JP2010536380A - 転写後遺伝子サイレンシングのための方法及び組成物 - Google Patents

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Abstract

標的遺伝子の発現を阻害する、単離した二本鎖リボ核酸(dsRNA)分子であって、前記dsRNAが2本のヌクレオチド鎖と、第1鎖の3’末端を第2鎖の5’末端に結合させる結合部分とを含み、第1鎖が19〜28個の連続ヌクレオチドの長さを示し、標的遺伝子中の配列と実質的と同一であり、第2鎖が第1鎖に対して実質的に相補的である、単離したdsRNA。配列番号3と実質的に同一であるヌクレオチドの第1鎖と、第1鎖に対して実質的に相補的である第2鎖とを含む、単離した二本鎖リボ核酸分子。

Description

連邦政府による資金提供を受けた研究又は開発に関する言明
適用外。
本開示は、転写後遺伝子サイレンシングのための方法及び組成物に関する。より詳細には、本開示は、細胞中の熱ショックタンパク質の発現を低下させるための方法及び組成物に関する。
熱ショックタンパク質(Hsp)はすべての原核生物及び真核生物において見出されている高度に保存されたタンパク質である。例えば、環境的(紫外線放射、熱ショック、重金属及びアミノ酸)、病理的(細菌、寄生生物による感染症又は発熱、炎症、悪性腫瘍又は自己免疫)、又は物理的ストレス(増殖因子、細胞分化、ホルモン刺激又は組織発達)等の多岐にわたる様々なストレス刺激は、ストレス応答として知られる細胞内Hsp合成の著しい増加を引き起こす。これは、細胞質内の熱ショック因子1(HSF−1)の三量体形成及び核移行の活性化により、核内の熱ショックエレメント(HSE)とし、その結果、Hspを転写することにより達成される。折り畳まれていない、誤って折り畳まれている、若しくは変異しているペプチド又はタンパク質を結合し、それらを小胞体(ER)に輸送することにより、Hspは潜在的な凝集及び/又は死を防ぐ。最近、細胞がストレス下にあるときに生成され、放出される危険シグナル、及び免疫系の活性化因子としてのさらなる役割もHspのものと見なされた。ストレス応答は、非折り畳み又は変性タンパク質の濃度の上昇に対処する細胞の能力を強化するように設計されている。
見かけの分子量に基づき、Hspは小型Hspと大型Hspの主な2群に細分される。ヒトHsp27のマウスホモログであるHsp25は、様々な生物学的機能に関与している小型Hspファミリーの偏在的発現性メンバーである。大型Hspとは違い、Hsp25/27はATP非依存性機構を通じて働き、折り畳み中間体のリザーバーをつくることによって、それらはインビボで他のシャペロンと協調して働く。Hsp25/Hsp27は、エストロゲン応答性悪性腫瘍に関連しており、生検試料中に高濃度に発現し、しかも乳癌患者の血清中に循環している。腫瘍宿主の相互作用は、腫瘍進行の測定、特に転移を伴う場合に、重要な役割を果たす。Hspなどの生物学的応答変更因子は、これらの現象のいくつかを組織化しているように見える。したがって、Hsp発現を調節するための組成物及び方法の開発は望ましいことであろう。
本明細書で開示されるのは、標的遺伝子の発現を阻害する、単離した二本鎖リボ核酸(dsRNA)分子であって、前記dsRNAが2本のヌクレオチド鎖と、第1鎖の3’末端を第2鎖の5’末端に結合させる結合部分とを含み、第1鎖が19〜28個の連続ヌクレオチドの長さを示し、標的遺伝子中の配列と実質的に同一であり、第2鎖が第1鎖に対して実質的に相補的である、単離したdsRNAである。
さらに本明細書で開示されるのは、配列番号3と実質的に同一であるヌクレオチドの第1鎖と、第1鎖に対して実質的に相補的である第2鎖とを含む、単離した二本鎖リボ核酸分子である。
また、本明細書で開示されるのは、配列番号3中に提示される配列を含む核酸分子によりコードされているタンパク質の発現を阻害し、dsRNAの第1鎖が配列番号3と実質的に同一であり、第2鎖が第1鎖に対して実質的に相補的である、単離した二本鎖リボ核酸である。
ベクターの実施形態を示す図である。 例2のウェスタンブロットのサンプルを示す図である。 例2のサンプルに関して、経過時間に対する機能としての細胞数のプロットである。 例2のサンプルに関して、時間経過に対する機能としての腫瘍体積のプロットである。 例2に記載されているように腫瘍細胞を注射して処置したマウスの写真である。 例2に記載されているように腫瘍細胞を注射して処置したマウスの写真である。 shRNAタイプの機能としての浸潤細胞数のプロットである。 インビボにおいて本開示のshRNAで処理した腫瘍性腫瘤の画像である。 インビボにおいて本開示のshRNAで処理した腫瘍性腫瘤の画像である。
以下は本開示全体にわたって使用され得る用語の定義として役立つものである。「ベクター」は、別のDNAセグメントが結合し得る、プラスミド、ファージ、ウイルスコンストラクト又はコスミドなどのレプリコンである。ベクターは形質導入及び細胞中のDNAセグメントの発現に用いられる。本明細書で使用する場合、「ベクター」、「コンストラクト」、「RNAi発現ベクター」又は「RNAi発現コンストラクト」の用語は、1つ又は複数のRNAi発現カセットが連結し得る又は連結している、プラスミド、ファージ、ウイルスコンストラクト、コスミド、細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)、ヒト人工染色体(HAC)などのレプリコンが挙げられる。
「プロモーター」又は「プロモーター配列」は、細胞中でRNAポリメラーゼを結合することができ、メッセンジャーRNA、リボソームRNA、核内低分子RNA若しくは核小体RNA、又は任意のクラスの任意のRNAポリメラーゼによって転写される任意の種類のRNAなどのポリヌクレオチド又はポリペプチドコード配列の転写を開始することができる、DNA調節領域である。
例えば形質移入試薬との複合体として、又はウイルス粒子中へパッケージングされてかかる核酸が細胞内に導入されているとき、細胞は外来性又は異種性核酸又はベクターによって「形質転換」、「形質導入」又は「形質移入」されている。形質転換DNAは細胞のゲノムに組み込まれる(共有結合的に連結される)か、又は組み込まれない場合がある。真核生物細胞に関しては、安定な形質転換細胞は、形質転換DNAが、宿主細胞染色体に組み込まれてしまうか、又は染色体外で維持されることにより、形質転換DNAが、細胞複製の間に娘細胞によって受け継がれるか、又は形質転換DNAが、持続的なエピソームが存在する分化した複製しない分化細胞中に存在する。
本明細書で開示されるのは、細胞又は組織中で、所望の標的遺伝子からの遺伝子産物の発現を選択的に低下させるための組成物及び方法である。ある実施形態では、細胞は真核生物細胞である。また、本明細書で開示されるのは、経過又は進行が所望の標的遺伝子の発現により影響を受ける疾患を処置する方法である。より具体的には、本明細書で開示されるのは、熱ショックタンパク質(Hsp)の発現を調節するための組成物及び方法である。さらに本明細書で開示されるのは、熱ショックタンパク質の発現を調節する組成物を細胞及び組織に送達するための方法である。
