JP2010527061A - 年金基金システム - Google Patents

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Abstract

例えば、年金制度のディフィーザンスにおいて用いられる方法は、実体に金融証書を提供するステップであって、金融証書は、特定のデュレーション内の定期的な時点において、金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を実体に対して支払うことを引き受け、予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含む。再設定時点において、予定支払額は、再設定時点より前に年金制度の実際の累積死亡率経験を考慮に入れて調整された、年金制度加入者に支払われるべき名目キャッシュフローの総額となるように計算された調整支払額を実体が受け取るように再設定される。上記方法を実行するための計算は、データ処理システム(100)を用いて行われ得る。

Description

本発明は、年金負債を証券化し、借入資本を導入することによって年金産業および保険産業からのリスク移転の実現を可能にするための方法およびシステムの開発に関する。本発明は、年金リスク管理システムの開発を含む。本発明の種々の態様は、他の環境においても適用される。
本発明のいくつかの態様は、例えば、証券およびデリバティブ商品を用いて年金負債に関連するリスクを資本市場に移転することによる年金・保険業界におけるリスクの免疫化に特に関する。本発明の態様はまた、年金負債の証券化を支援し、投資の証券化について報告し、かつ証券化制度の格付け機関の要件へのコンプライアンスを保証するシステムに関連する。本発明のさらなる態様は、スポンサー企業および年金受託者に対し、それらの規制報告要件へのコンプライアンスを保証することを支援するための報告ツールを提供する。なかでも、本発明の態様は、年金負債に関連したリスクを無効化する(defeasing)ための方法およびそのような方法を支援するためのシステム、ならびに関連する金融証書を提供する。
世界中の人口統計が、公共部門および民間部門の両方における地球規模の年金危機を示唆している。死亡率の改善(特に高齢における)は、年金準備が不十分である個人が、所得が不足した状態で、そして、場合によっては貧困のうちに、その人生を終えることになる可能性を高めている。
例えば従業員の勤務期間および給与によって年金額が決定される確定給付型年金制度を運営する一部の民間企業にとっては、雇用者が提供する年金制度に対する債務の合計サイズは、死亡率の改善により増大している。多くの場合、これは、企業の財政および運営に対する大きな負担となる程になっており、多くの制度がかなりの赤字で運営している。
年金債務を果たすための適切な備えが企業にあることを保証することに対する懸念は、およそ過去5年にわたって会計改革および規制改革の両方の組み合わせの導入をもたらし、それ自体が確定給付型年金制度の企業スポンサーの年金負担を増加させている。
FRS17、IAS19およびFAS87といった、近年採用された国際会計基準および国内会計基準は、現在、多くの企業に対し、年金赤字を第三者への債務として貸借対照表に反映させることを要求している。これらの会計基準のもとに、年金負債は、年金受給者への債務を長期債券利回りに基づいて割り引くことによって評価されることが要求され、一方、制度を支える資産(典型的には、債券の他に株式および不動産などの様々な資産クラスを含む)は、単に市場価値で記録される。その結果、通常、資産の評価額と制度の負債との間に不均衡が存在することになり、このことは、黒字/赤字のサイズにおける好ましくない変動性をもたらし得る。損益計算書にこの変動性を含めることが会計基準によってゆくゆくは要求され、このことが所得に対して大きな影響を与える可能性があるということを見込んで、この黒字/赤字の変動性は、最終的に企業の貸借対照表に反映されることになる。
さらに、現在までのところ、年金分野におけるシステムの開発は、アクチュアリーおよび年金コンサルタントのニーズによって主導されており、保険会社および年金受託者の管理報告要件に焦点が置かれている。年金制度レベルにおいては、記録およびリスク管理の基準は、一般に、高い基準ではない。保険レベルにおいては、キャッシュフロー予測および価格付けに焦点がおかれる傾向があった。資本市場基準によれば、年金リスク管理報告業界は、ほとんど単純なものであった。
この問題の一例は、企業に対して年金負債を長期社債利回りに基づいて評価することを要求する会計基準FRS17が導入されたにもかかわらず、負債を3年ごとにしか再評価しないという慣習が残っているということである。スポンサーが死亡率推定を開示することを要求されていないという事実によって、企業年金負債の真の範囲がさらに不明瞭になっている。これはつまり、企業に対して年金負債を財務諸表に正確に反映させようとする会計業界による動きがあったにも関わらず、現実には、その尺度は3年ごとといった間隔でしか更新されず、その上、それが恣意的な死亡率基準に基づいているということである。
さらに、米国および英国といった一部の管轄区域における最近の法律では、企業スポンサーは、赤字が存在する場合は一定期間内にその赤字に対して完全な資金提供を行う能力があることを示すことを要求されている。例えば、当該地域における現在の法律のもとでは、上記期間は、それぞれ、7年および10年に設定されている。これに鑑み、英国においては、株主に対する配当や他の分配を、年金赤字に対して資金提供を行うために転用する能力を含む、企業業務に介入する権限を有する年金監視機関(Pension Regulator)が設立されている。
さらに、米国の年金給付保証公社(Pension Benefit Guaranty Corporation)および英国の年金保護基金(Pension Protection Fund)などの準政府機関を通じて、政府は、スポンサーの債務不履行のリスクの最後の引受人になることを余儀なくされている。その結果、これらの機関は、今度は企業スポンサーに対して年次課税を課すようになってきている。
現行の年金報告の頻度および品質における不備を鑑みると、規制団体および政府の保護基金が、年金制度の最終エクスポージャーの有効な査定を可能にするための正確なあるいは時宜を得た情報を収集することは困難である。
年金基金問題は、明らかに、スポンサー企業側の業績不振をもたらす可能性があり、これにより、現在の株主および潜在的な投資家に対する問題が生じる可能性がある。
このますます負担が大きくなる背景の下、企業は、その年金受給者になされた契約により、インフレーション、金利、通貨、信用、株式および不動産市場ならびに寿命に対するエクスポージャーといったさらなる、そして場合によっては変動性の高いリスクにその事業がさらされていることを理解しつつある。
確定給付型年金制度の企業スポンサーに対するこれらのリスクおよびエクスポージャーの負担を考慮し、このような企業の経営陣は、新規加入者に対して現行の制度を閉鎖するか、給付を削減して定年を引き上げるか、あるいは、確定給付型年金制度から、従業員にとっては魅力的な選択肢でないかもしれない確定拠出型制度へ移行するかを選択し得る。これにより、企業スポンサーは、その従業員および事業利益を最優先させることに関して不必要に制限される。しかし、これらの方策はそれ自体いずれも、赤字の変動性に対する、または、様々な時代においてそうであったように実際には黒字に対する企業スポンサーのエクスポージャーという根本的な問題に対処するものではない。制度の閉鎖は、フレキシビリティに欠ける最終解決策であり、たとえ市場情勢が閉鎖後に順調になったとしても、スポンサーは、増大する黒字を徐々に取り戻すことができない。
別の選択は、例えば、独立して経営される回収ファンドに制度を移転することにより、企業年金制度に対する資金援助を全て放棄することである。このような手法により、赤字/黒字変動性の負担はなくなるが、年金監督機関は、これを使用しないことを強く勧めている。
企業が採用している現在の選択は人的資源に影響を及ぼす場合が多く、従業員の不満、および場合によっては企業の年金構成の変更案に対する異議を示す手段として争議行為を伴う。
現在、長寿リスクの引受能力の1つの資金源は保険業界であり、マルチライン(multi-line)保険業者による、または新しいタイプのモノライン(monoline)年金「買収(buy-out)」企業そして次に再保険市場による、一括年金保険証券の発行を通じて行われる。このような一括年金保険により、価格を付けられた保険料および制度の清算と引き換えに、年金制度のリスクおよび将来の負債の全てを保険業者に移転することによって年金制度のリスクの完全な法的および経済的な移転が実現される。これは部分的な解決を提供するものであるが、世界の保険市場の長寿関連リスクを引き受ける能力は、世界の年金市場のサイズと比較した場合に規模において非常に制限されており、拡張不能な解決法となっている。参加保険業者に対する資本コストが高いため、保険業界のその現在の能力を補足する能力には、現在、厳しい制約がある。高い資本コストが発生するのは、参加保険業者が高水準の規制目的用自己資本の大部分を高額の株式資本の形態で維持するように要求されているからである。このことは、年金制度の買収および一括年金保険による交換を非常に高価で非能率的な解決法にしている。
年金市場のさらなる制約は、年金市場が、現在継続中の年金制度のリスク移転の資金源ではなく、年金基金のディフィーザンスおよび閉鎖に最も適した商品を提供している点にある。この理由は、年金制度は特定の制度加入者を優先することを許されていないため、一括年金保険は制度全体の債務を無効化するために主に用いられるということである。
年金制度の完全買収に代わる手段として、保険会社のなかには、制度の負債を長寿リスクおよび他のリスクの部分ディフィーザンスとして段階的に引き受けることを提案するものもある。この目的は、給付が長い期間をかけて徐々に保証され、それにより、コストの分散化および買収に向けての制度のリスク管理を可能にすることである。一部の市場参入者が、完全買収用の利用可能資本を有しない可能性のある中小の企業および制度を対象にするためにこれを用いている。
確定給付型企業年金制度の受託者およびスポンサーに利用可能な別の選択は、年金リスク保険と呼ばれる様々な商品である。これらは、定められた期間にわたって(例えば、年金制度の資金回収期間であり得る)、所定の変動幅の一定のリスク経験を保証するものである。例えば、これは、上記回収期間にわたって、死亡率経験および投資経験を規定のレベルまで引き受けることであり得る。
結局、これらの商品の全ては、保険契約への投資として分類される。基本の一括年金保険商品の様々なデリバティブによって、年金制度が加入者別の保険証券ではなく、当該制度の全体的な資産として保険商品に「投資する」ことは形の上では可能であるが、そうすることで、法的および安全上の大きな影響が及ぼされる。なぜなら、債券とは違い、保険証券は、無条件の支払約束ではなく、利用可能な抗弁が存在しないこと条件として、偶発的な契約であるからである。この理由で、一括年金保険などの保険デリバティブ商品は、多くの年金受託者およびそのアドバイザーによって適切な投資であると考えられていない。
本発明者らは、債券または金利およびインフレーションデリバティブへの投資により、株式リスク、金利リスクおよびインフレーションリスクに対する年金制度のエクスポージャーをヘッジする解決法を提供することが可能であり、また、債券利回りのさらなる下落による急騰から制度の負債が免疫化されることを理解した。しかし、年金制度は長寿リスク(すなわち、制度の年金受給者が予想よりもはるかに長生するというリスク)にさらされたままとなるため、この解決法は、多くの場合において不完全であるということも理解した。
1つの好適な手法は、年金制度をリスクから免疫化するために、長寿を含む潜在的なエクスポージャーの全てに対して年金制度をヘッジすることであろう。この長寿リスクは、これまで管理が不可能であったが、本発明者らは、この長寿リスクならびに他のリスク・エクスポージャーおよび変動を年金負債の企業スポンサーおよび管理者から移転するためのシステムを開発した。
寿命の延長という特定の経済的リスクをヘッジすることができる金融証書を作成する可能性が以前に提案されている。長寿リスクに対して免疫化することを目的とする長寿債券および長寿デリバティブの形態の商品を開発し導入する提案がなされている。保険業者が生命保険事業において負担する逆相関死亡率リスク(すなわち、早期死亡)をヘッジする死亡率リンク債券(mortality bond)も発行されている。
1つの長寿債券が、ヨーロッパ投資銀行(EIB)に代わってBNPパリバによって2004年11月に発表された。これは、長期的な長寿リスクをヘッジすることを期待する金融機関向けの解決法として提案された。債券は、5億4000万ポンドに対して発行され、主として英国の年金基金を対象としたものであった。この債券は、債券が発行された年に65歳になる個人のコホートにおける生存者数に比例するクーポンを支払うことになっており、したがって、各年のクーポンは、コホートにおける年間生存者数に比例することになる。この支払は、年金の負債と一部一致することになるので、債券は、長寿リスクに対する有効なヘッジをもたらすことになる。
しかし、EIB長寿債券に関する多くの問題は、この債券が、開始されるための十分な利益を生み出さず、可能な再設計に向けて回収されたことを意味している。
本発明者らは、EIB債券または年金分野で用いられるあらゆる同様の提案の重大な不備点は、債券クーポンの支払額を決定するのに基準集団の死亡率を用いたことであると理解した。これはつまり、任意の個々の年金制度が直面する基本的なリスク、すなわち、その特定の年金制度が経験した死亡率状況がカバーされず、したがって、債券は、個々の年金制度の長寿リスクに対する有効なヘッジとならないことを意味する。
したがって、本発明者らは、長寿債券またはデリバティブが年金分野で有用となるために、これらは、個々の年金制度が実際に負担する死亡率リスクのためのより完全なヘッジを提供するか、あるいは、少なくとも、より大きいコホート範囲の死亡率経験に対して指数連動化される必要があることを理解した。
長寿指標は、例えば、2006年にクレディ・スイス、BNPパリバ、そしてごく最近では、ライフメトリックス(Lifemetrics)という商標名で指数を導入したJPモルガンによって、潜在的な死亡率または累積的な生存率のベンチマーク値を作成する目的で提案されている。しかし、指数の作成は、長寿のリスクを進んで引き受ける新たな資本を見分けるという点については市場をさらに前進させることはなく、また、このような能力なしには、長寿デリバティブ市場が軌道にのる可能性は低い。
本発明者らは、長寿証券化市場の成長の鍵となるのは、個々の年金制度の全経済リスク(すなわち、投資またはヘッジ商品が年金制度の寿命プロファイルを完全には反映しない場合に残されるエクスポージャー要素)をヘッジすることができる長寿債券および長寿デリバティブの開発であることを確認した。本発明者らは、このような商品が、自身およびその長寿リスクに対するエクスポージャーをヘッジすることを期待する個々の年金基金およびモノライン買収スペシャリストならびにマルチライン保険業者の形態の買い手および取引先に、リスク移転要件に対する完全な解決法を提供するであろうということを理解した。また、長寿商品に対するエクスポージャーは従来の資産クラスの多くと相関していないために魅力的な分散をもたらすものであると考える投機的な投資家の購買意欲を得るのに十分な価値を、このような商品の資本要素はもたらすことができる。
本発明の一部の態様により、年金制度の受託者は、赤字となるリスクを低減しつつ、その支払い債務を長い年月をかけて履行することができる。
一部の実施形態において、リスクは、制度およびその加入者を慎重に分析する会社に移転される。この会社は、長年にわたる期間の名目キャッシュフロー必要額を計算する。その後、この会社は、一般集団の平均寿命データに基づいた統計的手法、および制度の加入者に特有の因子を用いて、年金制度の加入者の平均寿命を計算する。一旦平均寿命データが計算されると、その平均寿命データを用いて名目キャッシュフロー必要額を操作することにより、予測される実際のキャッシュフロー必要額が計算される。上記会社は、年金制度の受託者によって提供される資金と引き換えに金融証書を発行し、この金融証書は、予測される実際のキャッシュフロー必要額と等しい金額を当該証書の有効期間にわたって支払うこと引き受けるものである。
一部の実施形態において、本発明の態様は、キャッシュフロー必要額の予測を超えた増加をもたらす因子の予期せぬ変化に対応することができる。このような変化の理由としては、指数連動型の年金支払いが予想以上に増加するようなインフレーション/生活費の上昇および平均寿命の変化が挙げられる。人々が当初の推定よりも長生きすれば、任意の特定の年において、当初の推定よりも多くの人々に年金が支払われ続けなければならない。
このため、金融証書は、キャッシュフロー必要額がそのような因子の予期せぬ変化にもかかわらず満たされるシステムを定めることが望ましい。したがって、このシステムの一部の実施形態によると、増額または減額されたキャッシュフロー必要額と一致するように増加または減額されたものではあるが、金融証書の発行人の保護も行うような金額が提供される。
本発明の一部の実施形態において、年金制度に対して支払われる金額をそのキャッシュフローと一致するように再計算するためのシステムは、以下の通りである。再設定点において、制度の当初の加入者のそれぞれの修正名目キャッシュフローは、コミュテーション(commutation)、移転等といった、年金支払いに影響する全ての非死亡率要因における制度加入者の実際の経験を考慮に入れて計算されるのに対し、それ以前の期間における任意の年金制度加入者の死亡の実際の死亡率経験は、修正名目キャッシュフローを計算する際に考慮に入れられない。すなわち、ある加入者が死亡している場合、その加入者の名目キャッシュフローは計算に残される。その後、年金制度加入者の実際の死亡率経験が、修正名目キャッシュフローと共に用いられることにより考慮に入れられ、当該再設定期間の調整されたキャッシュフローが計算される。
死亡率経験が個々の加入者レベルで考慮に入れられる場合、死亡した加入者の名目キャッシュフローは、当該再設定期間の調整キャッシュフローの計算および任意の後の再設定期間における調整キャッシュフローの計算から外されることになる。この手法は、調整キャッシュフローを計算する際に取り入れることができる。代わりに、本発明の一部の実施形態において、加入者は、各区分が1つの範囲の名目年金キャッシュフロー必要額を示す多くの区分のうち該当する1つに割り当てられる。各区分内では、死亡した加入者のものを含む、その区分の加入者の全ての修正名目キャッシュフローが合計され、その区分の平均死亡率も、当該区分の累積的な実際の死亡率経験から計算される。その結果得られる各区分の平均死亡率を、その区分の修正名目キャッシュフローの合計と共に用いて、その区分の調整キャッシュフローを計算する。調整区分キャッシュフローを合計し、年金制度の受託者に支払われるその再設定期間の調整キャッシュフローを得る。
もちろん、年金制度の受託者以外の任意の当事者が本発明の金融証書に投資することが可能である。特に、年金制度に対するエクスポージャーおよび長寿リスクを含むそれに関連する財務リスクを有する任意の当事者が、本発明の実施形態による金融証書に投資することを選択し得る。例えば、年金制度を引き受ける保険会社が、年金制度に対する当該保険会社のリスク・エクスポージャーの任意の側面を資本市場に移転することができる本発明の金融証書に投資することを選択し得る。また、金融証書が誤って価格付けされていると考えるあらゆる当事者が、本発明の実施形態による金融証書に投資することを選択し得る。
本発明の実施形態の金融証書は、債券、手形、ペーパー等を含むキャッシュ形態に制限されず、スワップ、オプション等を含むデリバティブ契約の形態で展開することができる。
本発明の態様の一部の好適な実施形態により、確定給付型年金制度に関連した長寿リスクおよび長寿ベーシスリスクをヘッジするために用いることができる金融証書が提供される。
本発明の態様の一部の好適な実施形態により、長寿および長寿ベーシスリスクを含む潜在的なリスク・エクスポージャーに対して免疫化するために年金基金の負債を証券化する方法およびシステムが提供される。
本発明の態様の一部の好適な実施形態により、確定給付型年金制度の資産および負債を管理し、資本市場へのリスク移転を容易にするように構成されたリスク管理システムが提供される。
本発明の態様の一部の好適な実施形態により、年金制度のリスクのより正確な指標が提供され、例えば、少なくとも長寿計算は、一般集団の標本に基づく推定ではなく、制度の個々の加入者に関連する因子に基づいて計算される。
本発明者らは、年金および保険業界から固定収入資本市場投資家への長寿および他のリスクの多面的なリスク移転を可能にする、資本市場に基づく一式の証券およびデリバティブならびに独自のリスク管理報告システムを開発した。
本発明の態様の実施形態により、指数連動型ディフィーザンス商品および独自のディフィーザンス商品の両方が提供され、これらは、制度の債務と一致するように設計された上位の担保付証券またはデリバティブによって制度の既存資産を部分的にあるいは完全に置き換えることにより、長寿(長寿ベーシスリスクを含む)、インフレーション、金利、信用および株式を含む、年金制度の全経済リスクを引き受けることが可能である。すなわち、これらのディフィーザンス商品は、長寿リスクに対する年金制度の潜在的なエクスポージャーを「細分(granular)」ベースで、すなわち、年金制度の加入者の実際の特性に基づいて分析することにより価格付けされるものであり、したがって、以前と比べてより正確な価格付けが可能となる。
これにより、確定給付型年金制度の企業スポンサーは、長寿リスクおよび長寿に関連したベーシスリスクを含むリスクに対する潜在的なエクスポージャーからその債務を免疫化することができる。
証券およびデリバティブ用の動作プラットフォームとして、リスク管理システムが提供されることが好ましい。証券およびデリバティブ商品は、世界の主要な負債格付け機関によって評価されることが可能となる。上位トランシェは、適切な主要格付け機関によって高く評価されることが好ましく、スタンダード・アンド・プアーズまたはムーディーズなどの独立した格付け機関によって、例えば、AAAまたはAaaと評価される。
証券およびデリバティブ商品のこの格付けを支えるために、格付け方法が提供されることもまた好ましく、この方法において、長寿リスクの証券化は、年金制度の実際および予測された死亡率経験を決定論的にあるいは確率論的に測定し、かつ、少なくとも1つの格付け機関により合意された一組の基準に毎日準拠することを保証するために、独自のリスクキャピタルモデルに基づいてリスクキャピタルを配分するリスク管理システムによって測定および監視される。これにより、証券格付けの定義、モニタリングおよび維持が可能となる。
好適な実施形態において、リスク管理システムは、監督機関、利害関係者および年金制度受託者に対して年金報告書をさらに提供し、これにより、投資および年金負債の両方の包括的な報告を毎日のマーク・トゥ・マーケット(marked to marked)ベースで行うことが可能となる。このことは、現行のシステムと比較した場合にビジネスプロセスの点で革命を意味し、年金制度の資産および負債の毎日のトランスペアレントな報告を行うことが可能となる。
本発明には様々な態様があり、また、本発明の実用的な実施においては、任意の実施可能な組合せで1つ以上の態様があわせて用いられ得ることが理解される。一部の態様および特に上記システムは、年金分野以外の環境で用いられ得る。長寿の正確な推定は、年金基金の加入者などのグループまたは個人(例えば、その個人が特定の年齢に達する確率を決定するために)に適用されるかを問わず、多くのシナリオにおいて用いられ得る。
広義には、本発明の一部の実施形態は、実体に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーション内の定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を前記実体に対して支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、
再設定時点において、前記予定支払額は、前記再設定時点より前に前記年金制度の実際の累積死亡率経験を考慮に入れて調整された、前記年金制度加入者に支払われるべき名目キャッシュフローの総額となるように計算された調整支払額を前記実体が受け取るように再設定される、方法を提供する。
一部の実施形態において、前記調整支払額は、前記年金制度の加入者のそれぞれの修正名目キャッシュフローを、前記名目キャッシュフローに影響を及ぼす非死亡率イベントの実際の経験を考慮に入れて決定すること、複数の年金所得受給資格区分を定義し、前記区分のうち1つに各加入者を割り当てること、各区分について、当該区分に含まれる加入者の実際の死亡率経験から得られる当該区分の平均累積生存率を決定し、当該区分に含まれる加入者の前記区分生存率および修正名目キャッシュフローを用いて、当該区分の指数連動型キャッシュフローを得ること、および前記区分の指数連動型キャッシュフローを総計して調整支払額を得ることによって計算される。
一部の実施形態において、前記非死亡率イベントは、年金制度加入者によるコミュテーション(commutation)、年金制度加入者による前記制度からの移転、早期退職、退職の延期、健康障害による退職、年金制度加入者、配偶者、扶養家族および制度が指定する年齢未満の子供の年金所得受給資格の指数連動化および再評価の実際のレベル、ならびに給与の増加からなる非網羅的な群から選ばれる。
一部の実施形態において、前記調整支払額は、前記年金制度の加入者のそれぞれの指数連動型キャッシュフローを、前記名目キャッシュフローに影響を及ぼした非死亡率イベントの実際の経験および各加入者の実際の死亡率経験を考慮に入れて決定すること、および前記区分の指数連動型キャッシュフローを総計して調整支払額を得ることによって計算される。
一部の実施形態において、前記実体は、その加入者に対して前記年金制度のキャッシュフロー債務を支払う責任を有する。実体は、年金基金自体であってもよく、あるいは、例えば、当該基金の要件を満たすことを引き受けた保険会社であってもよい。一部の実施形態において、前記予定支払額が再設定される前記時点の前に、前記金融証書に対する支払額と前記年金制度の実際のキャッシュフロー債務との間の差額に対応するために預金ファシリティおよび流動性ファシリティが前記実体に提供される。
一部の実施形態において、前記年金制度のその加入者に対する当初予測キャッシュフロー債務が、一般集団のコホートの予測平均寿命データを基準にして計算される。予測キャッシュフロー債務は、P−スプライン、リー・カーター(Lee Carter)およびケアンズ(Cairns)・ブレーク(Blake)・ダウド(Dowd)からなる非網羅的な群から選ばれる統計的死亡率分析技術によって計算される。
予測平均寿命に対する調整は、前記年金制度の特定の加入者に関する要因を考慮して行われ得る。
一部の構成において、確率論的モデル化が使用される。一部では、決定論的モデル化が使用される。
一部の実施形態において、前記年金制度加入者に対して支払われるべき前記名目キャッシュフローは、前記予定支払額が、少なくともインフレーションの実際の変化を考慮して再設定される前記時点について計算される。
一部の実施形態において、前記年金制度加入者に対して支払われるべき名目キャッシュフローは、前記予定支払額が、年金制度加入者によるコミュテーション、年金制度加入者による前記制度からの移転、早期退職、退職の延期、健康障害による退職、年金制度加入者、配偶者、扶養家族および制度が指定する年齢未満の子供の年金所得受給資格の指数連動化および再評価の実際のレベル、ならびに給与の増加からなる群から選ばれる前記非死亡率年金制度イベントをさらに考慮して再設定される前記時点について計算される。
好適な実施形態において、予定支払額がデータ処理装置を用いて計算され、そして、実際に全ての計算、分析処理等は、データ処理装置を用いて行われる。データ処理装置は、パーソナルコンピュータやシンクライアント端末などの1つ以上のワークステーションを含み得、また、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、仮想プライベートネットワーク(VPN)、インターネット等といった適切なネットワークを介して1つ以上のサーバに接続され得る。端末またはパーソナルコンピュータは、通常、プロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリ、不揮発メモリ、およびハードディスクドライブなどの大容量データ記憶装置を含む。モニタなどの出力装置、キーボードおよびマウスまたはトラックボールなどの1つ以上の入力装置が存在する。ネットワークへの接続、プリント出力ならびに音声入力および/または出力を提供するための外部記憶装置やプリンタなどの周辺機器への接続を行うためのインターフェースが存在する。世界死亡統計、年金基金に関する最新の統計等といった供給データを受信し、当該データを、処理するかあるいは別の装置が処理のために使用できるようにするサーバなどの装置が存在し得る。本発明によるステップは、データ処理装置によって処理された際に、当該データ処理装置に適切なステップを実行させる命令を含むソフトウェアによって実行され得る。データ処理装置に取り込まれるソフトウェアは、CDやDVDなどの物理的なデータ記憶媒体上に提供されてもよいし、あるいは、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードされてもよい。ソフトウェアは、パーソナルコンピュータ上でローカルに実行されてもよいし、あるいは、当該パーソナルコンピュータまたはシンクライアント端末がネットワークを介して通信を行うサーバ上でリモートに実行されてもよい。
一実施形態において、予定支払時点について、前記年金制度のその加入者に対する前記予想キャッシュフロー債務は、少なくとも、各年金制度加入者が前記時点まで生存する予測尤度を考慮に入れて計算され、前記予測尤度は、基準集団の生存確率の変化を、統計長寿予測モデルを用いて前記基準集団の実際の死亡率経験における傾向を外挿することによってモデル化することにより計算される。必要に応じて、このような方法は、各年金制度加入者について、当該加入者の生存確率を前記基準集団の生存確率に従って調整するための因子を、当該年金制度加入者の社会経済的特性の影響を考慮に入れて計算するステップを含み得る。
一部の実施形態において、前記予想キャッシュフローは、前記年金制度の加入者および前記制度を運営するための規則に関する情報を受け取り、各制度加入者に対する前記年金制度の将来の負債を、前記制度の規則に基づいてかつ加入者の死亡がないと仮定して、各予定支払時点における名目キャッシュフローとして予測すること、前記年金制度の各加入者について、当該加入者が各予定時点まで生存する予測尤度を示す長寿データを特定すること、前記長寿データを用いて、各制度加入者の前記名目キャッシュフローを調整すること、および前記長寿調整済み名目キャッシュフローを総計して、前記金融証書に対する予定支払額を構成する予想キャッシュフローを形成することによって計算される。
一部の実施形態において、長寿データの計算は、前記基準集団の実際の死亡率経験のデータセットを収集し、前記基準集団の関連死亡率テーブルを作成すること、統計長寿予測モデルを前記データに適合させて、前記基準集団の生存確率の変化をモデル化すること、前記モデルを将来に外挿し、前記基準集団の実際の死亡率経験における傾向を予測すること、および前記基準集団に関連する死亡率テーブルを、前記基準集団の生存確率における予測変化を組み込むように調整し、長寿傾向リスクを計算に入れた個人の死亡率テーブルを作成することを含む。前記統計長寿予測モデルは、例えば、P−スプラインモデル、リー・カーターモデルまたはケアンズ・ブレーク・ダウドモデルからなる群から選ばれ得る。
一部の実施形態において、前記統計長寿予測モデルは、前記基準集団の既知の死亡率データの第1の期間に前記モデルを適合させ、かつそれに続く第2の期間における前記モデルの長寿予測を前記第2の期間における前記基準集団の既知の死亡率データと比較するためのバックテスティングを行うことによって選択される。
一部の実施形態において、前記統計長寿予測モデルの出力は、前記基準集団における死亡傾向の定性分析との比較を行うことによって妥当性が検査される。
一部の実施形態において、前記統計長寿予測モデルは、ベイズ情報量規準および赤池情報量規準からなる群から選ばれる統計的規準を、前記長寿予測モデルの適合度を前記長寿予測モデルの平滑度および複雑度に対して均衡させるように最適化することによって選択されるP−スプライン予測モデルである。
一部の実施形態において、前記社会経済的特性は、年齢、性別、年金サイズ、社会経済的階級、喫煙状態、地理的なライフスタイル・マッピング、郵便番号、生年月日に基づく季節性、課税レベル、不動産所有レベル、家族状況、配偶関係、扶養家族数および職業分野からなる群から選ばれる。
一部の実施形態において、前記予定支払額を、前記制度加入者の全てに対する前記年金制度の実際の負債を前記年金制度の流出までまたは前記年金制度が清算可能となるまで無期限にカバーするための予想キャッシュフロー債務と一致させる。
