JP2011004536A - 車両用交流発電機 - Google Patents

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Abstract

【課題】電圧制御用ICレギュレーターへの配線レイアウトの自由度を改善し、ICレギュレーターの組み込み時にパッケージの一部に応力が集中するのを防止する。
【解決手段】界磁巻線が巻装された回転子と、電機子巻線が巻装された固定子鉄心と、界磁巻線に流れる電流を調節して電機子巻線に誘起される電圧を制御する電圧制御用ICレギュレーター部とを備えた車両用交流発電機において、電圧制御用ICレギュレーター部に、パッケージの両側2列に複数のピンが配列されたデュアルインラインパッケージ型の1チップICレギュレーター14を用いる。
【選択図】図2

Description

本発明は車両用交流発電機に関する。
発電機の固定子と回転子を収納するブラケットと一体に形成されるホルダー内に発電機の電圧を制御する制御装置を配設した車両用交流発電機において、制御装置にシングルインラインパッケージに収納した電圧調整部を用いた車両用交流発電機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平08−033296号公報
しかしながら、上述した従来の車両用交流発電機では、シングルインラインパッケージタイプの電圧調整部を用いているため、電圧調整部の入出力端子がパッケージの片側のみに配設されており、入出力端子へ接続する配線のレイアウトに自由度がない上に、信号系と電力系の配線がパッケージの片側に集中することになり、電力系配線から信号系配線へのノイズ混入や特性ロスを発生しやすいという電気的な問題がある。また、電圧調整部のシングルインラインパッケージをホルダーに固定する際に、パッケージの入出力端子側に応力が集中するという構造上の問題がある。
(1) 請求項1の発明は、界磁巻線が巻装された回転子と、電機子巻線が巻装された固定子と、界磁巻線に流れる電流を調節して電機子巻線に誘起される電圧を制御する電圧制御用ICレギュレーター部とを備えた車両用交流発電機において、電圧制御用ICレギュレーター部は、パッケージの両側2列に複数のピンが配列されたデュアルインラインパッケージ型の1チップICレギュレーターを有する。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載の車両用交流発電機において、電圧制御用ICレギュレーター部は、1チップICレギュレーターが変換アダプターを挟んでICケースに装着されており、変換アダプターは、複数の接続導体が樹脂によりモールドされ、接続導体の一端が1チップICレギュレーターのピンと接続され、接続導体の他端がICケースの端子と接続される。
(3) 請求項3の発明は、請求項2に記載の車両用交流発電機において、変換アダプターの1チップICレギュレーターのICチップ部位と対向する部位に貫通穴または凹部を設けたものである。
(4) 請求項4の発明は、請求項3に記載の車両用交流発電機において、変換アダプターの貫通穴または凹部から露出した接続導体の一部に切断雇いを設け、1チップICレギュレーターのピンを開放状態にするか、またはICケースの端子に接続するかを任意に選択可能としたものである。
(5) 請求項5の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の車両用交流発電機において、変換アダプターに接続される1チップICレギュレーターは、90度異なるいずれかの向きに接続可能としたものである。
(6) 請求項6の発明は、請求項2〜5のいずれか一項に記載の車両用交流発電機において、界磁巻線に電流を供給するブラシの取り付け方向に対して、電圧制御用ICレギュレーター部を90度異なるいずれかの向きに配置可能としたものである。
(7) 請求項7の発明は、請求項2〜6のいずれか一項に記載の車両用交流発電機において、変換アダプターの接続導体の材質を銅または銅合金としたものである。
