JP2010514994A - 重負荷多速度ファンクラッチ用の機械的すべりフェールセーフシステム - Google Patents

重負荷多速度ファンクラッチ用の機械的すべりフェールセーフシステム Download PDF

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Abstract

重負荷多速度クラッチ用のフェールセーフシステムは、クラッチパックを熱劣化から保護するクラッチ圧力管オリフィス回路内に連結された熱動弁を有する。クラッチのオイル温度が、熱劣化が発生する可能性のあるレベルに達すると、熱動弁は、最大動作圧力でのクラッチピストンシステム内への流れを可能にし、それによりクラッチ駆動装置を係合させ、クラッチを安全な状態まで冷却する。

Description

本発明は、自動車システムで使用されるもののような多速度ファンクラッチシステムに関する。より詳細には、本発明は、重負荷多速度ファンクラッチ用の機械的すべりフェールセーフシステムに関する。
粘性せん断型の流体継手装置(「ファン駆動装置」)は、主に、それを使用することによりエンジン馬力が実質的に節約されることになるため、エンジン冷却ファンを駆動するために長年にわたり普及してきた。典型的な流体継手装置は、冷却が必要な場合のみ、係合した、相対的に高速の状態で動作する。さらに、冷却がほとんどかまたは全く要求されない場合は、係合解除した、比較的より低速の状態で動作する。
現在、粘性流体ファンクラッチまたはファン駆動装置は、自動車エンジン冷却アセンブリで使用されており、さらなる応用が常に開発されている。ファンクラッチのファン速度を、内部ファンクラッチトルク伝達を制御することによって、より効率的な車両運転およびより優れた冷却に向けて制御することができる。
粘性流体ファンクラッチは、一般に、動力入力部材と動力出力部材とを有している。クラッチの動力入力部材は、エンジンによりまたは補助電源により駆動される。動力出力部材は、ファンを駆動して、冷却空気を、ラジエータ、オイルクーラおよびエアコンコンデンサの熱交換素子に通す。これらクラッチは、動力入力部材から出力部材までトルクを伝達するために粘性流体を使用する。これら装置の動作時、動力入力部材は、出力部材より高速で回転することが多い。それらの速度の差を、すべりと呼ぶ。すべりは、ファン駆動クラッチにおける動力損失を表し、極度の動作状態熱(extreme operation condition heat)の間に発生するすべり状況に対しフェールセーフシステムを提供する方法が、常に求められている。
粘性駆動装置は、常にある程度すべっており、それにより完全に係合したピーク動作速度でまたは最初に設計された速度より高速で回転することができなくなる。粘性駆動装置は、連続してすべっているため、摩擦クラッチアセンブリとは異なり、連続して熱を発生している。エンジン冷却が必要となるほど、より大きくかつコストのかかる粘性駆動装置および冷却ファンが必要となるため、粘性駆動装置にはさらに限界がある。したがって、エンジン冷却要求が増大すると、粘性駆動装置はサイズおよびコストにおいて非実用的になる可能性がある。
エンジン冷却要求が増大しているため、現在、従来のファン駆動システムより冷却量が増大するだけでなく、粘性駆動装置の関連する欠点なしに上述したような関連する利点を有することが可能な、ファン駆動システムが望まれている。また、ファン駆動システムは、サイズおよびコストが、従来のファン駆動システムとおよそ同様であるように、好ましくはそれを超えないように、実際的かつ妥当であることも望ましい。本発明は、これらを目的としている。
重負荷多速度ファンクラッチ用のフェールセーフシステムは、クラッチパックを熱劣化から保護するクラッチ圧力管オリフィス回路内に連結されている熱動弁を有する。クラッチのオイル温度が、熱劣化が発生する可能性のあるレベルに達すると、熱動弁は、最大動作圧力でのクラッチピストンシステム内への流れを可能にし、それによりクラッチ駆動装置を係合させ、クラッチを安全な状態まで冷却する。熱動弁は、熱スイッチ又はセンサとすることができる。
本発明を、さまざまな構成および用途を有する流体継手装置で有利に使用することができるが、内燃機関のラジエータ冷却ファンを駆動するために使用されるタイプの継手装置において特に有利であり、それに関連して説明する。
本発明の他の特徴、利益および利点は、本発明の以下の説明を、添付図面および添付の特許請求の範囲に従って検討することによって明らかとなろう。
本発明がより完全に理解されるために、ここで、添付図面により詳細に示されておりかつ本発明の例として以下に説明されている実施形態を参照するべきである。
