ここで、図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。各実施形態は、図面によって示されるが、図面の尺度は必ずしも正確ではなく、実施形態の新規な態様をより明確に説明するために特定の特徴を強調している場合がある。また、本明細書に記載する実施形態は、発明の範囲をすべて網羅しているわけではなく、網羅しているとしても、これによって、特許請求の範囲が図面および以下の詳細な説明に示す形状および構成そのものに限定されることはない。本願は、2007年1月26日に出願された、発明の名称が「Electronic Cutting Apparatus and Methods for Cutting(電動裁断装置および裁断方法)」であるワークマンらによる米国仮特許出願第60/897,563号に基づく優先権を主張する。また本願は、2005年7月14日に出願された、発明の名称が「Electronic Cutting Apparatus and Methods for Cutting(電動裁断装置および裁断方法)」であるワークマンらによる米国仮特許出願第60/699,210号に基づく優先権を主張して、2006年7月13日に出願された、発明の名称が「Electronic Paper Cutting Apparatus(電動紙裁断装置)」であるワークマンらによる米国特許出願第11/457,415号の一部継続出願である。これらの出願は、すべて本願に引用して援用する。
本明細書で詳細に検討するとおり、電動裁断装置は、一実施例において、材料のシートを裁断する裁断部と、前記シートの動作を制御する駆動ローラと、前記裁断部および前記駆動ローラの動作を制御する電子機器とを備える。電動裁断装置は、裁断部を「x方向」に動かし、シートを「y方向」に動かすように動作する。すなわち、裁断部をシートに当てた状態で前後方向に動かしながら、裁断部の動作に垂直な方向にシートを動かして、裁断を制御する。裁断部は、「z方向」に動作できるため、特定位置にある裁断対象物上の所望の位置にブレードを当てることができ、その裁断が終了すれば、この裁断部を上昇させる。これら2つの動作を正確に制御することによって、シートを特定の形状に裁断できる。
本明細書に記載する電動裁断装置は、パーソナルコンピュータや他の外部装置に接続する必要のない独立型装置として動作するように構成され得る。ユーザは、電動裁断装置に設けられたユーザインタフェースから、電動裁断装置の全機能を制御できる。
一実施例では、電動裁断装置が切り取る各種形状を分離型のカートリッジによって提供する。ユーザが特定の画像の使用を望む場合、その画像を含むカートリッジを装置に接続する。ユーザは、キーパッドなどのユーザインタフェースを用いて、裁断すべき画像を選択し、その画像を切り取るように装置に指示できる。カートリッジ(例として、その形状の形状内容を格納した電子メモリを備えるもの)は、電動裁断装置から取り外し可能である。また、カートリッジには、ユーザが裁断対象として選択する可能性のある形状ライブラリが格納されていてもよい。
他の実施例においては、裁断対象の形状は装置のメモリに保存される。ユーザは、ユーザインタフェースを用いて、切り取りたい特定の一または複数の形状を、装置に保存された形状ライブラリから選択する。
動作時、底扉は、裁断中の紙を支持するトレイの役割を果たし、上扉を開くとユーザインタフェースが現れる。紙を剥がせる状態で留めておけるように粘着性を有する接着剤を塗布したマットの上に、裁断対象のシートを置く。マットおよびシートを装置に挿入し、ユーザインタフェースを用いて、ブレード保持部をマットの選択位置まで動かす。切り取りたい形状を選択すると、装置がその形状を切り取るように指示される。
各画像または各形状は、ユーザの希望に合わせて、裁断前にもっとカスタマイズされてもよい。一例としては、切り取る画像のサイズを変更することが挙げられる。ユーザが所望の画像形状を選択し、その画像が所望のサイズで表示されるまでサイズ用ホイールを回すことで、画像の寸法を決められるようにしてもよい。
裁断部は、ブレード保持部とブレードとを含む。ブレードは、ブレード保持部において旋回自在であるので、裁断方向に向けられる。ユーザは、ブレード保持部によって、ブレード筐体から延びたブレード長を容易かつ正確に調整できる。また、ブレード筐体は、製造時、その内部にブレードが正確に設置されるように構成され、これによって、各ブレード保持部/各ブレードアセンブリが適切に構成される。
ここで図面を参照すると、図1A〜図1Dは、全体として符号10を付した電動裁断装置を示す。電動裁断装置10は、外部コンピュータに接続せずとも完全に機能する独立型の装置である。裁断装置10の各裁断用部品は、全体として符号12を付した、裁断装置10の外筐体の内部に収納される。また、外筐体には、裁断装置10の裁断用部品を駆動するための各ソフトウェアおよび各電子部品とともに、裁断用部品が切り取る画像、形状、フォントなどを格納するための、取り外し可能かつ/またはダウンロード可能なメモリストレージデバイスが収納されるので、このユニットは、これ自体、単独で充分に動作する設備が整ったものである。筐体の左側面15および右側面16には凹部14が形成され、ここが裁断装置10を持ち上げたり運んだりするときの側面15,16における握り部分となる。また、回転式のホイール、すなわちダイヤル18,19,20を筐体12から突出させる。ホイール18,19,20は回転式で、ユーザがこれらを回転させることで、切り取る画像のサイズ、裁断時にブレードにかかる圧力、裁断速度などの裁断装置10のパラメータが変更される。より詳細に説明すると、裁断工程における速度および圧力は、裁断中の材料が破れないように、かつ/若しくは、ブレードが裁断対象物を完全に裁断できるように、その裁断中の材料の種類に応じて変更可能である。ダイヤル18,19,20を回転させれば、ユーザディスプレイ35に表示されるパラメータが変化する。例えば、ダイヤル20は、切り取る画像または形状のサイズを変更するために用いられる。したがって、ダイヤル20を回すと、ディスプレイ35に示されている画像サイズが変更される。このサイズは、例えば、1インチ、1と1/4インチ、1と1/2インチ、2インチ、2と1/2インチ、3インチ、3と1/2インチ、4インチ、4と1/2インチ、5インチ、5と1/2インチなどである。もちろん、これ以外のグラフ表示などを用いて、このような情報を表示してもよく、ダイヤルごとに関連付けた情報に応じて変えてもよい。ダイヤル20に裁断時の画像サイズを関連付けた構成では、ダイヤル20が特定のサイズに設定されると、裁断装置10は自動的に裁断対象の画像または形状のサイズを調整し、その後、ユーザから裁断を指示されると、およそ表示したサイズ(高さ)の画像を切り取る。同様に、ダイヤル18,19は、装置10のプロセッサに電子接続され、裁断圧力および裁断速度を変更し、それをユーザに分かるようにディスプレイ35に表示する。
ディスプレイ35は、動作パラメータ、ユーザによる選択、位置情報、総合的にみた状況などを表示できる。さらに、ディスプレイ35に情報をすべて同時に表示するにはスペースが足りない場合は、テキストをスクロールできるようにすれば、大量の情報を表示できる。例えば、裁断対象として複数の文字が選択された場合、裁断対象とした全文をユーザに示すために、スクロール型のテキスト表示とすることができる。ユーザが文章を編集したいときは、選択した文章を方向キーで左右にスクロールさせ、選択した文字にハイライトまたは下線を入れて示すようにする。
ディスプレイ35には、ユーザが裁断サイズ、裁断速度、裁断圧力などの特性を調整すれば、それをリアルタイムで表示する機能を含めてもよい。ユーザは、ディスプレイ35に表示される値をダイヤルで調整することで所望の設定にすることができる。ダイヤル調整中は、ディスプレイ35において調整中のパラメータをハイライト表示して、ユーザが注目し易いようにしてもよい。例えば、裁断サイズが調整される場合、ディスプレイ35では、裁断サイズがハイライト表示される一方、残りのパラメータはハイライト表示されない。このようにすれば、ユーザは、調整中のパラメータにすぐ注目できる。ディスプレイ35の他の機能として、警告および/またはエラーメッセージを表示する機能が含まれていても良い。警告またはエラーがある場合、ディスプレイ35は、出力を警告/エラーに切り替え、ユーザが進行させている作業に優先させる。必要に応じて、ディスプレイ35がユーザに質問できるようにし、キーパッド40からユーザの回答を得られるようにしてもよい。
一実施例として、各ダイヤル18,19,20を電位差計または従来より知られている他の装置に接続し、装置のプロセッサに信号を送信して、各パラメータを変更するようにしてもよい。あるいは、ダイヤル20を回転式の符号化装置(例えば、光エンコーダ、機械式エンコーダ等)に接続し、回転方向の位置情報をプロセッサに提供するようにしてもよい。特に裁断速度に関しては、ダイヤルの1つを操作する手動調整に加えて、裁断中の材料の厚みが大きい場合などには、ユーザが設定した圧力に応じて、装置自体が自動で速度を調整するように構成してもよい。また、装置は、ユーザが設定可能なあらゆる裁断速度において、裁断中の切り口の曲率に応じた裁断速度の調整を行う。例えば、直線を裁断するのであれば、装置は、材料を破ることなく、その材料中をより高速で移動することができるが、急カーブにおいては、裁断動作速度が大きすぎると、材料が破れてしまうことがある。このように、装置は、裁断中の円弧半径に応じて速度を自動調整し、より小さな半径の円弧を裁断する場合に材料が破けないようにする。このように、裁断時には、裁断の進行と同時に、装置が自動的に裁断速度を「オンザフライ」調整する。
