JP2010506904A - 精神障害の治療における抗精神病薬およびテトラサイクリンの併用療法 - Google Patents

精神障害の治療における抗精神病薬およびテトラサイクリンの併用療法 Download PDF

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Abstract

本発明は、精神病性障害、特に統合失調症の治療のための、抗精神病薬とテトラサイクリン、特にミノサイクリンとの組合せを提供する。本発明はまた、この抗精神病薬およびこのテトラサイクリンの一方または両方の放出が改変されている製剤をも提供する。本発明はまた、抗精神病薬およびテトラサイクリンを含む、精神病性障害、特に統合失調症の治療のためのこの併用療法の使用方法をも提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、精神病性障害の改善された治療のための併用療法に関する。特に、本発明は、統合失調症の治療における抗精神病薬およびテトラサイクリンの組合せの使用に関する。
統合失調症
統合失調症は、知覚、思考、意志力、社会化、精神運動行動および自我の障害(disturbance)を特徴とする障害である。臨床医および治験責任医師の間で、大多数の患者において、統合失調症が進行性の経過をたどることにほとんど疑問はない。
統合失調症を患う患者は、比較的正常な状態またはかすかな機能障害の時点から開始する。正式な発症後、ほとんどの患者は、ある程度は、臨床的悪化と呼ばれてきたものを経験する。この悪化は、陽性症状(妄想行動および/または精神病性のエピソードなど)、陰性症状(社会的能力および機能的能力の低下など)、ならびに認知障害の発症、ならびにそれらの重症度の高まりおよびそれらの持続として現れる。この臨床的悪化の根底にある原因および正確な時間的境界は知られていないが、しかしながら、それは一般にその疾病の進行に起因するとされ、活動性陽性症状の期間と関連付けられている。この悪化は、この疾病の早期段階で主に発生し、それは一般に発症後最初の5年に限られている。またそれは、古典的神経変性疾患が進行するように、直線的または容赦ない経過で死亡または重篤な身体障害へ進行することはない。むしろ、ある期間後、患者は、持続的症状を有してその社会的機能および職業的機能を十分に果たさないあるレベルで安定する。その時点の後、さらなる増悪が発生するかも知れないが、それは通常、さらなる悪化とは関連していない。
齧歯動物における統合失調症の薬理学的動物モデルは、ヒトの統合失調症の症状を模倣する薬物を利用し、そしてこれは前臨床統合失調症研究についての一般に認められた標準である。マレイン酸ジゾシルピン(MK801)はかかる動物モデルで使用される非競合的NMDA受容体拮抗薬である。正常な個体へのNMDA受容体拮抗薬の投与は、陽性症状、陰性症状および認知障害を含めた一群の症状をもたらす。
ミノサイクリンおよび他のテトラサイクリン
ミノサイクリンは、その有益な抗菌特性および抗炎症特性に起因してヒトで一般に使用されている第二世代のテトラサイクリンである。それは優れた脳組織浸透性を有し、臨床的に良好な耐容性を示し、経口による摂取のときに完全に吸収される(非特許文献1:Aronson, J Am Vet Med Assoc.1980;176(10 Spec No):1061−8;非特許文献2:Barzaら, Antimicrob Agents Chemother.1975;8(6):713−20)。加えて、それは、脳虚血、外傷性脳障害(非特許文献3:Wangら, Brain Res.2003;963(1−2):327−9;非特許文献4:Yrjanheikkiら, Proc Natl Acad Sci USA.1999;96(23):13496−500)、ハンチントン病(非特許文献5:Chenら, Nat Med.2000;6(7):797−801)およびパーキンソン病(非特許文献6:Wuら, J Neurosci.2002;22(5):1763−71)の動物モデルで神経保護性を示した。ミノサイクリンの神経保護効果は、ミノサイクリンの誘導型NOシンターゼ(iNOS)、カスパーゼ1およびカスパーゼ3発現、およびp38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)の阻害に関連しているかも知れない(非特許文献7:Aminら, Proc Natl Acad Sci USA.1996,93(24):14014−9;非特許文献8:Tikkaら, J Neurosci.2001;21(8):2580−8)。最近、ミノサイクリンはまた、マウスにおいてチトクロムc放出を阻害して筋萎縮性側索硬化症の進行を遅らせることが見出された(非特許文献9:Zhuら, Nature.2002;417(6884):74−8)。さらに、ミノサイクリンおよびクレアチン(ALS治療に利用できる別の薬剤)の組合せがALSモデルで変異マウスに投与されたときに、相加的な神経保護効果が得られた(非特許文献10:Zhangら, Ann.Neurol.,2003;53:267−270)。
いくつかの特許が、脳または末梢神経系に影響を及ぼす障害および損傷を治療するためのテトラサイクリンおよびテトラサイクリン由来の化合物の使用を開示している。特許文献1:米国特許第6,613,756号は、多発性硬化症を治療するためのテトラサイクリン誘導体の使用を開示しており、その疾患の症状はその疾患の動物モデルでは軽減した。特許文献2:米国特許出願公開第2003/0092683号は、パーキンソン病および関連障害の治療のためのテトラサイクリンおよびテトラサイクリン誘導体の使用を開示しており、さらに神経保護薬としてテトラサイクリンおよびテトラサイクリン誘導体を使用することを開示している。特許文献3:米国特許第6,649,589号は、神経根損傷を治療するためにテトラサイクリンおよびテトラサイクリン誘導体を使用することを開示している。特許文献4:米国特許第6,319,910号は、多発性硬化症、敗血症性ショック、移植片対宿主病、脳性マラリア、HIV感染に関連する悪液質、脳虚血、炎症性腸疾患、および神経変性障害などの、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)およびTNF−αのレベルの上昇に関連する疾患もしくは障害を治療するために、抗菌活性をまったく有しないかほとんど有しない化学修飾されたテトラサイクリンを使用することを教示する。特許文献5:米国特許第6,277,393号は、テトラサイクリンもしくはテトラサイクリン誘導体を投与することによる、脳傷害もしくは神経傷害を治療または抑制するための方法を教示する。すべての上述の開示は、臨床試験の結果ではなく、疾患の単離された細胞または動物モデルについて行った実験結果に基づいている。
治療の選択肢
現在、定型抗精神病薬および非定型抗精神病薬の主に2種の抗精神病薬が使用されている。すべての抗精神病薬は脳においてD2ドーパミン受容体を遮断する傾向があるため、関連するシナプスにおけるドーパミン放出の正常な効果が低下する。非定型抗精神病薬はまた、セロトニン受容体(特に5HT2A、Cおよび5HT1A受容体)を遮断または部分的に遮断する。抗精神病薬は、統合失調症患者を冒す陽性症状を改善する傾向はあるが、それらは、陰性症状を改善せず、わずかに認知障害を改善するだけである。非定型抗精神病薬を用いた現在の治療に関する最大の問題点は、肥満症、糖尿病、およびコレステロールレベルの上昇を含むいわゆる「メタボリックシンドローム」である(非特許文献11:Newcomer JW., Clin.Ther.2004;26(12):1936−46;非特許文献12:Shirzadi AおよびGhaemi,S., Harv.Rev.Psychiatry 2006;14(3):152−64;非特許文献13:Antai−Otong D., Perspect.Psychiatr.Care 2004;40(2):70−2)。
明らかに、統合失調症の薬理学的治療は、患者の症状の寛解を実現するために改善される必要がある。
抗精神病薬を用いて治療された、すでに緊張病性昏迷の状態に入っていた2人の統合失調症患者の逸話風の症例報告が最近刊行された(非特許文献14:Miyaokaら, Prog.Neuropsychopharmacol.Biol.Psychiatry 2007;31(1):304−7)。両方の症例とも、ミノサイクリンは、緊張病の症状を治療するために成功裏に使用された。ミノサイクリンは、統合失調症の治療において有用であることは知られていない。統合失調症の治療における潜在的な将来の選択肢であると主張されてきた他の治療の中で、ミノサイクリンの抗アポトーシス効果が考察された(非特許文献15:Liebermanら, CNS Spectrums 2006;11(4)補遺 1−13)。
抗精神病薬およびテトラサイクリンの併用は、抗精神病薬だけからなる現在一般に受け入れられている薬理学的治療よりも、統合失調症患者の症状を治療する上でより有効であることが判明するかも知れないということは、背景技術のどこにも示されていない。
米国特許第6,613,756号明細書 米国特許出願公開第2003/0092683号明細書 米国特許第6,649,589号明細書 米国特許第6,319,910号明細書 米国特許第6,277,393号明細書
Aronson, J Am Vet Med Assoc.1980;176(10 Spec No):1061−8 Barzaら, Antimicrob Agents Chemother.1975;8(6):713−20 Wangら, Brain Res.2003;963(1−2):327−9 Yrjanheikkiら, Proc Natl Acad Sci USA.1999;96(23):13496−500 Chenら, Nat Med.2000;6(7):797−801 Wuら, J Neurosci.2002;22(5):1763−71 Aminら, Proc Natl Acad Sci USA.1996,93(24):14014−9 Tikkaら, J Neurosci.2001;21(8):2580−8 Zhuら, Nature.2002;417(6884):74−8 Zhangら, Ann.Neurol.,2003;53:267−270 Newcomer JW., Clin.Ther.2004;26(12):1936−46 Shirzadi AおよびGhaemi,S., Harv.Rev.Psychiatry 2006;14(3):152−64 Antai−Otong D., Perspect.Psychiatr.Care 2004;40(2):70−2 Miyaokaら, Prog.Neuropsychopharmacol.Biol.Psychiatry 2007;31(1):304−7 Liebermanら, CNS Spectrums 2006;11(4)補遺1−13
統合失調症の治療についての改善された療法に対するまだ満たされていない医学的ニーズが存在する。
本発明は、精神病性障害についての新規な併用療法を提供する。特に、本発明は、抗精神病薬およびテトラサイクリンを含む併用療法を提供する。これらの薬剤は相乗的に作用して精神病の被験者において良好な予後を達成することが、本発明で開示される。陽性症状が減少するだけでなく、これまで治療できないと考えられていた陰性症状も同様に、この併用療法によって減少する。驚くべきことに、認知の予後は、併用療法によって顕著に改善された。従って、本発明は、抗精神病薬のみを用いた公知の療法に比べて、独特の利点を提供する。
さらに、併用療法で治療された患者は、抗精神病薬のみを用いて治療された患者よりも体重増加の傾向が小さいことが、本発明において初めて開示される。有意により高い割合の併用療法を受けている患者が、抗精神病薬のみを用いて治療された患者に比べて、体重を減少させたか、または同じ体重を維持した。
本発明は、一部は、ミノサイクリンは、定型抗精神病薬であるハロペリドールよりも統合失調症の動物モデルにおける認知障害の回復において有効であるという予期せぬ発見に基づく。本発明が基礎を置く別の予期せぬ知見は、ミノサイクリン治療だけでこれらの認知障害が改善するということである。従って、ミノサイクリン単独療法は、精神病性障害、特に統合失調症に関連する症状についての有効な治療法である。
本発明はまた、第1の精神病性エピソードを経験しているヒト被験者において改善された予後を提供する佐剤としてのミノサイクリンの有用性を初めて開示する。
このように、いかなる特定の理論にも、またいかなる作用機構にも結び付けられることは望まないが、ミノサイクリンは、精神病性障害、特に統合失調症の治療のための現在の抗精神病薬と併用して使用してよい。本発明は、テトラサイクリンおよび抗精神病薬を含む併用療法を提供する。例示的な実施形態によれば、選択されるテトラサイクリンはミノサイクリンである。
