパターンと、TCCHシンボルパターンとの相関演算を適切に行うことができる。中間シンボル期間S(k+1)での復調複素シンボルパターンとTCCHシンボルパターンとの相関演算結果を使用する際には、相関演算部812において中間シンボル期間S(k+1)でのピーク位置を求めて、TCCH信号200が1シンボル期間以上遅延していると判定した際には、当該ピーク位置に“128”を足し合わせることによって、正確な遅延量を求めることができる。ただし、TCCH信号200の受信タイミングに遅延が無い場合であっても、図3に示されるように、TCCH信号200のうち、中間シンボル期間S(k+1)の有効シンボル期間ESでの信号波形は、TCCHパターン信号200aよりも、ガードインターバルGIと同じ時間だけ進んでいる。したがって、このようにして求めた遅延量は、ガードインターバルGIの分だけ、実際の遅延量よりも大きくなっている。よって、中間シンボル期間S(k+1)でのピーク位置を使用する場合には、求めた遅延量からガードインターバルGIの分だけ減算する補正が必要である。
また、1つのサブスロットSSnを構成する、先頭シンボル期間Sk、中間シンボル期間S(k+1)及び末尾シンボル期間S(k+2)のそれぞれについて、復調複素シンボルパターンと、TCCHシンボルパターンとの相関演算を行い、これらの相関演算に基づいて通信端末からの信号の受信タイミングの遅延量を求めることによって、当該受信タイミングについての2シンボル期間以上の遅延を検出することができる。TCCH信号200の受信タイミングの遅延量が大きくなると、まず、TCCH信号200において先頭シンボル期間Skで受信される部分が減少し、当該遅延量がさらに大きくなると、今度は、TCCH信号200において中間シンボル期間S(k+1)で受信される部分が減少することから、先頭シンボル期間Skについての復調複素シンボルパターンとTCCHシンボルパターンとの相関演算結果と、中間シンボル期間S(k+1)での復調複素シンボルパターンとTCCHシンボルパターンとの相関演算結果とを使用することによって、TCCH信号200の受信タイミングの遅延量が、1シンボル期間未満であるか、1シンボル期間以上2シンボル期間未満であるか、2シンボル期間以上であるかを識別することができる。そして、TCCH信号200の受信タイミングの遅延量が、1シンボル期間以上2シンボル期間未満である場合には、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク値に“128”を足し合わせて得られる値を遅延量とし、TCCH信号200の受信タイミングの遅延量が2シンボル期間以上である場合には、末尾シンボル期間S(k+2)でのピーク値に“256”を足し合わせて得られる値を遅延量とする。これにより、通信端末からの信号の受信タイミングについて、2シンボル期間以上の遅延を検出することができる。
<検出部の変形例>
上記の例では、相関値算出部810で算出された、TCCHシンボルパターンと復調複素シンボルパターンとの相関値に対してIFFT処理部811でIFFT処理を行うことによって、遅延TCCHシンボルパターンと復調複素シンボルパターンとの相関値を求めていたが、IFFT処理を行わずに当該相関値を求めても良い。図9はこの場合の検出部8aの構成を示す図である。図9の検出部8aは、図4の検出部8において、相関演算部812の代わりに相関演算部812aを設けたものである。
各相関演算部812aは、1つのサブスロットSSnの末尾シンボル期間S(k+2)について、復調複素シンボルパターンと、当該相関演算部812aが属するTCCH処理部81に対応したTCCHシンボルパターンを(T×r/128)に相当する量だけ位相回転して得られる遅延TCCHシンボルパターンとの相関値(以後、「遅延相関値」と呼ぶ)を、rが取り得る各値について、上述の式(1)のように求める。ここで、rは0以上127以下の整数である。これにより、上述の図6の相関値グラフと同様のグラフを得ることができる。