(8) 請求項8の発明は、請求項2〜7のいずれか一項に記載の車両用交流発電機において、変換アダプターに1チップICレギュレーターを接続する際の位置決め用部材と固定用部材を設けたものである。
(9) 請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の車両用交流発電機において、1チップICレギュレーターに接着剤または放熱用シリコンを介して放熱用ヒートシンクを装着したものである。
本発明によれば、ICレギュレーターへの入出力配線がパッケージの片側に集中せず、信号系と電力系の入出力配線のレイアウトに自由度を持たせることができ、電力系配線から信号系配線へのノイズ混入や特性ロスを防止できる上に、パッケージを固定したときのパッケージにかかる応力をパッケージ全体に分散させることができる。
一実施の形態の車両用交流発電機1の縦断面図 車両用交流発電機1の反負荷側ブラケット3に装着される電圧制御用ICレギュレーター14、変換アダプター21、ヒートシンク50およびICケース52の組み込み構造を示す図 一実施の形態の車両用交流発電機1の回路を含む車両の一般的な電気系統を示す回路図 一実施の形態の1チップ電圧制御用ICレギュレーター14の回路図 1チップ電圧制御用ICレギュレーター14の構造を示す図 電圧制御用ICレギュレーター14のピン14aの配列パターンを示す図 変換アダプター21を上から見た図 1チップ電圧制御用ICレギュレーター14を変換アダプター21へ取り付ける方法を示す図 1チップ電圧制御用ICレギュレーター14を変換アダプター21へ取り付けた状態を示図 ヒートシンク50、1チップ電圧制御用ICレギュレーター14および変換アダプター21をICケース52に組み込んだ状態を示す図 従来のハイブリッド型ICレギュレーター14Aおよびヒートシンク50BをICケース52に装着する方法を示す図
図1は一実施の形態の車両用交流発電機1の縦断面図である。一実施の形態の車両用交流発電機1は負荷側ブラケット2と反負荷側ブラケット3にシャフト4が軸支されており、シャフト4に回転子13aが固定され、回転子13aと対向して固定子鉄心11aが設けられている。固定子鉄心11aには電機子巻線11が、回転子13aには界磁巻線13(不図示)がそれぞれ巻装されている。シャフト4に連結されたプーリー5が車両のエンジンにより回転されると、回転子13aが回転し、界磁巻線13が回転磁界を発生する。この回転磁界により固定子鉄心11aの電機子巻線11に交流電圧が誘起する。反負荷側ブラケット3には、詳細を後述する三相全波整流器12、電圧制御用ICレギュレーター14、変換アダプター21、ヒートシンク50、ICケース52などが装着されている。
図2(a)、(b)は車両用交流発電機1の反負荷側ブラケット3に装着される電圧制御用ICレギュレーター14、変換アダプター21、ヒートシンク50およびICケース52の組み込み構造を示す。図2(a)は電圧制御用ICレギュレーター14を縦に配置した場合の組み込み構造を示し、図2(b)は電圧制御用ICレギュレーター14を横に配置した場合の組み込み構造を示す。ICケース52は、車両用交流発電機1の外部端子接続部(カプラー部)52a、界磁巻線13にスリップリング22(図1参照)とカ−ボンブラシ53を介して電流を流すためのカーボンブラシ収納箱52b、および雑音防止コンデンサー19の収納を兼ねた一体型モールド成形部品である。
1チップ電圧制御用ICレギュレーター14は、デュアルインラインパッケージ型の1チップICレギュレーターであり、界磁巻線13に流れる電流を制御して電機子巻線11に誘起する交流電圧が一定になるように制御する。ヒートシンク50はアルミニウム材や銅材などから形成され、電圧制御用ICレギュレーター14から発生する熱を放熱して冷却するためのものである。電圧制御用ICレギュレーター14で発生する熱が効率よくヒートシンク50へ伝導するように、ヒートシンク50と電圧制御用ICレギュレーター14は接着剤やシリコン充填剤を塗布して密着される。
