JP2010518998A - 医学的または外科的用途のためのインプラント材料 - Google Patents

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Abstract

インプラント材料の物理化学的特性を変更して、適切なインプラントまたは生体適合性特性にするために、それらの表面上に特定の化学基を含む医学的または外科的用途のためのインプラント材料。

Description

本発明は、インプラント材料の物理化学的特性を変更して、適切なインプラントまたは生体適合性特性にする特定の化学基を含む医学的または外科的用途のための前記インプラント材料に関する。より詳細には、本発明は、ポリマー性炭水化物を含むインプラント材料、これらのインプラント材料を調製するための方法、ならびにこれらの方法によって生成される材料の使用、およびこれらの材料を含む製品に関する。
器官または組織の不全は、重大な健康上の問題である。組織工事(tissue engineering)は、異なる供給源(即ち、自家(autogenic)、同種、もしくは異種細胞)由来の機能的に健康な細胞、および/または細胞外の天然もしくは合成ポリマーを使用することによって、組織機能を回復する能力を提示する。
異なる様々な特性を伴う多くの合成ポリマー材料が、補綴、インプラントおよび組織工事のための足場のような医学および化粧品用途において、現在使用されている。これらの合成ポリマー材料は、一般的に、2つの主なグループ、一時的/生体吸収性および長期インプラント/生体非吸収性に分けることができる。生体吸収性合成材料の例として、ポリl−乳酸(PLLA)およびポリl−グリコール酸(PLGA)を含むポリマーが挙げられる。長期インプラント可能材料および非生体非吸収性材料の例には、血管移植片ならびに組織修復シートおよびパッチを含む広範な医学的移植可能物品において使用されているポリ(テトラフルオロエチレン)PTFEがある。
しかし、これらの合成材料はまた、インビボで炎症、感染、無菌性弛み、局所組織廃物(local tissue waste)、およびインプラントカプセル化のような異物反応、ならびに血栓症および塞栓形成をもたらすポリマーと細胞との間の不適切な相互作用のような制限および欠点を有する。それ故、有望なポリマーの成功は、部分的に、その表面における目的の細胞の付着および増殖に依存する。表面化学は、材料に対する細胞応答を媒介し、そして細胞接着、増殖、移動、および表面に対する機能に影響を及ぼす。
動脈血管再構築の分野では、機能的な小直径人工移植片(内径<6mm)の必要性が増加している。例えば、患者における血管系の悪条件のため、自家置換(autologous replacement)の血管が利用可能でない場合、外科医は、インプラント、合成ポリマーに基づく血管以外の代替物を有さない。インプラント後、これらの血管に関する初期の主要な問題は、比較的低い流動条件下での血液凝固および血小板沈着によるほぼ即時的な閉塞である。表面誘導性血栓症をもたらす相互作用が、血液−生体材料界面で生じるため、表面の修飾は、血液適合性を増加するための方法である。異なる修飾のうち、ヘパリンのような多糖類による修飾もまた、人工臓器に対する血栓形成を最小限にするために広範に使用されている。しかし、問題は、ヘパリンが表面に直接結合する場合、その活性が有意に減少することである。現在まで、正体適合性の最も首尾よいタイプは、端末点付着ヘパリン表面である。
別の魅力的な表面修飾は、血漿タンパク質吸着、血小板接着および血栓形成を防止することができる親水基を導入することである。問題は、移植血管のような長期間デバイスのために表面上にそれらを留めることである。特に、ポリアクリルアミド(PAAm);ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)(PDMAAm);ポリ(エチレングリコール)(PEG)、エチレン−ビニルアルコールコポリマー(EVA)、およびポリ(2ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)のような水溶性ポリマーが、タンパク質吸着を防止するために固体表面上にグラフト化されている。
材料を修飾して、その血液適合性を改善するための他の発案は、生物学的に不活な表面を模倣することを扱うべきである。血管では、この不活表面は、内皮細胞の単分子層から構成される。発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)およびポリエステルのような移植血管として使用される現在の材料は、ヒト内皮細胞の接着または増殖を促進しない。従って、表面修飾は、フィブリノーゲン、フィブロネクチンおよびvon Willbrand因子のような接着タンパク質の活性部位の最小フラグメントであるフィブリノーゲン、フィブロネクチンまたは固定化されたRGD(Arg−Gly−Asp)のいずれかによって、行われている。内皮細胞を、PTFE管ならびにヘパリンによる表面修飾に播種するための広範な研究および治験が行われている。但し、問題は、細胞を長い期間、表面上に保持することである。
しかし、上記のこれらの合成材料、例えば、PTFEおよびポリエステルはまた、制限された範囲の物理的および生化学的特性を含む他の制限および欠点を有する。それ故、特定の外科的用途の使用により適した代替的インプラント材料を探求する必要性が依然としてある。
何人かの研究者は、セルロースおよびその誘導体)の組織生体適合性を研究し、そして材料のいくつかの特定の用途について調べている。具体的には、微生物によって産生されるセルロースが、組織工事における使用について調べられている。微生物由来のセルロースは、高結晶性および高い一軸配向性セルロースから構成される極めて精密なリボン形状の繊維が、相互に複雑にもつれているネットワーク構造を有し、そしてこのネットワーク構造は、その内部空洞に大量の液体を含有する。セルロースは、高い結晶化度を有する多くのリボン形状の繊維から構成されるため、セルロースは、湿潤状態においてさえも張力のような外力に抵抗性であり得る。微生物セルロースは、植物を起源とするセルロースと構造的に異なるが、しかし、上記の構造のような高次構造は微生物セルロースの特徴であるものの、植物起源のセルロースでは認められない。従って、微生物セルロースはゼラチン状であるが、それは高い強度を有する。
特許文献1は、組織工事のための足場の調製のための再生セルロース(RC)および酸化再生セルロース(ORC)の使用を説明している。最初に、セルロースを溶媒系に溶解し、次いで、セルロースを所望される足場構造に再生することによって、RCおよびORC混成物が生成される。多孔性足場を生成するために、ポロゲンが溶媒系に導入されて、足場構造に孔を生成する。次いで、足場を酸化して、その表面上にカルボキシル、アルデヒド、および/またはケトン官能基を導入してもよい。これらの官能基は、細胞付着または細胞接着および以後の増殖を誘導するためのさらなる化学的修飾のための部位としての役割を果たす。
非特許文献1は、初代マウス肝細胞の合成細胞外マトリックスを調製するためのキシログルカン(XG)で修飾されたカルシウム−アルギン酸ポリ炭水化物カプセルについて説明している。増強された肝臓特異的機能は、XGのガラクトース部分と肝細胞のアシアロ糖タンパク質受容体との間の特異的相互作用に帰する。
非特許文献2は、生体分子を使用する生分解性材料の表面修飾について考察している概説論文である。生分解性足場は、細胞治療の使用を容易にするのに重要であるといわれている。特に、生体適合性に関する足場材料の選択が考察されている。生体模倣足場の形成、足場の構成および微細構造を制御することが可能な新たな組み立て技術、ならびに注入可能かつインサイチュで架橋される足場の生成が、概説されている。適切に細胞を指向する能力を伴う生分解性足場を提供するための課題が残されており、それらが概説されている。
非特許文献3は、セルロースの表面修飾のための新たな生体材料および新規の方法を提供するための木部繊維の修飾を説明している木部繊維技術の分野における概説論文である。キシログルカンとセルロースとの間の高親和性相互作用、多糖−オリゴ糖カップリング反応および従来の炭水化物合成を触媒するためのキシログルカンエンドトランスグリコシラーゼの独特な特性を組み合わせることからなる、官能基の木材パルプへの付着のための新たな系が提示されている。
しかし、良好な生体適合性を伴う、特に、生理活性因子を含む表面を有するインプラント材料を提供するための課題が残されている。
特許文献1に従って生成される再生セルロース(RC)および酸化再生セルロース(ORC)の使用は、様々な問題を提起している。例えば、そのような処置は、セルロース材料に対する構造変化によって、複雑にされ得るため、セルロースを溶媒で処置することは所望され得ない。これらの構造変化は、縮小および変更された形態、ならびにより脆性な材料をもたらし得る。
現在、上記で示されるように、インプラント材料は、それらの表面化学のようなそれらの物理および生化学的特性に関連する問題によって妨げられている。明らかに、現在、それらが医学的用途において首尾よく使用され得るように、新たなインプラント材料を開発し、そしてそれらの特性を改善する必要性が、長い間検討されてきたが、未だ満たされていない。
US 6 800 753
Seo S et al.("Alginate microcapsules prepared with xyloglucan as a synthetic extracellular matrix for hepatocyte attachment", Biomaterials vol. 26 no. 17 (2005), pages 3607-3615) Yang Y et al. ("Biodegradable scaffolds−delivery systems for cell therapies", Expert Opinion on Biological Therapy vol. 6, no.5 (2006), pages 485-498) Zhou Q et al. ("Xyloglucan and xyloglucan endotransglycosylases (XET): Tools for ex vivo cellulose surface modification", Biocatalysis and Biotransformation, vol 24, no. 1-2 (2006), pages 107-120)
