JP2010512774A - バクテリオファージのスクリーニング蛋白質へのランダム配列挿入により改変されたバクテリオファージの作製方法 - Google Patents

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Abstract

本発明はランダムに作製されたオリゴヌクレオチドをその遺伝子配列に挿入することにより標的蛋白質を改変した多様な組換えバクテリオファージを取得するための方法と、前記方法により取得可能なバクテリオファージのバンクに関する。

Description

本発明は標的蛋白質がランダムに改変された多様な組換えバクテリオファージを取得するための方法と、前記方法により取得可能なバクテリオファージバンクに関する。
バクテリオファージは細菌に特異的に感染し、細菌内で複製することが可能なウイルスである。その存在は20世紀初頭に英国人フレデリック・トウォートとケベック人フェリックス・デレルにより発見された。
バクテリオファージは細菌が存在する全生態学的地位を占める。バクテリオファージはその宿主の内側で休止状態を保つことができる溶原性ファージと、活発に複製し、細菌細胞を溶菌する溶菌性ファージの2種類に大別される。溶菌性の場合には、感染性の多数のバクテリオファージが環境に放出される。
急速に突然変異する可能性のある宿主に対してその感染性を維持するために、バクテリオファージは常に進化し続けている。従って、天然ではそれらが寄生する細菌種に対して特異度が高く、非常に多様化している。
その発見以来、バクテリオファージは抗生物質時代よりもずっと以前から細菌感染に対する防除手段とみなされていた。
そこで、病原性細菌に感染した患者を治療するためにこの細菌に特異的なバクテリオファージを自然界で同定するアプローチがロシアと旧ソビエト連邦諸国で20世紀前半に開発された。
しかし、20世紀の後半には、バクテリオファージにより提供される可能性を最大限に活用しないまま、一般にスペクトルの著しく広い抗生物質の大量利用が一般化した。
今日では、抗生物質多耐性細菌株の出現と、科学団体が新規抗生物質を開発する際に直面する問題により、特に院内汚染の場合に根絶しにくい細菌感染を治療するためにバクテリオファージが再び注目されている[Thiel,K.,Nature Biotechnology,2004,22:31−36]。
しかし、特に細菌はその外壁の構成成分を遮蔽又は改変することによりバクテリオファージを避けることができるため、バクテリオファージの使用にはいくつかの問題が残っている。
バクテリオファージの複製サイクルには、バクテリオファージが宿主細菌を認識してその壁に接着する段階が実際に必要であり、バクテリオファージが細菌に感染できるか否か、即ちそのキャプシドに含まれる遺伝材料を細菌の細胞質の内側に注入できるか否かはこの段階により決定される。
例えば、バクテリオファージT4は大腸菌型の細菌に感染するバクテリオファージであり、その複製サイクルは37℃で約30分間である。この複製サイクルはバクテリオファージが細菌を認識した直後に吸収透過段階から開始する。その結果、宿主細菌の遺伝子発現がすぐに停止し、感染から5分後にバクテリオファージの複製に必要な酵素が合成された後、DNAが複製され(10分後に開始)、ウイルスが形成される(12分後に開始)。複製サイクルの結果、細菌は破壊され(30分後)、溶菌された細菌1個当たり約50個のバクテリオファージが環境に放出される。
細菌への接着は主にバクテリオファージに結合する役割をもつ基盤の蛋白質により確保され、認識は特に「尾部繊維」と呼ばれる周辺繊維を形成する蛋白質により確保される。但し、尾部繊維と基盤の蛋白質はバクテリオファージの認識と細菌壁接着に同時に関与する場合もある。これらの所謂「標的」蛋白質全体を本願の図1及び3に示す。
バクテリオファージT4でこの認識又は接着に関与する蛋白質としては、特に基盤の糖蛋白質GP12と、尾部繊維の糖蛋白質GP36、GP37及びGP38を挙げることができる。
バクテリオファージの認識システムに対して耐性の細菌の出現を制限するために、同一細菌を標的とすることが可能な異なる型のバクテリオファージを同時に使用することが一般に提案されている。
これらのバクテリオファージを自然界から採取又はコレクションから入手し、「バクテリオファージカクテル」なるものを形成する。
しかし、これらのバクテリオファージカクテルを開発するためには、天然環境で採取されるバクテリオファージが多くの場合にそうであるように、カクテルを構成するバクテリオファージが溶菌性で非溶原性又は部分的に非溶原性となるようにこれらのバクテリオファージを個々に厳密に選択する必要がある。
その実効力を確認するにはバクテリオファージを個々に試験する必要があり、更に該当細菌毎に異なるカクテルを準備する必要があるため、バクテリオファージカクテルの開発には時間と労力がかかる。
国際公開第01/51066号パンフレットはリステリア症の原因となる細菌リステリア・モノサイトゲネスListeria monocytogenesを死滅させるために生鮮食品の防腐剤として使用される6種類の異なるバクテリオファージを含むこのようなバクテリオファージ製剤について記載している。この天然製剤は食肉又は乳製品に噴霧するように噴霧器にパッケージングされている。これらのバクテリオファージはリステリア属の細菌にしか感染せず、多細胞生物の細菌には感染することができないので、この製剤はヒト、動物又は植物に無害である。
天然バクテリオファージの選択に伴う問題を解決するために、国際公開第06/066224号パンフレットには所定のビルレンス因子を特異的に標的とするように標的蛋白質を改変したバクテリオファージを取得するための方法が提案されている。ビルレンス因子とは細菌が感染を生じるために必要であると記載されている分子である。これらの分子は例えばリポ多糖等の外部構造の成分よりも感染中に変異を受けにくい安定な成分であるとみなされている。記載されている方法は文献に記載されているビルレンス因子(例えば大腸菌のOmpC)を認識することが可能な天然バクテリオファージに由来する蛋白質(例えばバクテリオファージT4のGP37)を選択し、この蛋白質をコードする遺伝子をバクテリオファージλに導入し、この蛋白質を改変するためにバクテリオファージλを利用することを提案している。蛋白質の改変はビルレンス因子の認識に関与する各種ドメイン(例えばGP37のHisドメイン)間の交換により実施される。これらの交換はこれらの遺伝子配列に共通の相同ドメイン間の連続組換えにより行われるので、外来DNAを挿入せずに遺伝子を構成する各種配列が再配列される。
この方法により同一蛋白質の10個のオーダーの異なる変異体に相当する多様性を得るためには、細菌宿主でバクテリオファージの多数の連続複製サイクルを実施する必要がある。実際に、連続組換えにより、各種相同領域間の再配列を得ることができ、従って、多様性を生じることができる。
こうして得られたバクテリオファージλを標的ビルレンス因子と接着する能力について試験する。この方法は「ファージディスプレイ」法に類似しており、ビルレンス因子を標的とすることが可能なバクテリオファージλの各種変異体を単離し、こうして各種標的蛋白質を得ることができる。これらの各種標的蛋白質に対応する遺伝子をその後、感染性バクテリオファージに導入することができる。こうしてこれらのバクテリオファージは当初の標的ビルレンス因子をもつ細菌に対して活性のバクテリオファージカクテルを構成することができる。
この方法により、バクテリオファージカクテルを開発するために多様化バクテリオファージを取得する技術は前進した。しかし、この方法はビルレンス因子の同定が予め可能であった培養可能な病原性細菌にしか利用することができない。
更に、従来技術に記載されている同一原理に基づく他の多くの方法と同様に、蛋白質の相同ドメイン間で組換えイベントを得るためには多数の複製サイクルが必要であり、この数はバクテリオファージがその通常の宿主とは異なる宿主に感染する能力を獲得するに十分な数である。このプロセス中に、バクテリオファージはその複製に使用される宿主に感染する能力を失う場合もある。従って、このようなバクテリオファージは選択から除外され、実験者から見逃される。
その結果、これらの方法により獲得可能な改変型バクテリオファージの多用性は著しく低下する。
更に、一般にこれらの方法は感染スペクトルの「広い」組換えバクテリオファージ、即ちその初期宿主(一般に大腸菌)以外に系統発生的に非常に近縁であることが多い他の細菌種(サルモネラ又はシゲラ属のグラム陰性細菌)にも感染することが可能な組換えバクテリオファージしか得ることができない[Masatoshi Y.et al.(2005)Alteration of tail fiber protein GP38 enables T2 phage to infect E.coli O157:H7,Journal of Biotechnology,115:101−107]。従って、改変型標的蛋白質の作製には、バクテリオファージの取得がバクテリオファージを形質転換後に複製する細菌宿主に依存するという技術的制約がある。
