JP2010523618A - 神経保護作用を提供するための高圧条件の使用 - Google Patents

神経保護作用を提供するための高圧条件の使用 Download PDF

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Abstract

3atm(0.3MPa)未満の高圧条件下で投与される希ガス、特にはキセノン及び/又はヘリウムが、神経保護作用、特には頭部及び/又は脊柱に衝撃傷害を受けた患者に神経保護作用を提供するのに用いられる。

Description

本発明は、神経保護作用、特には頭部又は脊柱の衝撃傷害から生じる神経損傷に対して神経保護作用を提供するための、高圧条件の使用、特には高圧条件下における希ガスの投与に関する。
外傷性脳損傷(TBI)の満足のいく治療は、臨床上満たされていない主要なニーズの典型である。アメリカ合衆国単独で、毎年約150万人がTBIを患っていると見積もられている。そのうち少なくとも15%が入院し、3%が死亡する。入院しかつ生存している人のうち約80,000人に関しては、損傷が長期障害の発症の前兆となる。損傷しているが入院していない多くの人は、重大なヘルスケアの問題を抱える可能性もある。
外傷性脳損傷を治療する方法を開発する上での困難の1つは、最初の損傷とその後の病理学的展開との間の非常に異質の性質にある。深刻な生命にかかわる頭部の外傷は、軽度の打撲に続いて起こるものとは異なる損傷発症メカニズムを不可避的に伴う。それにもかかわらず、多くの共通の神経的かつ生化学的なメカニズムが伴うと考えられる。一次的な損傷が血管系と神経組織の両方に即時の物理的なダメージを引き起こす一方で、中でも、虚血、脳浮腫及び軸索切断による複雑な一連の相互作用的な損傷が続くと一般的に言われている。これらのプロセスが「二次的な」損傷を発生させるという事実は、損傷の発生を阻むか又はその影響を最小限に抑える医療を考案しうる希望をいくらか与えている。
キセノンは、50年もの間にわたってその麻酔特性が知られている希ガス(したがって一般的には化学的に不活性なガス)である。キセノンがNMDA受容体の効果的なアンタゴニストであるとの発見以来、神経保護剤としてのその可能性のある使用への関心が高まっている。キセノンは種々の生体外及び生体内モデルにおいて神経損傷を低減することが示されており、脳内にすぐに導入できかつ代謝できないという事実を含む多くの魅力的な特徴を有する。キセノンは、低酸素症及び/又は虚血を伴うモデルにおいて効果的であることが示されている。
国際公開第01/08692号パンフレットは、神経保護剤、シナプス可塑性の抑制剤、及びNMDA受容体アンタゴニストとしてのキセノンの使用を開示している。NMDA受容体活性化は、頭部外傷、脳卒中、及び心停止に続く低酸素症及び虚血の結果であり、NMDA受容体アンタゴニストは、虚血、脳外傷、神経障害性の状態、及び特定の種類の痙攣を含む多くの臨床的に意義のある状況下で神経を保護することが示されている。
国際公開第03/092707号パンフレットは、心肺バイパス法と関連した神経学的欠損を制御するためのキセノンの使用を開示している。
国際公開第05/003253号パンフレットは、麻酔薬による1つ又は複数の神経学的欠損を治療、抑制及び/又は軽減するための薬剤の調製においてキセノンを使用することを開示している。
第1の態様によれば、本発明は、神経保護作用を提供するための、高圧条件下で投与するための薬剤の製造における希ガスの使用を提供する。
驚くべきことに、穏やかな高圧条件下でキセノンを投与することで、神経保護効果が有意に向上することが見出された。さらに、他の希ガス、例えば、ヘリウムを、特には高圧条件下で投与することによっても同様に、有意な神経保護効果が得られることが見出された。本発明者らの知る限り、高圧条件の神経保護効果やこのような条件下で神経保護作用を提供するキセノン以外の希ガスの能力については、これまで示唆も予測もされていない。
希ガスは、周期表の18族に見出される元素からなり、すなわち、現在知られている希ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン及びラドンである。
本明細書で用いられる場合には、「神経保護作用」という語は、損傷、例えば、虚血性損傷又は外傷性損傷の部位の神経体、例えば、神経細胞を保護することを意味する。「高圧条件下での投与」という語は、患者を高圧環境にさらしながら、例えば、患者が高圧室の中にいるときに患者に投与することを意味する。「高圧」及び「常圧」という語は、当技術分野の通常の意味を有し、すなわち、常圧は約1atm(海面における通常の大気圧、約0.1MPa)に等しい圧力を意味し、高圧は常圧よりも高い圧力を意味する。