電圧制御用ICレギュレーター14は、変換アダプター21を介してICケース52に接続される。ICケース52は、図11に示すような従来のハイブリッド型ICレギュレーター14Aおよびヒートシンク50Bと共用に設計されている。デュアルインラインパッケージの1チップ電圧制御用ICレギュレーター14は、従来のハイブリッド型電圧制御用ICレギュレーター14Aに置き換わるものであり、1チップ化により小型化とコスト低減を図るものである。しかし、1チップ電圧制御用ICレギュレーター14を車両用交流発電機1に採用するに際し、専用のICケースを新たに設計するとモールド型およびターミナルの順送型の新作や、煩雑な製造および在庫の管理等を含めた総合的なコストアップになるため、変換アダプター21を介して従来のハイブリッド型電圧制御用ICレギュレーター14A用のICケース52と接続する。これにより、従来のハイブリッド型電圧制御用ICレギュレーター14A用のICケース52をそのまま、1チップ電圧制御用ICレギュレーター14用として用いることができる。
しかし、電圧制御用ICレギュレーターを1チップ型とする場合、ベアチップ内におけるノイズ低減と特性ロスを考慮し、電力系配線と信号系配線のレイアウトを最適に設計する必要がある。ところが、ハイブリッド型電圧制御用ICレギュレーター14A用のICケース52の端子配列はすでに決まっているため、1チップ電圧制御用ICレギュレーター14のデュアルインラインパッケージの端子配列を既存のICケース52の端子配列に合わせようとすると、パッケージ内で電力系配線と信号系配線とを立体交差させ、パッケージ自体を大きくするなど、デュアルインラインパッケージの構造が複雑になり、製作が困難になる。
そこで、この一実施の形態では、デュアルインラインパッケージ型の1チップ電圧制御用ICレギュレーター14と既存のICケース52との間に変換アダプター21を挟み、変換アダプター21を介して1チップ電圧制御用ICレギュレーター14をICケース52に接続する。この変換アダプター21内において、1チップ電圧制御用レギュレーター14の各端子を既存のICケース52の対応する端子と接続するための配線の引き回しを行う。
これにより、1チップ電圧制御用ICレギュレーター14を車両用交流発電機1に実装するために、変換アダプター21を製造するための金型を製作するだけで、新たに1チップ型専用のICケースを製作するためのモールド金型およびターミナルの順送型が不要になり、既存のハイブリッド型電圧制御用ICレギュレーター14AのICケース52を流用でき、多機種ある量産品の外観仕様を変更しないで、量産品の切り替えを迅速に実行できる。また、多種類の1チップ電圧制御用ICレギュレーター14に対して変換アダプター21を共用化することによって、量産効果によるコスト低減を図ることができ、他種類の電圧制御用ICレギュレーターを車両用交流発電機1へ実装するための安価で拡張性のある構成を実現できる。
図3は、一実施の形態の車両用交流発電機1の回路を含む車両の一般的な電気系統を示す回路図である。また、図4は一実施の形態の1チップ電圧制御用ICレギュレーター14の回路図である。図3において、一実施の形態の車両用交流発電機1の電力端子BとEは、車載バッテリー16と、車載電気負荷18およびその開閉用スイッチ17の直列回路とに接続されている。なお、図3では車載電気負荷18およびスイッチ17を代表的に1回路で示すが、車載電気負荷18とスイッチ17には各種のモーターや灯火類など多くの負荷とスイッチが含まれる。また、車両用交流発電機1のバッテリー電圧検出用端子Sは、バッテリー16の電圧を正確に検出するためにバッテリー16の+側端子の近傍に接続されている。さらに、車両用交流発電機1の警報用端子Lは、発光ダイオード151と抵抗器152の直列回路からなる充電表示灯15と車両のキースイッチ20を介してバッテリー16の+側端子に接続されている。
11は固定子鉄心11aに巻装された電気子巻線(図1参照)、12はパワーツエナーダイオード121、122、123、124、125、126から構成される全波整流器、13は回転子13aに巻装された界磁巻線(図1参照)である。19は雑音防止用フィルムコンデンサーである。21は1チップ電圧制御用ICレギュレーター14とICケース52との間に介装される変換アダプターであり、切断雇いすなわち切断可能な配材部210、211を有する。これらの切断可能な配材部210、211については詳細を後述する。
