JP2010519906A - Erbbファミリー遺伝子の発現を抑制するための核酸化合物およびその使用 - Google Patents
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Abstract
本開示は、1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下または停止させる能力を持つ、部分二重鎖リボ核酸分子(mdRNA)を提供する。本開示のmdRNAは、組み合わさって、ニックまたはギャップによって離された少なくとも2つの非重複二本鎖領域を形成する少なくとも3本の鎖を含み、1本の鎖は1つ以上のERBBファミリーのmRNAに相補的である。さらに、部分二重鎖は、5−メチルウリジンで置換される少なくとも1つのウリジン、および任意選択的に他の修飾、またはこれらの任意の組み合わせを有し得る。また、細胞において、または対象において、1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させ、1つ以上のERBBファミリー関連疾患を治療する方法も、提供する。
【選択図】図9
【選択図】図9
Description
関連出願の相互参照
本出願は、2007年3月2日に出願された米国特許出願第60/934,940号、2007年3月16日に出願された第60/934,930号、2007年5月10日に出願された第60/934,945号、2007年5月3日に出願された第60/934,946号、2007年5月15日に出願された第60/934,935号、2007年5月17日に出願された第60/934,922号、および2007年5月22日に出願された第60/932,970号に対する優先権を主張するものであり、それらの各々は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
本出願は、2007年3月2日に出願された米国特許出願第60/934,940号、2007年3月16日に出願された第60/934,930号、2007年5月10日に出願された第60/934,945号、2007年5月3日に出願された第60/934,946号、2007年5月15日に出願された第60/934,935号、2007年5月17日に出願された第60/934,922号、および2007年5月22日に出願された第60/932,970号に対する優先権を主張するものであり、それらの各々は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
技術分野
本開示は、一般に、遺伝子サイレンシングを用いた過剰増殖性または炎症性疾患の治療において使用するための化合物に関し、また、より具体的には、1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させる少なくとも3本の鎖を含む、ニックの入ったまたはギャップのある二本鎖RNA(dsRNA)、および1つ以上のERBBファミリーメンバーの不適切な発現に関連する過剰増殖性または炎症性疾患を治療または予防するための、かかるdsRNAの使用に関する。1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させるdsRNAは、5−メチルウリジンで置換される少なくとも1つのウリジンを任意選択的に有し得る。
本開示は、一般に、遺伝子サイレンシングを用いた過剰増殖性または炎症性疾患の治療において使用するための化合物に関し、また、より具体的には、1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させる少なくとも3本の鎖を含む、ニックの入ったまたはギャップのある二本鎖RNA(dsRNA)、および1つ以上のERBBファミリーメンバーの不適切な発現に関連する過剰増殖性または炎症性疾患を治療または予防するための、かかるdsRNAの使用に関する。1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させるdsRNAは、5−メチルウリジンで置換される少なくとも1つのウリジンを任意選択的に有し得る。
RNA干渉(RNAi)とは、標的とするメッセンジャーRNAの一部に相同である二本鎖RNA(dsRNA)等の、低分子の抑制性核酸の分子によって媒介される、動物における配列特異的な転写後遺伝子サイレンシングの細胞プロセスを意味する(Fire et al.,Nature 391:806,1998、Hamilton et al.,Science 286:950,1999)。RNAiは、哺乳類を含む様々な生命体において観察されてきた(Fire et al.,Nature 391:806,1998、Bahramian and Zarbl,Mol.Cell..Biol.19:274,1999、Wianny and Goetz,Nature Cell.Biol.2:70,1999)。RNAiは、外因性合成21−ヌクレオチドのRNA二重鎖を、培養哺乳類細胞に導入することにより誘導することができる(Elbashir et al.,Nature 411:494,2001a)。
dsRNAが標的とする遺伝子サイレンシングを媒介する機構は、2つの段階を伴うと言える。第1のステップは、ダイサーと称されるリボヌクレアーゼIII様酵素により、長いdsRNAが、約19塩基対と、通常は各3’末端でオーバーハングする2つのヌクレオチドとからなる二本鎖領域を持つ、21〜23ヌクレオチドを有する低分子干渉RNA(siRNA)へと分解されることに関わる(Berstein et al.,Nature 409:363,2001、Elbashir et al.,Genes Dev.15:188,2001b、およびKim et al.,Nature Biotech.23:222,2005)。RNAi遺伝子サイレンシングの第2のステップは、siRNAからの1本の鎖(ガイド鎖またはアンチセンス鎖)およびアルゴノートタンパク質を有する、多成分ヌクレアーゼを活性化して、RNA誘導サイレンシング複合体(「RISC」)を形成することに関与する(Elbashir et al.,Genes Dev.15:188,2001)。アルゴノートは、最初に二本鎖siRNAと会合し、その後、組み込まれていない鎖(パッセンジャー鎖またはセンス鎖)をエンドヌクレアーゼとして切断し、結果として生じる切断された二重鎖の熱力学的不安定性によりその放出を促進する(Leuschner et al.,EMBO 7:314,2006)。活性化されたRISC内のガイド鎖は、相補的標的mRNAに結合し、mRNAを切断して遺伝子サイレンシングを促進する。標的RNAの切断は、ガイド鎖に相補的である標的領域の中心で起こる(Elbashir et al.,2001b)。
ErbB/HER遺伝子ファミリー(赤芽球性白血病ウイルス(v−erb−b)の癌遺伝子相同体ファミリー、また、ヒト上皮成長因子受容体またはHERとしても知られる)は、細胞表面に局在化した受容体チロシンキナーゼをコードする。受容体チロシンキナーゼのErbBファミリーには4つのメンバーがあり、それらは、上皮成長因子受容体(EGFR)、ERBB2(HER2/neu)、ERBB3、およびERBB4である。ErbBファミリーは、哺乳類における細胞生存、増殖、発達、および分化を調節することで知られている信号変換伝達経路を構成する(Riese and Stern,Bioessays 20:41,1998、Oda et al.,Mol.Syst.Biol.10:1,2005、Holbro et al.,Exp.Cell Res.284:99,2003)。この機構および下流エフェクターは、細胞増殖、血管新生、移動、および浸潤と関係がある(Holbro et al.,2003、Nair, Current Science 88:890,2005、Monilola et al.,EMBO 19:3159,2000)。
過剰発現または変異のいずれかを通して、チロシンキナーゼ受容体の1つ以上のERBBファミリーのリガンド依存性、および/またはリガンド非依存性調節不全は、様々な癌の発達に関連付けられている。したがって、ERbBファミリーは、世界中で罹患率および死亡率の主原因である。例えば、EGFRは、神経膠腫の40%で過剰発現し、EGFRの過剰発現は、より高い悪性度および生存性の低下に相関する(Hsieh et al.,Lung Cancer 29:151,2000)。ERBB2/HER2の過剰発現は、20〜30%の乳癌に伴ない、侵襲性の強い癌表現型および結果として生じる不良な予後に対するマーカーである。ERBB3/ERBB2ヘテロ二量体の形成は、細胞増殖および腫瘍成長(例えば、乳癌および大腸癌)を刺激し、口腔扁平上皮癌の場合は、リンパ節転移および患者の生存と相関する(Shintani et al.,Cancer Lett.95:79,1995)。ErbB4は、ErbB2を有する小児髄芽腫に発現することが認められ(Gilbertson et al.,Cancer Res.57:3272,1997)、著しく増加したERBB4のNRG1誘導活性化は、統合失調症に罹患する患者において認められた(Hahn et al.,Nature Med.12:824,2006)。いくつかのERBB受容体に対して開発されている治療薬(例えば、EGFRおよびHER2に対するモノクローナル抗体)は、耐性および/またはいくつかの重度の副作用をもたらしている。
1つ以上のERBBファミリー遺伝子の遺伝子発現の低下(遺伝子サイレンシング)が有益である、ERBBファミリー関連疾病または疾患を治療または予防するために有用な、代替となる有効な治療様式に対する必要性が依然として存在する。本開示は、かかる必要性を満足させ、他の関連する利点をさらに提供する。
簡潔に述べると、本開示は、1つ以上の赤芽球性白血病ウイルスの癌遺伝子相同体(ERBB)ファミリーのメッセンジャーRNA(mRNA)の発現を修飾するための、ダイサーの基質として、またはRISC活性化因子として好適な、少なくとも3本の鎖を含む、ニックの入ったまたはギャップのある二本鎖RNA(dsRNA)を提供する。
一態様において、本開示は、配列番号1158、1159、1160、または1161(すなわち、EGFR変異型1、2、3、または4)に記載されるヒト上皮成長因子受容体(EGFR)のmRNAに相補的であり、配列番号1162、1163、1164、1165、または1166(すなわち、それぞれ、ERBB2変異型1、ERBB2変異型2、ERBB3変異型1、ERBB3変異型、ERBB4)から選択される少なくとも1つの他のヒトERBBファミリーのmRNAに、完全に相補的である(最大3つのミスマッチを有する)第1の鎖と、第1の鎖の非重複領域にそれぞれが相補的である第2の鎖および第3の鎖と、を含む、部分二重鎖(meroduplex)のmdRNA分子であって、第2の鎖および第3の鎖は、第1の鎖とアニーリングして最大10ヌクレオチド離間した少なくとも2つの二本鎖領域を形成することができ、それによって第2の鎖と第3の鎖との間にギャップが形成され、(a)mdRNA分子は、5塩基対〜13塩基対の少なくとも1つの二本鎖領域を任意選択的に含むか、または(b)二本鎖領域は合わせて合計約15塩基対〜約40塩基対であり、mdRNA分子は任意選択的に平滑末端を有する、mdRNA分子を提供する。一部の実施形態において、第1の鎖は約15〜約40ヌクレオチド長であり、第2および第3の鎖はそれぞれが別個に約5〜約20ヌクレオチドであり、第2の鎖と第3の鎖とを合わせた長さは、約15ヌクレオチド〜約40ヌクレオチドである。他の実施形態において、第1の鎖は、約15〜約40ヌクレオチド長であり、配列番号1158〜1166のうちの少なくとも2つに記載されるヒトERBBファミリーのmRNAの、少なくとも約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40個の隣接するヌクレオチドに相補的である。またさらなる実施形態において、第1の鎖は約15〜約40ヌクレオチド長であり、配列番号1158〜1166のうちの少なくとも2つに記載されるヒトERBBファミリーのmRNAの、少なくとも約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40個の隣接するヌクレオチドに相補的である配列に、少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である。
他の実施形態において、mdRNAはRISC活性化因子(例えば、第1の鎖は約15ヌクレオチド〜約24もしくは25ヌクレオチドを有する)であるか、またはダイサーの基質(例えば、第1の鎖は約25もしくは26ヌクレオチド〜約40ヌクレオチドを有する)である。いくつかの実施形態において、ギャップは、第1の鎖にアニーリングしたときに第2および第3の鎖によって形成される二本鎖領域の間に配置される第1の鎖の中に、少なくとも1つの不対ヌクレオチドを含むか、またはギャップはニックである。一部の実施形態において、ニックまたはギャップは、第2の(センスの一部分)鎖の5’末端からヌクレオチド9と10との間、またはアルゴノート切断部位、またはアルゴノート切断部位の10ヌクレオチド内に位置する。
別の態様において、本開示は、配列番号1158、1159、1160、または1161に記載されるヒトERBBのmRNAに相補的であり、配列番号1162、1163、1164、1165、または1166から選択される少なくとも1つの他のヒトERBBファミリーのmRNAに、完全に相補的である(最大3つのミスマッチを有する)第1の鎖と、第1の鎖の非重複領域にそれぞれが相補的である第2の鎖および第3の鎖と、を有する、mdRNA分子であって、第2の鎖および第3の鎖は、第1の鎖とアニーリングして最大10ヌクレオチド離間した少なくとも2つの二本鎖領域を形成することができ、それによって第2の鎖と第3の鎖との間にギャップが形成され、(a)mdRNA分子は、5塩基対〜13塩基対の少なくとも1つの二本鎖領域を任意選択的に含むか、または(b)二本鎖領域は合わせて合計で約15塩基対〜約40塩基対であり、mdRNA分子は任意選択的に平滑末端を有し、mdRNAの少なくとも1つのピリミジンは、式IまたはIIに従ったピリミジンヌクレオシドを含み、
式中、R1およびR2は、それぞれ独立して−H、−OH、−OCH3、−OCH2OCH2CH3、−OCH2CH2OCH3、ハロゲン、置換もしくは未置換のC1−C10アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルキルスルホニルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、トリフルオロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、置換もしくは未置換のC2−C10アルケニル、置換もしくは未置換の−O−アリル、−O−CH2CH=CH2、−O−CH=CHCH3、置換もしくは未置換のC2−C10アルキニル、カルバモイル、カルバミル、カルボキシ、カルボニルアミノ、置換もしくは未置換のアリール、置換もしくは未置換のアラルキル、−NH2、−NO2、−C≡N、またはヘテロシクロ基であり、R3およびR4は、それぞれ独立してヒドロキシル、保護ヒドロキシル、リン酸塩、またはヌクレオシド間の結合基であり、R5は、独立してOまたはSである、mdRNA分子を提供する。一部の実施形態において、少なくとも1つのヌクレオシドは式Iに従い、式中、R1はメチルであり、R2は−OHである、mdRNA分子を提供する。一部の関連する実施形態において、dsRNA分子の少なくとも1つのウリジンは、式Iに従うヌクレオチドに置き換えられ、式中、R1はメチルであり、R2は−OHである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR1はメチル等のC1‐C5アルキルである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR2は、2−O−(C1−C5)アルキル、2’−O−メチル、2’−OCH2OCH2CH3、2’−OCH2CH2OCH3、2−O−アリル、またはフルオロから選択される。いくつかの実施形態において、mdRNA分子の少なくとも1つのピリミジンヌクレオシドは、二環式糖の形態にあるロックされた核酸(LNA)であり、式中、R2は酸素であり、2’−Oおよび4’−Cは、5−メチルウリジンLNA等の同じリボース環上にオキシメチレン架橋を形成する。他の実施形態において、ヌクレオシドのうちの1つ以上は式Iに従い、式中、R1はメチルであり、R2は2’−O−メチル等の2’−O−(C1−C5)アルキルである。いくつかの実施形態において、ギャップは、第1の鎖にアニーリングしたときに第2および第3の鎖によって形成される二本鎖領域の間に配置される第1の鎖の中に、少なくとも1つの不対ヌクレオチドを含むか、またはギャップはニックである。一部の実施形態において、ニックまたはギャップは、第2の(センスの一部分)鎖の5’末端からヌクレオチド9と10との間、またはアルゴノート切断部位、またはアルゴノート切断部位の10ヌクレオチド内に位置する。
式中、R1およびR2は、それぞれ独立して−H、−OH、−OCH3、−OCH2OCH2CH3、−OCH2CH2OCH3、ハロゲン、置換もしくは未置換のC1−C10アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルキルスルホニルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、トリフルオロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、置換もしくは未置換のC2−C10アルケニル、置換もしくは未置換の−O−アリル、−O−CH2CH=CH2、−O−CH=CHCH3、置換もしくは未置換のC2−C10アルキニル、カルバモイル、カルバミル、カルボキシ、カルボニルアミノ、置換もしくは未置換のアリール、置換もしくは未置換のアラルキル、−NH2、−NO2、−C≡N、またはヘテロシクロ基であり、R3およびR4は、それぞれ独立してヒドロキシル、保護ヒドロキシル、リン酸塩、またはヌクレオシド間の結合基であり、R5は、独立してOまたはSである、mdRNA分子を提供する。一部の実施形態において、少なくとも1つのヌクレオシドは式Iに従い、式中、R1はメチルであり、R2は−OHである、mdRNA分子を提供する。一部の関連する実施形態において、dsRNA分子の少なくとも1つのウリジンは、式Iに従うヌクレオチドに置き換えられ、式中、R1はメチルであり、R2は−OHである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR1はメチル等のC1‐C5アルキルである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのR2は、2−O−(C1−C5)アルキル、2’−O−メチル、2’−OCH2OCH2CH3、2’−OCH2CH2OCH3、2−O−アリル、またはフルオロから選択される。いくつかの実施形態において、mdRNA分子の少なくとも1つのピリミジンヌクレオシドは、二環式糖の形態にあるロックされた核酸(LNA)であり、式中、R2は酸素であり、2’−Oおよび4’−Cは、5−メチルウリジンLNA等の同じリボース環上にオキシメチレン架橋を形成する。他の実施形態において、ヌクレオシドのうちの1つ以上は式Iに従い、式中、R1はメチルであり、R2は2’−O−メチル等の2’−O−(C1−C5)アルキルである。いくつかの実施形態において、ギャップは、第1の鎖にアニーリングしたときに第2および第3の鎖によって形成される二本鎖領域の間に配置される第1の鎖の中に、少なくとも1つの不対ヌクレオチドを含むか、またはギャップはニックである。一部の実施形態において、ニックまたはギャップは、第2の(センスの一部分)鎖の5’末端からヌクレオチド9と10との間、またはアルゴノート切断部位、またはアルゴノート切断部位の10ヌクレオチド内に位置する。
また別の態様において、本開示は、細胞内の1つ以上のヒトERBBファミリー遺伝子の発現を低下させるための方法であって、1つ以上のERBBファミリー遺伝子を発現する細胞にmdRNA分子を投与するステップを含み、mdRNA分子は、1つ以上のERBBファミリーのmRNAに特異的に結合する能力を持ち、それによって、細胞内の1つ以上のERBB遺伝子の発現を低下させる、方法を提供する。関連する態様において、本開示のmdRNA分子を投与することにより、対象においてERBBファミリーの発現に関連する疾病を治療または予防する方法が提供される。一部の実施形態において、細胞または対象はヒトである。一部の実施形態において、疾患は、癌等の過剰増殖性疾患、または関節炎等の炎症性疾患である。
本開示のいずれの態様においても、いくつかの実施形態は、第1、第2、もしくは第3の鎖上のうちの少なくとも1つのウリジンの代わりに、または第1、第2、もしくは第3の鎖上の1つ1つすべてのウリジンの代わりに、5−メチルウリジン(リボチミジン)を有するmdRNA分子を提供する。さらなる実施形態において、mdRNAは、デオキシウリジン等の1つ以上の非標準ヌクレオシド、5−メチルウリジンLNA等のロックされた核酸(LNA)分子、普遍的に結合するヌクレオチド、またはこれらの任意の組み合わせをさらに含む。例示的な普遍的に結合するヌクレオチドには、C‐フェニル、C‐ナフチル、イノシン、アゾールカルボキサミド、1‐β‐D‐リボフラノシル‐4‐ニトロインドール、1‐β‐D‐リボフラノシル‐5‐ニトロインドール、1‐β‐D‐リボフラノシル‐6‐ニトロインドール、または1‐β‐D‐リボフラノシル‐3‐ニトロピロールが含まれる。いくつかの実施形態において、mdRNA分子は、2’−O−メチル、2’−O−メトキシエチル、2’−O−2−メトキシエチル、2’−O−アリル、またはハロゲン(例えば、2’−フルオロ)等の2’糖置換をさらに含む。一部の実施形態において、mdRNA分子は、第1の鎖、第2の鎖、または第3の鎖の一端または両端に、独立してアルキル、脱塩基、デオキシ脱塩基、グリセリル、ジヌクレオチド、非環式ヌクレオチド、または反転したデオキシヌクレオチド部分等の末端キャップの置換基をさらに含む。他の実施形態において、mdRNA分子は、独立して、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、リン酸トリエステル、アミノアルキルリン酸トリエステル、メチルホスホン酸塩、アルキルホスホン酸塩、3’‐アルキレンホスホン酸塩、5’‐アルキレンホスホン酸塩、キラルホスホン酸塩、ホスホノ酢酸塩、チオホスホノ酢酸塩、ホスフィン酸塩、ホスホロアミド酸塩、3’‐アミノ‐ホスホロアミド酸塩、アミノアルキルホスホロアミド酸塩、チオノホスホロアミド酸塩、チオノアルキルホスホン酸塩、チオノアルキルリン酸トリエステル、セレノリン酸塩、またはボランリン酸塩結合等の、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合をさらに含む。
本開示のいずれの態様においても、いくつかの実施形態は、少なくとも1つのデオキシリボヌクレオチドまたは2つのデオキシリボヌクレオチド(例えば、チミジン)等の、ギャップの一部ではない少なくとも1つの3’末端上の1〜4ヌクレオチドのオーバーハングを含むmdRNAを提供する。いくつかの実施形態において、二本鎖領域内にある第2の鎖の少なくとも1つまたは2つの5’末端のリボヌクレオチドは、2’糖置換を含む。関連する実施形態において、二本鎖領域内にある第1の鎖の少なくとも1つまたは2つの5’末端のリボヌクレオチドは、2’糖置換を含む。他の関連する実施形態において、二本鎖領域内にある、第2の鎖の少なくとも1つまたは2つの5’末端のリボヌクレオチドおよび第1の鎖の少なくとも1つまたは2つの5’末端のリボヌクレオチドは、独立した2’糖置換を含む。他の実施形態において、mdRNA分子は、少なくとも1つの二本鎖領域内に少なくとも3つの5−メチルウリジンを含む。ある実施形態において、mdRNA分子は、一端または両端に平滑末端を有する。他の実施形態において、第3の鎖の5’末端は、ヒドロキシルまたはリン酸塩である。
発明を実施するための形態
本開示は、少なくとも3本の鎖を含む、ニックの入ったまたはギャップのある二本鎖RNA(dsRNA)がダイサーまたはRISCの好適な基質であり、従って、例えば、RNA干渉経路を介して、遺伝子サイレンシングに有利に用いることができる、という予想外な発見に基づくものである。つまり、本明細書に記載される部分的に二重であるdsRNA分子(少なくとも1本の鎖にニックまたはギャップを有する部分二重鎖とも称される)は、赤芽球性白血病ウイルスの癌遺伝子相同体(例えば、EGFR、ERBB1としても知られる)のmRNA、またはERBB mRNAのファミリー(例えば、ERBB1、ERBB2、ERBB3、ERBB4を含む)等の、標的メッセンジャーRNA(mRNA)または関連mRNAのファミリーの発現を変える(例えば、低下させる)、RNA干渉カスケードを開始する能力を持つということである。熱力学的に不安定なニックの入ったまたはギャップのあるdsRNAパッセンジャー鎖(インタクトなdsRNAと比較して)は、任意の遺伝子サイレンシングの効果が生じる前に崩壊することが予想されるため、これは驚くべきことである(Leuschner et al.,EMBO 7:314,2006)。
本開示は、少なくとも3本の鎖を含む、ニックの入ったまたはギャップのある二本鎖RNA(dsRNA)がダイサーまたはRISCの好適な基質であり、従って、例えば、RNA干渉経路を介して、遺伝子サイレンシングに有利に用いることができる、という予想外な発見に基づくものである。つまり、本明細書に記載される部分的に二重であるdsRNA分子(少なくとも1本の鎖にニックまたはギャップを有する部分二重鎖とも称される)は、赤芽球性白血病ウイルスの癌遺伝子相同体(例えば、EGFR、ERBB1としても知られる)のmRNA、またはERBB mRNAのファミリー(例えば、ERBB1、ERBB2、ERBB3、ERBB4を含む)等の、標的メッセンジャーRNA(mRNA)または関連mRNAのファミリーの発現を変える(例えば、低下させる)、RNA干渉カスケードを開始する能力を持つということである。熱力学的に不安定なニックの入ったまたはギャップのあるdsRNAパッセンジャー鎖(インタクトなdsRNAと比較して)は、任意の遺伝子サイレンシングの効果が生じる前に崩壊することが予想されるため、これは驚くべきことである(Leuschner et al.,EMBO 7:314,2006)。
本明細書に記載される例示的な部分二重鎖リボ核酸(mdRNA)分子は、配列番号1158、1159、1160、または1161(すなわち、EGFR変異型1、2、3、または4)に記載されるヒト赤芽球性白血病ウイルスの癌遺伝子相同体(ERBB)のmRNAに相補的であり、配列番号1162、1163、1164、1165、または1166(すなわち、それぞれ、ERBB2変異型1、ERBB2変異型2、ERBB3変異型1、ERBB3変異型、ERBB4)から選択される、少なくとも1つの他のヒトERBBファミリーのmRNAに、完全に相補的である(最大3つのミスマッチを有する)第1の(アンチセンス)鎖と、第1の鎖の非重複領域にそれぞれが相補的である第2の鎖および第3の鎖(合わせてギャップのあるセンス鎖を形成する)とを含み、第2および第3の鎖は、第1の鎖とアニーリングして、ギャップによって離された少なくとも2つの二本鎖領域を形成することができ、少なくとも1つの二本鎖領域は、約5塩基対〜13塩基対であるか、または合わせた二本鎖領域は合計で約15塩基対〜約40塩基対であり、mdRNAは、平滑末端である。
ギャップは、0ヌクレオチド(すなわち、ポリヌクレオチド分子において、2つのヌクレオチド間にあるリン酸ジエステルの結合のみが壊れているニック)から最大約10ヌクレオチドであり得る(すなわち、第1の鎖は、少なくとも1つの内部の不対ヌクレオチドを有する)。一部の実施形態において、ニックまたはギャップは、第2の(センスの一部分)鎖の5’末端からヌクレオチド9と10との間、またはアルゴノート切断部位に位置する。別の実施形態において、ニックまたはギャップは、2つ以上のニックの入ったまたはギャップのある鎖のそれぞれが最高融解温度(すなわち、Tmまたはニックの入ったまたはギャップのある鎖のうちの1つの50%が第1の鎖にアニーリングする温度)を有する位置にある。また、本明細書では、細胞内のERBB遺伝子またはERBB遺伝子ファミリーの1つ以上の遺伝子の発現を低下させるか、または過剰増殖性疾患(例えば、癌)または炎症状態(例えば、関節炎)を含む、ERBB遺伝子の発現または1つ以上のERBB遺伝子ファミリーメンバーの発現に関連する疾病または疾患を治療または予防するための、かかるdsRNAの使用方法が提供される。
本開示をさらに詳細に紹介する前に、本明細書において用いられる、ある用語の定義を提供することが、本開示を理解するうえで有用であるかもしれない。
本発明の記述において、任意の濃度の範囲、パーセンテージの範囲、比率の範囲、または整数の範囲は、特に記載のない限り、列挙された範囲内の任意の値を含むものとし、適切な場合には、その分数(ある整数の10分の1および100分の1等)を含むものと理解される。また、本明細書に列挙される、ポリマーのサブユニット、大きさまたは厚み等、物理的特性に関する任意の数値の範囲は、特に記載のない限り、列挙された範囲内の任意の整数を含むものと理解される。本明細書で用いられる「約」または「本質的に〜から構成される」は、特に記載のない限り、示された範囲、値、または構造の±20%を意味する。本明細書で用いられる用語「含む(include)」および「含む(comprise)」は非限定的であり、同義的に用いられる。本明細書において用いられる用語「1つの(a)」および「1つの(an)」は、列挙される構成要素の「1つ以上」を意味することを理解されたい。選択肢(例えば、「または」)の使用は、1つ、両方、またはその選択肢の任意の組み合わせのいずれかを意味することを理解されたい。
本明細書で用いられる「相補的」とは、別の核酸分子とともに、またはそれ自体と、相補的なヌクレオシドまたはヌクレオチドの間において従来のワトソン・クリック塩基対形成もしくは他の非従来型の対形成(例えば、フーグスティーンまたは逆フーグスティーン型水素結合)のいずれかにより、水素結合(複数を含む)を形成することができる核酸分子を意味する。本開示の核酸分子に関連して、核酸分子の、その相補的配列との結合自由エネルギーが、該核酸分子の関連機能(例えば、RNAi活性)を続行させるために十分であり、特異的結合が望ましい条件下、すなわち生体内アッセイもしくは治療の場合は生理学的条件下で、または生体外アッセイ(例えば、ハイブリダイゼーションアッセイ)の場合は、そのアッセイが行われる条件下で、核酸分子(例えば、dsRNA)が非標的配列に非特異的に結合することを避けるために十分な程度の相補性が存在する。核酸分子に対する結合自由エネルギーの決定は、当該技術分野において周知である(例えば、Turner et al.,CSH Symp.Quant.Biol.LII:123,1987、Frier et al.,Proc. Nat’l.Acad.Sci.USA 83:9373,1986、Turner et al.,J.Am.Chem.Soc.109:3783,1987を参照されたい)。よって、「相補性」または「特異的にハイブリダイズ可能」または「特異的に結合する」という用語は、核酸分子(例えば、dsRNA)とDNAもしくはRNA標的との間で、安定かつ特異的な結合が起こるために十分な程度の相補性または正確な対形成を示す。特異的にハイブリダイズ可能であるまたは特異的に結合するために、核酸分子が標的核酸配列に100%相補的である必要はないことが、当該技術分野において理解される。つまり、2つ以上の核酸分子は完全に相補的でなくてもよく、第2の核酸分子とともに水素結合を形成することができる核酸分子において、隣接する残基のパーセンテージによって示される。
例えば、第1の核酸分子が10ヌクレオチドを有し得、第2の核酸分子が10ヌクレオチドを有し得るならば、第1と第2の核酸分子の間の5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドの対形成は(隣接する二本鎖領域を形成する場合も、しない場合もあるが)それぞれ、50%、60%、70%、80%、90%、および100%の相補性を表す。一部の実施形態において、相補的な核酸分子が誤って対にされた塩基、つまり、従来のワトソン−クリック塩基対または他の非従来型の対(すなわち、「ミスマッチ」な塩基)を形成できない塩基を有する可能性がある。例えば、相補的核酸分子は、0、または約1、約2、約3、約4、または約5等の、特定数の「ミスマッチ」を有すると特定され得る。
「完璧に」または「完全に」相補的な核酸分子とは、第1の核酸分子の特定数のヌクレオチドが、第2の核酸分子中の同数の残基と水素結合(アニーリング)して、隣接する二本鎖領域を形成する核酸分子を意味する。例えば、2つ以上の完全に相補的な核酸分子鎖は、同数のヌクレオチドを有することができ(すなわち、オーバーハングを伴い、または伴わずに、同じ長さを有し、1つの二本鎖領域を形成する)、または異なる数のヌクレオチドを有することができる(例えば、1本の鎖は短いが、第2の鎖の中に十分に含まれているか、または一本の鎖が第2の鎖にオーバーハングすることができる)。
「リボ核酸」または「RNA」は、少なくとも1つのリボヌクレオチド分子を含む核酸分子を意味する。本明細書で用いられる「リボヌクレオチド」とは、β−D−リボフラノース部分の2’位にヒドロキシル基を持つヌクレオチドを指す。RNAという用語は、二本鎖(ds)RNA、一本鎖(ss)RNA、単離されたRNA(部分的に精製されたRNA、本質的に純粋なRNA、合成RNA、組換えによって生成されたRNA等)、改変RNA(1つ以上のヌクレオチドの付加、欠失、置換または改変により、自然発生型のRNAとは異なる)、またはこれらの任意の組み合わせを含む。例えば、かかる改変RNAに、RNA分子の一端または両端で、RNAの1つ以上のヌクレオチドの内部で、またはこれらの任意の組み合わせ等で、非ヌクレオチド物質の付加を含み得る。本開示のRNA分子中のヌクレオチドは、自然発生型ヌクレオチド、非自然発生型ヌクレオチド、化学修飾されたヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、またはこれらの任意の組み合わせ等、非標準ヌクレオチドも含むことができる。これらの改変RNAは、標準的ヌクレオチド(すなわち、本明細書で用いられる、標準的ヌクレオチドは、アデニン、シチジン、グアニジン、チミジンおよびウリジンであると見なされる)を含有する類似体またはRNAの類似体と称されてもよい。
本明細書で用いられる「dsRNA」という用語は、「mdRNA」と同義で使用され得、少なくとも1つのリボヌクレオチド分子を含み、例えば、配列特異的な様式においてRNA干渉(「RNAi」)または遺伝子サイレンシングを促進することにより、遺伝子発現を抑制または下方制御する能力を持つ、任意の核酸分子を指す。本開示のdsRNA(mdRNA)は、RNAiによって遺伝子サイレンシングを媒介するための、ダイサーに、またはRISCとの会合に、好適な基質となり得る。本開示のdsRNA分子の例を、本明細書の表Aに示す。dsRNAの1本または2本の鎖は、5’−リン酸塩または5’,3’−二リン酸塩等の末端リン酸基をさらに含み得る。本明細書で用いられるdsRNA分子は、少なくとも1つのリボヌクレオチドのほかに、置換、化学修飾されたヌクレオチド、および非ヌクレオチドをさらに含むことができる。一部の実施形態において、dsRNA分子は、ヌクレオチド位の最大約100%までリボヌクレオチドを含む。