バクテリオファージの利用をより汎用性にするためには、例えばその取得に必要な宿主細菌から独立して感染スペクトルを改変したバクテリオファージを創製することにより、より多数の種に対して感染性のバクテリオファージを得ることが有用であろう。このようなバクテリオファージは新規細菌種、特に新興又は院内感染由来の病原性細菌に対して利用できよう。
国際公開第01/51066号パンフレット 国際公開第06/066224号パンフレット
Thiel,K.,Nature Biotechnology,2004,22:31−36 Masatoshi Y.et al.(2005)Alteration of tail fiber protein GP38 enables T2 phage to infect E.coli O157:H7,Journal of Biotechnology,115:101−107
上記問題を解決するために、本発明はランダムに作製されたDNA配列をその遺伝子に挿入することにより、バクテリオファージの標的蛋白質を多様化することからなる新規方法を提案する。
この方法は宿主細菌における複製サイクルを最小限にし、1サイクルでも実施できるように設計される。
この方法によると、例えば新興又は突然変異細菌に対処するために有用なすぐに使用可能な感染性バクテリオファージのバンクとしての非常に多様な組換えバクテリオファージが得られる。
以下、本発明の方法とその結果として得られる種々の産物について詳細に説明する。
バクテリオファージの各種構成成分を示すバクテリオファージT4の図である。本発明の範囲内の該当蛋白質を四角内に示す。 バクテリオファージT4の完全ゲノムの図である。本願に記載する遺伝子をオープンリーディングフレームに垂直な矢印により示す。 バクテリオファージの認識と宿主細菌接着に関与するバクテリオファージの基盤と尾部繊維の三次元図であり、本発明の方法により改変された標的蛋白質を視覚的に示す。 本発明による組換えバクテリオファージバンクの取得原理を要約するスキームである。左上の枠内はバクテリオファージの標的蛋白質をコードする3個の遺伝子にランダムに配列を作製したオリゴヌクレオチドを導入するための3個の相同組換えベクターを含む宿主細菌を示す。これらのベクターは遺伝的多様性の高い本発明の意味でのDNA構築物に相当する。バクテリオファージ感染と相同組換え後に、標的蛋白質を改変した多数のバクテリオファージ(バクテリオファージバンク)が得られ、「標的多様性ソース」を形成する。得られたバクテリオファージを潜在的新規宿主に対してスクリーニングし(ポジティブ選択)、これらの宿主に感染することが可能なバクテリオファージを選択する。ヒト又は動物に無害となるように、非細菌宿主(真核細胞)についても試験することができる。 バクテリオファージT4のGP12(上段)と、バクテリオファージRB69に存在するそのホモログ(下段)のポリペプチド配列のBLASTプロトコールによる比較。2個の蛋白質に共通のアミノ酸を中段に示す。記号「+」はアミノ酸が類似していることを意味する。四角で囲んだN末端部分はバクテリオファージを細菌壁に結合することが可能なこれらの2個の蛋白質のドメインに対応する。このアンカードメインを本発明に従ってランダムに突然変異させた後に相同組換えによりバクテリオファージのゲノムに挿入する。内部セグメントD1からD4は本発明に従ってPCRにより実施されるランダム多様化プロセス中に保存される蛋白質の配列に対応する。 特に、ランダムに作製されたオリゴヌクレオチドを挿入するgp12のアンカードメイン1コピーを得るために本発明に従って実施されるPCR方法の各段階を要約する図である。配列一致度を保存しようとする内部セグメントD1からD4を長方形内に示す。これらのドメインは上記図5で記載したドメインに対応する。2個の外部セグメントはgp12のアンカードメインの配列を規定する。A:gp12のアンカードメインを高忠実度PCRにより増幅する。B:上記オリゴヌクレオチドを使用して独立して4回のエラープローンPCRを実施する。C:Bで得られた増幅産物を精製し、同一の高忠実度PCR反応で結合する。前記増幅産物はオーバーラップしているので、ドメインD1からD4が使用されるプライマーとハイブリダイズできるように十分に保存されている限り、各種フラグメントを結合することが可能である。D:段階Cで実施したPCRの結果、PA−1とPB−1の2個のフラグメントが得られ、GP12のアンカードメインの外部セグメントに対応するプライマーを使用することにより結合する。最終的に、一致度が保存されたドメインD1からD4のレベル以外は配列がランダムに改変されたgp12のアンカードメイン1コピーが得られる。実施例で使用したプライマーを本図に記載する各段階に利用した。 本発明の方法により得られたPCR産物(gp12−Mut)で直接得られたシーケンシングプロファイルを示す。プロファイルは自動シーケンサーから得られたデータに基づいて無料ApE分析ソフトウェアを使用することにより作成した。ヌクレオチド1089から1110(配列番号1)に位置するgp12の部分のシーケンシング。保存された左側部分はドメインD1の3’部分(ヌクレオチド1089から1099)に対応する。右側部分はD1のすぐ下流に位置する領域(ヌクレオチド1100から1110)内でPCRプロセスにより生じたランダム突然変異を考慮したピーク重畳を示す。 本発明の方法により得られたPCR産物(gp12−Mut)で直接得られたシーケンシングプロファイルを示す。プロファイルは自動シーケンサーから得られたデータに基づいて無料ApE分析ソフトウェアを使用することにより作成した。配列番号1のヌクレオチド1195から1212に位置するgp12の非突然変異領域で実施したシーケンシング(上段)と、本方法に従って得られたPCR産物の同一領域について実施したシーケンシング(下段)の比較。シーケンシングした領域は保存ドメインD1からD2に位置する。gp12の初期配列へのランダムなヌクレオチド挿入を考慮した重畳ピークの存在(下段)が認められる。
従って、本発明は遺伝子改変型バクテリオファージのバンクとしての組換えバクテリオファージの作製方法に関する。
この方法は、
i)バクテリオファージの標的蛋白質をコードする少なくとも1個の遺伝子に配列をランダムに作製したオリゴヌクレオチドを挿入することが可能な少なくとも1個のDNA構築物により宿主細菌を形質転換する段階と;
ii)段階i)で形質転換した細菌に前記バクテリオファージを感染させる段階と;
iii)段階ii)で感染させた細菌を以下の条件下、即ちバクテリオファージが複製することができ、前記バクテリオファージの標的蛋白質をコードする少なくとも1個の遺伝子にランダムに作製されたオリゴヌクレオチドの少なくとも一部を挿入できるような条件下に置く段階と;
iv)段階ii)で感染させた細菌で複製したバクテリオファージを回収する段階を含む。
1)ランダムに作製されたオリゴヌクレオチドの挿入を可能にするDNA構築物
本発明によると、バクテリオファージの標的蛋白質をコードする遺伝子に、ランダムに作製されたオリゴヌクレオチドを挿入する。この挿入の目的は、前記遺伝子によりコードされる標的蛋白質の所定のセグメントのレベルに遺伝子変動を導入することである。こうして翻訳された蛋白質はバクテリオファージの初期蛋白質と異なる認識性又は接着性を示す可能性がある。
バクテリオファージの標的蛋白質とは、バクテリオファージの認識と宿主細菌接着に関与する蛋白質として定義される。これらの蛋白質はファージT4の尾部繊維又は基盤を構成するものから選択することが好ましい。本発明の方法に特に適切な蛋白質は基盤の蛋白質GP12であり、そのヌクレオチド配列は配列番号1に対応する。他の好ましい標的蛋白質は尾部繊維の遠位部分を構成するGP36、GP37又はGP38である。当然のことながら、他のバクテリオファージに寄生する上記蛋白質の相同蛋白質も好ましい。「相同配列」とは、上記蛋白質に対する一致度が少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%である蛋白質を意味する。
好ましくは、ランダムに作製されたオリゴヌクレオチドは接着又は認識機能に関与する蛋白質のドメインに対応する標的蛋白質の遺伝子のセグメントに挿入により置換する。好ましくは、これらのセグメントは可変領域、即ちバクテリオファージ種間で保存度の低い認識ドメインの配列に対応する。
逆に、標的蛋白質のより定常的な領域は一般にこれらの蛋白質の三次元構造に必要であるため、保存することが好ましい。
本願では、本発明により特に好ましいバクテリオファージT4の蛋白質GP12の改変を例にとって説明する。蛋白質GP12はDと呼ぶ所定のセグメントの完全性を維持しながら変異を導入することが望ましいアンカードメインをもち(図5)、前記セグメントはT型バクテリオファージの相同蛋白質で保存されたドメインに対応する。
