JP2011007717A - 測定デバイス及び測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】センサに直接排尿するという簡便な方式により、空気孔を塞ぐことなく確実に一定量の試料を導入することができ、試料中に含まれる2つの成分を正確に定量する測定デバイス及び測定装置を提供する。
【解決手段】内壁で囲まれ、試料を収容するための第1の試料収容室(116)と、前記第1の試料収容室と連通し、前記第1の試料収容室内に前記試料を導入するための第1の試料導入口(126)と、内壁で囲まれ、前記試料を収容するための第2の試料収容室(120)と、前記第2の試料収容室と連通し、前記第2の試料収容室内に前記試料を導入するための第2の試料導入口(130)と、前記第1の試料収容室と前記第2の試料収容室との間において内壁で囲まれ、前記第1の試料収容室及び前記第2の試料収容室と連通する排気用通路と、前記排気用通路と連通する排気孔(128)とを備える測定デバイス。
【選択図】図1

Description

本発明は、試料中に含まれる複数成分の定量を行うための測定デバイス及び測定装置に関する。
試料中に含まれる物質の測定は分析化学や臨床化学の分野において重要である。臨床化学の分野においては、生体液である血液や尿などの試料中に含まれる物質の濃度を測定することにより、その濃度の値から被験者の疾病の診断や予防が行われている。上記の生体液の中でも、尿は体を傷付けることなく採取できるため、被験者の体の負担が少なく、測定に供する試料として好都合である。これまで、このような尿を試料として用いる複数種類の物質の濃度測定、いわゆる尿検査が医療分野にて実施されている。
試料中に含まれる複数成分の測定を行うためのセンサとして、毛細管現象により一定量の試料を採取することができる2つの空間部を備えるセンサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、絶縁性の基板の両面上に、電極系及び試薬層を備える空間部をそれぞれ設け、一方の面上に設けられた試薬層にはグルコースオキシダーゼを含み、他方の面上に設けられた試薬層にはフルクトースデヒドロゲナーゼを含むセンサが開示されている。このセンサの各空間部と連通する試料導入口に試料を接触させると、毛細管現象によって両方の空間部内に一定量の試料が導入される。試薬層中に含まれる酵素と試料中の成分との反応量を、各電極系を用いて測定することにより、一方の電極系を用いてグルコースの濃度を測定し、他方の電極系を用いてフルクトースの濃度を測定することができる。このように、試薬層を必要とする2つの項目の濃度を同時に測定するためにはこのような2つの空間部を備えるセンサが有効である。
特開平5−196596号公報
現在、健康意識の向上から尿検査の有用性は日増しに高くなってきており、可能である限り簡便な方法で尿検査を行うことができることが切望されている。この際、もしセンサに直接排尿するという動作だけで尿を正しくサンプリングし、2つの成分の濃度を測定できれば大変有用である。しかし、もし特許文献1に記載のセンサに直接排尿する形で尿検査を行いセンサ内に試料を導入しようとすると、センサの側面に設けられた排気孔にも誤って尿がかかるおそれがあった。そのため、試料が必要量導入されるより前に排気孔に試料がふれると、排気孔を試料が塞ぐ形となり、試料導入口から必要量の試料を導入することができないので、正確な測定を行うことができなくなるという問題があった。
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑み、センサに直接排尿するという簡便な方式により、空気孔を塞ぐことなく確実に一定量の試料を導入することができ、試料中に含まれる2つの成分を正確に定量することができる測定デバイス及び測定装置を提供することを目的とする。
上記従来の問題を解決するために、本発明の測定デバイスは、内壁で囲まれ、試料を収容するための第1の試料収容室と、前記第1の試料収容室と連通し、前記第1の試料収容室内に前記試料を導入するための第1の試料導入口と、内壁で囲まれ、前記試料を収容するための第2の試料収容室と、前記第2の試料収容室と連通し、前記第2の試料収容室内に前記試料を導入するための第2の試料導入口と、前記第1の試料収容室と前記第2の試料収容室との間において内壁で囲まれ、前記第1の試料収容室及び前記第2の試料収容室と連通する排気用通路と、前記排気用通路と連通する排気孔とを備える。
また、本発明の測定装置は、前記試料が尿であり、前記第1の試料収容室内に配置されたクレアチニン測定用試薬と、前記第2の試料収容室内に配置された少なくとも2つの電極とをさらに備える、上記の測定デバイスを取付けるための測定デバイス取付け部、前記測定デバイス取付け部に取付けられた前記測定デバイスの前記第1の試料収容室内におけるクレアチニンと前記クレアチニン測定用試薬との反応の量を電気化学的または光学的に測定する第1の測定部、前記測定デバイス取付け部に取付けられた前記測定デバイスの前記第2の試料収容室内における前記尿の電気特性を測定する第2の測定部、及び前記第1の測定部により測定された前記反応量と前記第2の測定部により測定された前記電気特性とに基づき、前記尿中への塩分の排泄量を反映する値を求める演算部を備える。
本発明の測定デバイス及び測定装置によれば、簡易な操作により確実に試料を導入することができ、試料中に含まれる2つの成分を正確に定量することができる。
本発明の一実施の形態における測定デバイスの構成を示す分解斜視図 同実施の形態における測定装置の外観を示す斜視図 同測定装置の構成を示すブロック図 本発明の他の実施の形態における測定デバイスの構成を示す分解斜視図 同実施の形態における測定装置の外観を示す斜視図 同測定装置の構成を示すブロック図 同測定装置の使用する様子を示す模式図
本発明の測定デバイスは、内壁で囲まれ、試料を収容するための第1の試料収容室と、前記第1の試料収容室と連通し、前記第1の試料収容室内に前記試料を導入するための第1の試料導入口と、内壁で囲まれ、前記試料を収容するための第2の試料収容室と、前記第2の試料収容室と連通し、前記第2の試料収容室内に前記試料を導入するための第2の試料導入口と、前記第1の試料収容室と前記第2の試料収容室との間において内壁で囲まれ、前記第1の試料収容室及び前記第2の試料収容室と連通する排気用通路と、前記排気用通路と連通する排気孔とを備える。本発明の測定デバイスは、2つの試料収容室を備えているので、試料中に含まれる2つの成分の定量を行うことができる。第1の試料導入口及び第2の試料導入口に試料を接触させると、第1の試料導入口及び第2の試料導入口を通して前記第1の試料収容室及び前記第2の試料収容室内に毛細管現象により試料が導入される。このとき、前記第1の試料収容室及び前記第2の試料収容室内の空気は、前記第1の試料収容室及び前記第2の試料収容室と連通する排気用通路を通って、前記排気用通路と連通する排気孔から排気される。排気孔と連通する排気用通路は、前記第1の試料収容室と前記第2の試料収容室との間に設けられているので、使用者が第1の試料導入口及び第2の試料導入口に向けて直接排尿した場合であっても、排気孔に尿がかかる可能性が低くなる。したがって、本発明の測定デバイスによれば、簡易な操作により確実に試料を導入することができ、試料中に含まれる2つの成分を正確に定量することができる。
本発明の測定デバイスは、第1の基板と、第1のスリットを有する第1のスペーサと、第2のスリットを有する第2のスペーサと、第3のスリットを有する第3のスペーサと、第2の基板とを備え、前記第1の基板、前記第1のスペーサ、前記第3のスペーサ、前記第2のスペーサ及び前記第2の基板が順に、前記第3のスリットと前記第1のスリットの一部とが重なり、かつ前記第2のスリットと前記第3のスリットの一部とが重なるように積層され、前記第1の基板及び前記第3のスペーサにより挟まれた前記第1のスペーサの前記第1のスリットが前記第1の試料収容室として機能し、前記第1のスリットの開口部が前記第1の試料導入口として機能し、前記第1のスペーサ及び前記第2のスペーサにより挟まれた前記第3のスペーサの前記第3のスリットが前記排気用通路として機能し、前記第3のスリットの開口部が前記排気孔として機能し、前記第3のスペーサ及び前記第2の基板により挟まれた前記第2のスペーサの前記第2のスリットが前記第2の試料収容室として機能し、前記第2のスリットの開口部が前記第2の試料導入口として機能し、前記排気孔が、前記第1の基板及び前記第2の基板により挟まれた位置に設けられていることが好ましい。このようにすると、前記第1の基板及び前記第2の基板により挟まれた位置に、前記排気用通路と連通する前記排気孔が設けられているので、使用者が第1の試料導入口及び第2の試料導入口に向けて直接排尿した場合に排気孔に尿がかかる可能性をなくすことができる。