いくつかの実施形態では、これらの組成物は、機能不全、望ましくない病状、障害又は疾患状態に罹っている生物の処置に用いることができる治療量の物質を含む医薬品製剤を含む。機能不全、望ましくない病状、障害又は疾患状態は、「望ましくない状態」と以下ではまとめて呼称する。本明細書において望ましくない状態は、真核生物Hspの発現レベルが望ましくない状態の発生又は進行の一因となり得るものであり、したがって望ましくない状態は、siRNA治療の影響を受けやすいものである。したがって、望ましくない状態は、1つ又は複数の遺伝子欠陥に起因する状態を指す「遺伝子疾患」、先天的欠陥に起因しない病理学的状態を指す「後天的病態」、癌、疾患などの状態が挙げられる。本明細書において「処置」は、望ましくない状態の病態の進展又は変化を防ぐことを意図して行われる介入を指す。したがって、「処置する」は治療的処置及び予防的手段の両方を指す。ある実施形態では、本明細書に記載されているタイプの組成物の治療量を生物に投与することは、望ましくない状態の回復の観点から、レシピエントに有益な効果をもたらす。本明細書において「治療量」は有益な効果を引き出すのに必要な組成物の量を指す。また、本明細書に記載されている組成物は、Hsp発現レベルが望ましくない状態の発生及び再発の一因となる前記望ましくない状態をこれまで経験していないレシピエントにおいて、望ましくない状態の潜在的な発生及び再発を低下させるために予防的に使用することができる。
ある実施形態では、組成物は1つ又は複数の単離した又は精製した核酸分子(NAM)を含み、細胞中の1つ又は複数のHsp発現を低下させるのにこれらのNAMを利用する方法である。本明細書で使用する場合、「核酸分子」(NAM)の用語は、DNA分子、RNA分子、ヌクレオチド類似体を用いて作り出すDNA又はRNA分子の類似体、それらの誘導体又はそれらの組合せを包含ことができる。本開示のNAMは、一本鎖又は二本鎖が可能であり、鎖の本数は目的とするその使用によって左右されよう。開示されたNAMの断片又は部分もまた本開示に含まれる。「断片」又は「部分」に関しては、ヌクレオチド配列の全長より短いことを意味する。本明細書で使用する場合、「単離した」又は「精製した」核酸分子は、単離した核酸分子に普通は伴う他の核酸分子から分離された核酸分子である。したがって、単離した核酸分子は、単離した核酸が由来する生物のゲノムにおける核酸の片方又は両方の末端に、天然では隣接している配列を含まない核酸分子を包含するが、これに限定されるものではない(例えば、PCR又は制限エンドヌクレアーゼ分解によって産生されるcDNA又はゲノムDNA断片)。或いは、「単離した」又は「精製した」NAMは、他の細胞性物質又は組換え技術により産生したときの培地を実質的に含まないこともあり、又は、化学的に合成したときの化学的前駆体若しくは他の化学物質を実質的に含まないこともある。本明細書において実質的に含まないとは、Hsp発現低下組成物及び/又は該組成物が導入される生物の性質に悪影響を与えない量で存在する他の成分の量を指す。例えば、NAMが、純度約70%より多く、或いは純度が約75%、80%、85%、90%又は95%より多い場合が可能である。かかる単離した核酸分子は、以降でより詳しく記載されるように、操作を便利にするために、又は融合核酸分子を作り出すために、一般的にベクター(例えば、クローニングベクター、又は発現ベクター、又は発現コンストラクト)に導入する。さらに、単離した核酸分子は、組換え又は合成核酸分子などの操作された核酸分子を包含し得る。
NAMは、1つ又は複数の細胞性タンパク質の発現を調節するために使用することができる。例えば、本開示のNAMは1つ又は複数のHspの発現を低下させるために機能することができる。ある実施形態では、NAMは、RNA、及び結果として少なくとも1つのRNA転写物の転写後サイレンシングを起こす、細胞へのRNA導入を含む。本開示は、かかるRNA分子、かかるRNA分子をコードするDNA分子、かかるNAMによりコードされるポリペプチド、前記ポリペプチドを生じさせる抗体、又はそれらの組合せを提供する。本開示のRNA分子は様々な形態で使用することができ、アンチセンスRNAi及びshRNAを包含する例に制限されない。
開示された方法では、1つ又は複数のRNA転写物の発現を低下させるRNA干渉(RNAi)機構を利用する。「RNA干渉又はサイレンシング」の用語は、参照により本明細書にその全体を組み込む、P.D.Zamore、Science 296、1265(2002)に記載されているものなどの、RNAを介した遺伝子発現の阻害の、すべての転写後及び転写機構を包含するものとして広範に定義されている。現在知られている低分子干渉性RNAによって媒介されるRNA干渉の提案された機構に焦点を当てる以下の考察は、制限するという意味ではなく、先行技術を承認するものではない。
RNAiは、真核生物のほとんどとは言わないまでも多くに存在する保存された生物学的応答である。RNAiは全身性及び遺伝性の両方の転写物サイレンシングを引き起こし、動物の発生及び一生を通して調べられる遺伝子発現の変化を導くことを可能にする。
RNAiの過程では、長い二本鎖RNA分子(dsRNA)は、原始的及び多細胞性生物において遺伝子発現の配列特異的サイレンシングを誘導することができる。これらの長いdsRNAは、ダイサーと呼ばれるリボ核酸により、小分子干渉RNA(siRNA)と名付けられた、21〜23ヌクレオチド(nt)のガイドRNA二本鎖へと変化する。そのsiRNAは、続いてRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)、つまり類似のヌクレオチド配列でRNA標的を認識して切断するためのテンプレートとしてsiRNAを使うタンパク質−RNAエフェクターヌクレアーゼ複合体により使われる。RISCの組成物は完全には明確にされていないが、アルゴノートファミリータンパク質を包含する。RISCはsiRNAをほどき、標的mRNAに対して相補的な(アンチセンス)鎖と安定的に結合する。siRNAとその標的mRNAとの間の相同性の程度に依存して、siRNA−RISC複合体は、2つの異なる経路によって遺伝子機能を阻害する。ほとんどのsiRNAは不完全にそれらの標的と対を成し、翻訳抑制によって遺伝子発現を抑制する。このRNAi機構は、多様なsiRNA結合部位が標的mRNAの3’非翻訳領域に存在するとき、最も効果的に作動するようである。いくつかの他のケースでは、siRNAは標的mRNAと完全な配列同一性を示し、mRNA分解の引き金となることによって遺伝子機能を阻害する。転写レベルの低下は標的タンパク質のレベルの低下を引き起こし、結果として表現型が変化する。
siRNAは、ある特定の形質転換された哺乳類動物の細胞系において短期間の遺伝子阻害に効果的であることが示されているが、それらの抑制効果は、定義からして持続期間が限定されているので、初代細胞培養でのその使用又は安定したノックダウン転写物のためのその使用に関連した欠点がある場合がある。低分子ヘアピン型RNA(shRNA)は、短い二本鎖構造からなり、siRNAとは異なり、植物、線虫(C.elegans)及びショウジョウバエ(Drosophila)において、安定した遺伝子サイレンシングの効果的な引き金となることがわかっている。これらの合成されたRNA形態はpolII又はpolIIIプロモーターから発現する場合があり、ヘアピン構造はダイサーにより認識されて切断され、標的遺伝子のサイレンシングのためにRISCによって続いて始まるsiRNAを形成する。