各ダイヤル18,19,20の構成には、様々な技術を用いてよい。例えば、ダイヤル20は、電位差計、光学ロータリーエンコーダ、機械式ロータリーエンコーダ、可変磁気抵抗センサなどで構成可能である。ホイールの速度を検出するという目的では、電位差計、ロータリーエンコーダよりも可変磁気抵抗センサの方が良いが、他のセンサ技術によっても、ファームウェアから速度情報を得ることが可能である(但し、直接測定されたものではなくなる)。したがって、ユーザが各ダイヤル18,19,20を回して得ようとする目標精度次第で、特定のセンサ技術が別のセンサ技術よりも望ましくなることがある(使用は各技術とも可能である)。各ダイヤル18,19,20の速度に基づいた検出方法を採用することによって、ユーザは迅速に正確な設定が行えるようになる。ダイヤルの動作量または速度が大きいと、設定にかなり大きな変化が生じる。しかし、目標値に近づけば、ユーザはホイールを動かす速度を落とすので、微調整される。このように、ユーザは、何回も回転させることなく、迅速に設定を変更できる。
特に、装置10の分解図である図1Dを参照すると、扉24,26が図1Cのように閉位置にある場合、扉24は、フレーム部材25と、フレーム部材25に取り付けられる透明または半透明の窓27とからなる。窓27にレキサンなどの半透明材を使用することで、全体として符号30を付したユーザインタフェースがユーザに見えるようになり、ユーザは、装置の電源が「オン」か「オフ」か、状況を判断できる。より詳細に説明すると、ユーザインタフェース30は、キーボード・インタフェース・アセンブリからなり、ディスプレイ35と機能ボタン29とを含む。また、扉24は、一体構造(例えば、フレーム部材25と窓27とを組み合わせた構造)にされてもよく、透明または半透明の材料(例えばプラスチック)を用いて製造してもよい。扉24が透明であることによって、装置のオン/オフ状態がユーザに見えるようになる。
ここで図2Aを参照すると、開位置にある裁断装置10が図示されており、全体として符号30を付したユーザインタフェースと全体として符号32を付したカッターアセンブリとが示されている。ユーザインタフェースは、液晶ディスプレイ等のディスプレイ35を含む。ディスプレイ35には、裁断対象として選択された形状、形状サイズ、特定の切り口の進行具合、エラーメッセージなど、一定の関連データを表示することが可能なので、ユーザは、装置の動作について視覚的なフィードバックを受けることができる。
図2Bおよび図2Cにさらに図示するように、ユーザディスプレイ35は、ユーザインタフェース30のキーボード支持構造33に枢動可能に取り付けられた旋回式の筐体31内に設置されてもよい。ディスプレイ35は、ディスプレイ35が凹部43内に収納される第1フラット位置にすることも、図示したような、よりユーザに見えやすい位置に傾けることもできる。このように、ユーザにとってより良い視角まで液晶ディスプレイを傾けることができる。また、メンテナンスや修理を行う際、ディスプレイ35の位置を素早く変えて、迅速にキーパッドPCBボード(図示せず)上の主接続部とディスプレイ35との接続を切れるように、ディスプレイ35は、凹部43から取り外し可能に構成される。
再度、図2Aを参照すると、底扉26の裏面37がマットと裁断装置10の裁断中の材料とを支えるための支持トレイとなるので、裁断対象物およびマット(図示せず)は、裁断時、ほぼ水平に向けられたままになる。さらに、裁断装置の内側底面38も事実上、全体的に水平かつ平面状になり、ほぼ平面的な構造で、裁断中の材料を支持する。ビニル製の標識を裁断する分野のものを、紙を裁断する分野に適応した関連技術の装置によれば、これまで装置の支持面は曲線を描くのが普通であった。この支持面の曲率としては、裁断中の材料、すなわち、典型的にはロール状にされる、裏面に接着剤が塗布されたビニルが収納され得る程度の値が一般に用いられる。紙等からできた材料シートを裁断する場合、シートが曲げられると、裁断中の画像部分がシートによって規定される平面から持ち上がることがあり、このような隆起部分をブレードまたはブレード保持部で押さえれば、形状裁断中の材料を傷める恐れがあることから、このような構成は特に利点とはならない。扉26の内側表面37は、引き出し式にしてもよく、また、12”×24”以上のマットなど、より大きなサイズのマット(例えばマット300)を保持できるように強度を高めてもよい。扉26の内側表面37は、このように、駆動ローラ39に隣接するカッターの内側底面すなわちベッド38と同一平面にあり、効果的である。さらに、内側表面37は、扉26を図1Aに示すような閉位置にしてカートリッジ50を収納するための凹部41を規定する。これによって、扉26の内側にカートリッジ50が収納されるので、装置10の構成をさらに小型化できる。したがって、カートリッジ50を入れて扉26を閉めた状態で装置を持ち運ぶことができる。
同様に、図2Bに示すように、上扉アセンブリ24は、裁断装置10の外面部分を形成する外郭部24’と、ディスプレイ35を収納する内側部分24”とからなる。本実施例において、ディスプレイは、内側部分24”に形成された窓51から見える液晶ディスプレイ(liquid crystal display: LCD)装置を含む。透明カバー53は、LCD35のスクリーン57を保護するために、内面34に形成される凹部55内部に取り付けられるように構成される。LCD35を裁断装置10のプロセッサに接続するワイヤ(図示せず)は、アーム59を介して延びて、配線を保護すると共に見えないようにする。
ディスプレイ35のサイズは、電動裁断装置10の大きさ、利用可能なスペース、単一のスクリーンでユーザに表示できる機能数またはパラメータ数に応じたサイズに構成することができる。ディスプレイ35は、LCDおよび有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode:OLED)技術など、多様な技術を用いて実現可能である。ディスプレイ35の一例として、対角サイズが2.7〜2.9インチの範囲で、アスペクト比が2:1、解像度が128×64の液晶ディスプレイが挙げられる。あるいは、複数行の文字列に対応したディスプレイ(例えば16×4LCDモジュール)をディスプレイ35としてもよい。
ここで図3A〜図3Cを参照すると、ユーザインタフェース30は、キーボード40と、複数のボタン42と、ディスプレイ35とを含む。キーパッド40とボタン42とを利用して、ユーザは、裁断装置の動作をすべて制御できる。このように、裁断装置10に選択画像を裁断させるために、この裁断装置をパーソナルコンピュータなどの外部制御装置に接続する必要がない。ユーザインタフェース30は、調整可能な表示画面である液晶ディスプレイ35と、カーソル制御ボタン43,44とを含む。キーボード40には、キーボードのメインオーバレイ45が被せられる。一般的な機能を有するボタンが10個のボタン配置46として設けられ、例えば、自動拡大(Auto Expand)ボタン、自動挿入(Auto Fill)ボタン、マルチアウト(Multiple Out)ボタン、回数(Quantity)ボタン、中心カット回転(Center Cut Rotate)ボタン、反転(Flip)ボタン、その他の機能ボタンF1,F2,F3からなる。言うまでもなく、このようなボタンを変更したり、別のボタンを追加することは可能である。ボタンの記載部分は、エンボス加工してもよいし、プラスチックに成形してもよい。開始(START)ボタン47と停止(STOP)ボタン48は、LCDまたはLEDによるバックライト付きとしてもよい。さらに、8位置コントローラ49を設置する。コントローラ49に付された複数の矢印は、裁断装置内の用紙および/またはカッターヘッドを押圧方向に移動させる機能を示す。これによって、用紙および/またはカッターヘッドは、ユーザが選択した方向に滑らかに移動する。他の実施形態において、一枚のジョイスティック状の制御パッドまたはタッチパッドを8位置コントローラ49としてもよい。このような構成によれば、4位置または8位置のコントローラ49よりも細かい制御が可能になる。
STOPボタン48は、マトリクス状に配列されたキーパッド40の一部として構成されても、配線でコントローラに接続されてもよい。配線でコントローラに接続されるのは、どのボタンでもよいが、特にSTOPボタン48が配線でコントローラに接続されれば、ユーザが途中でキーを押したことを感知できるようになる。このようにすれば、ユーザには分からない程度の遅延はあるにせよ(例えば、プロセッサによるファームウェアの実行等)、裁断装置の停止時における待ち時間が短縮できる。
図3Dおよび図3Eは、別のユーザインタフェース構成を示す。ユーザインタフェース60は、ディスプレイ62と、関連ボタン61と、ユーザモードボタン63と、回数制御ボタン64と、キーパッド66と、カッター制御ボタン68とを含む。モードボタン63とは、ユーザが一定の機能を選択できるようにするボタン等である。例えば、「Mix'n match」モードボタンであれば、文字ごとに異なる機能設定が可能になる。このモードをオフにすると、キーパッド66から入力する文字すべてについて、同一の独自の機能設定が用いられる。このモードが選択されると、入力された文字それぞれについて別々の、文字ごとの独自機能が適用される。これによって、ユーザは、文字を入力した後に、その文字に付加する特定の独自機能(例えば、図4に示す文字機能152のうちの1つ)を選択できるようになる。OKボタン65は、これによってユーザが続行できるようにするために設けられるものであり、これを選択することによって、1つの機能のみが選択されている状況に戻す再設定が行われる。
自動調整(Auto Fill)モードでは、裁断対象ページの残っている範囲に選択した文字がいくつ収まるかを計算する。Auto Fillモードにされると、「Fit to Page」ボタンまたは「Quantity」ボタンがオンされていても、これらはオフにされる。裁断前に、ディスプレイ62には、当該シートにいくつ収まるかが示される。