蛋白質の選択領域に挿入するためのオリゴヌクレオチドは当業者に周知の各種技術によりランダムに作製することができる。
「ランダムに作製されたオリゴヌクレオチド」とは本発明の趣旨では、ランダムに配置されたヌクレオチド挿入、欠失又は置換を含む人工的に作製されたヌクレオチド配列を意味する。
本発明の1つの目的は標的遺伝子の機能を妨げずにできるだけ多数の異なるヌクレオチド組み合わせに対応するDNAインサートをこの遺伝子に導入することである。
こうして作製された配列は例えば相同組換えによりバクテリオファージの標的蛋白質をコードする遺伝子にインサートとして導入することができる。従って、これらのインサートは人工的に作製された外来DNA配列を構成する。例えば、本発明のオリゴヌクレオチドないしインサートを合成するためには、天然塩基A、T、C及びGの配列をランダムに配置した合成オリゴヌクレオチド、あるいはエラープローンPCRによる増幅産物としてのオリゴヌクレオチドを利用することができる。
本発明の特定態様によると、同一の3’又は5’末端をもつように1個以上の遺伝子の異なるセグメントに対応する複数のオリゴヌクレオチドをランダムに作製する。このように、改変後の配列ではオリゴヌクレオチドを相互に交換又は置換することができるので、得られる遺伝子配列の多様性を増加することができる。
ランダムに作製されたオリゴヌクレオチドは更に非天然塩基、特に単一ヌクレオチド配列を各種ペプチドに翻訳することが可能な「多義」塩基も含むことができる。
本発明の1態様によると、標的蛋白質をコードするバクテリオファージの遺伝子にランダムに作製されたオリゴヌクレオチドを相同組換えにより挿入する。
このためには、相同組換えを実施することが可能なDNA構築物を利用する必要がある。
このような構築物は一般に文献に記載されている当業者に周知のベクターから誘導される[Sambrook J.,Russel D.W.(2001)Molecular Cloning,a Laboratory Manual,CHSL Press]。
しかし、本発明の目的に有用なDNA構築物を得るためには、ゲノムに導入することが所望される遺伝子又は遺伝子部分のコピーをクローニングすることにより公知組換えベクターを適応させることが一般に必要である。
本発明によると、ランダムに作製された複数のオリゴヌクレオチドを好ましくは遺伝子の可変セグメントに対応する場所に導入することにより前記遺伝子を改変する。
この点で、特に上記GP蛋白質の場合には、本発明によると、ランダムに作製された各種オリゴヌクレオチドを所望の場所に含むことにより、所望の標的蛋白質をコードする遺伝子の全部又は一部を再構成する必要がある。
この再構成は遺伝子又は前記遺伝子の一部の改変型コピーを再構成することにより、即ちランダムに作製されたオリゴヌクレオチドをベクター内の配列の保存セグメントと結合することにより従来通りに実施することができる。しかし、この段階はサブクローニングと多数の検証段階が必要になる場合があるため、非常に繁雑になる可能性がある。
本発明は、その特定態様の1つにおいて、ランダムに作製されたオリゴヌクレオチドを含む遺伝子又は遺伝子の一部のコピーから構成されるインサートの作製を容易にすることを目的とする方法を提案する。
この方法は所定のセグメントを選択的にランダムに変異させることが所望される任意ヌクレオチド配列に適用することができる。実際に、この方法は多数の治療分野で利用することができる。その実施は、その遺伝子配列の標的ドメインを改変することにより蛋白質の活性スペクトルを改変しようとする場合に実際に特に有用である。
この方法は図5に示す所定の定常領域D1からD4を保存することが所望されるgp12のアンカードメインに特に適用される。
この方法は特に、その5’及び3’末端を2個のセグメントF1及びF2により規定されるヌクレオチド配列Sの少なくとも1個の内部セグメントDの一致度を保存しながら、前記ヌクレオチド配列をランダムに突然変異させることが可能なPCR法から構成される。本方法は、
i)セグメントF1及びF2に対応するプライマーを使用して配列Sの全長にエラープローンPCRを実施し、配列Sをその全長にわたってランダムに突然変異させる段階と;
ii)得られた増幅産物を溶出させる段階と;
iii)段階i)で突然変異させたSのうちで内部セグメントDがその一致度を保存している少なくともF1−D及びD−F2領域を増幅するように、少なくともF1とD及びF2とDにそれぞれ対応するプライマー対を使用することにより、段階ii)で溶出させた増幅産物から出発して高忠実度PCRを実施する段階と;
iv)F1及びF2に対応するプライマーを使用することにより、段階iii)で得られた増幅産物から出発して高忠実度PCRを実施する段階と;
v)ヌクレオチド配列Sに対応する寸法をもつ得られたPCR産物を精製する段階を含む。
本発明のプライマーは配列Sの2本鎖DNA基質を形成するDNA鎖の一方と部分的又は完全にハイブリダイズすることが可能な1本鎖核酸である。そのヌクレオチド鎖がSのコーディングDNA鎖の一部を数ヌクレオチド以内の誤差で再現するときにプライマーは「センス」であると言う。そのヌクレオチド鎖がSの非コーディング相補鎖の一部を数ヌクレオチド以内の誤差で再現するときにプライマーは「アンチセンス」であると言う。
プライマーが配列Sの所定セグメント「に対応する」と言うときには、プライマーが2本鎖DNA分子状の配列Sの一部に対してセンスでもアンチセンスでもよいという意味である。
本発明のPCR法は特に以下及び本願の実施例に記載するようにセンス及びアンチセンスPCRプライマーを使用する。
この方法は(蛋白質GP12の場合のように)ヌクレオチド配列Sの数個の内部ドメインDの一致度を保存しようとする場合に特に有利である。従って、この方法は、
i)セグメントF1及びF2のそれぞれセンス及びアンチセンスプライマーである少なくとも2個のプライマーを使用して配列Sの全長にエラープローンPCRを実施し、ランダムに突然変異を導入しながら配列Sを増幅する段階と;
ii)ランダムに突然変異させたSのコピーに対応する得られた増幅産物を精製する段階と;
iii)少なくとも
−突然変異させたSのコピーの少なくともF1−D領域を増幅するために、F1に対応するセンスプライマーと、Dのアンチセンスプライマーと、
−突然変異させたSのコピーの少なくともD−F2配列を増幅するために、Dに対応するセンスプライマーと、F2のアンチセンスプライマー
をそれぞれセンスプライマーとアンチセンスプライマーの対として使用することにより、段階ii)で精製した増幅産物から出発して高忠実度PCRを実施する段階と;
iv)段階i)で突然変異させた配列SのうちでセグメントDの配列がその一致度を保存しているセグメントF1−D及びD−F2のコピーから構成される段階iii)で得られた増幅産物を精製する段階と;
v)F1及びF2の少なくとも1対のセンスプライマーとアンチセンスプライマーを使用することにより、段階iv)で得られた増幅産物から出発して高忠実度PCRを実施する段階と;
vi)前記インサートのランダムに突然変異させたヌクレオチド配列のうちで少なくともセグメントDの配列がその一致度を保存しているものに対応する段階v)で得られたPCR産物を精製する段階を含む。
「エラープローンPCR」とは、DNA配列の忠実な複製を実現できない条件下で実施されるポリメラーゼ連鎖反応を意味する。この型の反応は文献に記載されているように、低ストリンジェンシー条件下でマンガン塩の存在下にTaq型の旧来のポリメラーゼを利用することにより実施することができる[Cadwell,R.C.et al.1992,Randomization of genes by PCR mutagenesis,PCR Methods Appl.,2:28−33]。
他方、高忠実度PCRは非常に低い複製エラー率でDNA鋳型を増幅することが可能なポリメラーゼ連鎖反応である。この型の反応は文献に記載されているように、例えばストリンジェント条件下でPfu型ポリメラーゼを利用することにより実施することができる[Inmis,M.A.et al.Eds.,PCR Protocols:a guide to methods and applications,1989,Academic Press]。
多様化しようとする遺伝子のセグメント自体を鋳型として使用し、エラープローンPCRによりオリゴヌクレオチドを作製すると有利である。この特定方法により得られた増幅産物は内部ドメインDを保存しながらランダムに多様化されたヌクレオチド配列Sのバンクを構成し、前記配列は、
−ランダムに作製された1個以上のオリゴヌクレオチドの挿入と、
−その一致度を保存した前記遺伝子の配列セグメントを含む。