ある実施形態では、本開示の組成物はHsp、二者択一的に真核生物のHsp、又は哺乳類動物のHspの発現レベルを低下させることができる。例えば、本開示のshRNAは、マウスのHsp(例えばHsp25)、ヒトのHsp(例えばHsp27)又は両方の発現を低下させることができる。ある実施形態では、本開示のNAMは、配列番号1又は配列番号2中に提示される配列を有するmRNA転写物から産生されるポリペプチドの発現を低下させることができる。
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は多様なHspの発現を低下させることができる1種のNAMを含むことができる。また、本明細書に記載されている1種のNAMのタイプは、異なる種に由来するHspの発現を低下させることができるような交差反応性を示し得る。どちらかの実施形態において、一本鎖NAMは同程度又は異なる程度の、異なるHspの発現を阻害することができる。本開示の組成物が、非哺乳類動物系において1種又は複数のHspの発現レベルを低下させ得ることもまた考えられる。
本開示の組成物は1種又は複数のNAMを含む。ある実施形態では、NAMは標的遺伝子の発現を阻害する二本鎖リボ核酸(dsRNA)分子を含み、前記dsRNA分子は2本のヌクレオチド鎖を含み、第1鎖はヌクレオチド配列NNAGCCCGAGCUGGGAACCAAUU(配列番号3)と実質的に同一であり、第2鎖は第1鎖に対して実質的に相補的である。本明細書において実質的に同一とは約50%より高い相同性を指し、一方、実質的に相補的とは、真核生物細胞の細胞質内などの生物学的条件下で第1鎖への第2鎖のアニーリングを可能にするのに十分な相同性を指す。
ある実施形態では、第1鎖は配列番号3に対して約55%より高い相同性であり、又は約60%、65%、70%、75%、80%、90%、95%より高い相同性である。第1鎖はダイサーによりsiRNAの産生が進行されるくらいの十分な長さであってよい。どちらかの鎖はダイサーにとって基質としての役割を果たし得る。
各鎖の長さは一般的に約19〜約25ntの長さ(例えば、19、20、21、22、23、24又は25ヌクレオチド)である。いくつかの実施形態では、各鎖の長さは約19〜約28ヌクレオチドの長さである。ある実施形態では、第1鎖における配列の長さは第2鎖における配列の長さと同一であり、形成されたdsRNAは平滑末端である。別の実施形態では、形成されたdsRNAの末端はオーバーハングを有する。
ある実施形態では、哺乳類動物のHspの発現レベルを低下させるのに使うdsRNAは配列5’−AGCCCGAGCTGGGAACCATT−3’(配列番号4)及び/又は5’−CCGCAGAGCGTTTGAGTAT−3’(配列番号5)を含む第1鎖を包含する。ある実施形態では、Hsp発現を低下させるのに使う組成物は、配列5’−GCTCAATCCGAGAGAGAATA−3’(配列番号6)を包含する第1鎖、及び第1鎖に対して相補的な配列を有する第2鎖を有するdsRNAを含む。ある実施形態では、dsRNA分子の相補的な第1及び第2鎖はヘアピン構造の「ステム」である。
2本のdsRNA鎖は結合部分により連結でき、shRNAのヘアピン構造において「ループ」を形成することができる。ある実施形態では、結合部分は長さが可変なポリヌクレオチドのリンカーを含む。いくつかの実施形態では、結合部分は5、6、7、8、9、10、11、12又は13ヌクレオチドの長さであってよく、また、結合部分は9ヌクレオチドの長さである。代表的な結合部分は5’−TTC AAG AGA−3’であるが、本明細書で開示されたタイプのdsRNAの形態と適合した任意の適切な結合部分が考えられる。本明細書に記載されている2本の鎖及び結合部分は、1種又は複数のHspの発現を低下させることができるshRNAを形成することができる。
本明細書に記載されているようなNAM(例えば、dsRNA、shRNA)は、例えば、組換え核酸技術、単一核酸分子又は一連のオリゴヌクレオチドのどちらかとしての化学的合成、通常の分子クローニング技術を用いる変異誘発(例えば、部位特異的変異誘発)、及びポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などの当業者に知られている技術を用いて得ることができる。一般的なPCR技術は、例えば、参照により本明細書にその全体を組み込む、PCR Primer:A Laboratory Manual、Dieffenbach & Dveksler編、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1995に記載されている。可能な変異には、欠失、挿入、置換及びこれらの組合せが挙げられるが、これに限定されない。さらに、適切な分子生物学の技術は、例えば、これに限定されないが、制限酵素による消化及びライゲーションなどをこれらの分子の単離のために採用することができる。
本明細書に記載されているNAMは、例えばナノ粒子又はリポソームへのカプセル封入、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿及び同等のものなどの技術を使用して直接細胞に導入することができる。ある実施形態では、本開示のNAMはベクターのエレメントとして細胞に導入することができ、したがってDNAベクターに基づくshRNAを含む。簡単にするために、本明細書より前に記載されたタイプの他の組成物もまた考えられるが、以下の考察ではshRNAを含む組成物に焦点を当てる。
発現ベクターを含み、本開示の使用に適したベクターは商業的に入手でき、及び/又は、当技術分野における組換えDNA技術法の決まったやり方によって産生される。本開示のshRNAを含むベクターは、かかる分子に作動的に結合して発現するのに必要なエレメントを有することができ、さらに選択可能なマーカー(例えば、抗生物質耐性をコードする配列)をコードする配列、及び/又はポリペプチドの精製に使用され得る配列(例えば、His標識)などの配列を包含することができる。本開示の使用に適したベクターは、細胞内ゲノムに組み込まれるか、染色体外へと出る場合がある(例えば、複製の発生を伴う自律的複製プラスミド)。
ある実施形態では、ベクターは発現ベクターであり、本開示の核酸分子の発現に有用な追加のエレメントを含む。発現に有用なエレメントとして、核酸コード配列の発現を指示し調節する核酸配列が挙げられる。発現に有用なエレメントの1つの例はプロモーター配列である。使用に適したプロモーターの例として、マウスU6 RNAプロモーター、合成ヒトH1RNAプロモーター、SV40、CMV、RSV、RNAポリメラーゼII、RNAポリメラーゼIIIプロモーター、これらの誘導体、又はこれらの組合せが挙げられる。発現に有用なエレメントとしてまた、リボソーム結合部位、イントロン、エンハンサー配列、応答エレメント、又は核酸の発現を調節する誘導性エレメントを挙げることができる。発現に必要なエレメントは、細菌、酵母、昆虫、哺乳類動物又はウイルスの開始点であってよく、ベクターは異なる開始点からのエレメントの組合せを含むことができる。発現に必要なエレメントは当業者に知られており、例えば、Goeddel、1990、Gene Expression Technology:Methods in Enzymology、185、Academic Press、San Diego、Calif.に記載されており、参照により関連部分を本明細書に組み込む。本明細書で使用する場合、作動的に結合するというのは、プロモーター及び/又は他の調節エレメント(複数可)が、ベクター中でshRNAに対して、その分子の発現を指示又は調節するように位置していることを意味する。shRNAはセンス又はアンチセンスの方向で、調節配列に作動的に結合することができる。さらに、発現とは、センスmRNAの転写物を指すことができ、また、タンパク質産生を指すことができる。