本発明は、ミノサイクリンおよび抗精神病薬の組合せが、定型抗精神病薬または非定型抗精神病薬のいずれかのみよりも統合失調症の症状の治療において有効であることを開示する。好ましくは、公知の抗精神病薬に加えてミノサイクリンを使用する併用療法によって得られる効果は、相加的である。より好ましくは、ミノサイクリンおよび1種以上の抗精神病薬を含む併用療法の効果は相乗的である。
さらに、本発明の教示は、統合失調症患者のこれまでに公知の治療方法よりも有利である。なぜなら、抗精神病薬のみを投与する前記方法は陰性症状をすべて改善できるわけではないが、本発明に係る併用療法は陰性症状を改善するからである。
本発明の範囲が、本発明の文脈に入るすべての種類の抗精神病薬を包含することを明確に理解されたい。さらに、本発明の範囲が、血液脳関門を横断することができるすべての種類のテトラサイクリンを包含することを理解されたい。
本発明の範囲は、抗精神病薬を用いた治療が適用できる精神病性障害を包含することを、さらに理解されたい。本発明の範囲内で、精神病性障害としては、統合失調症、双極性障害、気分障害、外傷後障害、摂食障害、強迫性障害、化学物質関連障害、身体表現性障害、人格障害における微小精神病性エピソード(micro psychotic episode)が挙げられる。例示的な実施形態では、精神病性障害は統合失調症である。
1つの態様によれば、本発明は、ヒトでの使用について承認された任意の抗精神病薬である第1の成分と、テトラサイクリンである第2の成分とを活性成分として含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、この第1の成分は定型抗精神病薬である。他の実施形態では、この第1の成分は非定型抗精神病薬である。好ましい実施形態では、この第2の成分はミノサイクリンである。
定型抗精神病薬としては、ハロペリドール、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン、ペルフェナジン、ピモジド、チオリダジン、チオチキセン、トリフロペラジン、およびトリフルプロマジン(trifluopromazine)が挙げられるが、これらに限定されない。非定型抗精神病薬としては、オランザピン(米国特許第5,229,382号に開示されている)、リスペリドン(米国特許第4,804,663号に開示されている)、クロザピン、クエチアピン(米国特許第4,879,288号に開示されている)、パリペリドン(paliperidone)、ジプラシドン(米国特許第4,831,031号に開示されている)、およびアリピプラゾール(米国特許第4,734,416号に開示されている)が挙げられるが、これらに限定されない。上記テトラサイクリンとしては、ミノサイクリン、テトラサイクリン、オーレオマイシン、テラマイシン、デメチルクロルテトラサイクリン、ロリテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、およびグリシルサイクリンが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の別の態様は、精神病性障害の治療方法であって、それを必要とする患者に、活性成分として、ヒトでの使用について承認された任意の抗精神病薬である第1の成分と、テトラサイクリンである第2の成分とを活性成分として含む医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
本発明のこの態様のいくつかの実施形態では、この第1の成分は定型抗精神病薬である。他の実施形態では、この第1の成分は非定型抗精神病薬である。
好ましい実施形態では、上記第2の成分はミノサイクリンである。いくつかの実施形態によればこのミノサイクリンは、約10mg/日〜約500mg/日、好ましくは約50mg/日〜約200mg/日の投与量で投与される。
本発明のこの態様の別の実施形態では、上記医薬組成物は、上記医薬組成物と、必要に応じて薬理学的に許容できる賦形剤、担体、および希釈剤とを含む医薬製剤として投与される。いくつかの実施形態では、上記医薬製剤は、錠剤、咀嚼錠、カプセル剤、シロップ、懸濁剤、液剤、鼻内噴霧剤、坐薬、経皮パッチ、または他の種類の医薬製剤の形態にある。
さらなる実施形態では、上記医薬組成物は、改変放出製剤(遅延放出、徐放(持続時間が長い、持続放出(extended release)、もしくは持続放出(slow release)としても知られる)、制御放出、またはパルス的放出製剤が挙げられるがこれに限定されない)を含んでよい。
いくつかの実施形態によれば、改変放出医薬組成物によって、非定型抗精神病薬および定型抗精神病薬から選択される抗精神病薬の1回の1日用量を、血液脳関門を横断できるテトラサイクリンと一緒に投与することが可能になり、精神障害の治療のための薬物の有利な送達が可能になる。それゆえかかる改変放出は、精神障害、特に統合失調症の治療のために、テトラサイクリンと併用して抗精神病薬を送達するために特に有用であると考えられる。現在好ましい実施形態によれば、上記テトラサイクリンはミノサイクリンである。改変放出剤形の利点のうちでも特に、1回の1日用量により患者の服薬の改善および副作用の減少が提供されることが予想される。
従って、本発明は、哺乳動物における精神障害の治療に適した医薬組成物であって、定型抗精神病薬および非定型抗精神病薬から選択される少なくとも1種の抗精神病薬と、少なくとも1種のテトラサイクリンと、それらのための薬理学的に許容できる担体とを含み、この抗精神病薬およびこのテトラサイクリンのうちの少なくとも1種の改変放出を提供するように構成されていることを特徴とする組成物を提供する。現在好ましい実施形態によれば、上記障害は統合失調症である。現在好ましい実施形態によれば、上記哺乳動物はヒトである。現在好ましい実施形態によれば、上記テトラサイクリンはミノサイクリンである。
いくつかの実施形態では、上記抗精神病薬の放出のみが改変されていることが想起される。他の実施形態では、上記テトラサイクリンの放出のみが改変されていることも想起される。当然、その残りの活性薬剤は、非改変放出に供されるであろう。
あるいは、上記抗精神病薬および上記テトラサイクリンの両方の放出が適切に改変されている。
上記改変放出が遅延放出、パルス的放出または徐放であることが適切である。
1つの態様では、上記改変放出は遅延放出である。
遅延放出は、耐胃性(gastric resistant)ポリマー(例えばEudragit L100−55)でコーティングされた錠剤などの腸溶製剤などの耐胃性製剤を使用することにより、好都合に得られる。他の耐胃性ポリマーとしては、メタクリレート、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセテートフタレート、フタル酸ヒドロキシプロプルメチルセルロース、特に、Aquateric、Sureteric、HPMCP−HP−55Sが挙げられる。
腸溶コーティングされた錠剤は、錠剤形態へと圧縮される前に活性薬剤が混合されている単層錠剤、または各活性薬剤が圧縮された錠剤形態内の別個の層に存在する多層錠剤(二層錠剤もしくは三層錠剤など)であってよい。この別個の錠剤の層(table layer)は、各活性薬剤の改変放出または非改変放出を提供するために必要とされるように配置することができる。
さらなる態様では、上記改変放出は徐放であり、例えば最高24時間の時間にわたる、典型的には4〜24時間の範囲の活性薬剤の有効放出を提供する。
徐放は、典型的には、通常は錠剤形態で、崩壊性マトリクス、非崩壊性マトリクスまたは浸食性(eroding)マトリクスなどの徐放マトリクスを使用することにより提供される。
徐放は、非崩壊性マトリクス錠剤製剤の使用により、例えばEudragit RSをその錠剤に組み込むことにより、適切に得られる。別の非崩壊性マトリクス錠剤製剤は、メタクリレート、酢酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロプルメチルセルロース、特にEudragit LおよびRL、Carbopol 971P、HPMCP−HP−55Sをその錠剤に組み込むことにより提供される。
徐放はさらに、崩壊性マトリクス錠剤製剤の使用により、例えばメタクリレート、メチルセルロース、特にEudragit L、Methocel K4Mをその錠剤に組み込むことにより、得られる。
徐放はまた、半透膜でコーティングされた錠剤を使用することにより、例えばメタクリレート、エチルセルロース、酢酸セルロース、特にEudragit RS、Sureleaseをその錠剤に付与することにより実現できる。
徐放はまた、各活性成分が一緒にまたは別々の層として、例えばマトリクス錠剤として製剤化されており、他の層が1つまたは両方の活性薬剤の徐放のさらなる制御を提供する多層錠剤を使用することにより実現できる。
徐放は、インプラントを使用することによっても実現できる。
なおさらなる態様では、この改変放出は、例えば24時間あたり例えば2パルス、最高4パルスの活性薬剤を提供するパルス的放出である。
パルス的放出の一形態は、活性薬剤の非改変放出と遅延放出との組合せである。
適切な改変放出としては、制御放出が挙げられる。本発明の組成物はまた、活性薬剤の各々についてパルス的放出、遅延放出および/また徐放の組合せであって、これにより例えば異なる時期に試薬の放出を可能にする組合せを想起する。例えば、その組成物が抗精神病薬およびテトラサイクリン(ミノサイクリンなど)を含む場合、その組成物はミノサイクリンを一晩放出するように構成できる。
適切な定型抗精神病薬はハロペリドールである。他の適切な定型抗精神病薬は、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン、ペルフェナジン、ピモジド、チオリダジン、チオチキセン、トリフロペラジン、およびトリフルプロマジン(trifluopromazine)である。
適切な非定型抗精神病薬としては、オランザピン、リスペリドン、クロザピン、クエチアピン、パリペリドン、ジプラシドン、およびアリピプラゾールが挙げられる。
適切なテトラサイクリンとしては、テトラサイクリン、オーレオマイシン、テラマイシン、デメチルクロルテトラサイクリン、ロリテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、およびグリシルサイクリンが挙げられる。好ましいテトラサイクリンはミノサイクリンである。
上記抗精神病薬および上記テトラサイクリンは、選択した関連する薬理学的活性薬剤に適切な、薬理学的に許容できる誘導体(その薬理学的に許容できる塩、エステルおよび溶媒和物など)を含めた薬理学的に許容できる形態にあることを理解されたい。本発明の特定の例では、上記抗精神病薬または上記テトラサイクリンに対して使用される名称は、関連する活性薬剤の特定の薬理学的形態に関連するかも知れないが、上記活性薬剤それ自体のすべての薬理学的に許容できる形態が本発明に包含されることを理解されたい。
上記抗精神病薬およびテトラサイクリンの適切な薬理学的に許容できる形態は、使用される特定の薬剤に依存するが、選択された特定の薬剤の公知の薬理学的に許容できる形態が包含される。
1つの実施形態によれば、上記医薬組成物は、上記抗精神病薬が、上記テトラサイクリンの実質的に前に放出される、改変放出製剤の形態で投与される。
経口投与できる製剤、例えば錠剤、咀嚼錠、およびカプセル剤が好ましい。
さらに他の実施形態では、上記医薬製剤は、上記被験者に、経口投与、経皮投与(transdermally)、経皮投与(percutaneously)、静脈内投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、直腸内投与、または他の治療のための投与経路によって投与される。好ましい実施形態では、上記医薬製剤は経口投与される。
本発明の別の態様は、精神病性障害の治療方法であって、それを必要とする被験者に、少なくとも1種の抗精神病薬と少なくとも1種のテトラサイクリンとを含む併用療法を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態によれば、この被験者はヒトである。好ましい実施形態では、この精神病性障害は統合失調症である。
いくつかの実施形態では、上記投与は一定間隔で行われる。他の実施形態では、上記投与は可変間隔で行われる。さらなる実施形態では、上記投与は実質的に同時に行われる。さらに他の実施形態では、上記投与は逐次的である。