14は制御部とパワー駆動部を1つのデュアルインラインパッケージに収納した1チップ電圧制御用ICレギュレーターであり、図4に回路図を示す。図4において、電圧制御用ICレギュレーター14は、パワーMOSトランジスター141、143、フライホイールダイオード142、電圧制御部157、ICの内部電源VCC回路、詳細を後述する電気的特性制限または電気的特性を切り換えるためのスイッチ端子SW1用回路およびスイッチ端子SW2用回路から構成されている。なお、この1チップ電圧制御用ICレギュレーター14は誘電体分離型半導体で構成しているため、パワー素子部と制御部とを1つの半導体基板上に実装している。
IC内部電源VCC回路は、抵抗器144、平滑用コンデンサー145、抵抗器158およびツェナーダイオード146から構成され、車両用交流発電機1の発電電圧またはバッテリー16の充電電圧から電圧制御用ICレギュレーター14の内部電源VCCを生成する。電気的特性制限または電気的特性を切り換えるスイッチ端子SW1用回路は、抵抗器147、148、基準電源149、比較器150、端子SW1がGNDに接地しているか否かを判断した結果を電圧制御部157に伝える判断回路151から構成されている。また、電気的特性制限または電気的特性を切り換えるスイッチ端子SW2用回路は、抵抗器152、153、基準電源154、比較器155、端子SW2がGNDに接地しているか否かを判断した結果を電圧制御部157に伝える判断回路156から構成されている。
なお、電圧制御用ICレギュレーター14の端子Sは、上述したバッテリー16の端子電圧を検出するための端子である。また、端子Pは電気子巻線11に発生した電圧を検出して車両用交流発電機1が発電を開始したか否かを判断するための端子であり、車両用発電機1が発電を開始した後、端子Lに接続された充電表示灯15への電流供給を遮断することによって発光ダイオード151が消灯する。
次に、一実施の形態の車両用交流発電機1および電圧制御用ICレギュレーター14の動作を説明する。回転子13aに巻装される界磁巻線13はエンジンの回転に同期して回転し、回転磁界を発生する。界磁巻線13に並列に接続されたフライホイールダイオード142(図4参照)は、スイッチングノイズを吸収する。回転子13aと空隙を持って対向する固定子鉄心11aに巻装された電機子巻線11は、界磁巻線13で発生した回転磁界の大きさに応じて交流波形の電圧を出力する。この交流出力は三相全波整流器12を構成する整流用パワーツエナーダイオード121、122、123、124、125、126で全波整流される。三相全波整流器12の出力は端子BとEを介して車載バッテリー16へ供給され、バッテリー16が充電される。同時に、三相全波整流器12の出力は、端子B、Eから負荷開閉用スイッチ17を介してランプ等の電気負荷18へ供給される。
電圧制御用ICレギュレーター14の電圧制御部157は、バッテリー16の端子電圧を検出端子Sを介して検出し、検出電圧に応じて界磁巻線13に流れる電流を制御し、車両用交流発電機1の出力電圧が一定の電圧になるように制御する。電圧制御部157はまた、車両運転者によりキースイッチ20が閉じられるとパワーMOSトランジスター143をオンし、充電表示灯15を点灯する。電圧制御部157はさらに、端子Pを介して電機子巻線11から発生する交流電圧を検出し、検出した交流電圧に基づいてエンジンの回転数を推定し、エンジン回転数がアイドリング回転数よりも低い所定の回転数を越えるとパワーMOSトランジスター143をオフし、充電表示灯15を消灯する。つまり、車両用交流発電機1が発電を開始したことを車両運転者に報知する。