また、本明細書で用いられる場合、dsRNAという用語は、配列特異的RNAiを媒介する能力を持つ核酸分子を説明するために用いられる他の用語と同等であることが意図され、その用語には、例えば、部分二重鎖RNA(mdRNA)、ニックの入ったdsRNA(ndsRNA)、ギャップのあるdsRNA(gdsRNA)、短干渉核酸(siNA)、siRNA、マイクロRNA(miRNA)、短ヘアピンRNA(shRNA)、短干渉オリゴヌクレオチド、置換された短干渉オリゴヌクレオチド、、修飾された短干渉オリゴヌクレオチド、化学修飾されたdsRNA、転写後遺伝子サイレンシングRNA(ptgsRNA)等が挙げられる。「大きな二本鎖(ds)RNA」という用語は、約40bp〜約100bp以上、特に最大約300bp〜約500bpよりも長い、任意のdsRNAを意味する。大きなdsRNAの配列は、mRNAのセグメントまたはmRNA全体を表し得る。二本鎖構造は、自己相補的核酸分子によって、または2つ以上の異なる相補的核酸分子鎖のアニーリングによって形成され得る。
一態様において、dsRNAは、第1の鎖(アンチセンス)および第2の鎖(センス)を含む別々の2つのオリゴヌクレオチドを含み、アンチセンスとセンス鎖は自己相補的(すなわち、それぞれの鎖が、他方の鎖のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、別々の2本の鎖が、例えば、二本鎖領域が約15〜約24もしくは25塩基対または約25もしくは26〜約40塩基対である、二本鎖構造を形成する)であり、アンチセンス鎖は、標的核酸分子のヌクレオチド配列またはその一部に相補的なヌクレオチド配列を含み(例えば、配列番号1158、1159、1160、1161、1162、1163、1164、1165、1166のヒトERBBのmRNA、またはこれらの任意の組み合わせ)、センス鎖は、標的核酸配列またはその一部に対応する(すなわち相同である)ヌクレオチド配列を含む(例えば、標的核酸またはその一部に対応する約15〜約25ヌクレオチドまたは約26〜約40ヌクレオチドのセンス鎖)。
別の態様において、dsRNAは、dsRNAの自己相補的なセンス鎖とアンチセンス鎖とが、合わせて核酸ベースリンカーまたは非核酸ベースのリンカーによって結合される、単一のオリゴヌクレオチドから構築される。一部の実施形態において、dsRNA分子の第1(アンチセンス)および第2(センス)の鎖は、本明細書に記載されるように、かつ当該技術分野で既知であるように、ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカーによって共有結合される。他の実施形態において、第1のdsRNA分子は、当該技術分野で既知であるヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカーによって、少なくとも1つの第2のdsRNA分子に共有結合され、第1のdsRNA分子は、同じもしくは異なっていてもよいか、またはこれらの任意の組み合わせである、複数の他のdsRNA分子に結合され得る。別の実施形態において、結合したdsRNAは、結合されたdsRNAと部分二重鎖を形成する第3の鎖を含み得る。
さらに別の態様において、本明細書に記載されるdsRNA分子は、例えば、「A」(第1またはアンチセンス)鎖、「S1」(第2)鎖、および「S2」(第3)鎖等の3つ以上の鎖を有する部分二重鎖RNA(mdRNA)を形成し、「S1」および「S2」は、「A」鎖の非重複領域と相補的であり、それとともに塩基対(bp)を形成する(例えば、mdRNAはA:S1S2の形態を取ることができる)。「S1」鎖と「A」鎖とのアニーリングによって形成される二本鎖領域は、「S2」鎖と「A」鎖とのアニーリングによって形成される二本鎖領域とは明確に異なり、非重複である。mdRNA分子は「ギャップのある」分子であり、すなわち、0ヌクレオチド〜最大約10ヌクレオチドの範囲の「ギャップ」(または、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、もしくは35ヌクレオチドのギャップ)を含有する。一実施形態において、A:S1二重鎖は、A:S1二重鎖とA:S2二重鎖との間に配置され、「A」、「S1」、または「S2」鎖のうちの1つ以上の3’末端にある1つ以上の不対ヌクレオチドのいずれともはっきりと異なる「A」鎖における少なくとも1つの不対ヌクレオチド(最大約10の不対ヌクレオチド)に起因するギャップによって、A:S2二重鎖から離されている。別の実施形態において、A:S1二重鎖は、A:S1二重鎖とA:S2二重鎖との間の0ヌクレオチドのギャップ(すなわち、ポリヌクレオチド分子において、2つのヌクレオチド間のリン酸ジエステル結合のみが壊れているまたは欠失しているニック)によって、A:S2二重鎖と離されており、これはニックの入ったdsRNA(ndsRNA)と称され得る。例えば、A:S1S2は、合わせた合計が約14塩基対〜約40塩基対である少なくとも2つの二本鎖領域を有するdsRNAを含み得、該二本鎖領域は、任意選択的に平滑末端を有する0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または35ヌクレオチドのギャップによって離されているか、またはA:S1S2は、最大10ヌクレオチド離間した少なくとも2つの二本鎖領域を有するdsRNAを含み得、それによって第2の鎖と第3の鎖との間にギャップが形成され、二本鎖領域のうちの少なくとも1つは任意選択的に5塩基対〜13塩基対を有する。
また、本明細書で用いられる場合、「RNAi」という用語は、転写後遺伝子サイレンシング、翻訳阻害、またはエピジェネティクス等の配列特異的なRNA干渉を説明するために用いられるほかの用語と同等であることが意図される。例えば、本開示のdsRNA分子は、転写後レベルもしくは転写前レベルで、またはこれらの任意の組み合わせで、後成的遺伝子をサイレンスするために用いることができる。
本明細書で用いられる場合、「標的核酸」とは、その発現または活性が改変されるべき、任意の核酸配列を指す(例えば、ERBB)。標的核酸は、DNA、RNA、またはその類似体であり得、一本鎖、二本鎖、および複数の鎖を持つ形態である。「標的部位」または「標的配列」は、RNAiによって切断の「標的」とされ、標的部位または配列に相補的なアンチセンス鎖中に配列を含有する本開示のdsRNA構築物によって媒介される、標的核酸(例えば、mRNA)内の配列を意図する。
本明細書で用いられる場合、「オフターゲット効果」または「オフターゲットプロファイル」とは、直接的にもまたは間接的にも、mdRNAまたはdsRNAによる遺伝子サイレンシングの標的とされない、細胞または他の生体試料中の1つ以上の遺伝子に観察される発現パターンの改変である。例えば、オフターゲット効果は、1つ以上のERBBファミリーのmRNA等の標的配列に特異的な候補mdRNAもしくはdsRNA、またはその類似体の存在下において、いくつの非標的遺伝子が、2倍またはそれ以上改変された発現レベルを有するかを決定するために、DNAマイクロアレイを用いて定量化することができる。「最小限のオフターゲット効果」とは、mdRNAまたはdsRNAが、検査される非標的遺伝子の約25%〜約1%の発現に2倍以上の影響を及ぼすことを意味するか、または、置換もしくは修飾されたmdRNAもしくはdsRNA(例えば、5−メチルウリジンで置換された少なくとも1つのウリジンを有し、任意選択的に少なくとも1つの2’位で修飾されたヌクレオチドを有する)のオフターゲット効果が、非置換または非修飾mdRNAまたはdsRNAの非標的遺伝子に対する効果と比較して、少なくとも約1%〜約80%以上低減されることを意味する。
「センス領域」または「センス鎖」とは、dsRNA分子の1つ以上のアンチセンス領域に対して相補性を有するdsRNA分子の1つ以上のヌクレオチド配列を意味する。また、dsRNA分子のセンス領域は、ERBB配列等の標的配列に対して相同性または同一性を有する核酸配列を含む。「アンチセンス領域」または「アンチセンス鎖」とは、ERBB配列等の標的核酸配列に対して相補性を有するdsRNA分子のヌクレオチド配列を意味する。さらに、dsRNA分子のアンチセンス領域は、dsRNA分子の1つ以上のセンス鎖に対して相補性を有する核酸配列領域を含み得る。
本明細書で用いられる「類似体」とは、構造的に親化合物(例えば、核酸分子)と類似するが、組成においてわずかに異なる化合物(例えば、1つの原子または官能基が異なる、加えられている、または除去された)を指す。類似体は、元の化合物とは異なる化学的または物理的特性を有する場合も、有さない場合もあり、向上した生物学的または化学的活性を有する場合も、有さない場合もある。例えば、類似体はより親水性であり得、または親化合物と比較して改変された活性を有し得る。類似体は、親化合物の化学的または生物学的活性を模倣し得(すなわち、類似するまたは同一の活性を有し得)、または、ある場合においては、増加または減少した活性を有し得る。類似体は、元の化合物の自然発生型または非自然発生型の(例えば、化学修飾されたまたは組み換えられた)変形であり得る。RNA類似体の一例は、5−メチルウリジンまたは5−メチルシチジン等の非標準ヌクレオチドを有するRNA分子であり、特定の所望される特性(例えば、安定性、バイオアベイラビリティを向上する、オフターゲット効果またはインターフェロン応答を最小限に留める)に影響を与える可能性がある。
本明細書で用いられる、「普遍的な塩基(universal base)」とは、それぞれの標準的なDNA/RNA塩基と、それらの塩基の間で、ほとんど差異なく塩基対を形成するヌクレオチド塩基類似体を指す。普遍的な塩基は、したがって、ヌクレオチド二重鎖の中に置換される場合、標準的なすべての塩基と交換され得る(例えば、Loakes et al.,J.Mol.Bio.270:426,1997を参照されたい)。例示的な普遍的な塩基には、C−フェニル、C−ナフチルおよび他の芳香族誘導体、イノシン、アゾールカルボキサミド、または3−ニトロピロール、4−ニトロインドール、5−ニトロインドール、および6−ニトロインドール等のニトロアゾール誘導体が含まれる(例えば、Loakes,Nucleic Acids Res.29:2437,2001を参照されたい)。
本明細書で用いられる「遺伝子」という用語は、特にRNAiの「標的遺伝子」または「遺伝子標的」という文脈において、RNAをコードする核酸分子を意味し、メッセンジャーRNA(mRNA、またはポリペプチドをコードする構造的遺伝子とも称される)、機能的RNA(fRNA)、または一過性の低分子RNA(small temporal RNA(stRNA))、マイクロRNA(miRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、短干渉RNA(siRNA)、核小体低分子RNA(snRNA)、リボソームRNA(rRNA)、転位RNA(tRNA)、およびその前駆体RNA等の非コードRNA(ncRNA)を含む。かかる非コードRNAは、dsRNA媒介RNAiの標的核酸分子としての役割を果たし、機能的または制御的な細胞プロセスに関与するfRNAまたはncRNAの活性を改変することができる。標的遺伝子は、内因性遺伝子、トランス遺伝子、または、感染後、細胞内に存在する病原体(例えば、ウイルス遺伝子)からの遺伝子を含む、外因性遺伝子等の細胞に由来する遺伝子であり得る。標的遺伝子(例えば、ERBB)を含有する細胞は、例えば、植物、動物、原生動物、ウイルス、バクテリア、または真菌のいずれかの有機体に由来する、または含有することができる。
本明細書で用いられる場合、「遺伝子サイレンシング」は、細胞における遺伝子発現の標的阻害を介した部分的または完全な機能喪失を意味し、RNAiの「ノックダウン」、「抑制」、「下方制御」、またはERBB遺伝子等の標的遺伝子発現の「低下」と称すこともできる。取り組むべき状況や問題に応じて、遺伝子発現を部分的に低下させることが好ましい場合がある。あるいは、できる限り遺伝子発現を低下させることが望ましいかもしれない。サイレンシングの程度は、本明細書に記載される方法および当該技術分野で既知である方法によって決定することができ、そのいくつかがPCT公開第WO99/32619号に要約されている。アッセイに依存して、遺伝子発現の定量化が、mRNAレベルまたはタンパク質レベルもしくは活性の観点から、例えば、ベースライン(すなわち正常)または治療を標的とする特定の病態または他の状態と関連する可能性がある上昇した発現レベル含む他の対照レベルの10%、30%、50%、75%、90%、95%、もしくは99%と同じかそれを上回るレベルだけ、標的遺伝子の発現をノックダウンすることができる予防的および治療的な方法を含む、本開示の一部の実施形態において所望される可能性がある、様々な量の阻害の検出を可能にする。
本明細書で用いられる場合、「治療的に有効な量」という用語は、それが投与される対象(例えば、ヒト)において、疾病症状の重症度の低減、寛解期の頻度もしくは持続時間の増加、または疾病による欠陥もしくは障害の予防をもたらすために十分な、dsRNAの量を意味する。例えば、ERBBのmRNA(例えば、配列番号1158、1159、1160、1161、1162、1163、1164、1165、1166、またはこれらの任意の組み合わせ)に対する治療的に有効な量のdsRNAは、細胞の成長または過剰増殖性(例えば、腫瘍性)の細胞成長を、治療を受けていない対象と比較して、少なくとも約20%、少なくとも約40%、少なくとも約60%、または少なくとも約80%抑制することができる。治療的に有効な量の治療化合物は、対象において、例えば、腫瘍の大きさを縮小したり、あるいは症状を回復したりすることができる。当業者は、対象の体格、症状の重症度、および選択される特定の組成物または投与経路等の要因に基づいて、かかる治療的に有効な量を決定することができるであろう。本開示の核酸分子は、単独で、または他の薬剤と組み合わせてもしくは併用して、本明細書で論じられる疾病または状態を治療するために用いることができる。例えば、特定の疾病、疾患、または状態を治療するために、dsRNA分子は、治療に好適な条件下において、単独でまたは1つ以上の薬剤と組み合わせて、患者に投与され得、または、当業者には明白である他の適切な細胞に投与され得る。
また、1つ以上のdsRNAが、配列番号1158〜1166のうちの任意の1つ以上に記載されるERBBファミリーのmRNA、または関連するmRNAスプライス変異型の発現をノックダウンするために用いられ得る。この点において、ERBBファミリー遺伝子は、2つ以上のmRNAスプライス変異型に転写され得ることに留意すべきであり、従って、例えば、一部の実施形態において、他のmRNAスプライス変異型に影響を与えることなく1つのmRNAスプライス変異型をノックダウンすることが望ましく、またその逆も真であり、あるいはすべての転写産物のノックダウンが標的にされ得る。
また、本明細書に記載される構造および置換基の様々な組み合わせに由来する個々の化合物または化合物の群は、それぞれの化合物または化合物の群が別個に記載されるかのように、本出願によって開示されることを理解されたい。したがって、特定の構造または特定の置換基の選択は、本開示の範囲内に含まれる。本明細書に記載されるように、すべての値の範囲は、範囲で示される最初と最後の値を含む。よって、C1−C4の範囲は、C1、C2、C3、およびC4を含むように、1、2、3、および4の値を含むと理解される。
本明細書で用いられる「アルキル」という用語は、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子、そして最も好ましくは1〜4個の炭素原子を含有する、直鎖または分岐鎖飽和脂肪族基を指す。この定義は、アルコキシ、アルカノイルおよびアラルキル基のアルキル部分にも適用される。アルキル基は、置換または、非置換であり得る。一部の実施形態において、アルキルは(C1−C4)アルキルまたはメチルである。
本明細書で用いられる「シクロアルキル」という用語は、任意に置換され得る3〜12個の炭素原子を含有する飽和環状炭化水素の環系を意味する。例示的な実施形態には、これらに限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが含まれる。一部の実施形態において、シクロアルキル基はシクロプロピルである。別の実施形態において、(シクロアルキル)アルキル基は、環状部分に3〜12個の炭素原子、およびアルキル部分に1〜6個の炭素原子を含む。一部の実施形態において、(シクロアルキル)アルキル基はシクロプロピルメチルである。アルキル基は、ハロゲン、ヒドロキシおよびアミノから構成される群から選択される1つから3つの置換基で任意に置換される。
本明細書で用いられる「アルカノイル」および「アルカノイルオキシ」という用語は、それぞれ任意選択的に2〜10個の炭素原子を含有する、−C(O)−アルキル基および−O−C(=O)−アルキル基をそれぞれ意味する。アルカノイルおよびアルカノイルオキシ基の具体的な実施形態は、それぞれアセチルとアセトキシである。
「アルケニル」という用語は、2〜15個の炭素原子を有し、親アルケンの単一の炭素原子から水素原子を1つ除去することにより得られる少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、不飽和の分岐鎖、直鎖、または環状アルキル基を指す。該基は、二重結合(複数を含む)の周りでシスまたはトランス構造のいずれかであり得る。一部の実施形態には、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−メチルエテニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチル−2−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、4−ペンテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、1−ヘプテニル、2−ヘプテニル、1−オクテニル、2−オクテニル、1,3−オクタジエニル、2−ノネニル、1,3−ノナジエニル、2−デセニル等が含まれる。アルケニル基は置換される場合もあり、非置換の場合もある。
本明細書で用いられる「アルキニル」という用語は、2〜10個の炭素原子を有し、親アルキンの単一の炭素原子から水素原子を1つ除去することにより得られる少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する、不飽和の分岐鎖、直鎖、または環状アルキル基を指す。例示的なアルキニルには、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、4−ペンチニル、1−オクチニル、6−メチル−1−ヘプチニル、2−デシニル等が含まれる。アルキニル基は置換される場合もあり、非置換の場合もある。
「ヒドロキシアルキル」という用語は、単独でまたは組み合わせて、既に定義されたアルキル基であって、1つまたはいくつかの水素原子、好ましくは1つの水素原子がヒドロキシルによって置き換えられたものである。例にはヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルおよび2‐ヒドロキシエチルが挙げられる。
本明細書で用いられる「アミノアルキル」という用語は−NRR’基を指し、式中、RおよびR’は独立して水素または(C1−C4)アルキルであり得る。
「アルキルアミノアルキル」という用語は、アルキル基を介して結合されたアルキルアミノ基を指す(すなわち、一般構造‐アルキル‐NH‐アルキルまたは‐アルキル‐N(アルキル)(アルキル)を有する基)。かかる基には、これに限定されないが、モノ−およびジ−(C1−C8アルキル)アミノC1−C8アルキルを含み、各アルキルは同じであっても異なっていてもよい。
「ジアルキルアミノアルキル」という用語は、アルキル基に結合するアルキルアミノ基を指す。例には、これに限定されないが、N,N−ジメチルアミノメチル、N,N−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルアミノプロピル等が挙げられる。ジアルキルアミノアルキルという用語は、架橋するアルキル部分が任意に置換された基も含む。
「ハロアルキル」という用語は、例えば、クロロメチル、2‐ブロモエチル、3‐ヨードプロピル、トリフルオロメチル、パーフルオロプロピル、8‐クロロノニル等の、1つ以上のハロ基で置換されたアルキルを指す。
本明細書で用いられる「カルボキシアルキル」という用語は、置換基−RZ−COOHを意味し、式中、R10はアルキレンであり、カルボアルコキシアルキルは−R10−C(=O)OR11を意味し、式中、R10およびR11はそれぞれアルキレンおよびアルキルである。一部の実施形態において、アルキルは、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、t‐ブチル、n‐ペンチル、2‐メチルペンチル、n‐ヘキシル等の、1〜6個の炭素原子の飽和直鎖または分岐鎖のヒドロカルビルラジカルを指す。アルキレンは、2価基であることを除いて、アルキルと同じである。
「アルコキシ」という用語は、酸素原子に共有結合的に結合する置換および非置換のアルキル、アルケニル、およびアルキニル基を含む。一実施形態において、アルコキシ基は、1〜約10個の炭素原子を含有する。アルコキシ基の実施形態は、これに限定されないが、メトキシ、エトキシ、イソプロピルオキシ、プロポキシ、ブトキシ、およびペントキシ基を含む。置換されたアルコキシ基の実施形態は、ハロゲン化アルコキシ基を含む。さらなる実施形態において、アルコキシ基は、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、ホスフェート、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイルおよびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分等の基と置換され得る。例示的なハロゲン置換されたアルコキシ基には、これに限定されないが、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、およびトリクロロメトキシを含む。
「アルコキシアルキル」という用語は、アルコキシ基で置換されたアルキレンを指す。例えば、メトキシエチル(CH3OCH2CH2‐)およびエトキシメチル(CH3CH2OCH2‐)は、両方ともC3アルコキシアルキル基である。
本明細書で用いられる「アリール」という用語は、例えば、フェニル、ナフチル、ビフェニルおよびジフェニル基等の、環部分に6〜12個の炭素原子を有する単環式または二環式の芳香族炭化水素基を指し、各々、例えば、1〜4個の置換基、例えば、アルキル、上で定義される置換されたアルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、シクロアルキルオキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルバミル、カルバモイル、およびアリールオキシで置換され得る。本開示に従ったアリール基の具体的実施形態には、フェニル、置換されたフェニル、ナフチル、ビフェニル、およびジフェニルが含まれる。
「アロイル」という用語は、本明細書において単独でまたは組み合わせて用いられる場合、任意に置換された安息香酸またはナフトエ酸等の芳香族カルボン酸に由来するアリールラジカルを指す。
本明細書で用いられる「アラルキル」という用語は、アルキル基を介して2−ピリジニル環または4−ピリジニル環に結合されたアリール基を意味し、好ましくは1〜10個の炭素原子を含有するものを指す。好ましいアルキル基はベンジルである。
本明細書で用いられる「カルボキシ」という用語は、式−C(=O)OHまたは−C(=O)O−の基を表す。
本明細書で用いられる「カルボニル」という用語は、酸素原子が炭素原子と二重結合している−C=O基を意味する。
本明細書で用いられる「トリフルオロメチル」という用語は、−CF3を意味する。
本明細書で用いられる「トリフルオロメトキシ」という用語は−OCF3を意味する。
本明細書で用いられる「ヒドロキシル」という用語は、−OHまたは−O−を意味する。
本明細書で用いられる「ニトリル」または「シアノ」という用語は、基−CNを意味する。
「ニトロ」という用語は、本明細書において単独でまたは組み合わせて用いられる場合、−NO2基を意味する。
本明細書で用いられる「アミノ」という用語は−NR9R9基を意味し、式中、R9は独立して水素、アルキル、アリール、アルコキシ、またはヘテロアリールであり得る。本明細書で用いられる「アミノアルキル」という用語は、「アミノ」と比較してより詳細な選択肢を表し、−NR’R’基を意味し、式中、R’は独立して水素または(C1−C4)アルキルであり得る。「ジアルキルアミノ」という用語は、同じであっても異なっていてもよい2つの結合するアルキル基を有するアミノ基を指す。
「アルカノイルアミノ」という用語は、例えば、アセチルアミノ、プロパノイルアミノおよびブタノイルアミノ等、−C(=O)−基の後に−N(H)−を含有するアルキル、アルケニルまたはアルキニル基を指す。
「カルボニルアミノ」という用語は、−NR’−CO−CH2−R’基を指し、式中、R’は独立して水素または(C1−C4)アルキルから選択される。
本明細書で用いられる「カルバモイル」という用語は、−O−C(O)NH2を意味する。
本明細書で用いられる「カルバミル」という用語は、窒素原子が、すなわち、−NR’’C(=O)R’’または−C(=O)NR’’R’’に見られる、直接カルボニルに結合する官能基を意味し、式中、R’’は独立して、水素、アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、置換されたアルケニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロ、またはヘテロアリールであり得る。
「アルキルスルホニルアミノ」という用語は、基−NHS(O)2R12を意味し、式中、R12はアルキルである。
本明細書で用いられる「ハロゲン」という用語は、臭素、塩素、フッ素またはヨウ素を指す。一実施形態において、ハロゲンはフッ素である。別の実施形態において、ハロゲンは塩素である。
「ヘテロシクロ」という用語は、少なくとも1つの炭素原子を含有する環に少なくとも1つのヘテロ原子を有する4〜7員環の単環式または7〜11員環の二環系である、任意に置換された、不飽和の、部分的に飽和した、または完全に飽和した、芳香族または非芳香族の環状基を指す。ヘテロシクロ環上の置換基は、上でアリール基について挙げられたものから選択され得る。ヘテロ原子を含有するヘテロシクロ基の各環は、窒素、酸素または硫黄から選択される1、2、または3個のヘテロ原子を有し得る。所与のヘテロシクロ環中の複数のヘテロ原子は同じであってもまたは異なっていてもよい。
例示的な単環式へテロシクロ基には、ピロリジニル、ピロリル、インドリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼピニル、ピリミジニル、ピリダジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、ジオキサニル、トリアジニル、およびトリアゾリルが含まれる。好ましい二環式へテロシクロ基には、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフリル、インダゾリル、ベンゾイソチアゾリル、イソインドリニルおよびテトラヒドロキノリニルが含まれる。より詳細な実施形態において、ヘテロシクロ基は、インドリル、イミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピロリジル、ピリジルおよびピリミジルを含み得る。
「置換された」とは、1つ以上の水素原子がそれぞれ独立して、同じかまたは異なる置換基(複数を含む)で置き換えられた基を指す。代表的な置換基には、X、−R6、−O−、=O、−OR、−SR6、−S−、=S、−NR6R6、=NR6、−CX3、−CF3、−CN、−OCN、−SCN、−NO、−NO2、=N2、−N3、−S(=O)22O−、−S(=O)2OH、−S(=O)2R6、−OS(=O)2O−、−OS(=O)2OH、−OS(=O)2R6、−P(=O)(O−)2、−P(=O)(OH)(O−)、−OP(=O)2(O−)、−C(−O)R6、−C(=S)R6、−C(=O)OR6、−C(=O)O−、−C(=S)OR6、−NR6−C(=O)−N(R6)2、−NR6−C(=S)−N(R6)2、および−C(=NR6)NR6R6を含み、式中、それぞれのXは独立してハロゲンであり、各R6は独立して水素、ハロゲン、アルキル、アリール、アリールアルキル、アリールアリール(arylaryl)、アリールへテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、NR7R7、−C(=O)R7および−S(=O)2R7であり、それぞれのR7は独立して水素、アルキル、アルカニル、アルキニル、アリール、アリールアルキル、アリールへテロアルキル(arylheteralkyl)、アリールアリール(arylaryl)、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである。アリールを含む置換基は、1つ以上の置換を有してもまたは有さなくても、パラ(p−)、メタ(m−)もしくはオルト(o−)構成で、またはこれらの任意の組み合わせで結合し得る。
赤芽球性白血病ウイルスの癌遺伝子相同体(ERBB)ファミリー−例示的なdsRNA分子
一般に、ERBBファミリータンパク質(EGFR、ERBB2、ERBB3、およびERBB4)は、3つの異なる領域、すなわち細胞外リガンド結合領域、単一膜貫通領域、および調節領域によって側面に位置する細胞内チロシンキナーゼドメインを含む、共通分子構造を共有する(Burgess et al., Mol. Cell 12:541, 2003)。細胞外領域は、リガンドを認識し、結合する2つのドメイン(L1およびL2)、ならびに二量化に関与する2つのシステインが豊富なサブドメイン(S1およびS2)を有する。細胞質領域は、リン酸化に使用可能な6つのチロシン残基、チロシンキナーゼ活性を有するSH1ドメイン、および膜近傍領域を含む。
一般に、ERBBファミリータンパク質(EGFR、ERBB2、ERBB3、およびERBB4)は、3つの異なる領域、すなわち細胞外リガンド結合領域、単一膜貫通領域、および調節領域によって側面に位置する細胞内チロシンキナーゼドメインを含む、共通分子構造を共有する(Burgess et al., Mol. Cell 12:541, 2003)。細胞外領域は、リガンドを認識し、結合する2つのドメイン(L1およびL2)、ならびに二量化に関与する2つのシステインが豊富なサブドメイン(S1およびS2)を有する。細胞質領域は、リン酸化に使用可能な6つのチロシン残基、チロシンキナーゼ活性を有するSH1ドメイン、および膜近傍領域を含む。
上皮成長因子受容体(赤芽球性白血病ウイルス(v−erb−b)の癌遺伝子相同体、鳥類)(EGFR、およびErbB、ErbB1、mENA、ヒト上皮成長因子受容体−1、HER−1としても知られる)は、乳癌、頭頸部癌、膀胱癌、前立腺癌、腎臓癌、および非小細胞肺癌を含む、様々な癌組織に発現することが認められている。成長因子のオートクリンループに関連するEGFRの構成的活性化はまた、ヒト腫瘍で観察される。例えば、形質転換成長因子−α(TGF−α)は、非小細胞肺癌(Seth et al.,Br.J.Cancer 80:657,1999)、前立腺癌(Cai et al.,Virchows Arch. 435:112,1999)、および消化管間質腫瘍(Hsieh et al.,2000)のEGFRとともに高頻度に共発現する。浸潤性乳癌では、EGFRおよびTGF−αの共発現は、より悪い患者の予後と有意な相関関係があった(Umekita et al.,Int.J.Cancer 89:484,2000)。
v−erb−b2赤芽球性白血病ウイルスの癌遺伝子相同体2、神経/膠芽細胞腫由来の癌遺伝子相同体(ERBB2、およびerbB−2、ヒト上皮成長因子受容体−2、HER−2、HER−2/neu、ハースタチン、NEU、NGL、TKR1、c−erb B2、c−erb B2/neu タンパク質、神経芽細胞腫/膠芽細胞腫由来の癌遺伝子相同体、チロシンキナーゼ型細胞表面受容体としても知られる)は、現在、既知のリガンドがないが、ヘテロ二量化のパートナーとして、リガンドを有する他のEGFRファミリーと相互に作用する可能性がある(Citri et al.,Exp.Cell Res.284:54,2003、Yarden,Oncology 61(Suppl 2):1,2001)。ERBB2は、乳癌、肺癌、膵臓癌、大腸癌、食道癌、子宮内膜癌、および子宮頸癌を含む、様々な癌で過剰発現する。ERBB2はまた、(例えば、核への)細胞内信号変換伝達および細胞内トラフィッキングに関与することで知られており、統合失調症、慢性腎疾患、高血圧、および一部の感染性病原体の細胞侵入等の非癌疾患に影響を及ぼし得る(Linggi and Carpenter,Trends Cell Biol.16:649,2006)。
v−erb−b2赤芽球性白血病ウイルスの癌遺伝子相同体3(ERBB3、ヒト上皮成長因子受容体−3、HER−3、チロシンキナーゼ型細胞表面受容体HER3、HER3、ErbB−3、c−erbB3、erbB3−S、MDA−BF−1、MGC88033、c−erbB−3、p180−ErbB3、p45−sErbB3、p85−sErbB3としても知られる)は、見掛けの内因性チロシンキナーゼ活性を有さないが、他のERBBファミリーメンバーと相互作用し、癌(例えば、乳癌)と関連する細胞増殖をもたらす有効な細胞内信号変換伝達のためのERBB3共受容体であると見なされ得る。ERBB3は、ERBB2と二量化し、NRG−1(ヘレグリンとしても知られる)に対する高親和性受容体を形成することができ、結果として生じる細胞内信号変換伝達経路の遮断は、例えば、肺癌における治療可能性を有し得る(Gollamudi et al.,Lung Cancer 43:135,2004)。ヒト乳癌腫瘍組織マイクロアレイは、ERBB3発現と転移(腫瘍の大きさと無関係)との間の関係を明らかにし、ERBB3/ERBB2ヘテロ二量体を通してERBB3依存性信号伝達が、腫瘍細胞浸潤および生体内で脈管内への侵入を増強することにより転移の一因となり得ることを示唆した(Xue et al.,Cancer Res.66:1418,2006)。