従って、本発明の主な目的は、生体との極めて良好な適合性を伴うインプラント材料の調製のための改善された方法を提供すること、およびこの方法によって生成されるインプラント材料を提供することである。
本発明のさらなる目的は、機械的強度および引張強度、伸長ならびに縫合能(sutureability)のような所望の機械的特性を伴うインプラント材料を提供することである。
本発明の別の目的は、細胞に対する付着部位または細胞接着、増殖、移動および機能に影響を及ぼす他の因子を備えたインプラント材料を提供することである。
本発明のさらなる目的は、インビボでのインプラントに適切なインプラント材料を提供することである。
上記の目的を達成するための方法および手段、ならびにその他については、以下に記載の本発明の説明から明らかになろう。
本発明の目的を満たすために、本発明者らは、化学基を含む炭水化物リンカー分子(CLM)をポリマー性炭水化物材料(PCM)に結合することにより、PCMを修飾することを含む、インプラント材料を調製するための新規の方法を提供し、ここで、前記化学基は、改善された生体適合性をPCMに与える。
化学基によって修飾されたPCMを含むインプラント材料を調製するための本発明の方法の主な利点の1つは、PCMの化学的処置が回避されることである。そのような処置は、PCMの構造または配向ならびに他の物理化学的特性を変更することができる。従って、本発明の方法は、それがなければ、一般にPCMの直接的な化学的修飾によって遭遇する繊維構造および性能の消失を回避する。
例えば、バクテリアセルロースのようなハイドロゲルの化学的修飾は、有機溶媒の使用による構造変化によって複雑にされる。バクテリアセルロースの表面修飾のための水性化学酵素技術を使用することによって、本発明は、これらの構造変化を回避する。
本発明のさらなる態様では、本発明の方法に従って調製されるインプラント材料、組織工事のための足場の製造のためのインプラント材料の使用、本発明に従って調製される材料を含む組織工事のための足場、ならびにインビボでの組織置換および/または再生の方法が提供される。
特定の実施形態に従えば、本発明は、本発明に従って調製されるインプラント材料を含む人工血管を包含する。本発明の人工血管は、高い透過耐性、高い破裂圧および良好な生体適合性によって特徴付けられる。
とりわけ、図面を参照して、本発明を以下により詳細に説明する。
図1は、修飾されていないポリマー性炭水化物材料(PCM)(1)、および修飾されたPCM(6)を例示する。修飾されたPCMは、炭水化物リンカー分子(CLM)(2)を含み、前記CLM(2)は、可溶性ポリマー性炭水化物(SCP)の少なくとも一部(3)、および化学基(5)を含み、そして場合により、化学基を含む炭水化物ポリマーフラグメント(CPF)(4)と複合体を形成する。 図2は、酵素およびCPF(4)を使用するCLM(2)の調製を例示する。SCP(8)は、酵素(7)、および化学基(5)を含むCPF(4)と接触される。酵素(7)は、SCPを切断し、そして化学基を伴うCPFを組み入れ、生成物CLM(2)を生じる。 図3は、Direct Red28(Congo Red)で染色したバクテリアセルロース▲およびコットンリンター●のLangmuir吸着等温泉を例示する(A)。図Bの線は、線形回帰の結果を示す。 図4は、キシログルカン●およびキシログルカン−GRGDS▲が吸着したバクテリアセルロースのLangmuir吸着等温泉を例示する(A)。図Bの線は、線形回帰の結果を示す。 図5は、キシログルカン●およびキシログルカン−GRGDS▲が吸着したコットンリンターのLangmuir吸着等温泉を例示する(A)。図Bの線は、線形回帰の結果を示す。 図6は、セルロース基質の比表面積に応じた、キシログルカン●およびキシログルカン−GRGDS▲の吸着量を示す。線は、線形回帰の結果を示す。 図7は、バクテリアセルロース、コットンリンターおよびリヨセルの結晶化度を示す。 図8は、GRGDSキシログルカンオリゴ糖(XGO−GRGDS)の化学構造を示す。 図9は、セルロースに対する細胞培養培地のQCM吸着等温泉(−)、セルロースに対するキシログルカンの吸着(・・・)、それに続く細胞培養培地を例示する。セルロース(−・・)に対するキシログルカン−GRGDS吸着、それに続く細胞培養培地。矢印は水洗浄を表す。 図10は、修飾されていないバクテリアセルロース(A)、キシログルカン修飾バクテリアセルロース(B)およびキシログルカン−GRGDS修飾バクテリアセルロース(C)上のECの光学顕微鏡画像を示す。 図11は、非処置バクテリアセルロース(A)、アセトンにおける処置後のバクテリアセルロース(B)およびキシログルカン−GRGDSによって修飾されたバクテリアセルロース(C)のSEM画像を示す。
本発明は、インプラント用ポリマー性炭水化物材料(PCM)の物理化学的特性を変更するためにそれらの表面上に特定の化学基を含む医学的または外科的用途のための前記材料の開発に関する。特に、前記化学基は、例えば、細胞に対する付着部位または細胞接着、増殖、移動、および表面上の機能に影響を及ぼす他の因子を提供することによって、改善された生体適合性をPCMに与える。
さらに加えて、本発明は、本発明のインプラント材料を調製するための方法、ならびにこれらの方法によって生成される材料、およびこれらの材料を含む製品の使用に関する。
本明細書では、他で特定しない限り、単数形(「a」または「an」)は、「1つ以上」を意味する。
本発明に関して、用語「生体適合性」は、材料の特性、即ち、生体と適合可能であるべき材料の特性に関する。言い換えれば、生命と調和すること、生物学的機能に毒性または有害な影響を及ぼさないことである。材料を身体の一部に接触させる場合、例えば、有害作用が誘導されるならば、材料は生体との不良な適合性を有する。この有害作用は、炎症、感染、無菌性弛み、局所組織廃物、およびインプラントカプセル化のような異物反応、ならびに血栓症および塞栓形成をもたらすことがある。対照的に、そのような有害作用が生じていなければ、生体との良好な適合性が認められる。さらに加えて、改善された生体適合性は、材料と生体との改善された適合性を意味する。生体適合性の例には、血液適合性、即ち、血液と適合性であるべき材料の特性がある。
インプラント材料を調製するための方法
本発明の第1の態様に従えば、化学基を含む炭水化物リンカー分子(CLM)をポリマー性炭水化物材料(PCM)に結合することにより、PCMを修飾することによって、インプラント材料を調製するための方法が提供され、ここで、前記化学基は、改善された生体適合性をPCMに与える。
修飾されていないPCM(1)、ならびに炭水化物リンカー分子(CLM)(2)(前記CLM(2)は、SCPの少なくとも一部(3)、および化学基(5)を含み、そして場合により、化学基を含む炭水化物ポリマーフラグメント(CPF)(4)と複合体を形成する)を示す本方法の実施形態を、図1に例示する。CLMはPCMに結合することが可能であるため、PCMとCLMとを接触させる場合、結合が生じる。
本発明の実施形態では、方法は次の工程を含む:(a)化学基を含む炭水化物ポリマーフラグメント(CPF)を提供する工程と、(b)化学基を含む前記CPF、および可溶性ポリマー性炭水化物(SCP)からなる複合体の形成をもたらす条件下で、化学基を含む前記CPFを、SCPに接触させる工程であって、前記CPFおよびSCPは、一緒になって炭水化物リンカー分子(CLM)を形成する工程と、(c)複合体がPCMに結合する条件下で、前記複合体と、修飾しようとするPCMとを接触させる工程。
好適な実施形態では、化学基を含むCLMをPCMに接触および結合させる工程は、水性条件下で実施される。これは、CLMをPCMに接触および結合させる工程中に、PCMの形態学の変化を生じないという利点を生じる。
化学基を含むCLMを調製するプロセス、即ち、前記CLMおよび前記化学基を含む複合体を調製するプロセスは、PCMとは個別に実施される。それによって、化学基を含むCLMを調製するプロセスは、大規模化することができ、そしていくつかの工程および厳しい条件を含み得る。
「PCM」と略称される用語「ポリマー性炭水化物材料」は、全体的または部分的に1つ以上の単糖類の反復単位からできている水不溶性のポリマー性炭水化物材料および/または水溶性ポリマー性炭水化物材料を含む材料に関する。そのようなPCMは、しばしば、2つ以上の異なるタイプのポリマー性炭水化物または炭水化物ポリマーおよびタンパク質のような別のポリマーとの混成物である。
本発明に従うPCMは、インプラント材料、例えば、組織工事のための足場の主要成分としての使用に適切な任意のポリマー性炭水化物材料であってもよい。本発明において使用することができる、異なるPCMについては、例えば、WO 03/033 813に記載されている。
1つの特定の実施形態では、PCMは、セルロース材料の形態であり、即ち、セルロースを含む。本発明に関して、セルロースは、例えばアマ、アサもしくは穀物のような一年生植物から抽出してもよく、または例えば、ワタ、ポプラ、カバ、ヤナギ、ユーカリ、カラマツ、マツもしくはトウヒのような多年生植物から抽出してもよい。適切なセルロース材料の例として、精製されたワタ、コットンリンター、α−セルロース、木材パルプ、精製された木材パルプ、粉末セルロース、結晶セルロース、および/または他のポリマーに修飾されたセルロースが挙げられる。
植物セルロースと比較して異なる特性を有するセルロースの別の供給源は、微生物由来のセルロースである。微生物由来のセルロースは、生体材料として使用するのに興味深いものであることが示されている。所定の用途のためにそれを異なる形状に成形することができること、ならびにその生体適合性および高純度が主な理由である。このセルロースは、菌体外多糖であり、そしてアセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)を培養することによって、かなり安価に産生される。植物セルロースと比較すると、セルロースは、その純粋な形態で押し出され、そして他のいずれのポリマーまたはタンパク質とも会合しない。バクテリアセルロースは、水酸化ナトリウムで効果的に精製することができ、血液に接触するインプラントにためのFDAに関するエンドトキシン値、即ち、1デバイスあたり<20EUを達成する。バクテリアセルロースは、99%の水を含有し、そして定義によるものではないが、ハイドロゲルとしてみなすことができる。その低い固体含有量にもかかわらず、ナノセルロースフィブリルの分岐ネットワークは、大きな機械的構造を提供する。
