JP2011008005A - 光拡散板及びそれを用いたバックライト装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 拡散性の優れた光拡散板を提供する。
【解決手段】 一対の対向した透明な上下基板1、2の間に高分子材料4と液晶材料5からなる拡散層3を封止部材7を介して封止して拡散板10を形成する。高分子材料4は紫外線を照射して3次元網目状のポリマー分散構造にし、そして、ポリマー分散構造の中に、常光屈折率と異常光屈折率の屈折率差が0.15〜0.3の液晶材料を分散させる。そして、この光拡散板10をプリズムシートの上部に配設してバックライト構造を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光拡散性の高い拡散板とそれを用いたバックライト装置に関する。
近年、ノート型パソコン、携帯電話機、PDAなどのさまざまな機器において、消費電力が少ないこと、小型化や薄型化が可能であること、などの理由から発光ダイオード(以降、LEDと言う)を用いた照明が普及してきている。
なかでも、液晶表示パネルを用いた表示機器のバックライト装置においては、さまざまな構造の下で広く用いられてきている。
図6に示すバックライト構造は、下記の特許文献1に示された直下型バックライトユニットを示したものである。なお、図6は説明しやすいようにその主旨を逸脱しないように書き直ししたバックライト構造の側面図を示したものである。
図6において、上から順に、130は液晶表示パネルである。この液晶表示パネル130は、内面に画素形成用の電極を有するガラスからなる第1の基板131と第2の基板132との間に液晶層が挟持され、その外面に第1の偏光板136と第2の偏光板137を設けた構成からなる。
液晶表示パネル130の背面側には光学補償シート積層体120が配設されている。この光学補償シート積層体120は、第1の拡散シート121、第1のプリズムシート122、第2のプリズムシート123、第2の拡散シート124の順で積層されたものからなる。
光学補償シート積層体120の背面側には第1の空気層141を挟んで導光板111が配設され、この導光板111の下面には複数個の円盤状の光拡散板112が接着剤を介して設けられている。
また、導光板111の背面には、第2の空気層142を挟んでR(赤色)、G(緑色)、B(青色)なるLED103が複数配設されている。このR、G、BなるLED103はLEDアレイ102に設けられており、LEDアレイ102は反射板101上に接着によって保持されている。
導光板111に設けられた円盤状の光拡散板112はLED103の真上に設けられており、LED103の光を第2の空気層142内に反射、散乱させる働きもなしている。つまり、LED103は点発光をなすため光軸上の光度が一番高い。そこで、真上に設けた円盤状の光拡散板112でもって分散、散乱させて光軸上の光度を低く抑制すると共に、光度の均一性を向上させる働きをさせている。
また、第1のプリズムシート122と第2のプリズムシート123はプリズム溝が平行に設けられた形状をなしており、第1のプリズムシート122と第2のプリズムシート123はお互いのプリズム溝が直交するように配置されている。
また、第1の拡散シート121及び第2の拡散シート124は導光板111の出射面から拡散された出射光の角度を絞って光学補償シート積層体120での中央輝度を効率的に向上させる働きをさせている。
特許文献1によれば、このようなバックライト構造をとることにより輝度ムラや色度ムラの発生を減少させるとされている。
光拡散板や光拡散シートに関しては、従来からさまざまな構成のものが知られている。例えば、下記の特許文献2に示された拡散板は、プロピレン重合体中に光拡散剤を分散した構成をなしている。また、光拡散剤としては無機ガラス粒子,シリカ粒子,水酸化アルミニウム粒子,炭酸カルシウム粒子,硫酸バリウム粒子,酸化チタン粒子などの無機粒子、スチレン系重合粒子,アクリル系重合粒子,シロキサン系重合粒子などの有機粒子などが挙げられている。