好ましい実施態様では、神経保護作用は、衝撃傷害から生じる神経損傷に対するものである。
好ましい実施態様では、高圧条件は、約3atm(0.3MPa)以下の圧力を構成する。より好ましくは、高圧条件は、約1.5atm(0.15MPa)〜約2.8atm(0.28MPa)、さらにより好ましくは約2.0atm(0.20MPa)〜約2.5atm(0.25MPa)、最も好ましくは約2.2atm(0.22MPa)〜約2.3atm(0.23MPa)の圧力を構成する。
薬剤は、吸入又は模擬吸入による投与のためのガス状薬剤であることが好ましい。あるいはまた、希ガスがキセノンである場合には、薬剤は、注射によって静脈投与することができるか又は当技術分野で公知であるように経皮投与することができる。本明細書で用いられる場合には、「模擬吸入」という語は、患者が補助されずには呼吸しないか又は呼吸できない状況、それゆえ(人工心肺装置又は心肺バイパス装置としても知られている)人工心肺又は類似の装置にかけられている状況を言うものである。このような状況では、ガス状薬剤は、人工心肺の酸素供給器に投与され、当該人工心肺が酸素(及び希ガス)を患者から取り出した血液中に拡散させ(そして二酸化炭素を当該血液から拡散させ)る上で患者の肺の機能をシミュレートする。次いで、酸素を多く含む血液が患者に送り戻される。
好ましい実施態様では、希ガスはキセノン、ヘリウム、又はキセノンとヘリウムの混合物である。希ガスがキセノンを含む場合には、投与された薬剤中のキセノンの分圧は、好ましくは約0.8atm(0.08MPa)以下である。好ましくは、投与された薬剤中のキセノンの分圧は、約0.1atm(0.01MPa)〜約0.7atm(0.07MPa)、より好ましくは約0.2atm(0.02MPa)〜約0.6atm(0.06MPa)、最も好ましくは約0.4atm(0.04MPa)である。希ガスがヘリウムを含む場合には、投与された薬剤中のヘリウムの分圧は、投与された薬剤の全圧を上記の好ましい高圧条件に等しい圧力にするのに必要であるようなものであることが好ましい。
1つの実施態様では、希ガスは、約1atm(0.1MPa)の空気分圧を有する投与薬剤を提供するように空気と混合される。これは、高圧の混合物を与えるように常圧の空気に希ガスを加えることによって達成される。希ガスがキセノンのみである実施態様では、薬剤は約1.2atm(0.12MPa)〜約2atm(0.2MPa)、より好ましくは約1.4atm(0.14MPa)〜約1.8atm(0.18MPa)の圧力で投与されることが好ましい。これによって上記の好ましい分圧よりもわずかに高いキセノン分圧を得ることができるが、本発明者らは、これは全体的な高圧条件の有利な効果によって釣り合いが取られることを見出した。全体的な高圧条件は、この場合、上記のとおり、一般的に最も好ましい高圧条件よりもわずかに低いことが好ましい。なぜなら、本発明者らはまた、用いられるキセノンの量が多すぎると、驚くべきことに、キセノンは神経毒性作用を示す場合があることを見出したからである。
別の実施態様では、希ガスは、約0.8atm(0.08MPa)に等しいか又はそれよりも低い窒素分圧を有する投与薬剤を提供するように酸素を含むガス又はガス混合物と混合される。好ましくは、投与薬剤は、約0.4atm(0.04MPa)よりも低い窒素分圧を有し、最も好ましくは、ガス混合物は本質的に窒素を含まない。本発明者らは、窒素が神経損傷に悪影響を及ぼすようであることを見出したので、このガスの存在は最小限に抑えることが好ましい。
好ましくは、投与薬剤中の酸素分圧は約0.2atm(約0.02MPa、すなわち、常圧の空気中の酸素分圧と同じ)である。
第2の態様によれば、本発明は、神経保護作用を必要とする患者を高圧環境に置くことを含む神経保護作用の提供方法を提供する。
上で示したとおり、驚くべきことに、高圧条件それ自体が神経保護効果を有することが見出された。さらに、この神経保護効果は十分に強いものであり、特定の圧力範囲内では、たとえ高圧条件が希ガスの添加なしに、その代わりに(上記のように神経損傷に悪影響を及ぼすことが見出された)窒素含有ガスを添加することによって達成されたとしても、高圧条件は、窒素への曝露の増加にもかかわらず神経保護効果が向上するのに十分なものであることが見出された。