ある実施形態では、本開示のshRNAはレトロウイルスベクターのエレメントである。レトロウイルスベクターとは、配列を生物の染色体に挿入するのに用いることができるレトロウイルスに由来する人工DNAコンストラクトを指す。アデノウイルス並びにレンチウイルス及びマウス幹細胞ウイルス(MSCV)などの多くのレトロウイルスは、いくつかの一般的に使用されるレトロウイルスのデリバリーシステムである。アデノウイルスは受容体介在性感染を利用し、安定したサイレンシング実験のためにゲノムに組み込まず、一方、MSCVはニューロンなどの非分裂細胞系に組み込むことができない。レンチウイルスベクターは、非分裂及び分裂細胞のゲノムに組み込む能力を有するレトロウイルスベクターのサブクラスである。レンチウイルスベクターは当技術分野で知られており、例えば以下の出版物に開示されており、参照により本明細書に組み込む:Evans J.T.ら、Hum.Gene Ther.1999;10:1479−1489;Case S.S.、Price,M.A.、Jordan C.T.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1999;96:2988−2993;Uchida N.、Sutton R.E.、Friera,A.M.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1998;95:11939−11944;Miyoshi H、Smith K A、Mosier D.Eら、Science 1999;283:682−686;Sutton R.E.、Wu H.T.、Rigg R.ら、J Virol.1998;72:5781−5788。レンチウイルスベクター系は、幅広い親和性及び非受容体介在性デリバリーを示す。その上、レンチウイルスベクター系は、ゲノムへの組込みのために有糸分裂イベントを必要とせず、安定した遺伝子サイレンシングのためにゲノムに組み込む能力を示し、したがって、その使用は分裂と非分裂の両細胞系に拡張される。レンチウイルスベクター系はまた、免疫応答を引き起こさず、オフターゲット効果の懸念を最小化し、インビトロの適用に用いられることが知られている。
ある実施形態では、本開示のshRNAはレンチウイルスベクターのエレメントである。本開示に使用するのに適したベクターの実施形態を表すベクターの図は図1に示されている。図1を参照すると、本開示で使用するための典型的なベクターの特徴としては、緑色蛍光タンパク質(GFP)などの少なくとも1つのポジティブ選択マーカーの上流に処理された伸長因子アルファ1プロモーター(EF−1a)などのプロモーター;例えばこれに限定されないが、マーモット肝炎の転写後調節エレメント(WPRE)などの1種又は複数の調節エレメント;及び発現が上流のポリメラーゼIIIプロモーター、つまりヒト1(H1)により引き起こされ得るHsp発現を低下させるための少なくとも1つのNAM配列(例えば、配列番号4を含む第1鎖、相補的な第2鎖及び結合部分を有するshRNA)が挙げられる。調節エレメントとは、関心遺伝子の発現を強めるよう設計された遺伝子エレメントを指す。ある実施形態では、レンチウイルスベクターは、本明細書より前に開示された少なくとも1つの配列を含むNAMをコードする核酸配列に作動的に結合するH1−RNAプロモーターを含む。したがって、H1プロモーターはNAMの転写を開始させ、NAMの構成的発現を可能にさせる。別の実施形態では、NAMは、NAMの誘導性発現を可能にする調節可能プロモーターに作動的に結合する。かかる誘導性プロモーター及び同等物を使用する方法は、当業者に知られている。ある実施形態では、ベクターはレンチウイルスベクターであり、ベクターのマーカー、遺伝子、及び他のエレメントは、無傷のレトロウイルス5’末端反復配列(LTR)及び3’末端の自己不活性化(SIN)によって隣接することができる。かかる隣接配列は当業者に知られている。
コンストラクトに包含され得るエレメントのタイプは任意の方法で制限されるものではなく、熟練した技術者によって選ばれて特定の結果を獲得する。例えば、標的細胞へのウイルスゲノムの核移行を促進するシグナルは、コンストラクトに包含され得る。本明細書で開示されているように、ベクターの小さな変更は、ベクターの有用性を著しく変化させることなしになされ得ることを理解されたい。そのようなものとして、ベクターの図は制限することを意図せず、ベクターのファミリーの一実施形態を例示する。簡単にするために、以下では、本明細書で開示されているように少なくとも1つのshRNAを含むベクターのファミリーは、熱ショックタンパク質低下ベクター(HRV)と呼ぶことにする。ある実施形態では、HRVは例えば、ボルティモア、MDのLentigen Corp.から商業的に入手できるレンチGFPベクター、カールスバッド、CAのInvitrogenから商業的に入手できるBlock−iTレンチウイルスベクター、及びマウンテンビュー、CAのSystem Biosciencesから商業的に入手できるpSIF1−H1 shRNAベクターなどのレンチウイルスベクター、並びに本開示のshRNAを含む。
ある実施形態では、HRVは1種又は複数の発現カセットを含み、前記発現カセットは、第1セグメント、第1セグメントのすぐ3’側に位置する第2セグメント、及び第2セグメントのすぐ3’側に位置する第3セグメントをコードする単離した核酸配列に作動的に結合するプロモーターを含み、前記第1及び第3セグメントは約19〜約28ヌクレオチドの長さであり、前記第1セグメントは配列番号3と実質的に同一であり、前記第3セグメントの配列が第1セグメントの相補体である。ある実施形態では、HRVから発現する単離した核酸配列は、1種又は複数のHspの発現を阻害するshRNAとして機能する。
ウイルスが細胞に感染するのを可能にする任意の方法で、HRVは細胞に送達することができる。ある実施形態では、HRVはパッケージング細胞系に導入される。パッケージング細胞系は、ウイルスゲノムRNAをウイルス粒子にパッケージングするためのトランスで必要とされるウイルスタンパク質を提供する。パッケージング細胞系は、レトロウイルスタンパク質を発現できる任意の細胞系であってよい。HRVは次いで、パッケージング細胞から精製し、力価測定して所望の濃度に希釈することができる。ある実施形態では、感染した細胞は、さらなる工程を伴うか、伴うことなしに用いることができる。別の実施形態では、感染した細胞は生物を感染させるのに用いることができる。