また、下記の特許文献3に示された拡散板はプリズムレンズが複数並列された拡散板で、プリズムレンズの断面形状は直線が4本以上の斜辺と曲線からなる頂点とを左右対称に連結した形状をなす拡散板である。
特許文献3によれば、直下型のバックライト構造で、冷陰極管などの線状の光源の上部にプリズムレンズの拡散板を配設すると輝度の低下を防ぎ、かつランプムラを消すことかできるとされている。
特開2005−249942号公報 特開2008−83660号公報 特開2008−304501号公報
LEDは点発光に近いため、光軸上では輝度が非常に高く、光軸から遠ざかるに従って輝度が低下し、輝度分布の差が著しいなどの問題がある。
特許文献1に示されたバックライト構造は、導光板111の下面に設けた円盤状の光拡散板112でもってLEDの輝度分布の著しい差を和らげる働きをさせ、更に、第1の拡散シート121、及び第2の拡散シート124でもって全体的に輝度分布の均一性の向上と輝度の向上を図っているものである。
しかしながら、特許文献1の構造は、バックライトを構成する部品が多く、コスト的に見ると大変高いものになる。また、バックライト構造の厚みも厚いものとなり、薄型化を図るには限度を有する。
次に、特許文献2に示された拡散板の構成は、光拡散粒子を樹脂の中に分散した構成をとる。拡散粒子を用いた構成は、樹脂や粒子に吸収される光、あるいはまた、拡散板の中での四方、八方への散乱を繰り返す中で減光する光などが現れて、光の利用効率が低下して輝度が低下するという問題が現れる。また、LEDのごとく輝度分布の差が著しい光源に対しては、輝度のムラを完全に消し去るのは難しい。
また、特許文献3に示された拡散板の構成は、プリズムレンズの形成は金型から転写して形成することになるが、プリズムレンズの形状は金型の形状精度によって決まる。形状が複雑であるので精度良く金型の形状を成形するのは難しく、従って、精度の良いプリズムレンズの形状が得難い。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、安いコストで製作でき、明るく、そして、均一なる輝度分布が得られる拡散板を提供することを目的とするものである。
課題を解決するための手段として、本発明の光拡散板は、少なくとも一対の透明基板と透明な高分子材料、液晶材料、封止部材とからなり、対向した一対の透明基板内に封止部材を介して高分子材料と液晶材料を封止したことを特徴とするものである。
また、本発明の光拡散板は、高分子材料は紫外線照射によって硬化していることを特徴とするものである。
高分子材料(モノマー)は紫外線照射によってモノマーが重合して3次元網目状のポリマーネットワークを形成する。そして、そのポリマーネットワークの中に液晶材料(例えば、ネマティック液晶材料など)を分散させると、液晶分子の長軸がランダムな方向に配向する。つまり、巨視的にみると不規則な方向に配向しているのと同じ状態になる。そのため、液晶分子の屈折率とポリマーネットワーク状の樹脂の屈折率とが異なってきて、光の散乱、即ち、光の拡散が発生する。
対向した一対の透明基板内に封止部材を介して高分子材料(モノマー)と液晶材料を封止して紫外線照射を行うと、モノマーが重合して硬化状態になる。そして、対向した一対の透明基板と固定状態になって、形状が変形することのない平板状態の拡散板が得られる。
また、透明性の優れた高分子材料、及び液晶材料を用いることで光吸収を少なく抑えて光の利用効率を高めることができる。また、拡散性の優れた拡散板が得られる。
また、本発明の光拡散板は、液晶材料が屈折率差が0.15〜0.3の範囲にある液晶材料あることを特徴とするものである。
液晶材料は優れた散乱特性を持つ材料が好ましい。そのような液晶材料としてはネマティック液晶などが挙げられ、特に、異常光屈折率と常光屈折率の差が比較的大きく、屈折率差が0.15〜0.3の範囲のものが好ましい。このような屈折率差の液晶材料を用いると光の散乱特性が良く現れる。
また、このような液晶材料を用いることで、発光色の色選択吸収や選択反射も生じないので、光の減光を抑えて明るさを向上させる。
また、本発明の光拡散板は、対向する一対の透明基板の隙間が10〜30μmであることを特徴とするものである。