また、電圧制御部157は、発電機出力電圧を一定電圧に制御するだけでなく、エンジンに急激な負担をかけないように界磁電流をゆっくりと増加させる機能(以下、LRC(Load Reponse Control)と呼ぶ)を有している。大きな電気負荷18が投入されたときに、車両用交流発電機1からその電気負荷分の電流を供給するために、電圧制御部157は、直ちに界磁巻線13に流れる電流を増加させる。この結果、回転子13aを駆動するためのトルクが急激に増加し、ベルトを介してエンジンに急激な負荷がかかるため、エンジン回転数が不安定になり、エンジンから不快な振動が発生する。特にエンジン回転数の低いアイドリング時にはこの状態が顕著になり、最悪の場合にはエンストが発生することがある。このLRC機能は、アイドリング時の電気負荷急変の場合のエンジン回転数安定化に有効であるが、反面、界磁電流をゆっくり増加させるため、大きな電気負荷に応じた十分な電流を直ちに供給できず、結果としてバッテリー16の端子電圧が低下してしまう。ところが、エンジントルクが大きい車種では上述したエンジンの回転不調が起こりにくいため、LRC機能によるバッテリー電圧の低下を嫌い、LRC機能を不要とする場合がある。
電圧制御部157は、上述したLRC機能の他に、バッテリー16の端子電圧が規定値以上(例えば、16V以上)になるとオ−バーチャージ状態と判断し、パワーMOSトランジスター143をオンして充電表示灯15を点灯し、オ−バーチャージ状態を警報する機能と、バッテリー電圧検出用端子Sが車両側で断線した場合に、端子Sの電圧低下(通常12V以下)を検出し、パワーMOSトランジスター143をオンして充電表示灯15を点灯し、S端子外れ状態を警報する機能とを有する。電圧制御部157は、端子Sの断線が検出された場合に充電表示灯15を点灯して警報するとともに、電圧検出用の端子をSからBへ変更し、端子Bから検出したバッテリー16の端子電圧に基づいてバッテリー16の充電電圧制御を継続する。
車両用交流発電機1のバッテリー電圧検出用端子Sは、上述したように、バッテリー16の電圧を正確に検出するためにバッテリー16の+側端子の近傍に接続されている。車両側の配線は中間接合用カプラーを1〜3箇所経由する場合があり、そのような配電では各中間接合用カプラーでのエンジン振動に起因した瞬間的な接触不良が生じやすく、このような瞬間的な断線が生じたときに誤って上述した端子外れ警報が作動してしまう。このような警報作動は顧客に不安感を与えるため、端子Sの外れが検出された場合にバッテリー電圧検出用端子を端子Bへ変更してバッテリー16の充電電圧制御を継続できることから、顧客が端子外れ警報機能の設置を希望しないことがある。
この一実施の形態では、顧客の多様な要求に対応するため、誘電体分離半導体で構成された集積回路に予め内蔵された機能の動作と非動作を切り換えるための切り替えスイッチを内蔵している。図5は1チップ電圧制御用ICレギュレーター14の構造を示す図、図6は電圧制御用ICレギュレーター14のピン14aの配列パターンを示す図である。なお、この一実施の形態では図4〜図6に示す1チップ電圧制御用ICレギュレーター14を例に挙げて説明するが、電圧制御用ICレギュレーターはこの一実施の形態に示す形態に限定されない。1チップ電圧制御用ICレギュレーター14は、誘電体分離半導体で構成された集積回路14bを端子数20ピン14a(丸数字はピン番号を示す)のモールドパッケージに実装した構造を有する。集積回路14bは外部端子とアルミワイヤもしくは金線で接続された後、モールド樹脂でコーテイングされた構造をしている。この一実施の形態では、18番ピン(丸数字18)をスイッチ端子SW2、20番ピン(丸数字20)をスイッチ端子SW1に割り当て、端子SW1をLRC機能の制限(禁止)用端子として用い、端子SW2をS端子外れ警報の制限(禁止)用端子として用いている。
図4に示す電圧制御用ICレギュレーター14の回路図を参照して、スイッチ端子SW1とスイッチ端子SW2の動作を説明する。端子SW1が開放されているときは、IC内部電源VCCを抵抗器147と抵抗器148で分圧した電圧が端子SW1に印加されている。ここで、抵抗器147を10KΩ、抵抗器148を50KΩ、電源VCCを5Vとすると、端子SW1の電圧は4.17Vになる。比較器150のマイナス側入力端子に印加される基準電圧149を2Vとすると、比較器150はプラス側入力端子を優先してハイレベル信号を出力し、このハイレベル出力は判断回路151へ入力される。判断回路151は、ハイレベル信号が入力されているときは電圧制御部157へLRC機能の制限(禁止)信号を出力しない。次に、端子SW1がGNDに接続されると、比較器150のプラス側入力端子の電圧がほぼ0Vとなり、比較器150はローレベル信号を出力する。判断回路151は、ローレベル信号が入力されているときは電圧制御部157へLRC機能の制限(禁止)信号を出力する。その結果、電圧制御部157はLRC機能の制限(禁止)動作を実行する。