ある実施形態では、HRVは細胞又は細胞系に導入する。別の実施形態では、HRVは一般的には改変された細胞としてヒト以外の動物に導入することができ、しばらくの間、インビボでヒト以外の動物によって維持することができる。例えば、細胞はヒト以外の動物から単離でき、本明細書で前に記載したようなインビトロ技法(例えば、電気穿孔、リン酸カルシウム沈殿など)をいく種でも用いてHRVを細胞に導入することができる。HRVを今や保持している単離細胞は、ヒト以外の動物に再導入することができ、結果としてしばらくの間、1種又は複数のHspの発現を低下が引き起こされる。他の実施形態では、望ましくない状態を有するヒトを処置するために類似の方法を採用することができる。
ある実施形態では、本明細書に開示されているように、HRVに感染している細胞、組織又は生物は、HRVを欠く他の類似の細胞又は生物と比較したとき、Hsp発現レベルの低下を経験することができる。例えば、配列番号4、5又は6を含むHRVに感染したとき、Hspを発現する細胞はHsp発現レベルの低下を経験することができる。
HRVを含む細胞又は生物におけるHsp発現レベルは、HRVの非存在下で他の同一の細胞又は生物と比較したとき、約60%と同等か、それより多い量、或いは、約70、75又は80%より多い量によって低下させることができる。Hsp発現レベルの低下を明確にするための方法として、mRNA転写物に関するアッセイ、翻訳産物に関するアッセイ又はこれらの組合せを挙げることができる。NAM(例えば、mRNA転写物)及びポリペプチド(例えば、Hsp)は、当業者によく知られている多くの異なる方法を用いて検出することができる。NAMを検出するための方法としては、例えばPCR及び核酸ハイブリダイゼーション(例えば、サザンブロット、ノーザンブロット又はインサイツハイブリダイゼーション)が挙げられる。
本開示のshRNAは、多くの細胞型又は組織型においてHsp発現を低下させるために使用することができる。このようなものとして、Hsp発現の低下により望ましくない状態が回復し得るため、shRNAを前記状態を経験する任意の細胞型又は組織に導入する場合がある。例えば、本開示のshRNAは癌細胞中のHsp発現を低下させるために使用することができる。本明細書で使用する場合、「癌細胞」は、制御できず及び/又は異常に増殖し、例えば上皮性悪性腫瘍になり得る細胞を指す。上皮性悪性腫瘍としては、例えば、頭部及び頸部癌細胞、乳癌細胞、前立腺癌細胞、及び結腸癌細胞が挙げられる。本開示のshRNAは、結果として癌細胞の増殖の阻害を引き起こすために投与することができる。本明細書で使用する場合、癌細胞の増殖は一定期間(例えば、時間、日、又は月)にわたる癌細胞(インビトロ又はインビボ)の数の増加を指す。注意すべきは、癌細胞数は静止しておらず、細胞分裂を受ける細胞の数と死ぬ細胞(例えば、アポトーシスによる)の数の両方を反映するということである。癌細胞の増殖の阻害は、癌細胞数の増加率の減少、癌細胞の完全な消失、又はこれらの間の任意の変化として明確にすることができる。腫瘍に関しては、腫瘍サイズの縮小は増殖の阻害を示している場合がある。本明細書に記載されているタイプのshRNAを含む1種又は複数の組成物を、腫瘍増殖により明白にされる細胞増殖障害を有する生物に投与することにより、HRVの非存在下で観察した腫瘍細胞増殖と比較したときに、約10〜約90%、或いは約30〜約90%、或いは約75%より高い腫瘍増殖の阻害を結果として引き起こし得る。本明細書における腫瘍細胞増殖とは細胞増殖又は腫瘍量の増加を指し、例えば、磁気共鳴画像法、電子キャリパー、マンモグラムなどの当業者に知られている技術により測定することができる。
さらに、本開示のshRNAは、結果として転移能が低下した癌をもたらし得る。転移とは悪性腫瘍細胞が身体においてその最初の部位から他の部位に広がることを指す。したがって、本開示のshRNAは、転移能を有する癌細胞に導入して発現したとき、本開示のshRNAが発現しない細胞の転移能と比較すると、最初の位置から広がる悪性腫瘍細胞の能力は低下する可能性がある。本明細書に記載されているタイプのshRNAを含む1種又は複数の組成物を、転移する能力とともに腫瘍増殖によって明白になる細胞増殖障害を有する生物に投与することにより、HRVの非存在下で観察した腫瘍細胞増殖と比較したときに、約10%〜約95%、或いは約30%〜約70%、或いは約75%と同等かそれより高い転移能の低下を結果として引き起こす。本明細書における転移能とは、1つ又は複数の遠位部位で増殖する腫瘍の能力を指し、例えば細胞移動アッセイなどの当業者に知られている技術によって測定することができる。
ある実施形態では、本明細書に記載されているタイプのshRNAを含む組成物は、望ましくない状態に処置効果を与える他の治療方法と併せて使用することができる。例えば、本開示のshRNAは、他の遺伝子サイレンシング治療、化学療法レジメン、放射線治療、低体温療法などと併せて使用することができる。
ある実施形態では、本開示のshRNAは医薬品組成物の成分であってよく、前記組成物は望ましくない状態に罹っている生物に投与するべきであり、治療剤として働く。医薬品組成物(PC)はその目的とする投与の経路に適合するように処方することができる。例えば、生物は1種又は複数の腫瘍量を有する場合があり、PCは直接注射を経て導入することができる。さらに、投与経路の例として、非経口(例えば、静脈内、皮内、皮下)、経口(例えば、摂取又は吸入)、経皮(例えば、局所)、経粘膜、及び直腸内投与が挙げられる。ある実施形態では、本開示のshRNAは、単独で又はベクター(即ちHRV)の成分として、投与に適した医薬品組成物に組み込むことができる。かかる組成物は通常はshRNA及び薬学的に許容できる担体又は賦形剤を含む。本明細書に使用されているように、「薬学的に許容できる担体」として、医薬品投与に適合した、任意の及びすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌及び抗かび剤、等張及び吸収遅延剤などを包含することを意図している。薬学的な活性物質のためのかかる媒体及び作用剤の使用は、当技術分野においてよく知られている。
ある実施形態では、望ましくない状態の処置に用いるための組成物には、腫瘍標的Hsp発現低下システム(TTHRS)の投与が含まれる。TTHRSには、本明細書より前に記載された1種又は複数のHsp組成物、1種又は複数のデリバリーナノ粒子、及び1種又は複数の標的指向性部分が含まれる。ある実施形態では、身体のどこで腫瘍細胞が生じようとも、TTHRSは本開示のHsp発現低下組成物を腫瘍細胞に送達することができる。例えば、TTHRSは本開示の組成物を初期と転移性疾患の両方に送達することができ得る。