用語「微生物由来のセルロース」は、上記の細菌のような微生物によって産生されるセルロースに関する。本発明の1つの好適な実施形態では、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)種のようなセルロース合成細菌の培養を使用する。
(SCP)と略称される用語「可溶性炭水化物ポリマー」は、水性または有機溶媒に溶解することができる1つ以上の異なる単糖類またはそれらの誘導体を含むポリマーに関する。例として、ヘミセルロース(β(1−4)結合グルコース単位、即ち、セルロースのみからは構成されない炭水化物ポリマー)、ペクチン(ポリウロン酸およびエステル)、およびデンプン(α(1−6)側鎖分岐を伴うまたは伴わないα(1−4)結合ポリグルコース)として分類される多糖類が挙げられる。それら自体、フコースおよびアラビノースのような他の糖類でさらに置換することができるα(1−6)キシロース残基でデコレートされたβ(1−4)結合ポリグルコース骨格から構成される多糖であるキシログルカンは、そのようなSCP、具体的には、ヘミセルロースの例である。好適な実施形態では、SCPは、例えば、1つ以上の水素結合、イオン相互作用、1つ以上の共有結合、ファン・デル・ワールス力またはこれらの任意の組み合わせを介して、PCMに結合することが可能である。本発明の実施形態では、SCPは、下記の説明に従うCPFであってもよい。好適な実施形態では、SCPは、キシログルカン(XG)から誘導される。
「キシログルカンから誘導される」とは、それら自体、フコースおよびアラビノースのような他の糖類でさらに置換することができるα(1−6)キシロース残基でデコレートされたβ(1−4)結合ポリグルコース骨格から構成される多糖、およびさらに化学的に置換され、そして修飾された変種、ならびにそれらのフラグメントを意味する。
「CPF」と略称される用語「炭水化物ポリマーフラグメント」は、酵素的または化学的に調製されるSCPのフラグメントであり得る分子に関連する。そのようなフラグメントの例は、前記SCPの反復単位の任意のメンバーを含む。
それ故、適切なフラグメントは、2〜10、4〜10、3〜100、11〜15、20〜25、26〜40、41〜60、61〜100、101〜200、201〜300、301〜400、401〜500、501〜1000、1001〜2000、2001〜3000、3001〜4000または4001〜5000単糖単位のようなポリマー骨格において、2〜約5000単糖単位を含有してもよい。CPFは、異なる長さおよび組成の側鎖をさらに含み得る。具体例として、キシログルコ−オリゴ糖(XGO)またはそれらのフラグメント、あるいは1つ以上のフコシル残基もしくは他の単糖類でさらに修飾されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
XGOは、一般に、Fry et al. (1993) Physiologia Plantarum, 89, 1-3において概説されている命名法に従って命名され、ここで、とりわけ、Gは、非置換型β−グルコピラノシル残基を表し、Xは、キシロピラノシル−α(1−6)グルコピラノシル単位を表し、Lは、ガラクトピラノシル−β(1−2)−キシロピラノシル−α(1−6)グルコシル単位を表し、Fは、フコピラノシル−α(1−2)−ガラクトピラノシル−β(1−2)−キシロピラノシル−α(1−6)−グルコシル単位を表す。これらの様々な単位は、グルコピラノシル単位間のβ(1−4)結合を介して接続して、β(1−4)−グルカン多糖骨格を形成してもよい。この命名法を使用して、タマリンドキシログルカンのエンドグルカナーゼ消化後に一般に単離されるXGOは、XXXG、XLXG、25XXLG、およびXLLGである。これらのオリゴ糖の還元末端のグルコース(G)が還元型のアルジトール形態である場合、この単位は、「Gol」によって表される。それ故、例えば、タマリンドキシログルカン由来の上記のオリゴ糖の還元型の(アルジトール)誘導体は、XXXGol、XLXGol、XXLGol、およびXLLGolと称される。
好ましくは、CPFは、キシログルカンから誘導され、そして4〜10ポリマー骨格単糖単位を含む3〜100単位を含有してもよい。
「CLM」と称される用語「炭水化物リンカー分子」は、上記の説明に従うSCPの少なくとも一部および化学基を含有する分子または複合体に関する。CLMは、例えば、1つ以上の水素結合、イオン相互作用、1つ以上の共有の5つの結合、ファン・デル・ワールス力またはこれらの任意の組み合わせを介して、PCMに結合することが可能である。
CLMは、有機もしくは化学合成によっておよび/または所定の酵素の触媒活性を使用することによって、調製してもよい。
本発明の実施形態では、CLMは、WO 2004/094646 A1に記載の方法を使用して、調製してもよい。例えば、化学基を含むCLMは、次の工程を含む方法によって調製することができる:キシログルカンポリマーからキシログルカンフラグメントを調製する工程と、1つ以上の化学基をキシログルカンフラグメントの還元末端および/または側鎖に結合させる工程であって、それによって、PCMへの結合に有用な化学基を含むCLMが生成される工程。
酵素およびCPFを使用してCLMを調製する実施形態を、図2に例示する。SCP(8)は、酵素(7)、および化学基(5)を含むCPF(4)と接触される。本発明の実施形態では、酵素(7)は、SCPを切断し、そしてその代わりに化学基を伴うCPFを組み入れ、生成物CLM(2)を生じる。
CLMは、1つ以上の化学基を含み得る。
本発明の実施形態では、CLMは、生来の、または化学的に修飾された単糖またはオリゴ糖を、オリゴ糖または多糖類の末端に転移することが可能な酵素を使用して、調製してもよい。そのような酵素として、グリコシル転移活性が高いが、加水分解活性が低い酵素、生得的に高いグリコシル転移活性を伴うグルコシルヒドロラーゼ、それらのグリコシル転移活性を増強するために操作されている酵素、ならびに基質としてヌクレオチド糖を使用するグリコシルトランスフェラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明に従って使用し得る、異なる酵素およびそれらの特性ならびに前記酵素を入手する方法については、WO 03033813に詳細に記載されている。
本発明の好適な実施形態では、酵素はキシログルカンエンドトランスグリコシラーゼ(XET、EC2.4.1.207)である。
天然では、XET酵素のようなグリコシル転移酵素は、植物生体においてインビボで機能し、そのため、酵素は、水性環境下で作用することが明らかに可能である。それ故、本発明に従う方法は、水溶液中で行ってもよく、またはそれは、緩衝液および/または湿潤剤および/または安定剤および/またはポリマーおよび/またはDMSOのような水分活性を減少する有機成分のような所定の成分の存在下、水中で行ってもよい。これらの成分のさらに詳細については、WO 03/033 813を参照のこと。
本発明の特定の実施形態に従えば、まず、XET酵素を使用して、化学的に修飾されたXGOを溶液中のキシログルカン(XG)にカップリングさせ、続いて、セルロース材料上に修飾されたXGを収着させることによって、キシログルカンを本来的に含有しないセルロース材料に、新たな化学基を付加することができる。
本発明に関して、用語「化学基」は、PCMの修飾に潜在的に興味深い任意の化学基に関する。修飾は、PCMの機能的特性を変更することとして定義される。PCMの機能的特性を変更する能力は、この意味において、化学基に固有である。本発明に従えば、修飾は、改善された生体適合性をPCMに与える。従って、化学基は、前記PCMの物理化学的特性を変更し、それをより生体適合性にする。
生体適合性は、生体と適合可能であるべき材料の特性に関する。材料の生体適合性を改善する1つの方法は、材料と接触または相互作用する細胞の接着、発達、移動、増殖、分化、形状、極性、および/または代謝機能に影響を及ぼすことである。材料の生体適合性を改善する1つの特定の方法は、材料と接触する血液の凝固を誘導する材料の傾向を減少することである。そのような抗凝固剤特性は、人工血管において使用される材料に特に有用である。
PCMの物理化学的特性を変更して、それをより生体適合性にする本発明の化学基に含まれる要素として、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:抗凝固剤因子、ECM接着分子、増殖因子、細胞接着分子、および接着ペプチドフラグメント、ならびに細胞培養基質および細胞栄養物。この要素の列挙によってすべてが網羅されているわけではなく、そしてPCMの物理化学的特性を変更して、それをより生体適合性にする他の適切な要素も本発明において使用し得ることが、当業者には明らかであろう。
本発明において、用語「抗凝固因子」は、血液が凝固する傾向を減少する分子に関する。本発明による使用のためのそのような分子の好適な例には、ヘパリン、低分子量ヘパリンならびにフォンダパリナックスおよびイドラパリナックスのような第Xa因子の五糖インヒビターがある。
本発明に関連して、用語「ECM接着分子」は、細胞外マトリックス(ECM)を構成する細胞外巨大分子に関する。これらの巨大分子、主にタンパク質および多糖類は、局所的に分泌され、そしてほとんどの組織の細胞外空間において組織化された3D網に集成する。ECM分子として、グリコサミノグリカン、ならびにプロテオグリカン、例えば、コンドロイチン硫酸、フィブロネクチン、ヘパリン硫酸、ヒアルロン、デルマタン硫酸、ケラチン硫酸、ラミニン、コラーゲン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、およびエラスチンが挙げられる。細胞外マトリックスは、細胞内細胞骨格、細胞分化ならびに細胞および組織の空間的構成の組織化を調節する。事実、ECMは、細胞の発達、移動、増殖、分化、形状、極性および代謝機能に影響を及ぼすことによって、それに接触する細胞の挙動を調節するのに重要な役割を果たす。
本発明に関連して、用語「増殖因子」は、細胞増殖を引き起こす生物学的に活性なポリペプチドに関する。これらは、上皮増殖因子、トランスフォーミング増殖因子、神経成長因子、酸性および塩基性繊維芽細胞増殖因子および血管新生因子、血小板由来増殖因子、インスリンならびにソマトメジンを含むインスリン様増殖因子、粘液腫およびワクシニアウイルス誘導性増殖因子を含むが、それらに限定されない。