本発明の測定デバイスにおいて、前記第1の試料導入口から、前記第3のスリットと前記第1のスリットとが重なっている部分に向かう方向に垂直な前記第1の試料収容室の断面積、並びに前記第2の試料導入口から、前記第2のスリットと前記第3のスリットとが重なっている部分に向かう方向に垂直な前記第2の試料収容室の断面積に比べて、前記第3のスリットと前記第1のスリットとが重なっている部分及び前記第2のスリットと前記第3のスリットとが重なっている部分から前記排気孔に向かう方向に垂直な前記排気用通路の断面積が大きいことが好ましい。このようにすると、第1の試料導入口及び第2の試料導入口を通して前記第1の試料収容室及び前記第2の試料収容室内に毛細管現象により導入された試料の流れが、排気用通路の手前において確実に止まるので、一定量の試料を確実に採取することができる。
本発明の測定デバイスにおいて、前記第1の試料収容室を囲む内壁の内面、及び前記第2の試料収容室を囲む内壁の内面に比べて、前記排気用通路を囲む内壁の内面の水に対する親和性が低くてもよい。このようにすると、第1の試料導入口及び第2の試料導入口を通して前記第1の試料収容室及び前記第2の試料収容室内に毛細管現象により導入された試料の流れが、排気用通路の手前において確実に止まるので、一定量の試料を確実に採取することができる。
また、本発明の測定デバイスにおいて、前記第1の試料収容室を囲む内壁の内面、及び前記第2の試料収容室を囲む内壁の内面に比べて、前記第3のスペーサの外壁面の、少なくとも前記第1の試料導入口と、前記第2の試料導入口との間に存在する外壁面の水に対する親和性が低くてもよい。このようにすると、第1の試料導入口及び第2の試料導入口を外壁を通じて通じることを防止できるため、毛細管現象により導入された第1の試料収容室および第2の試料収容室内の試料が混在することを防ぐことができ、各々の電極系での測定を正確に行うことができる。
本発明の測定デバイスにおいて、前記第1の試料収容室内に配置されたクレアチニン測定用試薬と、前記第2の試料収容室内に配置された少なくとも2つの電極とをさらに備えることが好ましい。このようにすると、第1の試料収容室内において試料中に含まれるクレアチニンを測定することができ、第2の試料収容室内において試料の電気特性を測定することができる。
本発明において、クレアチニン測定用試薬としては、ピクリン酸、クレアチニンと特異的に反応をする酵素、クレアチニンと直接反応するメディエータ等が挙げられる。クレアチニンと特異的に反応をする酵素としては、クレアチニンデイミナーゼ、クレアチニンアミドヒドロラーゼ(クレアチニナーゼ)等が挙げられる。クレアチニンと直接反応するメディエータとしては、ヘキサシアノフェレート、ヘキサシアノルテネート、1−メトキシ−5−メチルフェナジニウムメチルスルフェート(以下、M−PMSと略称する)、1,2−ナフトキノン、5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、[Os(bpy)(5,5’−dmbpy)2]2+/3+、[Os(4,4’−dmbpy)2(5,5’−dmbpy)]2+/3+、[Os(5,5’−dmbpy)2(dpa)]2+/3+等が挙げられる。
本発明において、クレアチニン測定用試薬としてクレアチニンと直接反応するメディエータを用いることが好ましい。このようにすると、クレアチニンに作用する酵素やピクリン酸がない状態において、クレアチニンとクレアチニン測定用試薬とが直接反応するので、塩分等のイオン種、尿素、アミノ酸などの妨害成分の影響を受けることなく反応が進行する。そのため、尿や血液などの生体試料を用いた場合であっても、精度良く試料中に含まれるクレアチニンを定量することができる。
本発明の測定デバイスは、第1の試料収容室内にリン酸系緩衝剤が配置されていることが好ましい。このようにすると、クレアチニンとクレアチニン測定用試薬との直接反応の反応速度が速くなるため、測定時間を短縮することができる。
本発明において用いられるリン酸系緩衝剤としては、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム等が挙げられる。
本発明の測定デバイスにおいて、前記第1の試料収容室内に配置された少なくとも2つの電極をさらに備えてもよい。このようにすると、第1の試料収容室内において電気化学的に試料中に含まれるクレアチニンを測定することができる。
本発明の測定装置は、前記試料が尿であり、前記第1の試料収容室内に配置されたクレアチニン測定用試薬と、前記第2の試料収容室内に配置された少なくとも2つの電極とをさらに備える、上記の測定デバイスを取付けるための測定デバイス取付け部、前記測定デバイス取付け部に取付けられた前記測定デバイスの前記第1の試料収容室内におけるクレアチニンと前記クレアチニン測定用試薬との反応の量を電気化学的または光学的に測定する第1の測定部、前記測定デバイス取付け部に取付けられた前記測定デバイスの前記第2の試料収容室内における前記尿の電気特性を測定する第2の測定部、及び前記第1の測定部により測定された前記反応量と前記第2の測定部により測定された前記電気特性とに基づき、前記尿中への塩分の排泄量を反映する値を求める演算部を備える。
尿の電気特性は、尿中に含まれる電解質の濃度を反映している。尿中に含まれる電解質の濃度は、尿中に含まれる塩分の濃度と相関がある。塩分等の成分は、水分摂取、発汗などの影響を受け、濃縮または希釈されて尿中に排泄される。そのため、昼間、夜間を問わず随時に採取された尿である随時尿中に含まれる塩分等の尿中成分の濃度は、尿の濃縮・希釈の影響を受けて変動する。
一方、クレアチニンは筋肉量に依存して産生されることから、単位時間当たりの尿中へのクレアチニンの排泄量は一定であることが知られている。そこで、随時尿を用いた場合であっても、例えば、測定された尿中成分濃度のクレアチニン濃度に対する比(尿中成分/クレアチニン比)を求めることにより、尿の濃縮・希釈の影響を補正することができる。
本発明の測定装置によると、クレアチニン濃度を精度良く反映している、尿中に含まれるクレアチニンとクレアチニン測定用試薬との反応の量と、塩分濃度を反映している尿の電気特性とを用いることにより、尿の濃縮・希釈の影響が精度良く補正されるので、尿中への塩分の排泄量を適切に反映する値を求めることができる。
また、本発明の測定装置によると、大気圧中においても試薬の表面張力により試料収容室内に試料を再現よく保持できるため、縦向きに保持した形で使用することができ、試料が筐体の外壁を伝って手を汚すようなことなく清潔に使用することができる。
ここで、尿の電気特性としては、抵抗、導電率、インピーダンス、入力された電流(または電圧)信号に対して出力される電圧(または電流)信号、入力された交流信号の位相と出力される交流信号の位相との位相差等が挙げられる。
尿中への塩分の排泄量を反映する値としては、クレアチニン単位量当たりの塩分量、単位時間(例えば1日)当たりの尿中塩分排泄量、単位時間(例えば1日)当たりの塩分摂取量等が挙げられる。
試料としては、水溶液の他、血液、血清、血漿、尿、間質液、リンパ液、唾液などの体液が挙げられる。特に、尿は非侵襲的に在宅での日常の健康管理を行うためには非常に有効的な試料である。これらの体液中のイオン種および尿素の濃度は比較的高いので、本発明の効果が非常に高く得られる。
本発明における少なくとも2つの電極の材料としては、金、白金、パラジウムあるいはそれらの合金または混合物、及びカーボンのいずれかを少なくとも含むものが好ましい。これらの材料は化学的、電気化学的に安定であり、安定した測定を実現することができる。第3の電極として、電位の安定した電極、例えばAg/AgClや飽和カロメル電極等の参照電極を、上記2つの電極と組み合わせて使用してもよい。2つの電極のうち一方の電極の電位を第3の電極に対して規制するようにすると、測定のための電位が安定するので好ましい。また、2つの電極のうち他方の電極として、例えばAg/AgClや飽和カロメル電極等を用いても良い。
本発明の測定デバイスにおいては、クレアチニン測定用試薬が乾燥状態で備えられ、試料収容室内に試料が導入されたときに試料に溶解するように配置されていることが好ましい。
