JP2010508485A - 複合材料用のナット板締結具アセンブリ - Google Patents

Abstract

リベット無しナット板アセンブリ（２０）は、十分に事前組み立てされ、炭素繊維構造体のような複合材料ワークピース（１１０）の開口（１１２）中に、ワークピースを層間剥離させることなしに設置され得る。このリベット無しナット板アセンブリ（２０）は、ナット（２２）と、保持ブラケット（２４）と、固定具（２８）と、スリーブ部材（２５，２５ａ，２５ｂ，２５ｃ）とを備える。加えて、リベット無しナット板アセンブリ（２０）を設置することにステム（２６）が使用される。スリーブ部材（２５，２５ａ，２５ｂ，２５ｃ）は、ナット板アセンブリ（２０）が複合材料ワークピース（１１０）内に、層間剥離を生じさせるおそれなく設置され得るように構成されている。スリーブ部材（２５，２５ａ，２５ｂ，２５ｃ）は、４５Ｃｂ−５５Ｔｉチタン・コロンビウム合金で形成され得る。これは、チタン・コロンビウム合金は、例えば炭素繊維複合構造体（１１０）の存在下で侵食に抵抗する高強度の延性材料だからである。モネル、チタン合金、及び他のソフトニッケル合金もまた、スリーブ部材（２５，２５ａ，２５ｂ，２５ｃ）にとって同様の理由で良好な材料である。引っ張り及び剪断強度の高い非金属材料、例えばトーロン及びパーマックスは、所望の侵食保護を与えると共に重量の軽減が可能である。
【選択図】図１

Description

［発明の背景］
本発明は、一般にナット板締結具アセンブリに関し、特に複合材料ワークピースと共に使用されるために構成されたリベット無しナット板締結具アセンブリに関する。

締結具は、航空宇宙産業において、少なくとも２つのワークピースを一緒に固定するために使用される。そのような設置に使用される締結具は、ナット板と、ナットとを有する。これらは、アセンブリの一部である。今日使用されているナット板には多くの異なる設計形状がある。２つの主たる分類は、リベット付きナット板とリベット無しナット板である。

リベット付きナット板では、ナット板の本体をワークピースに取り付けるために、２つのリベットが使用される。リベット付きナット板の開口部を通って漏洩する可能性をなくすために、ワークピースとナット板との間にシーラントが使用される。

リベット無しナット板に関して、ある種の設計は、スリーブがワークピースに接してフレア状に張り出すようにしている。この種のリベット無しナット板の一例は米国特許第４，７３２，５１８号（特許文献１）に開示されており、その内容は参照により完全にここに組み入れられる。この‘５１８号特許は、スリーブが重い反発力に抗してワークピース内部に挿入され、それからスリーブが変形してスリーブの端部にフレアを生成することを説明している。スリーブは、その上にセレーション／ローブ形状を持つ。このセレーション／ローブ形状は長く、かつセレーション／ローブがワークピースの壁中に延びるようにテーパ状になっている。このテーパ付き形状、長さ及び特定の幾何学的構造は、その適用のために選択された設置方法による設置を可能にするに必要なものである。テーパ状でかつ広がったセレーション／ローブ形状を持つ‘５１８号特許の主目的は、ワークピース全体に負荷を分布させると共にワークピース中へのスリーブの挿入に起因する拡張を与えることによってワークピースの疲労寿命を強化すること、並びにワークピース開口の外周に隣接した材料を冷間加工することにある。

他のナット板設計は、スリーブのフレアに依存するものではない。米国特許第５，０９６，３４９号（特許文献２）、第５，２４５，７４３号（特許文献３）、第５，４０５，２２８号（特許文献４）、第７，０５９，８１６号（特許文献５）並びに継続中の米国特許出願第１０／９２９，７０１号（２００４年８月３０日出願）（特許文献６）は、スリーブのフレアに依存しないリベット無しナット板設計を開示している。これら５件は、参照により完全にここに組み入れられる。ある種のリベット無しナット板設計は、接着剤に依存して、ナット板を構造体に取り付けるものであるが、上記で引用された５件に開示された設計は、密に冷間加工された穴と、硬化されたピンを設置ツールとして利用する高干渉係合とに依存することにより、スリーブ要素を拡張してワークピース構造と係合させる。高レベルの拡張のため、発生した摩擦力は、ナット板を保持すること、及び予測される機械的特性を与えることが意図されている。

