JP2010525254A - ブラシシール - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のラビリンス式シールに比して漏れ性を極力低くし、既存の金属ブラシシールより高い温度および/または高い速度下で機能し、容易に加工できる接触シールを提供すること。
【解決手段】ガスタービンエンジンで見られるような間隙を封止するブラシシールには、支持部材によって機械的に保持される複数の金属剛毛が備えられる。支持部材は、複数の剛毛の長さ方向に沿って少なくとも実質的に延びる少なくとも1つの柔軟板を備える。支持部材は、動作中に複数の金属剛毛を支持するように構成配置される。
【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、高圧域と低圧域の間隙を封止するためのブラシシールに関する。
ガスタービンエンジンに見られるようなシーリングギャップ用のブラシシールを用いることは、当技術分野でよく知られている。例えばガスタービンエンジンでは、エンジンの回転シャフト周辺にある装置筐体とロータの間の間隙やエンジン内の流体圧力が異なる2箇所の間の間隙などの間隙周辺での流体漏れを極力少なくするために、ブラシシールを利用することが多い。システム内の流体圧力は、液体または気体であってよく、吐出圧力(流体が漏れしやすいエンジン筐体外の圧力)より高いことから、システム内で圧力差を引き起こす。本願明細書では、ブラシシールのシステム圧力側を高圧側とし、ブラシシールの吐出圧力側を低圧側とする。
従来のブラシシールにはもともと、柔軟であり、間隙を封止するための剛毛を多く含む剛毛パックを備えており、剛毛はロータなどの1つの部品と接触するための自由端を備えている。漏れ性を極力低くし、エンジン燃料効率を増大させるために、ガスタービンエンジンの用途で環状のブラシシールを利用してきた。従来のブラシシールとは、金属繊維から製造され、通常は高温操作に適したコバルト基またはニッケル基の高温超合金線の製品である。
ブラシシールは、剛毛チップがロータの表面に対する接触封止を実現するシールに接触しているため、一般にその適用は、約1200フィート/秒未満の表面速度と、約1500°F、通常は約1200〜1300°F未満の温度に限られる。表面速度および温度が極めて高くなると、剛毛チップの溶解から引き起こされる過剰摩耗によって、金属ブラシシールが損傷することが明らかである。通常、既存のガスタービンエンジンには、表面速度および温度の条件が従来の金属ブラシシールの性能を超えるガス経路近傍の漏止めピストンや他の二次流域などの領域が多く存在する。このため、このような領域は通常、カーボンシールや金属ブラシシールなどの接触シールに比して、使用中の漏れ性が高いことを示すギャップの大きいラビリンスシールによって封止される。例えば最新式の軍用機のエンジンでシャフトを順方向および逆方向に回転させる回転インターシャフトシールが通常、ラビリンス式シールである。
また、軸受空洞近傍の緩衝空気を封止するために、金属ブラシシールをもともと用いていない。軸受潤滑油圧力より高い緩衝空気を加圧することによって軸受潤滑油を封止するために、緩衝空気が用いられる。金属破片が軸受要素(例えばボール、ピンなど)とレースの間の接触面に達し、負荷、ロータ損傷および他の破損を引き起こすおそれがあると考えられることから、金属ブラシシールを用いていない。また、このような領域で用いられる流体シールは、通常、漏れ性の高いラビリンスシールである。漏出経路を介して導入される下流成分および機室空気が汚染されるため、軸受オイルシールにとって漏れ性が高いことは望ましくない。カーボンシールには脆弱特性があり、損傷許容性が低いため、このような用途に適切なカーボンシールが未だ開発されていない。
通常、大型航空機エンジンまたは地上のターボ機械用の大口径のメインシャフト軸受オイルシールが、油汚染を引き起こす隙間の大きいラビリンスシールである。このような用途では、大口径のカーボンシールは費用がかかり、金属ブラシシールには適していない。