したがって、1つの実施態様では、高圧環境は、高圧の空気からなることができるか又は空気と添加された窒素の高圧混合物からなることができる。高圧環境が患者によって吸入される常圧の空気と添加された窒素の混合物からなる場合には、高圧環境の圧力は約2.8atm(0.28MPa)以下であることが好ましい。
しかしながら、より好ましい実施態様では、本方法は、患者が高圧環境にいる間に希ガスを患者に投与することをさらに含む。
高圧条件、治療条件、並びに希ガスを含むガス又はガス混合物の組成及び投与圧力などしかしそれらに限定されない本発明の第2の態様の他の好ましい特徴は、本発明の第1の態様に関連して上で述べたとおりである。
第3の態様によれば、本発明は、人又は動物の患者を収容するのに適した高圧室と、キセノンを保持する容器と、該キセノンを該高圧室内の患者に供給するための手段とを含む装置を提供する。
この装置は、特には、キセノンを含む希ガスを投与することを含む本発明の第2の態様の方法を実施するのに適している。
1つの実施態様では、キセノン供給手段は、患者によるキセノンの吸入を可能にするように、容器への出口と連通しているフェースマスク又はマウスピースを含む。
別の実施態様では、キセノン供給手段は、容器からのキセノンを高圧室内部の雰囲気と混合させる導管を含む。
さらなる実施態様では、キセノン供給手段は人工心肺を含む。このような装置の操作は上で簡潔に記載されている。
本発明は、図面を参照して、限定的でない例によって以下にさらに説明される。
脳器官スライスにおいて再現可能な局所損傷を引き起こすのに用いられる実験装置を、概略図(A)とその部分拡大図(B)の両方で示している。 外傷後72時間で、一方は局所外傷があり、他方は局所外傷がないヨウ化プロピジウム(PI)で染色された2つの海馬スライスに関する蛍光強度の分布を示すグラフであり、外傷がない海馬スライス(左上)と外傷がある海馬スライス(右下)の蛍光像、及び70%エタノールで透過処理した細胞のヨウ化プロピジウム染色のグラフ(右上)も示されている(挿入図)。 局所損傷の部位を含む損傷の発現(「全体損傷」)を示す棒グラフ(A)と局所損傷の部位を除く損傷の発現(「二次的損傷」)を示す棒グラフ(B)である。 全体損傷の発現に関するヘリウム及び窒素の付加された圧力の効果を示すグラフである。 全体損傷の発現に関するキセノンの付加された圧力の効果を示すグラフである。
キセノン及び他のガスの特性は、([実施例]で以下により詳細に説明される)外傷性脳損傷の生体外モデルにおいて調べた。選択されたモデルは、培養された海馬脳スライスのCA1領域に集中した局所の物理的外傷を作ること、及びヨウ化プロピジウム染色を用いて神経損傷を評価することを伴っていた。脳器官スライスにおいて局所損傷を引き起こすのに用いられた装置が図1に示される。小さなソレノイドが極微操作装置を用いて配置された培養海馬スライスの5mm上にスタイラスを保持している。光ファイバー光源が下からスライスを照らす。図1(B)で示されるように、スタイラスは、ガラス毛管において拘束され、海馬のCA1領域の真上に配置される。
培養液中で2週間後の海馬脳スライス、いわゆる器官スライスは、そのシナプス接合が生体内の状態を少なくともある程度反映する不均一な細胞集団を維持している。それらは解離細胞培養物を用いるモデルと無傷動物を用いるモデルとの間の好都合な妥協を示している。局所外傷、それに続くゆっくりと発現する二次的な損傷の性質は、生体内の状態と十分密接な関係を有し、可能性のある処理を試験するのに有用なモデルを提供する。モデルの限定は、虚血及び/又は低酸素症の結果としての又は全身性パラメータ(例えば血圧)における変化の結果としてのいかなる損傷経路も排除し、主として損傷の機械的な構成要素に焦点を合わせるものである。しかしながら、キセノンは、低酸素症及び虚血を伴うモデルにおいて効果的であることが既に示されているのに対し、それが脳外傷の本モデルにおいて特定の有効性を示すか否かについては知られていなかった。
図2は、ヨウ化プロピジウム(PI)で染色された2つの海馬スライスに関する蛍光強度の分布を示す。一方のスライスは局所外傷があり、他方のスライスは局所外傷がなく、これらの画像は、外傷後72時間で撮像された。PIはダメージを受けた細胞膜を有する細胞にのみ流入することができる膜不透過性染料であり、それはDNAと結合して強い蛍光を発し、それゆえ蛍光発光の観点で細胞損傷を定量するのに用いることができる。図2で示されるように、外傷によって、強度分布において顕著な右方向のシフトが生じた。
