JP2010526066A - 抗mdl−1抗体 - Google Patents

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Abstract

ヒトMDL−1に対する抗体ならびに、例えば、免疫障害、特に、感染症および敗血症の治療におけるその使用を提供する。一態様では、本発明は、抗体軽鎖可変ドメインまたはその抗原結合性断片を含む、配列番号41〜46からなる群から選択される少なくとも1種または複数のCDRおよび配列番号17〜40からなる群から選択される少なくとも1種または複数のCDRを有する、ヒトMDL−1と結合する、抗体またはその断片、例えば、ヒト化またはキメラ組換え抗体などの結合性化合物を提供する。また、本発明は、ヒト対象において免疫応答を増強する方法であって、それを必要とする対象に、MDL−1シグナル伝達を刺激するのに有効な量のMDL−1に特異的な抗体(またはその抗原結合性断片)を投与するステップを含む方法も包含する。

Description

本発明は、概して、骨髄性DAP−12会合レクチン(MDL−1)に特異的な抗体およびその使用に関する。より具体的には、本発明は、特に免疫障害において、ヒトMDL−1を認識し、その活性を調節するヒト化抗体に関する。
白血球活性化および炎症反応において役割を果たすいくつかの受容体複合体(非特許文献1)は、膜貫通アダプター糖タンパク質DAP12と、Igスーパーファミリー(非特許文献2;非特許文献3)またはC型レクチンスーパーファミリー(非特許文献4)の受容体との非共有結合性会合によって形成される。これらの会合は、DAP12膜貫通ドメイン中に位置する負の電荷を有するアミノ酸残基(アスパラギン酸)と、これらの受容体の膜貫通ドメイン中に位置する正の電荷を有するアミノ酸残基(リジン)との相互作用によって形成される(非特許文献1)。
DAP12は、その細胞内ドメイン中に位置する免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含有する、ジスルフィド結合された、ホモ二量体I型膜貫通糖タンパク質である(非特許文献5;特許文献1ならびに非特許文献6;非特許文献7)。DAP12の重要性は、ITAMドメインによるものである(非特許文献1)。DAP12と非共有結合によって会合するIgスーパーファミリー(非特許文献2;非特許文献3)およびC型レクチンスーパーファミリー(非特許文献4)の受容体の細胞内ドメインは、その他の分子との相互作用を可能にするには短すぎるので、DAP12細胞質ドメインが、これらの受容体複合体のシグナル伝達サブユニットを構成する。DAP12細胞質ITAMは、受容体リガンド結合性サブユニットが結合すると、Srcキナーゼによってリン酸化される。DAP12のITAMは、次いで、Syk細胞質チロシンキナーゼと相互作用し、これが、活性化につながる事象のカスケードを開始する(非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7)。
DAP12は、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー(NK)細胞、顆粒球、樹状細胞および肥満細胞において発現され、そこで、少なくとも8種の別個の受容体にシグナル伝達機能を提供する(非特許文献1;非特許文献7)。DAP12と会合しているC型レクチンスーパーファミリーの骨髄性受容体は、骨髄性DAP12会合レクチン−1(MDL−1)、II型膜貫通タンパク質である。MDL−1は、同定され、クローニングされる第1のDAP12会合分子であった(非特許文献4)。それはもっぱら単球およびマクロファージにおいて(非特許文献4)、ならびに好中球および樹状細胞などのその他の骨髄性細胞種で発現される。DAP12の膜貫通ドメイン中の負の電荷を有する残基の存在が、その膜貫通ドメイン中に正の電荷を有する残基を有するMDL−1などのパートナー受容体の不在下でのその細胞表面発現を妨げる。しかし、DAP12は単独では、細胞表面でのその発現および機能にとって十分ではない。したがって、MDL−1などのDAP12会合分子とDAP12の組み合わせが、DAP12による特定の生理学的シグナルの伝達をもたらし得る(非特許文献8)。
国際公開第99/06557号パンフレット
Gingrasら(2001年)Mol. Immun. 38巻:817〜824頁 Bouchonら(2000年)J. Immunol. 164巻:4991〜4995頁 Dietrichら(2000年)J. Immunol. 164巻:9〜12頁 Bakkerら(1999年)PNAS U.S.A. 96巻:9792〜9796頁 Lanierら(1998年)Nature 391巻:703〜707頁 CampbellおよびColonna(1999年)Int. J. Biochem. Cell Biol. 31巻:631〜636頁 LanierおよびBakker(2000年)Immunol. Today 21巻:611〜614頁 Nochiら(2003年)Am. J. of Pathology 162巻:1191〜1201頁
MDL−1に対するアゴニストの使用を介してDAP12シグナル伝達を調節する薬剤の使用による、免疫介在性障害、特に、感染症の処置のための、改善された方法および組成物の必要性が存在する。このようなアゴニストは標的分子に対して高親和性を有し、比較的低用量でMDL−1媒介性DAP−12シグナル伝達を刺激できることが好ましい。このような方法および組成物は、MDL−1に対して高度に特異的であり、TREM−1などのその他の活性化または阻害性受容体の活性を干渉しないことが好ましい。このような方法および組成物は、細胞傷害性ペイロードの標的細胞への送達のための改変に適し、また非細胞傷害性使用にも適したアゴニストを用いることが好ましい。このような方法および組成物は、それを必要とする対象に投与された場合に、その抗原性を制限するよう改変された抗体を用いることが好ましい。
本発明は、MDL−1のアゴニスト、例えば、ヒト化抗MDL−1抗体を提供することによって当技術分野におけるこれらの必要性をそれ以上に満たす。
一態様では、本発明は、抗体軽鎖可変ドメインまたはその抗原結合性断片を含む、配列番号41〜64からなる群から選択される少なくとも1種または複数のCDRおよび配列番号17〜40からなる群から選択される少なくとも1種または複数のCDRを有する、ヒトMDL−1と結合する、抗体またはその断片、例えば、ヒト化またはキメラ組換え抗体などの結合性化合物を提供する。
他の実施形態では、本発明の結合性化合物は、先の2つの段落に記載される、軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインまたはその抗原結合性断片を含む。
いくつかの実施形態では、結合性化合物は、フレームワーク領域を含み、このフレームワーク領域のアミノ酸配列は、ヒト免疫グロブリンアミノ酸配列のすべてまたは実質的にすべてである。
いくつかの実施形態では、軽鎖可変ドメインは、配列番号9〜16からなる群から選択される配列またはその改変体を含む。いくつかの実施形態では、重鎖可変ドメインは、配列番号1〜8からなる群から選択される配列を含む。なおさらなる実施形態では、結合性化合物は、この段落に記載される軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインまたはその抗原結合性断片を含む。
他の実施形態では、本発明の結合性化合物は、配列番号9〜16からなる群から選択される配列から本質的になる軽鎖可変ドメインまたはその抗原結合性断片および/または配列番号1〜8からなる群から選択される配列から本質的になる重鎖可変ドメインまたはその抗原結合性断片を含む。
一実施形態では、本発明は、クロスブロッキングアッセイにおいて、本発明の結合性化合物とヒトMDL−1との結合を妨げることができる抗体に関する。種々の実施形態では、抗体は、ヒトMDL−1と、本明細書に開示される抗体DX230、DX241、DX244、DX246、DX297、DX233、DX239およびDX240のCDR配列を含む抗体との結合を妨げることができる。他の実施形態では、抗体は、クロスブロッキングアッセイにおいて、ヒトMDL−1と、2007年4月23日に、受託番号PTA−8373、PTA−8374、PTA−8375、PTA−8376およびPTA−8377のもとでATCCに寄託された、または2008年4月8日に受託番号PTA−_、PTA−_およびPTA−_のもとでATCCに寄託された抗体(クローンDX230、DX241、DX244、DX246、DX297、DX233、DX239、DX240)との結合を妨げることができる。別の実施形態では、本発明は、MDL−1媒介性活性を妨げることができる結合性化合物に関し、このような活性は、それだけには限らないが、適当な肥満細胞アッセイにおける肥満細胞の脱顆粒を媒介することを含む。
いくつかの実施形態では、本発明の結合性化合物は、本明細書に開示される抗体のCDRから選択されるCDRまたはその改変体を、親抗体のげっ歯類フレームワークの代わりのヒト生殖系列軽鎖および重鎖可変ドメインフレームワーク配列と組み合わせて含むヒト化抗体を含む。
いくつかの実施形態では、本発明の結合性化合物は、重鎖定常領域をさらに含み、重鎖定常領域は、γl、γ2、γ3またはγ4ヒト重鎖定常領域またはその改変体を含む。種々の実施形態では、軽鎖定常領域は、λまたはκヒト軽鎖定常領域を含む。
種々の実施形態では、本発明の結合性化合物は、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ヒト化または完全ヒト抗体またはその断片である。本発明はまた、抗原結合性断片が、Fab、Fab’、Fab’−SH、Fv、scFv、F(ab’)およびダイアボディ(diabody)からなる群から選択される抗体断片であることを企図する。
本発明は、ヒト対象において免疫応答を増強する方法であって、それを必要とする対象に、MDL−1シグナル伝達を刺激するのに有効な量のMDL−1に特異的な抗体(またはその抗原結合性断片)を投与するステップを含む方法を包含する。いくつかの実施形態では、MDL−1に特異的な抗体は、ヒト化またはキメラ抗体である。さらなる実施形態では、免疫応答は、抗感染反応である。
本発明は、本発明の結合性化合物の抗体実施形態のポリペプチド配列をコードする単離核酸を包含する。この核酸は、発現ベクター中で、ベクターがトランスフェクトされる宿主細胞によって認識される制御配列と作動可能に連結させることができる。また、ベクターを含む宿主細胞およびポリペプチドを産生する方法(該宿主細胞を核酸配列が発現される条件下で培養し、それによりポリペプチドを産生するステップと、該宿主細胞または培地からポリペプチドを回収するステップとを含む方法)も包含される。
種々の実施形態では、本発明は、免疫障害、例えば、感染症(例えば、慢性感染症を含めた細菌感染症、マイコバクテリア感染症、ウイルス感染症または真菌感染症および敗血症の処置のための医薬の製造における本発明の結合性化合物の使用に関する。
他の実施形態では、本発明は、免疫障害、例えば、感染症(例えば、慢性感染症を含めた細菌感染症、マイコバクテリア感染症、ウイルス感染症または真菌感染症)および敗血症を処置するための本発明の結合性化合物を含む薬剤組成物に関する。
別の実施形態では、本発明は、配列番号67または配列番号68の抗体重鎖可変ドメインおよび配列番号69または配列番号70の抗体軽鎖可変ドメインを含むヒト化MDL−1抗体を包含する。
DX230、DX241、DX244、DX246およびDX297抗MDL−1抗体可変重鎖配列の比較を示す図である。 DX233、DX239およびDX240抗MDL−1抗体可変重鎖配列の比較を示す図である。 DX230、DX241、DX244、DX246およびDX297抗MDL−1抗体可変軽鎖配列の比較を示す図である。 DX233、DX239およびDX240抗MDL−1抗体可変重鎖配列の比較を示す図である。 DX239抗ヒトMDL−1抗体の軽鎖(図5A)および重鎖(図5B)の可変領域の、ならびにDX244抗ヒトMDL−1抗体の軽鎖(図5C)および重鎖(図5D)の可変領域のヒト化計算を示す図である。 DX239抗ヒトMDL−1抗体の軽鎖(図5A)および重鎖(図5B)の可変領域の、ならびにDX244抗ヒトMDL−1抗体の軽鎖(図5C)および重鎖(図5D)の可変領域のヒト化計算を示す図である。 DX239抗ヒトMDL−1抗体の軽鎖(図5A)および重鎖(図5B)の可変領域の、ならびにDX244抗ヒトMDL−1抗体の軽鎖(図5C)および重鎖(図5D)の可変領域のヒト化計算を示す図である。 DX239抗ヒトMDL−1抗体の軽鎖(図5A)および重鎖(図5B)の可変領域の、ならびにDX244抗ヒトMDL−1抗体の軽鎖(図5C)および重鎖(図5D)の可変領域のヒト化計算を示す図である。 CLP後マウスの体重測定値を示す図である。
添付の特許請求の範囲を含めて本明細書において用いる場合、「a」、「an」および「the」などの単数形の語句は、文脈が明確に他を示すのでない限り、その対応する複数の言及を含む。以下の表15は、本願において使用される配列識別子の一覧を提供する。本明細書に引用されるすべての参考文献は、個々の刊行物、データベース登録(例えば、Genbank配列またはGeneID登録)、特許出願または特許の各々が、具体的に、個別に、参照により組み込まれるべく示されるのと同程度に参照により組み込まれる。本明細書における参考文献の引用は、前記のいずれかが関連先行技術であるという承認として意図されるものではなく、これらの刊行物または文書の内容または日付についての何らかの承認をなすものでもない。
I.定義
用語「MDL−1」、「骨髄性DAP12会合レクチン−1(myeloid DAP12 associating lectin−1)」、「骨髄性DAP12会合型レクチン−1(myeloid DAP12−associated lectin−1)」、「DAP−12」、「DAP12」、「DNAX活性化タンパク質、12kD」は当技術分野ではよく知られている。ヒトおよびマウスDAP12およびMDL−1ヌクレオチドおよびポリペプチド配列は、WO99/06557に開示されている。ヒトMDL−1核酸配列(AR217548)およびマウスMDL−1核酸およびアミノ酸配列(それぞれ、AR217549およびAAN21593)のGenBank(登録商標)寄託物も利用可能である。
「増殖活性」は、例えば、正常な細胞分裂ならびに癌、腫瘍、異形成、細胞形質転換、転移および新脈管形成を促進する、それらにとって必要である、またはそれらと特異的に関連する活性を包含する。
「投与」および「処置」とは、動物、ヒト、実験対象、細胞、組織、臓器または生体液に適用される場合、動物、ヒト、対象、細胞、組織、臓器または生体液への外因的な医薬品、治療薬、診断薬または組成物の接触を指す。「投与」および「処置」は、例えば、治療方法、薬物動態法、診断方法、研究方法および実験方法を指す場合もある。細胞の処置は、試薬の細胞との接触ならびに試薬の、細胞と接触している液体との接触を包含する。「投与」および「処置」はまた、試薬、診断用組成物、結合性組成物による、または別の細胞による、例えば、細胞のin vitroおよびex vivo処置を意味する。「処置」とは、ヒト、獣医学の対象または研究対象に適用される場合、治療的処置、予防または防止対策、研究および診断的適用を指す。「処置」とは、ヒト、獣医学の対象または研究対象または細胞、組織または臓器に適用される場合、動物対象、細胞、組織、生理学的区画または生理液(physiological fluid)との薬剤の接触を包含する。「細胞の処置」とはまた、例えば、液相またはコロイド相中で、薬剤がMDL−1(MDL−1/DAP12ヘテロ二量体)と接触する状況、またアゴニストまたはアンタゴニストが細胞または受容体と接触しない状況も包含する。
本明細書において用いる場合、用語「抗体」とは、所望の生物活性を示す任意の形の抗体を指す。したがって、それは広い意味で用いられ、具体的には、所望の生物活性を示す限り、モノクローナル抗体(例えば、全長モノクローナル抗体)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体などを網羅する。
本明細書において用いる場合、用語「MDL−1結合性断片」、「その結合性断片」または「その抗原結合性断片」は、MDL−1によって媒介されるDAP12シグナル伝達の阻害というその生物活性を依然、実質的に保持する抗体の断片または誘導体を包含し、このような阻害は、本明細書において「MDL−1阻害活性」と呼ばれる。MDL−1のアンタゴニストは、DAP12シグナル伝達を阻害する生物活性を有するので、このようなアンタゴニストは、DAP12を阻害する、MDL−1を阻害する、またはMDL−1/DAP12の両方を阻害すると言われる(交換可能に)。用語「抗体断片」またはMDL−1結合性断片とは、全長抗体の部分、通常、その抗原結合性領域または可変領域を指す。抗体断片の例として、Fab、Fab’、F(ab’)およびFv断片;ダイアボディ;直鎖抗体;一本鎖抗体分子、例えば、sc−Fv;および抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。通常、結合性断片または誘導体は、そのMDL−1阻害活性の少なくとも10%を保持する。結合性断片または誘導体は、そのMDL−1阻害活性の少なくとも25%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%または100%(またはそれ以上)を保持することが好ましいが、所望の生物学的効果を発揮するのに十分な親和性を有する任意の結合性断片は有用である。また、MDL−1結合性断片がその生物活性を実質的に変更しない保存的アミノ酸置換を有する改変体を含み得ることも意図される。