非金属ブラシシールの作製にあたり、開発が重ねられているが、金属性の剛毛に代わるポリマー材またはセラミック材を用いると、このような材料から作製されたブラシシールを取り扱って加工することが困難であることから、設計的にも多くの障害に阻まれている。通常のセラミック繊維またはポリマー繊維は、極めて薄く、平均すると直径約2〜3μmである。このような薄さの繊維は、剛毛片を加工するのに適しているとは、もともと考えられていない。例えば、繊維の柔軟性は、要求公差に対してブラシシールの内径(ID)の機械加工を困難にすることがある。
そこで、従来のラビリンス式シールに比して漏れ性を極力低くし、既存の金属ブラシシールより高い温度および/または高い速度下で機能し、容易に加工できる接触シールが必要とされている。
本発明の一実施形態によれば、非金属材から加工される複数の繊維を含む接触ブラシシールであって、前記繊維は長さ(L)に沿って実質的に撚糸状または網状であることを特徴とする接触ブラシシールが提供される。具体的には、前記繊維は、セラミック材またはポリマー材から加工されてもよく、さらに具体的に、一実施形態では、高温適用のためにNOMEX(登録商標)、DuPont社製の合成芳香族ポリアミド重合体から加工される。本願明細書で開示する非金属セラミックブラシシールは、溶融点がニッケル基超合金およびコバルト基超合金よりはるかに高いことから、大抵の条件下でチップが溶解しないようになっている。また、最新式のガスタービンエンジンの逆回転軸受空洞などの高性能軸受に、中温(約500〜700°F)での温度性能を有する柔軟な高力ポリマー繊維で作製されたブラシシールを用いてもよい。
一実施形態によれば、ブラシシールには、複数の金属剛毛と、当該複数の金属剛毛を機械的に保持する支持部材とが備えられる。一配置では、支持部材は、一対の比較的硬い前板および後板と、一対の比較的柔軟な前板および後板を備え、複数の金属剛毛は、例えば柔軟な剛毛パックとして形成され、前板と後板の間に配置される。支持部材は、柔軟な繊維パックに対する剛性度が定められている。一配置では、支持部材は、柔軟な繊維パックがブラシシールシステムの低圧域または高圧域に向かって円錐状となるように、軸方向に対して傾いた状態で柔軟な繊維パックを保持するように構成される。
一配置では、ブラシシールには、長さが同じである複数の金属剛毛と、当該複数の金属剛毛を支持するように配置構成される支持部材とが備えられる。支持部材は、複数の剛毛の長さ方向に沿って少なくとも実質的に延びる少なくとも1つの柔軟板を備える。
一配置では、ブラシシールシステムには、接点ロータおよび回転シャフトが備えられ、当該接触ロータおよび回転シャフトの間には間隙が形成される。また、ブラシシールシステムは、接触ロータと回転シャフトの間に配置され、経路を高圧側と低圧側とに分割するブラシシールを備える。ブラシシールには、長さが同じである複数の金属剛毛と、当該複数の金属剛毛を支持するように配置構成される支持部材とが備えられる。支持部材は、複数の剛毛の長さ方向に沿って少なくとも実質的に延びる少なくとも1つの柔軟板を備える。
一配置では、ブラシシールには、長さが同じである複数のブラシシール部材と、当該複数のブラシシール部材を支持するように配置構成される支持部材とが備えられる。支持部材は、複数の剛毛の長さ方向に沿って少なくとも実質的に延びる少なくとも1つの柔軟板を備える。複数のブラシシール部材は、ブラシシールパックとして構成される。支持部材は、基部に取り付けられ、当該基部に対して軸方向に傾いた状態でブラシシールパックを向けるように配置構成される。
