以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1乃至図12は本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1は透過型表示装置および面光源装置の概略構成を示す斜視図である。図2および図3は、第1光学シートを示す主切断面における断面図である。図4〜図8は、第1単位形状要素の配列方向および各第1単位形状要素の長手方向の両方に交差する方向に進んで第1光学シートから出射する光の屈折を説明するための図である。図9〜図11は、第1光学シートの出光面での輝度の面内分布を説明するための図である。図12は、輝度の角度分布を示すグラフである。
図1に示された透過型表示装置10は、透過型表示部15と、透過型表示部15の背面側に配置され透過型表示部15を背面側から面状に照らす面光源装置20と、を備えている。透過型表示部15は、面光源装置20からの光の透過または遮断を画素毎に制御するシャッターとして機能し、画像を形成する装置である。
本実施の形態において、透過型表示部15は、液晶パネル(液晶セル)から構成されている。つまり、透過型表示装置10は液晶表示装置として機能する。液晶パネル(透過型表示部)15は、一対の偏光板16,17と、一対の偏光板間に配置された液晶層18と、を有している。偏光板16,17は、入射した光を直交する二つの偏光成分に分解し、一方の方向の偏光成分を透過させ、前記一方の方向に直交する他方の方向の偏光成分を吸収する機能を有している。
液晶層18には、一つの画素を形成する領域毎に、電界印加がなされ得るようになっている。そして、電界印加された液晶層18の配向は変化するようになる。入光側に配置された下偏光板16を透過した特定方向の偏光は、電界印加された液晶層18を通過する際にその偏光方向を90°回転させ、電界印加されていない液晶層18を通過する際にその偏光方向を維持する。このため、液晶層18への電界印加の有無によって、下偏光板16を透過した特定方向の偏光が、下偏光板16の出光側に配置された上偏光板17をさらに透過するか、あるいは、上偏光板17で吸収されて遮断されるか、を制御することができる。
このようにして液晶パネル(透過型表示部)15では、面光源装置20からの光の透過または遮断を画素毎に制御し得るようになっている。なお、液晶パネル(液晶セル)の構成は、従来の液晶表示装置に組み込まれている装置(部材)と同様に構成することができ、ここでは、これ以上の詳細な説明を省略する。
ところで、この明細書において、「出光側」とは、進行方向を折り返されることなく光源25から透過型表示部15を経て観察者へ向かう光の進行方向における下流側(観察者側、図2および図3においては紙面の上側)のことであり、「入光側」とは、進行方向を折り返されることなく光源25から透過型表示部15を経て観察者へ向かう光の進行方向における上流側のことである。
次に、面光源装置20について説明する。面光源装置20は、図1に示すように、光源25と、光源25からの光を透過させるシート状の光学部材28と、を有している。光学部材28は、面光源装置20の最出光側に配置され、発光面(出光面)を構成する。そして、この光学部材28は、透過型表示部15の下偏光板16と隣り合うようになる。また、図1に示す例においては、光を拡散させる光拡散シートが、設けられていない。
面光源装置20は、直下型のバックライトユニットとして構成されている。このため、光源25は光学シート40の入光側において光学部材28と対面するようにして配置されている。また、光源25は、反射板22によって背面側から覆われている。反射板22は、光学シート40の側に開口部(窓)を有する箱状に形成されている。
本実施の形態において、光源25は、線状に延びる複数の発光部25aを有している。線状に延びる複数の発光部25aは、その長手方向が互いに並行となるように並べて配置されている。すなわち、線状に延びる複数の発光部25aは、ある仮想の平面上に、並列配置されている。発光部25aは、例えば、線状の冷陰極管等の蛍光灯から構成され得る。ただし、この例に限られず、光源25が、点状のLED(発光ダイオード)や白熱電球、面状のEL(電場発光体)等の種々の態様の発光部を有するようにしてもよい。
反射板22は、図1に示すように、光源25からの光を光学部材28の側へ向けるための部材である。反射板22の少なくとも内側表面は、例えば金属等の高い反射率を有する材料からなっている。
次に、光学部材28について説明する。本実施の形態において、光学部材28は、第1光学シート30と、第1光学シート30の出光側に配置された第2光学シート40と、を有するシート状の部材として構成されている。光学部材28は、そのシート面が、光源25の発光部25aが配列された仮想平面と平行になるようにして、光源25の発光部25aと対面するようにして配置されている。
このシート状の光学部材28は、入光側から入射した光の進行方向を変化させて出光側から出射させ、正面方向ndおよびその近傍の方向における輝度を集中的に向上させる機能(集光機能)を有している。また、シート状の光学部材28は、光源25の構成に起因した、より具体的には、発光部25aの配列に起因した輝度のムラ(管ムラとも呼ばれる)を緩和して、輝度の面内分布を均一化させて光源25の発光部25aの像を目立たなくさせる機能(光拡散機能)も併せ持っている。
なお、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。
また、本明細書において「シート面(フィルム面、板面)」とは、対象となるシート状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材の平面方向と一致する面のことを指す。そして、本実施の形態においては、第1光学シート30のシート面、第1光学シート30の後述する第1本体部32のシート面、第2光学シート40のシート面、第2光学シート40の後述する第2本体部42のシート面、面光源装置20の発光面、および、透過型表示装置10の表示面等は、互いに平行となっている。
さらに、本明細書において「正面方向」とは、光学部材28のシート面に対する法線の方向nd(例えば図2参照)であり、第1光学シート30のシート面への法線方向、第2光学シートのシート面への法線方向、および、面光源装置20の発光面の法線方向等にも一致する。
まず、入光側に配置された第1光学シート30について説明する。第1光学シート30は、上述した集光機能および光拡散機能の両方を発揮するようになる。ただし、第1光学シート30は、主として第1単位形状要素35の配列方向と平行な面において集光機能を発揮する。すなわち、第1光学シート30の集光機能は、主として、第1単位形状要素35の配列方向と平行な面における輝度の角度分布に影響を及ぼし得る。