現在、航空宇宙産業では、米国特許第７，０５９，８１６号に開示されているリベット無しナット板が、衛星リベットを利用した旧式のナット板に代わって、アルミ構造応用では益々支配的になっている。このことは、リベット無しナット板の時間節約性に起因する一方で、ＮＡＳＭ２５０２７によって要求されるトルクアウト及びプッシュアウトに対する機械的特性を依然として維持している。

このリベット無しナット板は、事前穿孔された穴内に配置されているナット板固定具の内径を通してマンドレルを引き、この穴内で締結具スリーブを半径方向に拡張することによって機能する。ワークピース内での締結具スリーブの半径方向の拡張は、複雑なローブデザインを有するスリーブを事前穿孔された穴内に埋設すると共に、トルクアウト及びプッシュアウトに抗するのに必要な構造と、ナット板との間のかみ合わせを生み出す。

不幸なことに、この複合材料は、材料に穴を導入しそれからこれら穴内へ締結具を導入することにより、殆どの航空宇宙構造材料には存在しない独特な問題を生じる。複合材料の特性に起因して、締結具スリーブによって引き起こされるワーク穴の過剰な半径方向の拡張は、複合材料の層間剥離を生じるが、一方で過小な半径方向の拡張は、適切な剪断負荷転移を妨げる。解決が必要とされる。かくして、本発明は、複合材料に設置するためのリベット無しナット板を扱う。

複合材料ワークピースと共に使用可能となるようにリベット無しナット板を改修する現在のアプローチは無いように見えるが、衛星リベットを持つ旧式のナット板を使用するアプローチはある。このアプローチは、それらの穴に対する穿孔及び穴拡大操作を必要とするか、あるいは結合剤を伴うことを要する。複合材料の性質に起因して、穿孔された各穴や、追加設置された各締結具は、構造体の完全性を危険にさらす。穿孔プロセスを複合材料中で行うことは、困難であると共にコスト高となり、また繊維を吸水問題に曝すことによって構造体にダメージを与えるが、一方で設置された各締結具は、オーバーフィル条件に起因して、複合材料にダメージを与える。オーバーフィル条件では、締結具の過剰な半径方向の拡張は、複合材料の層間剥離へと導く。最後に、結合プロセスの完全性は容易に実証可能ではなく、またそれは環境変化、例えば熱、湿度及び化学物質に起因して劣化する。

かくして、本発明の実施形態は、結合剤や、追加の穴または衛星リベットを使用することなく、しかも構造体にダメージを与えることなく、リベット無しナット板を複合構造体に締結することを意図している。

米国特許第４，７３２，５１８号 米国特許第５，０９６，３４９号 米国特許第５，２４５，７４３号 米国特許第５，４０５，２２８号 米国特許第７，０５９，８１６号 米国特許出願第１０／９２９，７０１号

［発明の目的及び要約］
本発明の実施形態の１つの目的は、複合材料ワークピースの開口中に、ワークピースの層間剥離を起こすおそれなく、設置可能なリベット無しナット板アセンブリを提供するにある。

本発明の実施形態のもう１つの目的は、結合剤や、追加の穴または衛星リベットを使用することなく、しかも構造体にダメージを与えることなく、リベット無しナット板を複合構造体に締結することである。

簡単に、且つ前述したことに従って、本発明の実施形態は、リベット無しナット板アセンブリを提供する。このアセンブリは、十分に事前組み立てされ、炭素繊維構造体のような複合材料ワークピースの開口中に、ワークピースを層間剥離させることなしに設置され得る。このリベット無しナット板アセンブリは、ナットと、保持ブラケットと、固定具と、スリーブ部材とを備える。加えて、リベット無しナット板アセンブリを設置することにステムが使用される。スリーブ部材は、ナット板アセンブリが複合材料ワークピース内に、層間剥離のリスクなく設置され得るように構成されている。スリーブ部材は、４５Ｃｂ−５５Ｔｉチタン・コロンビウム合金で形成され得る。これは、チタン・コロンビウム合金は、例えば炭素繊維複合構造体の存在下で侵食に抵抗する高強度の延性材料だからである。モネル（商標）、チタン合金、及び他のソフトニッケル合金もまた、スリーブ部材にとって同様の理由で良好な材料である。引っ張り及び剪断強度の高い非金属材料、例えばトーロン（商標）及びパーマックス（商標）は、所望の侵食保護を与えると共に重量節減の可能性を示す。