機械的に保持されるブラシシールの斜視図である。 柔軟な前板および後板を備えるブラシシールの設計に関する概略構成図である。 放射状スロットを備える図2の柔軟な前板および後板の概略構成図である。 図2のブラシシールに用いるような撚糸状のNOMEX(登録商標)繊維の写真である。 単一の柔軟板を備える図2の支持部材の構造を示す図である。 繊維パックを高圧域に向かって配置する図2の支持部材の構造を示す図である。 単一の柔軟板を備える図6の支持部材の構造を示す図である。
図面は、例示目的にのみに提供され、本発明の範囲を限定することが意図されないことを理解すべきである。本発明は、図面に示される明確な配置および手段に限定されない。図面は、必ずしも実寸縮尺、強調表示によって示されておらず、本願明細書が開示する原理を例示するにすぎない。
まず、図2に、ロッドまたは芯部材14の周囲で支持される複数のブラシシール部材12を有するブラシストリップまたはブラシパック17を備えるブラシシール10を示す。複数のブラシシール部材12は、セラミック材またはポリマー材(例えば非金属繊維)から形成され、繊維パックを形成することができる。複数のブラシシール部材12は、金属材(例えば金属剛毛)から形成され、剛毛パックを形成することができる。一配置では、ブラシシール部材12は、ブラシストリップ17の一部として機械的に固定保持される。図1に示すように、ブラシシール部材12は、芯部材14の周囲で折り曲げられるか、巻き付けられてもよい。本実施形態では、巻き付けられたブラシシール部材12にチャネル材13を丸めることによって芯部材14にブラシシール部材12をさらに固定するために、従来のチャネル材またはUパッキンなどの締付チャネル材13を利用してもよい。必要に応じてさらに固定するために、機械的に保持された状態のロッド14にブラシシール部材12を接着剤またはセメントで接着してもよい。また、ブラシシール部材12が金属剛毛として形成される場合では、金属剛毛を芯部材14に溶接してブラシシールを形成することができる。
ブラシシール部材12がセラミック繊維またはポリマー繊維として形成される場合、セラミック繊維またはポリマー繊維は、直径が約0.02〜0.05インチの太いフィラメントとなる図4に示すような撚糸状または網状であることが好ましい。以下で説明するように、この網状のフィラメントからブラシシール10を加工することができる。限定しないが、酸化アルミニウム/酸化ケイ素/酸化ホウ素またはNextel(商標)繊維(3M社、セントポール、ミネソタ)、炭化ケイ素繊維、一般にセラミック/金属またはセラミック/セラミック合成物に作製される他のセラミック繊維などの好適な高温セラミックのフィラメントからセラミック繊維を作製してもよい。限定しないが、超高強度のKEVLAR(登録商標)フィラメント、高強度であり中温(約300℃)適用のNOMEX(登録商標)フィラメントなどの好適な高温ポリマー材からポリマー繊維を作製してもよい。KEVLAR(登録商標)およびNOMEX(登録商標)は、DuPont社製の合成芳香族ポリアミド重合体である。当業者が知るように、ブラシシール10用の撚糸状または網状のフィラメントに他の好適なポリマー材を利用してもよい。
一実施形態では、NOMEX(登録商標)は、一般に耐熱特性および耐燃特性が必要とされる用途に対して強度のある繊維に作製されることから、ブラシシール加工にNOMEX(登録商標)を選択することができる。NOMEX(登録商標)は、高張力鋼より同程度以上の強度があるKEVLAR(登録商標)の高温型である。NOMEX(登録商標)の他の一般属性には、以下が含まれる。1)−196〜300℃超にわたる範囲の温度で使用可能である。2)工業的に使用される油、樹脂、接着剤および冷媒に対して安定性がある。3)酸、アルカリおよび溶媒に対する耐化学性がある。4)無害である。5)自消性がある。6)支燃性がある。7)加熱または燃焼時に液化せず、溶解しない。