図3A及び3Bは、経時的な海馬スライスにおける損傷の発現を図に示している。図3Aは局所損傷の部位を含む損傷の発現を示し(「全体損傷」)、図3Bは局所損傷の部位を除く損傷の発現を示している(「二次的損傷」)。黒塗りの棒グラフは37℃で保持したスライスに関して得られたデータ表し、一方で、白抜きの棒グラフは32℃で保持したスライスに関して得られたデータを表す。「外傷なし」と付された棒グラフは、外傷性損傷がない脳スライスからのデータを表している。図3Aの破線は(37℃)72時間後の制御条件下での全体損傷を表し、それは(以下により詳細に説明されるように)1に標準化されている。誤差線はSEM(標準誤差)であり、そのデータは12個のスライスの平均からのものである。
損傷から数時間以内で、明るい点状のヨウ化プロピジウム染色が明白となり、神経損傷とよく相関することが示されている染色のパターンを形態学的変化によって評価した。損傷は時間とともにゆっくりと増加し、24時間から72時間の間に約2倍になった(図3A)。損傷の焦点に中心を置くスライス領域を分析から除外すると、損傷の発現は非常により劇的であった。物理的外傷の部位とは異なるこの二次的損傷は、ベースラインのレベルから始まり、次第に増加した(図3B)。
この二次的損傷と外傷の焦点に近い領域を含む全体損傷との間の相違は、脳スライスを中等度低体温に等しい温度にさらす効果を調べた場合に特に顕著であった。外傷に続いて脳スライスを32℃で培養した場合に、二次的損傷はほぼ完全になくなった(図3B)。対照的に、このレベルの低体温は、おそらく局所外傷によって生じた初期の物理的損傷が取り消しできないものであるため、より限られた程度だけ全体損傷を低減した(図3A)。
低体温の神経保護効果は、よく知られており、損傷の種々の実験モデルにおいて示されている。実際、同様の観測は本明細書で用いられるものと同等のモデルを使用する前になされているが、低体温が一次的損傷よりもむしろ二次的損傷に対してはるかにより有効であるという知見は、先の研究における知見のさらに一歩先を行くものである。
一貫性及び再現性のある損傷を作り出す試験プロトコルを確立して、種々の他の因子の効果を調べた。最も驚くべきことには、脳スライスをヘリウムの付加された圧力(ヘリウムを常圧の空気に加えて高圧環境を与える)にさらすことで強い神経保護作用が得られることが見出された(図4)。図4は、全体損傷の発現に関するヘリウム及び窒素の付加された圧力(空気1atm(0.01MPa)に付加された圧力)の効果を示している。ヘリウムの効果は白抜きの丸印として示され、窒素の効果は黒塗りの丸印として示される。実線は目分量で描いたものである。誤差線は14個のスライスの平均に関する標準誤差(SEM)である。
ヘリウムを付加した効果は、幾つかの理由から、付加された圧力自体の効果であると考えられる。高圧でさえ、ヘリウムは、生物組織におけるその非常に低い溶解性のために直接的な薬理作用を発揮する可能性が低いことが広く認知されている。実際、ヘリウムの効果は、静水圧の効果と直接的に比較した場合に、観測される如何なる効果も圧力自体によるものであるとほとんど常に結論されている。高圧の興奮作用(いわゆる高圧神経症候群)はダイバー達の間でよく知られているが、これらの作用は、本研究において用いられる圧力よりもわずかに高い圧力で一般に起こるものである。それにもかかわらず、神経細胞の興奮性に関する有意な効果は、本明細書で用いられる圧力範囲について生体外系を用いて説明されている。圧力の効果は複雑であるが、1つの一致した知見は、神経伝達物質の放出が抑制される可能性が最も高いために興奮性シナプスが抑制されるということである。グルタミン酸塩のレベルの低下は、興奮毒性を軽減する傾向があるため、神経保護的である。何ら特定の理論に束縛されるものではないが、このことは、最大2気圧(0.2MPa)の付加圧力で神経保護作用が観測されたことに基づいていると考えられる。
これらの低い圧力におけるヘリウムはそれ自体では何ら効果を発揮しないようであることを考慮すると、ヘリウムを窒素で置換した場合に起こる非常に悪い損傷の結果(図4)は、おそらくは窒素自体の幾らか有害な作用によるものである。図4の破線は、窒素レベルの増加自体の理論的影響を与える(すなわち、圧力増加の同時作用を除外する)ために、窒素の効果から(圧力自体の効果であると考えられる)ヘリウムの効果を差し引くことで構成されている。