ある実施形態では、TTHRSには1種又は複数のshRNAを輸送するためのデリバリーシステム、及び任意選択の生物中の成分が含まれる。デリバリーシステムには、本開示の組成物に適合し、生物への使用に適した、任意の物質の使用が包含される。ある実施形態では、デリバリーシステムには、ナノ粒子、又はリポソームが含まれ得る。本明細書におけるナノ粒子とは、少なくとも1つの直径が100nmより小さい大きさの物質を指し、一方、リポソームは脂質二重層を指す。リポソームは静脈内(i.v.)注射に従って血液循環の存続時間の拡張を示すため、一般的に系統的な適用を示し、かかる領域で血管浸透圧が高まることにより、様々な組織及び器官又は腫瘍で選択的に蓄積される可能性があり、エンドソーム膜の破壊によるエンドサイトーシスのリソソーム経路を逃れるように設計することができる。リポソームは一般的に、化合物を含むコア、通常は水性コアを有する封入された脂肪滴を含む。リポソーム又はリポソーム前駆体は当業者に知られている任意の手法を用いて調製することができる。本開示の使用に適したリポソームの例には、Avanti Polar Lipidsから商業的に入手できる置換N−(1−(2、3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム塩化物化合物であるカチオン性脂質のDOTAP系列がある。ある実施形態では、本開示のHsp発現低下組成物はリポソームの脂質成分に化学的に共役する。他の実施形態では、本開示のHsp発現低下組成物はリポソームの内側の水性区画内に含まれる。
ある実施形態では、TTHRSは標的指向性部分を含む。かかる標的指向性部分は細胞表面上の受容体を認識して結合することができる。ある実施形態では、標的指向性部分は、機能障害性又は疾患性細胞によって主に発現する受容体に優先的に結合するように選ぶことができる。或いは、標的指向性部分は正常及び疾患性細胞の両方に結合することができるが、疾患性細胞は正常細胞に比べてより多くの部分が標的になるため、疾患性細胞は1つ又は複数の受容体を高いレベルで発現することができる。ある実施形態では、標的指向性部分は、TTHRSの他の成分に適合し、1種又は複数の関連細胞(例えば、腫瘍細胞)に効果的に結合できる任意の物質を含むことができる。かかる部分は当技術分野で既知であり、抗体、トランスフェリンなどが挙げられる。ある実施形態では、標的指向性部分はトランスフェリンを含む。ある実施形態では、TTHRSは、TTHRSのリポソームの表面に結合しているトランスフェリンを含む。
さらに本明細書には、1種又は複数のshRNA、本開示のshRNAをコードする1種又は複数のベクター(例えば、HRV)、或いは1種又は複数のTTHRSを含む製造品(例えば、キット)を開示されている。かかる組成物は投与のために処方でき、本明細書より前に記載されているように、投与の目的の経路に対して適切にパッケージングすることができる。例えば、shRNA又は本開示のshRNAを含むベクターは、薬学的に許容できる担体又は賦形剤内に包含され得る。
ある実施形態では、本開示のshRNA又はHRVを含むキットはまた、追加の試薬(例えば、バッファー、補因子又は酵素)を包含することができる。本明細書に記載されているように、医薬品組成物は、さらに組成物を個体に投与するために使用説明書を包含することができる。キットはまた、アッセイすることができて生物のサンプルと比較できる対照サンプル又は対照サンプル系列も含むことができる。キットの各成分は、通常、個々の容器内に封入され、すべての様々な容器は単一のパッケージ内にある。
大まかに本発明を記載してきたが、本発明の具体的な実施形態として以下に実施例を記載し、それらの実践及び利点を実際に示す。実施例は例示の方法として提供するものであり、任意の方法によって導かれる本明細書の特許請求の範囲を制限する意図はないことを理解されたい。
(例1)
配列番号6及び配列番号7に与えられるshRNA配列を含む核酸分子がHsp25発現を低下させる能力を調べた。マウスの乳癌4T1細胞は、変異原処理することなく410.4腫瘍から選択した6−チオグアニン耐性細胞系である。2mMのL−グルタミンを含むDulbecco’s modified Eagle medium(Invitrogen、Carlsbad、Calif.、USA)中に細胞を維持し、5%CO雰囲気の加湿したインキュベーターにおいて37℃で、1.5g/lの炭酸水素ナトリウム、4.5g/lのグルコース、10mMのHEPES、1.0mMのピルビン酸ナトリウム、及び10%のウシ胎仔血清を含むように調製した。細胞を指数関数的増殖率で増殖させ、培養物がおよそ80%集密のとき、0.1%のトリプシン−EDTAを用いて収穫した。新鮮な細胞を使用する前に、細胞を5〜8回だけ継代培養した。
製品説明書に従って脂質形質移入試薬Effectene(Qiagen、Valencia、Calif、USA)を使用して、4T1細胞を含む2つのサンプルに、配列番号8又は配列番号9のいずれかを有するshRNAをそれぞれが含む、ベクターpLVTHM、psPAX2又はpMD2Gのいずれか、及びGFPplasmidを形質移入した。以下の考察では、配列番号6をASl又は Hsp25shRNAlとして呼び、配列番号7をDS1又はHsp25shRNA2として呼ぶ。3つ目のサンプルに、対照配列の配列番号10を形質移入した。CGATCCCCGCTCAATCCGAGAGGAATATTCAAGAGATATTCCTCTCGGATTGAGCTTTTTTGGAAAT。簡潔に述べると、3×10個の対数増殖期細胞を60mm組織培養プレート中に蒔き、Effectene中のGFPplasmidDNA1μg、及びAS1、DS1又は対照を含むプラスミド1μgの混合物を細胞に加え、37℃で18時間インキュベートした。48時間後、細胞を回収し、すぐにMoFlowサイトメーター(Dakocytomation、Carpinteria、CA、USA)を使用してGFP陽性及び陰性亜集団に選別した。個々の細胞を、前方散乱(FSC)及び直角散乱(SSC)に基づいてゲート選別した。GFP(FL1−height)のための光電子倍増管(PMT)を対数スケールにセットした。細胞の残骸はFSC−height PMTの域値を上げることによって除去した。流率を×200cells/sに調製し、少なくとも10個の細胞を各サンプルグループに分類した。
適切なプロテアーゼ阻害剤を含むRIPAバッファーを用いて100万個の細胞を溶解し、DU−650分光光度計(Beckman Coulter)とともにBradford法(Bio−Rad、Hercules、Calif.、USA)を用いてタンパク質濃度を決定した。サンプルを12%SDS−PAGEゲル中に流し、ニトロセルロース膜上に移した。5%ミルクを含むTween20−Tris緩衝塩水(T−TBS)を用いて4℃で1時間、膜を固定した。リンス後、1:2,000の希釈率でHsp27(StressGen Biotechnologies)又は1:1,000の希釈率でHsp25(StressGen Biotechnologies)に対する一次抗体で膜をプローブした。5%ミルクを含むT−TBS中で抗体を希釈した。室温で1時間インキュベートした後、膜をT−TBS中で3回洗浄した。対応するHRP結合型IgG二次抗体(Sigma−Aldrich、St.Louis、Mo.、USA)を加え、膜を室温で30分間インキュベートした。さらなる洗浄の後、バンドを高感度化学発光(Amersham、Little Chalfont、UK)を用いて可視化し、結果を図2に示す。
図2はAS1、DS1又は対照shRNAを形質移入した細胞に関するブロットを示し、βアクチンを負荷対照として使用した。矢印10を参照すると、4T1細胞は両実験においてHsp25を発現すると考えられる。矢印20を参照すると、対照shRNA(配列番号6)の細胞への形質移入は、Hsp発現の低下を結果として引き起こすが、矢印30及び40のそれぞれを参照すると、AS1又はDS1を形質移入した細胞において検出可能なHsp25の発現はない。
(例2)