一部の実施形態において、前記予定支払額を、前記制度加入者の全てに対する前記年金制度の実際の負債を定められた期間にわたってカバーするための予想キャッシュフロー債務と一致させる。
一部の実施形態において、前記予定支払額を、前記制度加入者の全てに対する前記年金制度の実際の負債の一部のみを前記年金制度の流出までまたは前記年金制度が清算可能となるまで無期限にカバーするための予想キャッシュフロー債務と一致させる。
一部の実施形態において、前記予定支払額を、前記制度加入者の全てに対する前記年金制度の実際の負債の一部のみを定められた期間にわたってカバーするための予想キャッシュフロー債務と一致させ、前記実体は、前記年金制度のその加入者に対するキャッシュフロー債務を支払う責任を有し、前記方法は、前記定められた期間の終わりに、年金制度の赤字を相殺するように、あるいは前記赤字を以前に指定された保証額とするように構成される金額を前記実体に支払うことを引き受けるステップをさらに含む。
前記実体が年金制度のその加入者に対するキャッシュフロー債務を支払う責任を有する一部の実施形態において、前記年金制度が保有する資産の価値と前記年金制度の負債の正味現在価値との間に年金制度赤字が存在し、前記方法は、定められた返済期間にわたって間隔をおいて、前記年金制度の支払額に近い金額を前記実体から受け取るステップをさらに含み得る。
一部の好適な実施形態において、前記金融証書は、格付け機関からの格付けを有する。一部の実施形態において、予定支払時点について、前記年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務は、少なくとも、各年金制度加入者が前記時点まで生存する予測尤度を考慮に入れて計算され、前記金融証書は、格付け機関からの格付けを有する。一部の実施形態において、前記金融証書は、格付け機関スタンダード・アンド・プアーズ、ムーディーズおよびフィッチのうち少なくとも1つからの格付けを有する。
一部の実施形態において、上記方法は、前記予想キャッシュフローに対してストレステストを行うことにより、保有すべきリスクキャピタルの額を計算し、少なくとも前記リスクキャピタル額を保有するステップを含む。一部の実施形態において、前記リスクキャピタルは、借入および自己資本の劣後トランシェをキャピタルノート(capital notes)およびエクイティノート(equity notes)の形態で発行することにより調達される。一部の実施形態において、前記キャピタルノートおよびエクイティノートの劣後トランシェは、資産リスクに対するエクスポージャーをさらに有する。一部の実施形態において、前記実体は、前記年金制度のスポンサーであり、前記金融証書が自己引受けされるように前記資本の劣後トランシェに投資することによって前記リスクキャピタルに寄与する。
一部の実施形態において、前記金融証書は格付け機関からの格付けを有し、資本の劣後トランシェが、前記格付け機関からの下位格付けに相当する資本構成を有するような額であり、かつ支払ウォーターフォール(payment waterfall)の連続する支払構造においてそれに応じて配置される。
一部の実施形態において、調整支払額が任意の期間における前記予想キャッシュフロー以下である場合、前記資本の劣後トランシェのキャピタルノートまたはエクイティノートの保有者にクーポンを支払うことにより資本が放出される。一部の実施形態において、前記金融証書は格付け機関からの格付けを有し、前記調整支払額が任意の期間における前記予想キャッシュフローよりも大きい場合、前記信用格付けが再度満たされるまで資本が保留される。一部の実施形態において、前記金融証書は格付け機関からの格付けを有し、前記必要リスクキャピタルは、間隔をおいて再計算され、前記保有リスクキャピタルは、前記格付けへのコンプライアンスを保証するように調整される。
一部の実施形態において、前記金融証書は格付け機関からの格付けを有し、前記格付けは、前記格付けを達成し、かつ格付け機関の債務不履行確率表によって同等の格付けを有する債券の債務不履行確率以下の確率で起きると予測される最悪の長寿ショックの場合に、前記金融証書に対する支払額の債務が履行され得ることを保証するために保有されることが必要なリスクキャピタル額を計算するために、前記予想キャッシュフローに対してストレステストを行うことにより達成され、前記方法は、少なくとも前記リスクキャピタル額を保有するステップをさらに含む。一部の実施形態において、前記格付け機関は、例えば、スタンダード&プアーズまたはフィッチであり得る。
一部の実施形態において、前記各年金制度加入者が生存する予測尤度は、適切な基準集団の生存確率の変化を、統計長寿予測モデルを用いて前記基準集団の実際の死亡率経験における傾向を将来に外挿することによりモデル化し、前記基準集団に関連する死亡率テーブルをこれらの傾向を組み込むように調整することによって計算され、前記予想キャッシュフローに対するストレステストは、将来の様々な長寿結果について、前記統計長寿予測モデルを用いて、前記年金制度の予想キャッシュフロー債務の正味現在価値をシミュレートすることにより行なわれ、前記方法は、格付け機関の債務不履行確率表によって同等の格付けを有する債券の債務不履行確率以下の確率で生じると予測される、前記年金制度の予想キャッシュフロー債務が最大正味現在価値を有する拘束的時間軸(binding time horizon)を、将来の複数の時点および将来の様々な長寿結果の全てについて決定するステップを含み、前記必要リスクキャピタルは、前記年金制度の予想キャッシュフロー債務の前記最大正味現在価値と、前記拘束的時間軸における前記正味現在価値の最良推定との差額である。
このような構成の一部の実施形態において、前記各年金制度加入者が生存する予測尤度の計算は、各年金制度加入者について、当該加入者の生存確率の死亡率テーブルを前記基準集団の生存確率の死亡率テーブルに従って調整するための因子を、当該年金制度加入者の社会経済的特性の影響を考慮に入れて計算することをさらに含む。一部の実施形態において、前記格付け機関によって指定される格付けを達成するために保有されることが必要なリスクキャピタル額の計算は、統計死亡率予測モデルによって作成された死亡率予測についての前記年金制度の集団の大きさに関連する誤差分布の特性を明らかにするために、前記基準集団に対してブートストラップ分析を行うこと、および前記誤差分布を前記予想キャッシュフローの正味現在価値に適用することにより、前記格付け機関の債務不履行確率表によって同等の格付けを有する債券の債務不履行確率以下の確率で生じると予測される、前記死亡予測における標本誤差の場合に、前記金融証書に対する支払額が満たされることを保証するために保有すべきリスクキャピタル額を決定することをさらに含む。
一部の実施形態において、前記ブートストラップ分析は、前記年金制度の集団と同じ大きさの基準集団の加入者のN個の無作為標本について、統計死亡率予測モデルによってある期間にわたって前記無作為標本について予測される死亡率を計算すること、前記死亡率予測のそれぞれを前記基準集団のその標本の前記期間にわたる実際の死亡率と比較し、前記死亡率予測における誤差を求めること、および前記死亡率予測における誤差の分布の特性を明らかにすることを含む。
一部の実施形態において、前記金融証書は格付け機関からの格付けを有し、前記格付けは、前記格付けを達成し、かつ死亡率ショックに起因するであろう予想損失が、信用格付け機関の理想損失率表によって同等の信用格付けを有する債券の予想損失よりも低いことを保証するために保有されることが必要なリスクキャピタル額を計算するために、前記予想キャッシュフローに対してストレステストを行うことにより達成され、前記方法は、少なくとも前記リスクキャピタル額を保有するステップを含む。前記信用格付け機関は、例えば、ムーディーズであり得る。
一部の実施形態において、前記各年金制度加入者が生存する予測尤度は、適切な基準集団の生存確率の変化を、統計長寿予測モデルを用いて前記基準集団の実際の死亡率経験における傾向を将来に外挿することによりモデル化し、前記基準集団に関連する死亡率テーブルをこれらの傾向を組み込むように調整することによって計算され、前記予想キャッシュフローに対するストレステストは、将来の様々な長寿結果について、前記統計長寿予測モデルを用いて、前記年金制度の予想キャッシュフロー債務の正味現在価値をシミュレートすることにより行なわれ、前記方法は、格付け機関の理想損失率表によって同等の格付けを有する債券の予想損失をもたらす、前記年金制度の予想キャッシュフロー債務が最大正味現在価値を有する拘束的時間軸を、将来の複数の時点および将来の様々な長寿結果の全てについて決定するステップを含み、前記必要リスクキャピタルは、前記年金制度の予想キャッシュフロー債務の前記最大正味現在価値と、前記拘束的時間軸における前記正味現在価値の最良推定との差額である。
一部の実施形態において、前記各年金制度加入者が生存する予測尤度の計算は、各年金制度加入者について、当該加入者の生存確率の死亡率テーブルを前記基準集団の生存確率の死亡率テーブルに従って調整するための因子を、当該年金制度加入者の社会経済的特性の影響を考慮に入れて計算することをさらに含む。一部の実施形態において、前記格付け機関によって指定される格付けを達成するために保有されることが必要なリスクキャピタル額の計算は、基準集団に対してブートストラップ分析を行うことにより、統計死亡率予測モデルによって作成された死亡率予測についての前記年金制度の集団の大きさに関連する誤差分布の特性を明らかにすること、および前記誤差分布を前記予想キャッシュフローの正味現在価値に適用することにより、前記死亡予測における標本誤差に起因するであろう予想損失が、前記信用格付け機関の理想損失率表によって同等の信用格付けを有する債券の予想損失率よりも低いことを保証するために保有すべきリスクキャピタル額を決定することをさらに含む。
一部の実施形態において、前記ブートストラップ分析は、前記年金制度の集団と同じ大きさの基準集団の加入者のN個の無作為標本について、統計死亡率予測モデルによってある期間にわたって前記無作為標本について予測される死亡率を計算すること、前記死亡率予測のそれぞれを前記基準集団のその標本の前記期間にわたる実際の死亡率と比較し、前記死亡率予測における誤差を求めること、および前記死亡率予測における誤差の分布の特性を明らかにすることを含む。
一部の実施形態において、前記金融証書は格付け機関からの格付けを有し、前記格付けは、前記格付けを達成し、かつ格付け機関の債務不履行確率表によって同等の格付けを有する債券の債務不履行確率以下の確率で起きると予測される最悪の長寿ショックの場合に、前記金融証書に対する支払額の債務が履行され得ること、または、前記予想損失が、格付け機関の理想損失率表によって信用格付けを有する債券の予想損失よりも低いことを保証するために保有されることが必要なリスクキャピタル額を計算するために、前記予想キャッシュフローに対してストレステストを行うことにより達成され、前記方法は、少なくとも前記リスクキャピタル額を保有するステップを含み、前記各年金制度加入者が生存する予測尤度は、適切な基準集団の生存確率の変化を、統計長寿予測モデルを用いて前記基準集団の実際の死亡率経験における傾向を将来に外挿することによりモデル化することによって計算され、前記予想キャッシュフローに対するストレステストは、将来の様々な長寿結果について、前記統計長寿予測モデルを用いて、前記年金制度の予想キャッシュフロー債務の正味現在価値をシミュレートすることにより行なわれ、前記方法は、信用格付け機関の債務不履行確率表によって同等の格付けを有する債券の債務不履行確率以下の確率で生じるか、あるいは、格付け機関の理想損失率表によって同等の格付けを有する債券の予想損失をもたらす、前記年金制度の予想キャッシュフロー債務が最大正味現在価値を有する拘束的時間軸を、将来の複数の時点および将来の様々な長寿結果の全てについて決定するステップを含み、前記必要リスクキャピタルは、前記年金制度の予想キャッシュフロー債務の前記最大正味現在価値と、前記拘束的時間軸における前記正味現在価値の最良推定との差額である。前記統計長寿予測モデルは、例えば、P−スプラインモデル、リー・カーターモデルおよびケアンズ・ブレーク・ダウドモデルからなる群から選ばれ得る。
一部の実施形態において、前記正味現在価値のシミュレーションは決定論的に行なわれる。一部の実施形態において、前記正味現在価値のシミュレーションは確率論的に行なわれる。一部の実施形態において、前記シミュレートされた正味現在価値の分布に対して正規分布が適合され、前記正規分布を用いて前記必要リスクキャピタルが評価される。
好適な実施形態において、先に説明したように、前記必要リスクキャピタル額といったデータの計算は、データ処理装置によって実行される。
一部の実施形態において、前記金融証書の予定支払額を構成する、各加入者の前記予想キャッシュフロー債務は、当該加入者が各加入者の予め合意された平均寿命に達してから、ある時間が経過した後にゼロに設定され、前記平均寿命は、前記実体により合意されたものである。
本発明は、多くの異なる態様から見ることができ、これらは、単独で用いてもよいし、任意の使用可能な組み合わせで併用してもよい。上述の本発明の実施形態の各特徴は、記載された文脈以外の文脈で併せて用いることができ、また、本発明の異なる独立した態様を示し得、これらは、単独で用いてもよいし、任意の使用可能な組み合わせで併用してもよい。以下に、本発明のさらなる態様について記載するが、以下に列挙される態様は、網羅的なものではない。
本発明の一態様から見ると、年金制度に、前記年金制度の予測キャッシュフロー債務と一致する金額を特定の期間にわたって支払うことを引き受ける金融証書を提供することよって、その債務を果たすための資金を提供する方法であって、前記予測キャッシュフロー債務は、前記年金制度の加入者の予測平均寿命に関するデータを含む因子を考慮してデータ処理装置によって計算される方法であって、前記年金制度に対して支払われるべき金額は、前記期間中に間隔をおいて、前記制度内の過去の死亡率経験に関するデータを用いて、データ処理装置によって再計算される、方法が提供される。
本発明の一態様から見ると、投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成され、各時点の前記予想キャッシュフロー債務は、少なくとも、各年金制度加入者が当該時点まで生存する予測尤度を考慮に入れて計算されるステップを含み、前記各年金制度加入者が生存する予測尤度は、基準集団の生存確率の変化を、統計長寿予測モデルを用いて前記基準集団の実際の死亡率経験における傾向を外挿することによりモデル化することによって計算される、方法が提供される。前記方法は、各年金制度加入者について、当該加入者の生存確率を前記基準集団の生存確率に従って調整するための因子を、当該年金制度加入者の社会経済的特性の影響を考慮に入れて計算するステップを含み得る。前記予想キャッシュフローは、前記年金制度の加入者および前記制度を運営するための規則に関する情報を受け取り、各制度加入者に対する前記年金制度の将来の負債を、前記制度の規則に基づいてかつ加入者の死亡がないと仮定して、各予定支払時点における名目キャッシュフローとして予測すること、前記年金制度の各加入者について、当該加入者が各予定時点まで生存する予測尤度を示す長寿データを特定すること、前記長寿データを用いて、各制度加入者の前記名目キャッシュフローを調整すること、および前記長寿調整済み名目キャッシュフローを総計して、前記金融証書に対する予定支払額を構成する予想キャッシュフローを形成することによって計算され得る。
本発明の一態様から見ると、投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、前記予定支払額を、少なくとも前記金融証書の発行時における前記制度加入者の全てに対する前記年金制度の実際の負債をカバーするための予想キャッシュフロー債務と一致させ、前記特定のデュレーションは、前記年金制度の流出まで、または前記年金制度が清算可能となるまでの無期限である、方法が提供される。
本発明の一態様から見ると、投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、定められた期間にわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、前記予定支払額を、少なくとも前記金融証書の発行時における前記制度加入者の全てに対する前記年金制度の実際の負債をカバーするための予想キャッシュフロー債務と一致させる、方法が提供される。
本発明の一態様から見ると、投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、前記予定支払額を、少なくとも前記金融証書の発行時における前記制度加入者の全てに対する前記年金制度の実際の負債の一部のみをカバーするための予想キャッシュフロー債務と一致させ、前記特定のデュレーションは、前記年金制度の流出まで、または前記年金制度が清算可能となるまでの無期限である、方法が提供される。
本発明の一態様から見ると、投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、定められた期間にわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、前記予定支払額を、少なくとも前記金融証書の発行時における前記制度加入者の全てに対する前記年金制度の実際の負債の少なくとも一部をカバーするための予想キャッシュフロー債務と一致させ、前記方法は、前記特定のデュレーションの満期時に、年金制度の赤字を相殺するか、あるいは前記赤字を以前に指定された保証額にするように構成された金額を前記投資家に対して支払うことを引き受けるステップをさらに含む、方法が提供される。
本発明の一態様から見ると、投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、前記方法は、前記金融証書を発行する際に、前記金融証書の発行時における前記金融証書の当初の価値よりも低い初期投資額を前記投資家から受け取るステップと、定められた赤字返済期間にわたって間隔をおいて、前記初期投資額と前記金融証書の前記当初の価値との差額を支払うための金額を、延べ払いの資金調達の関連費用と共に前記投資家から受け取るステップとをさらに含む、方法が提供される。
本発明の一態様から見ると、投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、前記金融証書は格付け機関からの格付けを有する、方法が提供される。前記金融証書は、例えば、格付け機関スタンダード・アンド・プアーズ、ムーディーズおよびフィッチのうち少なくとも1つからの格付けを有し得る。
本発明の一態様から見ると、投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、前記予定支払額は、インフレーションの変動と一致するように構成される、方法が提供される。
本発明の一態様から見ると、投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、前記予定支払額を、少なくとも前記金融証書の発行時における前記年金制度加入者の定義された区分のみに対する前記年金制度の実際の負債をカバーするための予想キャッシュフロー債務と一致させ、前記特定のデュレーションは、前記年金制度の流出まで、または前記年金制度が清算可能となるまでの無期限である、方法が提供される。
本発明の一態様から見ると、投資家に提供される金融証書の長寿リスク・エクスポージャーの格付けを達成する方法であって、前記証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、ある時点における前記予想キャッシュフロー債務は、少なくとも、各年金制度加入者が当該時点まで生存する予測尤度を考慮に入れて計算され、前記方法は、前記格付けを達成し、かつ格付け機関の債務不履行確率表によって同等の格付けを有する債券の債務不履行確率以下の確率で起きると予測される最悪の長寿ショックの場合に、前記金融証書に対する支払額の債務が履行され得ることを保証するために保有されることが必要なリスクキャピタル額を、前記予想キャッシュフローに対してストレステストを行うことにより計算するステップと、少なくとも前記リスクキャピタル額を保有するステップとを含む、方法が提供される。
本発明の一態様から見ると、投資家に提供される金融証書の長寿リスク・エクスポージャーの格付けを達成する方法であって、前記証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、ある時点における前記予想キャッシュフロー債務は、少なくとも、各年金制度加入者が当該時点まで生存する予測尤度を考慮に入れて計算され、前記方法は、前記格付けを達成し、かつ死亡率ショックに起因するであろう予想損失が、信用格付け機関の理想損失率表によって同等の信用格付けを有する債券の予想損失よりも低いことを保証するために保有されることが必要なリスクキャピタル額を、前記予想キャッシュフローに対してストレステストを行うことにより計算するステップと、少なくとも前記リスクキャピタル額を保有するステップとを含む、方法が提供される
本発明の一態様から見ると、投資家に提供される金融証書の長寿リスク・エクスポージャーの格付けを達成する方法であって、前記証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、ある時点における前記予想キャッシュフロー債務は、少なくとも、各年金制度加入者が当該時点まで生存する予測尤度を考慮に入れて計算され、前記方法は、前記格付けを達成し、かつ格付け機関の債務不履行確率表によって同等の格付けを有する債券の債務不履行確率以下の確率で起きると予測される最悪の長寿ショックの場合に、前記金融証書に対する支払額の債務が履行され得ること、または、前記予想損失が、信用格付け機関の理想損失率表によって信用格付けを有する債券の予想損失よりも低いことを保証するために保有されることが必要なリスクキャピタル額を、前記予想キャッシュフローに対してストレステストを行うことにより計算するステップと、少なくとも前記リスクキャピタル額を保有するステップとを含み、前記各年金制度加入者が生存する予測尤度は、適切な基準集団の生存確率の変化を、統計長寿予測モデルを用いて前記基準集団の実際の死亡率経験における傾向を将来に外挿することによりモデル化することによって計算され、前記予想キャッシュフローに対するストレステストは、将来の様々な長寿結果について、前記統計長寿予測モデルを用いて前記年金制度の予想キャッシュフロー債務の正味現在価値をシミュレートすることにより行なわれ、前記方法は、格付け機関の債務不履行確率表によって同等の格付けを有する債券の債務不履行確率以下の確率で生じるか、あるいは、格付け機関の理想損失率表によって同等の格付けを有する債券の予想損失をもたらす、前記年金制度の予想キャッシュフロー債務が最大正味現在価値を有する拘束的時間軸を、将来の複数の時点および将来の様々な長寿結果の全てについて決定するステップを含み、前記必要リスクキャピタルは、前記年金制度の予想キャッシュフロー債務の前記最大正味現在価値と、前記拘束的時間軸における前記正味現在価値の最良推定との差額である、方法が提供される。
本発明の一態様から見ると、年金制度に関連する年金基金を証券化する方法であって、金融証書に投資するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、前記年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成され、各時点における前記予想キャッシュフロー債務は、少なくとも、各年金制度加入者が当該期間まで生存する予測尤度を考慮に入れて計算されるステップと、少なくとも1つの前記次の期間において、当該期間についての予定支払額の代わりに調整支払額を受け取るステップであって、前記調整支払額は、前記再設定時点までの前記年金制度の実際の累積死亡率経験を考慮に入れて調整された、前記期間に前記年金制度加入者に支払われるべき名目キャッシュフローの総額となるように計算されるステップとを含む、方法が提供される。
一部の実施形態において、前記方法は、前記予想キャッシュフロー債務が投資コスト閾値を超える正味現在価値を有する個々の据置年金制度加入者を特定し、当該据置加入者に対し、前記年金制度から移転するよう現金インセンティブを提示するステップをさらに含む。一部の実施形態において、前記現金インセンティブの額は、当該加入者についての予想キャッシュフロー債務の正味現在価値未満であり、前記方法は、前記据置加入者が前記インセンティブを受領し、前記制度から移転する場合に、前記現金インセンティブの額と当該加入者についての前記予想キャッシュフロー債務の現在価値の額との差額を用いて年金制度赤字を軽減するステップをさらに含む。
本発明の一態様から見ると、投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含む方法であって、前記方法は、前記金融証書を第1の実体から発行するステップであって、前記第1の実体は、前記年金制度から資産を受け取り、前記資産を第2の実体に移転し、前記第2の実体は、前記予想キャッシュフローと一致する金額を前記第1の実体に返却し、前記第1の実体は、前記金融証書の前記予定支払に従ってキャッシュフローを前記投資家に移転するステップを含み、前記第1の実体の資産および負債は、前記第2の実体、好ましくは、他の全ての実体および第三者の資産および負債から法律上分離される、方法が提供される。一部の実施形態において、前記第1の実体および前記第2の実体は、借入および自己資本の劣後トランシェを発行することにより調達されたリスクキャピタルによってそれぞれ支えられる。
一部の実施形態において、前記方法は、前記第1の実体と共にデリバティブを引き受ける第3の実体をさらに含み、所与の期間について、前記第3の実体は、前記金融証書の実際のキャッシュフロー債務と前記第1の実体が前記第2の実体から受け取るキャッシュフローとの差額と一致するキャッシュフローを前記第1の実体に対して支払うか、あるいは前記第1の実体から受け取り、前記第1の実体は、前記期間における前記金融証書の実際のキャッシュフロー債務を前記投資家に対して支払う。一部の実施形態において、前記方法は、前記金融証書に対する支払額を、前記第2の実体または前記第1の実体がこれらの支払を行うことができない場合に、前記金融証書への投資家に対して支払うことを保証する第4の実体をさらに含む。
一部の実施形態において、第1の実体は証券発行実体であり、第2の実体は資産保有実体であり、第3の実体は長寿デリバティブ実体であり、第4の実体は第三者である。
一部の実施形態において、前記資産保有実体によって保有される資産は、前記資産保有実体に支払われる予想資産キャッシュフローを有し、前記借入および自己資本の劣後トランシェは、長寿リスクおよび資産リスクに対するエクスポージャーをそれぞれが含むキャピタルノートおよびエクイティノートの形態で発行され、長寿リスクキャピタル額および資産リスクキャピタル額を提供し、前記長寿リスクキャピタルは、長寿ショックが起きた場合に、前記金融証書の支払い額債務が前記長寿リスクキャピタル額まで履行され得ることを保証し、前記資産リスクキャピタルは、前記予想資産キャッシュフローにショックが起きた場合に、前記支払い額債務が前記資産リスクキャピタル額まで履行され得ることを保証する。
本発明の一態様から見ると、投資家に提供される金融証書の長寿リスク・エクスポージャーを定量する方法であって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成され、各時点における前記予想キャッシュフロー債務は、少なくとも、各年金制度加入者が当該時点まで生存する予測尤度を考慮に入れて計算され、前記方法は、前記予定支払を構成する予想キャッシュフローから前記金融証書の現在価値を計算するステップと、前記予想キャッシュフローに対してストレステストを行うことにより、前記特定の確率で起きると予測される長寿ショックにより生じる前記金融証書の現在価値の変化を計算するステップであって、前記現在価値の変化は、当該確率を有する長寿ショックに対する前記金融証書のリスク・エクスポージャーを表すステップとを含む、方法が提供される。
本発明の一態様から見ると、特定の確率で起きると予測される長寿ショックに対する、資産または負債の長寿リスク・エクスポージャーを定量する方法であって、前記資産または負債は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において売掛金額および買掛金額のキャッシュフローを有し、前記金額は、債権者または債務者のグループの実際の死亡率経験の少なくとも関数であり、前記方法は、各時点について、当該時点における前記予想キャッシュフロー債務を、少なくとも、各債権者または債務者が当該時点まで生存する予測尤度を考慮に入れて計算するステップと、前記予想キャッシュフローから前記資産または負債の現在価値を計算するステップと、前記予想キャッシュフローに対してストレステストを行うことにより、前記特定の確率で起きると予測される長寿ショックにより生じる前記資産または負債の現在価値の変化を計算するステップであって、前記現在価値の変化は、当該確率を有する前記長寿ショックに対する前記資産または負債のリスク・エクスポージャーを表すステップとを含む、方法が提供される。このような方法の一部の実施形態において、前記資産または負債は、確定給付型年金制度、確定拠出型年金制度、1つ以上のエクイティ・リリース・モーゲージ、1つ以上のリバースモーゲージ、およびこれらの資産および負債のうちいずれかの長寿リスク・エクスポージャーを資本市場に移転するように構成された金融証書からなる群から選ばれる。
本発明の一態様から見ると、投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、前記金融証書の予定支払額を構成する、各加入者の前記予想キャッシュフロー債務は、当該加入者が各加入者の予め合意された平均寿命に達してから、ある時間が経過した後にゼロに設定され、前記平均寿命は、前記投資家と合意されたものである、方法が提供される。
本発明の一態様から見ると、実体に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーション内の定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を前記投資家に対して支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、再設定時点において、前記予定支払額は、前記再設定時点より前に前記年金制度の非死亡率経験を考慮に入れて調整された、前記年金制度加入者に支払われるべき名目キャッシュフローの総額となるように計算された調整支払額を前記実体が受け取るように再設定される、方法が提供される。
本発明の別の態様から見ると、投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含む方法であって、前記方法は、前記金融証書を証券発行・資産保有実体から発行するステップであって、前記実体は、前記投資家から資産を受け取り、前記金融証書の予定支払に従ってキャッシュフローを前記投資家に返却するステップを含み、前記証券発行・資産保有実体の資産および負債は、他の全ての実体および第三者の資産および負債から法律上分離される、方法が提供される。
以下に、添付の図面を参照し、本発明の一部の好適な実施形態を、あくまで例として説明する。
図1は、本発明の一実施形態による金融証書およびデリバティブ商品ならびにその発行実体を列挙した模式図である。 図2は、本発明の一実施形態による年金制度の証券化に関わる当事者間の相互作用を示す模式図である。 図3は、本発明による方法を実行する際に使用されるデータ処理システムを示す。 図4は、本発明の年金証券取引および報告システム(リスク管理システム)を構成する各種モジュール用のデータ転送およびフィードスルーのフローチャートを示す。 図5は、本発明の一実施形態による年金制度の証券化方法において用いられる年金ディフィーザンス商品のトランシェの階層を示す模式図である。 図6は、本発明の一実施形態による年金ディフィーザンス商品によって無効化される年金制度を構成する加入者の例を示す図である。 図7は、各年金制度加入者例の名目キャッシュフローの予測を示す。 図8は、死亡確率を考慮した、年金制度加入者の予想キャッシュフローの各例の予測を示す。 図9は、予想RPI値からの変動および制度加入者が退職時に年金の一部のコミュテーションを行ったことによる、各年金制度加入者例の10年目の年金価値および名目キャッシュフローに対する影響を示す。 図10は、各年金制度加入者例の10年目の名目キャッシュフローの区分を示す。 図11は、年金制度例の区分に対する10年目の修正名目キャッシュフローの配分を示す。 図12は、各区分の10年目の平均生存率の計算を示す。 図13は、年金制度例の10年目の指数連動型キャッシュフローの計算を示す。 図14は、10年目のレート再設定の計算を示す。 図15は、年金制度例の受託者が実際に加入者に支払う必要のあるキャッシュフローの計算およびそのキャッシュフローの10年目の区分への分割を示す。 図16は、年金制度例の10年目のレート再設定に対するベーシス・リスク・エクスポージャーの計算を示す。 図17は、ONSデータからの20〜90歳の男性の死亡率の年間減少率を示す。 図18は、「コホート効果」を示す、ONSデータからの男性の死亡率の年齢集団別年間減少率を示す。 図19は、55歳〜90歳の男性の代表的な「バスケット」について平均した、P−スプラインとCMIの調整死亡率予測との比較を示す。 図20は、AAA、AA、AおよびBBB格付け社債のスタンダード・アンド・プアーズのデータから得られた、推定債務不履行確率のグラフを示す。 図21は、最良推定負債価値とショック時の負債価値との差額に基づく異なるストレスをカバーするために必要な資本の計算の説明図を示す。 図22は、65歳の男性の死亡率予測に関するP−スプライン最良推定を中心とした信頼区間を示す。 図23は、5年の時間軸(time horizon)を用いたショック時のシナリオの例を示す。 図24は、1回の確率論的なドロー(draw)に対する異なる時間軸のショック時の死亡率の計算を示す。 図25は、確率論的シミュレーション処理の結果を示す。 図26は、予想損失の計算を示す。 図27は、長寿資本モデル(LCM)の主な要素を示す。 図28は、処理リスクを定量するためのブートストラップ分析の基本ケースの5,000回のシミュレーションのそれぞれからの結果分布を示す。 図29は、50,000人の生存者および100,000人の生存者の標本サイズについての異なる年金制度/標本サイズの処理リスクに対する影響を示す。