例えば、ガラス繊維や濾紙等から構成される多孔性の担体にクレアチニン測定用試薬を含む溶液を含浸させた後、乾燥させることによりクレアチニン測定用試薬を上記担体に担持させ、当該担体を試料と接する部分に設ければよい。また、測定デバイスにおける試料と接する部分の壁面に、クレアチニン測定用試薬を含む溶液を直接塗布した後乾燥することによりクレアチニン測定用試薬を配置してもよい。
上記測定デバイスは着脱可能な状態で測定装置の測定デバイス取付け部に取付けられる。その際、測定デバイス取り付け部が弾力を持った素材からなり、前記デバイスを取り付けた際に密着し、前記排気孔と連通する第2の排気孔を具備する。また、第2の排気孔は測定装置の筐体の内部に連通している。このようにすることにより、測定デバイスの排気孔が使用中に尿の近傍で露出することなく、尿によって塞がれてしまう可能性を減らすことができる。また、特に尿や血液などの生体液を用いる場合には衛生的な観点から、測定デバイスは使い捨てであることが好ましい。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る測定デバイスについて、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態における測定デバイスの構成を示す分解斜視図である。
本実施の形態においては、試料が尿であり、尿中に含まれるクレアチニン、及び尿中に含まれる塩分と相関のある尿の電気特性を測定する場合について説明する。本実施の形態においては、クレアチニン測定用試薬としてフェリシアン化カリウムを用いる。
本実施の形態に係る測定デバイス100は、試料である尿中に含まれるクレアチニンを電気化学的に測定するとともに尿の電気特性を測定し、これらの測定結果を用いて、1日に排泄される尿中に含まれる塩分の量を推定する方法に用いられる。
本実施の形態に係る測定デバイス100は、絶縁性の第1の基板102と、第1の連通孔122を有する第1のカバー112とが、第1のスリット116を有する第1のスペーサ106を挟んで組み合わされることにより構成されるクレアチニン測定部、及び絶縁性の第2の基板104と、第2の連通孔124を有する第2のカバー114とが、第2のスリット120を有する第2のスペーサ110を挟んで組み合わされることにより構成される電気特性測定部を備えている。さらに、クレアチニン測定部及び電気特性測定部は、第1のカバー112と第2のカバー114とにより、第3のスリット118を有する第3のスペーサ108が挟まれるように組み合わされた構造を有している。ここで、第1のスリット116及び第3のスリット118は第1の連通孔122を介して互いに連通しており、第2のスリット120及び第3のスリット118は第2の連通孔124を介して互いに連通している。図のように張り合わせると、第1の試料導入口126および第2の試料導入口130と排気孔128は反対の方向を向いている。また、排気孔128は測定デバイス100の内側に存在する形となる。このような構造にすることにより、尿を直接かける動作により尿検査を行う場合においても排気孔128に尿が触れて塞いでしまうことを極力避けることができる。ここで、第1のスリット116および第2のスリット120の空間の占める容量がそれぞれクレアチニン測定に必要な尿の量および電気特性測定に必要な量であるが、試薬量を節約したい場合など、第1のスリット116あるいは第2のスリット120の容量を十分少なくしても、第3のスリット118の長さを必要に応じて長くすることで測定デバイス100の全体の長さを自由に長くすることができる。このため、尿が排気孔128を塞がない機能を持たせることができるのと同時に、必要最小限の試料のみを使用する測定デバイスを作製することができる。
第1の基板102上には、第1の電極132、第2の電極134、第1の電極132と電気的に接続された第1のリード142、及び第2の電極134と電気的に接続された第2のリード144が配置されている。また、第1の電極132及び第2の電極134上には、クレアチニン測定用試薬を含む試薬層170が配置されている。
一方、第2の基板104上には、第3の電極152、第4の電極154、第5の電極156、第6の電極158、第3の電極152と電気的に接続された第3のリード162、第4の電極154と電気的に接続された第4のリード164、第5の電極156と電気的に接続された第5のリード166、及び第6の電極158と電気的に接続された第6のリード168が配置されている。第1の基板102の寸法は、適宜設定すればよいが、例えば、幅が7mm程度、長さが30mm程度、厚みが0.7mm程度である。
次に、測定デバイス100の製造方法について説明する。
まず、ポリエチレンテレフタレート製である第1の基板102上に、樹脂製の電極パターンマスクを設置した状態でパラジウムをスパッタリングすることによって、第1の電極132、第2の電極134、第1のリード142、及び第2のリード144を形成する。第1の電極132及び第2の電極134は、それぞれ第1のリード142及び第2のリード144によって、後述する尿中塩分量測定装置の端子と電気的に接続される。
次に、ポリエチレンテレフタレート製である第2の基板104上に、上記の電極パターンマスクとは異なるパターンを有する電極パターンマスクを設置した状態でパラジウムをスパッタリングすることによって、第3の電極152、第4の電極154、第5の電極156、第6の電極158、第3のリード162、第4のリード164、第5のリード166、及び第6のリード168を形成する。第3の電極152、第4の電極154、第5の電極156、及び第6の電極158は、それぞれ第3のリード162、第4のリード164、第5のリード166、及び第6のリード168によって、後述する測定装置の端子と電気的に接続されている。
次に、第1の基板102上に設けられた第1の電極132及び第2の電極134上に、クレアチニン測定用試薬であるフェリシアン化カリウム、リン酸二水素カリウム、及びリン酸水素二カリウムを溶解した水溶液を、マイクロシリンジなどを用いて一定量滴下した後、第1の基板102を室温〜30℃程度の環境に静置して乾燥させることにより試薬層170を形成する。塗布する試薬を含む水溶液の濃度及び量は、必要とするデバイスの特性やサイズに応じて選択すればよいが、例えば、試薬を含む水溶液中の3価のヘキサシアノフェレートの濃度が8mg/dL程度であり、滴下量が0.7mL程度である。また、試薬層170を形成する領域の面積は、試料に対する試薬の溶解性などを鑑みて適宜選択すればよいが、例えば、その面積を3mm2程度とする。
次に、図1に示すように、第1の基板102、第1のスペーサ106、第1のカバー112、第3のスペーサ108、第2のカバー114、第2のスペーサ110、及び第2の基板104を組み合わせる。各部材はすべてポリエチレンテレフタレート製である。各部材の各接合部分に接着剤を塗布し、これらを張り合わせた後、押圧して静置し接着させる。この方法に代えて、接着剤を塗布せずに組み合わせた後、市販の溶着機を用いて接合部分を熱または超音波によって溶着させてもよい。
第1の基板102、第1のスペーサ106及び第1のカバー112を組み合わせたときに、第1の基板102、第1のスペーサ106に設けられた第1のスリット116及び第1のカバー112により形成される空間部が、クレアチニン測定用の第1の試料収容室として機能する。また、第1のスリット116の開口部がクレアチニン測定用の第1の試料導入口126として機能する。
一方、第2の基板104、第2のスペーサ110及び第2のカバー114を組み合わせたときに、第2の基板104、第2のスペーサ110に設けられた第2のスリット120及び第2のカバー114により形成される空間部が、尿の電気特性用の第2の試料収容室として機能する。また、第2のスリット120の開口部が尿の電気特性用の第2の試料導入口130として機能する。
また、第1のカバー112、第3のスペーサ108及び第2のカバー114を組み合わせたときに、第1のカバー112、第3のスペーサ108に設けられた第3のスリット118及び第2のカバー114により形成される空間部が、排気用通路として機能する。また、第3のスリット118の開口部が排気孔128として機能する。
第3のスペーサ108の厚みは、第1のスペーサ106及び第2のスペーサ110よりも厚くなるように設定されている。これにより、第1の連通孔122及び第2の連通孔124から排気孔128に向かう方向に垂直な排気用通路の断面積は、第1の試料導入口126から第1の連通孔122に向かう方向に垂直な第1の試料収容室の断面積及び第2の試料導入口130から第2の連通孔124に向かう方向に垂直な第2の試料収容室の断面積よりも大きい。