用語「モノクローナル抗体」とは、本明細書において用いる場合、実質的に均一な抗体の集団から得られた抗体を指し、すなわち、集団を含む個々の抗体は、少量で存在し得る天然に存在する変異の可能性を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原性エピトープに対するものである。対照的に、従来の(ポリクローナル)抗体調製物は、通常、種々のエピトープに対する(またはそれらに特異的な)多数の抗体を含む。修飾語句「モノクローナル」は、抗体の実質的に均一な集団から得られているような抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の製造を必要とするとはみなさない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、最初に、Kohlerら(1975年)Nature 256巻:495頁によって記載されたハイブリドーマ法によって作製してもよく、または組換えDNA法によって作製してもよい(例えば、米国特許第4,816,567号参照のこと)。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clacksonら(1991年)Nature 352巻:624〜628頁およびMarksら(1991年)J. Mol. Biol. 222巻:581〜597頁に記載される技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離してもよい。
本明細書において、モノクローナル抗体とは、具体的に、重鎖および/または軽鎖の部分が、特定の種に由来するか、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一であるか、相同であり、一方で、所望の生物活性を示す限り、鎖(複数可)の残りの部分が、別の種に由来するか、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応する配列と同一であるか、相同である、「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、ならびにこのような抗体の断片を含む。米国特許第4,816,567号;Morrisonら(1984年)Proc. Natl. Acad. Sci USA 81巻:6851〜6855頁。
「ドメイン抗体」とは、重鎖の可変領域または軽鎖の可変領域のみを含有する、免疫学的に機能的な免疫グロブリン断片である。いくつかの例では、2つ以上のV領域が、ペプチドリンカーを用いて共有結合によって連結され、二価のドメイン抗体を生じている。二価のドメイン抗体の2つのV領域は、同一または異なる抗原を標的とし得る。
「二価の抗体」は、2つの抗原結合部位を含む。いくつかの例では、2つの結合部位は、同一抗原特異性を有する。しかし、二価の抗体は、二重特異性であり得る(以下を参照のこと)。
本明細書において用いる場合、用語「一本鎖Fv」または「scFv」抗体とは、抗体のVおよびVドメインを含む抗体断片を指し、ここで、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖中に存在する。一般に、Fvポリペプチドは、VおよびVドメインの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、これによって、sFvが、抗原結合のための所望の構造を形成するのが可能になる。sFvの概説については、Pluckthun(1994年)THE PHARMACOLOGY OF MONOCLONAL ANTIBODIES、第113巻、RosenburgおよびMoore編Springer−Verlag、New York、269〜315頁参照のこと。
本明細書において、モノクローナル抗体はまた、ラクダ化単一ドメイン抗体を含む。例えば、Muyldermansら(2001年)Trends Biochem. Sci. 26巻:230頁;Reichmannら(1999年)J. Immunol. Methods 231巻:25頁;WO94/04678;WO94/25591;米国特許第6,005,079号参照のこと)。一実施形態では、本発明は、単一ドメイン抗体が形成されるような改変を有する、2つのVドメインを含む単一ドメイン抗体を提供する。
本明細書において用いる場合、用語「ダイアボディ」とは、2つの抗原結合部位を含む小さい抗体断片を指し、これらの断片は、同一ポリペプチド鎖中に軽鎖可変ドメイン(V)に連結された重鎖可変ドメイン(V)(V−VまたはV−V)を含む。同一鎖上の2つのドメイン間で対の形成を可能にするには短すぎるリンカーを用いることによって、ドメインは、別の鎖の相補的なドメインと対の形成を強いられ、2つの抗原結合部位が生じる。ダイアボディは、例えば、EP404,097;WO93/11161;およびHolligerら(1993年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90巻:6444〜6448頁に、より十分に記載されている。操作された抗体改変体の概説については、概して、HolligerおよびHudson(2005年)Nat. Biotechnol. 23巻:1126〜1136頁を参照のこと。
本明細書において用いる場合、用語「ヒト化抗体」とは、非ヒト(例えば、マウス)抗体ならびにヒト抗体に由来する配列を含む抗体の形を指す。このような抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含む。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、通常、2つの可変ドメインの実質的にすべてを含み、超可変ループのすべてまたは実質的にすべてが、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域のすべてまたは実質的にすべてが、ヒト免疫グロブリン配列のものである。また、ヒト化抗体は、場合により、少なくとも免疫グロブリン定常領域(Fc)の部分、通常、ヒト免疫グロブリンのものを含む。接頭辞「hum」、「hu」または「h」は、ヒト化抗体を親のげっ歯類抗体と区別することが必要である場合に抗体クローン表記に加えられる。げっ歯類抗体のヒト化型は、通常、親のげっ歯類抗体の同一のCDR配列を含むが、ヒト化抗体の親和性を高めるために、安定性を高めるために、またはその他の理由で特定のアミノ酸置換を含める場合もある。
本発明の抗体はまた、変更されたエフェクター機能を提供するために改変された(またはブロックされた)Fc領域を有する抗体を含む。例えば、米国特許第5,624,821号;WO2003/086310;WO2005/120571;WO2006/0057702;Presta(2006年)Adv. Drug Delivery Rev. 58巻:640〜656頁を参照のこと。このような改変を用いて免疫系の種々の反応を増強または抑制でき、診断および治療において有益な効果を伴う可能性がある。Fc領域の変更は、アミノ酸変更(置換、欠失および挿入)、グリコシル化または脱グリコシル化および複数のFcを加えることを含む。Fcの変更はまた、治療抗体における抗体の半減期を変更し得、より長い半減期は、あまり頻繁でない投薬をもたらし、同時に利便性が増大し、物質の使用が減少する。Presta(2005年)J Allergy Clin. Immunol. 116巻:734〜35頁の731を参照のこと。
本発明の抗体はまた、完全なエフェクター機能を提供する、無傷のFc領域を有する抗体、例えば、標的とされた細胞において補体依存性細胞傷害(CDC)または抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘導する、アイソタイプIgG1の抗体を含む。
本発明の抗体はまた、細胞傷害性作用物質または放射性核種などの細胞傷害性ペイロードとコンジュゲートしている抗体を含む。このような抗体コンジュゲートは、免疫治療において、その表面にMDL−1および/またはDAP12を発現する細胞を選択的に標的とし、死滅させるよう用いることができる。例示的細胞傷害性作用物質として、リシン、ビンカアルカロイド、メトトレキサート、シュードモナス(pseudomonas)外毒素、サポリン、ジフテリア毒素、シスプラチン、ドキソルビシン、アブリン毒素、ゲロニンおよびアメリカヤマゴボウ(pokeweed)抗ウイルスタンパク質が挙げられる。本発明の抗体とともに免疫治療において使用するための例示的放射性核種として、125I、131I、90Y、67Cu、211At、177Lu、143Prおよび213Biが挙げられる。例えば、米国特許出願公開第2006/0014225号を参照のこと。
用語「完全ヒト抗体」とは、ヒト免疫グロブリンタンパク質配列のみを含む抗体を指す。完全ヒト抗体は、マウスにおいて、マウス細胞において、またはマウス細胞に由来するハイブリドーマにおいて産生される場合には、マウス炭水化物鎖を含み得る。同様に「マウス抗体」または「ラット抗体」とは、それぞれ、マウスまたはラット免疫グロブリン配列のみを含む抗体を指す。完全ヒト抗体は、ヒトにおいて、ヒト免疫グロブリン生殖系列配列を有するトランスジェニック動物において、ファージディスプレイまたはその他の分子生物学的方法によって作製され得る。
本明細書において用いる場合、用語「超可変領域」とは、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」に由来するアミノ酸残基(例えば、軽鎖可変ドメイン中の残基24〜34(CDRL1)、50〜56(CDRL2)および89〜97(CDRL3)および重鎖可変ドメイン中の残基31〜35(CDRH1)、50〜65(CDRH2)および95〜102(CDRH3)(Kabatら(1991年)Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、公衆衛生局(Public Health Service)、国立衛生研究所(National Institutes of Health)、Bethesda、Md.)および/または「超可変ループ」に由来する残基(すなわち、軽鎖可変ドメイン中の残基26〜32(L1)、50〜52(L2)および91〜96(L3)および重鎖可変ドメイン中の26〜32(H1)、53〜55(H2)および96〜101(H3)(ChothiaおよびLesk(1987年)J. Mol. Biol. 196巻:901〜917頁)を含む。本明細書において用いる場合、用語「フレームワーク」または「FR」残基とは、本明細書においてCDR残基と定義される超可変領域残基以外の可変ドメイン残基を指す。上記の残基の番号付けは、Kabat番号付けシステムに関連し、添付の配列表における配列番号付けには必ずしも詳細には対応しない。
「結合性化合物(binding compound)」とは、標的と結合できる、分子、小分子、高分子、ポリペプチド、抗体もしくはその断片もしくはその類似体、または可溶性受容体を指す。「結合性化合物」とは、標的と結合できる、分子の複合体、例えば、非共有結合複合体、イオン化分子、および共有結合によって、または非共有結合によって改変された(例えば、リン酸化、アシル化、架橋、環化または制限された切断によって改変された)分子を指す場合もある。抗体に関連して用いられる場合には、用語「結合性化合物」とは、抗体およびその抗原結合性断片の両方を指す。「結合(binding)」とは、結合性組成物の標的との会合を指し、結合性組成物が溶液に溶解または懸濁され得る場合に、会合が結合性組成物の正常なブラウン運動の低下をもたらす。「結合性組成物」とは、標的と結合できる、安定化剤、賦形剤、塩、バッファー、溶媒または添加剤と組み合わせた、分子、例えば、結合性化合物を指す。
「保存的に改変された改変体」または「保存的置換」とは、当業者に公知であり、ポリペプチドの必須領域においてでさえ、得られた分子の生物活性を変更することなく、行うことができることが多いアミノ酸の置換を指す。このような例示的置換は、以下の表1に示されるものと一致して行われることが好ましい:
Figure 2010526066
当業者ならば、一般に、ポリペプチドの非必須領域中の単一のアミノ酸置換は、生物活性を実質的に変更しない場合があるということを認識している。例えば、Watsonら(1987年)Molecular Biology of the Gene、The Benjamin/Cummings Pub. Co.、224頁(第4版)参照のこと。
語句「から本質的になる(consists essentially of)」または「から本質的になる(consist essentially of)」または「から本質的になっている(consisting essentially of)」などの変動は、本明細書および特許請求の範囲を通じて用いられる場合、任意の列挙された要素または要素の群の包含および特定の投与計画、方法または組成物の基本的なまたは新規の特性を実質的に変更しない列挙された要素と同様のまたは異なる性質のその他の要素の任意選択の包含を示す。限定されない例として、本質的に、列挙されたアミノ酸配列からなる結合性化合物はまた、結合性化合物の特性に実質的に影響を及ぼさない、1個または複数のアミノ酸(1個または複数のアミノ酸残基の置換を含む)も含み得る。
「有効量」は、医学的状態の症状または徴候を回復させる、または防ぐのに十分な量を包含する。有効量はまた、診断を可能にする、または容易にするのに十分な量を意味する。個々の患者または獣医学の対象のための有効量は、処置される状態、患者の健康全般、投与の方法経路および用量および副作用(side affect)の重症度などの因子に応じて変わり得る。例えば、米国特許第5,888,530号参照のこと。有効量は、重大な副作用(side effect)または毒性作用を避ける最大用量または投薬プロトコールであり得る。効果は、診断手段またはパラメータの少なくとも5%の、通常、少なくとも10%の、より通常は、少なくとも20%の、最も通常は、少なくとも30%の、好ましくは、少なくとも40%の、より好ましくは、少なくとも50%の、最も好ましくは、少なくとも60%の、理想的には、少なくとも70%の、より理想的には、少なくとも80%の、最も理想的には、少なくとも90%の改善をもたらし、ここで、100%は、正常な対象によって示される診断的パラメータとして定義される。例えば、Maynardら(1996年)A Handbook of SOPs for Good Clinical Practice、Interpharm Press、Boca Raton、FL;Dent(2001年)Good Laboratory and Good Clinical Practice、Urch Publ.、London、UK参照のこと。
「免疫状態」または「免疫障害」とは、例えば、病的炎症、炎症性障害および自己免疫障害または疾患を包含する。「免疫状態」はまた、感染症、持続性感染症ならびに癌、腫瘍および新脈管形成などの増殖性状態(免疫系による根絶に耐える感染症、腫瘍および癌を含む)を指す。「癌性状態」として、例えば、癌、癌細胞、腫瘍、新脈管形成および異形成などの前癌状態が挙げられる。
本明細書において用いる場合、「感染」とは、対象の身体の組織における微生物の侵襲および増殖である。感染または「感染症」は、臨床的に不顕性である場合もあり、または競合代謝、毒素、細胞内複製または抗原−抗体反応によって局所細胞損傷をもたらす場合もある。感染は、身体の防御機構が有効である場合には、限局化され、無症候性および一過性のままである場合もある。局所発明が持続し、拡大によって蔓延し、急性、亜急性または慢性臨床感染または病態となる場合もある。局所感染はまた、微生物がリンパ系または血管系に侵入する場合には全身性となり得る。感染症として、細菌感染症、ウイルス感染症、寄生生物感染症、日和見感染症または真菌感染が挙げられる。
本明細書において用いる場合、用語「癌」とは、その正常な制御機構を失っており、したがって、未制御に増殖する細胞の群(通常、単一の細胞に由来する)を指す。癌性組織または悪性腫瘍として、白血病およびリンパ腫などの血液組織および血液形成組織のものおよび癌と呼ばれることが多い固形腫瘍が挙げられる。このような癌は、癌腫または肉腫であり得る。
本明細書において用いる場合、用語「腫瘍」とは、異常な増殖または腫瘤を指す。腫瘍は良性または癌性(悪性)であり得る。良性腫瘍は癌ではない。良性腫瘍は、身体から除去でき、成長して元に戻ることはめったにない。良性腫瘍に由来する細胞は、周囲の組織に、または身体のその他の部分に広がらない。
癌性細胞は、成長し、増殖するので、それらは癌性組織の腫瘤を形成し、それが腫瘍であり、正常な隣接する組織に浸潤し、破壊する。悪性腫瘍は癌である。悪性腫瘍は、通常、除去できるが、成長して元に戻り得る。悪性腫瘍由来の細胞は、近くの組織および臓器に浸潤し、損傷を与え得る。また、癌細胞は、悪性腫瘍から離脱し、血流またはリンパ系に侵入することができ、これが、癌細胞が原発腫瘍(すなわち、元の癌)から広がって、その他の臓器で新規腫瘍を形成する方法である。身体における癌の広がりは、転移と呼ばれる(What You Need to Know About Cancer− an Overview、NIH刊行物番号00−1566;2000年9月26日に発表され、2002年9月16日改正された(2002年))。