例1に記載のベクターを形質移入した腫瘍細胞の増殖を調べた。4T1の細胞増殖を合計4日間、血球計測器を用いて測定し、増殖結果を図3に示し、グラフを次のようにラベルする。対照shRNAは4T1/対照shRNA1に対応し、AS1は4T1/HSP25shRNA1に対応、DS1は4T1/HSP25shRNA2に対応する。結果は、対照shRNA、AS1又はDS1を発現する細胞が類似の増殖曲線を表すことを実際に示す。
例1に記載のベクターを形質移入した腫瘍細胞を動物に感染させるために用い、これらの動物における初期腫瘍細胞の進行を調べた。具体的には、腹部乳腺パッドへの4T1細胞の注射により、Jackson研究室(Bar Harbor、Me.、USA)から購入したBALB/cマウスで試み、腫瘍サイズが1,000mmに到達するまで、電子キャリパーを用いて一定間隔で腫瘍体積を測定した。楕円の体積に関する式(長さ×幅×高さ×0.5236)を用いて腫瘍体積を見積もった。すべての動物を人道的に処理し、米国学術研究会議及びボストン大学医学部の、動物資源協会の研究用動物の管理と使用に関する委員会(the Committee on the Care and Use of Laboratory Animals of the Institute of Animal Resources、National Research Council and Boston University School of Medicine)の指針に従った。対照shRNA、AS1又はDS1を発現する細胞を感染させた動物に関する初期腫瘍増殖曲線を図4に示し、グラフは次のようにラベルする。対照shRNAは4T1/対照shRNA1に対応し、AS1は4T1/HSP25shRNA1に対応し、DS1は4T1/HSP25shRNA2に対応する。結果は、AS1又はDS1を形質移入した腫瘍細胞を注射した動物が実験の間中、腫瘍体積の小さな変化を表すことを実際に示し、一方、対照shRNAを形質移入した腫瘍細胞を注射した動物は、実験の間中、腫瘍体積の十分な増殖を示した。このことはさらに図5及び6で図示し、図5はAS1を形質移入した腫瘍細胞を注射してあるマウスの写真を示し、また、図6は対照shRNAを形質移入した腫瘍細胞を注射してあるマウスの写真を示す。AS1を形質移入した腫瘍細胞を注射した図4のマウスは、実験の間中、固形腫瘍の進行が皆無か少ししか見られず、一方、対照shRNAを形質移入した腫瘍細胞を注射したマウスは実験の間中、腫瘍の進行を示した。
(例3)
腫瘍細胞の転移能を低下させる例1に記載のAS1及びDS1分子の能力を、細胞遊走アッセイを用いて調べた。製品の説明書に従って、Matrigel invasion chamber(BD Biocoat Cellware、San Jose、Calif.、USA)及び例1に記載の4T1腫瘍細胞を使用して細胞遊走を測定した。簡潔に述べると、条件培地を化学遊走物質として下部の容器に置いた。単一細胞の懸濁液を上部の容器に置いた。22時間後、フィルターを通過しない細胞を洗い落とし、膜を0.5%クリスタルバイオレットで染色し、顕微鏡のスライド上に乗せ、視覚化して写真を撮った。15カ所の異なる部分を10×の倍率で光学顕微鏡を用いて視覚化した。図7は各コンストラクトに関する浸潤細胞数のプロットであり、浸潤は化学遊走物質の方へ遊走する腫瘍細胞の数を指し、グラフは次のようにラベルする。対照shRNAは4T1/対照shRNA1に対応し、AS1は4T1/HSP25shRNA1に対応し、DS1は4T1/HSP25shRNA2に対応する。結果は、AS1又はDS1コンストラクトのいずれかを形質移入した腫瘍細胞が、対照shRNAを形質移入した腫瘍細胞より狭い範囲を遊走したことを実際に示す。
(例4)
簡潔に述べると、DOTAP及びコレステロール(モル比1:1)からなるリポソームを、薄膜水和の後、膜押出しにより、N4 PLUS Coulter粒径散乱測定器を用いて測定したとき、80〜100nmの粒子サイズを得ることにより調製した。リポソームナノ粒子には、DOTAP/コレステロール、プロタミンスルホン酸、並びに配列番号4〜6及び対照配列中に提示されているタイプのHsp標的指向化siRNAオリゴヌクレオチドを含ませた。体重1kg当たり1mgのsiRNA製剤を調製するために、200μlのリポソームナノ粒子は、13.5μlのsiRNA、10μl(20μg)のプロタミンスルホン酸、40μlのDOTAP及びコレステロール(モル比1:1)、15μlのトランスフェリン(300μg)、リボヌクレアーゼを含まない121.5μlの水を含む。DOTAP、コレステロールは、Avanti Polar Lipids,Inc.から商業的に入手でき、ヒトトランスフェリンは、鉄飽和の熱失活した形態でBD Biosciencesから商業的に入手でき、サケから単離したプロタミンスルホン酸GradeXは、Sigma−Aldrichから商業的に入手することができる。ナノ粒子複合体を、プロタミンスルホン酸と、リボヌクレアーゼを含まない水と、siRNAとを混合し、10分間室温で放置した後、DOTAP/コレステロールリポソーム、トランスフェリン複合体を加えることにより調製されよう。リポソームナノ粒子を、動物に注射する前に10分間室温でインキュベートした。
赤色蛍光タンパク質で標識した10個の4T1腫瘍細胞をBALB/c雌マウスの乳腺に皮下注射し、これが0日目となり図8aに示す。腫瘍が適切な量に到達した7日目に、配列番号4、相補的な第2鎖、結合部分及び緑色蛍光標識を含むshRNAをマウスの乳腺に注射した。図8及び9では、腫瘍部位は点線で大体の輪郭を描き、shRNAは実線で大体の輪郭を表している。24時間後のインビボの画像である図8bは、赤色蛍光標識によって明らかになったときの腫瘍、及び緑色蛍光標識によって明らかになったときの、腫瘍部位の近位に局在するshRNAを示す。14日目の画像である図8cでは、処置していない腫瘍と比較すると、腫瘍量の低下が見られる。腫瘍量が低下した4日目に、shRNAを注射するという変化を加えた実験を繰り返し、24時間後に画像化したのが図9bである。14日目に、処置していない腫瘍と比較したときに腫瘍量の低下を観察したのが図9cである。
(予想例5)
以下は、本明細書に開示されている組成物を利用するsiRNA遺伝子治療に関する机上のプロトコールである。簡潔に述べると、DOTAP及びコレステロール(モル比1:1)からなるリポソームは、薄膜水和の後、膜押出しにより、80〜100nmの粒子サイズを得ることによって調製されよう。粒子サイズは、N4 PLUS Coulter散乱測定器を用いて測定されよう。リポソームナノ粒子には、DOTAP/コレステロール、プロタミンスルホン酸、及び配列番号4〜6中に提示されているタイプのHsp標的指向化siRNAオリゴヌクレオチドを含むことになろう。体重1kg当たり1mgのsiRNA製剤を調製するために、200μlのリポソームナノ粒子は、13.5μlのsiRNA、10μl(20μg)のプロタミンスルホン酸、40μlのDOTAP及びコレステロール(モル比1:1)、15μlのトランスフェリン(300μg)、リボヌクレアーゼを含まない121.5μlの水を含む。DOTAP、コレステロールは、Avanti Polar Lipids,Inc.から商業的に入手でき、ヒトトランスフェリンは、鉄飽和の熱失活した形態でBD Biosciencesから商業的に入手でき、サケから単離したプロタミンスルホン酸GradeXは、Sigma−Aldrichから商業的に入手することができる。ナノ粒子複合体を、プロタミンスルホン酸と、リボヌクレアーゼを含まない水と、siRNAとを混合することにより調製すると、DOTAP/コレステロールリポソーム、トランスフェリン複合体を加える前に、10分間室温で維持することができよう。リポソームナノ粒子は、動物に注射する前に10分間室温でインキュベートされよう。