この発明の構造及び動作の構成及び手法は、その更なる目的及び利点と共に、添付の図面に関連してなされる以下の説明を参照することによって、最も良く理解される。図面では、同様の参照番号は、同様の要素として扱う。

本発明の実施形態に係るナット板アセンブリの分解斜視図である。 複合材料ワークピースの穴内に設置するために位置決めされた図１のナット板アセンブリを示す側断面図である。 図２と同様であって、その拡大された一部分を示している。 ナット板アセンブリのスリーブを通して引き込まれるステムの頭部を示す側断面図である。 図４と同様であって、その拡大された一部分を示している。 ナット板アセンブリのスリーブを通してステムの頭部が完全に引き込まれた後の、十分に設置されたナット板アセンブリを示す側断面図である。 図６と同様であって、その拡大された一部分を示している。 ナット板アセンブリの保持ブラケット部品の立前面図である。 保持ブラケット部品の立側面図である。 保持ブラケット部品の上部平面図である。 保持ブラケット部品の底部平面図である。 図１２は、ナット板アセンブリのスリーブ部品の立側面図である。図１２ａは、本発明に関連して利用可能な代替スリーブ部品構成の断面図である。図１２ｂは、図１２ａに示された代替スリーブ部品の上面（及び底面）図である。 スリーブの上部平面図である。 スリーブの底部平面図である。 図１に示されたリベット無しナット板の設置に関連して使用可能な異なるマンドレル頭部デザインを描いている。 図１に示されたリベット無しナット板の設置に関連して使用可能な異なるマンドレル頭部デザインを描いている。 図１に示されたリベット無しナット板の設置に関連して使用可能な異なるマンドレル頭部デザインを描いている。 図１８は、本発明に関連して利用可能な代替スリーブ部品構成の断面図である。図１８ａは、図１８に示された代替スリーブ部品の上面図である。図１８ｂは、図１８に示された代替スリーブ部品の底面図である。 図１９は、本発明に関連して利用可能な代替スリーブ部品構成の断面図である。図１９ａは、図１９に示された代替スリーブ部品の上面図である。図１９ｂは、図１９に示された代替スリーブ部品の底面図である。 図２０は、本発明に関連して利用可能な代替スリーブ部品構成の断面図である。図２０ａは、図２０に示された代替スリーブ部品の上面（及び底面）図である。

［図示の実施形態の詳細な説明］
この発明は異なる実施形態を受け入れ可能であるが、特定の実施形態が図面に示され、ここで詳細に説明される。本開示は、発明の原理の例示として考えられるべきものであって、発明をここに図示されたものに限定することを意図されたものではない、と理解されるべきである。

図１は、本発明の一実施形態に係るリベット無しナット板アセンブリ２０の分解斜視図である。このリベット無しナット板アセンブリ２０は、複合材料ワークピースの開口中に、ワークピースの層間剥離を起こすおそれなく、しかも結合剤や、追加の穴または衛星リベットを使用する必要なく、設置され得るように構成されている。

ナット板アセンブリ２０は、ナット２２と、保持ブラケット２４と、スリーブ２５と、固定具２８とを有する。加えて、設置前に、ナット板アセンブリ２０は、このナット板アセンブリ２０を複合材料ワークピース１１０の開口１１２内に設置することに使用されるステム２６を有する。

ナット２２は、ベース部分３０と、そこから上向きに延びた、概ね円筒構成である部分３２とを有する。ベース部分３０及び開口壁３６を規定する部分３２を貫通して、開口３４が設けられている。開口壁３６は、概ねネジ付きで、締結具、例えばボルトがそこに取り付けられるようになっている。ベース部分３０は、端部凹部３８，４０と、この凹部３８，４０の対向する側に位置して軸方向に突出した端部４２，４４及び４６，４８とをそれぞれ有する。