窒素はヘリウムよりも非常に高い脂溶性を有し(脳組織へのより高い分配を意味する)、かつ窒素酔いの効果は数気圧でも顕著であるので、低圧の窒素でさえ、幾らかの薬理作用が発揮されることはおそらく驚くべきことではないが、それが有益であるか有害であるかを予測することはできない。実際、窒素が有害である場合には、ヘリウムでそれを置換することで、常圧でさえ、また常圧の窒素分圧の図4における破線から予測できる有害効果に対して逆の分だけ神経保護的であるはずである。この実験を実施した場合に、窒素の代わりにヘリウムを含む常圧の空気にさらした脳スライスにおける損傷(72時間後)の観測レベル(0.67±0.10)は、実際、理論的に予測されるもの(0.75)に非常に近いものであった。
全体損傷の発現に関するキセノンの付加圧力の効果も同様に調べた。その結果を図5に示す。図5の破線は、キセノンレベルの増加自体の理論的影響を与える(すなわち、圧力増加の同時作用を除外する)ために、キセノンの効果から(圧力自体の効果であると考えられる)ヘリウムの、図4で描かれる効果を差し引くことで構成されている。誤差線は13個のスライスの平均に関する標準誤差(SEM)である。図5のデータによって示されるように、キセノンは、低圧で顕著な神経保護作用を示したが、用いた最も高い圧力では毒性を示した。これらの特徴、すなわち、神経保護作用と毒性の両方は、図5の破線で示されるようにキセノン自体によるものである。キセノンの毒性はこれまで報告されていないが、本発明者らの知る限りでは、このような高レベルのキセノンはこれまで試験されていない。
上記の調査のさらなる詳細を以下に与える。
[材料及び方法]
特に断りのない限り、すべての化学物質は、シグマ・ケミカル社(英国ドーセット州、プール)から得た。
[海馬器官スライス]
器官海馬スライス培養物は、幾つかの変更を条件として、「A simple method for organotypic cultures of nervous tissue」J Neurosci Methods 1991;37:173−82においてStoppini Lらによって報告されているようにして調製した。簡単に言うと、7日齢のC57/BL6マウスの赤ん坊(英国オックスフォードシャー州、ビスターのハーランUK社)から脳を取り出し、氷冷「調製」培地に入れた。調製培地は、ゲイ緩衝塩類溶液と5mg/mlのD−グルコース(英国ドーセット州、プールのBDHケミカルズ社)を含んでいた。海馬を脳から取り出し、400μmの厚さの横スライスをMcIllwain組織切断器を用いて調製した。スライスを氷冷調製培地に移し、優しく引き離し、次いで、6ウエル組織培養プレートに挿入された組織培養インサート(Millicell−CM、マサチューセッツ州、ビレリカのミリポア社)上に置いた。ウエルは、50%の最小必須培地イーグルと、25%のハンク緩衝塩類溶液と、25%の不活性化ウマ血清と、2mMのL−グルタミン酸と、5mg/mlのD−グルコース(BDH)と、1%の抗生物質−抗真菌剤懸濁液とからなる「成長」培地を含んでいた。スライスを95%空気/5%CO2の加湿雰囲気中37℃で培養した。成長培地を3日ごとに交換した。実験は、培養液中で14日後に実施した。
[外傷性損傷及び高圧ガス室]
海馬スライスを培養液中に14日間置いた後、成長培地を「実験」培地に交換した。実験培地は、血清を含まないものであり、75%の最小必須培地イーグルと、25%のハンク緩衝塩類溶液と、2mMのL−グルタミン酸と、5mg/mlのD−グルコースと、1%の抗生物質−抗真菌剤懸濁液と、4.5μMのヨウ化プロピジウムとから構成した。
スライスに対する外傷は、刊行物の記載(Adamchik Yらの「Methods to induce primary and secondary traumatic damage in organotypic hippocampal slice cultures」Brain Res Brain Res Protoc 2000;5:153−8及びAdembri Cらの「Erythropoietin attenuates post−traumatic injury in organotypic hippocampal slices」J Neurotrauma 2004;21:1103−1220,21)に基づく特別に設計された装置(図1)を用いて作成した。立体顕微鏡下で、3軸極微操作装置を用いて海馬のCA1領域の5mm上にスタイラスを配置した。小さな電磁石に対する電源を切った場合に、スタイラスをスライス上に3.5μJの衝撃で落とした。このエネルギーは、組織上に落としたスタイラスが跳ね返らないように選択し、これによって一貫性及び再現性のある局所的な外傷性損傷を作り出した。スタイラスの末端部はスライスの穿孔を防ぐために滑らかでかつ丸みを帯びており、衝撃によって750±17μm(平均±標準偏差(SD))の直径を有する局所的損傷が得られた。