一般に、内部ドメインDは本発明の方法によると、使用するPCR条件、特に本発明の方法の段階iii)及びv)で実施する高忠実度PCRの条件に応じて野生型蛋白質中の元の配列に対して>50%、好ましくは>70%、より好ましくは>90%、更には>99%の一致度を保存している。
一旦蛋白質に翻訳されると、上記バンクに含まれるヌクレオチド配列は配列が保存された内部ドメインDを含むランダムに作製された多様なポリペプチド配列を示す蛋白質を発現することができる。
これらの配列は発現ベクターに直接クローニングすることもできるが、当業者に容易に入手可能な相同組換えベクターにクローニングすることがより好ましい。
上記方法によると、同一遺伝子、好ましくはバクテリオファージの標的蛋白質をコードする遺伝子のランダム変異体を含む多様化された相同組換えベクターによりバクテリオファージのゲノムを改変することが可能である。
本発明のDNA構築物は好ましくは、
−宿主細菌における前記構築物の倍加を可能にする領域と;
−標的蛋白質をコードする遺伝子のレベルでバクテリオファージのゲノムにおける相同組換えを可能にする領域を含み、後者領域は標的蛋白質をコードする前記遺伝子の配列に相同な2個のDNA配列を含み、前記配列は好ましくは上記PCR法により配列をランダムに作製したオリゴヌクレオチドを含む挿入セグメントを規定する。
本発明の好ましい1態様によると、相同組換えを可能にする領域は標的蛋白質をコードする遺伝子の全部又は一部、好ましくは遺伝子の配列の全長を含む。
好ましくは、この第2の領域は上記ランダム突然変異法により取得可能な増幅産物から構成される。
本発明のDNA構築物は、総じて改変型標的蛋白質をコードする非常に多数の異なるヌクレオチド配列をバクテリオファージのゲノムに組込むことができる。
本発明の好ましい1態様によると、ファージの標的蛋白質をコードする数個の遺伝子を本発明の方法に従って相同組換えにより同時に突然変異させる。このような結果を達成するために、本発明は各々異なる遺伝子を標的とする異なるベクターを使用して宿主細菌を順次形質転換しようとするものである。
大腸菌宿主細菌で本発明によりバクテリオファージT4の遺伝子GP12、GP37又はGP38を同時に改変することが可能な好ましいベクターは例えばベクターpACYC184(ATCC37033)、pBAD18−K(ATCC87397)及びRR1(ATCC87076)である。このようなベクターは各種抗生物質に対する耐性を付与するマーカーをもつという利点があり、宿主細菌に一旦組込まれると、異なるベクター間で組換えを生じることが可能な共通のヌクレオチド配列をもたない。
2)宿主細菌の形質転換
本発明のバクテリオファージは好ましくは天然又は改変型の溶菌性バクテリオファージである。
好ましくは、使用するバクテリオファージは当業者に周知のバクテリオファージT4、T5、T6及びT7等のT型ファージ、特にゲノムが配列決定されているファージT4である[Miller,E.S.et al.,Bacteriophage T4 genome,Microbiol Mol.Biol.Rev.,2003,67(1):86−156]。バクテリオファージのゲノムの全長配列はGenbankから入手可能である(AF158101)。
本発明の宿主細菌は改変しようとするファージを複製するために一般に使用されている細菌である。好ましくは、宿主細菌は相同組換えによりファージを改変させることが可能な本発明のDNA構築物を使用して形質転換することが可能な株である。
本発明の方法を実施するためにT型バクテリオファージに特に適した宿主細菌は大腸菌、例えばDK8株(ATCC47038)である。
T型バクテリオファージの改変の範囲内では、λプロファージに由来し、遺伝子exo、bet及びgamを含むMini−λ型ベクターにより形質転換された大腸菌株を使用すると有利である。このようなベクターは例えば宿主細菌を培養する温度の関数として相同組換えを制御することができ、従って、本発明により予想される複製段階のみに組換えイベントを制限することができる。
本発明を実施するために使用される相同組換え技術は当業者に公知である。例えば[Poteete,A.R.et al.,FEMS Microbiol.Lett.,2001,201(1):9−14;Kuzminov,A.et al.PNAS,2001,98(15):8298−305]に記載されている。
従って、バクテリオファージの標的蛋白質をコードする遺伝子を改変することが可能なDNA構築物により宿主細菌を形質転換することが好ましく、前記構築物は標的蛋白質をコードする遺伝子の全部又は一部のランダムに突然変異させたコピーに対応するインサートを含む。
このインサートは上記PCR法により作製することが好ましい。
本発明の方法による宿主細菌の形質転換段階は1回以上実施することが好ましい。標的蛋白質の各種遺伝子を改変するために複数のベクターを使用する場合には、逐次処理すること、即ちベクターを順次導入すると有利である。こうすると、各段階で形質転換された細菌を保存することが可能である。従って、最後に導入したベクターの代わりに新しいベクターを再導入するために前段階に戻ることが常に可能である。このため、宿主細菌に全ベクターを導入しなくてもベクターの多数の組み合わせを試験することができる。
形質転換段階後に、本発明の1個以上の構築物により形質転換された宿主細菌の1個以上のバンクが得られる。
このバンクの細菌は各々バクテリオファージの標的蛋白質の1個以上を異なる方法で相同組換えにより形質転換することが可能な構築物を潜在的に含む。
従って、本発明の1つの目的はバクテリオファージを感染させることが可能な上記DNA構築物により形質転換された宿主細菌のバンクである。
宿主細菌のこのようなバンクは複製保存できるという利点がある。このようなバンクは上記組換えバクテリオファージの作製に有用な再生可能な中間産物を構成する。
3)形質転換された宿主細菌におけるバクテリオファージの感染と複製
選択されたバクテリオファージによる宿主細菌の感染段階はバクテリオファージをこの段階で改変させない限り、特に問題ない。感染は宿主細菌の指数増殖期中に約30℃で開始することが好ましい。
次に、細菌におけるバクテリオファージのゲノムの複製段階中に、ランダムに作製されたオリゴヌクレオチドを含む遺伝子とバクテリオファージのゲノム内に存在する遺伝子の相同領域間で相同組換えを実施することができる。
この複製段階はバクテリオファージによる宿主細菌の感染直後に開始する。
本発明の好ましい1態様によると、約40から45℃の熱ショックを与えると同時に形質転換宿主細菌の培養液にバクテリオファージを導入する。この温度を5から15分間、好ましくは12から15分間の限定時間維持し、相同組換えを活性化させる。特に熱ショックの場合に相同組換えを所定の温度条件に調整することが可能なMini−λベクターにより宿主細菌を形質転換することが好ましく、相同組換えは複製サイクルと同等以下の時間実施される。次に、相同組換えを著しく生じにくい約30℃の常温の培養液に宿主細菌を移す。この約30℃での2回目の培養時間は約25分間、又は1複製サイクルに等価の時間とする。
本発明の方法の特に革新的な態様は2回目の培養時間後、平均して1複製サイクル後、好ましくはバクテリオファージの2回目の複製サイクルが生じる前にバクテリオファージを回収するという点にある。
この手順は、宿主細菌における新しい複製サイクルが生じる前に組換えバクテリオファージを回収するという利点がある。
このように1複製サイクルに制限すると、バクテリオファージは2回目の複製サイクルのために宿主細菌に再感染する時間がなくなる。従って、通常では宿主細菌を認識する能力又は宿主細菌に感染する能力を失った改変型バクテリオファージは後続再感染サイクル中に排除されるが、このようなバクテリオファージを回収することができる。
4)組換えバクテリオファージバンク
本発明の方法によると、非常に多様な組換えバクテリオファージの集合を得ることが可能である。
これらのバクテリオファージは本発明のバクテリオファージバンクを形成する。
従って、本発明の組換えバクテリオファージバンクは標的蛋白質をコードする少なくとも1個の遺伝子の各種コピーを含むポリヌクレオチド変異体から構成され、前記遺伝子はランダムに作製されたオリゴヌクレオチド配列の挿入を含む。
各種コピーをバクテリオファージに含む前記遺伝子は標的蛋白質GP12をコードすることが好ましい。
このバンクを構成するバクテリオファージは更に、複数の標的蛋白質をコードする複数の遺伝子の各種コピーを含むことができ、前記遺伝子はランダムに作製されたオリゴヌクレオチド配列の挿入を含む。これらの各種遺伝子は同一バクテリオファージ内又は同一バンクの各種バクテリオファージ内で改変することができる。バクテリオファージバンクを構成する各バクテリオファージ内で複数の標的遺伝子を改変することが好ましい。改変型標的蛋白質はGP12、GP36、GP37、GP38又はその相同蛋白質であることが好ましい。回収されるバクテリオファージ数を決定するのは形質転換宿主細菌数であるので、本発明のバクテリオファージバンクが最大限多数の異なるバクテリオファージに対応するためには、十分な数の形質転換宿主細菌を使用する必要がある。