隙間が10μmより小さいと、散乱効果は小さくなって輝度分布の均一性が低下する。また、隙間を30μmより大きくしても散乱効果は余り伸びない。薄型化を考慮すると10〜30μmの範囲が好適である。
また、本発明の光拡散板は、部分的に光散乱度合いが異なる部位を有することを特徴とするものである。
部分的に光散乱度合いが異なることによって、光拡散の調整が可能になる。例えば、LEDなる光源を用いた場合、LEDは点発光に近いので光軸上の所は輝度が高く、周辺は輝度が低い。
輝度の高い部分は散乱度合いを大きくし、輝度の低い部分は散乱度合いを小さくすることによって、全体的に輝度分布を均一にすることができる。
なお、本発明においては、散乱度合いが大きいとは、散乱が活発に行われる状態を表しており、散乱度合いが小さいとは、散乱が少ない状態を表している。以降、この定義の下で、散乱度合いが大きい、散乱度合いが小さいと表現する。
また、本発明の光拡散板は、光拡散板の上面または下面の少なくともいずれかに、透明基板の屈折率より小さい屈折率の透明な被覆膜を有することを特徴とするものである。
このような構成をとることにより、反射防止効果が生まれ、光拡散板への入射光量を増やすことができる。また、キズ防止効果も得ることができる。
また、本発明の光拡散板を用いたバックライト装置は、前記光拡散板を光源の光出射側に配置したことを特徴とするものである。
この配置構造をとることにより、光源の出射光の輝度ムラを光拡散板によって制御することが可能になる。また、輝度を均一に抑制することができる。
また、本発明の光拡散板を用いたバックライト装置は、光拡散板を液晶表示パネルの下面側偏光板に積層して前記偏光板と一体化したことを特徴とするものである。
光拡散板を偏光板と一体化することで、液晶表示パネルにおける表示画像の視野角を広げることができる。また、バックライト装置を備えた液晶表示パネルの薄型化の効果も得られる。
本発明の光拡散板によれば、拡散性能が高められて明るく、そして、均一な輝度分布が得られる。また、安いコストでバックライト構造が得られる。
本発明の実施形態に係る光拡散板の模式的に示した要部断面図とその働きを説明する模式的に示した説明図である。 図1に示す光拡散板における光の拡散状態を説明する模式的に示した説明図である。 実施例1に係る液晶表示パネルに備えたバックライト装置の模式的に示した側面図である。 図3における光拡散板の模式的に示した要部断面図である。 実施例2に係る液晶表示パネルに備えたバックライト装置の模式的に示した側面図である。 特許文献1に示された直下型バックライトユニットの側面図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図1、2を用いて説明する。なお、図1は本発明の実施形態に係る光拡散板の模式的に示した要部断面図とその働きを説明する模式的に示した説明図である。また、図2は図1に示す光拡散板における光の拡散状態を説明する模式的に示した説明図を示している。
図1において、1は透明な上基板、2は透明な下基板で、対向した一対なる透明基板をなす。3は拡散層で、4は透明な高分子材料、5は液晶材料である。高分子材料4は紫外線照射によって3次元網目状のポリマーネットワーク(図示せず)を形成しており、その3次元網目の中に液晶材料5を分散させて拡散層3を構成している。つまり、拡散層3はポリマー分散型の構造をなしている。また、7は封止部材で、10は光拡散板である。また、Nは入射光、Pmは前方散乱出射光、Pnは後方散乱出射光を表している。
図1に示す光拡散板10は、対向する上下基板1、2の所定の隙間の中に、拡散層3を構成するところの高分子材料4と液晶材料5を封止部材7でもって封止し、紫外線を照射して高分子材料を重合させ、3次元網目状のポリマーネットワークを形成した構成をなしている。つまり、ポリマー分散型の拡散板の構造をなしている。
本発明においては、高分子材料(モノマー)と液晶材料(例えば、ネマティック液晶材料など)の混合材料、つまり、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モードの液晶材料を用いている。紫外線照射によってモノマーが重合して3次元網目状のポリマーネットワークを形成し、そのポリマーネットワークの中に液晶材料が分散した状態になっている。