CA1領域に外傷を与えた後、培養トレイを急速ガス混合のための高速ファンを含む小型圧力室に移した。圧力室は、最大6気圧の一定圧力を数日間維持することができるものであった。圧力室は、常温試験のための37℃又は中等度低体温で実験するための32℃にセットされた定温器中に保管した。続いて、圧力室(ガス量0.925リットル)を、加湿制御ガス(95%空気及び5%CO2)により5リットル/分で5分間フラッシングし、99.99%超のガス置換を確実にした。フラッシング後、圧力室を封止し、これらの条件下のスライスは、「損傷標準」(75%窒素/20%酸素/5%CO2)とみなした。
高圧条件下の実験に関し、圧力室を95%空気/5%CO2の1気圧(0.1MPa)に加えて付加された実験ガス(0.25atm(0.025MPa)〜2atm(0.2MPa)のキセノン、ヘリウム又は窒素)で加圧し、次いで封止した。常圧条件下でのヘリウム及びキセノンの効果を試験するために、圧力室を、75%ヘリウム/20%酸素/5%CO2又は75%キセノン/20%酸素/5%CO2を含有する加湿ガス混合物で5分間フラッシングし、次いで封止した。
圧力室において24時間後、スライスを(以下でより詳細に説明されるように)蛍光顕微鏡で撮像した。撮像が完了した後、スライスを圧力室に戻し、適切なガス混合物及び圧力を再び確立した。この手順を外傷後48時間と72時間で繰り返した。すべてのガス混合物及びすべての圧力に関し、酸素と二酸化炭素の分圧はそれぞれ0.2atm(0.02MPa)と0.05atm(0.005MPa)で固定した。
[細胞損傷の定量]
ヨウ化プロピジウム(PI)は、ダメージを受けた細胞膜を有する細胞にのみ流入する膜不透過性染料である。細胞の内部で、それは主としてDNAと結合して強い蛍光を発し、可視スペクトルの赤色領域においてピーク発光スペクトルを有する。落射照明顕微鏡(Nikon Eclipse 80、英国サリー州、キングストン・アポン・テムズ)及び低倍率対物(2×)レンズを使用してPI蛍光発光を視覚化した。デジタルビデオカメラ及びソフトウェア(Micropublisher 3.3 RTVカメラ及びQCapture Proソフトウェア、カナダ、ブリティッシュコロンビア州、バーナビー)を使用して画像を記録した。画像は、ImageJソフトウェア(http://rsb.info.nih.gov)を用いて分析した。赤色、緑色及び青色のチャンネルを記録したが、赤色のチャンネルのみ使用し、強度分布を256の強度レベルでヒストグラムとしてプロットした。
(95%空気及び5%CO2により圧力室において37℃で72時間培養する)標準の制御条件下のスライスは、強度分布において明確なピークを示し(図2)、それはゼロまで急激に落ちている。対照的に、外傷後、強度分布におけるピークはより低く、よりブロードでかつより高い強度レベルにシフトした(図2)。
外傷の測定として、150の強度閾値よりも上の画素数を積分し(図2の矢印と破線で示される)、用いた実験条件下で、PI蛍光発光の、それゆえ細胞損傷のしっかりとした定量測定を与えた。次いで、損傷を、制御条件(75%窒素、20%酸素及び5%CO2;1atm(0.1MPa);及び37℃)下で72時間後に観測され、1に標準化された全体損傷に対して表現することができる。したがって、例えば、特定の組の試験条件下で、(上記のように計算した)150の強度閾値よりも上の積分画素数が制御条件下にあるものの半分である場合には、このような試験条件によって作られる損傷は0.5の標準化された損傷として特徴付けられる。
2つの異なる損傷の測定、すなわち、スライス全体にわたる蛍光発光の増加として規定される「全体」損傷と、スライス全体であるが局所損傷をカバーする領域を除く蛍光発光の増加である「二次的」損傷とを使用した。局所損傷をカバーする領域は、積分の前に画像の局所損傷のエリアをマスクすることによって除外した。マスクは、1000mmの直径を有する円(図2の下方の画像における破線の円によって外形が描かれる)であり、それは局所損傷の領域をカバーするのに十分大きい。
水銀ランプからの光出力が時間の経過とともに変化するため、これを考慮して露光時間を調整した。これは、ガラススライドスタンダード(Fluor−Ref、バーモント州、ブラトルボローのオメガオプティカル社)からの蛍光発光を記録すること、及びそれに応じて露光時間を調整することによって行った。
