JP2010537925A - ガラス溶融方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、ガラスの製造のための原料を溶融させるべく粉体燃料を熱源として燃焼させる方法に関する。本方法は、分配手段における空気圧移送のための圧力下で粉体燃料と空気又はガスとの混合物の制御された流れを供給し、粉体燃料と空気又はガスとの混合物を供給手段から分配手段に向けて放出し、分配手段からガラス溶融炉のガラス溶融領域にある複数のバーナのそれぞれに向かう粉体燃料と空気又はガスとの混合物を制御された態様に調整し、ガラス溶融炉のガラス溶融領域にあるバーナによって粉体燃料を燃焼させる一方でガラスの溶融のための制御された加熱を行うべく高熱効率で燃焼火炎を与え、耐火材料によりガラス溶融炉内の粉体燃料の侵食及び摩耗作用を弱める。耐火材料は、シリカ−アルミナ−ジルコン、マグネサイト、クロム−マグネサイト、マグネシア−アルミナスピネル、アルミナ−ケイ酸、ジルコン−ケイ酸、酸化マグネシウム等である。
Description
本発明はガラス溶融方法に関する。詳しくは、粉体燃料を使用してガラスを溶融する方法に関する。
ガラスの溶融は、製品の最終特性に応じて、溶融過程及び精製過程の熱効率も考慮して、様々なタイプの炉及び燃料で行われている。ガラスを(ガス燃料によって)溶融させるべくユニット溶融炉が使用されている。かかる炉は、当該炉の側部沿いに複数のバーナを有する。ユニット全体は煙突がある密閉箱に類似する。当該煙突は、開始となるフィーダ又は炉の下流方向最終端のいずれかに配置することができる。しかし、ガラスが出てくる高温運転炉には、きわめて大きい熱損失がある。例えば1370℃(2500°F)では、煙道ガスの熱は、天然ガス燃焼炉への入熱の62パーセントである。
煙道ガスの余熱を利用するべく、再生炉と称される複雑かつ高価な設計が登場した。ガラス溶融再生炉を運転するべく、並んで配置される一対の密閉再生器に複数のガスバーナが接続される。各再生器は、下部チャンバと、当該下部チャンバ上部の耐火構造体と、当該構造体上部の上部チャンバとを有する。各再生器は、各上部チャンバを当該炉の溶融精製チャンバとに接続するポートを有する。バーナは、天然ガス、鉱油、重油、その他の気体燃料又は液体燃料のような燃料を燃焼させるように構成される。当該燃料はガラス溶融炉での使用に適し、チャンバ内のガラス原料を溶融精製するための熱を供給する。溶融精製チャンバは、ドッグハウスが位置する一端においてガラス原料が供給され、他端には溶融ディストリビュータを有する。溶融ディストリビュータは一連のポートを含み、これらのポートを通じて溶融精製チャンバから溶融ガラスが取り除かれる。
バーナは、いくつかの可能な構成で取り付けることができる。例えば、スルーポート構成、サイドポート構成、又はアンダーポート構成がある。燃料例えば天然ガスは、燃焼サイクル中に各再生器からやってくる予熱空気の流入ストリーム内にバーナから供給される。その結果生じる火炎とこの火炎の中で作られた燃焼生成物とが、溶融ガラスの表面にわたって広がり、熱を溶融精製チャンバ中のガラスへ伝達する。
運転時、再生器は、燃焼空気サイクルと排熱サイクルとが交互に切り換わる。特定の炉によっては、20分又は30分ごとに、火炎の通路が逆転する。各再生器の目的は、冷気の場合に当てはまるような高効率及び高火炎温度を可能とする排熱を貯蔵することにある。
ガラス溶融炉を運転するべく、バーナへの供給燃料及び供給燃焼空気が、現存の酸素及び可燃材料の量をポート口及び構造体頂部にて測定することにより制御される。これにより、溶融チャンバ内または溶融チャンバ沿いの複数の点において、供給燃料の完全燃焼に必要な量を供給燃焼空気が下回らないことを保証できる。
過去において、ガラスを溶融するべく使用される燃料は石油の蒸留から得られる重油であった。長年この種の燃料が利用されていたが、この種の重油には、硫黄、バナジウム、ニッケルその他の重金属のような原油由来の不純物が存在するので、環境規制の強化により、重油の削減が強く求められている。この種の重油は、SOx、NOx及び微粒子のような汚染物質を生成する。近年、ガラス産業は、清浄な燃料として天然ガスを使用している。蒸留からの石油残留物の液体ストリームに入って来る重金属及び硫黄は全て、天然ガスに含まれていない。しかし、天然ガスの火炎に生じる高温は、NOxを他の汚染物質よりも多く作り出すのにきわめて有効であった。この意味では、天然ガスを発火させるための低NOxバーナを開発するべく多くの努力が払われてきた。さらに、NOxの生成を防止するべく、様々な技術が開発されている。その一例は、燃焼過程のための空気を酸素で代用するオキシ燃料技術である。この技術は、空気の浸透を避けなければならないので、耐火物を特別に用意したユニット溶融炉を必要とする点で不都合である。酸素の使用によっても高温の火炎が生成されるが、窒素の不存在下では、NOxの生成は大幅に減少する。
オキシ燃料過程の他の不都合な点は、酸素自体の費用である。その費用を安くするべく、溶融過程に必要な酸素を供給する酸素プラントを炉のそばに配置する必要がある。
しかし、エネルギー費用(主として天然ガス)の継続的急騰によって、大手のフロートガラス製造業者は、トラック何台分もの板ガラスに「追加料金」を加えるのを余儀なくされた。天然ガスの価格は、以前の概算を大きく上回り、今年は120%以上(メキシコだけで、又は他の国で)高くなった。
ガラス産業の業界関係者の間における全体的合意は、卸業者がこれらの新しい「追加料金」を監視せざるを得ないであろうし、また、その「追加料金」を認めざるを得ない可能性が最も高いであろう、ということである。
従来技術を考慮し、本発明は、蒸留塔の石油残留物に由来する固体燃料を用いて溶融費用を削減するべく様々な技術を適用することに関する。例えば、石油コークスが、環境的に清浄なガラス製造に使用される。
重油及び天然ガスに対するこのタイプの燃料の主な相違点は、重油が液相であり、天然ガスが気相である一方、例えば石油コークスは固体なので、物質の物理的状態にある。重油と石油コークスとは、双方とも原油の蒸留塔の石油残留物に由来するので、同種の不純物を有する。大きな相違点は、それぞれに含有される不純物の量にある。石油コークスは、ディレイド過程、フルード過程及びフレキシ過程と称する、異なった3タイプの過程で製造される。蒸留過程からの残留物は、ドラムに入れられた後、482℃〜537℃(900°F〜1000°F)まで最大36時間加熱され、その残留物から残留揮発性物質の大部分が取り除かれる。揮発性物質はコークドラムの頂部から抽出され、ドラム中の残留物質は、約90パーセントの炭素と使用された原油由来の全ての不純物とからなる硬岩である。この岩は水圧ドリル及び水ポンプを使ってドラムから抽出される。
石油コークスの典型的な組成は、炭素約90%、水素約3%、窒素約2〜4%、酸素約2%、硫黄が約0.05〜6%、他の成分が約1%である。
石油コークスの使用
石油固体燃料は、セメント産業及び火力発電産業においてすでに使用されている。ペース・コンサルタンツ株式会社(Pace Consultants Inc.)によれば、1999年における石油コークスの使用は、セメント及び火力発電に対して、それぞれ40%及び14%であった。
石油固体燃料は、セメント産業及び火力発電産業においてすでに使用されている。ペース・コンサルタンツ株式会社(Pace Consultants Inc.)によれば、1999年における石油コークスの使用は、セメント及び火力発電に対して、それぞれ40%及び14%であった。
双方の産業において、石油コークスの燃焼が直接燃焼システムとして使用されている。直接燃焼システムでは、燃料の燃焼によって生成された雰囲気が生成物と直接接触する。セメント製造の場合、生成物に要求される温度プロファイルを与えるべく回転窯が必要である。この回転窯では、燃焼ガス及び火炎と窯の耐火物とが直接接触して窯が攻撃されることを防ぐべく、溶融セメントのシェルが常に形成される。この場合、か焼製品(セメント)が燃焼ガスを吸収し、回転窯内のバナジウム、SO3及びNOxの侵食作用及び摩耗作用を防止する。
しかし、硫黄及びバナジウムの含有量が高いので、燃料としての石油コークスの使用は、ガラス産業では一般的ではない。耐火物の構造体への悪影響、及び環境問題も原因である。
耐火物に関する問題
ガラス産業ではいくつかの種類の耐火物材料が使用される。これらのほとんどが、異なる機能を達成するべく使用される。その機能には、熱的条件だけでなく、耐化学物質性、及び、化石燃料に含有される不純物に起因する機械的侵食がある。
ガラス産業ではいくつかの種類の耐火物材料が使用される。これらのほとんどが、異なる機能を達成するべく使用される。その機能には、熱的条件だけでなく、耐化学物質性、及び、化石燃料に含有される不純物に起因する機械的侵食がある。