次に、本実施の形態に係る測定装置及びそれを用いた尿中塩分量測定方法について、図2及び3を用いて説明する。図2は、本実施の形態に係る測定装置200の外観を示す斜視図、図3は測定装置200の構成を示すブロック図である。
まず、測定装置200の構成について、図2を参照しながら説明する。
測定装置200の筐体202には、測定装置200に測定デバイス100を取付けるための測定デバイス取付け部208、測定結果等が表示されるディスプレイ204、及び測定装置200によるクレアチニン及び尿の電気特性の測定を開始させるための測定開始ボタン206が設けられている。また、測定デバイス取付け部208の内部には、測定デバイス取付け部208に取り付けられた測定デバイス100の第1のリード142、第2のリード144、第3のリード162、第4のリード164、第5のリード166、及び第6のリード168とそれぞれ電気的に接続される第1の端子、第2の端子、第3の端子、第4の端子、第5の端子、及び第6の端子が設けられている。ここで、測定デバイス取り付け部208は合成ゴムなどの弾力を持った素材で作製され、測定デバイス100を取り付けた際に、尿が入り込まない程度の密着性を持たせる。また、測定デバイス100を取り付けた際に排気孔128が測定デバイス取り付け部208よりも筐体202の内部側に食い込むよう設計する。筐体の内部に連通した排気孔128は筐体の内部を経由し外部と連通している。これは、たとえば筐体と内部の基板とを固定しているねじ穴の隙間でもよいし、筐体が複数の部材を組み合わせることで作られる場合、その勘合部でもよい。このようにすることにより、尿を直接かける動作により尿検査を行う場合においても少なくとも排気孔128に直接尿が触れて塞いでしまうことを避けることができる。
次に、測定装置200の筐体202内部の構成について、図3を参照しながら説明する。
測定装置200は、筐体202内部に、電圧印加部302、電気信号検出部304、定電流交流電源312、電圧検出器314、制御部306、計時部308、及び記憶部310を備えている。
電圧印加部302は、測定デバイス取付け部208に取付けられた測定デバイス100の第1のリード142及び第2のリード144とそれぞれ電気的に接続された第1の端子及び第2の端子を介して、測定デバイス100の第1の電極132及び第2の電極134に電圧または電位を印加する機能を有する。
電気信号検出部304は、第1の電極132及び第2の電極134からの電気信号を、第1の端子及び第2の端子を介して検出する機能を有する。電気信号検出部304は、本発明における検出部に相当する。
定電流交流電源312は、測定デバイス取付け部208に取付けられた測定デバイス100の第3のリード162及び第6のリード168とそれぞれ電気的に接続された第3の端子及び第6の端子を介して、測定デバイス100の第3の電極152と第6の電極158との間に一定の交流電流を印加する機能を有する。印加する交流電流は、例えば、周波数が1kHz程度、電流値が0.1mA程度である。
電圧検出器314は、第4の端子及び第5の端子を介して、第4の電極154と第5の電極156との間の電圧(交流電圧の実効値)を検出する機能を有する。
記憶部310には、クレアチニンの濃度と電気信号検出部304により検出される電気信号との相関を表す第1の検量線に相当する第1の相関データ、塩分の濃度と電圧検出器314により検出される電圧との相関を表す第2の検量線に相当する第2の相関データ、及び1日当たりの尿中塩分排泄量とクレアチニン濃度により補正された塩分濃度との相関を表す第3の検量線に相当する第3の相関データが格納されている。記憶部310としては、例えば、RAM、ROM等のメモリを用いることができる。
制御部306は、第1の相関データを参照して、電気信号検出部304により検出された電気信号をクレアチニン濃度に換算する機能、第2の相関データを参照して、電圧検出器314により検出された電圧を塩分濃度に換算する機能、得られたクレアチニン濃度を用いて塩分濃度を補正する機能、及び第3の相関データを参照して、補正後の塩分濃度を1日当たりの尿中塩分排泄量に換算する機能を有する。制御部306は、本発明における演算部に相当する。制御部306としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロコンピュータを用いることができる。
次に、測定デバイス100及び測定装置200を用いた、本実施の形態に係る尿中塩分量測定方法について説明する。
まず、使用者が測定デバイス100のリード側を測定装置200の測定デバイス取付け部208に挿入する。これにより、測定デバイス100の第1のリード142、第2のリード144、第3のリード162、第4のリード164、第5のリード166、及び第6のリード168と、測定デバイス取付け部208内部に設けられている第1の端子、第2の端子、第3の端子、第4の端子、第5の端子、及び第6の端子とがそれぞれ接触することにより電気的に導通する。
測定デバイス取付け部208に測定デバイス100が挿入されると、測定デバイス取付け部208内に設けられたマイクロスイッチからなる測定デバイス挿入検知スイッチが作動して、制御部306に信号を出力する。測定デバイス挿入検知スイッチからの出力信号により制御部306が測定デバイス100の挿入を検知すると、制御部306は電圧印加部302を制御して、第1の端子及び第2の端子を介して、第1の電極132及び第2の電極134との間に電圧(例えば0.2V)が印加される。
次に、使用者が、測定デバイス100の第1の試料導入口126及び第2の試料導入口130に向けて直接排尿することにより、試料である尿を接触させる。図1に示すように、測定デバイス100の排気孔128は第1の基板102と第2の基板104との間に挟まれた位置であって、かつ排気用通路を挟んで第1の試料収容室及び第2の試料収容室から離れた位置に配置されているので、使用者が第1の試料導入口126及び第2の試料導入口130に向けて直接排尿している際に、排気孔128に尿がかかることがない。
尿が第1の試料導入口126及び第2の試料導入口130に接触すると、第1の試料導入口126及び第2の試料導入口130を通って測定デバイス100の2つの試料収容室内に、尿が毛管現象により吸引され、2つの試料収容室内が尿によって充填される。このとき、第1の連通孔122及び第2の連通孔124から排気孔128に向かう方向に垂直な排気用通路の断面積は、第1の試料導入口126から第1の連通孔122に向かう方向に垂直な第1の試料収容室の断面積及び第2の試料導入口130から第2の連通孔124に向かう方向に垂直な第2の試料収容室の断面積よりも大きいので、尿の流れは第1の連通孔122及び第2の連通孔124において止まり、尿は排気用通路内には流れ込まない。
尿が第1の電極132及び第2の電極134に接触すると、尿を介して第1の電極132及び第2の電極134間に電流が流れるようになるため、それに起因する電気信号の変化を電気信号検出部304が検出する。
電気信号検出部304からの出力信号により、試料収容室に尿が導入されたことを制御部306が検知すると、制御部306は電圧印加部302を制御して、電圧印加部302による印加電圧を異なる電圧(例えば0Vまたは開回路)に切り替える。また、尿導入の検知に伴い、制御部306がタイマーである計時部308による計時を開始させる。
尿導入の検知に伴い、制御部306は定電流交流電源312を制御して、第3の端子及び第6の端子を介して、第3の電極152及び第6の電極158との間に一定の交流電流(例えば、周波数1kHz、電流値0.1mA)を印加する。交流電流の印加から所定時間経過後(例えば5秒後)に、電圧検出器314は第4の電極154及び第5の電極156との間の電圧(交流電流の実効値)を測定する。
制御部306は記憶部310に格納されている塩分の濃度と電圧検出器314により検出される電圧との相関を表す第2の相関データを読み出し、それを参照することにより電圧検出器314により検出された電圧を試料中の塩分濃度に換算する。得られた塩分濃度はディスプレイ204に表示される。
クレアチニン測定用の第1の試料収容室内に露出している試薬層170と尿とが接触すると、試薬層170に含まれるクレアチニン測定用試薬中の有効成分であるフェリシアン化カリウムが尿中に溶解する。フェリシアン化カリウムが尿中に溶解することにより生成した3価のヘキサシアノフェレートが尿中に含まれるクレアチニンと直接反応することにより、クレアチニンの酸化物と4価のヘキサシアノフェレートとが生成する。