v−erb−a赤芽球性白血病ウイルスの癌遺伝子相同体4(鳥類)(ERBB4、およびERbB4、ヒト上皮成長因子受容体−1、HER−4、MGC138404、p180erbB4としても知られる)は、細胞増殖および分化を制御するNDF/ヘレグリンに対するタンパク質チロシンキナーゼ受容体である。ErbB2/ErbB4ヘテロ二量体は、心血管の発生に関連付けられる(Britsch et al.,Genes Dev.12:1825,1998,Lee et al., Nature 378:394,1995)。リガンドに結合しないErbB4は、ErbB1およびErbB3の不活性の形態に対して観察される類似のテザー構造を導入し、二量体形成を促進するためには活性リガンド結合を必要とすることを示す。ERBB4発現は、胃腸管、尿管、生殖管、および気道の上皮層、ならびに、皮膚、骨格筋、循環系、内分泌系、および神経系において最も強い。
ERBBファミリー(EGFR、ERBB2、ERBB3、ERBB4)に関するより多くの詳細が、任意の関連疾患とともに、Online Mendelian Inheritance in Manデータベースのwww.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=OMIMに記載されている(それぞれOMIM受入番号131550、164870、190151、および600543)。完全なヒトEGFR変異型1、EGFR変異型2、EGFR変異型3、EGFR変異型4、ERBB2変異型1、ERBB2変異型2、ERBB3変異型1、ERBB3変異型、およびERBB4 mRNA配列は、それぞれGenBank受入番号NM_005228.3(配列番号73)、NM_201282.1(配列番号74)、NM_201283.1(配列番号75)、NM_201284.1(配列番号76)、NM_004448.2(配列番号77)、NM_001005862.1(配列番号78)、NM_001982.2(配列番号79)、NM_001005915.1(配列番号80)、およびNM_005235.2(配列番号81)を有する。本明細書で用いられる場合、EGFR、ERBB2、ERBB3、およびERBB4 mRNAsもしくはRNA配列またはセンス鎖への言及は、それぞれ、配列番号1158、1159、1160、1161、1162、1163、1164、1165、および1166に包含されるRNA、ならびに配列番号1158、1159、1160、1161、1162、1163、1164、1165、および1166に記載されるヒトEGFR、ERBB2、ERBB3、またはERBB4配列に少なくとも80%以上の相同性を有する変異型、アイソフォーム、および相同体を意味する。
2つ以上の核酸配列の間の「相同性パーセント」は、ギャップの数、および2つ以上の配列のアライメントを最適化するために導入される必要のあるそれぞれのギャップの長さを考慮に入れた、該配列に共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、相同性%=同一の位置の数/合計位置数×100)。2つ以上の配列の間における、配列の比較および相同性パーセントの決定は、デフォルトパラメータでのBLASTおよびGapped BLASTプログラム等の数学的アルゴリズムを用いて達成することができる(例えばAltschul et al.,J.Mol.Biol.215:403,1990、www.ncbi.nlm.nih.gov/BLASTでBLASTNも参照されたい)。
一態様において、本開示は、配列番号1158、1159、1160、または1161(すなわち、EGFR変異型1、2、3、または4)に記載される赤芽球性白血病ウイルスの癌遺伝子相同体(ERBB)のmRNAに相補的であり、配列番号1162、1163、1164、1165、または1166(すなわち、それぞれ、ERBB2変異型1、ERBB2変異型2、ERBB3変異型1、ERBB3変異型、ERBB4)から選択される少なくとも1つの他のヒトERBBファミリーのmRNAに、完全に相補的である(最大3つのミスマッチを有する)第1の鎖と、第1の鎖の非重複領域にそれぞれが相補的である第2の鎖および第3の鎖と、を含む、部分二重鎖リボ核酸(mdRNA)分子であって、第2の鎖および第3の鎖は、第1の鎖とアニーリングして最大10ヌクレオチド離間した少なくとも2つの二本鎖領域を形成することができ、それによって第2の鎖と第3の鎖との間にギャップが形成され、(a)約5塩基対〜13塩基対を含む、少なくとも1つの二本鎖領域か、または(b)二本鎖領域は合わせて合計約15塩基対〜約40塩基対であり、mdRNA分子は任意選択的に平滑末端を有し、mdRNA分子の少なくとも1つのピリミジンは式IまたはIIに従ったピリミジンヌクレオシドで置換される、部分二重鎖リボ核酸(mdRNA)分子を提供する。
式中、R1およびR2は、それぞれ独立して−H、−OH、−OCH3、−OCH2OCH2CH3、−OCH2CH2OCH3、ハロゲン、置換もしくは未置換のC1−C10アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルキルスルホニルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、トリフルオロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、置換もしくは未置換のC2−C10アルケニル、置換もしくは未置換の−O−アリル、−O−CH2CH=CH2、−O−CH=CHCH3、置換もしくは未置換のC2−C10アルキニル、カルバモイル、カルバミル、カルボキシ、カルボニルアミノ、置換もしくは未置換のアリール、置換もしくは未置換のアラルキル、−NH2、−NO2、−C≡N、またはヘテロシクロ基であり、R3およびR4は、それぞれ独立してヒドロキシル、保護ヒドロキシル、リン酸塩、またはヌクレオシド間の結合基であり、R5およびR8は、それぞれ独立してOまたはSである、mdRNA分子を提供する。一部の実施形態において、少なくとも1つのヌクレオシドは式Iに従い、式中、R1はメチルでありかつR2は−OHであるか、またはR1はメチルであり、R2は−OHであり、R8はSである。他の実施形態において、ヌクレオシド間結合基は、約5〜約40個のヌクレオシドを共有結合的に結合する。いくつかの実施形態において、ギャップは、第1の鎖にアニーリングしたときに第2および第3の鎖によって形成される二本鎖領域の間に配置される第1の鎖の中に、少なくとも1つの不対ヌクレオチドを含むか、またはギャップはニックである。一部の実施形態において、ニックまたはギャップは、第1の(アンチセンス)鎖の5’末端から10ヌクレオチドか、またはアルゴノート切断部位に位置する。別の実施形態において、部分二重鎖のニックまたはギャップは、第1および第2の鎖の二重鎖ならびに第1および第3の鎖の二重鎖に対する熱安定性が、異なる位置にニックまたはギャップを有するかかる部分二重鎖の熱安定性と比較して、最大化されるように配置される。
式中、R1およびR2は、それぞれ独立して−H、−OH、−OCH3、−OCH2OCH2CH3、−OCH2CH2OCH3、ハロゲン、置換もしくは未置換のC1−C10アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルキルスルホニルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、トリフルオロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、置換もしくは未置換のC2−C10アルケニル、置換もしくは未置換の−O−アリル、−O−CH2CH=CH2、−O−CH=CHCH3、置換もしくは未置換のC2−C10アルキニル、カルバモイル、カルバミル、カルボキシ、カルボニルアミノ、置換もしくは未置換のアリール、置換もしくは未置換のアラルキル、−NH2、−NO2、−C≡N、またはヘテロシクロ基であり、R3およびR4は、それぞれ独立してヒドロキシル、保護ヒドロキシル、リン酸塩、またはヌクレオシド間の結合基であり、R5およびR8は、それぞれ独立してOまたはSである、mdRNA分子を提供する。一部の実施形態において、少なくとも1つのヌクレオシドは式Iに従い、式中、R1はメチルでありかつR2は−OHであるか、またはR1はメチルであり、R2は−OHであり、R8はSである。他の実施形態において、ヌクレオシド間結合基は、約5〜約40個のヌクレオシドを共有結合的に結合する。いくつかの実施形態において、ギャップは、第1の鎖にアニーリングしたときに第2および第3の鎖によって形成される二本鎖領域の間に配置される第1の鎖の中に、少なくとも1つの不対ヌクレオチドを含むか、またはギャップはニックである。一部の実施形態において、ニックまたはギャップは、第1の(アンチセンス)鎖の5’末端から10ヌクレオチドか、またはアルゴノート切断部位に位置する。別の実施形態において、部分二重鎖のニックまたはギャップは、第1および第2の鎖の二重鎖ならびに第1および第3の鎖の二重鎖に対する熱安定性が、異なる位置にニックまたはギャップを有するかかる部分二重鎖の熱安定性と比較して、最大化されるように配置される。
さらに別の態様において、本開示は、配列番号1158、1159、1160、または1161に記載される赤芽球性白血病ウイルスの癌遺伝子相同体(ERBB)のmRNAに相補的であり、配列番号1162、1163、1164、1165、または1166から選択される少なくとも1つの他のヒトERBBファミリーのmRNAに、完全に相補的である(最大3つのミスマッチを有する)第1の鎖と、第1の鎖の非重複領域にそれぞれが相補的である第2の鎖および第3の鎖と、を含む、mdRNA分子であって、第2の鎖および第3の鎖は、第1の鎖とアニーリングして最大10ヌクレオチド離間した少なくとも2つの二本鎖領域を形成することができ、それによって第2の鎖と第3の鎖との間にギャップが形成され、該mdRNA分子は、任意選択的に約5塩基対〜13塩基対の少なくとも1つの二本鎖領域を含む、mdRNA分子を提供する。さらなる態様において、本開示は、配列番号1158、1159、1160、または1161に記載されるEGFRのmRNAに相補的であり、配列番号1162、1163、1164、1165、または1166から選択される少なくとも1つの他のヒトERBBファミリーのmRNAに、完全に相補的である(最大3つのミスマッチを有する)第1の鎖と、第1の鎖の非重複領域にそれぞれが相補的である第2の鎖および第3の鎖と、を有する、mdRNA分子であって、第2の鎖および第3の鎖は、第1の鎖とアニーリングして最大10ヌクレオチド離間した少なくとも2つの二本鎖領域を形成することができ、それによって第2の鎖と第3の鎖との間にギャップが形成され、合わせた二本鎖領域は、合計で約15塩基対〜約40塩基対であり、該mdRNA分子は任意選択的に平滑末端を有する、mdRNA分子を提供する。いくつかの実施形態において、ギャップは、第1の鎖にアニーリングしたときに第2および第3の鎖によって形成される二本鎖領域の間に配置される第1の鎖の中に、少なくとも1つの不対ヌクレオチドを含むか、またはギャップはニックである。一部の実施形態において、ニックまたはギャップは、第2の(センスの一部分)鎖の5’末端からヌクレオチド9と10との間、またはアルゴノート切断部位に位置する。別の実施形態において、ニックまたはギャップは、2つ以上のニックの入ったまたはギャップのある鎖のそれぞれが最高融解温度(すなわち、Tmまたはニックの入ったまたはギャップのある鎖のうちの1つの50%が第1の鎖にアニーリングする温度)を有する位置にある。
一部の実施形態において、本開示は、配列番号1162または1163(すなわち、ERBB2)に記載される赤芽球性白血病ウイルスの癌遺伝子相同体(ERBB)のmRNAに相補的であり、配列番号1158、1159、1160、1161、1164、1165、または1166(すなわち、それぞれ、EGFR、ERBB3、ERBB4)から選択される少なくとも1つの他のヒトERBBファミリーのmRNAに、完全に相補的である(最大3つのミスマッチを有する)第1の鎖を含む、mdRNA分子を提供する。さらなる実施形態において、本開示は、配列番号1164または1165(すなわち、ERBB3)に記載される赤芽球性白血病ウイルスの癌遺伝子相同体(ERBB)のmRNAに相補的であり、配列番号1158、1159、1160、1161、1162、1163、または1166(すなわち、それぞれ、EGFR、ERBB2、ERBB4)から選択される少なくとも1つの他のヒトERBBファミリーのmRNAに、完全に相補的である(最大3つのミスマッチを有する)第1の鎖を含む、mdRNA分子を提供する。さらなる実施形態において、本開示は、配列番号1166(すなわち、ERBB4)に記載される赤芽球性白血病ウイルスの癌遺伝子相同体(ERBB)のmRNAに相補的であり、配列番号1158、1159、1160、1161、1162、1163、1164、または1165(すなわち、それぞれ、EGFR、ERBB3、ERBB3)から選択される少なくとも1つの他のヒトERBBファミリーのmRNAに、完全に相補的である(最大3つのミスマッチを有する)第1の鎖を含む、mdRNA分子を提供する。
本明細書に提供される場合、本明細書に開示されるいずれの態様または実施形態も、過剰増殖性疾病(例えば、癌)または炎症性疾患(例えば、関節炎)等のERBBまたはERBBファミリー関連疾病または疾患の治療に有用である。本開示の利点は、1つ以上のERBBファミリーメンバーのmRNA発現をノックダウンするために単一のdsRNAを使用できることである。例えば、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158〜1166に記載されるERBBファミリーのmRNA、またはこれらの任意の組み合わせの発現をノックダウンすることができる。一実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158〜1166、 つまり、すべてのEGFR変異型、両方のERBB2変異型、両方のERBB3変異型、およびERBB4をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158〜1164、および1166、つまり、すべてのEGFR変異型、両方のERBB2変異型、ERBB3変異型1、およびERBB4をノックダウンすることができる。別の実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158、1159、1161〜1164、および1166、つまり、EGFR変異型1、2、および4、両方のERBB2変異型、ERBB3変異型1、およびERBB4をノックダウンすることができる。一部の実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158、1162〜1164、および1166、つまり、EGFR変異型1、両方のERBB2変異型、ERBB3変異型1、およびERBB4をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158〜1165、つまり、すべてのEGFR変異型、両方のERBB2変異型、および両方のERBB3変異型をノックダウンすることができる。
さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158〜1164、つまり、すべてのEGFR変異型、両方のERBB2変異型、およびERBB3変異型1をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158〜1163、および1166、つまり、すべてのEGFR変異型、両方のERBB2変異型、およびERBB4をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158〜1161、および1164〜1166、つまり、すべてのEGFR変異型、両方のERBB3変異型、およびERBB4をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158〜1161、1164、および1166、つまり、すべてのEGFR変異型、ERBB3変異型1、およびERBB4をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158、1159、1161、1162、1163、および1164、つまり、EGFR変異型1、2、および4、両方のERBB2変異型、ならびにERBB3変異型1をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158、1159、1161〜1163、および1166、つまり、EGFR変異型1、2、および4、両方のERBB2変異型、ならびにERBB4をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158、1159、1161、1164、および1166、つまり、EGFR変異型1、2、および4、ERBB3変異型1、ならびにERBB4をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1161〜1163、および1166、つまり、EGFR変異型4、両方のERBB2変異型、およびERBB4をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158、1162、1163、および1164、つまり、EGFR変異型1、両方のERBB2変異型、およびERBB3変異型1をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158、1162、1163、および1166、つまり、EGFR変異型1、両方のERBB2変異型、およびERBB4をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158、1164、および1166、つまり、EGFR変異型1、ERBB3変異型1、およびERBB4をノックダウンすることができる。
さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158〜1163、つまり、すべてのEGFR変異型、および両方のERBB2変異型をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158〜1161、1164、および1165、つまり、すべてのEGFR変異型、および両方のERBB3変異型をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158〜1161、および1164、つまり、すべてのEGFR変異型、およびERBB3変異型1をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158〜1161、および1166、つまり、すべてのEGFR変異型、およびERBB4をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158、1159、および1161〜1163、つまり、EGFR変異型1、2、および4、ならびにERBB2変異型をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158、1159、1161、および1164、つまり、EGFR変異型1、2、および4、ならびにERBB3変異型1をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158、1159、1161、および1166、つまり、EGFR変異型1、2、および4、ならびにERBB4をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1159、1161、および1166、つまり、EGFR変異型2および4、ならびにERBB4をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1161〜1163、つまり、EGFR変異型4、および両方のERBB2変異型をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1161〜1166、つまり、EGFR変異型4、およびERBB4をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1159〜1166、つまり、EGFR変異型2、およびERBB4をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158、1162、および1163、つまり、EGFR変異型1、および両方のERBB2変異型をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158および1164、つまり、EGFR変異型1、およびERBB3変異型1をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1158および1166、つまり、EGFR変異型1、およびERBB4をノックダウンすることができる。
さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1162および1166、つまり、すべてのERBB2変異型1、およびERBB4をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1163および1166、つまり、ERBB2変異型2、およびERBB4をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1162〜1164、つまり、両方のERBB2変異型、およびERBB3変異型1をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1162、1163、および1166、つまり、両方のERBB2変異型、およびERBB4をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1163〜1165、つまり、両方のERBB2変異型、および両方のERBB3変異型をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1164および1166、つまり、ERBB3変異型1、およびERBB4をノックダウンすることができる。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAを使用して、配列番号1164〜1166、つまり、両方のERBB3変異型、およびERBB4をノックダウンすることができる。
いくつかの実施形態において、dsRNAは、第1の鎖が約5ヌクレオチド〜約40個のヌクレオチドを含み、第2および第3の鎖がそれぞれ別個に約5ヌクレオチド〜約20個のヌクレオチドを含む、少なくとも3本の鎖を含み、第2の鎖と第3の鎖を合わせた長さは約15ヌクレオチド〜約40ヌクレオチドである。他の実施形態において、dsRNAは少なくとも2本または3本の鎖を含み、第1の鎖は約15ヌクレオチド〜約24ヌクレオチドであるか、または約25ヌクレオチド〜約40ヌクレオチドである。さらなる実施形態において、第1の鎖は、第2の鎖、または第2および第3の鎖、または複数の鎖の少なくとも約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40個の隣接するヌクレオチドに相補的である。一部の実施形態において、第1の鎖に相補的な第2および第3の鎖、または複数の鎖は、第2の(センスの一部)鎖の5’末端からヌクレオチド9と10との間、またはアルゴノート切断部位、またはアルゴノート切断部位の5〜10ヌクレオチド内に位置するニックまたはギャップを有する。別の実施形態において、ニックまたはギャップは、2つ以上のニックの入ったまたはギャップのある鎖のそれぞれが最高融解温度(すなわち、Tmまたはニックの入ったまたはギャップのある鎖のうちの1つの50%が第1の鎖にアニーリングする温度)を有する位置にある。
さらなる例において、第1の鎖およびその補体は、ERBBまたはERBBファミリーのmRNAに相補的である第1の鎖の約19〜約25ヌクレオチドを有する本開示のdsRNAまたはmdRNA分子を形成することができる。例えば、ダイサー基質dsRNAは、約25ヌクレオチド〜約40ヌクレオチドを有し得るが、アンチセンス(第1の)鎖の19ヌクレオチドのみがERBBまたはERBBファミリーのmRNAに相補的である。さらなる実施形態において、第1の鎖は、約19ヌクレオチド〜約25ヌクレオチドおいてERBBまたはERBBファミリーのmRNAに対する相補性を有し得、配列番号1158、1159、1160、1161、1162、1163、1164、1165、1166に記載される配列、またはこれらの組み合わせ等のERBBまたはERBBファミリーのmRNAに対し、1つ、2つ、または3つのミスマッチを有するか、または例えば、RISCを活性化するかまたはRISCにローディングする能力を持つ19ヌクレオチド〜約25ヌクレオチドからなる第1の鎖は、配列番号1158、1159、1160、1161、1162、1163、1164、1165、1166に記載される配列、またはこれらの任意の組み合わせ等のERBBまたはERBBファミリーのmRNAに見られる対応するヌクレオチドと少なくとも80%の相同性を有する。
一部の実施形態において、1つ以上のdsRNAは、配列番号1158に対する完全な相補性を有し、配列番号1162および1163に記載される配列に対し、0、1つ、2つ、または3つのミスマッチを有する(つまりEGFR変異型1との完全な相補性、および両方のERBB2変異型に対する最大3つのミスマッチ)、第1の鎖を含む。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAは、配列番号1158に対する完全な相補性を有し、配列番号1164に記載される配列に対し、0、1つ、2つ、または3つのミスマッチを有する(つまりEGFR変異型1との完全な相補性、およびERBB3変異型1に対する最大3つのミスマッチ)、第1の鎖を含む。一部の実施形態において、1つ以上のdsRNAは、配列番号1158〜1162に対する完全な相補性を有し、配列番号1162および1163に記載される配列に対し、1つ、2つ、または3つのミスマッチを有する(つまりすべてのEGFR変異型との完全な相補性、および両方のERBB2変異型に対する1つ〜3つのミスマッチ)、第1の鎖を含む。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAは、配列番号1158、1159、および1161に対する完全な相補性を有し、配列番号1162および1163に記載される配列に対し、3つのミスマッチを有する(つまりEGFR変異型1、2、および4との完全な相補性、ならびに両方のERBB2変異型に対する3つのミスマッチ)、第1の鎖を含む。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAは、配列番号1158、1159、および1161に対する完全な相補性を有し、配列番号1164に記載される配列に対し、3つのミスマッチを有する(つまりEGFR変異型1、2、および4との完全な相補性、ならびにERBB3変異型1に対する3つのミスマッチ)、第1の鎖を含む。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAは、配列番号1158、1159、および1161に対する完全な相補性を有し、配列番号1166に記載される配列に対し、1つ、2つ、または3つのミスマッチを有する(つまりEGFR変異型1、2、および4との完全な相補性、ならびにERBB4に対する1つ〜3つのミスマッチ)、第1の鎖を含む。
さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAは、配列番号1159、および1161に対する完全な相補性を有し、配列番号1166に記載される配列に対し、2つのミスマッチを有する(つまり、EGFR変異型2および4との完全な相補性、ならびにERBB4に対する2つのミスマッチ)、第1の鎖を含む。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAは、配列番号1159に対する完全な相補性を有し、配列番号1166に記載される配列に対し2つまたは3つのミスマッチを有する(つまり、EGFR変異型2との完全な相補性、およびERBB4に対する2つ〜3つのミスマッチ)、第1の鎖を含む。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAは、配列番号1161に対する完全な相補性を有し、配列番号1166に記載される配列に対し、3つのミスマッチを有する(つまり、EGFR変異型4との完全な相補性、およびERBB4に対する3つのミスマッチ)、第1の鎖を含む。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAは、配列番号1161に対する完全な相補性を有し、配列番号1162および1163に記載される配列に対し、3つのミスマッチを有する(つまり、EGFR変異型4との完全な相補性、および両方のERBB2変異型に対する3つのミスマッチ)、第1の鎖を含む。
さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAは、配列番号1162および1163に対する完全な相補性を有し、配列番号1166に記載される配列に対し、0、1つ、2つ、または3つのミスマッチを有する(つまり、両方のERBB2変異型との完全な相補性、およびERBB4に対する最大3つのミスマッチ)、第1の鎖を含む。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAは、配列番号1162および1163に対する完全な相補性を有し、配列番号1164に記載される配列に対し、1つ、2つ、または3つのミスマッチを有する(つまり、両方のERBB2変異型との完全な相補性、およびERBB3変異型1に対する1つ〜3つのミスマッチ)、第1の鎖を含む。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAは、配列番号1162および1163に対する完全な相補性を有し、配列番号1165に記載される配列に対し、2つ、または3つのミスマッチを有する(つまり、両方のERBB2変異型との完全な相補性、および両方のERBB3変異型に対する2つ〜3つのミスマッチ)、第1の鎖を含む。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAは、配列番号1162に対する完全な相補性を有し、配列番号1166に記載される配列に対し、3つのミスマッチを有する(つまり、ERBB2変異型1との完全な相補性、およびERBB4に対する3つのミスマッチ)、第1の鎖を含む。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAは、配列番号1163に対する完全な相補性を有し、配列番号1164に記載される配列に対し、2つまたは3つのミスマッチを有する(つまり、ERBB2変異型2との完全な相補性、およびERBB3変異型1に対する2つ〜3つのミスマッチ)、第1の鎖を含む。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAは、配列番号1164および1165に対する完全な相補性を有し、配列番号1166に記載される配列に対し、1つ、2つまたは3つのミスマッチを有する(つまり、両方のERBB3変異型との完全な相補性、およびERBB4に対する1つ〜3つのミスマッチ)、第1の鎖を含む。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAは、配列番号1164に対する完全な相補性を有し、配列番号1166に記載される配列に対し、0、1つ、2つ、または3つのミスマッチを有する(つまり、ERBB3変異型1との完全な相補性、およびERBB4に対する最大3つのミスマッチ)、第1の鎖を含む。さらなる実施形態において、1つ以上のdsRNAは、配列番号1166に対する完全な相補性を有し、配列番号1165に記載される配列に対し、3つのミスマッチを有する(つまり、ERBB4との完全な相補性、およびERBB3変異型に対する3つのミスマッチ)、第1の鎖を含む。
本明細書に記載のmdRNA分子を設計するために用いることができる一部の具体的なセンス鎖分子は、米国仮特許出願第60/932,970号(2007年5月22日出願)の表A、および本明細書とともに提出される配列表(Sequence Listing)(名称「07−R011PCT_Sequence_Listing」のテキストファイル、2008年2月20日作成、サイズは783キロバイト)に見出すことができ、ともに参照することにより本明細書に組み込まれる。さらに、米国仮特許出願第60/934,930号(2007年3月16日出願)に開示される表Bの内容は、名称「Table_B_Human_RefSeq_Accession_Numbers.txt」の別個のテキストファイル(2007年3月16日作成、サイズは3,604キロバイト)として上記出願とともに提出されたが、参照することにより、その全体が本明細書に組み込まれる。
ERBB dsRNA分子の置換および修飾
置換および修飾されたヌクレオチドを、本開示のmdRNAおよびdsRNA分子に導入することで、体外から送達される天然のRNA分子(すなわち、標準的ヌクレオチドを有する)に本来存在する生体内安定性およびバイオアベイラビリティの潜在的な限界を克服する強力なツールが提供される。例えば、本開示のdsRNA分子は血清中でより長い半減期を持つ傾向にあるため、本開示のdsRNA分子を使用することにより、特定の核酸分子が低用量で所与の治療効果を挙げることができるようになる(例えば、ERBBファミリーの発現を低下または停止させる)。さらに、一部の置換および修飾は、特定の細胞もしくは組織を標的とすることにより、またはdsRNA 分子の細胞摂取を向上させることにより、dsRNAのバイオアベイラビリティを改善することができる。したがって、たとえ天然のRNA分子と比較して本開示のdsRNA分子の活性が低い場合でも、該分子の安定性または送達が向上したことによって、置換または修飾されたdsRNA分子の全体的な活性は、天然のRNA分子の活性よりも優れている可能性がある。天然の非修飾dsRNAとは異なり、置換または修飾されたdsRNAは、例えば、ヒトにおいて、インターフェロン応答を活性化する可能性を最小限に抑えることも可能である。
置換および修飾されたヌクレオチドを、本開示のmdRNAおよびdsRNA分子に導入することで、体外から送達される天然のRNA分子(すなわち、標準的ヌクレオチドを有する)に本来存在する生体内安定性およびバイオアベイラビリティの潜在的な限界を克服する強力なツールが提供される。例えば、本開示のdsRNA分子は血清中でより長い半減期を持つ傾向にあるため、本開示のdsRNA分子を使用することにより、特定の核酸分子が低用量で所与の治療効果を挙げることができるようになる(例えば、ERBBファミリーの発現を低下または停止させる)。さらに、一部の置換および修飾は、特定の細胞もしくは組織を標的とすることにより、またはdsRNA 分子の細胞摂取を向上させることにより、dsRNAのバイオアベイラビリティを改善することができる。したがって、たとえ天然のRNA分子と比較して本開示のdsRNA分子の活性が低い場合でも、該分子の安定性または送達が向上したことによって、置換または修飾されたdsRNA分子の全体的な活性は、天然のRNA分子の活性よりも優れている可能性がある。天然の非修飾dsRNAとは異なり、置換または修飾されたdsRNAは、例えば、ヒトにおいて、インターフェロン応答を活性化する可能性を最小限に抑えることも可能である。