[結果]
局所損傷の作成の3時間以内で、損傷部位における蛍光発光の増加が明らかであり、これはこの領域におけるほとんど即座の細胞損傷を示すものである。蛍光発光強度は続いてしかしながら、局所損傷の領域内並びに損傷部位とは異なる脳スライスの領域(「二次的」損傷)の両方でゆっくりと増加した。PI蛍光発光のゆっくりと展開する増加は、すでに死んだ細胞に結合するPIの増加というよりはむしろ細胞損傷の増加によるものであった。これは、細胞をエタノールによって透過処理した場合に、PI結合が非常に迅速であり(約7分のハーフタイム)、平衡が約30分後に完了することを示す図2の挿入図のデータから推定することができる。対照的に、外傷後の細胞損傷はゆっくりと進行し、調査した最も長い時間の点である損傷後少なくとも72時間にわたり増加が続く。
図3Aの黒塗りの棒グラフは、経時的な37℃での全体損傷の増加を示し、72時間で観測した損傷に対して標準化され、一方で、図3Bの黒塗りの棒グラフは、同じスライスに関する損傷を示しているが、局所損傷は分析から除外している。(「外傷なし」と付された)外傷性損傷がない場合のダメージはすべての時間の点でごくわずかであった。図3Aと図3Bのデータを比較すると、二次的損傷が、時間の経過とともに全体損傷の増加の割合を構成していることがわかる。
中等度低体温(32℃)では、24時間後の損傷の発現が大きく低減した。図3Aの白抜きの棒グラフは、経時的な全体損傷の発現が32℃では非常に低く、それゆえ、それに比例して低体温による保護は時間の増加とともにより大きくなったことを示している。例えば、24時間では、低体温は全体損傷を約46%低減し、一方で、72時間では、低体温は損傷を62%低減した。図3Bは、二次的損傷に関する低体温の効果を示している。損傷の局所部位が除外される場合、損傷の低減における低体温の効果はさらにより顕著であることがわかる。72時間では、例えば、損傷は96%以上低減されている。
一貫性及び再現性のある損傷を作り出すプロトコルを確立して、損傷の発現に関する希ガス、ヘリウムの効果を調べた。その結果を図4に与える。図4では、白抜きの丸印は、付加されたヘリウムの約1atm(0.1MPa)までの圧力に関して損傷が低減したが、ヘリウムのより高い圧力が加えられると、損傷は悪化し、約2atm(0.2MPa;約3atm(0.3MPa)の全圧)の付加圧力で制御レベル付近に戻った。次いで、ヘリウムを窒素で置換したことを除いて、実験を繰り返した。定性的には、窒素の効果はヘリウムで観測したものと非常に類似していたが(図4の黒塗りの丸印)、すべての圧力で、結果はかなり悪化した。
ヘリウムはこれらの低い圧力では薬理作用を発揮する可能性がほとんど低いことから、ヘリウムで観測された効果は圧力自体によるものであると結論することが妥当である。これに基づいて、(圧力の効果から独立した)増加した窒素レベルの理論的効果は、窒素の付加された圧力の効果から(付加された圧力自体の効果を構成する)ヘリウムの効果を差し引くことで算出した(図4の破線)。したがって、窒素は、量の増加とともにほぼ直線的に弊害をもたらすことがわかる。したがって、常圧条件下で空気中の窒素をヘリウムに置換した場合、ヘリウムが空気中に通常存在する窒素の悪影響を置換するのであれば、ヘリウムは神経保護的であると予想される。この予想を75%ヘリウム/20%酸素/5%CO2の混合物を用いて試験し、72時間後の標準化された損傷の観測された度合い(0.67±0.10)は、実際、単に窒素なしで予想されるもの(0.75)に近いものであることが見出された。
次に、神経損傷の種々の生体外及び生体内モデルにおいて神経保護特性を有することが上記のとおり知られているキセノンの効果を調べた。その結果を図5に与える。図5では、キセノンの付加された低い圧力は顕著な神経保護作用を提供するが、試験した最も高い圧力ではこれが逆転し、かなりの神経毒性が観測されたことを示している。
上で概説した論理に従って、(圧力の効果から独立した)増加したキセノンレベルの理論的効果も同様に、(圧力自体の効果であると結論される)ヘリウムの効果を差し引くことで算出することができる。この算出の結果は、図5において破線として示される。この分析の妥当性も同様に、常圧条件下で75%のキセノンで得られる神経保護作用を測定することによって試験することができる。予測される保護は、(図5の破線から算出される)キセノンのこのレベルで予測されるものに、窒素をキセノンで置換した場合におけるように(図4の破線から算出される)同じレベルでの窒素の有害効果を除去するという利点を加えたものである。72時間後の損傷の予測レベルは0.59と算出され、損傷の観測された度合いは0.50±0.04であることが見出され、予測値と実験値の間に妥当な一致がある。