図1に示されるように、年金ディフィーザンス商品は、証券(1)およびデリバティブ(2)形態の両方で発行される。このために、両者は1つの実体から発行されてもよく、あるいは、2つの別個の発行実体が存在してもよい。ディフィーザンス商品は、年金ディフィーザンス・マスター・トラスト、セル会社またはマスター発行企業およびサイロ構造(PDMT)のもとで即日決済証券(S)として、そしてPDMTまたは別の年金デリバティブ商品会社(PDPC)からデリバティブ形態(D)で発行される。
マスター・トラスト、セル会社またはマスター会社およびサイロ(MT)は、資産担保証券市場(例えば、カード発行者)においてしばしば使用される構造である。PDMTは、公知の資本市場構造を含み得る。
少なくとも1つの年金サブトラスト、セルまたはサイロ(PST)がPDMTの下に提供される。PSTの資本構造は、公知の資本市場構造の側面を組み合わせるものである。
同様に、PDPCは、デリバティブ商品会社(DPC)に見られる技術を用いる。
各場合において、本発明による技術は、年金市場に特有のリスク(長寿等)の仮定を容易にするために使用され、その際に、年金リスク移転のための全く新しい解決策を、資本市場における新しい資産クラスと共に創生するものであり、したがって、新たなビジネス用途に相当する。
同様に、図4に示すリスク管理システムは、全く独自の報告フレームワークに統合された、現在の資本市場および年金市場システムの技術の組合せに基づくものである。このリスク管理システムにより、以前には存在せず、また年金市場から借入資本市場への包括的なディフィーザンスおよびリスク移転を達成するために証券化技術を使用することを可能にするシステム能力が提供される。
次に、図2を参照し、年金ディフィーザンス証券の発行および取引に関わる実体について概略的に説明する。証券はPDMTのもとで発行され、これらの証券は、例えば、格付け機関スタンダード・アンド・プアーズ、フィッチおよびムーディーズなどの主要格付け機関によって格付けされたAAA/Aaa格付けプログラムである。PDMTは、例えば、ジャージー島または別の適切な場所に拠点を置く特別目的事業体として設立される。
PDMTの下には、PSTのファミリーがあり、これは、年金リスクに対するエクスポージャーを免疫化しようとする投資家(例えば、年金制度、保険会社、および投資銀行などのデリバティブ取引先)に対して、本発明の実施形態による金融証書を年金ディフィーザンス信託証券(PDTC)、債券、手形または他の証券(年金ディフィーザンス証券とも呼ばれる)の形態で発行する。
PDTCは、世界的な発行プログラム(地域の証券取引法によって義務付けられている場合、特定の管轄区域については、目標とされる専用プログラムがこのプログラムのもとに存在し得る)のもとで発行され、これは、少なくとも1つの主要な国際証券取引所に上場される。証書は、任命されたディーラーのグループを介して引き受けに対して公開されており、また、典型的には中期手形プログラムに対して存在するものと同様の「その日のディーラー(dealer for the day)」協定の下に、プログラムの外部のディーラーからのリバース・インクワイアリーに対しても公開されている。
プログラムの主な特徴の1つは、完全な経済ディフィーザンスおよびしたがって完全なリスクの移転を保証するために、投資家の正確なリスクプロファイルを実質的に満たすPDTC(適切な場合には専用PSTからの)の特定のトランシェを発行するそのフレキシビリティである。これは、エクスポージャーがヘッジ可能であるか、あるいはPDMTまたはPSTの上位債務の格付けを保持するための格付け機関により合意された基準に基づいて管理可能であるならば、プログラムのもとで投資家が利用可能なオプションの順列(permutation)はほぼ無制限であることを意味する。格付けを保持するために格付け機関により合意された基準は、プログラムのもとでPDTCの形態で発行された金融証書に関連するリスク管理マニュアルおよび/またはオペレーションマニュアルにおいて示され、当該金融証書は、格付け機関の格付けが達成されかつ維持されるようにリスク管理マニュアルおよび/またはオペレーションマニュアルに従って運用される。
PDMTのもとで発行されたPDTCは、一般に、独立のAAA/Aaa格付けを有し、これにより、PDMTは、最も高い格付けを有する政府および企業実体の債務と同等となり、かつ多くの主権実体ならびにほとんどの銀行および保険会社の信用を超える。しかし、必要な場合、モノライン保険業者または同様の実体によって典型的には提供される第三者AAA/Aaa保証をオーバーレイする機能がプログラム構造内に存在し、これにより、約款(covenant)の完全性がさらに増す。結果としてもたらされる商品は、保証年金ディフィーザンス信託証券(GPDTC)として発行される。
サブトラストは、それぞれ、特定のクラスのリスクに専用のものとされる。例えば、投資家に支払われるべき支払いが連続死亡指数(CMI)またはライフメトリックスなどの特定の長寿指数にリンクされている場合、PST1はPDTCを発行し得る。したがって、このクラスのPDTCの投資家は、この適切な指数のパフォーマンスを反映したPDTCの支払いを受け取ることになる。すなわち、長寿が改善すれば、つまり、人々がより長生きすれば、PDTCに対する支払いフローはそれに応じて延長される。このようなトランシェへの投資家には、例えば、特注ではなく一般的なヘッジ証書を購入することにより、負債をより低いコストで部分的にヘッジすることを期待する年金制度が含まれる可能性があり、指数とそれらの制度の実際のパフォーマンスとの間のベーシスリスクを管理することがこれらの年金制度に委ねられる。このタイプの証書は、結果として生じるベーシスリスクを管理する資本および技術的知識を有する投資銀行などの保険会社またはデリバティブ取引先によって選択され得る。
PST2は、個々の企業の年金制度(例えば、主要な英国企業の年金制度)のパフォーマンスに対して指数連動化されたPDTCを発行し得る。したがって、この特注のトランシェのパフォーマンスは、特定の制度のパフォーマンスを反映するものとなる。すなわち、PDTCに対するキャッシュフローは、長寿における改善を反映し、適切な場合にはインフレーションに追随し、制度が含む個々の年金のポートフォリオに影響を与える全てのイベント(例えば、配偶者・扶養家族に対する債務、退職時に全額一括払いを受け取る選択、制度からの移転など)を全体として反映することになる。これらのPDTCの投資家は、例えば、年金債務をヘッジするために年金制度そのもの、または、その特定の年金制度に対してエクスポージャーを有するデリバティブ取引先であり得る。この商品に投資することによって、投資家は該当する年金制度に対するエクスポージャーから免疫化され、管理すべきベーシスリスクを有さないことになる。この理由は、PDTCのキャッシュフローを決定するのに用いられる基準集団の死亡率と上記特定の年金制度によって経験された死亡率との間には、非常に高い相関性があるためである。
PST3は、定められた期間のPDTCのトランシェを発行し得、このトランシェは、一般的な指数にリンクされるか、あるいは制度(例えば、別の主要な英国企業)の潜在的な債務に対してその最後の加入者が死亡するまでリンクされる代わりに、制度の年金負債に対するヘッジを特定の期間提供する。例えば、PDTCに対する支払いは、年金制度の経験を、その支払い債務の全てを10年の期間満たすという点で反映するよう設定することができる。PDTCの債務はまた、満期日に年金制度の資産と負債との間に存在する可能性のある赤字(IAS19、あるいはその時点での適切な会計基準に基づく)と等しい一括払い額を満期時に引き渡す義務を組み込み得る。また、PDTCは、さらに、クレジット・デフォルト、すなわち、PDTCの存続期間中の任意の時点でのスポンサーによる債務不履行によるPDTCの損失をカバーする義務も含み得る。したがって、これらの証券を購入する投資家は、長寿リスクおよび該当する年金制度の他の全ての年金制度のエクスポージャーを10年の期間無効化あるいは免疫化したことになり、10年の終わりには、該当する年金制度が赤字を有しないことが保障され(制度がPDTCの発行日に赤字を有する場合、事実上、制度は10年の取引期間にわたって赤字資金調達を行うことになる)、かつ、年金制度の出資雇用者によるクレジット・デフォルトから保護されたことになる。
図4に示すように、PDTCは、各PSTのAクラスおよび上位の担保付き利息に概ね相当する。これらの格付けは、ある額のリスクキャピタルによって金融証書を支えることにより達成される。保有すべきリスクキャピタルの額は、金融証書のリスク・エクスポージャーを定量することにより決定され得る。
リスクキャピタルは、資本会社として機能し得るPDMTによって調達されてもよく、各PSTを支えるために必要なリスクキャピタル額をそのPSTに移してもよい。PSTに移されたリスクキャピタル額は、長寿リスク額および資産リスク額に対するPSTのエクスポージャーをカバーするのに十分な量となるように決定され得る。PDTCを発行する際、各PSTは、PDTCへの投資家から投資額を受け取ってもよく、PSTは、PDTCに基づいて支払われるべき支払額の財源となる資産に投資するためにその投資額を使用し得る。
別の可能な構成では、PSTが発行実体として機能し、投資額を受け取ることと引き換えに投資家に対してPDTCを発行し、その後、PSTは、その投資額を同じくセル内の資産保有実体に移転する。その後、PDTCに基づいて支払われるべき支払額の財源となる資産に投資を行うのは資産保有実体であり、資産保有実体は、PSTによって発行されたPDTCに基づく支払額と一致する額をPSTに移転する。この構成において、PSTおよび資産保有実体はいずれも、PDMTによって調達され移転されたリスクキャピタル額によって支えられる。
金融証書の長寿リスクに対するエクスポージャーは、本発明の態様の方法に従って定量され得る。このリスクキャピタルを調達するため、PDTCの債務は、階層化された劣後クラスの下位の金融証書を年金ディフィーザンス資本証書(PDCC)、債券、手形または他の証券の形態で発行することによって支持され、これらの金融証書は、連続する支払ウォーターフォール(payment waterfall)におけるその優先順位に応じて格付けされ、さらに、未評価の劣後年金ディフィーザンス株式もしくは資本、債券、手形または他の証券(PDE)でさらに支えられる。発行によって調達された劣後債務および自己資本の額が、PDTCを支えるリスクキャピタルを構成する。
PDCCおよびPDEに割り当てられたリスクは、騰貴をもたらす特定のPSTに対するエクスポージャーの全てをこれら全体で包含する。これらには、長寿、インフレーション、金利、通貨、信用、株式、不動産投資および代替投資に対するエクスポージャーが含まれ得る。各クラスのPDCCおよびPDEへの投資家が負担する特定のエクスポージャーは、単に優先度の点で階層化されている場合があり、その場合、その料金、経費、上位債務、および格付け機関により合意された条件による必要保持額を支払った後のPSTの収入は、優先順位のウォーターフォールに応じて支払われる。あるいは、個々のクラスのPDCCおよびPDEを、単一のクラスのリスクまたは特定のグループ化されたエクスポージャー(すなわち、長寿のみ、または長寿とインフレーション)のパフォーマンスに特定的にリンクさせるが、ポートフォリオ内の他のエクスポージャーにはリンクさせないようにしてもよい。
デリバティブに関し、デリバティブ商品は、上記の証券商品を概ね反映するものとなるが、トータル・リターン・スワップ、先物取引および差額契約を含むデリバティブ契約の形態で発行され、かつ、PDMTを介して、あるいはPDPCを介して発行され得る。
図3は、本発明による方法を実行する際に使用されるデータ処理システム100を示している。ローカルサイトには、ローカルネットワーク104にインターフェースされているパーソナルコンピュータ101、102、103と、同様にローカルネットワーク104にインターフェースされているローカルサーバ105とが存在する。データは、ローカルサーバ105および/またはパーソナルコンピュータ101、102、103に格納することができる。データ処理は、ローカルサーバ105および/またはパーソナルコンピュータ101、102、103によって実行することができる。ローカルサーバ105および/またはパーソナルコンピュータ101、102、103は、本発明による方法のステップを実行するソフトウェアによって構成され得る。ローカルネットワーク104は、広域ネットワーク107へのインターフェース106を備え、これにより、ローカルサーバ105およびパーソナルコンピュータ101、102、103は、広域ネットワークと通信を行う。リモートサーバ108および109も広域ネットワークに接続されており、これにより、ローカルサーバ105および/またはパーソナルコンピュータ101、102、103は、リモートサーバによって保持されるデータを利用することが可能になる。リモートサーバは、同じく広域ネットワーク107に接続されたデータ供給装置110および111からのデータを受信することができ、データ供給装置110および111は、死亡統計、年金統計等のデータを提供する。この基礎データは、本発明による方法を実行する際にローカルサーバ105およびパーソナルコンピュータ101、102、103によって使用されるデータを提供するためにリモートサーバ108および109によって処理される。
図4は、本発明のリスク管理システムの動作を示し、リスク管理システムを構成する異なるモジュール間のデータ転送を示すフローチャートの形で記載されている。リスク管理システムは、本発明の年金ディフィーザンスシステムの一部をなす構成要素であり、図4に示すように、概念的に5つの動作層に分割することができる。すなわち、生データ入力層、データ入力層、資産負債エンジン層、商品/取引プラットフォーム層および報告層である。図4に実線のアウトラインで示すシステムのモジュールは、リスク管理システムを構成するために開発された新たなモジュールを示している。図4に破線のアウトラインで示すモジュールは、リスク管理システムが開発される前に何らかの形で存在していたが、リスク管理システムに組み込まれる前に改良されたモジュールを示している。図4に一点鎖線のアウトラインで示されるモジュールは、リスク管理システムが開発される前に組み込まれていた形式で存在したモジュールを示している。
以下に、システムのこれらの動作層および各層を構成するシステムのモジュールを順に説明する。まず、システムの各動作層について、本発明の動作が開発される前の年金制度の動作の現状を、本発明のリスク管理システムの当該層の動作と比較する。
生データ入力層
この層は、本発明のリスク管理システムへの入力に必要な全てのデータの収集、分析および利用可能度に関連する。
現在、年金制度データは、アドホック方式で収集され、かつ品質が非常に低く、人口および産業データは、学識者によってのみ分析されており、ベーシスリスクは注目されておらず、市場データは、非参加者にトランスペアレントではない。
本発明の基礎をなすリスク管理システムによると、綿密なデータ収集処理により、生データ入力の全ての要素にわたって、分析の最も詳細なレベルまで掘り下げることが可能となる。
生データ入力層は、年金制度データモジュール、人口・産業死亡率経験データモジュール、および市場データモジュールを含む。
年金制度データモジュールにおいて、年金制度データは、現在、第三者管理機関または年金制度の組織内管理者によって記録されており、データ品質は、様々であり、また一般に非常に低い。一括買収行使のためのデータクリーニングには、典型的には、完成までに6か月から2年を要する。本発明のリスク管理システムにおいて、このモジュールは、年金制度データと取引プラットフォームとの間のリンクを提供するための標準データプロトコルを生成し、標準的なデータ品質管理およびチェックによって最低限のデータ品質基準が満たされることを保証する。このモジュールは、年金制度のあらゆる以前の第三者管理機関のシステムにリンクされる。
人口・産業死亡率経験データモジュールにおいて、死亡率および長寿の経時的なトレンドの確実な予測を行うために、適切な基準集団の大規模なデータサンプルをリスク管理システムに入力することが要求される。現在、英国においてサイズ的に十分なデータのソースは、(i)ONSからの人口データおよび(ii)CMIによって収集される被保険者人口データのみである。本発明のリスク管理システムにおいて、このモジュールは、長寿トレンドの予測のための関係資料を抽出するための整合性のある方法を提供する。このモジュールは、適切な基準集団の死亡率データにアクセスするようにリンクされる。
市場データモジュールにおいては、リスク管理システムによって必要とされる関係市場からのデータが収集される。市場データモジュールは、市場取引先から毎日供給される全ての関係スワップ曲線、独自の価格曲線を形成するために必要な全ての価格情報、年金制度内に含まれる全ての資産に対する毎日のマーク・トゥ・マーケットを行うために必要な全ての価格情報、およびヘッジ用エクスポージャーマップを作成するために必要な全ての価格情報を収集し得る。リスク管理システムにおいて、このモジュールは、全ての必要な価格入力および年金ポートフォリオを毎日評価するために必要な全てのスワップ曲線へのアクセスを提供し、また、年金制度内に含まれる全ての資産に対する毎日のマーク・トゥ・マーケットを可能にするための関係価格情報の格納および照合も行う。このモジュールでは、市場終値データに毎日アクセスすることが必要である。
データ操作層
データ操作層は、生データ入力層からのデータ入力を、本発明のリスク管理システムの動作パラメータを満たすように「クリーニング」および標準化することに関連し、また、市場データに依存するヘッジ用年金ポートフォリオ資産の評価に関連する。
現在、データクリーニングの専門家はプロジェクト/契約条件ベースで働いているが、標準データプロトコルは存在せず、死亡率分析は学識者によって主導されており、産業ベンチマークは存在しない。また、ヘッジ用資産は、投資銀行によって販売される特注商品である。
本発明の基礎をなすリスク管理システムによると、標準化されたデータプロトコルおよびトランスペアレントな死亡率査定により、市場基準およびオープンアーキテクチャーのヘッジ戦略がもたらされる。
データ操作層は、年金データクリーニング・規格データフォーマットツールモジュール、長寿仮定設定ツールモジュールおよびヘッジ資産評価ツールモジュールを含む。
年金データクリーニング・規格データフォーマットツールモジュールにおいて、年金制度データは、リスク管理システムの動作パラメータを満たす標準プロトコルに当該データを変換するために抽出されかつクリーニングされる。これまでのところ、年金管理者から現在抽出されているデータは標準化されていない。データ品質が低いだけでなく、受託者やスポンサーには、データクリーニングを優先事項と見なす動機付けが現在のところない。これは、データクリーニングが現在アドホック処理であり、ほとんどの場合において清算状況で適用されることを意味し、したがって、多くのスポンサー企業は、年金制度の完全負債エクスポージャーの正確な査定額を有しない。リスク管理システムにおいて、このモジュールにより、第三者年金制度管理システムとシステムリスク管理システムとの間の標準データ転送プロトコルが提供される。このモジュールにより、データクリーニングおよび進行中のデータメンテナンスのための標準化された手順もまた提供される。このモジュールにより、各制度によって提供されるデータの品質を改善するためのさらなる情報を供給しかつ組み入れる能力が提供される。このモジュールにより、「クリーンな」価格付けを実現することが可能な最低限のデータ品質が保証される。このモジュールにより、年金制度および受託者から要求される情報内容および品質の「市場基準」をまたもたらされる。このモジュールは、収集された年金制度データを入力する年金制度データモジュールにリンクされる。
長寿仮定設定ツールモジュールにおいて、死亡率分析は、年金負債を評価し、年金制度の長寿エクスポージャーの定量を可能するために死亡率における傾向を明らかにし、かつ必要リスクキャピタルを決定するためのモデルを適用して行なわれる。現在、長寿傾向は、一般に多くの学術文書において分析されているが、市場/産業によって採用されている共通の手法はない。リスク管理システムにおいて、このモジュールは、年金負債を評価するために長寿仮定を提供し、そして、格付け目的のための必要適正自己資本量を決定するために、主要な死亡率/長寿モデルを整合性がありかつトランスペアレントな方法で組み込んでいる。このモジュールは、性別、年齢、年金のサイズおよび社会経済的要因に基づく制度別死亡率調整を郵便番号分析によって可能にする機能を含む。このモジュールは、基準集団データ(例えばCMIデータ)から長寿予測(平均推定値およびテイルシナリオ(tail scenarios)の両方)を抽出する。このモジュールはまた、社会経済的なグループおよび特定の年金制度プロファイルにリンクされた死亡率の調整を決定することができる。このモジュールは、年金制度データモジュールと、人口・産業死亡率経験データモジュールとにリンクされる。モジュールは、ONSおよびCMIのソースなどの基準集団データから死亡率経験データを読み込み、また、年金制度データを読み込み、制度別死亡率経験を徐々に蓄積する。
ヘッジ資産評価ツールモジュールにおいて、ヘッジすべき年金制度ポートフォリオの資産は、市場データに従って評価される。年金ポートフォリオのヘッジの現在の手法は、生のデータが後に続く高水準のデュレーション情報(例えば、PV01)を、標準的な手法を用いずに、デリバティブ証書の提供者に対して提供することによるものである。数多くの提供者が、年金制度の潜在的な投資リスクプロファイルに近似する様々なファンドを含む投資解決法を提示しており、LDI提供者がその例である。いずれの手法でも「中間者(middle man)」としてファンド・マネージャまたは投資コンサルタントの関与が必要である。リスク管理システムにおいて、このモジュールは、ポートフォリオのリスク管理を容易にするためのエクスポージャーマップを作成し、システムはまた、提案される取引の価格付けの際に適切な独自のスワップ曲線を用いる価格付けモジュールを含む。このモジュールは、市場データモジュールにリンクされ、適切な独自の価格付け曲線を形成するために、例えば、ブルームバーグの中間市場スクリーンおよびスワップ取引先からの関連する「価格付けグリッド(pricing grids)」へのアクセスを必要とする。
資産負債エンジン層
資産負債エンジン層は、年金制度キャッシュフローの予測、および格付け機関からの格付けを達成するために必要とされるリスクキャピタルの計算に関連する。
現在、様々な負債キャッシュフローモデルが存在するが、これらは、各年金制度/クライアントのための特注のものとなるように個々に適合される必要があり、保険統計の知識およびプログラミングの専門知識を必要とする。格付け機関資本予測フレームワークおよびモデルは、現在存在していない。
本発明の基礎をなすリスク管理システムによると、各年金制度/クライアントに合わせた調整を最小限にしながら、強健なキャッシュフローおよび資本予測システムが実現され、格付け機関資本予測フレームワークが提供される。
資産負債エンジン層は、キャッシュフロー予測モデルモジュールと、長寿資本モデルモジュールと、資産プラットフォームモジュールとを含む。
キャッシュフロー予測モデルモジュールにおいては、年金制度の予想キャッシュフローが予測される。現在、年金および年金ビジネス化に用いることができる様々なキャッシュフロー予測モデルが存在している。しかし、これらのモデルでは、各年金制度について著しい修正が必要であり、プログラミングおよび保険統計の専門知識の両方が必要とされる。リスク管理システムにおいて、このモジュールは、カスタマイズされたデータベースフロントエンドによる標準化された手法を用いる、給付資格および加入者データの両方のための年金制度情報をインポートする。標準化された年金制度データプロトコルが用いられる。多数の管轄区域および地理的な地域にわたって適応可能なフレキシブルな手法を用いて、加入者の年金受給資格の各「スライス(slice)」がモデル化される。モジュールは、より広域のシステム内の他のリスク管理モジュールにリンクされた仮定を用いて予想キャッシュフローを予測し、また、長寿リスクおよび市場リスクに加えて、移転価値、現金コミュテーション、孤児給付等の全ての年金リスクの評価を可能にする。このモジュールは、年金制度データのインポート元である前述の年金データクリーニング・規格データフォーマットツールモジュールにリンクされており、このモジュールはまた、長寿仮定設定ツールモジュールからの最良推定仮定へのアクセスを有する。
長寿資本モデルモジュールにおいては、年金制度の長寿リスク・エクスポージャーが測定され、かつ定量される。現在、年金制度は、長寿リスクに備えて資本化することを要求されていない。生命保険会社は、現在、極度に単純化した資本計算を長寿リスクに対して用いており、これらは主にシナリオ方式である。格付け機関承認済み長寿資本モデルは、現在存在していない。リスク管理システムにおいて、このユニークかつ独自のモジュールは、格付け機関からAAA/Aaa格付けまでの短期および長期債務格付けを得るために年金制度に含まれる長寿リスクを定量するための方法および処理を含む。このモジュールは、年金制度の必要な長寿資本を決定論または確率論に基づいて配分しかつ予測する、格付け機関承認済み資本モデルを含む。このモジュールは、最良推定死亡率仮定のインポート元である長寿仮定設定ツールモジュールにリンクされ、またキャッシュフロー予測モデルにもリンクされる。
資産プラットフォームモジュールにおいては、年金ポートフォリオによって保有される全ての資産クラスのキャッシュフローが予測される。保険会社、年金制度および年金コンサルタントによって用いられる既存の資産プラットフォームは、概略的な代表資産ポートフォリオのモデル化に限定され、個々の株式水準における細分度(granularity)を含まない。現在、資産の配分およびポートフォリオ意思決定は、高水準(例えば、X%株式割合)に基づいてモデル化されている。リスク管理システムにおいて、資産プラットフォームモジュールは、全ての資産クラスについてのキャッシュフローをモデル化しかつ予測する。同モジュールは、取引活動を管理および記録し、また、価格付け、ヘッジおよびリスク管理のための曲線を作成する。同モジュールは、資産と負債との直接リンクを可能にし、それにより、ポートフォリオベースまたは個別ベースの分析およびヘッジを可能にし、また、01エクスポージャー感応度分析/管理を可能にする機能を含む。資産プラットフォームモジュールは、毎日の市場データの読み込み元である市場データモジュールと、資産および負債のポートフォリオ情報へのアクセス元である総合資産管理システムモジュールとにリンクされる。
商品/取引プラットフォーム層
商品/取引プラットフォーム層は、年金負債の証券化を可能にする、リスク管理システムに関連した資本市場商品の取引に関連する。
現在の年金リスク移転は、保険統計専門家のチームによってケースバイケースで査定されている。共通の年金予測・資本市場取引プラットフォームは現在存在しておらず、年金負債は資産取引プラットフォームに直接リンクされていない。
本発明の基礎をなすリスク管理システムによると、年金予測と、資本市場商品の取引と、資産および負債ポートフォリオの直接リンクとの結合を可能にする共通のプラットフォームが実現される。
商品/取引プラットフォーム層は、総合ポートフォリオ管理システムモジュールを含む。
総合ポートフォリオ管理システムモジュールにおいては、本発明による年金制度の証券化の基礎をなす資本市場商品、資産、負債および年金予測は、共通のプラットフォーム上で結合される。現在の市場では、年金リスクの移転が可能なのは、一括年金保険の行使によって保険会社に対してなされる場合のみである。一括年金保険の行使は、保険統計専門家のチームによってケースバイケースで査定および価格付けがなされており、仮定および取引の詳細は、年金受託者にもより広い公衆にもトランスペアレントでない。年金負債リスクの資本市場へのリスク移転を可能にする解決法は現在存在しておらず、したがって、共通の年金予測・資本市場取引プラットフォームは存在しない。リスク管理システムにおいて、総合ポートフォリオ管理システムモジュールは、以下の組み合わせを可能にする共通のプラットフォームを提供する。加入者オプションをなくした場合のコストおよび流動性インパクトの分析と、ヘッジ要件/コスト/戦略の分析と、実際に対する予想の比較と、相関リスク・エクスポージャー(例えば、インフレーションの上昇で増加した長寿改善イベント)の査定とを含む動的年金債務キャッシュフロー予測。年金スライスの詳細な分析。資産モデル化およびキャッシュフロー予測。全てのクラスの資本市場商品のための取引システム。デリバティブ商品の分析および取引。リンクされた資産および負債ポートフォリオの作成。リスク管理のためのエクスポージャーマップの作成。個別の資産および負債キャッシュフローのミクロヘッジ。格付け機関承認済み資産負債モデルによる資本の配分(確率論的モデルおよび決定論的モデルの両方)。資産および負債の両方によって生成されたキャッシュフローの追跡および分析を含む流動性管理の全側面。全ての資産および負債の価格付けおよびマーク・トゥ・マーケットを行う能力。毎日の包括的かつトランスペアレントな報告。総合ポートフォリオ管理システムモジュールは、加入者レベルのキャッシュフローの読み込みを可能にするためにキャッシュフロー予測モデルモジュールとリンクされ、必要資本の読み込みを可能にするために長寿資本モデルモジュールとリンクされ、ポートフォリオに基づく手法をもたらすための資産データおよび負債データの両方の読み込みを可能にするために資産プラットフォームモジュールとリンクされている。
報告層
報告層は、様々な利害関係者に対する商品/取引プラットフォーム層の出力の報告に関連する。
年金評価報告書は、現在、以下の形態で存在している。すなわち、(i)3年ごとの保険数理評価、(ii)会計価値、(iii)保険業者からの一括年金保険相場である。現在、いずれの報告元からも死亡率仮定の開示はなされておらず、その結果、現在の年金報告においては透明性が完全に欠落している。
格付け機関のための報告に関し、現在まで、年金制度のリスク移転への格付け機関の関与は、デリバティブスワップ取引先(主に金利およびインフレーションスワップならびに単一コホート長寿債券)向けの格付けの提供に限定されている。格付け機関は、これまで、実際の長寿経験、インフレーション、早期退職、配偶者および扶養家族の年金受給資格、退職時に全額一括払いを受け取る選択、および制度から移転を含む年金ポートフォリオリスクの多数の局面を免疫化することができる本発明の実施形態によって実現されるような包括的なリスク移転を実現する商品に対して格付けを提供していなかった。したがって、現在、格付け機関に対する報告は提供されていない。
資本投資家のための報告に関し、資本市場の投資家は、現在、年金リスク移転の解決法に直接関与しておらず、したがって、現在、資本投資家に対する報告は提供されていない。
年金制度の受託者のための報告に関し、最も正確な年金評価報告書は、現在、3年に一度行なわれており、完成までに最低6か月を要する。これは、現在、スポンサーが年金債務についての最新の情報を有していないことを意味する。
内部目的のための報告に関し、現在の内部リスク査定は、会計評価(例えば、FRS19)およびALMモデルを含む。FRS19は、真の潜在リスクを十分に反映していないとして専門家によって広く認識されている。株式混合などのハイレベルのリスク決定を管理するために、ALMモデルが用いられる。