本明細書において用いる場合、用語「固形腫瘍」とは、通常、嚢胞または液体領域を含まない組織の異常な成長または腫瘤を指す。固形腫瘍は、良性(癌性ではない)または悪性(癌性)であり得る。種々の種類の固形腫瘍は、それを形成する細胞の種類にちなんで名づけられている。固形腫瘍の例として、肉腫、癌腫およびリンパ腫がある。白血病(血液の癌)は、一般に、固形腫瘍を形成しない(米国国立癌研究所(National Cancer Institute)、Dictionary of Cancer Terms)。
本明細書において用いる場合、用語「原発性癌」とは、元の腫瘍または最初の腫瘍を指す。癌は、身体の任意の臓器または組織で始まり得る。通常、それが始まる身体の部分または細胞の種類にちなんで名づけられる(2004年9月1日に概説された、Metastatic Cancer:Questions and Answers、Cancer Facts 6.20、米国国立癌研究所(National Cancer Institute)(2004年))。
本明細書において用いる場合、用語「上皮内癌」とは、依然として、成長し始めた組織内に含まれており、まだ、浸潤性になっていない、または身体のその他の部分へ蔓延していない癌性細胞を指す。
本明細書において用いる場合、用語「癌腫」とは、身体の表面を覆い、ホルモンを産生し、腺を構成する細胞である、上皮細胞の癌を指す。癌腫の例として、皮膚、肺、結腸、胃、乳房、前立腺および甲状腺の癌がある。
本明細書において用いる場合、用語「敗血症」とは、毒素によって誘導される病的な状態を指し、毒素の誘導または蓄積は微生物感染または外傷によって引き起こされることが最も多い。敗血症の初期症状は、通常、悪寒、大量の汗、不規則な弛張熱、衰弱などを含み、それに、持続性の熱、ショックにつながる低血圧、好中球減少症、白血球減少症、播種性血管内凝固、成人呼吸窮迫症候群および多臓器不全が続く。
本明細書において用いる場合、「抗生物質」とは、ゲンタマイシンなどのアミノグリコシドまたはペニシリン、セファロスポリンなどのβ−ラクタムなどを指す。また、公知の抗真菌剤および抗ウイルス剤も含まれる。抗生物質は、本発明のMDL−1抗体とともに使用して、感染を取り除き、かつ/または、敗血症の発生を防ぐためのさらなる効力を提供できる。
本明細書において用いる場合、用語「単離核酸分子」とは、同定され、抗体核酸の天然供給源中では、通常、会合している少なくとも1種の混入物核酸分子から分離される核酸分子を指す。単離核酸分子は、天然に見られる形または状況以外にある。したがって、単離核酸分子は、天然の細胞中に存在するような核酸分子と区別される。しかし、単離核酸分子は、通常、抗体を発現する細胞中に含まれる核酸分子を含み、例えば、核酸分子は、天然の細胞のものとは異なる染色体位置にある。
表現「制御配列」とは、特定の宿主生物における作動可能に連結しているコード配列の発現に関与しているDNA配列を指す。原核生物にとって適している制御配列として、例えば、プロモーター、場合により、オペレーター配列およびリボソーム結合部位が挙げられる。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを使用することがわかっている。
核酸は、別の核酸配列と機能的な関係に位置している場合に「作動可能に連結している」。例えば、プレ配列または分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合に、ポリペプチドのDNAと作動可能に連結しており;プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼす場合に、コード配列と作動可能に連結しており;またはリボソーム結合部位は、翻訳を促進するよう位置される場合に、コード配列と作動可能に連結している。一般に、「作動可能に連結している」とは、連結しているDNA配列が隣接していること、分泌リーダーの場合には、隣接しており、リーディングフレームにあることを意味する。しかし、エンハンサーは、隣接していなくてもよい。連結は、好都合な制限部位でのライゲーションによって達成される。このような部位が存在しない場合には、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーは、従来の実行に従って使用される。
本明細書において用いる場合、表現「細胞」、「細胞株」および「細胞培養物」は、同じ意味で用いられ、このような表記はすべて、子孫を含む。したがって、語句「形質転換体」および「形質転換された細胞」は、一次対象細胞および変換物の数には関係なく、それに由来する培養物を含む。また、すべての子孫は、意図的なまたは偶然の変異によって、DNA内容物において正確には同一でない場合もあるということは理解される。元の形質転換細胞においてスクリーニングされたのと同一の機能または生物活性を有する突然改変体の子孫が含まれる。個別の表記が意図される場合には、状況から明らかとなる。
本明細書において用いる場合、「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」とは、例えば、米国特許第4,683,195号に記載されるような微量の特定の核酸片、RNAおよび/またはDNAが増幅される手順または技術を指す。一般に、オリゴヌクレオチドプライマーを設計できるよう、注目する領域の末端から、またはそれを超えて得られる配列情報が利用可能である必要があり、これらのプライマーは、増幅される鋳型の反対の鎖の配列において同一または同様となる。2種のプライマーの5’末端ヌクレオチドは、増幅された物質の末端と一致し得る。PCRを用いて、全ゲノムDNAおよび全細胞RNAから転写されたcDNA、バクテリオファージまたはプラスミド配列などから特定のRNA配列、特定のDNA配列を増幅することができる。概して、Mullisら(1987年)Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 51巻:263頁;Erlich編、(1989年)PCR TECHNOLOGY(Stockton Press、N.Y.)参照のこと。本明細書において用いる場合、PCRは、特定の核酸片を増幅または作製するための、プライマーとしての公知の核酸および核酸ポリメラーゼの使用を含む、核酸試験サンプルを増幅するための核酸ポリメラーゼ反応法の一例であるが、唯一ではないとみなされる。
本明細書において用いる場合、用語「生殖系列配列」とは、再編成されていない免疫グロブリンDNA配列の配列(げっ歯類(例えば、マウス)およびヒト生殖系列配列を含む)を指す。再編成されていない免疫グロブリンDNAの任意の適した供給源を使用してもよい。ヒト生殖系列配列は、例えば、米国国立衛生研究所(United States National Institutes of Health)の国立関節炎、骨格筋、皮膚疾患研究所(National Institute of Arthritis and Musculoskeletal and Skin Diseases)のウェブサイトで、例えば、JOINSOLVER(登録商標)生殖系列データベースから得ることができる。マウス生殖系列配列は、例えば、Giudicelliら(2005年)Nucleic Acids Res. 33巻:D256〜D261頁に記載されるように得ることができる。
MDL−1/DAP12活性の増強の程度を調べるために、例えば、所与の、例えば、タンパク質、遺伝子、細胞または生物を含むサンプルまたはアッセイを、可能性ある活性化剤または阻害剤で処理し、薬剤を含まない対照サンプルと比較する。対照サンプル、すなわち、薬剤で処理されていないものに、100%の相対活性値を割り当てる。阻害は、活性値が対照に対して、約90%以下、通常、85%以下、より通常は、80%以下、最も通常は、75%以下、一般に、70%以下、より一般には、65%以下、最も一般には60%以下、通常、55%以下、普通には、50%以下、より普通には、45%以下、最も普通には、40%以下、好ましくは、35%以下、より好ましくは、30%以下、さらにより好ましくは、25%以下、最も好ましくは、20%以下である場合に達成される。活性化は、活性値が対照に対して、約110%、一般に、少なくとも120%、より一般に、少なくとも140%、より一般には、少なくとも160%、しばしば、少なくとも180%、よりしばしばには、少なくとも2倍、最もしばしばには、少なくとも2.5倍、普通には、少なくとも5倍、より普通には、少なくとも10倍、好ましくは、少なくとも20倍、より好ましくは、少なくとも40倍、最も好ましくは、40倍を超えて高い場合に達成される。
活性化または阻害におけるエンドポイントは、以下のとおりにモニターできる。例えば、細胞、生理液、組織、臓器および動物対象またはヒト対象の活性化、阻害および処置に対する反応は、エンドポイントによってモニターできる。エンドポイントは、所定の量またはパーセンテージの、例えば、炎症の兆候、発癌性もしくは細胞の脱顆粒または分泌(サイトカイン、毒性酸素もしくはプロテアーゼの放出など)を含み得る。エンドポイントは、例えば、所定の量の、イオンフラックスまたは輸送;細胞遊走;細胞接着;細胞増殖;転移の可能性;細胞分化;および表現型の変化、例えば、炎症、アポトーシス、形質転換、細胞周期または転移と関連する遺伝子の発現の変化を含み得る(例えば、Knight(2000年)Ann. Clin. Lab. Sci 30巻:145〜158頁;HoodおよびCheresh(2002年)Nature Rev. Cancer 2巻:91〜100頁;Timmeら(2003年)Curr. Drug Targets 4巻:251〜261頁;RobbinsおよびItzkowitz(2002年)Med. Clin. North Am. 86巻:1467〜1495頁;GradyおよびMarkowitz(2002年)Annu. Rev. Genomics Hum. Genet. 3巻:101〜128頁;Bauerら(2001年)Glia 36巻:235〜243頁;StanimirovicおよびSatoh(2000年)Brain Pathol. 10巻:113〜126頁)。
阻害のエンドポイントは、通常、対照の75%以下、好ましくは、対照の50%以下、より好ましくは、対照の25%以下、最も好ましくは、対照の10%以下である。一般に、活性化のエンドポイントは、対照の少なくとも150%、好ましくは、対照の少なくとも2倍、より好ましくは、対照の少なくとも4倍、および最も好ましくは、対照の少なくとも10倍である。
「小分子」は、10kDa未満の、通常、2kDa未満の、好ましくは、1kDa未満の分子量を有する分子と定義される。小分子として、それだけには限らないが、無機分子、有機分子、無機成分を含有する有機分子、放射性原子を含む分子、合成分子、ペプチドミメティックおよび抗体ミメティックが挙げられる。小分子は、治療薬として、大きな分子よりも細胞に対してより透過性で、分解に対する感受性が低く、免疫応答を誘発する傾向が小さいものであり得る。抗体のペプチドミメティックおよびサイトカインなどの小分子ならびに小分子毒素が記載されている。例えば、Cassetら(2003年)Biochem. Biophys. Res. Commun. 307巻:198〜205頁;Muyldermans(2001年)J. Biotechnol. 74巻:277〜302頁;Li(2000年)Nat. Biotechnol. 18巻:1251〜1256頁;Apostolopoulosら(2002年)Curr. Med. Chem. 9巻:411〜420頁;Monfardiniら(2002年)Curr. Pharm. Des. 8巻:2185〜2199頁;Dominguesら(1999年)Nat. Struct. Biol. 6巻:652〜656頁;SatoおよびSone(2003年)Biochem. J. 371巻:603〜608頁;米国特許第6,326,482号参照のこと。
「特異的に」または「選択的に」結合するとは、リガンド/受容体、抗体/抗原またはその他の結合対に言及する場合、タンパク質およびその他の生物製剤の不均一の集団中のタンパク質の存在を決定するような結合反応を示す。したがって、指定された条件下では、指定のリガンドが、特定の受容体と結合し、サンプル中に存在するその他のタンパク質とは相当な量では結合しない。本明細書において用いる場合、抗体は、MDL−1の配列を含むポリペプチドと結合するが、MDL−1の配列を欠くタンパク質と結合しない場合に、所与の配列(この場合には、MDL−1)を含むポリペプチドと特異的に結合すると言われる。例えば、MDL−1を含むポリペプチドと特異的に結合する抗体は、MDL−1のFLAG(登録商標)タグをつけた形と結合し得るが、その他のFLAG(登録商標)タグをつけたタンパク質とは結合しない。
企図される方法の、抗体または抗体の抗原結合部位に由来する結合性組成物は、無関係の抗原との親和性よりも、少なくとも2倍高い、好ましくは、少なくとも10倍高い、より好ましくは、少なくとも20倍高い、および最も好ましくは、少なくとも100倍高い親和性でその抗原と結合する。好ましい実施形態では、抗体は、約10リットル/molよりも高い親和性を有することが、例えば、スキャッチャード分析によって求められる。Munsenら(1980年)Analyt. Biochem. 107巻:220〜239頁。
II.概要
本発明は、操作された抗MDL−1抗体および免疫障害、特に、感染症および癌に対する応答の障害を処置するためのその使用を提供する。
これまでの研究によって、MDL−1およびその他のDAP12会合分子は、マイコバクテリア感染症に対する宿主応答の際に異なって発現されることがわかっている(例えば、Aokiら(2004年)Infection and Immunity 72巻:2477〜2483頁参照のこと)。特に、MDL−1発現は、マイコバクテリア感染の際にマクロファージにおいてアップレギュレートされた。これらのマクロファージのIFNγ処置もまた、MDL−1発現を増大させた。
US2006/0099144およびWO2006/052975は両方とも、種々の癌細胞(例えば、黒色腫、卵巣癌、乳癌、結腸直腸癌、腎臓癌および胃癌)におけるマクロファージによるMDL−1の発現の増大を記載している。したがって、本発明の抗体は、感染症および癌に応じた免疫系の刺激において有用であるはずである。さらにまた、本発明の抗体を用いてこれらの微生物感染症を取り除き、それによって敗血症の発生を防ぐことができる。
III.MDL−1特異的抗体の作製
モノクローナル抗体を作製するための任意の適した方法を使用してよい。例えば、レシピエントをMDL−1またはその断片で免疫化してもよい。任意の適した免疫化法を使用できる。このような方法として、アジュバント、その他の免疫賦活薬、反復追加免疫および1種または複数の免疫化経路の使用を含み得る。MDL−1の任意の適した供給源を、本明細書に開示される組成物および方法の非ヒト抗体の作製のための免疫原として使用できる。このような形として、それだけには限らないが、当技術分野で公知の組換え、合成、化学的または酵素的分解手段によって作製した、全タンパク質、ペプチド類およびエピトープが挙げられる。好ましい実施形態では、免疫原はMDL−1の細胞外部分を含む。MDL−1のドメイン構造は、Bakkerら上記;WO99/06557;およびGenBank受託番号AAF02491において論じられている。短い細胞内領域が、配列番号65の残基1および2を包含する。膜貫通領域は、配列番号65の、およそ残基6から残基27に連続していると同定されている。ナチュラルキラー細胞受容体(NKR)中に見られる種類のC型レクチン様ドメインが、配列番号65の、およそ残基71から残基184に見られる。
任意の形の抗原を使用して、生物学的に活性な抗体を作製するのに十分である抗体を作製できる。したがって、誘発性抗原は、単独または当技術分野で公知の1種もしくは複数の免疫原性増強剤と組み合わせた、単一エピトープ、複数のエピトープもしくは全タンパク質であり得る。誘発性抗原は、単離全長タンパク質、細胞表面タンパク質(例えば、少なくとも抗原の部分がトランスフェクトされた細胞による免疫化)または可溶性タンパク質(例えば、タンパク質の細胞外ドメイン部分のみによる免疫化)であり得る。抗原は、遺伝子改変された細胞において産生され得る。抗原をコードするDNAは、ゲノムのものである場合も、非ゲノムのもの(例えば、cDNA)である場合もあり、少なくとも細胞外ドメインの部分をコードする。本明細書において用いる場合、用語「部分(portion)」とは、注目する抗原の免疫原性エピトープを構成するための、必要に応じて最小数のアミノ酸または核酸を指す。注目する細胞の形質転換に適した任意の遺伝子ベクター、例えば、それだけには限らないが、アデノウイルスベクター、プラスミドおよび非ウイルスベクター、例えば、カチオン性脂質を用いてもよい。