赤色蛍光タンパク質で標識した10個の4T1細胞は、BALE/c雌マウスの乳腺に皮下注射されよう。腫瘍が(20〜30mm)のサイズに到達するときに、siRNA処置が開始されよう。siRNA製剤は、体重1kg当たり1〜2mgの投与量(1日に1回の注射を1週間に3日間、2〜4週間)で、マウスの皮下、静脈内又は腫瘍内に注射されよう。腫瘍の退縮は、インビボの画像化及び電子キャリパーの使用による腫瘍の測定によってモニターされよう。処置の経過の間、siRNA分布の調査のために組織を採取し、サイトカイン測定(インビボでの毒性)調査のために血液が採取されよう。これらの調査結果は、哺乳類動物の腫瘍を減少させる、腫瘍の転移能を低下させる、及び異なる哺乳類動物の配列における交差反応性を調べるというHsp組成物の能力を評価するために、部分的に使用されよう。
様々な実施形態を示し、説明してきたが、これらの改変は、本発明の精神及び教示から逸脱することなしに、当業者によって成すことができる。本明細書に記載の実施形態は単なる例示にすぎず、限定する意図はない。本明細書に開示されている本発明の多くの変形形態及び改変形態が可能であり、本発明の範囲内である。数値の範囲又は制限が明記されている場合、かかる明白な範囲又は制限は、明記された範囲又は制限内に入る大きさ類似の反復的範囲又は制限を包含するものと理解すべきである(例えば、約1〜約10は2、3、4などを包含し、0.10より大きい場合は0.11、0.12、0.13などを包含する)。特許請求の範囲の任意の要素に関して、「場合により(optionally)」という用語の使用は、対象の要素を必要とする、或いは必要としないことを意味することを意図している。両選択肢とも、本特許請求の範囲内に入ることを意図している。含む(comprise)、包含する(include)、有する(having)などのより広範な用語の使用は、からなる(consisting of)、から基本的になる(consisting essentially of)、を実質的に含む(comprised substantially of)などのより狭い用語を補助するものとして理解すべきである。
したがって、保護範囲は、上述の説明により制限されないが、以下に続く特許請求の範囲によってのみ制限され、その範囲は特許請求の範囲の対象となるすべての同等物を包含している。それぞれの及びすべての請求項は、本発明の実施形態として本明細書に組み込まれる。したがって、請求項はさらなる記載であり、本開示の実施形態に追加するものである。本開示における参照文献の考察は、本開示より前の技術として承認したわけではなく、特に、任意の参照文献は、本出願の優先日後の出版日を有する場合がある。本明細書に示した詳細内容の補足となる例、手順、又は他のことに関する詳細を提供する限りは、本明細書に引用されているすべての特許、特許出願、及び出版物は、参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (28)

  1. 標的遺伝子の発現を阻害する、単離した二本鎖リボ核酸(dsRNA)分子であって、前記dsRNAが2本のヌクレオチド鎖と、第1鎖の3’末端を第2鎖の5’末端に結合させる結合部分とを含み、第1鎖が19〜28個の連続ヌクレオチドの長さを示し、標的遺伝子中の配列と実質的に同一であり、第2鎖が第1鎖に対して実質的に相補的である、上記単離したdsRNA。
  2. 結合部分がポリヌクレオチドリンカーを含む、請求項1に記載のdsRNA。
  3. ポリヌクレオチドリンカーが5〜12塩基対の長さである、請求項2に記載のdsRNA。
  4. 標的遺伝子が熱ショックタンパク質をコードする、請求項1に記載のdsRNA。
  5. 標的遺伝子が配列番号3を含む、請求項1に記載のdsRNA。
  6. 第1鎖が配列番号4、5又は6を含む、請求項1に記載のdsRNA。
  7. 第1鎖、第2鎖又は両方がさらにマーカータンパク質を含む、請求項1に記載のdsRNA。
  8. マーカータンパク質が蛍光タンパク質である、請求項7に記載のdsRNA。
  9. 請求項1に記載のdsRNAを含む細胞の形質導入のためのベクターファミリー。
  10. ベクターがレトロウイルスベクターである、請求項9に記載のベクターファミリー。
  11. ベクターがレンチウイルスベクターである、請求項10に記載のベクターファミリー。
  12. プロモーター、リボソーム結合部位、エンハンサー配列、応答エレメント、誘導性エレメント、選択可能マーカー、調節エレメント、又はそれらの組合せをさらに含む、請求項9に記載のベクターファミリー。
  13. プロモーターが、マウスUG RNAプロモーター、合成ヒトH1RNAプロモーター、SV40プロモーター、CMVプロモーター、RSVプロモーター、RNAポリメラーゼIIプロモーター、RNAポリメラーゼIIIプロモーター、それらの誘導体、又はそれらの組合せを含む、請求項12に記載のベクターファミリー。
  14. 請求項1に記載のdsRNAを含む細胞系。
  15. 細胞系がパッケージング細胞系である、請求項14に記載の細胞系。
  16. 請求項1に記載のdsRNAを含む、ヒト以外の動物。
  17. 請求項1に記載のdsRNAを含む、治療量の組成物の投与を含む、増殖性障害に罹っている生物を処置する方法。
  18. 増殖性障害が腫瘍増殖により証明される、請求項17に記載の方法。
  19. 腫瘍増殖が約10%〜約95%まで阻害される、請求項18に記載の方法。
  20. 腫瘍の転移能が約10%〜約95%まで低下する、請求項18に記載の方法。
  21. 請求項1に記載のdsRNAと賦形剤とを含む、医薬品組成物。
  22. デリバリーシステムと腫瘍標的指向性部分とをさらに含む、請求項21に記載の医薬品組成物。
  23. デリバリーシステムがリポソームを含む、請求項22に記載の医薬品組成物。
  24. 腫瘍標的指向性部分が、抗体、トランスフェリン又はそれらの組合せを含む、請求項22に記載の医薬品組成物。
  25. 配列番号3と実質的に同一であるヌクレオチドの第1鎖と、第1鎖に対して実質的に相補的である第2鎖とを含む、単離した二本鎖リボ核酸分子。
  26. 配列番号3中に提示される配列を含む核酸分子によりコードされているタンパク質の発現を阻害する単離した二本鎖リボ核酸であって、dsRNAの第1鎖が配列番号3と実質的に同一であり、第2鎖が第1鎖に対して実質的に相補的である、上記単離した二本鎖リボ核酸。
  27. 請求項26に記載のdsRNAを含む細胞の形質導入のための、ベクターファミリー。
  28. 請求項26に記載のdsRNAと賦形剤とを含む、腫瘍増殖及び/又は転移能を低下させるための医薬品組成物。
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