本発明の一実施形態による液圧制御ファン駆動システムを利用する車両の斜視図である。 本発明の一実施形態による液圧制御システムの断面図である。 本発明の好ましい一実施形態による、閉鎖位置にある圧力逃し弁を利用する液圧制御システムの一部の断面図である。 本発明の好ましい一実施形態による、開放位置にある圧力逃し弁を利用する液圧制御システムの一部の断面図である。 本発明の一実施形態を概略的に開示する。
以下の図面では、同じ参照数字を用いて同じ構成要素を参照する。本発明を、ファンクラッチフェールセーフシステム13用の方法およびシステムに関して説明するが、本発明を、車両システム、冷却システム、ファン駆動システム、摩擦駆動システムまたは他のシステムを含むさまざまなシステムに適合させかつ適用することができる。
以下の説明では、1つの構成された実施形態に対してさまざまな動作パラメータおよび構成要素について説明する。これら所定のパラメータおよび構成要素は、例として含まれており、限定するように意図されるものではない。
また、以下の説明では、さまざまなファン駆動装置構成要素およびアセンブリを、例示的な一例として説明している。用途に応じて、ファン駆動装置構成要素およびアセンブリを変更することができる。
ここで図1を参照すると、本発明の一実施形態によるファンクラッチフェールセーフシステム13(図2、図3Aおよび図3Bにさらに示す)を有するファンクラッチシステム12を利用する車両10の斜視図が示されている。システム12は、率が上昇する液体冷却エンジン14からの回転エネルギーを使用して、ラジエータ18に空気流を提供するためにラジエータ冷却ファン16を回転させる。システム12は、プーリ22に固定されているハウジングアセンブリ20を有し、プーリ22は、エンジンルーム25内で、一対のベルト24を介して、エンジン14のクランクシャフト(図示せず)に結合されかつそれに対して回転する。当然ながら、本発明は、さまざまな構成要素に関連して、かつタイミングチェーン等、任意の数のベルトまたは他の連結装置を介して、相対的に動作可能であり得る。
ハウジングアセンブリ20は、取付ブラケット26を介してエンジン14に取り付けられている。ハウジングアセンブリ10は、所望の冷却間隔中に液圧式にファン16を係合させて、エンジン14の温度を低下させるかまたは後述する他のタスクを実行する。ファンクラッチフェールセーフシステム13は、システム構成要素の熱劣化をさらに防止するためにファンクラッチシステム12に含まれている。
ファン16を、当該技術分野において一般的に既知であるような任意の好適な手段によって、ハウジングアセンブリ20に取り付けることができる。しかしながら、本発明の使用は、以下に特に言及する以外は、システム12またはファン取付機構のいかなる構成にも、あるいはシステム12に対するいかなる特定の用途にも限定されない、ということが理解されるべきである。
ここで図2、図3Aおよび図3Bを参照すると、本発明の一実施形態によるシステム12の断面図の第1部分および第2部分が示されている。システム12は、ファンクラッチフェールセーフシステム13と、入力回路30と、ハウジングアセンブリ20と、ピストンアセンブリ34と、機械的部分38を有する係合回路36と、電気的部分40と、可変冷却・潤滑回路42と、を有している。
重負荷多速度クラッチ16用のフェールセーフシステム13は、クラッチ圧力管オリフィスシステム221内に連結されている一対の熱動弁218、219を有しており、クラッチ圧力管オリフィスシステム221は、クラッチパック156を熱劣化から保護するクラッチ圧力管152に連結されている。クラッチ16のオイル温度が、熱劣化が発生する可能性のあるレベルに達すると、熱動弁218がクラッチピストン領域またはピストンシステム116内への最大動作圧力での流れを可能にし、それにより、クラッチ板アセンブリ134のクラッチ駆動装置を係合させ、クラッチ16を安全な状態まで冷却する。
圧力管オリフィスシステム221は、第1弁路226および第2弁路228に至る入口224を画定するハウジング222を有している。言い換えれば、圧力管オリフィスシステム152は、ブラケットアセンブリ26に連結されており、ブラケットアセンブリ26からのオイル流を受け取る流れ分岐部(ハウジング222、入口224、第1弁路226、第2弁路228)を有している。
第1弁路226は、入口224からオイル流を受け取る第1電磁弁制御オリフィス230を画定している。第1オリフィス230は、第1電磁弁232によって制御され、第2電磁弁232を、それに対する制御ロジックを含む流体コントローラ118によって制御することができる。