本発明に関連して、用語「細胞接着分子」は、細胞結合配列を含有する細胞接着分子に関する。細胞接着分子の例として、インテグリン、カドヘリン、セクレチン、ならびにVCAM、ICAM、PECAM、およびNCAMのような免疫グロブリンスーパーファミリーの接着分子が挙げられる。
用語「ECM接着分子」、「増殖因子、または「細胞接着分子」は、任意の活性なアナログ、活性なフラグメント、またはそれらの活性な誘導体を含む。
本発明に関連して、用語「接着ペプチドフラグメント」は、細胞に対する付着部位または細胞接着、増殖、移動、および表面における機能に影響を及ぼす他の因子を提供するペプチド配列、例えば、細胞付着効率を改善するペプチド配列に関する。
いくつかのそのような接着ペプチドフラグメントは、当該技術分野において公知である。特定のペプチドフラグメントは、標準的な技術に従って、その結合能または接着能について試験することができる。そのようなペプチド配列の例として次のものが挙げられるが、これらに限定されない:RGD−含有ペプチド配列、YIGSR−含有ペプチド配列、および/またはIKVAV−含有ペプチド配列。
Arg−Gly−Asp(RGD)−含有ペプチド配列は、細胞認識モチーフとして、広範に認識される。RGDペプチドは、細胞接着を効率的に誘発するだけではなく、所定の細胞系統に選択的に扱い、そして特定の細胞応答を引き出すために使用することができる。本発明において使用することができる、異なるRGD含有ペプチドおよびそこでの特定の特性についてのさらなる詳細は、Hersel et al, Biomaterials 24 (2003) 4385-4415に記載されている。
本発明において使用し得るRGD−含有ペプチド配列の例として、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:RGD、RGDS、GRGDS、GRGD、YRGDS、YRGDG、YGRGD、GRGDSP、GRGDSG、GRGDSY、GRGDSPK、CGRGDSY、GCGYGRGDSPG、およびRGDSPASSKP。
本発明の1つの好適な実施形態では、ペプチド配列は、Gly−Arg−Gly−Asp−Ser(GRGDS)である。
Tyr−Ile−Gly−Ser−Arg(YIGSR)−含有ペプチド配列は、ラミニンのB1鎖において見出され、上皮細胞付着を促進する(Graf et al., Biochemistry, 26, pp. 6896-900 (1987))。
Ile−Lys−Val−Ala−Val(IKVAV)−含有ペプチド配列は、ラミニンのA鎖において見出され、そして神経突起伸長を促進することが報告されている(Tashiro et al., J. Biol. Chem., 264, pp. 16174-182 (1989。
本発明の化学基は、反復ペプチド配列(ペプチドモノマー)を含み得る。反復ペプチド配列は、単一の反復ペプチドモノマーからなるホモポリマーであってもよく、あるいは2つ以上の異なる反復ペプチドモノマーまたはサブユニットからなるヘテロポリマーであってもよい。一般に、化学基は、2〜100のペプチドモノマー、通常、2〜50、好ましくは、3〜15からなり得る。各ペプチドモノマーは、2〜40アミノ酸残基の長さ、通常、2〜30、好ましくは、2〜10の範囲であり得る。
当業者であれば、ペプチドモノマーは、化学的に合成されていてもよく、または組み換え遺伝学によって産生されていてもよいことを認識するであろう。同様に、反復ペプチド配列を含む化学基は、ペプチドモノマーを一緒に化学的に連結することによって得てもよく、あるいはそれらを、組み換え的に発現させることもできる。
本発明の1つの特定の実施形態では、本発明の化学基は、RGD−含有ペプチド配列の反復ペプチド配列を含む。
組織工事のための足場
本発明に従って調製されるインプラント材料は、組織工事のための足場の製造のために使用することができる。本発明のインプラント材料の利点の1つは、それが改善された生体適合性を足場に与える化学基を含むことである。
本発明に関連する用語「組織工事のための足場」は、組織置換物またはインプラント、例えば、(損傷した)組織の機能的置換に関する。
本発明は、ヒトおよび獣医学ならびに美容外科手術における広範な特定の用途を提供し、そして組織工事のための先に記載の足場の任意およびすべての適応症、ならびに当該技術分野において文献的に未だ開示されていないが、当業者によって容易に確認することができる他の目的のために、使用し得る。
本発明に従うインプラント材料の特定の用途の例として、次のものが挙げられるが、これらに限定されない:血管(即ち、人工血管)、リンパ管、尿管(uteter)、気管、消化管、皮膚、口腔、食道、腹壁、尿道、ならびに歯周(peridontal)組織、軟骨組織、および皮下組織のための置換材料または組織インプラント。さらなる用途は、微小神経縫合の保護カバー、および培養皮膚キャリアである。
本発明の足場は、そのそれぞれの用途について特異的に形成される。可能な異なる形状として、中空管、細長片、円筒、棒および薄層が挙げられるが、これらに限定されない。
所定の実施形態に従えば、微生物由来のセルロースは、本発明の足場におけるPCMとして使用される。微生物セルロースは、これに関して多くの有利な利点を有し、例えば、それは、非常に優れた形状保持を伴う様々な形状またはサイズで合成することができる。微生物セルロースのこれらの特性は、ほとんどが、その独特な薄層ミクロフィブリル3次元構造に帰する。不織様式で配置されたミクロフィブリルは、ワタ繊維のような植物セルロースより約200倍細く、1単位容積あたり非常に大きな表面積を生じる。形成された微生物セルロース材料を生成するためのプロセスについては、例えば、JP 8 126 697 A2、EP 186 495、JP 3 165 774 A1およびJP 63 205 109 A1に記載されている。さらに加えて、血管置換物としての使用のための中空管微生物セルロースの生成については、JP 3 272 772 A2およびEP 396 344 A2に記載されている。
本発明の足場はまた、本発明に従うインプラント材料に加えて、補助材料を含み得る。この目的のための適切な補助材料として、水溶性、極性溶媒−可溶性または親水性ゲル形成ポリマー材料、例えば、寒天、デキストラン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、アルギン酸塩、ヒアルロン酸、カードラン、ポリアクリル酸塩、ヘパリン、硫酸化多糖類、プルラン、カラギーナン、グルコマンナン、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ゼラチン、コラーゲン、ラミニトール、フィブロネクチン、ケラチン、絹加水分解物、ポリアミノ酸、ポリ有機酸および酵素が挙げられる。本発明に従うインプラント材料は、含浸、積層または吸着のような手段によって上記のような補助材料と組み合わされて、混成物が得られる。
所定の実施形態に従えば、本発明の足場は、誘導体化されたPCMに接触または相互作用する細胞の接着、発達、移動、増殖、分化、形状、極性、および/または代謝機能に影響を及ぼす要素を含む化学基によって誘導体化されたPCMを含む。
それ故、本発明の組成物および方法に従えば、適切な分子モチーフを提供することによって、任意の細胞タイプの挙動(即ち、接着、発達、移動、増殖、分化、形状、極性、および/または代謝機能)に影響を及ぼすことが可能であり得る。
特に、細胞接着に影響を及ぼす要素を含む化学基は、本発明に従って使用される。
本発明のPCMを使用して、多様な細胞タイプに対し、細胞接着分子、または接着ペプチドフラグメントを提示することができる。これらの細胞タイプは、通常、インビボでインプラントされた材料と接触する任意の細胞を含む。そのような細胞として、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、筋芽細胞、軟骨芽細胞、骨芽細胞、および幹細胞が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法および製品において有用であり得る他の細胞として、シュワン細胞、星状細胞、希突起膠細胞およびそれらの前駆体、副腎クロム親和細胞などが挙げられる。
幹細胞は、培養において容易に拡張され得る細胞のクラスを表し、そしてその子孫は、特定の増殖因子の投与によって最終的に分化され得る。筋芽細胞は、中胚葉系幹細胞集団、例えば、L−6およびO−CH3細胞から本来誘導される筋肉前駆体細胞である。
本発明に使用するための化学基の選択は、例えば、所望される標的細胞タイプに依存し得ることが理解されよう。当業者であれば、任意の特定の細胞接着分子または接着ペプチドフラグメントモチーフを、選択された細胞タイプに対するその接着能について、日常的にアッセイすることができる。
他の実施形態では、本発明の足場は、インビトロで予め細胞を播種することができ、それによって、細胞は、PCMに曝露される。異なる供給源(即ち、自家、同種、もしくは異種細胞)由来の機能的に健康な細胞を使用することができる。これらの細胞播種足場は、組織置換プロトコルにおいて有用である。これらの実施形態に従えば、組織を、インビトロで再構成し、次いで、それを必要とする宿主にインプラントすることができる。例えば、心筋芽細胞を、本発明の足場に懸濁して、心臓壁に対応する厚さの組織パッチを作製してもよい。次いで、再構成された心臓パッチを、組織置換治療の一部としてインプラントし得る。血管、軟骨、腱、骨、皮膚、神経、および他の組織のための類似のプロトコルも考慮される。
本発明の方法の使用により、目的の部位におけるインプラント材料、即ち、足場を修飾することも可能である。例えば、足場のシートまたは管の1つの面だけを修飾することも可能である。PCMの密度ならびにCLMの長さは、PCMのネットワーク全体が修飾されるか、または1つの面だけが修飾されるかに影響を及ぼす。従って、PCMの密度またはCLMの長さを変更し、それによってCLMのアクセス性を変更して、透過および吸着することによって、PCMの修飾の程度および修飾の部位を最適化することが可能である。本実施形態に従えば、本発明は、特定の部位において修飾し、それによって、二重の機能性を足場/インプラントに与えることを可能にする。例えば、人工血管の内壁は、ヒト内皮細胞の接着または増殖を促進する化学基で修飾することができるが、一方、同じ人工血管の外壁は、血管の周囲の組織との生体適合性を促進する化学基で修飾することができる。