本発明の別の態様は、統合失調症の臨床的発症を遅らせるかまたは予防する方法であって、それを必要とする被験者に、少なくとも1種のテトラサイクリンまたはその誘導体を投与することを含む方法を提供する。好ましい実施形態では、上記テトラサイクリンはミノサイクリンである。いくつかの実施形態によれば、このミノサイクリンは、約10mg/日〜約500mg/日、好ましくは約50mg/日〜約200mg/日の投与量で投与される。
いくつかの実施形態によれば、ミノサイクリンの1日用量は、1回用量で1日に1回投与される。他の実施形態によれば、ミノサイクリンの1日用量はいくつかのより小さい用量で、一定または可変の間隔で1日に少なくとも2回投与される。
いくつかの実施形態によれば、上記被験者は統合失調症の前駆期にある。
本発明の別の態様は、精神病性障害を治療することを必要とする被験者において、精神病性障害を治療するためのキットであって、
a)第1の単位剤形中の薬理学的有効量の少なくとも1種のテトラサイクリンおよび薬理学的に許容できる担体または希釈剤と、
b)第2の単位剤形中の薬理学的有効量の少なくとも1種の抗精神病薬および薬理学的に許容できる担体もしくは希釈剤と、
c)この第1および第2の剤形を収容するための容器手段と
を含むキットを提供する。
好ましい実施形態では、上記精神病性障害は統合失調症である。いくつかの実施形態によれば、上記被験者はヒトである。
いくつかの実施形態によれば、上記抗精神病薬は定型抗精神病薬である。他の実施形態によれば、上記抗精神病薬は非定型抗精神病薬である。好ましい実施形態では、上記テトラサイクリンはミノサイクリンである。
さらに他の実施形態では、上記第1の単位剤形および上記第2の単位剤形は1つの容器に収容されている。別の実施形態では、上記第1の単位剤形および上記第2の単位剤形は別々の容器に収容されている。
本発明の別の態様は、精神病性障害の治療方法であって、それを必要とする被験者に、活性成分としてテトラサイクリンを含む医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。好ましい実施形態では、上記精神病性障害は統合失調症である。
別の好ましい実施形態では、上記活性成分はミノサイクリンである。いくつかの実施形態によれば上記ミノサイクリンは、約10mg/日〜約500mg/日、好ましくは約50mg/日〜約200mg/日の投与量で投与される。
いくつかの実施形態によれば、ミノサイクリンの1日用量は、1回用量で1日に1回投与される。別の実施形態によれば、ミノサイクリンの1日用量はいくつかのより小さい用量で、一定または可変の間隔で1日に少なくとも2回投与される。
1つの実施形態によれば、上記患者は抗精神病薬の治療経験のない患者である。
本発明の別の態様は、精神病性障害の治療方法であって、それを必要とする被験者に、少なくとも1種のテトラサイクリンを含む療法を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態によれば、上記被験者はヒトである。好ましい実施形態では、上記精神病性障害は統合失調症である。別の好ましい実施形態では、上記活性成分はミノサイクリンである。
いくつかの実施形態では、上記投与は一定間隔で行われる。他の実施形態では、上記投与は可変間隔で行われる。
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の説明および図面から明らかとなろう。
ミノサイクリン前処置は、モリス水迷路(MWM)タスクにおいて、空間学習および記憶に対するMK801の負の効果を用量依存的に回復させることを示す図である。 ミノサイクリン前処置は、モリス水迷路(MWM)タスクにおいて、ハロペリドール治療よりも早く空間学習および記憶に対するMK801の負の効果を回復させることを示す図である。 音響驚愕反応タスクにおいてMK801によって誘発される認知障害が、ハロペリドール治療によってではなく、ミノサイクリン前処置によって予防されることを示す図である。 プレパルス抑制タスクにおいてMK801によって誘発される認知障害が、ハロペリドール治療によってではなく、ミノサイクリン前処置によって予防されることを示す図である。 第1の精神病性エピソードを経験し、かつ非定型抗精神病薬および佐剤治療としてのミノサイクリンまたはプラセボで処置されたヒト被験者の比較研究で実施されたコンピュータによる試験および臨床的評価の結果を示す図である。この図はIntra−extra dimensional set−shifts(IED)試験の結果を示す。このタスクは、ルールの習得状態への転換および注意状態への転換の能力を評価する。 第1の精神病性エピソードを経験し、かつ非定型抗精神病薬および佐剤治療としてのミノサイクリンまたはプラセボで処置されたヒト被験者の比較研究で実施されたコンピュータによる試験および臨床的評価の結果を示す図である。この図は、Stockings of Cambridge(SOC)試験の結果を示す。この空間プランニング試験は、前頭葉機能の尺度を与える。 第1の精神病性エピソードを経験し、かつ非定型抗精神病薬および佐剤治療としてのミノサイクリンまたはプラセボで処置されたヒト被験者の比較研究で実施されたコンピュータによる試験および臨床的評価の結果を示す図である。この図は、空間作業記憶(SWM)試験の結果を示す。このタスクは、前頭葉およびその細区画(前頭背外側部および前頭腹外側部など)と関連付けられており、前頭活性の付加的な試験とみなすことができる。 第1の精神病性エピソードを経験し、かつ非定型抗精神病薬および佐剤治療としてのミノサイクリンまたはプラセボで処置されたヒト被験者の比較研究で実施されたコンピュータによる試験および臨床的評価の結果を示す図である。この図は、空間認知記憶(SMR)試験の結果を示す。タスクは、空間認識記憶を試験する。 第1の精神病性エピソードを経験し、かつ非定型抗精神病薬および佐剤治療としてのミノサイクリンまたはプラセボで処置されたヒト被験者の比較研究で実施されたコンピュータによる試験および臨床的評価の結果を示す図である。この図は、プラセボ群と比べた、ミノサイクリン群における統合失調症の陰性症状の陰性症状評価尺度(SANS)の評価を示す。より高いスコアは、より低いパフォーマンスを示す。 第1の精神病性エピソードを経験し、かつ非定型抗精神病薬および佐剤治療としてのミノサイクリンまたはプラセボで処置されたヒト被験者の比較研究で実施されたコンピュータによる試験および臨床的評価の結果を示す図である。この図は、プラセボ群と比べた、ミノサイクリン群における全カルガリースコア(Total Calgary Score)を示す。この尺度は、統合失調症患者におけるうつ病のレベルを評価する。より高いスコアは、より低いパフォーマンスを示す。 第1の精神病性エピソードを経験し、かつ非定型抗精神病薬および佐剤治療としてのミノサイクリンまたはプラセボで処置されたヒト被験者の比較研究で実施されたコンピュータによる試験および臨床的評価の結果を示す図である。この図は、プラセボ群と比べた、ミノサイクリン群におけるGRAFスコアを示す。この尺度は、統合失調症患者における機能障害の測定項目である。 第1の精神病性エピソードを経験し、かつ非定型抗精神病薬および佐剤治療としてのミノサイクリンまたはプラセボで処置されたヒト被験者の比較研究で実施されたコンピュータによる試験および臨床的評価の結果を示す図である。この図は、治療開始の12週間後に測定した、プラセボ群と比べたミノサイクリン群の体重変化の分布を示す。
本発明は、精神病性障害、特に統合失調症の治療のための抗精神病薬およびテトラサイクリンの組合せの使用を開示する。また、テトラサイクリンを用いた治療による統合失調症の臨床的発症を遅らせるかまたは予防する方法が提供される。
(定義)
本願明細書で使用する場合の用語「統合失調症」は、患者が歪んだ考え、幻覚、および正常な感情を感じる能力の低下を患っている神経精神障害を指す。
本願明細書で使用する場合の用語「陽性症状」は、統合失調症患者における独特の行動(奇妙な妄想または偏執性妄想、幻覚、および通常の光景に対する怯えたような反応などが挙げられるがこれに限定されない)の存在を指す。
本願明細書で使用する場合の用語「陰性症状」は、統合失調症患者において正常な社会的行動および対人行動がないことを指す。
本願明細書で使用する場合の用語「認知障害」は、心理学的機能(記憶、注意力、問題解決、実行機能もしくは社会的認知など)の低下または障害をいう。
本願明細書で使用する場合の用語「前駆」は、統合失調症の発症における、症候性(syndromal)レベルの前段階の段階であって、非特異的な、初期警告兆候の出現によって定義される段階を指す。
本願明細書で使用する場合の用語「薬理学的有効量」または「治療上有効量」は、同義的に使用され、統合失調症の症状を治療または予防するという目的を達成する、医薬組成物中の活性成分(active ingredient)または活性成分(active component)の量を指す。
本願明細書で使用する場合の用語「併用療法」は、かかる治療を必要とする疾患を有する患者を治療するための少なくとも2種の治療化合物の組合せを指す。
本願明細書で使用する場合の用語「制御放出」は、特別の技術的構成に起因して、長期間にわたって所望の治療レベルを維持するのに十分な速度での、0次の動力学を有する薬物放出を提供する剤形を指す。徐放製品一般(必ずしも0次に限定されない)を表すためにも使用される。
本願明細書で使用する場合の用語「遅延放出」は、投与の直後ではないときに薬物を放出する剤形を指す。それは、代表的には腸溶コーティングされた錠剤に関する。
本願明細書で使用する場合の用語「徐放」は、その従来の非徐放性対照物を用いて通常達成できるよりも長い期間、連続的かつ制御された速度で、中に含有される薬物を放出するように設計された剤形を指す。結果として、徐放製品の1回用量の経口投与では、対応する非徐放性の従来の対照物の1回用量を用いて通常達成される継続時間を超えて、その薬物の治療作用の継続時間は長くする。同じ概念を記載するために使用される他の用語としては、「制御放出」、「持続放出(extended−release)」「持続時間が長い(long−acting)」、「徐放(gradual release)」、「持続性作用(prolonged action)」、および「持続放出(slow release)」が挙げられる。
本願明細書で使用する場合の用語「パルス的放出(pulsed release)」は、2回以上の別個のパルスで中に含有される薬物を放出するように設計された剤形を指す。
本願明細書で使用する場合の用語「インプラント」は、徐放を実現するために外科的手段によって、または注入によって身体に挿入または移植するための小さい滅菌されたポリマーマトリクス、ペレットまたは粒子を指す。
本願明細書で使用する場合の用語「抗精神病薬の治療経験のない患者」は、その患者が、抗精神病薬(定型抗精神病薬および非定型抗精神病薬が挙げられるがこれに限定されない)を用いて治療されたことがないことを意味する。
本発明は精神病性障害の治療に関する。用語「精神病性障害」は、本願明細書で使用する場合、抗精神病薬を用いて治療ができる任意の障害を指す。かかる障害の例としては、統合失調症、双極性障害、気分障害、外傷後障害、摂食障害、強迫性障害、化学物質関連障害、身体表現性障害、および人格障害における微小精神病性エピソードが挙げられるが、これらに限定されない。本発明は、特に統合失調症の治療に関する。
本発明は、ヒトでの使用について承認された任意の抗精神病薬である第1の成分と、テトラサイクリンである第2の成分との2種の活性成分として含む、精神病性障害を治療するための医薬組成物を提供する。好ましい実施形態では、この障害は統合失調症である。
一実施形態では、第1の成分は定型抗精神病薬であり、第2の成分はテトラサイクリンである。別の実施形態では、第1の成分は非定型抗精神病薬であり、第2の成分はテトラサイクリンである。
この定型抗精神病薬としては、ハロペリドール、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン、ペルフェナジン、ピモジド、チオリダジン、チオチキセン、トリフロペラジン、およびトリフルプロマジン(trifluopromazine)が挙げられるが、これらに限定されない。ハロペリドール、クロルプロチキセン、およびフルフェナジンの持続時間が長い、持続放出製剤もまた、精神病性障害の治療で使用される。この一覧は定型抗精神病薬の代表例を与えるという意味であり、本発明の文脈を限定するものではないことを理解されたい。
非定型抗精神病薬としては、オランザピン、リスペリドン、クロザピン、クエチアピン、パリペリドン、ジプラシドン、およびアリピプラゾールが挙げられるが、これらに限定されない。オランザピンおよびリスペリドンの持続時間が長い、持続放出製剤もまた、精神病性障害の治療において使用される。この一覧は非定型抗精神病薬の代表例を与えるという意味であり、本発明の文脈を限定するものではないことを理解されたい。