任意の適した方法を用いて、MDL−1/DAP12シグナル伝達を増強する所望の生物学的特性を有する抗体を誘発できる。種々の哺乳類宿主、例えば、マウス、ラット、その他のげっ歯類、ヒト、その他の霊長類などから、モノクローナル抗体(mAb)を調製することが望ましい。このようなモノクローナル抗体を調製するための技術の記載は、例えば、Stitesら(編)BASIC AND CLINICAL IMMUNOLOGY(第4版)Lange Medical Publications、Los Altos、CAおよびそれに引用される参考文献;HarlowおよびLane(1988年)ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL CSH Press;Goding(1986年)MONOCLONAL ANTIBODIES:PRINCIPLES AND PRACTICE(第2版)Academic Press、New York、NYに見ることができる。したがって、モノクローナル抗体は、当技術分野の研究者によく知られている種々の技術によって得ることができる。通常、所望の抗原で免疫化された動物から得た脾臓細胞を、普通は、骨髄腫細胞との融合によって不死化する。KohlerおよびMilstein(1976年)Eur. J. Immunol. 6巻:511〜519頁参照のこと。不死化の代替法として、エプスタインバーウイルス、癌遺伝子またはレトロウイルスを用いる形質転換または当技術分野で公知のその他の方法が挙げられる。例えば、Doyleら(編1994年および定期的な増補)CELL AND TISSUE CULTURE: LABORATORY PROCEDURES、John Wiley and Sons、New York、NY参照のこと。単一の不死化細胞から生じたコロニーを、抗原に対する所望の特異性および親和性の抗体の産生についてスクリーニングし、このような細胞によって産生されるモノクローナル抗体の収率は、脊椎動物宿主の腹膜腔への注射をはじめとする種々の技術によって高めることができる。あるいは、例えば、Huseら(1989年)Science 246巻:1275〜1281頁によって概説される一般手順に従って、ヒトB細胞由来のDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、モノクローナル抗体またはその抗原結合性断片をコードするDNA配列を単離してもよい。
その他の適した技術として、ファージまたは同様のベクターにおける抗体のライブラリーの選択が挙げられる。例えば、Huseら上記;およびWardら(1989年)Nature 341巻:544〜546頁参照のこと。改変を含むか含まない本発明のポリペプチドおよび抗体(キメラまたはヒト化抗体)を用いてもよい。ポリペプチドおよび抗体は、検出可能なシグナルを提供する物質を共有結合または非共有結合のいずれかによって結合することによって標識することが多い。さまざまな標識およびコンジュゲーション技術が知られており、科学文献および特許文献の両方において広く報告されている。適した標識として、放射性核種、酵素、基質、補助因子、阻害剤、蛍光部分、化学発光部分、磁性粒子などが挙げられる。このような標識の使用を教示する特許として、米国特許第3,817,837号;同3,850,752号;同3,939,350号;同3,996,345号;同4,277,437号;同4,275,149号;および同4,366,241号が挙げられる。また、組換え免疫グロブリンも製造でき、Cabilly米国特許第4,816,567号;およびQueenら(1989年)Proc. Nat’l Acad. Sci. USA 86巻:10029〜10033頁参照のこと;またはトランスジェニックマウスにおいて作製され得、Mendezら(1997年)Nature Genetics 15巻:146〜156頁参照のこと。また、AbgenixおよびMedarex技術も参照のこと。
MDL−1の所定の断片に対する抗体または結合性組成物は、ポリペプチド、断片、ペプチドまたはエピトープの、担体タンパク質とのコンジュゲートを用いる動物の免疫化によって作製することができる。モノクローナル抗体は、所望の抗体を分泌する細胞から調製される。これらの抗体は、正常なまたは欠損のあるMDL−1との結合についてスクリーニングできる。これらのモノクローナル抗体は、通常、ELISAによって測定される、通常、少なくとも約1μMの、より通常は、少なくとも約300nM、30nM、10nM、3nM、1nM、300pM、100pM、30pMまたはそれより良好なKで結合する。適した非ヒト抗体はまた、以下の実施例5および6に記載される生物学的アッセイを用いて同定できる。
抗体クローンDX230、DX241、DX244、DX246およびDX297を発現するハイブリドーマは、ブダペスト条約に従い、2007年4月23日に、それぞれ、受託番号PTA−8373、PTA−8374、PTA−8375、PTA−8376およびPTA−8377のもと、American Type Culture Collection(ATCC−Manassas、Virginia、USA)に寄託された。抗体クローンDX230、DX239およびDX240を発現するハイブリドーマは、ブダペスト条約に従い、2008年4月8日に、それぞれ、寄託番号PTA−_、PTA−_およびPTA−_のもとAmerican Type Culture Collection(ATCC−Manassas、Virginia,USA)に寄託された。
IV.MDL−1特異的抗体のヒト化
任意の適した非ヒト抗体を、超可変領域の供給源として使用することができる。非ヒト抗体の供給源として、それだけには限らないが、マウス(例えば、Mus musculus)、ラット(例えば、Rattus norvegicus)、ウサギ目(例えば、ウサギ)、ウシおよび霊長類が挙げられる。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域残基が、所望の特異性、親和性および能力を有する、マウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)由来の超可変領域残基によって置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基によって置換されている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体において、またはドナー抗体において見られない残基を含む場合もある。これらの改変は、所望の生物活性の抗体性能をさらに改良するために行われる。さらなる詳細については、Jonesら(1986年)Nature 321巻:522〜525頁;Reichmannら(1988年)Nature 332巻:323〜329頁;およびPresta(1992年)Curr. Op. Struct. Biol. 2巻:593〜596頁参照のこと。
抗体を組換えによって操作する方法は、例えば、Bossら(米国特許第4,816,397号)、Cabillyら(米国特許第4,816,567号)、Lawら(欧州特許出願公開第438310号)およびWinter(欧州特許出願公開第239400号)によって記載されている。
ヒト化抗MDL−1抗体のアミノ酸配列改変体は、ヒト化抗MDL−1抗体DNAに適当なヌクレオチド変更を導入することによって、またはペプチド合成によって調製される。このような改変体として、例えば、ヒト化抗MDL−1抗体について示されるアミノ酸配列内の残基からの欠失および/またはそれへの挿入および/またはその置換が挙げられる。最終構築物が、所望の特徴を有するという条件で、最終構築物に達するよう、欠失、挿入および置換の任意の組み合わせが行われる。アミノ酸変更はまた、グリコシル化部位の数または位置の変更などのヒト化抗MDL−1抗体の翻訳後プロセスを変更し得る。
変異誘発にとって好ましい位置にある、ヒト化抗MDL−1抗体ポリペプチドの特定の残基または領域を同定するための有用な方法は、CunninghamおよびWells(1989年)Science 244巻:1081〜1085頁に記載されるような、「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。本明細書において、残基または標的残基の群は、同定され(例えば、Arg、Asp、His、LysおよびGluなどの電荷を有する残基)、アミノ酸のMDL−1抗原との相互作用に影響を及ぼすよう、中性または負の電荷を有するアミノ酸(最も好ましくは、アラニンまたはポリアラニン)で置換される。次いで、置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸残基を、置換の部位にまたはその代わりに、さらなる改変体またはその他の改変体を導入することによって改良する。したがって、アミノ酸配列変動を導入する部位は予め決定されているが、変異の性質自体は、予め決定されている必要はない。例えば、所与の部位での変異の性能を分析するために、Alaスキャニングまたはランダム変異誘発を、標的コドンまたは領域で実施し、発現されたヒト化抗MDL−1抗体改変体を、所望の活性についてスクリーニングする。
アミノ酸配列挿入は、1残基〜100個以上の残基を含有するポリペプチドの長さの範囲のアミノ末端および/またはカルボキシル末端融合ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入を含む。末端挿入の例として、N末端メチオニル残基を有するヒト化抗MDL−1抗体またはエピトープタグと融合している抗体が挙げられる。ヒト化抗MDL−1抗体分子の他の挿入改変体として、抗体の血清半減期を増大する酵素またはポリペプチドの、ヒト化抗MDL−1抗体のNまたはC末端との融合が挙げられる。
別の種類の改変体として、アミノ酸置換改変体がある。これらの改変体は、除去されるヒト化抗MDL−1抗体分子中の少なくとも1個のアミノ酸残基と、その場所に挿入される異なる残基を有する。置換変異誘発のための最も注目される部位として、超可変ループが挙げられるが、FR変更も企図される。
抗体の別の種類のアミノ酸改変体は、抗体の元のグリコシル化パターンを変更する。変更とは、抗体中に見られる1つまたは複数の炭水化物部分を欠失することおよび/または抗体中に存在しない1つまたは複数のグリコシル化部位を付加することを意味する。抗体のグリコシル化は、通常、N結合型またはO結合型のいずれかである。N結合型とは、炭水化物部分のアスパラギン残基の側鎖との連結を指す。トリペプチド配列アスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−トレオニン(ここで、Xは、プロリンを除く任意のアミノ酸である)は、炭水化物部分の、アスパラギン側鎖との酵素的結合のための認識配列である。したがって、ポリペプチド中のこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在によって、グリコシル化部位の可能性が生じる。O結合型グリコシル化とは、糖N−アセチルガラクトサミン、ガラクトースまたはキシロースのうちの1種の、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的には、セリンまたはトレオニンとの連結を指すが、5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリジンも使用できる。
グリコシル化部位の抗体への付加は、上記のトリペプチド配列のうち1個または複数を含むようアミノ酸配列を変更することによって達成されることが好都合である(N結合型グリコシル化部位について)。変更はまた、元の抗体の配列への1個または複数のセリンまたはトレオニン残基の付加、またはそれによる置換によって行ってもよい(O結合型グリコシル化部位について)。
さらに別の種類のアミノ酸改変体として、最終ヒト化抗体のより大きな化学的安定性を提供するための残基の置換がある。例えば、アスパラギン(N)残基を変更して、げっ歯類CDR内の任意のNG配列でのイソアスパルテートの形成の可能性を低下させてもよい。同様の問題がDG配列でも生じ得る。ReissnerおよびAswad(2003年)Cell. Mol. Life Sci. 60巻:1281頁。イソアスパルテート形成は、抗体のその標的抗原との結合を弱らせる、または完全に抑制し得る。Presta(2005年)J. Allergy Clin. Immunol. 116巻:734頁の731。一実施形態では、アスパラギンをグルタミン(Q)に変更する。さらに、げっ歯類CDR中のメチオニン残基を変更して、メチオニン硫黄が酸化される可能性(これは、抗原結合親和性を低下させ、また、最終抗体調製物における分子多様性の一因となり得る)を低下させてもよい。同上文献。一実施形態では、メチオニンがアラニン(A)に変更される。続いて、このような置換を有する抗体を、置換がMDL−1結合親和性を許容されないレベルに低下させていないことを確実にするためにスクリーニングする。
ヒト化MDL−1特異的抗体のアミノ酸配列改変体をコードする核酸分子は、当技術分野で公知の種々の方法によって調製する。これらの方法として、それだけには限らないが、天然供給源からの単離(天然に存在するアミノ酸配列改変体の場合には)またはヒト化抗MDL−1抗体の以前に調製された改変体または非改変体バージョンのヒト化抗MDL−1抗体の、オリゴヌクレオチド媒介性(または部位特異的)変異誘発、PCR変異誘発およびカセット変異誘発による調製が挙げられる。
通常、ヒト化抗MDL−1抗体のアミノ酸配列改変体は、重鎖または軽鎖いずれかの元のヒト化抗体アミノ酸配列と少なくとも75%の、より好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも85%、より好ましくは、少なくとも90%、最も好ましくは、少なくとも95%、98%または99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。この配列に関して同一性または相同性とは、本明細書において、配列をアラインし、必要に応じてギャップを導入して最大パーセント配列同一性を達成した後、いずれの保存的置換も配列同一性の部分とみなさない、ヒト化抗MDL−1残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。N末端、C末端、または内部伸長、欠失または抗体配列中への挿入はいずれも、配列同一性または相同性に影響を及ぼすとはみなされない。
ヒト化抗体は、任意のクラスの免疫グロブリン、例えば、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEから選択され得る。抗体は、IgG抗体であることが好ましい。IgGの任意のアイソタイプ、例えば、IgG、IgG、IgGおよびIgGを使用してよい。IgGアイソタイプの改変体もまた企図される。ヒト化抗体は、2つ以上のクラスまたはアイソタイプに由来する配列を含み得る。所望の生物活性を生じるのに必要な定常ドメイン配列の最適化は、実施例に記載される生物学的アッセイにおいて抗体をスクリーニングすることによって容易に達成される。
同様に、軽鎖のいずれかのクラスを、本明細書の組成物および方法において用いてもよい。具体的には、κ、λまたはそれらの改変体は、本組成物および方法において有用である。
非ヒト抗体由来のCDR配列の任意の適した部分を使用してよい。CDR配列は、CDR配列が、使用されるヒトおよび非ヒト抗体配列と別個であるよう、少なくとも1残基の置換、挿入または欠失によって変異誘発してもよい。このような変異は、最小であることが企図される。通常、ヒト化抗体残基の少なくとも75%が、より多くの場合は90%、最も好ましくは、95%を超えて非ヒトCDR残基のものと対応する。
ヒト抗体に由来するFR配列の任意の適した部分を使用してもよい。FR配列は、FR配列が、使用されるヒトおよび非ヒト抗体配列と別個であるよう、少なくとも1個の残基の置換、挿入または欠失によって変異誘発してもよい。このような変異は、最小であることが企図される。通常、ヒト化抗体残基の少なくとも75%が、より多くの場合は、90%、最も好ましくは、95%、98%または99%を超えてヒトFR残基のものと対応する。
CDRおよびFR残基は、Kabatの標準配列定義に従って決定される。Kabatら(1987年)Sequences of Proteins of Immunological Interest、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)、Bethesda Md。配列番号1〜8は、種々のげっ歯類抗ヒトMDL−1抗体の重鎖可変ドメイン配列を示し、配列番号9〜16は、軽鎖可変ドメイン配列を表す。図1から4は、本発明の種々の抗体の重鎖および軽鎖可変ドメインの配列の陣容を提供する。CDRが、図中に示されており、表18に示されているように、個々のCDR配列は各々、独特の配列識別子とともに提示されている(配列番号17〜64)。
Figure 2010526066
Figure 2010526066
一実施形態では、CDRは、本明細書に開示される任意の単一配列CDR(配列番号17〜64)の改変体を含み、この改変体は、表1のデータを用いて調べられるような、開示される配列に比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多い保存的アミノ酸置換を含む。