図1に示すように、第1光学シート30は、シート状の第1本体部32と、第1本体部32の出光側に位置する第1レンズ部34と、を有している。第1レンズ部34は、シート状の第1本体部32の出光側面32a上に並べて配列された多数の第1単位形状要素(単位光学要素、単位レンズ)35を有している。本実施の形態においては、第1単位形状要素35が第1本体部32の出光側面32a上に隙間無く配置されている。この結果、第1光学シート30の出光面30aは、第1単位形状要素35の出光面35aのみによって構成されている。
なお、本明細書において、「レンズ」の語は球面等の曲面から構成されるいわゆる狭義のレンズの他、平面から構成されるいわゆる狭義のプリズム、及び、曲面と平面とで構成される光学素子を包含する広義の意味で用いる。
図2および図3は、第1光学シート30の第1本体部32のシート面の法線方向ndおよび第1単位形状要素35の配列方向の両方に平行な断面(「第1光学シートの主切断面」とも呼ぶ)において、第1光学シート30を示している。なお、図2および図3に示された断面は、図1のII−II線に沿った断面にも対応する。
図2および図3に示すように、第1本体部32は、第1単位形状要素35を支持するシート状部材として機能する。図2および図3に示すように、本実施の形態において、第1本体部32の出光側面32a上には、第1単位形状要素35が隙間をあけることなく並べて配置され第1本体部32上に第1レンズ部34を形成している。その一方で、図2および図3に示すように、本実施の形態において、第1本体部32は、出光側面32aに対向する入光側面32bとして、第1光学シート30の入光面30bをなす平坦(平ら)で平滑な面を有している。
なお、本明細書で用いる「平滑」とは、光学的な意味合いでの平滑を意味するものである。すなわち、ここでは、或る程度の割合の可視光が、第1光学シート30の入光面30b(第1本体部32の入光側面32b)においてスネルの法則を満たしながら屈折するようになる程度を意味している。したがって、例えば、第1本体部32の入光側面32b(第1光学シート30の入光面30b)の十点平均粗さRz(JISB0601)が最短の可視光波長(0.38μm)以下となっていれば、十分、平滑に該当する。
次に、第1単位形状要素35について詳述する。図1に示すように、第1単位形状要素35は、第1単位形状要素35の配列方向と交差する方向に線状に延びている。本実施の形態において、第1単位形状要素35は直線状に延びている。また、第1単位形状要素35の長手方向は、第1本体部32のシート面と平行な面上において、第1単位形状要素35の配列方向に直交している。図1に示すように、第1単位形状要素35の配列方向は光源25の発光部25aの長手方向と交差している。本実施の形態においては、第1単位形状要素35の配列方向が光源25の発光部25aの長手方向と直交しており、各第1単位形状要素35の長手方向が各発光部25aの長手方向と平行となっている。
図1に示すように、本実施の形態において、第1光学シートの主切断面における各第1単位形状要素35の断面形状は、第1単位形状要素35の長手方向(直線状に延びている方向)に沿って一定となっている。また、第1光学シート30の第1レンズ部34を形成する複数の第1単位形状要素35は、全て同様に構成されている。以下において、第1光学シート30に含まれる第1単位形状要素35の主切断面における断面形状についてさらに詳細に説明する。
図2および図3に示すように、本実施の形態において、第1光学シートの主切断面における各第1単位形状要素35の断面形状は、出光側に向けて先細りしていく形状となっている。つまり、第1光学シートの主切断面において、第1本体部32のシート面と平行な第1単位形状要素35の幅は、第1本体部32の法線方向ndに沿って第1本体部32から離間するにつれて小さくなっていく。
また、図3に示すように、第1光学シートの主切断面において、第1単位形状要素35の外輪郭は、つなぎ合わされた三以上の弧(円弧または楕円弧)から、本実施の形態においては三つの楕円弧A1,A2,A3から、構成されている。互いにつなぎ合わされた隣り合う二つ弧(弧A1および弧A2、並びに、弧A2および弧A3)は、つなぎ合わせ部分において、共通する接線CTLを有している。すなわち、隣り合う二つの弧は連続的に接続している。これにより、第1光学シート30の出光面30aにおける輝度の角度分布をなだらかに変化させることができ、観察方向を変化させた際に明るさが急激に変化すること(カットオフが発生すること)を防止することができる。
また、本実施の形態においては、第1光学シートの主切断面における第1単位形状要素35の外輪郭は、第1本体部32の法線方向ndと平行な軸を対称軸として、線対称となっている。これにより、第1光学シート30の出光面30aにおける輝度の角度分布は、第1単位形状要素35の配列方向に平行な面において、正面方向を中心として対称となる。
さらに、図3に示すように、第1単位形状要素35の外輪郭への接線TLが主切断面において第1本体部32のシート面(本実施の形態においては、第1本体部32の出光側面32a)に対してなす角度(「出光面角度」とも呼ぶ)θaは、接線TLの第1単位形状要素35への接点TPが、第1本体部32の法線方向ndに第1本体部32から最も離間した第1単位形状要素35の外輪郭(出光面)35a上の頂部35b1から、第1本体部32の法線方向ndにおいて第1本体部32に隣接する第1単位形状要素35の外輪郭(出光面)35a上の両端部35b2へ向かうにつれて、大きくなっていく。なお、ここでいう、出光面角度θaが「大きくなっていく」とは、出光面角度θaが常に大きく変化していくこと(図2および図3に示された本実施の形態における態様)だけではなく、少なくとも一部の領域において出光面角度θaが変化しない場合も含む概念である。すなわち、ここでいう、出光面角度θaが「大きくなっていく」とは、接点TPが外輪郭(出光面)35a上の頂部35b1から外輪郭(出光面)35a上の端部35b2へ向かう際に、出光面角度θaが「小さくなることがない」ことを意味している。