図２〜９に示されているように、保持ブラケット２４は、立前面図において概ねＹ字形状であり、そして管状部分５０と、この管状部分５０の第１端部５４から外向きに延びたブラケット部分５２とを有する。ブラケット部分５２は、ベース部分５６と、互いに対向して直立する側壁５８，６０とを有する。ベース部分５６は、ベース部分５６から上向きに突出した一対の突起６２，６４を持つ。突起６２は、ベース部分５６のエッジ６６に接近して設けられ、また突起６４は、ベース部分５６のエッジ６８に接近して設けられている。ブラケット部分５２の側壁５８，６０を通してスロット７０，７２が延びている。

管状部分５０は、ブラケット部分５２のベース部分５６からブラケット部分５２の側壁５８，６０及び突起６２，６４とは逆方向に延びている。管状部分５０は、管状部分５０の内壁７６を規定する開口７４を有する。管状部分５０はまた、外壁７８を有する。管状部分５０の第１端部５４から、内壁７６は内向きに湾曲して、肩部８０を与えることが好ましい。この肩部８０から管状部分５０の第２端部８２まで、内壁７６は、図５に描かれているように、テーパ状又は段付けされて、内壁７６の直径が次第に減少されるようにすることが好ましい。望まれる場合には、内壁７６はテーパ状である必要はない。内壁７６は、図３に描かれているように、第２端部８２に接近して設けられたリップ８４を持ち、これが内壁７６の直径を更に減少させるように構成されることが好ましい。リップ８４は、テーパ状の内壁７６と共に示されている。

管状部分５０の外壁７８は、ブラケット部分５２の下面８６から管状部分５０の第２端部８２まで延びている。ローブまたはリブ８８は、管状部分５０の外壁７８から外向きに延び、望まれるならば、各ローブまたはリブ８８には、上部傾斜面８９が設けられてもよい。ローブ／リブ８８及び上部傾斜面８９の目的は、後に詳細に論じられる。

ステム２６は、その第１端部９２で拡大された頭部９０と、この拡大された頭部９０から延びた、好ましくは円筒形の長尺な部分９４とを有する。拡大された頭部９０は、長尺な部分９４に向けて先細りしている。長尺な部分９４は、ステム２６の第２端部９８に接近したツール係合区間９６を有する。この区間は、適切で便利な引き抜きツールとの係合用環状ローブ９９（図１５参照）を有することがある。

固定具２８は、図示の形に曲げられた矩形ワイヤによって形成されたバネを有することがある。固定具２８は、一片であり、そして端部１００から側部１０２へ、それから中間部１０４へ、それから側部１０６へ、それから端部１０８へと延びていることが好ましい。側部１０２，１０６は、ブラケット２４のブラケット部分５２の側壁５８，６０を通して延びるスロット７０，７２中へ挿入されるように構成されている。

ステム２６の第２端部９８は、保持ブラケット２４の第１端部５４にある管状部分５０の開口７４内に位置決めされているので、ステム２６の拡大された頭部９０は、管状部分５０の内壁７６の肩部８０上に静止する。

ナット２２は、ブラケット部分５２のベース部分５６に接して位置決めされているベース部分３０によって保持ブラケット２４に接続されているので、ベース部分５６上の突起６２，６４は、ナット２２の凹部３８，４０内に位置決めされる。固定具２８の側部１０２，１０６が保持ブラケット２４のブラケット部分５２のスロット７０，７２に収容されるときに、固定具２８はブラケット部分５２に取り付けられて、ナット２２をブラケット部分５２と固定具２８とによって規定される範囲内に保持するが、ナット２２は、少なくとも１次元で、好ましくは３次元で浮動可能にされている。これは、締結具、例えばボルトと、ナット２２との位置合わせを容易且つ可能にするためである。

リベット無しナット板２０はまた、スリーブ部材２５を有する。このスリーブ部材２５は、４５Ｃｂ−５５Ｔｉチタン・コロンビウム合金のような材料で形成されることが好ましい。これは、チタン・コロンビウム合金は、例えば炭素繊維複合構造体の存在下で侵食に抵抗する高強度の延性材料だからである。モネル、チタン合金、及び他のソフトニッケル合金もまた、スリーブ２５にとって同様の理由で良好な材料選択である。引っ張り及び剪断強度の高い非金属材料、例えばトーロン又はパーマックスは、所望の侵食保護を与えると共に重量節減の可能性を示す。スリーブ２５は、リベット無しナット板アセンブリ２０を、複合構造体、例えば炭素繊維強化ポリマー（ＣＦＲＰ）中に設置することを可能にする。設置されたリベット無しナット板の機械的特性がトルクアウト及びプッシュアウトに対してＮＡＳＭ２５０２７に適合するような手段でである。