本発明の基礎をなすリスク管理システムによると、多数の利害関係者および潜在的により広い公衆に対する、包括的かつトランスペアレントなウェブ・ベースの報告が実現される。報告層は、格付け機関報告モジュールと、資本投資家報告モジュールと、年金制度受託者/雇用者報告モジュールと、内部リスク報告モジュールとを含む。リスク管理システムにおいて、報告層モジュールは、スポンサー、投資家、市場取引先、格付け機関および潜在的により広い公衆を含む利害関係者に対するこのような報告を実現する。リスク管理システムにおける報告は、資産/ポートフォリオ報告を含み、資産/ポートフォリオ報告においては、資産格付け/資産クラス/発行人集中型/地理集中型報告書が作成され、資本管理および配分報告書が作成され、日次キャッシュフロー予測を含む流動性報告書が作成され、ヘッジ/金利/インフレーション感応度分析および報告書が作成され、現金管理報告書が作成され、資産および負債プロファイル報告書が作成される。リスク管理システムにおける報告はまた、負債報告も含み、負債報告においては、月次キャッシュフロー予測報告書が作成され、例えば死亡率レベル/傾向の主要な評価仮定の報告書が作成され、主要加入者プロファイル統計報告書が作成され、資本投資のIRRおよび回収期間の報告書が作成され、予想に対する実際の分析報告書が作成され、キャピタルリスク・エクスポージャーおよび予想損失分析報告書が作成される。
PSTの上位および下位債務契約の適切な債務格付けを確保するために格付け機関により合意されたパラメータの主要部には資本予測モデルがあり、これは、上位債務契約の発行を支えるのにいくらの資本が必要とされるかを決定するために、ポートフォリオに含まれるリスク(例えば、予想損失の形式で)を評価する。これらは、リスク管理システム内で動作する独自のモデルであり、格付け方法の中心となる部分にある。
図4に示すモデルは、決定論的にあるいは確率論的に実行することができ、格付け機関へのコンプライアンスを測定するために毎日実行される。これらの資本モデルは、格付け機関の要件に準拠するために、毎日どれだけのリスクキャピタルが必要であるかを集合的に決定し、資本は、劣後債務と株式との組み合わせとして測定される。これはまた、余剰スプレッド、すなわち、資金調達のコスト(上位および下位債務をまとめて)と投資ポートフォリオからの収入との間の正味のスプレッドを含み得る。
PDTCを市場に出し、販売するプロセスは、その特性によって異なる。一部のトランシェは、投資家またはディーラーが証書の購入を通じてヘッジしようとするリスクを規定する、リバース・インクワイアリーを通じて開始される。あるいは、トランシェは、確立されたパラメータおよび指標に基づいて構築され、より広い市場に提供され得る。
発行がリバース・インクワイアリーによるものである場合、執行予定表には、広範囲なデューディリジェンス処理が含まれる可能性が高く、この処理は、当該商品の価格付けに必要な関係資料(制度の全加入者のデータまでを含む可能性がある)の収集を含む。発行が特定の年金制度にリンクされる予定である場合、加入者データは、制度または第三者管理機関から入手され、照合され、リスク管理システムのパラメータ要件を満たすために「磨き上げられる(scrubbed)」かあるいは「クリーニングされる」必要がある。また、年金規則(年金制度および規制取締規則の両方)の全ておよび他の関係パラメータは、リスク管理システム内でモデル化される必要があり、その結果、変数パラメータによってではあるが、確定負債を決定することができる。
PDTCの価格付けが投資家の目標を満たすと仮定して、投資家は、その後、証書の専用トランシェを引き受ける。
PST内では、その後、リスク管理システムによって管理およびモニタリングされる複雑な処理が始まり、以下に、これについて説明する。PDTCを購入するために出資された資金を受け取り、かつ、資本投資家に対するPDCCおよびPDEの適切なトランシェの発行が行われると、資本モデルの要件に従って、PSTは、取得された複合的な負債をヘッジし管理する処理を直ちに開始する。
これには、負債(ゼロクーポン債務の長いシーケンスと考えることができるが、このシーケンスは、拡大、拡張、または収縮する可能性がある)を変動金利LIBORに基づくキャッシュフローに変換するために、市場取引先とインフレーションスワップおよび金利スワップの契約を行い、ポートフォリオからインフレーションおよび金利のリスクを取り除くことが含まれる。指数に基づく取引、期間長寿ヘッジ、赤字解消またはスポンサー債務不履行保護といった他のタイプの負債については、PSTを合意された格付け基準以内に管理することを可能にするために、他のタイプの一次ヘッジを用いてもよい。潜在的なリスクを完全にはヘッジすることができない場合、PDMTおよびPSTは、その証券またはデリバティブ債務の全てを適時に満たすことができることを保証する適切なレベルまでリスクがカバーされることを格付け機関に納得させるために、決定論的または確率論的資本モデルによって決定されたレベルに応じた十分な増加資本を保有する。
引受ファンドは、その後、LIBORに基づく投資商品に投資される。投資プロセスは、最初は、現金預金および他の短期現金証書によって行われる。しかし、PSTの負債は、典型的に本来長期的であり、年金制度の死亡率経験を反映するので、投資プロセスは動的であり、PSTの中長期にわたる負債の経済ディフィーザンスを実現するように設計される。
PSTは、格付け機関によって合意された投資パラメータに従って運営され、これにより、PSTは、その投資プロファイルを、現金投資および固定収入投資から、株式投資、不動産投資および代替投資まで拡張することが可能となる。したがって、PSTの投資ポートフォリオは、利用可能資産、市場情勢(価格付け)、利用可能資本、資本コストおよび流動性要件(これらの全ては格付け機関によって合意された資本モデルに対してリスク管理システム内で測定される)に従って動的に決定される。
図4に示すリスク管理システムにより、PSTが常に格付け債務に完全に準拠したままとなり、かつ投資家に対する債務を適時に履行することを保証するのを支援する、1組の複雑なモニタリングタスクおよび管理タスクの管理が可能となる。日次タスクリストには、以下が含まれる。
・資本コンプライアンスを保証するために資産および負債資本モデルを実行すること
・全ての資産および負債のマーク・トゥ・マーケットを行うこと
・投資ポートフォリオおよび負債のプロファイルの変化を考慮し、合意された感度限界へのコンプライアンスを保証するために、01ポートフォリオ変動率を測定し、デリバティブおよび他のヘッジを再調整すること
・PSTがその支払い債務を履行する流動性を常に有することを保証するために、短期(1年)および長期(最長の負債の最終期日まで)の正味累積流出テストを実行すること
・格付け機関の分散テストへのコンプライアンスを保証するために、地理、産業、分野および国といった分野集中を全て測定すること
・PSTの負債のプロファイルが制度の年金負債の変化を常に正確に反映していることを保証するために、死亡者数(予測値に対する実際値)、配偶者/扶養家族、脱退等の制度データをモニタリングすること
例えば合計で150通の日次報告の作成を必要とするこれらの日次報告タスクに加えて、投資家、格付け機関および証券取引所に対する債務の全てに関するPSTのコンプライアンスを保証するために必要な広範囲の経営管理部門および事務管理部門の管理機能が存在する。これらの管理機能は、格付け機関報告、会計、証券およびデリバティブ決済、価格付け、受託者機能、保管および支払の代行、ならびに現金の管理を包含する。
このシステムを用いて、年金制度は、年金債務の一部または全ての負債プロファイルを正確に反映する能力により、投資を購入することができるか、あるいはデリバティブ契約を結ぶことができる。その際、制度のスポンサー雇用者および受託者には、そのヘッジされた部分の制度の内包リスクは、資本市場の投資家に完全に移転したことが分かる。制度が投資する証券またデリバティブ契約の仕様書次第では、これはつまり、長寿、インフレーション、金利、通貨、信用、株式、不動産および代替投資の一部またはそれらを組み合わせたリスクが、投資の継続期間にわたって制度から取り除かれることを意味する。受託者は、制度の債務が、今後、制度のPTCまたはDへの投資の受取所得から、AAA/Aaa基準または制度が指定するようなより低い各付けまでを満たすことを知って安心し、また、スポンサー雇用者は、年金制度が貸借対照表に課す可能性のある年金赤字変動性に対するさらなるエクスポージャーを有しないことになる。
ケーススタディ
以下は、本発明の態様がどのように実施され得るかの一例としての可能なケーススタディである。このケーススタディでは、成熟した英国の年金基金のための解決法としての本発明の態様の適用に注目する。考察を提供するため、ケーススタディは、2006年12月に公表された英国年金監督機関による英国の年金基金が利用可能なリスク移転オプションのリスト(下記に再度示す)に基づく利用可能な代替オプションにも注目する。ケーススタディでは、報告システムおよびリスク管理システムの影響にも注目する。
本発明の態様によると、年金制度は、投資有価証券を購入するか、あるいはデリバティブ契約を結ぶことが初めて可能となり、これらのキャッシュフローは、年金受給者に対する制度の債務の負債プロファイルを正確に反映する。
そうすることで、年金制度のスポンサー雇用者およびその受託者は、内包リスク(長寿、インフレーション、金利、通貨、信用、株式、不動産および代替資産クラスに対するエクスポージャー等)を資本市場へ移転し、それにより、制度の年金負債を無効化することができる。
ケーススタディは、仮想の企業であるABC航空会社に関する。ABC航空会社(ABC)は、かつては国有ヨーロッパ航空会社であり、1980年代に大規模な年金制度を受け継いで民営化された。年金受給者、在職従業員および据置加入者(まだリタイアしていない元社員)を含むその年金制度債務の合計推定サイズは150億ポンドである。ABCの現在の時価総額は50億ポンドである。
年金法における変更は、近年の会計規則の変更とあいまって、年金制度をABCの経営議題のトップに押し上げた。ABCの会計において記録も認識もされなかった偶発債務と以前は見なされていたが、経営者は今や、以下の年金に関連する問題に対処しなければならない。
・推定年金負債(AA格付け債券利回りに基づいてFRS17およびIAS19に従って測定)と制度の投資資産(その多くは株式に投資される)の価値との間の赤字は、今では、第三者への債務として会社の貸借対照表に記録されなければならない。
・ごく最近の保険数理評価(2005年に実施)に基づくABCの現在の赤字は20億ポンドである。この赤字推定のための基礎として用いられた死亡率仮定は公表されていない。
・英国の年金監督機関は、この赤字サイズに懸念を示しており、同社に対し、10年以内に赤字をゼロに削減することができることを示すよう要求している。同社は、特別拠出金と一部の不動産資産の制度への移転との組み合わせによってこれを実現しようと計画している。
・この赤字サイズのため、監督機関はまた、その権限を行使し、ABCに対し、赤字サイズが大幅に削減されるまで、配当支払いを含む株主への全ての形態での分配を保留すること要求している。
・信用格付け機関は、年金赤字を第三者に対する債務およびABCの負債の一部と見なし、その信用格付けをBBの非投資適格レベルに引き下げた。
・この格下げのコストおよびクレジット・アベイラビリティの影響は、保有航空機の品質を維持しようとするのであれば2008年から新しい航空機の購入を開始する必要があるABCにとって重大な懸念である。
・会社に対する制度の負担を減らすために、経営上層部は、制度給付の変更を求めて年金受託者および組合と交渉を行う方針であることを発表した。しかし、航空産業において非常に強力である組合は、年金給付を削減するかあるいは退職年齢を引き上げる構想は争議行為につながるということを示した。
・同産業における多くの他の会社が困難に直面しているにもかかわらず、ABCは、強力な経営陣を有しており、また、燃料費の大幅な増加にもかかわらず、今後2年以内に10%の営業利益率を達成するという目標に向かって実際に順調に進んでいる。
・同社はまた、最近合意された「オープン・スカイズ」政策に続くと思われる、航空産業の予想される整理統合において主要企業の1つとなると思われる。
・引き継いだ年金制度による負担を抱える他の旧国有航空会社と同様、ABCの株価は、年金制度の影響を反映しており(株式アナリストは、同社を小規模航空会社によって運営される大規模年金制度と評している)、また、同じような年金負担を有しない新規の低コスト航空会社と比較すると、ABCが取引を行うベースである多様なEBITDA間の不均衡は顕著である。
・実際のところ、中核事業の経営の成功にもかかわらず、ABCは、株式市場にとって理解するのが非常に複雑なケースである。なぜなら、その変動性の年金赤字が貸借対照表に及ぼす影響により、同社は、もはや単純な航空会社株として評価することができないからである。
・同社の正確な評価を決定するため、アナリストは、その多くが株式に投資される130億ポンドの年金資金ポートフォリオの変動性をさらに反映させる必要があることになり、この根拠では、ABCは、恐らくレバレッジ3倍の株式取引であるといえる。
・一方、ABCの年金負債は社債利回りに基づいて評価されており、したがって、その株価は、債券利回りにおける変動性も反映する必要がある。
・あいにく、これらの計算を行うための情報のトランスペアレンシー(年金負債が3年ごとにしか再計算されないという事実自体が、マーク・トゥ・マーケット評価を行うという試みを無駄なものにしている)またはこのような分析を実行するためのツールを有しない未熟な株式アナリストにとって、これはあまりにも複雑であり、したがって、完全には理解していないあらゆるビジネスについては、これらのアナリストは、株式の価格を下げる。
・採算を大きく下回る株価によって、配当金が奪われたABCの投資家は、他の点ではいかなる判断基準からしても非常に成功している会社に対して年金制度が及ぼす影響に苛立ち、混乱している。
・既存の投資家以外に、未公開株式市場からの入札希望者もまた、年金問題に起因する不確実性に苛立ちを覚えている。したがって、激しい統合を経験すると思われる産業において注目の的となるはずの会社が、業績不振を続けている。
既存のオプション
・2006年12月に英国の年金監督機関によって定義された、リスク移転を達成するために年金制度に利用可能なオプションリスト(下記に再度示す)によると、ABCの経営陣の年金問題解決法のメニューは限定されたものであり、これらはいずれも資本市場を資金源とするものではない。
・ABCの経営陣は、新規加入者に対して制度を閉鎖することができる。これは、現在の従業員に非常に不人気となるであろうし、経営陣は、人的資源ツールとしての制度の価値を認識している。
・あるいは、経営陣は、制度を維持するが、給付金を削減し、退職年齢を引き上げることができる。これもまた非常に不人気な手段である考えられ、この問題での若干の進歩が得られるかもしれないが、赤字を解消し、制度のコストを管理可能なレベルにするには十分なものとはならないと思われる。
・これらの戦略はいずれも、その本質的において、赤字あるいは実質上の黒字の変動性の根本問題に対処するものではない。
・さらに厄介なことには、ABCの年金負債は、多くの制度にわたって分散され、そのうち2つは、新規加入者に対して閉鎖されている。同社の制度全体の全赤字が20億ポンドであるのに対し、閉鎖された2つの制度は、いずれも若干の黒字である。
・したがって、ABCは、市場情勢が良好になったとしても(理想的な組み合わせは、上昇する株価および上昇する金利であろう)、スポンサーの貸借対照表に存在する開放されている制度および閉鎖された制度の両者の赤字の非対称性により、一方では赤字制度に利益を与えることになるが、他方では閉鎖された2つの制度の増大する黒字を徐々に取り戻す方法がない、という苛立たしい立場にあり、さらに、閉鎖された2つの制度の赤字は制度加入者のものでありスポンサーによって徐々に取り戻すことができない。
・ABCの年金受託者は投資銀行に助言を求め、各基金を分析した投資銀行は、年金受託者が、株式、金利およびインフレーションという3つのタイプのリスクにさらされているという結論を下した(投資銀行は何らかの理由で長寿を無視したが、これは、提示すべき解決法がなかったためであると考えられる(例えば、英国年金監督機関のウェブサイトで公開されているスミス(WH Smith)のケーススタディ(下記に再度示す)を参照)。
・投資銀行の提案は、株式オプションへの5%の投資と組み合わせた、指数連動化および金利スワップを用いた、95%スワップオーバーレイ負債対応投資(liability driven investment)戦略(「LDI」)を実施することであった。
・しかし、受託者の投資コンサルタントは、この戦略は、債券利回りのさらなる下落による負債のさらなる増大に対する保護となるかもしれないが、投資銀行が解決となる商品を有していなかったために、この分析では、制度の長寿に対するエクスポージャーが無視されていたことを指摘した。したがって、制度は、依然として、その加入者の死亡率の不確実性、ひいては、将来の債務を履行する能力についての不確実性にさらされている。
・他の2つの投資銀行が、一般的な集団長寿指標に基づくデリバティブによる解決法を提案している。しかし、これらの提案は、年金制度に、かなりのベーシスリスク(デリバティブが基づいたであろう指数と、制度自体の年金受給者集団の推定される長寿経験との差)を残すことになり、また、投資銀行がこれらの取引を実行する能力にも若干の疑いがあった。
・長寿に対する制度固有のエクスポージャーに対処する能力が欠如していることを理由にLDI戦略および指数連動型デリバティブを拒否した後、受託者は、可能性のある解決法として、保険会社から購入される一括年金保険に注目した。
・一括年金保険は、確かに、制度の年金受給者に対する債務の完全なリスク移転を実現することになるが、規模、コストおよび約款の質に関する問題があった。
・規模の点では、150億ポンドのABCの合計年金負債は、典型的には年間額約250億ポンドで運用されていた市場の現行の能力をはるかに超えるものであると考えられた。新規参入者が市場に近年参加しているが、これら新規参入者が市場にもたらした新たな資本をもってでさえ、ABCの要件の規模は、市場の現在の能力をはるかに超えることになる。
・一括年金保険を考慮する際の別のマイナス要因はコストであった。一括年金保険は、保険会社の自己資本に基づく保険会社の規制された貸借対照表の能力を利用するものであり、したがって、高額商品である。一括年金保険はまた、トランスペアレントな商品とは程遠いものであり、ABCの受託者は、その投資コンサルタントおよび従業員給付コンサルタントのいずれも、この商品が価格付けされた基礎を実際に説明することができないということについて心配していた。
・コストおよび全体的な年金制度ディフィーザンスに関するスケーラビリティの欠如にもかかわらず、ABCは、制度の加入者への債務の完全な法的および経済移転としてではなく、部分ディフィーザンス、すなわち、制度の投資資産として一括年金保険に注目した。しかし、弁護士の助言に従い、同社はこの選択を行わないことに最終的に決定した。弁護士は、制度の加入者に対する債務を保険業者に完全に法的に移転することは有効であるが、投資資産として保険契約を保有することは全く別の問題であると指摘したのである。債券または他の証券と異なり、保険契約は、保険業者に対する利用可能な抗弁が存在しないということを条件として、条件付きの支払義務に過ぎない。
・これを根拠に、受託者はまた、繰延または部分買収、および一定の期間にわたって制度の赤字を削減し、赤字変動性を吸収するように設計された年金リスク保険と呼ばれる商品といった他の保険リスク移転商品を追求しないことも決定した(最終的には、これらの商品は全て、債券のような従来の金融資産ではなく、条件付きの支払義務債務(すなわち、保険契約)への投資として分類される)。
・受託者が注目した別の解決法は、制度の移転であった。これには、独立して管理される回収制度への制度の負債の移転を伴い、これにより、従業員スポンサーとしてのABCへのリンクを切り離す際に、厄介な赤字/黒字変動性が取り除かれることになる。
・このアイデアは、表面上は魅力的であるが、英国の年金監督機関との話し合いの後、受託者はこのアイデアに対する関心を急速に失った。同監督機関は、このような協定を「制度放棄」と名付けるものの下に同類として分類しており、これは、スポンサー雇用者とのリンクを切り離すものは全て非常に好ましくないという監督機関の見解に基づき、強く反対されている。
しかし、本発明の態様による資本市場ベースの新規な解決法は、受託者および企業スポンサーに対して以下のオプションを提供する。
長寿指数連動型の解決法
・本発明の一実施形態により、ジャージー島のセルまたはマスターおよびサイロ会社(Jersey cell or Master & Silo company)から発行されたAAA/Aaa格付けの長寿指数連動型証券またはデリバティブ商品がABCに提供される。この商品は、定義された集団の実際の長寿経験に従って支払を行い、CMI指数、または新しく発表されたライフメトリックス指数(いずれも、指数の作成に一般集団データを用いる)に基づく可能性が最も高い。
・これを達成するために、受託者は、年金制度の既存資産を長寿指数連動型証券またはデリバティブを購入するのに十分なだけ清算し、これらの長寿指数連動型証券またはデリバティブが、ひいては、基準集団の実際の寿命を反映する選択した指数のパフォーマンスに基づく収入を制度にもたらすことになる。
・指数連動型証券またはデリバティブは、長寿における改善全般に対するヘッジを提供し、その結果、人々が一般により長生きすれば、支払いはそれに応じて延長することになる。しかし、指数連動型商品に対する支払いは、ABCの制度加入者の特定の長寿経験に追従せず、したがって、長寿に対する若干の潜在的なエクスポージャーが依然として制度に残されることになる(通常、ベーシスリスクと呼ばれる)。
・指数連動型証券またはデリバティブは、特定の期間、または、指数に基づく支払期間の満了まで発行することができる。
・指数連動型証券またはデリバティブは、単独で発行することができるか、あるいは、インフレーション、早期退職、配偶者および扶養家族の年金受給資格、退職時に全額一括払いを受ける選択、制度からの移転等に関して、ABCの制度の特定の経験をさらにヘッジする機能をその条項内にさらに組み込むことができる。
・したがって、指数連動型証券またはデリバティブは、ABCの年金制度の固有のポートフォリオリスクのほとんどを免疫化することができるが、長寿に対する除去できないエクスポージャーが残されることになる。この解決法がABC制度の特定の経験ではなく一般的な長寿指数に基づくという事実により、この解決法はABCにとってより安価なものとなる。
・したがって、年金制度に現在利用可能な他の非保険製品との重要な区別は、本発明の好適な実施形態による商品が、制度の他のエクスポージャーのヘッジを、それらの要素の支払いをABCの制度の実際の経験にリンクさせてさらに包含することができる、長寿指数連動型投資商品であるということである。
部分制度ディフィーザンス
・あるいは、本発明のさらなる実施形態により、ABCは、年金制度に対するエクスポージャーを解決する方法として、部分制度ディフィーザンスを選択することが可能となる。AAA/Aaa格付け証券の形態での提供も可能であるこの商品またはデリバティブは、多くの順列で提供することができるが、この説明の目的では10年間の解決法であると考える。
・年金制度は、その既存資産を、10年満期の部分制度ディフィーザンス証券またはデリバティブ契約の購入を可能にするのに十分なだけ清算することになる。これらの証券またはデリバティブからの収入により、投資の全期間にわたって年金制度の支払い債務の全てが実質的にカバーされることになる。
・これらの証券またはデリバティブの10年の継続期間の終わりに、制度の未払いの赤字と等しい最終支払が行われ、これにより、制度が加入者への債務を果たすための正確な収入を10年の期間得るということだけでなく、年金監督機関の定めるところにより当該期間にわたるいかなる赤字もなくすことが保証される。
・部分制度ディフィーザンス商品は、投資の継続期間にわたって支払い債務を全て実質的にカバーし、10年以内に赤字をなくし、かつ投資の継続期間にわたってABCの貸借対照表からあらゆる赤字変動性を取り除くことにより、ABCおよび年金の受託者に利益を与える。しかし、開始時点では赤字が存在しないにもかかわらず、投資の終わりには、将来の完全な負債のエクスポージャーが再度ABCに存在する。進行するエクスポージャーを免疫化するために必要なコストが、さらなるヘッジを行う10年間にいくらになるのかは不明である。
・名称が示唆するように、部分制度ディフィーザンスは、完全な経営解決法ではないが、赤字変動性の免疫化および年金赤字の対処を行う費用効果の高い方法を提供する。
・したがって、年金制度に現在利用可能な他の非保険製品との重要な区別は、本発明の好適な実施形態による商品が、ABCの制度の長寿経験を反映した特注の部分制度ディフィーザンス商品であるということである。
赤字資金調達
・赤字資金調達は部分制度ディフィーザンス商品の構成部分であるが、必要な場合、本発明の実施形態により、赤字資金調達を、ABCの制度にとっての可能性のある解決法として、本ケースにおいて概略的に説明した証券またはデリバティブオプションのうちのいずれにも組み入れることが可能となる。これはつまり、ABCが、年金監督機関の10年という要件内ではなく、自らが選択する期間(50年以内)にわたってその赤字に資金を提供することができるということを意味する。
・これは、制度の赤字の合計サイズと等しい長期債務証券を、自らの投資資産(信用デリバティブの使用により適切に信用が補完および分散された)の1つとしてABCから購入する発行セル会社またはサイロによって行われることになる。ABCは、臨時の赤字充填用分担金における収益をその制度に活用し、それにより、制度は、AAA/Aaa格付けディフィーザンス証券の取得数をABC制度の負債総額まで増加させることが可能となる。その結果、年金監督機関および制度の受託者はいずれも、制度の赤字が直ちに解消されたことに満足することになる。
・したがって、年金制度に現在利用可能な他の非保険製品との重要な区別は、本発明の好適な実施形態による商品が、その加入者の利益のために、ABCによって発行された証券を年金制度に対して発行されたAAA/Aaa格付け投資証券と交換することに基づいた特注の赤字資金調達用商品であるということである。

完全制度ディフィーザンス(年金制度のリスク移転のための完全な解決法)
・その最も包括的な形態において、本発明の実施形態は、ABCおよび年金制度受託者に対し、ジャージー島セルまたはマスターおよびサイロ会社から発行されるAAA/Aaa格付け証券もしくはデリバティブ、または、キャッシュフローが制度のその全ての加入者に対する全負債を包括的に反映する証券およびデリバティブの複合パッケージに投資する機会を提供する。
・これを達成するため、受託者は、年金制度の既存資産を年金ディフィーザンス証券またはデリバティブを購入するのに十分なだけ清算し、これらの年金ディフィーザンス証券またはデリバティブが、ひいては、個々の制度の実際の負債を実質的に無効化する収入を制度にもたらすことになる。
・これらの証券またはデリバティブは、加入者に対するABCの年金制度の将来の債務と正確に一致する専用のキャッシュフローを提供することになり、その額は、実際の長寿経験、インフレーション、早期退職、配偶者および扶養家族の年金受給資格、退職時に全額一括払いを受ける選択、制度からの移転等の要因により、現在の予測とは異なり得る。しかし、制度の実際の負債におけるこのような差異の全ては、上記証券またはデリバティブからの受取所得に反映される。
・本発明による好適な商品と他の非保険解決法との重要な違いは、インフレーションに追随し、配偶者・扶養家族に対する債務、退職時に全額一括払いを受ける選択、年金制度からの移転といった、制度を構成する個々の年金受給資格のそれぞれに影響を及ぼす全てのイベントの影響を総計することに加えて、制度に支払われる収入が制度加入者の長寿における違いも厳密に反映するということである。
・したがって、年金制度に現在利用可能な他の非保険製品との重要な区別は、本発明の好適な実施形態による商品が、ABCの制度の実際の長寿経験における違いに高度に相関した特注の投資商品であるということである。
・この解決法は制度の可変的なエクスポージャーの全てを実質的に解消し、それにより、加入者に対する将来の債務を無効化するが、制度の現在の加入者または新規加入者に対して発生する将来の債務は、この解決法によってカバーされない。しかし、さらなる負債を無効化するために証券またはデリバティブへのさらなる投資を月に1度、四半期に1度または年に1度行うことにより、この解決法を漸進的に増大させる機能が存在する。
・この解決法のコストは、保険に基づく解決法よりも安いと予想され得る。なぜなら、上記商品が自己資本ではなく借入資本を利用しており、借入資本は、リスク別の階層の形態で発行されるため、より安価であるだけでなく、より容易に供給されるからである。その結果、より拡張性が高くかつ費用効果の高いリスク移転解決法となる。
ABCに対する影響
・リスク移転−指数連動型長寿証券またはデリバティブは、制度の長寿リスクに対するエクスポージャーのほとんどを解消するほかに、インフレーションおよび加入者別の債務といった他の可変的なポートフォリオ・エクスポージャーを解消することができる。この解決法により、有効なリスク移転が提供されるが、長寿ベーシスリスクに対するエクスポージャーが残される。部分ディフィーザンス証券またはデリバティブは、制度の長寿および他の可変的なポートフォリオ・エクスポージャーの両方に対するエクスポージャーを一定期間にわたって免疫化することができ、当該期間の終わりには、いかなる制度赤字も除去される。しかし、この投資の終わりに、ABCは、制度の将来のエクスポージャーの全てにさらされることになる。完全制度ディフィーザンス証券またはデリバティブにより、年金制度の固有リスクの全てを、当該制度を支えるキャピタルノート(capital notes)への投資家に完全に移転することが可能となる。
・赤字変動性−指数連動型商品は、非長寿・加入者別エクスポージャーの解消が含まれる場合には、非常に大きなリスクの削減を実現するものの、赤字変動性は解消しない。部分ディフィーザンス商品は、定められた期間にわたって赤字変動性を解消する。完全ディフィーザンス解決法により、赤字変動性の完全な解消が実現される。
・受託者−これらの解決法のうちいずれかを購入した後においても、受託者は、依然として制度に対する法律上の責任を負う(債務の完全な法的移転である保険買収とは異なる)が、受託者は、年金受給者に対する制度の将来の債務がAAA/Aaa約款により部分的にまたは完全にカバーされ、それによって、現在は非投資適格であるABCの約款に頼る必要性が低減されるか、あるいは、完全ディフィーザンスの場合にはその必要性がなくなるという安心感を持つであろう。どの解決法が選択されるかにもよるが、ABCの約款に対する単独のエクスポージャーは解消されるか、あるいは大幅に縮小されることになる。
・会計−FRS17およびIAS19は、制度の負債をAA/Aa社債の現行利回りでの割引方式で計算し、また、制度の資産と負債との間に赤字が存在する場合は、その赤字をスポンサーの貸借対照表に示すことを要求している。AAA/Aaa投資証券またはデリバティブの価値は直接相殺されることになり、その結果、完全制度ディフィーザンスの場合には、制度の資産の価値は、制度の負債の価値と常に一致するかあるいはこれを上回り、変動性の赤字の問題は永久に解消される。同様に、部分ディフィーザンスは、投資期間にわたって負債を相殺し、変動性を除去するためのマッチング資産(matching asset)を提供する。指数連動型解決法は、変動性を大幅に縮小するが、解消はしない。
・年金監督機関−年金監督機関の観点から見れば、AAA/Aaa証券またはデリバティブの購入を含むこれらの各解決法は、ABCの年金負債が履行される確実性を高めることによって承認が得られる。また、解決法が赤字資金調達を含む場合、監督機関の懸念事項は、この点に関しても対処される。したがって、年金監督機関がABCの株主に対する配当支払および他の分配に対する制限を解除することが予想される。
・PPF−同様に、英国企業年金制度による債務不履行のリスクを引き受ける英国年金保護基金(同基金は、英国企業年金制度に対し、リスクに基づく年次徴収を課している)は、これらの各解決策に肯定的に反応することが予想される。長期の指数連動型解決法、より好ましくは、完全ディフィーザンス解決法は、部分ディフィーザンスによって提供されるより短期の解決策に比べて、ABCの制度の長期的なパフォーマンスをより確実なものにするので、PPFの年次課税(その80%が特定の制度の固有リスクに基づく)により大幅な削減をもたらす可能性が高い。また、制度が負債を無効化するためにAAA/Aaa投資解決法を採用する場合、記載された文言に従い、PPFは、後にABCによる債務の不履行があった場合には、年金法第75条の規定を免除し、したがって、制度加入者は、年金受給資格の削減から保護される。
・債務格付け−これらの解決法のいずれかがABCの債務格付けに及ぼす影響は、中立的なものであると考えられる。なぜなら、解決法が赤字資金調達を組み込む限りにおいては、解決法は、年金制度に対する長期債務をセル会社またはサイロに対する長期債務に、事実上置き換えるからである。しかし、赤字資金調達の期間が、年金監督機関が赤字の解消を要求する10年の最高限度期間を超過する場合には、これは、ABCのキャッシュフローに対する繰り上げ償還が少なくなることにより、格付けに肯定的な影響を及ぼし得る。