また、本実施の形態においては、次の式(4)が満たされるように、第1単位形状要素35が構成されている。式(4)が満たされるように第1単位形状要素35が構成されると、図2に示すように、一つの発光部25a1で発光され第1光学シートの主切断面と平行な方向に進む光L21が、一つの発光部25a1から第1光学シート30まで一直線状に進んで第1光学シート30へ入射して、その後、一つの発光部25a1と当該一つの発光部25a1と隣り合う他の発光部25a2との中間位置CPに対面する位置に配置された第1単位形状要素35の端部35b2へ入射した場合に、当該光L31が第1単位形状要素35の端部35b2で屈折することにより、当該光L31の進行方向が第1光学シートの主切断面において第1本体部32の法線方向ndを越えない範囲で変化して、当該光L31の進行方向と第1本体部32の法線方向ndとによってなされる角度が小さくなるようになる。つまり、第1単位形状要素35の端部35b2での屈折により、光L31の進行方向は第1光学シート30の法線方向に対する傾斜角度が小さくなるように変化するが、光L31の進行方向が第1光学シート30の法線方向に対して傾斜する側(例えば、図2に示された光L31では、出光側に向け、単位形状要素35の配列方向における紙面の右側)は、変化しないようになっている。結果として、後に詳述するように、優れた正面方向輝度および正面方向輝度の面内均一性を維持しながら、光源光の利用効率を向上させることができ、またこれにともなって、輝度の角度分布をなだらかに変化させることが可能となる。
θaa < Arcsin(n×sin((θaa)-Arcsin(sin(Arctan(d/h/2))/n))) ・・・式(4)
なお、式(4)中において、dは、光源25に含まれる隣り合う二つの発光部25aの、第1本体部32のシート面へ沿った、第1光学シートの主切断面における離間距離である。より厳密には、図2および図3に示すように、dは、隣り合う二つの発光部25aの中心間の離間距離である。hは、図2および図3に示すように、光源25の発光部25から第1光学シート30までの、第1本体部32の法線方向ndに沿った、第1光学シートの主切断面における離間距離である。より厳密には、図2および図3に示すように、hは、光源25の発光部25aの中心と第1光学シート30の入光面30bとの間の離間距離である。θaaは、図3に示すように、第1光学シートの主切断面において第1単位形状要素35の端部35b2への接線TLと第1本体部32のシート面とによってなされる角度(以下において、出光面底角とも呼ぶ)である。
また、第1光学シートの主切断面において、第1単位形状要素35の外輪郭35aへの接線TLが第1本体部32のシート面に対して45°以上(90°以下)の角度をなすようになるのは、第1単位形状要素35の外輪郭35aへの接線TLの接点TPの位置が、第1本体部32のシート面と平行な方向において、第1単位形状要素35の全幅のうちの85%以下を占める領域にある場合となっていることが好ましい。すなわち、出光面角度θaが出光面35aの端部35b2から頂部35b1へ向けて小さくなっていく第1単位形状要素35においては、第1光学シートの主切断面において、第1単位形状要素35の端部35b2から第1本体部32のシート面と平行な方向に第1単位形状要素35の幅の42.5%の長さ分だけずれた位置での出光面角度θaが(0°以上)45°以下となっていることが好ましい。加えて、第1光学シートの主切断面において、第1単位形状要素35の外輪郭35aへの接線TLが第1本体部32のシート面に対して(0°以上)10°以下の角度をなすようになるのは、第1単位形状要素35の外輪郭35aへの接線TLの接点TPの位置が、第1本体部32のシート面と平行な方向において、第1単位形状要素35の全幅のうちの少なくとも5%を占める領域にある場合となっていることが好ましい。すなわち、出光面角度θaが出光面35aの頂部35b1から端部35b2へ向けて大きくなっていく第1単位形状要素35においては、第1光学シートの主切断面において、第1単位形状要素35の頂部35b1から第1本体部32のシート面と平行な方向に第1単位形状要素35の幅の2.5%の長さ分だけずれた位置での出光面角度θaが(0°以上)10°以下となっていることが好ましい。
本件発明者らが実験を重ねたところ、以上のように設計された第1光学シート30によれば、正面方向から第1単位形状要素35の配列方向に大きく傾斜した方向(例えば60°〜80°傾斜した方向)に輝度の不要なピークが形成されてしまうことを防止し得ることが、確認された。すなわち、第1単位形状要素35の配列方向における輝度の角度分布に特異点が形成されてしまうことを防止し、これにより、サイドローブの発生を防止することができた。
また、本件発明者らが実験を重ねたところ、以上のように設計された第1光学シート30を含む光学部材28によれば、正面方向から傾斜した方向から面光源装置20または表示装置10を観察した場合における明るさの面内バラツキを十分に目立たなくさせ得ることが、確認された。すなわち、以上のように設計された第1光学シート30を含む光学部材28によれば、正面方向から傾斜した方向の輝度の面内分布を十分に均一化させることができる。
その一方で、第1光学シートの主切断面において、第1単位形状要素35の外輪郭35aへの接線TLが第1本体部32のシート面に対して(0°以上)45°以上の角度をなすようになるのは、第1単位形状要素35の外輪郭35aへの接線TLの接点TPの位置が、第1本体部32のシート面と平行な方向において、第1単位形状要素35の全幅のうちの少なくとも75%の領域にある場合となっていることが好ましい。すなわち、出光面角度θaが出光面35aの端部35b2から頂部35b1へ向けて小さくなっていく第1単位形状要素35においては、第1光学シートの主切断面において、第1単位形状要素35の端部35b2から第1本体部32のシート面と平行な方向に第1単位形状要素35の幅の37.5%の長さ分だけずれた位置での出光面角度θaが45°以上(90°以下)となっていることが好ましい。加えて、第1光学シートの主切断面において、第1単位形状要素35の外輪郭35aへの接線TLが第1本体部32のシート面に対して(0°以上)10°以下の角度をなすようになるのは、第1単位形状要素35の外輪郭35aへの接線TLの接点TPの位置が、第1本体部32のシート面と平行な方向において、第1単位形状要素35の全幅のうちの15%以下を占める領域にある場合となっていることが好ましい。すなわち、出光面角度θaが出光面35aの頂部35b1から端部35b2へ向けて大きくなっていく第1単位形状要素35においては、第1光学シートの主切断面において、第1単位形状要素35の頂部35b1から第1本体部32のシート面と平行な方向に第1単位形状要素35の幅の7.5%の長さ分だけずれた位置での出光面角度θaが10°以上(90°以下)となっていることが好ましい。本件発明者らが実験を重ねたところ、以上のように設計された第1光学シート30を含む光学部材28によれば、十分に優れた正面方向輝度が確保され得ることが、確認された。