図１２に示されているように、スリーブ２５の外面２００（又は図１２ａ及び１２ｂに示されているように内面２０１）は、２つの面取り部２０２，２０４（即ち、放射体、条片、又は他のタイプの幾何学的痕跡）を有する。この場合、１つの面取り部２０２は上部２０６にあり、そして１つの面取り部２０４は底部２０８にある。これら２つの面取り部２０２，２０４は、スリーブ２５が上述したリベット無しナット板２０と共に使用され得るようにする。上部の面取り部２０２は、固定具２８のベース５６から突出したローブ８８（図８参照）の上部傾斜面８９をスリーブ２５が収容できるように構成されている。また底面の面取り部２０４は、スリーブ部材２５の内面３０２に設けられたリップ３００を収容するように効果的に機能するように構成されている。複合構造体、例えば炭素繊維構造体では、複合体の半径方向の拡張が構造体に層間剥離を生じさせる。スリーブ部材２５上の面取り部２０２，２０４は、ローブ８８の傾斜面８９及びリップ３００が、複合構造体内ではなく、スリーブ２５内で拡張できるように空間を有することを許容し、しかも層間剥離を生じさせることがない。

スリーブ２５の外面２００は、滑らかなものとして設けられているか、そこに刻印された浅い（即ち、深くない）幾何学的模様をもつように設けられていることが好ましい。スリーブ２５は、深いローブ及び／又はリブをその周りに持たないことが好ましい。何故ならば、それは複合構造体の層間剥離を引き起こすからである。スリーブ２５の外面２００に浅いローブを設ける代わりのもう１つのオプションは、非金属コーティングを外面２００に成型又は吹き付けることである。これは、複合構造体とスリーブとの間の摩擦を増加させるためである。複合構造体１１０とスリーブ２５との間の増加された摩擦は、より大きなプッシュアウト及びトルクアウト値に対して、部品が抵抗することを可能にする。更にもう１つのオプションは、エポキシ樹脂をスリーブ２５の外面２００に付加して、スリーブ２５と複合ワークピース構造体１１０との間に結合を作ることである。図には特に示されていないが、スリーブ２５は、その外面２００上にオプションの幾何学的構造、例えば段差を有してもよい。この場合、外面２００は、２つの外形を持つことになる。

スリーブ部材２５はまた、スリーブ２５の頂部２０６からスリーブ２５の底部２０８までの距離として定義される長さを持つことが好ましい。この距離は、ワークピース１１０の頂面１１４から底面１１６までの距離（図３の寸法２０９）として定義されるワークピース１１０の厚さと実質的に等しい。保持ブラケット２４の管状部分５０の長さは、ワークピース１１０の厚さ以下であることが好ましいが、スリーブ部材２５の長さは、保持ブラケット２４の管状部分５０の長さ以上であることが好ましい。

スリーブ部材２５は、それがブラケット２４上に、即ちローブ８８上に圧接され得る形状に作られていることが好ましい。そのようなものとして、スリーブ部材２５の内径１２０（図１参照）は、保持ブラケット２４の管状部分５０の外径１２２（図８参照）よりも小さいことが好ましい。

使用時に、標準的な特定サイズの穴又は開口１１２が、複合構造体１１０の、リベット無しナット板２０が必要とされる点に穿孔される。それから、スリーブ２５はブラケット２４に押し付けられ、またステム２６の頭部９０がブラケット２４の肩部８０と接触するように、ステム２６が位置決めされて、さらに長尺な部分９４は、ブラケット２４の管状部分５０の開口７４を通して延びる。それから、ナット２２はブラケット２４上に配置され、そして固定具２８はナット２２をブラケット２４に接して固定し、且つステム２６の頭部９０をブラケット２４内に効果的に固定することに使用される。