主なエネルギー源として化石燃料を用いることは、五酸化バナジウム、酸化鉄、酸化クロム、コバルト等の、燃料中に含有される様々な種類の重金属が炉に投入されることを意味する。燃焼過程では、ほとんどの重金属が蒸発する。これは、金属酸化物の蒸気圧が低く、かつ、溶融炉の温度が高いからである。
炉から出てくる煙道ガスの化学特性は、化石燃料由来の硫黄含有量が高いので、たいてい酸性である。五酸化バナジウムもまた、硫黄煙道ガスのような酸性挙動を示す。酸化バナジウムは、塩基性耐火物への損傷源を示す金属の1つである。これは、この酸化物が、気体状態において酸性挙動をするからである。五酸化バナジウムが酸化カルシウムと激しく反応して摂氏1275度でケイ酸二カルシウムを形成することはよく知られている。
ケイ酸二カルシウムは、メルウィナイト相からモンティセライト相、そして最後にフォルステライト相を形成するまで損傷を与え続ける。フォルステライト相は、五酸化バナジウムと反応して低融点のバナジウム三カルシウムを形成する。
塩基性耐火物に引き起こされる損傷を低減するただ1つの方法は、主な塩基性耐火物中の酸化カルシウムの量を低減し、耐火物が破壊されるまで五酸化バナジウムと反応し続けるケイ酸二カルシウムの生成を防止することである。
他方、石油コークスの使用についての主な問題点は、炉内の耐火物構造に悪影響を及ぼす硫黄及びバナジウムの含有量の高さに関する。耐火物に要求される最も重要な特性は、長時間にわたって高温にさらされることへの耐性である。さらに、温度の急激な変化に耐え、溶融ガラスの侵食作用、ガスの腐食作用、及び雰囲気中の粒子の摩耗力に対して抵抗力がなければならない。
耐火物に対するバナジウムの影響は、いろいろな論文、すなわち、The Glass Industry Magazine1978年11月号及び12月号のRoy W.BrownとKarl H.Sandmeyerによる論文「上部構造体の耐火物に対するバナジン酸ナトリウムの影響」第1部及び第2部において研究された。この論文では、研究者たちが、ガラスタンクの上部構造体に通常使用されるアルミナ−ジルコニア−シリカ(AZS)、α−βアルミナ、αアルミナ、及びβアルミナのような、流動性鋳造組成物の中におけるバナジウム侵食を克服するように中心に配置される様々な鋳造耐火物を試験した。
J.R.Mclaren及びH.M.Richardsonによる論文「ケイ酸アルミニウム耐火物に対する五酸化バナジウムの作用」は、一連の実験を記載する。アルミナ含有率が73%、42%及び9%のれんがからの粉砕試料のセットに、円錐変形が行われた。各試料は、五酸化バナジウムの混合剤を単独でまたは酸化ナトリウム又は酸化カルシウムと組み合わされて含有する。
これらの結果の考察は、五酸化バナジウムの作用、五酸化バナジウムと酸化ナトリウムの作用、及び五酸化バナジウムと酸化カルシウムの作用に焦点が当てられた。結論は以下のとおりである。
1.ムライトは、1700℃までの温度で五酸化バナジウムの作用に耐えた。
2.結晶組成物、五酸化バナジウムとアルミナとの固溶体、又は五酸化バナジウムとシリカとの固溶体が形成された証拠は認められなかった。
3.五酸化バナジウムは、アルミノケイ酸塩耐火物のスラグ形成中、油灰によって鉱化剤として作用することがあるが、これは主なスラグ形成剤ではない。
4.低融点化合物が、五酸化バナジウムと酸化ナトリウム又は酸化カルシウムとにより形成される。特に五酸化バナジウムと酸化ナトリウムとにより形成される。
5.バナジン酸ナトリウム又はバナジン酸カルシウムとアルミノケイ酸塩との反応では、アルミナの多いれんがよりもシリカの多いれんがに低融点スラグが形成される。
Glass Technologyの1979年4月号である第20巻のT.S.BusbyとM.Carterによる論文「塩基性耐火物の結合鉱物に対するSO3、Na2SO4及びV2O5の影響」では、塩基性耐火物の結合鉱物であるいくつかの尖晶石及びケイ酸塩が、ともにNa2SO4及びV2O5を添加して、また、添加することなく、600〜1400℃の硫黄雰囲気において試験された。これらの鉱物における所定のMgO又はCaOが硫酸塩に変化することがわかった。その反応速度は、Na2SO4又はV2O5の存在によって増大した。これらの結果は、塩基性耐火物におけるCaO及びMgOが、排ガス中に硫黄が存在する炉内で使用されると、硫酸塩に変化し得ることを示す。硫酸カルシウムの形成は1400℃未満で起こり、硫酸マグネシウムの形成は約1100℃未満で起きる。
しかし、上述のように、耐火物に対するバナジウムの影響により、ガラス加熱炉における多くの問題点が生じており、それは全体として解決されていない。
石油コークス及び環境
石油コークスの使用に関する別の問題点は環境に関する。石油コークスの燃焼により、硫黄と、ニッケル及びバナジウムのような金属とが高い含有量で生じることで、環境問題が引き起こされている。しかし、硫黄含有率の高い(5重量%を超える)石油コークスを減らすか又は脱硫するための進展がすでに存在している。例えば、1983年6月21日にCharles P.Goforthに発行された米国特許第4,389,388号は、石油コークスの脱硫に関する。石油コークスは硫黄含有量を減らすべく処理される。粉砕されたコークスは、加圧条件下で約2〜60秒の滞留時間だけ、加熱水素と接触する。脱硫されたコークスは冶金学的用途又は電極用途に適している。
石油コークスの使用に関する別の問題点は環境に関する。石油コークスの燃焼により、硫黄と、ニッケル及びバナジウムのような金属とが高い含有量で生じることで、環境問題が引き起こされている。しかし、硫黄含有率の高い(5重量%を超える)石油コークスを減らすか又は脱硫するための進展がすでに存在している。例えば、1983年6月21日にCharles P.Goforthに発行された米国特許第4,389,388号は、石油コークスの脱硫に関する。石油コークスは硫黄含有量を減らすべく処理される。粉砕されたコークスは、加圧条件下で約2〜60秒の滞留時間だけ、加熱水素と接触する。脱硫されたコークスは冶金学的用途又は電極用途に適している。
1989年8月15日にRolf Haukに発行された米国特許第4,857,284号は、還元高炉の排ガスから硫黄を除去する処理に関する。この特許には、気体化合物に含まれる硫黄を、鉄鉱石用還元高炉の排ガスの少なくとも一部から吸収することによって除去する新規な処理が記載されている。この排ガスは、最初にスクラバで清浄化されて冷却された後に脱硫される。脱硫中は、還元高炉内で生成されたスポンジ鉄によって硫黄吸収材料が部分的に構成される。脱硫は、30℃〜60℃の範囲の温度で行われるのが好ましい。脱硫は、溶鉱炉ガスから分離されたCO2と、搬出ガスとして用いられる溶鉱炉ガス部分とにおいて行われるのが好ましい。
1990年1月16日にArturo Lazcano−Navarroらに発行された米国特許第4,894,122号は、約5重量%よりも大きい初期硫黄含有量のコークス粒子形態にある石油蒸留残留物を脱硫する方法に関する。脱硫は、順次接続された複数の流動床に基づいた連続電熱処理によって行われる。当該流動床に、コークス粒子が連続的に導入される。コークス粒子を脱硫するために必要な発熱は、各流動床内のコークス粒子を電気抵抗として使用することにより得られる。流動化コークス粒子の中へ延びる一対の電極が設けられて、当該電極及び流動化コークス粒子に電流が流される。電極のない最終流動床が設けられて、硫黄のレベルが約1重量%よりも小さくなるまで低減した後、脱硫されたコークス粒子が冷却される。
1993年11月9日にRichard B.Greenwaltに発行された米国特許第5,259,864号は、石油コークスとその中に含有された硫黄及び重金属とからなる環境上好ましくない物質を処理する方法と、溶融鉄又は半製品鋼を作る過程のための燃料と還元ガスとを溶融ガス化器に供給する方法との双方に関する。溶融ガス化器は、上部燃料供給端、還元ガス放出端、下部溶融金属・スラグ収集端、及び、溶融ガス化器中に鉄材を供給する入口を与える手段を有する。この方法は、石油コークスを上部燃料供給端から溶融ガス化器内に導入することと、酸素含有ガスを石油コークス中に吹き込んで石油コークスから少なくとも第1のコークス粒子流動床を形成することと、入口手段を通して溶融ガス化器内に鉄材を導入することと、石油コークス、酸素及び粒子状鉄材を反応させて石油コークスの大部分を燃焼させ、還元ガスと、石油コークスの燃焼により遊離した重金属を含有する溶融鉄又は半製品鋼と、石油コークスの燃焼により遊離した硫黄を含有するスラグとを製造することとを含む。
ガラス産業において考慮すべき付加的な要因は、環境、主に大気汚染の制御である。溶融炉は、ガラスプラントからの総排出量のうちの微粒子及び気体汚染物質双方の99%超に寄与する。ガラス溶融炉からの燃料排ガスは主に、二酸化炭素、窒素、水蒸気、硫黄酸化物及び窒素酸化物からなる。溶融炉から放出される排ガスは主に、燃料により発生した燃焼ガスと、この時間内に生じる化学反応に依存するバッチの溶融から生じるガスとからなる。火炎単独で加熱される炉からのバッチガスの比率は全ガス体積の3〜5%に相当する。