計時部308からの信号によって、所定時間(例えば、60秒)経過したことを制御部306が判断すると、制御部306は電圧印加部302を制御して、第1の電極132及び第2の電極134との間に再度異なる電圧を印加する(例えば、第1の電極132が第2の電極134に比べて+0.5Vとなる電圧)。このように電圧を印加してから一定時間(例えば5秒)後、第1の電極132と第2の電極134との間で流れる電流等の電気信号を電気信号検出部304において測定する。このとき、第1の電極132では4価のヘキサシアノフェレートが酸化される。電気信号検出部304において測定される電気信号は、尿中に含まれるクレアチニン濃度に依存する。
制御部306は記憶部310に格納されている電気信号とクレアチニン濃度との相関を表す第1の相関データを読み出し、それを参照することにより電気信号検出部304において検出された電気信号を尿中のクレアチニン濃度に換算する。
次に、制御部306は得られたクレアチニン濃度を用いて塩分濃度を補正する。続いて、制御部306は記憶部310に格納されている1日当たりの尿中塩分排泄量とクレアチニン濃度により補正された塩分濃度との相関を表す第3の検量線に相当する第3の相関データを読み出し、それを参照することにより補正後の塩分濃度を1日当たりの尿中塩分排泄量に換算する。
得られたクレアチニン濃度及び1日当たりの尿中塩分排泄量はディスプレイ204に表示される。ディスプレイ204にクレアチニン濃度及び1日当たりの尿中塩分排泄量が表示されることにより、ユーザは測定が完了したことがわかる。得られたクレアチニン濃度及び1日当たりの尿中塩分排泄量は、計時部308により計時された時刻とともに記憶部310に保存されることが好ましい。
本実施の形態に係る測定デバイス100によれば、従来の測定デバイスと異なり、第1の基板102と第2の基板104との間に挟まれた位置であって、かつ排気用通路を挟んで第1の試料収容室及び第2の試料収容室から離れた位置に排気孔128が配置されているので、使用者が第1の試料導入口126及び第2の試料導入口130に向けて直接排尿しても排気孔128に尿がかかることがない。したがって、簡易な操作により確実に一定量の試料を試料収容室内に導入することができるので、正確な定量測定を行うことができる。
また、本実施の形態に係る測定デバイス100によれば、試料収容室内において、クレアチニンに作用する酵素やピクリン酸がない状態であってもクレアチニンとクレアチニン測定用試薬中の有効成分とが直接反応するので、塩分等のイオン種、尿素、アミノ酸などの妨害成分の影響を受けることなく反応が進行する。そのため、尿や血液などの生体試料を用いた場合であっても、従来の測定デバイスよりも精度良く試料中に含まれるクレアチニンを定量することができる。
また、本実施の形態に係る測定装置200によれば、高い精度で測定されたクレアチニン濃度により補正された塩分濃度に基づいて、1日当たりの尿中塩分排泄量を算出しているので、1日当たりの尿中塩分排泄量を精度良く求めることができる。
なお、本実施の形態においては、クレアチニン測定用試薬中の有効成分としてヘキサシアノフェレートを用いる例を示したが、これに限定されない。ヘキサシアノフェレートの代わりに、ヘキサシアノルテネート、M−PMS、1,2−ナフトキノン、5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、[Os(bpy)(5,5’−dmbpy)2]2+/3+、[Os(4,4’−dmbpy)2(5,5’−dmbpy)]2+/3+、[Os(5,5’−dmbpy)2(dpa)]2+/3+等を用いてもよい。これらを用いる場合にも、塩分等のイオン種、尿素、アミノ酸などの妨害成分の影響を受けることなく、従来の測定デバイスよりも精度良く試料中に含まれるクレアチニンを定量することができる。また、クレアチニン測定用試薬として、ピクリン酸、クレアチニンと特異的に反応をする酵素を用いてもよい。
また、本実施の形態では、測定デバイスが1つの試薬層を備える例を示したこれに限定されない。測定デバイスが、2つの試薬層、例えばクレアチニン測定用試薬を含む第1の試薬層とリン酸系緩衝剤を含む第2の試薬層とを備えていてもよい。
また、本実施の形態において、試料収容室に試料が導入されたことを制御部が検知することにより、電圧印加部による印加電圧が異なる電圧に切り替えられる例について示したがこれに限定されない。クレアチニンの濃度に依存した電流が得られる限り、測定に必要な電圧値(ここでは、上述のように、例えば、第1の電極が第2の電極に比べて+0.5Vとなる電圧)をクレアチニン測定デバイスの挿入検知時から印加しておけば、試料検知後もその電圧値を継続して印加してもよい。
また、本実施の形態では、電気信号を得るための第1の電極への印加電位を第2の電極に対して500mVとする例を示したが、これに限定されることはない。第1の電極と第2の電極との間の電圧は、クレアチニンとの酸化還元反応により生成したクレアチニン測定用試薬の還元体(本実施の形態では4価のヘキサシアノフェレート)が酸化される電圧であればよい。
また、本実施の形態においては、試料の検知後、電気信号を検出するまでの時間(反応時間)を60秒とする例を示したが、必ずしもその値である必要はない。クレアチニン濃度の違いに対する電流値の差を有意に検出できる限り、反応時間は上記より小さい値を用いることができる。一方、反応時間をより大きくした場合、クレアチニンと3価のヘキサシアノフェレートとの反応が完了状態あるいは定常状態に達する可能性が高まるため、温度などの環境条件の影響を受けずにクレアチニンの存在量をより正確に定量しやすくなる。
また、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加してから5秒後に電気信号を検出する例を示したが、この時間に限定されない。この時間は、クレアチニン濃度の違いに対する電気信号の差を有意に検出できる時間であればよい。
また、本実施の形態では、記憶部に、クレアチニンの濃度と電気信号検出部304により検出される電気信号との相関を表す第1の検量線に相当する第1の相関データ、塩分の濃度と電圧検出器314により検出される電圧との相関を表す第2の検量線に相当する第2の相関データ、及び1日当たりの尿中塩分排泄量とクレアチニン濃度により補正された塩分濃度との相関を表す第3の検量線に相当する第3の相関データが格納されている例を示したがこれに限定されない。これに代えて、電気信号検出部により検出される電気信号と電圧検出器により検出される電圧と単位時間当たり(例えば1日)の尿中塩分排泄量との相関を示す相関データが記憶部に格納されていてもよい。この場合は、クレアチニン濃度や塩分濃度を求めなくても、電気信号検出部により検出される電気信号と電圧検出器により検出される電圧とを用いて、単位時間当たりの尿中塩分排泄量を直接求めることができる。
また、本実施の形態では、電極系、リード/端子の一例を示したが、それらの形状、個数、配置等はこれらに限定されない。
また、測定デバイスの試料収容室内への試料の導入をより円滑にするために、レシチンをトルエンまたはその他の有機溶媒に溶解した溶液を、第2の基板及び第3の基板の内壁に塗布して乾燥させることによりレシチン層を形成してもよい。このような構造にすることにより、試料量をより再現性よく一定とすることができるため、より精度良く試料中に含まれるクレアチニン及び塩分を定量することができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る測定デバイスについて、図4を用いて説明する。図4は、本実施の形態における測定デバイスの構成を示す分解斜視図である。
本実施の形態においては、試料が尿であり、尿中に含まれるクレアチニン、及び尿中に含まれる塩分と相関のある尿の電気特性を測定する場合について説明する。本実施の形態においては、クレアチニン測定用試薬としてフェリシアン化カリウムを用いる。
本実施の形態に係る測定デバイス400は、試料である尿中に含まれるクレアチニンを光学的に測定するとともに尿の電気特性を測定し、これらの測定結果を用いて、1日に排泄される尿中に含まれる塩分の量を推定する方法に用いられる。
本実施の形態に係る測定デバイス400は、絶縁性の第1の基板102と、第1の連通孔122を有する第1のカバー112とが、第1のスリット116を有する第1のスペーサ106を挟んで組み合わされることにより構成されるクレアチニン測定部、及び絶縁性の第2の基板104と、第2の連通孔124を有する第2のカバー114とが、第2のスリット120を有する第2のスペーサ110を挟んで組み合わされることにより構成される電気特性測定部を備えている。さらに、クレアチニン測定部及び電気特性測定部は、第1のカバー112と第2のカバー114とにより、第3のスリット118を有する第3のスペーサ108が挟まれるように組み合わされた構造を有している。ここで、第1のスリット116及び第3のスリット118は第1の連通孔122を介して互いに連通しており、第2のスリット120及び第3のスリット118は第2の連通孔124を介して互いに連通している。