一実施形態では、ブラシシール加工にNextel(商標)を選択することができる。Nextel(商標)繊維は、極めて薄く、直径約25μm〜0.001インチであり、弾性率が低い。本実施形態では、繊維は、図4に示すように撚糸状にされ、ブラシストリップに加工される。撚糸状のNextel(商標)繊維は、個々の繊維よりはるかに厚く、直径が約900μm〜0.036インチの厚さの撚糸状の繊維であり、従来のオートメーション化されたブラシストリップの製造工程でブラシストリップを作製するのに十分な堅さがある。これにより、以下で説明するように、ブラシシール挿入部分に形成されるか、丸めて挿入されるNextel(商標)ブラシストリップの加工費を減少させる。最新のオートメーション化された機械的に保持するブラシストリップ製造工程が、ブラシストリップを生成するのに適しており、図1に示すように、ブラシシール部材12が、ブラシストリップの軸15に対して約90°に傾き、ロータの表面に対して垂直に配置される。金属ブラシシールに関しては通常、剛毛が回転方向のブラシストリップの長さ方向に対して約0〜45°に傾くことによって柔軟性が得られ、ロータが偏位する際に剛毛を曲げるのに有用である。剛毛が、ブラシストリップの長さ方向やロータの表面に対して垂直である場合、曲がるよりもむしろ潰れやすくなることから、剛毛チップの機械的接触圧(Pmc)が増大する。Pmcが増大すると、剛毛の摩耗が増進され、シールの耐用年数が短くなる。図2に示す一実施形態では、ロータが偏位する際にブラシシール部材12を容易に曲げるように、ブラシ部材パック17は、軸方向、例えば流体の流動方向に(例えばエンジン内の低圧(L)側に向かって)傾く。例えばブラシシール10は、ステータ筐体または第1端に回転シャフト24を取り付けることができ、第2端にロータ26を接触させてインターシャフトシール構造を形成することができる。図2に示すように、柔軟なブラシ部材パック17は、堅い前板および後板34、36に取り付けられた1対の薄い前板および後板30、32を備える支持部材19によって、軸方向に対して傾いた状態に保持される。支持部材19は、ブラシ部材パック17のブラシシール部材12に剛性を幾分付与するように構成される。
ブラシシール10の内径(ID)近傍に位置する薄くて柔軟な前板および後板30、32は、取り付け時に破損しないようにブラシシール部材12を保護し、ブラシ部材パック17を保持するのに有用であり、ブラシ部材パック17を極力燃焼させないようにする。柔軟板30、32は、ブラシシールシステム(例えばエンジン)内の圧力および遠心力に対してブラシ部材パック17を支持することによって、ブラシシール部材12の軸方向および半径方向への移動を制限するのに有用である。ブラシシールシステムが圧力を増大させる場合、前板30はブラシ部材パック17に接触するように構成される薄い金属ストリップから加工されてもよい。したがって、前板30は、ブラシ部材の過剰摩耗を引き起こすロータ26などの回転表面でのブラシシール部材のブローダウンを極力抑える偏流板として機能する。また、柔軟な後板32は、金属シート素材から作製されてもよい。ただし、柔軟な後板32は、前板30より厚くしてもよい。比較的厚い後板32は、圧力下でブラシ部材パック17を支持するように設計されている。
また、図3に示すように、柔軟な前板および後板30、32は、放射状スロット20によってセグメント21に分割してセグメント21を曲げてもよい。柔軟な前板および後板30、32の放射状のセグメント21の設計を最適化することによって、ブラシシールシステムのさまざまな動作状態で発生する圧力差および遠心力によって引き起こされるブラシ部材パック17の移動を制限することができる。例えばブラシ部材パック17は、ブラシシールシステム内の圧力差および遠心力がロータ速度とともに増大すると、軸方向に曲がってしまう。ブラシ部材パック17が軸方向に曲がるのを制限することによって、ブラシシール10の内径(ID)とロータ26の外径(OD)の間の半径隙間または干渉は、エンジンの動作サイクル中(例えばエンジンが偏位した後)に相対的に変化しないように維持される。