従って、図1に示すように、液晶材料5は、その液晶分子の長軸がランダムな方向に配向している。つまり、巨視的にみると、液晶分子が不規則な方向に配向しているのと同じ状態になっている。
このため、液晶分子の屈折率とポリマーネットワーク状の樹脂の屈折率とが異なってきて光の散乱が発生する。
ここで、高分子材料(モノマー)4は、透明なポリマーが用いられるが、ポリマーとしては、紫外線硬化性アクリル樹脂が挙げられ、特に紫外線照射によって重合硬化するアクリルモノマー、アクリルオリゴマーを含有するのが好ましい。
中でも、フッ素基を有する光硬化性アクリル樹脂は散乱特性が良好な光変調層を作製でき、経時変化も生じ難く好ましい。この様な材料としては2−エチルヘキシルアクリレート,2−ヒドロキシエチルアクリレート,ネオペンチルグリコールドアクリレート,ヘキサンシジオールジアクリレート,ジエチレングリコールジアクリレート,ポリエチレングリコールジアクリレート,トリプロピレングリコールジアクリレートなどがある。
次に、液晶材料5はネマティック液晶,スメクティック液晶,コレステリック液晶が好ましく、単一もしくは2種類以上の液晶性化合物の物質を含んだ混合物でも良い。
また、ネマティック液晶としては、異常光屈折率と常光屈折率の差の比較的大きいシアノビフェニール系のネマティック液晶、または、経時変化に安定なフッ素系、クロル系のネマティック液晶が好ましく、中でもクロル系のネマティック液晶が散乱特性も良く、経時変化も生じ難く最も好ましい。
液晶材料5の常光屈折率が1.49〜1.54で、異常光屈折率と常光屈折率との屈折率差が0.15〜0.30の範囲の液晶材料を用いるのが好ましい。この屈折率差の範囲より小さくても、また、大きくても散乱効果が得られなくなる。
その中で、常光屈折率が1.50〜1.53、且つ、屈折率差が0.2以上0.30以下のクロル系のネマティック液晶が好適なものとして挙げることができる。
拡散層3における液晶材料5の配合割合は、一般には、30〜90重量%程度で、30%より少なく、また、90%より多くなると高分子材料と液晶材料の各材料の体積差が取れなくなり散乱特性が低下する。
紫外線の照射は混合材料(高分子材料と液晶材料の混合材料)を一対の基板に封入後に行う。
紫外線照射は水銀ランプを用い、温度は通常40°C前後の温度で、強度は20〜80mW/cm、時間は30〜120秒の範囲の中で散乱特性などを考慮して適宜に設定するのが良い。
一対の上下基板1、2は透明なガラスや透明な樹脂フィルムなどが用いられる。ガラスとしてはソーダガラスや石英ガラス,ホウケイ酸ガラス,普通板ガラスなどのものが利用される。ガラスの板厚は特に限定するものではないが、薄いもので200μm前後のものを使用することも可能である。
また、樹脂フィルムを用いる場合は、耐湿性や耐衝撃性、耐薬品性などに優れた樹脂フィルムが用いられる。このようなものとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂,ポリカーボネイト樹脂,ポリイミド樹脂,ポリスチレン樹脂,ポリエチレン樹脂などの樹脂フィルムが挙げられる。フィルムの厚みは特に限定するものではないが、100μm以上のものが使用可能である。
封止部材7はエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの熱硬化性樹脂、または紫外線硬化性樹脂などで形成する。なお、図示はしていないが、所定の厚みに形成するためにスペーサボールなどのスペーサを分散したものを用いる。上基板1または下基板2のいずれか一方に、一部分に開口部を設けた状態で印刷方法などの方法で封止部材を形成し、上下基板1、2を所定の隙間を設けて貼合わせ、焼成方法や紫外線照射方法などで封止部材を硬化させる。
そして、上下基板1、2の隙間の中に、一部分の開口部から、高分子材料4と液晶材料5の混合材料を注入し、注入後に開口部を紫外線硬化樹脂で塞ぐことによって、上下基板1、2の間に高分子材料4と液晶材料5が封止される。