燃料排ガス内の大気汚染成分の比率は、発火燃料の種類、その発熱量、燃焼空気温度、バーナの設計、火炎構成、及び過剰給気に依存する。ガラス溶融炉の排ガス中の硫黄酸化物は、使用燃料及び溶融バッチから作り出される。
これらの金属酸化物及び金属水酸化物の揮発を含む様々なメカニズムが提案されている。いずれにせよ、実際の粒状物質の化学分析結果として周知なのは、その物質の70%以上がナトリウム化合物、約10%〜15%がカルシウム化合物、残りの大部分がマグネシウム、鉄、シリカ、及びアルミナということである。
ガラス溶融炉における他の重要な考慮事項はSO2の排出である。SO2の排出は、原料及び燃料に導入された硫黄による。例えば生産レベルの増加後の炉加熱時間内に、大量のSO2が放出される。SO2の排出速度は、溶融ガラスのトン当り約1.13kg(2.5ポンド)からトン当り2.27kg(5ポンド)にわたる。排ガス中のSO2濃度は、天然ガスによる溶融に対して一般に100〜300ppmの範囲である。硫黄分の高い燃料を使用すると、燃料中の硫黄1%ごとに、ガラス1トン当り約1.81kg(4ポンド)のSO2が加わる。
他方、燃焼過程の結果としてのNOxの生成が研究され、数人の著者(Acta.Physiochem.の1946年の21(4)巻におけるZeldovich,J.による「燃焼及び爆発の際における窒素の酸化」、Ann Arbor Science Publishersの1974年号の第39ページにおけるEdwards,J.B.による「燃焼:微量核種の形成及び排出」)によって説明されてきた。これらは、Zeldovichによる均一なNOx形成とEdwardsによる経験式の提示とが含まれる「ガラス製造業からのNOxの排出」に関する彼らの報告書で、アメリカ合衆国環境保護庁の大気環境計画基準局の排出基準部によって承認された。Zeldovichは、高温燃焼過程の結果としてのNO及びNO2の生成についての速度定数を編み出した。
最後に、火炎が適切に制御されて炉に可燃性空気が不足していない通常の運転条件下では、化石燃料の不完全燃焼に起因するCOその他の残留物は排ガス中にほとんど認められない。これらの核種のガス濃度は、100ppmよりも低く、おそらくは50ppmよりも低いであろうし、また、生成速度は0.2%/トンよりも低いであろう。これらの汚染物質の制御は、適切な燃焼設定をすることだけでよい。
気体排出低減に対する処理技術は基本的に、発火燃料及び原料の適切な選択、炉設計及び運転に限られる。1991年10月1日にMichael Buxelらに発行された米国特許第5,053,210号は、煙道ガスの精製方法及び装置を記載する。特に、煙道ガスが、粒状炭素担持物質の重力流移動床にある多段吸着及び触媒反応によって脱硫及びNOx除去される。粒状炭素担持物質はガスの横ストリームと接触し、重力流移動床は、ガス経路に対して直列に配列される少なくとも2つの移動床を含む。NOx除去は、第2の、又は任意の下流側の移動床で生じる。産業炉からの大量の煙道ガスを精製しなければならない場合、精製は、二酸化硫黄濃度が大きく変化するガス条痕の形成により悪影響を受ける。この不利点は、第1の移動床を出て局所的に可変の二酸化硫黄濃度勾配を有する予備精製済みの煙道ガスが、NOx除去のための反応剤としてのアンモニア添加前に反復混合を受けることで解消される。
1997年6月3日にJeng−Syanらに発行された米国特許第5,636,240号は、炉の排ガス出口で使用されるガラス炉の大気汚染制御方法及び装置に関する。これは、排ガスを噴霧型中和塔に通し、排ガスの不透明度を減少させる吸収剤(NaOH)噴霧によって硫酸塩を除去することと、空気圧粉末供給装置を使用して噴霧型中和塔とバッグハウスとの間の通路にフライアッシュ又は水酸化カルシウムを定期的に供給し、バッグハウス中のフィルタバッグの通常機能を維持することとを含む。
粉体燃料用バーナ
最後に、粉体石油コークス又はダスト石油コークスを燃焼させるには、特別なタイプのバーナ設計を考える必要がある。一般に、点火エネルギーは、バーナ火炎を点火するべく可燃性燃料−空気混合物に与えられる。石炭又は石油コークスとしての粉体燃料を燃焼させるべく、いくつかのバーナシステムが開発されている。
最後に、粉体石油コークス又はダスト石油コークスを燃焼させるには、特別なタイプのバーナ設計を考える必要がある。一般に、点火エネルギーは、バーナ火炎を点火するべく可燃性燃料−空気混合物に与えられる。石炭又は石油コークスとしての粉体燃料を燃焼させるべく、いくつかのバーナシステムが開発されている。
1983年9月1日に発行された、Uwe WiedmannらのPCT出願であるPCT/EP83/00036号は、粉体、気体、及び/または液体燃料のためのバーナを記載する。このバーナは、回転対称に開く壁及びそれに接続される排気管を備える点火チャンバを有する。チャンバ壁の中央には、燃料ジェットを受け入れるための管入口と、燃焼空気の渦を受け入れるべく前記入口を囲む給気部とが配置される。点火チャンバの内側では、燃料ジェットを混合しそれを点火温度まで加熱する熱い再循環ストリームが作られる。点火チャンバに供給される渦の空気量は、必要な全燃焼空気の一部にすぎない。チャンバ壁と排気管との間の区域には第2空気受け入れ管が設けられ、燃焼空気の別の一部が点火チャンバ内に導入され、燃料ジェットと完全に又は部分的に混合される。前記燃料ジェットとの混合物に(したがって燃焼の点火及び開始に)点火チャンバ内で関与する燃焼空気部分の合計は、必要な燃焼空気の50%を超えないように調整される。これら全ての手段を結合することによって、産業的な処理のための熱生成に特に適したバーナが与えられる。このバーナはさらに、細長い形態を備えて粒子の半径方向の片寄りが少ない火炎を燃焼チャンバ内に形成する安定点火ための中間的かつ可変の出力比を有する。
1983年11月1日にAkira Izuhaらに発行された米国特許第4,412,810号は、安定状態で燃焼を行うことのできる粉炭バーナに関する。燃焼の結果生成されるNOx、CO、及び未燃焼炭素の量が低減される。
1985年7月30日にWilliam H.Saylerに発行された米国特許第4,531,461号は、石炭その他の化石燃料等の固体燃料を粉体化し、空気ストリーム内に浮遊する当該粉体燃料を燃焼させるシステムに関する。これは主に、石膏処理窯及び冶金炉を加熱するべく使用される産業炉と組み合わされる。
1986年7月29日にKlaus Gretheに発行された米国特許第4,602,575号は、集中的内部再循環区域を備えるバーナ火炎内で石油コークスダストを燃焼する方法に関する。この石油コークスダストは、集中的内部再循環区域の、燃焼される石油コークスダストのために点火エネルギーが与えられる領域に供給される。しかし、この特許の記載によると、原油が受けた処理のタイプに応じて、石油コークスはバナジウムのような有害物質が含み得る。これは、蒸気発生器における燃焼時の腐食性化合物になるだけでなく、煙道ガスとともに「蒸気発生器」から出るときに環境をかなり汚染する。このバーナが使われるときは、これらの悪影響又は有害な発生物は、バナジウム結合添加剤を増分空気を介して燃焼部に添加することによって、かなり防止することができる。
石炭バーナについての他の開発が、1990年5月15日にDennis R.Lennonらに発行された米国特許第4,924,784号に例示されている。これは、粉体化された溶剤精製炭の、「ボイラー等」のためのバーナ内での発火に関する。
最後に、1998年11月3日にHideaki Ohtaらに発行された米国特許第5,829,367号は、高濃度及び低濃度2種類の濃度を有する粉炭混合物を燃焼させるためのバーナに関する。このバーナは、バーナパネルの高さが低められて、バーナ全体が単純化される。これらのバーナはボイラー炉又は化学産業炉に適用される。
上述のように、石油コークスの汚染を制御することに開発が集中しているが、これらは石油コークスの脱硫又は汚染除去に集中している。
他方、石油コークスがすでに他の産業で使用されているにもかかわらず、汚染ガスを吸収するのと同じ製品が、炉に対するバナジウムの侵食作用及び摩耗作用を有する場合もある(セメント産業を参照のこと)。
いずれの場合においても、汚染問題及びそれらの解決法は各産業に依存する。各産業及び炉は、様々な熱特性及び汚染物質問題を有する。また、耐火物のタイプ(これはまたエネルギー消費及び製品品質にも影響する)、炉構造、及び得られる製品に関する問題もある。
上記全てにもかかわらず、ガラス産業では今日でも、炉の耐火物構造に悪影響を与え環境にも深刻な問題となる汚染並びに高硫黄含有量及び高バナジウム含有量のような上述全ての因子を配慮した上での、ガラス原料を溶融するための石油コークスの燃焼は考えられていない。