柔軟板30および32は、ブラシシール部材の先端領域22のみを露出するために、ブラシシール部材12の所定の長さ38を延長し、取り付けおよび/または取り扱いミスの際に、破損しないようにブラシシール部材12を保護することができる。ブラシシール10は、第1端で回転シャフト24に取り付けられてもよく、第2端でロータ26に接触することができ、回転シャフト24およびロータ26は相対的に反対方向に回転するように構成される。回転シールに関しては、ブラシ部材パック17が柔軟な金属製の後板のセグメント21によって支持されると、遠心力によって生じるブラシシール部材12の応力は極力抑えられる。金属セグメント21は、遠心力による最大曲げ応力に耐えるように設計される。流体の流動方向に対して軸方向に傾いた(例えば円錐状の)前板および後板30、32の間にブラシ部材パック17を固定することによって、前板30はブラシ部材パック17の移動を制限し、ブラシ部材パック17内の応力を極力抑えることができる。
回転する柔軟な金属セグメントで生じる最大曲げ応力値は、以下の実施例のように推定される。以下の実施例は、例示目的にすぎず、本発明の範囲を限定することが意図されない。
柔軟な後板32は、時効硬化Inco 718(密度=0.295lbm/(インチ)およびY.S=130,000psi)から作製されるとする。各指状のセグメント21の大きさは、以下の通りである。
幅=1.0インチ、長さ=0.25インチおよび厚さ=0.05インチ、
各指状のセグメントの質量=1.0×0.25×0.05×0.295lbm=0.0037lbm
各指状のセグメント21の質量中心での表面速度および半径は、以下の通りである。
表面速度=500フィート/秒半径=0.5フィート
各指状のセグメント21に放射状に外向きに作用する遠心力(Fcf)が、以下の通りとなる。
Figure 2010525254
鉛直面に対する指状のセグメント21のカント角=10°である場合、通常、各指状のセグメント21の質量中心に作用する曲げ力(Fn)は、以下の通りである。
Fn=FcfSin10°=1850×0.174=322lbs
[注意:Fcfは、指状のセグメント21の長さ方向に沿って異なり、さらに正確な推定値を求めるためには積分する必要がある。]
したがって、各指状のセグメント21の表面で生じる最大曲げ応力(σmax)は、以下の通りである。
Figure 2010525254
ここで、
Fn=質量中心に作用する垂直力=322lbf
L=指状のセグメントの長さ=0.25インチ
w=指状のセグメントの幅=1インチ
t=指状のセグメントの厚さ=0.05インチ
Figure 2010525254
この応力は、Inco 718の降状応力より十分小さい。回転シールの剛体構造の残部は容易に最適化され、応力を降状応力未満に維持することができる。設計の最適化に関しては、全体構造の詳細な有限要素解析(FEA)が実施される。
本願明細書で開示するように、網状のセラミックブラシシールは、比較的高い温度(約1500°Fより高い)および速い表面速度(約1000フィート/秒より速い)で効果的に動作することができ、さらには一般のオートメーション化された安価なブラシストリップ製造工程によって製造可能であることが理解されよう。柔軟板30、32およびブラシ部材パック17が曲がるのを制限すると、ブラシシールシステムの動作サイクル中にシールの半径隙間または干渉を制限するのに有用となる。
本願明細書で開示するように、実施形態に対してさまざまな改作を実施することが理解されよう。したがって、上記の説明は、本発明を限定するものと解釈すべきでなく、好適な実施形態の例示にすぎない。当業者は、本発明の範囲、趣旨および意図から逸脱しない改作を他にも想定するであろう。
例えば繊維は図4で示すように撚糸状であるが、本願明細書で用いる「撚糸状」という用語は、網目構造または意図的に重ね合わせるか、繊維の長さの少なくとも一部が巻き付けられた構造のいずれも含むことを意味する。さらに、撚糸状の繊維には、本願明細書で開示するもの以外の非金属材を利用してもよい。