また、キメラ抗体も企図される。上記のように、通常のキメラ抗体は、特定の種に由来する、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体中の対応している配列と同一であるか、または相同である重鎖および/または軽鎖の部分を含み、一方で、鎖(複数の鎖)の残部は、別の種に由来する、または別の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体、ならびにそれらが所望の生物活性を示す限り、このような抗体の断片中の対応する配列と同一または相同である。米国特許第4,816,567号;およびMorrisonら(1984年)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81巻:6851〜6855頁を参照のこと。
二重特異性抗体はまた、本方法および組成物において有用である。本明細書において用いる場合、用語「二重特異性抗体」とは、抗体、通常、少なくとも2種の異なる抗原性エピトープに対する結合特異性を有するモノクローナル抗体を指す。一実施形態では、エピトープは、同一抗原に由来するものである。別の実施形態では、エピトープは、2種の異なる抗原に由来するものである。二重特異性抗体を作製する方法は、当技術分野で公知である。例えば、二重特異性抗体は、2つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の同時発現を用いて組換えによって製造できる。例えば、Milsteinら(1983年)Nature 305巻:537〜39頁参照のこと。あるいは、二重特異性抗体は、化学結合を用いて調製できる。例えば、Brennanら(1985年)Science 229巻:81頁参照のこと。二重特異性抗体は、二重特異性抗体断片を含む。例えば、Holligerら(1993年)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90巻:6444〜48頁、Gruberら(1994年)J. Immunol. 152巻:5368頁参照のこと。
さらに他の実施形態では、本明細書に提供されるCDRに由来するヒト化VおよびV領域に種々の定常ドメインを付加してもよい。例えば、本発明の抗体(または断片)の特定の意図される使用がエフェクター機能の変更を求める場合には、IgG1以外の重鎖定常ドメインを使用してもよい。IgG1抗体は、長い半減期および補体活性化および抗体依存性細胞傷害などのエフェクター機能を提供するが、このような活性は、抗体のすべての使用にとって望ましいものではない場合がある。このような例では、例えば、IgG4定常ドメインを用いてもよい。
また、本発明の抗体の親の、操作された形を、化学的部分にコンジュゲートしてもよい。化学的部分は、とりわけ、ポリマー、放射性核種または細胞傷害性因子であり得る。化学的部分は、対象の身体において抗体分子の半減期を増大するポリマーであることが好ましい。適したポリマーとして、それだけには限らないが、ポリエチレングリコール(PEG)(例えば、2kDa、5kDa、10kDa、12kDa、20kDa、30kDaまたは40kDaの分子量を有するPEG)、デキストランおよびモノメトキシポリエチレングリコール(mPEG)が挙げられる。Leeら、(1999年)(Bioconj. Chem. 10巻:973〜981頁)には、PEGがコンジュゲートされた一本鎖抗体が開示されている。Wenら、(2001年)(Bioconj. Chem. 12巻:545〜553頁)には、抗体を、放射性金属キレート剤(ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA))と結合しているPEGとコンジュゲートすることが開示されている。
本発明の抗体および抗体断片またはMDL−1可溶性タンパク質またはその断片はまた、99Tc,90Y、111In、32P、14C、125I、H、131I、11C、15O、13N、18F、35S、51Cr、57To、226Ra、60Co、59Fe、57Se、152Eu、67Cu、217Ci、211At、212Pb、47Sc、109Pd、234Thおよび40K、157Gd、55Mn、52Trおよび56Feなどの標識とコンジュゲートしてもよい。
本発明の抗体および抗体断片またはMDL−1可溶性タンパク質またはその断片はまた、蛍光または化学発光標識、例えば、希土類キレート、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、イソチオシアン酸塩、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタルアルデヒド(phthaladehyde)、フルオレスカミン、152Eu、ダンシル、ウンベリフェロン、ルシフェリン、ルミナール(luminal)標識、イソルミナール(isoluminal)標識、芳香族アクリジニウムエステル標識、イミダゾール標識、アクリジミウム(acridimium)塩標識、シュウ酸エステル標識、エクオリン標識、2,3−ジヒドロフタラジンジオン、ビオチン/アビジン、スピン標識および安定フリーラジカルなどのフルオロフォアとコンジュゲートしてもよい。
本発明の抗体分子またはタンパク質分子を種々の部分とコンジュゲートするために当技術分野で公知の任意の方法、例えば、Hunterら、(1962年)Nature 144巻:945頁;Davidら、(1974年)Biochemistry 13巻:1014頁;Painら、(1981年)J. Immunol. Meth. 40巻:219頁;およびNygren,J.、(1982年)Histochem. and Cytochem. 30巻:407頁に記載される方法を使用してよい。抗体およびタンパク質をコンジュゲートする方法は従来のものであり、当技術分野で極めてよく知られている。
V.ヒト化抗MDL−1抗体の生物活性
本明細書においてヒト化抗MDL−1抗体において望ましいものであると同定される特徴を有する抗体は、in vitroでの阻害性生物活性または適した結合親和性についてスクリーニングできる。アゴニスト抗体は、実施例5で提供される生物学的アッセイを用いてアンタゴニスト抗体と区別できる。アゴニスト活性を示す抗体は、MDL−1および/またはDAP12の活性を妨げないが、代わりに、MDL−1によって通常引き起こされる応答を刺激する。
注目する抗体によって結合されているヒトMDL−1上のエピトープと結合する抗体(例えば、MDL−1の結合を妨げるもの)をスクリーニングするために、ANTIBODIES、A LABORATORY MANUAL、Cold Spring Harbor Laboratory、HarlowおよびDavid Lane編(1988年)に記載されるものなどの通常のクロスブロッキングアッセイを実施してよい。同一のエピトープと結合する抗体は、このようなアッセイにおいてクロスブロッキングする可能性が高いが、クロスブロッキングは、重複するエピトープまたはさらに、近くの重複しないエピトープと結合する抗体による抗体結合の立体障害に起因し得るので、すべてのクロスブロッキング抗体が必ずしも正確に同一エピトープで結合するわけではない。
あるいは、例えば、Champeら(1995年)J.Biol. Chem. 270巻:1388〜1394頁に記載されるエピトープマッピングを実施して、抗体が注目するエピトープと結合するかどうかを調べることができる。ヒトMDL−1において、CunninghamおよびWells(1989年)Science 244巻:1081〜1085頁によって記載される「アラニンスキャニング変異誘発」またはいくつかのその他の形のアミノ酸残基の点突然変異誘発を使用して、本発明の抗MDL−1抗体に対する機能的エピトープを調べてもよい。しかし、変異誘発研究はまた、MDL−1の三次元構造全体にとって極めて重要であるが、抗体−抗原接触に直接的には関与していないアミノ酸残基を明らかにする場合もあり、したがって、この方法を用いて決定された機能的エピトープを確認するのにその他の方法が必要である場合がある。
特異的抗体によって結合されるエピトープはまた、抗体の、ヒトMDL−1の断片(配列番号41)を含むペプチドとの結合を評価することによって決定することができる。MDL−1の配列を包含する一連の重複ペプチドを合成し、例えば、直接ELISA、競合ELISA(ペプチドは、抗体と、マイクロタイタープレートのウェルと結合しているMDL−1との結合を妨げるその能力について評価される)において、またはチップで結合についてスクリーニングしてもよい。このようなペプチドスクリーニング法は、いくつかの不連続の機能的エピトープ、すなわち、MDL−1ポリペプチド鎖の一次配列に沿って連続していないアミノ酸残基を含む機能的エピトープを検出できない場合がある。
本発明の抗体によって結合されるエピトープはまた、X線結晶構造決定(例えば、WO2005/044853)、分子モデリングおよび核磁気共鳴(NMR)分光法、例えば、遊離している場合および注目する抗体との複合体中に結合されている場合のMDL−1中の不安定なアミド水素のH−D交換速度のNMR測定(Zinn−Justinら(1992年)Biochemistry 31巻:11335〜11347頁;Zinn−Justinら(1993年)Biochemistry 32巻:6884〜6891頁)などの構造的な方法によって決定することもできる。
X線結晶学に関しては、結晶化は、任意の当技術分野で公知の方法(例えば、Giegeら(1994年)Acta Crystallogr. D50巻:339〜350頁;McPherson(1990年)Eur. J. Biochem. 189巻:1〜23頁)、例えば、マイクロバッチ(例えばChayen(1997年)Structure 5巻:1269〜1274頁)、懸滴蒸気拡散(例えば、McPherson(1976年)J. Biol. Chem. 251巻:6300〜6303頁)、種晶添加および透析を用いて達成すればよい。少なくとも約1mg/mL、好ましくは、約10mg/mL〜約20mg/mLの濃度を有するタンパク質調製物を使用することが望ましい。結晶化は、ポリエチレングリコール1000〜20,000(PEG;約1000〜約20,000Daの範囲の平均分子量)、好ましくは、約5000〜約7000Da、より好ましくは、約6000Daを含有し、約10%〜約30%(w/v)の範囲の濃度を有する沈殿剤溶液中で最良に達成され得る。また、タンパク質安定化剤、例えば、グリセロールを、約0.5%〜約20%の範囲の濃度で含むことも望ましいことであり得る。塩化ナトリウム、塩化リチウムまたはクエン酸ナトリウムなどの適した塩も、好ましくは、約1mM〜約1000mMの範囲の濃度で沈殿剤溶液中にあることが望ましいことであり得る。沈殿剤は、約3.0〜約5.0、好ましくは、約4.0のpHに緩衝化されることが好ましい。沈殿剤溶液中で有用な特定のバッファーは変わる場合があり、当技術分野では周知である。Scopes、Protein Purification:Principles and Practice、第3版(1994年)Springer−Verlag、New York。有用なバッファーの例として、それだけには限らないが、HEPES、Tris、MESおよび酢酸塩が挙げられる。結晶は、広範囲の温度、例えば、2℃、4℃、8℃および26℃で成長させてもよい。
抗体:抗原結晶は、周知のX線回折技術を用いて研究してもよく、X−PLOR(Yale University、1992年、Molecular Simulations、Inc.によって配布された;例えば、Blundell&Johnson(1985年)Meth. Enzymol. 114&115、H.W.Wyckoffら編、Academic Press;米国特許出願公開第2004/0014194号)およびBUSTER(Bricogne(1993年)Acta Cryst. D49巻:37〜60頁;Bricogne(1997年)Meth. Enzymol. 276A巻:361〜423頁、Carter&Sweet編;Roversiら(2000年)Acta Cryst. D56巻:1313〜1323頁参照のこと)などのコンピュータソフトウェアを用いて改良してもよい。
本発明の抗体と同一のエピトープとのさらなる抗体結合は、例えば、エピトープとの結合についての、MDL−1に対する抗体のスクリーニングによって、またはエピトープ配列を含むヒトMDL−1の断片を含むペプチドでの動物の免疫化によって得ることができる。同一の機能的エピトープと結合する抗体は、受容体結合を妨げることなどの同様の生物活性を示すと予測され得、このような活性は、抗体の機能的アッセイによって確認することができる。
抗体親和性は、標準的な分析を用いて調べることができる。好ましいヒト化抗体として、約1×10−7以下;好ましくは、約1×10−8以下;より好ましくは、約1×10−9以下;最も好ましくは、約1×10−10以下、または1×10−11MでさえのK値でヒトMDL−1と結合するものがある。
本組成物および方法において有用な抗体およびその断片は、生物学的に活性な抗体および断片である。本明細書において用いる場合、用語「生物学的に活性な」とは、所望の抗原性エピトープを結合し、生物学的効果を直接的または間接的に発揮できる抗体または抗体断片を指す。本明細書において用いる場合、用語「特異的に」とは、抗体の、標的抗原エピトープとの選択的結合を指す。抗体は、所与の条件のセット下で、MDL−1との結合を無関係の抗原または抗原混合物との結合と比較することによって結合の特異性について試験できる。抗体が無関係の抗原または抗原混合物よりも少なくとも10倍、好ましくは、50倍多くMDL−1と結合する場合に、特異的であるとみなす。MDL−1と「特異的に結合する」抗体は、MDL−1由来配列を含まないタンパク質とは結合しない、すなわち、「特異性」とは、本明細書において用いる場合、MDL−1特異性に関連し、問題のタンパク質中に存在し得る任意のその他の配列には関連しない。例えば、本明細書において用いる場合、MDL−1を含むポリペプチドと「特異的に結合する」抗体は、通常、MDL−1およびFLAG(登録商標)ペプチドタグを含む融合タンパク質であるFLAG(登録商標)−MDL−1と結合するが、単独またはMDL−1以外のタンパク質と融合しているFLAG(登録商標)ペプチドタグとは結合しない。
アゴニスト性MDL−1特異的抗体などの本発明のMDL−1特異的結合性化合物は、それだけには限らないが、微生物感染に対する免疫応答を増大することをはじめとするいかなる様式によってもその生物活性を増強し得る。
VI.薬剤組成物
MDL−1抗体、サイトカイン類似体またはムテインを含む薬剤組成物または滅菌組成物を調製するために、それに対する抗体またはその核酸を、製薬上許容される担体または賦形剤と混合する。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciencesおよび米国薬局方:National Formulary、Mack Publishing Company、Easton、PA(1984年)参照のこと。
治療薬および診断薬の処方物は、例えば、凍結乾燥粉末、スラリー、水溶液または懸濁液の形の、生理学的に許容される担体、賦形剤または安定化剤と混合することによって調製してもよい。例えば、Hardmanら(2001年)GoodmanおよびGilmanのThe Pharmacological Basis of Therapeutics、McGraw− Hill、New York、NY;Gennaro(2000年)Remington:The Science and Practice of Pharmacy、Lippincott、Williams and Wilkins、New York、NY;Avisら(編)(1993年)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications、Marcel Dekker、NY;Liebermanら(編)(1990年)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets、Marcel Dekker、NY;Liebermanら(編)(1990年)Pharmaceutical Dosage Forms: Disperse Systems、Marcel Dekker、NY;WeinerおよびKotkoskie(2000年)Excipient Toxicity and Safety、Marcel Dekker、Inc.、New York、NY参照のこと。
単独または、免疫抑制薬と組み合わせて投与される抗体組成物の毒性および治療効力は、例えば、LD50(集団の50%に対して致死性である用量)およびED50(集団の50%において治療上有効である用量)を調べるために、細胞培養物または実験動物において標準の製薬手順によって調べることができる。毒性作用および治療効果の間の用量割合は、治療指数であり、ED50に対するLD50の割合として表すことができる。高い治療指数を示す抗体が好ましい。これらの細胞培養アッセイおよび動物研究から得られるデータを、ヒトにおいて使用するための投与量範囲の処方において用いることができる。このような化合物の投与量は、毒性をほとんど有さないか、全く有さないでED50を含む循環濃度の範囲内にあることが好ましい。投与量は、使用される投与剤型および投与経路に応じて、この範囲内で変わり得る。