同様にして、相関演算部812aは、当該1つのサブスロットSSnに続くシンボル期間S(k+3)について、復調複素シンボルパターンと、当該相関演算部812aが属するTCCH処理部81に対応したTCCHシンボルパターンを(T×r/128)に相当する量だけ位相回転して得られる遅延TCCHシンボルパターンとの相関値(遅延相関値)を、rが取り得る各値について、上述の式(1)のように求める。
相関演算部812aは、これらの遅延相関値を、第1サブスロットSS1〜第4サブスロットSS4のそれぞれについて求める。これにより、各相関演算部812aでは、それに対応するTCCHシンボルパターンに応じて、128個の遅延相関値が8組得られる。
本変形例に係る受信状態取得部815では、上述のサンプル値が遅延相関値に置き換えられて同様の処理が行われる。これにより、上記例と同様に、検出部8aでは、通信端末からの信号の受信タイミングについて、1シンボル期間以上の遅延量を検出することができる。
1 通信装置
9 データ処理部
20 受信部
21 送信部
812,812a 相関演算部
815 受信状態取得部

Claims (6)

  1. 通信相手装置と通信を行う通信装置であって、
    前記通信相手装置でのタイミングで規定された、連続する複数の相手側単位期間の間、前記通信相手装置から、連続的に繰り返して送信される既知信号を受信する受信部と、
    前記通信装置でのタイミングで規定された、前記複数の相手側単位期間に相当する複数の自装置側単位期間及び当該複数の自装置側単位期間に続く1つの後続自装置側単位期間において、先頭の単位期間及び末尾の単位期間のどちらか一方と、当該先頭の単位期間を除いた前記複数の自装置側単位期間のうちの一つとを含む少なくとも2つの単位期間のそれぞれにおいて、前記受信部が受信する信号と前記既知信号との相関演算を行う相関演算部と、
    前記相関演算部での演算結果に基づいて、前記通信相手装置からの信号の受信タイミングの遅延量を求める遅延量取得部と
    を備える、通信装置。
  2. 請求項1に記載の通信装置であって、
    前記少なくとも2つの単位期間は、前記複数の相手側単位期間に相当する複数の自装置側単位期間及び当該複数の自装置側単位期間に続く1つの後続自装置側単位期間において、先頭の単位期間と、当該先頭の単位期間に連続して続く複数の単位期間とから成る、通信装置。
  3. 請求項1及び請求項2のいずれか一つに記載の通信装置であって、
    前記遅延量取得部で求められた前記遅延量を通知する信号を前記通信相手装置に送信する送信部をさらに備える、通信装置。
  4. 請求項1及び請求項2のいずれか一つに記載の通信装置であって、
    前記相関演算部での演算結果に基づいて、前記通信相手装置からの信号の受信レベルを求める受信レベル取得部をさらに備える、通信装置。
  5. 請求項4に記載の通信装置であって、
    前記受信レベル取得部で求められた前記受信レベルに基づいて、前記通信相手装置での送信レベルを決定する決定部と、
    前記決定部で決定された前記送信レベルを通知する信号を前記通信相手装置に送信する送信部と
    をさらに備える、通信装置。
  6. 通信装置において、通信相手装置からの信号の受信タイミングの遅延量を検出する遅延量検出方法であって、
    前記通信相手装置でのタイミングで規定された、連続する複数の相手側単位期間の間、前記通信相手装置から、連続的に繰り返して送信される既知信号を受信する受信工程と、
    前記通信装置でのタイミングで規定された、前記複数の相手側単位期間に相当する複数の自装置側単位期間及び当該複数の自装置側単位期間に続く1つの後続自装置側単位期間において、先頭の単位期間及び末尾の単位期間のどちらか一方と、当該先頭の単位期間を除いた前記複数の自装置側単位期間のうちの一つとを含む少なくとも2つの単位期間のそれぞれにおいて、前記受信部が受信する信号と、前記既知信号との相関演算を行う演算工程と、
    前記演算工程での演算結果に基づいて、前記通信相手装置からの信号の受信タイミングの遅延量を求める遅延量取得工程と
    を備える、遅延量検出方法。
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