上記で図2を参照して説明したように、ブラシシール10は、インターシャフトシール構造として第1端で回転シャフト24(例えば基部)に取り付けられ、第2端でロータ26に接触することができる。このような説明は、例示目的にすぎない。一配置では、ブラシシール10は、固定した筐体に取り付けられ、回転軸の周囲を回転可能なロータに接触する。
上記で図2を参照して説明したように、ブラシ部材パック17は、1対の薄い前板および後板30、32ならびに1対の1対の薄い前板および後板30、32よりも堅い前板および後板34、36を備える支持部材19によって、軸方向に対して傾いた状態で低圧側に向いて保持される。このような説明や図示は、例示にすぎない。一実施形態では、支持部材19は、支持部材19に取り付けられる単一の柔軟板を備える。例えば図5に示すように、ブラシ部材パック17は、堅い前板および後板34、36と、低圧側に接近して配置される金属シート素材から形成されるような単一の柔軟な後板32を備える支持部材19によって、軸方向に対して傾いた状態で低圧側に向いて保持される。例えば後板32は、取り付けの際、破損しないようにブラシシール部材12を保護し、圧力下でブラシ部材パック17を支持するように設計される。さらに一実施形態では、ブラシ部材パック17は、堅い前板および後板34、36と、高圧側に接近して配置される金属シート素材から形成されるような単一の柔軟な前板30を備える支持部材19によって、軸方向に対して傾いた状態で低圧側に向いて保持される。一配置では、柔軟な前板30は、ブラシシール部材12が変形した後に特定の状態に復元するように、ブラシシール部材12に復元力を付与する。
上記で図2を参照して説明したように、ブラシシールパック17は、インターシャフトシール構造として第1端で回転シャフト24(例えば基部)に取り付けられ、第2端でロータ26に接触することができる。ロータが偏位する際にブラシシール部材12を容易に曲げるために、ブラシシールパック17は、流体の流動方向に対して軸方向(つまり円錐状)すなわち低圧(L)側に向いて傾く。このような配置では、遠心力および圧力から引き起こされる柔軟板30、32の純ラジアル振れによって、ブラシシール10は、比較的高い表面速度での制御されたギャップシールとして機能することができる。別の実施形態では、図6に示すように、支持部材19(堅い前板および後板34、36ならびに柔軟な前板および後板30、32)は、ブラシシールパック17を高圧(H)側に向けて軸方向(すなわち、円錐状)に傾ける。このような配置では、ブラシシールシステムが加圧されると、柔軟な前板および後板30、32が傾き、シーリングギャップを閉じるか、ロータ26によってシール接触圧を増大させて漏れ性を低くする。このような配置では、ブラシシール10は、漏れ性の低い接触シールとして比較的低い表面速度で機能することができる。
図6は、堅い前板および後板34、36ならびに柔軟な前板および後板30、32によって、高圧(H)側に向いて軸方向(すなわち、円錐状)に傾いたブラシシールパック17を示す。このような図示は、例示にすぎない。一配置では、支持部材19は、堅い前板および後板34、36ならびに支持部材19に取り付けた単一の柔軟板を備える。例えば図7に示すように、ブラシシールパック17は、堅い前板および後板34、36ならびに金属シート素材から形成されるような柔軟な前板30によって、軸方向に傾いた状態で保持される。システムが圧力を増大させると、前板30はブラシシールパック17に接触するように設計される。このような配置では、前板16aは、ブラシシール部材の過剰摩耗を引き起こすロータ26などの回転表面でのブラシシール部材のブローダウンを極力抑える偏流板として機能する。さらに、前板30は、ロータが偏位した後にブラシシールパック17を封止構造に復元するように、復元力を設けることができる。