以上のような構成からなる第1単位形状要素35の具体例として、第1単位形状要素35の幅W(図3参照)を1μm〜200μmとすることができる。また、第1光学シート30のシート面への法線方向ndに沿った第1本体部32の出光側面32aからの第1単位形状要素35の突出高さH(図3参照)を0.25μm〜50μmとすることができる。
そして、このような第1光学シート30は、押し出し加工により、あるいは、基材上に第1単位形状要素35を賦型することにより、極めて容易に作製することができる。第1光学シート30をなす材料としては、種々の材料を使用することができる。ただし、表示装置に組み込まれる光学シート(集光シート)用の材料として広く使用され、優れた機械的特性、光学特性、安定性および加工性等を有するとともに安価に入手可能な材料、例えば、例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル等の一以上を主成分とする透明樹脂や、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)が好適に使用され得る。このような表示装置に組み込まれる光学シート(集光シート)用の材料として広く使用されている材料を用いた場合、作製された第1光学シート30の第1単位形状要素35の屈折率は1.45〜1.60の範囲内となる。
次に、光学部材28の第2光学シート40について説明する。第2光学シート40は、上述した集光機能、すなわち、入光側から入射した光の進行方向を変化させて出光側から出射させて正面方向(法線方向)ndの輝度を集中的に向上させる機能を有したシート状の部材である。ただし、第2光学シート40は、主として第1光学シート30の第1単位形状要素35の配列方向と交差する方向において集光機能を発揮するようになっている。すなわち、第2光学シート40の集光機能は、主として、第1光学シート30の第1単位形状要素35の配列方向と交差する面における輝度の角度分布に影響を及ぼし得るようになっている。第2光学シート40は、以上のような集光機能を発揮し得る種々のシート状部材として構成され得る。図1に示された本実施の形態における第2光学シート40は、一例であって、上述した第1光学シート30と概ね同様の構成を有している。
図1に示すように、本実施の形態における第2光学シート40は、シート状の第2本体部42と、第2本体部42の出光側に位置する第2レンズ部44と、を有している。第2レンズ部44は、シート状の第2本体部42の出光側面42a上に並べて配列された多数の第2単位形状要素(単位光学要素、単位レンズ)45を有している。本実施の形態においては、第2単位形状要素45が第2本体部42の第2出光側面42a上に隙間無く配置されている。この結果、第2光学シート40の出光面は、第2単位形状要素45の出光面のみによって構成されている。
第2単位形状要素45は、第2本体部42の出光側面42a上に並べて配列されている。図1に示すように、第2単位形状要素45は、第2単位形状要素45の配列方向と交差する方向に線状に延びている。本実施の形態において、第2単位形状要素45は直線状に延びている。また、第2単位形状要素45の長手方向は、第2本体部42のシート面と平行な面上において、第2単位形状要素45の配列方向に直交している。
また、図1に示すように、第2光学シート40の第2単位形状要素45の配列方向は、第1光学シート30の第1単位形状要素35の配列方向と交差している。本実施の形態においては、第2光学シート40の第2単位形状要素45の配列方向は、第1光学シート30の第1単位形状要素35の配列方向と直交している。そして、本実施の形態において、第2光学シート40の第2単位形状要素45の配列方向は、光源25の発光部25aの長手方向と平行に延び、第2光学シート40の第2単位形状要素45の長手方向は、各発光部25aの長手方向と直交している。
また、第2本体部42の法線方向ndおよび第2単位形状要素45の配列方向の両方に平行な切断面(「第2光学シートの主切断面」とも呼ぶ)における各第2単位形状要素45の断面形状は、図2および図3に示された第1単位形状要素35と、同様に構成され得る。図1から理解され得るように、本実施の形態においては、第2光学シートの主切断面における第2単位形状要素45の断面形状は、楕円の一部分または円の一部分に相当する形状を有している。また、第2光学シートの主切断面における第2単位形状要素45の断面形状は、第2単位形状要素45の長手方向(直線状に延びている方向)に沿って一定となっている。さらに、第2レンズ部44を形成する複数の第2単位形状要素45は、全て同様に構成されている。ただし、図示する例に限られず、第2光学シート40以外の面光源装置20の構成、例えば光源25の構成等に応じて、第2単位形状要素45の構成を適宜変更してもよい。
以上のような構成からなる第2単位形状要素45の具体例として、第2単位形状要素45の幅を1μm〜200μmとすることができる。また、第2光学シート40のシート面への法線方向ndに沿った第2本体部42の出光側面42aからの第2単位形状要素45の突出高さを0.25μm〜50μmとすることができる。そして、このような第2光学シート40は、上述した第1光学シート30と同様の方法により、かつ、上述した第1光学シート30と同様の材料を用いて形成され得る。
なお、本件発明者らが実験を重ねたところ、第2光学シートの主切断面において、第2本体部42のシート面に平行な方向に沿った第2光学シート40の第2単位形状要素45の幅Wを、第2本体部42の法線方向ndに沿った第2本体部42からの第2単位形状要素45の高さHの1.5倍以上2.5倍以下とすることが、上述した第1光学シート30との組み合わせにおいて好ましいことが知見された。第2単位形状要素45の幅Wおよび第2単位形状要素45の高さHをこの範囲内に設定した場合、この範囲外に設定した場合と比較して、正面方向輝度を効果的に上昇させることができるためである。
次に、以上のような第1光学シート30、光学部材28、面光源装置20および透過型表示装置10の作用について説明する。
まず、透過型表示装置10および面光源装置20の全体的な作用について説明する。
光源25の発光部25aで発光された光は、直接または反射板22で反射した後に観察者側に進む。観察者側に進んだ光は、光学部材28の第1光学シート30に入射する。