第2弁路228は、流れ分岐部からオイル流を受け取る第2電磁弁制御オリフィス234(第2オリフィス)を画定している。第2オリフィス234は第2電磁弁236によって制御され、第2電磁弁もまた流体コントローラ118によって制御することができる。
ピストンシステム116は、第1弁路226または第2弁路228のうちの少なくとも一方からピストンシステム116内へのオイル流圧力の増大に応じて係合するクラッチ駆動装置を有している。
第1熱動弁218(バイメタルコイル弁)が、ハウジング222内で入口224と第1ソレノイド制御オリフィス230との間に連結されており、それにより、熱温度が所定量を超えた場合にそれに応じて完全に閉鎖し、それによって、ピストンシステム116内へのオイル流圧力を変化させる。第1熱動弁218は、低温の場合、第1オリフィスへのオイル流を可能にし、高温の場合、完全に係合することによって流れを阻止する。第1熱動弁218は、その熱温度が所定量を下回るまで完全に係合したままである。
第2熱動弁219(バイメタルコイル弁)は、第1熱動弁と同様に、ハウジング222内で入口224と第2ソレノイド制御オリフィス234との間に連結されており、それにより、熱温度が所定量を超えた場合にそれに応じて完全に閉鎖し、それによって、ピストンシステム116内へのオイル流圧力を変化させる。第2熱動弁219は、低温の場合、第2オリフィス234へのオイル流を可能にし、高温の場合、完全に係合することによって流れを阻止する。第2熱動弁218は、その熱温度が所定量を下回るまで完全に係合したままである。
入力回路30は、ハウジングアセンブリ20に対して回転エネルギーを提供する。係合回路36は、ハウジングアセンブリ20を、ピストンアセンブリ34を介してファンシャフト44に係合させることにより、ファン16を回転させる。ファン16を、ファンシャフト44内に挿入されているスプライン46を介して、またはファンハブ47に連結する等、当該技術分野において既知である他の技法により、ファンシャフト44に連結することができる。ファンシャフト44は、図示するように単体であってもよく、またはファンシャフト部とクラッチシャフト部とに分割されてもよい。可変冷却回路42は、ハウジングアセンブリ20内の部品を通して液圧流体48を分散させ、それによりそれらを冷却し潤滑する。液圧流体は、オイルベース流体であってもよく、または当該技術分野において既知である同様の流体であってもよい。
入力回路30は、一組のプーリベアリング50上で取付ブラケット26を中心に回転するプーリ22を有している。プーリベアリング50は、プーリ22の段付き内部流路54内のプーリベアリング切欠き52と、プーリ22の内壁60のプーリリングスロット58内に延在するプーリベアリング保持リング56と、の間に保持されている。プーリ22は、当該技術分野において既知であるようなさまざまなタイプおよび方式のものであり得る。内部流路54は、ハウジングアセンブリ20の第1中心開口62に対応している。液圧流体48は、中心開口62を通って内部流路54内に流れ込み、ベアリング50を冷却しかつ潤滑する。ハウジングアセンブリ20内で液圧流体48を保持するために、内部流路54内のプーリ22のエンジン側66に第1シール64がある。
ハウジングアセンブリ20は、ダイカスト本体部材70とダイカストカバー部材72とを有しており、それらを、ダイカスト部材70およびカバー部材72の外縁74の溝73を通るボルト(図示せず)によって、互いに固定することができる。ダイカスト部材70およびカバー部材72を、当該技術分野において既知である他の方法を使用して互いに固定することも可能である。本発明は、鋳造されたカバー部材と使用することに限定されず、打抜き加工されたカバー部材等、他の部材と使用することも可能である、ということが理解されるべきである。ハウジングアセンブリ20は、カバー部材20を通ってプーリ22の指定された固定具孔76内に延在する固定具(図示せず)を介して、プーリ22に固定されている。ハウジングアセンブリ20は、プーリ22と直接関連して回転し、ハウジングアセンブリ20とファンシャフト44との間に存在するハウジングベアリング78に乗っている。ハウジングベアリング78は、ハウジングアセンブリ20内で本体部材70の対応するハウジングベアリング切欠き80と、ハウジングリングスロット84内に延在するハウジングベアリング受けリング82と、の間で保持されている。