テトラサイクリンの化学構造は、式Iの化合物
Figure 2010506904
である。
上記テトラサイクリン類は、テトラサイクリンの化学構造から誘導される薬物のファミリーであり、オーレオマイシン、テラマイシン、デメチルクロルテトラサイクリン、ロリテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、グリシルサイクリン、およびミノサイクリンが含まれるがこれに限定されない。ミノサイクリンの構造は式IIに示される。
Figure 2010506904
この一覧はテトラサイクリンの代表例を与えるという意味であり、本発明の文脈を限定するものではないことを理解されたい。
単一の定型抗精神病薬を第1の成分化合物として使用することが好ましいが、必要な場合または所望される場合には、2種以上の定型抗精神病薬の組合せを第1の成分として使用してよいことを理解されたい。同様に、単一の非定型抗精神病薬を第1の成分化合物として使用することが好ましいが、必要な場合または所望される場合には、2種以上の非定型抗精神病薬の組合せを第1の成分として使用してよい。同様に、単一のテトラサイクリンを第2の成分化合物として使用することが好ましいが、必要な場合または所望される場合には、2種以上のテトラサイクリンの組合せを第2の成分として使用してよい。
本発明は、理論的考察または実験結果に縛られることは望まないが、認知障害および統合失調症の陰性症状に対するミノサイクリンの有益な効果を目指す。それゆえ、組合せの好ましい実施形態は、ミノサイクリンを第2の成分化合物として含む。
抗精神病薬の選択は、最終分析においてその患者の臨床歴および特徴に依存し、その症例を担当している医師によって決定される。一般的に言えば、非定型抗精神病薬は、慢性精神病性障害を新たに発症した患者に対して最初に使用される薬剤である。なぜなら、それらにはより少ない錐体外路副作用、遅発性ジスキネジアの発症の傾向が低いこと、および定型抗精神病薬よりも高い服薬が伴うからである。それゆえ、本発明の好ましい実施形態は、少なくとも1種の非定型抗精神病薬を第1の成分化合物として含む。現在好ましい実施形態の組合せは、非定型抗精神病薬およびミノサイクリンを含んでよい。
オランザピン/ミノサイクリンの組合せは、第1の成分が非定型抗精神病薬であり第2の成分がミノサイクリンであるかかる現在好ましい実施形態の例である。
本発明はまた、精神病性障害、好ましくは統合失調症の治療方法であって、それを必要とする患者に、本願明細書に記載される抗精神病薬成分およびテトラサイクリン成分の組合せを含む組成物を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態によれば、その組合せの活性薬剤は別個の剤形で投与されてもよい。いくつかの実施形態によれば、この組成物は、上記抗精神病薬成分および上記テトラサイクリン成分ならびに薬理学的に許容できる賦形剤を含む単一の製剤で投与される。併用療法用の経口製剤の好ましい実施形態は、本願明細書中で詳細に後述される。
本発明で使用される投与量は、薬物療法の種類および患者の臨床症状によって変わり、専門的な介護士によって決定されるべきである。製剤の抗精神病薬成分について、投与量は、通常、特定の精神病性障害を特定の薬物を用いて治療するために一般に認められた医療行為において処方される投与量に対応する。
上記製剤のテトラサイクリン成分について、有効投与量は、決定されるべき状態にある。本発明に開示される研究の結果から、佐剤としてのミノサイクリンの200mgの1日用量が、統合失調症の特定の陰性症状を治療する上で有効であることが示された。これはまた、細菌感染症を治療するために使用されるミノサイクリンの1日用量である。より低いかまたはより高いミノサイクリン投与量の有効性は、まだ確認されておらず、今後の研究の対象である。一般に、上記製剤のテトラサイクリン成分の投与量は、通常、長期使用に対して安全であると考えられる、細菌感染症を治療するために使用される薬理学的有効投与量に対応する。
本発明のいくつかの実施形態によれば、ミノサイクリンは、約10mg/日〜約500mg/日、好ましくは約50mg/日〜約200mg/日の投与量で投与される。
いくつかの実施形態によれば、ミノサイクリンの1日用量は、1回用量で1日に1回投与される。別の実施形態によれば、ミノサイクリンの1日用量はいくつかのより小さい用量で、一定または可変の間隔で1日に少なくとも2回投与される。
例えば、統合失調症を患っている成人患者に対して、選択された抗精神病薬は、オランザピンであり、15mg/日の用量で使用される。本発明によれば、かかる患者は、1日に1回投与されるべき15mgのオランザピンおよび200mgのミノサイクリンを含む製剤を用いて治療されてよい。他の投与量および1日多数回の投与を考慮することができる。
本発明はまた、精神病性障害、好ましくは統合失調症の治療方法であって、それを必要とする患者に、活性成分としてテトラサイクリンを含む組成物を投与することを含む方法をも提供する。好ましい実施形態では、この障害は統合失調症である。他の好ましい実施形態では、このテトラサイクリンはミノサイクリンである。1つの実施形態によれば、この患者は抗精神病薬の治療経験のない患者である。別の実施形態によれば、この治療は、顕著な緊張型症状がない統合失調症を有する患者に投与される。
上述の組成物および治療方法におけるすべての成分は、経口投与することができる。それゆえ、好ましい実施形態では、上記製剤は経口投与される。しかしながら、経口投与が唯一の可能な経路ではない。上記製剤は、経皮投与(transdermally)、経皮投与(percutaneously)、静脈内投与、非経口投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、または直腸内投与されてもよく、その組合せにおける成分の物理特性によって、ならびに患者および介護士の利便性によってのみ制限され得る。例えば経皮(transdermal)投与が、忘れやすい患者用に考慮されてよい。溶液の注射による投与は、治療に不都合な患者に対して望ましいかも知れない。
上記製剤は、薬理学的に許容できる任意の物理的形態をとってよい。経口投与に適した剤形は特に好ましい。かかる製剤は、投与されるべき化合物の1日用量に関連する有効量の上記化合物の各々を含有する。各投与量単位に含有されるべき各薬物の量は、上記製剤に存在する薬物の性状(identity)に依存する。補助的な医薬組成物の不活性成分および製剤の様式は、本発明の組合せが存在することを除いて従来どおりである。
公知の種類の製剤のすべてを使用することができ、その例としては、錠剤、咀嚼錠、カプセル剤、液剤、非経口液剤、鼻内噴霧剤もしくは散剤、トローチ剤、坐薬、経皮パッチ、懸濁剤、およびインプラントが挙げられる。
本発明の好ましい実施形態では、カプセル剤は、上記組合せの抗精神病薬成分およびテトラサイクリン成分を適切な希釈剤と混合し、適正な量のその混合物をカプセルに充填することにより調製される。別の実施形態では、カプセル剤は、抗精神病薬成分が膜または任意の他の薬理学的に許容できる物理的手段によってテトラサイクリン成分から分離されるにようにして調製される。
併用療法用経口製剤
ミノサイクリンおよび抗精神病薬の併用療法用経口製剤は、カプセルに充填され、錠剤へと圧縮され、液体に懸濁され、既製の、または再構成用に濃縮された、ミノサイクリンの顆粒と抗精神病薬の顆粒との混合物を含む。本願明細書で使用する用語「顆粒」はまた、球またはペレットなどの粒子状物質を含む。
ミノサイクリンおよび抗精神病薬は、別々に湿式造粒され、乾燥され、2種類の顆粒、ミノサイクリン顆粒および抗精神病薬顆粒が得られる。次いでこの顆粒は、錠剤へと圧縮されるか、または所望の比率および用量でカプセル剤に充填される。顆粒組成物は、所望のサイズ、流動特性および放出プロファイルを得るために、当業者によって容易に修正される。顆粒は、流動性(free flowing)および正確な用量比率制御、ならびに現代の大量生産方法および医薬品製造装置への適性という利点を有する。
顆粒またはペレットは、当該技術分野で記載される(Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版,1990;Mack Publishing Company,Easton,Pa.)、湿式造粒または乾式造粒という古典的な様式で調製される。顆粒は種々の組成物で調製され、所望の薬物動態特性に従って、軟質もしくは硬質の、即時放出または遅延放出であるように設計される。
ミノサイクリンおよび抗精神病薬を別々に造粒することで、潜在的な化学的非相溶性を回避するための物理的分離が可能になる。顆粒、ミノサイクリン顆粒および/または抗精神病薬顆粒の封入は、放出プロファイル調節方法および化学的非相溶性を回避するための分離方法としての役割を果たし得る。
顆粒の調製は、本願明細書に後述される。この顆粒は、a)ミノサイクリンのみの顆粒、b)抗精神病薬のみの顆粒、およびc)同じ顆粒の中のミノサイクリン/抗精神病薬混合物の3種類の顆粒を形成するように、各薬物を別々にまたは同じ顆粒の中に組合せて含んでよい。
ミノサイクリン、抗精神病薬、またはミノサイクリン/抗精神病薬混合物は、プラネタリーミキサー(planetary mixer)中で賦形剤(充填剤および顆粒結合剤など)とブレンドされ、水で湿った塊へと成形される。この湿塊は、工業的な押出造粒装置または球状化装置(spheronizing device)を用いて造粒され、熱風を用いて、好ましくは流動層乾燥機によって乾燥される。
造粒プロセスで顆粒にされた経口製剤は、(1)活性成分と賦形剤との粉末ブレンドを形成するステップであって、この活性成分がミノサイクリン、抗精神病薬、またはミノサイクリン/抗精神病薬混合物であるステップと、(2)その粉末ブレンドを水を用いて湿式造粒し顆粒を形成するステップと、(3)この顆粒を乾燥して水を除去するステップと、(4)この乾燥した顆粒混合物を所望の錠剤形態へと圧縮、または液体シロップもしくは甘味をつけた懸濁剤へと再構成するためのカプセルもしくは瓶に充填するステップとを含む。
この湿式造粒プロセスは、粉末の凝集体を形成するのに役立つ。これらの凝集体は、「顆粒」または「ペレット」と呼ばれる。本発明は、ミノサイクリンおよび抗精神病薬の湿式造粒された製剤およびそのプロセスを提供する。別々の薬物の顆粒によって、異なる薬物の顆粒を1つの単位剤形へと組み合わせた後、特定の抗精神病薬およびミノサイクリンに合わせた特定の加工および製剤化が可能になる。別々の造粒によって、併用療法において異なる薬物に対する異なる放出プロファイルを設計することも可能になる。例えば、別々の造粒プロセスによって、組合せの中の1種の薬物が即時放出プロファイルを有し、かつその他が持続放出プロファイルを有するようにできる。
湿式造粒された製剤は、水と接触して膨潤するかまたは溶解し始め、上記混合物にゲルのような粘稠度をもたらす、「結合剤」と呼ばれる薬剤を含む。湿式造粒では、薬物および賦形剤(結合剤を含む)は、溶媒、好ましくは水もしくは水溶性アルコール(hydro alcoholic)溶媒を利用して練り粉状の塊へと成形される。慣用的には、デンプン、デンプンペースト、ゼラチン、およびセルロース類(ヒドロキシプロプルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロプルセルロース、微結晶性セルロース(Avicel PH101など)など)、ならびにポリビニルピロリドンが、湿式造粒製剤における結合剤として使用される(Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版,Mack Publishing Company:Easton,Pa.,1990,1635−36頁)。
The Handbook of Drug Excipients,第2版,A.WadeおよびP.J.Weller編集,1994,223,229および392頁、および多くの他の薬学の参考文献は、即時放出および徐放の錠剤製剤において、HPMC、HPC−L、およびPVPなどの水溶性ポリマーを結合剤として(湿式結合剤または乾式結合剤のいずれかとして)一般的に使用することを記載する。
非徐放用途については、これらの結合剤は、5%を超えない量で使用される。多くの薬物に対する溶解速度の遅延のため、より多くの量は推奨されない。(特に、HPMCの)5%より多い量は、徐放剤形について一般的に使用され、一般に高分子量グレードのものが使用される。