端子SW2が開放されているときは、IC内部電源VCCを抵抗器152と抵抗器153で分圧した電圧が端子SW2に印加されている。抵抗器152を10KΩ、抵抗器153を50KΩ、電源VCCを5Vとすると、端子SW2の電圧は4.17Vになる。比較器155のマイナス側入力端子に印加される基準電圧154を2Vとすると、比較器155はプラス側入力端子を優先してハイレベル信号を出力し、このハイレベル出力は判断回路156へ入力される。判断回路156は、ハイレベル信号が入力されているときは電圧制御部157へS端子外れ警報の制限(禁止)信号を出力しない。次に、端子SW2がGNDに接続されると、比較器155のプラス側入力端子の電圧がほぼ0Vになり、比較器155はローレベル信号を出力する。判断回路156は、ローレベル信号が入力されているときは電圧制御部157へS端子外れ警報の制限(禁止)信号を出力する。その結果、電圧制御部157はS端子外れ警報の制限(禁止)動作を実行する。
次に、スイッチ端子SW1とSW2の開放とGND接続の切り替え方法を説明する。図7は変換アダプター21を上から見た図であり、端子配列を示す。この変換アダプター21は一つのモ−ルド型を用いて製作され、1種類の変換アダプター21で一実施の形態の1チップ電圧制御用ICレギュレーター14を含む多くの1チップ電圧制御用ICレギュレーターに対応できる。変換アダプター21は複数の接続導体(銅または銅合金製の配線材料)が樹脂によりモールドされており、接続導体の一端が1チップICレギュレーター14のピン14aと接続され、他端がICケースの端子と接続される。
変換アダプター21は、モールド端子内部のターミナルが順送型で成形されており、1層目と2層目(B端子用ターミナル)の2種類のターミナルで構成される。変換アダプター21の1チップICレギュレーター14の集積回路(ICチップ)部位と対向する部位には矩形の貫通穴26が設けられており、この貫通穴26には銅板などの配材(接続導体)が露出している。貫通穴26に露出した配材の2カ所に切断雇い、すなわち切断可能な配材部210、211(図中の■印部)が設けられており、必要に応じて切断することができる。図1に示す変換アダプター21の切断可能な配材部210、211が、図7に示す変換アダプター21の貫通穴26に露出した切断可能な配材部210、211に対応する。
切断可能な配材部210、211を切断するか否かによって、電圧制御用ICレギュレーター14のスイッチ端子SW1、SW2を開放にするか、GNDに接続するかを設定することができ、上述した多様な顧客要求に対応することができる。表1に、スイッチ端子SW1、SW2を開放にするか(Open)、GNDに接続するか(GND)に応じたLRC動作およびS端子外れ警報動作の有り、無しを示す。
Figure 2011004536
切断可能な配材部210、211を切断するかまたは切断しないかによって、簡便に顧客の要求に応えることができる。なお、車両用交流発電機1の工場出荷時には、変換アダプター21の切断可能な配材部210、211は切断されておらず、スイッチ端子SW1、SW2はともにGNDに接続されている。