ページ調整(Fit to Page)モードでは、裁断対象として選択されたグリフ(画像または文字)の最適かつ最大のサイズを計算し、ページの残っている範囲に収まるように、このグリフを拡大または縮小する。つまり、読み込み中のシートから装置が既に画像を切り取っていた場合には、シート機能を適合させれば、シートがどの程度残っているかが分かるので、残りのスペースに収まるように裁断対象の画像サイズが調整される。このように、装置は、シートが既にどれくらい裁断されているか、そのシートのどこが裁断されているかが分かるので、残りの用紙が裁断される時にも、選択した裁断モードまたは裁断機能は、本明細書に記載した他の機能およびモードの多くと同様、調整することが可能である。このように、連続裁断されるごとに残りのシートの利用可能サイズは減少するので、用紙ごとに適合させる印字プログラムで見受けられるような典型的な「シート適合」用選択とは違い、本裁断装置は、この適合をオンザフライ調整する。
「長さ調整(Fit to Length)」モードでは、前述したようなサイズダイヤルのパラメータを変更することで、裁断すべき全長を選択する。したがって、この機能は、Fit to Pageと本質的に類似し、ダイヤルを合わせて選択したサイズに適合するようにグリフの全長を変更(例えば、短縮)する。サイズ範囲は、必然的に、残りの裁断対象ページの長さに限定されることになるだろう。したがって、この機能が選択されると、装置は、現在のサイズ設定を事実上無視することになる。
「縦長(Portrait)」モードでは、裁断方向を長手方向から左右方向に変更する。この場合、装置は裁断用マット全体の向きを自動解除して新たに設定するので、OKボタン65で確認する必要がある。この縦長の機能があることによって、マットの向きを縦長モード(図13A参照)と横長モード(図13B参照)とのどちらかにカスタマイズできるようになる。
Quantity(回数)モードに設定されると、カーソルキーが作動し、回数を増減できる。ユーザは、OKボタン65を押して回数を設定できる。はじめてCUTボタンを押すと、ディスプレイ62に「NNN回行うにはXXページ必要です。1ページ目の裁断を開始するにはCUTボタンを押してください。」と表示される。これによって、ユーザは、選択した回数、裁断する場合に必要となる枚数が複数であることが、数字NNNおよびXXによって分かる。各ページの裁断終了ごとに、ディスプレイには、「あとYYページ裁断されます。裁断を続行する場合は新しいページを挿入し、終了する場合はSTOPを押してください。」と表示される。このように、各ページの処理終了ごとに、ユーザは、次のシートを挿入し、CUTボタンを押して続行するか、STOPボタンを押し、選択した回数の裁断を中断するか、決定できる。当然ながら、これと合わせて使用できる機能もある。例えば、Quantity機能と、Fit to Page機能またはFit to Length機能とは、合わせて使用可能である。ユーザがQuantity機能を選択すると、ディスプレイ62には入力した回数が表示される。
反転(Flip)モードに設定されると、選択した画像が裁断される際に、その選択したグリフの「鏡(mirror)」像が裁断される。この機能は、選択した全てのグリフに対して、個別に適用することが可能である。
マルチカット(Multi Cut)モード(後述)では、装置は、同一画像を複数回、つまり2回、3回、あるいはもっと多い回数、裁断する。Multi−Cut機能は、より厚みのある材料を使用する場合に設定され、このような媒体からでも画像が完全に切り取られるようにする。
中心点(Center Point)モード(後述)では、CUTボタンを囲むカーソルキーを用いて、ユーザが所望の位置までブレードを移動させることが可能になる。このとき、装置は、選択された位置がその裁断を現在の設定で行えるような位置であるかを計算する。現在の設定で行える位置でない場合、「適合不可(Cannot Fit)」というエラー表示がなされ、このブレード位置では画像をシートに収められないということがユーザに示される。
追加的に選択可能な設定も各種ある。例えば、設定モードでは、アローキーを用いて多様な選択肢の切り替えを行って、同一レベルにある選択肢を選択できる。選択は、OKボタン65を押すと、確定される。設定の中には、言語、単位、裁断回数などが含まれてよく、機能が将来的に更新されれば、そのためのキーを設けることもできる。
図3Eは、全体として符号80を付した、ユーザインタフェースの他の実施例を示す。ユーザインタフェースは、ディスプレイ82と、キーボード84と、全体として符号86を付した各種ユーザボタンとを含む。ユーザインタフェースボタンには、用紙受け(Paper Saver)ボタン、リアルダイヤル(Real Dial)ボタン、自動拡大(Auto Expand)ボタン、自動挿入(Auto Fill)ボタン、マルチカット(Multiple Cut)ボタン、中心カット(Center Cut)ボタンなどの様々なステータスボタンが含まれる。反転(Flip)や回転(Rotate)などの効果ボタンも設けられる。設定(Setting)ボタンとしては、大きさ、長さ、言語、設定、音に関するボタンが挙げられる。編集ボタンは、グリフ(Glyph)、回数(Quantity)、削除(Deletion)、バックスペース(backspace)、スペース(Space)などの編集を可能にする。最後に、各種機能(Function)ボタンには、ディスプレイ一括削除(Clear Display)ボタン、全機能リセット(Reset All)ボタン、繰り返し(Repeat Last)ボタン、再読み込み(load Last)ボタン、用紙サイズ設定(Set Paper Size)ボタン、用紙取り込み(Load)ボタン、用紙取り出し(Unload)ボタンなどが含まれてもよい。
Auto Expand機能によれば、ユーザは最大可能サイズまで画像を拡大することができる。この機能は、Quantity機能とともに使用されてもよい。Auto Fill機能は、選択した画像を有する裁断対象ページを自動的に挿入する。Rotate機能によれば、ユーザは所望の向きになるまで裁断対象の画像を回転させることができる。このとき、ユーザが裁断対象のシートを補充する必要がある場合とない場合がある。
より詳細に説明すると、裁断装置10には、図2に示すように、裁断装置10が裁断可能なフォント、画像、語句などの様々な形状が保存されるメモリストレージデバイス50が含まれる。本実施例において、メモリストレージデバイス50は、取り外し可能な交換型カートリッジの形態をとる。このカートリッジには、キーボード40を用いて選択できる形状のライブラリ、すなわち形状セットが含まれる。新しい形状セットが欲しければ、カートリッジ50をソケット52から取り外して、所望の形状を含む別のカートリッジと交換できる。カートリッジ50が交換型である場合は、キーボード40に設置されるオーバーレイ49も取り外し可能な交換型であり、このオーバーレイ49の上昇中のキーを押せば、その下の対応位置にあるキーボード40のキーも押し下げられるよう、オーバーレイ49はシリコンゴム、塩化ビニル、他のゴム状の材料などの可撓性材料からなる。このオーバーレイの材料は、キーボード40のキーからの光がオーバーレイ49越しに見えるように、透明または半透明であるとよい。どのカートリッジにどのオーバーレイが対応しているかを識別するために、スクリーン印刷などの方法で、オーバーレイにフォントセットまたは画像セット(および個々の文字、語句、機能)の特定の名称を印字でき、カートリッジまたはカートリッジに取り付けられるラベルには、同一の名称が印字される。さらに、必要に応じて、対応するキーボードオーバーレイ49とカートリッジ50の色を合わせれば、ユーザは、使用しているカートリッジ50とオーバーレイ49が正しい組み合わせであることを容易に確認できる。オーバーレイは、それを構成する色または素材が何であれ、完全には遮光しないものとする。したがって、前述のように、CAPSなどの特定の機能キーが起動していることをユーザに知らせるために、キーの下にLEDを配置し、起動時にキーを光らせる。このように、オーバーレイ49を少なくとも部分的には半透明である材料で構成することによって、オーバーレイ49越しにLEDからの光がユーザに見えるようにする。したがって、キーボードのキーもオーバーレイ49も、少なくとも半透明な材料で構成される。
カートリッジ50は、電動裁断装置10の様々な実施形態で使用可能である。例えば、異なるバージョンの電動裁断装置10の利用が可能な場合、カートリッジ50は、各電動裁断装置10の機能と下位互換性がある。すなわち、電動裁断装置10の一実施形態が特定の機能に対応しており、別の実施形態がその機能に対応していない場合でも、両方の電動裁断装置10に同一のカートリッジ50を使用できる。但し、電動裁断装置に対応していない機能は、利用できない。このような下位互換性システムによって、消費者は、複数の装置に対応したカートリッジを購入できるようになり、バージョンの問題が実質的に緩和される。