この数が十分であるならば、本発明のバクテリオファージバンクは最低で同一バクテリオファージの少なくとも10個、好ましくは10個、より好ましくは10個の異なる変異体を含み、前記変異体はその標的蛋白質の少なくとも1個の配列が相違する。
従って、本発明の方法はバクテリオファージにより発現される標的蛋白質の多様性を増加し、組換えバクテリオファージ、特に連続組換えサイクル中に宿主細菌内で複製されないもの又は迅速に複製されないものが排除されないようにすることを第1の目的とする。
本発明のバンクにおけるバクテリオファージの多様性は単純な計数計算により立証することができる。
例えば、好ましくは
−少なくとも12ヌクレオチドのランダム配列から構成される少なくとも3個のオリゴヌクレオチドの挿入により標的蛋白質をコードする3個の遺伝子が改変され;
−ヌクレオチド配列の1/3が標的蛋白質のレベルでポリペプチド修飾を受け;
−4個の塩基(A,T,C,G)うちの3個のみが元の蛋白質に対して突然変異を生じることができると仮定するならば、
ポリペプチドレベルで最低324通りの突然変異の可能性が得られ、約2.8×1011個の潜在的に異なるバクテリオファージ数に相当する。
本発明は特に標的細菌に感染してこの細菌で複製することが可能な本発明のバクテリオファージバンクに由来する単離型組換えバクテリオファージに関する。
このようなバクテリオファージは、
i)上記のように、バクテリオファージの標的蛋白質をコードする少なくとも1個の遺伝子にランダムに配列を作製されたオリゴヌクレオチドを導入する段階と;
ii)段階i)により得られた遺伝子改変型バクテリオファージを既知又は未知一致度の細胞と接触させる段階と;
iii)段階ii)で接触させたバクテリオファージのうちで前記既知又は未知一致度の細胞に感染することが可能な少なくとも1個のバクテリオファージを選択する段階に従って処理することにより取得することができる。
本発明により既知又は未知一致度の細菌に感染することが可能な組換えバクテリオファージの選択を容易にするためには、蛍光又は発光により検出可能なバクテリオファージを利用すると有利である。
この点で、宿主細菌に感染させるために使用されるバクテリオファージは発光又は蛍光蛋白質をコードする遺伝子の導入により蛍光性に予め改変されたバクテリオファージ自体とすることができる。
本発明の好ましい1態様によると、バクテリオファージは例えばGFP(緑色蛍光蛋白質)等の発光又は蛍光蛋白質と融合したキャプシド蛋白質を含む。
バクテリオファージのキャプシドのHoc蛋白質[Genbank NP049793]又はその一部をこの発光又は蛍光蛋白質と融合することが好ましい。この融合は一般にバクテリオファージの認識性又は細菌接着性に何ら影響しない。蛍光蛋白質を介在させると、感染により多数のバクテリオファージを保持する細菌の位置を突き止めることができる。バクテリオファージがその場所に集中すると、当業者に公知の測定機器により検出可能な蛍光レベルに達する。これらの改変型バクテリオファージは細菌を固体培地で平板培養する場合に感染性バクテリオファージをスクリーニングするために特に有用であることが判明した。
本発明は更に本発明の組換えバクテリオファージから抽出されるか又は前記バクテリオファージに由来するDNAから翻訳された改変型標的蛋白質に関する。
本発明はバクテリオファージの改変型標的蛋白質を取得するための方法として、本発明の組換えバクテリオファージを利用することを特徴とする任意方法にも関する。
5)取得された組換えバクテリオファージの利用
本発明のバクテリオファージバンクは既知又は未知の細菌を防除するために使用することができる。実際に、バンクに存在する各種標的蛋白質をもつ組換えバクテリオファージの多様性は高く、これらのバクテリオファージの1個が既知又は未知の細菌に感染する確率は有意に非ゼロである。
未知の細菌とは本発明の趣旨ではまだ特性決定されていない細菌、又は少なくとも例えばそのアンチバイオグラムを作成できるようにするために十分には特性決定されていない細菌である。有効な抗生物質が存在しない新興細菌や、その存在が立証されていない細菌でもよい。
本発明のバクテリオファージバンクは物体の表面又は生体内で発生することが可能な既知又は未知の細菌に対して予防的に利用できるという利点がある。
従って、本発明はバクテリオファージの標的蛋白質をコードする1個以上の遺伝子にランダムに作製されたオリゴヌクレオチドを挿入することにより改変されたバクテリオファージを含むバクテリオファージバンクを利用することを特徴とする殺菌方法に関する。
本発明の別の目的は本発明のバクテリオファージバンクを含有する固体又は液体組成物、例えば除菌したい表面に噴霧することが可能な散剤に関する。
好ましい1適用例は本発明のバクテリオファージバンクによる空調装置、特に空冷システムの処理である。
このような組成物は特に細菌感染症を予防又は治療するため、より詳細には気道又は皮膚疾患を治療するために、医薬品として利用することもできる。
所定細菌に感染することが可能であるとみなされる本発明の組換えバクテリオファージは上記用途の1種で単独利用することができる。
本発明の好ましい1態様によると、本発明の組換えバクテリオファージはこのバクテリオファージが感染することが可能な既知又は未知の細菌の検出及び/又は同定用参照バクテリオファージとして利用することができる。
参照バクテリオファージとは、本発明の趣旨では、検出又は診断ツールとして利用できるように、所定型の細菌を標的にできるようにしたバクテリオファージである。
本発明の組換えバクテリオファージは一般に培養し易い実験室細菌株を使用して得られる。従って、逆に実験室条件下では培養しにくい細菌に対して有用であると思われる。
従って、本発明の組換えバクテリオファージは診断法、例えば細菌感染症の検査対象である患者に由来する検体と前記バクテリオファージを接触させる段階を含む方法で利用することができる。
好ましい1態様によると、バクテリオファージは蛍光又は発光性であるため、特にそれぞれのバクテリオファージにより細菌を追跡できるという点で、感染の進行をリアルタイムで監視することが可能である。
上記利用及び方法は新興又は耐性細菌を検出又は防除するために緊急事態で特に有用である。
以下の実施例は本発明の例証を目的とし、その範囲を限定するものではない。
バクテリオファージT4のgp12、gp37及びgp38の変異体の配列の作製
以下、gp12に使用する手順を記載するが、当業者はgp37やgp38等の本発明の標的蛋白質をコードする他の遺伝子の改変にも容易に適用することができる。
ステップ1:gp12遺伝子の作製
gp12遺伝子は、
gp12F 5’−TGAGTAATAATACATATCAACACG(配列番号2)、及び
gp12R 5’−TGATTCTTTTACCTTAATTATGTAC(配列番号3)
をプライマーとして使用することにより、バクテリオファージ溶解液の濃縮培養液(上記参照)から得られた野生型T4のゲノムDNAからPCRにより増幅する。
分取アガロースゲルで精製後、gp12の受容体結合ドメインに対応するコーディング領域に点突然変異と挿入を導入する目的で、PCR産物(gp12A)をエラープローンPCR反応の鋳型として使用する(図5参照)。
ステップ2:受容体結合ドメインへのランダム突然変異の導入
ランダムポリメラーゼエラーを誘導するようにMn2の存在下で4回1組のネステッドPCR(各40サイクル)を実施する。
反応容量100μlとし、1×反応緩衝液中、それぞれ終濃度400ng及び30pmolの鋳型及びプライマーと、0.2mM dATP及びdGTP(各)、1mM dCTP及びdTTP(各)、2.5mM MgCl、0.7mM MnCl及びDNA−ポリメラーゼTaq(New England Biolabs,Inc.)5Uを使用してエラープローンPCRを実施する。PCRは96℃で2分後に、95℃で1分、56℃で1分及び72℃で2分を30サイクルと、72℃で7分間最終伸長反応を実施する。
1回目の反応(P1−1)はプライマーとして、
p12NF1F 5’−TCAAGGTAACCGCATCGTAAC(配列番号4)
p12NF2R 5’−AAAGACCACGCATGTCAG(配列番号5)
を使用する。
2回目の反応(P2−1)はプライマーとして、
p12NF2F 5’−TGCCATGGTGGAACTGTTCA(配列番号6)
p12NF3R 5’−CACCTAATCTAGGTTTAC(配列番号7)
を使用する。
3回目の反応(P3−1)はプライマーとして、
p12NF3F 5’−CTGACATGCGTGGTCTTT(配列番号8)
P12NF4R 5’−ATGTTTATGATAAGACAT(配列番号9)
を使用する。
4回目の反応(P4−1)はプライマーとして、
P12NF4F 5’−GTAAACCTAGATTAGGTG(配列番号10)