図8は、1チップ電圧制御用ICレギュレーター14を変換アダプター21へ取り付ける方法を示す。また、図9は1チップ電圧制御用ICレギュレーター14を変換アダプター21へ取り付けた状態を示し、図10はヒートシンク50、1チップ電圧制御用ICレギュレーター14および変換アダプター21をICケース52に組み込んだ状態を示す。変換アダプター21には、1チップ電圧制御用ICレギュレーター14を定位置に固定するための4本の位置決めガイド23a、23b、23c、23dと、固定用のスナップフィット24a、24bが設けられている。これらのガイドおよび固定用部材により電圧制御用ICレギュレーター14が変換アダプター21上に固定されると、1チップICレギュレーター14に集積回路(図8に破線で示す)14bが変換アダプター21の貫通穴26に正確に対向するとともに、電圧制御用ICレギュレーター14の各ピン14a(図5参照)と、変換アダプター21の各端子25a〜25gとが接触し、図9に示すように両者が溶接27により接合される。変換アダプター21から出ている他方の各端子22a〜22fは、図10に示すように、ヒートシンク50、電圧制御用ICレギュレーター14および変換アダプター21をICケース52に組み込んだ後、ICケース52の各端子と溶接28により接合される。
この一実施の形態では、1種類の変換アダプター21を用いることによって、他種類の1チップ電圧制御用ICレギュレーター14およびハイブリッド型電圧制御用ICレギュレーター14Aを、多種類のICケース52と組み合わせることができる。従来は、図11に示すように、ハイブリッド型電圧制御用ICレギュレーター14Aを使用し、溶接接合用のパッドをセラミック基板上の両サイドに配置し、パッドをはんだ接合で固定していた。このパッドとフォーミングしたワイヤをまず溶接し、次にこの溶接接合したICレギュレーター組み立て品をICケース52にセットし、ICケース52の各端子とワイヤを各々溶接接合し、最後に接着剤でICケース52、ハイブリット型電圧制御用ICレギュレーター14Aおよびヒートシンク50Bを固定していた。
今回、この従来のICケース52を流用し、変換アダプター21を導入することによって、多種類のICケース52をいちいち新設する必要がなくなり、従来のハイブリット型電圧制御用ICレギュレーター14Aと全く構造の異なる1チップ電圧制御用ICレギュレータ14を従来のICケース52に実装させることが可能になる。また、従来の多機種におよぶICケース52は、従来のハイブリッド型電圧制御用ICレギュレーター14Aを180度回転させた状態で、ICケース52に接続する組合せも存在したが、上述した変換アダプター21はこのような組み合わせに対しても対応可能である。上述したように、変換アダプター21は1種類のモールド型により製作されるため、型代および製造上の管理を大幅に削減できる。このように、多くの機能を盛り込んだデュアルインラインパッケージタイプの1チップ電圧制御用ICレギュレーター14と変換アダプター21とを組み合わせることによって、非常に安価にかつ多機種、多機能の顧客ニーズに応えることが可能になる。
上述した実施の形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。まず、界磁巻線13が巻装された回転子13aと、電機子巻線11が巻装された固定子鉄心11aと、界磁巻線13に流れる電流を調節して電機子巻線11に誘起される電圧を制御する電圧制御用ICレギュレーター部とを備えた車両用交流発電機において、電圧制御用ICレギュレーター部に、パッケージの両側2列に複数のピンが配列されたデュアルインラインパッケージ型の1チップICレギュレーター14を用いるようにしたので、ICレギュレーターへの入出力配線がパッケージの片側に集中せず、信号系と電力系の入出力配線のレイアウトに自由度を持たせることができ、電力系配線から信号系配線へのノイズ混入や特性ロスを防止できる上に、パッケージを固定したときのパッケージにかかる応力をパッケージ全体に分散させることができる。
次に、一実施の形態によれば、1チップICレギュレーター14を変換アダプター21を挟んでICケース52に装着し、変換アダプター21では、複数の接続導体が樹脂によりモールドされ、接続導体の一端が1チップICレギュレーター14のピン14aと接続され、接続導体の他端がICケース52の端子と接続されるようにしたので、変換アダプターを用いて従来の他種類のハイブリッド型ICレギュレーターと他種類の1チップICレギュレーターをICケースに装着することができ、非常に安価にかつ多機種、多機能の顧客ニーズに応えることが可能になる。