図4にキーボードオーバーレイ149の一例を図示する。キーボードオーバーレイによって、全体として符号152を付した複数の形状・画像処理キーと、全体として符号154を付した複数の画像・フォントキーと、複数のカッター制御キー156が設けられる。各画像・フォントキー154は、特定のカートリッジで利用可能なフォント、文字、および画像をグラフィック表示する。本実施例では、文字セット「Base Camp」に含まれる複数の形状および予め作っておいた数個の語句を準備する。画像処理キー152によって、選択した特定の画像に対し、様々な文字変換機能を適用することができる。したがって、例えば、文字「A」158を押して選択すると、1または可能であれば複数の処理キー152を押して、様々な変更または処理を選択することができる。処理キーによって、文字「A」を長方形160、ドッグタグ形状162、タグ形状163、装飾164で囲むなどして、文字「A」に各種成分を追加する処理が可能である。また、処理キーは、文字「A」を影付き165や中抜き166になるように変更することもできる。さらに、「paper saver」、「real dial size」、「shift」「shift lock」など、他のモードを選択することもできる。カッター制御キー156には、ユーザが打ち込んだ文字と文字との間にスペースを加えたり、特定の文字列において、タイプ時に最後に打ち込んだ文字を削除するための「back space」などの機能が含まれる。また、ディスプレイ一括削除キー、リセットキー、直前文字リピートキー、装置の音機能のオン/オフキー、用紙サイズ設定キー、用紙取り込みキー、用紙取り出しキー等もある。また、CUTボタン44の周りの方向キーを用いて(図3参照)、機能を液晶ディスプレイ上で視覚的に選択することで、これらの機能の全部または一部を選択できるようにすることも考えられる。
さらに、「再読み込み(Load Last)」キー168が設けられる。Load Lastキー168によって、ユーザは、マットから材料の一部の裁断が終了した後に、そのマットを再度挿入できる。すなわち、より詳細に説明すると、特定の用紙/マットの組み合わせから特定の画像または画像セットを装置が裁断する際、裁断した形状を剥がすためにマットを出した後、ユーザには、残りの用紙がまだ付いている、その同じマットを再度挿入するという選択肢がある。「Load Last」キーを押すと、裁断装置は、既に裁断したマット部分が分かるように、データを保存する。ユーザが裁断対象の文字または形状を新たに選択すると、裁断装置は、カッターヘッドを、まだ裁断されていない用紙部分に自動で動かす。さらに、裁断装置には、特に選択されたサイズに裁断される予定になっている特定の文字または形状が残りの用紙に収まるかどうかが分かる。ユーザが選択した文字または形状が大きすぎて、残りの用紙から切り取れない場合、裁断装置は、ユーザに対して、警告音を発したり、裁断装置のディスプレイに表示するなど、警告表示および/または警告音によって、画像が大きすぎることを知らせる。
オーバーレイ149のキー152,154,156は、それぞれ、基盤表面170よりも高い位置にあり、各キー152,154,156の裏面(図示せず)には、キーボードのキーを受容する凹部が形成される。このように、オーバーレイ149は、裁断装置のキーボード上に置かれると、適合するキー上に正確に位置付けられるように自己整合する。オーバーレイ149の外周縁172も、キーボード上に置かれ、オーバーレイが適切に位置付けられるとともに、オーバーレイの下に引かれるキーパッドとオーバーレイとがずれないようにする。
再度、図3Aを参照すると、カーソルボタン49は、カッターアセンブリの制御に用いられる。すなわち、ボタン49は、複数の矢印を備え、カッターアセンブリ32をマット(図示せず)上の特定位置に移動させるために使用することができる。したがって、ユーザは、4つのアローボタンを使用して、裁断対象の材料上でブレードを特定位置まで移動させることで、ブレードの位置を選択的に制御することが可能である。このことが特に有用なのは、ユーザが、変わった形状の用紙を裁断する場合や選択した裁断を用紙の特定位置で行いたい場合である。したがって、ユーザは、選択した裁断を始める用紙上の位置を選択できる。適切な位置付けが行われ、ユーザインタフェース30によって所望の画像が選択されると、裁断装置10は、CUTボタンすなわちSTARTボタン47が押し下げられて、選択形状を裁断するように指示される。必要に応じて、特定の裁断シーケンス中に裁断処理を停止する必要が生じた場合、ユーザは、STARTボタン49の近傍に配置されたSTOPボタン48を押せばよい。
ここで図6を参照すると、図6は、カッターアセンブリを全体として符号100を付して示す。カッターヘッド部102は、矢印Xで示すX方向において、裁断装置10に対して左右方向に移動する。ヘッド部102の動作は、ヘッド部102内部に収納されるステッピングモータ(図では見えない)によって、ヘッド部102がレール104に沿って動くように制御される。ヘッド部に連結されるのは、所望の材料を裁断できるブレード(図では見えない)を保持するブレード保持部106である。ブレード保持部は、ヘッド部102に取り外し自在に連結され、ヘッド部102が備える解除可能なクランプ機構108は、第2の固定式クランプ部112に旋回自在な状態で連結される第1の旋回式クランプ部110を含み、この2つのクランプ部は、ねじ締め具114によって、相互に解除可能な状態で保持される。クランプ機構108は、ブレード保持部と垂直方向に当接するように係合することで、ブレード保持部106がクランプ機構108に対して垂直方向に動かないようにする。ブレード保持部106は、ユーザによって容易に取り外しができるように構成されているので、ユーザは、ブレードの切れ味が悪くて正確な裁断ができなくなった場合にブレードを交換したり、様々な厚みの材料に適応させるために、ブレード保持部から延びるブレードの長さを調整することができる。
ヘッド部102は、ブレード保持部106を連結して支持するだけでなく、ブレード保持部106を支持するクランプ部112に連結されるソレノイド(図では見えない)を格納する。ソレノイドは、裁断時にブレードが加圧する圧力の大きさを制御する。また、ソレノイドは、Z方向において、材料から遠ざかる方向にブレードを持ち上げるときに、ブレード保持部106の垂直方向の動作を制御し、裁断を行うことなく新たな裁断位置までブレードを移動させる。ユーザは、図1に示すダイヤルの1つを使用して、ソレノイドがブレードにかける圧力を調整することができる。材料によっては、適切に裁断しようとすれば、このような圧力調整が必要になることがある。例えば、普通紙を裁断するための圧力設定は、分厚いカードストックを適切に裁断するには向かないこともある。この場合、圧力を高める必要がある。逆に、分厚いカードストックを裁断するために必要な圧力で普通紙を裁断しようとすると、圧力設定が高すぎて、ブレードが用紙を破いてしまう。
図7に示すとおり、全体として符号120を付したローラアセンブリがブレード保持部に連動することで、特定の形状およびサイズの裁断が行われる。ローラアセンブリ120には、裁断中の材料に係合する一対のローラ122,124が含まれ、これらによって、この材料は、図6に示したX方向と実質的に直交するY方向に動かされる。この裁断中の材料は、ローラ122,124間に挿入され、裁断シーケンス中、ローラ122,124は、矢印Yが示す方向における当該材料のY位置を制御する。ローラ122は、ステッピングモータ126のシャフトと連結し、このモータによって駆動される駆動ローラとして構成される。駆動ローラ122は、ローラ122と裁断中の材料、または裁断中、当該材料に一時的に付着するマットとが引き付け合うような質感を有する構造にしてもよい。付勢ローラ124は、駆動ローラ122が回転している間中、駆動ローラ122によって駆動される材料(およびマット)と駆動ローラ122とを密着させる。付勢ローラ124は、ばね128,130によって、駆動ローラ122に対して付勢される。この付勢特性によって、2つのローラ122,124間には、様々な厚みの材料が挿入できる。したがって、ローラ124は、旋回式装着用ブラケット132,134に回転自在に取り付けられ、この旋回式装着用ブラケット132,134は、これらの旋回運動を可能にするばね128,130によって、旋回可能な状態で装置に連結され、開口部136,138を中心に旋回する。
装置のプロセッサは、駆動ローラ122およびカッターヘッド102を制御するステッピングモータの動作を制御し、プログラムされた裁断が行われるように、裁断中の材料およびブレードの動作を制御する。ステッピングモータの回転方向における動作が正確に制御されるので、正確に裁断することができる。
全体として符号200を付したブレード筐体を図8A、図8B、図8Cに示す。ブレード筐体200は、その内部でブレード202を裁断装置に対して保持し、これによって、内部筐体203に対するブレード202の調整を工場で行えるようになり、また外部筐体204に対するブレード202のブレード調整が容易になるとともに制御され、ユーザによる裁断の深度調整が可能となる。
ブレード保持部200は、裁断装置のヘッドアセンブリにおいて保持されるように構成される。外部筐体204には、周方向チャネル206が設けられ、ブレード保持部を保持する。外部筐体204の末端部210は、その大部分が相対的に平らな底面212である。平らな突出端部210を使用することは、関連技術のブレード保持部の端部が全体的に曲線形であることから見ると、大きな改良である。具体的には、ブレードが材料中を進行する間、裁断中の材料が平らな突出端部210によって押さえられる。また、平らな突出端部210には、平らな面212に連なる放射状の下縁部214も含まれる。当然、下縁部214は、斜面に形成されてもよい。底面212の表面積は、裁断済みの材料を下面が引っ掛けたり持ち上げたりすることなく、裁断中の材料上をスライドできるだけの、充分な大きさがある。さらに、ブレード202が材料を裁断している間、下面212がブレードの周りの材料を押さえることで、ブレード202は、材料を破ることなく裁断できる。また、図8Dに示すとおり、丸い端部を備えた関連技術の裁断装置290の構成において、その丸い端部292に、ミシンに搭載された、針を囲う覆いのように、全体的に平らである端部291を被せれば、平らな突出端部210と同じようにブレード294が貫通する平面293を形成できるであろうとも考えられる。このように、ここでは、平らな突出端部210は外部筐体204に一体化された部品として図示しているが、これに取り付けられる別の部品であってもよい。