第2の基板104上には、第3の電極152、第4の電極154、第5の電極156、第6の電極158、第3の電極152と電気的に接続された第3のリード162、第4の電極154と電気的に接続された第4のリード164、第5の電極156と電気的に接続された第5のリード166、及び第6の電極158と電気的に接続された第6のリード168が配置されている。第2の基板104の寸法は、適宜設定すればよいが、例えば、幅が7mm程度、長さが30mm程度、厚みが0.7mm程度である。
次に、測定デバイス400の製造方法について説明する。
まず、ポリエチレンテレフタレート製である第2の基板104上に、樹脂製の電極パターンマスクを設置した状態でパラジウムをスパッタリングすることによって、第3の電極152、第4の電極154、第5の電極156、第6の電極158、第3のリード162、第4のリード164、第5のリード166、及び第6のリード168を形成する。第3の電極152、第4の電極154、第5の電極156、及び第6の電極158は、それぞれ第3のリード162、第4のリード164、第5のリード166、及び第6のリード168によって、後述する測定装置の端子と電気的に接続される。
次に、第1の基板102上に、クレアチニン測定用試薬であるフェリシアン化カリウム、リン酸二水素カリウム、及びリン酸水素二カリウムを溶解した水溶液を、マイクロシリンジなどを用いて一定量滴下した後、第1の基板102を室温〜30℃程度の環境に静置して乾燥させることにより試薬層170を形成する。塗布する試薬を含む水溶液の濃度及び量は、必要とするデバイスの特性やサイズに応じて選択すればよいが、例えば、試薬を含む水溶液中の3価のヘキサシアノフェレートの濃度が8mg/dL程度であり、滴下量が0.7mL程度である。また、試薬層170を形成する領域の面積は、試料に対する試薬の溶解性などを鑑みて適宜選択すればよいが、例えば、その面積を3mm2程度とする。
次に、図4に示すように、第1の基板102、第1のスペーサ106、第1のカバー112、第3のスペーサ108、第2のカバー114、第2のスペーサ110、及び第2の基板104を組み合わせる。各部材はすべてポリエチレンテレフタレート製である。各部材の各接合部分に接着剤を塗布し、これらを張り合わせた後、押圧して静置し接着させる。この方法に代えて、接着剤を塗布せずに組み合わせた後、市販の溶着機を用いて接合部分を熱または超音波によって溶着させてもよい。
第1の基板102、第1のスペーサ106及び第1のカバー112を組み合わせたときに、第1の基板102、第1のスペーサ106に設けられた第1のスリット116及び第1のカバー112により形成される空間部が、クレアチニン測定用の第1の試料収容室として機能する。また、第1のスリット116の開口部がクレアチニン測定用の第1の試料導入口126として機能する。
一方、第2の基板104、第2のスペーサ110及び第2のカバー114を組み合わせたときに第2の基板104、第2のスペーサ110に設けられた第2のスリット120及び第2のカバー114により形成される空間部が、尿の電気特性用の第2の試料収容室として機能する。また、第2のスリット120の開口部が尿の電気特性用の第2の試料導入口130として機能する。
また、第1のカバー112、第3のスペーサ108及び第2のカバー114を組み合わせたときに、第1のカバー112、第3のスペーサ108に設けられた第3のスリット118及び第2のカバー114により形成される空間部が、排気用通路として機能する。また、第3のスリット118の開口部が排気孔128として機能する。
第3のスペーサ108の厚みは、第1のスペーサ106及び第2のスペーサ110よりも厚くなるように設定されている。これにより、第1の連通孔122及び第2の連通孔124から排気孔128に向かう方向に垂直な排気用通路の断面積は、第1の試料導入口126から第1の連通孔122に向かう方向に垂直な第1の試料収容室の断面積及び第2の試料導入口130から第2の連通孔124に向かう方向に垂直な第2の試料収容室の断面積よりも大きい。
次に、本実施の形態に係る測定装置及びそれを用いた尿中塩分量測定方法について、図5及び6を用いて説明する。図5は、本実施の形態に係る測定装置500の外観を示す斜視図、図6は測定装置500の構成を示すブロック図である。
まず、測定装置500の構成について、図5を参照しながら説明する。
測定装置500の筐体202には、測定装置500に測定デバイス400を取付けるための測定デバイス取付け部208、測定結果等が表示されるディスプレイ204、及び測定装置500によるクレアチニン及び尿の電気特性の測定を開始させるための測定開始ボタン206が設けられている。また、測定デバイス取付け部208の内部には、測定デバイス取付け部208に取り付けられた測定デバイス400の第3のリード162、第4のリード164、第5のリード166、及び第6のリード168とそれぞれ電気的に接続される第3の端子、第4の端子、第5の端子、及び第6の端子が設けられている。
次に、測定装置500の筐体202内部の構成について、図6を参照しながら説明する。
測定装置500は、筐体202内部に、光源502、受光器504、定電流交流電源312、電圧検出器314、制御部306、計時部308、及び記憶部310を備えている。
光源502は、測定デバイス取付け部208に取付けられた測定デバイス400の第1の試料収容室内に入射する光を出射する機能を有する。光源502から出射される光の波長は、クレアチニン測定用試薬中の有効成分とクレアチニンとの反応により吸収強度が変化する波長を選択すればよい。光源502としては、例えば、LEDを用いる。
受光器504は、光源502から出射され、測定デバイス取付け部208に取付けられた測定デバイス400の第1の試料収容室内において反射した光を検出する機能を有する。
定電流交流電源312は、測定デバイス取付け部208に取付けられた測定デバイス400の第3のリード162及び第6のリード168とそれぞれ電気的に接続された第3の端子及び第6の端子を介して、測定デバイス400の第3の電極152と第6の電極158との間に一定の交流電流を印加する機能を有する。印加する交流電流は、例えば、周波数が1kHz程度、電流値が0.1mA程度である。
電圧検出器314は、第4の端子及び第5の端子を介して、第4の電極154と第5の電極156との間の電圧(交流電圧の実効値)を検出する機能を有する。
記憶部310には、クレアチニンの濃度と受光器504により検出される反射光の強度との相関を表す第1の検量線に相当する第1の相関データ、塩分の濃度と電圧検出器314により検出される電圧との相関を表す第2の検量線に相当する第2の相関データ、及び1日当たりの尿中塩分排泄量とクレアチニン濃度により補正された塩分濃度との相関を表す第3の検量線に相当する第3の相関データが格納されている。記憶部310としては、例えば、RAM、ROM等のメモリを用いることができる。
制御部306は、第1の相関データを参照して、受光器504により検出された反射光の強度をクレアチニン濃度に換算する機能、第2の相関データを参照して、電圧検出器314により検出された電圧を塩分濃度に換算する機能、得られたクレアチニン濃度を用いて塩分濃度を補正する機能、及び第3の相関データを参照して、補正後の塩分濃度を1日当たりの尿中塩分排泄量に換算する機能を有する。制御部306は、本発明における演算部に相当する。制御部306としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロコンピュータを用いることができる。
次に、測定デバイス400及び測定装置500を用いた、本実施の形態に係る尿中塩分量測定方法について説明する。
まず、使用者が測定デバイス400のリード側を測定装置500の測定デバイス取付け部208に挿入する。これにより、測定デバイス400の第3のリード162、第4のリード164、第5のリード166、及び第6のリード168と、測定デバイス取付け部208内部に設けられている第3の端子、第4の端子、第5の端子、及び第6の端子とがそれぞれ接触することにより電気的に導通する。