ここで、上下基板1、2の隙間は10〜30μmの範囲にするのが好ましい。隙間が10μmより小さいと、光の散乱度合いが小さくなって拡散性が低下する。また、隙間を30μmより大きくすると散乱度が飽和してしまい、拡散効果は伸びない。また、厚くなると加工性の問題が生まれる。例えば、上下基板1、2を樹脂フィルムで形成した場合などは切断加工性が悪くなる。また、厚くなると液晶材料と高分子材料の使用量が多くなってコストアップをきたすなどの問題も生じる。
隙間を10〜30μmの範囲に設定することで、薄型化にも寄与できるものである。
次に、上記の構成をなす光拡散板10に矢印で示した入射光Nが入射すると、拡散層3で散乱が生じ、図中での上部側(前方側)に前方散乱出射光Pmが分散して出射する。また、同時に、入射光Nの入射側(後方側)にも後方散乱出射光Pnも現れる。
上記構成のポリマー分散型の拡散板における光分散特性は図2に示すような特性を有する。図2は拡散板のある部位Oに、垂直光及び垂直に近い入射光が拡散板内で拡散し、その拡散による光度の分布状態を模式的に示したもので、Qは光度の分布カーブである。90°は部位Oにおける垂直方向を示している。また、分布カーブQにおいて、Aは部位Oより左側での輝度の最大点、Cは右側での輝度の最大点、Bは90°線上での輝度を表している。
図2から分かるように、部位Oから左右に、大きく2つの方向に指向性を持つような形で分散する。そして、ちょうどラクダのこぶを示すような状態の光度の分布を示す。
ポリマー分散型の拡散板においては、紫外線の照射条件などの調整によって散乱度合いを変えることができる。例えば、紫外線の照射強度を大きくすると光の散乱度合いは大きくなり、強度を小さくすると光の散乱度合いは小さくなる。
このことを輝度の分布カーブQで説明すると、光の散乱度合いが大きくなるとB点の値が低くなり、AC間の距離が大きくなる。つまり、部位Oでの光度は下がり、2つの最大点B、C間の距離が広がり、拡散の範囲が広がるようになる。
一方、光の散乱度合いが小さくなるとB点の値が高くなり、AC間の距離は小さくなる。つまり、部位Oでの光度が上がり、2つの最大点B、C間の距離が狭くなり、拡散の範囲が狭くなるようになる。
このように、光源の指向特性や光度特性などを考慮して適宜な照射条件を設定することにより、散乱度合いが均一になるように調整することができる。これは、輝度を均一にできる効果を得る。
また、図1に示す光拡散板10は、紫外線照射は全体に同一強度にて行ったものであるが、光源の指向特性や光度特性を考慮して、光度の高い部分は照射強度を大きくして散乱度合いを大きくし、光度の低い部分は照射強度を小さくして散乱度合いを小さくするようにすれば、全体的に光度が均一に抑えられるようになる。つまり、輝度が均一に抑えられるようになる。
また、透明な高分子材料と液晶材料を用いていることから、光吸収も少なく、発光色の色選択吸収や選択反射も生じないので、光の減衰や減光を抑えることができる。
このことは、拡散板からの出射光量を増やすことになって明るさが増す効果を得る。
また、図1に示す光拡散板10の光入射側の外面に、上下基板1、2の光屈折率より小さい屈折率の被覆膜を設けることによって、拡散板10からの光反射を少なくし、拡散板10への入射光を増やすことができる。これは、拡散板10からの拡散した出射光量を増やすことになって、輝度を高める効果を生む。
また、被覆膜を有することで、拡散板10のキズ発生防止などの働きもなす。
以下、実施例を挙げるなかで、本発明の更なる詳細を説明する。
実施例1に係る光拡散板、及びその光拡散板を用いたバックライト装置について、図3、4を用いて説明する。図3は実施例1に係る液晶表示パネルに備えたバックライト装置の模式的に示した側面図で、図4は図3における光拡散板の模式的に示した要部断面図を示している。なお、前述の実施形態における構成部品と同一仕様をなす構成部品は同一符号を付与し、その詳細説明は必要限度に留めることにする。