また一実施形態では、ブラシ部材パック17は、堅い前板および後板34、36と、低圧側に接近して配置される金属シート素材から形成されるような単一の柔軟な後板32を備える支持部材19によって、軸方向に対して傾いた状態で高圧側に向いて保持される。上記に示すとおり、ブラシシール部材12は、金属材から形成され、使用中に支持部材19によって機械的に保持され、支持される。このような機械的に保持される金属ブラシシールは、金属剛毛を溶接する必要性を極力を抑えるか除外してブラシシールを加工することができる。剛毛を形成するのにさまざまな金属材を使用できるが、一実施例では、剛毛はニッケル基とコバルト基の超合金から形成される。このような配置では、金属剛毛は、1200フィート/秒未満の表面速度および約1500°F未満、通常は約1200〜1300°F未満の温度を必要とする用途で使用される。

Claims (23)

  1. 長さが同じである複数の金属剛毛と、
    前記複数の金属剛毛を支持するように構成配置される支持部材と、を備え、
    前記支持部材は、複数の剛毛の長さ方向に沿って少なくとも実質的に延びる少なくとも1つの柔軟板を備えることを特徴とするブラシシール。
  2. 前記少なくとも1つの柔軟板は、前記少なくとも1つの柔軟板の内径側から外径側に向かって延びる1組のスロットを形成し、前記少なくとも1つの柔軟板を複数の柔軟板セグメントに分割することを特徴とする請求項1に記載のブラシシール。
  3. 前記支持部材は、(i)動作環境下の圧力に対して前記複数の金属剛毛を支持するように構成配置される厚い外径部を備え、前記少なくとも1つの柔軟板は、(ii)動作中に、前記複数の金属剛毛に保持力を加えて、前記複数の金属剛毛および動作環境外の物体との接触を保持するように構成配置される薄い内径部を備えることを特徴とする請求項1に記載のブラシシール。
  4. 前記複数の金属剛毛は、剛毛パックを形成し、前記少なくとも1つの柔軟板は、前板および後板を備え、前記前板および前記後板は、前記剛毛パックが移動した後にはね返る方法で、移動状態から元の状態まで前記剛毛パックを弾性的に復元するように構成配置されることを特徴とする請求項1に記載のブラシシール。
  5. 前記前板は、前記前板の内径側から外径側に向かって延びる1組のスロットを形成し、前記前板を複数の柔軟な前板セグメントに分割し、
    前記後板は、前記後板の内径側から外径側に向かって延びる1組のスロットを形成し、前記後板を複数の柔軟な後板セグメントに分割することを特徴とする請求項4に記載のブラシシール。
  6. 前記少なくとも1つの柔軟板は、金属材から形成されることを特徴とする請求項1に記載のブラシシール。
  7. 前記複数の金属剛毛は、剛毛パックとして構成され、前記支持部材は、基部に取り付けられ、当該基部に対して軸方向に傾いた状態で前記剛毛パックを向けるように配置構成されることを特徴とする請求項1に記載のブラシシール。
  8. 前記支持部材は、前記基部に対して軸方向に傾いた状態で前記剛毛パックを向けるとき、高圧側に向かって延びるように前記剛毛パックの前記複数の金属剛毛を配置するように構成配置されることを特徴とする請求項7に記載のブラシシール。
  9. 前記支持部材は、前記基部に対して軸方向に傾いた状態で前記剛毛パックを向けるとき、低圧側に向かって延びるように前記剛毛パックの前記複数の金属剛毛を配置するように構成配置されることを特徴とする請求項7に記載のブラシシール。
  10. ロータと回転シャフトと、
    前記ロータと前記回転シャフトの間には間隙が形成され、前記ロータと前記回転シャフトの間に配置され、経路を高圧側と低圧側に分割するブラシシールと、を備え、
    前記ブラシシールは、
    長さが同じである複数の金属剛毛と、
    当該複数の金属剛毛を支持するように構成配置される支持部材と、を備え、
    前記支持部材は、複数の剛毛の長さ方向に沿って少なくとも実質的に延びる少なくとも1つの柔軟板を備えることを特徴とするブラシシールシステム。