ナット板アセンブリ２０は、その事前組み立てされた形体で、ワークピース１１１０の開口１１２中に挿入される。この場合、ステム２６の第２端部９８と、保持ブラケット２４の管状部分５０が挿入され、ワークピース１１０の開口１１２中にスリーブ２５を挿入して、保持ブラケット２４のブラケット部分５２の下面８６が、図２及び３に描かれているように、ワークピース１１０の上面１１４に座するようにする。開口１１２は、保持ブラケット２４の管状部分５０の長さ（図３の寸法１６２）以上であることが好ましい深さ（図３の寸法２０９）を有し、管状部分５０がワークピース１１０の開口１１２を超えて延びないようにする。

引き抜きツールを使用することによって、保持又は接合力Ｆ１（図４参照）がワークピース１１０の底面１１６に加えられ、そしてツールはステム２６のツール係合区間９６に係合すると共にワークピース１１０に加えられる力Ｆ１とは逆方向の軸方向の力Ｆ２（図４参照）をステム２６に加える。ステム２６に加わる力Ｆ２は、保持ブラケット２４の管状部分５０及びブラケット部分５２を、図４及び５に示されているように、堅固にスリーブ２５に接した状態で、その中に取り付ける。

引き抜きツールを使用することによって、ステム２６の頭部９０は、ブラケット２４の管状部分５０を通して引き抜かれ、ブラケット２４の管状部分５０とスリーブ２５の双方を拡張し、ブラケット２４とスリーブ２５との間に干渉を生じさせると共に、スリーブ２５と複合材料ワークピース１１０との間に干渉を生じさせる。この半径方向の拡張とその結果の干渉は、リベット無しナット板２０にとって必要な機械的特性を得るに必要な連結と干渉を創生する。スリーブ２５は、柔軟であって、ブラケット２４の管状部分５０とかみ合い、複合構造体１１０との必要な干渉負荷をこの半径方向の拡張から創生するが、複合材料ワークピース１１０の層間剥離を生じさせることはない。

ステム２６の拡大された頭部９０は、初めに管状部分５０を拡張すると共に、圧縮負荷を部品類に加えてそれらの部品類をワークピース１１０の上面１１４に接して取り付ける。管状部分５０は拡張して、スリーブ２５に係合する。このことが起こると、ステム２６の頭部９０は、管状部分５０を半径方向外向きに連続的に変形させ、十分な力でスリーブ２５に係合して、管状部分５０の外壁７８上のローブ／リブ８８、又は代替構造体が設けられている場合には、それがスリーブ２５の内壁３０２内に嵌り込む。したがって、管状部分５０の増加する壁厚は、半径方向の変形が管状部分５０の全長に沿って続くことを確実にし、これによりスリーブ２５の壁３０２内でのローブ／リブ８８の所望の度合いの係合を達成して、改良されたプッシュアウト、プルアウト、トルクアウト、及び疲労特性が達成されるようにする。

拡大された頭部９０が、図６及び７に示されるように、管状部分５０の開口７４を通して完全に引き抜かれると、保持ブラケット２４は、スリーブ２５に効果的に取り付けられた状態になり、そしてスリーブ２５は、ワークピース１１０に効果的に取り付けられた状態になる。ステム２６は取り除くことができる。保持ブラケット２４がスリーブ２５に効果的に取り付けられ且つスリーブ２５がワークピース１１０に効果的に取り付けられた状態になることに加えて、ナット２２は固定具２８によって保持ブラケット２４内に固定される。ワークピース１１０に取り付けられたナット板２０によって、締結具、例えばボルトは、ナット板２０に取り付けられ、そして第２のワークピースは、ワークピース１１０に固定される。

本発明のこの実施形態は、衛星リベットや接着剤を要することなく、ナット板を複合構造体に取り付けるための実用的な手段を提供する。この製品の適用は、設置中の時間節減に起因してコストを低減すると共に、設置不良を、そして最も重要なことに不良構造体の発生を減少させる。

性能を改良するために、代替マンドレル頭部デザインが使用可能である。具体的には、図１６に示されるように、マンドレル頭部９０ａは、密ではあるがその上にリブ９１ａを有するものとして与えられる。あるいは、図１７に示されるように、マンドレル頭部９０ｂは、変形可能なものとして与えられる。これらマンドレル頭部デザインの双方は、ブラケット２４と、スリーブ２５と、複合ワークピース構造体１１０の間のかみ合いを強化するように機能する。