最初に、図3に示した符号について、図の下方から順次説明する。21は光源の取付基板で、22は光源である。実施例1においては、光源22はLEDを用いており、取付基板21はFPCを用いている。FPCなる取付基板21上に複数個のLEDなる光源22が等間隔に整列して取付けられている。LEDなる光源22からは、矢印で示した如く、上方に向かって発光した光が出射する。
25a、25bは共にプリズムシートである。このプリズムシートは断面が三角形の溝が並列して設けられて、プリズムレンズをなすシートである。プリズムシート25a、25bのレンズ形状は同一形状、同一大きさをなしているもので、プリズムシート25a、25bは溝が直交する状態で積層されている。
直交する状態にプリズムシート25a、25bを重ね合わせることによって、LEDなる光源22からの入射光は垂直光に近い状態で光拡散板に入射するようになる。
10は前述の実施形態で説明した光拡散板である。また、11は被覆膜である。実施例1においては、光拡散板10の下面に被覆膜11を設けている。被覆膜11は反射防止目的で設けているもので、光拡散板10への入射光量を増やす働きをなす。
ここで、プリズムシート25a、25bからの垂直光に近い状態の出射光で、これは光拡散板10への入射光でもあるが、矢印で示したPaなる出射光はLEDなる光源22の真上に位置する部位の出射光を指しており、LEDは点発光をなすことから光軸上の光度は高い。そこで、図中においては、Paは長目の矢印線で表示している。
また、矢印で示したPbなる出射光は隣り合うLEDの中間に位置する部位の出射光を指しており、この部位の出射光Pbは両隣りのLEDから距離的に離れているのでその光度は低い。そこで、図中においては、短目の矢印線で表示している。
次に、30は液晶表示パネルである。また、31は上透明基板、32は下透明基板、37は封止部材、38は上偏光板、39は下偏光板である。
液晶表示パネル30は、下面に透明電極と配向膜を形成した上透明基板31と、上面に透明電極と配向膜を形成した下透明基板32を対向して一定の隙間を設けて配置し、その隙間の中に液晶材料を封止部材37を介して封止した構成をなす。また、場合によっては、上下基板31、32内にはカラーフィルターなども設けている。
また、上透明基板31の上面に上偏光板38、下透明基板32の下面に下偏光板39を設けた構成をなす。
本発明のバックライト装置は、FPCなる取付基板21、LEDなる光源22、プリズムシート25a、25b、被覆膜11を設けた光拡散板10が主要構成部品となって構成している。
また、このバックライト装置は、液晶表示パネル30の真下に光源22を配設した直下型のバックライト装置をなしている。
なお、このバックライト装置は、図示していないが、筐体に収納されて保持される。
実施例1の光拡散板10は、部品構成としては前述の実施形態での光拡散板と同じ構成をなすが、紫外線照射強度に強弱をつけており、部分的に散乱度合いの大きい部分と、小さい部分を設けている。
図4はその状態を模式的に示したものである。図4において、3は拡散層で、3aは散乱度合いの大きい層、3bは散乱度合いの小さい層を表していて、拡散層3は散乱度合いの大きい層3aと散乱度合いの小さい層3bが交互に並んでいる。
散乱度合いの大きい層3aは、前述の実施形態で説明したことではあるが、紫外線の照射強度を大きくすることによって得られ、散乱度合いの小さい層3bは紫外線の照射強度を小さくすることによって得ることができる。
また、照射強度を大きくする、あるいはまた、小さくする調整は、部分的に紫外線の吸収量が異なる紫外線吸収マスクを用いることによって調整を行うことができる。
例えば、紫外線吸収剤が含まれない部分と紫外線吸収剤が分散して含まれるマスクを作製し、そのマスクを光拡散板10上に載置して紫外線照射を行うと、紫外線吸収剤が含まれない部分は紫外線の照射強度は大きくなり、紫外線吸収剤が分散している部分は紫外線が吸収されるので照射強度は小さくなる。
このように、紫外線吸収マスクを用いると照射強度を何段階にも調整することが可能になる。また、連続的な照射強度の調整も可能になる。
図4において、散乱度合いの大きい層3aは長目の矢印線Paの領域部分に形成し、散乱度合いの小さい層3bは短目の矢印線Pbの領域に形成している。