液圧流体48がハウジングベアリング78を循環し、冷却し、潤滑することができるように、本体部材70に第2中心開口86がある。液圧流体48をハウジングアセンブリ20内に保持するために、ハウジングアセンブリ20のファン側90に第2シール88がある。
本体部材70は、液圧流体48を収容する流体リザーバ92を有している。冷却フィン94が本体部材70の外側96に連結されており、液圧流体48から熱を除去し、それをエンジンルーム25内に放出することにより、熱交換器として機能する。カバー部材72を、当該技術分野において既知であるさまざまな方法を使用して本体部材70に固定することができる。ハウジングアセンブリ20のさらなる説明については、参照により本明細書に援用される「成形冷却ファン(Molded Cooling Fan)」と題する米国特許出願第09/711,735号明細書を参照されたい。なお、ファン16を、本体部材70に取り付けられているように示すが、カバー部材72に連結することも可能である。
ピストンアセンブリ34は、分配ブロック102に堅固に連結されているピストンハウジング100を有しており、分配ブロック102はブラケット26の第1端104に堅固に連結されている。分配ブロック102は、ファンシャフトベアリング106に連結されており、ファンシャフト44の第2端108を中心とする回転を可能にする。ピストンハウジング100は、主ピトー管流路110を有しており、それは、液圧流体48の並進ピストン116および液圧流体コントローラ118それぞれへの流れのためのピストン分岐112およびコントローラ分岐114を有している。ピストン116は、ハウジング100のトロイド状流路120内に連結されており、それぞれ圧力ポケット126および駆動装置ポケット128がある圧力側122および駆動側124を有している。ピストンは、中心軸130に沿って並進することにより、ピストン分岐112からの液圧流体圧力を介してハウジングアセンブリ20をファンシャフト44に係合させる。
係合回路36は、液圧流体供給回路132、クラッチ板アセンブリ134、戻りアセンブリ136および制御回路138を有している。液圧回路132は、ピストン116に圧力を加えることにより、エンドプレート140(エンドプレート140とピストン116との間の分離ベアリング142上に乗っている)を、クラッチ板アセンブリ134内のクラッチ板144に接するように駆動し、ファン16を係合させる。制御回路138は、ピストン116の動作とファン16の係合とを制御する。当然ながら、いかなる数のクラッチ板を使用することも可能である。また、ファン16を係合させるために一連のクラッチ板を利用しているが、当該技術分野において既知である他の係合技法を利用することも可能である。
液圧回路132は、相対的高温空隙側148を、流体リザーバ92および圧力ピトー管152の相対的低温空隙側150から分離するバッフル146を有することができる。圧力管152は、管状の形状で示されているが、さまざまなサイズおよび形状であってもよい。圧力管152は、低温側150内から液圧流体48を受け取り、流体48がハウジングアセンブリ20の回転から流れることにより係合回路36に対して冷却を提供し、流体48を、ハウジングアセンブリ20の内縁154にわたって放射状パターンで支持する。圧力管152は、主流路110内に堅固に連結されており、したがって固定されている。流体48は内縁154の周囲を循環しているため、流体48の一部は圧力管152に入り、ピストン116の圧力側122に圧力を加える。流体48により圧力管152内に発生した速度差を、式1として示すベルヌーイの法則に従って表すことができる。
式1を使用して、クラッチ板アセンブリ134に対する結果としての速度Vが、速度圧P、密度ρおよび重力gに関して表される。したがって、ハウジングアセンブリ20の回転速度が上昇すると、後述するように、クラッチアセンブリ134に加えられる圧力もまた増大し、ファン16の可変駆動速度が提供される。圧力管152内の圧力Pは、速度Vの二乗に比例して変化し、ファン16のトルクもまた速度Vの二乗で変化するため、ファン16は、入力速度すなわち速度Vのおよそ比例する一定割合で回転する。
ファン16は、圧力管152内の比例圧力により可変駆動速度を有するため、アイドル状態の間等、低エンジン速度では、低速で回転している。エンジン14の電源がオフとなると、従来技術によるシステムとは異なり、ファン16には、ベルト24によって吸収され得る最小トルクが存在する。従来のファンクラッチシステムでは、ファンは、回転すなわち係合している時、通常、高速で回転している。エンジンの電源がオフとなると、従来のファンおよびファンクラッチシステムに存在するトルクはエンジンベルト内に伝達され、ベルトを劣化させかつベルトに損傷を与える。従来のシステムによっては、点火システムの電源がオフとなると、エンジンの電源がオフとなる前にファンクラッチシステムが係合解除するように、電子制御装置を組み込んでいる。追加の電子制御装置により、複雑性およびコストが加わる。また、一般に、点火装置の電源がオフとなった後のある期間、エンジンを運転させ続けることは望ましくない。本発明は、上述したようなファンクラッチシステムの比例ファン回転速度設計により、追加の電子装置およびファンクラッチシステムの初期係合解除を不要にする。