発明の好ましい実施形態が図示され説明されたが、当業者は、前述した説明の精神及び範囲から逸脱することなしに、種々の改良を工夫することが予測される。例えば、図１８，１９及び２０は、利用可能な代替スリーブ部品構成２５ａ，２５ｂ，２５ｃを（側断面図で）描いている（図１８ａ及び１８ｂは、それぞれ図１８に示された代替スリーブ構成２５ａの上面及び底面図を与えるのに対し、図１９ａ及び１９ｂは、それぞれ図１９に示された代替スリーブ構成２５ｂの上面及び底面図を与える。図２０ａは、図２０に示された代替スリーブ構成２５ｃの上面（及び底面）図を与える）。スリーブ及び他の部品の更に他の変形例は、本発明の範囲内に留まるかぎり、可能である。

２０ リベット無しナット板アセンブリ
２２ ナット
２４ 保持ブランケット
２５ スリーブ部材
２６ ステム
２８ 固定具
１１０ 複合材料ワークピース
１１２ 開口

Claims (20)

1. 複合材料ワークピース（１１０）の開口（１１２）中に、このワークピース（１１０）を層間剥離させることなしに設置するために構成されたリベット無しナット板アセンブリ（２０）であって、前記設置は、アセンブリ（２０）を通してステム（２６）を引くことによってもたらされるもので、前記リベット無しナット板アセンブリ（２０）は、ナット（２２）と、保持ブラケット（２４）と、この保持ブラケット（２４）に係合すると共にナット（２２）を保持ブラケット（２４）上に固定する固定具（２８）と、ワークピース（１１０）及び保持ブラケット（２４）に係合するスリーブ部材（２５，２５ａ，２５ｂ，２５ｃ）とを備え、スリーブ部材（２５，２５ａ，２５ｂ，２５ｃ）は、高強度の延性材料からなることを特徴とするリベット無しナット板アセンブリ（２０）。
2. スリーブ部材（２５，２５ａ，２５ｂ，２５ｃ）は、チタン・コロンビウム合金、モネル、チタン合金、ニッケル合金、トーロン及びパーマックスの少なくとも１つからなることを特徴とする請求項１に記載のリベット無しナット板アセンブリ（２０）。
3. スリーブ部材（２５，２５ａ，２５ｂ，２５ｃ）は、４５Ｃｂ−５５Ｔｉチタン・コロンビウム合金で形成されていることを特徴とする請求項１に記載のリベット無しナット板アセンブリ（２０）。
4. スリーブ部材（２５）の外面（２００）又は内面（２０１）は、２つの面取り部（２０２，２０４）を有することを特徴とする請求項１に記載のリベット無しナット板アセンブリ（２０）。
5. ２つの面取り部（２０２，２０４）は、スリーブ部材（２５）の上面（２０６）の第１面取り部（２０２）と、スリーブ部材（２５）の底面（２０８）の第２面取り部（２０４）とを備え、上面の面取り部（２０２）は、固定具（２８）のベース（５６）から突出したローブ（８８）の上部傾斜面（８９）をスリーブ部材（２５）が収容できるように構成されており、また底面の面取り部（２０４）は、スリーブ部材（２５）の内面（３０２）に設けられたリップ（３００）を収容するように機能するように構成されており、スリーブ部材（２５）上の２つの面取り部（２０２，２０４）は、ローブ（８８）の傾斜面（８９）及びリップ（３００）が、複合構造ワークピース（１１０）内ではなく、スリーブ部材（２５）内で拡張できるような空間を有するようにすることを特徴とする請求項４に記載のリベット無しナット板アセンブリ（２０）。
6. スリーブ部材（２５，２５ａ，２５ｂ，２５ｃ）の外面（２００）は、滑らかであることを特徴とする請求項１に記載のリベット無しナット板アセンブリ（２０）。
7. スリーブ部材（２５，２５ａ，２５ｂ，２５ｃ）の外面（２００）は、刻印された幾何学模様を有することを特徴とする請求項１に記載のリベット無しナット板アセンブリ（２０）。
8. スリーブ部材（２５，２５ａ，２５ｂ，２５ｃ）の外面（２００）は、その上に非金属被覆を有し、これにより複合構造ワークピース（１１０）とスリーブ部材（２５，２５ａ，２５ｂ，２５ｃ）との間に、増加された摩擦を与えることを特徴とする請求項１に記載のリベット無しナット板アセンブリ（２０）。