前記の方法を全て配慮し、本発明は、石油蒸留残留物(石油コークス)由来の低コスト固体燃料の使用に関する。これにより、環境に清浄な方法で商業用ガラスを製造し、ガラス炉の耐火物への損傷リスクを低減し、雰囲気中の汚染物質の排出を低減することができる。背景技術において述べたように、この固体燃料は上述の問題があるので、ガラス材料の溶融に使用されることが考えられていない。
本発明の使用に対し、効率的燃焼を行うべく、石油コークスを供給し燃焼させる燃焼設備が開発された。本発明は排出制御システムも考慮した。このシステムは炉の後に配置されて煙道ガスを清浄にし、SOx、NOx、及び微粒子等の燃料由来の不純物の排出を防ぐ。開発された設備の統合して設備及びシステムの正しい構成を選択することによって、低コスト燃料の使用、商業用ガラスの製造、及び環境規制内の煙道ガス発生が可能となる。
上述により、本発明は、サイドポート型ガラス炉内で商業用ガラスを製造するべく、単一過程に配置されるいくつかのシステムの設計に関する。よって、サイドポート型ガラス溶融炉内で、炭素、硫黄、窒素、バナジウム、鉄、及びニッケルからなるタイプの粉体燃料が、板ガラス又はガラス容器の製造のためのガラス原料を溶融するべく燃やされる。粉体燃料を供給する手段が、ガラス溶融のサイクル中に粉体燃料を燃焼させるべく、前記ガラス溶融炉のガラス溶融領域の第1サイドポート及び第2サイドポートからなる複数ポートの各々に配置される少なくとも1つのバーナに設けられる。前記ガラス溶融炉は耐火手段を含む。耐火手段は、ガラス溶融炉の再生チャンバにおける溶融ガラスの侵食作用、燃焼ガスの腐食作用、及び、前記粉体燃料の炉内燃焼により生じる雰囲気中の粒子の摩耗力に耐える。最後に、本発明は、ガラス溶融炉内の粉体燃料の燃焼が行われた後に排ガス出口での大気汚染を制御する手段を含む。この手段は大気汚染を制御して、雰囲気における硫黄、窒素、バナジウム、鉄及びニッケルの排出を低減する。
さらに、酸化マグネシウムへの損傷のおそれを低減又は防止するべく、少なくとも98%の酸化マグネシウムを有する必要がある。この場合、耐火物を形成する原料の純度は、原料に存在する酸化カルシウムの量を低減し、かつ、溶融相の形成を遅らせる。酸化マグネシウムによって囲まれた不純物を有するこの耐火物は、主材料の中にセラミック結合が生成される高温で焼結する必要がある。
酸化マグネシウムが98%又はそれ以上の塩基性耐火物は、ガラス溶融炉の再生チャンバの頂部列に使用されることが多い。再生チャンバ又は頂部チェッカ内で使うことができる耐火物の他の例は、ジルコン−シリカ−アルミナ電鋳材料である。これは、耐火物への損傷の影響を低減する五酸化バナジウムと同様の酸性挙動も示す。
ガラス炉内の耐火物を、不純物の熱力学的分析、不純物の化学組成、及び耐火物を形成する化合物に基づいて正しく選択することにより、化石燃料に含有される不純物の影響を低減できる。
かかる発明は、特定タイプの炉に関連して記載されている。しかし、現実のバーナの使用では、粉体燃料と空気又はガスとの混合物に混合される第2の空気の使用が必要であることがわかっている。これらはすべて、燃焼サイクル中の熱損失につながる。その結果、バーナの効率が低下する。
出願人は、上記熱損失が、冷却に使用される冷気の流入に起因すると考えている。その結果、粉体燃料の消費量がわずかに増加し、燃焼後に生じるCOガスが多くなる。
本発明によれば、第1の目的は、粉体燃料と空気又はガスとの混合物を制御された態様でガラス溶融炉のガラス溶融領域にある複数のバーナのそれぞれに供給するガラス溶融方法を与えることにある。これにより、燃焼サイクルと非燃焼サイクルとの交互運転サイクルで前記バーナを運転することができる。
本発明のさらなる目的は、溶融のコストを低減するガラス溶融方法を与えることにある。
本発明のさらなる目的は、粉体燃料と空気又はガスとの混合物において最適な混合が得られるガラス溶融方法を与えることにある。これにより、燃焼の結果生じるCOガスを低減することができる。
本発明の他の利点は、ガラス溶融炉内の粉体燃料の侵食及び摩耗の影響が低減されるガラス溶融方法を与えることにある。
本発明の他の目的は、粉体燃料と空気又はガスとの混合物がバーナのそれぞれに高速で噴射されるガラス溶融方法を与えることにある。
本発明のさらなる目的は、ガラス溶融炉のチャンバを構成するべく特別の耐火物を使用するガラス溶融方法を与えることにある。これにより、前記粉体燃料の燃焼により生じる侵食及び摩耗の影響、特に、固体燃料中に汚染物質として含まれる金属であるV2O5、Fe2O3、FeO、及びNiOにより生じる影響が低減される。
本発明のさらなる目的は、化学量論的空気に対して空気が約16%過剰な連関燃料−空気として粉体燃料がガラス溶融炉へ直接供給されるガラス溶融方法を与えることにある。
本発明の他の目的は、2又は3タイプの燃料に対して同時に溶融することもできるガラス溶融炉内でのガラス溶融方法を与えることにある。一連のバーナを溶融チャンバ内に配置して、石油コークス、ガス又は重油を独立して燃焼させることができる。
本発明における他の目的は、高度に連関する固体−空気が空気圧手段によって粉体燃料に供給されるガラス溶融方法を与えることにある。
本発明におけるこれらの及びその他の目的及び短所は、添付図面に示される以下の本発明の詳細説明から当業者にとって明らかになるであろう。
本発明を特定の実施例に連関させて説明する。ここで、同じ部材は同じ数字で言及する。また、図1は本発明の一実施例のブロック図であり、後に説明するように、粉体燃料を供給しサイドポート型ガラス溶融炉の少なくとも1つのバーナA内で燃焼させるシステムを主に含む。様々な形状に形成される耐火手段Bは、ガラス溶融炉の壁、床、屋根を、単数又は複数のバーナが配置される異なる燃焼ポートの壁、床、屋根を、及び、再生チャンバのチェッカの壁、屋根、エンピレッジ(empilage)を形成する。当該耐火手段は、シリカ、アルミナ、ジルコン、マグネサイト、クロム、セラミック、アルミナ−ケイ酸、ジルコン−ケイ酸、酸化マグネシウム、又はこれらの混合物から選択される。例えば、前記耐火材料は、押型シリカ、溶融シリカ、直接鋳込みシリカ;電鋳アルミナ−シリカ−ジルコン;押型アルミナ−シリカ−ジルコン又は直接鋳込みアルミナ−シリカ−ジルコン;電鋳アルミナ(90−100%)、押型アルミナ(90−100%)、直接鋳込みアルミナ(90−100%);電鋳マグネサイト−アルミナスピネル、押型マグネサイト−アルミナスピネル、直接鋳込みマグネサイト−アルミナスピネル;電鋳マグネサイト−ジルコン−シリカ、押型マグネサイト−ジルコン−シリカ、直接鋳込みマグネサイト−ジルコン−シリカ;電鋳アルミナ−ケイ酸、押型アルミナ−ケイ酸、直接鋳込みアルミナ−ケイ酸;電鋳ジルコン−ケイ酸、押型ジルコン−ケイ酸、直接鋳込みジルコン−ケイ酸;押型直接結合98%酸化マグネシウム、押型セラミック結合98%酸化マグネシウム、直接鋳込み98%酸化マグネシウム;押型直接結合90−95%酸化マグネシウム;押型セラミック結合90−95%酸化マグネシウム;押型直接結合クロム(5−25%)−マグネサイト(50−85%);押型セラミック結合クロム(5−25%)−マグネサイト(50−85%);又は直接鋳込みクロム(5−25%)−マグネサイト(50−85%)から作られる。
温度が1350〜1450℃もの高温となるガラス溶融炉の壁、屋根及び床で使用できる他の材料は、ジルコン−シリカ−アルミナ電鋳材料である。これは、耐火物への損傷の影響を低減する五酸化バナジウムと同様の酸性挙動も示す。使用できる他のタイプの耐火物材料は、約80%のマグネシア及び約20%のケイ酸ジルコニウムを含有する材料から選択される。前記材料は、溶融ガラスの侵食力、燃焼ガスの腐食作用、及び、粉体燃料(石油コークス)の炉内燃焼で生じる雰囲気中の粒子の摩耗力に耐えるべく使用される。最後に、炉内の粉体燃料燃焼後の排ガス出口における大気汚染を制御するべく、環境制御システムCが必要となる。
異なる燃料でも、本発明に関して説明される石油コークスのような粉体燃料によって運転されるガラス溶融炉で適切に使用できる。側壁及び炉の胸壁では、電鋳又は直接鋳込みアルミナ−ジルコン−シリカ材料が使用されて、ガラス、キャリーオーバ、及びアルカリ揮発物、並びに粉体燃料の重金属汚染物質に対する耐化学物質性が与えられる。また、バッチ及びフォーム(foam)がすでに溶融していることからキャリーオーバが見出されないサイドポート炉の最後のポートには、高アルミナのような他の材料を使用できる。製造プロセスでは、異なる材料が電鋳、押型、又は直接鋳込みを受ける。また、高アルミナ及び低カルシウムの含有により、耐火物の耐化学物質性が増加する。これにより、バナジウムのような重金属と、耐火物に使用される結合剤であるケイ酸カルシウムとの化学反応が低減される。溶融炉の、火炎が存在しない精製領域では、シリカ材料が胸壁並びに炉のフロント及び切妻壁(gable walls)に好適である。壁、床からなるポート、及びポートのクラウンでは、アルミナ−ジルコン−シリカ、高アルミナ、マグネシア−アルミナスピネル耐火物を使用することができる。