光源22のLEDは点発光であるので光軸上の光度は高い。つまり、LEDの真上に位置する部分は光度が高いので散乱度合いを大きくする必要がある。そこで、LEDの真上に位置する領域部分(長目の矢印線Paの領域部分)には散乱度合いの大きい層3aを設けている。
一方、両隣りのLEDの中間に位置する領域部位(短目の矢印線Pbの領域部分)は光度が低い。そこで、この領域部位に散乱度合いの小さい層3bを設けて、散乱度合いを低目に抑え、光度が余り下がらないようにしている。
光拡散板10の構造を、上記のように散乱度合いの大きい層3aと散乱度合いの小さい層3bを設けた構造にすることにより、全体的に光拡散を均一にすることができ、輝度の均一化を図ることができる。
実施例1においては、光拡散板10は光の入射側に被覆膜11を設けている。この被覆膜11は反射防止目的で設けていて、下方側からの入射光をより多く光拡散板10に入射するようにしている。
この被覆膜11は光拡散板10の下基板2の屈折率より小さい屈折率の材料で形成する。例えば、下基板2にガラス(屈折率:1.52)やPETフィルム(屈折率:1.64)などを用いた場合は、それよりも屈折率の低いアクリル樹脂やシリコーン樹脂などが被覆膜の材料として挙げることができる。また、その他に、市販されているさまざまな反射防止コーティング材が挙げられる。例えば、積水化学工業製の1.3〜1.7のシロキサン骨格樹脂、日産化学工業製の多層反射防止コート材などがある。
また、この被覆膜11は反射防止の他に、光拡散板10をキズなどの損傷から保護する働きもなす。
また、実施例1においては、光拡散板10は液晶表示パネル30の下偏光板39に接着して下偏光板39と一体化した状態の構造をとっている。
光拡散板10によって分散した光は下偏光板39を透過して液晶表示パネル30の表示画像を照明する。表示画像を分散光によって照明することにより、画像の視野角を広くできる効果を得る。また、表示画像に鮮明さが現れてくる。
また、実施例1においては、光拡散板10をプリズムシート25a、25bの上部に配置した構造をとる。
ポリマー分散型の光拡散板10においては、光の散乱特性を高めるために垂直光に近い状態の光を拡散板全体に入射させるのが望ましい。図3に示す如く、プリズムシート25a、25bの上部に光拡散板10を配設することで、光拡散板10の散乱特性を十分に高める効果を生む。
なお、図3においては、プリズムシート25a、25bと光拡散板10との間に隙間を設けて離間した状態で描いてあるが、必ずしも大きな隙間を設ける必要はなく、単に、プリズムシート25a、25bと光拡散板10を積層した状態であっても構わないものである。
以上の構成をとることにより、一つの拡散板で明るく、そして、均一な輝度の下でのバックライト照明を得ることができる。従来技術での構造と比較すると、構成部品の数が少なくてすみ、安いコストでバックライト構造を形成することができる。
また、拡散板自体も僅かな構成部品で、しかも、形成方法も容易であることから安いコストで拡散板を形成することができる。
次に、実施例2に係るバックライト装置について図5を用いて説明する。図5は実施例2に係る液晶表示パネルに備えたバックライト装置の模式的に示した側面図を示している。なお、前述の実施例1の構成と同じ仕様をなす構成部品は同一符号を付してある。
実施例2のバックライト装置の特徴は、導光板を用いたバックライト構造をなしている。また、液晶表示パネルの下偏光板を液晶表示パネルから分離して、光拡散板上に一体的に設けた構造にしたことである。
具体的には、図5において、41は導光板で、FPCなる取付基板21に設けたLEDなる光源22を導光板41の側面に配置している。
導光板41はアクリル樹脂などからなり、板状の形状をなしており、下面は傾斜面をなしている。また、図示はしていないが、下面側に反射手段や拡散手段が設けた構成をなしている。
そして、光源22から入射した光は、導光板内で反射、及び拡散が行われて導光板41の上面側に出射するようになっている。
導光板41の上面側にはプリズムシート25a、25bが積層して設けられ、そのプリズムシート25a、25bの上部に被覆膜11と下偏光板39を一体的に設けた光拡散板10を配置している。