また、ブレード筐体200によって、外部筐体204に対するブレード202の調整が可能になる。内部筐体203と一体的に形成されたブレード高さ調整ノブ216を掴んで回せば、内部筐体203が外部筐体204に対して回転する。内部筐体203と外部筐体204とは、相互間の回転量が両方向に限定される形で係合する。図8Aに示す例において、調整ノブ216は、底面212からのブレード202の突出量が最小から最大になるまで、外部筐体に対して約1回転、回転可能である。このような回転による調整を行うために、内部筐体203および外部筐体204は螺合しており、これらのねじのピッチによって、任意の相対回転量に対する、この2つの筐体の相対的な移動量が決定する。例えば、1/4回転させると、ブレードが約0.5mm調整される。360度の回転に4つの設定点を設ければ、調整ノブ216を1回転させると、ブレードの裁断深さが合計で2mm増すことになる。もちろん、設定点を増減すれば、調整可能なレベルを多様化させられる。
調整ノブ216からはプランジャー218が延び、筐体200の末端部210からユーザが掴むのに充分な量だけブレード202を押し出す。筐体202からブレード202を引き抜いて取り外すことができる。別のブレード202を筐体200に挿入すれば、ブレード200の交換が完了する。他に調整を行う必要はない。
図8Bおよび図8Cに示すとおり、筐体200は、内部筐体203および外部筐体204を含む。内部筐体は、外部筐体203の内側に形成される内部ねじ山と噛み合って螺合すねじ切り部分220を外面に備える。内部筐体203と外部筐体204との間には、o型のリング226が挟まれて、内部筐体の周方向チャネル224に嵌められる。o型のリングは、内部筐体203と外部筐体204との間の回転抵抗となる。
内部筐体203と外部筐体204との間に不連続の回転設定点を設けるために、内部筐体203の外面に形成される複数の窪みまたは凹部230に対して、スナップ式軸受け228を付勢して係合する。スナップ式軸受け228は、複数の凹部230の深度よりも半径が大きい金属製の球体である。凹部230の半径は、軸受け228の半径に実質的に近似するように構成される。軸受け筐体232は、外面がねじ切りされ、外部筐体204の側穴234にねじで螺合するように構成される。軸受け筐体232とスナップ式軸受け228との間には、コイルばね236を挟み、スナップ式軸受け228を凹部230に付勢する。そして、内部筐体を回転させて、特定の凹部230と軸受け228とが正確に一致したところで、軸受け228がその凹部230に嵌めこまれる。このように、軸受け228は、凹部230と係合すると、選択した特定の不連続設定点において内部筐体203および外部筐体204の相対位置を維持する。したがって、軸受け228と凹部230とが係合することによって、任意の設定点について、ブレード202の裁断深度を正確に制御できる。内部筐体203および外部筐体204の位置ひいてはブレード202の位置を視覚的に示すインジケータとして、特定の凹部230と周方向に合致する調整ノブ216の垂直方向チャネル237,238に特定の色の塗料または他の適切な材料を塗って色の印を付す。同様に、調整ノブに他の印を付して、内部筐体と外部筐体との相対位置を示してもよい。外部筐体204の上部240には、外側に位置合わせ記号242が付される。記号242と特に色付けされたチャネル237とを合わせることで、外部筐体204の端部210から延びるブレード202を正確に設定することができる。これに代えて、垂直方向に向けられるチャネルとなる垂直方向の指標243を上部240に形成してもよい。ここでも、垂直方向の指標243は、凹部230の1つと合致する。さらに、位置合わせ記号242を設けることが可能な調整ノブの盛り上がった部分に数字を印字または形成してもよい。
ブレード202は、末端が鋭利な裁断端部244であり、基端が円錐状の端部246である。ブレードの本体部248は円柱形であり、これによって、内部筐体203に対するブレード202の回転は、安定的かつ制御されたものでありながら、自由度も備えられる。裁断端部244は、先が細くなり、前縁250および後縁252ができる。このように、ブレード202は、筐体203の内部で自在に旋回でき、前縁250が裁断方向に向けられるような方向を向く。
ブレード202は、磁気ブレード停止部254が発生させる磁力によって、内部筐体203に取り外し自在に連結される。ブレード停止部254は、ブレード202の円錐状端部246と係合する軸受け面となり、磁力によってブレード202を保持しながら、ブレード202が自由に回転できるようにする。ブレード202の本体部248の長手方向の軸は、ブレードの軸受け部258が筐体203の末端部近傍に位置付けられた状態で、筐体203の長手方向の軸と、直線方向および同心円方向に合致する。
ブレード202を筐体203から取り外すために、プランジャー218が設けられる。プランジャー218は、筐体203に対して長手方向に動作可能であり、コイルばね260によって筐体203の基端部に向けて付勢される。プランジャー218の末端部262は、磁気ブレード停止部254に当接する。したがって、筐体203に対する末端部262の位置によって、筐体203に対するブレード202の位置が決まり、外部筐体204に対する筐体203の長手方向の位置によって、平らな突出端部210の表面212から延びるブレード202の末端部244の長さが決まる。
工場の許容誤差による部品寸法のばらつきによって、任意の設定点における端部212に対するブレードの端部244の位置が異なることがあるので、筐体203に対するブレードの端部244の位置が工場で適切に設定されるように、工場調整部材262が設けられる。部材262は、筐体203の内面200とねじで螺合するように、外面にねじ切り部264を有する。部材の上部266には、六角ヘッドが備わり、同様の大きさのソケットで回転可能である。この部材は、プランジャー218の周りにスリーブを形成し、これに対してプランジャー218がスライドできるようにする。この部材262を筐体203に螺合させると、部材262の長手方向の開口部270よりも幅の広いプランジャー218の末端部262が、筐体203に対する部材262の螺合距離と同じ距離だけ、筐体203の上端部に押し付けられる。このように、工場において、ブレードの端部244が筐体204の表面212と同一平面になるまで、部材262を筐体203に螺合することができる。そして、ノブ216を貫通させて、止めねじ265を筐体203の側面に螺合することで、筐体203に対する部材262の設定位置を保持する。このように、筐体203,204に対して長手方向に適切に各ブレード202を位置付けることができるので、ノブ216を回転させて調整したときのブレードの変位量は、各ブレード筐体200について同一になる。
図8Cに示すように、筐体203は、2つの異なる直径を有する内孔272を含む。大径の上部と小径の下部との界面は、調整部材262と当接して係合し、ここで、筐体203に対する調整部材262の挿入量が最大となる。図では、調整部材262と界面との間に小さな間隙が示されている。
ブレード保持部200が図8Cに示すように完全に組み立てられると、第1内部筐体203と第2外部筐体204との相対位置の調整は、両方向において限定され、設けられる調整位置の数が限定される。本実施例においては、第1筐体203と第2筐体204との相対移動が1回転に限定されると、嵌め込み位置の数は4つに限定される。もちろん、内部筐体の窪みの数を増やせば、嵌め込み位置の数を増やすことができる。第1筐体203と第2筐体204とが回転するにつれて、より密接に係合する場合、周方向に盛り上がった部分278(図8B参照)の底面276が筐体204の内面280に当接すると、回転が停止する。第1筐体203と第2筐体204とが逆方向に回転すると、相互に離れていき、球状筐体232が筐体204の側を貫通して突出し、当接する。このように、突出部278の上面282が球状筐体232と当接し、第1筐体203と第2筐体204との相対的な回転を進めないようにする。
ブレード保持部200は、裁断ブレードを保持するだけでなく、エンボス加工具および筆記具を受容してもよい。例えば、ブレード保持部200は、裁断するよりもむしろシート材料に模様をつけることができる丸型端部または鈍頭を有するエンボス加工具を受容したり、シート材料の表面に書き込めるペンや鉛筆などの筆記具を受容することができる。組み合わせて使用すれば、シート材料の書き込みと裁断が、ブレード保持部200によって行われる。このようにして、ユーザは、対象または形状を切り取るだけでなく、筆記具でデザインを加えることもできる。
図1、図2、図4に示す裁断装置の動作時の操作は単純である。図14は、全体として符号600を付した、電動裁断装置の操作方法の略図である。裁断装置は電子機器であるため、ユーザ電源コードを差し込む(602)。ONボタン22を押すと(604)、装置の電源が入り、扉24,26が開く。ユーザは、ディスプレイリッドとマット台を開く必要がある場合もある(606)。特定のカートリッジ50およびキーボードオーバーレイ49を選択する(608)。カートリッジ50をソケット52に挿入し(610)、対応するキーボードオーバーレイ49をキーボード40に被せる(612)。オーバーレイ49には、対応するカートリッジ50に含まれる文字セットまたは画像セットの具体的な内容および特徴が示されている。ユーザは、裁断用マットを選択し(614)、その裁断用マット上に用紙を置く(616)。