本発明の足場は、材料に対する細胞播種の前に、細胞培養培地においてPCMをプレインキュベートすることによって、さらに修飾してもよい。これは、細胞の材料への接着を改善するために行われる。
所定の実施形態では、本発明の足場は、人工血管の調製において使用し得る。PCMを含む人工血管を得るためのプロセスは、当該技術分野において周知である。本発明の人工血管は、任意のディメンション、線状、先細および/または分岐であり得る。
本発明の好適な実施形態に従えば、人工血管は、微生物由来のセルロースを含む。EP 0 396 344およびJP 3 272 772は、微生物由来のセルロースを含む人工血管を得るためのプロセスについて説明している。微生物セルロースは、例えば、セロファン、Teflon、ケイ素、セラミックス、不織布または織布から構成されるキャリアの内表面および/または外表面においてセルロース産生微生物を、例えば、培養することによって、得ることができる。
Bodin et al., Influence of cultivation conditions on mechanical and morphological properties of bacterial cellulose tubes, Biotechnol Bioeng, 2006 Dec 29(印刷に先駆けてオンラインにて公開中)は、微生物由来を含む人工血管を得るための改善された方法について記載している。この方法に従って、酸素添加された支持体としてのシリコーン管の頂部においてアセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)を発酵させ、そして異なる濃度の酸素、即ち、21%(空気)、35%、50%および100%を吹き込むことによって、管形態でバクテリアセルロースが沈積された。
さらに加えて、人工血管の微生物セルロースが、本発明の方法に従って、改善された生体適合性および血液適合性を与える化学基の上記の微生物セルロースへの結合によって、修飾される。本発明の人工血管の改善された生体適合性および血液適合性は、閉塞のような問題の危険性を大いに減少する。閉塞は、主要な問題であり、そして小さな直径の人工血管の比較的低い流動条件下で一般的である。閉塞は、血液凝固および血小板沈着によって生じる。これらの問題をもたらす相互作用は、血液−インプラント界面において生じるため、本発明に従う修飾は、血液適合性を増加し、そして閉塞を伴う問題を減少する方法である。
本発明の人工血管は、高い透過耐性および高い破裂圧によって、さらに特徴付けられる。
本発明の好適な実施形態では、人工血管のインプラント材料は、少なくとも1つのRGD−含有ペプチド配列を含む化学基を含む。これらの配列は、ヒト内皮細胞の血管壁への接着または増殖を促進する。
さらに加えて、人工血管は、インプラントの前に、予め内皮細胞を播種することができる。
組織置換および再生
本発明に従うインプラント材料を含む足場は、様々な医学的または外科的用途を有する。
本発明のさらなる態様に従えば、次の工程を含む、インビボ組織置換および/または再生の方法が提供される:a)本発明に従って調製されるインプラント材料を含む組織工事のための足場を提供する工程と、b)前記材料を、それを必要とする被験体の適切なインプラント部位にインプラントする工程。
本発明に関連する用語「組織置換」および「組織再生」は、一般に組織工事を指し、そして損傷した組織の機能的置換および組織再生を扱う。本発明のインプラント材料を含む足場は、組織置換として作用することができ、それによって、宿主組織は、インプラントされた材料によって、完全または部分的に置換される。さらに、本発明のインプラント材料を含む足場は、組織再生のための支持体として作用することができ、それによって、宿主細胞は材料に浸透する。本実施形態に従えば、宿主組織再生が容易にされる。
本発明の足場をインプラントするために使用される手順は、例えば、一般外科、形成外科または神経外科において、組織工事に一般的に使用される手順である。これらの手順は、被験体およびインプラント部位に従って、採用される。インプラント部位は、原則として、生体の任意の部分、例えば、脈管系、リンパ系、皮膚、神経系などであり得る。本発明に従う被験体は、組織置換を必要とする任意の被験体、例えば、哺乳動物、好ましくは、ヒトであり得る。
特定の実施形態では、足場は、前記足場をインプラントする工程の前に、インビトロで細胞が予め播種される。
さらなる実施形態では、組織工事のための足場は、人工血管である。
本発明を例示するために、以下の実施例を示す。但し、本発明が、これらの実施例に記載の特定の条件および詳細事項に限定されることを意図しないことが理解されるべきである。
本発明者らは、キシログルカン−GRGDSコンジュゲートを伴う修飾されたバクテリアセルロースを公表し、そしてGRGDS修飾バクテリアセルロースの内皮細胞接着に対する効果について分析した。
材料
バクテリアセルロース(BC)ハイドロゲル、および比較のために使用した純粋なコットンリンターから作製された Whatmannろ紙、グレード1を、Congo Redおよびキシログルカンの吸着研究において調べた。トリメチルシリルセルロース(TMSC)を、QCMを使用する吸着研究に使用した。TMSCを、Kontturi et al, Langmuir 19 (2003) 5735-5741に記載のように合成した。BCを、Rouxフラスコ(稼動容積、100ml)を、30℃で3日間使用するコーンスティープ液体培地において、静置増殖させ、2mmの薄膜を得た。生合成のために使用した株は、アセトバクター・キシリナム亜種スクロファーメンタス(Acetobacter xylinum subsp. sucrofermentas)BPR2001、商品番号:1700178TM であった。株は、American Type Culture Collectionから購入した。0.1MのNaOH中、60℃で4時間、煮沸し、その後、MilliporeTM水において煮沸を反復することによって、BCを精製した。材料を蒸気滅菌し、そして使用前に冷蔵庫に貯蔵した。アセトン処置:凍結乾燥およびSEM分析の前に、バクテリアセルロースを、アセトンで1晩、処置した。
実施例1
キシログルカンおよびキシログルカン−GRGDSの調製
XXXG、XLXG、XXLGおよびXLLGキシログルコ−オリゴ糖(XGO)の混合物(15:7:32:46)を、本質的に、Greffe, L., et al., Glycobiology, 2005. 15(4): p. 437-445において先に記載のように、エンド−グルカナーゼ消化によるタマリンドの穀粒粉末(60%キシログルカン含有量、D.N.Palani,Mumbai,India)の直接処置によって得た。以下のとおりに、1−デオキシ−1−アミノ−β−グリコシドを介して、対応する1−デオキシ−1−アミノスクシナマート誘導体(XGO−succ)への変換によって、XGOを活性化した。XGO(1g、0.78mmol)を、脱イオン水(10mL)に溶解し、続いて、炭酸水素アンモニウム(2.5g)を添加し、次いで、炭酸水素アンモニウムを連続添加しながら、混合物を、42℃で28時間、撹拌して、飽和を維持した。反応の進行を、TLC(70/30アセトニトリル/水)によって追跡した。過剰な炭酸水素アンモニウムを、3サイクルの凍結乾燥によって取り出して、XGOおよび1−デオキシ−1−アミノ−β−グリコシドの混合物からなる白色粉末を得た。変換の程度は、出発物質および生成物のアノマープロトンからのH−NMRシグナルの積分に基づいて、83%であった。粗生成物を水(10mL)に溶解し、無水コハク酸(157mg、1.57mmol、2当量)を添加し、そして溶液を、ボルテックスミキサーにおいて、10分間、激しく撹拌した。0.1%TFAを含有する水/アセトニトリル混合物による段階的溶出を使用する逆相(C18シリカゲル)クロマトグラフィーにより、白色粉末としてXGO−スクシナマートを得た(860mg、0.63mmol、2工程で80%収率)。H NMR(500MHz,DO,25℃):δ=2.56(t,J=6Hz,2H;COCHCHCOOH)、2.61(t,J=7Hz,2H;COCHCHCOOH)、3.24−3.95(m;Gal,Glc,1−デオキシ−1−アミノスクシネート−GlcのH−2〜H−6およびXylのH−2〜H−5)、4.44−4.50(m;GlcおよびGalのH−1)、4.85−4.89(m;XylのH−1)、5.08−5.10(m;Gal−□(1−2)を所有するXylのH−1)。ESI−MS[37]:XXXG−succ[M+2Na]2+,603.6802理論値(603.7095測定値);XLXG−succおよびXXLG−succ[M+2Na]2+、684.7066理論値(684.7079測定値);XLLG−succ[M+2Na]2+、765.7330理論値(765.7475測定値)。
ペンタペプチドGRGDSを、以下の例外を伴い、Engfeldt et al., Chembiochem FIELD Full Journal Title: Chembiochem: a European journal of chemical biology, 2005. 6(6): p. 1043-50に記載のプロトコルに従う標準的な固相Fmoc化学を使用して、0.25mmolスケールで合成した。Fmoc保護アミノ酸を、DIPEA(NMP中2.0M)の存在下、HBTUおよびHOBt(両方ともDMF中0.45M)で活性化した。キャッピング工程を除外した。最後のFmoc切断工程後、樹脂のペプチド置換を、0.47mmol/gに決定した。ガラスフリットのフィルター(ポアサイズP2)を備える反応容器において、XGO−succを、手動で樹脂結合ペプチドにコンジュゲートした。XGO−succ(260mg、2当量)をDMF(6mL)に溶解し、そしてDIPEA(66mL、4当量)の存在下、HBTU(215mg、6当量)およびHOBt(87mg、6当量)で活性化した。次いで、樹脂結合ペプチド(200mg、1当量)を添加した。1時間後、エタノール、NMP、DIPEA(DCM中5%)、NMPおよびDCM(各10mL)による樹脂の広範な洗浄によって、カップリングを終結させた。続いて、減圧下で樹脂を乾燥させた。3mLのTFA/HO/TIS(95:2.5:2:5)による30分間、室温での側鎖保護基の同時脱離により、樹脂から糖ペプチドを切断した。反応物を水(40mL)で希釈し、tBME(3×40mL)で抽出し、そしてガラス繊維を介してろ過した。水相を凍結乾燥して、白色固体(82mg、47%収率)を得た。同一条件下で、75mgの樹脂からの修飾されていないペプチドの切断および脱保護により、15mgのGRGDS(90%収率)を得た。