一実施の形態によれば、変換アダプター21の1チップICレギュレーター14の集積回路(ICチップ)14aの部位と対向する部位に貫通穴26を設けたので、集積回路に応力がかかるのを防止できる。なお、貫通穴26の代わりに、変換アダプター21の1チップICレギュレーター14の集積回路(ICチップ)14aの部位と対向する部位に凹部を設けてもよい。
一実施の形態によれば、変換アダプター21の貫通穴26または凹部から露出した接続導体の一部に切断雇いを設け、1チップICレギュレーター14のピン14aを開放状態にするか、またはICケース52の端子に接続するかを任意に選択可能としたので、1チップICレギュレーターに搭載した複数の機能を使用するか否かを簡便に設定することができ、安価にかつ多機種、多機能の顧客ニーズに応えることが可能になる。
1;車両用交流発電機、11;電機子巻線、11a;固定子鉄心、12;三相全波整流器、13;界磁巻線、13a;回転子、14;電圧制御用1チップICレギュレーター、14a;ピン、14b;集積回路、21;変換アダプター、22a〜22f;端子、23a〜23d;ガイド、24a、24b;スナップフィット、25a〜25g;端子、26;貫通穴、50;ヒートシンク、52;ICケース、210、211;切断雇い

Claims (9)

  1. 界磁巻線が巻装された回転子と、
    電機子巻線が巻装された固定子と、
    前記界磁巻線に流れる電流を調節して前記電機子巻線に誘起される電圧を制御する電圧制御用ICレギュレーター部とを備えた車両用交流発電機において、
    前記電圧制御用ICレギュレーター部は、パッケージの両側2列に複数のピンが配列されたデュアルインラインパッケージ型の1チップICレギュレーターを有することを特徴とする車両用交流発電機。
  2. 請求項1に記載の車両用交流発電機において、
    前記電圧制御用ICレギュレーター部は、前記1チップICレギュレーターが変換アダプターを挟んでICケースに装着されており、
    前記変換アダプターは、複数の接続導体が樹脂によりモールドされ、前記接続導体の一端が前記1チップICレギュレーターの前記ピンと接続され、前記接続導体の他端が前記ICケースの端子と接続されることを特徴とする車両用交流発電機。
  3. 請求項2に記載の車両用交流発電機において、
    前記変換アダプターの前記1チップICレギュレーターのICチップ部位と対向する部位に貫通穴または凹部を設けたことを特徴とする車両用交流発電機。
  4. 請求項3に記載の車両用交流発電機において、
    前記変換アダプターの前記貫通穴または凹部から露出した前記接続導体の一部に切断雇いを設け、前記1チップICレギュレーターの前記ピンを開放状態にするか、または前記ICケースの前記端子に接続するかを任意に選択可能としたことを特徴とする車両用交流発電機。
  5. 請求項2〜4のいずれか一項に記載の車両用交流発電機において、
    前記変換アダプターに接続される前記1チップICレギュレーターは、90度異なるいずれかの向きに接続可能としたことを特徴とする車両用交流発電機。
  6. 請求項2〜5のいずれか一項に記載の車両用交流発電機において、
    前記界磁巻線に電流を供給するブラシの取り付け方向に対して、前記電圧制御用ICレギュレーター部を90度異なるいずれかの向きに配置可能としたことを特徴とする車両用交流発電機。
  7. 請求項2〜6のいずれか一項に記載の車両用交流発電機において、
    前記変換アダプターの前記接続導体の材質を銅または銅合金としたことを特徴とする車両用交流発電機。
  8. 請求項2〜7のいずれか一項に記載の車両用交流発電機において、
    前記変換アダプターに前記1チップICレギュレーターを接続する際の位置決め用部材と固定用部材を設けたことを特徴とする車両用交流発電機。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の車両用交流発電機において、
    前記1チップICレギュレーターに接着剤または放熱用シリコンを介して放熱用ヒートシンクを装着することを特徴とする車両用交流発電機。
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