図2に示すように、第1光学シート30の第1単位形状要素35から出射する光L21〜L28は、第1単位形状要素(単位レンズ)35の出光面(レンズ面)において屈折する。この屈折により、正面方向ndから傾斜した方向に進む光L21〜L28の進行方向(出射方向)は、主として、第1光学シート30へ入射する直前における光の進行方向と比較して、第1光学シート30のシート面への法線方向ndに対する角度が小さくなるように、曲げられる。このような第1光学シート30の作用により、第1単位形状要素35は、透過光の進行方向を正面方向nd側に絞り込むことができる。すなわち、第1単位形状要素35は、透過光に対して集光作用を及ぼすようになる。
そして、第1光学シート30へ入射する前と第1光学シート30から出射した後での光の進行方向の角度変化量は、正面方向ndから大きく傾斜して第1光学シート30へ入射する光(例えば、図2における光L21,L25)に対して大きくなる。つまり、第1単位形状要素35の集光作用は、正面方向ndから大きく傾斜して進む光に対して、より効果的に及ぼされる。
ここで、図2に示されているように、反射板22で反射されて第1光学シート30へ入射する光を除くと、すなわち、光源25の発光部25aから、直接、第1光学シート30へ入射する光L21〜L28については、当該光の第1光学シート30への入射位置が第1光学シート30のシート面と平行な方向に光源25の発光部25aから離れるにしたがって、第1光学シート30への入射角度θ1が大きくなる。すなわち、一直線状に進んで第1光学シート30へ直接入射する光源光(以下において「直接入射光」とも呼ぶ)については、入射位置が発光部25aから離れるにしたがって、第1光学シート30の法線方向ndに対する傾斜角度が大きくなっていく。この結果、光源25の発光部25aから離れた領域に入射する光に対して、集光作用を効果的に及ぼすことができる。
その一方で、図2に示すように、正面方向ndに対する進行方向の傾斜角度が小さい光L24は、単位形状要素35の出光面(レンズ面)において全反射を繰り返し、その進行方向を入光側(光源側)へ転換することもある。このため、光源25からの光が小さな入射角度θ1で直接入射するようになる光源25の発光部25aの直上位置において、輝度が高くなり過ぎることを防止することができる。
このように、光源25の発光部25aからの離間距離に依存して透過光に対して第1単位形状要素35から主として及ぼされる光学的作用が相違する。これにより、光源25の発光部25aの配列に応じて発生する輝度ムラ(管ムラ)を効果的に低減し、光源の像(ライトイメージ)を目立たなくさせることもできる。すなわち、第1光学シート30は、輝度の面内バラツキを均一化させる光拡散機能も有している。このような光拡散機能は、第1光学シート30の第1単位形状要素35の配列方向と光源25の発光部25aの長手方向とが交差するようにして、光源25に対して第1光学シート30を配置することにより、発揮されるようになる。とりわけ、このような光拡散機能は、図1に示すように、第1光学シート30の第1単位形状要素35の配列方向と光源25の発光部25aの長手方向とが直交するようにして、すなわち、第1光学シート30の単位形状要素35の配列方向と光源25の発光管25aの配列方向とが平行となるようにして、光源25に対して第1光学シート30を配置することによって、より効果的に発揮されるようになる。
以上のようにして、第1光学シート30から出射する光の出射角度は、第1光学シート30の単位形状要素35の配列方向と平行な面において、正面方向を中心とした狭い角度範囲内に絞り込まれる。
光学部材28の第1光学シート30を出光した光は、その後、光学部材28の第2光学シート40へ入射する。第2光学シート40は、第1光学シート30での作用と同様にして(例えば、図2の光L26〜L28に対する作用と同様にして)、第2単位形状要素45の出光面での屈折により、透過光に対して集光作用を及ぼすようになる。つまり、第2光学シート40では、第1光学シート30で集光させられた光に対し、さらに集光作用が及ぼされるようになる。
ただし、第2光学シート40でその進行方向を大きく変化させられる光は、主として、第2光学シートの主切断面と平行に進む成分であり、第1光学シート30で集光させられた成分とは異なる。つまり、第2光学シート40は、第2単位形状要素45の配列方向と平行な方向において、正面方向を中心とした狭い角度範囲内に光の進行方向を絞り込むようになり、その一方で、第1光学シート30は、第1単位形状要素35の配列方向と平行な方向において、正面方向を中心とした狭い角度範囲内に光の進行方向を絞り込むようになる。したがって、第2光学シート40での光学的作用によって、第1光学シート30で上昇されられた正面方向輝度を害すことなく、さらに、正面方向輝度を上昇させることができる。
第1光学シート30および第2光学シート40からなる光学部材28を出射した光は、透過型表示部15の下偏光板16に入射する。下偏光板16は、入射光のうち、一方の偏光成分を透過させ、その他の偏光成分を吸収する。下偏光板16を透過した光は、画素毎への電界印加の状態に応じて、選択的に上偏光板17を透過するようになる。このようにして、透過型表示部15によって、面光源装置20からの光を画素毎に選択的に透過させることにより、透過型表示装置10の観察者が、映像を観察することができるようになる。
ここで、第1光学シート30および第2光学シート40からなる光学部材28で及ぼされる作用について、さらに詳しく説明しておく。
まず、主に図2および図3を参照して、第1光学シートの主切断面と平行に進んで光源25の発光部25aから第1光学シート30へ直接入射する光に対して及ぼされる作用について説明する。
一般的に、集光シートとして用いられる第1光学シート30の単位形状要素35の配列間隔は、光源25の発光部25aの配列間隔に比べて非常に小さくなる。したがって、一つの発光部25aから第1光学シート30へ一直線状に進んで第1光学シート30へ直接入射する光(第1光学シート30への直接入射光)について検討すると、図3に示すように、一つの第1単位形状要素35の出光面35aの各部に入射する光L31〜L35の進入角度(図2および図3参照:第1光学シート30内における光の進行方向が第1光学シート30の法線方向ndに対してなす角度)θ2は、当該第1単位形状要素35への入射位置によらず、略一定とみなせる。また、上述したように、本実施の形態においては、出光面角度θaは頂部35b1から端部35b2へ向けて大きくなっていく。このような第1単位形状要素35の入射光に対する集光機能は、出光面35の頂部35b1から端部35b2へ向けてしだいに強くなっていく。