GRGDS:H NMR(500MHz,DO,25℃):δ=1.52−1.81(m,4H;2Hβ−Arg,2Hχ−Arg)、2.65(d,J=6.5Hz,2H;Hβ−Asp)、3.16(t,J=7Hz,2H;Hδ−Arg)、3.80−3.92(m,6H;4Hα−Gly,2Hβ−Ser)、4.26(t,J=7Hz,1H;Hα−Arg)、4.35(t,J=5Hz,1H;Hα−Ser)、4.60(t,J=6.5Hz,1H;Hα−Asp)。ESI−MS:[M+H]+490.2376理論値(490.2109測定値)。
XGO−succ−GRGDS:δ=1.53−1.86(m,4H;2Hβ−Arg,2Hχ−Arg)、2.55−2.60(m,2H;Hβ−Asp)、2.80−2.92(m,4H;XGO−NH−COCHCHCO−Gly)、3.12−3.16(m,2H;Hδ−Arg)、3.25−3.98(m:Hα−Gly,Hβ−Ser,Gal,Glc,1−デオキシ−1−アミノスクシネート−GlcのH−2〜H−6およびXylのH−2〜H−5)、4.25−4.30(m,1H;Hα−Arg)、4.34−4.36(m,1H;Hα−Ser)、4.68−4.74(m,GlcおよびGalのH−1)、4.87−4.91(m,XylのH−1)、5.09−5.11(m,Gal−□β(1−2)を所有するXylのH−1)。ESI−MS:XXXG−succ−GRGDS[M+H+Na]2+、828.2988理論値(828.3080測定値);XXLG−succ−GRGDSおよびXLXG−succ−GRGDS[M+H+2Na]3+613.8800理論値(613.8911測定値)、[M+H+Na]2+909.3252理論値(909.3289測定値);XLLG−succ−GRGDS[M+H+2Na]3+、667.8976理論値(667.9045測定値)、[M+3Na]3+675.2249理論値(675.2198測定値)、[M+H+Na]2+990.3516理論値(990.3554測定値)。
キシログルカンエンド−トランスグリコシラーゼ(XET)−媒介カップリングを使用して、最終的キシログルカン−GRGDSグリココンジュゲートを、以下のとおりに調製した。タマリンドキシログルカン(Megazyme,Ireland)を水(2mg/mL)に溶解し、そして200mLを、XGO−succ−GRGDS(100mL、HO中2mg/mL)、HO(50mL)、およびPttXET16A酵素(0.4単位/mL、100mMのNaOAc、pH5.5中50mL)の溶液と混合した。35分後、溶液を85℃まで、1時間、加熱することによって、反応を終結させた。ガラス繊維フィルター上でのろ過によって、変性した酵素を取り出し、そして生成物を、エタノール(3容積)の添加によって、ろ過物から沈殿させた。沈殿物を、ガラス繊維フィルター上で回収し、そして水(20mL)中におけるフィルターの撹拌および穏やかな加熱によって、再溶解した。得られる溶液を凍結乾燥して、390mgのXG−GRGDSを得た。DMSO中HP−SECによる分析によって、生成物が32000のM値(M/M1.7)を有することが示された。XGOをXGO−succ−GRGDSの代わりに使用したことを除いて、同じ手順を使用して、類似の分子量(M36000(M/M1.5)を伴う修飾されていないキシログルカンを精製した。
キシログルカンおよびキシログルカン−GRGDSの調製のための代替的経路
タマリンドの穀粒粉末TKP(キシログルカン、Mw1〜1500000ダルトン)を、セルラーゼで消化して、低分子量のキシログルカン(低Mw XG)、Mw5000〜50000ダルトンを形成させた。GRGDSペプチドの低Mw XGへの連結の前に、低Mw XGを、スクシネートで活性化した(上記の説明を参照のこと)。GRGDSペプチドを、標準的な固相Fmoc化学によって合成し、そして上記の説明に従って、スクシネート化低Mw XGに連結した。これらのGRGDSペプチド−低Mw XGを直接使用して、細菌−セルロースを修飾することができる。
実施例2
Congo redの吸着
対照として、バクテリアセルロースおよびワタの比表面積を、吸着されたCongo Red染料(Direct Red28、Riedel−de Haen,Germanyより購入した)の最大量を決定することによって、評価した。6つのWhatman紙No.1および6のバクテリアセルロースゲルを、各吸着濃度で使用した。セルロース材料を、0.5、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0(w/w)のCongo redを含有する4mlの水溶液中のCongo Redに曝露し、そして24時間、60℃、100:1の液体比で染色した。NaCl(20%w/w)を、電解質として添加した。標準曲線を使用して、492nmにおけるUV吸着から、Congo Redの残留濃度[E、mg/ml]を計算した。繊維に対するCongo redの吸着量[A、mg/g]を、結合反応の前および後の492nmにおける吸着の差異を、溶液の1容積あたりの質量で割って計算した。
実施例3
キシログルカン(XG)およびキシログルカン−GRGDS(XG−GRGDS)の吸着
対照としてのバクテリアセルロースおよびコットンリンターの比表面積を、XGおよび吸着したXG−GRGDSの最大量を決定することによって、評価した。6つのWhatman紙No.1および6のバクテリアセルロースゲルを、各吸着濃度で使用した。セルロース材料を、5、10、15、20%(w/w)のキシログルカンまたはキシログルカン−GRGDSを含有する4mlの水溶液に浸漬した。吸着したXGを、Kooiman et al., (Recueil des Travaux Chimiques des Pays-Bas et de la Belgique 79 (1960) 675-678に記載の比色法によって測定した。0〜48時間の様々な時間間隔で、200μlを抜き出し、そしての20%(w/v)NaSOおよびトリヨージド溶液の5:1溶液(0.5%I+1%KI)の1mlと混合した。標準曲線を使用して、620nmにおける吸着から、XGの残留濃度[E、mg/ml]を計算した。繊維に対するXGの量[A、mg/g]を、結合反応の前および後の620nmにおける吸着の差異を、溶液の1容積あたりの質量で割って計算した。
実施例4
比表面積
Congo Red対キシログルカン対キシログルカン−GRGDSの吸着から誘導されるコットンリンターおよびバクテリアセルロースの比表面積を、Langmuirの吸着理論から誘導される式1から計算した:
Figure 2010518998
(1)
式中、[E](mg/ml)は、吸着平衡における吸着物の濃度であり、[A](mg/gセルロースサンプル)は、セルロース表面上に吸着した吸着物の量であり、[Amax](mg/gセルロースサンプル)は、セルロース表面に吸着した吸着物の最大量であり、そしてKadsは、吸着平衡定数である。特定の表面Aspは、以下のとおりに表される:
Figure 2010518998
(2)
式中、Mwは、Congo Red(653 g/mol);キシログルカン(36000g/mol);キシログルカン−GRGDS(32000g/mol)の分子量であり、NはAvogadroの定数であり、そしてACRは、1つのCongo Red(1.73nm);キシログルカン(69nm);キシログルカン−GRGDS(61nm)によって占められる面積である。Congo Redの値を、Ougiya et al., Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 62 (1998) 1714-1719によって計算した。キシログルカンおよびキシログルカン−GRGDSに対する値を、分子量によりキシログルカンの占める面積の直線的減少を推測する、即ち、高い分子量のキシログルカン(980000g/mol)に対するACR1870nmのOugiyaらの値を、より低い分子量のキシログルカン、即ち、32000および36000g/molに外挿することによって、導き出した。
図3Bに示されるように、式(1)から直線が得られ、Congo Redの両方の基質に対する吸着が、Langmuirモデルに従うことが示唆された。それ故、Congo Redは、おそらく、両方のセルロース表面上に単層として吸着する。勾配値から計算した吸着最大値(Amax)は、両方の基質とも、47mg/gに到達した。BCの比表面積(79m/g)は、多かれ少なかれ、コットンリンターの面積(72m/g)と同じである(式(2)を参照のこと)。コットンリンターの比表面積は、染色吸着研究についての文献に見出される値にかなりよく対応する一方、BCの特定の表面は、先に報告された値より若干低かった。しかし、この場合のBCは分解し、そしておそらく、吸着のために曝露された表面をそれほど有さなかったため、この差異は予想されるものであった。
キシログルカンおよびキシログルカン−GRGDSはまた、Langmuir吸着挙動に従った(図4Bおよび5Bを参照のこと)。XGおよびXG−GRGDSの吸着最大値(Amax)は、BCに対して約180mg/gに到達し、コットンリンターに対して、約3倍でしかなかった(図4Aおよび5Aを参照のこと)。キシログルカンおよびキシログルカン−GRGDSによって測定されたBCの比表面積は、約200m/gであり、そしてコットンリンタ−60m/gではほぼ3倍低かった。両方のセルロース表面は、より多量の吸着したキシログルカンに対応するより大きな表面積との直線関係に従う(図6を参照のこと)。