市場タイミング−年金負債の対処にあたって最も困難な決定のうちの一つは、リスク・エクスポージャーを消滅させるタイミングである。本発明の態様による解決法を利用するという決定を行った場合、多くの利点のうちの1つは、商品のフレキシビリティであり、これにより、投資証券またはデリバティブのAAA/Aaa格付けを支える資本のいずれかまたは全ての階層に投資するオプション(但し、義務ではない)が投資家としてのABCに提供される。ディフィーザンス証券またはデリバティブの資本に投資することにより、ABCは、資本市場に移転されている年金リスクを管理するリスクおよび報酬に、変動性の年金赤字に対するさらなる貸借対照表エクスポージャーなしに関与し続けることができる。貸借対照表エクスポージャーは、今やキャピタルノートへの投資のサイズに制限されている。エクスポージャーを削減または解消するためにいつでも販売が可能である、売買可能な資本証券の所有を通じて関与することにより、ABCは、年金のエクスポージャーを市場情勢の査定に従って消滅させるプロセスをより有効に管理することができる。これは、年金のエクスポージャーを処分する最良のタイミングに関して確信がないスポンサーにとって非常に役立つ。一方、年金受託者は、制度の加入者に対する負債を果たすために、AAA/Aaa格付け証券またはデリバティブを保有するという安心感を得る。
・将来の追加−上記好適な解決法は執行期日までのディフィーザンスを提供しているにすぎない(すなわち、ABCの従業員に対する将来の債務の増加の点では前向きなものではない)が、この解決法は、ABCが追加のトランシェを月に1度、四半期に1度または年に1度引き受けることができるという点でフレキシブルであるので、将来の年金負債は増加する度に無効化される。
・スポンサーと受託者との間の力関係−年金受託者と企業スポンサーとの間には、避けられない緊張関係が存在する。受託者が制度におけるリスクが最少であり、赤字がないことを期待する一方、スポンサーは、典型的には、コストおよび拠出金を最小限にしようとする(特に、黒字を回復する方法がない可能性のある閉鎖済みの制度について)。本発明の実施形態による解決法の案は、受託者およびスポンサーの両方の要求を独自に満たすことができる。なぜなら、この案は、年金制度を完全に無効化するフレキシビリティを提供しつつ、スポンサーが資本構造に関与することを選択する場合は、スポンサーに経済を開放しておくからである。
・フレキシビリティ−本発明の実施形態に従って作成される商品のフレキシビリティは、ABCにその異なる制度のために異なる解決法を選ぶ選択を与える。ABCは、例えば、赤字およびそれに関連する変動性を解消するために、その制度のうち赤字(赤字資金調達を含む)の制度に対する完全ディフィーザンスを選択し得る。黒字の制度については、同社は、5年の期間にわたって部分ディフィーザンス解決法を選び、黒字から赤字への変動から保護し、それにより、黒字の状況を将来見直す選択を有しつつ、変動性を5年間無効にする。あるいは、ABCは、完全ディフィーザンス解決法を、特定の制度の負債総額未満の分だけ購入することを選択することができる。この場合、同社は、全ての制度加入者に対して、または制度加入者の指名されたコホートだけに対して支払われるべき債務のうちの定義された割合に対する支払いを基準とすることを選択することができる。本発明の態様によるプログラムの下で利用可能なオプションの順列は、相当なものである。但し、エクスポージャーがヘッジされることができるか、あるいは資本の提供によりAAA/Aaa格付けの保持のための格付け機関により合意された基準のもとに管理されることができることを条件とする。
・約款−本発明の実施形態による好適な解決法は、AAA/Aaa格付けの信用約款(最も強力なソブリン格付けに匹敵する)をABC制度に提供するものであるが、解決法にさらなる完全性をもたらすために、モノライン保険会社または同様の実体からのさらなる独立したAAA/Aaa保証のオーバーレイを付加する機能が発行プログラムに存在する。
・ポートフォリオ分散投資−本発明の実施形態による解決法を受け入れることに合意するにあたって受託者にとっての1つの重要な判断材料は、証券またはデリバティブの発行元の企業構成が、年金制度に必要なポートフォリオ分散のための要件の目的でトランスペアレントであるということである。このため、トラストおよびサブトラスト構造またはセル会社もしくはマスターおよびサイロ会社構造が選択され、分離したポートフォリオ・エクスポージャー(証券またはデリバティブの担保である資産は、第三者への債務を保証するために保有される資産から法律上分離される)と「ルック・スルー(look through)」(年金受託者は、投資の担保である資産の潜在的な分散型ポートフォリオに対して加入者に代わって保有する証券またはデリバティブに目を通すことができることを意味する)との組み合わせが提供される。
システムによる影響
・本発明の実施形態による解決法の案が、その全ての可能な実施形態において依拠しているのは、証券化およびリスク移転の目的で主要な格付け機関により合意された格付け基準に対して年金負債に固有のリスクをマッピングするシステムプラットフォームのユニークな能力である。システムプラットフォームは、関係リスクの定義、モニタリングおよび報告、ならびにAAA/Aaa格付けの上位資本トランシェおよびより低い格付けの下位劣後資本トランシェの両方の維持のために必要な資本の適切なレベルを決定するための極めて重要なツールである。
・年金負債の証券化を可能にすることにおけるその極めて重要な役割に加えて、本発明の実施形態のさらなる態様は、システムプラットフォームが年金リスクの日々の管理において年金受託者および他の管理者によって使用が可能であるということである。他の年金制度解決法と異なり、本発明の一実施形態であるこのシステムは、加入者別の年金負債の包括的なリスクマップを供給し、また、負債を年金資産のポートフォリオに独自にリンクさせることが可能であり、その結果、ポートフォリオにおけるリスクを、全体的に、かつある細分度レベルで考察することができる。
・この独自の機能レベルにより、本発明の一実施形態は、ABCが自身の内部的な年金制度管理を目的としてシステムプラットフォームを採用することを可能にする。これを行う利点には、以下が含まれる。資産および負債の両方について、マーク・トゥ・マーケットベースで制度を管理する能力(3年に1度負債を再評価する現在の構成とは異なる)。トランスペアレントな報告システムの使用可能度は、ABCの会計担当者にとって有用である。これはまた、ABCの年金制度に固有のリスクを判断するために必要とされる情報を有し得る株式アナリストおよび投資家に貴重な分析を提供し、それにより、ABCの事業についての総合的理解が高められる。本発明のさらなる実施形態は、それが、PPFに対するABCの制度の複合リスクのトランスペアレントな報告を容易にするということであり、これにより、その年次徴収のリスクに基づく側面をそれに応じて縮小することが期待される。
解決法を提供する手段
本発明の様々な実施形態の適用を通じてABCに提供することができる可能な解決策について説明したが、以下に、上記各種証券およびデリバティブが発行および管理されるプロセスについて簡単に説明する。
・本発明の一実施形態は、ジャージー島マスター会社の設立を含み得、その下に、法律上互いの債務から保護される個々のサイロが置かれる。
・マスター会社は、年金ディフィーザンス解決法の世界的な多重通貨プログラムに対する長期国債格付けを求め、かつ取得する。格付けは、上位および劣後債ならびにキャピタルノートをカバーする。
・ABCによってその年金制度のうち1つのディフィーザンス解決法の価格付けを行うことを要求されると、制度加入者データの全てが、制度の「リスクマップ」を作成するための本発明のさらなる実施形態に相当するシステムプラットフォームに入力される。このリスクマップは、AAA/Aaa年金証券の発行を支えるのに必要な資本額を得るために用いられ、その支払いは、加入者に対する制度の将来の債務を反映する。この分析に基づいて、ABCに年金ディフィーザンス証書の価格が提供される。
・価格がABCおよびその年金受託者に受け入れられるものであると仮定して、サイロ「A」は、制度の負債を無効化するのに十分な額の年金ディフィーザンス証書を発行する。証書に対する毎月の支払は、退職時に支払い可能な全額一括払いといった1回限りの支払いを含む、加入者に対する制度の毎月の債務を受託者が果たすことを可能にするのに十分なものとして計算された額となる。支払い予定額は、受託者が債務を果たすために十分な資金を常に有していることを保証するために定期的に再計算される(必要な場合、本発明のさらなる実施形態は、制度のニーズを満たすために資金を常に利用可能にしておくことを保証するために、受託者が信用供与枠からの振り出しおよび返金を行うことを可能にする)。証書の満期は、法的な最終期日によって決まり、これは、制度が制度加入者に対して最終債務を履行した1日後である。
・条件が合意されると、年金制度は、制度の既存資産を交換するか、あるいは既存資産を清算し、年金ディフィーザンス証書と交換にその収益をサイロ「A」に出資することにより、年金ディフィーザンス証書を引き受ける。
・サイロ「A」の投資資産ポートフォリオを担保とする上記証書を購入すると、証書を発行する際にサイロ「A」が引き受けた負債のリスクプロファイルのモニタリングおよびサイロ「A」の債務格付けの維持に必要な日次格付け機関報告書の作成をシステムプラットフォームが行うことを可能にするために、最新の加入者データを定期的に提供することが制度に対して要求される。
・年金ディフィーザンス証書の発行と同時に、サイロ「A」は、その債務(何よりも先ずディフィーザンス証書の保有者に対する)を果たすために十分な財源を常に有するということを格付け機関に納得させるのに十分なキャピタルノートを発行する必要がある。
・サイロ「A」がその債務を果たすことを可能にするために、サイロ「A」は、ディフィーザンス証書の販売からの出資収益を、地理、産業、発行人および格付けを基準にして分散化された資産のポートフォリオに投資し、この目的で、サイロ「A」は、独自の資本モデルを最新の市場データを用いて毎日実行する。サイロ「A」が運用を行う投資パラメータは、現金、銀行預金および商業手形といった短期証書への投資を可能にする一方、より長期的な立場では、サイロ「A」が、公開および未公開株式および代替資産クラスと共に、確定利付証券の全ての形態に投資することを可能にする。あらゆるタイプの資産および資産ポートフォリオのあらゆる順列に対し、投資に関連するリスクを反映するための特定の資本費が割り当てられる。
・サイロ「A」は、投資ポートフォリオに対して資本をモニタリングおよび維持することに加えて、金利、通貨およびインフレーションといった市場リスクに対するその感応度をモニタリングすることが要求され、また、規定された許容範囲内にエクスポージャーをヘッジすることが要求される。
・最後に、サイロ「A」は、長寿に対する自身のエクスポージャーをモニタリングし、基準集団の実際の経験を自身の長寿予測と比較することが要求され、また、不利な逸脱が生じた場合には、エクスポージャーに対して資本を提供することが要求される。
・これらの重要なポートフォリオテストの全てが、資本コンプライアンスを保証し、かつ格付け機関に対する報告書を作成するためにシステムプラットフォームで毎日実行される。
上述のケーススタディおよび他の実施形態は例示に過ぎず、本発明の範囲を制限するものとして解釈すべきでないことが理解される。
以下は、2006年12月に公表され、そのウェブサイトで入手可能である、年金制度リスクを管理するために利用可能な英国年金監督機関の公知の方法のリストである。
・規制された保険業者による制度負債の全てまたは一部の買収
規制された保険会社による負債の買収は、雇用者が制度の運用を続けるコストに比べて高額な即時解約コストであるように思われるかもしれない。実際には、これは、保険業者が明示的に提供しなければならないリスクをカバーするために、雇用者が、暗黙的にその事業から資本を提供していることを意味する。これは、雇用者の財務の健全性にリンクされた制度に対する適切な技術規定、ならびに制度の給付および加入者プロファイルによって異なる。
・規制された保険業者による負債の繰延買収
一部の保険会社は、制度の負債を段階的に引き受けることを提案している。この目的は、給付が長い期間をかけて徐々に保証され、これによりコストが分散され、かつ制度のリスクが買収に向けて管理されることを可能にすることである。一部の市場参入者は、完全買収用の利用可能資本を有しない可能性のある中小の企業および制度をターゲットにするためにこれを用いている。
・長寿リスク商品または証券
様々な商品または潜在的商品がこれによってカバーされる。これらに関する審議文書が、2006年1月に「ザ・ファカルティ・オブ・アクチュアリーズ(the Faculty of Actuaries)」に提示された(「死すべき運命と共に生きる:長寿債券および他の死亡率リンク証券(Living with Mortality: Longevity Bonds and other Mortality Linked Securities)、D.ブレーク(D Blake)、A.J.G.ケアンズ(A J G Cairns)およびK.ダウド(K Dowd)を参照)。既存および過去の商品には、店頭取引死亡率スワップ、自社の生命保険リスクをカバーするために再保険会社によって発行された、異常災害リスクを中短期に制限する死亡債券、および2004年11月に発表された(その後回収された)長寿債券がある。
・定められた期間にわたる年金リスクの一次層または超過損害保険
我々は、資金回収期間であり得る定められた期間にわたって所定の変動幅に含まれるある一定のリスク経験を保証するための一部の企業による提案を認識している。例えば、これは、上記回収期間にわたって死亡率および投資経験を定められたレベルまで引き受けることであり得る。
・金利およびインフレーションデリバティブ
これらは、主として、投資銀行および資産管理人によって提供される、店頭取引スワップまたは共同投資協定である。その趣旨は、負債の測定値に対する制度資産の一致を改善することである。
・株式デリバティブ
通常、これらは、エクスポージャーを株式市場の下落に限定するために、株式オプションと先物を組み合わせることを含む。これらのコストはまた、通常、株式収益のための利用可能な財源も制限することになる。制度資産の株式/債券ミックスの変化をもたらすために、これらを債券オプションまたは先物と組み合わせて用いてもよい。
・雇用者の債務不履行からの保護
第三者保険の例には、信用状およびクレジット・ディフォルト・スワップが含まれる。信用状は、契約に定義されるような雇用者の債務不履行の場合に、制度に一定の額を提供する。クレジット・ディフォルト・スワップは、一般に、信用状の場合と同様に作用するが、売買可能な市場証書である。
以下は、英国の年金監督機関によって公表された、WHスミスの年金ディフィーザンスのケーススタディ分析である。
2005年、100万ポンドの赤字に直面したWHスミスは、この問題に対処すべく抜本的な措置をとった。
なぜ投資戦略を変更することに決定したのか?
受託者は、投資銀行に助言を求め、投資銀行は、リスクに関して基金の分析を行った。これにより、基金が、株式リスク、金利リスクおよびインフレーレションリスクという3つのタイプのリスクにさらされていることが分かった。
受託者は、若干の(多くではない)株式エクスポージャーは望んだが、金利リスクもインフレーションリスクも望まなかった。受託者はまた、年金基金債務に対する株式の一致が不完全であることを懸念していた。
受託者の年金支払は、インフレーションにリンクしていた。受託者は、これらの負債と一致するように投資戦略を変更することを望んだ。
何を行ったか?
基金の94%をスワップ(インフレーションおよび指数リンク型)に投資した。残りの6%はオプションに投資され、これにより、制度に若干の株式エクスポージャーが与えられた。
WHスミスの受託者は、この負債対応投資戦略を決定する前に多くの助言を求めた。決定を行う前に、受託者は、銀行およびファンド・マネージャによって提供された30種類の異なるモデルについて検討した。
結果はどのようなものであったか?
この戦略は、WHスミスにとって少なくとも部分的に成功であったことが分かった。WHスミスのアドバイザーは、受託者が元の戦略を維持すれば、2006年初めの債券利回りにおける先例をみない下落により、赤字は150万ポンドに増加しているだろうと述べた。
このような戦略のタイミングは大変重要である。WHスミスの戦略は、債券利回りのさらなる下落が起きる前に2005年10月に導入された。
最後にこの戦略にもかかわらず、2007年1月、WHスミスは、現在の加入者に対してさえも制度を閉鎖する必要があると発表した。「主に投資収益が低いことと加入者の寿命が延びていることが原因で、最終給与制度を運営する長期的なコストは引き続き高くかつ予想困難である」と同社は述べた。
受託者が導き出し得る教訓は、負債は、短期においてでさえ全く予測不能であり得るということである。
本発明の1つの態様の基礎は、この態様が、投資家が相対的な価値を利用するのではなく実際の年金負債に対するエクスポージャーを無効化しようとしていると仮定して、発行人および投資家のベーシスリスクを最小限にするディフィーザンス商品のための構造を提供するということである。
理解を容易にするため、以下の解説では、この態様による商品の証券化された実施形態について言及するが、これらはデリバティブ形態にも当てはまり得る。
以下に、年金制度のディフィーザンスに関連する金融証書を運用する本発明による方法の一実施形態について説明する。
キャッシュフローを予測するためのディフィーザンス商品を運用し、かつ本発明による金融証書を保有する投資家に再設定点において支払われるべき調整キャッシュフローを構成する指数連動型キャッシュフローを計算する方法の設計上の論理的根拠は、平均寿命(すなわち、死亡率経験)および年金キャッシュフロー(非死亡率経験を考慮に入れた)という2つの側面に関係する。
本実施形態において、ディフィーザンス商品の平均寿命の構築は、そのキャッシュフローが、制度加入者の定義された集団または下位集団(すなわち、「区分」)の実際の平均または加重平均死亡率を基準にして決定され得るが、個々の制度加入者の死亡を基準にしては決定され得ないという理解に基づくものである。他の実施形態においては、個々の制度加入者の死亡を基準としてもよい。
ディフィーザンス商品の年金キャッシュフローの構築は、各制度加入者に起因するキャッシュフローが、個々の制度加入者の年金、職業またはライフスタイルの選択といった非死亡率イベント(例えば、退職時に非課税で全額一括払いを受けるという選択、賃金の増加、結婚等)によって変化し得るが、個々の制度加入者の死亡(すなわち、死亡率経験)によっては変化し得ないという理解に基づくものである。
ディフィーザンス商品では、定期的なレートの再設定と共に、予測キャッシュフローおよび指数連動型キャッシュフローという2組のキャッシュフローの計算が必要である。
制度にもよるが、作業仮説は、レートは、月に1度、四半期に1度、または年に1度(それぞれ、「レート再設定期間」)再設定されるというものである。したがって、当該期間に投資家に支払われるべき調整支払額は、このレート再設定方法に従って計算される。
予測キャッシュフローは、ディフィーザンス証券といった本発明による金融証書の各発行に先立って計算される。発行時に利用可能な個人および統計データに基づいて、資本予測モデルは、制度全体、制度の全ての区分および制度の全加入者について将来のキャッシュフローを予測する。金融証書の発行に先立って予測キャッシュフローを計算する際に、適切な統計長寿予測モデルによって予測される、各年金制度加入者が将来における所与の時間まで生存する尤度を考慮に入れてもよい。
制度全体について計算された予測キャッシュフローは、証券に基づく発行人の月次予定支払債務となり、各発行の関係する価格付け追録(pricing supplement)においてそのように記録される。
平均寿命/長寿予測に使用されるデータもまた、各制度、区分および加入者の人口統計学的・社会経済的特性に対して補正された適切な保険統計表に基づいたものであり得る。年金制度の各加入者についての寿命表のこれらの補正、すなわち、「死亡率レベル調整」については後述する。
金融証書の発行後の各再設定点において、指数連動型キャッシュフローが、完了したばかりのレート再設定期間に関して計算される。年金制度の実際の経験に関する更新された個人・統計データに基づいて、上記モデルは、制度全体、制度の全ての区分、および制度の全加入者について、完了したばかりのレート再設定期間のキャッシュフローを再計算する。
任意のレート再設定期間の指数連動型キャッシュフローは、制度の全ての区分の指数連動型キャッシュフローの総額を含む。指数連動型キャッシュフロー総額は、当該再設定点に関連して投資家に支払われるべき調整キャッシュフロー額に相当する。
当月、当四半期または当年中の平均寿命結果に使用される統計データは、制度の各区分の実際の平均死亡率に基づいている。
制度のもともとの加入者全てについて、その生死にかかわらずキャッシュフロー権利が計算される。
指数連動型キャッシュフローの計算に使用される他の全て(すなわち、非死亡率関連の)個人および統計情報は、実際の(予測されたものではなく)データに基づくものとなる。例えば、上記モデルは、指数連動型年金、実際の非課税の全額一括払い、および再設定期間中の「移転」(すなわち、年金受給資格を異なる制度へ移す加入者)に対して、実際のRPIの上昇を用いることになる。
レート再設定は、月に1度、四半期に1度または年に1度行われ、当月、当四半期または当年の予測キャッシュフローと指数連動型キャッシュフローとの間の正味の差額を基準として、証券に対する発行人の月次、四半期または年次支払債務を増額または減額することを伴う。
検討対象のレート設定期間中に死亡した制度加入者が一人だけだった場合、死亡率データに起因するレート再設定計算の要素は、次の制度加入者が死亡するレート再設定期間まで据え置かれる。死亡率データに関して再設定される据置レートは、元のレート再設定期間の第1日目から、据え置かれたレート再設定期間の最終日を含む日までの合成期間にわたって計算される。この合成期間中に死にかけている制度加入者は全て、時間加重平均により、合成期間の途中で死亡したとみなされる。
この「一人の死亡(single death)」手順は、制度全体ベースでのみ当てはまる。つまり、これは、制度の別の区分のうちの1つの少なくとも一人の他の制度加入者が検討対象のレート再設定期間中に死亡していた場合、制度の区分における一人の死亡には当てはまらない。
流出:発行人が以前にディフィーザンス証券の償還(恐らくその「一掃(clean-up)」コール・オプションの行使によって)を行っておらず、かつ制度の加入者の生存者が11人未満である場合、発行人は、残る加入者の全てのための年金を購入するコストと等しい額を投資家に支払うことによって証券を償還するよう要求される。
商品の1つのオプション的な機能は、レート再設定が証券に対する支払いよりも短い周期で発生する場合(例えば、月に1度ではなく、四半期に1度または年に1度)、発行人は、ディフィーザンス証券に基づいて受け取られるキャッシュフローと制度加入者に支払われるべき支払との差額を「均等にする」ことを支援するために、預金および流動性ファシリティを提供することができることである。
本発明のこの態様の好適な実施形態において、「区分」は、各加入者の状態(据置、現役、年金受給者)および各レート再設定期間の年金受給資格のサイズに基づいて作成される。表1は、200ポンドの年間年金受給資格群を基準にして分類された大規模制度の加入者の定義された区分を示している。これにより、例えば50,000人の加入者および0ポンドから200,000ポンドの年金受給資格で構成される制度の少なくとも1,000個の区分が生成されることになる。これは、1区分につき平均50人の加入者に相当するが、この平均は広範囲の区分サイズをカバーしており、数百人強の加入者を有するものもあれば、空であるかあるいは一握りの加入者しか有しないものもある。
表1
Figure 2010527061
以下の実施例は、制度加入者の死亡の結果生じる、加入者に対する年金受託者の債務と発行人のその投資家に対する債務の対比を例示している。例えば、10年目のレート再設定までに250人を超える死亡があった場合、年金受託者のその制度加入者に対する将来の債務は、現在750人未満の生存加入者の年金受給資格に基づくものとなる。対照的に、発行人は、常に、1,000人の加入者で構成される元の集団を基準としてそのディフィーザンス証券に対する支払いを計算する。10年目の終わりまでに加入者の4分の1以上が死亡していたとしても、発行人は、その10年の期間の累積予測死亡率データおよび平均実際死亡率データに基づいて、生死にかかわらずもともとの1,000人の加入者全てに関するそのディフィーザンス証券に対するキャッシュフローを計算し、支払いを行う。
以下に、架空の制度の概要について図6〜図16を参照して説明する。
この例においては、001〜1000として分類された1000人の加入者が存在する。あるものは既に退職し(退職年0)、他のものは今後13年以内に退職する。制度加入者は、およそ1千ポンドから31千ポンドの様々な初回(年間)年金受給資格および様々な予想死亡率(年齢、性別等に基づく)を有する。指数連動型制度が存在する(退職前は4%および退職後はRPI)。
本発明のこの実施形態によると、人々は、所与の年に、その特定の年の名目年金キャッシュフローに基づいて所与の区分に割り当てられる。この例において、区分は、1,000ポンド間隔で規定される。したがって、例えば、5年目の区分1は、その年の年金が1,000ポンドから2,000ポンドの個人で構成される。
時間0現在において、金融証書が発行されることになっている場合、図7に関連して示されるように、各加入者の名目キャッシュフローを予測することが可能である。この予測は、3%のRPIに基づいたものである。退職前の4%およびその後のRPIの指数連動化により、年金は増大するが、退職年月日からしか支払われない。
予想キャッシュフロー計算は、図8を参照して、以下のように行なわれる。上述のように、各加入者の予想キャッシュフローをその予測死亡確率を考慮して予測することが可能である。時間0現在の各加入者の死亡/生存確率は、年金制度に関連した金融証書が発行されることになっている場合、以下に述べる本発明の態様による長寿予測モデルを用いて予測される。図8において、所与の日時、すなわち時間0現在の前に一人の加入者が死亡する確率が提供されることが分かる。名目キャッシュフローに加入者がまだ生存している確率を乗じることで、予想キャッシュフローが得られる。予想キャッシュフローは、発行される債券の支払予定を構成する。これらの予想キャッシュフローは、証券などのディフィーザンス金融証書に対する発行人の予定年間支払債務となる。このようにして、金融証書の予定支払額が加入者に対する年金制度の予想キャッシュフロー債務と一致する。
以下に、とのようにして指数連動型キャッシュフローおよびレート再設定が死亡率以外の全ての要因についての実際の経験および死亡率の実際の経験の区分化された平均を考慮して計算され得るかを説明する。
金融証書が発行された後、調整支払額が定期的な再設定点において計算される。一例として、10年目のレート再設定の計算について図9を参照して述べる。10年目において、2つの事が予想とは異なる結果になったことが分かる。第1に、RPIは、3%ではなく4%という結果になり、第2に、加入者002は、その年金の20%をコミュテーションしている。これにより、加入者002の年金受給資格は予定されていたものと比較して20%減少するが、一時金の支払いによりそのキャッシュフローは急激に増加する。なお、1,000人の全制度加入者は、その生死にかかわらず、年金受給資格に基づく10年目の区分に入れられる。この区分化により、1つの区分に1,000人全てを入れることが可能となる。したがって、図10に示されるように、10年目において、198人の全ての据置加入者は区分0に存在し、退職加入者は年金受給資格に応じた区分に存在している。図11および図12に示されるように、各区分に修正名目キャッシュフローを割り当て、各区分の平均生存率を計算することが可能である。キャッシュフロー予測の修正であれ、死亡率予測の修正であれ、修正は、常に、生死にかかわらず1,000人のもともとの加入者に基づいて行われる。
これで、10年目の指数連動型(すなわち、調整)キャッシュフロー総額を計算するために必要な情報の全てが存在することになる。図13を参照すると、修正名目キャッシュフローに平均生存率を乗じ、区分を合計して、10年目の指数連動型(すなわち、調整)キャッシュフロー総額が得られる。図14に示されるように、その後、予測キャッシュフローと指数連動型(すなわち、調整)キャッシュフロー総額との差額である10年目のレート再設定を計算することができる。
ベーシスリスクを把握するために、受託者が実際に加入者に支払う必要のあるキャッシュフロー額を算出することが可能である。図15を参照すると、実際に死亡した個人に注目することが可能である。実際の死亡率経験表において、100%というエントリは、その個人が死亡したことを意味し、そうでなければ、エントリは0%である。必要キャッシュフロー表に示される、受託者が実際に各加入者に支払う必要のあるキャッシュフローを計算することが可能である。キャッシュフローは、彼/彼女が生存する場合は、加入者の名目キャッシュフロー(但し、図9を参照して上記に説明したような実績ベースで)として計算され、彼/彼女が生存していない場合は0に設定される。10年目については、この例で必要とされるキャッシュフローは11,889千ポンドであり、図15の右側は、区分に分割されたキャッシュフローを示している。
発行人がディフィーザンス証券に基づいて投資家に支払う額と、受託者が制度加入者に支払う必要のある額との差額がベーシスリスクである。図16を参照すると、区分2は、死亡率経験を有しないためにベーシスリスクを示さないことが分かる。一般に、1つの区分の加入者が誰も死亡しなかったか、あるいは全ての加入者が死亡した場合は常に、ベーシスリスクは発生しない。この例における指数連動型キャッシュフローと年金キャッシュフローとの差額は11,000ポンドであることが分かる。したがって、長寿証書への投資家は、受託者が実際に制度加入者に支払う必要のある額を11,000ポンド上回る額を受け取ることになる。これは、10年目のレート再設定に基づく9.3ベーシスポイントのベーシス・リスク・エクスポージャーに相当する。
以下に、本発明の態様による、長寿リスクのサイズ決定および資本化のための方法について詳細に述べる。
長寿リスクのサイズ決定および資本化のための本明細書に記載される本発明の態様による方法は、年金制度の加入者の将来の死亡率経験に関連する不確実性による年金制度に関連する長寿リスク、またひいては、年金制度の長寿リスクを資本市場に移転する本発明による金融証書に関連する長寿リスクを定量し、価格付けするために用いることができる。これは、投資家が本発明の金融証書の寿命エクスポージャーを把握する助けとなり得る。
本発明の方法はまた、本発明による金融証書を、格付け機関により合意された基準による格付けを達成しかつ維持するように支えるために保有すべきリスクキャピタルの額を決定するために適用することができる。リスクキャピタルは、例えばキャピタルノートおよびエクイティノート(equity notes)の形態で発行される債務および自己資本の劣後トランシェの形態で保有され得る。
本発明の態様の方法はまた、任意の資産、または債権者もしくは債務者のグループの実際の将来の死亡率経験もしくはエクスポージャーにある程度依存する売掛金額および買掛金額のキャッシュフローを有する負債の長寿リスク・エクスポージャーを定量するために一般に適用することができる。
長寿リスクとは、死亡率における傾向が予想された傾向とは異なる、つまり、人々が予測よりも長生きするというリスクである。死亡率改善率は、医学の進歩における漸進的な改善、生活水準の向上および一般にライフスタイルがより健康になったことにより、時間と共に増加してきている。また、ある年齢集団は、他の年齢集団よりも死亡率改善率が高くなっている。「コホート効果」として知られるこの現象の結果、保険数理専門家は、将来の長寿を予想するためのより確固たる統計的技術を開発するようになっている。
P−スプラインモデルは、産業内および学界全体の両方において現在まで広く認められている統計的技術であり、本発明の態様の好適な実施形態は、長寿を予測するためにP−スプラインモデルを利用する。しかし、ケアンズ、ブレークおよびダウドのモデルならびにリー−カーター(Lee-Carter)モデルといったあらゆる適切な統計長寿予測技術が利用され得る。次の事柄について以下に述べる。すなわち、長寿を予測するためのP−スプラインモデルの継続死亡率調査(Continuous Mortality Investigation)(CMI)委員会のワーキングペーパー書における進展、P−スプラインモデルの使用方法、適切な基準集団を提供するにはどのデータソース適しているか、およびモデルの使用に関して注意すべき重要な問題についてである。長寿を取り巻く実際的な問題および死亡率テーブルを作成するための段階的なプロセスについても述べる。全体として、P−スプラインモデル予測は、より控え目であり(すなわち、長寿におけるより大きな改善を予測する)、また、CMIによって以前に発表された予測よりも正確であることが一般に認められている。
本発明の態様の好適な実施形態において、一旦将来の死亡率予測を有する死亡率テーブルがP−スプラインモデルによって構築されると、本発明による金融証書の長寿リスク・エクスポージャーをカバーする必要資本が推定され得る。好適な実施形態において、必要資本は、負債が最悪の長寿シナリオにおいてカバーされるのに十分な資本が保有されることを保証することにより計算される。最悪のシナリオは、提示されている商品が、格付け機関スタンダード・アンド・プアーズおよびフィッチまたはムーディーズのいずれかによって格付けされることになっているかどうかに応じて異なる方法で較正される。