一部の実施形態において、本開示のdsRNA分子は、5‐メチルウリジン、2‐チオリボチミジン、2’‐O‐メチル‐5‐メチルウリジン、またはこれらの任意の組み合わせである第1の(アンチセンス)鎖の少なくとも1つのウリジン、少なくとも3つのウリジン、または1つ1つすべてのウリジン(すなわち、すべてのウリジン)を有する。関連する実施形態において、本開示のdsRNA分子またはその類似体は、5‐メチルウリジン、2‐チオリボチミジン、2’‐O‐メチル‐5‐メチルウリジン、またはこれらの任意の組み合わせであるdsRNAの第2の(センス)鎖の少なくとも1つのウリジン、少なくとも3つのウリジン、または1つ1つすべてのウリジンを有する。関連する実施形態において、本開示のdsRNA分子は、5‐メチルウリジン、2‐チオリボチミジン、2’‐O‐メチル‐5‐メチルウリジン、またはこれらの任意の組み合わせであるdsRNAの第3の(センス)鎖の少なくとも1つのウリジン、少なくとも3つのウリジン、または1つ1つすべてのウリジンを有する。さらに別の実施形態において、本開示のdsRNA分子は、5‐メチルウリジン、2‐チオリボチミジン、2’‐O‐メチル‐5‐メチルウリジン、またはこれらの任意の組み合わせである、第1(アンチセンス)および第2の(センス)鎖の両方、第1(アンチセンス)および第3の(センス)鎖の両方、第2(センス)および第3(センス)の鎖の両方、またはdsRNAの第1(アンチセンス)、第2(センス)および第3(センス)鎖のすべてのうちの少なくとも1つのウリジン、少なくとも3つのウリジン、または1つ1つすべてのウリジンを有する。いくつかの実施形態において、dsRNA分子の二本鎖領域は、少なくとも3つの5−メチルウリジン、2−チオリボチミジン、2’−O−メチル−5−メチルウリジン、またはこれらの任意の組み合わせを有する。一部の実施形態において、dsRNA分子は、1本の鎖、両方の鎖、またはこれらの任意の組み合わせにおけるヌクレオチドの位置の約5%〜約95%で、リボヌクレオチドを含む。
さらなる実施形態において、本開示に従った、RNAiにより1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させるdsRNA分子は、1つ以上の天然または合成の非標準ヌクレオシドをさらに含む。関連する実施形態において、非標準ヌクレオシドは、1つ以上のデオキシウリジン、ロックされた核酸(LNA)分子(例えば、5−メチルウリジンLNA)、普遍的に結合するヌクレオチド、またはこれらの任意の組み合わせである。一部の実施形態において、普遍的に結合するヌクレオチドは、C−フェニル、C−ナフチル、イノシン、アゾールカルボキサミド、1−β−D−リボフラノシル−4−ニトロインドール、1−β−D−リボフラノシル−5−ニトロインドール、1−β−D−リボフラノシル−6−ニトロインドール、または1−β−D−リボフラノシル−3−ニトロピロールであり得る。
dsRNA分子中に存在する置換または修飾されたヌクレオチドは、好ましくはセンスまたはアンチセンス鎖にあるが、任意選択的にアンチセンスおよびセンス鎖の両方にあり、天然または標準的リボヌクレオチドと同様の特性または性質を有する、本開示に従う修飾または置換されたヌクレオチドを含む。例えば、本開示は、ノーザン構造(Northern conformation)(例えば、ノーザン擬似回転サイクル、例えば、Saenger,Principles of Nucleic Acid Structure,Springer−Verlag ed.,1984を参照されたい)を持つヌクレオチドを含むdsRNA分子を特徴とする。したがって、好ましくはアンチセンス鎖にあるが、任意選択的にセンス鎖またはアンチセンスおよびセンス鎖の両方にある、本開示のdsRNA分子に存在する化学修飾ヌクレオチドは、ヌクレアーゼの分解に対して耐性を示すと同時に、その一方、RNAiを媒介する能力を維持する。ノーザン構造を有する例示的なヌクレオチドには、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチド(例えば、2’−O、4’−C−メチレン−(D−リボフラノシル)ヌクレオチド)、2’−メトキシエチル(MOE)ヌクレオチド、2’−メチル−チオ−エチル、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−クロロヌクレオチド、2’−アジドヌクレオチド、5−メチルウリジン、または2’−O−メチルヌクレオチドが挙げられる。一部の実施形態において、LNAは5−メチルウリジンLNAまたは2−チオ−5−メチルウリジンLNAである。これらの実施形態のいずれにおいても、1つ以上の置換または修飾されたヌクレオチドは、Gクランプであり得る(例えば、9−(アミノエトキシ)フェノキサジン等のグアニンに対して追加の水素結合を形成するシトシン類似体、例えば、Lin and Mateucci,J.Am.Chem.Soc.120:8531,1998を参照されたい)。
本明細書に記載されるように、本開示によって提供されるdsRNA分子またはその類似体の第1の鎖と1つ以上の第2の鎖とは、ともにアニーリングまたはハイブリダイズして(すなわち、鎖間の相補性のため)、約4〜約10塩基対、約5〜約13塩基対、または約15〜約40塩基対の長さを持つ、少なくとも1つの二本鎖領域を形成することができる。いくつかの実施形態において、dsRNAは、約15〜約24塩基対または約19〜約23塩基対の範囲の長さの少なくとも1つの二本鎖領域を有する。他の実施形態において、dsRNAは、約26〜約40塩基対または約27〜約30塩基対または約30〜約35塩基対の範囲の長さの、少なくとも1つの二本鎖領域を有する。他の実施形態において、本開示のdsRNA分子の2つ以上の鎖は、任意選択的に、ヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカー分子によって、共有結合的にともに結合され得る。
一部の実施形態において、dsRNA分子またはその類似体は、デオキシリボヌクレオチドまたは2つのデオキシリボヌクレオチド(例えば、チミジン、アデニン)を含むオーバーハング等、dsRNAの3’末端の一端または両端に1〜4ヌクレオチドのオーバーハングを含む。一部の実施形態において、1つ以上のデオキシリボヌクレオチドを含む3’末端はmdRNA分子中にあり、それはギャップの中にあるか、ギャップの中にないか、またはこれらの任意の組み合わせのいずれかである。いくつかの実施形態において、dsRNA分子またはその類似体は、dsRNAの一端または両端に平滑末端を有する。一部の実施形態において、第1または第2の鎖の5’末端はリン酸化されている。’本明細書に記載されるdsRNA分子の実施形態のいずれにおいても、3’末端のヌクレオチドオーバーハングは、核酸の糖、塩基、または骨格において化学的に修飾されたリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドを含むことができる。本明細書に記載されるdsRNA分子の実施形態のいずれにおいても、3’末端のヌクレオチドオーバーハングは、1つ以上の普遍的な塩基リボヌクレオチドを含むことができる。本明細書に記載されるdsRNA分子の実施形態のいずれにおいても、3’末端のヌクレオチドオーバーハングは、1つ以上の非環式ヌクレオチドを含むことができる。本明細書に記載されるdsRNA分子の実施形態のいずれにおいても、dsRNAは、5’リン酸塩(Martinez et al.,Cell..110:563,2002、およびSchwarz et al.,Molec.Cell.10:537,2002を参照されたい)または5’,3’二リン酸塩等の末端リン酸基をさらに含むことができる。
本明細書に記載されるように、例えば、RNAiにより、1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させる本開示のdsRNAの末端構造は、平滑末端かまたは1つ以上のオーバーハングのいずれかを有することができる。一部の実施形態において、オーバーハングは3’末端または5’末端にあり得る。オーバーハングを有するdsRNAの全長は、対になった二本鎖部分とオーバーハングするヌクレオチドとの長さの合計として表される。例えば、19塩基対のdsRNAが2つのヌクレオチドオーバーハングを両端に有する場合、全長は21−merと表される。さらに、オーバーハングする配列は、1つ以上のERBBファミリー遺伝子に対する特異性が低い可能性があるため、ERBBファミリー遺伝子の配列に対して必ずしも相補的(アンチセンス)または同一(センス)であるとは限らない。さらなる実施形態において、RNAiにより1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させる本開示のdsRNAは、例えば、dsRNAの1つ以上のオーバーハング部分に、低分子量構造(例えば、tRNA、rRNAもしくはウイルスRNA等の天然のRNA分子、または人工のRNA分子)を、さらに含み得る。
さらなる実施形態において、本開示に従った、RNAiにより1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させるdsRNA分子は、任意選択的に、2’−デオキシ、2’−O−2−メトキシエチル、2’−O−メトキシエチル、2’−O−メチル、ハロゲン、2’−フルオロ、2’−O−アリル等、またはこれらの任意の組み合わせの2’糖置換を含み得る。またさらなる実施形態において、本開示に従った、RNAiにより1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させるdsRNA分子は、第1の鎖または1つ以上の第2の鎖の一端もしくは両端に、アルキル、脱塩基、デオキシ脱塩基、グリセリル、ジヌクレオチド、非環式ヌクレオチド、反転したデオキシヌクレオチド部分、またはこれらの任意の組み合わせ等の末端キャップの置換基をさらに含む。一部の実施形態において、二本鎖領域内にあるセンス鎖の少なくとも1つまたは2つの5’末端リボヌクレオチドは、2’糖置換を有する。他の一部の実施形態において、二本鎖領域内にあるアンチセンス鎖の少なくとも1つまたは2つの5’末端リボヌクレオチドは、2’糖置換を有する。一部の実施形態において、二本鎖領域内にあるセンス鎖およびアンチセンス鎖の少なくとも1つまたは2つの5’末端リボヌクレオチドは、2’糖置換を有する。
他の実施形態において、本開示に従った、RNAiにより1つ以上の標的遺伝子の発現を低下させるdsRNA分子は、糖骨格に、リボシル、2’‐デオキシリボシル、テトロフラノシル(tetrofuranosyl)(例えば、L‐α‐トレオフラノシル)、ヘキソピラノシル(例えば、β‐アロピラノシル、β‐アルトロピラノシル、およびβ‐グルコピラノシル)、ペントピラノシル(例えば、β‐リボピラノシル、α‐リキソピラノシル、β‐キシロピラノシル、およびα‐アラビノキシロピラノシル)、炭素環式(炭素のみの環)類似体、ピラノース、フラノース、モルホリノ、またはこれらの類似体もしくは誘導体の任意の組み合わせを含む、1つ以上の置換を含む。
さらに他の実施形態において、本開示に従った、RNAiにより1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させるdsRNA分子は、独立してホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、リン酸トリエステル、アミノアルキルリン酸トリエステル、メチルホスホン酸塩、アルキルホスホン酸塩、3’−アルキレンホスホン酸塩、5’−アルキレンホスホン酸塩、キラルホスホネート、ホスホノ酢酸塩、チオホスホノ酢酸塩、ホスフィン酸塩、ホスホロアミド酸塩、3’−アミノホスホロアミド酸塩、アミノアルキルホスホロアミド酸塩、チオノホスホロアミド酸塩、セレノリン酸塩、チオノアルキルホスホン酸塩、チオノアルキルリン酸トリエステル、ボラノリン酸結合、またはこれらの任意の組み合わせ等の、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合をさらに含む。
修飾されたヌクレオチド間結合は、本明細書に記載されるように、例えば、センス鎖、アンチセンス鎖、両方の鎖、または複数の鎖(例えば、mdRNA中)の中等、本開示のdsRNA分子の1つ以上の鎖に存在し得る。本開示のdsRNA分子は、センス鎖またはアンチセンス鎖または両方の鎖の3’末端、5’末端、または3’および5’末端の両方に、1つ以上の修飾されたヌクレオチド間結合を含み得る。一実施形態において、RNAiにより1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させる能力を持つdsRNA分子は、3’末端にホスホロチオエート結合等の1つの修飾されたヌクレオチド間結合を有する。例えば、本開示は、1つのdsRNA鎖に約1〜約8つ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を有する、RNAiにより1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させる能力を持つdsRNA分子を提供する。さらに別の実施形態において、本開示は、両方のdsRNA鎖に約1〜約8つ以上のホスホロチオエートヌクレオチド間結合を有する、RNAiにより1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させる能力を持つdsRNA分子を提供する。他の実施形態において、例示的な本開示のdsRNA分子は、センス鎖、アンチセンス鎖、両方の鎖、または複数の鎖の5’末端に、約1〜約5つ以上連続するホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み得る。別の実施例において、例示的な本開示のdsRNA分子は、センス鎖、アンチセンス鎖、2本の鎖、または複数の鎖に、1つ以上のピリミジンホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み得る。別の実施例において、例示的な本開示のdsRNA分子は、センス鎖、アンチセンス鎖、2本の鎖、または複数の鎖に、1つ以上のプリンホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含み得る。
本開示のdsRNAにおいて有用な多くの例示的な修飾ヌクレオチド塩基またはその類似体には、5−メチルシトシン;5−ヒドロキシメチルシトシン;キサンチン;ヒポキサンチン;2−アミノアデニン;6−メチル、2−プロピル、またはアデニンおよびグアニンの他のアルキル誘導体;8−置換アデニンおよびグアニン(8−アザ、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシル等);7−メチル、7−デアザ、および3−デアザアデニンならびにグアニン;2−チオウラシル;2−チオチミン;2−チオシトシン;5−メチル、5−プロピニル、5−ハロ(5−ブロモまたは5−フルオロ等)、5−トリフルオロメチル、または他の5−置換ウラシルおよびシトシン;ならびに6−アゾウラシルが含まれる。さらなる有用なヌクレオチド塩基は、Kurreck,Eur.J.Biochem.270:1628,2003、Herdewijn,Antisense Nucleic Acid Develop. 10:297,2000、Concise Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,pages 858−859,Kroschwitz,J.I.,ed.John Wiley & Sons,1990、米国特許第3,687,808号、および同様の参考文献に見ることができる。
あるヌクレオチド塩基部分は、本開示のdsRNA分子の、相補的な標的に対する結合親和性を高めるために特に有用である。これらには、5−置換ピリミジン、6−アザピリミジン、およびN−2、N−6、またはO−6置換されたプリン(2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシル、および5−プロピニルシトシンを含む)を含む。例えば、5−メチルウリジンおよび5−メチルシトシンの置換は、核酸の二重鎖安定性を高めることが知られており、修飾または置換されたdsRNAに対するヌクレアーゼ耐性を提供する2’糖修飾(2’−メトキシまたは2’−メトキシエチル等)またはヌクレオシド間結合(例えば、ホスホロチオエート)と組み合わせることができる。
本開示の別の態様において、配列番号1158、1159、1160、1161、1162、1163、1164、1165、または1166に記載されるERBBのmRNAに相補的である第1の鎖と、第1の鎖に相補的である第2の鎖と、を含む、1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させるdsRNAであって、第1および第2の鎖は約15〜約40塩基対の二本鎖領域を形成し、dsRNAの少なくとも1つのピリミジンは式IまたはIIに従ったピリミジンヌクレオシドであり、
式中、R1およびR2は、それぞれ独立して−H、−OH、−OCH3、−OCH2OCH2CH3、−OCH2CH2OCH3、ハロゲン、置換もしくは未置換のC1−C10アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルキルスルホニルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、トリフルオロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、置換もしくは未置換のC2−C10アルケニル、置換もしくは未置換の−O−アリル、−O−CH2CH=CH2、−O−CH=CHCH3、置換もしくは未置換のC2−C10アルキニル、カルバモイル、カルバミル、カルボキシ、カルボニルアミノ、置換もしくは未置換のアリール、置換もしくは未置換のアラルキル、−NH2、−NO2、−C≡N、またはヘテロシクロ基であり、R3およびR4は、それぞれ独立してヒドロキシル、保護ヒドロキシル、またはヌクレオシド間の結合基であり、R5およびR8は、それぞれ独立してOまたはSである、mdRNA分子が提供される。一部の実施形態において、少なくとも1つのヌクレオシドは式Iに従い、式中、R1はメチルでありかつR2は−OHであるか、またはR1はメチルであり、R2は−OHであり、R8はSである。他の実施形態において、ヌクレオシド間結合基は、約2〜約40個のヌクレオシドを共有結合的に結合する。
式中、R1およびR2は、それぞれ独立して−H、−OH、−OCH3、−OCH2OCH2CH3、−OCH2CH2OCH3、ハロゲン、置換もしくは未置換のC1−C10アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルキルスルホニルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、トリフルオロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、置換もしくは未置換のC2−C10アルケニル、置換もしくは未置換の−O−アリル、−O−CH2CH=CH2、−O−CH=CHCH3、置換もしくは未置換のC2−C10アルキニル、カルバモイル、カルバミル、カルボキシ、カルボニルアミノ、置換もしくは未置換のアリール、置換もしくは未置換のアラルキル、−NH2、−NO2、−C≡N、またはヘテロシクロ基であり、R3およびR4は、それぞれ独立してヒドロキシル、保護ヒドロキシル、またはヌクレオシド間の結合基であり、R5およびR8は、それぞれ独立してOまたはSである、mdRNA分子が提供される。一部の実施形態において、少なくとも1つのヌクレオシドは式Iに従い、式中、R1はメチルでありかつR2は−OHであるか、またはR1はメチルであり、R2は−OHであり、R8はSである。他の実施形態において、ヌクレオシド間結合基は、約2〜約40個のヌクレオシドを共有結合的に結合する。
一部の実施形態において、RNAiにより1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させ、式IまたはIIに従ったピリミジンヌクレオシドで置換された少なくとも1つのピリミジンを有するdsRNAの第1の鎖と1つ以上の第2の鎖とは、ともにアニーリングまたはハイブリダイズして(すなわち、鎖間の相補性のため)、約15〜約40塩基対の長さまたは合わせた長さを有する、少なくとも1つの二本鎖領域を形成することができる。いくつかの実施形態において、dsRNAは、約4塩基対〜約10塩基対または約5〜約13塩基対または約15〜約25塩基対または約19〜約23塩基対の範囲の長さの、少なくとも1つの二本鎖領域を有する。他の実施形態において、dsRNAは、約26〜約40塩基対または約27〜約30塩基対または約30〜約35塩基対の範囲の長さの、少なくとも1つの二本鎖領域を有する。一部の実施形態において、dsRNA分子またはその類似体は、デオキシリボヌクレオチドまたは2つのデオキシリボヌクレオチド(例えば、チミジン)を含むオーバーハング等、3’末端の一端または両端に1〜4ヌクレオチドのオーバーハングを有する。いくつかの実施形態において、dsRNA分子またはその類似体は、dsRNAの一端または両端に平滑末端を有する。一部の実施形態において、第1または第2の鎖の5’末端はリン酸化されている。
一部の実施形態において、少なくとも1つのR1は、メチルまたはエチル等のC1−C5アルキルである。本開示の他の例示的な実施形態の中で、式Iの化合物は、5‐アルキルウリジンであるか(すなわち、R1はアルキルであり、R2は‐OHであり、R3、R4、およびR5は本明細書に定義されるとおりである)、または式IIの化合物は5‐アルキルシチジンである(すなわち、R1はアルキルであり、R2は‐OHであり、R3、R4、およびR5は本明細書に定義されるとおりである)。関連する実施形態において、5−アルキルウリジンは、5−メチルウリジン(リボチミジンまたは「t」もしくは「Tr」とも称される−すなわち、R1はメチルであり、R2は−OHである)であり、5−アルキルシチジンは5−メチルシチジンである。他の実施形態において、dsRNAの第1の鎖の少なくとも1つ、少なくとも3つ、もしくはすべてのウリジンは、5−メチルウリジンであるか、またはdsRNAの第2の鎖の少なくとも1つ、少なくとも3つ、もしくはすべてのウリジンは、5−メチルウリジンであるか、またはこれらの任意の組み合わせである(例えば、かかる変化は両方の鎖上で起こる)。さらなる実施形態において、5−メチルウリジンは2’−O−メチルをさらに有し得る。一部の実施形態において、式Iまたは式IIの少なくとも1つのピリミジンヌクレオシドは、SであるR5を有する。
さらなる実施形態において、dsRNAの少なくとも1つのピリミジンヌクレオシドは、二環式糖の形態にあるロックされた核酸(LNA)であり、R2は酸素であり、2’−Oおよび4’−Cは同じリボース環上にオキシメチレン架橋を形成する。関連する実施形態において、LNAは、5−メチルウリジンLNAまたは2−チオ−5−メチルウリジンLNA等の塩基置換を含む。他の実施形態において、dsRNAの第1の鎖の少なくとも1つ、少なくとも3つ、またはすべてのウリジンが、5−メチルウリジンもしくは2−チオリボチミジもしくは5−メチルウリジンLNAもしくは2−チオ−5−メチルウリジンLNAで置き換えられるか、またはdsRNAの第2の鎖の少なくとも1つ、少なくとも3つ、もしくはすべてのウリジンが、5−メチルウリジン、2−チオリボチミジン、5−メチルウリジンLNA、2−チオ−5−メチルウリジンLNA、またはこれらの任意の組み合わせで置き換えられる(例えば、かかる変化は両方の鎖上でなされるか、またはいくつかの置換は、5−メチルウリジンのみ、2−チオリボチミジンのみ、5−メチルウリジンLNAのみ、2−チオ−5−メチルウリジンLNAのみ、または1つ以上の5−メチルウリジンLNAもしくは2−チオ−5−メチルウリジンLNAを有する1つ以上の5−メチルウリジンもしくは2−チオリボチミジンを含む)。
さらなる実施形態において、ピリミジンヌクレオシドまたはヌクレオシド間結合のリボースは、任意選択的に修飾され得る。例えば、式中、R2が2’−O−メチル置換等のアルコキシである式IまたはIIの化合物が提供される(例えば、それぞれ5−アルキルウリジンまたは5−アルキルシチジンに追加され得る)。一部の実施形態において、R2は、2’−O−(C1−C5)アルキル、2’−O−メチル、2’−OCH2OCH2CH3、2’−OCH2CH2OCH3、2’−O−アリル、またはフルオロから選択される。さらなる実施形態において、ピリミジンヌクレオシドうちの1つ以上は式Iに従い、式中、R1はメチルであり、R2は2’−O−(C1−C5)アルキル(例えば、2’−O−メチル)である。他の実施形態において、式IまたはIIに従った1つ以上または少なくとも2つのピリミジンヌクレオシドは、−Hまたは−OHではないR2を有し、3’末端または5’末端で組み込まれるが、dsRNA分子の二本鎖領域にある1本以上の鎖のギャップ内には組み込まれない。
さらなる実施形態において、式中、R2が−Hまたは−OHおよびオーバーハングではない、式Iまたは式IIに従ったピリミジンヌクレオシドを含むdsRNA分子またはその類似体は、dsRNA分子の二本鎖領域内にある、1本の鎖または2本の鎖の3’末端または5’末端またはその両方のいずれかで組み込まれる少なくとも2つのピリミジンヌクレオシドをさらに含む。関連する実施形態において、R2が−Hまたは−OHではない、少なくとも2つのピリミジンヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、dsRNA分子の少なくとも1本の鎖の二本鎖領域内の3’末端または5’末端に位置し、R2が−Hまたは−OHではない、少なくとも2つのピリミジンヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、dsRNA分子の鎖の内部に位置する。またさらなる実施形態において、オーバーハングを有するdsRNA分子またはその類似体は、dsRNA分子のセンス鎖の二本鎖領域内の5’末端で組み込まれ、R2は−Hまたは−OHではない、2つ以上のピリミジンヌクレオシドのうちの1つめを有し、2つ以上のピリミジンヌクレオシドの2つめはdsRNA分子のアンチセンス鎖の二本鎖領域内の5’末端で組み込まれる。これらの実施形態のいずれにおいても、1つ以上の置換または修飾されたヌクレオチドは、Gクランプであり得る(例えば、9−(アミノエトキシ)フェノキサジン等のグアニンに対して追加の水素結合を形成するシトシン類似体、例えば、Lin and Mateucci,1998を参照されたい)。これらの実施形態のいずれにおいても、ギャップ内に存在しない1つ以上の修飾ピリミジンヌクレオシドが提供される。
さらに別の実施形態において、オーバーハングを有する、本開示に従った式IまたはIIのdsRNA分子は、4つ以上の独立したピリミジンヌクレオシド、またはR2は−Hもしくは−OHではない4つ以上の独立したピリミジンヌクレオシドを含み、(a)第1のピリミジンヌクレオシドは、dsRNAのセンス(第2の)鎖の二本鎖領域内の3’末端に組み込まれ、(b)第2のピリミジンヌクレオシドは、センス(第2の)鎖の二本鎖領域内の5’末端に組み込まれ、(c)第3のピリミジンヌクレオシドは、dsRNAのアンチセンス(第1の)鎖の二本鎖領域内の3’末端に組み込まれ、(d)第4のピリミジンヌクレオシドは、アンチセンス(第1の)鎖の二本鎖領域内の5’末端に組み込まれる。これらの実施形態のいずれにおいても、ギャップ内に存在しない1つ以上のピリミジンヌクレオシドが提供される。
さらなる実施形態において、R2は−Hまたは−OHではない、平滑末端である、式IまたはIIに従ったピリミジンヌクレオシドを含む、dsRNA分子またはその類似体は、dsRNA分子の1本の鎖または2本の鎖の3’末端または5’末端またはその両方のいずれかで組み込まれる少なくとも2つのピリミジンヌクレオシドをさらに含む。関連する実施形態において、R2は−Hまたは−OHではない、少なくとも2つのピリミジンヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、dsRNA分子の少なくとも1本の鎖の3’末端または5’末端に位置し、R2は−Hまたは−OHではない、少なくとも2つのピリミジンヌクレオシドのうちの少なくとも1つは、dsRNA分子の鎖の内部に位置する。またさらなる実施形態において、平滑末端であるdsRNA分子またはその類似体は、R2は−Hまたは−OHではなく、dsRNA分子のセンス鎖の5’末端で組み込まれる、2つ以上のピリミジンヌクレオシドの1つめを有し、2つ以上のピリミジンヌクレオシドの2つめは、dsRNA分子のアンチセンス鎖の5’末端で組み込まれる。これらの実施形態のいずれにおいても、ギャップ内に存在しない1つ以上のピリミジンヌクレオシドが提供される。
さらに別の実施形態において、式Iまたは式IIに従ったピリミジンヌクレオシドを含み、平滑末端であるdsRNA分子は、4つ以上の独立したピリミジンヌクレオシド、またはR2は−Hまたは−OHではない4つ以上の独立したピリミジンヌクレオシドを含み、(a)第1のピリミジンヌクレオシドは、dsRNAのセンス(第2の)鎖の二本鎖領域内の3’末端に組み込まれ、(b)第2のピリミジンヌクレオシドは、センス(第2の)鎖の二本鎖領域内の5’末端に組み込まれ、(c)第3のピリミジンヌクレオシドは、dsRNAのアンチセンス(第1の)鎖の二本鎖領域内の3’末端に組み込まれ、(d)第4のピリミジンヌクレオシドは、アンチセンス(第1の)鎖の二本鎖領域内の5’末端に組み込まれる。これらの実施形態のいずれにおいても、ギャップ内に存在しない1つ以上のピリミジンヌクレオシドが提供される。
またさらなる実施形態において、本開示に従った式IまたはIIのdsRNA分子またはその類似体は、第1の鎖または第2の鎖の一端または両端に、アルキル、脱塩基、デオキシ脱塩基、グリセリル、ジヌクレオチド、非環式ヌクレオチド、反転したデオキシヌクレオチド部分、またはこれらの任意の組み合わせ等の末端キャップの置換基をさらに含む。さらなる実施形態において、1つ以上のヌクレオシド間結合は任意選択的に修飾され得る。例えば、本開示に従った式IまたはIIのdsRNA分子またはその類似体は、少なくとも1つのヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、リン酸トリエステル、アミノアルキルリン酸トリエステル、メチルホスホン酸塩、アルキルホスホン酸塩、3’−アルキレンホスホン酸塩、5’−アルキレンホスホン酸塩、キラルホスホン酸塩、ホスホノ酢酸塩、チオホスホノ酢酸塩、ホスフィン酸塩、ホスホロアミド酸塩、3’−アミノホスホロアミド酸塩、アミノアルキルホスホロアミド酸塩、チオノホスホロアミド酸塩、セレノリン酸塩、チオノアルキルホスホン酸塩、チオノアルキルリン酸トリエステル、ボラノリン酸結合、またはこれらの任意の組み合わせに修飾される。
さらに別の実施形態において、RNAiにより1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させるニックの入ったまたはギャップのあるdsRNA分子(それぞれ、ndsRNAまたはgdsRNA)で、配列番号1158、1159、1160、1161、1162、1163、1164、1165、または1166に記載されるERBBのmRNAに相補的である第1の鎖と、第1の鎖に相補的である2つ以上の第2の鎖と、を含み、第1の鎖および第2の鎖の少なくとも1つは、任意選択的に約5〜13塩基対の非重複二本鎖領域を形成する、dsRNA分子を提供する。前述の置換または修飾のうちのいずれもが、本実施形態においても企図される。
本開示の別の実施例において、dsRNAは、それぞれ独立して選択され得る少なくとも2つ以上の置換ピリミジンヌクレオシドを含み、R1は、例えば、アルキル(例えば、メチル)、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アリール、アロイル、アラルキル、ニトリル、ジアルキルアミノ、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシアルキル、カルボキシ、カルボニル、アルカノイルアミノ、カルバモイル、カルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、またはヘテロシクロ基等の、本明細書で企図される任意の化学修飾または置換を含む。2つ以上の修飾リボヌクレオチドが存在する場合は、各修飾リボヌクレオチドは、R1またはR2で同じまたは異なる修正または置換を有するように、独立して修飾され得る。
他の詳細な実施形態において、式IまたはIIに従った1つ以上の置換ピリミジンヌクレオシドは、上述した1つ以上の複数の末端位置、または複数の末端ではない(「内側の」)位置のいずれか1つまたはその組み合わせを含む、本開示のdsRNA分子のセンス鎖およびアンチセンス鎖のいずれかまたはその両方の、任意のリボヌクレオチドの位置、またはリボヌクレオチドの位置の任意の組み合わせに位置し得る。これに関して、センス鎖およびアンチセンス鎖のそれぞれは、約1〜約6個以上の置換ピリミジンヌクレオシドを組み入れ得る。
一部の実施形態において、2つ以上の置換ピリミジンヌクレオシドが本開示のdsRNAに組み込まれる場合、少なくとも1つの置換ピリミジンヌクレオシドは、1本または両方の鎖の3’末端または5’末端に存在し、一部の実施形態において、少なくとも1つの置換ピリミジンヌクレオシドは、1本または両方の鎖の5’末端に存在する。他の実施形態において、置換ピリミジンヌクレオシドは、本明細書に記載されるように、同族のmRNAを標的とする相同配列として構築された非修飾dsRNA中のピリミジンの位置に対応する位置に位置する。
さらに、本開示のdsRNAの末端構造は、dsRNA分子の片側の末端が、例えば、リンカーRNA等のリンカー核酸によって接続されるステム−ループ構造を有し得る。二本鎖領域(ステム−ループ部分)の長さは、例えば、約15〜約49bp、約15〜約35bp、または約21〜約30bp長であり得る。あるいは、標的細胞内で発現されるべきdsRNAの最終転写産物である二本鎖領域の長さは、例えば、約15〜約49bp、約15〜約35bp、または約21〜約30bp長であり得る。リンカーセグメントが用いられる場合は、ステム部分の対形成を妨げない限り、リンカーの長さに特定の制限はない。例えば、ステム部分の安定した対形成およびその部分に対してコード化するDNA間の組換えのために、リンカー部分はクローバーリーフ構造を有し得る。たとえリンカーがステム部分の対形成を妨げる長さであったとしても、例えば、成熟したRNA内にRNA前駆体をプロセスする間にイントロンが切り取られてステム部分の対形成ができるよう、イントロンを含むようにリンカー部分を構築することが可能である。ステム−ループdsRNAの場合は、ループ構造を持たないRNAのいずれの端(頭または尾)は低分子量RNAを有し得る。上述の通り、これらの低分子量RNAは、tRNA、rRNAもしくはウイルスRNA等の天然のRNA分子、または人工RNA分子を含み得る。