投与様式は、特に重要ではない。適した投与経路として、例えば、経口、直腸、経粘膜または腸内投与;非経口送達、例えば、筋肉内、皮下、髄内注射ならびに鞘内(intrathecal)、直接の室内(intraventricular)、静脈内、腹腔内、鼻腔内または眼内注射が挙げられる。薬剤組成物に用いられる、または本発明の方法を実施する抗体の投与は、経口摂取、吸入、局所適用または皮膚、皮下、腹腔内、非経口、動脈内または静脈内注射などの種々の従来法で実施してよい。
あるいは、全身的な様式よりも局所的な様式で、例えば、関節炎の関節または免疫病理学によって特性決定される病原体によって誘発された病変への、多くは、デポー製剤または持続放出処方物中の抗体の直接的な注射によって抗体を投与してもよい。さらに、標的化薬物送達系で、例えば、関節炎の関節または免疫病理学によって特性決定される病原体によって誘発された病変を標的とする、例えば組織特異的抗体でコーティングされたリポソームで抗体を投与してもよい。リポソームは、ターゲッティングされ、罹患組織によって選択的に吸収される。
治療薬のための投与計画の選択は、実体の血清または組織代謝回転速度、症状のレベル、実体の免疫原性および生物学的マトリックス中の標的細胞の到達性をはじめとするいくつかの因子に応じて変わる。投与計画は、許容されるレベルの副作用と整合性がとれる患者に送達される治療薬の量を最大にすることが好ましい。したがって、送達される生物製剤の量は、幾分かは、個々の実体および処置されている状態の重症度に応じて変わる。抗体、サイトカインおよび小分子の適当な用量の選択における指針は、入手可能である。例えば、Wawrzynczak(1996年)Antibody Therapy、Bios Scientific Pub. Ltd、Oxfordshire、UK;Kresina(編)(1991年)Monoclonal Antibodies,Cytokines and Arthritis、Marcel Dekker、New York、NY;Bach(編)(1993年)Monoclonal Antibodies and Peptide Therapy in Autoimmune Diseases、Marcel Dekker、New York、NY;Baertら(2003年)New Engl. J. Med. 348巻:601〜608頁;Milgromら(1999年)New Engl. J. Med. 341巻:1966〜1973頁;Slamonら(2001年)New Engl. J. Med. 344巻:783〜792頁;Beniaminovitzら(2000年)New Engl. J. Med. 342巻:613〜619頁;Ghoshら(2003年)New Engl. J. Med. 348巻:24〜32頁;Lipskyら(2000年)New Engl. J. Med. 343巻:1594〜1602頁参照のこと。
適当な用量の決定は、例えば、当技術分野で、処置に影響を及ぼすと知られている、もしくは疑われる、または処置に影響を及ぼすと予測されるパラメータまたは因子を用いることによって臨床医によって行われる。一般に、用量は、最適用量よりも幾分か少ない量で開始し、その後、任意のマイナスの副作用と比較して所望のまたは最適効果が達成されるまで少しずつ増量する。重要な診断手段として、例えば、炎症の症状のものまたは産生された炎症性サイトカインのレベルが挙げられる。使用される生物製剤は、実質的に、処置の標的とされる動物と同一の種に由来し(例えば、ヒト対象の処置のためのヒト化抗体)、それによって、試薬に対する任意の免疫応答を最小化することが好ましい。
抗体、抗体断片およびサイトカインは、連続注入によって、または例えば、1日、1週間に1〜7回、1週間、2週間、1カ月、2カ月などの間隔での用量によって提供され得る。用量は、静脈内に、皮下に、局所に、経口的に、鼻腔に、直腸に、筋肉内に、脳内に、髄腔内に、または吸入によって提供してよい。好ましい用量プロトコールは、重大な望ましくない副作用を避ける最大用量または用量頻度に関するものである。総週間用量は、通常、少なくとも0.05μg/kg体重、0.2μg/kg体重、0.5μg/kg体重、1μg/kg体重、10μg/kg体重、100μg/kg体重、0.2mg/kg体重、1.0mg/kg体重、2.0mg/kg体重、10mg/kg体重、25mg/kg体重、50mg/kg体重またはそれより多い。例えば、Yangら(2003年)New Engl. J. Med. 349巻:427〜434頁;Heroldら(2002年)New Engl. J. Med. 346巻:1692〜1698頁;Liuら(1999年)J. Neurol. Neurosurg. Psych. 67巻:451〜456頁;Portieljiら(2003年)Cancer Immunol. Immunother. 52巻:133〜144頁参照のこと。所望の用量の小分子治療薬、例えば、ペプチドミメティック、天然産物または有機化学物質は、モル/kgベースで、抗体またはポリペプチドについてとほぼ同じである。
本明細書において用いる場合、「阻害する」または「処置する」または「処置」とは、自己免疫疾患または病原体によって誘発された免疫病理と関連している症状の発生の延期および/または発生する、もしくは発生すると予測されるこのような症状の重症度の低下を含む。この用語は、既存の制御されない、または望まれない自己免疫関連または病原体によって誘発された免疫病理症状を回復すること、さらなる症状を予防することおよびこのような症状の根本的な原因を改善または予防することをさらに含む。したがって、この用語は、自己免疫もしくは病原体によって誘発される免疫病理疾患もしくは症状を有する、またはこのような疾患もしくは症状が発生する可能性を有する脊椎動物対象に、有益な結果が付与されたことを表す。
本明細書において用いる場合、用語「治療上有効な量」または「有効量」とは、細胞、組織または対象に、単独またはさらなる治療薬と組み合わせて投与された場合に、自己免疫疾患もしくは病原体によって誘発される免疫病理関連疾患もしくは状態または疾患の進行を予防もしくは回復させるのに有効である、MDL−1特異的結合性化合物、例えば、抗体の量を指す。治療上有効な用量とは、さらに、症状の回復、例えば、関連の医学的状態の処置、治癒、予防もしくは回復、またはこのような状態の処置、治癒、予防もしくは回復の速度の増大をもたらすのに十分な化合物の量を指す。単独で投与される個々の活性成分に適用される場合には、治療上有効な用量とは、その成分単独を指す。組み合わせに適用される場合には、治療上有効な用量とは、組み合わせて投与されるか、逐次投与されるか、または同時に投与されるかにかかわらず、治療効果をもたらす活性成分の組み合わせた量を指す。有効量の治療薬は、症状を、通常、少なくとも10%、普通は、少なくとも20%、好ましくは、少なくとも約30%、より好ましくは、少なくとも40%、最も好ましくは、少なくとも50%低減する。
第2の治療薬、例えば、サイトカイン、抗体、ステロイド、化学療法薬、抗生物質または放射線照射と同時投与または処置する方法は、当技術分野では周知であり、例えば、Hardmanら(編)(2001年)GoodmanおよびGilmanのThe Pharmacological Basis of Therapeutics、第10版、McGraw−Hill、New York、NY;PooleおよびPeterson(編)(2001年)Pharmacotherapeutics for Advanced Practice:A Practical Approach、Lippincott、Williams & Wilkins、Phila.、PA;ChabnerおよびLongo(編)(2001年)Cancer Chemotherapy and Biotherapy、Lippincott、Williams & Wilkins、Phila.、PA参照のこと。抗生物質として、公知の抗菌剤、抗真菌剤および抗ウイルス剤を挙げることができる。抗菌剤として、それだけには限らないが、細胞壁合成を阻害するβラクタム剤、例えば、ペニシリン、セファロスポリン、セファマイシン、カルボペネム(carbopenems)、モノバクタム;および細胞壁合成を阻害する非βラクタム剤、例えば、バンコマイシンおよびテイコプラニンを挙げることができる。その他の抗生物質は、タンパク質および核酸合成などの細胞活性を阻害し得る。これらの薬剤として、それだけには限らないが、マクロライド、テトラサイクリン、アミノグリコシド、クロラムフェニコール、フシジン酸ナトリウム、スルホンアミド、キノロンおよびアゾールが挙げられる。
公知の抗真菌薬として、それだけには限らないが、アリルアミンおよびその他の非アゾールエルゴステロール生合成阻害剤、例えば、テルビナフィン;代謝拮抗薬、例えば、フルシトシン;アゾール、例えば、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ラブコナゾール、ポサコナゾールおよびボリコナゾール;グルカン合成阻害剤、例えば、カスポファンギン、ミカファンギンおよびアニデュラファンギン;ポリエン、例えば、アンホテリシンB、アンホテリシンB脂質複合体(ABLC)、アンホテリシンBコロイド分散物(ABCD)、リポソームアンホテリシンB(L−AMB)およびリポソームナイスタチン;およびその他の全身性薬剤、例えば、グリセオフルビンが挙げられる。
抗ウイルス薬として、ウイルスを破壊する任意の薬物が挙げられる。抗ウイルス薬として、ウイルスの複製を阻害するよう機能するインターフェロン、プロテアーゼ阻害剤および逆転写酵素阻害剤を挙げることができる。
通常の獣医学の、実験用または研究用対象として、サル、イヌ、ネコ、ラット、マウス、ウサギ、モルモット、ウマおよびヒトが挙げられる。
VII.抗体作製
一実施形態では、本発明の抗体の組換え製造のために、2種の鎖をコードする核酸を、単離し、さらなるクローニング(DNAの増幅)のために、または発現のために、1種または複数の複製可能なベクターに挿入する。モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を用いて(例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子と特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)、容易に単離され、配列決定される。多数のベクターが利用可能である。ベクター成分は、通常、それだけには限らないが、以下のうち1種または複数を含む:シグナル配列、複製起点、1種または複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーターおよび転写終結配列。一実施形態では、本発明のヒト化抗MDL−1抗体の軽鎖および重鎖の両方が、同一ベクター、例えば、プラスミドまたはアデノウイルスベクターから発現される。
本発明の抗体は、当技術分野で公知の任意の方法によって製造してよい。一実施形態では、抗体は、培養物中の哺乳類細胞または昆虫細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胎児由来腎臓(HEK)293細胞、マウス骨髄腫NSO細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、Spodoptera frugiperda卵巣(Sf9)細胞で発現される。一実施形態では、CHO細胞から分泌された抗体を回収し、プロテインA、陽イオン交換、陰イオン交換、疎水性相互作用およびヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーなどの標準的なクロマトグラフィー法によって精製する。得られた抗体を濃縮し、20mM酢酸ナトリウム、pH5.5中で保存する。
別の実施形態では、本発明の抗体を、WO2005/040395に記載される方法に従って酵母において製造する。手短には、注目する抗体の個々の軽鎖または重鎖をコードするベクターを、種々の酵母ハプロイド細胞、例えば、種々の接合型の酵母Pichia pastorisに導入し、この酵母ハプロイド細胞は場合により、補完的栄養要求株である。次いで、形質転換されたハプロイド酵母細胞を接合し、または融合して、重鎖および軽鎖の両方を産生できる二倍体酵母細胞を得ることができる。その結果、二倍体株は、完全に構築され、生物学的に活性な抗体を分泌できる。2つの鎖の相対発現レベルは、例えば、異なるコピー数のベクターを用いること、異なる強度の転写プロモーターを用いることまたは鎖の一方または両方をコードする遺伝子の誘導可能プロモーターが駆動する転写からの発現を誘導することによって最適化することができる。
一実施形態では、複数の異なる抗MDL−1抗体(「元の」抗体)のそれぞれの重鎖および軽鎖を、酵母ハプロイド細胞に導入し、複数の軽鎖を発現する1つの接合型のハプロイド酵母株のライブラリー、および複数の重鎖を発現する異なる接合型のハプロイド酵母株のライブラリーを作製する。ハプロイド株のこれらのライブラリーを接合させ(またはスフェロプラストとして融合させ)、種々の可能性ある置換の軽鎖および重鎖からなる抗体のコンビナトリアルライブラリーを発現する一連の二倍体酵母細胞を作製できる。次いで、抗体のコンビナトリアルライブラリーを、任意の抗体が、元の抗体のものよりも優れた特性(例えば、MDL−1に対するより高い親和性)を有するかどうかを調べるためにスクリーニングできる。例えば、WO2005/040395を参照のこと。
別の実施形態では、本発明の抗体は、約13kDaの分子量のポリペプチド中に抗体可変ドメインの部分が連結しているヒトドメイン抗体である。例えば、米国特許公開第2004/0110941号参照のこと。このような単一ドメインの、低分子量の薬剤は、合成の容易さ、安定性および投与経路の観点から多数の利点を提供する。
VIII.使用
本発明は、炎症性障害および状態、例えば、感染症および癌の処置および診断のために、抗MDL−1抗体およびその断片を用いる方法を提供する。
本発明は、対照から得た、好ましくは、同種の細胞、組織または体液におけるMDL−1レベルと比較した、試験細胞、組織または体液におけるMDL−1の発現レベルを分析することによって、微生物感染または癌の存在を診断する方法を提供する。本明細書において実証されるように、例えば、対照に対して、患者におけるMDL−1発現レベルの増大は、癌または微生物感染の存在と関連している。
通常、定量的診断アッセイについて、試験された患者が癌または感染症を有することを示す陽性結果は、細胞、組織または体液が、少なくとも2倍高い、5倍高い、10倍高い、15倍高い、20倍高い、25倍高いMDL−1発現レベルを有するものである。
宿主に由来するサンプル中の本発明のMDL−1などの遺伝子レベルおよびタンパク質発現のレベルを調べるために使用してよいアッセイ技術は、当業者には周知である。このようなアッセイ法として、ラジオイムノアッセイ、逆転写酵素PCR(RT−PCR)アッセイ、定量的リアルタイムPCRアッセイ、免疫組織化学アッセイ、in situハイブリダイゼーションアッセイ、競合結合アッセイ、ウェスタンブロットアッセイ、ELISAアッセイおよびフローサイトメトリーアッセイ、例えば、腫瘍関連マクロファージのM2対M1表現型検査のための2色FACS分析(Mantovaniら、(2002年)TRENDS in Immunology 23巻:549〜555頁)が挙げられる。
ELISAアッセイは、最初、MDL−1に特異的な、本発明の抗体、好ましくは、DX230、DX241、DX244、DX246およびDX297(まとめて「MDL−1抗体」)を調製することを含む。さらに、通常、MDL−1と特異的に結合するレポーター抗体を調製する。レポーター抗体は、放射活性、蛍光または酵素的試薬、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ酵素またはアルカリホスファターゼなどの検出可能な試薬と結合している。
ELISAを実施するために、上記の少なくとも1種のMDL−1抗体を、固体支持体、例えば、抗体と結合するポリスチレンディッシュ上でインキュベートする。次いで、ウシ血清アルブミンなどの非特異的タンパク質とともにインキュベートすることによって、ディッシュ上の任意の遊離タンパク質結合部位を覆う。次いで、分析されるべきサンプルを、ディッシュ中でインキュベートし、その時間の間にMDL−1は、ポリスチレンディッシュと結合している特異的MDL−1抗体と結合する。結合していないサンプルを、バッファーで洗浄除去する。MDL−1に特異的に向けられ、西洋ワサビペルオキシダーゼに連結されているレポーター抗体をディッシュ中に入れ、その結果、レポーター抗体の、MDL−1と結合している任意のモノクローナル抗体との結合が得られる。次いで、結合していないレポーター抗体を洗浄除去する。次いで、ペルオキシダーゼ活性のための試薬、例えば、熱量測定基質をディッシュに加える。MDL−1抗体と連結している固定化されたペルオキシダーゼは、有色の反応生成物を生成する。所与の期間に発生した発色量は、サンプル中に存在するMDL−1タンパク質の量に比例する。定量的結果は、通常、標準曲線に対する参照によって得られる。
競合アッセイを用いてもよく、MDL−1に特異的な抗体が固体支持体に結合されており、標識されたMDL−1および宿主由来のサンプルを固体支持体上を通過させ、固体支持体に結合された検出された標識の量は、サンプル中のMDL−1の量と相関があり得る。