結果として、一つの第1単位形状要素35へ入射する直接入射光L32〜L35について考えると、図3に示すように、光の入射位置が単位形状要素35の頂部35b1から離間してから端部35b2に近付くにつれて、当該光の出射方向は、正面方向に近付き、さらには、正面方向を越えて曲げられて透過してきた単位形状要素35の外輪郭35aに接近していく(例えば、図3の光L33)。そして、直接入射光が単位形状要素35の端部35b2近傍に入射すると、出光面35aで全反射して入光側に戻ることもある(例えば、図3の光L32)。したがって、第1単位形状要素35の出光面35aのうちで最も強い集光機能を有する端部35b2に入射する直接入射光が、端部35b2での屈折により、正面方向を越えて曲げられるようになっている場合(例えば、図2の光L23)、すなわち、当該直接入射光の出射方向が第1光学シート30の法線方向ndよりも当該光が透過した第1単位形状要素35の側に傾斜している場合には、第1光学シート30の出光面30aで高い正面方向輝度を期待することができる。このような第1単位形状要素35から出射する直接入射光には、正面方向へ出射する光(例えば、図3の光L34)が必ず含まれるようになるからである。
ところで、発光部25aから遠く離れていない位置に配置された第1単位形状要素35の端部35b2から出射する直接入射光L23の出射方向、すなわち、第1光学シート30への入射角度θ1が比較的に小さくなる直接入射光L23の第1単位形状要素35からの出射方向は、端部35b2での屈折により、法線方向ndを越えて曲げられ得る。その一方で、上述したように本実施の形態においては、二つの発光部25aの中間位置CPに対面する部分へ進んだ直接入射光L21,L25,L31の進行方向は、当該位置に配置された第1単位形状要素35の端部35b2における屈折により、正面方向を越えない範囲で、曲げられるようになっている。したがって、本実施の形態において、二つの発光部25aの中間位置CPおよびこの近傍の領域から第1光学シート30を出射する直接入射光L21,L31は、正面方向以外の方向に出射することになる。このため、第1光学シート30の出光面30aを正面方向から観察した場合、図9(a)、図9(b)および図9(c)に示すように、隣り合う二つの発光部25aの間の領域Zbでの明るさが、その他の領域Zaでの明るさと比較して、暗くなってしまう。
なお、隣り合う二つの光源25の発光部25aの中間位置CPに対面する第1単位形状要素35の端部35b2へ入射する直接入射光L31については、以下の式(5)〜式(9)が成り立つ。ここで、式(5)〜式(9)中における各角度θaa,θ1,θ2,θ3,θ4、θ5は、図3に示すとおりである。すなわち、θ1は、第1光学シート30への入射角度(第1光学シート30への入射面の法線方向(本実施の形態においては、第1本体部32のシート面の法線方向)に対する光の傾斜角度)である。θ2は、第1本体部32内を透過する際の傾斜角度である。θ3は、第1単位形状要素35の出光面35aに対する入射角度(第1単位形状要素35の出光面35aの法線方向に対する光の入射方向の傾斜角度)である。θ4は、第1単位形状要素35の出光面35aに対する出射角度(第1単位形状要素35の出光面35aの法線方向に対する光の出射方向の傾斜角度)である。θ5は、第1光学シート30の法線方向に対して出射方向がなす角度、すなわち出射角度である。また、式中のnは第1光学シート30(第1単位形状要素35および第1本体部32)をなす材料の屈折率の値である。また、式(5)中の、dおよびhは、上述の式(4)中で用いたものと同じである。
tan(θ1) = d/2/h ・・・式(5)
sin(θ1) = n × sin(θ2) ・・・式(6)
θ3 = θaa - θ2 ・・・式(7)
sin(θ4) = n × sin(θ3) ・・・式(8)
θ5 = θaa - θ4 ・・・式(9)
ここで、図3に示すように、第1単位形状要素35の端部35b2から出射する直接入射光L31の出射方向が、当該端部35b2を通る法線方向ndを中心として、透過してきた第1単位形状要素35とは反対の側となるためには、次の式(10)のように、式(9)中の角度θ5が0°よりも大きくなっていなければならない。そして、式(5)〜式(8)を用いて、式(10)を記載し直すと、上述した式(4)の条件が得られるようになる。
θ5 = θa - θ4 > 0 ・・・式(10)
θaa < Arcsin(n×sin((θaa)-Arcsin(sin(Arctan(d/h/2))/n))) ・・・式(4)
第1単位形状要素35の出光面35aでの屈折に関するこれまでの説明は、第1光学シートの主切断面と平行に進んで第1光学シート30を透過する光についての説明である。次に、図4〜図8を参照しながら、第1光学シートの主切断面に対して傾斜して進み光源25の発光部25aから第1光学シート30へ直接入射する光に対して及ぼされる作用ついて説明する。
図4は、隣り合う二つの発光部25aの中間位置CPに対面する位置に配置された第1光学シート30の第1単位形状要素35を示す斜視図である。図4に示された第1単位形状要素35の出光面35aの端部35b2では、第1光学シートの主切断面に対して傾斜した方向に進んで第1光学シート30へ入射した直接入射光L41と、第1光学シートの主切断面と平行に進んで第1光学シート30へ入射した直接入射光L42と、が屈折している。また、図6〜図8は、それぞれ、図4に示された第1光学シート30(第1単位形状要素35)を出光側、正面側、および、側方から示す図である。
図4に示された直接入射光L41,L42は、位置Aにおいて、第1光学シート30へ入射している。第1光学シートの主切断面に対して傾斜して進む光L41は、その後、第1単位形状要素35の端部35b2に位置する位置Bを介し、第1光学シート30から出射している。一方、第1光学シートの主切断面と平行に進む光L42は、位置Aを介して第1単位形状要素35に入射した後、第1単位形状要素35の端部35b2に位置する位置Baを介し、第1光学シート30から出射している。
第1光学シートの主切断面と平行に進んで第1光学シート30へ入射した直接入射光L42は、図2における光L21および図3における光L31と同一光路を取る光である。そして、この光L42については、第1光学シートの主切断面において、スネル法則に基づき屈折を検討すればよい。