dsRNA分子は、環状核酸分子を含んでもよく、ここで、dsRNAは約18〜約23(例えば約19〜約21)の塩基対を有する約38〜約70ヌクレオチドの長さであり、環状オリゴヌクレオチドは、約19塩基対および2つのループを有するダンベル型構造を形成する。一部の実施形態において、環状dsRNA分子は2つのループモチーフを含有し、dsRNA分子の1つまたは両方のループ部分は生分解性である。例えば、本開示の環状dsRNA分子は、生体内でのdsRNA分子のループ部分の分解が、約1〜約4個の(不対)ヌクレオチドを含む3’末端ヌクレオチドオーバーハング等の3’末端オーバーハングを有する二本鎖dsRNA分子を生成できるように設計される。
本開示に従ってdsRNAのヌクレオシドを置換または修飾することで、5’−エキソヌクレアーゼまたは3’−エキソヌクレアーゼ分解を含むエキソヌクレアーゼ分解等の酵素分解に対する耐性を高めることができる。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるdsRNAは、標準的ヌクレオチドを有する対応するdsRNAと比較して、酵素分解に対して有意な耐性を示し、よって、より高い安定性、長い半減期、および生理環境におけるより高いバイオアベイラビリティ(例えば、標的細胞に導入される場合)を持つ。置換または修飾されたdsRNAのエキソヌクレアーゼ分解に対する耐性が高まることに加えて、式IまたはIIに従った1つ以上のピリミジンヌクレオシドを組み込むことにより、他の酵素分解プロセスまたは化学分解プロセスに対するdsRNAの耐性がより高いものなり、ひいては置換または修飾を含まない、それ以外は同一であるdsRNAと比較して、より安定した生物学的に利用可能である。本開示の関連する態様において、本明細書に記載されるdsRNA置換または修飾は、研究、診断、および治療方法において使用される修飾dsRNAの安定性を向上することが多く、修飾されたdsRNAは、例えば、哺乳類細胞、細胞内区画、血清もしくは他の細胞外体液、組織、または他の生体外もしくは生体内での生理学的な区画または環境等の生体試料と接触させられる。一実施形態において、診断は単離された生体試料上で行われる。別の実施形態において、診断方法は生体外で行われる。さらなる実施形態において、診断方法はヒトまたは動物の体に(直接的には)行われない。
置換または修飾されたdsRNAの安定性を高めることに加えて、遺伝子サイレンシングのために設計されたdsRNA中に式IまたはIIに従った1つ以上のピリミジンヌクレオシドを組み込むことで、対応する非修飾dsRNAと比較して、置換または修飾されたdsRNAの融点を上昇させること含む、付加的な望ましい機能的結果を提供することができる。本開示の別の態様において、本明細書に記載されるdsRNAの特定の置換または修飾は、生体試料に接触させると(例えば、潜在的な特異的および非特異的な標的として存在する特異的および非特異的なRNA種を有する標的となる真核生物細胞に導入される場合)、置換または修飾されたdsRNA分子の「オフターゲット効果」を低下することができる。本開示のさらに別の態様において、本明細書に記載されるdsRNAの置換または修飾は、dsRNAを生態試料と接触させると(例えば、真核生物細胞に導入される場合)、dsRNA分子によるインターフェロンの活性化が低下する。
さらなる実施形態において、本開示のdsRNAは、標的遺伝子(例えば、EGFR、ERBB2、ERBB3、ERBB4)の配列に相同であるかまたは対応する1つ以上のセンス(第2の)鎖と、センス鎖および標的遺伝子の配列に相補的であるアンチセンス(第1の)鎖とを含み得る。例示的な実施形態において、dsRNAの少なくとも1本の鎖は、式IまたはIIに従った置換された1つ以上のピリミジンを組み込む(例えば、ピリミジンは1つを超える5−メチルウリジン、2−チオリボチミジン、2’−O−メチル−5−メチルウリジン、またはLNAであり、リボースは、2’アルキル置換、またはこれらの任意の組み合わせを組み込むように修飾される)。式IまたはIIに従ったこれらのおよび他の複数の置換または修飾は、dsRNAが非修飾dsRNAの活性と同様かそれより良好なRNAi活性を有するかまたは保持する限り、dsRNAの1本またはすべての鎖に存在する1つ以上のピリミジン、または任意の組み合わせ、および最も多くはすべてのピリミジンに導入され得る。
本明細書に記載されるいずれの実施形態においても、dsRNAは複数の修飾を含むことができる。例えば、少なくとも1つのリボチミジンまたは2’−O−メチル−5−メチルウリジンを有するdsRNAは、少なくとも1つのLNA、2’−メトキシ、2’−フルオロ、2’−デオキシ、ホスホロチオエート結合、反転した塩基末端キャップ、またはこれらの任意の組み合わせをさらに含むことができる。一部の実施形態において、dsRNAは1つ〜すべてのリボチミジンを有し、最大75%のLNAを有する。他の実施形態において、dsRNAは、1つ〜すべてのリボチミジンを有し、最大75%の2’−メトキシ(例えば、アルゴノート切断部位に存在しない)を有する。さらに他の実施形態において、dsRNAは1つ〜すべてのリボチミジンを有し、最大100%の2’−フルオロを有する。さらなる実施形態において、dsRNAは1つ〜すべてのリボチミジンを有し、最大75%の2’−デオキシを有する。さらなる実施形態において、dsRNAは最大75%のLNAを有し、最大75%の2’−メトキシを有する。さらに他の実施形態において、dsRNAは最大75%のLNAを有し、最大100%の2’−フルオロを有する。さらなる実施形態において、dsRNAは最大75%のLNAを有し、最大75%の2’−デオキシを有する。他の実施形態において、dsRNAは最大75%の2’−メトキシを有し、最大100%の2’−フルオロを有する。より多くの実施形態において、dsRNAは最大75%の2’−メトキシを有し、最大75%の2’−デオキシを有する。さらなる実施形態において、dsRNAは最大100%の2’−フルオロを有し、最大75%の2’−デオキシを有する。
さらなる複数の変形実施形態において、dsRNAは、1つ〜すべてのリボチミジン、最大75%のLNA、および最大75%の2’−メトキシを有する。さらなる実施形態において、dsRNAは、1つ〜すべてのリボチミジン、最大75%のLNA、および最大100%の2’−フルオロを有する。さらなる実施形態において、dsRNAは、1つ〜すべてのリボチミジン、最大75%のLNA、および最大約75%の2’−デオキシを有する。さらなる実施形態において、dsRNAは、1つ〜すべてのリボチミジン、最大75%の2’−メトキシ、および最大75%の2’−フルオロを有する。さらなる実施形態において、dsRNAは、1つ〜すべてのリボチミジン、最大75%の2’−メトキシ、および最大75%の2’−デオキシを有する。さらなる実施形態において、dsRNAは、1つ〜すべてのリボチミジン、最大100%の2’−フルオロ、および最大75%の2’−デオキシを有する。さらなる実施形態において、dsRNAは1つ〜すべてのリボチミジン、最大75%のLNA置換、最大75%の2’−メトキシ、最大100%の2’−フルオロ、および最大75%の2’−デオキシを有する。他の実施形態において、dsRNAは、最大75%のLNA、最大75%の2’−メトキシ、および最大100%の2’−フルオロを有する。さらなる実施形態において、dsRNAは、最大75%のLNA、最大75%の2’−メトキシ、および最大約75%の2’−デオキシを有する。さらなる実施形態において、dsRNAは最大75%のLNA、最大100%の2’−フルオロ、および最大75%の2’−デオキシを有する。さらなる実施形態において、dsRNAは最大75%の2’−メトキシ、最大100%の2’−フルオロ、および最大75%の2’−デオキシを有する。
多重に修飾されたdsRNAを用いるためのこれらの例示的方法のいずれにおいても、dsRNAは、最大100%のホスホロチオエートヌクレオシド間結合、1〜10以上の反転した塩基の末端キャップ、またはこれらの任意の組み合わせをさらに含み得る。さらに、これらのdsRNAのいずれもが、dsRNA分子内の1本の鎖、2本の鎖、3本の鎖、複数の鎖、もしくはすべての鎖、または同じかもしくは異なるヌクレオシド上に、これらの複数の修飾を有し得る。最後に、これらの複数の修飾dsRNAのいずれにおいても、dsRNAは遺伝子サイレンシング活性を持っていなければならない。
一部の態様の中で、本開示は、RNAiにより1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させるdsRNAと、1つ以上のdsRNAを含む組成物とを提供し、少なくとも1つのdsRNAは、dsRNA二重鎖のアンチセンス鎖のアンチコドン内に第1、第2または第3の位置に1つ以上の普遍的に結合するヌクレオチド(複数を含む)を含み、該dsRNAは、標的細胞によって発現されるRNA等の1つ以上のERBBファミリーの配列に特異的に結合する能力を持つ。標的ERBB RNAの配列が1つ以上の単一ヌクレオチド置換を含む場合、普遍的に結合するヌクレオチドを含むdsRNAは、標的ERBB RNAに特異的に結合する能力を保持し、それによって遺伝子サイレンシングが媒介され、結果として、標的ERBBがdsRNA媒介による遺伝子サイレンシングから逃れることを防ぐ。本明細書に開示される組成物および方法に好適に利用することができる非限定的な実施例には、イノシン、1−β−D−リボフラノシル−5−ニトロインドール、および1−β−D−リボフラノシル−3−ニトロピロールが含まれる。
一部の態様において、本明細書に開示されるdsRNAは、約1個の普遍的に結合するヌクレオチドから約10個の普遍的に結合するヌクレオチドを含むことができる。他の態様の中で、本開示のdsRNAは、1つ以上のERBBファミリー遺伝子の配列に相同であるセンス鎖と、該センス鎖に相補的であるアンチセンス鎖とを含み得、ただし、それ以外は相補的なdsRNA二重鎖のアンチセンス鎖の少なくとも1つのヌクレオチドは、1つ以上の普遍的に結合するヌクレオチドを有するものとする。
核酸分子の合成
本開示の例示的分子は、組換えによって産生されるか、化学的に合成されるか、またはこれらの組み合わせである。オリゴヌクレオチド(例えば、特定の修飾オリゴヌクレオチドまたはリボヌクレオチドが欠失しているオリゴヌクレオチドの一部)は、例えば、Caruthers et al.,Methods in Enzymol. 211:3,1992、PCT公開第WO99/54459号,Wincott et al.,Nucleic Acids Res. 23:2677,1995、Wincott et al.,Methods Mol.Bio.74:59,1997、Brennan et al.,Biotechnol.Bioeng.61:33,1998、および米国特許第6,001,311号に記載される、当該技術分野において既知であるプロトコルを用いて合成される。本開示のある種のdsRNA分子およびその類似体を含むRNAの合成は、例えば、Usman et al.,J.Am.Chem.Soc.109:7845,1987、Scaringe et al.,Nucleic Acids Res. 18:5433,1990、およびWincott et al.,1995、Wincott et al.,1997に記載される手順を用いて行うことができる。一部の実施形態において、本開示の核酸分子は、例えば、ライゲーション(Moore et al.,Science 256:9923,1992、PCT公開第WO93/23569号、Shabarova et al.,Nucleic Acids Res. 19:4247,1991、Bellon et al.,Nucleosides & Nucleotides 16:951,1997、Bellon et al.,Bioconjugate Chem. 8:204,1997)によって、または合成もしくは脱保護に続くハイブリダイゼーションによって、合成後に結合させることができる。
本開示の例示的分子は、組換えによって産生されるか、化学的に合成されるか、またはこれらの組み合わせである。オリゴヌクレオチド(例えば、特定の修飾オリゴヌクレオチドまたはリボヌクレオチドが欠失しているオリゴヌクレオチドの一部)は、例えば、Caruthers et al.,Methods in Enzymol. 211:3,1992、PCT公開第WO99/54459号,Wincott et al.,Nucleic Acids Res. 23:2677,1995、Wincott et al.,Methods Mol.Bio.74:59,1997、Brennan et al.,Biotechnol.Bioeng.61:33,1998、および米国特許第6,001,311号に記載される、当該技術分野において既知であるプロトコルを用いて合成される。本開示のある種のdsRNA分子およびその類似体を含むRNAの合成は、例えば、Usman et al.,J.Am.Chem.Soc.109:7845,1987、Scaringe et al.,Nucleic Acids Res. 18:5433,1990、およびWincott et al.,1995、Wincott et al.,1997に記載される手順を用いて行うことができる。一部の実施形態において、本開示の核酸分子は、例えば、ライゲーション(Moore et al.,Science 256:9923,1992、PCT公開第WO93/23569号、Shabarova et al.,Nucleic Acids Res. 19:4247,1991、Bellon et al.,Nucleosides & Nucleotides 16:951,1997、Bellon et al.,Bioconjugate Chem. 8:204,1997)によって、または合成もしくは脱保護に続くハイブリダイゼーションによって、合成後に結合させることができる。
さらなる実施形態において、RNAiにより1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させる本開示のdsRNAは、単一または複数のdsRNAをコードして宿主細胞におけるそれらの発現を司るポリヌクレオチドベクターによって発現される、単一または複数の転写産物として作製することができる。これらの実施形態において、標的細胞内で発現されるべきdsRNAの最終転写産物の二本鎖部分は、例えば、約5〜40bp、約15〜24bp、または約25〜40bp長であり得る。例示的な実施形態の中で、2本以上の鎖が対をなすdsRNAの二本鎖部分は、完全に対形成したヌクレオチドセグメントに限定されず、ミスマッチ(対応するヌクレオチドが相補的ではない)、バルジ(1本の鎖上に対応する相補的ヌクレオチドが欠失している)、オーバーハング等による非対形成部分を含み得る。非対形成部分は、dsRNAの形成を妨げない程度まで含まれ得る。より詳細な実施形態において、「バルジ」は、1〜4個の非対形成ヌクレオチドを含み得、2本の鎖が対を形成するdsRNAの二本鎖領域は、約1〜約7個、または約1〜約5個のバルジを含み得る。さらに、dsRNAの二本鎖領域に含まれる「ミスマッチ」部分は、約1〜約7個、または約1〜約5個、または約1〜約3個の数で存在し得る。他の実施形態において、本開示のdsRNAの二本鎖領域は、本明細書に記載されるバルジおよびミスマッチ部分の両方を含み得る。
本開示のdsRNAまたはその類似体は、dsRNAのセンス領域を該dsRNAのアンチセンス領域に結合するヌクレオチド、非ヌクレオチド、または混合ヌクレオチド/非ヌクレオチドリンカーをさらに含み得る。一実施形態において、ヌクレオチドリンカーは、約2ヌクレオチド長〜最大約10ヌクレオチド長のリンカーであり得る。別の実施形態において、ヌクレオチドは核酸アプタマーであり得る。本明細書で用いられる「アプタマー」または「核酸アプタマー」とは、標的分子に特異的に結合する核酸分子を意味し、該核酸分子は、その自然環境において標的分子によって認識される配列を含む配列を有する。あるいは、アプタマーは、標的分子が自然には核酸に結合しない、該標的分子に結合する核酸分子であることができる。標的分子は、該当するいずれの分子であってもよい。例えば、アプタマーは、タンパク質のリガンド結合ドメインに結合して、自然発生型リガンドとタンパク質との相互作用を防ぐために用いられ得る。当該技術分野で一般的に知られている同様の技術は、例えば、Gold et al.,Annu.Rev.Biochem.64:763,1995、Brody and Gold,J.Biotechnol.74:5,2000、Sun,Curr.Opin.Mol.Ther.2:100,2000、Kusser,J.Biotechnol.74:27,2000、Hermann and Patel,Science 287:820,2000、およびJayasena,Clinical Chem.45:1628,1999を含む。
非ヌクレオチドリンカーは、脱塩基ヌクレオチド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物、脂質、ポリ炭化水素、または他のポリマー化合物(例えば、2〜100のエチレングリコールユニットを有するようなポリエチレングリコール)を含み得る。具体的な例には、Seela and Kaiser,Nucleic Acids Res. 18:6353,1990およびNucleic Acids Res. 15:3113,1987、Cload and Schepartz,J.Am.Chem.Soc.113:6324,1991、Richardson and Schepartz,J.Am.Chem.Soc.113:5109,1991、Ma et al.,Nucleic Acids Res. 21:2585,1993およびBiochemistry 32:1751,1993、Durand et al.,Nucleic Acids Res. 18:6353,1990、McCurdy et al.,Nucleosides & Nucleotides 10:287,1991、Jaschke et al.,Tetrahedron Lett. 34:301,1993、Ono et al.,Biochemistry 30:9914,1991、PCT公開第 WO89/02439号、第WO95/06731号、第WO95/11910号、ならびにFerentz and Verdine,J.Am.Chem.Soc.113:4000,1991に記載されるものが挙げられる。さらに修飾され得る本開示のdsRNA分子の合成は、(a)dsRNA分子の2本の相補的な鎖の合成、および(b)dsRNA分子を得るために好適な条件下で、2本の相補鎖をともにアニーリングすることを含む。別の実施形態において、dsRNA分子の2本の相補鎖の合成は、固相オリゴヌクレオチド合成を用いる。さらに別の実施形態において、dsRNA分子の2本の相補鎖の合成は、固相タンデムオリゴヌクレオチド合成を用いる。
置換または修飾(塩基、糖、リン酸塩、またはこれらの任意の組み合わせ)を持つ化学的に合成される核酸分子は、血清リボヌクレアーゼによる自らの分解を防ぐことが可能であり、それが作用強度の増加につながる可能性がある。例えば、Eckstein et al.,PCT公開第WO92/07065号、Perrault et al.,Nature 344:565,1990、Pieken et al.,Science 253:314,1991、Usman and Cedergren,Trends in Biochem.Sci.17:334,1992、Usman et al.,Nucleic Acids Symp.Ser.31:163,1994、Beigelman et al.,J.Biol.Chem.270:25702,1995、Burgin et al.,Biochemistry 35:14090,1996、Burlina et al.,Bioorg.Med.Chem.5:1999,1997、Thompson et al.,Karpeisky et al.,Tetrahedron Lett. 39:1131,1998、Earnshaw and Gait,Biopolymers(Nucleic Acid Sciences)48:39−55,1998、Verma and Eckstein,Annu.Rev.Biochem.67:99−134,1998、Herdewijn,Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 10:297,2000、Kurreck,Eur.J.Biochem.270:1628,2003、Dorsett and Tuschl,Nature Rev.Drug Discov. 3:318,2004、PCT公開第WO91/03162号、第WO93/15187号、第WO97/26270号、第WO98/13526号、米国特許第5,334,711号、第5,627,053号、第5,716,824号、第5,767,264号、第6,300,074号を参照されたい。上記の参考文献の各々は、塩基、リン酸塩、または核酸分子の糖部分に対する、様々な置換および化学修飾を開示しており、本明細書に記載されるdsRNAに用いることができる。例えば、オリゴヌクレオチドは、糖部分で修飾し、ヌクレアーゼ耐性を増強することにより、安定性を向上するまたは生物学的活性を延長させることができる。代表的な糖修飾には、2’−アミノ、2’−C−アリル、2’−フルオロ、2’−O−メチル、2’−O−アリル、または2’−Hが含まれる。安定性を向上するまたは生物学的活性を延長する他の修飾は、ホスホロチオエート等のヌクレオシド間結合、ロックされた核酸等の塩基修飾(例えば米国特許第6,670,461号、第6,794,499号、第6,268,490号を参照されたい)、またはウリジンの代わりの5−メチルウリジンもしくは2’−O−メチル−5−メチルウリジン(例えば、米国特許出願公開第2006/0142230号を参照されたい)であり得る。よって、本開示のdsRNA分子は、非修飾dsRNAと比較して実質的に向上したRNAi活性を保持または有する一方で、ヌクレアーゼ耐性または二重鎖の安定性を増強するために修飾され得る。
一実施形態において、本開示は、1つ以上のホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスフェート、リン酸トリエステル、モルホリノ、カルバミン酸アミド(amidate carbamate)、カルボキシメチル、アセトアミデート、ポリアミド、スルホネート、スルホンアミド、スルファメート、ホルムアセタール(formacetal)、チオホルムアセタール(thioformacetal)、またはアルキルシリル置換を含むリン酸骨格修飾等の、置換または修飾されたdsRNA分子を特徴とする。オリゴヌクレオチド骨格修飾のレビューについては、Hunziker and Leumann,Nucleic Acid Analogues: Synthesis and Properties,in Modern Synthetic Methods,VCH,331−417,1995、およびMesmaeker et al.,ACS,24−39,1994を参照されたい。
別の実施形態において、共役分子を、RNAiにより1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させるdsRNAまたはその類似体に、任意選択的に結合させることができる。例えば、かかる共役分子は、ポリエチレングリコール、ヒト血清アルブミン、または、例えば、細胞の取り込みを媒介できる細胞受容体のリガンドであり得る(例えば、HIV TAT、Vocero−Akbani et al.,Nature Med.5:23,1999を参照、また米国特許出願公開第2004/0132161号も参照されたい)。本開示のdsRNAまたはその類似体に結合させることができる、本開示によって企図される共役分子の具体的な例は、米国特許出願公開第2003/0130186号、および第2004/0110296号に記載される。別の実施形態において、共役分子は、生分解性リンカーを介して、RNAiにより1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させるdsRNAまたはその類似体に共有結合される。一部の実施形態において、共役分子は、本明細書に提供されるdsRNA分子のセンス鎖、アンチセンス鎖、または両方の鎖のいずれかの3’末端に結合され得る。別の実施形態において、共役分子は、dsRNA分子またはその類似体のセンス鎖、アンチセンス鎖、または両方の鎖のいずれかの5’末端に結合され得る。さらに別の実施形態において、共役分子は、dsRNA分子のセンス鎖、アンチセンス鎖、もしくは両方の鎖、またはこれらの任意の組み合わせのいずれかの3’末端および5’末端の両方に結合されて得る。さらなる実施形態において、本開示の共役分子は、細胞等の生物系の中にdsRNAまたはその類似体の送達を促進する分子を含む。使用される共役体の種類、および本開示のdsRNAまたはその類似体の共役の程度を、RNAiを媒介する能力を同時に検査する一方で、向上した薬物動態プロファイル、バイオアベイラビリティ、安定性に対して評価することができる。したがって、当業者は、例えば、本明細書に記載されるまたは当該技術分野で一般的に知られる動物モデルにおいて、様々な共役体を有するdsRNAまたはその類似体をスクリーニングして、dsRNA−共役体がRNAiを媒介する能力を維持する一方で、向上した特性を所有するかどうかを決定することができる。
ERBB配列に特異的なdsRNA分子の選択方法
本明細書に示すように、本開示は、非ERBB遺伝子には特異的に結合するまたはごくわずかにしか結合する能力を持たない一方で、1つ以上のERBBファミリー遺伝子(そのmRNAスプライス変異型を含む)に特異的に結合する能力を持つdsRNAおよびその類似体を選択するための方法も提供する。本明細書に開示される選択プロセスは、例えば、1つ以上の非ERBB遺伝子に対して非特異的な結合および、そしてその後の非ERBB遺伝子の分解のために細胞毒性であるdsRNA類似体を排除する際に有用である。
本明細書に示すように、本開示は、非ERBB遺伝子には特異的に結合するまたはごくわずかにしか結合する能力を持たない一方で、1つ以上のERBBファミリー遺伝子(そのmRNAスプライス変異型を含む)に特異的に結合する能力を持つdsRNAおよびその類似体を選択するための方法も提供する。本明細書に開示される選択プロセスは、例えば、1つ以上の非ERBB遺伝子に対して非特異的な結合および、そしてその後の非ERBB遺伝子の分解のために細胞毒性であるdsRNA類似体を排除する際に有用である。
本開示の方法は、dsRNAまたはその類似体に標的とされる、考えられるすべての変異型のヌクレオチド配列に関する推測的知識を必要としない。一実施形態において、dsRNAのヌクレオチド配列は、1つ以上のERBBファミリー遺伝子の保存領域またはコンセンサス配列から選択される。別の実施形態において、dsRNAは、1つ以上のERBBファミリー遺伝子のmRNAスプライス変異型に含有される特定の配列を選択的または優先的に標的にすることができる。
一部の実施形態において、諸方法は、RNAiにより1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させる1つ以上のdsRNA分子であって、配列番号1158、1159、1160、1161、1162、1163、1164、1165、または1166に記載されるERBBのmRNAに相補的である第1の鎖と、第1の鎖に相補的である第2の鎖とを含み、第1および第2の鎖は約15〜約40塩基対の二本鎖領域を形成し(例えば、米国出願第60/932,949号からの表Aに見出されるERBB配列)、dsRNA分子の少なくとも1つのウリジンは、5−メチルウリジンまたは2’−O−メチル−5−メチルウリジンで置き換えられる、1つ以上のdsRNA分子を選択するための方法が提供され、当該方法は、本明細書に提供される1つ以上のdsRNAが細胞(生体内または生体外のいずれか)と接触し、すべてのERBB mRNAが、非ERBB遺伝子(例えば、インターフェロン)を含む既知の遺伝子のパネルからの1つ以上のヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドを含む、マイクロアレイのプロービングにおいて用いるために収集される、「オフターゲット」プロファイリングを利用する。本明細書に提供されるdsRNAの「オフターゲット」プロファイルは、候補dsRNAの存在下で低下した発現レベルを有する非ERBB遺伝子の数を決定することにより、定量化される。「オフターゲット」結合の存在は、1つ以上の非ERBB遺伝子メッセージに特異的に結合する能力を持つ本明細書で提供されるdsRNAを示す。一部の実施形態において、治療的使用に適用可能な本明細書に提供されるdsRNA(例えば、表Aの配列)は、より高い安定性、最小限のインターフェロン応答、およびほとんどないまたは皆無の「オフターゲット」結合を示す。
さらなる実施形態は、本明細書に記載される1つ以上のERBBファミリー配列を含むdsRNA(約15塩基対〜約40塩基対または約5ヌクレオチド〜約24ヌクレオチド、または約25ヌクレオチド〜約40ヌクレオチドの長さを有するもの等)とインフレームで作用可能に融合する、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコール(CAT)、またはβ−ガラクトシダーゼ等の1つ以上のレポーター遺伝子に作用可能に融合して、その発現を改変する能力を持つ、サイトメガロウイルス(CMV)またはホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター等の構成的プロモーターを含む、1つ以上のレポーター遺伝子構築物を用いて、より効果的なdsRNAを選択するための方法を提供する。
個々のレポーター遺伝子発現構築物は、1つ以上のdsRNAまたはその類似体と同時にトランスフェクションされ得る。所与のdsRNAがERBB遺伝子の発現レベルを低下させる能力は、該当するdsRNA分子をトランスフェクトされた、またはされていない細胞において測定したレポーター遺伝子の活性を比較することによって決定することができる。
本明細書に開示される一部の実施形態は、dsRNA二重鎖の安定性を予測することにより、1つ以上の修飾dsRNA分子(複数を含む)を選択するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、かかる予測は、理論上の融解曲線を使用することにより達成され、より高い理論上の融解曲線がdsRNA二重鎖の安定性の増加、および、同時に、細胞毒性効果の低下を示唆する。あるいは、dsRNA二重鎖の安定性は、本明細書に記載される、単一のRNA類似体鎖と、例えばポリヌクレオチドアレイ内の、相補的標的遺伝子とのハイブリダイゼーションを測定することにより経験的に決定され得る。アレイに固定化されたそれぞれの修飾RNAおよび相補的RNAの融解温度(すなわち、Tm値)を決定することができる。Tmは、1本の鎖の50%がその相補的鎖にアニーリングされる温度である。このTm値から、相補的非修飾または修飾RNA分子と対形成する修飾RNAの相対的な安定性が測定できる。
例えば、Kawaseら(Nucleic Acids Res. 14:7727,1986)は、Di(イノシン)の、A、C、G、およびTへのヌクレオチド対形成の特性の分析について記述しており、該分析は、様々な位置にDiを含むオリゴヌクレオチド(ODN)を、アレイとして作られたODNの相補的なセットにハイブリダイゼーションして測定することにより達成された。ヌクレオチド対形成の相対強度はI−C>I−A>I−G≒I−Tである。一般的に、Di含有二重鎖は、対応する野生型(WT)ヌクレオチド対と比較すると、より低いTm値を示した。対形成によるDiの安定化は、Dc>Da>Dg>Dt>Duの順序であった。当業者は理解するように、本明細書において、二重鎖の安定性(すなわちTm値)を決定する例として普遍的に結合するヌクレオチドが用いられているが、他のヌクレオチド置換(例えば、ウリジンに対して5−メチルウリジン)またはさらなる修飾(例えば、2’位でのリボース修飾)も、これらの方法または同様の方法を用いて評価することができる。
本開示の方法のさらなる実施形態において、dsRNA分子またはその類似体のアンチセンス鎖内にある1つ以上のアンチコドンは、アンチセンス鎖のアンチコドンの2位または3位にある普遍的に結合するヌクレオチドで置換される。普遍的に結合するヌクレオチドを1位または2位と置換することにより、その1つ以上の1位または2位のヌクレオチド対の置換が、1位または2位のヌクレオチド対の置換が起こった置換されたdsRNA分子がmRNAに特異的に結合することを可能にし、1つ以上のヌクレオチド対の置換が対応する遺伝子産物におけるアミノ酸変化を引き起こす。
該当するdsRNAを同定するこれらの方法のいずれもが、RNA干渉によりERBBファミニリー遺伝子の発現を低下させるdsRNAを調べるために用いることができ、そのdsRNAは、配列番号1158、1159、1160、1161、1162、1163、1164、1165、または1166に記載されるERBB mRNA、またはこれらの任意の組み合わせに相補的である第1の鎖と、第1の鎖に相補的である非重複領域を有する第2および第3の鎖と、を含み、第1の鎖、および第2または第3の鎖の内の少なくとも1本が任意で約5〜約13塩基対の二本鎖領域を形成し、dsRNAの少なくとも1つのピリミジンは、式IまたはIIに従ったピリミジンヌクレオシドであり、
式中、R1およびR2は、それぞれ独立して−H、−OH、−OCH3、−OCH2OCH2CH3、−OCH2CH2OCH3、ハロゲン、置換もしくは未置換のC1−C10アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルキルスルホニルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、トリフルオロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、置換もしくは未置換のC2−C10アルケニル、置換もしくは未置換の−O−アリル、−O−CH2CH=CH2、−O−CH=CHCH3、置換もしくは未置換のC2−C10アルキニル、カルバモイル、カルバミル、カルボキシ、カルボニルアミノ、置換もしくは未置換のアリール、置換もしくは未置換のアラルキル、−NH2、−NO2、−C≡N、またはヘテロシクロ基であり、R3およびR4は、それぞれ独立してヒドロキシル、保護ヒドロキシル、またはヌクレオシド間の結合基であり、R5およびR8は独立してOまたはSである。一部の実施形態において、少なくとも1つのヌクレオシドは式Iに従い、式中、R1はメチルでありかつR2は−OHであるか、またはR1はメチルであり、R2は−OHであり、R8はSである。一部の実施形態において、少なくとも1つのヌクレオシドは式Iに従い、式中、R1はメチルでありかつR2は−O−メチルであるか、またはR1はメチルであり、R2は−O−メチルであり、R8はOである。他の実施形態において、ヌクレオシド間結合基は、約5〜約40個のヌクレオシドを共有結合的に結合する。