P12NF5R 5’−TCATTCTTTTACCTTAATTAT(配列番号11)
を使用する。
これらの反応産物は各々2個の他の反応産物と部分的にオーバーラップしており、使用するプライマーは蛋白質gp12で保存された定常領域に対応する。これらのドメインは作製される最終突然変異遺伝子構造で忠実に保存されていなければならない。しかし、エラープローンPCR反応により作製されるフラグメントのうちには、これらの領域に完全に突然変異誘発されているものもある。無傷の領域を維持するためには、保存ドメインを保持したフラグメントのみを選択的に増幅することを目的とする高忠実度PCRを上記各産物に実施する必要がある。
ステップ3:所望フラグメントの選択的増幅
これは各々25サイクルからなる2組の高忠実度PCR反応により実施する。
反応容量50μlとし、1×pfu緩衝液(20mM Tris−HCl,pH9.0,10mM KCl,1mM MgSO,6mM (NHSO,0.1% Triton X−100,0.1mg/ml SAB)に200μM dNTPとポリメラーゼpfu(Promega)5Uを加え、それぞれ終濃度250ng及び40pMの鋳型及びプライマーを使用して高忠実度PCRを実施する。PCR条件は、94℃で20秒、45℃で15秒及び72℃で30秒を20サイクル繰り返す。
第1組の反応(P1−2からP4−2)では、5’末端をビオチン化した対応する「F」プライマー(例えば:p12NF1F)を使用することにより、上記各PCR産物のアリコート(約250ng)を増幅する。これは、長さが実質的に等しいためにゲル電気泳動により分離できない増幅不能な鋳型(突然変異保存ドメイン)から所望産物を分離するために必要である。
各反応の産物を次に(過剰のプライマーを除去するために)サイズ排除ミニカラムに通し、ストレプトアビジンビーズで個々に精製し、結合用緩衝液で洗浄し、溶出、沈殿させ、ddHOに再懸濁する。
第2組の反応では、精製した反応産物P1−2のアリコートを等量の反応産物P2−2と混合する。前記反応産物は共通のプライミング部位F2−R1及びF3−R2をもつ。従って、反応産物P2−2の「−」鎖は反応産物P1−2の「+」鎖のプライマーとして使用され、P1−2の内部プライミング部位F2−R1でポリメラーゼによる伸長が開始する。この保存部位が有意に突然変異されている反応産物P1−2では伸長できない。
同様に、反応産物P1−2の「+」鎖は反応産物P2−2の「−」鎖のプライマーとして使用され、P2−2の内部F3−R2プライミング部位でポリメラーゼによる伸長が開始する。この保存部位が有意に突然変異されている反応産物P2−2では伸長できない。
増幅に成功したPCR産物(PA−1)は4個の保存ドメイン(F1 + F2−R1 + F3−R2 + F4−R3)の各々が非突然変異状態に維持されたフラグメントP1−2及びP2−2の融合体に対応する。
同様の混合物を反応産物P3−2及びP4−2から作製する。これらの反応では、伸長の成功は無傷の内部保存部位F4−R3(P3−2)及びF5−R4(P4−2)に基づき、得られるPCR産物(PA−1及びPB−1)は4個の保存ドメイン(F3−R2 + F4−R3 + F5−R4 + R5)の各々が非突然変異状態で得られたフラグメントP3−2及びP4−2の融合体に対応する。
融合PCR産物の寸法は個々の鋳型の寸法と著しく異なるので、得られた産物を分取ゲル電気泳動により精製する。
この第2組のPCR反応の収率を増加させるためには、伸長プロトコールを以下のように改変することができる:
反応混合物中の産物P1−2及びP2−2と、P3−2及びP4−2のみで10サイクル。
反応を中断し、プライマーp12NF1F及びp12NF3R各50ngを混合物PA−1に加え、プライマーp12NF3F及びp12NF5R各50ngを混合物PB−1に加えた後、PCR反応を更に15サイクル続ける。
ステップ4:gp12の突然変異アンカードメインの再構成
精製後、上記各種突然変異を導入したユニークなフラグメントにおいてgp12の全長受容体結合ドメインを再構成する目的で30サイクルからなる高忠実度PCR反応で産物PA−1及びPB−1の等量アリコートを併用する。
この場合、前回の反応と同様に、産物PA−1は産物PB−1の伸長プライマーとして使用され、産物PB−1は産物PA−1の伸長プライマーとして使用される。
その寸法は個々の鋳型の寸法と著しく異なるので、最終融合PCR産物(gp12BD−Fu)をゲル電気泳動により精製する。
収率を増加させるためには、反応混合物中の産物P1−2及びP2−2と、P3−2及びP4−2のみで15サイクルからなる反応を実施することにより、伸長プロトコールを改変することができる。反応を中断し、プライマーp12NF1F及びp12NF5R各50ngを混合物に加えた後、PCR反応を更に15サイクル続ける。
精製後、再構成したgp12の受容体結合ドメインのアリコート(約250ng)を4回1組の新規エラープローンPCR反応で鋳型として使用した後、上記のように選択的増幅とドメインの再構成を行う。
しかし、各融合段階(上記段階3及び4)で各サブドメインに個々に導入される可能な全突然変異は再構成された最終受容体系列ドメインにランダムに混入されるので、保存ドメインに悪影響を与えずに実施可能な突然変異誘発サイクル数には限界がある。必要な選択的増幅段階を考慮すると、4連続サイクルを越える場合には新規に導入される全突然変異が保存ドメインに悪影響を与える確率又は突然変異していない元のT4配列に戻る復帰突然変異を導入する確率が高いと考えられる。
ステップ5:gp12遺伝子全体の改変コピーの再構成
1)受容体結合ドメインの上流のgp12のセグメントの増幅
上記のようにPCRにより作製したgp12遺伝子(gp12A)を鋳型とし、プライマー
gp12F 5’−TGAGTAATAATACATATCAACACG(配列番号12)、及び
gp12AR 5’−GTTACGATGCGGTTACCTTGT(配列番号13)
と共に使用する。
次に、得られた増幅産物を分取アガロースゲルで精製し、沈殿後、ddHOに再懸濁する。
2)gp12の突然変異結合ドメインの増幅
PCR産物(gp12B)のアリコート(約500ng)を等量の再構成したgp12の受容体結合ドメイン(gp12BD−Fu)と共に高忠実度PCR反応で使用する。なお、これらの2種類の産物は20pbしかオーバーラップしない。従って、PCR反応条件はこの点を考慮して改変する必要がある。
改変PCR条件:A)96℃で30分→94℃で1分、45℃で10秒を5サイクル→B)94℃で1分と50℃で20秒を5サイクル→C)94℃で1分、50℃で30秒を5サイクル→最後にD)94℃で1分、55℃で1分、72℃で5秒を15サイクル。
収率を増加させるためには、上記サブステップDで反応を中断し、プライマーgp12F及びp12NF5Rを混合物に導入することができる。次に反応を再開し、完了まで実施する。
最終産物(gp12−Mut)を分取アガロースゲルで精製し、沈殿させ、その使用時までddHOに再懸濁する。
ステップ6:得られたPCR産物gp12−Mutのシーケンシングによる検証
ドメインD1及びD2を無傷に保存しながら、確かに突然変異がランダムにgp12に導入されていることを検証するために、アガロースゲルで精製したPCR産物を自動シーケンシンサーによりシーケンシングする。シーケンシングはgp12(配列番号1)のヌクレオチド1089から1110(図6A)と1195から1212(図6B)にそれぞれ対応する2部分で実施する。典型的に得られたシーケンシングプロファイルを図6に示す。そのプロファイルをgp12の初期配列のプロファイルと比較すると、gp12の予想プロファイルには多数の付加ピークが加わっていることが認められる。これらの付加ピークはPCR法により配列gp12に導入された突然変異が高頻度であることを反映している。これらのピークはドメインD1のレベルには認められず、このドメインがgp12に対してその配列一致度を保存していることが確認される。
相同組換え用代替ベクターへの突然変異gp12−Mutのクローニング
上記手順により、gp12と同様にT4の突然変異遺伝子gp37及びgp38も作製することができた。
従って、以下の手順の目的は親バクテリオファージと異なる宿主標的親和性をもつT4の子孫を作製するように、バクテリオファージT4のゲノムへの相同組換えによる導入を助長するようにT4のこれらの変異遺伝子を導入することである。
この目的のために、上記のように作製した突然変異遺伝子を代替ベクター(遺伝子毎に異なるベクター)に導入する必要がある。本例では、突然変異遺伝子の各々をクローニングするためにベクターpACYC184、pBAD18−K及びRR1を使用する。