顆粒はさらに、充填剤、結合剤、滑沢剤および崩壊剤を利用して錠剤へと圧縮される。この崩壊剤は、いくつかの加工デンプンまたは変性セルロースポリマーのうちの1つであってよい。クロスカルメロースナトリウムは特に好ましい。クロスカルメロースナトリウムNF Type Aは、「Ac−di−sol」の商品名で市販されている。好ましい滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム、プロピレングリコール、ドデカンスルホン酸ナトリウム(sodium dodecane sulfonate)、オレイン酸スルホン酸ナトリウム(sodium oleate sulfonate)、ステアリン酸塩およびタルクと混合されたラウリン酸ナトリウム、ならびにステアリルフマル酸ナトリウム(sodium stearyl fumarate)など)が挙げられる。ステアリン酸マグネシウムが特に好ましい。
好ましい錠剤またはカプセル剤希釈剤としては、ラクトース、微結晶性セルロース、リン酸カルシウム類、マンニトール、粉末化セルロース、およびアルファ化デンプンが挙げられる。ラクトースおよび微結晶性セルロースが特に好ましい。特に、FMC Corp.によって製造される微結晶性セルロースNFについての商標名であるAvicel PH101が特に好ましい。
錠剤またはカプセル剤はさらに、腸溶コーティングされてもよいし、また即時放出もしくは持続放出用に、および水なし摂取のために口中で溶解するように設計されていてもよい。好ましい錠剤は、容易に飲み込める、糖類でコーティングされた丸い卵形のカプレットである。好ましいカプセル剤は、丸くて飲み込みやすいものである。好ましい錠剤またはカプセル剤は、フラッシュ錠剤(flash tablet)または口中で溶解する錠剤、または水がなくてさえ投与および嚥下が容易である速崩壊剤(fast disintegrating tablet)である。
いくつかの実施形態によれば、本発明は、ミノサイクリンおよび抗精神病薬を活性成分として含有する即時放出用の錠剤を調製するためのプロセスであって、(1)プラネタリー造粒機または高せん断造粒機などのミキサーを使用して、加えた希釈剤および結合剤とともに各1種のみまたは組合せで活性成分の粉末ブレンドを形成するステップと、(2)混合および球状化およびふるい分けまたは押出しながら水を添加することによってこの粉末ブレンドを湿式造粒して、顆粒を形成するステップと、(3)加熱空気で10分間〜24時間、乾燥機(流動層またはトレイタイプ)中でこの顆粒を乾燥するステップと、(4)この乾燥した顆粒を均一なサイズに粉砕するステップと、(5)この乾燥して粉砕した粒子に崩壊剤を加えてブレンドするステップと、(6)この崩壊剤を含有する混合物に滑沢剤を加えて30秒間〜20分間ブレンドするステップと、(7)この滑沢剤を加えた顆粒混合物を所望の錠剤形態に圧縮するステップとを含むプロセスを提供する。この錠剤の形状は重要ではない。
他の実施形態によれば、本発明は、ミノサイクリンおよび抗精神病薬を活性成分として含有する持続放出(extended release)用の錠剤を調製するためのプロセスであって、(1)プラネタリー造粒機または高せん断造粒機などのミキサーを使用して、加えた希釈剤および結合剤とともに各1種のみまたは組合せで活性成分の粉末ブレンドを形成するステップと、(2)混合および球状化およびふるい分けまたは押出しながら水を添加することによってこの粉末ブレンドを湿式造粒して、顆粒を形成するステップと、(3)加熱空気で10分間〜24時間、乾燥機(流動層またはトレイタイプ)中でこの顆粒を乾燥するステップと、(4)持続放出(slow release)マトリクス形成ポリマーをこの乾燥した顆粒に加えてブレンドするステップと、(5)この乾燥して粉砕した粒子を含有する混合物に滑沢剤を加えてブレンドするステップと、(6)この顆粒混合物を所望の錠剤形態に圧縮するステップとを含むプロセスを提供する。この錠剤の形状は重要ではない。
さらに他の実施形態によれば、本発明は、ミノサイクリンおよび抗精神病薬を活性成分として含有する持続放出(slow release)用の錠剤を調製するためのプロセスであって、(1)プラネタリー造粒機または高せん断造粒機などのミキサーを使用して、加えた希釈剤および結合剤とともに各1種のみまたは組合せで活性成分の粉末ブレンドを形成するステップと、(2)混合および球状化およびふるい分けまたは押出しながら水を添加することによってこの粉末ブレンドを湿式造粒して、顆粒を形成するステップと、(3)加熱空気で10分間〜24時間、乾燥機(流動層またはトレイタイプ)中でこの顆粒を乾燥するステップと、(4)この乾燥して粉砕した粒子を含有する混合物に滑沢剤を加えてブレンドするステップと、(5)この顆粒混合物を所望の錠剤形態に圧縮するステップと、(6)この錠剤を持続放出(slow release)ポリマーコーティングでコーティングするステップとを含むプロセスを提供する。この錠剤の形状は重要ではない。
この顆粒は、錠剤プレスの1段階プロセスでこの顆粒の均一なブレンドとして錠剤へと圧縮されてもよいし、または層状もしくは隔離した様式で、多段階の錠剤プレスで錠剤へと圧縮されてもよい。錠剤プレスにおける層状の顆粒構造は水平であってもよいし偏心していてもよく、コア錠剤は上記ミノサイクリンまたは上記抗精神病薬でできており、他の薬物層または用量がこの内側本体を封入する。
ミノサイクリンまたは上記抗精神病薬の顆粒は均一であってもよいし、そうでなくてもよい。異なるサイズもしくは異なる組成をもつ不均一な顆粒またはさらに封入されている顆粒によって、放出プロファイルの制御が可能になり、連続的またはパルス的な放出が得られ、そしてかかる不均一な顆粒は最適の臨床有効性および患者の服薬のために設計することができる。
吐き気および嘔吐などの胃腸の障害(disturbance)が、テトラサイクリン(ミノサイクリンを含む)で治療される患者において時々観察されるが、抗精神病薬は一般に制吐効果を有する。それゆえ、併用療法では、テトラサイクリンの望ましくない胃腸への副作用を阻止するために抗精神病薬の制吐特性を利用することが患者にとって有益であろう。
特定の改変放出医薬組成物によって、定型抗精神病薬または非定型抗精神病薬、およびテトラサイクリンの1回の1日用量の投与が可能になり、精神障害の治療に対して有利な薬物の送達が提供されることが、本発明で示される。いくつかの実施形態によれば、有利なことにこの併用療法は、有害な副作用の減少をもたらす。それゆえ、かかる改変放出は、精神障害、特に統合失調症の治療のために、テトラサイクリン、特にミノサイクリンと併用して抗精神病薬を送達するために特に有用であると考えられる。副作用の減少および1日1回の剤形は患者の服薬を改善すると予想される。
従って、本発明は、哺乳動物(ヒトなど)における精神障害、特に統合失調症の治療に適切な医薬組成物であって、少なくとも1種の定型抗精神病薬もしくは非定型抗精神病薬と、少なくとも1種のテトラサイクリン、好ましくはミノサイクリンと、それらのための薬理学的に許容できる担体とを含み、かつこの抗精神病薬およびこのテトラサイクリンの改変放出を提供するように構成されている組成物を提供する。当然、残りの活性薬剤は、非改変放出に供されるであろう。
別の態様では、本発明は、哺乳動物(ヒトなど)における精神障害、特に統合失調症の治療に適切な改変放出医薬組成物であって、少なくとも1種の定型抗精神病薬もしくは非定型抗精神病薬と、少なくとも1種のテトラサイクリン、好ましくはミノサイクリンと、それらのための薬理学的に許容できる担体とを含み、かつこの担体がこの抗精神病薬およびこのテトラサイクリンのうちの少なくとも1種の改変放出を提供するように構成されている組成物を提供する。
特定の実施形態によれば、抗精神病薬およびテトラサイクリンの両方の放出が適切に改変されている。
他の実施形態によれば、抗精神病薬の放出だけが改変されていることが想起される。テトラサイクリンの放出だけが改変されていることも想起される。
この改変放出は遅延放出、パルス的放出または徐放であることが適切である。
1つの態様では、改変放出は遅延放出である。
遅延放出は、耐胃性ポリマー(例えばEudragit L100−55)でコーティングされた錠剤などの腸溶製剤などの耐胃性製剤を使用することにより、好都合に得られる。他の耐胃性ポリマーとしては、メタクリレート、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセテートフタレート、フタル酸ヒドロキシプロプルメチルセルロース、特に、Aquateric、Sureteric、HPMCP−HP−55Sが挙げられる。
腸溶コーティングされた錠剤は、錠剤形態へと圧縮される前に活性薬剤が混合されている単層錠剤、または各活性薬剤が圧縮された錠剤形態内の別個の層に存在する多層錠剤(二層錠剤もしくは三層錠剤など)であってよい。この別個の錠剤の層(table layer)は、各活性薬剤の改変放出または非改変放出を提供するために必要とされるように配置することができる。
さらなる態様では、この改変放出は徐放であり、例えば最高26時間の時間にわたる、典型的には4〜24時間の活性薬剤の有効放出を提供する。
徐放は、典型的には、通常は錠剤形態で、崩壊性マトリクス、非崩壊性マトリクスまたは浸食性マトリクスなどの徐放マトリクスを使用することにより提供される。
徐放は、非崩壊性マトリクス錠剤製剤の使用により、例えばEudragit RSをその錠剤に組み込むことにより、適切に得られる。別の非崩壊性マトリクス錠剤製剤は、メタクリレート、酢酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロプルメチルセルロース、特にEudragit LおよびRL、Carbopol 971P、HPMCP−HP−55Sをその錠剤に組み込むことにより提供される。
徐放はさらに、崩壊性マトリクス錠剤製剤の使用により、例えばメタクリレート、メチルセルロース、特にEudragit L、Methocel K4Mをその錠剤に組み込むことにより、得られる。
徐放はまた、半透膜でコーティングされた錠剤を使用することにより、例えばメタクリレート、エチルセルロース、酢酸セルロース、特にEudragit RS、Sureleaseをその錠剤に付与することにより実現できる。
徐放はまた、各活性成分が一緒にまたは別々の層として、例えばマトリクス錠剤として製剤化されており、他の層が1つまたは両方の活性薬剤の徐放のさらなる制御を提供する多層錠剤を使用することにより実現できる。
徐放は、インプラントを使用することによっても実現できる。
なおさらなる態様では、この改変放出は、例えば24時間あたり最高4パルス、例えば2パルスの活性薬剤を提供するパルス的放出である。
パルス的放出の一形態は、活性薬剤の非改変放出と遅延放出との組合せである。
適切な改変放出としては、制御放出が挙げられる。本発明の組成物はまた、活性薬剤の各々についてパルス的放出、遅延放出および/また徐放の組合せであって、これにより例えば異なる時期に試薬の放出を可能にする組合せを想起する。例えば、その組成物が抗精神病薬およびテトラサイクリン(ミノサイクリンなど)を含む場合、その組成物はミノサイクリンを一晩放出するように構成できる。
適切な定型抗精神病薬はハロペリドールである。他の適切な定型抗精神病薬は、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン、ペルフェナジン、ピモジド、チオリダジン、チオチキセン、トリフロペラジン、およびトリフルプロマジン(trifluopromazine)である。
適切な非定型抗精神病薬としては、オランザピン、リスペリドン、クロザピン、クエチアピン、パリペリドン、ジプラシドン、およびアリピプラゾールが挙げられる。
適切なテトラサイクリンとしては、テトラサイクリン、オーレオマイシン、テラマイシン、デメチルクロルテトラサイクリン、ロリテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、およびグリシルサイクリンが挙げられる。好ましいテトラサイクリンはミノサイクリンである。
上記抗精神病薬および上記テトラサイクリンは、選択した関連する薬理学的活性薬剤に適切な、薬理学的に許容できる誘導体(その薬理学的に許容できる塩、エステルおよび溶媒和物)を含めた薬理学的に許容できる形態にあることを理解されたい。本発明の特定の例では、上記抗精神病薬または上記テトラサイクリンに対して使用される名称は、関連する活性薬剤の特定の薬理学的形態に関連するかも知れないが、上記活性薬剤それ自体のすべての薬理学的に許容できる形態が本発明に包含されることを理解されたい。