式中、R1およびR2は、それぞれ独立して−H、−OH、−OCH3、−OCH2OCH2CH3、−OCH2CH2OCH3、ハロゲン、置換もしくは未置換のC1−C10アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルキルスルホニルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、トリフルオロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、置換もしくは未置換のC2−C10アルケニル、置換もしくは未置換の−O−アリル、−O−CH2CH=CH2、−O−CH=CHCH3、置換もしくは未置換のC2−C10アルキニル、カルバモイル、カルバミル、カルボキシ、カルボニルアミノ、置換もしくは未置換のアリール、置換もしくは未置換のアラルキル、−NH2、−NO2、−C≡N、またはヘテロシクロ基であり、R3およびR4は、それぞれ独立してヒドロキシル、保護ヒドロキシル、またはヌクレオシド間の結合基であり、R5およびR8は独立してOまたはSである。一部の実施形態において、少なくとも1つのヌクレオシドは式Iに従い、式中、R1はメチルでありかつR2は−OHであるか、またはR1はメチルであり、R2は−OHであり、R8はSである。一部の実施形態において、少なくとも1つのヌクレオシドは式Iに従い、式中、R1はメチルでありかつR2は−O−メチルであるか、またはR1はメチルであり、R2は−O−メチルであり、R8はOである。他の実施形態において、ヌクレオシド間結合基は、約5〜約40個のヌクレオシドを共有結合的に結合する。
組成物および使用方法
本明細書に記載されるように、本開示のdsRNAは、上昇したレベルで発現されるか、またはそうされるべきでない場合にも発現し続ける、例えば、過剰増殖性、血管新生性、または炎症性の疾患、病態、または有害な状態と関連する原因因子または要因である1つ以上のERBBファミリー遺伝子を標的にするように設計される。これに関連して、本開示のdsRNAまたはその類似体は、1つ以上の関連する疾病症状の重症度または発症を予防、緩和、または低下させるレベルまで、1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を効果的に下方制御する。あるいは、疾病または他の有害な状態の影響または結果のために、必ずしも1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現量が上昇していない様々な異なる疾病モデルにおいてさえも、遺伝子発現を低下させる(すなわち、1つ以上のERBBファミリー遺伝子の選択されたmRNAまたはタンパク質生成物のレベルを低下させる)ことにより、1つ以上のERBBファミリー遺伝子の下方制御はは治療結果をもたらす。さらに、本開示のdsRNAは、1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させるために標的にされ得、1つ以上のERBBファミリータンパク質によって、直接的または間接的に負に制御される「下流」遺伝子の上方制御をもたらすことができる。本開示のdsRNA分子は有用な試薬を含み、様々な治療、診断、標的のバリデーション、ゲノムの発見、遺伝子工学、および薬理ゲノミクスへの応用のための方法において用いることができる。
本明細書に記載されるように、本開示のdsRNAは、上昇したレベルで発現されるか、またはそうされるべきでない場合にも発現し続ける、例えば、過剰増殖性、血管新生性、または炎症性の疾患、病態、または有害な状態と関連する原因因子または要因である1つ以上のERBBファミリー遺伝子を標的にするように設計される。これに関連して、本開示のdsRNAまたはその類似体は、1つ以上の関連する疾病症状の重症度または発症を予防、緩和、または低下させるレベルまで、1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を効果的に下方制御する。あるいは、疾病または他の有害な状態の影響または結果のために、必ずしも1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現量が上昇していない様々な異なる疾病モデルにおいてさえも、遺伝子発現を低下させる(すなわち、1つ以上のERBBファミリー遺伝子の選択されたmRNAまたはタンパク質生成物のレベルを低下させる)ことにより、1つ以上のERBBファミリー遺伝子の下方制御はは治療結果をもたらす。さらに、本開示のdsRNAは、1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させるために標的にされ得、1つ以上のERBBファミリータンパク質によって、直接的または間接的に負に制御される「下流」遺伝子の上方制御をもたらすことができる。本開示のdsRNA分子は有用な試薬を含み、様々な治療、診断、標的のバリデーション、ゲノムの発見、遺伝子工学、および薬理ゲノミクスへの応用のための方法において用いることができる。
一部の実施形態において、水性懸濁液は、本開示のdsRNAを懸濁化剤または分散剤または湿潤剤等の好適な賦形剤と混合して含有する。例示的な懸濁化剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガムおよびアカシアガムが含まれる。代表的な分散剤または湿潤剤としては、自然発生のリン脂質(例えば、レシチン)、脂肪酸と酸化アルキレンとの縮合物(例えば、ポリオキシエチレンステアリン酸)、長鎖脂肪族アルコールとエチレンオキシドとの縮合物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、脂肪酸およびヘキシトールに由来する部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、または脂肪酸およびヘキシトールの無水物に由来する部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物(例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエート)が挙げられる。一部の実施形態において、水性懸濁液は、1つ以上の保存剤(例えば、エチルまたはn−プロピル−p−ヒドロキシベンゾアート)、1つ以上の着色剤、1つ以上の香味剤、または1つ以上の甘味剤(例えば、スクロース、サッカリン)を任意選択的に含有し得る。追加の実施形態において、水を添加することにより水性懸濁剤の調製に好適となる分散性粉末および顆粒は、本開示のdsRNAを分散剤または湿潤剤、懸濁化剤、および任意選択的に1つ以上の保存剤、着色剤、香味剤、または甘味剤と混合して提供する。
本開示は、薬学的に許容される担体または希釈剤の中に薬学的な有効量の望ましい化合物を含む保存または投与のために調製されるdsRNA組成物を含む。治療的使用のために許容される担体または希釈剤は医薬分野において周知であり、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,A.R.Gennaro edit.,1985に記載されており、参照することにより本明細書に組み込まれる。一部の実施形態において、本開示の医薬組成物は、保存剤、抗酸化剤、安定化剤、色素、香味剤、またはこれらの任意の組み合わせを任意選択的に含むことができる。例示的な保存剤には、安息香酸エステルナトリウム、ソルビン酸、およびp−ヒドロキシ安息香酸のエステルが含まれる。
本開示のdsRNA組成物は、薬学的に許容される製剤として効果的に用いることができる。薬学的に許容される製剤は、対象における病状または他の有害な状態を予防するか、その発症もしくは重症度を変化させるか、または治療する(1つ以上の症状(複数を含む)を検出可能または測定可能な程度まで軽減する)。薬学的に許容される製剤には、例えば、塩酸、臭化水素酸、酢酸、またはベンゼンスルホン酸の塩等の酸付加塩等、上記化合物の塩が含まれる。医薬組成物または製剤は、細胞、またはヒト(例えば、全身投与)等の対象への投与に好適な形態の組成物または製剤を指す。ERBB遺伝子発現に関連する疾患を治療または予防するために十分な量のdsRNAを有する本開示の製剤は、例えば、局所(例えばクリーム、軟膏、皮膚添付剤、点眼剤、点耳剤)適用または投与に好適である。他の投与経路には、経口、非経口、舌下、膀胱洗浄、膣内、直腸内、腸内、座剤、経鼻、および吸入が挙げられる。本明細書で用いられる非経口という用語には、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、腹腔内(intraabdominal)、腹腔内(intraperitoneal)、関節内、眼球内または眼球後方、耳内、髄腔内、腔内(intracavitary)腔内(intracelial)、脊髄内、肺内または経肺、滑液嚢内、および尿道内の注射または注入手法が含まれる。本開示の医薬組成物は、含有されるdsRNAが対象に投与されると生物学的に利用可能になるように処方される。
さらなる実施形態において、本開示のdsRNAは、dsRNAを、例えば、植物油(例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、またはヤシ油)または無機質油(例えば、液体パラフィン)に懸濁することにより、油性懸濁液または乳濁液(例えば、油中水)として処方され得る。好適な乳化剤は、自然発生のゴム(例えば、アカシアゴムまたはトラガカントゴム)、自然発生のリン脂質(例えば、大豆、レシチン、脂肪酸およびヘキシトールに由来するエステルまたは部分エステル)、無水物(例えば、ソルビタンモノオレエート)、エチレンオキシドと部分エステルとの縮合物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)であることができる。一部の実施形態において、油性懸濁液または乳濁液は、任意選択的に、ミツロウ、固形パラフィン、またはセチルアルコール等の増粘剤を含有し得る。関連する実施形態において、美味な経口剤を提供するために、甘味剤および香味剤が任意選択的に加えられ得る。さらに他の実施形態において、これらの組成物は、アスコルビン酸等の抗酸化剤を任意選択的に加えることにより保存され得る。
さらなる実施形態において、本開示のdsRNAは、甘味剤(例えば、グリセロール、プロピレン、グリコール、ソルビトール、グルコースまたはスクロース)を用いたシロップ剤およびエリキシル剤として処方され得る。かかる製剤は、粘滑剤、保存剤、香味剤、着色剤、またはこれらの任意の組み合わせを含有し得る。他の実施形態において、本開示のdsRNAを含む医薬組成物は、無菌の、注射用の水性または油性の懸濁液の形態であり得る。無菌注射剤は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の、無菌の注射用溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として)であり得る。本開示の組成物において有用である例示的な許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、リンゲル溶液、または等張性の塩化ナトリウム溶液が挙げられる。さらに、無菌の固定油が本開示のdsRNAのための溶媒または懸濁培地として用いられ得る。この目的のために、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含む、任意の無視激性の固定油が用いられ得る。さらに、オレイン酸等の脂肪酸が、非経口製剤の調製において役立つ。
ポリペプチドと組み合わせて、複合させて、または共役させて、任意選択的に希釈剤、安定化剤、緩衝剤等の薬学的に許容される担体を用いて処方される、本開示の1つ以上のdsRNAの存在または投与を特徴とする医薬組成物および方法を提供する。あるいは、本開示のdsRNA分子は、治療に好適である組成物を形成するために、安定化剤、緩衝剤等を用いて、または用いずに、患者に投与することができる。望ましい場合、リポソーム送達機構およびリポソームの処方のための既知のプロトコルを使用することができる。本開示の組成物は、他の既知の化合物とともに、またはそれを伴わずに、経口投与のための錠剤、カプセルまたはエリキシル剤として、直腸内投与のための座剤として、無菌もしくは発熱物質を含まない溶液として、または注射用の懸濁液用として、処方および使用され得る。よって、本開示のdsRNAは、経鼻的、経皮的、非経口的、または局所注射等の任意の形態において投与され得る。
本明細書における本開示に従って、(任意に置換された、または修飾された、または共役された)dsRNA分子、その組成物、および細胞または有機体において1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を抑制するための方法を提供する。一部の実施形態において、1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現に起因するもしくは関連する疾病に罹患する、または疾病を発症する危険性のある、ヒト細胞、組織、または個体を含む対象を治療するための方法およびdsRNA組成物を提供する。一実施形態において、当該方法は、標的遺伝子の発現が停止されるように、本開示のdsRNAまたはdsRNAを含有する医薬組成物を、細胞または哺乳類等の有機体に投与することを含む。(任意に置換された、または修飾された、または共役された)dsRNA分子を用いた治療、その組成物、および本開示の方法で改善可能な対象(例えば、哺乳類、ヒト)は、過剰増殖性(例えば、癌)、血管新生性(例えば、加齢黄斑変性)、代謝性(例えば、糖尿病)、または炎症性(例えば、関節炎)疾患または状態を含む、少なくとも部分的に、1つ以上のERBBファミリー遺伝子の過剰発現または不適切な発現により媒介される1つ以上の状態に罹患する者、または1つ以上のERBBファミリータンパク質の発現の低下による治療の影響を受けやすい者が挙げられる。
本開示の組成物および方法は、例えば、過剰増殖性疾患の症状を治療または予防するように、1つ以上のERBBファミリーメンバーの発現を調節するための治療ツールとして有用である。例示的な過剰増殖性疾患には、新生物、細胞腫、肉腫、腫瘍、または癌が含まれる。より多くの例示的な過剰増殖性疾患には、口腔癌、咽喉癌、喉頭癌、食道癌、咽頭癌、上咽頭癌、中咽頭癌、消化管癌、小腸癌、結腸癌、直腸癌、結腸直腸癌、肛門癌、膵臓癌、乳癌、子宮頚癌、子宮癌、外陰癌、腟癌、尿路癌、膀胱癌、腎臓癌、副腎皮質癌、膵島細胞腫、胆嚢癌、胃癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮内膜癌、絨毛性腫瘍、精巣癌、陰茎癌、骨癌、骨肉腫、肝臓癌、肝外胆管癌、皮膚癌、基底細胞癌、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、脳癌、黒色腫、カポジ肉腫、眼癌、頭頚部癌、頭頚部扁平上皮癌、胸腺腫、胸腺癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、ヒッペルリンドウ症候群、白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、T細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、悪性胸膜中皮腫、バレット腺癌、ウィルムス腫瘍等が含まれる。
例示的な炎症性疾患には、真性糖尿病、関節リウマチ、炎症を起した滑膜表層におけるパンヌス成長、コラーゲン誘発関節炎、脊椎関節炎、強直性脊椎炎、多発性硬化症、脳脊髄炎、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬または乾癬性関節炎、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、移植片対宿主病、およびアレルギーが含まれる。他の例示的な疾患には、喘息、慢性気管支炎、眼血管新生(例えば、網膜虚血、加齢黄斑変性、糖尿病性網膜症)、糸球体腎炎、リンパ脈管新生、およびアテローム性動脈硬化が含まれる。
本明細書に開示される方法のいずれにおいても、配列番号1158、1159、1160、または1161に記載される上皮成長因子受容体(EGFR)のmRNAに相補的であり、配列番号1162、1163、1164、1165、または1166から選択される少なくとも1つの他のヒトERBBファミリーのmRNAに、完全に相補的である(最大3つのミスマッチを有する)第1の鎖と、第1の鎖の非重複領域にそれぞれが相補的である第2の鎖および第3の鎖と、を含み、第2の鎖および第3の鎖は、第1の鎖とアニーリングして最大10ヌクレオチド離間した少なくとも2つの二本鎖領域を形成することができ、それによって第2の鎖と第3の鎖との間にギャップが形成され、mdRNA分子は、5塩基対〜13塩基対の少なくとも1つの二本鎖領域を任意選択的に含む、本明細書で開示される1つ以上のdsRNAまたは置換もしくは修飾されたdsRNAとともに用いることができる。他の実施形態において、1つ以上のdsRNAを有効量投与することにより、予防的または治療的に、対象を効果的に治療することができ、そのdsRNAは、配列番号1158、1159、1160、または1161に記載されるEGFRのmRNAに相補的であり、配列番号1162、1163、1164、1165、または1166から選択される少なくとも1つの他のヒトERBBファミリーのmRNAに、完全に相補的である(最大3つのミスマッチを有する)第1の鎖と、第1の鎖の非重複領域にそれぞれが相補的である第2の鎖および第3の鎖と、を有し、第2の鎖および第3の鎖は、第1の鎖とアニーリングして最大10ヌクレオチド離間した少なくとも2つの二本鎖領域を形成することができ、それによって第2の鎖と第3の鎖との間にギャップが形成され、mdRNA分子は5塩基対〜13塩基対の少なくとも1つの二本鎖領域を任意選択的に含み、mdRNAの少なくとも1つのピリミジンは式IまたはIIに従ったピリミジンヌクレオシドであり、
式中、R1およびR2は、それぞれ独立して−H、−OH、−OCH3、−OCH2OCH2CH3、−OCH2CH2OCH3、ハロゲン、置換もしくは未置換のC1−C10アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルキルスルホニルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、トリフルオロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、置換もしくは未置換のC2−C10アルケニル、置換もしくは未置換の−O−アリル、−O−CH2CH=CH2、−O−CH=CHCH3、置換もしくは未置換のC2−C10アルキニル、カルバモイル、カルバミル、カルボキシ、カルボニルアミノ、置換もしくは未置換のアリール、置換もしくは未置換のアラルキル、−NH2、−NO2、−C≡N、またはヘテロシクロ基であり、R3およびR4は、それぞれ独立してヒドロキシル、保護ヒドロキシル、またはヌクレオシド間の結合基であり、R5およびR8は独立してOまたはSである。一部の実施形態において、少なくとも1つのヌクレオシドは式Iに従い、式中、R1はメチルでありかつR2は−OHであるか、またはR1はメチルであり、R2は−OHであり、R8はSである。一部の実施形態において、少なくとも1つのヌクレオシドは式Iに従い、式中、R1はメチルでありかつR2は−O−メチルであるか、またはR1はメチルであり、R2は−O−メチルであり、R8はOである。他の実施形態において、ヌクレオシド間結合基は、約5〜約40個のヌクレオシドを共有結合的に結合する。
式中、R1およびR2は、それぞれ独立して−H、−OH、−OCH3、−OCH2OCH2CH3、−OCH2CH2OCH3、ハロゲン、置換もしくは未置換のC1−C10アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルキルスルホニルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、トリフルオロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、置換もしくは未置換のC2−C10アルケニル、置換もしくは未置換の−O−アリル、−O−CH2CH=CH2、−O−CH=CHCH3、置換もしくは未置換のC2−C10アルキニル、カルバモイル、カルバミル、カルボキシ、カルボニルアミノ、置換もしくは未置換のアリール、置換もしくは未置換のアラルキル、−NH2、−NO2、−C≡N、またはヘテロシクロ基であり、R3およびR4は、それぞれ独立してヒドロキシル、保護ヒドロキシル、またはヌクレオシド間の結合基であり、R5およびR8は独立してOまたはSである。一部の実施形態において、少なくとも1つのヌクレオシドは式Iに従い、式中、R1はメチルでありかつR2は−OHであるか、またはR1はメチルであり、R2は−OHであり、R8はSである。一部の実施形態において、少なくとも1つのヌクレオシドは式Iに従い、式中、R1はメチルでありかつR2は−O−メチルであるか、またはR1はメチルであり、R2は−O−メチルであり、R8はOである。他の実施形態において、ヌクレオシド間結合基は、約5〜約40個のヌクレオシドを共有結合的に結合する。
本明細書に記載されるいずれの方法においても、使用されるdsRNAは複数の修飾を含むことができる。例えば、dsRNAは、少なくとも1つの5−メチルウリジン、2’−O−メチル−5−メチルウリジン、LNA、2’−メトキシ、2’−フルオロ、2’−デオキシ、ホスホロチオエート結合、反転した塩基の末端キャップ、またはこれらの任意の組み合わせを含み得る。一部の例示的方法において、dsRNAは1個〜すべての5−メチルウリジンおよび最大約75%のLNAを有する。他の例示的方法において、dsRNAは1個〜すべての5−メチルウリジンを有し、また2’−メトキシがアルゴノート切断部位に存在しない場合は、最大約75%の2’−メトキシを有する。さらに他の例示的方法において、dsRNAは1個〜すべての5‐メチルウリジンを有し、また最大約100%の2’‐フルオロ置換を有する。さらなる例示的方法において、dsRNAは1個〜すべての5‐エチルウリジンを有し、また最大約75%の2’‐デオキシを有する。さらなる例示的方法において、dsRNAは最大約75%のLNAを有し、また最大約75%の2’−メトキシを有する。さらに他の実施形態において、dsRNAは最大約75%のLNAを有し、また最大約100%の2’−フルオロを有する。さらなる例示的方法において、dsRNAは最大約75%のLNAを有し、また最大約75%の2’−デオキシを有する。さらなる例示的方法において、dsRNAは最大約75%の2’−メトキシを有し、また最大約100%の2’−フルオロを有する。さらなる例示的方法において、dsRNAは最大約75%の2’−メトキシを有し、また最大約75%の2’−デオキシを有する。さらなる実施形態において、dsRNAは最大約100%の2’−フルオロを有し、また最大約75%の2’−デオキシを有する。
多重に修飾されたdsRNAを用いるための他の例示的方法において、dsRNAは、5−メチルウリジンと置換された1つ〜すべてのウリジン、最大約75%のLNA、および最大約75%の2’−メトキシを有する。さらなる例示的方法において、dsRNAは、1つ〜すべての5−メチルウリジン、最大約75%のLNA、および最大約100%の2’−フルオロを有する。さらなる例示的方法において、dsRNAは、1つ〜すべての5−メチルウリジン、最大約75%のLNA、および最大約75%の2’−デオキシを有する。さらなる例示的方法において、dsRNAは、1つ〜すべての5−メチルウリジン、最大約75%の2’−メトキシ、および最大約75%の2’−フルオロを有する。さらなる例示的方法において、dsRNAは、1つ〜すべての5−メチルウリジン、最大約75%の2’−メトキシ、および最大約75%の2’−デオキシを有する。より多くの例示的方法において、dsRNAは、1つ〜すべての5−メチルウリジン、最大約100%の2’−フルオロ、および最大約75%の2’−デオキシを有する。さらに他の例示的方法において、dsRNAは、1つ〜すべての5−メチルウリジン、最大約75%のLNA、最大約75%の2’−メトキシ、最大約100%の2’−フルオロ、および最大約75%の2’−デオキシを有する。他の例示的方法において、dsRNAは、最大約75%のLNA、最大約75%の2’−メトキシ、および最大約100%の2’−フルオロを有する。さらなる例示的方法において、dsRNAは、最大約75%のLNA、最大約75%の2’−メトキシ、および最大約75%の2’−デオキシを有する。より多くの例示的方法において、dsRNAは、最大約75%のLNA、最大約100%の2’−フルオロ、および最大約75%の2’−デオキシを有する。さらなる例示的方法において、dsRNAは、最大約75%の2’−メトキシ、最大約100%の2’−フルオロ、および最大約75%の2’−デオキシを有する。
多重に修飾されたdsRNAを用いるためのこれらの例示的方法のいずれにおいても、dsRNAは、最大100%のホスホロチオエートヌクレオシド間結合、1〜10以上の反転した塩基の末端キャップ、またはこれらの任意の組み合わせをさらに含み得る。さらに、これらのdsRNAのいずれもが、dsRNA分子内の1本の鎖、2本の鎖、3本の鎖、複数の鎖、もしくはすべての鎖、または同じかもしくは異なるヌクレオシド上に、これらの複数の修飾を有し得る。最後に、これらの複数の修飾dsRNAのいずれにおいても、dsRNAは遺伝子サイレンシング活性を持っていなければならない。
さらなる実施形態において、本明細書に記載されるように、1つ以上のdsRNA、または置換もしくは修飾されたdsRNAを有効量投与することにより、予防的または治療的に、対象を効果的に治療することができ、そのdsRNAは、配列番号1158、1159、1160、または1161に記載される上皮成長因子受容体(EGFR)のmRNAに相補的であり、配列番号1162、1163、1164、1165、または1166から選択される少なくとも1つの他のヒトERBBファミリーのmRNAに、完全に相補的である(最大3つのミスマッチを有する)第1の鎖と、第1の鎖の非重複領域にそれぞれが相補的である第2の鎖および第3の鎖と、を有し、第2の鎖および第3の鎖は、第1の鎖とアニーリングして最大10ヌクレオチド離間した少なくとも2つの二本鎖領域を形成することができ、それによって第2の鎖と第3の鎖との間にギャップが形成され、合わせた二本鎖領域は合計で約15塩基対〜約40塩基対であり、mdRNA分子は任意選択的に平滑末端を有する。またさらなる実施形態において、本明細書に開示される方法は、1つ以上のdsRNAとともに用いることができ、該dsRNAは、配列番号1158、1159、1160、または1161に記載されるヒトEGFRのmRNAに相補的であり、配列番号1162、1163、1164、1165、または1166から選択される少なくとも1つの他のヒトERBBファミリーのmRNAに、完全に相補的である(最大3つのミスマッチを有する)第1の鎖と、第1の鎖の非重複領域にそれぞれが相補的である第2の鎖および第3の鎖とを含み、第2の鎖および第3の鎖は、第1の鎖とアニーリングして、最大10ヌクレオチド離間した少なくとも2つの二本鎖領域を形成することができ、それによって、第2の鎖と第3の鎖との間にギャップが形成され、合わせた二本鎖領域は合計で約15塩基対〜約40塩基対であるか、またはmdRNA分子は5塩基対〜13塩基対の少なくとも1つの二本鎖領域を任意選択的に含むか、または任意選択的に平滑末端を有するか、またはこれらの任意の組み合わせであり、mdRNAの少なくとも1つのピリミジンは、式IまたはIIに従ったピリミジンヌクレオシドを有し、
式中、R1およびR2は、それぞれ独立して−H、−OH、−OCH3、−OCH2OCH2CH3、−OCH2CH2OCH3、ハロゲン、置換もしくは未置換のC1−C10アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルキルスルホニルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、トリフルオロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、置換もしくは未置換のC2−C10アルケニル、置換もしくは未置換の−O−アリル、−O−CH2CH=CH2、−O−CH=CHCH3、置換もしくは未置換のC2−C10アルキニル、カルバモイル、カルバミル、カルボキシ、カルボニルアミノ、置換もしくは未置換のアリール、置換もしくは未置換のアラルキル、−NH2、−NO2、−C≡、またはヘテロシクロ基であり、R3およびR4は、それぞれ独立して、ヒドロキシル、保護ヒドロキシル、またはヌクレオシド間の結合基であり、R5およびR8は独立してOまたはSである。一部の実施形態において、少なくとも1つのヌクレオシドは式Iに従い、式中、R1はメチルでありかつR2は−OHであるか、またはR1はメチルであり、R2は−OHであり、R8はSである。一部の実施形態において、少なくとも1つのヌクレオシドは式Iに従い、式中、R1はメチルでありかつR2は−O−メチルであるか、またはR1はメチルであり、R2は−O−メチルであり、R8はOである。他の実施形態において、ヌクレオシド間結合基は、約5〜約40個のヌクレオシドを共有結合的に結合する。
式中、R1およびR2は、それぞれ独立して−H、−OH、−OCH3、−OCH2OCH2CH3、−OCH2CH2OCH3、ハロゲン、置換もしくは未置換のC1−C10アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルキルスルホニルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、トリフルオロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、置換もしくは未置換のC2−C10アルケニル、置換もしくは未置換の−O−アリル、−O−CH2CH=CH2、−O−CH=CHCH3、置換もしくは未置換のC2−C10アルキニル、カルバモイル、カルバミル、カルボキシ、カルボニルアミノ、置換もしくは未置換のアリール、置換もしくは未置換のアラルキル、−NH2、−NO2、−C≡、またはヘテロシクロ基であり、R3およびR4は、それぞれ独立して、ヒドロキシル、保護ヒドロキシル、またはヌクレオシド間の結合基であり、R5およびR8は独立してOまたはSである。一部の実施形態において、少なくとも1つのヌクレオシドは式Iに従い、式中、R1はメチルでありかつR2は−OHであるか、またはR1はメチルであり、R2は−OHであり、R8はSである。一部の実施形態において、少なくとも1つのヌクレオシドは式Iに従い、式中、R1はメチルでありかつR2は−O−メチルであるか、またはR1はメチルであり、R2は−O−メチルであり、R8はOである。他の実施形態において、ヌクレオシド間結合基は、約5〜約40個のヌクレオシドを共有結合的に結合する。
本開示の付加的な態様の中で、有効量の1つ以上の本開示のdsRNAと、本明細書に記載される1つ以上のERBBファミリーメンバーに関連する疾病または状態を制御する本開示のdsRNAとともに調製されるまたは協調的に投与される1つ以上の二次的または補助的な活性薬剤を併用する、併用処方および方法を提供する。これらの組み合わせの処方および協調的治療方法における有用な補助治療剤には、例えば、酵素核酸分子、アロステリック核酸分子、アンチセンス、デコイ、またはアプタマー核酸分子、モノクローナル抗体等の抗体、小分子、金属、塩およびイオンを含む他の有機もしくは無機化合物、ならびに癌を治療するために使用される化学療法剤、ステロイド、非ステロイド抗炎症剤(NSAID)等を含む、1つ以上のERBBファミリーメンバーに関連する疾病または状態の治療に適応される他の薬剤および活性薬剤、が含まれる。
例示的な化学療法剤には、アルキル化剤(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、ブスルファン、ニトロソ尿素、窒素マスタード、ウラムスチン、テモゾロマイド)、代謝拮抗薬(例えば、アミノプテリン、メトトレキサート、メルカプトプリン、フルオロウラシル、シタラビン)、タキサン(例えば、パクリタキセル、ドセタキセル)、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、バルルビシン)、ブレオマイシン、マイトマイシン、アクチノマイシン、ヒドロキシウレア、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、カンプトテシン、トポテカン、イリノテカン、エトポシド、テニポシド)、モノクローナル抗体(例えば、アレムツズマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、ゲムツズマブ、パニツムマブ、リツキシマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ)、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン)、シクロホスファミド、プレドニゾン、ロイコボリン、オキサリプラチンが含まれる。
本開示の協調的投与方法を実施するために、dsRNAは、本明細書で企図される二次的または補助的な薬剤のうちの1つ以上を用いた協調的な治療プロトコルにおいて、同時または経時的に投与される。協調的な投与はいずれの順序でも行われ得、1つのみまたは両方の(もしくはすべての)活性治療剤が、個別にまたは全体として、生物学的活性を発揮する期間があり得る。かかる協調的な治療の特徴的な態様は、組成物中に存在するdsRNAがある有益な臨床応答を引き出すことであり、二次的な治療剤によって提供される二次的な臨床応答が併せて見られるかもしれないしまたは見られないかもしれない。しばしば、本明細書で企図される二次的な治療剤を用いたdsRNAの協調的投与は、精製したdsRNAまたは二次的治療剤単独のいずれかまたは両方によって引き出される治療応答を超えた、増強された治療応答をもたらす。
別の実施形態において、本開示のdsRNAは、dsRNAの1つ以上の末端ヌクレオチド上に共役体の構成要素を含み得る。共役体の構成要素は、例えば、親油性物質、テルペン、タンパク質結合剤、ビタミン、炭水化物、またはペプチドであり得る。例えば、共役体の構成要素は、ナプロキセン、ニトロインドール(もしくは、スタッキング相互作用に貢献する別の共役体)、葉酸、イブプロフェン、またはC5ピリミジンリンカーであり得る。他の実施形態において、共役体の構成要素は、グリセリド脂質共役体(例えば、ジアルキルグリセリド誘導体)、ビタミンE共役体、またはチオ−コレステロールである。さらなる共役体の構成要素には、修飾された本開示のdsRNAと共役したときに、dsRNAの標的細胞内への送達を促進するか、あるいは、生体試料(例えば、VEGFRを発現する標的細胞)と接触したときに、dsRNAの送達、安定性、もしくは活性を向上させる機能を果たすペプチドが含まれる。本開示のこれらの態様において用いられる例示的なペプチド共役体の構成要素には、例えば、米国特許出願公開第2006/0040882号および第2006/0014289号、ならびに米国仮特許出願第60/822,896号および第60/939,578号、ならびにPCT出願第PCT/US2007/075744号(参照することによってすべて本明細書に組み込まれる)に記載されるペプチドPN27、PN28、PN29、PN58、PN61、PN73、PN158、PN159、PN173、PN182、PN183、PN202、PN204、PN250、PN361、PN365、PN404、PN453、PN509、およびPN963が含まれる。一部の実施形態において、ペプチド共役体のパートナーが開示のdsRNAの送達を向上させるために用いられる場合、結果として生じるdsRNA製剤および方法は、脂質送達ビヒクル(例えば、Lipofectamine(登録商標))等の代替の送達ビヒクルとともに送達されるdsRNAと比較して、標的細胞におけるインターフェロン応答をさらに低下させることが多い。