図9に示すように、裁断用マット300は、裁断装置10によって裁断する紙またはシート状の他の材料を保持する。マット300は、横6インチ×縦12インチの用紙を保持するように構成されている。マット300のグリッド付き表面部302には、取り外し可能な程度の粘着性を有するレイヤ307が塗布され、裁断中は紙を付着させるが、永久的に接着させるのではなく、マットから剥がせるようにする。グリッド付き表面部302のグリッド線は、用紙を位置付けるときに位置合わせ機能を発揮する。裁断対象の用紙が置かれるマット部分にのみ接着剤を塗布すれば、裁断装置によってマットが移動しても、マットの接着剤が裁断ローラの各部品に移ることもない。本質的に、マット300は、接着剤の接着機能の効果がなくなるまで、複数回の使用が可能な「粘着性のある」表面を含む。マット300の右上の隅には、ブレード位置合わせ用の指標マーク306が付される。マット300は、6×12インチの用紙とともに裁断装置10に供給される。
図9に示すように、裁断用マット300は、矩形のシート状で、例えば6×12インチ(6”×12”)で実現されてよい。裁断用マット300は、裁断時に縦長モードまたは横長モードで挿入可能である。シートサイズは、12”×12”や12”×24”等、その他のサイズも可能である。通常、ユーザは、裁断用マット300のサイズをユーザインタフェース30より選択できる。また、電動裁断装置10が自動的に裁断用マット300のサイズを検出するようにしてもよい。自動検出の例として、光学読取装置でマット300の各縁(または基点)を検出してサイズ検出を行うことが挙げられる。別の例として、光学読取装置で裁断用マット300に付したバーコードを検出してもよい。このような光学読取システムは、裁断用マット300に乗せる用紙(または他の裁断対象材料)のサイズ検出にも使用できる。
再度、図14を参照すると、典型的な印刷機に用紙を挿入する要領で、抵抗を受けるまで、マットを装置のローラ間に挿入する(618)。オーバーレイ49の「Load Paper」ボタンを押すと(620)、マットは自動的に装置に取り込まれ、ブレードがマットの右上の隅304まで移動する。このように、装置は、用紙取り込みボタンを1つ押すだけで、自動的に裁断対象の用紙を取り込むことができ、ブレードを開始点まで移動させる。このように、装置は、裁断対象の用紙に対する位置を正確に把握する。本明細書で検討したように、必要に応じ、アローボタンを選択してブレード位置を調整してもよい。裁断対象の文字または形状を選択するには、それらをキーボード40でタイプする(622)。文字および/または形状は、液晶ディスプレイ35に表示される。所望の文字および/または形状が選択されると(622)、ユーザは裁断対象の画像について、所望のサイズをダイヤルできる(624)。ユーザが「CUT」ボタンを押すと(626)、裁断装置は、選択された画像を切り取り始める。裁断処理が終了すると、ブレード筐体は開始点に戻り、ユーザは取り出しボタンを押すことができ(628)、装置が裁断用マットを排出する。切り取られた画像は、裁断用マットから剥がせる(630)。
前述のように、裁断対象画像をカスタマイズできる特定の機能は、キーボードオーバーレイに印字された文字を変更するために設けられている。「Shift」ボタンは、上の文字のキー(図4において灰色で示したキー)(大文字など)を選択するのに使用でき、「Caps」ボタンは、対応キーが押されると上の灰色の文字が常に選択されるようにキーボードを固定する。典型的なコンピュータのキーボードと同様、「Back Space」は、直前に入力した選択を取り消し、「Space」は、文字と文字との間にスペースを挿入する。「Clear Display」キーは、液晶ディスプレイをクリアし、「Reset All」キーボタンは、装置をリセットして、キー152で選択した文字機能などの、以前に設定されたあらゆる選択を解除する。同一文字または選択した文字を複数個、同じように切り取りたい場合には、「繰り返し(Repeat Last)」キーを選択すればよい。さらに、6×12インチのシートを使用しない場合は、用紙サイズを変更することができる。
前述したとおり、ユーザは、対応のダイヤルで所望のサイズを選ぶことで、裁断中の文字サイズを容易に変更できる。特定のフォントについて各文字サイズの整合性を保つために、そのフォントセットに含まれる最大可能文字に比例させた自動サイズ調節が行われる。この比例によるサイズ拡大・縮小を採用したくない場合には、「Real Dial Sizing」キーを選択すれば、特定の文字のサイズを、選択したサイズと同一にすることができる。例えば、文字「a」を選択して切り取る場合、「Real Dial Sizing」が選択されなければ、この文字「a」(小文字)は、「A」(大文字)のフォントサイズに比例し、釣り合いの取れた大きさにされる。「Real Dial Sizing」が選択されれば、文字「a」は、文字「A」と同じサイズに裁断される。所望の文字または画像がすべて選択されると、ユーザによって「Cut」ボタンが押され、裁断装置10が形状を切り取る。機能ボタン52は、セットごとのカスタム機能を有効にする。このような機能は、具体的な各カートリッジごとに異なるので、様々な要素を追加して拡張性および汎用性を持たせることができる。機能を選択するには、ユーザが、その機能を適用したい文字または画像を選択してから、所望の機能ボタンを押すだけでよい。このように、所望の特性に対応したオーバーレイのボタンを押せば、特定のオーバーレイに示される文字を変更できる。
1つのカートリッジに設定されるフォント、文字、形状、および/または画像を保存するのに必要なメモリを削減し、各カートリッジのコストを削減するために、画像およびフォントは、アルゴリズムとして保存される。このように各文字、画像、機能ごとに1つのアルゴリズムを保存すれば、拡大・縮小は、その文字、機能、画像を示す特定のアルゴリズムに適用する倍率の問題にすぎない。こうすれば、サイズごとに別個の画像をカートリッジに保存する必要はない。したがって、機能が追加された文字のサイズ変更を可能にするには、その機能/文字の組み合わせに適用するアルゴリズムの大きさを変えることにすぎないので、異なる別の機能(輪郭線、影付き、下線など)が追加された各機能/文字の組み合わせについて、ストレージは必要ない。このように、カートリッジに保存されるフォント、文字、画像と、特定のシーケンスにおける一連の直線および/または曲線を示すアルゴリズムとは、解像度について無関係であってよく、画像の解像度は、含まれる個々の直線部分または曲線部分の数を増やせば、向上する。
CUTボタンの周りに配置されるブレード調整アローキーによって、ユーザは、ブレードをマット上の所望の位置に移動させることができる。任意の用紙上の所望の位置にある画像を裁断装置に切り取らせるには、このようなブレード調整がしばしば必要となる。一方、装置は、能力が非常に高く、選択された用紙に選択された画像およびサイズが収まるかどうかが分かるだけでなく、特定の用紙から何を切り取ったか、そして、裁断対象として新たに選択した形状がその残った用紙に収まるか否かも分かる。例えば、マットに付着させた用紙から最初の画像を切り取る場合、ユーザはUnload Paperキーを押せば、裁断した形状を取り出せる。そして、Load Lastキー168を押すと、残りの紙で次の裁断を行うために、このマットを再び装置に戻すことができる。したがって、ユーザは、Load Lastキー168を押して、次に切り取る新たな形状を選択し、CUTボタンを押すと考えられる。リセットされるまで、装置は、裁断済みの形状およびそれらのマット上の位置をメモリに保存している。ユーザが裁断対象の文字または形状を新たに選択し、Load Lastキー168を押すと、裁断装置は、次の形状を裁断するために、まだ裁断されていない用紙部分までカッターヘッドを、自動で動かす。さらに、裁断装置は、選択されたサイズに裁断される予定になっている特定の文字または形状が残りの用紙に収まるかどうかを判断する。ユーザが選択した文字または形状が大きすぎて、残りの用紙から切り取れない場合、裁断装置は、ユーザに対して、警告音を発したり、裁断装置のディスプレイに表示するなど、警告表示および/または警告音によって、画像が大きすぎることを知らせる。このとき、ユーザは文字を収まるように縮小するか、マット上の用紙を所望のサイズで切り取れる用紙に交換するかを選択する。
図15に示すように、装置は、選択した特定の文字、画像、または一連の文字および画像が裁断対象の用紙または既に裁断が行われた残りの用紙に収まるかどうかを判断することができる。図15に、選択した裁断が収まるかどうかを判断する方法を、全体として符号650を付して示す。まず、装置は、ユーザによるLoad Paper入力を受信し(652)、それから、用紙を装置に取り込む。次に、ユーザは裁断する用紙サイズを入力し、装置がその情報を受信する(654)。あるいは、用紙サイズは、初期設定値、例えば6インチ×12インチの大きさとされる。それから、ユーザは、前述のとおり、ユーザインタフェースであるキーボードを使用して、裁断対象の文字、画像、その他の形状を入力し、それを装置が受信する(656)。そして、ユーザは、裁断対象の画像サイズを選択し、それを装置が受信する(658)。その後、装置は、用紙または残りの用紙のサイズに対する、選択された文字、形状、大きさの割合を計算する(660)。ユーザがCUTボタンを押すと、装置は、選択した裁断がシートに収まるかどうかを判断する(662)。シートに収まらない場合、装置はエラーメッセージを表示し、かつ/または警告音を発し(664)、選択した文字または画像の許容サイズが受け取れるまで待機する(658)。選択した画像のサイズが用紙または残りの用紙に収まる場合、装置は、その画像を切り取る(665)。そして、裁断した画像のCUT情報を保存する(668)。ユーザが「Unload Paper」ボタンを押して裁断用マットを取り出し、その裁断用マットから裁断画像を剥がした後、ユーザは、その裁断用マットを、マット上の残りの紙とともに、再び装置に挿入することができる。一度挿入して、ユーザが「Load Last」670ボタンを押せば、装置は、ユーザが同一の用紙を再度裁断しようとしていることを認識し、保存されているCUT情報を使用して、裁断対象の文字または画像の次のセットがそのシートに収まるかどうかを計算する。この機能によれば、ユーザがページを読み取らせると、前回の裁断終了時の位置までブレードが自動的に戻るようにすることもできる。これが有用となるのは、ユーザがマットを取り出して裁断物を剥がした後に、そのマットを戻して残ったページで裁断を済ませる場合である。「Load Last」ボタンが押されなければ、装置自体がリセットされる(672)ので、新たな用紙を使用できる。