なお、耐火物を作るには、電鋳、押型、及び直接鋳込みのような異なるプロセスを、それぞれに適した材料に応じて適用できる。
頂部再生器の壁及びクラウンでは、石油コークスのような粉体燃料に見出される重金属に対処するべく、良好な耐化学物質性を与えるクロム−マグネサイト、マグネサイト、及びマグネサイト−ジルコン−ケイ酸材料のような異なる材料も好適である。クラウン再生器ではシリカが使用されることが多く、これが推奨される。
頂部チェッカでは、アルミナ−ジルコン−シリカ電鋳材料、並びにマグネサイト、クロム−マグネサイト、及びマグネサイト−ジルコンーケイ酸が好適と考えられる。また、ガラス運転から、及び石油コークスのような粉体燃料の重金属ガラスから生じる異なる化合物のすべてに対処するのに化学的に好適と考えられる。
温度が低く化学的環境がアグレッシブではない下部チェッカでは、以下の耐火物が運転に好都合と考えられる。押型直接結合98%酸化マグネシウム、押型セラミック結合98%酸化マグネシウム、直接鋳込み98%酸化マグネシウム;押型直接結合90−95%酸化マグネシウム;押型セラミック結合90−95%酸化マグネシウム;直接鋳込み90−95%酸化マグネシウム;押型直接結合クロム(5−25%)−マグネサイト(50−85%);押型セラミック結合クロム(5−25%)−マグネサイト(50−85%);又は直接鋳込みクロム(5−25%)−マグネサイト(50−85%)である。
ここで、図2を参照すると、粉体燃料を供給し燃焼させるシステム(A)は、粉体石油コークスを供給しガラス溶融炉内で燃焼させるべく、各バーナ48a,48b,48c,48d,48e,48f,48g,48h、及び各バーナ50a,50b,50c,50d,50e,50f,50g,50hに接続される(図3及び図5参照)。粉体燃料を供給し燃焼させるシステム(A)は、粉体石油コークスを投入する投入システム(D)と、粉体石油コークスをガラス溶融炉内で燃焼させる燃焼システム(E)とを組み合わせて含む。投入システム(D)は、当該産業において既知の、粉体石油コークスを供給し取り扱うシステム(F)によって供給できる。
粉体燃料を供給し燃焼させるシステム(A)を図3〜図5を参照して以下に説明する。すなわち、図3及び図4は、溶融チャンバ10、精製チャンバ12、調整チャンバ14、及び、精製チャンバ12と調整チャンバ14との間のスロート16を備える再生型ガラス溶融炉の概略図を示す。精製チャンバ12の前端部18には、前炉接続部20が設けられる。前炉接続部20を通して、精製チャンバ12から溶融ガラスが取り出される。溶融チャンバ10の後端部22にはドッグハウス24が設けられる。ドッグハウス24を通して、ガラス原料がバッチ充填器26により供給される。溶融チャンバ10の各側面には、一対の再生器28,30が設けられる。再生器28,30には、各再生器28,30を溶融チャンバ10に接続する発火ポート32,34が設けられる。再生器28,30には、ガス再生チャンバ36及び空気再生チャンバ38が設けられる。双方のチャンバ36,38は下部チャンバ40に接続される。下部チャンバ40は、ダンパ42を介して排ガス用トンネル44及び煙突46へ向かって連通するように構成される。バーナ48a,48b,48c,48d,48e,48f,48g,48h、及びバーナ50a,50b,50c,50d,50e,50f,50g,50hは、ガラス溶融炉内で使用する天然ガス、石油コークス又はその他のタイプの燃料を燃焼させるべく、各発火ポート32,34のネック部52,54に各ポート32,34ごとに配置される。
このため、ガラス原料がドッグハウス24を介して溶融チャンバ10の後端部に供給されると、溶融ガラスは、バーナ48a〜48h,50a〜50hによって溶融される。そして、溶融チャンバ10から調整チャンバ14まで通過して完全に溶融するまで、前方へ浮動する。炉の運転中、再生器28,30は、燃焼空気サイクルと排気サイクルとが交互に切り換えられる。特定の炉によっては、20分又は30分ごとに、一連のバーナ48a〜48h又は50a〜50hの火炎の通路が切り換えられる。このため、各バーナ48a〜48h,50a〜50h内で生成されたる火炎及び燃焼生成物は、溶融ガラスの表面全体を通過して、溶融チャンバ10及び精製チャンバ12内のガラスに熱を伝達する。
粉体石油コークスの供給(F)
ここで、図5及び図6を参照すると、ガラス溶融炉内の、粉体燃料を供給し燃焼させるシステム(A)は、本発明の第1実施例において、ガラス溶融炉内で使用される粉体石油コークス又はその他のタイプの燃料を貯蔵するための第1貯蔵サイロ又はタンク56,58を備える。貯蔵サイロ56,58は、ワゴン列車60とサイロ56,58との間に接続される第1入口管62を介して、ワゴン又はワゴン列車60から供給される。第1主管62は、各サイロ56,58を充填するべく各サイロ56,58にそれぞれ接続される第1分岐管64,66を有する。各サイロ56,58の充填量を制御するべく、各第1分岐管64,66にはバルブ68,70が接続される。各サイロ56,58は、第1出口管72を介する真空ポンプ70の真空作用によって充填される。第1出口管72は、各サイロ56,58に接続される第2分岐管74,76を有する。各サイロ56,58を充填する真空ポンプ70によってもたらされる真空作用を制御するべく、各第2分岐管74,76にバルブ78,80が接続される。
ここで、図5及び図6を参照すると、ガラス溶融炉内の、粉体燃料を供給し燃焼させるシステム(A)は、本発明の第1実施例において、ガラス溶融炉内で使用される粉体石油コークス又はその他のタイプの燃料を貯蔵するための第1貯蔵サイロ又はタンク56,58を備える。貯蔵サイロ56,58は、ワゴン列車60とサイロ56,58との間に接続される第1入口管62を介して、ワゴン又はワゴン列車60から供給される。第1主管62は、各サイロ56,58を充填するべく各サイロ56,58にそれぞれ接続される第1分岐管64,66を有する。各サイロ56,58の充填量を制御するべく、各第1分岐管64,66にはバルブ68,70が接続される。各サイロ56,58は、第1出口管72を介する真空ポンプ70の真空作用によって充填される。第1出口管72は、各サイロ56,58に接続される第2分岐管74,76を有する。各サイロ56,58を充填する真空ポンプ70によってもたらされる真空作用を制御するべく、各第2分岐管74,76にバルブ78,80が接続される。
各サイロ56,58の底部には円錐部82,84及び重量測定コークス供給システム86,88が設けられる。これらは、粉体石油コークスを流動化して第2出口管90内への一定の放出流を確保する。ここで、粉体材料は固体燃料投入システムSD−5,SD−6,SD−7へ送られる。第2出口管90は、各サイロ又はタンク56,58の各円錐部82,84の底部に接続される第3分岐管92,94を含む。第2出口管90への粉体石油コークスの流れを制御するべく、各第3分岐管92,94にバルブ96,98が取り付けられる。
粉体石油コークス投入システム(D)
ここで本発明に係る投入システム(D)を参照すると、粉体石油コークスは、第2出口管90を介して各固体燃料投入システムSD−5,SD−6,SD−7に受け入れられる。第4分岐管100,102及び104が第2出口管90に接続されて、第1サイロ又はタンク56,58の粉体コークスが固体燃料供給システムSD−5,SD−6,SD−7に移送される。各固体燃料供給システムSD−5,SD−6,SD−7は、第2の一連のサイロ又はタンク106,108,110を含む。第2の一連のサイロ又はタンク106,108,110は、バーナ48f,48g,48h及びバーナ50f,50g,50hの各々に向けて一定の粉体コークス流を放出するべく、円錐部112,114,116と、重量測定コークス供給システム118,120,122と、エアレーションシステム124,126,128と、フィーダ130,132,134と、フィルタ136,138,140とを含む。
ここで本発明に係る投入システム(D)を参照すると、粉体石油コークスは、第2出口管90を介して各固体燃料投入システムSD−5,SD−6,SD−7に受け入れられる。第4分岐管100,102及び104が第2出口管90に接続されて、第1サイロ又はタンク56,58の粉体コークスが固体燃料供給システムSD−5,SD−6,SD−7に移送される。各固体燃料供給システムSD−5,SD−6,SD−7は、第2の一連のサイロ又はタンク106,108,110を含む。第2の一連のサイロ又はタンク106,108,110は、バーナ48f,48g,48h及びバーナ50f,50g,50hの各々に向けて一定の粉体コークス流を放出するべく、円錐部112,114,116と、重量測定コークス供給システム118,120,122と、エアレーションシステム124,126,128と、フィーダ130,132,134と、フィルタ136,138,140とを含む。