さらに別の実施形態において、本開示のdsRNAまたはその類似体は、ポリペプチドと共役、また1つ以上の非カチオン性脂質または非カチオン性脂質とカチオン性脂質との組み合わせと混合することができ、標的細胞をネイキッドdsRNAと接触させることによる送達と比較してdsRNAの細胞内送達を向上する組成物を形成する。本開示のより詳細な態様において、dsRNAとポリペプチドとを含む混合物、複合体または共役体は、任意選択的にLipofectamine(登録商標)等のカチオン性脂質と併用(例えば、混合または複合)され得る。ポリペプチド、dsRNAおよびカチオン性脂質を含むこれらの組成物を生成するために、dsRNAとペプチドとを細胞培養培地等の好適な培地においてはじめに混合し、その後でカチオン性脂質を混合物に加えることにより、dsRNA/送達ペプチド/カチオン性脂質組成物を形成することができる。任意選択的に、ペプチドとカチオン性脂質とを細胞培養培地等の好適な培地においてはじめに混合し、続いてdsRNAを加えることにより、dsRNA/送達ペプチド/カチオン性脂質組成物を形成することができる。
本開示は、例えば、ポリ(エチレングリコール)脂質(PEG修飾、または長期循環リポソームもしくはステルスリポソーム)(Lasic et al.,Chem.Rev.95:2601,1995、Ishiwata et al.,Chem.Pharm.Bull.43:1005,1995、Lasic et al.,Science 267:1275,1995、Oku et al.,Biochim.Biophys.Acta 1238:86,1995、Liu et al.,J.Biol.Chem.42:24864,1995、PCT公開第WO96/10391号、第WO96/10390号、第WO96/10392号)を含有する、表面修飾リポソームを含むdsRNA組成物の使用も特徴とする。
別の実施形態において、本開示のdsRNA分子が肝細胞等の特異的な細胞型を標的にするために、組成物が提供される。例えば、dsRNAは、例えば、肝臓を標的とした送達のための、複合または共役された糖タンパク質または合成の複合糖質糖タンパク質または分岐ガラクトース(例えば、アシアロオロソムコイド)、N−アセチル−D−ガラクトサミン、またはマンノースを有する合成の複合糖質であり得る(例えば、Wu and Wu,J.Biol.Chem.262:4429,1987、Baenziger and Fiete,Cell.22: 611,1980、Connolly et al.,J.Biol.Chem.257:939,1982、Lee and Lee,Glycoconjugate J.4:317,1987、Ponpipom et al.,J.Med.Chem.24:1388,1981を参照されたい)。
薬学的に有効な量とは、ある病態を予防し、その発症を阻害し、また治療する(症状をある程度まで、好ましくはすべての症状を緩和する)ために必要とされる量である。薬学的に有効な量は、疾病の種類、使用される組成物、投与経路、治療される哺乳類の種類、検討される特定の哺乳類の物理的特性、併用する薬物、および当業者が認識するであろう他の要因に依存する。例えば、本開示のdsRNAの作用強度に応じて、0.1mg/体重kg〜100mg/体重kg/日の量の活性成分が投与される。
任意の特定の患者に対する具体的な投与量レベルは、用いられる特異的化合物の活性、年齢、体重、総体的な健康状態、性別、食生活、投与期間、投与経路、排泄率、薬剤の組み合わせ、および治療を受ける特定の疾病の重症度を含む様々な要因に依存する。本明細書に開示されるdsRNA組成物の投与に続いて、被験者は、プラセボで治療した患者または他の好適な対照患者と比較して、治療される疾病または疾患に関連する1つ以上の症状において約10%〜約99%の低減を示す。
1日に体重1kg当たり約0.1mg〜約140mg台の投与量レベルが、上記の状態の治療において有用である得る(患者1人当たり約0.5mg〜約7g/1日)。単一剤形を生成するために担体物質と組み合わせることができる活性成分の量は、治療される宿主および特定の投与様式に依存して異なる。一般に、投与単位剤形は約1mg〜約500mgの活性成分を含有する。
本開示のdsRNAおよびその組成物の剤形は、液体、乳濁液、もしくはミセル、またはエアロゾルもしくは液滴の形態であり得る。本開示のdsRNAおよびその組成物の剤形は、投与前に液体中で元に戻すことができる固体であり得る。固体は粉末として投与することができる。固体はカプセル、錠剤、またはゲルの形態であり得る。当業者は、生体内での遺伝子の抑制のほかに、本開示のdsRNAおよびその類似体が、化学的および商業的な研究(例えば、生理学的経路の解明、創薬および開発)、ならびに医学的および獣医学的診断等の様々な生体外での応用に有用であることを理解するであろう。
核酸分子およびポリペプチドは、dsRNAのみ、dsRNAとポリペプチドとの複合体/共役体のみを含む製剤、または薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、補助剤、乳化剤、安定化剤、保存剤等の1つ以上の追加構成成分をさらに含む製剤中における投与を含む、当業者に既知である様々な方法を用いて細胞に投与することができる。生理的状態に近づくために用いられる他の例示的な物質には、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミン、およびこれらの混合物を含む、pH調整および緩衝剤、浸透圧調整剤、ならびに湿潤剤が含まれる。固体組成物には、従来の無毒性の薬学的に許容される担体を用いることができ、それには、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、タルカム、セルロース、グルコース、スクロース、マグネシウム炭酸塩等が含まれる。
一部の実施形態において、dsRNAおよびその組成物は、リポソームに封入され得、イオン注入によって投与されてもよく、またはハイドロゲル、シクロデキストリン、生分解性なのカプセル、生体接着性微粒子、もしくはタンパク質性ベクター(例えば、PCT出願第WO00/53722号を参照されたい)等の他のビヒクルに組み込むことができる。本開示の一部の実施形態において、dsRNAは、例えば、徐放性ポリマーを含む組成物等の持効性製剤中で投与され得る。dsRNAは、急速な放出から保護する担体、例えば、ポリマー、マイクロカプセル化送達システム、または生体接着性ゲル等の、制御放出性ビヒクルを用いて調製することができる。本開示の様々な組成物において、dsRNAの長期送達は、例えば、ステアリン酸アルミニウムヒドロゲルおよびゼラチン等の吸収を遅らせる組成の薬剤に含ませることにより実現できる。
あるいは、本開示のdsRNA組成物は、直接注射によって、または、例えば、輸液ポンプの使用によって、局所的に送達することができる。本開示のdsRNAの直接注射は、皮下、筋肉内、または皮内のいずれであっても、標準的な針と注射器を用いた手順によって、またはConry et al.,Clin.Cancer Res.5:2330,1999、およびPCT公開第WO99/31262号に記載されるもの等の針を使用しない技術を用いて、行われ得る。
本開示のdsRNAおよびその組成物は、経口直腸内、膣内、鼻腔内、肺内、もしくは経皮的送達を含む様々な粘膜投与様式によって、または眼、耳、皮膚、または他の粘膜面への局所的送達によって、対象に投与され得る。一実施形態において、粘膜組織層には上皮細胞層が含まれ、それは肺、気管、気管枝、肺胞、鼻、頬側、上皮、または消化管であり得る。本開示の組成物は、機械式の噴霧装置、および加圧式、電気作動式、または他の種類のアクチュエータ等、従来のアクチュエータを用いて投与され得る。またdsRNAは、例えば、直腸内投与のために、座剤の形態においても投与され得る。例えば、これらの組成物は、室温では固体であるが、直腸内の温度では液体となるためdsRNAが放出される、賦形剤と混合することもできる。かかる物質には、例えば、カカオバターおよびポリエチレングリコールが含まれる。
本開示のdsRNA等の核酸分子を送達するためのさらなる方法は、例えば、Boado et al., J. Pharm. Sci. 87:1308, 1998、Tyler et al., FEBS Lett.421:280,1999、Pardridge et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 92:5592,1995、Boado,Adv.Drug Delivery Rev.15:73,1995、Aldrian−Herrada et al.,Nucleic Acids Res.26:4910,1998、Tyler et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 96:7053−7058,1999、Akhtar et al.,Trends Cell Bio.2:139,1992、「Delivery Strategies for Antisense Oligonucleotide Therapeutics,」ed.Akhtar,1995,Maurer et al.,Mol.Membr.Biol.16:129,1999、Hofland and Huang,Handb.Exp.Pharmacol 137:165,1999、およびLee et al.,ACS Symp.Ser.752:184,2000、PCT公開第WO94/02595号に記載される。
本明細書において参照されるすべての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国の特許、外国の特許出願、特許以外の出版物、図、およびウェブサイトは、参照することにより、それらの全体が明示的に本明細書に組み込まれる。
実施例1
MDRNAによる遺伝子発現のノックダウン
二重蛍光アッセイを用いて、ニックの入ったまたはギャップのある同じdsRNAと比較して、dsRNAの遺伝子サイレンシング活性を調べた。合計22個の異なる遺伝子を、それぞれ異なる10の部位で標的にした(表1を参照)。
MDRNAによる遺伝子発現のノックダウン
二重蛍光アッセイを用いて、ニックの入ったまたはギャップのある同じdsRNAと比較して、dsRNAの遺伝子サイレンシング活性を調べた。合計22個の異なる遺伝子を、それぞれ異なる10の部位で標的にした(表1を参照)。
25ヌクレオチドのセンス鎖と、27ヌクレオチドのアンチセンス鎖と、アンチセンス鎖(25/27dsRNAと称される)の3’末端に2デオキシヌクレオチドのオーバーハングと、を有するダイサー基質dsRNA分子を使用した。ニックの入った各dsRNAダイサー基質は、センス鎖の5’末端から測って、該センス鎖の9〜16位のうちの1つにニックを有する。例えば、11位にニックを有するndsRNAは、11ヌクレオチドの5’センス鎖、14ヌクレオチドの3’センス鎖、および27ヌクレオチドのアンチセンス鎖(N11−14/27mdRNAとも称される)の、3本の鎖を有する。さらに、ndsRNAの各センス鎖は、各センス断片に沿って均等に分布されたロックされた核酸(LNA)を3つ有する。ニックが9位にある場合は、LNAは、5’センス鎖断片の2、6、および9位ならびに3’センス鎖断片の11、18、および23位に見ることができる。ニックが10位にある場合は、LNAは、5’センス鎖断片の2、6、および10位ならびに3’センス鎖断片の12、18、および23位に見ることができる。ニックが11位にある場合は、LNAは、5’センス鎖断片の2、6、および11位ならびに3’センス鎖断片の13、18、および23位に見ることができる。ニックが12位にある場合は、LNAは、5’センス鎖断片の2、6、および12位ならびに3’センス鎖断片の14、18、および23位に見ることができる。ニックが13位にある場合は、LNAは、5’センス鎖断片の2、7、および11位ならびに3’センス鎖断片の15、18、および23位に見ることができる。ニックが14位にある場合は、LNAは、5’センス鎖断片の2、7、および14位ならびに3’センス鎖断片の16、18、および23位に見ることができる。ニックが15位にある場合は、LNAは、5’センス鎖断片の2、8、および15位ならびに3’センス鎖断片の17、19、および23位に見ることができる。ニックが16位にある場合は、LNAは、5’センス鎖断片の2、8、および16位ならびに3’センス鎖断片の18、19、および23位に見ることができる。同様に、ギャップのある各dsRNAダイサーの基質は、センス鎖の5’末端から測って、該センス鎖の10〜17位のうちの1つで単一のヌクレオチドが欠失している。例えば、11位でギャップを有するgdsRNAは、11ヌクレオチドの5’センス鎖、13ヌクレオチドの3’センス鎖、27ヌクレオチドのアンチセンス鎖の、3本の鎖を有する(G11−(1)−13/27mdRNAとも称される)。さらに、gdsRNAの各センス鎖は、各センス断片に沿って均等に分布された、3つのロックされた核酸(LNA)を有する(ニックの入ったdsRNAについて記載されるように)。
つまり、非修飾dsRNA、センス鎖断片当たり3つのLNAを持つニックの入ったmdRNA、およびセンス鎖断片当たり3つのLNAを持つ単一ヌクレオチドのギャップのあるmdRNAの3つのdsRNAについて、遺伝子ごとにそれぞれ異なる10の部位で検査した。換言すると、異なる660個のdsRNAを検査した。
簡潔に述べると、10%ウシ胎仔血清を含むDMEM中に、約7〜8×105HeLa細胞/ウェルずつマルチウェルプレートに播種し、37℃/5%CO2で一晩培養した。トランスフェクションの直前に、HeLa細胞培地を無血清DMEMに変更した。無血清DMEM中で希釈した標的遺伝子の約1,000塩基対の挿入断片を含有するpsiCHECK(登録商標)−2ベクターを、希釈したGenJet(登録商標)トランスフェクション試薬(SignalDT Biosystems,Hayward,California)と製造者の指示に従って混合し、室温で10分間培養した。GenJet/psiCHECK(登録商標)−2−[標的遺伝子挿入断片]溶液をHeLa細胞に加え、37℃、5%CO2で4.5時間培養した。ベクタートランスフェクションの後、細胞をトリプシン処理して、10%FBSを含有する、抗生物質を含まないDMEMに105細胞/mLの濃度で懸濁させた。
dsRNAをトランスフェクトするために、OPTI−MEM I血清使用量低減培地(Gibco(登録商標) Invitrogen,Carlsbad,California)中でdsRNAを調製して、マルチウェルプレートに移した。その後、製造者の仕様に沿ってLipofectamine(登録商標) RNAiMAX(Invitrogen)をOPTI−MEMと混合してdsRNAを含有する各ウェルに加え、手で混合して、室温で10〜20分間培養した。その後、ベクターでトランスフェクトされたHeLa細胞30μL(105細胞/mL)を各ウェルに加え(dsRNA最終濃度25nM)、プレートを1,000rpmで30秒回転させてから、37℃/5%CO2で2日間培養した。Cell Titer Blue(CTB)試薬(Promega,Madison,Wisconson)を用いて細胞の生存および増殖について検定したところ、dsRNAはいずれも実質的な毒性を示さなかった。
トランスフェクションの後、培地およびCTB試薬を除去して、100PBSでウェルを1回洗浄した。最初に、10分間振盪させながらDual−Glo(登録商標)Luciferase試薬(Promega,Madison,WI)を加え、それからVICTOR3(登録商標)1420 Multilabel Counter(PerkinElmer)上で発光シグナルを定量化して、ホタルルシフェラーゼおよびウミシイタケルシフェラーゼレポーターの活性について細胞を検定した。ホタルの発光を測定後、10分間振盪させながらStop&Glo(登録商標)試薬(Promega,Madison,WI)を加えて、ホタルルシフェラーゼ反応の停止と、ウミシイタケルシフェラーゼ反応の開始を同時に行い、VICTOR3(登録商標)1420 Multilabel Counter(PerkinElmer)上で定量化した。その結果を表1に示す。
実施例2
ギャップのあるDSRNAダイサー基質を用いたβ−ガラクトシダーゼ活性のノックダウン
通常のダイサー基質dsRNA(すなわちギャップのない)と比較して、LacZ Mrnaのサイレンシングにおける二本鎖構造にギャップを有するダイサー基質dsRNAの活性を調べた。
ギャップのあるDSRNAダイサー基質を用いたβ−ガラクトシダーゼ活性のノックダウン
通常のダイサー基質dsRNA(すなわちギャップのない)と比較して、LacZ Mrnaのサイレンシングにおける二本鎖構造にギャップを有するダイサー基質dsRNAの活性を調べた。
LacZ mRNAを標的とするdsRNAおよびmdRNAのヌクレオチド配列
下に示す1つ以上のセンス鎖の核酸配列、ならびにdsRNAおよびギャップのあるdsRNA(本明細書において部分二重鎖またはmdRNAとも称される)のアンチセンス鎖を、標準的な技術を用いて合成した。RISC活性化因子LacZ dsRNAは、アニーリングして、各鎖上に2デオキシチミジンのオーバーハングを持つ19塩基対の二本鎖領域を形成することができる、21ヌクレオチドのセンス鎖および21ヌクレオチドのアンチセンス鎖を含む(21/21 dsRNAと称される)。
LacZ dsRNA(21/21)−RISC活性化因子
センス 5’−CUACACAAAUCAGCGAUUUdTdT−3’ (配列番号1)
アンチセンス 3’−dTdTGAUGUGUUUAGUCGCUAAA−5’ (配列番号2)
下に示す1つ以上のセンス鎖の核酸配列、ならびにdsRNAおよびギャップのあるdsRNA(本明細書において部分二重鎖またはmdRNAとも称される)のアンチセンス鎖を、標準的な技術を用いて合成した。RISC活性化因子LacZ dsRNAは、アニーリングして、各鎖上に2デオキシチミジンのオーバーハングを持つ19塩基対の二本鎖領域を形成することができる、21ヌクレオチドのセンス鎖および21ヌクレオチドのアンチセンス鎖を含む(21/21 dsRNAと称される)。
LacZ dsRNA(21/21)−RISC活性化因子
センス 5’−CUACACAAAUCAGCGAUUUdTdT−3’ (配列番号1)
アンチセンス 3’−dTdTGAUGUGUUUAGUCGCUAAA−5’ (配列番号2)
ダイサーの基質LacZ dsRNAは、25ヌクレオチドのセンス鎖および27ヌクレオチドのアンチセンス鎖を含み、アニーリングして、1つの平滑末端ならびに他方の端にシチジンおよびシチジンのオーバーハングを持つ25塩基対の二本鎖領域を形成することができる(25/27 dsRNAと称される)。
LacZ dsRNA(25/27)−ダイサー基質
センス 5’−CUACACAAAUCAGCGAUUUCCAUdGdT−3’ (配列番号3)
アンチセンス 3’−CUGAUGUGUUUAGUCGCUAAAGGUACA−5’ (配列番号4)
LacZ mdRNAは、13ヌクレオチド(5’部分)および11ヌクレオチド(3’部分)の2本のセンス鎖、ならびに27ヌクレオチドのアンチセンス鎖を含み、3本の鎖がアニーリングして、単一のヌクレオチドギャップによって離された13および11塩基対の2つの二本鎖領域を形成することができる(13,11/27 mdRNAと称される)。11ヌクレオチドのセンス鎖の断片の5’末端は、任意選択的にリン酸化され得る。「*」はギャップ(この場合は単一のヌクレオチドギャップ)を示す(すなわち、シチジンが欠失している)。
LacZ mdRNA(13,11/27)−ダイサー基質
センス 5’−CUACACAAAUCAG*GAUUUCCAUdGdT−3’ (配列番号5、6)
アンチセンス 3’−CUGAUGUGUUUAGUCGCUAAAGGUACA−5’ (配列番号4)
LacZ dsRNAまたはmdRNAのそれぞれを、9lacZ/R細胞をトランスフェクトするために用いた。
LacZ dsRNA(25/27)−ダイサー基質
センス 5’−CUACACAAAUCAGCGAUUUCCAUdGdT−3’ (配列番号3)
アンチセンス 3’−CUGAUGUGUUUAGUCGCUAAAGGUACA−5’ (配列番号4)
LacZ mdRNAは、13ヌクレオチド(5’部分)および11ヌクレオチド(3’部分)の2本のセンス鎖、ならびに27ヌクレオチドのアンチセンス鎖を含み、3本の鎖がアニーリングして、単一のヌクレオチドギャップによって離された13および11塩基対の2つの二本鎖領域を形成することができる(13,11/27 mdRNAと称される)。11ヌクレオチドのセンス鎖の断片の5’末端は、任意選択的にリン酸化され得る。「*」はギャップ(この場合は単一のヌクレオチドギャップ)を示す(すなわち、シチジンが欠失している)。
LacZ mdRNA(13,11/27)−ダイサー基質
センス 5’−CUACACAAAUCAG*GAUUUCCAUdGdT−3’ (配列番号5、6)
アンチセンス 3’−CUGAUGUGUUUAGUCGCUAAAGGUACA−5’ (配列番号4)
LacZ dsRNAまたはmdRNAのそれぞれを、9lacZ/R細胞をトランスフェクトするために用いた。
トランスフェクション
コラーゲンでコーティングした6ウェルプレートに、ウェル当たり2mlの体積を5×105 9lacZ/R細胞/ウェルで播種し、DMEM/高グルコース培地を用いて37℃/5%CO2で一晩培養した。トランスフェクションの準備:250μlの無血清OPTIMEM培地を20pmol/μlのdsRNA 5μlと混合し、HIPERFECTトランスフェクション溶液(Qiagen)5μlを別の250μlのOPTIMEM培地と混合した。両方の混合物を5分間平衡化してから、RNAとトランスフェクション溶液とを合わせ、室温で20分間放置してトランスフェクション複合体を形成した。HIPERFECTの最終濃度は50μMであり、dsRNAを0.05nM、0.1nM、0.2nM、0.5nM、1nM、2nM、5nM、および10nMで検査し、一方mdRNAは0.2nM、0.5nM、1nM、2nM、5nM、10nM、20nM、および50nMで検査した。完全培地を除去して、細胞を不完全OPTIMEMで洗浄し、500μlのトランスフェクション混合物を細胞に適用して、穏やかに振とうさせながら37℃で4時間培養した。トランスフェクション後、トランスフェクション培地を除去して、完全DMEM/高グルコース培地で細胞を一度洗浄してから新鮮培地を加え、細胞を37℃、5%CO2で48時間培養した。
コラーゲンでコーティングした6ウェルプレートに、ウェル当たり2mlの体積を5×105 9lacZ/R細胞/ウェルで播種し、DMEM/高グルコース培地を用いて37℃/5%CO2で一晩培養した。トランスフェクションの準備:250μlの無血清OPTIMEM培地を20pmol/μlのdsRNA 5μlと混合し、HIPERFECTトランスフェクション溶液(Qiagen)5μlを別の250μlのOPTIMEM培地と混合した。両方の混合物を5分間平衡化してから、RNAとトランスフェクション溶液とを合わせ、室温で20分間放置してトランスフェクション複合体を形成した。HIPERFECTの最終濃度は50μMであり、dsRNAを0.05nM、0.1nM、0.2nM、0.5nM、1nM、2nM、5nM、および10nMで検査し、一方mdRNAは0.2nM、0.5nM、1nM、2nM、5nM、10nM、20nM、および50nMで検査した。完全培地を除去して、細胞を不完全OPTIMEMで洗浄し、500μlのトランスフェクション混合物を細胞に適用して、穏やかに振とうさせながら37℃で4時間培養した。トランスフェクション後、トランスフェクション培地を除去して、完全DMEM/高グルコース培地で細胞を一度洗浄してから新鮮培地を加え、細胞を37℃、5%CO2で48時間培養した。
β−ガラクトシダーゼアッセイ
トランスフェクトした細胞をPBSで洗浄した後、0.5mlのトリプシン/EDTAを用いて剥離した。剥離した細胞を完全DMEM/高グルコース1mlに懸濁させて、清潔なチューブに移した。250Gで5分間遠心分離することにより細胞を収集し、1×溶解緩衝液50μlに4℃で再懸濁させた。溶解した細胞を、ドライアイスおよび37℃の水浴で2回の凍結融解サイクルに供した。溶解した試料を4℃で5分間遠心分離して、上清を回収した。各試料につき、1.5μlおよび10μlのライセートを清潔なチューブに移し、無菌水を加えて最終容積30μlにし、続いてo−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノース(ONPG)70μl、およびβ−メルカプトエタノールを含む1×切断緩衝剤200μlを添加した。試料を短時間混合して、30分間37℃で培養した後、停止緩衝剤500μlを加えた(最終容積800μl)。各試料について、β−ガラクトシダーゼ活性をディスポーザブルキュベット内で420nmで測定した。BCA(ビシンコニン酸)法によりタンパク質濃度を決定した。本実施例の目的のために、測定したLacZ活性のレベルを、9L/LacZ細胞内のLacZ転写物の量に相関させた。従って、細胞生存率に悪影響をおよぼすことのない、dsRNAトランスフェクション後のβ−ガラクトシダーゼ活性の低下は、LacZ dsRNAによって媒介された標的分解に起因するLacZ転写物の量の低下によるものであった。
トランスフェクトした細胞をPBSで洗浄した後、0.5mlのトリプシン/EDTAを用いて剥離した。剥離した細胞を完全DMEM/高グルコース1mlに懸濁させて、清潔なチューブに移した。250Gで5分間遠心分離することにより細胞を収集し、1×溶解緩衝液50μlに4℃で再懸濁させた。溶解した細胞を、ドライアイスおよび37℃の水浴で2回の凍結融解サイクルに供した。溶解した試料を4℃で5分間遠心分離して、上清を回収した。各試料につき、1.5μlおよび10μlのライセートを清潔なチューブに移し、無菌水を加えて最終容積30μlにし、続いてo−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノース(ONPG)70μl、およびβ−メルカプトエタノールを含む1×切断緩衝剤200μlを添加した。試料を短時間混合して、30分間37℃で培養した後、停止緩衝剤500μlを加えた(最終容積800μl)。各試料について、β−ガラクトシダーゼ活性をディスポーザブルキュベット内で420nmで測定した。BCA(ビシンコニン酸)法によりタンパク質濃度を決定した。本実施例の目的のために、測定したLacZ活性のレベルを、9L/LacZ細胞内のLacZ転写物の量に相関させた。従って、細胞生存率に悪影響をおよぼすことのない、dsRNAトランスフェクション後のβ−ガラクトシダーゼ活性の低下は、LacZ dsRNAによって媒介された標的分解に起因するLacZ転写物の量の低下によるものであった。
結果
トランスフェクトした細胞およびトランスフェクトしていない細胞におけるノックダウン活性をQneg対照dsRNAに対して正規化し、Qneg対照の正規化値として表した(すなわち、Qnegが100%または「正常な」遺伝子発現量を表した)。lacZ RISC活性化因子およびダイサー基質dsRNA分子の両方が、0.1nM(図2)の低濃度でβ−ガラクトシダーゼ活性の良好なノックダウンを示した一方で、ダイサー基質のアンチセンス鎖のみ(一本鎖27mer)はサイレンシング効果を持たなかった。驚くべきことに、ギャップのあるmdRNAが、インタクトなRISC活性化因子およびダイサー基質dsRNAよりはやや低いものの、良好なノックダウンを示した(図2)。様々な濃度(0.1μM〜50μM)でのギャップマー(gapmer)シチジン(すなわち、ヌクレオチドの欠失)の存在は、mdRNAの活性に影響を与えなかった(データは非表示)。dsRNAまたはmdRNA溶液のいずれも、トランスフェクトした9L/LacZ細胞において検出可能な毒性をまったく示さなかった。lacZ mdRNAのIC50は、以前にlacZ dsRNA 21/21(データ非表示)について測定されたものに比べて10倍低い、3.74nMとして算出された。これらの結果は、部分二重鎖(ギャップのあるdsRNA)が、遺伝子サイレンシングを誘導する能力を持つことを示すものである。
トランスフェクトした細胞およびトランスフェクトしていない細胞におけるノックダウン活性をQneg対照dsRNAに対して正規化し、Qneg対照の正規化値として表した(すなわち、Qnegが100%または「正常な」遺伝子発現量を表した)。lacZ RISC活性化因子およびダイサー基質dsRNA分子の両方が、0.1nM(図2)の低濃度でβ−ガラクトシダーゼ活性の良好なノックダウンを示した一方で、ダイサー基質のアンチセンス鎖のみ(一本鎖27mer)はサイレンシング効果を持たなかった。驚くべきことに、ギャップのあるmdRNAが、インタクトなRISC活性化因子およびダイサー基質dsRNAよりはやや低いものの、良好なノックダウンを示した(図2)。様々な濃度(0.1μM〜50μM)でのギャップマー(gapmer)シチジン(すなわち、ヌクレオチドの欠失)の存在は、mdRNAの活性に影響を与えなかった(データは非表示)。dsRNAまたはmdRNA溶液のいずれも、トランスフェクトした9L/LacZ細胞において検出可能な毒性をまったく示さなかった。lacZ mdRNAのIC50は、以前にlacZ dsRNA 21/21(データ非表示)について測定されたものに比べて10倍低い、3.74nMとして算出された。これらの結果は、部分二重鎖(ギャップのあるdsRNA)が、遺伝子サイレンシングを誘導する能力を持つことを示すものである。
実施例3
ニックの入ったDSRNAを用いたインフルエンザ遺伝子発現のノックダウン
通常のdsRNA(すなわち、ニックを持たない)と比較して、インフルエンザ遺伝子の発現のサイレンシングにおける、ニックの入ったdsRNA(21/21)の活性を調べた。
ニックの入ったDSRNAを用いたインフルエンザ遺伝子発現のノックダウン
通常のdsRNA(すなわち、ニックを持たない)と比較して、インフルエンザ遺伝子の発現のサイレンシングにおける、ニックの入ったdsRNA(21/21)の活性を調べた。
インフルエンザmRNAを標的とするdsRNAおよびmdRNAのヌクレオチド配列
下に示すdsRNAおよびニックの入ったdsRNA(部分二重鎖の別の形態、本明細書においてはndsRNAと称される)を、標準的な技術を用いて合成した。RISC活性化因子インフルエンザG1498 dsRNAは、アニーリングして、各鎖上に2デオキシチミジンのオーバーハングを持つ19塩基対の二本鎖領域を形成することができる、21ヌクレオチドのセンス鎖と21ヌクレオチドのアンチセンス鎖を含む。
G1498−wt dsRNA(21/21)
センス 5’−GGAUCUUAUUUCUUCGGAGdTdT−3’ (配列番号7)
アンチセンス 3’−dTdTCCUAGAAUAAAGAAGCCUC−5’ (配列番号8)
下に示すdsRNAおよびニックの入ったdsRNA(部分二重鎖の別の形態、本明細書においてはndsRNAと称される)を、標準的な技術を用いて合成した。RISC活性化因子インフルエンザG1498 dsRNAは、アニーリングして、各鎖上に2デオキシチミジンのオーバーハングを持つ19塩基対の二本鎖領域を形成することができる、21ヌクレオチドのセンス鎖と21ヌクレオチドのアンチセンス鎖を含む。
G1498−wt dsRNA(21/21)
センス 5’−GGAUCUUAUUUCUUCGGAGdTdT−3’ (配列番号7)
アンチセンス 3’−dTdTCCUAGAAUAAAGAAGCCUC−5’ (配列番号8)
RISC活性化因子インフルエンザG1498 dsRNAのセンス鎖におけるヌクレオチド11の後にニックを入れ、11ヌクレオチド(5’部分、イタリック体)および10ヌクレオチド(3’部分)の2本のセンス鎖ならびに21ヌクレオチドのアンチセンス鎖を有するndsRNAを生成し、その3本の鎖がアニーリングして、1つのヌクレオチドギャップによって離された11(イタリック体で表示)および10塩基対の2つの二本鎖領域を形成することができるようにした(G1498 11,10/21 ndsRNA−wtと称することができる)。10ヌクレオチドのセンス鎖の断片の5’末端は、ヌクレオチド(例えば、pC)の前にある「p」で示されるように、任意選択的にリン酸化され得る。
G1498 ndsRNA−wt(11,10/21)
センス 5’−GGAUCUUAUUUCUUCGGAGdTdT−3’ (配列番号9、10)
アンチセンス 3’−dTdTCCUAGAAUAAAGAAGCCUC−5’ (配列番号8)
G1498 ndsRNA−wt(11,10/21)
センス 5’−GGAUCUUAUUUpCUUCGGAGdTdT−3’(配列番号9,10)
アンチセンス 3’−dTdTCCUAGAAUAAAGAAGCCUC−5’ (配列番号8)
さらに、これらのG1498 dsRNAの各々は、5−メチルウリジン(リボチミジン)でそれぞれU置換されて作製され、G1498 dsRNA−rTと称される。5−メチルウリジン置換を有するか、または有さない、G1498 dsRNAまたはndsRNA(部分二重鎖)の各々が、ルシフェラーゼ遺伝子と関連するインフルエンザ標的配列を有するHeLa S3をトランスフェクトするために用いられた。また、G1498アンチセンス鎖のみ、または11ヌクレオチドのセンス鎖部分にアニーリングされたアンチセンス鎖のみ、または10ヌクレオチドのセンス鎖部分のみを、活性について調べた。
G1498 ndsRNA−wt(11,10/21)
センス 5’−GGAUCUUAUUUCUUCGGAGdTdT−3’ (配列番号9、10)
アンチセンス 3’−dTdTCCUAGAAUAAAGAAGCCUC−5’ (配列番号8)
G1498 ndsRNA−wt(11,10/21)
センス 5’−GGAUCUUAUUUpCUUCGGAGdTdT−3’(配列番号9,10)
アンチセンス 3’−dTdTCCUAGAAUAAAGAAGCCUC−5’ (配列番号8)
さらに、これらのG1498 dsRNAの各々は、5−メチルウリジン(リボチミジン)でそれぞれU置換されて作製され、G1498 dsRNA−rTと称される。5−メチルウリジン置換を有するか、または有さない、G1498 dsRNAまたはndsRNA(部分二重鎖)の各々が、ルシフェラーゼ遺伝子と関連するインフルエンザ標的配列を有するHeLa S3をトランスフェクトするために用いられた。また、G1498アンチセンス鎖のみ、または11ヌクレオチドのセンス鎖部分にアニーリングされたアンチセンス鎖のみ、または10ヌクレオチドのセンス鎖部分のみを、活性について調べた。
トランスフェクションおよびデュアルルシフェラーゼアッセイ