上記抗精神病薬およびテトラサイクリンの適切な薬理学的に許容できる形態は、使用される特定の薬剤に依存するが、選択された特定の薬剤の公知の薬理学的に許容できる形態が包含される。かかる誘導体は、British and US Pharmacopoeias, Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.),The Extra Pharmacopoeia(London,The Pharmaceutical Press)などの標準的な教科書に見出されるか、またはそれらの中で言及されている。
本発明はまた、少なくとも1種のテトラサイクリンと少なくとも1種の抗精神病薬とを含む併用療法を投与することによる、精神病性障害、好ましくは統合失調症の治療方法を提供する。この療法は、その障害の任意の段階で患者に投与することができるが、悪化を予防するために、早期の段階に特に有益である。同様に、それはまた、上記併用療法の両方の具体的な活性成分が治療用に承認されている任意の年齢群の患者に投与することができる。いくつかの実施形態によれば、この治療は両方の化合物を含む単一の製剤として投与される。
いくつかの実施形態では、この投与は、一定間隔で、通常は1日1〜3回行われる。投与パターンは、投与される化合物および必要とされる投与量に依存し、それは熟練した治療専門家が容易に決定できる。他の実施形態では、この投与は可変の間隔で行われる。これらの実施形態では、投与間の時間は、患者の全般的な状態に従って変わるであろうが、これは治療専門家が決定するであろう。
別の実施形態では、上記治療は、一方の製剤がテトラサイクリンを含み他方の製剤が抗精神病薬を含む、別々の製剤として投与される。1つの実施形態によれば、両方の製剤は実質的に同時に投与されてよい。例えば、一方の製剤を含むカプセル剤は、他方の製剤を含むカプセル剤が同様に摂取される直前に、摂取される。あるいは、本発明の別の実施形態によれば、上記製剤は逐次的に投与されてよい。例えば、一方の製剤を含むカプセル剤が朝に摂取され、他方の製剤を含むカプセル剤が晩に摂取される。
本発明はまた、少なくとも1種テトラサイクリンを含む療法を投与することによる、精神病性障害、好ましくは統合失調症の治療方法を提供する。好ましい実施形態では、この障害は統合失調症である。他の好ましい実施形態では、上記テトラサイクリンはミノサイクリンである。本発明のいくつかの実施形態によれば、ミノサイクリンは、約10mg/日〜約500mg/日、好ましくは約50mg/日〜約200mg/日の投与量で投与される。
いくつかの実施形態によれば、ミノサイクリンの1日用量は1回用量で1日に1回投与される。別の実施形態によれば、ミノサイクリンの1日用量は、いくつかのより小さい用量で1日に少なくとも2回、一定間隔または可変の間隔で投与される。
精神病性障害を治療するために使用されるいくつかの組合せは別々に投与されてもよい少なくとも2種の活性成分を含むため、本発明はさらに、第1の単位剤形に上記組合せのテトラサイクリン成分を含む医薬組成物と、第2の単位剤形に上記抗精神病薬成分を含む医薬組成物とを含むキットを提供する。このキットはまた、分割されたボトル(divided bottle)または分割されたホイルパケット(divided foil packet)などの、別々の組成物を収容するための容器手段を含む。しかしながら、別々の組成物が1つの分割されていない容器内に収容されていてもよい。このキット形態は、別々の成分が異なる経路(例えば、経口および非経口)によって、異なる医薬製剤で(例えば、錠剤およびシロップの形態で)、異なる投与量、間隔で投与されることが好ましい場合、または処方する医師がその組合せを用量滴定することを望む場合に、特に有利である。
統合失調症の臨床的発症では、専門医が認識できるかすかな徴候が先行する。例えば、統合失調症患者の第一度近親者は、一般の個体群よりも統合失調症を発症するリスクが高く、かかる徴候の出現が後に続くかも知れない。本発明は、統合失調症の臨床的発症を遅らせるかまたは予防する方法であって、それを必要とするヒト被験者に少なくとも1種のテトラサイクリンを投与することを含む方法を提供する。
本発明の一実施形態では、このテトラサイクリンは、テトラサイクリン、オーレオマイシン、テラマイシン、デメチルクロルテトラサイクリン、ロリテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、グリシルサイクリン、およびこれらの誘導体からなる群から選択される。好ましい実施形態では、このテトラサイクリンはミノサイクリンである。
本発明のいくつかの実施形態によれば、ミノサイクリンは、約10mg/日から約500mg/日、好ましくは約50mg/日〜約200mg/日の投与量で投与される。
いくつかの実施形態によれば、ミノサイクリンの1日用量は1回用量で1日に1回投与される。別の実施形態によれば、ミノサイクリンの1日用量は、いくつかのより小さい用量で1日に少なくとも2回、一定間隔または可変の間隔で投与される。
本発明は、統合失調症の動物モデルで使用される化合物であるMK108によって引き起こされる認知障害に対するミノサイクリンの効果の証拠を提示する。MK108の認知混乱効果を阻止するミノサイクリンの能力が、視覚空間記憶(モリス水迷路)および感覚ゲーティング(sensory−gating)パフォーマンス(音響驚愕反応およびプレパルス抑制パラダイム)を評価するタスクで試験された。その知見により、MK801は視覚空間記憶能力、警戒情報処理および感覚運動ゲーティング(sensorimotor gating)において認知障害を引き起こすことが示された。ミノサイクリンは、MK801によって誘発された認知障害を有意にかつ差次的に回復させた。さらに、ミノサイクリンは、認知障害を回復させることにおいて、定型抗精神病薬ハロペリドールよりも有効であった。この有益な効果は、空間学習および感覚ゲーティングパフォーマンスにおいて特に明らかである。
ミノサイクリンはまた、統合失調症患者の抗精神病薬療法における佐剤としても有益である。統合失調症の負の徴候の進行に対する佐剤としてのミノサイクリンの効果を評価することを目的とした多施設共同二重盲検相対的前向き一定容量試験(ongoing multi−center, double blind, and comparative prospective fixed dose trial)の結果が提示される。これらの結果は、ミノサイクリンが、佐剤として抗精神病薬に加えられるとき、統合失調症のヒト被験者の陰性症状および認知障害を改善したことを示す。ミノサイクリンの有益な効果は、抗精神病治療の間の体重増加についても認められた。治療の開始から12週間後に体重が増加した患者の割合(%)は、プラセボを受けた患者と比べてミノサイクリンで治療された患者では有意に低かったが、体重を減少させた患者の割合(%)は、プラセボを受けた患者と比べてミノサイクリンで治療された患者では有意に高かった。
ここで本発明は、以下の実施例によって例証される。これらの実施例は限定を加えるものではないと解釈されることが意図されている。
(実施例1−実施例4:統合失調症の動物モデルにおけるミノサイクリンの有効性)
物質および実験装置
マレイン酸ジゾシルピン(MK801):マレイン酸ジゾシルピン(MK801)(Sigma−Aldrich、イスラエル)の新しい液剤を、ラットの各バッチに対して、生理食塩水(滅菌した蒸留水中0.9% NaCl)で調製した。
ミノサイクリン:塩酸ミノサイクリン(Sigma、ミズーリ州、セントルイス)(35mg/kg)を新しくリン酸緩衝食塩水(KPBS、pH7.2、37℃)に溶解させた。
ハロペリドール:ハロペリドール(0.4mg/kg;Sigma−Aldrich、イスラエル)を、最少量の氷酢酸約10μlを用いて溶解させ、次いで微温の5.5% D−グルコースを用いて最終pH約6.0に希釈した。
食塩水:食塩水を対照注射液に使用した。
モリス水迷路(MWM):MWMは、26±1℃の水が入っている水プール(直径=1.8m;深さ=0.6m)からなっていた。隠したプラットフォームを、水面の1.5cm下に置いた。試験室内では、ラットには、沈めたプラットフォームの場所を捜し出すためには遠位の視的空間手がかりだけが利用できた。ラットを追跡するために、ビデオカメラをそのプールの中央の上に置き、オンラインデジタル出力を備えたビデオ追跡システム(Noldus Information Technology b.v.、Wageninpen、オランダ)が直接データをコンピュータに供給し、解析した。データを、Etho−Vision自動追跡システム(Noldus Information Technology)を使用することによって解析した。
音響驚愕反応(Acoustic Startle Response、ASR)およびプレパルス抑制(Pre−Pulse Inhibition、PPI)
両方の実験パラダイムを、実験室施設および動物房に隣接した部屋で行った。この部屋は、他の実験のためには使用しなかった。上記動物を、異なる実験群間で均衡させた驚愕室(startle chamber)を用いて2匹の班で試験した。驚愕反応およびプレパルス抑制を、2つの換気した驚愕室(SR−LABシステム、San Diego Instruments、カリフォルニア州、サンディエゴ)を使用して測定した。各小室は、防音した、換気した小室内部のプラットフォームの上に置かれたPlexiglasの円筒からなっていた。その小室内部の高周波ラウドスピーカーが、70dBの連続的な広帯域のバックグラウンドノイズと上記種々の音響刺激との両方を生成した。上記管内部の動きを、そのフレームの下の圧電加速度計によって検出した。音響パルスに対する全身驚愕の大きさ(amplitude)を、パルスの開始から収集した100個の1ミリ秒の加速度計の読取値の平均と定義した。次いでこれらの信号をコンピュータによって数値化し、保存した。各試験小室内の音量レベルを、騒音計(Radio Shack)を用いて常に測定し、一定の提供を確認した。SR−LAB較正ユニットを常に使用し、試験小室間でおよび経時的に重心動揺計の感度が一定であることを確認した(SwerdlowおよびGeyer, 1998,Schizophrenia Bulletin,24(2),285−301)。
実験方法およびデータ解析
主実験手順
ラット(N=50)に、行動試験の前3日間連続して、ミノサイクリン(35mg/kg)を注射した。行動評価の30分前に、ラットに、ハロペリドール(群;ハロペリドール、ハロペリドール+MK801)または食塩水(群;ミノサイクリン、食塩水、ミノサイクリン+MK801、MK801)のいずれかを用いて腹腔内に(i.p.)注射した。これは、齧歯動物に行動効果を誘発するのに有効な時間枠である(用量データについては物質の節を参照)。4日目に行った行動手順の15分前に、前記被検体に、体重1kgあたり1mlの全量に対して0.1mg/kg用量のMK801または食塩水を用いて腹腔内に注射した。次に、この被検体を、以下の段落で説明する3種の行動手順を体験させた。
モリス水迷路(MWM)パラダイム
海馬依存性の視的空間学習タスクであるMWMを使用して、被検体の空間学習/記憶を評価した。この試験環境からの迷路外の手がかり(extra−maze cue)を使用することによって、水中に沈めた隠されたプラットフォームの場所を捜し当てる動物の能力を調べた。このラットを、26±1℃の水が入っている直径1.8m、高さ0.6mのプールで訓練した。10cm四方の透明なプラットフォームを、水面の1cm下に沈めて、上記プールに定位置に隠した。この試験室内では、このラットには、沈めたプラットフォームの場所を捜し出すためには遠位の視的空間手がかりだけが利用できた。
この隠したプラットフォームを見つけるために、ラットに1日に4回の試験を行わせた(習得段階)。逃避潜時(escape latency)、すなわちそのラットがプラットフォームを見つけて登るために要する時間、を最長120秒まで記録した。各ラットをそのプラットフォームに30秒間留まらせ、その後その住処のケージに戻した。そのラットが120秒以内にプラットフォームを見つけなかった場合、そのラットを手作業で上記プラットフォームの上に置き、30秒後にその住処のケージに戻した。
音響驚愕反応(ASR)およびプレパルス抑制(PPI)パラダイム
ASRおよびPPIを、各小室が防音した、換気した小室内部のプラットフォームの上に置かれたPlexiglasの円筒からなる2つの驚愕室を使用して測定した(物質の節も参照)。上記動物を、異なる実験群間で均衡させた驚愕室を用いて2匹一組で試験した。