上記の試験を、種々の細胞、体液および/または組織抽出物に由来するサンプル、例えば、患者から得たホモジネートまたは可溶化した組織で実施してよい。組織抽出物は、組織生検および剖検材料から日常的に得られる。本発明において有用な体液として、血液、尿、唾液または任意のその他の体分泌液またはその誘導体が挙げられる。用語「血液」とは、全血、血漿、血清または任意の血液の誘導体を含むものを意味する。
本発明の広い範囲は、以下の実施例を参照して最良に理解されるが、これは本発明を特定の実施形態に制限しようとするものではない。本明細書に記載される特定の実施形態は、単に例示目的として提示されるのであって、本発明は、添付の特許請求の範囲の用語およびこのような特許請求の範囲に与えられる等価物の全範囲によって制限されるべきである。
(実施例1)
一般法
分子生物学における標準法は記載されている。Maniatisら(1982年)Molecular Cloning、A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY;SambrookおよびRussell(2001年)Molecular Cloning、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY;Wu(1993年)Recombinant DNA、第217巻、Academic Press、San Diego、CA。標準法はまた、Ausbelら(2001年)Current Protocols in Molecular Biology、第1〜4巻、John Wiley and Sons、Inc. New York、NYにも掲載されており、これには、細菌細胞におけるクローニングおよびDNA変異誘発(第1巻)、哺乳類細胞および酵母におけるクローニング(第2巻)、複合糖質およびタンパク質発現(第3巻)およびバイオインフォマティクス(第4巻)が記載されている。
免疫沈降、クロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離および結晶化をはじめとするタンパク質精製のための方法が記載されている。Coliganら(2000年)Current Protocols in Protein Science、第1巻、John Wiley and Sons、Inc.、New York。化学分析、化学修飾、翻訳後修飾、融合タンパク質の製造、タンパク質のグリコシル化が記載されている。例えば、Coliganら(2000年)Current Protocols in Protein Science、第2巻、John Wiley and Sons、Inc.、New York;Ausubelら(2001年)Current Protocols in Molecular Biology、第3巻、John Wiley and Sons、Inc.、NY、NY、16.0.5〜16.22.17頁;Sigma−Aldrich、Co.(2001年)Products for Life Science Research、St. Louis、MO;45〜89頁;Amersham Pharmacia Biotech(2001年)BioDirectory、Piscataway、N.J.、384〜391頁参照のこと。ポリクローナルおよびモノクローナル抗体の製造、精製および断片化が記載されている。Coliganら(2001年)Current Protcols in Immunology、第1巻、John Wiley and Sons、Inc.、New York;HarlowおよびLane(1999年)Using Antibodies、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY;HarlowおよびLane、上記。リガンド/受容体相互作用を特性決定するための標準技術は利用可能である。例えば、Coliganら(2001年)Current Protcols in Immunology、第4巻、John Wiley、Inc.、New York参照のこと。
蛍光活性化セルソーター検出システム(FACS(登録商標))をはじめとするフローサイトメトリーのための方法が利用可能である。例えば、Owensら(1994年)Flow Cytometry Principles for Clinical Laboratory Practice、John Wiley and Sons、Hoboken、NJ;Givan(2001年)Flow Cytometry、第2版;Wiley−Liss、Hoboken、NJ;Shapiro(2003年)Practical Flow Cytometry、John Wiley and Sons、Hoboken、NJ参照のこと。たとえば診断試薬として使用するための、核酸プライマーおよびプローブを含めた核酸、ポリペプチドならびに抗体を改変するために適した蛍光試薬が利用可能である。Molecular Probes(2003年)カタログ、Molecular Probes、Inc.、Eugene、OR;Sigma−Aldrich(2003年)カタログ、St.Louis、MO。
免疫系の組織学の標準法が記載されている。例えば、Muller−Harmelink(編)(1986年)Human Thymus:Histopathology and Pathology、Springer Verlag、New York、NY;Hiattら(2000年)Color Atlas of Histology、Lippincott、Williams, and Wilkins、Phila、PA;Louisら(2002年)Basic Histology:Text and Atlas、McGraw−Hill、New York、NY参照のこと。
例えば、抗原性断片、リーダー配列、タンパク質フォールディング、機能性ドメイン、グリコシル化部位および配列アラインメントを調べるためのソフトウェアパッケージおよびデータベースが利用可能である。例えば、GenBank、ベクターNTI(登録商標)一式(Informax、Inc、Bethesda、MD);GCG Wisconsinパッケージ(Accelrys、Inc.、San Diego、CA);DeCypher(登録商標)(TimeLogic Corp.、Crystal Bay、Nevada);Menneら(2000年)Bioinformatics 16巻:741〜742頁;Menneら(2000年)Bioinformatics Applications Note 16巻:741〜742頁;Wrenら(2002年)Comput. Methods Programs Biomed. 68巻:177〜181頁;von Heijne(1983年)Eur. J. Biochem. 133巻:17〜21頁;von Heijne(1986年)Nucleic Acids Res. 14巻:4683〜4690頁参照。
(実施例2)
抗ヒトMDL−1抗体のヒト化
抗体のヒト化は、例えば、PCT特許出願公開WO2005/047324およびWO2005/047326に大まかに記載されている。
手短には、非ヒトVHドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号1〜5)を、5種のヒトVH生殖系列アミノ酸配列の群;亜群IGHV1およびIGHV4に由来する1種の代表および亜群IGHV3に由来する3種の代表の群に対して比較する。VH亜群は、M.−P.Lefranc(2001年)「Nomenclature of the Human Immunoglobulin Heavy (IGH) Genes」、Experimental and Clinical Immunogenetics 18巻:100〜116頁に列挙されている。最も密接なマッチを有するヒト生殖系列配列のフレームワーク配列を用いてヒト化VHドメインを構築する。
本明細書に開示されるげっ歯類抗huMDL−1抗体は、すべてVLのκサブクラスである。非ヒトVLドメインのアミノ酸配列(例えば、配列番号6〜10)を、4種のヒトVLκ生殖系列アミノ酸配列の群に対して比較する。4種の群は、V.Barbie&M.−P.Lefranc(1998年)「The Human Immunoglobulin Kappa Variable (IGKV) Genes and Joining (IGKJ) Segments」、Experimental and Clinical Immunogenetics 15巻:171〜183頁およびM.−P.Lefranc(2001年)「Nomenclature of the Human Immunoglobulin Kappa(IGK) Genes」、Experimental and Clinical Immunogenetics 18巻:161〜174頁に列挙される4種の確立されたヒトVL亜群の各々に由来する1種の代表からなる。4種の亜群はまた、Kabatら(1991年第5版)「Sequence of Proteins of Immunological Interest」米国保険社会福祉省(U. S. Department of Health and Human Services)、NIH刊行物91−3242、103〜130頁に列挙される4種の亜群に対応する。最も密接なマッチを有するヒト生殖系列配列のフレームワーク配列を用いて、ヒト化VLドメインを構築する。
可変重鎖および可変軽鎖の標的アミノ酸配列が決定されると、全長ヒト化抗体をコードするプラスミドを作製できる。プラスミド配列は、Kunkel変異誘発を用いて変更し(例えば、Kunkel T A.(1985年)Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A 82巻:488〜492頁参照のこと)、標的ヒト化抗体配列に対するDNA配列を変更してもよい。同時に、コドン最適化を実施して、潜在的に最適の発現を提供してもよい。
(実施例3)
KinExA技術を用いた抗ヒトMDL−1抗体の平衡解離定数(K)の決定
KinExA3000、Sapidyne Intruments Inc.、Boise Idaho、USA機器を用いて、抗ヒトMDL−1抗体の平衡解離定数(K)を決定する。KinExAは、抗体、抗原および抗体−抗原複合体の混合物中の複合体を形成していない抗体の濃度を測定することに基づく結合平衡除外(kinetic exclusion)アッセイ法の原則を用いている。遊離抗体の濃度は、混合物を、固相に固定化された抗原に極めて短期間曝露することによって測定する。実際には、これは、液相抗原−抗体混合物を、フローセル中に捕獲された抗原がコーティングされた粒子に流すことによって達成される。機器によって作成されたデータを、カスタムソフトウェアを用いて分析する。以下の仮説に基づく数学理論を用いて平衡定数を算出する:
1.結合は、平衡についての可逆性結合方程式に従う:
on[Ab][Ag]=koff[AbAg]
2.抗体および抗原は、1:1結合し、総抗体は、抗原−抗体複合体および遊離抗体に等しい。
3.機器シグナルは、遊離抗体の濃度と直線的に相関している。
PMMA粒子(Sapidyne、カタログ番号440198)を、ビオチン化MDL−1(またはその断片、例えば、細胞外ドメイン)を用い、Sapidyne「Protocol for coating PMMA particles with biotinylated ligands having short or nonexistent linker arms」に従ってコーティングする。MDL−1のビオチン化にはEZ連結TFP PEO−ビオチン(Pierce、カタログ番号21219)を、製造業者の推奨(Pierce報告書(bulletin)0874)の通りに用いる。
(実施例4)
BIAcore技術を用いるヒト化抗ヒトMDL−1抗体の平衡解離定数(K)の測定
BIAcore測定は、本質的に、同時係属の同一出願人による米国特許出願第11/511,635号(2006年8月29日に出願された)の実施例4に記載されるように実施する。手短には、リガンド(抗MDL−1−hIg)を、標準アミンカップリング手順を用いてBIAcore CM5センサーチップ上に固定化する。種々の相互作用の速度論定数(kinetic constant)をBIAevaluationソフトウェア3.1を用いて求める。Kを、算出された解離および会合速度定数を用いて求める。
抗体DX230、DX241、DX244、DX246、DX233、DX239およびDX240は、以下のKd値を有していた:
Figure 2010526066
抗体DX233、DX239およびDX240については、抗体を、捕捉試薬として用い、MDL−1−hIgリガンドを分析物として用いた。DX233、DX239およびDX240の親和性測定値は以下のとおりであった。
Figure 2010526066
(実施例5)
DX239およびDX244のヒト化
本発明の抗体は、ヒト化抗体のアクセプター生殖系列配列を同定する方法を用いてヒト化することができ、この方法は、以下のステップを含む:a)所望の生物活性を有する非ヒト抗体を同定するステップと;b)非ヒト抗体VおよびVドメインのアミノ酸配列を決定するステップと;c)非ヒト抗体配列を、ヒト生殖系列配列の群と比較するステップ(ここで、比較は、以下のサブステップを含む:1)Kabat上記にしたがって、非ヒトV配列残基に数を割り当てるステップと;2)配列中のCDRおよびFR領域を、Kabat上記にしたがって正確に描写するステップと;3)非ヒトおよびヒト抗体生殖系列配列が同一である特定の残基位置に所定の数値スコアを割り当てるステップと;4)残基スコアのすべてを合計して、各ヒト生殖系列配列の総スコアを作製するステップ);およびd)最高の総残基スコアを有するヒト生殖系列配列をアクセプター生殖系列配列として同定するステップ。一実施形態では、この方法は、以下のサブステップをさらに含む:5)サブステップ(4)後に同一の総残基スコアを有する生殖系列配列に、サブステップ(3)においてスコアされなかった、非ヒトおよびヒト抗体生殖系列配列が同一である各FR残基位置に1の数値スコアを割り当てるステップと;6)残基スコアのすべてを合計して、各ヒト生殖系列配列の総スコアを作製するステップ。特定の実施形態では、非ヒト抗体は、MDL−1に特異的であり、MDL−1の生物活性を阻害する。また、上記の方法によって作製された抗体も本明細書において提供される。
一実施形態では、MDL−1抗体は、以下の方法を用いてヒト化される。まず、MDL−1抗体の非ヒトVおよびVドメインをクローニングし、配列決定し、アミノ酸配列を決定する。次いで、非ヒトV配列を、3種のヒトV生殖系列アミノ酸配列の群と比較する。3つの群は、亜群IGHV1、IGHV3およびIGHV4の各々に由来する1種の代表を含む。V亜群は、M.−P.Lefranc、Exp. Clin. Immunogenetics、18巻:100〜116頁(2001年)に列挙されている。具体的には、3種の生殖系列配列を用いる比較は、Kabat番号付けシステムに従って、非ヒトV配列に残基番号を割り当てることで始まる。Kabatら、米国保険社会福祉省(U. S. Department of Health and Human Services)、NIH刊行物91−3242(第5版、1991年)参照のこと。次いで、非ヒトV配列を、3種のヒト生殖系列配列の各々とアラインする。V遺伝子は、V残基1〜94のみを含むので、アラインメントにおいてこれらの残基のみが考慮される。次いで、配列中の相補性決定(CDR)およびフレームワーク(FR)領域を正確に描写する。CDRおよびFRを、米国保険社会福祉省(U. S. Department of Health and Human Services)、NIH刊行物91−3242(第5版、1991年)およびC.Chothia&A.M.Lesk、J. Mol. Biol、196巻:901〜917頁(1987年)において提供される定義の組み合わせに従って正確に描写する。したがって、用いられるCDR定義は、Vドメインの、CDR1については残基26〜35、CDR2については残基50〜65であり、CDR3は、CDR3の残基95〜102である。次のステップは、非ヒトおよびヒト配列が同一である同定された残基位置に数値スコアを割り当てることを含む。このスコア化の一例が、以下の表6に示されている。
Figure 2010526066
Figure 2010526066
残基位置に数値スコアを割り当てた後、残基スコアのすべてを合計する。アクセプター生殖系列配列は、最高の総スコアを有するものである。2種以上の生殖系列配列が同一スコアを有する場合には、以下のFR残基について非ヒトおよびヒト配列が同一(IDENTICAL)である各位置について合計に1を加える:1〜23、25、36、38〜47、66、68、70、72、74、75、77および79〜93(最大60)。残基スコアを再度合計し、アクセプター生殖系列配列は、最高総スコアを有するものである。2種以上の生殖系列配列が依然として同一スコアを有する場合には、いずれか一方をアクセプター生殖系列配列として使用してよい。