測定デバイス取付け部208に測定デバイス400が挿入されると、測定デバイス取付け部208内に設けられたマイクロスイッチからなる測定デバイス挿入検知スイッチが作動して、制御部306に信号を出力する。測定デバイス挿入検知スイッチからの出力信号により制御部306が測定デバイス400の挿入を検知すると、制御部306は光源502を作動させる。これにより、測定デバイス400の第1の試料収容室に光源502からの光が照射される。
次に本発明の測定デバイスを用いて使用者が実際に測定を行う様子を図7に示す。なお、ここでの使用者は様式便所に腰掛けた姿勢で測定することを想定しているが、男性が立位にて排尿する場合にも基本的には同様な手順にて使用することができる。図7に示すように、まず使用者が測定デバイス400を片手に持ち、排尿する際の尿線の延長上に測定デバイス400の第1の試料導入口126及び第2の試料導入口が位置するようにする。次に、使用者が排尿を開始したうえで第1の試料導入口126及び第2の試料導入口130をまんべんなく接触させるように測定デバイス400を尿線に近づけ、試料である尿を接触させる。このとき、図4に示すように、測定デバイス400の排気孔128は第1の基板102と第2の基板104との間に挟まれた位置であって、かつ排気用通路を挟んで第1の試料収容室及び第2の試料収容室から離れた位置に配置されており、かつ排気孔128が測定デバイス取り付け部208よりも筐体202の内部側に食い込んでいる位置に存在している。このため、使用者が第1の試料導入口126及び第2の試料導入口130に向けて直接排尿している際に、排気孔128に尿がかかることがなく、正しくサンプリングできる。また、第3のスペーサの外壁面に撥水性を持たせておくことにより、第1の試料導入口126と第2の試料導入口が外壁を介して試料でつながってしまい、試薬層170から試料内に溶け込んだ試薬が他のスリットに混入することを防ぐことができる。
尿が第1の試料導入口126及び第2の試料導入口130に接触すると、第1の試料導入口126及び第2の試料導入口130を通って測定デバイス400の2つの試料収容室内に、尿が毛管現象により吸引され、2つの試料収容室内が尿によって充填される。このとき、第1の連通孔122及び第2の連通孔124から排気孔128に向かう方向に垂直な排気用通路の断面積は、第1の試料導入口126から第1の連通孔122に向かう方向に垂直な第1の試料収容室の断面積及び第2の試料導入口130から第2の連通孔124に向かう方向に垂直な第2の試料収容室の断面積よりも大きいので、尿の流れは第1の連通孔122及び第2の連通孔124において止まり、尿は排気用通路内には流れ込まない。
尿が第1の試料収容室内における光の照射位置に到達すると透過率が変化するため、それに起因して反射光強度の変化を受光器504が検出する。
受光器504からの出力信号により、試料収容室に尿が導入されたことを制御部306が検知すると、制御部306がタイマーである計時部308による計時を開始させる。
また、尿導入の検知に伴い、制御部306は定電流交流電源312を制御して、第3の端子及び第6の端子を介して、第3の電極152及び第6の電極158との間に一定の交流電流(例えば、周波数1kHz、電流値0.1mA)を印加する。交流電流の印加から所定時間経過後(例えば5秒後)に、電圧検出器314は第4の電極154及び第5の電極156との間の電圧(交流電流の実効値)を測定する。
制御部306は記憶部310に格納されている塩分の濃度と電圧検出器314により検出される電圧との相関を表す第2の相関データを読み出し、それを参照することにより電圧検出器314により検出された電圧を試料中の塩分濃度に換算する。得られた塩分濃度はディスプレイ204に表示される。得られた塩分濃度は、計時部308により計時された時刻とともに記憶部310に保存されることが好ましい。
クレアチニン測定用の第1の試料収容室内に露出している試薬層170と尿とが接触すると、試薬層170に含まれるクレアチニン測定用試薬中の有効成分であるフェリシアン化カリウムが尿中に溶解する。フェリシアン化カリウムが尿中に溶解することにより生成した3価のヘキサシアノフェレートが尿中に含まれるクレアチニンと直接反応することにより、クレアチニンの酸化物と4価のヘキサシアノフェレートとが生成する。3価のヘキサシアノフェレートが4価のヘキサシアノフェレートに変化することにより、尿の吸収スペクトルが変化する。ここで、尿の吸収スペクトルの変化量は、生成した4価のヘキサシアノフェレートの濃度に依存する。
計時部308からの信号によって、所定時間(例えば、60秒)経過したことを制御部306が判断すると、試料収容室内において反射した光の強度を受光器504において測定する。このとき、受光器504において測定される反射光の強度は、尿中に含まれるクレアチニン濃度に依存する。
制御部306は記憶部310に格納されているクレアチニン濃度と受光器504により検出される反射光の強度との相関を表す第1の相関データを読み出し、それを参照することにより、受光器504において検出された反射光の強度を尿中のクレアチニン濃度に換算する。
次に、制御部306は得られたクレアチニン濃度を用いて塩分濃度を補正する。続いて、制御部306は記憶部310に格納されている1日当たりの尿中塩分排泄量とクレアチニン濃度により補正された塩分濃度との相関を表す第3の検量線に相当する第3の相関データを読み出し、それを参照することにより補正後の塩分濃度を1日当たりの尿中塩分排泄量に換算する。
得られたクレアチニン濃度及び1日当たりの尿中塩分排泄量はディスプレイ204に表示される。ディスプレイ204にクレアチニン濃度及び1日当たりの尿中塩分排泄量が表示されることにより、ユーザは測定が完了したことがわかる。得られたクレアチニン濃度及び1日当たりの尿中塩分排泄量は、計時部308により計時された時刻とともに記憶部310に保存されることが好ましい。
本実施の形態に係る測定デバイス400によれば、従来の測定デバイスと異なり、第1の基板102と第2の基板104との間に挟まれた位置であって、かつ排気用通路を挟んで第1の試料収容室及び第2の試料収容室から離れた位置に排気孔128が配置されているので、使用者が第1の試料導入口126及び第2の試料導入口130に向けて直接排尿しても排気孔128に尿がかかることがない。したがって、簡易な操作により確実に一定量の試料を試料収容室内に導入することができるので、正確な定量測定を行うことができる。
また、本実施の形態に係る測定デバイス400によれば、試料収容室内において、クレアチニンに作用する酵素やピクリン酸がない状態であってもクレアチニンとクレアチニン測定用試薬中の有効成分とが直接反応するので、塩分等のイオン種、尿素、アミノ酸などの妨害成分の影響を受けることなく反応が進行する。そのため、尿や血液などの生体試料を用いた場合であっても、従来の測定デバイスよりも精度良く試料中に含まれるクレアチニンを定量することができる。
また、本実施の形態に係る測定装置500によれば、高い精度で測定されたクレアチニン濃度により補正された塩分濃度に基づいて、1日当たりの尿中塩分排泄量を算出しているので、1日当たりの尿中塩分排泄量を精度良く求めることができる。
なお、本実施の形態においては、クレアチニン測定用試薬中の有効成分としてヘキサシアノフェレートを用いる例を示したがこれに限定されない。ヘキサシアノフェレートの代わりに、M−PMS、1,2−ナフトキノン、5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、[Os(bpy)(5,5’−dmbpy)2]2+/3+、[Os(4,4’−dmbpy)2(5,5’−dmbpy)]2+/3+、[Os(5,5’−dmbpy)2(dpa)]2+/3+等を用いてもよい。これらを用いる場合にも、塩分等のイオン種、尿素、アミノ酸などの妨害成分の影響を受けることなく、従来の測定デバイスよりも精度良く試料中に含まれるクレアチニンを定量することができる。
また、本実施の形態では、測定デバイスが1つの試薬層を備える例を示したこれに限定されない。測定デバイスが、2つの試薬層、例えばクレアチニン測定用試薬を含む第1の試薬層とリン酸系緩衝剤を含む第2の試薬層とを備えていてもよい。
また、本実施の形態においては、試料の検知後、試料収容室内において反射した光の強度を検出するまでの時間(反応時間)を60秒とする例を示したが、必ずしもその値である必要はない。クレアチニン濃度の違いに対する反射光強度の差を有意に検出できる限り、反応時間は上記より小さい値を用いることができる。一方、反応時間をより大きくした場合、クレアチニンと3価のヘキサシアノフェレートとの反応が完了状態あるいは定常状態に達する可能性が高まるため、温度などの環境条件の影響を受けずにクレアチニンの存在量をより正確に定量しやすくなる。