選択したベクター(例えばgp12Mutのクローニング用のpACYC184)をSmaI部位のレベルで切断し、精製し、ddHO 20μlに再懸濁し、PCR産物gp12Mutと1:3の比で混合する。ライゲーション後、DNAを精製し、ddHOに再懸濁し、「エレクトロコンピテント」細胞DK8(ATCC47038)に形質転換する。このベクターはクロラムフェニコール耐性遺伝子(Chl)をもつ。従って、エレクトロポレーションと1時間の回復時間後に、クロラムフェニコール170μg/mlを加えたLB培地10mlに細胞を移し、常時曝気下に30℃で4時間培養する。次に細胞をLB培地プレート+Chlに撒き、一晩30℃で培養する。挿入セグメントgp12Mutの存在をPCRにより検証するために数個のコロニーを採取し、濃縮細胞培養液(DK8−p12C)を調製するために数個の陽性コロニーをLB培地+Chlで培養する。
宿主細菌への突然変異遺伝子gp37及びgp38の導入
DK8−p12Cの新鮮な一晩培養液を使用してエレクトロコンピテント細胞を作製する。
ベクターpBAD18−KをSmaI部位のレベルで切断し、精製し、ddHO 20μlに再懸濁し、PCR産物gp37Mutと1:3の比で混合する。ライゲーション後、DNAを精製し、ddHOに再懸濁し、「エレクトロコンピテント」細胞DK8−p12Cに形質転換する。
この場合に使用するベクターはカナマイシン耐性遺伝子(Kan)をもつ。従って、エレクトロポレーションと1時間の回復時間後に、クロラムフェニコール170μg/mlとカナマイシン50μg/mlを加えたLB培地10mlに移し、常時曝気下に30℃で4時間培養する。次に細胞をLB培地プレート+Chl+Kanに撒き、一晩30℃で培養する。挿入セグメントgp12Mut及びgp37Mutの存在をPCRにより検証するために数個のコロニーを採取し、濃縮細胞培養液(DK8−p12C−p37K)を調製するために数個の陽性コロニーをLB培地+Chl+Kanで培養する。
DK8−p12C−p37Kの新鮮な一晩培養液を使用してエレクトロコンピテント細胞を作製する。ベクターRR1をSmaI部位のレベルで切断し、精製し、ddHO 20μlに再懸濁し、PCR産物gp37Mutと1:3の比で混合する。ライゲーション後、DNAを精製し、ddHOに再懸濁し、「エレクトロコンピテント」細胞DK8−p12C−p37Kに形質転換する。この場合に使用するベクターはアンピシリン耐性遺伝子(Amp)をもつ。従って、エレクトロポレーションと1時間の回復時間後に、クロラムフェニコール170μg/ml+カナマイシン50μg/ml+アンピシリン60μg/mlを加えたLB培地10mlに移し、常時曝気下に30℃で4時間培養する。次に細胞をLB培地プレート+Chl+Kan+Ampに撒き、一晩30℃で培養する。挿入セグメントgp12Mut、gp37Mut及びgp38Mutの存在をPCRにより検証するために数個のコロニーを採取し、濃縮細胞培養液(DK8−p12C−p37K−P38A)を調製するために数個の陽性コロニーをLB培地+Chl+Kan+Ampで培養する。
次に、非常に有効な組換え能を示すことが可能な宿主を構築する。
大腸菌「mini−λ」宿主細菌の構築
recA又はrecAバックグラウンドでドナーDNAの有効な組換えを得るために、λの温度感受性リプレッサーclの制御下の組換え遺伝子exo、bet及びgamをもつプロファージλを含む大腸菌宿主を作製する。遺伝子exo、bet及びgamは42℃で容易に活性化し、32℃で阻害することができる。λの機能を活性化させる時間を5分間に短縮すると、細胞は組換え能が高まり、線状DNAを破壊せずに吸収する。λ Gamは大腸菌のヌクレアーゼRecBCDによる線状DNA攻撃を抑制し、ExoとBetaはこの線状DNAの組換え活性を生じる。更に重要な点として、この組換えは線状DNAから構成される基質の末端の30から50pbに限定されたDNA相同度で有効である。
λ cl857のDNAを鋳型として使用し、attP−cro領域に由来するDNAのPCR増幅用プライマーとしてオリゴヌクレオチド5’GTATGCATGCTGGGTGTGG(MλRf)及び5’CGCACTCTCGATTCGTAGAGCCTCG(MλRr)を使用する。
一旦プロファージλがPCRにより作製されると、例えばLacZによる選択によりプロファージλを低コピー数プラスミドpFN476(ATCC86962)にクローニングすることが可能になる。
ベクターpFN476をSmaI部位(平滑末端)のレベルで切断し、精製し、ddHO 20μlに再懸濁し、プロファージλのPCR産物と1:3の比で混合する。ライゲーション後、DNAを精製し、ddHOに再懸濁し、「エレクトロコンピテント」細胞DK8−p12C−p37K−p38Aに形質転換する。回復後、細胞をLB培地プレートX−gal+Chl+Kan+Amp(上記参照)に撒き、30℃でインキュベートする。
プロファージλの存在をPCRにより検証するために数個のブランクコロニーを選択する。次に、後続操作で使用する濃縮細胞培養液(DK8−T4Mut−λ)を調製するためにプロファージλの陽性コロニー1個をLB培地+Chl+Kan+Ampで一晩30℃にて培養する。
この段階で、形質転換宿主は高温でλにより誘導可能であり、lacZ陽性であり、相同組換えにすぐに利用可能なT4の突然変異遺伝子gp12、gp37及びgp38のコピーを含む。
宿主範囲を拡大したバクテリオファージT4の子孫の作製
DK8−T4Mut−λ細胞の新鮮な一晩培養液をLB培地+Chl+Kan+Ampで30℃にて調製する。
バクテリオファージの添加前に細胞が指数増殖期に入るように確保するように、LB培地+Chl+Kan+Amp 10ml当たり一晩培養液の細胞0.05ml以下の容量でT4感染のための培養を開始する。
曝気を改善するために、これらの培養液は非気密性の栓をした枝付き250ml三角フラスコに入れ、30℃の振盪機の水浴中で培養する。
LB培地+Chl+Kan+Amp中の細胞250mlを細胞3×10個/mlの密度で30℃にて振盪培養する。
次に指数増殖期の細胞の10mlアリコートを42℃に予熱したLB培地+Chl+Kan+Amp 40mlに移し、常時曝気下に42℃で厳密に15分間インキュベートする。トリプトファンを0.02mg/mlの濃度で加えた後、細胞1個当たり粒子約10個の多重度でバクテリオファージT4を加える。培養液を30℃の水浴に移し、厳密に25分間増殖を続ける。
この場合の目的は第1世代の子孫を単離し、この第1世代のバクテリオファージ子孫が繁殖性になる前に増殖を停止させることである。
バクテリオファージの子孫の回収
5000rpmで5分間遠心することにより細胞を採取し、上清を回収し、クロロホルム数滴を加え、混合物を再び10分間6000rpmで遠心する。5倍濃縮緩衝液を使用することにより、クロロホルムを除く上清を1×SM緩衝液の濃度(10mM MgSO,100mM NaCl,0.01%ゼラチン及び50mM Tris−HCl[pH7,5])に調整し、分析時まで4℃で保存する。
ペレットとして集めた細胞を0.05M Tris−塩酸(pH8.0)+25%蔗糖の溶液8mlに再懸濁する。リゾチーム(5mg/ml)の1.6mlアリコートを加え、混合物を5分間0℃でインキュベートする。0.2M EDTA溶液3.2mlを加え、混合物を更に15分間0℃でインキュベートする。細胞溶解液を10倍濃縮緩衝液により500mM Tris−HCl,pH7.4,100mM MnClに調整し、15℃で平衡化し、Dnase1(Sigma)10Uを加えて2時間インキュベートする。次に混合物を6000rpmで10分間遠心する。透明上清を注意深く分取し、1×SM緩衝液の濃度に調整し、上記のように保存する。
宿主範囲拡大の検証
病原性細菌株(エルシニア種、サルモネラ種、大腸菌O157 H7、エンテロバクター・サカザキ(Enterobacter sakazakii)等)の培養液を調製する。
次に3mlアリコートに子孫の濃縮培養液1mlを感染させ、撹拌下に30℃でインキュベートする。感染直後とその後60分間おきに培養液の濁度を比色分析により測定する。5時間以内に培養液の濁度が著しく低下した場合には、試験した宿主に感染することが可能な粒子がT4の組換え子孫に存在していると判断する。培養液にクロロホルム数滴を加え、濁度の明白な低下を引き起こした後に、培養液を5000rpmで5分間遠心する。
上清を回収し、自然界では野生型バクテリオファージT4により攻撃することができない被験細菌に特異的なバクテリオファージ粒子を生産するための感染物質として使用する。

Claims (30)

  1. 遺伝子改変型バクテリオファージバンクの作製方法であって、
    i)バクテリオファージの標的蛋白質をコードする少なくとも1個の遺伝子に、配列がランダムに作製されているオリゴヌクレオチドを挿入することが可能な少なくとも1個のDNA構築物により宿主細菌を形質転換する段階;
    ii)段階i)で形質転換した細菌に前記バクテリオファージを感染させる段階;