図10A〜図10Pは、全体として400を付した裁断装置の様々な内部部品および外部部品を示す各種図面である。全体として、この装置の各機能は、これまでのものと比べて、個々の部品の組立て、修理、交換が容易になるように構成されている。これらの部品は、交換が必要な場合に、(配置を変更する等して)容易にアクセスできるとともに取り外しが容易である。
裁断装置400には、裁断装置400の各種部品が取り付けられる主筐体が含まれる。右側の端部キャップアセンブリおよび左側の端部キャップアセンブリは、筐体の美観を考えた覆いであるとともに、装置400の側面を掴むための窪みを有するハンドルともなる。筐体の左側面には、モータ台を備えるステッピングモータが連結される。このモータが駆動ローラを駆動することで、マット(図示せず)がブレード筐体に対して移動する。組み立てられると、駆動ローラは基部材のチャネル内部に収納され、ローラの上部が基部材の上面から延びてマットの底面と係合する。
筐体の右側面に設置される第2のステッピングモータは、カッターアセンブリを駆動する。組み立てられると、ブレード保持部は、駆動ローラの近傍に位置し、裁断中は、駆動ローラと平行に移動する。
回路基板は、筐体の底面に連結して収容される。回路基板は、少なくとも1つのプロセッサおよびメモリを含み、ステッピングモータの動作を制御し、カートリッジと通信し、ユーザインタフェースと通信し、液晶ディスプレイを制御し、ファームウェアの更新やカートリッジのコンテンツをダウンロードするなどの目的で外部コンピュータと通信する。
裁断装置のプロセッサは、例えば128Kbのメモリを有するAtmel Mega 128チップやこの分野で公知の他のプロセッサ等、指示を実行できるプロセッサであればよい。カートリッジ435は、4〜8メガバイトのメモリチップとともに、Atmel Mega 8チップなどを、それ自体のプロセッサとして備える。 あるいは、カートリッジ435が不揮発性メモリと、裁断装置のプロセッサと通信するためのインタフェース制御装置を含んでもよい。もちろん、プロセッサおよびメモリチップのサイズ、速度、種類は、この分野で公知のものであれば、どれを使用してもよい。
ユーザインタフェースは、キーボードアセンブリおよびカッター制御ボタンを含む。キーボードアセンブリは、複数の付勢キーを含むキーパッドを含む。カッター制御ボタンは、複数のボタンを含む。キーパッドおよびボタンは、両方とも、プロセッサと通信する回路基板と連動する。キーパッドは、マトリクス状に構成され、キーが押されたことを送信する。ボタンは、キーパッドのマトリクス構成の一部として構成されてもよいし、それ自体がマトリクス状に構成されてもよい。これに代えて、各ボタンは、プロセッサまたは回路の直接入力として、またはインタラプト(例えば、「Stop」ボタンについて前述したようなもの)として、構成されてもよい。フェースプレートには、複数の凹部が形成され、そこにキーパッドおよびボタンが受容され、支持され、保持される。キーパッドのキーは、フェースプレートの凹部を貫通してオーバーレイの裏面で受容されるだけの高さがある。
図11Aおよび図11Bに示すように、オーバーレイ450は、ユーザに押し下げられる、複数の盛り上がった突起452を表面側454に有する。オーバーレイ450の裏側456には、キーパッド440の個々のキー442を受容する複数の凹部458が備えられる。オーバーレイは、可撓性および弾性を有するゴム状の材料から成形されるので、ユーザがオーバーレイを押すと、オーバーレイの下のボタンが押し下げられる。したがって、ユーザが特定の突起452を押すと、その突起の下にあるキーが押し下げられる。オーバーレイ450は、キー442の上に置かれると、凹部458とキーとの係合によって、キーひいてはキーパッドとの相対位置に保持されるので、キーが常にオーバーレイと適切に合致する。
図12に示すように、カートリッジ500は、プロセッサ512およびメモリ514を含む回路基板506を収納する2つの収納用部品502,504を含む。プロセッサ512は、回路基板の端末すなわち接点516を介して裁断装置と通信する。メモリ514は、特定のカートリッジ500に含まれる画像または文字を構成するアルゴリズムの形態をした各種データを保存する。プロセッサ512は、裁断装置のプロセッサと通信するので、カートリッジに保存されているデータが裁断装置に送信可能となる。このように、典型的な構成では、カートリッジに含まれるデータを変更できないので、新しいフォントセットおよび/または画像セットが必要な場合は新しいカートリッジが使用される。裁断装置は、一定の状況において、裁断装置にあるポート(例えばUSBポート)から、カートリッジおよび/または裁断装置に対する新たな画像、フォント、ファームウェア最新版のアップロードが可能である。筐体は、組み立てられると、裁断装置に設けられたソケットに合うようなサイズおよび形状を有するソケット挿入部508が形成されるので、接点516はカッターソケットと係合し、裁断装置との通信が行われる。
装置の裏面には、縦長の開口部が含まれ、裁断処理中、マットはここから突出することができる。電力コードに接続する電源アダプタポートと、裁断装置を外部コンピュータに取り付けるUSBポートも設けられる。一方で、裁断装置は、前述のとおり、外部コンピュータを取り付けて使用しなくとも、完全に動作可能である。したがって、接続を行うのは、裁断装置の更新対象とされる全ファームウェアを更新する場合や、裁断装置と通信して、特定のカートリッジに保存されたコンテンツを装置を通じて更新する場合である。
裁断装置は、これ自体、単独で充分に動作する装置であると記載したが、本明細書に教示し、記載した各種部品、処理、手順をこの分野で公知の既存裁断装置にも適用できるであろうことは、当業者に理解されることであると思われる。さらに、裁断装置に別個のカートリッジを使用せず、取り外すことのできないメモリに画像、形状、文字を全て保存し、そのコンテンツは、パーソナルコンピュータに接続すればアップデートできるようにすることもできると考えられる。また、交換可能なメモリモジュールが望まれる場合、特定の独自構成を有するカートリッジを図示したが、この分野で公知のフラッシュメモリカードを使用するなど、公知の構成を有するメモリストレージデバイスを適応させて使用してもよい。
また装置は、「Paper Save」等、様々な独自機能を有する。この設定では、選択した形状を自動で再配列してまとめることで、これがなければ空白となった用紙のスペースを有効利用する。
裁断装置には、裁断対象の画像、文字、および/または形状をユーザがカスタマイズできるような多数の機能が備えられる。例えば、各カートリッジにカスタム機能効果が含まれ、その機能ボタンが対応のオーバーレイによって設けられる。これらの機能は、具体的な各カートリッジごとに異なり、拡張性および汎用性のある強力な要素を追加できる。また、CUTボタンを囲むアローボタンを使用して、ブレードを所望の位置に案内することもできる。これが非常に有用となるのは、用紙の特定箇所を、特に無駄を省くために、切り取る場合である。裁断用マットに示される開始点708から遠ざかる方向に移動すると、装置が画像を切り取るために、その画像サイズを縮小する必要が生じる場合がある。残りの用紙範囲が小さすぎる場合、装置は、ユーザに警告を発して、ユーザに裁断対象の画像サイズを縮小させる。装置の標準サイズ以外の用紙サイズを使用する場合、ユーザは、ブレード位置付けボタンおよびサイズダイヤルを使用して、その用紙サイズに調整する。「Set Paper Size」ボタンを押すと、ユーザによる用紙のカスタムサイズ入力が可能になり、これによって装置は、取り込んだシートの「ホーム」となる裁断位置を認識する。装置は、「down」で、装置を正面から見たときに用紙の左側の縁に向かって、画像の底辺によって規定される長手方向に裁断を行う。
裁断対象の材料として、普通紙またはカードストック以外の材料が選択された場合、装置は、そのような材料ごとにカスタマイズされる。例えば、その裁断対象の材料を破ることなく完全にブレードで切り取れるように、圧力ダイヤルを回して、当該材料に対するブレードの圧力を増減する必要がある場合がある。さらに、紙材料であれば、裁断速度を緩める必要のあるものもある。したがって、速度ダイヤルを下げて、ブレードが材料を破ることなく裁断を行えるようにすることが可能である。材料の厚みに合わせ、上述のように、ブレード収納調整ノブを回してブレードの深度調整を行うことが可能である。
この装置にとって、画像および形状の初期サイズは、「相関的」である。つまり、ある文字セットに関する全体の裁断結果は、そのセットに含まれる最大可能文字または最大可能画像(キー高さ文字(Key Height Character)と称する)に比例することになる。これによって、文字同士の正確なサイズ関係が維持される。一方、「Real Dial Sizing」ボタンを押すと、画像または文字のリテラルサイズが選択される。したがって、例えば、切り取られた文字「c」は、文字「f」よりも高さが低くなる。