また、本実施の形態では、記憶部に、クレアチニンの濃度と受光器504により検出される反射光の強度との相関を表す第1の検量線に相当する第1の相関データ、塩分の濃度と電圧検出器314により検出される電圧との相関を表す第2の検量線に相当する第2の相関データ、及び1日当たりの尿中塩分排泄量とクレアチニン濃度により補正された塩分濃度との相関を表す第3の検量線に相当する第3の相関データが格納されている例を示したがこれに限定されない。これに代えて、受光器により検出される反射光の強度と電圧検出器により検出される電圧と単位時間当たり(例えば1日)の尿中塩分排泄量との相関を示す相関データが記憶部に格納されていてもよい。この場合は、クレアチニン濃度や塩分濃度を求めなくても、受光器により検出される反射光の強度と電圧検出器により検出される電圧とを用いて、単位時間当たりの尿中塩分排泄量を直接求めることができる。
また、測定デバイスの試料収容室内への試料の導入をより円滑にするために、レシチンをトルエンまたはその他の有機溶媒に溶解した溶液を、第2の基板及び第3の基板の内壁に塗布して乾燥させることによりレシチン層を形成してもよい。このような構造にすることにより、試料量をより再現性よく一定とすることができるため、より精度良く試料中に含まれるクレアチニン及び塩分を定量することができる。
また、実施の形態1及び2において、測定装置が、測定結果として得られたクレアチニン濃度、塩分濃度及び1日当たりの尿中塩分排泄量をSDカードなどの記憶媒体に記録するための記録部をさらに備えていてもよい。取り外し可能な記憶媒体に保存することにより、測定結果を測定装置から容易に取り出すことができるので、分析関連業者に測定結果の分析を依頼することが容易になる。
また、測定装置が、測定結果として得られたクレアチニン濃度、塩分濃度及び1日当たりの尿中塩分排泄量を測定装置外に送信するための送信部をさらに備えていてもよい。これにより、測定結果を、病院内の分析関連部門または分析関連業者等に送信し、分析関連部門または分析関連業者などにおいて分析することができるので、測定から分析までの時間を短縮することができる。
また、測定装置が、分析関連部門または分析関連業者などにおいて分析した結果を受信するための受信部をさらに備えていてもよい。これにより、分析結果を迅速に使用者にフィードバックすることができる。
本発明は、試料、特に尿などの生体中に含まれる成分を定量する際に有用である。
100,400 測定デバイス
102 第1の基板
104 第2の基板
106 第1のスペーサ
108 第3のスペーサ
110 第2のスペーサ
112 第1のカバー
114 第2のカバー
116 第1のスリット
118 第3のスリット
120 第2のスリット
122 第1の連通孔
124 第2の連通孔
126 第1の試料導入口
128 排気孔
130 第2の試料導入口
132 第1の電極
134 第2の電極
142 第1のリード
144 第2のリード
152 第3の電極
154 第4の電極
156 第5の電極
158 第6の電極
162 第3のリード
164 第4のリード
166 第5のリード
168 第6のリード
170 試薬層
200,500 測定装置
202 筐体
204 ディスプレイ
206 測定開始ボタン
208 測定デバイス取付け部
302 電圧印加部
304 電気信号検出部
306 制御部
308 計時部
310 記憶部
312 定電流交流電源
314 電圧検出器
502 光源
504 受光器

Claims (11)

  1. 内壁で囲まれ、試料を収容するための第1の試料収容室と、
    前記第1の試料収容室と連通し、前記第1の試料収容室内に前記試料を導入するための第1の試料導入口と、
    内壁で囲まれ、前記試料を収容するための第2の試料収容室と、
    前記第2の試料収容室と連通し、前記第2の試料収容室内に前記試料を導入するための第2の試料導入口と、
    前記第1の試料収容室と前記第2の試料収容室との間において内壁で囲まれ、前記第1の試料収容室及び前記第2の試料収容室と連通する排気用通路と、
    前記排気用通路と連通する排気孔と
    を備える測定デバイス。
  2. 第1の基板と、
    第1のスリットを有する第1のスペーサと、
    第2のスリットを有する第2のスペーサと、
    第3のスリットを有する第3のスペーサと、
    第2の基板と
    を備え、
    前記第1の基板、前記第1のスペーサ、前記第3のスペーサ、前記第2のスペーサ及び前記第2の基板が順に、前記第3のスリットと前記第1のスリットの一部とが重なり、かつ前記第2のスリットと前記第3のスリットの一部とが重なるように積層され、
    前記第1の基板及び前記第3のスペーサにより挟まれた前記第1のスペーサの前記第1のスリットが前記第1の試料収容室として機能し、
    前記第1のスリットの開口部が前記第1の試料導入口として機能し、
    前記第1のスペーサ及び前記第2のスペーサにより挟まれた前記第3のスペーサの前記第3のスリットが前記排気用通路として機能し、
    前記第3のスリットの開口部が前記排気孔として機能し、
    前記第3のスペーサ及び前記第2の基板により挟まれた前記第2のスペーサの前記第2のスリットが前記第2の試料収容室として機能し、
    前記第2のスリットの開口部が前記第2の試料導入口として機能し、
    前記排気孔が、前記第1の基板及び前記第2の基板により挟まれた位置に設けられている、請求項1に記載の測定デバイス。
  3. 前記第1の試料導入口から、前記第3のスリットと前記第1のスリットとが重なっている部分に向かう方向に垂直な前記第1の試料収容室の断面積、並びに前記第2の試料導入口から、前記第2のスリットと前記第3のスリットとが重なっている部分に向かう方向に垂直な前記第2の試料収容室の断面積に比べて、
    前記第3のスリットと前記第1のスリットとが重なっている部分及び前記第2のスリットと前記第3のスリットとが重なっている部分から前記排気孔に向かう方向に垂直な前記排気用通路の断面積が大きい、請求項2に記載の測定デバイス。
  4. 前記第1の試料収容室を囲む内壁の内面、及び前記第2の試料収容室を囲む内壁の内面に比べて、前記排気用通路を囲む内壁の内面の水に対する親和性が低い、請求項1〜3のいずれか1項に記載の測定デバイス。
  5. 前記第1の試料収容室内に配置されたクレアチニン測定用試薬と、
    前記第2の試料収容室内に配置された少なくとも2つの電極と
    をさらに備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の測定デバイス。
  6. 前記第1の試料収容室内に配置された少なくとも2つの電極をさらに備える、請求項5に記載の測定デバイス。
  7. 前記試料が尿であり、
    請求項5に記載の測定デバイスを取付けるための測定デバイス取付け部、
    前記測定デバイス取付け部に取付けられた前記測定デバイスの前記第1の試料収容室内におけるクレアチニンと前記クレアチニン測定用試薬との反応の量を電気化学的または光学的に測定する第1の測定部、
    前記測定デバイス取付け部に取付けられた前記測定デバイスの前記第2の試料収容室内における前記尿の電気特性を測定する第2の測定部、及び
    前記第1の測定部により測定された前記反応量と前記第2の測定部により測定された前記電気特性とに基づき、前記尿中への塩分の排泄量を反映する値を求める演算部を備える測定装置。
  8. 前記第3のスペーサの外壁面が、前記第1の試料収容室を囲む内壁の内面、及び前記第2の試料収容室を囲む内壁の内面に比べて水に対する親和性が低い、請求項1〜4のいずれか1項に記載の測定デバイス。
  9. 請求項8記載の測定装置において、前記試料を導入する時に前記第1の試料導入口および前記第2の試料導入口が前記排気用通路より下に存在することを特徴とする測定装置。
  10. 請求項8記載の測定装置において、前記測定デバイス取り付け部が弾力を持った素材からなり、前記デバイスを取り付けた際に前記排気孔と連通する第2の排気孔を具備することを特徴とする測定装置。
  11. 前記第2の排気孔が、前記測定装置の筐体の内部に連通していることを特徴とする測定装置。
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