ASR試験は、繰り返す大きな音のパルスのノイズに慣れる動物の能力を測定した。この試験の開始時に、動物を、上記管の内部に置き、5分の順化期間を設けて(その間に、その小室内部の高周波ラウドスピーカーが、68dBの連続的な広帯域のバックグラウンドノイズを生成した)驚愕セッションを開始した。順化期間の後、4つの驚愕パルス(30ms、120dB)を提供した。上記管内部の動きを、そのフレームの下の圧電加速度計によって検出した。音響パルスに対する全身驚愕の大きさを、パルスの開始から収集した100個の1ミリ秒の加速度計の読取値の平均と定義した。次いでこれらの信号をコンピュータによって数値化し、保存した。SR−LAB較正ユニットを常に使用し、試験小室間でおよび経時的に重心動揺計の感度が一定であることを確認した。
この驚愕反応のPPIを感覚運動ゲーティングの指標として用い、上記驚愕室をプレパルス刺激が驚愕反応を遮断する能力を評価するために用いた。このプレパルスは、72、76、80、または84dBのいずれかのノイズバーストであり、20ミリ秒継続した。このプレパルスと上記驚愕パルスとの間の間隔は80ミリ秒であった。各セッションは、10回の試験を行う6つのブロックからなっていた。各ブロックは、4つの異なる試験タイプ:2つの驚愕パルスのみの試験、異なる強度の4つのプレパルス、次いで驚愕パルス、4つの強度で4つのプレパルスのみ、および1つの無刺激試験、を含んでいた。これら異なる試験タイプを、10−20秒の可変の試験間隔で擬似無作為的に提供した。
データ解析
モリス水迷路(MWM):逃避潜時、ラットをプールに入れてからそれが上記プラットフォームの場所を捜し出すまでの時間、を行動試験の間測定した。この逃避潜時を、「群」(処置群)の被検体間の測定および「痕跡」の被検体内の測定(上記4つの異なる試験における群の中の効果)を用いて、三元配置反復測定分散分析(ANOVA)によって分析した。ミノサイクリン用量決定[MK801、食塩水、および4つのミノサイクリンを与えた群(20、25、30、35mg/kg)を比較する]のため、および主実験手順[MK801、食塩水、ミノサイクリン(35mg/kg)、ミノサイクリン+MK801、ハロペリドールおよびハロペリドール+MK801を比較する]のために、2つの別々の分析を行った。
音響驚愕反応(ASR):上記群におけるASRの低下は、最初の5個の大きさの値の平均と最後の25個の大きさの値の平均との間の大きさの低下の割合(%)として算出した。
習慣性(%)=100×[(ブロック1の驚愕の大きさの平均)−(ブロック5の驚愕の大きさの平均)/(ブロック1の驚愕の大きさの平均)]。結果を、「群」(処置群)の被検体間測定の二元配置ANOVAによって分析した。
プレパルス抑制(PPI):驚愕の大きさを、すべての上記手順において任意の単位で表した。PPI百分率(%PPI)を、刺激のみに対する驚愕の大きさの平均 − プレパルス刺激試験に対する驚愕の大きさの平均として算出した(すべて、刺激のみの試験の平均で割って100を掛けた)。全体の平均%PPIを、上記4つのプレパルス強度(72、74、80、84dB)について算出した。結果を、「群」(上記処置群間の差)および「プレパルス強度」(72、76、80、84dB)の被検体間測定を用いて二元配置ANOVAによって分析した。
(実施例1)
MK801効果を回復させる上で有効なミノサイクリン用量の決定
ラットを、4つの用量のミノサイクリン(20、25、30、および35mg/kg)または食塩水のうちの1つで3日間連続して処置し、その後4日目にMK801または食塩水を注射した。次いで、上記MWM試験を実施した(結果については図1を参照)。「群」、「痕跡」という有意な主効果、および有意な「群」×「痕跡」相互作用を、前記MWMタスクについての反復測定ANOVAにおいて見出した[それぞれ、F(5,35)=9.699、p<0.001;F(3,33)=31.551、p<0.001;F(15,91)=1.824、p<0.05]。MK801で処置したラットは、Scheffe多重比較において、食塩水の群と比べてより長い逃避潜時(より悪いパフォーマンスを示す)を示した(p<0.001)。より低い用量のミノサイクリン(20および25mg/kg)は、MK801で処置したラットと有意差なく、食塩水群と比べて有意により長い逃避潜時という限定的な効果を有した。対照的に、30および35mg/kgのミノサイクリンで処置したラットは、前記食塩水で処置した群と異ならなかった。
2つの最も高いミノサイクリン用量(30または35mg/kg)の間で選択するために、本発明者らは、各MWM痕跡に焦点を当てたフォローアップ(follow−up)一元配置ANOVA分析を実施した。痕跡1については有意差は見出せなかったが[F(5,35)=1.955、有意でない]、有意な「群」の主効果が痕跡2−4で見出された[それぞれ、F(5,35)=5.176、p<0.001;F(5,35)=6.751、p<0.001;F(5,35)=7.330、p<0.001]。Scheffe多重比較は、上記薬理学的手技の増加効果を指し、痕跡2は処置群間で有意差がないことを示した。痕跡3では、食塩水で処置したラットだけが、MK801処置群よりも有意により良好なパフォーマンスを示した(p<0.01)。最後に、痕跡4では、ミノサイクリン35mg/kgで処置したラットのみが、MK801群と比べて有意差を示した(p<0.05)(MK801群からの有意差を示した(p<0.001)食塩水群に加えて)。全体では、ミノサイクリンは、上記MWMタスクにおける増加効果を示し、各痕跡は良好な用量依存性効果を伴っていた。この知見は、より高い用量で誘発される可能性がある副作用の危険もなくMK801の効果を阻止するミノサイクリンの能力を試験するために、35mg/kg用量が最も適切であるかも知れないことを示唆する。
(実施例2)
モリス水迷路(MWM)タスクにおけるミノサイクリンおよびハロペリドールの治療の比較
上記主実験手順を、MWM試験の前に実施した(結果については図2を参照)。上記4つのMWM痕跡における上記6つの処置群の逃避潜時(平均±標準誤差)を測定し、実験日数にわたって平均した。上記MWMの第1の痕跡では差は見出されず、痕跡2−4(2−4日目に対応する)は、ほとんどの他の群と比べて、MK801で処置したラットのより長い逃避潜時およびより悪いパフォーマンスを指していた。ミノサイクリンは、MK801によって誘発される障害を減少させ、この改善は、ハロペリドールによって引き起こされる改善よりもいくらかより有意であることが示された。
(実施例3)
MK801が誘発する音響驚愕反応(ASR)の習慣性に対するミノサイクリンの効果
上記主実験手順を、上記ASR試験の前に実施した(結果については図3を参照)。習慣性を、最初は新規であるが(感覚順応またはエフェクター疲労を回避するためにゆっくりとした速度で)反復して提供されるときにその刺激に対する驚愕反応の減少率として定義した。1因子ANOVAは、驚愕反応の習慣性%(%習慣性)に対する有意な「群」主効果[F(5,24)=22.4、p<0.001]を明らかにし、Scheffe多重比較は、処置群のASR結果は2つのクラスター、(1)MK801およびハロペリドール+MK801群、(2)食塩水、ミノサイクリン、ハロペリドールおよびミノサイクリン+MK801処置群、に分類できることを示した。この第1のクラスター群は、ASRタスクにおいて、第2のクラスターからの群と比べて全体的なより低い%習慣性(より低いパフォーマンス)を示した。MK801で処置したラットは、食塩水、ミノサイクリン、ハロペリドールおよびミノサイクリン+MK801群と比べてより低い%習慣性を示した(p<0.001)。ハロペリドール+MK801群は、食塩水(p<0.001)、ミノサイクリン(p<0.01)、ミノサイクリン+MK801(p<0.01)およびハロペリドールのみ(p<0.05)群と比べてより低い%習慣性(より低いパフォーマンス)を示した。
要約すると、この知見は、MK801が、食塩水で処置したラットと比べて、このラットにおけるASRの習慣性の有意な欠損を誘発することを示す。ミノサイクリンでの前処置は、食塩水で処置した動物と比べて、MK801によって誘発される欠損を予防することができたが、ASRの習慣性にはまったく影響を与えなかった。対照的に、ハロペリドールの投与はMK801によって誘発される欠損を予防することができなかった。
(実施例4)
プレパルス抑制(PPI)パラダイムにより評価した感覚運動ゲーティング機能
上記主実験手順をPPI試験前に実施した(結果については図4を参照)。PPI百分率(%PPI)についての反復測定ANOVAにおいてプレパルス抑制に対する有意な「群」の主効果があり[F(5,24)=15.91、p<0.001]、Scheffe多重比較は、群は上記ASR試験と同様に(実施例3を参照)2つのクラスター:(1)MK801およびハロペリドール+MK801群(それぞれ、p<0.01およびp<0.001)、(2)食塩水、ミノサイクリン、ハロペリドールおよびミノサイクリン+MK801処置群を形成することを示し、後者の群がより高い%PPIおよびより良好なパフォーマンスを示した。ANOVAはまた、有意な「プレパルス強度」(72、276、80および84dB)の主効果[F(3,72)=8.59、p<0.001]を示し、%PPIは各痕跡について有意に短くなり、これはASRの予想したプレパルス抑制を示す。最後に、有意な「群」×「プレパルス強度」相互作用[F(15,72)=8.50、p<0.001]があった。
上記食塩水、ミノサイクリンおよびミノサイクリン+MK801で処置したラット間で統計的な有意差はなく、すべての群が、刺激強度の増加の際に同様の%PPIの単調増加を示した(各群について%PPIに対する「プレパルス強度」の有意な主効果;食塩水−p<0.01;ミノサイクリン−p<0.05;ミノサイクリン+MK801−p<0.01)。対照的に、上記MK801およびハロペリドール+MK801は、%PPIの単調増加を示さず、これはPPIの崩壊を示す。
要約すると、MK801は、食塩水処置群と比べて、PPIの有意な欠損を誘発した。ミノサイクリンは、ハロペリドール(ハロペリドール+MK801群)による有意な効果がなかったこととは対照的に、MK801処置によって引き起こされたこの欠損を回復させることができた。
(実施例5−実施例12:第1の精神病性エピソードを経験する患者の研究における佐剤としてのミノサイクリンの有効性)
研究の設計
本研究は、統合失調症の負の徴候の進行に対する佐剤としてのミノサイクリンの効果を評価することを目的とした多施設共同二重盲検相対的前向き一定容量試験である。本研究を第1の精神病性エピソードを経験する患者において実施し、それらの患者を6ヶ月の全期間の間追跡した。本研究は佐剤としてのミノサイクリンを調べるため、サンプルは、以下の非定型抗精神病薬:リスパダール、ジプレキサ、ジオドン(Geodon)、セロクエル、およびレポネックス(Leponex)、のうちの1つを受けている患者を含む。種々の臨床パラメータ(CGI、PANSSなど)および認知パラメータ(統合失調症の認知の悪化の予測量としての役割を果たすかも知れない)に対するミノサイクリンの可能性のある効果を定期的に評価した。
他の障害(例えば、短期精神病性エピソード、統合失調症様障害、双極性疾患)を抱える患者から統合失調症を抱える患者を区別するため、反復的なDSM−IV構造化診断面接(Structured Clinical Interview for DSM−IV、SCID)を上記患者の各々における本研究の期間の最後に実施する必要がある。
算入基準は以下のとおりである:
1.非器質性急性神経病の第1のエピソードを患っている男性または女性;
2.被験者は、急性神経病の発症前に3年以下スクリーニングされ、大きな神経病理学の徴候を有していないと分かっている;
3.ベースラインの陽性陰性症状評価尺度(positive and negative symptom scale、PANSS)>60;
4.口頭での同意をし、かつインフォームドコンセント申込用紙に署名した。
除外基準は以下のとおりである:
1.感情症状に支配された精神病性エピソード;
2.精神発達障害;
3.急性、不安定、有意または未治療の医学的疾病;
4.妊婦または授乳期の女性;
5.薬物濫用またはアルコール濫用;
6.上記所与の薬物に対するあらゆる既知の禁忌。
研究中の脱落
以下の場合には、患者を本研究期間の間、本研究から除外した:
1.(ミノサイクリンまたは上記非定型抗精神病のいずれかに対する)任意の重篤な有害作用;
2.(2週間のBPRSの20%の増加によって測定した場合の)臨床的悪化;
3.上述の薬物以外の抗精神病薬の投与の何らかの追加;
4.最終月における抗精神病薬の投与量の極端な増加(ness increase)。
初期評価および定期的な評価
初期評価には以下の臨床測定を含めた:
・(診断の信頼性についての)SCID
・CGI(臨床全般印象(Clinical Global Impression))
・PANSS(統合失調症についての陽性陰性症状評価尺度)
・SANS(陰性症状評価尺度(Scale for the Assessment of Negative Symptoms))