吸着したキシログルカンの量の差異は、おそらく、バクテリアセルロースの膨潤したネットワークならびにコットンリンタ−と比較して、より曝露されたおよびアクセス可能な嵩によって説明することができる。吸着物分子のサイズが、アクセス可能な表面積に有意な影響を及ぼし、結果的に、キシログルカンの吸着に利用可能なワタ表面がより少なくなることは、公知である。Congo Red分子は、その縦軸に沿った長さが約2.5nmである一方、DP26を伴う十分に伸長したキシログルカン骨格は約30nmである。2つのセルロース基質に対するキシログルカンの特定の表面の差異はまた、結晶構造の差異によるものであり得る。バクテリアセルロースおよびコットンリンタ−は、同じ結晶構造、即ち、セルロースI(図7を参照のこと)を有し、そして相対的結晶化度は、両方の基質とも70%である。しかし、材料は、異なる量の結晶サブ−異形仮像(sub−allomorph)(IαまたはIβ)を有し、BCでは60%Iα:40%Iβであり、そしてコットンリンタ−では僅か30%Iα:70%Iβである。これは、セルロースの物理特性に影響を及ぼし得、異形仮像は、異なる結晶充填、分子配座および水素結合を有する。
実施例5
走査型電子顕微鏡(SEM)
SEMを使用して、修飾されていないおよび修飾されたセルロース材料の表面形態学について研究した。乾燥凍結する前に、バクテリアセルロース材料を、液体窒素においてクエンチングした。次いで、分析前に、表面を金で被覆し、分析は、10kVで操作したZeiss DSM 940Aで行った。
実施例6
共焦点レーザー顕微鏡
ArKrレーザーに結合したファイバーを備える共焦点顕微鏡を使用して、バクテリアセルロースの湿潤状態における形態学およびゲル全体を通しての修飾について研究した。染料の蛍光波長[λex=495nmおよびλem=516]に関連するフィルターを選択した。蛍光標識されたキシログルカン(XG−FITC)によって、湿潤バクテリアセルロースサンプルを、蛍光標識した。Brumer, H., et al., Journal of the American Chemical Society, 2004. 126(18): p. 5715-5721に記載のとおりに、XG−FITCを合成した。湿潤ゲルを、24時間、2mg/mlのXG−FITCのストック溶液で染色した。染色後、1晩、穏やかに撹拌しながら脱イオン水中にサンプルを置くことによって、過剰のXG−FITCを取り出した。
実施例7
ESCA
バクテリアセルロースの化学組成を、キシログルカンによる表面修飾の前および後に、ESCAにより決定した。修飾後および測定前に、材料を、30℃でオーブン乾燥した。Physical Electronics製のQuantum 2000を、測定に使用した。分析した面積は500×500μmであり、そしてビームサイズは100μmであった。サンプルと検出器との間の角度は、45°であった。ピーク強度を測定し、そしてPhysical Electronics製のMultiPakソフトウェアを使用して、曲線のあてはめを行った。セルロースの特徴的なESCAスペクトルは、酸素に対する炭素の単結合に対応する286.7eVにおいて1つのピーク、および2個の酸素に結合した炭素に対応する287.9eVにおいて1つのピークを有する。異なる結合炭素の相対量を、最も高い分解能C1ピークのガウス曲線あてはめにより計算した。C−C、C−O、O−C−OまたはC=OおよびO−C=Oの異なる位置は、それぞれ、285.0±0.2eV、286.7±0.2eV、281.1±0.2eVおよび289.4±0.2eVであった。
ESCAは、表面がキシログルカンで修飾されていることを示す。キシログルカンの側鎖基由来の酸素に結合した炭素の量の僅かな増加が、認められ得る。しかし、おそらく、基のサイズは小さく、そしてオーブン乾燥した場合、ゲルの内側に包埋および方向付けられ得るため、GRGDSの量を定量することは不可能である。また、キシログルカンおよびセルロース自体には、微量の窒素が存在し、これは、特徴付けをさらに複雑にする。
実施例8
水に対する動的な接触角
静的接触角測定を、6つのオーブン乾燥したセルロースフィルム、修飾されていない、ならびにXGまたはXG−GRGDSで修飾されたセルロースに対して行った。5μlの液体小滴を、各セルロース表面上に適用した。接触角θを、固体と滴表面に対する正接との間で形成される角度を登録することによって、角度計を使用して、測定した。
修飾されていないバクテリアセルロースと比較して、キシログルカンおよびキシログルカン−GRGDSで修飾される場合、湿潤性は、若干高い(表1)。
Figure 2010518998
緻密な構造、毛管力のための孔が少ないこと、および高い結晶化度により利用可能な水酸基が少ないことにより、修飾されていないバクテリアセルロースでは、水に対する接触角が比較的高い。キシログルカンによる修飾は、利用可能な水酸基を増加し、従って、湿潤性を増加する。GRGDSを増加しても、湿潤性は、有意に低下しなかった(図8の構造を参照のこと)。なお、湿潤性は、修飾されていないBCと比較してより高い。
実施例9
QCMを使用するタンパク質吸着
QCM−D機器(Q−sense AB,Goeteborg,Sweden)を使用して、表面修飾の効果としてのタンパク質のセルロース表面に対する吸着を研究した。モデルのセルロース表面を、金めっきしたQCM−D crystalにおいて調製した。表面を、UV/Ozoneチャンバにおいて、10分間、清浄化し、続いて、Milli−Q水、H(30%)およびNH(25%)の5:1:1混合物において、10分間、70℃で浸漬した。表面を、Milli−Qで洗浄し、そして窒素で乾燥した。金表面に被覆したトリメチルシリルセルロース(トルエン中1mg/ml)を、4000rpmで1分間、スピンコーティングした。トリメチルシリル基を切断して離し、そしてセルロースを、塩化水素蒸気(10%溶液)上で作製した。測定は、3次のオーバートーン(15Hz)で行った。fの変化は、結晶の表面に結合した質量の量に反映する。薄い、一様に分配された剛性のフィルムでは、吸着誘起周波数のシフト(Δf)は、Sauerbrey式で説明されるような質量の取り込みに関連する:
Figure 2010518998
式中、mは質量(ng)であり、Aは面積(cm)であり、nはオーバートーン数(=1、3...)であり、そしてCは質量感度定数(17.7ng/cm/Hz)である。測定は、3回反復で行った。キシログルカンおよびキシログルカン−GRGDSを、2mg/mlの濃度で吸着させた。各吸着後、続いて、細胞培養培地で誘導した後に、水による脱着工程を行った。細胞播種において使用した同じ培養培地を使用して、タンパク質吸着を研究した。細胞培養培地は、RGDモチ−フを所有する細胞接着タンパク質フィブロネクチンを含むタンパク質の混合物を含有する。XG−GRGDSによる修飾が、細胞培養培地からのタンパク質吸着(および特に、フィブロネクチン)の増加を生じたかどうかについて解明するために、吸着研究を、QCM−Dを使用して、モデルのセルロース表面に対して行った。おそらくは吸着したタンパク質のいずれかがフィブロネクチンであったかどうかを確認するために、細胞培養培地を誘導した後、フィブロネクチンに対する抗体(フィブロネクチン抗体(ビオチン)(ab6584)、Abcam)を、誘導した。すべての吸着後、続いて、水による脱着工程を行った。
図9に示されるように、細胞培養培地由来の約100ng/cmのタンパク質を、修飾されていないセルロース表面に吸着させた。キシログルカンを最初に吸着させた場合、タンパク質は吸着されなかった。セルロースを、接着ペンタペプチドを所有するキシログルカンで修飾した場合、修飾されていないセルロースと比較して、タンパク質はそれほど吸着されなかった(50ng/cm)。キシログルカン−GRGDSおよび細胞培養培地による修飾後、フィブロネクチンに対する抗体IgGを、誘導した。フィブロネクチンに対するIgGは、吸着しなかったが、これは、吸着したタンパク質が接着タンパク質フィブロネクチンではなく、または少なくとも活性型でもないことを示す。
実施例10
広角X線散乱(WAXS)
BCの凍結乾燥したペレットを、圧縮して、1cmの直径を有するペレットにした。X線回折パターンを、Siemens D5000回折計上で記録した。1.54Åの波長を伴うCuKαアノードを使用した。2θ=5〜30°を介して、走査を行った。非結晶質回折の結晶回折のピークの強度を測定した。相対的結晶化度を、結晶部分と全体部分との間の比として決定した。
実施例11
細胞播種
酵素的方法を使用して、伏在静脈の健康な部分から、内皮細胞(HSVEC)を単離した。1.7〜3.4g/dlアルブミンおよび3〜4.5g/mlの全タンパク質含有量を伴う20%ウシ胎児血清(FBS;PAA Laboratories GmbH)、ペニシリン−ストレプトマイシン(100U/mL;PAA Laboratories GmbH)、1.2mMのL−グルタミン(PAA)、ウシ脳抽出物(75mg/500mL;研究室において調製した)ならびにヘパリン(13U/mL;Leo Pharma,Malmoe,Sweden)を補充したM199(PAA Laboratories GmbH,Linz,Austria)において細胞を培養し、そして、37℃、5%COを伴う加湿インキュベ−タ−において保持した。細胞播種前に、BCを、キシログルカン、およびBCの乾燥重量の15%に対応するXG−GRGDSで、1晩修飾した。細胞播種前に、修飾したセルロースを、PBSで2回洗浄した。
細胞形態学の評価のために、HSVECを、修飾されたおよび修飾されていないBCの一片に、3×10個の細胞/cmの密度で、播種した。評価のために、1日目および3日目に、サンプルを採取した。細胞を、3.7%ホルムアルデヒドで固定し、そして0.2%Triton X−100において透過性にした。f−アクチンを可視化するために、Alexa Fluor(登録商標)546(Molecular Probes Inc.,Eugene,OR,USA)にコンジュゲートしたファロイジンによって、細胞を染色した。DAPI(Sigma−Aldrich Sweden AB,Stockholm,Sweden)により、核を対比染色した。標本を、SlowfadeTMAntifade mounting medium(Molecular Probes Inc.)に装架し、そしてAxio Imager M1(Carl Zeiss,Goettingen,Germany)で分析した。AxioCam HRc(Zeiss)により、写真をデジタル撮影した。
細胞接着
初期の細胞接着研究は、細胞の接着は、キシログルカン−GRGDS修飾セルロースにおける方が、修飾されていない、およびキシログルカン修飾されたセルロースにおけるよりも、迅速かつ良好であったことを示した。光学顕微鏡画像は、修飾された表面においてより多数の細胞が存在すること、ならびに伸長および接着がさらに進展していることを示す(図10を参照のこと)。