クラッチ板アセンブリ134は、ドラムハウジング158内にクラッチパック156を有している。クラッチパック156は、ドラムハウジング158に連結された第1列160とファンシャフト44に連結された第2列162とに分離される複数のクラッチ板144を有している。ピストン116は、エンドプレート140を駆動して、クラッチ板144に圧力を加え、それによりファン16が係合する。ファンシャフト44は、ファンシャフトチャンバ166と内部ドラムチャンバ168との間に延在してそれらの中の流体48の通過を可能にする、複数の冷却通路164を有している。ドラムチャンバ168に入った後の流体48は、板144を横切って直接冷却し、ドラムハウジング158のスロット170を通って流体リザーバ92に戻る。スロット170は、さまざまなサイズおよび形状であってもよく、中心軸130に対してさまざまな向きであってもよい。冷却通路164は、中心軸130に対して垂直に延在しているように示しているが、スロット170と同様に中心軸130に対して平行に延在してもよい。
戻りアセンブリ136は、一組の戻りばね172およびばね受け174を有している。ばね172は、ファンシャフトチャンバ166内にあり、ファンシャフト44とばね受け174との間に連結されている。ばね受け174は、「L」字型の1/4断面を有し、駆動側124とエンドプレート140との間に連結されている。ばね172は、圧縮されており、圧力側122の流体圧力が所定レベルを下回ると、クラッチ板144を係合解除するように、ピストン116に力を加える。
制御回路138は、分配ブロック102、流体コントローラ118および主コントローラ176を有している。分配ブロック102は、流体コントローラ118のタイプおよび方式に応じてさまざまな構成を有することができ、1つのみが示されている。分配ブロック102は、コントローラ分岐114に連結されている戻り流路177を含む。流体コントローラ118は、ブロック102の主中心流路178に連結され、戻り流路177を通る流体流を調整してもよく、ブラケット26内に連結されていてもよく、またはブロック102およびブラケット26の外部であってもよい。流体コントローラ118がブラケット26内に連結されているかまたはブラケット26の外部である場合、管(図示せず)が、コントローラ分岐114から流体コントローラ118に、主中心流路178を介して、外部に連結されている場合はおそらくブラケット26の中心部180を介して、連結しかつ延在することができる。図示するように、流体コントローラ118は、戻り流路177を介して、コントローラ分岐114を通り主中心流路178を横切る流体流を調整し、その後、流体はリザーバ92に戻る。コントローラ分岐114を通る流体流を調整する際、流体コントローラ118は、ピストン116によって受け取られる圧力を調整する。流体コントローラ118が、コントローラ分岐114を通る流体流を低減する場合、ピストン分岐112およびピストン116における圧力が増大する。
流体コントローラ118は、電子的に、機械的に、またはそれらの組合せにより、流体圧力を調整することができる。流体コントローラ118は、電子的に制御される定比弁として示すが、当該技術分野において既知であるさまざまなタイプおよび方式のものであってもよい。流体コントローラ118は、ソレノイド、バイメタルコイルデバイス、弁の形態、または流体コントローラの他の何らかの形態であってもよい。流体コントローラ118は、流体流をいつ変更すべきかを確定する内部ロジックまたは反応メカニズムを有することができ、または図示するように、かかる判断を行う別個のコントローラに連結されていることも可能である。流体コントローラ118は、電源信号を受け取らない時、すなわちデフォルトモードの時、閉鎖状態であって、それによりピストン116の圧力を増大させクラッチ板144を係合させることが好ましい。したがって、エンジン14が動作状態である時、流体コントローラ118は、非動作状態にある場合であってもデフォルトとして閉鎖状態になり、冷却を提供する。閉鎖状態がデフォルトであることにより、システム12の診断テストが、単に流体コントローラ118が電源信号を受け取らないようにする(コントローラ118のプラグを電気的に抜くことによって容易に達成され得る)か、または診断ツールまたはコントローラ(図示せず)を使用することによって、容易に達成される。