配列が、Vのκサブクラスのメンバーである場合には、MDL−1特異的抗体由来の非ヒトV配列を、4種のヒトVκ生殖系列アミノ酸配列群と比較する。4種の配列は、V.Barbie&M.−P.Lefranc、Exp. Clin. Immunogenetics 15巻:171〜183頁(1998年)およびM.−P.Lefranc、Exp. Clin. Immunogenetics 18巻:161〜174頁(2001年)に列挙される4種の確立されたヒトV亜群の各々に由来する1種の代表からなる。4種の配列はまた、Kabatら、米国保険社会福祉省(U. S. Department of Health and Human Services)、NIH刊行物91−3242、103〜130頁(第5版、1991年)に列挙される4種の亜群に対応している。非ヒト配列の4種の生殖系列配列との比較は、Kabatら、米国保険社会福祉省(U. S. Department of Health and Human Services)、NIH刊行物91−3242(第5版、1991年)に従って、非ヒトV配列に残基番号を割り当てることで始まる。次いで、非ヒトV配列を、4種のヒト生殖系列配列の各々とアラインする。V遺伝子はV残基1〜95のみを含むので、アラインメントにおいてこれらの残基のみが考慮される。次いで、配列中の相補性決定(CDR)およびフレームワーク(FR)領域を正確に描写する。CDRおよびFRは、Kabatら、米国保険社会福祉省(U. S. Department of Health and Human Services)、NIH刊行物91−3242(第5版、1991年)およびC.Chothia&A.M.Lesk、J. Mol. Biol、196巻:901〜917頁(1987年)において提供される定義の組み合わせに従って正確に描写する。したがって、用いられるCDR定義は、Vドメインの、CDR1については残基24〜34であり、CDR2については残基50〜56であり、CDR3については残基89〜97である。次のステップは、非ヒトおよびヒト配列が同一である同定された残基位置に数値スコアを割り当てることを含む。このスコア化の一例が、以下の表7に示されている。
Figure 2010526066
残基位置に数値スコアを割り当てた後、残基スコアのすべてを合計する。アクセプター生殖系列配列は、最高の総スコアを有するものである。2種以上の生殖系列配列が同一スコアを有する場合には、以下のFR残基について非ヒトおよびヒト配列が同一(IDENTICAL)である各位置について合計に1を加える:1〜3、5〜23、35〜42、44〜49、57、59〜88(最大67)。残基スコアを再度合計し、アクセプター生殖系列配列は、最高総スコアを有するものである。2種以上の生殖系列配列が依然として同一スコアを有する場合には、いずれか一方をアクセプター生殖系列配列として使用してよい。
抗ヒトMDL−1抗体、DX239のヒト化を、上記のとおりに実施した。図1は、残基番号の割り当ておよび調べられている生殖系列配列と同一である残基位置の対応する数値スコアを示す。計算は、DX239抗ヒトMDL−1抗体の軽鎖(図5A)および重鎖(図5B)の可変領域について、ならびにDX244抗ヒトMDL−1抗体の軽鎖(図5C)および重鎖(図5D)の可変領域について示されている。
(実施例6)
抗MDL−1抗体の活性化の評価のためのバイオアッセイ
モノクローナル抗体の、MDL−1/DAP12活性を生物学的増強する能力を、肥満細胞脱顆粒アッセイによって評価した。
マウス肥満細胞培養物を、2〜3週齢のC57BL/6マウスから確立した。骨髄を2〜3匹のマウスの大腿骨から排出させ、続いて、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で3回洗浄した。細胞を、ピルビン酸ナトリウム、非必須アミノ酸、2−メルカプトエタノール、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)、グルタミン、10〜15%ウシ胎児血清(Hyclone、Inc.、Logan、UT)、100ng/mg rSCFおよび100ng/mlのrIL−3を補給したダルベッコの最小必須培地(MEM)15mlに再懸濁した。細胞は、T25フラスコ中、37℃でインキュベートした。1週間隔で、接着していない細胞に、新鮮培地を再供給し、新規フラスコに移した。2週間の時点で、培養培地に、5.0ng/mlのIL−4を補給した。4週間までに、非接着細胞の大部分が、IgE FcRを発現する通常のマウス肥満細胞であると見込まれた。4週間の時点から、細胞は、rIL−3およびrIL−4のみを補給して維持した。
マウス肥満細胞にヒトMDL−1(DT808)をトランスフェクトし、1μg/mlのモノクローナル抗体を用いて刺激し、続いて、1.0時間で、分泌されたβ−ヘキソサミニダーゼを測定した。対照細胞インキュベーションは、ラットアイソタイプ対照mAb(rIgG1;陰性対照)ならびに陽性対照としてDX87およびDX89、2種の抗mCD200R抗体を用いて実施した。DX87には、機能のために架橋が必要である。β−ヘキソサミニダーゼ測定のために上清を採取した後、架橋抗体を加えた。1時間後、上清をβ−ヘキソサミニダーゼについて再度評価した。
結果は、抗MDL−1抗体のうち8種での処理は、肥満細胞脱顆粒を増強したことを実証した。1種のmAb、DX245は、機能に架橋を必要とした。陰性対照アイソタイプ抗体は、分泌に検出可能には影響を与えなかった。同様の脱顆粒バイオアッセイを、ヒト好中球を用いて実施し、抗MDL−1抗体のサブセットに応じて、CD11bおよびCD66bの表面発現の増大が測定された(表10参照のこと)。
Figure 2010526066
Figure 2010526066
Figure 2010526066
(実施例7)
L−セレクチン脱落アッセイ
循環血流好中球は、L−セレクチン(CD62L)を発現し、L−セレクチンは、好中球の内皮細胞分子との相互作用を媒介し、活性化好中球から脱落され得る。したがって、上記の特定のMDL−1抗体がL−セレクチン脱落を引き起こすかどうかを調査した。好中球を、先に記載されたように(Badweyら(1982年)Biochem Biophys Res Commun.106巻:170〜174頁)、デキストラン沈降、赤血球の低張性溶解およびフィコール−ハイパック(Ficoll−Hypaque)による遠心分離によって健常なドナーの末梢血から精製した。
MDL−1活性化のために、10%のウシ胎児血清を含むRPMI1640に10個細胞/mlで懸濁した、新たに単離した好中球を、抗MDL−1抗体(10μg/ml)またはアイソタイプ対照IgG1とともに、96ウェルプレート(Nunc、Denmark)において37℃および5% COで1時間インキュベートした。RPMIで2回洗浄した後、細胞が結合している抗hMDL−1抗体を、9μg/mlのF(ab’)断片ヤギ抗マウスIgG(H+L)抗体と、37℃および5% COで30分間架橋した。次いで、細胞を2回洗浄し、20μg/mlのchrompureマウスIgG抗体とともに4℃で20分間インキュベートし、結合していない架橋抗体をブロッキングした。
未処理の細胞または刺激した細胞(10個細胞/ml)を、2mM EDTAおよび0.5% BSAを含有するPBSに再懸濁した。L−セレクチンの表面発現の変化を測定するために、細胞を、PEがコンジュゲートしている抗CD62L抗体(BD Biosciences、San Jose、CA)(2μg/ml)とともに4℃で30分間インキュベートした。
2回洗浄した後、FACSCaliburフローサイトメトリー(BD Biosciences)でサンプルを分析した。データを、CellQuest Proソフトウェア(BD Biosciences)を用いて分析した。
表11は、抗MDL−1抗体で処理した好中球のCD62L染色(平均蛍光強度;MFI)の減少を示す(アイソタイプ対照による処理−抗hMDL−1による処理によって算出したMFI)。
Figure 2010526066
(実施例8)
盲腸結紮と穿孔(punction)(CLP)モデル
麻酔した7週齢のC57BL/6Jマウスに、10〜12mmの正中切開を行い、盲腸を露出させた。盲腸を遠位末端から約10〜12mmで結紮した。次いで、結紮した盲腸に、19〜27ゲージのニードルを用いて穿刺し、生存を評価した。最初に、19ゲージのニードルを用いた穿刺によって最も劇的な敗血症型の状態が生じることがわかった。
別のセットのCLPマウス(7〜11週齢)を上記のとおりに作製した。3つの群を以下のとおりに処置した:
Figure 2010526066
表13は、上記の処置の結果を示す。N/D=調べていない
Figure 2010526066
Figure 2010526066
(実施例9)
CLPマウスにおける菌血症および体重の測定
CLPの24時間後に血液を合計10匹のマウスから採取した(アイソタイプ対照処置に由来する5匹のマウスおよびDX163処置に由来する5匹のマウス(ice)。段階希釈物を血液寒天の場所上にプレーティングし、37℃で一晩インキュベートした。コロニーをカウントした。CLP後の24時間毎にマウスの体重を測定した。
Figure 2010526066
図6は、CLP後マウスの体重測定値を示す。
(実施例10)
S.aureus細菌負荷の減少
Staphylococcus aureusは、グラム陽性細胞外細菌であり、軟部組織および血液媒介感染症および肺炎を引き起こす重要なヒト病原体である。重篤なS.aureus感染症の発生数は、多くは、該生物のメチシリン耐性株の(MRSA)の結果である。米国疾病対策予防センター(The Center for Disease Control and Prevention)は最近、MRSAのために2005年に米国では、94,000人の重篤な感染症および18,000人の死亡が生じたと見積もった(Klevensら、JAMA、2007年、298巻:1763〜1771頁)。
MDL−1抗体は、ヒト好中球の抗微生物機能を増強し得るという知見に基づいて、抗mMDL−1抗体(DX163)を活性化することが、S.aureus肺炎のマウスモデルにおいて細菌負荷に影響を及ぼし得るかどうかを調べた。このモデルを、例えば、Wardenburgら(2007年)Infection and Immunity 75巻:1040〜1044頁によって記載されるとおりに確立した。感染用量は、表に詳述されるように1〜5×10の範囲のコロニー形成単位(CFU)のS.aureus ATCC27217であった。予防設定では、マウスにアイソタイプ対照またはDX163抗体を用いて、感染の2または12時間前のいずれかに皮下に投与した(表15および16)。治療設定では、マウスに、対照またはDX163抗体を用いて、感染の2時間後に静脈内に投与した(表17)。感染の24または48時間後のいずれかに、肺を安楽死させたマウスから切り取り、ホモジネーション、段階希釈およびプレーティングによって総肺CFUについて分析した。DX163の投与は、アイソタイプ対照で処置したマウスと比較して肺細菌負荷を一貫して低下させた。
Figure 2010526066
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Figure 2010526066
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Claims (23)

  1. ヒトMDL−1と結合する結合性化合物であって、
    a)配列番号41〜64からなる群から選択される1つまたは複数のCDR配列を有する、抗体軽鎖可変ドメインまたはその抗原結合性断片と、
    b)配列番号17〜40からなる群から選択される1つまたは複数のCDR配列を有する、抗体重鎖可変ドメインまたはその抗原結合性断片と
    を含む結合性化合物。
  2. a)配列番号41〜64からなる群から選択される2つ以上のCDR配列を有する、抗体軽鎖可変ドメインまたはその抗原結合性断片と、
    b)配列番号17〜40からなる群から選択される2つ以上のCDR配列を有する、抗体重鎖可変ドメインまたはその抗原結合性断片と
    を含む、請求項1に記載の結合性化合物。
  3. a)配列番号41〜64からなる群から選択される3つのCDR配列を有する、抗体軽鎖可変ドメインまたはその抗原結合性断片と、
    b)配列番号17〜40からなる群から選択される3つのCDR配列を有する、抗体重鎖可変ドメインまたはその抗原結合性断片と
    を含む、請求項2に記載の結合性化合物。
  4. ヒトMDL−1と結合する結合性化合物であって、
    a)配列番号41〜48からなる群からの少なくとも1つのCDRL1、配列番号49〜56からなる群からの少なくとも1つのCDRL2および配列番号57〜64からなる群からの少なくとも1つのCDRL3を有する、軽鎖可変ドメインまたはその抗原結合性断片と
    b)配列番号17〜24からなる群からの少なくとも1つのCDRH1、配列番号25〜32からなる群からの少なくとも1つのCDRH2および配列番号33〜40からなる群からの少なくとも1つのCDRH3を有する、重鎖可変ドメインまたはその抗原結合性断片と
    を含む結合性化合物。
  5. ヒトMDL−1と結合する結合性化合物であって、
    a)配列番号9の抗体軽鎖可変ドメインと配列番号1の抗体重鎖可変ドメイン、
    b)配列番号10の抗体軽鎖可変ドメインと配列番号2の抗体重鎖可変ドメイン、
    c)配列番号11の抗体軽鎖可変ドメインと配列番号3の抗体重鎖可変ドメイン、
    d)配列番号12の抗体軽鎖可変ドメインと配列番号4の抗体重鎖可変ドメイン、
    e)配列番号13の抗体軽鎖可変ドメインと配列番号5の抗体重鎖可変ドメイン、
    f)配列番号14の抗体軽鎖可変ドメインと配列番号6の抗体重鎖可変ドメイン、
    g)配列番号15の抗体軽鎖可変ドメインと配列番号7の抗体重鎖可変ドメイン、または
    h)配列番号16の抗体軽鎖可変ドメインと配列番号8の抗体重鎖可変ドメイン
    を含む結合性化合物。
  6. クロスブロッキングアッセイにおいて、請求項5に記載の結合性化合物とヒトMDL−1との結合を妨げることができる抗体。
  7. 請求項5に記載の結合性化合物の前記軽鎖可変ドメインまたは前記重鎖可変ドメインの少なくとも一方をコードする単離核酸。
  8. 宿主細胞に発現ベクターがトランスフェクトされる場合、該宿主細胞によって認識される制御配列と作動可能に連結している、請求項7に記載の核酸を含む該発現ベクター。
  9. 請求項8に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  10. ポリペプチドを産生する方法であって、
    請求項9に記載の宿主細胞を、前記核酸配列が発現される条件下、培養培地中で培養し、それにより前記軽鎖可変ドメインおよび前記重鎖可変ドメインを含むポリペプチドを産生するステップと、
    該宿主細胞または該培養培地から該ポリペプチドを回収するステップと
    を含む方法。
  11. a)前記抗体軽鎖可変ドメイン中のヒト生殖系列軽鎖フレームワーク配列と、
    b)前記抗体重鎖可変ドメイン中のヒト生殖系列重鎖フレームワーク配列と
    を含む、請求項5に記載の結合性化合物。
  12. γ1ヒト重鎖定常領域またはその改変体を含む重鎖定常領域をさらに含み、該定常領域改変体が最大20個の保存的に改変されたアミノ酸置換を含む、請求項5に記載の結合性化合物。
  13. γ4ヒト重鎖定常領域またはその改変体を含む重鎖定常領域をさらに含み、該定常領域改変体が最大20個の保存的に改変されたアミノ酸置換を含む、請求項5に記載の結合性化合物。
  14. Fab、Fab’、Fab’−SH、Fv、scFv、F(ab’)およびダイアボディからなる群から選択される抗体断片である、請求項5に記載の結合性化合物。
  15. ヒト対象において免疫応答を増強する方法であって、
    それを必要とする対象に、MDL−1に特異的な抗体またはその抗原結合性断片を、MDL−1/DAP12の生物活性を増強するのに有効な量で投与するステップを含み、該抗体が請求項5に記載の抗体である方法。
  16. 前記免疫応答が、感染症に対するものである、請求項15に記載の方法。
  17. 前記対象が、微生物感染症、ウイルス感染症および真菌感染症からなる群から選択される感染症を有する、請求項15に記載の方法。
  18. 前記免疫応答が骨髄性の応答である、請求項17に記載の方法。
  19. クロスブロッキングアッセイにおいて、ヒトMDL−1と、
    a)2007年4月23日に、PTA−8373、PTA−8374、PTA−8375、PTA−8376、およびPTA−8377からなる群から選択される受託番号のもとで、または
    b)2008年4月8日に、PTA−_、PTA−_およびPTA−_からなる群から選択される受託番号のもとで
    ATCCに寄託された少なくとも1種の抗体との結合を妨げることができる抗体。
  20. 敗血症を予防する方法であって、それを必要とする対象に、MDL−1に特異的な抗体またはその抗原結合性断片を、MDL−1/DAP12の生物活性を増強するのに有効な量で投与するステップを含む方法。
  21. 敗血症を予防する方法であって、それを必要とする対象に、MDL−1に特異的な抗体またはその抗原結合性断片を、MDL−1/DAP12の生物活性を増強するのに有効な量で投与するステップを含み、該抗体が請求項5に記載の抗体である方法。
  22. 請求項5に記載の抗体と製薬上許容される担体とを含む薬剤組成物。
  23. 配列番号67または配列番号68の抗体重鎖可変ドメインと配列番号69または配列番号70の抗体軽鎖可変ドメインとを含むヒト化MDL−1抗体。
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