ホタルluc2(Photinus pyralis)およびウミシイタケ(ラテン名Renilla reniformis、シーパンジーとしても知られる)ルシフェラーゼの両方を構成的に発現するレポータープラスミドpsiCHECK(登録商標)−2(Promega,Madison,WI)を、ウミシイタケ−インフルエンザNP融合mRNAをもたらすウミシイタケ翻訳停止コドンの下流にあるインフルエンザNP遺伝子の一部をクローン化するために用いられた。psiCHECK(登録商標)−2ベクター中のホタルルシフェラーゼを、ウミシイタケルシフェラーゼの発現を正規化するのに使用し、これは、トランスフェクション効率の対照としての機能を果たす。
ホタルluc2(Photinus pyralis)およびウミシイタケ(ラテン名Renilla reniformis、シーパンジーとしても知られる)ルシフェラーゼの両方を構成的に発現するレポータープラスミドpsiCHECK(登録商標)−2(Promega,Madison,WI)を、ウミシイタケ−インフルエンザNP融合mRNAをもたらすウミシイタケ翻訳停止コドンの下流にあるインフルエンザNP遺伝子の一部をクローン化するために用いられた。psiCHECK(登録商標)−2ベクター中のホタルルシフェラーゼを、ウミシイタケルシフェラーゼの発現を正規化するのに使用し、これは、トランスフェクション効率の対照としての機能を果たす。
マルチウェルプレートに、HeLa S3細胞/ウェルでHamのF12倍地100μlおよび10%ウシ胎仔血清中に播種し、37℃/5%CO2で一晩培養した。HeLa S3細胞を、Lipofectamine(登録商標)2000およびOPTIMEM低減血清培地中で調製されたpsiCHECK(登録商標)−インフルエンザプラスミド(75ng)およびG1498 dsRNAまたはndsRNA(最終濃度10nMまたは100nM)でトランスフェクトした。トランスフェクション混合物をHeLa S3細胞とともに穏やかに振とうさせながら、37℃で18〜20時間培養した。
トランスフェクション後、はじめにDual−Glo(登録商標)Luciferase試薬(Promega,Madison,WI)を10分間振とうさせながら加え、次にVICTOR3(登録商標)1420 Multilabel Counter(PerkinElmer,Waltham,MA)を用いて発光シグナルを定量化することにより、ホタルルシフェラーゼレポーターの活性を測定した。ホタルの発光を測定した後、Stop & Glo(登録商標)試薬(Promega,Madison,WI)を10分間振とうさせながら加え、ホタルの反応の停止とウミシイタケルシフェラーゼ反応の開始を同時に行い、ウミシイタケルシフェラーゼの発光シグナルをVICTOR3(登録商標)1420 Multilabel Counter(PerkinElmer,Waltham,MA)を用いて定量化した。
結果
トランスフェクトした細胞およびトランスフェクトしていない細胞におけるノックダウン活性をQneg対照dsRNAに対して正規化し、Qneg対照の正規化値として表した(すなわち、Qnegが100%または「正常な」遺伝子発現量を表した)。よって、値が小さいほど、ノックダウン効果が大きいことが示唆される。G1498 dsRNA−wtおよびdsRNA−rTは、100nMの濃度で同様の良好なノックダウンを示した(図3)。驚くべきことに、G1498 ndsRNA−rTが、リン酸化されていようといまいと、G1498 dsRNA−wtよりはやや低いものの、良好なノックダウンを示した(図3)。dsRNAまたはndsRNAでも、10nMで同様の結果が得られた(データは非表示)。G1498 dsRNAまたはndsRNA溶液のいずれも、10nMまたは100nMで、HeLa S3細胞において検出可能な毒性を全く示さなかった。G1498アンチセンス鎖とともに半分のみニックが入ったセンス鎖(11ヌクレオチドまたは10ヌクレオチド鎖単独で)が存在するだけでも、何らかの検出可能な活性を示した。これらの結果は、ニックの入った種類の部分二重鎖のdsRNA分子は予想外に遺伝子サイレンシングを促進する能力を持っていることを示している。
トランスフェクトした細胞およびトランスフェクトしていない細胞におけるノックダウン活性をQneg対照dsRNAに対して正規化し、Qneg対照の正規化値として表した(すなわち、Qnegが100%または「正常な」遺伝子発現量を表した)。よって、値が小さいほど、ノックダウン効果が大きいことが示唆される。G1498 dsRNA−wtおよびdsRNA−rTは、100nMの濃度で同様の良好なノックダウンを示した(図3)。驚くべきことに、G1498 ndsRNA−rTが、リン酸化されていようといまいと、G1498 dsRNA−wtよりはやや低いものの、良好なノックダウンを示した(図3)。dsRNAまたはndsRNAでも、10nMで同様の結果が得られた(データは非表示)。G1498 dsRNAまたはndsRNA溶液のいずれも、10nMまたは100nMで、HeLa S3細胞において検出可能な毒性を全く示さなかった。G1498アンチセンス鎖とともに半分のみニックが入ったセンス鎖(11ヌクレオチドまたは10ヌクレオチド鎖単独で)が存在するだけでも、何らかの検出可能な活性を示した。これらの結果は、ニックの入った種類の部分二重鎖のdsRNA分子は予想外に遺伝子サイレンシングを促進する能力を持っていることを示している。
実施例4
ニックの入ったMDRNAのノックダウン活性
本実施例において、様々な位置にニックを持つセンス鎖を有する、実施例1に記載されるダイサー基質LacZ dsRNAの活性を調べた。さらに、ニックまたは単一のヌクレオチドを有するセンス配列の最も3’末端側の鎖の5’末端でジデオキシヌクレオチド(すなわち、ddG)を取り込み、ニックの入ったセンス鎖の生体内ライゲーションが、「レスキュー」活性であるかどうかを決定した。ddGはライゲーションの基質ではない。8〜14位のうちの1つにニックを持つセンス鎖を有する、実施例7のインフルエンザのダイサー基質dsRNAについても調べた。記号「p」は、ニックの入ったセンスインフルエンザ配列の最も3’末端側の鎖の5’末端がリン酸化されていることを示す。記号「L」は、ニックの入ったセンスインフルエンザ配列の最も5’末端側の2位にあるGが、ロックされた核酸Gに置換されたことを示す。Qnegは陰性対照dsRNAであった。
ニックの入ったMDRNAのノックダウン活性
本実施例において、様々な位置にニックを持つセンス鎖を有する、実施例1に記載されるダイサー基質LacZ dsRNAの活性を調べた。さらに、ニックまたは単一のヌクレオチドを有するセンス配列の最も3’末端側の鎖の5’末端でジデオキシヌクレオチド(すなわち、ddG)を取り込み、ニックの入ったセンス鎖の生体内ライゲーションが、「レスキュー」活性であるかどうかを決定した。ddGはライゲーションの基質ではない。8〜14位のうちの1つにニックを持つセンス鎖を有する、実施例7のインフルエンザのダイサー基質dsRNAについても調べた。記号「p」は、ニックの入ったセンスインフルエンザ配列の最も3’末端側の鎖の5’末端がリン酸化されていることを示す。記号「L」は、ニックの入ったセンスインフルエンザ配列の最も5’末端側の2位にあるGが、ロックされた核酸Gに置換されたことを示す。Qnegは陰性対照dsRNAであった。
実施例3の二重蛍光アッセイを用いて、5nMでのLacZ配列、および0.5nMでのインフルエンザ配列のノックダウン活性を測定した。lacZダイサー基質(25/27,LacZ−DS)およびlacZ RISC活性化因子(21/21,LacZ)は同等の活性を示し、活性に影響を与えることなく、LacZ−DSの8〜14位の間の任意の位置にニックを入れることが可能である(図3)。さらに、ニックを有するLacZセンス配列の最も3’末端側の5’末端(LacZ:DSNkd13−3dd)または1つのヌクレオチドギャップ(LacZ:DSNkd13D1−3’dd)にddGを取り込むと、実質的には未置換の配列(図4)と同程度の活性を示した。8〜14位のうちの任意の位置でニックが入ったインフルエンザのダイサー基質(G1498DS)も、非常に活性に富んでいた(図5)。ニックの入ったセンスインフルエンザ配列の最も3’末端側の5’末端のリン酸化は、実質的に、活性に何の影響も与えなかったが、ロックされた核酸の添加が活性を向上させると思われる。
実施例5
MDRNAの平均阻害濃度
本実施例では、用量反応アッセイを行って、ロックされた核酸を含むまたは含まない、12、13、または14位にニックを持つセンス鎖を有する、実施例8のインフルエンザのダイサー基質dsRNAの平均阻害濃度(IC50)を測定した。実施例2の二重蛍光アッセイが用いられた。インフルエンザのダイサー基質dsRNA(G1498DS)を0.0004nM、0.002nM、0.005nM、0.019nM、0.067nM、0.233nM、0.816nM、2.8nM、および10nMで検査し、13位にニックを持つmdRNA(G1498DS:Nkd13)を、0.001nM、0.048nM、0.167nM、1nM、2nM、7nM、および25nMで検査した(図6を参照)。様々な位置にニックを持つまたは持たないRISC活性化因子分子(21/21)(G1498DS:Nkd11、G1498DS:Nkd12、およびG1498DS:Nkd14を含む)も検査し、上述の通り、ニックの入ったものはそれぞれロックされた核酸を含むものであった(データ非表示)。Qnegは陰性対照dsRNAであった。
MDRNAの平均阻害濃度
本実施例では、用量反応アッセイを行って、ロックされた核酸を含むまたは含まない、12、13、または14位にニックを持つセンス鎖を有する、実施例8のインフルエンザのダイサー基質dsRNAの平均阻害濃度(IC50)を測定した。実施例2の二重蛍光アッセイが用いられた。インフルエンザのダイサー基質dsRNA(G1498DS)を0.0004nM、0.002nM、0.005nM、0.019nM、0.067nM、0.233nM、0.816nM、2.8nM、および10nMで検査し、13位にニックを持つmdRNA(G1498DS:Nkd13)を、0.001nM、0.048nM、0.167nM、1nM、2nM、7nM、および25nMで検査した(図6を参照)。様々な位置にニックを持つまたは持たないRISC活性化因子分子(21/21)(G1498DS:Nkd11、G1498DS:Nkd12、およびG1498DS:Nkd14を含む)も検査し、上述の通り、ニックの入ったものはそれぞれロックされた核酸を含むものであった(データ非表示)。Qnegは陰性対照dsRNAであった。
RISC活性化因子G1498のIC50は約22pMとして算出され、一方、ダイサー基質G1498DSのIC50は約6pMとして算出された。RISCおよびダイサーmdRNAのIC50は約200pM〜約15nMの範囲であった。単一のロックされた核酸を包含することにより、ダイサーmdRNAのIC50が4倍まで低減された(データ非表示)。これらの結果は、任意の位置にニックまたはギャップを有する部分二重鎖dsRNAは、遺伝子サイレンシングを誘導する能力を持つことを示すものである。
実施例6
ギャップのあるMDRNAのノックダウン活性
異なる大きさ、および位置にギャップを持つセンス鎖を有する、インフルエンザのダイサー基質dsRNAの活性を調べた。8位に0〜6ヌクレオチドのギャップ、9位に4ヌクレオチドのギャップ、10位に3ヌクレオチドのギャップ、11位に2ヌクレオチドのギャップ、および12位に1ヌクレオチドのギャップを有するセンス鎖を持つ、実施例8のインフルエンザのダイサー基質dsRNAを産生した。(表2参照)。Qnegは陰性対照dsRNAであった。それぞれのmdRNAを5nM(データ非表示)および10nMの濃度で検査した。mdRNAは、アンチセンス鎖5’−CAUUGUCUCCGAAGAAAUAAGAUCCUU(配列番号11)、および、表2に示すニックの入ったまたはギャップのあるセンス鎖を有する。
ギャップのあるMDRNAのノックダウン活性
異なる大きさ、および位置にギャップを持つセンス鎖を有する、インフルエンザのダイサー基質dsRNAの活性を調べた。8位に0〜6ヌクレオチドのギャップ、9位に4ヌクレオチドのギャップ、10位に3ヌクレオチドのギャップ、11位に2ヌクレオチドのギャップ、および12位に1ヌクレオチドのギャップを有するセンス鎖を持つ、実施例8のインフルエンザのダイサー基質dsRNAを産生した。(表2参照)。Qnegは陰性対照dsRNAであった。それぞれのmdRNAを5nM(データ非表示)および10nMの濃度で検査した。mdRNAは、アンチセンス鎖5’−CAUUGUCUCCGAAGAAAUAAGAUCCUU(配列番号11)、および、表2に示すニックの入ったまたはギャップのあるセンス鎖を有する。
実施例2の二重蛍光アッセイを用いて、ノックダウン活性を測定した。5nMおよび10nMの両方の濃度で同様の結果が得られた。これらのデータは、最大6ヌクレオチドのギャップを有するmdRNAでも活性を有することを示したが、4以下のヌクレオチド欠失を有するものが最高の活性を示した(図7も参照)。よって、様々な大きさのギャップを様々な異なる位置に有するmdRNAは、ノックダウン活性を有する。
異なる大きさおよび位置にギャップを持つセンス鎖を有する配列の一般的な適用性を調べるために、様々なdsRNA配列を検査した。8位に0〜6ヌクレオチドのギャップ、9位に5ヌクレオチドのギャップ、10位に4ヌクレオチドのギャップ、11位に3ヌクレオチドのギャップ、12位に2ヌクレオチドのギャップ、12位に1ヌクレオチドのギャップ、および14位にニック(0のギャップ)を有するセンス鎖を持つ、実施例1のlacZ RISC dsRNAを産生した(表3を参照)。Qnegは陰性対照dsRNAであった。それぞれのmdRNAを5nM(データ非表示)および25nMの濃度で検査した。lacZ mdRNAは、アンチセンス鎖5’−AAAUCGCUGAUUUGUGUAGdTdTUAAA(配列番号2)表3に示すニックの入ったまたはギャップのあるセンス鎖を有していた。
実施例3の二重蛍光アッセイを用いて、ノックダウン活性を測定した。図8は、mdRNAは、最大6つのヌクレオチドを有するものまで、相当の活性を有し、ギャップの位置がノックダウンの強度に影響を与える可能性を示している。よって、様々な位置および様々なmdRNA配列にある様々な大きさのギャップを有するmdRNAが、ノックダウン活性を有する。
実施例7
置換されたMDRNAのノックダウン活性
ニックの入ったセンス鎖と、ロックされた核酸置換を有するセンス鎖と、を有するインフルエンザdsRNA RISC配列の活性を調べた。5’末端から数えて8〜14位にニックを有するセンス鎖を用いて、実施例3のインフルエンザRISC配列G1498を産生した。表4に示すように、各センス鎖を、1つまたは2つのロックされた核酸で置換した。Qnegおよびプラスミドが陰性対照であった。各mdRNAを5nMの濃度で検査した。使用したアンチセンス鎖は5’−CUCCGAAGAAAUAAGAUCCdTdT(配列番号8)であった。
置換されたMDRNAのノックダウン活性
ニックの入ったセンス鎖と、ロックされた核酸置換を有するセンス鎖と、を有するインフルエンザdsRNA RISC配列の活性を調べた。5’末端から数えて8〜14位にニックを有するセンス鎖を用いて、実施例3のインフルエンザRISC配列G1498を産生した。表4に示すように、各センス鎖を、1つまたは2つのロックされた核酸で置換した。Qnegおよびプラスミドが陰性対照であった。各mdRNAを5nMの濃度で検査した。使用したアンチセンス鎖は5’−CUCCGAAGAAAUAAGAUCCdTdT(配列番号8)であった。
実施例3の二重蛍光アッセイを用いて、ノックダウン活性を測定した。これらのデータは、ロックされた核酸置換の数を増やすことで、任意の数の位置にニックを有するmdRNAの活性を増加させる傾向が見られることを示している。ニックが11位にある場合、センス鎖当たり単一のロックされた核酸が最も活性が高いと思われる(図9を参照)。しかし、各センス鎖上に複数のロックされた核酸があると、任意の位置にニックを有するmdRNAを、単一置換を持つ最適なニックの位置(すなわち、11位)と同じだけ活性化する(図9)。よって、二重鎖安定化修飾を有するmdRNAは、ニックの位置に関わらず、実質的にmdRNAを活性化する。
実施例2のLacZダイサー基質mdRNA(配列番号3および4)においてロックされた核酸の置換が行われたときも、同様の結果が得られた。8〜14位でlacZダイサーにニックを入れ、ロックされた核酸A(LNA−A)を5’センス鎖の3位(5’末端から)にあるAで置換したことを除いて、ニックの入ったLacZダイサー分子の複製セットを作製した。図10から明白であるように、LNA−Aを含有するニックの入ったlacZダイサー分子のほとんどが、非置換lacZ dicerと同じ位のノックダウン活性の強度であった。
実施例7
インフルエンザウイルス力価のMDRNAノックダウン
野生型dsRNA(すなわちニックのない)と比較して、インフルエンザウイルスの力価の減少における、ダイサー基質でニックを入れたdsRNAの活性を調べた。インフルエンザのダイサー基質配列は(25/27)以下の通りである。
センス 5’−GGAUCUUAUUUCUUCGGAGACAAdTdG(配列番号62)
アンチセンス 5’−CAUUGUCUCCGAAGAAAUAAGAUCCUU(配列番号11)
mdRNA配列は、5’末端から数えて12、13、および14位の後にそれぞれニックの入ったセンス鎖を有し、2位のGはロックされた核酸Gで置換される。
インフルエンザウイルス力価のMDRNAノックダウン
野生型dsRNA(すなわちニックのない)と比較して、インフルエンザウイルスの力価の減少における、ダイサー基質でニックを入れたdsRNAの活性を調べた。インフルエンザのダイサー基質配列は(25/27)以下の通りである。
センス 5’−GGAUCUUAUUUCUUCGGAGACAAdTdG(配列番号62)
アンチセンス 5’−CAUUGUCUCCGAAGAAAUAAGAUCCUU(配列番号11)
mdRNA配列は、5’末端から数えて12、13、および14位の後にそれぞれニックの入ったセンス鎖を有し、2位のGはロックされた核酸Gで置換される。
ウイルス感染価アッセイのために、トランスフェクションの前日に、ベロ細胞を、6.5×104細胞/ウェルで、ウェル当たり500μlの10%FBS/DMEM培地に播種した。各dsRNAの100、10、1、0.1、および0.01nMストックの試料を、1.0μl(1mg/mlストック)のLipofectamine(登録商標)2000(Invitrogen,Carlsbad,CA)と複合させ、OPTIMEM150μl(総容積)(Gibco,Carlsbad,CA)中で室温で20分間培養した。OPTIMEMでベロ細胞を洗浄し、OPTIMEM中のトランスフェクション複合体150μlを、150μlのOPTIMEM培地を含む各ウェルに加えた。3つの同様のウェルを各条件について検査した。トランスフェクション条件を用いない追加の対照ウェルを調製した。トランスフェクションから3時間後、培地を除去した。各ウェルを0.3%BSAおよび10mM HEPES/PSを含有するPBS200μlで1回洗浄した。0.3%BSA/10mM HEPES/PSおよび4μg/mlのトリプシンを含有する感染培地200μl中で、各ウェル内の細胞を、感染多重度0.01でインフルエンザウイルスのWSN菌株に感染させた、プレートを37℃で1時間培養した。吸着しなかったウイルスを、200μlの感染培地で洗い流して廃棄し、0.3%BSA/10mM HEPES/PSおよび4μg/mlのトリプシンを含有する400μlのDMEMを各ウェルに加えた。プレートを37℃、5%CO2で48時培養してから、各ウェルからの上清50μlを、MDCK細胞内でTCID50アッセイ(50%組織培養感染量、WHOのプロトコル)を用いて二重検査を行い、スピアマン−カーバー法(Spearman and Karber)の式を用いて力価を推定した。結果は、これらのmdRNAが、10pMという低濃度においてでさえも、約50%〜60%のウイルス力価ノックダウンを示したことを表している(図11)。
野生型dsRNA(すなわち、ニックのない)と比較して、インフルエンザウイルス力価減少における、ダイサー基質でニックを入れたdsRNAの活性を調べるために生体内インフルエンザ感染マウスモデルも用いた。メスBALB/cマウス(グループ当たり5〜10匹のマウス、8〜10週齢)に、120nmol/kg/日のdsRNA(C12−norArg(NH3+Cl−)−C12/DSPE−PEG2000/DSPC/コレステロール中で30:1:20:49の比率で処方)を3日間連続で鼻腔内投与した後、インフルエンザ菌株PR8(20PFU/マウス)を鼻腔内暴露した。感染の2日後、各マウスから全肺を採取して、抗菌剤を含むPBS/0.3%BSA溶液に入れ、均質化してウイルスの力価を測定した(TCID50)。マウスは用量に十分な耐容性を示し、いずれの用量群においても体重の減少は2%未満であった。検査したmdRNAは、非修飾およびニックの入っていないG1498ダイサー基質と比較して、やや高めではないにしても、生体内で同様のウイルス減少を示した(図12を参照)。よって、mdRNAは、生体内で活性である。
実施例8
MDRNAがサイトカイン誘導に与える影響
mdRNA構造がサイトカインの生体内誘導に与える影響を調べた。メスのBALB/cマウス(7〜9週齢)に、dsRNA約50μM(C12−norArg(NH3+Cl−)−C12/DSPE−PEG2000/DSPC/コレステロール中で処方、比率30:1:20:49)または605nmol/kg/日のネイキッドdsRNAを3日間連続で鼻腔内投与した。最終用量が投与されてから約4時間後、マウスを屠殺して気管支肺胞洗浄液(BALF)を収集し、採血した血液をサイトカイン応答の評価のために血清にした。氷冷した血清中0.3%BSA(0.5mL)を用いて2回、全体で1mLで気管支洗浄を行った。BALFを回転させて、上清を収集し、サイトカイン分析まで冷凍した。安楽死の直後に、大動脈から血液を採取し、血清分離管に入れて、室温で少なくとも20分間凝固させた。試料を処理して血清にし、Millipore ULTRAFREE 0.22μm濾過管に分注して、12,000rpmで回転させてドライアイス上で冷凍し、分析まで−70℃で保管した。Bio−Plex(登録商標)アレイリーダー上でProcarta(登録商標)マウス10−Plex Cytokine Assay Kit(Panomics,Fremont,CA)を用いて、BALFおよび血漿のサイトカイン分析を行った。0日目の1回目の投薬前および3日目(安楽死の直前)に、体重を含む毒性パラメータも測定した。脾臓を採取して重さを計測した(最終体重に正規化した)。結果を表5に提供する。
MDRNAがサイトカイン誘導に与える影響
mdRNA構造がサイトカインの生体内誘導に与える影響を調べた。メスのBALB/cマウス(7〜9週齢)に、dsRNA約50μM(C12−norArg(NH3+Cl−)−C12/DSPE−PEG2000/DSPC/コレステロール中で処方、比率30:1:20:49)または605nmol/kg/日のネイキッドdsRNAを3日間連続で鼻腔内投与した。最終用量が投与されてから約4時間後、マウスを屠殺して気管支肺胞洗浄液(BALF)を収集し、採血した血液をサイトカイン応答の評価のために血清にした。氷冷した血清中0.3%BSA(0.5mL)を用いて2回、全体で1mLで気管支洗浄を行った。BALFを回転させて、上清を収集し、サイトカイン分析まで冷凍した。安楽死の直後に、大動脈から血液を採取し、血清分離管に入れて、室温で少なくとも20分間凝固させた。試料を処理して血清にし、Millipore ULTRAFREE 0.22μm濾過管に分注して、12,000rpmで回転させてドライアイス上で冷凍し、分析まで−70℃で保管した。Bio−Plex(登録商標)アレイリーダー上でProcarta(登録商標)マウス10−Plex Cytokine Assay Kit(Panomics,Fremont,CA)を用いて、BALFおよび血漿のサイトカイン分析を行った。0日目の1回目の投薬前および3日目(安楽死の直前)に、体重を含む毒性パラメータも測定した。脾臓を採取して重さを計測した(最終体重に正規化した)。結果を表5に提供する。
mdRNA(RISCまたはサイジングされたダイサー)は、完全な(すなわち、ニックの入っていない)親分子よりも少ないサイトカインを誘導した。サイトカイン誘導における低下はIL−12(p40)を見ると最も著しく、これは10のサイトカイン多重アッセイで一貫して最高の誘導レベルを保ったサイトカインである。mdRNAについては、IL−12(p40)における低下は25倍〜56倍の範囲である一方で、IL−6またはTNFαにおける誘導のいずれも、より程度の低いものであった(これらの2つのサイトカインにおける低下は2倍〜10倍の範囲)。したがって、非修飾dsRNAと比較してサイトカインの誘導が最小限に抑えられるという点において、mdRNA構造が生体内で有利に働くと思われる。
誘導における低減は顕著ではないものの、調製したmdRNAでも同様の結果が得られた。また、ロックされた核酸の存在または不在は、サイトカインの誘導に影響を与えなかった。これらの結果を表6に示す。
本明細書に挙げられる、特許、特許出願、雑誌の記事、ウェブページ、表、および優先権書類を含むすべての参考文献の教示は、参照することにより、それらの全体が本明細書に組み込まれる。上述の開示が、明白な理解の目的のために例として詳細に記載されているが、当業者には、制限するためではなく実例として示される添付の特許請求の範囲内で、特定の変更および修正が実行され得ることは明白である。このような文脈で、様々な出版物および他の参考文献が、前述の開示の中で説明を省くために列挙された。しかしながら、本明細書において考察される様々な出版物は、本出願の出願日よりも前のそれらの開示についてのみ組み込まれるのであって、発明者は従来の発明に基づくかかる開示に先行する権利を保持することに留意されたい。
Claims (25)
- 部分二重鎖リボ核酸(mdRNA)分子であって、配列番号1158、1159、1160、または1161に記載されるヒト赤芽球性白血病ウイルスの癌遺伝子相同体(ERBB)のmRNAに相補的であり、配列番号1162、1163、1164、1165、または1166から選択される少なくとも1つの他のヒトERBBファミリーのmRNAに、最大で3つのミスマッチを有して完全に相補的である15〜40ヌクレオチド長の第1の鎖と、前記第1の鎖の非重複領域にそれぞれが相補的である第2の鎖および第3の鎖と、を含み、前記第2の鎖および第3の鎖は、前記第1の鎖とアニーリングして最大10ヌクレオチド離間した少なくとも2つの二本鎖領域を形成することができ、それによって前記第2の鎖と前記第3の鎖との間にギャップが形成される、部分二重鎖リボ核酸(mdRNA)分子。
- 前記第1の鎖は15〜25ヌクレオチド長または26〜40ヌクレオチド長である、請求項1に記載のmdRNA分子。
- 前記ギャップはニックであるか、または前記ギャップは、前記第1の鎖にアニーリングすると前記第2および第3の鎖によって形成される前記二本鎖領域の間に位置する前記第1の鎖内に、少なくとも1つの不対ヌクレオチドを含む、請求項1に記載のmdRNA分子。
- 前記mdRNA分子の少なくとも1つのウリジンは、5−メチルウリジン、2−チオリボチミジン、または2’−O−メチル−5−メチルウリジンである、請求項1に記載のmdRNA分子。
- 前記mdRNA分子は、少なくとも1つのロックされた核酸(LNA)分子、デオキシヌクレオチド、Gクランプ、2’糖修飾、修飾されたヌクレオシド間結合、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載のmdRNA分子。
- 前記mdRNAは、前記ギャップの一部ではないか、または前記mdRNAの一端または両端に平滑末端を有する、少なくとも1つの3’末端上の1〜4ヌクレオチドのオーバーハングを含む、請求項1に記載のmdRNA分子。
- 前記第1の鎖は、配列番号1158、1162、および1163、または配列番号1158、1162、1163、および1164、または配列番号1158、1162、1163、1164、および1166、または配列番号77〜79、または配列番号1162、1163、および1166、または配列番号1164および1166、または配列番号1158および1164、または配列番号1158および1166、または配列番号1158〜1166に相補的である、請求項1に記載のmdRNA分子。
- mdRNA分子であって、配列番号1158、1159、1160、または1161に記載されるヒトERBBのmRNAに相補的であり、配列番号1162、1163、1164、1165、または1166から選択される少なくとも1つの他のヒトERBBファミリーのmRNAに、最大で3つのミスマッチを有して完全に相補的である15〜40ヌクレオチド長の第1の鎖と、前記第1の鎖の非重複領域にそれぞれが相補的である第2の鎖および第3の鎖と、を含み、前記第2の鎖および第3の鎖は、前記第1の鎖とアニーリングして最大10ヌクレオチド離間した少なくとも2つの二本鎖領域を形成することができ、それによって前記第2の鎖と前記第3の鎖との間にギャップが形成され、前記mdRNAの少なくとも1つのピリミジンは、式IまたはIIに従ったピリミジンヌクレオシドであり、
式中、
R1およびR2は、それぞれ独立して−H、−OH、−OCH3、−OCH2OCH2CH3、−OCH2CH2OCH3、ハロゲン、置換もしくは未置換のC1−C10アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ヒドロキシアルキル、カルボキシアルキル、アルキルスルホニルアミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルキル、ハロアルキル、トリフルオロメチル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、置換もしくは未置換のC2−C10アルケニル、置換もしくは未置換の−O−アリル、−O−CH2CH=CH2、−O−CH=CHCH3、置換もしくは未置換のC2−C10アルキニル、カルバモイル、カルバミル、カルボキシ、カルボニルアミノ、置換もしくは未置換のアリール、置換もしくは未置換のアラルキル、−NH2、−NO2、−C≡、またはヘテロシクロ基であり、
R3およびR4は、それぞれ独立してヒドロキシル、保護ヒドロキシル、リン酸塩、またはヌクレオシド間結合基であり、
R5およびR8は、それぞれ独立してOまたはSである、mdRNA分子。 - 前記第1の鎖は15〜25ヌクレオチド長または26〜40ヌクレオチド長である、請求項8に記載のmdRNA分子。
- 前記ギャップはニックであるか、または前記ギャップは、前記第1の鎖にアニーリングすると前記第2および第3の鎖によって形成される前記二本鎖領域の間に位置する前記第1の鎖内に、少なくとも1つの不対ヌクレオチドを含む、請求項8に記載のmdRNA分子。
- 少なくとも1つのヌクレオシドは式Iに従い、式中、R1はメチルであり、R2は−OHまたは−O−メチルである、請求項8に記載のmdRNA分子。
- 少なくとも1つのR2は、2’−O−(C1−C5)アルキル、2’−O−メチル、2’−OCH2OCH2CH3、2’−OCH2CH2OCH3、2’−O−アリル、およびフルオロから構成される群から選択される、請求項8に記載のmdRNA分子。
- 前記mdRNA分子の少なくとも1つのウリジンは、5−メチルウリジン、2−チオリボチミジン、または2’−O−メチル−5−メチルウリジンである、請求項8に記載のmdRNA分子。
- 前記mdRNA分子は、少なくとも8つのロックされた核酸(LNA)分子、デオキシヌクレオチド、Gクランプ、2’糖修飾、修飾されたヌクレオシド間結合、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項8に記載のmdRNA分子。
- 前記mdRNA分子は、前記ギャップの一部ではない少なくとも1つの3’末端上の1〜4ヌクレオチドのオーバーハングを含むか、または前記dsRNA分子は、前記mdRNA分子の一端もしくは両端に平滑末端を有する、請求項8に記載のmdRNA分子。
- 前記第1の鎖は、配列番号1158、1162、および1163、または配列番号1158、1162、1163、および1164、または配列番号1158、1162、1163、1164、および1166、または配列番号77〜79、または配列番号1162、1163、および1166、または配列番号1164および1166、または配列番号1158および1164、または配列番号1158および1166、または配列番号1158〜1166に相補的である、請求項8に記載のmdRNA分子。
- 配列番号1158、1159、1160、または1161に記載されるヒトERBBのmRNAに相補的であり、配列番号1162、1163、1164、1165、または1166から選択される少なくとも1つの他のヒトERBBファミリーのmRNAに、最大で3つのミスマッチを有して完全に相補的である第1の鎖と、前記第1の鎖の非重複領域にそれぞれが相補的である第2の鎖および第3の鎖と、を含み、前記第2の鎖および第3の鎖は、前記第1の鎖とアニーリングして最大10ヌクレオチド離間した少なくとも2つの二本鎖領域を形成することができ、それによって前記第2の鎖と前記第3の鎖との間にギャップが形成され、前記合わせた二本鎖領域は、合計で約15塩基対〜約40塩基対である、mdRNA分子。
- 前記第1の鎖は15〜25ヌクレオチド長または26〜40ヌクレオチド長である、請求項17に記載のmdRNA分子。
- 前記ギャップはニックであるか、または前記ギャップは、前記第1の鎖にアニーリングすると前記第2および第3の鎖によって形成される前記二本鎖領域の間に位置する前記第1の鎖内に、少なくとも1つの不対ヌクレオチドを含む、請求項17に記載のmdRNA分子。
- 前記mdRNA分子の少なくとも1つのウリジンは、5−メチルウリジン、2−チオリボチミジン、または2’−O−メチル−5−メチルウリジンである、請求項17に記載のmdRNA分子。
- 前記第1の鎖は、19〜23ヌクレオチド長であり、配列番号1167〜3164のうちのいずれか1つに記載されるヒトERBBファミリー核酸配列に相補的である、請求項1に記載のmdRNA分子。
- 前記第1の鎖は、25〜29ヌクレオチド長であり、配列番号1162〜3164のうちのいずれか1つに記載されるヒトERBBファミリー核酸配列に相補的である、請求項1に記載のmdRNA分子。
- 1つ以上のヒトERBBファミリー遺伝子の発現を低下させるための方法であって、請求項1〜22のうちのいずれか1項に記載のmdRNA分子を、1つ以上のERBBファミリー遺伝子を発現する細胞に投与するステップを含み、前記mdRNA分子は、1つ以上のERBBファミリーのmRNAに特異的に結合する能力を持ち、それによって、前記細胞中の1つ以上のERBBファミリー遺伝子の発現を低下させる、方法。
- 前記細胞はヒトである、請求項23に記載の方法。
- 過剰増殖性または炎症性疾患の治療において使用するための薬物を製造するための、先行する請求項のうちのいずれか1項に定義されるmdRNAの使用。
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