プリズムシート25a、25b、及び被覆膜11、光拡散板10、下偏光板39は、構成的には前述の実施例1の構成のものと同じであるが、光拡散板10の拡散層は、全面に同一条件の下で紫外線照射を行って形成したものである。従って、拡散層での光散乱度合いに大きい層、小さい層はなく、拡散層の散乱度合いは全て均一な状態をなしている。
実施例2においては、液晶表示パネル30を構成する下偏光板39は液晶表示パネル30の下透明基板32とは分離して、光拡散板10の上面に接着剤を介して光拡散板10と一体的に設けている。
従って、液晶表示パネル30の下透明基板32と光拡散板10の上面に設けた下偏光板39との間に隙間を設けている。
下透明基板32と下偏光板39とに隙間を設けることで、光拡散板10によって拡散した光はこの隙間を通過する中でその拡散範囲は更に広げられ、そして、液晶表示パネル30に入射する。このため、液晶表示パネル30の表示画像の視野角は更に広げられるようになる。また、表示画像も鮮明に視認されるようになる。
なお、この隙間の隙間量は大きいほど視野角は広くなるが、全体的な厚みに影響を及ぼすので許容の範囲で適宜に設定するのが好ましい。
なお、図5において、導光板41とプリズムシート25a、25bとの間、並びに、プリズムシート25a、25bと光拡散板10との間に隙間を設けて離間した状態で描いてあるが、必ずしも大きな隙間を設ける必要もなく、単に、導光板41、プリズムシート25a、25b、光拡散板10を積層した状態であっても構わない。
また、導光板41は下面が傾斜面をなした導光板で構成したが、特に形状にこだわるものではなく、他の形状の導光板を用いても何ら支障はないものである。
また、導光板41からの出射光に著しい輝度ムラが生じるような場合は、更に、導光板41とプリズムシート25a、25bの間にもう1個の光拡散板を設けることも可能である。
そして、その光拡散板は、導光板からの出射光の輝度分布に応じて散乱度合いが調整できる拡散板で、散乱度合いの大きい層と散乱度合いの小さい層を輝度分布に対応して設けた拡散板であるのが良い。
このように、散乱度合いが調整できる拡散板を導光板41とプリズムシート25a、25bの間に設けることによって、輝度ムラが抑えられた、そして、均一な光量をプリズムシート25a、25bに入射させることができる。
1 上基板
2 下基板
3 拡散層
4 高分子材料
5 液晶材料
7 封止部材
10 光拡散板
11 被覆膜
21 取付基板
22 光源
25a、25b プリズムシート
30 液晶表示パネル
31 上透明基板
32 下透明基板
37 封止部材
38 上偏光板
39 下偏光板
41 導光板

Claims (8)

  1. 少なくとも一対の透明基板と透明な高分子材料、液晶材料、封止部材とからなり、対向した前記一対の透明基板内に前記封止部材を介して前記高分子材料と前記液晶材料を封止したことを特徴とする光拡散板。
  2. 前記高分子材料は、紫外線照射によって硬化していることを特徴とする請求項1に記載の光拡散板。
  3. 前記液晶材料は、屈折率差が0.15〜0.3の範囲にある液晶材料あることを特徴とする請求項1に記載の光拡散板。
  4. 前記対向する一対の透明基板の隙間は、10〜30μmであることを特徴とする請求項1に記載の光拡散板。
  5. 前記請求項1から4のいずれかに記載の光拡散板において、部分的に光散乱度合いが異なる部位を有することを特徴とする光拡散板。
  6. 前記請求項1から5のいずれかに記載の光拡散板において、前記光拡散板の上面または下面の少なくともいずれかに、前記透明基板の屈折率より小さい屈折率の透明な被覆膜を有することを特徴とする光拡散板。
  7. 前記請求項1から6のいずれかに記載の光拡散板を用いたバックライト装置であって、
    光源の光出射側に前記光拡散板を配置したことを特徴とするバックライト装置。
  8. 前記光拡散板を液晶表示パネルの下面側偏光板に積層して前記偏光板と一体化したことを特徴とする請求項7に記載のバックライト装置。
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