  11. 前記少なくとも1つの柔軟板は、内径側から前記少なくとも1つの柔軟板の外径側に向かって延びる1組のスロットを設け、前記少なくとも1つの柔軟板を複数の柔軟板セグメントに分割する請求項10に記載のブラシシールシステム。
  12. 前記支持部材は、(i)動作環境下の圧力に対して前記複数の金属剛毛を支持するように構成配置される厚い外径部を備え、前記少なくとも1つの柔軟板は、(ii)動作中に、前記複数の金属剛毛に保持力を加えて、前記複数の金属剛毛および動作環境外の物体との接触を保持するように構成配置される薄い内径部を備えることを特徴とする請求項11に記載のブラシシールシステム。
  13. 前記複数の金属剛毛は、剛毛パックを形成し、前記少なくとも1つの柔軟板は、前板および後板を備え、前記前板および前記後板は、前記剛毛パックが移動した後にはね返る方法で、移動状態から元の状態まで前記剛毛パックを弾性的に復元するように構成配置されることを特徴とする請求項10に記載のブラシシールシステム。
  14. 前記前板は、前記前板の内径側から外径側に向かって延びる1組のスロットを形成し、前記前板を複数の柔軟な前板セグメントに分割し、
    前記後板は、前記後板の内径側から外径側に向かって延びる1組のスロットを形成し、前記後板を複数の柔軟な後板セグメントに分割することを特徴とする請求項13に記載のブラシシールシステム。
  15. 前記少なくとも1つの柔軟板は、金属材から形成されることを特徴とする請求項10に記載のブラシシールシステム。
  16. 前記支持部材は、前記回転シャフトに取り付けられ、前記回転シャフトによって定義される回転軸に対して軸方向に傾いた状態で前記剛毛パックを向けるように配置構成されることを特徴とする請求項10に記載のブラシシールシステム。
  17. 前記支持部材は、前記回転シャフトによって定義される前記回転軸に対して軸方向に傾いた状態で前記剛毛パックを向けるとき、高圧側に向かって延びるように前記剛毛パックの前記複数の金属剛毛を配置するように構成配置されることを特徴とする請求項16に記載のブラシシールシステム。
  18. 前記支持部材は、前記回転シャフトによって定義される前記回転軸に対して軸方向に傾いた状態で前記剛毛パックを向けるとき、低圧側に向かって延びるように前記剛毛パックの前記複数の金属剛毛を配置するように構成配置されることを特徴とする請求項16に記載のブラシシールシステム。
  19. 同じ長さである複数のブラシシール部材と、
    前記複数のブラシシール部材を支持するように構成配置される支持部材と、を備え、
    前記支持部材は、複数の剛毛の長さ方向に沿って少なくとも実質的に延びる少なくとも1つの柔軟板を備え、前記複数のブラシシール部材は、ブラシシールパックとして構成され、前記支持部材は、基部に取り付けられ、当該基部に対して軸方向に傾いた状態でブラシシールパックを向けるように配置構成されることを特徴とするブラシシール。
  20. 前記支持部材は、前記基部に対して軸方向に傾いた状態で前記ブラシシールパックを向けるとき、高圧側に向かって延びるように前記ブラシシールパックの前記複数のブラシシール部材を配置するように構成配置されることを特徴とする請求項19に記載のブラシシール。
  21. 前記支持部材は、前記基部に対して軸方向に傾いた状態で前記ブラシシールパックを向けるとき、低圧側に向かって延びるように前記ブラシシールパックの前記複数のブラシシール部材を配置するように構成配置されることを特徴とする請求項19に記載のブラシシール。
  22. 前記複数のブラシシール部材は、金属剛毛を備えることを特徴とする請求項19に記載のブラシシール。
  23. 前記複数のブラシシール部材は、非金属繊維を備えることを特徴とする請求項19に記載のブラシシール。
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