追加機能としては、0.1インチごとに増加するデジタルサイジング(2.3”、3.1”等)や、グリフの回転を可能にする増分回転(Incremental Rotate)が挙げられる。回転機能を採用するには、別のダイヤルを設け、ユーザがこれによってグリフを中心軸周りに「スピン」させればよいが、設定した間隔、例えば45度および/または90度の増分ずつ、グリフが回転できるようになる。デジタルサイジングは、例えば、ダイヤル20(図1参照)を回すか、キーパッド上の回転関連キーを使用するか、ソフトキーを使用することによって、実現可能である。
電動裁断装置10の動作設定を行う際、文字/形状に多数の機能を施すことができる。例えば、ユーザが文字ベースのメッセージを切り取りたい場合、各文字に異なる属性を割り当ててもよい。各属性を設定するには、既存の文字を(位置付けキーおよびディスプレイを使用する等して)選択し、キーボード40またはダイヤル18,19,20を使用して機能を変更する。例えば、各文字または形状について、大きさ、位置、回転、斜体、イタリック体、その他のパラメータの変更が可能である。さらに、複数の図形または形状を切り取る場合(複数個選択された場合等)、各図形または各形状は、機能ごとに個別にカスタマイズされる。これに代えて、ユーザは、カスタマイズされた機能を全文字/形状に適用してもよい。文字ごとに、ユーザの選択またはカスタマイズに基づいた各自の「機能」属性リストが保持される。一使用例として、ユーザは、ディスプレイ上でカーソルを動かし、文字を選択する。そして、ユーザは、選択した文字の機能選択を見直し、かつ/または変更する。ユーザの手助けとなるように、ある機能が選択されば、各種機能ボタンであるLEDが発光するようにしてもよい。このようにして、選択された文字に適用される機能のステータスについて、機能選択ボタンがユーザに対してフィードバックを行う。このような、文字ごとに個別に機能を割り当てるシステムは、ミックス・アンド・マッチ(mix-and-match)システム(またはミキシン・マッチ「mix'n-match」機能、等)と称されることがある。
他のシステム機能として、文字/形状の鏡像化を可能にする「反転(Flip)」機能が含まれてもよい(図17参照)。例えば、ユーザが「反転」機能(例えば、キーボード40に割り当てられている)を選択すると、ユーザは、文字の、その垂直方向の中心線を基準とした鏡像を得ることができる。この機能は、例えば、「裏」面から裁断しなければならない(例えば、自己接着性の)用紙の使用を可能にするので、有用である。
「自動挿入(auto-fill)」機能を使用すれば、全体が用紙の残りの部分に収まる範囲内で、処理中の文字/形状インスタンスをできるだけ多く使用してページを埋めることができる。自動挿入機能は、同一形状を多数切り取る場合に有用である。
「自動拡張(auto-expand)」機能は、文字/形状またはその集合について、サイズを再設定し、ページの残りの部分が全体的に使用されるようにすることが可能である。自動拡張機能を使用すると、ページの使用面積を最大化することができる。実施例として、12個の文字/形状の集合に自動拡張機能を適用すると、この集合全体が、ページ全体を占めるように、拡大されるので、この集合の最大サイズがこのページサイズとなる。
「回数(quantity)」機能によれば、ユーザは、選択した処理中の文字またはその集合の裁断回数を選択できる。例えば、回数機能を選択すると、ユーザは、「裁断回数」(例えば、各文字について裁断を行う回数の合計)について質問される。ユーザは、「quantity」ボタン(例えば、キーボードにある)を押して、ダイヤル29またはキーボード上のアローキーで裁断回数を入力する。そうすると、ユーザは裁断を開始するように指示される。ユーザが裁断を許可すれば、ディスプレイには裁断回数状況が示され、ユーザに裁断処理が示される。その裁断回数を完了させるには複数のページが必要である場合、システムはユーザに新しいページを挿入するように指示し、その後、裁断動作を再開する。ユーザは、いつでも(設定中や裁断開始後など)、「stop」ボタンを押して回数設定を解除できる。
「中心点(center point)」機能によれば、ユーザは中心点周りの形状を切り取ることができる。ユーザは、所望の裁断範囲の中心上にカッターを位置付け、中心点機能を設定する。ユーザは、キーボード上の「center point」ボタンを押して中心位置であることを示す。その後、ユーザは、裁断対象の形状を選択し、裁断動作を開始させる。中心点機能の一例では、写真から楕円が切り取られる(図18に図示)。
「マルチカット(multi-cut)」機能は、同一線を複数回、裁断するときに有用な場合がある。これによって、チップボードなどの厚みのある材料の裁断が可能となる。マルチカット機能を使用すると、第1のパスで材料の最初の裁断が行われるが、その材料の全厚は裁断されなくてよい。第2のパスで(例えば、この機能において裁断は複数回行われる)、最初の裁断経路を辿るように次の裁断が行われる。これによって、ブレードは材料のより深部まで裁断することができる。装置が行う再裁断の回数は、設定機能で設定されてもよいし、この機能が設定される度にユーザプロンプトに応答する形で設定されてもよい。
「改行(line return)」機能によって、ユーザは、ワードプロセッサでできるような改行を入れることができる(図19参照)。これによって、ユーザがマットの隅の1つに大きめの文字/記号を置くために大きめの長方形部分を空けておきたい場合等、ユーザによる裁断構図の自由度が向上する。
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明する目的で使用されたものにすぎず、本発明の権利範囲を限定しようとするものではない。さらに、本明細書に使用する用語「形状」とは、本発明の装置もしくは装置または他の位置にあるカートリッジに保存され得る、本装置によって切り取られる特定の画像、フォント、文字を指す。また、本明細書に使用する用語「シート」とは、本明細書で説明したような電動裁断装置10で裁断可能なシート状のあらゆる材料を指し、例えば、カラー紙、カードストックなどの様々な厚みを有する紙だけでなく、プラスチックシート、段ボールシート、ホイールシート、その他の公知材料からなるシートなどが含まれるが、これらに限定されない。また、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用した単数形の「a」、「an」、「the」には、文脈においてこれに相反する明記がなされていない限り、複数の意味も含められる。
断りのない限り、本明細書で使用された技術用語および科学用語は、すべて本発明が属する分野の当業者が一般に理解する意味を持つ。本明細書において、本発明に関して、様々な方法、構成、材料を記載したが、ここに記載したものと類似する、すなわち均等な方法および材料は、本発明の実施または検査に使用できる。本明細書に挙げた全ての文献は、参照することによって、あらゆる目的について、その全体が本明細書に取り込まれる。
上述の本発明の利点は、図示した本発明の実施形態で示したが、本発明の構成、設計、構造に様々な変更を施すことが可能である。したがって、本明細書において述べた本発明の構成および機能の具体的な内容は、例を挙げたにすぎず、これらに限定されるものではない。
本発明は、上述の実施形態によって具体的に図示して説明したが、これらは本発明を実施するための最良の形態の例示にすぎない。当業者であれば、本発明を実施するにあたり、以下の特許請求の範囲に規定した本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載した本発明の実施形態について、様々な代替手段を採用できると思われる。これらの実施形態には、本明細書に記載した新規で非自明な要素のあらゆる組み合わせが含まれ、これらの要素の新規で非自明な組み合わせについて、本願または後の出願において、特許請求を行う場合がある。また、上述の実施形態は、例示であり、いかなる特徴または要素も、本願または後の出願において特許を請求する可能性のある全ての可能な組み合わせにおいて、不可欠となるものはない。
本明細書に記載した処理、方法、発見的問題解決法などについて、このような処理等の工程が一定の順序のシーケンスに従って起きるものとして説明しているが、本明細書に記載した順序以外の順序で上述の工程を行っても、このような処理を実施することはできる。さらに、工程によっては同時に行うことも可能であり、他の工程を追加することも、本明細書に記載したいくつかの工程を省略することも可能である。言い換えれば、本明細書に記載した処理の説明は、特定の実施形態を例示するためになされたものであり、特許を請求する発明を限定するものと解釈されてはならない。
したがって、上述の説明は、限定ではなく、例示を目的としていると理解されたい。当業者は、上述の説明を読めば、記載した実施例以外にも多くの実施形態および用途があるということが分かるであろう。本発明の範囲は、上述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲およびその均等の全範囲に基づいて決められるものである。本明細書で検討した技術は、将来的に発展すると考えられ、ここに開示したシステムおよび方法は、そのような将来の実施形態に組み込まれる。すなわち、本発明は変更可能であり、以下の特許請求の範囲にのみ限定されると理解されたい。
特許請求の範囲で使用される全ての用語は、本明細書において相反する内容が明示されていない限り、妥当な範囲内でできるだけ広く解釈され、当業者が理解する通常の意味を有する。特に「a」、「the」、「said」などの単数形が使用されている部分は、特許請求の範囲に相反する明示的な限定がない限り、示された要素の1以上について述べられているものと読む。