本発明は、種々の具体的な実施態様を参照して説明されたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく変更及び改良が可能であることが理解されよう。

Claims (25)

  1. 神経保護作用を提供するための、高圧条件下で投与するための薬剤の製造における希ガスの使用。
  2. 前記神経保護作用が、衝撃傷害から生じる神経損傷に対するものである、請求項1に記載の使用。
  3. 前記高圧条件が約3atm(0.3MPa)以下の圧力を構成する、請求項1又は2に記載の使用。
  4. 前記薬剤が、吸入又は模擬吸入による投与のためのガス状薬剤である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
  5. 前記希ガスが、キセノン、ヘリウム、又はキセノンとヘリウムの混合物である、請求項4に記載の使用。
  6. 前記希ガスがキセノン又はキセノンとヘリウムの混合物であり、投与された薬剤中のキセノンの分圧が約0.8atm(0.08MPa)以下である、請求項5に記載の使用。
  7. 前記希ガスが、約1atm(0.1MPa)の空気分圧を有する投与薬剤を提供するように空気と混合される、請求項4〜6のいずれか1項に記載の使用。
  8. 前記希ガスが、約0.8atm(0.08MPa)に等しいか又はそれよりも低い窒素分圧を有する投与薬剤を提供するように酸素を含むガス又はガス混合物と混合される、請求項4〜6のいずれか1項に記載の使用。
  9. 前記ガス混合物が本質的に窒素を含まない、請求項8に記載の使用。
  10. 投与薬剤中の酸素分圧が約0.2atm(0.02MPa)である、請求項8又は9に記載の使用。
  11. 神経保護作用を必要とする患者を高圧環境に置くことを含む、神経保護作用の提供方法。
  12. 前記神経保護作用が、衝撃傷害から生じる神経損傷に対するものである、請求項11に記載の方法。
  13. 前記高圧環境が約3atm(0.3MPa)以下の圧力を構成する、請求項11又は12に記載の方法。
  14. 前記患者が前記高圧環境にいる間に希ガスを該患者に投与することを含む、請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記薬剤が、吸入又は模擬吸入によって投与される、請求項14に記載の方法。
  16. 前記希ガスが、キセノン、ヘリウム、又はキセノンとヘリウムの混合物である、請求項5に記載の方法。
  17. 前記希ガスがキセノン又はキセノンとヘリウムの混合物であり、キセノンの分圧が約0.8atm(0.08MPa)以下である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記希ガスが空気と混合して投与され、該空気の分圧が約1atm(0.1MPa)である、請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記希ガスが、酸素を含むガス混合物の一部として投与され、該混合物中の窒素分圧が約0.8atm(0.08MPa)に等しいか又はそれよりも低い、請求項15〜17のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記ガス混合物が本質的に窒素を含まない、請求項19に記載の方法。
  21. 酸素分圧が約0.2atm(0.02MPa)である、請求項19又は20に記載の方法。
  22. 人又は動物の患者を収容するのに適した高圧室と、
    キセノンを保持する容器と、
    該キセノンを該高圧室内の患者に供給するためのキセノン供給手段と
    を含む、装置。
  23. 前記キセノン供給手段が、前記患者によるキセノンの吸入を可能にするように、前記容器への出口と連通しているフェースマスク又はマウスピースを含む、請求項22に記載の装置。
  24. 前記キセノン供給手段が、前記容器からのキセノンを前記高圧室内部の雰囲気と混合させる導管を含む、請求項23に記載の装置。
  25. 前記キセノン供給手段が人工心肺を含む、請求項22又は請求項24に記載の装置。
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