空気圧縮機142と空気タンク144とが、第2主管146によって接続される。第1入口分岐管148,150,152が第2主管146に接続され、(フィルタ136,138,140を通して)ろ過された空気を供給する。これにより、コークスは、第2の一連のサイロ又はタンク106,108,110の各々の内部へ移送される。第2主管146は、各エアレーションシステム124,126,128に接続される第1戻り分岐管154,156,158も含む。第1戻り分岐管154,156,158により、第3出口管160,162,164へのコークスの適切な流れが可能となる。これについては、後に説明する。さらに、第2入口管166が(空気タンク144の後の)第2主管146に接続される。第2入口管166は、各サイロ又はタンク56,58の上部に接続される第2入口分岐管168,170を含む。第2入口分岐管168,170は、各サイロ又はタンク56,58の内部へ空気を噴射する。
固体燃料供給システムSD−5,SD−6,SD−7は、各フィーダ130,132,134の下部に接続される第4出口管172,174,176を含む。第4出口管172,174,176の各々には、3方向調整バルブ178,180,182が第1方向側に接続される。第2方向側は第1戻り管179,181,183に接続され、過剰な粉体コークスを第2の一連のサイロ又はタンク106,108,110の各々に戻す。第3方向側は第3出口管160、162、164に接続される。第3出口管160、162、164は、以下で説明する燃焼システム(E)に関連する所定配列の4方向管184,186,188へ空気−燃料混合物を供給するべく使用される。
燃焼システム(E)
ここで燃焼システム(E)を参照すると、これは、各固体燃料供給装置SD−5,SD−6,SD−7に、4方向管184,186,188の第1方向側を介して接続される。4方向管184,186,188は、各固体燃料供給装置SD−5,SD−6,SD−7の各第3出口管160,162,164に接続される。第2方向側は第4出口管190,192,194の各々に接続され、供給空気−燃料混合物をバーナ48h,48g,48fへ供給する。4方向管184,186,188の第3方向側は、第5出口管196,198,200に接続され、空気−燃料混合物をバーナ50h,50g,50fへ供給する。4方向管184,186,188の第4方向側は、第2戻り管202,204,206に接続され、過剰な粉体コークスを第2の一連のサイロ又はタンク106,108,110の各々へ戻す。4方向管184,186,188は、4方向管184,186,188と第4出口管190,192,194、第5出口管196,198,200、及び第2戻り管202,204,206との接続部にボールバルブ208A〜208C,210A〜210C,212A〜212Cを有する。
ここで燃焼システム(E)を参照すると、これは、各固体燃料供給装置SD−5,SD−6,SD−7に、4方向管184,186,188の第1方向側を介して接続される。4方向管184,186,188は、各固体燃料供給装置SD−5,SD−6,SD−7の各第3出口管160,162,164に接続される。第2方向側は第4出口管190,192,194の各々に接続され、供給空気−燃料混合物をバーナ48h,48g,48fへ供給する。4方向管184,186,188の第3方向側は、第5出口管196,198,200に接続され、空気−燃料混合物をバーナ50h,50g,50fへ供給する。4方向管184,186,188の第4方向側は、第2戻り管202,204,206に接続され、過剰な粉体コークスを第2の一連のサイロ又はタンク106,108,110の各々へ戻す。4方向管184,186,188は、4方向管184,186,188と第4出口管190,192,194、第5出口管196,198,200、及び第2戻り管202,204,206との接続部にボールバルブ208A〜208C,210A〜210C,212A〜212Cを有する。
したがって、炉の運転中、バーナ48a〜48h又は50a〜50hは、燃焼サイクルと非燃焼サイクルとの間で交互に切り換えられる。特定の炉によっては、20分又は30分ごとに、一連のバーナ48a〜48h又は50a〜50hの火炎の通路が逆転される。第3出口管160,162,164を介して到達する空気−燃料混合物は、4方向管184,186,188及びボールバルブ208A〜208C,210A〜210C,212A〜212Cによって制御され、バーナ48a〜48hとバーナ50a〜50hとの間で空気−燃料混合物の噴射が切り換えられる。バーナ48a〜48h及びバーナ50a〜50h間の交互運転サイクルが行われると、所定量の空気−燃料混合物が第2戻り管202,204,206を介して第2の一連のサイロ又はタンク106,108,110に戻される。
第3出口管160,162,164を介して供給される供給空気は、石油コークスを移送し各バーナ48a〜48h及び50a〜50hのノズルに向けて高速でコークス噴射を行うべく使用される。供給空気は、第3主管216を介して空気圧給気ブロア214により供給される。
第4出口管218,220,222が第2主管216及び第3出口管160,162,164に接続され、バーナ48a〜48h及び50a〜50hに供給される燃料−空気混合物の高度連関性が維持される。
バーナ48a〜48h又は50a〜50hの燃焼サイクルを有効にするべく、各バーナ48a〜48h又は50a〜50hには、空気−燃料混合物が個々に供給される。この混合物は、各バーナ48a〜48h又は50a〜50hの内側管を通して供給されて、分配チャンバに到達し、各バーナ48a〜48h又は50a〜50hの多様な噴射ノズルに分配される。
各バーナ48a〜48h又は50a〜50hにおいて、粉体燃料と予熱燃焼空気との混合物と流れとの擾乱を増加させるべく、一次空気が一次空気ブロア224から噴射される。一次空気は、各バーナ48a〜48h又は50a〜50hの噴射ノズルを通して加圧状態で供給される。このため、バーナ48a〜48h又は50a〜50hの運転は空気圧移送によるコークス噴射を含む。空気圧移送は、化学量論的空気の約4%の一次空気による高度連関固体−空気を伴う。
一次空気ブロア224には、第6出口管226及び第7出口管228が接続される。第6出口管226は第5分岐管230,232,234に接続され、第7出口管228は第6分岐管236,238,240に接続される。第5及び第6の分岐管230,232,234,236,238,240各々の出口端は、各バーナ48f〜48h又は50f〜50hに直接接続される。第5及び第6の分岐管230,232,234,236,238,240各々の一次空気の流れは、所定配列の第1グローブバルブ242、第1ボールバルブ244、及び第2グローブバルブ246によって個別に制御される。
さらに、第6出口管226は第7出口管248,250,252を含む。第7出口管248,250,252はそれぞれ、第5出口管196,198,200に接続される。また、第7出口管228は第6出口管254,256,258を含む。第6出口管254,256,258はそれぞれ、第4出口管190,192,194に接続される。第6及び第7の出口管248,250,252,254,256,258各々は、チェックバルブ260及びボールバルブ262を備える。
上述の配列により、一次空気ブロア224は、第6出口管226及び第7出口管228を介して各第5及び第6分岐管230,232,234,236,238,240ごとに、一次空気をバーナ48f〜48h(左側のバーナ)又はバーナ50f〜50hへ供給する。空気ブロア224は、各バーナ48f〜48h又はバーナ50f〜50hの動作時に最大の空気流を供給するべく動作する一方で、非動作のバーナ48f〜48h又はバーナ50f〜50hには各第6及び第7の出口管248,250,252,254,256,258ごとに最小の空気流を供給する。これによって、より良好な冷却条件が保証される。
本発明は3つのバーナ48f,48g,48h及びバーナ50f、50g,50に基づいて説明されたが、本発明で説明されたシステムはすべてのバーナ48a〜48h及び50a〜50hに当てはまることを理解すべきである。
本発明の追加の実施例では、ガラスの溶融は2又は3タイプの燃料で行うことができる。例えば、図3において、バーナ48a〜48d及び50a〜50dに石油コークスのような粉体燃料を供給することができ、バーナ48e〜48h及び50e〜50hにガス又は重油を供給することができる。本発明の第3実施例では、バーナ48a〜48d及び50a〜50dに石油コークスのような粉体燃料を供給することができる。バーナ48e〜48f及び50e〜50fにガスを供給することができる。バーナ48g〜48h及び50g〜50hに重油を供給することができる。これらの組み合わせが考慮するのは、ガラス溶融を目的としてガス又は重油を主要燃料として使用するガラス溶融炉が今日すでに存在していること、これらのガス及び重油の挙動が従来技術で周知であることである。