主コントローラ176は、さまざまなエンジン動作センサ179に電気的に連結されており、システム12内に収容されていてもよく、または図示するようにシステム12と別個であってもよい。主コントローラ176は、中央処理装置、メモリ(RAMおよび/またはROM)および関連する入出力バスを有するコンピュータ等、マイクロコントローラベースであることが好ましい。主コントローラ176は、中央車両主制御ユニット、対話式車両動特性モジュール(interactive vehicle dynamics module)、冷却システムコントローラの一部であってもよく、または図示するようにスタンドアロンコントローラであってもよい。主コントローラ176は、冷却が望まれる時および望ましい冷却の量等の情報を含む冷却信号を、パルス幅変調(PWM)電流またはアナログ電流の形式で生成する。
電流がコントローラ176からコイル250内を流れる時、磁束が発生し、それは、電機子236、エアギャップ247、磁極片246、磁束管254および弁本体240内に広がる。発生した磁束により、電機子アセンブリ232はばね250に向かって軸方向に移動するように付勢され、その移動の量は、発生する磁束のサイズによって決まる。図3Bに示すような弁234の右方向の移動により、排出口248の封止が解かれ(開放位置としても知られる)、そこで流体48がピトー管152から管状領域243を通って排出口248から液圧回路132に漏出することができ、そこで液圧流体48は流体リザーバ92に戻る。これにより、ピトー管152内の流体圧力が低下する。排出の結果としてピトー管152の流体圧力が低下することにより、ピストン116がクラッチパック156から離れる方向に移動することができ、そこで板144が係合解除し、ファン16の回転速度が低下する。
当然ながら、図3Bは、完全開放位置にある電機子アセンブリを示しているが、コイルに送られる電流の強度に応じて、任意の数の中間部分開放位置を達成することができる。したがって、弁234が部分的に排出口を封止していない部分開放位置により、流体圧力をより精密に制御することができる。
PWMシステム設計には、逃し弁アセンブリ225の平均「開放」時間を制御するデューティサイクルの制御が必要である。ファン駆動装置の固有のアキュムレータ効果により、弁アセンブリ225が閉鎖している時、圧力を上昇させることができ、弁アセンブリ225が開放している時、圧力を低下させることができる。ピストン116およびクラッチパック156に対して周期的流体圧力が平均化され、その結果、出力シャフトに対するトルクが制御される。
アナログシステム設計は、PWM設計と実質的に同様に動作するが、周期的流体圧力を「平均化」しない。代りに、ソレノイド設計は、所与の電流信号に対して所与の流速を提供する。この設計では、組込みコントローラまたは主コントローラ176に対して何らかのタイプの弁位置フィードバックが必要である。
図2、図3Aおよび図3Bにはまた、本発明の別の実施形態による内部温度保護装置270も示されている。装置270は、排出口248によって形成される空隙内にかつ磁束管254内に配置されている。装置は、双方向ダイオードパック256および抵抗器258に電気的に連結されており、それらはまた、コイル250および主コントローラ176と直列に電気的に連結されている。
装置270は、液圧流体48の温度が所定温度レベルを超えた時に、電流が主コントローラ176からコイル250に流れないようにするという意味で感温性である。これにより、アセンブリ225は閉鎖位置に維持され、圧力管152内の流体の大部分が、ピストン分岐を通るように向けられ、板144を完全に係合させることができる。板144を完全に係合させることにより、板144間にすべりが存在せず、板14ならびに流体48およびシステム12の温度が低下する。
上述したように、逃し弁アセンブリ225はまた、使用中にファンアセンブリへの損傷を防止するように設計された別個のフェールセーフメカニズムを利用する。ピトー管152内の流体圧力は、通常動作中に上昇すると、管状領域243を通して弁232の端部266に圧力を加える。一定の閾値圧力で、流体圧力は、ばね260の力を十分に上回り、弁232をばね250に向かって軸方向に開放位置まで付勢し、それにより、ピトー管152内の流体48の一部が、管状領域243および排出口244を通って漏出し、流体リザーバ92に戻ることができる。弁アセンブリ225は、ピトー管152内の流体圧力が所定閾値圧力以下のレベルとなるような時まで開放位置であり続ける。したがって、この軸方向移動は、コイル280が電気的に作動されていない場合であっても発生することができる。