提示されている商品がある格付けを有するようにスタンダード・アンド・プアーズまたはフィッチによって格付けされることになっている場合、最悪のシナリオは、同等の格付けを有する債券の債務不履行確率に較正されるのが好ましい。
提示されている商品がある格付けを有するようにムーディーズによって格付けされることになっている場合、最悪のシナリオは、同等の格付けを有する証券の予想損失に較正されるのが好ましい。
以下に、長寿改善をもたらす要因について述べる。
長期にわたって、死亡率が減少し、したがって、平均寿命が増加しているのが観察されている。この傾向は、健康管理における漸進的な改善、生活水準の向上(例えば、断熱性が高められた住宅)、ライフスタイルの変化(例えば、喫煙率の減少)および漸進的な公衆衛生に関する取り組み(例えば、大気汚染の規制強化)を含む要因の組み合わせによるものである。これらの要因の全ては、死亡率において階段状の変化ではなく、漸進的な低下をもたらす傾向にある。例えば、新薬が広範囲にわたる種類の疾病をまとめてなくすのではなく、限られた種類の病気(例えば、肝臓癌の1つの形態)に対して有効であるかあるいはその従来品より高い成功率をもたらす傾向があることが典型的には観察されている。したがって、長寿の増加は、数多くの漸進的な改善の複合効果であると考えるべきである。この長寿改善傾向は図17に示されており、同図は、統計局(the Office of National Statistics )(ONS)からの平滑化データに基づく、20歳から90歳の男性集団の死亡率(q(x))における年間減少率を示している。q(x)が死亡率であるとすると、図17は、毎年の死亡率の減少率を示している。
1970年代の中頃以来、英国における死亡率改善率の加速が観察されている。図18は、この改善率を分類したものであり、55歳、65歳および75歳の男性の年齢集団による死亡率の年間減少率を示している。図18は、これらが以下の特定の集団によるものであることを示している。すなわち、70年代および80年代初めにおいては55歳の集団、90年代においては65歳の集団、そして現在においては75歳の集団である。このことは、1925年〜1945年の間に生まれたコホートがその寿命において著しい改善を経験していることを示す、「コホート効果」として知られる現象を反映しており、当然、このコホートに続く後の世代は、1925年〜45年のコホートの低い死亡率改善レートと比べると比較的低い死亡率改善レートを示す。しかし、1925年〜45年のコホートはまた、それ以前のコホートよりも著しく大きい死亡率改善を経験している(その先祖と比較して)。好適な実施形態においては、死亡率を予測する際に「コホート効果」を考慮に入れることが重要である。
以下に、本発明の態様の好適な実施形態に従って寿命における改善を予測するためのP−スプライン方法について説明する。本発明の態様によると、P−スプラインなどの統計長寿予測モデルの使用は、将来における年金制度の加入者のそれぞれの死亡率をより確信をもって予測するための個々の死亡率テーブルを生成し、それをベースに金融証書および必要資本の予想キャッシュフローを計算するために、適切な基準集団における死亡率の改善の傾向を予測するためのものである。
歴史的にみて、年金債務の評価は、実際の経験から作成された死亡率テーブルおよび死亡率における改善を考慮に入れない均一の死亡率仮定に基づくものであった。このような手法は、十分に控え目でないことが判明し、その結果、これらの死亡率テーブルは、「コホート効果」に関連づけられた死亡率改善を考慮に入れるように拡張された。これらの表に対するこのような暫定的な調整は、本質的には、それまでに見られた寿命改善における傾向を「前進(roll forward)」させるためのものであった。しかし、これらの調整は、厳密な統計理論ではなく、アクチュアリーによる専門家の判断に基づく傾向があり、様々な予測基礎を選択することにより主観的に設定される。このような恣意的に選択された表は、十分に控え目でない可能性があることが分かった。
これに鑑み、業界は、最近になって死亡率予測のためのより厳密な統計基礎を確立する重要な措置を取った。P−スプラインモデルは、業界専門家、学識者およびより大規模でかつより経験豊富な保険会社に最も広く受け入れられた統計的技術である。本発明の種々の態様において、P−スプラインは、寿命を予測するための好適な方法である。しかし、リー・カーターモデルまたはケアンズ・ブレーク・ダウドモデルといった様々な他の統計モデルに対してさらなる研究が引き続き行われており、これらも本発明と併せて用いられ得る。
スプラインとは、多項式によって区分的に定義される関数である。スプラインは、一般に、データセットの補間または平滑化(例えば、曲線上の点を用いて完全な利回り曲線を得るため)に用いられる。スプライン全般に関するさらなる考察は、エイラーズ・P(Eilers P)およびマルクス・D(Marx D.)「B−スプラインおよびペナルティを用いたフレキシブルな平滑化(Flexible smoothing with B-splines and penalties)」スタスティカル・サイエンス(Statistical Science)、第11巻、No.2、89−121頁、1996年)において見られる。特に死亡率データに対するP−スプラインの適用についてのさらなる詳細は、カリアー・I(Currie I)、ダーバン・M(Durban M)およびエイラーズ・P、「二次元のポアソンデータを外挿で求めるためのP−スプラインの使用(Using P-splines to extrapolate two-dimensional Poisson data)」、統計モデル化に関する第18回国際ワークショップ議事録(Proceedings of 18th International Workshop on Statistical Modelling)、ルーベン、ベルギー、97〜102頁、2004年、およびCMI、「将来の死亡率を予測する:確率論的な方法のための提案に向けて(Projecting future mortality: Towards a proposal for a stochastic methodology)」ワーキングペーパー、2005年7月15日において見られる。これらの文書は、参照により本明細書に援用される。
一般に、測定データに多項式を適合させる場合、用いられる多項式が高次であればあるほど、適合はより良好となる。しかし、高次多項式を用いることは必ずしも望ましいとは限らない。なぜなら、これにより、しばしば「過適合(overfitting)」となり、また測定期間外の予測の安定性が低くなるからである。代わりに、P−スプラインは、「ペナルティ付きスプライン(penal spline)」として知られるものを計算する。つまり、P−スプラインは、多項式の増加する次元にペナルティを適用することにより、適合の正確さと引き換えに、推定される係数における節約の原理を犠牲にするものである。小さいペナルティを選択するならば、データに厳密に追従するが、この場合、過適合の可能性が潜んでいる。一方、非常に大きいペナルティを選択すると、データに追従する余地はほとんど残されない。適合の平滑性と適合度との間にトレードオフが存在する。ベイズ情報量規準(BIC)または赤池情報量規準(AIC)といった、適合度に対して平滑性を最適化するいずれの共通の基準を用いることができる。
P−スプラインが他の単純なスプラインと異なる別の点は、それが二次元にわたって実行可能であるということである。換言すれば、P−スプラインは、一組の測定値に曲線を適合させるのではなく、1つの面を年齢および測定年度によって定義された2次元配列に対して適合させる。
P−スプラインを使用する際に行われる必要のある1つの重要な選択は、年齢期間または年齢コホートスプラインを用いるべきかどうかということである。前者は、年齢集団および測定年度ごとに測定された過去のパターンに基づいて死亡率を予測する。後者は、年齢集団およびコホートごとに測定されたパターンに基づいて死亡率を予測する。本発明においては、英国の長寿データにおいて明らかである強力なコホート効果により、年齢コホートモデルが好適となる。年齢コホート中心の予測は、年齢期間中心の予測よりも控え目なものであることが分かっている。
P−スプラインモデルは、死亡者および集団全体についての過去の測定のデータを読み込み、得られる死亡率にP−スプラインを適合させる。その後、同モデルは、P−スプラインを時間において順方向に予測し、将来の予測される死亡率を求める。最後に、同モデルはまた、適合の標準誤差を求め、適当度を示す。本発明の態様においては、これらの標準誤差は、その後、長寿リスクをカバーする必要資本を推定するために用いられる。
以下に、本発明の好適な実施形態に従って英国のデータセットにおける寿命を予測するためにP−スプライン方法を用いる例を、年齢コホートモデルのみを用いて説明する。
目的は、長寿死亡率テーブルを構築することであり、このプロセスについて段階を追って説明する。本例においては、CMIワーキングペーパー20(参照により本明細書に援用される)におけるP−スプラインモデル化に対して採用された手法が用いられる。この文書は、暫定的なコホート予測が、P−スプラインモデルと比較してより低いパターンの測定死亡率改善を示していると結論付けている。より最近のデータが利用可能になるにつれ、P−スプライン方法は、実際の改善の順方向予測をより良好に行うことができる。しかし、上記文書は、基準集団に関して選択されるデータセットならびに使用するパラメータおよびペナルティに関する決定において注意が必要であると警告している。
P−スプラインモデルを実行する際、重要な考慮は、適切なデータセットおよびP−スプラインのノット配置の選択である。ノットは、P−スプラインを構成する多項式が連結される点である。CMIでは、少なくとも40年の年齢範囲にまたがる、最低20年連続したデータが推奨される。また、毎年の各年齢について十分な死亡数およびエクスポージャーが存在している必要がある。年度および年齢ごとの各データセルにおいて最低1,000人の生存者(経験)および30人の死亡者が存在することが好ましい。P−スプラインのノットは、データおよび予測された領域の両方にまたがる多項式部分が適合されたスプラインに存在しないことを保証するように配置されるのがよい。これを保証する最良の方法は、ノットをデータの前縁に配置することである。新しい年のデータが利用可能となり、モデルが更新されると、ノット位置を変更する必要がある。
最初のステップは、死亡率改善を予測するためにP−スプラインモデルを用いることができる基準集団についての実際の死亡率経験の適切なデータセットを選択することである。このデータセットは、上記に概説した最低要件を満たすのがよい。英国においては、例えば、死亡率体験データの以下の2つの主なソースが存在する。
1.継続死亡率調査(CMI)は、11歳〜100歳までの年齢を対象とする1947年から2005年までに生命保険契約を結んだ男性の死亡率データが提供している。CMIは、1975年から2005年までの女性のデータの収集を開始した。しかし、1983年より前は、データは、総年齢層および総年度層の状態で収集されていた。さらに、データは、より高い年齢(70歳超)においては非常に限られたものである。これらの要因により、女性のデータは、死亡率予測には信頼性が低い。CMIのデータは、一般に総人口のうちのより豊かな区分である英国の被保険者集団を対象としている。被保険者集団は、英国人口と比較して死亡率がより低く、また、過去においてより強力な死亡率改善を経験してきた。
2.統計局(ONS)は、0歳〜110歳の年齢の男性および女性の両方についての1841年から2003年までのイングランドおよびウェールズの集団の死亡率データを提供している。
したがって、本例においては、死亡率を予測するためにCMIデータが用いられた。なぜなら、CMIデータは、年金制度例の負債の基礎をなす集団をよりよく反映し、かつより慎重なものであるからである。しかし、女性の死亡率予測については特別な措置を取る必要がある。CMIの女性のデータセットは、考慮されるのに十分な大きさ人口を高齢において有しない。このため、女性の死亡率を提供するために、ONSの女性のデータセットおよびONSの男性のデータセットの分析も行なった。したがって、女性の改善要因は、ONSの男性の改善要因とONSの女性の改善要因との差を利用してCMIの男性の改善要因を調整することによって計算することができる。
年金制度の加入者は労働年齢に達しているため、CMIデータセットにおいては、20歳〜90歳の年齢のみが死亡率の予測のために使用されるので、これよりも若い年齢について死亡率予測を行うのは不適切である。90歳を超える年齢は、これらの年齢におけるエクスポージャーが小さいために、考慮されない。ONSデータセットは、時間の範囲およびカバーされる生存者数の両方においてより大きいデータセットであるが、初期においては、同データセットを適用する際にいくつかの問題があった。1953年よりも前の年は、特に第一次世界大戦および第二次世界大戦頃のデータに関する問題により考慮されていない。具体的には、正確なデータの不足により、1914年〜1920年の期間および1939年〜1949年の期間の死亡者数に対して若干の近似および推定を行わなければならなかった。とは言うものの、50年分以上の取り組むべきデータが存在し、これは予測目的として十分である。
次に、選択された参照データセットにおける死亡率改善を予測するためのP−スプラインモデルを実行するステップについて述べる。
本例においては、CMIによって推奨されるデフォルトパラメータおよび較正データセット(21歳〜90歳の年齢および1947年〜2005年の年度を対象とする)が用いられた(2007年7月27日のCMIワーキングペーパー(同文書は、参照により本明細書に援用される)を参照)。P−スプライン適合の全てについて、3次スプラインおよび2次ペナルティが用いられた。ノットは、データの前縁の両角に配置された。実際上、これは、21歳および90歳、ならびにデータの最後の年度にノットが存在することを意味する。予測は、今後100年間について行なった(例えば、2005年からの基準年度予測については2105年まで)。予測される年数を変更することは、適合に影響を与え得る。
表2は、高い適合度および慎重な結果をもたらすデータセットに基づく年齢コホートペナルティモデルに対して使用されたパラメータを示している。
表2
Figure 2010527061
いくつかの合理性チェックがモデルの出力に対して実行される。モデルは、ペナルティ重量にわたって最適化されるベイズ情報量規準(BIC)を出力する(数が低ければ低いほどよい)。CMIデータを使用する場合、BICが7,600の場合に信頼できる結果が得られることが分析によって確認されている。これはまた、P−スプラインモデルを用いた場合のわずかに異なるデータセットに対してBIC数9,300を生成したケアンズらによる研究の結果に一致する。行なわれた別のチェックは、標準誤差(S.E.)期間が全期間にわたって過剰ではないことを確認することであるが、最も重要なのは、予測の後半年度をモニタリングすることである。
次に、予測死亡率テーブルを作成するために、当該基準集団の基本死亡率テーブルにP−スプラインモデルからの長寿における予測改善率が適用される。本例において、この基本表は、CMIにより発表された最新の完全な表である、PNMA00表である。これは、2000年の生命保険年金受給者(Life Office Pensioners)、男性、標準として定義される。この死亡率テーブルは、据置年金および即時年金の両方を含む、保険業者によって引き受けられた全ての年金事業の合成死亡率経験に適合される。その後、P−スプラインモデルからの前年比改善が、今年度以降に適用される。
図19は、55歳〜90歳の男性の加重平均P−スプラインモデル長寿予測と、CMIによって発表された以前の予測(「中間コホート」表)との比較を示している。全体として、P−スプライン予測は、中間コホート予測よりも控え目である(すなわち、より高い率の死亡率の改善を予測する)。
結果として得られる、P−スプラインモデルといった本例において使用される統計長寿予測モデルによって予測される死亡率改善は、「what if」あるいはバックテスティング分析を行うことにより妥当性を検査することができる。これは、過去のある点におけるデータを適合し、年金受給者の標本ポートフォリオの最良推定必要資本の妥当性および要求される(AAA/Aaa)信用レベルにおける最悪のケースの資本構成を、予測された負債と年金受給者のポートフォリオの完全な流出における実際の負債とを予測された期間の実際の死亡率経験を用いて比較することにより評価するための統計長寿予測モデルを用いることによって行うことができる。
結果として得られる、統計長寿予測モデルによって予測された死亡率における改善もまた、それらの結果を基準集団の死亡率改善における傾向の定性分析の結果と比較することによって妥当性を検査することができる。この定性分析では、過去の長寿傾向、不確実性、社会経済的な要因、行動的な要因、性別に関する問題、死因別の死亡率および医療発見リスクなどの要因の寿命に対する影響が考慮され得る。例えば、肥満が著しく軽減されたか、あるいは癌に対する治療法が急に発見されたとすれば、長寿においてどのような改善がなされるかという質問を行い、それらの効果を定性的モデルの予測と比較することが可能である。英国に関してこれまでCMIデータに対して行われた定性分析により、本発明の態様の実施形態の定量的予測モデルの出力の妥当性は確認されている。
以下に、上述の傾向予測以外の、個々の年金制度加入者のための死亡率予測計算における特定の年金制度加入者に関連した死亡率レベルリスクを考慮した本発明の態様の方法について以下に説明する。
レベルリスクとは、特定の年金制度加入者の死亡率リスクのレベルが、定量的な死亡傾向予測を採用する死亡率テーブルが基づく基準集団の死亡率リスクレベルと異なるというリスクである。上記に示される例においては、年金制度加入者の死亡率リスクのレベルが、長寿予測の基礎を形成する英国の一般被保険者集団全体(CMIの死亡率データからも明らかなように)と異なるというリスクである。
リスクを一様にするために採用される手法は、実施形態において、完全な郵便番号地域別分析に基づく平均寿命プロファイルの分析を含み、かつ可能な場合には、個々の世帯の居住者まで掘り下げを行うという点において細分的である。すなわち、平均の仮定が存在せず、死亡率レベル差による影響が個々の加入者の特定の年金キャッシュフローのレベルで組み入れられており、したがって、この手法は細分的である。
死亡率レベル調整値は、参照ポートフォリオにおける全ての個人について計算され(年齢、性別、ライフスタイル、年金サイズ、そしてさらには郵便番号を基準にして)、各個人の年金キャッシュフローに(すなわち、最も高い細分度レベルで)組み入れられる。これらのレベル調整は、異なる社会経済的要因が死亡率に及ぼす影響を分析した結果として得られ、また、各加入者についての計算された調整値は、増倍係数、加算、減算または含まれる死亡率を変化させ得る別の何らかの関数を用いて統計長寿予測により作成された死亡率テーブルに組み込まれ得る。
定量に関しては、全てのレベル調整値の総計が、参照ポートフォリオの負債の正味現在価値に対してわずかに影響を及ぼすということが分かっている。この影響は、参照ポートフォリオごとに異なり得るが、現在の研究によると、大多数の年金制度について5%未満であると考えられている。
レベルリスク調整で考慮される社会経済的特性は、年齢、性別、年金サイズ、社会経済的階級、喫煙状態、地理的なライフスタイル・マッピング、郵便番号、生年月日に基づく季節性、課税レベル、不動産所有レベル、家族状況、配偶関係、扶養家族の数および職業の産業のうち少なくとも1つであり得る。
以下に、長寿リスクをカバーする必要資本を推定するために用いられる、本発明の態様の長寿資本査定方法について説明する。
上述のように、必要資本のこの推定は、最悪の寿命シナリオにおいて負債がカバーされ、かつその最悪のシナリオが、提示される商品が格付け機関スタンダード・アンド・プアーズおよびフィッチ、またはムーディーズのいずれかにより格付けされることになっているか否かによって異なる方法で較正されることを保証するのに十分な資本が保有されていることを保証することによって計算される。したがって、最初に、スタンダード・アンド・プアーズおよびフィッチによって格付けされた金融証書のための長寿資本査定に対する好適な手法について説明し、続いて、ムーディーズによって格付された金融証書のための好適な手法について説明する。
本発明の態様の好適な実施形態において、スタンダード・アンド・プアーズまたはフィッチによって格付けされた金融証書に関し、上記手法は、債務不履行確率(すなわち、債務不履行の累積確率)が、目標債務格付けの社債について測定された債務不履行確率よりも低いことを保証するのに十分な資本を保有することである。したがって、長寿資本査定の資本推定は、スタンダード・アンド・プアーズまたはフィッチによって格付けされた社債の較正に依存する。以下に示す例においては、格付け機関スタンダード・アンド・プアーズからの格付けを達成するための必要資本の推定について説明する。
図20は、推定債務不履行確率を示し、これらの確率は、AAA、AA、AおよびBBB格付け社債についてのスタンダード・アンド・プアーズのデータから得られ、適切な格付け推移行列に基づいて15年より先へ外挿されたものである。予期されるように、これらは時間と共に上昇する。本発明において、上記手法は、債務不履行確率が全ての時間軸における関係する債券クラスよりも低くなるのに十分な資本が保有されることを保証することである。この意味においては、本発明による資本較正は非常に控え目なものである。なぜなら、拘束的時間軸(binding time horizon)以外の全ての時間軸において、我々の債務不履行確率は、同等に格付けされた債券よりも低くなるからである。
任意の時間軸の必要資本を計算するために、2つの異なる手法が可能であり、これらはいずれも本発明の態様の範囲に含まれる。
主要でありかつ好適な手法は、決定論的な手法であり、これは、キャッシュフロー予測に対して適切なサイズのストレステストを適用し、結果として負債評価に及ぼされる影響を測定することに基づくものである。
もう1つの手法は確率論的手法であり、この手法においては、確率論的な長寿ショックがシミュレートされ、そのそれぞれについてポートフォリオが再評価される。結果として生じる分布のテイル(tail)を観察することにより、必要資本を計算することができる。
これらの手法はいずれも、経済資本についての同様の推定を与える。しかし、確率論的手法には、より高いフレキシビリティを提供するという利点がある。例えば、「テイル」バリュー・アット・リスク(VaR)および簡単なVaRを推定することが可能にとなる。以下に、これらの2つの手法についてより詳細に説明する。
任意の時間軸について、決定論的な手法は、「x%以下の確率で発生する最悪の場合のショックに耐えるために、いくらの資本を所有する必要があるか(xは、その任意の時間軸の目標債務不履行確率である)?」という問いに答えることを本質的に含む。つまり、例えば、5年の時間軸では、AAA格付け債券の債務不履行確率は0.10%であることが分かっている。したがって、この確率で発生する長寿ショックを特定することができれば、これを用いて必要な資本額を計算することができる。
その後、必要資本は、年金負債の「最良推定」価値と、該当する信頼区間における年金負債のショック時の価値との差額として計算される。図21は、この計算を示している。
上述のように、本発明の態様の好適な実施形態において用いられるP−スプライン手法の1つの利点は、将来の死亡率の「最良推定」を生成すると共に、その最良推定を中心とする信頼区間も生成するということである。例として、図22は、65歳の男性についてこれらの信頼区間を示している。最良推定において、年間死亡確率は、最初の5年にわたって88ベーシスポイント(bps)から74bpsまで低下している。しかし、最悪の場合においては、68bpsまで低下している。
これらのストレス時の死亡率シナリオを資本計算に適用するためには、該当する時間軸にわたるそのようなショックの影響がどのようなものであるかを推定する必要がある。5年の時間軸の例を再び挙げると、図23は、65歳の男性について5年間のショック時の死亡率経験が我々の負債評価に及ぼす2つの影響を示している。
第1の影響は、これら5年間を通じて死亡率経験がより低いことによるものである。1年目〜5年目の死亡者数が予測より少ないということは、これらの期間を通じて、より多くの年金支払いが行われなければならず、かつ、他の条件が同じであれば、1年目から5年目の間に死亡すると予測されていたが死亡しなかった人々のために将来より多くが支払われなければならないことを意味する。
ショックの第2の影響は、将来の死亡率に関してなされた仮定に対するその影響によるものである。継続した期間にわたってより低い死亡率が測定される場合、将来の長寿予測も修正する必要がある。したがって、P−スプラインモデルは、1年目〜5年目に経験された悪材料およびそれ以前の過去データを考慮して、5年目で再実行されなければならない。これらの修正された予想値は、図23に「修正された最良推定」ラインによって示されている。
したがって、5年の時間軸にわたって最悪の場合のショックに耐えるのに必要な資本は、最初の5年間のショック時死亡率に従って負債を再評価することを必然的に伴うが、これは、後の流出期間の修正予想値も考慮に入れて行われる。
このことが、同じく65歳の男性について図23に示されており、ここで、qx(5年目のショック)ラインは、5年目のショックの基礎となる死亡率仮定を示している。最初の5年間を通じて、死亡率は、一度完全にショックを受けた死亡率である。5年目を過ぎると、死亡率仮定は、P−スプラインを用いた修正予測に基づくものとなる。
図23は、1年目のショックも示しており、ここで、qx(1年目のショック)ラインは、5年目のショックの基礎となる死亡率仮定も示している。これは、5年目のショックに比べてはるかに極端であり、1年の時間軸におけるAAA格付け債券の債務不履行確率は、5年の時間軸よりはるかに低く、したがって、この確率はより極端な死亡率ショックに相当する。一方、1年目のショックが死亡率予測に及ぼす影響は、比較的短期間のものである。1年間の悪材料の後、我々(そしてP−スプラインモデル)は、これが単に一時的な「一時的な急下落」(恐らく、例えば暖冬による)であるという可能性を考慮することになり、したがって、修正された将来の予想値は、元の最良推定にかなり近いものとなる。これとは対照的に、qx(10年目のショック)ラインによって示される10年目のショックは、5年目のショックほどは極端ではない。しかし、これは長期間続くため、10年目に非常に控え目な折れ曲がりしか存在しないことから分かるように、ほぼ完全に将来の予想値に組み込まれる。
本発明の態様によると、長寿資本の評価に対する手法は、債務不履行確率が全ての時間軸の該当する債券クラスより低くなるのに十分な資本が保有されていること保証することであるということを再度確認すると、負債評価の点で最悪の拘束的時間軸を決定しなければならない。しかし、どの時間軸が負債評価の点で最悪なものであるかを「演繹的に」示すことは不可能であることは、図23から明らかである。本例および実際においては、最悪の時間軸は、一般に、6〜8年の付近にあること分かった。しかし、これは、ポートフォリオ特性によって異なる(高齢者についての拘束的時間軸は、若年者についての拘束的時間軸よりも短い傾向がある)。好適な手法は、任意の年金ポートフォリオについて全ての該当する時間軸をテストし、最もペナルティの高い(すなわち、最悪の)と時間軸をとることである。
本例のこの拘束的時間軸テストプロセスの結果は表3に示されており、表3は、様々な時間軸におけるAAA格付けを有する同等の債券の信頼区間の負債のショック時の値の正味現在価値(NPV)を示している。
表3
Figure 2010527061
本例において、負債の最良推定価値は12.10百万ポンドである。様々な時間軸に注目すると、ショック時の負債は12.573百万ポンド以上の範囲にわたり、拘束(すなわち最悪)時間軸は7年である。換言すると、12.732ポンドのこの強調された負債価値をカバーするのに十分な資産が保有される場合、負債に対する債務不履行確率は、7年の時間軸だけでなく、他の全ての時間軸にわたって、AAA格付け債券よりも低い。
各ショックに続いてP−スプラインモデルの完全な再実行を行なわないことが好ましい。P−スプラインモデル化は、ショックに続いて修正された予想死亡率の近似をとることにより、はるかにフレキシブルなものにすることができる。
以下においては、上述の決定論的な手法に大体において基づいている長寿資本の計算に対する確率論的な手法に注目する。確率論的な手法によると、死亡率ショックは、図22に示されるP−スプラインのパーセンタイルを用いて無作為にシミュレートされる。任意の確率論的シミュレーションおよび任意の所与の時間軸について、その後、経験による影響(すなわち、時間軸までにシミュレートされた死亡率)を、仮定による影響(すなわち、時間軸までにシミュレートされた死亡率が予測された将来の死亡率に及ぼす影響)から分離する。このことは、1回の確率論的なドローについての様々な時間軸のショック時の死亡率の計算を例示する図24に示されている。ここで、異なる時間軸について、任意の特定のシミュレートされたパスが時間軸までは完全に適用され、時間軸を過ぎると部分的に適用される(P−スプラインの再実行による将来の予想値に対するその影響によって)。図24は単一の年齢集団のみについての死亡率を示しているが、実際においては、シミュレーションは全ての年齢(および男女とも)全体にわたるショック時死亡率を必然的に伴うことを理解することが重要である。
各シミュレーションの各時間軸の確率論的シミュレーションを実行し、負債を評価した後、各時間軸における負債価値について確率分布がプロットされる。これを図25に示す。1年目のショックは短期間であり、予想値は多少の影響しか受けておらず、狭い分布を与えているのに対し、30年目のショックは、当然はるかに広い分布を与えている。
本発明の態様によると、その後、必要資本は、分布の適切なテイルに注目することによって分かる。つまり、例えば、債務不履行較正によれば債務不履行確率が1ベーシスポイントである同等のAAA債券よりも、1年の時間軸にわたって債務不履行確率を低くするためには、1年の狭い分布において1ベーシスポイントのショックをカバーするのに十分な資本が保有される必要があることになる。これとは対照的に、債務不履行確率が10ベーシスポイントであるAAA格付けを5年の時間軸にわたって正当化すためには、必要な資本を求めるのに、1年の時間軸についてのように分布のテイルをそこまで詳細に検討する必要はないが、5年目の分布自体がはるかに広くなる。
決定論的な手法と同様に、確率論的な手法においては、どの時間軸が最も高い必要資本を与えるかを演繹的に示すことは難しい。しかし、実際においては、この手法は決定論的な手法に対してと同一の必要資本を与えるので、拘束時間軸は、典型的には、6〜8年の範囲となる。
以下に、本発明の態様によるムーディーズ格付け商品のための長寿資本の査定について述べる。
ムーディーズ格付け商品について、本発明の態様の好適な実施形態においては、この手法は、予想損失が目標債務格付けのムーディーズの理想損失率よりも低いことを保証するのに十分な資本を保有することである。ムーディーズの理想損失率を表4に示す。予想されるように、損失率は時間と共に増加する。本発明において、この手法は、予想損失が全ての該当する時間軸において目標ムーディーズ債務格付け証券よりも低くなるのに十分な資本が保有されることを保証することである。この意味では、資本較正は控えめなものである。なぜなら、予想損失は、拘束的時間軸がムーディーズ格付け証券と等しくなり、他の全ての該当する時間軸ではさらに低くなるからである。
表4
Figure 2010527061
以下に、任意の時間軸の必要資本を計算する手法について、ムーディーズ格付け商品と関連付けて述べる。ここでも、適切なサイズのストレス(すなわち、長寿ショック)テストがキャッシュフロー予測に適用され、その結果得られる、負債評価に対する影響が観察される。ムーディーズ格付け商品の場合、任意の時間軸にわたって「予想損失(ムーディーズの理想損失率表からの)がx%であることを保証するために所有する必要がある資本はいくらか(xは、目標予想損失である)?という問いに我々は本質的に解答している。つまり、例えば、5年の時間軸において、Aaa格付け証券の予想損失は、0.0016%である。したがって、0.0016%以下の予想損失をもたらす資本レベルを見つける必要がある。
所与のレベルの負債の予想損失を推定するために、負債の分布のテイルの全ての点における負債価値を知る必要がある。これは、負債の正味現在価値を確率論的にシミュレートすることによって行うことができる。しかし、この分布のテイルの完全な分布の計算には非常に時間がかかる。我々の計算を迅速化するために、分布(例えば、正規分布)は、ほぼ同一の結果をもたらす実際の制度負債分布に適合させるのが好ましい。一旦負債分布が確率論的にシミュレートされた分布に適合されれば、所与の資本レベルについて資本が枯渇する確率および関連する損失を計算することができる。直観的には、資本レベルが高くなるにつれ、資本が枯渇する確率および関連した損失は、いずれも減少する。