実施例12
形態学
コットンリンタ−およびバクテリアセルロースの形態学は、多くの態様において異なる。コットンリンタ−は、表面がミクロフィブリルによって覆われている繊維から構成される。繊維のサイズは約6μmである。一方、バクテリアセルロースは、70〜100nmのサイズのナノ繊維からなる膨潤した3次元ネットワークである。水相においてキシログルカンでバクテリアセルロースを修飾すると、形態は変化しなかった(図11C)。ネットワークが明らかに縮小する有機溶媒、例えば、アセトンにおいて修飾が行われる場合では、このようなことは認められない(図11Aと11Bとを比較する)。BCのネットワークを保存するためには、水中における修飾が好ましい。蛍光キシログルカン(キシログルカン−FITC)による修飾されたバクテリアセルロースの共焦点におけるZ−走査は、全体をとおして、ナノセルロース材料が均質に修飾されていることを示す。
結論
本発明の本発明者らは、ナノフィブリルネットワークの形態学が影響を受けていない状態で、セルロースナノフィブリルを修飾するための新規の方法について説明している。バクテリアセルロースは、キシログルカン−GRGDSで首尾よく修飾され、これは、比色法によって確認された。吸着した量は、最大で190mg/gに到達した。ナノセルロース材料は、材料全体をとおして均質に修飾され、これは、SEMおよび共焦点顕微鏡におけるz−走査によって認められる。さらに、水相における修飾は、有機溶媒と比較して、形態学を保存するのに明らかに有利であった。修飾は湿潤性を増加させ、これは、QCM−Dによって示される吸着されたタンパク質の減少またはほとんど認められない量を説明し得る。初期の細胞研究は、BCハイドロゲルがキシログルカン−GRGDSで修飾される場合、内皮細胞の接着が改善されることを証明した。細胞接着の増加は、QCM−Dによって実証されるように、培養培地由来のフィブロネクチンの非特異的吸着によるものではなく、但しその代わり、XGによるRGDエピト−プの特異的浸透によるものであった。
本発明の特定の実施形態を、実施例によって詳細に説明してきたが、本発明の修飾および応用が、当業者に思い至ることは明らかである。しかし、そのような修飾および応用は、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲内にあることは、明白に理解されるべきである。

Claims (33)

  1. 化学基を含む炭水化物リンカー分子(CLM)をポリマー性炭水化物材料(PCM)に結合することにより、PCMを修飾することによって、インプラント材料を調製するための方法であって、ここで、前記化学基は、PCMに改善された生体適合性を与える、方法。
  2. 化学基を含むCLMが、次の工程:キシログルカンポリマーからキシログルカンフラグメントを調製する工程と、1つ以上の化学基を、キシログルカンフラグメントの還元末端および/または側鎖に結合させることであって、それによって、PCMに結合するのに有用な化学基を含むCLMが生成される工程と、を含む方法によって調製される、請求項1に記載の方法。
  3. PCMを修飾する工程が、以下の工程:
    (a)化学基を含む炭水化物ポリマーフラグメント(CPF)を提供する工程と、
    (b)化学基を含む前記CPF、および可溶性ポリマー性炭水化物(SCP)からなる複合体の形成をもたらす条件下で、化学基を含む前記CPFを、SCPに接触させる工程であって、前記CPFおよびSCPが一緒になって炭水化物リンカー分子(CLM)を形成する工程と、
    (c)CLMがPCMに結合する条件下で、前記CLMと、修飾しようとするPCMとを接触させる工程と、
    を使用して実施される、請求項1に記載の方法。
  4. 改善された生体適合性をセルロース材料に与える化学基が結合されているキシログルカン誘導性分子を結合することにより、セルロース材料を修飾することによってインプラント材料を調製するための請求項1に記載の方法。
  5. 以下の工程:
    (a)改善された生体適合性を与える化学基が結合されているキシログルカン−オリゴ糖を提供する工程と、
    (b)結合した化学基を伴うキシログルカン−オリゴ糖およびキシログルカンから誘導される炭水化物ポリマーを含む炭水化物リンカー分子(CLM)の形成をもたらす条件下で、前記キシログルカン−オリゴ糖を、キシログルカンから誘導される炭水化物ポリマーに接触させる工程と、
    (c)CLMがセルロース材料に結合し、そしてセルロース材料の生体適合性を改善する条件下で、前記CLMと、修飾しようとするセルロース材料とを接触させる工程と、
    を含む、セルロース材料を修飾することによってインプラント材料を調製するための請求項4に記載の方法。
  6. 改善された生体適合性を与える化学基がタンパク質またはペプチドである、請求項4または5に記載の方法。
  7. 共有結合した化学基が、キシログルカン−オリゴ糖の還元末端に結合している、請求項4〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. CLMの形成が、キシログルカンエンドトランスグリコシラーゼ(XET、EC2.4.1.207)によって触媒される、請求項5に記載の方法。
  9. PCMがセルロース材料であり、SCPがキシログルカンから誘導され、そしてCPFがキシログルカンから誘導され、3〜100のポリマー骨格単糖単位を含有し、そして化学基が改善された生体適合性を与える因子である、請求項3に記載の方法。
  10. キシログルカンから誘導されるCPFが4〜10ポリマー骨格単糖単位を含有する、請求項9に記載の方法。
  11. 化学基がCPFの還元末端に共有結合している、請求項10または11に記載の方法。
  12. 化学基を含むCLMをPCMに接触および結合させる工程が、水性条件下で実施される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 化学基を含むCPF、およびSCPの少なくとも一部からなる複合体の形成を促進することが可能であるグリコシル転移活性を有する酵素の存在下で、化学基を含む前記CPFがSCPに接触される、請求項3、5〜7または9〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. グリコシル転移活性を有する前記酵素がキシログルカンエンドトランスグリコシラーゼ(XET、EC2.4.1.207)である、請求項13に記載の方法。
  15. CPFがキシログルカン−オリゴ糖(XGO)であり、そしてSCPの少なくとも一部がキシログルカン(XG)から誘導される、請求項3または12〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. PCMがセルロース材料の形態である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. PCMが微生物由来のセルロースであり、そして好ましくは、微生物由来のセルロースが細菌アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)によって産生される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 改善された生体適合性をPCMに与える化学基が、次のもの:細胞外マトリックス(ECM)接着分子、増殖因子、細胞接着分子、または接着ペプチドフラグメントのうち少なくとも1つを含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 改善された生体適合性をPCMに与える化学基が抗凝固因子を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 接着ペプチドフラグメントが:Arg−Gly−Asp(RGD)含有ペプチド配列、Tyr−Ile−Gly−Ser−Arg(YIGSR)含有ペプチド配列、および/またはIle−Lys−Val−Ala−Val(IKVAV)含有ペプチド配列である、請求項18に記載の方法。
  21. 化学基が少なくとも1つのRGD含有ペプチド配列を含む、請求項20に記載の方法。
  22. 化学基が少なくとも1つのGly−Arg−Gly−Asp−Ser(GRGDS)ペプチド配列を含む、請求項21に記載の方法。
  23. 請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法に従って調製される医学的または外科的用途のためのインプラント材料。
  24. 組織工事のための足場の製造のための請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法に従って調製されるインプラント材料の使用。
  25. 人工血管、人工皮膚、神経足場または整形外科用インプラントの製造のための請求項24に記載の使用。
  26. 人工血管の製造のための請求項24に記載の使用。
  27. 請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法に従って調製される材料を含む、組織工事のための足場。
  28. 組織工事のための足場がインビトロで予め細胞が播種されている、請求項27に記載の足場。
  29. 請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法に従って調製される材料を含む、人工血管。
  30. 人工血管がインビトロで予め細胞が播種されている、請求項29に記載の人工血管。
  31. 以下の工程:
    a)請求項1〜22のいずれか一項に従って調製されるインプラント材料を含む組織工事のための足場を提供する工程と、
    b)前記材料を、それを必要とする被験体の適切なインプラント部位にインプラントする工程と、
    を含む、インビボでの組織置換および/または再生の方法。
  32. 前記足場をインプラントする工程の前に、組織工事のための足場がインビトロで予め細胞が播種される、請求項31に記載の方法。
  33. 組織工事のための足場が人工血管である、請求項31または32に記載の方法。
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