当然ながら、当業者が理解するように、閾値圧力は、弁232に排出口248を覆わせるばね260の強度によって決まる。ばね260の強度が高いほど、排出口248を露出させるために高い流体圧力が必要となる。したがって、必要な閾値圧力排出が低いシステムほど、弱いばねを利用することになる。したがって、ばね260のサイズおよび強度を制御することにより、逃し弁アセンブリ225を、高いファン速度でのシステム12に対する損傷を防止するように、任意のファン速度に対応する任意の所定閾値圧力で開放するように設定することができる。
本発明は、従来技術によるファン駆動システムに対して内部冷却能力が向上したファン駆動システムを提供する。本発明は、より高いエンジンrpm速度での係合を周期的に繰り返すことができ、係合の度合が可変であり、完全に係合するかまたは完全に係合解除することが可能な、摩擦クラッチアセンブリと粘性駆動装置との両方の利点を組み込んでいる。ファン動作速度が可変であることにより、本発明は、車両燃料の利用をより効率的にし、エンジン冷却をより一定にし、ラジエータ冷却ファンが完全係合モードで動作している時間を短縮する。
さらに、本発明は、ピトー管を使用することにより、全体として単一ハウジングアセンブリに含まれる安価な係合回路および冷却・潤滑回路を提供する。本発明はまた、主コントローラが非動作である時に、デフォルトとして係合状態すなわちファン動作状態になることができるという点でフェールセーフ機能を提供する。
さらに、本発明は、完全な係合速度が不要である場合に、完全係合速度ではなく複数の選択されたかまたは所定のより低速な部分的係合速度で液圧的にラジエータ冷却ファンを係合させることができることにより、ファン駆動システム動作ノイズを最小限にする。
また、本発明は、アナログまたはパルス幅変調作動を介して、ファンを係合させるために使用されるピトー管内の流体圧力を制御する、精密な電子回路を提供する。
本発明はまた、いかなるタイプの動作中にも、ピトー管内の流体圧力を最大閾値流体圧力に制限して、流体圧力上昇中にファン、最も重要なことにはカバー/ハウジング構造を損傷から保護するのに役立つようにすることにより、さらなるフェールセーフ方法を提供する。
本発明を一実施形態に関連して説明したが、本発明はその実施形態に限定されないことが理解されよう。反対に、本発明は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲内に含まれ得るすべての代替形態、変更形態および等価形態を包含する。

Claims (20)

  1. ピストンシステムと、前記ピストンシステム内への粘性流体流圧力の変化に応じて係合する応答する駆動装置と、を有する車両システム用のクラッチフェールセーフシステムであって、
    入口を画定するハウジングを備え第1弁路に連結される圧力管オリフィスシステムを備え、
    前記第1弁路が前記入口から粘性流体流を受け取る第1オリフィスを画定し、前記駆動装置が、前記第1弁路から前記ピストンシステム内への粘性流体流圧力の変化に応じて係合し、
    前記ハウジング内で前記入口と前記第1オリフィスとの間に連結される第1熱動弁であって、熱温度が所定量を超えた場合にそれに応じて完全に閉鎖し、それにより前記ピストンシステム内への前記粘性流体流圧力を変化させる、第1熱動弁をさらに備える、クラッチフェールセーフシステム。
  2. 前記第1オリフィスを制御する第1ソレノイドをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記圧力管オリフィスシステムが第2弁路をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
  4. 前記第2弁路が、前記入口から前記粘性流体流を受け取る第2オリフィスをさらに画定する、請求項3に記載のシステム。
  5. 前記駆動装置が、前記第1弁路または前記第2弁路のうちの少なくとも一方から前記ピストンシステム内への粘性流体流圧力の変化に応じて係合する、請求項4に記載のシステム。
  6. 前記第2オリフィスを制御する第2ソレノイドをさらに備える、請求項5に記載のシステム。