一方、第1光学シートの主切断面に対して傾斜して進む直接入射光L41については、出射位置Bにおける出光面35aへの接面TSに直交する面Paであるとともに、直接入射光L41の出射位置Bへの進入方向(つまり、直接入射光L41の第1光学シート30内における進行方向)と平行な面Paにおいて、スネル法則に基づいた屈折を検討しなければならならい。本例では、位置Aと、位置Bと、位置Aからの接面TSに対する垂線が接面TSと交差する位置C(垂線の足)と、によって画定される面Paにおいて、直接入射光L41の屈折を検討しなければならない。図5には、位置Aと、位置Bと、位置Cと、を通過する平面Paが示されている。また、この平面Paにおいて、直接入射光L41が第1単位形状要素35から出射する際の界面は、位置Bと位置Cとを結ぶ直線で表される。そして、出射界面をなす直線B−Cが特定されることによって、直接入射光L41の第1単位形状要素35の出光面35aへの入射角度θ3a(図5参照)が特定され、スネルの法則に従って、さらに直接入射光L41の出射方向が特定されるようになる。
ところで、図7に示された正面図(第1光学シートの主切断面にも相当)および図4に示された斜視図から理解され得るように、第1単位形状要素35の長手方向から観察した際に第1単位形状要素35内を同一方向に進む二つの光L41,L42を比較した場合には、第1光学シートの主切断面に対して傾斜して進む光L41の出光面35aへの入射角度θ3a(図5参照)が、第1光学シートの主切断面と平行に進む光L42の出光面35aへの入射角度θ3(図7参照)よりも大きくなる。したがって、第1光学シートの主切断面と平行に進む光L42の出光面35aへの入射角度θ3が全反射臨界角度を超えている場合には、第1光学シートの主切断面に対して傾斜して進む光L41の出光面35aへの入射角度θ3aも全反射臨界角度を超えることになる。つまり、つまり、第1光学シートの主切断面と平行に進む光L42が、第1単位形状要素35の出光面35aで全反射している場合には、第1光学シートの主切断面に傾斜して進む光L41も全反射することになる。
その一方で、第1光学シートの主切断面と平行に進む光が平行に進む光L42が、第1単位形状要素35の出光面35aで全反射していない場合には、第1光学シートの主切断面に傾斜して進む光L41も全反射せず出射する可能性がある。とりわけ、図示するように、第1光学シートの主切断面と平行に進む光L42が、その進行方向が正面方向を越えないようにして、第1単位形状要素35の出光面35aで屈折する場合には、第1光学シートの主切断面に傾斜して進む光L41の出射方向は、第1単位形状要素35の配列方向からの視野(図8)では正面方向から傾斜しているものの、第1単位形状要素35の長手方向からの視野(図7)では正面方向に平行となり得る。
このため、図9、図10および図11に示すように、第1光学シート30の出光面30aの観察角度θvを、正面方向から第1単位形状要素35の長手方向に傾斜させていくと、隣り合う二つの発光部25aの間に存在していた明るさの暗い部分の幅がしだいに細くなっていき、最終的に、明るさの明るい部分同士がくっつくようになる。それどころか、このように正面方向から第1単位形状要素35の長手方向に傾斜した方向から観察した場合、正面から観察した際に暗かった領域(隣り合う二つ発光部25aの間に対面する領域)Zbが、正面から観察した際に明るかった領域(発光部25aの直上の領域およびその周囲の領域)Zaよりも明るくなる傾向がある。正面から観察した際に明るかった領域Zaに配置された第1単位形状要素35の出光面35aでは、第1光学シートの主切断面と平行に進む直接入射光が正面方向まで屈折される。そして、第1光学シートの主切断面に対して傾斜して進む直接入射光は、このような出光面35aに入射した際に、全反射しやすくなるためである。
なお、第1光学シート30へ入射する光には、光源25の発光部25aから第1光学シートへ一直線状に直接入射する直接入射光だけでなく、反射板22で反射されて入射する拡散光も存在する。ただし、第1光学シート30の出光面35aにおける輝度の面内分布は主として直接入射光の透過分布によって支配され、反射板22からの拡散光は、直接入射光に起因した輝度の面内分布を緩和させるに過ぎない。
以上のことから、第1光学シート30の出光面35における輝度の面内分布については、正面方向輝度に関して、隣り合う二つの光源25の発光部25aの中間位置CPに対面する位置およびその近傍の領域(図9(a)の領域Zb)において暗くなる。一方、正面方向から第1単位形状要素35の長手方向に傾斜した方向での輝度の面内分布については、観察角度θvにも依存するが、逆に隣り合う二つの光源25の発光部25aの中間位置CPに対面する位置およびその近傍の領域(図9(a)の領域Zb)において明るくなる傾向がある。
その後、光学部材28の第1光学シート30から出射した光は、第2光学シート40へ入射する。上述したように第2光学シート40は、第2単位形状要素45の配列方向に沿った面内、言い換えると、第1単位形状要素35の長手方向に沿った面内において、光の進行方向を正面方向および正面方向を中心とした狭い角度範囲に集中的に絞り込むように、機能する。したがって、正面方向から第1単位形状要素35の長手方向に傾斜した方向に、第1光学シート35の出光面35aから出射していた光L101,L111は、第2光学シート40の出光面(第2単位形状要素45の出光面)での屈折により、その出射方向を正面方向に向けられ得る。すなわち、正面方向から第1単位形状要素35の長手方向に傾斜した方向へ向けて第1光学シート35の出光面35aから出射していた光L101,L111は、第2光学シート40で及ぼされる集光作用により、光学部材28の出光面における正面方向輝度の上昇に貢献する光となる。
上述したように、第1光学シート30の出光面30aのうちの隣り合う二つの発光部25aの中間位置CPに対面する位置を含む領域Zbにおいて、多くの光L101,L111が、正面方向から第1単位形状要素35の長手方向に傾斜した方向に出射するようになる。すなわち、第1光学シート30の出光面30aにおいては、隣り合う二つの発光部25aの中間位置CPに対面する位置を含む領域Zbにおける正面方向輝度が低く、輝度の面内バラツキが発生する。その一方で、第2光学シート40の出光面においては、第2光学シート40での集光作用により、隣り合う二つの発光部25aの中間位置CPに対面する位置を含む領域Zbにおける正面方向輝度を効果的に上昇させることができる。
ところで、特許文献1では、隣り合う二つの発光部25aの中間位置CPに対面する単位形状要素の端部に入射した光の出射方向が、当該端部での屈折により、端部を通過する集光シートの法線方向ndと光が透過してきた単位形状要素の外輪郭との間の範囲に向けられることが、好ましいとされている。すなわち、図3における角度θ5が0°以下となることが好ましいとされてきた。確かにこのような集光シートによれば、全ての単位形状要素において、正面方向に出射する直接入射光を確保することができる。これにより、優れた正面方向輝度および優れた正面方向輝度の均一性を期待することができる。