    iii)段階ii)で感染させた細菌を、バクテリオファージが複製することができ、並びに前記バクテリオファージの標的蛋白質をコードする少なくとも1個の遺伝子にランダムに作製されたオリゴヌクレオチドの少なくとも一部を挿入できるような条件下に置く段階;
    iv)前記感染宿主細菌で複製した組換えバクテリオファージを回収する段階
    を含むことを特徴とする方法。
  2. オリゴヌクレオチドの挿入が相同組換えにより実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 宿主細菌が大腸菌DK8株であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 段階iv)において、平均して形質転換宿主細菌におけるバクテリオファージの1複製サイクル後で2回目の複製サイクルが生じる前にバクテリオファージが回収されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 形質転換宿主細菌に感染させるために使用されるバクテリオファージがTファミリーのバクテリオファージ、好ましくはT4型バクテリオファージであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 形質転換宿主細菌に感染させるために使用されるバクテリオファージが発光又は蛍光蛋白質をコードする遺伝子の導入により蛍光性に改変されたバクテリオファージ自体であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 形質転換宿主細菌に感染させるために使用されるバクテリオファージが発光又は蛍光蛋白質と融合したキャプシド蛋白質をもつバクテリオファージであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 発光又は蛍光蛋白質がバクテリオファージのキャプシドのHoc蛋白質又はその一部と融合されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. ランダムな配列をもつオリゴヌクレオチドの挿入により遺伝子を改変するバクテリオファージの標的蛋白質がGP12、GP36、GP37及びGP38蛋白質又はその相同蛋白質から選択されることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. ランダムな配列をもつオリゴヌクレオチドの挿入により遺伝子を改変するバクテリオファージの標的蛋白質がGP12蛋白質であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  11. 段階i)において、前記バクテリオファージの遺伝子に挿入するために所定配列をランダムに突然変異させた前記バクテリオファージの前記標的蛋白質をコードする遺伝子の全部又は一部のコピーに対応するインサートを含むDNA構築物により宿主細菌を形質転換することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 請求項1から11のいずれか一項の方法に従って取得可能なバクテリオファージバンク。
  13. 組換えバクテリオファージバンクであって、前記バンクを構成するバクテリオファージが標的蛋白質をコードする少なくとも1個の遺伝子の各種コピーを含み、前記遺伝子がランダムに作製されたオリゴヌクレオチド配列の挿入を含むことを特徴とする組換えバクテリオファージバンク。
  14. 各種コピーをバクテリオファージに含む前記遺伝子が標的蛋白質GP12をコードすることを特徴とする請求項13に記載のバクテリオファージバンク。
  15. 組換えバクテリオファージバンクであって、前記バンクを構成するバクテリオファージが標的蛋白質をコードする種々の遺伝子の各種コピーを含み、前記遺伝子がランダムに作製されたオリゴヌクレオチド配列の挿入を含むことを特徴とする組換えバクテリオファージバンク。
  16. 前記標的蛋白質がGP12、GP36、GP37、GP38又はその相同物である蛋白質から選択されることを特徴とする請求項12又は15に記載の組換えバクテリオファージバンク。
  17. 標的蛋白質をコードする前記遺伝子が同時に改変されていることを特徴とする請求項12、15又は16のいずれか一項に記載の組換えバクテリオファージバンク。
  18. 同一バクテリオファージの少なくとも10個、好ましくは少なくとも10個、より好ましくは少なくとも10個の変異体を含み、前記変異体はその標的蛋白質の少なくとも1個の配列が相違することを特徴とする請求項12から16のいずれか一項に記載のバクテリオファージバンク。
  19. バクテリオファージの標的蛋白質をコードする遺伝子を改変するためのDNA構築物であって、標的蛋白質をコードする前記遺伝子の全部又は一部のランダムに突然変異させたコピーに対応するインサートを含むことを特徴とする前記DNA構築物。
  20. 5’及び3’末端を2個のセグメントF1及びF2により規定され、一致度を保存した少なくともN個の内部セグメントDからD(ここで、Nは1以上の整数である。)を含む前記インサートが、
    i)ランダムに突然変異を導入しながら前記インサートの配列を増幅するように、それぞれセグメントF1及びF2のセンス及びアンチセンスプライマーである少なくとも2個のプライマーを使用して前記インサートの配列の全長にエラープローンPCRを実施する段階;
    ii)前記インサートのランダムに突然変異させたコピーに対応する得られた増幅産物を精製する段階;
    iii)それぞれセンスプライマーとアンチセンスプライマーの対として少なくとも
    −前記インサートの突然変異コピーの少なくともF1−D領域を増幅するために、F1に対応するセンスプライマーと、Dのアンチセンスプライマーと、
    −Sの突然変異コピーの少なくともD−F2配列を増幅するために、Dに対応するセンスプライマーと、F2のアンチセンスプライマー
    を使用することにより、段階ii)で精製した増幅産物から出発して高忠実度PCRを実施する段階;
    iv)段階i)で突然変異させた前記インサートのうちでセグメントDの配列がその一致度を保存しているセグメントF1−D及びD−F2のコピーから構成される段階iii)で得られた増幅産物を精製する段階;
    v)F1及びF2の少なくとも1対のセンスプライマーとアンチセンスプライマーを使用することにより、段階iv)で得られた増幅産物から出発して高忠実度PCRを実施する段階;
    vi)前記インサートのランダムに突然変異させたヌクレオチド配列のうちで少なくともセグメントDの配列がその一致度を保存しているものに対応する段階v)で得られたPCR産物を精製する段階
    を含む方法を使用してPCRにより得られることを特徴とする請求項19に記載のDNA構築物。
  21. 請求項19又は20に記載のDNA構築物であって、
    −宿主細菌における前記構築物の複製を可能にする領域
    を更に含むことを特徴とするDNA構築物。
  22. 請求項19から21のいずれか一項に記載の複数のDNA構築物により形質転換された細菌から構成される宿主細菌バンク。
  23. 既知又は未知一致度の細胞を標的とすることが可能な遺伝子改変型バクテリオファージの選択方法であって、
    i)請求項1から11のいずれか一項の方法に従って得られた遺伝子改変型バクテリオファージを既知又は未知一致度の細胞と接触させる段階と;
    ii)前記既知又は未知一致度の細胞と接触させた組換えバクテリオファージのうちで前記細胞に感染することが可能な少なくとも1種の組換えバクテリオファージを選択する段階を含むことを特徴とする前記方法。
  24. 請求項12から18のいずれか一項に記載のバクテリオファージバンクを利用することを特徴とする非治療的殺菌方法。
  25. 治療剤としての請求項11から16のいずれか一項に記載のバクテリオファージバンク。
  26. 細菌感染症の防除又は予防用医薬の製造のための、請求項12から18のいずれか一項に記載の組換えバクテリオファージバンク又は請求項23の方法に従って選択された少なくとも1種のバクテリオファージの使用。
  27. 既知又は未知細菌の参照用バクテリオファージを取得するための、請求項12から18のいずれか一項に記載の組換えバクテリオファージバンク又は請求項23の方法に従って選択された少なくとも1種のバクテリオファージの使用。
  28. 細菌のインビトロ検出及び/又は同定用としての請求項12から18のいずれか一項に記載のバクテリオファージバンクの使用。
  29. 感染のインビトロ診断用としての請求項11から16のいずれか一項に記載のバクテリオファージバンクの使用。
  30. 請求項23の方法に従って選択された少なくとも1種のバクテリオファージを含有する医薬組成物。
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