9. スリーブ部材（２５，２５ａ，２５ｂ，２５ｃ）の外面（２００）は、その上にエポキシ樹脂を有し、これによりスリーブ部材（２５，２５ａ，２５ｂ，２５ｃ）と複合ワークピース構造（１１０）との間に、結合を生じさせることを特徴とする請求項１に記載のリベット無しナット板アセンブリ（２０）。
10. スリーブ部材（２５，２５ａ，２５ｂ，２５ｃ）は、ワークピース（１１０）の厚さ（２０９）と等しい長さを有することを特徴とする請求項１に記載のリベット無しナット板アセンブリ（２０）。
11. スリーブ部材（２５，２５ａ，２５ｂ，２５ｃ）は、保持ブラケット（２４）上のローブ（８８）に嵌合することを特徴とする請求項１に記載のリベット無しナット板アセンブリ（２０）。
12. ナット（２２）は、ベース部分（３０）と、このベース部分（３０）から上向きに延びた円筒部分（３２）とを備え、ネジ付き開口（３６）がベース部分（３０）及び円筒部分（３２）を貫通して設けられていることを特徴とする請求項１に記載のリベット無しナット板アセンブリ（２０）。
13. ベース部分（３０）は、端部凹部（３８，４０）と、この端部凹部（３８，４０）の対向する側部に位置して軸方向に突出する端部（４２，４４，４６，４８）とを有することを特徴とする請求項１２に記載のリベット無しナット板アセンブリ（２０）。
14. 保持ブラケット（２４）は、概ねＹ字型であり、そして管状部分（５０）と、この管状部分（５０）から外向きに延びたブラケット部分（５２）とを備えることを特徴とする請求項１に記載のリベット無しナット板アセンブリ（２０）。
15. 保持ブラケット（２４）のブラケット部分（５２）は、ベース部分（５６）と、対向して直立した側壁（５８，６０）とを備え、ベース部分（５６）は、このベース部分（５６）から上向きに突出した一対の突起（６２，６４）と、ブラケット部分（５２）の側壁（５８，６０）を通って延びるスロット（７０，７２）とを備えることを特徴とする請求項１４に記載のリベット無しナット板アセンブリ（２０）。
16. 管状部分（５０）は、ブラケット部分（５２）のベース部分（５６）からブラケット部分（５２）の側壁（５８，６０）及び突起（６２，６４）とは逆方向に延びることを特徴とする請求項１５に記載のリベット無しナット板アセンブリ（２０）。
17. 管状部分（５０）は、管状部分（５０）の内壁（７６）を規定する開口（７４）を有し、また管状部分（５０）は、外壁（７８）を有し、管状部分（５０）の第１端部（５４）から、内壁（７６）は内向きに湾曲して肩部（８０）を与え、この肩部（８０）から管状部分（５０）の第２端部（８２）まで、内壁（７６）はテーパ状であり、内壁（７６）の直径が次第に減少されるようにすることを特徴とする請求項１６に記載のリベット無しナット板アセンブリ（２０）。
18. 内壁（７６）は、第２端部（８２）に接近して設けられたリップ（８４）を持ち、これが内壁（７６）の直径を更に減少させるように構成されていることを特徴とする請求項１７に記載のリベット無しナット板アセンブリ（２０）。
19. 管状部分（５０）の外壁（７８）は、ブラケット部分（５２）の下面（８６）から管状部分（５０）の第２端部（８２）まで延び、リブ（８８）は、管状部分（５０）の外壁（７８）から外向きに延び、そして各リブ（８８）は、上部傾斜面（８９）を有することを特徴とする請求項１８に記載のリベット無しナット板アセンブリ（２０）。
20. 固定具（２８）は、１つの形に曲げられた矩形ワイヤによって形成されたバネを有することを特徴とする請求項１に記載のリベット無しナット板アセンブリ（２０）。

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