スタンダード・アンド・プアーズおよびフィッチ格付け商品に必要な資本を評価する手法と同様に、ムーディーズ商品については、該当する時間軸にわたるショックの影響を推定することにより、ストレス時の死亡率シナリオが資本計算に適用されなければならない。
本例において、65歳の男性のP−スプラインモデルについて、年間死亡確率の最良推定は、最初の5年にわたって85bpsから73bpsまで減少している。0.1パーセンタイルの信頼区間ショックを別にすれば、年間死亡確率は、70bpsまで減少している。ここでも、このショックは2つの影響を負債評価に及ぼしている。つまり、これら5年を通じてより低い死亡率経験、および将来の死亡率に関する我々の仮定に対するその影響である。
その後、最悪の負債評価をもたらす拘束的時間軸を求めなければならない。この目的は、その最悪のシナリオにおける推定予想損失がムーディーズ格付け証券の推定予想損失以下であることを保証するのに必要な長寿資本を査定することである。ここでも、どの時間軸が負債評価の点で最悪であると「演繹的に」示すことは不可能であるが、実際において、我々は、最悪の時間軸が様々な制度プロファイルに関して安定していることを見出した。我々は、最悪の場合が得られたことを時間軸に対する感応度に注目することによって確認する。
以下に、本発明の態様による、ムーディーズ格付け商品の長寿必要資本を査定するための予想損失を計算する方法について説明する。
本発明の態様において、必要な長寿リスクキャピタルを決定する目的で予想損失を計算する手法は、従来の予想損失(EL)計算と以下のように類似している。
EL=PS×LGS
式中、EL=予想損失
PS=不足の確率
LGS=損失による不足である。
所与の時点における実際の負債の正味現在価値(NPV)が負債の「最良推定」NPVと所有資本との合計を超えた場合に、不足が生じる。したがって、不足は、以下の方程式によって表すことができる。
Shortfall=max(0,Liabactual(LiabBE+Capital))
式中、Liabactual=負債の実際のNPV
LiabBE=負債の最良推定NPV
Capital=保有資本額
例えば、負債の当初の最良推定が100ポンド、保有資本が8ポンド、実際の負債が110ポンドである場合、不足は次のように計算される。
Shortfall=max(0,110(100+8))
=£2
その後、不足の確率(PS)は、不足が生じる確率として定義される。すなわち、保有資本が実際の負債と最良推定負債との差額をカバーするのに十分でない確率である。PSは、従来の予想損失方法における債務不履行確率と類似している。したがって、不足の確率は、以下の方程式によって表すことができる。
PS=Prob(Liabactual>(LiabBE+Capital))
式中、Liabactual=の実際の負債
LiabBE=最良推定負債。
Capital=保有資本額
損失による不足(LGS)は、負債が十分にカバーされかつ従来の予想損失方法論における損失による債務不履行(LGD)と類似していれば払われていたであろう部分として示された不足が存在する場合に生じる平均損失として定義される。したがって、損失による不足は、次の方程式によって表すことができる。
LGS=不足/実際の負債
推定予想損失を得るために、不足の確率および損失によってもたらされる不足を推定しなければならない。本発明の態様において、これは、分布(例えば、正規分布)を、テイル付近にわたる負債の実際の正味現在価値を推定するように適合させることにより行われる。
その後、実際の負債が最良推定負債と保有資産との合計を超える確率を計算することにより、「適合後の」分布から資本の所与のレベルについて不足の確率を推定することができる。
同様に、損失によってもたらされる不足を推定するために、「適合後の」負債分布のテイル付近をサンプリングすることができる。例えば、テイル付近からの500のランダムなドローを行うことができ、その後、予想損失を、これらのテイルシナリオの平均として計算することができる(テイル付近で既にサンプリングを行っているので、収束を達成するのに非常に多くのシミュレーションが必要となることはない)。
したがって、本発明の態様において、図26に示されるような予想損失を計算する好適な手法は、以下のとおりである。
1.異なる長寿シナリオによる実際の負債結果を用いて、制度負債に分布を適合させる。
2.保有資産レベルを仮定して、不足の確率(PS)を「適合後の」分布から計算する。
3.保有資産レベルを仮定して、損失によってもたらされる不足(LGS)を「適合後の」分布から計算する。
4.EL=PS×LGSとして予想損失を計算する。
このようにして、特定の長寿ショックに関連する予想損失を計算することができる。
上述のように、統計長寿予測モデルによってある確率で起きると予測される長寿ショックの場合の年金制度負債のNPVの変化および予想損失を決定するための上記方法は、長寿リスクを定量し、年金制度に一般に関連する長寿リスクを価格付けするために用いることができる。これにより、投資家が本発明の金融証書の長寿エクスポージャーを把握するのを支援することができる。
これはまた、格付け機関からのある特定の格付けを有する金融証書の発行を支えるのに必要な長寿リスク資本を計算するために適用することもできる。
上記方法はまた、資本の劣後トランシェのサイズを、BBBまたはAa1、Aa2等といった劣後債務格付けを有するように計算するために適用することもできる。これは、サイズ決定されているトランシェの目標格付けに関連する長寿ショックの年金キャッシュフロー負債のNPVと、例えば、その次に優先される発行済み資本上位トランシェの格付けに関連する長寿ショックの年金キャッシュフローのNPVとの差額として計算される。勿論、劣後資本は格付けなしで発行されてもよい。
本発明の態様の方法はまた、任意の資産の長寿リスク・エクスポージャー、あるいは債権者もしくは債務者グループの実際の将来の死亡率経験またはエクスポージャーにある程度まで依存する売掛金額および買掛金額のキャッシュフローを有する負債を定量するために一般に適用することができる。
長寿リスクの分析およびそれに関連したリスクキャピタルの定量に加えて、本発明の一態様はまた、あるサイズの年金制度の加入者の長寿を上述のように予測するプロセスに関連した固有リスクを定量する方法も提供する。このプロセスリスクは、基準集団に関連したデータセットにおける死亡傾向を組み込み、かつ死亡率レベルリスク調整も組み込んだ統計死亡率予測モデルから制度の出力を予測するための死亡率予測に固有のものである。プロセスリスクの大きさは、証券化されている年金制度加入者のサイズに依存し、例えば、わずか数千人の加入者向けの小規模ポートフォリオにおいて特に明らかである。
統計死亡率予測モデルによるある一定のサイズの出力の年金制度のための資本予測に固有のプロセスリスクをカバーするのに必要なリスクキャピタルは、統計死亡率予測モデルによって得られる死亡率予測の誤差分布の特性を明らかにするように基準集団(例えば、上記に示すケースでは、CMIデータセット)に対してブートストラップ分析を行うことにより計算され得る。誤差分布は、年金制度の集団のサイズに関連づけられる。年金制度加入者の死亡率の誤差分布の特性(例えば、標準偏差)は、例えば、予想キャッシュフローにおいて誤差分布を形成するように調整係数によって調整され得る。予想キャッシュフローの正味現在価値に当該誤差分布を適用することにより、プロセスリスクをカバーするのに必要なリスクキャピタル額を定量することができる。
スタンダード・アンド・プアーズまたはフィッチ格付けを有する金融証書の場合、保有すべきリスクキャピタル額は、格付け機関の債務不履行確率表による同等の格付けを有する債券の債務不履行確率以下の確率で生じると予測される、死亡率予測における標準誤差の場合に、金融証書に対する支払額が満たされることを保証するのに十分な額として計算される。
ムーディーズ格付けを有する金融証書の場合、保有すべきリスクキャピタル額は、死亡率予測における標準誤差から生じるであろう予想損失が、信用格付け機関の理想損失率表による同等の信用格付けを有する債券の予想損失より低いことを保証するのに十分な額として計算される。
ブートストラップ分析は、年金制度と同じ大きさの基準集団の加入者のN個の無作為標本について、ある期間にわたって当該無作為標本の統計死亡率予測モデルによって予測された死亡率を計算することによって行なわれ得る。基準集団の当該標本および当該期間について、当該死亡率予測値のそれぞれを実際の死亡率と比較することにより、死亡率予測値における誤差を決定し、かつその特性を明らかにすることができる。誤差分布は、一般に、正規分布に追従する。
以下に、年金制度加入者に対する上記統計死亡率予測方法の適用に関連するプロセスリスクのCMIデータセットのブートストラップ分析の例について説明する。
予測された死亡率を、無作為にサンプリングした5,000個の加入者ポートフォリオの実際の死亡率と比較する一連のブートストラップ分析を行った。ブートストラップ処理は以下のとおりである。
・データセットからN人の生存者を無作為に選択する
・モデルを用いて、標本に含まれる推定死亡者数を計算する
・標本における実際の死亡者数を予想された死亡者数と比較する
・各ブートストラップ分析について、これらのステップを5,000回繰り返す
各ブートストラップ分析において、実際の死亡者数に対する予想された死亡者数の割合を5,000回のシミュレーションのそれぞれについて分析した。ブートストラップのための基本ケースにおいて用いられたモデルパラメータが以下の表5にまとめられている。
表5
基本ケースのブートストラップのためのモデルパラメータ
Figure 2010527061
図28は、基本ケースを用いて5,000回のシミュレーションのそれぞれによって得られた分布を示している。このグラフにおいて、100%の値を有するシナリオは、適合後の死亡率モデルを用いて予測された死亡者数が、そのシナリオにおける実際の死亡者数と等しいことを意味する。
表6に誤差分布基本ケースの結果がまとめられている。平均、すなわち標準誤差および実際の死亡者数と予測された死亡者数との間の偏差の99.5パーセンタイルを計算した。
表6
ブートストラップ出力の概要−基本ケース
Figure 2010527061
基本ケースを中心とする異なる年金制度/標本サイズについての結果の分布の感応度テストを50,000人の生存者および100,000人の生存者の標本サイズに関して行った。結果を図29および表7に示す。
表7
ブートストラップ出力の概要−制度サイズ別
Figure 2010527061
この分析によると、年齢、性別およびライフスタイルを用いたレベル死亡率リスクモデルを使用する場合、全ポートフォリオの生存者が100,000人を超えると、死亡率レベルリスクが非常に急速に減少することが明らかである。
その後、プロセスリスクに関連する必要リスクキャピタルを定量するために、これらの死亡率分布を本発明の態様に従って適合および使用することができる。
リスクキャピタルは、例えば、キャピタルノートおよびエクイティノートの形態で発行される、債務および自己資本の劣後トランシェの形態で保有することができる。例えば、年金制度加入者の長寿リスク変動性が低いことにより、この長寿リスクにさらされる劣後手形から価値を生み出すために投資家に提供される機会はかなり限定されたものであり、かつ分布のテイルに制限されている。このことにより、投資家からの利益が制限される可能性があり、さらに、資本市場における長寿リスクの引受を実現することに対する潜在的な障壁が生じ得る。本発明の態様によると、投資家がこれらの資本劣後トランシェに投資することによって価値を生み出す機会を増やし、またそれらをより魅力的にするために、劣後資本は、長寿リスクに対するエクスポージャー、および資産リスクに対するエクスポージャーを合わせて含み得る。したがって、本発明のこの態様に従って発行される劣後資本は、長寿リスクに対する上位商品のリスク・エクスポージャーをサポートし、かつ上位商品の発行の基礎をなす資産のリスク・エクスポージャーもサポートする。
本発明による金融証書は、引き受けられないか、あるいは自己引き受けされる(すなわち、年金制度の企業スポンサーが、金融商品の発行をサポートするために劣後性のリスクキャピタルに投資する場合)場合に発行され得る。これは、例えば、年金制度の負債価値が大きすぎて年金制度の長寿リスクの証券化を目指した資本市場商品の発行を支えることができる引受能力が市場に存在しない場合に起こり得る。この場合、年金制度の事業は、リスク管理システムプラットフォームに移転されてもよく、本発明の態様による金融商品は、年金制度スポンサーが発行を支えるためのリスクキャピタルを提供している間に、発行されてもよい。次に、スポンサーが保有する劣後資本は、スポンサーによって後に売却されてもよい。
本発明の態様による金融証書の様々なトランシェを発行する実体がその資産デュレーションを常に越える資金調達デュレーションに基づいて常に事業を行うということから、このことは、資産ポートフォリオに対する追加のエクスポージャーによって提供される向上した利回りを用いて長寿に対するエクスポージャーにアクセスすることができる潜在的なキャピタルノート投資家にとって利点となる。これにより、多くの従来のレバレッジド信用投資家に対し、短期借入および長期貸出により資産および負債のデュレーションを消極的に不一致にするレバレッジド投資モデルに当てはまる、短期借入金のリファイナンスおよびマーク・トゥ・マーケットモデルに関連するリスクにさらにさらされることなくレバレッジド・エクスポージャーを達成する魅力的な新たな代替方法が提供される。
本発明の態様の方法をサポートするリスク管理システムに年金制度の事業を移転することにより、リスク管理システムは、慎重でかつ計算された年金制度負債の管理を可能にする強力なツールを提供する。本発明の態様の資本予測モデル化方法により、年金制度受託者または企業スポンサーは、個々の年金制度加入者に対する負債のキャッシュフローの証券化に関連するコストを分析し、それらの負債を管理する適切な処置を講ずるために、リスク管理システムを用いることができる。例えば、年金制度の受託者またはその企業スポンサーは、リスク管理システムを用いて、その負債を証券化するために本発明の態様による金融証書に投資するコストが非常に高い(例えば、一人につき100,000ポンド)据置年金加入者の数を特定し得る。この情報を有していれば、受託者または企業スポンサーは、そのような加入者に年金制度から移転するために例えば80,000ポンドの現金インセンティブを提供することにより、その負債を管理することを決定することができる。この方法の負債管理に対するこのような能力は、本発明の態様のリスク管理システムおよび方法によって提供される。
以下に、キャッシュフロー予測のための長寿資本モデル(LCM)について説明する。
LCMは、加入者別年金キャッシュフロー予測および評価を実行する、本発明の態様によるキャッシュフロー予測モデルである。このモデルの主な要素を図26に示す。
入力シートは、未払年金給付などの加入者の年金受給資格を変動させる要因ならびに加入者の年齢および性別といった予想死亡率を変動させる要因に関する加入者別情報を含む。このシートはまた、退職前および退職時の様々な給付スライスの指数連動化に関わる規則といった年金制度レベル情報も含む。
加入者状態モデルは、所与の日付に所与の加入者が生存しているかあるいは死亡しているか(また、死亡している場合は、その配偶者が生存しているかあるいは死亡しているか)の尤度を推定する。この確率予測は、P−スプラインを用いて得られる死亡率仮定に基づいて行われ、入力としてモデルに供給される。
給付計算器は、所与の加入者に対して所与の期間に支払われる年金キャッシュフローを、加入者本人がその時期に生きているという仮定のもとに推定する。つまり、例えば、計算器は、加入者本人がまだ生存している場合は年金キャッシュフローを計算し、また、死亡しているが配偶者がまだ生存している場合にも年金キャッシュフローを計算する。これ以外に、計算器は、個別の給付「スライス」を計算する。つまり、例えば、計算器は、加入者の適用除外給付を、それぞれについての異なる指数連動化要件を考慮して、標準年金給付とは別々に計算する。
最後に、モデルの総計セクションは、加入者状態モデルと給付計算器とを結びつける。モデルは、各期間に各タイプの年金給付を支払う確率およびその給付のサイズを考慮して予想キャッシュフローを計算する。固定キャッシュフローのスワップレートおよび指数連動型キャッシュフローの指数リンク曲線に基づいて正味現在価値が得られる。その後、上述の手法のうち1つを用いて死亡率仮定に特定のショックを適用することによって、必要な長寿リスクキャピタルが得られる。
以下に、本発明の態様に従う多くの年金ディフィーザンス証券商品例について説明するが、これらは、年金制度受託者および企業スポンサーに提供することが可能であり、かつ少なくとも所定の期間にわたって年金制度を少なくとも部分的に無効化することによって年金制度を長寿リスクから免疫化するために用いることができる。
買収等価債券、すなわち「ブルー・ボンド(Blue Bond)」
これは、買収と経済的に等価であり、したがって、加入者に対する制度の実際の負債を反映したキャッシュフローを支払う最も包括的な商品である。これは、年金制度加入者データおよび制度規則を分析するための独自のリスク管理システムを用いて推定負債の予測を作成することにより達成される。この債券に対する支払いは、バーバー(Barber)調整、GMPの増加およびフランキング禁止法(anti-franking legislation)を含む、全ての該当する年金制度法令を完全に反映することになる。
ブルー・ボンドは買収と経済的に等価であるが、根本的に既存の保険買収解決法と異なる。なぜなら、制度の現行の受託者の管理下で年金制度の資産として保有されるように設計されているからである。本発明の態様による全ての商品と同様に、ブルー・ボンドは、継続中の制度によって使用されるために主として設計されている。しかし、必要であれば、スポンサーがリンクの解消を希望する閉鎖年金制度に対する完全な買収解決法を提供するように構成されてもよい。
年金制度がブルー・ボンドを購入し、制度データおよび規則がリスク管理システムの管理プラットフォームに存在すれば、さらなる給付トランシェ、さらなる付加利子、または増加補償額を価格付けすることは非常に容易となる。その後、さらなる給付トランシェを確定価格で購入することができ、確定給付制度を運営する財務的影響がスポンサーにとってトランスペアレントとなる。
期間買収債券、すなわち「ターム・ブルー・ボンド(Term Blue Bond)」
この商品は、定められた期間にわたって加入者に対する年金制度の実際の負債を反映したキャッシュフローを支払うものである。この商品は、そのリスクのかなりの部分を免疫化しようとしているが、負債を完全に無効化するための財源を有しないかもしれない年金制度にとって理想的な商品である。ターム・ブルー・ボンドにより、年金制度は、その財源およびリスク選好度に基づいて、カバーするリスク期間を選択することが可能となる。
この商品は、ある期間にわたって完全な資金調達および完全なリスク解消の立場に移ることを期待する制度に好評となると思われる。なぜなら、リスクおよび変動性を著しく減らし、その後スポンサーから追加の拠出金を受け取る間に、あるいはより高い危険資産に対するエクスポージャーから黒字が生みだされる間に、カバー範囲を拡張することができるからである。
延べ払い債券、すなわち、「ギヤード・ブルー・ボンド(Geared Blue Bond)」
この商品は、現在資金が完全には調達されず、したがって、完全なブルー・ボンドを購入することができない制度向けに設計されている。この商品により、制度の継続期間にわたってリスクの完全な免疫化が実現され、コストの一部は長い年月をかけて支払うことが可能となる。これにより、赤字を埋めるコストをスポンサーが段階的にカバーすることがより容易となる一方、受託者は、完全に無効化された立場となり、赤字変動性を完全になくすことができる。
これはまた、完全なブルー・ボンドを一括払いで購入することができるが、追加の報酬(その後、無条件給付を与えるか、あるいは将来の付加利子に関するスポンサーの拠出金を縮小するために用いることができる)を得るべく、制度に若干のミスマッチ資産を保持することを選択する制度にも有用であり得る。
比例配分債券、すなわち「ライト・ブルー・ボンド(Light Blue Bond)」
これは、制度の全期間にわたって確定された制度給付割合を支払うブルー・ボンドである。あるいは、債券に対する支払いは、例えば、男性または女性のみ、ある年齢以上の加入者といった、その加入者の任意の定義された区分に対する年金制度の負債とリンクさせてもよい。
この商品により、制度は、カバーしたい負債の割合または区分を正確に決定することが可能となる。この債券の使用は非常にフレキシブルである。なぜなら、これを用いて、従来の債券ポートフォリオを、制度の実際の負債のインフレーション感応度、デュレーション、内包オプションおよび長寿を反映した投資に置き換えることができるからである。また、これを動的な投資戦略の一部として用いて、年金制度からの財務リスクの完全な除去を、債券によってカバーされる負債の割合が増加するにつれて徐々に実現することができる。
期間赤字変動性解消債券、すなわち「グリーン・ボンド(Green Bond)」
この商品は、IAS19およびFRS17から生じる赤字変動性について懸念を抱く年金制度スポンサー向けに設計されている。この問題に対処するため、要件に応じて多くの異なる解決策が利用可能である。
代表的な例には、10年の間に加入者に支払われるべき給付の支払いの全てを引き受ける金融証書の発行人に制度の資産を移転することが含まれ、この10年の終わりに金融証書の発行人は、予め指定されたレベルまでIAS19黒字/赤字を保証する額を制度に返済する。その結果、スポンサーは、投資の継続期間にわたって赤字変動性から保護されることになる。
買収等価固定インフレーション債券、すなわち「白色債券(White Bond)」
この商品は、インフレーションの変動性が今後存在しないという仮定に基づいて支払いが行われる、すなわち、固定インフレーション仮定に基づいて価格付けされるという点を除いて、完全なブルー・ボンドと同じである。この商品の目的は、デリバティブ市場を通じて可変的なインフレーションに対するエクスポージャーを既に解消した可能性のある制度に対して長寿カバーを提供することである。この商品はまた、スポンサーがインフレーションリスクを不安視していない(例えば、会社がインフレーションにリンクした収入源を有する場合)が、長寿に対するエクスポージャーをヘッジしたいと望む制度に適し得る。
他の多くの年金ディフィーザンス証券商品が本発明の範囲に含まれ、また、上述の債券は例としてのみ示されることが理解される。特に、債券ならびに他の適切な証券およびデリバティブは、年金制度の特定の目的を制度の規則、加入者、リスク選好度および利用可能な財源に応じて満たすように構成することができる。これは、年金制度が直面する個別リスクのそれぞれを個々の加入者レベルまで掘り下げて分析し、また、制度が管理を望まないエクスポージャーを除去しつつ、制度が不安視せずかつ上昇する可能性を維持したいと望むエクスポージャーを維持することによって行うことができる。したがって、リスク別あるいは部分ディフィーザンスまたは全ての制度リスクの完全な解消を買収レベルまで実現することが可能な債券ならびに他の適切な証券およびデリバティブを発行することができる。
平均寿命債券、すなわちパープル・ボンド(Purple Bond)
この商品は、各加入者または定義された加入者グループ(年齢、性別、状態(据置/年金受給者を基準にして定義されるグループ)等に対して合意された一定の年齢制限を条件として、加入者に対する制度の実際の負債を反映したキャッシュフローを支払う。したがって、パープル・ボンドを用いて、確率が低いと考えるリスクに対して過剰な保険料を支払うことを望まない制度スポンサーおよび受託者向けの費用対効果の高いリスク管理を提供することができる。
最良推定キャッシュフローのみの債券、すなわちレッド・ボンド(Red Bond)
レッド・ボンドは、受託者およびスポンサーが要求する長寿パラメータに基づいて、発行時における加入者に対する制度の予測される負債を反映したキャッシュフローを支払う(これらのキャッシュフローは、最良推定長寿を反映していてもよいし、あるいは追加のまたは縮小されたリスクカバレッジ要件を満たすために増加または減少されてもよい)。また、そのキャッシュフローは、実際の死亡率結果を基準として調整されないが、他の全ての要因(インフレーションおよび現金コミュテーションや移転などの加入者の自由裁量)について調整される。
本発明のあらゆる実施形態を実施するにあたり、いずれかまたは全ての計算は、処理手段、メモリ手段、データ入力手段およびデータ出力手段を有するデータ処理装置により、汎用のまたは本発明の文脈における使用のために特別に設計された適切なソフトウェアを用いて実行され得ることが理解される。

Claims (88)

  1. 実体に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーション内の定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を前記実体に対して支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、
    再設定時点において、前記予定支払額は、前記再設定時点より前に前記年金制度の実際の累積死亡率経験を考慮に入れて調整された、前記年金制度加入者に支払われるべき名目キャッシュフローの総額となるように計算された調整支払額を前記実体が受け取るように再設定される、方法。
  2. 前記調整支払額は、前記年金制度の加入者のそれぞれの修正名目キャッシュフローを、前記名目キャッシュフローに影響を及ぼす非死亡率イベントの実際の経験を考慮に入れて決定すること、
    複数の年金所得受給資格区分を定義し、前記区分のうち1つに各加入者を割り当てること、
    各区分について、当該区分に含まれる加入者の実際の死亡率経験から得られる当該区分の平均累積生存率を決定し、当該区分に含まれる加入者の前記区分生存率および修正名目キャッシュフローを用いて、当該区分の指数連動型キャッシュフローを得ること、および
    前記区分の指数連動型キャッシュフローを総計して調整支払額を得ることによって計算される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記非死亡率イベントは、年金制度加入者によるコミュテーション(commutation)、年金制度加入者による前記制度からの移転、早期退職、退職の延期、健康障害による退職、年金制度加入者、配偶者、扶養家族および制度が指定する年齢未満の子供の年金所得受給資格の指数連動化および再評価の実際のレベル、ならびに給与の増加からなる群から選ばれる、請求項2に記載の方法。
  4. 前記調整支払額は、前記年金制度の加入者のそれぞれの指数連動型キャッシュフローを、前記名目キャッシュフローに影響を及ぼした非死亡率イベントの実際の経験および各加入者の実際の死亡率経験を考慮に入れて決定すること、および
    前記区分の指数連動型キャッシュフローを総計して調整支払額を得ることによって計算される、請求項1、2または3に記載の方法。
  5. 前記実体は、その加入者に対して前記年金制度のキャッシュフロー債務を支払う責任を有する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  6. 前記予定支払額が再設定される前記時点の前に、前記金融証書に対する支払額と前記年金制度の実際のキャッシュフロー債務との間の差額に対応するために預金ファシリティおよび流動性ファシリティを前記実体に提供するステップを含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記年金制度のその加入者に対する当初予測キャッシュフロー債務が、一般集団のコホートの予測平均寿命データを基準にして計算される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  8. 予測キャッシュフロー債務は、P−スプライン、リー・カーター(Lee Carter)およびケアンズ(Cairns)・ブレーク(Blake)・ダウド(Dowd)からなる群から選ばれる統計長寿予測モデルによって計算される、請求項7に記載の方法。
  9. 予測平均寿命に対する調整が、前記年金制度の特定の加入者に関する要因を考慮して行われる、請求項7に記載の方法。
  10. 確率論的モデル化が使用される、請求項8に記載の方法。
  11. 決定論的モデル化が使用される、請求項7に記載の方法。
  12. 前記年金制度加入者に対して支払われるべき前記名目キャッシュフローは、前記予定支払額が、少なくともインフレーションの実際の変化を考慮して再設定される前記時点について計算される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  13. 前記年金制度加入者に対して支払われるべき前記名目キャッシュフローは、前記予定支払額が、年金制度加入者によるコミュテーション、年金制度加入者による前記制度からの移転、早期退職、退職の延期、健康障害による退職、年金制度加入者、配偶者、扶養家族および制度が指定する年齢未満の子供の年金所得受給資格の指数連動化および再評価の実際のレベル、ならびに給与の増加からなる群から選ばれる前記非死亡率年金制度イベントをさらに考慮して再設定される前記時点について計算される、請求項12に記載の方法。
  14. 前記予定支払額は、データ処理装置を用いて計算される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  15. 予定支払時点について、前記年金制度のその加入者に対する前記予想キャッシュフロー債務は、少なくとも、各年金制度加入者が前記時点まで生存する予測尤度を考慮に入れて計算され、前記予測尤度は、基準集団の生存確率の変化を、統計長寿予測モデルを用いて前記基準集団の実際の死亡率経験における傾向を外挿することによってモデル化することにより計算される、請求項1に記載の方法。
  16. 各年金制度加入者について、当該加入者の生存確率を前記基準集団の生存確率に従って調整するための因子を、当該年金制度加入者の社会経済的特性の影響を考慮に入れて計算するステップを含む、請求項15に記載の方法。
  17. 前記予想キャッシュフローは、前記年金制度の加入者および前記制度を運営するための規則に関する情報を受け取り、
    各制度加入者に対する前記年金制度の将来の負債を、前記制度の規則に基づいてかつ加入者の死亡がないと仮定して、各予定支払時点における名目キャッシュフローとして予測すること、
    前記年金制度の各加入者について、当該加入者が各予定時点まで生存する予測尤度を示す長寿データを特定すること、
    前記長寿データを用いて、各制度加入者の前記名目キャッシュフローを調整すること、および
    前記長寿調整済み名目キャッシュフローを総計して、前記金融証書に対する予定支払額を構成する予想キャッシュフローを形成することによって計算される、請求項15または16に記載の方法。
  18. 長寿データの計算は、前記基準集団の実際の死亡率経験のデータセットを収集し、前記基準集団の関連死亡率テーブルを作成すること、
    統計長寿予測モデルを前記データに適合させて、前記基準集団の生存確率の変化をモデル化すること、
    前記モデルを将来に外挿し、前記基準集団の実際の死亡率経験における傾向を予測すること、および
    前記基準集団に関連する死亡率テーブルを、前記基準集団の生存確率における予測変化を組み込むように調整し、長寿傾向リスクを計算に入れた個人の死亡率テーブルを作成することを含む、請求項17に記載の方法。
  19. 前記統計長寿予測モデルは、P−スプラインモデル、リー・カーターモデルまたはケアンズ・ブレーク・ダウドモデルからなる群から選ばれる、請求項18に記載の方法。
  20. 前記統計長寿予測モデルは、前記基準集団の既知の死亡率データの第1の期間に前記モデルを適合させ、かつそれに続く第2の期間における前記モデルの死亡率予測を前記第2の期間における前記基準集団の既知の死亡率データと比較するためのバックテスティングを行うことによって選択される、請求項19に記載の方法。
  21. 前記統計長寿予測モデルの出力は、前記基準集団における死亡傾向の定性分析との比較を行うことによって妥当性が検査される、請求項18、19または20に記載の方法。
  22. 前記統計長寿予測モデルは、ベイズ情報量規準および赤池情報量規準からなる群から選ばれる統計的規準を、前記長寿予測モデルの適合度を前記長寿予測モデルの平滑度および複雑度に対して均衡させるように最適化することによって選択されるP−スプライン予測モデルである、請求項18に記載の方法。
  23. 前記社会経済的特性は、年齢、性別、年金サイズ、社会経済的階級、喫煙状態、地理的なライフスタイル・マッピング、郵便番号、生年月日に基づく季節性、課税レベル、不動産所有レベル、家族状況、配偶関係、扶養家族数および職業分野からなる群から選ばれる、請求項16に記載の方法。
  24. 前記予定支払額を、前記制度加入者の全てに対する前記年金制度の実際の負債を前記年金制度の流出までまたは前記年金制度が清算可能となるまで無期限にカバーするための予想キャッシュフロー債務と一致させる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  25. 前記予定支払額を、前記制度加入者の全てに対する前記年金制度の実際の負債を定められた期間にわたってカバーするための予想キャッシュフロー債務と一致させる、請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