  7. 熱温度が前記所定量を超えた場合にそれに応じて完全に閉鎖し、それにより前記ピストンシステム内への前記粘性流体流圧力を変化させるように、前記ハウジング内で前記入口と前記第2オリフィスとの間に連結される、第2熱動弁をさらに備える、請求項5に記載のシステム。
  8. 前記ピストンシステムに連結されかつそこからの前記粘性流体流を受け取るブラケットアセンブリをさらに備え、前記圧力管オリフィスシステムが、前記ブラケットアセンブリに連結されかつそこから前記粘性流体流を受け取る、請求項1に記載のシステム。
  9. 前記第1熱動弁がバイメタルコイルを含む、請求項1に記載のシステム。
  10. 前記駆動装置がファンを駆動する、請求項1に記載のシステム。
  11. 前記ピストンシステム内へのオイル流圧力の増大に応じて係合するクラッチ駆動装置を備えるピストンシステムと、
    前記ピストンシステムからオイル流を受け取る流れ分岐部を備える圧力管オリフィスシステムと、
    前記流れ分岐部から前記オイル流を受け取る第1電磁弁制御オリフィスを画定する第1弁路と、
    前記流れ分岐部から前記オイル流を受け取る第2電磁弁制御オリフィスを画定する第2弁路と、
    熱温度が前記所定量を超えた場合にそれに応じて完全に閉鎖し、それにより前記ピストンシステム内への前記オイル流圧力を増大させかつ前記クラッチ駆動装置を係合させるように、前記流れ分岐部と前記第1電磁弁制御オリフィスとの間に連結された、第1熱動弁
    を備える、クラッチフェールセーフシステム。
  12. 熱温度が前記所定量を超えた場合にそれに応じて完全に閉鎖し、それにより前記ピストンシステム内への前記オイル流圧力を変化させるように、前記流れ分岐部と前記第2オリフィスとの間に連結された、第2熱動弁をさらに備える、請求項11に記載のシステム。
  13. 前記熱動弁がバイメタルコイルまたは熱センサを含む、請求項12に記載のシステム。
  14. 前記ピストンシステムに連結されかつそこから前記粘性流体流を受け取るブラケットアセンブリをさらに備え、前記圧力管オリフィスシステムが、前記ブラケットアセンブリに連結されかつそこから前記粘性流体流を受け取る、請求項11に記載のシステム。
  15. 前記クラッチ駆動装置がファンを駆動する、請求項11に記載のシステム。
  16. 前記第1電磁弁制御オリフィスと前記第2電磁弁制御オリフィスとを制御するコントローラをさらに備える、請求項11に記載のシステム。
  17. 前記第1熱動弁が、低温の場合に前記第1オリフィスへの前記流れを可能にし、高温の場合に完全に係合することによって前記流れを阻止し、前記熱温度が前記所定量を下回るまで完全に係合し続ける、請求項11に記載のシステム。
  18. エンジン冷却ファンを駆動する重負荷多速度クラッチシステムであって、
    前記ピストンシステム内へのオイル流圧力が増大した場合にそれに応じて係合するクラッチ駆動装置を備えたピストンシステムと、
    前記ピストンシステムに連結されかつそこからオイル流を受け取るブラケットアセンブリと、
    前記ブラケットアセンブリに連結され、かつ入口を通して前記オイル流を受け取る流れ分岐部を備える圧力管オリフィスシステムと、
    を備え、
    前記流れ分岐部が第1弁路および第2弁路を部分的に封入するハウジングを備え、
    前記第1弁路が前記入口から前記オイル流を受け取る第1電磁弁制御オリフィスを備え、
    前記第2弁路が前記入口から前記オイル流を受け取る第2電磁弁制御オリフィスを画定し、
    熱温度が所定量を超えた場合にそれに応じて完全に閉鎖し、それにより前記ピストンシステム内への前記オイル流圧力を増大させかつ前記クラッチ駆動装置を係合させるように、前記ハウジング内で前記入口と前記第1電磁弁制御オリフィスとの間に連結された第1バイメタル弁と、
    熱温度が前記所定量を超えた場合にそれに応じて完全に閉鎖し、それにより前記ピストンシステム内への前記オイル流圧力を変化させるように、前記ハウジング内で前記入口と前記第2オリフィスとの間に連結された前記第2バイメタル弁と、
    をさらに備える、クラッチシステム。
  19. 前記第1電磁弁制御オリフィスと前記第2電磁弁制御オリフィスとを制御するコントローラをさらに備える、請求項18に記載のシステム。
  20. 前記第1バイメタル弁が、低温の場合に前記第1オリフィスへの前記流れを可能にし、高温の場合に完全に係合することによって前記流れを阻止し、前記熱温度が前記所定量を下回るまで完全に係合し続ける、請求項18に記載のシステム。
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