粉体燃料バーナ
さらに、粉体石油コークスの良好な燃焼を行うべく、粉体燃料を供給しガラス溶融炉内で燃焼させるシステムに使用される特別なバーナが設計された。図7〜図12は、本発明に係る、粉体燃料を供給し燃焼させるためのバーナ(48f)の詳細図を示す。粉体燃料バーナ(48f)は、互いに同心に配置される外側管266、中間管268、及び内側管270(図10)からなる本体264を含む。外側管266は、上端部272が密閉されている(図9)。第1チャンバ276が、外側管266と中間管268とによって画定される空間に形成される。外側管266は、入口管278及び出口管280を有する(図8)。これらを通して、冷却水が第1チャンバ276に導入されてバーナ(48f)が冷却される。中間管268及び内側管270は、外側管266の上端部272を越えて延びる。
さらに、粉体石油コークスの良好な燃焼を行うべく、粉体燃料を供給しガラス溶融炉内で燃焼させるシステムに使用される特別なバーナが設計された。図7〜図12は、本発明に係る、粉体燃料を供給し燃焼させるためのバーナ(48f)の詳細図を示す。粉体燃料バーナ(48f)は、互いに同心に配置される外側管266、中間管268、及び内側管270(図10)からなる本体264を含む。外側管266は、上端部272が密閉されている(図9)。第1チャンバ276が、外側管266と中間管268とによって画定される空間に形成される。外側管266は、入口管278及び出口管280を有する(図8)。これらを通して、冷却水が第1チャンバ276に導入されてバーナ(48f)が冷却される。中間管268及び内側管270は、外側管266の上端部272を越えて延びる。
バーナ48fの上部には、空気入口管282が、中間管268の周りに傾斜して接続される。空気入口管282は、第6分岐管236(図7参照)に接続され、内側管270と中間管268とによって画定される空間に形成される第2チャンバ284に一次空気又は天然ガスの流れが導入される。第2チャンバ284は、空気入口管236(図7参照)からの一次空気又は天然ガスを導く役割を果たす。一次空気又は天然ガスは、バーナ48fの下端へ運ばれる。第2チャンバ284内の一次空気の流れは、第1グローブバルブ242、第1ボールバルブ244、及び第2グローブバルブ246の配列によって制御される。
同様に、二次空気と粉体石油コークスとの混合物が、内側管270の上端部286から導入されて、バーナ48fの下端へ運ばれる。内側管270の上端部286が第4出口管194に接続されて、供給粉体燃料−二次空気混合物が前記バーナ(48f)に供給される。したがって、一次空気と、二次空気−粉体石油コークス混合物とがバーナ(48f)の下端に到達する場合、一次空気又は天然ガスと、粉体燃料−二次空気混合物とが混合されて、以下に説明する燃焼過程を点火する。
ここで図10〜図12を参照すると、これらは、本発明に係る、粉体燃料を供給し燃焼させるためのバーナ(48f)の詳細図である。
基本的に、バーナ(48f)(図10)は、互いに同心に配置される外側管266、中間管268、及び内側管270(図10)からなる本体264を含む。第1チャンバ276が、外側管266と中間管268とによって画定される空間に形成される。外側管266は、入口管278及び出口管280を有する。これらを通して、冷却水が第1チャンバ276に導入されてバーナ(48f)が冷却される。
ここで特に図10〜図11を参照すると、バーナ(48f)の下端274は、流れ分配器286を含む。これは、粉体燃料と空気又はガスとの混合物を受け入れて分配する。ガスは天然ガス又は酸素である。流れ分配器286(図11)は、バーナ(48f)の下端274の下に接続される。流れ分配器286は、粉体燃料と空気又はガスとの混合物を受け入れる第1分配チャンバ290と、第1分配チャンバ290の一部を取り囲む第2チャンバ292とを画定する本体288を含む。第2チャンバ292を通して、バーナ(48f)を冷却する冷却水が導入される。
流れ分配器286はまた、本体288に対して90°の位置に配置される放出端部294を含む。これは、粉体燃料と空気又はガスとの混合物の流れを垂直方向の流れから長手方向の流れに偏向する。放出端部294は通路296を含む(図10)。これは、本体286中に長手方向に形成され、第1分配チャンバ290を本体286の外周部に接続する。通路296は、第1内側環状部298によって形成される。これを通して粉体燃料と空気又はガスとの混合物が流れる。この第1環状部298の内部は、各通路の前方に向かって直径が小さくなる円錐台形状に形成される。また、第2中間環状部300が、粉体燃料と空気又はガスとの混合物が流される第1内側環状部296を囲む。第1内側環状部298と中間環状部298とが、ノズル302を受け入れる入口を画定する。ノズル302は、ガラス溶融炉のチャンバ内で粉体燃料と空気又はガスとの混合物を供給する。最後に、本体288の周囲と第2環状部308とが、バーナ(48f)冷却用の水を流すべく第3チャンバ294を画定する。
ここで、ノズル302を参照すると、このノズルは、円筒ヘッド304と、ヘッド304の後部に整合して配置される円筒部材308とを含む。
バーナの第2実施例(図11)では、流れ分配器286は、本体288に対して90°の位置に配置される2つの放出端部310,312とともに示される。ノズル302が、各放出端部310,312によって導入される。放出端部310,312の位置は、長手軸314に対して互いに約10°から約20°の角度で離れる。
ここで、図8及び図10に示されるバーナ(48f)によれば、空気又はガスと粉体石油コークスとの混合物が内側管270を通して導入されて第1分配チャンバ290へ送られる。そして、当該混合物は、この部分から、流れ分配器286の通路296内へ流れる。当該混合物は、ガラス溶融炉のチャンバ内へ導入されるべく通路296を通して軸方向に供給される。
冷却水が、バーナを冷却するべく第1チャンバ270及び第3チャンバ292を通って連続的に導入される。
バーナ(48f)が水により冷却されるものと記載してきたが、国際出願第PCT/MX2006/000094号明細書に記載されているように水による冷却が必ずしも必要ではないバーナも使用できる。
上述のように、粉体燃料を供給しガラス溶融炉内で燃焼させる方法であって、ガラス溶融炉は、耐火物材料で内張りされるガラス溶融領域と、ガラス溶融炉に関連する複数のバーナとを含むタイプであり、この方法は以下を含む。
固定炭素と、硫黄、窒素、バナジウム、鉄及びニッケル又はこれらの混合物からなる不純物とを含む粉体燃料を、前記ガラス溶融炉の密閉再生器に関する前記バーナの各々に供給すること。前記粉体燃料は、化学量論的空気に対して空気が約16%過剰な連関燃料−空気として炉内へ直接供給される。
前記粉体燃料を、前記溶融炉の溶融領域の前記バーナの各々ごとに燃焼させること。各バーナに対して火炎を与え、ガラスを溶融させるべく前記溶融領域において燃焼過程を行うこと。
前記粉体燃料の燃焼により生じる炭素及び不純物の排出を環境制御手段によって制御すること。前記環境制御手段は、前記ガラス溶融炉の排ガス出口に置かれ、煙道ガスを浄化し、かつ、SOx、NOx及び微粒子のような粉体燃料からの不純物の排出を低減する。前記排出の低減は、ガラス溶融炉内の粉体燃料の燃焼が行われる間及び完了後に制御される。
ガラス溶融炉内の粉体燃料の侵食作用及び摩耗作用を耐火手段によって弱めること。前記ガラス溶融炉は、前記炉内の前記粉体燃料の燃焼により生じる前記侵食作用及び摩耗作用を制御するべく前記耐火手段で構成される。
この方法はまた、以下のステップも含む。
少なくとも1つの分配手段における空気圧移送のための圧力下で粉体燃料と空気又はガスとの混合物の制御された流れを供給するステップ。
粉体燃料と空気又はガスとの混合物を供給手段から前記少なくとも1つの分配手段に向けて放出するステップ。
分配手段からガラス溶融炉のガラス溶融領域にある複数のバーナのそれぞれに向かう粉体燃料と空気又はガスとの混合物を制御された態様に調整するステップ。
前記ガラス溶融炉のガラス溶融領域にある前記バーナによって前記粉体燃料を燃焼させる一方で、ガラスの溶融のための制御された加熱を行うべく高熱効率で燃焼火炎を与えるステップ。
そして、耐火材料によってガラス溶融炉内の粉体燃料の侵食及び摩耗作用を弱めるステップ。
加えて、本方法は、燃焼サイクルと非燃焼サイクルとの交互運転サイクルでバーナを運転するステップと、分配手段から供給手段への粉体燃料と空気又はガスとの混合物の流れを戻す一方でバーナで当該交互運転サイクルを行うステップとをさらに含む。
環境制御