  26. 前記予定支払額を、前記制度加入者の全てに対する前記年金制度の実際の負債の一部のみを前記年金制度の流出までまたは前記年金制度が清算可能となるまで無期限にカバーするための予想キャッシュフロー債務と一致させる、請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
  27. 前記予定支払額を、前記制度加入者の全てに対する前記年金制度の実際の負債の一部のみを定められた期間にわたってカバーするための予想キャッシュフロー債務と一致させ、前記実体は、前記年金制度のその加入者に対するキャッシュフロー債務を支払う責任を有し、前記方法は、前記定められた期間の終わりに、年金制度の赤字を相殺するように、あるいは前記赤字を以前に指定された保証額とするように構成される金額を前記実体に支払うことを引き受けるステップをさらに含む、請求項1〜23のいずれかに記載の方法。
  28. 前記金融証書を発行する際に、前記金融証書の発行時における前記金融証書の当初の価値よりも低い初期投資額を前記実体から受け取るステップと、定められた赤字返済期間にわたって間隔をおいて、前記初期投資額と前記金融証書の前記当初の価値との差額を支払うための金額を、延べ払いの資金調達の関連費用と共に前記実体から受け取るステップとをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  29. 前記金融証書の予定支払額を構成する、各加入者の前記予想キャッシュフロー債務は、当該加入者が各加入者の予め合意された平均寿命に達してから、あるいは当該個人加入者に関して前記投資家になされた累積予想キャッシュフロー支払が、予め合意された上限付きの額に達してから、ある時間が経過した後にゼロに設定され、前記平均寿命は、前記投資家により合意されたものである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  30. 前記金融証書は、格付け機関からの格付けを有する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
  31. 前記金融証書は、格付け機関スタンダード・アンド・プアーズ、ムーディーズおよびフィッチのうち少なくとも1つからの格付けを有する、請求項30に記載の方法。
  32. 前記予想キャッシュフローに対して長寿ストレステストを行うことにより、保有すべき長寿リスクキャピタルの額を計算し、前記リスクキャピタル額を保有するステップを含む、請求項1に記載の方法。
  33. 前記長寿リスクキャピタルは、借入および自己資本の劣後トランシェをキャピタルノート(capital notes)およびエクイティノート(equity notes)の形態で発行することにより調達される、請求項32に記載の方法。
  34. 前記キャピタルノートおよびエクイティノートの劣後トランシェは、資産リスクに対するエクスポージャーをさらに有する、請求項33に記載の方法。
  35. 前記実体は、前記年金制度のスポンサーであり、前記金融証書が自己引受けされるように前記資本の劣後トランシェに投資することによって前記リスクキャピタルに寄与する、請求項33または34に記載の方法。
  36. 前記金融証書は格付け機関からの格付けを有し、資本の劣後トランシェが、前記格付け機関からの下位格付けに相当する資本構成を有するような額であり、かつ支払ウォーターフォール(payment waterfall)の連続する支払構造においてそれに応じて配置される、請求項33、34または35に記載の方法。
  37. 調整支払額が任意の期間における前記予想キャッシュフロー以下である場合、前記資本の劣後トランシェのキャピタルノートまたはエクイティノートの保有者にクーポンを支払うことにより資本が放出される、請求項33〜36のいずれかに記載の方法。
  38. 前記金融証書は格付け機関からの格付けを有し、前記調整支払額が任意の期間における前記予想キャッシュフローよりも大きい場合、前記信用格付けが再度満たされるまで資本が保留される、請求項33、34または35に記載の方法。
  39. 前記金融証書は格付け機関からの格付けを有し、前記必要リスクキャピタルは、間隔をおいて再計算され、前記保有リスクキャピタルは、前記格付けへのコンプライアンスを保証するように調整される、請求項33、34または35に記載の方法。
  40. 予定支払時点について、前記年金制度のその加入者に対する前記予想キャッシュフロー債務は、少なくとも、各年金制度加入者が前記時点まで生存する予測尤度を考慮に入れて計算され、前記金融証書は格付け機関からの格付けを有し、前記格付けは、前記格付けを達成し、かつ格付け機関の債務不履行確率表によって同等の格付けを有する債券の債務不履行確率以下の確率で起きると予測される最悪の長寿ショックの場合に、前記金融証書に対する支払額の債務が履行され得ることを保証するために保有されることが必要なリスクキャピタル額を計算するために、前記予想キャッシュフローに対してストレステストを行うことにより達成され、前記方法は、少なくとも前記リスクキャピタル額を保有するステップをさらに含む、請求項1〜29のいずれかに記載の方法。
  41. 前記格付け機関はスタンダード&プアーズまたはフィッチである、請求項40に記載の方法。
  42. 前記各年金制度加入者が生存する予測尤度は、適切な基準集団の生存確率の変化を、統計長寿予測モデルを用いて前記基準集団の実際の死亡率経験における傾向を将来に外挿することによりモデル化し、前記基準集団に関連する死亡率テーブルをこれらの傾向を組み込むように調整することによって計算され、
    前記予想キャッシュフローに対するストレステストは、将来の様々な長寿結果について、前記統計長寿予測モデルを用いて、前記年金制度の予想キャッシュフロー債務の正味現在価値をシミュレートすることにより行なわれ、
    前記方法は、格付け機関の債務不履行確率表によって同等の格付けを有する債券の債務不履行確率以下の確率で生じると予測される、前記年金制度の予想キャッシュフロー債務が最大正味現在価値を有する拘束的時間軸(binding time horizon)を、将来の複数の時点および将来の様々な長寿結果の全てについて決定するステップを含み、
    前記必要リスクキャピタルは、前記年金制度の予想キャッシュフロー債務の前記最大正味現在価値と、前記拘束的時間軸における前記正味現在価値の最良推定との差額である、請求項40または41に記載の方法。
  43. 前記各年金制度加入者が生存する予測尤度の計算は、各年金制度加入者について、当該加入者の生存確率の死亡率テーブルを前記基準集団の生存確率の死亡率テーブルに従って調整するための因子を、当該年金制度加入者の社会経済的特性の影響を考慮に入れて計算することをさらに含む、請求項42に記載の方法。
  44. 前記格付け機関によって指定される格付けを達成するために保有されることが必要なリスクキャピタル額の計算は、統計死亡率予測モデルによって作成された死亡率予測についての前記年金制度の集団の大きさに関連する誤差分布の特性を明らかにするために、前記基準集団に対してブートストラップ分析を行うこと、および
    前記誤差分布を前記予想キャッシュフローの正味現在価値に適用することにより、前記格付け機関の債務不履行確率表によって同等の格付けを有する債券の債務不履行確率以下の確率で生じると予測される、前記死亡予測における標本誤差の場合に、前記金融証書に対する支払額が満たされることを保証するために保有すべきリスクキャピタル額を決定することをさらに含む、請求項43に記載の方法。
  45. 前記ブートストラップ分析は、前記年金制度の集団と同じ大きさの基準集団の加入者のN個の無作為標本について、統計死亡率予測モデルによってある期間にわたって前記無作為標本について予測される死亡率を計算すること、
    前記死亡率予測のそれぞれを前記基準集団のその標本の前記期間にわたる実際の死亡率と比較し、前記死亡率予測における誤差を求めること、および
    前記死亡率予測における誤差の分布の特性を明らかにすることを含む、請求項44に記載の方法。
  46. 予定支払時点について、前記年金制度のその加入者に対する前記予想キャッシュフロー債務は、少なくとも、各年金制度加入者が前記時点まで生存する予測尤度を考慮に入れて計算され、前記金融証書は格付け機関からの格付けを有し、前記格付けは、前記格付けを達成し、かつ死亡率ショックに起因するであろう予想損失が、信用格付け機関の理想損失率表によって同等の信用格付けを有する債券の予想損失よりも低いことを保証するために保有されることが必要なリスクキャピタル額を計算するために、前記予想キャッシュフローに対してストレステストを行うことにより達成され、
    前記方法は、少なくとも前記リスクキャピタル額を保有するステップをさらに含む、請求項1〜29のいずれかに記載の方法。
  47. 前記信用格付け機関はムーディーズである、請求項46に記載の方法。
  48. 前記各年金制度加入者が生存する予測尤度は、適切な基準集団の生存確率の変化を、統計長寿予測モデルを用いて前記基準集団の実際の死亡率経験における傾向を将来に外挿することによりモデル化し、前記基準集団に関連する死亡率テーブルをこれらの傾向を組み込むように調整することによって計算され、
    前記予想キャッシュフローに対するストレステストは、将来の様々な長寿結果について、前記統計長寿予測モデルを用いて、前記年金制度の予想キャッシュフロー債務の正味現在価値をシミュレートすることにより行なわれ、
    前記方法は、格付け機関の理想損失率表によって同等の格付けを有する債券の予想損失をもたらす、前記年金制度の予想キャッシュフロー債務が最大正味現在価値を有する拘束的時間軸を、将来の複数の時点および将来の様々な長寿結果の全てについて決定するステップを含み、
    前記必要リスクキャピタルは、前記年金制度の予想キャッシュフロー債務の前記最大正味現在価値と、前記拘束的時間軸における前記正味現在価値の最良推定との差額である、請求項46または47に記載の方法。
  49. 前記各年金制度加入者が生存する予測尤度の計算は、各年金制度加入者について、当該加入者の生存確率の死亡率テーブルを前記基準集団の生存確率の死亡率テーブルに従って調整するための因子を、当該年金制度加入者の社会経済的特性の影響を考慮に入れて計算することをさらに含む、請求項48に記載の方法。
  50. 前記格付け機関によって指定される格付けを達成するために保有されることが必要なリスクキャピタル額の計算は、基準集団に対してブートストラップ分析を行うことにより、統計死亡率予測モデルによって作成された死亡率予測についての前記年金制度の集団の大きさに関連する誤差分布の特性を明らかにすること、および
    前記誤差分布を前記予想キャッシュフローの正味現在価値に適用することにより、前記死亡予測における標本誤差に起因するであろう予想損失が、前記格付け機関の理想損失率表によって同等の格付けを有する債券の予想損失率よりも低いことを保証するために保有すべきリスクキャピタル額を決定することをさらに含む、請求項49に記載の方法。
  51. 前記ブートストラップ分析は、前記年金制度の集団と同じ大きさの基準集団の加入者のN個の無作為標本について、統計死亡率予測モデルによってある期間にわたって前記無作為標本について予測される死亡率を計算すること、
    前記死亡率予測のそれぞれを前記基準集団のその標本の前記期間にわたる実際の死亡率と比較し、前記死亡率予測における誤差を求めること、および
    前記死亡率予測における誤差の分布の特性を明らかにすることを含む、請求項50に記載の方法。
  52. 予定支払時点について、前記年金制度のその加入者に対する前記予想キャッシュフロー債務は、少なくとも、各年金制度加入者が前記時点まで生存する予測尤度を考慮に入れて計算され、前記金融証書は格付け機関からの格付けを有し、前記格付けは、前記格付けを達成し、かつ格付け機関の債務不履行確率表によって同等の格付けを有する債券の債務不履行確率以下の確率で起きると予測される最悪の長寿ショックの場合に、前記金融証書に対する支払額の債務が履行され得ること、または、前記予想損失が、格付け機関の理想損失率表によって信用格付けを有する債券の予想損失よりも低いことを保証するために保有されることが必要なリスクキャピタル額を計算するために、前記予想キャッシュフローに対してストレステストを行うことにより達成され、前記方法は、少なくとも前記リスクキャピタル額を保有するステップをさらに含み、
    前記各年金制度加入者が生存する予測尤度は、適切な基準集団の生存確率の変化を、統計長寿予測モデルを用いて前記基準集団の実際の死亡率経験における傾向を将来に外挿することによりモデル化することによって計算され、前記予想キャッシュフローに対するストレステストは、将来の様々な長寿結果について、前記統計長寿予測モデルを用いて、前記年金制度の予想キャッシュフロー債務の正味現在価値をシミュレートすることにより行なわれ、
    前記方法は、信用格付け機関の債務不履行確率表によって同等の格付けを有する債券の債務不履行確率以下の確率で生じるか、あるいは、格付け機関の理想損失率表によって同等の格付けを有する債券の予想損失をもたらす、前記年金制度の予想キャッシュフロー債務が最大正味現在価値を有する拘束的時間軸を、将来の複数の時点および将来の様々な長寿結果の全てについて決定するステップを含み、
    前記必要リスクキャピタルは、前記年金制度の予想キャッシュフロー債務の前記最大正味現在価値と、前記拘束的時間軸における前記正味現在価値の最良推定との差額である、請求項1〜29のいずれかに記載の方法。
  53. 前記統計長寿予測モデルは、P−スプラインモデル、リー・カーターモデルおよびケアンズ・ブレーク・ダウドモデルからなる群から選ばれる、請求項52に記載の方法。
  54. 前記正味現在価値のシミュレーションは決定論的に行なわれる、請求項52または53に記載の方法。
  55. 前記正味現在価値のシミュレーションは確率論的に行なわれる、請求項52または53に記載の方法。
  56. 前記シミュレートされた正味現在価値の分布に対して正規分布が適合され、前記正規分布を用いて前記必要リスクキャピタルが評価される、請求項55に記載の方法。
  57. 前記必要リスクキャピタル額の計算は、データ処理装置によって実行される、請求項52〜56のいずれかに記載の方法。
  58. 年金制度に、前記年金制度の予測キャッシュフロー債務と一致する金額を特定の期間にわたって支払うことを引き受ける金融証書を提供することよって、その債務を果たすための資金を提供する方法であって、前記予測キャッシュフロー債務は、前記年金制度の加入者の予測平均寿命に関するデータを含む因子を考慮してデータ処理装置によって計算される方法であって、前記年金制度に対して支払われるべき金額は、前記期間中に間隔をおいて、前記制度内の過去の死亡率経験に関するデータを用いて、データ処理装置によって再計算される、方法。
  59. 投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成され、各時点の前記予想キャッシュフロー債務は、少なくとも、各年金制度加入者が当該時点まで生存する予測尤度を考慮に入れて計算されるステップを含み、前記各年金制度加入者が生存する予測尤度は、基準集団の生存確率の変化を、統計長寿予測モデルを用いて前記基準集団の実際の死亡率経験における傾向を外挿することによりモデル化することによって計算される、方法。
  60. 各年金制度加入者について、当該加入者の生存確率を前記基準集団の生存確率に従って調整するための因子を、当該年金制度加入者の社会経済的特性の影響を考慮に入れて計算するステップを含む、請求項59に記載の方法。
  61. 前記予想キャッシュフローは、前記年金制度の加入者および前記制度を運営するための規則に関する情報を受け取り、
    各制度加入者に対する前記年金制度の将来の負債を、前記制度の規則に基づいてかつ加入者の死亡がないと仮定して、各予定支払時点における名目キャッシュフローとして予測すること、
    前記年金制度の各加入者について、当該加入者が各予定時点まで生存する予測尤度を示す長寿データを特定すること、
    前記長寿データを用いて、各制度加入者の前記名目キャッシュフローを調整すること、および
    前記長寿調整済み名目キャッシュフローを総計して、前記金融証書に対する予定支払額を構成する予想キャッシュフローを形成することによって計算される、請求項59または60に記載の方法。
  62. 投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、
    前記予定支払額を、少なくとも前記金融証書の発行時における前記制度加入者の全てに対する前記年金制度の実際の負債をカバーするための予想キャッシュフロー債務と一致させ、前記特定のデュレーションは、前記年金制度の流出まで、または前記年金制度が清算可能となるまでの無期限である、方法。
  63. 投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、定められた期間にわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を前記投資家に対して支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、
    前記予定支払額を、少なくとも前記金融証書の発行時における前記制度加入者の全てに対する前記年金制度の実際の負債をカバーするための予想キャッシュフロー債務と一致させる、方法。
  64. 投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を前記投資家に対して支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、
    前記予定支払額を、少なくとも前記金融証書の発行時における前記制度加入者の全てに対する前記年金制度の実際の負債の一部のみをカバーするための予想キャッシュフロー債務と一致させ、前記特定のデュレーションは、前記年金制度の流出まで、または前記年金制度が清算可能となるまでの無期限である、方法。
  65. 投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、定められた期間にわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を前記投資家に対して支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、
    前記予定支払額を、少なくとも前記金融証書の発行時における前記制度加入者の全てに対する前記年金制度の実際の負債の少なくとも一部をカバーするための予想キャッシュフロー債務と一致させ、
    前記方法は、前記特定のデュレーションの満期時に、年金制度の赤字を相殺するか、あるいは前記赤字を以前に指定された保証額にするように構成された金額を前記投資家に対して支払うことを引き受けるステップをさらに含む、方法。
  66. 投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、
    前記方法は、前記金融証書を発行する際に、前記金融証書の発行時における前記金融証書の当初の価値よりも低い初期投資額を前記投資家から受け取るステップと、定められた赤字返済期間にわたって間隔をおいて、前記初期投資額と前記金融証書の前記当初の価値との差額を支払うための金額を、延べ払いの資金調達の関連費用と共に前記投資家から受け取るステップとをさらに含む、方法。
  67. 投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を前記投資家に対して支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、
    前記金融証書は格付け機関からの格付けを有する、方法。
  68. 前記金融証書は、格付け機関スタンダード・アンド・プアーズ、ムーディーズおよびフィッチのうち少なくとも1つからの格付けを有する、請求項67に記載の方法。
  69. 投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、
    前記予定支払額は、インフレーションの変動と一致するように構成される、方法。
  70. 投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、
    前記予定支払額を、少なくとも前記金融証書の発行時における前記年金制度加入者の定義された区分のみに対する前記年金制度の実際の負債をカバーするための予想キャッシュフロー債務と一致させ、前記特定のデュレーションは、前記年金制度の流出まで、または前記年金制度が清算可能となるまでの無期限である、方法。
  71. 投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、
    前記金融証書の予定支払額を構成する、各加入者の前記予想キャッシュフロー債務は、当該加入者が各加入者の予め合意された平均寿命に達してから、ある時間が経過した後にゼロに設定され、前記平均寿命は、前記投資家と合意されたものである、方法。
  72. 投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーション内の定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を前記投資家に対して支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、
    再設定時点において、前記予定支払額は、前記再設定時点より前に前記年金制度の非死亡率経験を考慮に入れて調整された、前記年金制度加入者に支払われるべき名目キャッシュフローの総額となるように計算された調整支払額を前記実体が受け取るように再設定される、方法。
  73. 投資家に提供される金融証書の長寿リスク・エクスポージャーの格付けを達成する方法であって、前記証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、ある時点における前記予想キャッシュフロー債務は、少なくとも、各年金制度加入者が当該時点まで生存する予測尤度を考慮に入れて計算され、
    前記方法は、前記格付けを達成し、かつ格付け機関の債務不履行確率表によって同等の格付けを有する債券の債務不履行確率以下の確率で起きると予測される最悪の長寿ショックの場合に、前記金融証書に対する支払額の債務が履行され得ることを保証するために保有されることが必要なリスクキャピタル額を、前記予想キャッシュフローに対してストレステストを行うことにより計算するステップと、
    少なくとも前記リスクキャピタル額を保有するステップとを含む、方法。
  74. 投資家に提供される金融証書の長寿リスク・エクスポージャーの格付けを達成する方法であって、前記証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、ある時点における前記予想キャッシュフロー債務は、少なくとも、各年金制度加入者が当該時点まで生存する予測尤度を考慮に入れて計算され、
    前記方法は、前記格付けを達成し、かつ死亡率ショックに起因するであろう予想損失が、信用格付け機関の理想損失率表によって同等の信用格付けを有する債券の予想損失よりも低いことを保証するために保有されることが必要なリスクキャピタル額を、前記予想キャッシュフローに対してストレステストを行うことにより計算するステップと、
    前記リスクキャピタル額を保有するステップとを含む、方法。
  75. 投資家に提供される金融証書の長寿リスク・エクスポージャーの格付けを達成する方法であって、前記証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含み、ある時点における前記予想キャッシュフロー債務は、少なくとも、各年金制度加入者が当該時点まで生存する予測尤度を考慮に入れて計算され、
    前記方法は、前記格付けを達成し、かつ格付け機関の債務不履行確率表によって同等の格付けを有する債券の債務不履行確率以下の確率で起きると予測される最悪の長寿ショックの場合に、前記金融証書に対する支払額の債務が履行され得ること、または、前記予想損失が、信用格付け機関の理想損失率表によって信用格付けを有する債券の予想損失よりも低いことを保証するために保有されることが必要なリスクキャピタル額を、前記予想キャッシュフローに対してストレステストを行うことにより計算するステップと、
    前記リスクキャピタル額を保有するステップとを含み、
    前記各年金制度加入者が生存する予測尤度は、適切な基準集団の生存確率の変化を、統計長寿予測モデルを用いて前記基準集団の実際の死亡率経験における傾向を将来に外挿することによりモデル化することによって計算され、
    前記予想キャッシュフローに対するストレステストは、将来の様々な長寿結果について、前記統計長寿予測モデルを用いて前記年金制度の予想キャッシュフロー債務の正味現在価値をシミュレートすることにより行なわれ、
    前記方法は、格付け機関の債務不履行確率表によって同等の格付けを有する債券の債務不履行確率以下の確率で生じるか、あるいは、格付け機関の理想損失率表によって同等の格付けを有する債券の予想損失をもたらす、前記年金制度の予想キャッシュフロー債務が最大正味現在価値を有する拘束的時間軸を、将来の複数の時点および将来の様々な長寿結果の全てについて決定するステップを含み、
    前記必要リスクキャピタルは、前記年金制度の予想キャッシュフロー債務の前記最大正味現在価値と、前記拘束的時間軸における前記正味現在価値の最良推定との差額である、方法。
  76. 年金制度に関連する年金基金を証券化する方法であって、
    金融証書に投資するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、前記年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成され、各時点における前記予想キャッシュフロー債務は、少なくとも、各年金制度加入者が当該期間まで生存する予測尤度を考慮に入れて計算されるステップと、
    少なくとも1つの前記次の期間において、当該期間についての予定支払額の代わりに調整支払額を受け取るステップであって、前記調整支払額は、前記再設定時点までの前記年金制度の実際の累積死亡率経験を考慮に入れて調整された、前記期間に前記年金制度加入者に支払われるべき名目キャッシュフローの総額となるように計算されるステップとを含む、方法。
  77. 前記予想キャッシュフロー債務が投資コスト閾値を超える正味現在価値を有する個々の据置年金制度加入者を特定し、当該据置加入者に対し、前記年金制度から移転するよう現金インセンティブを提示するステップをさらに含む、請求項76に記載の方法。
  78. 前記現金インセンティブの額は、当該加入者についての予想キャッシュフロー債務の正味現在価値未満であり、前記方法は、前記据置加入者が前記インセンティブを受領し、前記制度から移転する場合に、前記現金インセンティブの額と当該加入者についての前記予想キャッシュフロー債務の現在価値の額との差額を用いて年金制度赤字を軽減するステップをさらに含む、請求項77に記載の方法。
  79. 投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含む方法であって、前記方法は、
    前記金融証書を証券発行実体から発行するステップであって、前記証券発行実体は、前記投資家から資産を受け取り、前記資産を資産保有実体に移転し、
    前記資産保有実体は、前記予想キャッシュフローと一致する金額を前記証券発行実体に返却し、前記証券発行実体は、前記金融証書の前記予定支払に従ってキャッシュフローを前記投資家に移転するステップを含み、
    前記証券発行実体の資産および負債は、他の全ての実体および第三者の資産および負債から法律上分離される、方法。
  80. 前記証券発行実体および前記資産保有実体は、借入および自己資本の劣後トランシェを発行することにより調達されたリスクキャピタルによってそれぞれ支えられる、請求項79に記載の方法。
  81. 前記資産保有実体によって保有される資産は、前記資産保有実体に支払われる予想資産キャッシュフローを有し、前記借入および自己資本の劣後トランシェは、長寿リスクおよび資産リスクに対するエクスポージャーをそれぞれが含むキャピタルノートおよびエクイティノートの形態で発行され、長寿リスクキャピタル額および資産リスクキャピタル額を提供し、前記長寿リスクキャピタルは、長寿ショックが起きた場合に、前記金融証書の支払い額債務が前記長寿リスクキャピタル額まで履行され得ることを保証し、前記資産リスクキャピタルは、前記予想資産キャッシュフローにショックが起きた場合に、前記支払い額債務が前記資産リスクキャピタル額まで履行され得ることを保証する、請求項80に記載の方法。
  82. 前記証券発行実体と共にデリバティブを引き受ける長寿デリバティブ実体をさらに含み、所与の期間について、前記長寿デリバティブ実体は、前記金融証書の実際のキャッシュフロー債務と前記証券発行実体が前記資産保有実体から受け取るキャッシュフローとの差額と一致するキャッシュフローを前記証券発行実体に対して支払うか、あるいは前記証券発行実体から受け取り、前記証券発行実体は、前記期間における前記金融証書の実際のキャッシュフロー債務を前記投資家に対して支払う、請求項79に記載の方法。
  83. 前記金融証書に対する支払額を、前記資産保有実体または前記証券発行実体がこれらの支払を行うことができない場合に、前記金融証書への投資家に対して支払うことを保証する第三者をさらに含む、請求項82に記載の方法。
  84. 投資家に提供される金融証書の長寿リスク・エクスポージャーを定量する方法であって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成され、各時点における前記予想キャッシュフロー債務は、少なくとも、各年金制度加入者が当該時点まで生存する予測尤度を考慮に入れて計算され、
    前記方法は、前記予定支払を構成する予想キャッシュフローから前記金融証書の現在価値を計算するステップと、
    前記予想キャッシュフローに対してストレステストを行うことにより、前記特定の確率で起きると予測される長寿ショックにより生じる前記金融証書の現在価値の変化を計算するステップであって、前記現在価値の変化は、当該確率を有する長寿ショックに対する前記金融証書のリスク・エクスポージャーを表すステップとを含む、方法。
  85. 特定の確率で起きると予測される長寿ショックに対する、資産または負債の長寿リスク・エクスポージャーを定量する方法であって、前記資産または負債は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において売掛金額および買掛金額のキャッシュフローを有し、前記金額は、債権者または債務者のグループの実際の死亡率経験の少なくとも関数であり、前記方法は、
    各時点について、当該時点における前記予想キャッシュフロー債務を、少なくとも、各債権者または債務者が当該時点まで生存する予測尤度を考慮に入れて計算するステップと、
    前記予想キャッシュフローから前記資産または負債の現在価値を計算するステップと、
    前記予想キャッシュフローに対してストレステストを行うことにより、前記特定の確率で起きると予測される長寿ショックにより生じる前記資産または負債の現在価値の変化を計算するステップであって、前記現在価値の変化は、当該確率を有する前記長寿ショックに対する前記資産または負債のリスク・エクスポージャーを表すステップとを含む、方法。
  86. 前記資産または負債は、確定給付型年金制度、確定拠出型年金制度、1つ以上のエクイティ・リリース・モーゲージ、1つ以上のリバースモーゲージ、およびこれらの資産および負債のうちいずれかの長寿リスク・エクスポージャーを資本市場に移転するように構成された金融証書からなる群から選ばれる、請求項85に記載の方法。
  87. 投資家に金融証書を提供するステップであって、前記金融証書は、特定のデュレーションにわたる定期的な時点において、前記金融証書に関連する予定支払額に応じた金額を支払うことを引き受け、前記予定支払額は、年金制度のその加入者に対する予想キャッシュフロー債務と一致するように構成されるステップを含む方法であって、
    前記方法は、
    前記金融証書を証券発行・資産保有実体から発行するステップであって、前記実体は、前記投資家から資産を受け取り、前記金融証書の予定支払に従ってキャッシュフローを前記投資家に返却するステップを含み、
    前記証券発行・資産保有実体の資産および負債は、他の全ての実体および第三者の資産および負債から法律上分離される、方法。
  88. 前記証券発行・資産保有実体は、借入および自己資本の劣後トランシェを発行することにより調達されるリスクキャピタルによって支えられる、請求項87に記載の方法。
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