一方、本実施の形態では、第1光学シート30の出光面30aにおいて、一部の領域Zbにおける正面方向輝度が低下し、これにともなって、十分な正面方向輝度の面内均一性を確保することができない可能性もある。しかしながら、上述してきたように、第1光学シート30の出光側に配置されるとともに第1光学シート30とは異なる方向における集光機能を有した第2光学シート40を第1光学シート30と組み合わせることにより、一部の領域Zbにおける正面方向輝度を集中的に上昇させることができる。
この結果、第2光学シート40の出光面(本実施の形態では、光学部材28の出光面、さらには面光源装置20の発光面に相当)において、正面方向輝度の面内バラツキは解消され、優れた正面方向輝度、および、正面方向輝度の優れた面内均一性を確保することができる。本件発明者が実験を重ねたところ、図示する実施の形態にように光源25と光学部材28との間に拡散板を設けることなく、市販されている液晶表示装置(液晶テレビ)において必要とされる輝度の面内均一性が確保され得ることが、確認された。
また、第1光学シート30の出光面30aのうちの隣り合う二つの発光部25aの中間位置CPに対面する位置を含む領域Zbにおける正面方向輝度の上昇に貢献する光L101,L111(図10および図11参照)は、上述してきたように、第1光学シートの主切断面に対して傾斜して進む直接入射光である。このような光を利用可能としたのは、第1光学シート30の第1単位形状要素35の集光性を弱めたことに起因している。
一方、特許文献1に開示された従来好ましいとされてきた集光シートにおいては、隣り合う二つの発光部25aの中間位置CPに対面する位置に配置された単位形状要素も十分に強い集光機能を有している。したがって、第1光学シートの主切断面に対して傾斜して進む直接入射光L101,L111は、単位形状要素へ入射した際に全反射しやすくなり、結果として多くの光が、光源25の側に戻されるようになる。光源25の側に戻された光は反射を繰り返すことによって再利用可能となるが、反射を繰り返す度に損失が発生してしまう。したがって、多量の光を反射によって光源側に戻すと、光の利用効率を低下させることになる。
すなわち、本実施の形態においては、従来好ましいとされてきた集光シートにおいて、利用されていなかった光を利用することができる。そして、このように光源光の利用効率を上昇させながら、優れた正面方向輝度、および、正面方向輝度の優れた面内均一性を維持することを可能としている。これにより、図12に示すように、広角度領域における輝度を改善することができ、結果として、視野角の拡大することができるとともに、輝度の角度分布をなだらかに変化させることができる。
なお、図12は、本件発明者らが種々条件を変更して行った多数の実験のうちの一つで計測された輝度の角度分布を示している。図12中の実線は、上述してきた本実施の形態における面光源装置と同一の構成を有する面光源装置に対する測定結果である。これに対して、図12中の点線は、実線の実験に用いられた面光源装置の第1光学シートを別の集光シートに置き換えて構成された面光源装置に対する測定結果である。点線の実験に用いられた面光源装置の集光シートは、特許文献1に開示された集光シートと同様に、図3に示されたθ5が0°なるように構成されていた。
以上のような本実施の形態によれば、入光側の第1光学シート30の集光機能を調節しておくことにより、全反射されて光源25の側に戻されていた光L101,L111が第1光学シート30を透過し得るようにしている。すなわち、第1光学シート30の集光機能を調節することによって、光の利用効率を改善することを可能にしている。また、第1光学シート30の集光機能を調節することによって第1光学シート30を透過するようになった光L101,L111に対し、出光側の第2光学シート40から集光作用を効果的に及ぼすことができる。この結果、優れた正面方向輝度および優れた正面方向輝度の面内均一性を維持しながら、輝度の角度分布をなだらかに変化させることを可能としている。
なお、以上の実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、変形の一例について説明する。
例えば、上述した実施の形態において、第1光学シート30の第1単位形状要素35が互いに隣接して配置されている例を示したが、これに限られない。例えば、図13に示すように、隣り合う二つの第1単位形状要素35間に平坦部38が形成されていてもよいし、図14に示すように、隣り合う二つの第1単位形状要素35間に凹部39が形成されていてもよい。
なお、変形例を説明するための図13および図14において、図1〜図12に示す上述の実施の形態と同一に構成され得る部分には同一符号を付している。
また、上述した実施の形態において、第1光学シート30の第1単位形状要素35がすべて同一の構成を有する例を示したが、これに限られない。一例として、一枚の第1光学シート30内に異なる形状を有した単位形状要素が含まれていてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、第2光学シート40の一例を説明したが、上述した第2光学シート40は単なる例示に過ぎず、種々の変更を行うことができる。例えば、第2光学シート40の第2単位形状要素45の断面形状が、主切断面において、円形状の一部分または楕円形状の一部分からなっている例を示したが、これに限られない。第2単位形状要素45の断面形状を、例えば、三角形等の多角形形状にしてもよい。その他、第1光学シート30の第1単位形状要素35の配列方向と交差する方向において集光機能を発揮し得る種々の部材から、第2光学シート40を構成することができる。
さらに、上述した実施の形態において、面光源装置20の光源25の発光部25aが、線状に延びる冷陰極管からなる例を示したが、これに限られない。光源25として、点状のLED(発光ダイオード)や面状のEL(電場発光体)等からなる発光部を有するようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、第1光学シート30が組み込まれた光学部材28、面光源装置20および透過型表示装置10の全体構成の一例を説明したが、この例に限られず、適宜変更することができる。例えば、種々の機能を有した光学シート(一例として、光拡散シート)等を、光学部材28,面光源装置20および透過型表示装置10にさらに組み込んでもよい。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。