最後に、ガラス溶融炉内で粉体燃料の燃焼が行われた後に、大気汚染と、雰囲気中の硫黄、窒素、バナジウム、鉄及びニッケル化合物の排出とを低減及び制御する設備が、トンネル44の端部に配置されて排ガスのための煙突46に接続される。本発明に係る汚染制御システムは、ガラス溶融炉の排ガス出口に適用される。
最後に、ガラス溶融炉内で粉体燃料の燃焼が行われた後に、大気汚染と、雰囲気中の硫黄、窒素、バナジウム、鉄及びニッケル化合物の排出とを低減及び制御する設備が、トンネル44の端部に配置されて排ガスのための煙突46に接続される。本発明に係る汚染制御システムは、ガラス溶融炉の排ガス出口に適用される。
汚染物質排出制御に対し、静電集塵器がガラス炉の粒状物質除去を良好に行うことが証明されている。ガラス炉の微細粒状物質は静電集塵器に対して何も問題がない。
粒状物質のほかにSO2の除去が必要な場合、乾式又は一部湿式スクラバが静電集塵器又は繊維性フィルタシステムを良好に補う。実際のところ、強酸性ガスの条件下では、腐食ガスの濃度を低減するべくスクラバが必要となる。新しい燃料を使用する場合、SO2含有量を低下させるべくスクラバが必要となる。これは、腐食防止システムにとって有利に作用するだけでなく、排ガスの温度も下げる。このため、ガス容積が減少する。
乾式スクラビング(乾式反応粉末の噴射)及び半湿式スクラビングが、静電集塵器の上流の大きな反応チャンバ内で行われる。乾式及び半湿式の双方において、スクラビング物質は、Na2CO3、Ca(OH)2、NaHCO3等を含む。結果としての反応物質はガラス製造工程の原料なので、一般にある程度のリサイクルが可能である。経験則によると、燃料中の硫黄1%ごとに、溶融ガラス1トン当たりSO2は約1.81kg(4ポンド)生じる。このため、高硫黄燃料に対しては、例えばNaSO4のような大量の乾燥廃棄物が存在する。この廃棄量は、捕捉速度とリサイクルできる物質量とによって変わるが、その数字は著しい。高硫黄燃料で運転されるフロート炉に対しては、廃棄物は一日当たり5トンにもなる。
スクラビングの性能レベルは、乾燥NaHCO3又は半分湿ったNa2CO3を使用して、50%から90%まで変わる。スクラビング物質における約250℃から400℃の範囲の目標反応温度で選択されるスクラビングの全てにおいて、温度制御が重要である。
湿式スクラバの形状、寸法及び用途の数は、ほぼ無限である。ガラス製造に関する2つの主な用途には、ガス(SO2)を収集するための用途と、粒状物質を捕捉するための用途とがある。
上述のように、粉体燃料を供給しガラス溶融炉の少なくとも1つのバーナで燃焼させるシステムを説明したが、特許請求の範囲によって決まる範囲内にあると考えられる他の多くの特徴又は改良が可能であることは当業者にとって明らかである。
Claims (30)
- ガラスの製造のための原料を溶融させるべく粉体燃料を熱源として燃焼させる方法であって、
a)少なくとも1つの分配手段における空気圧移送のための圧力下で粉体燃料と空気又はガスとの混合物の制御された流れを供給するステップと、
b)前記粉体燃料と空気又はガスとの混合物を供給手段から前記少なくとも1つの分配手段に向けて放出するステップと、
c)前記分配手段からガラス溶融炉のガラス溶融領域にある複数のバーナのそれぞれに向かう前記粉体燃料と空気又はガスとの前記混合物を制御された態様に調整するステップと、
d)前記ガラス溶融炉のガラス溶融領域にある前記バーナによって前記粉体燃料を燃焼させる一方で、前記ガラスの溶融のための制御された加熱を行うべく高熱効率で燃焼火炎を与えるステップと、
e)耐火材料によって前記ガラス溶融炉内の前記粉体燃料の侵食及び摩耗作用を弱めるステップと
を含み、
前記耐火材料は、シリカ−アルミナ−ジルコン、マグネサイト、クロム−マグネサイト、マグネシア−アルミナスピネル、アルミナ−ケイ酸、ジルコン−ケイ酸、酸化マグネシウム、又はこれらの混合物である方法。 - 前記耐火材料は押型シリカである、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は溶融シリカである、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、直接鋳込みシリカである、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、電鋳アルミナ−シリカ−ジルコンである、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、押型アルミナ−シリカ−ジルコンである、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、直接鋳込みアルミナ−シリカ−ジルコンである、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、約90−100重量%の電鋳アルミナを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、約90−100重量%の押型アルミナを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、約90−100重量%の直接鋳込みアルミナを含む、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、電鋳マグネサイト−アルミナスピネルである、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、押型マグネサイト−アルミナスピネルである、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、直接鋳込みマグネサイト−アルミナスピネルである、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、電鋳マグネサイト−ジルコン−シリカである、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、押型マグネサイト−ジルコン−シリカである、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、直接鋳込みマグネサイト−ジルコン−シリカである、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、電鋳アルミナケイ酸である、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、押型アルミナケイ酸である、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、直接鋳込みアルミナケイ酸である、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、電鋳ジルコン−ケイ酸である、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、押型ジルコン−ケイ酸である、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、直接鋳込みジルコン−シリケートである、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、少なくとも98%の酸化マグネシウムを含む押型直接結合である、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、少なくとも98%の酸化マグネシウムを含む直接鋳込みである、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、約90%から約95%の酸化マグネシウムを含む押型直接結合である、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、約90%から約95%の酸化マグネシウムを含む押型セラミック結合である、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、約90%から約95%の酸化マグネシウムを含む直接鋳込みである、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、約5%から約25%のクロムと約50%から約85%のマグネサイトとを含む押型直接結合である、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、約5%から約25%のクロムと約50%から約85%のマグネサイトとを含む押型セラミック結合である、請求項1に記載の方法。
- 前記耐火材料は、約5%から約25%のクロムと約50%から約85%のマグネサイトとを含む直接鋳込みである、請求項1に記載の方法。
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