・統合失調症についてのカルガリーうつ病尺度(Calgary Depression Scale)
・GAF
・GRAF
・病識および治療態度に関する質問表(Insight and Treatment Attitudes Questionnaire)
・QLS(生活の質尺度)
・マルトノマ地域共同体能力尺度(Multinomah Community Ability Scale)
・錐体外路副作用尺度(Extrapyramidal Side Effects Sclale)。
加えて、上記被験者を、注意力、記憶、およびプランニングを測定するコンピュータ化された神経心理学的テストのバッテリ(CANTAB − Cambridge Neuropsychological Test Automated Battery)によって評価した。
記憶は、CANTABの空間認識およびパターン認識ならびに空間スパンタスクを使用して試験した。
実行機能は、CANTABの2つのタスクによって試験し、プランニングはTower of Londonのコンピュータ化された修正版によって試験し、作業記憶は空間作業記憶タスクによって試験した。
治療
ミノサイクリンを、アドオン療法として与えた。ミノサイクリン/プラセボ佐剤治療への無作為化に先立ち、プラセボ治療の予備的な(導入段階)スクリーニング段階に取り掛かった:プラセボを佐剤としてすべての患者に2週間与えた。このプラセボ治療に対して実質的な反応を示した被験者(PANSSにおいて20%を超える減少)を本研究から除外した。次いで、主任研究者が無作為化を実施した。本研究に参加している被験者の測定者(rater)および評価者(evaluator)は、この無作為化を知らなかった。無作為化は、2つの処置群:非定型抗精神病薬+ミノサイクリン(200mg/日)または非定型抗精神病薬+プラセボ、のうちの1つに対してのものであった。
臨床的状態を、本研究の開始時、最初の6週間については毎週、次いで本研究の期間の残りについては1ヶ月に1回、上述の尺度によって評価した。認知能力を、以下のスケジュールに従う試験の神経心理学的バッテリによって評価した:本研究の開始時(図5−図8で面会1と称される)、本研究の開始後3ヶ月(図5−図8で面会2と称される)、および6ヶ月(図5−図8で面会3と称される)。この試験を28週間続けた。上記非定型抗精神病薬の投与量の変化は、それらが上記範囲にある限り、上記被験者を除外しなかった。本研究の期間の最後に、すべての被験者を繰り返しのSCIDによって再診断した。
データ解析
募集した70人の被験者のうち、これまでに全部で19人の被験者が全28週間の手順を終えた。年齢、最初の入院時の年齢、入院回数、および教育年数(number of education year)についてのANOVAから、前記ミノサイクリンおよびプラセボ群との間には有意差がないことが明らかとなった。
以下の結果は、少なくとも1種のコンピュータ化された認知評価を行った55人の被験者(35人はミノサイクリンを受け、20人はプラセボを受けた)のデータの分析に基づく。本発明者らは、脱落した被験者の空白のセルを埋めるためにEM統計的手法を使用した。
(実施例5−実施例8:実行機能、作業記憶およびプランニング試験(CANTAB試験バッテリ)
(実施例5)
Intra−extra dimensional set−shifts(IED)
このタスクは、ルールの習得状態への転換(set shifting)および注意状態への転換の能力を評価する。IEDは、統合失調症に伴う認知力の変化を感知できる。IED測定についてのMANOVA(終えた段階の数、調整した全エラー、プレEDエラー(Pre−ED error)、EDSエラー)は、有意な時間×群相互作用を示した(p<0.0001)(図5)。フォローアップANOVAは、ミノサイクリン群は、プレEDエラー測定を除くすべてのIED測定についてプラセボ群よりも有意に改善したことを示した。これは、ミノサイクリン群が、ルールの習得よりも注意状態への転換能力で特別の改善を示したことを示す。
(実施例6)
Stockings of Cambridge(SOC)
これは「Tower of London」試験に基づく空間プランニング試験である。この試験は前頭葉機能の指標を与える。SOC測定についてのMANOVA(5回移動段階に対する初期思考時間の平均(mean initial thinking time for 5 moves stages)、5回移動段階に対する後の思考時間の平均(mean subsequent thinking time for 5 moves stages)、最少の移動で解決した問題の数(Number of problems solved in minimum moves))は、有意な時間×群相互作用(p<0.01)を示した(図6)。フォローアップANOVAは、ミノサイクリン群が最少の移動で解決した問題の数測定においてプラセボ群よりも有意に(p=0.001)改善したこと、すなわちミノサイクリン群がプランニング能力においてプラセボよりも大きく改善したことを示した。
(実施例7)
空間作業記憶(Spatial Working Memory、SWM)
このタスクは、前頭葉およびその細区画(前頭背外側部および前頭腹外側部(dorsolateral and ventrolateral frontal)など)に結び付けられており、前頭活性のさらなる試験と考えてよい。SWM測定についてのMANOVA(エラー間隔(between errors)、戦略)は、有意な時間×群相互作用(p<0.0001)を示した(図7)。フォローアップANOVAから、ミノサイクリン群は、エラー間隔測定(p<0.0001)において、および戦略スコア(p<0.05)においてプラセボ群よりも有意に改善したことが明らかになった。これらの結果は、ミノサイクリン群は、プラセボ群と比べて、効率および系統的パフォーマンスという点で上記タスクにおいてより大きい改善を示したことを示す。
(実施例8)
空間認識記憶(Spatial Recognition Memory、SRM)
このタスクは、空間認識記憶の試験であり、このタスクでのパフォーマンスは側頭葉内側および頭頂葉の機能と相関する(Milnerら, Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci.1997;352:1469−74)。正しい反応の割合(percent of correct responses)についてのANOVAは有意な時間×群相互作用を示した(p<0.01)(図8)。ミノサイクリン群は、この測定において比較的安定したスコアを維持したが、プラセボ群のパフォーマンスは悪化した。
(実施例9)
SANS(陰性症状評価尺度)
全SANSスコアについてのANOVAから、有意な群×時間(group x time)相互作用が明らかとなった(p<0.01)(図9)。ミノサイクリン群は、統合失調症の陰性症状においてプラセボ群よりもより大きな改善を示した。
(実施例10)
統合失調症についてのカルガリーうつ病尺度
全カルガリースコア(total Calgary Score)についてのANOVAは、群×時間の有意な相互作用に近づいた(p=0.099、有意でない)(図10)。ミノサイクリン群は、この測定においてプラセボ群よりも大きな改善に到達する傾向があった。
(実施例11)
GRAF
GRAFスコアについてのANOVAから、有意な群×時間相互作用が明らかになった(p<0.05)(図11)。ミノサイクリン群は、プラセボ群と比べてGRAFスコアのより大きな改善を示した。
(実施例12)
上記患者の体重を、本研究の開始時およびそれから12週間後に測定した(図12)。プラセボ群(33%)と比べてより高い割合の患者がミノサイクリン群(46%)において体重を減少させたが、他方、プラセボ群(67%)と比べてより低い割合の患者がミノサイクリン群(31%)において体重を増加させた。要約すると、ミノサイクリン処置は体重増加に対して有益な効果をもたらした。
(実施例13)
統合失調症のMK801動物モデルを使用した実験研究を、抗精神病とミノサイクリンとの間の組合せの生体内有効性を試験するために設計した。その実験結果は、治療のタイミングに関して最良の治療方式を決定するために使用されるであろう。実験手順を以下に提示する。
動物:成体の雄性Sprague−Dawleyラット
動物数:1つの群あたり6−8匹のラット
物質:マレイン酸ジゾシルピン MK801(Sigma−Aldrich、イスラエル);塩酸ミノサイクリン(Sigma、ミズーリ州、セントルイス);ハロペリドール(Sigma−Aldrich、イスラエル)
実験行動試験:モリス水迷路(MWM);音響驚愕反応(ASR)およびプレパルス抑制(PPI)。
手順
1.種々の投与量治療方式を試験することにより、抗精神病およびミノサイクリンの相乗効果を測定する。
試験群
1.MK801のみ
2.MK801+ハロペリドール(0.30mg/kg)+ミノサイクリン(30mg/kg)
3.MK801+ハロペリドール(0.25mg/kg)+ミノサイクリン(25mg/kg)
4.MK801+ハロペリドール(0.20mg/kg)+ミノサイクリン(20mg/kg)。
2.上記の投与量に基づき、治療のタイミングに関して最良の治療方式を決定する。
試験群
1.MK801のみ
2.MK801+ハロペリドール(時間 0)+ミノサイクリン(時間 −6時間)
3.MK801+ハロペリドール(時間 0)+ミノサイクリン(時間 −3時間)
4.MK801+ハロペリドール(時間 0)+ミノサイクリン(時間 0)
5.MK801+ハロペリドール(時間 0)+ミノサイクリン(時間 +3時間)
6.MK801+ハロペリドール(時間 0)+ミノサイクリン(時間 +6時間)。
具体的な好ましい実施形態および実施例を参照して本発明を説明してきた。多くの可能な代替物が本発明の範囲内で明らかであることは、当業者には分かるであろう。本発明の範囲は、本願明細書に例示された具体的な実施形態によっては限定されず、添付の特許請求の範囲によって限定されることが意図されている。

Claims (73)

  1. 活性成分として、薬理学的有効量の少なくとも1種のテトラサイクリンと、薬理学的有効量の少なくとも1種の抗精神病薬とを含む、医薬組成物。
  2. 前記テトラサイクリンが、ミノサイクリン、テトラサイクリン、オーレオマイシン、テラマイシン、デメチルクロルテトラサイクリン、ロリテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、およびチゲサイクリンからなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記抗精神病薬が定型抗精神病薬である、請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 抗精神病薬が非定型抗精神病薬である、請求項1に記載の医薬組成物。
  5. 前記定型抗精神病薬が、ハロペリドール、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン、ペルフェナジン、ピモジド、チオリダジン、チオチキセン、トリフロペラジン、およびトリフルプロマジンからなる群から選択される、請求項3に記載の医薬組成物。
  6. 前記非定型抗精神病薬が、オランザピン、リスペリドン、クロザピン、クエチアピン、パリペリドン、ジプラシドン、およびアリピプラゾールからなる群から選択される、請求項4に記載の医薬組成物。
  7. 前記テトラサイクリンがミノサイクリンである、請求項2に記載の医薬組成物。
  8. 前記製剤が改変放出製剤である、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  9. 前記改変放出製剤が、遅延放出製剤、徐放製剤、制御放出製剤、パルス的放出製剤、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項8に記載の医薬組成物。
  10. 前記テトラサイクリンおよび前記抗精神病薬の両方の放出が改変放出である、請求項8に記載の医薬組成物。
  11. 前記テトラサイクリンの放出のみが改変されている、請求項8に記載の医薬組成物。
  12. 前記抗精神病薬の放出のみが改変されている、請求項8に記載の医薬組成物。
  13. 前記抗精神病薬が、前記テトラサイクリンの実質的に前に放出される、請求項8に記載の医薬組成物。
  14. 精神病性障害の治療方法であって、それを必要とする患者に、活性成分として、治療上有効量の少なくとも1種のテトラサイクリンと治療上有効量の少なくとも1種の抗精神病薬とを含む医薬組成物を投与することを含む方法。
  15. 前記テトラサイクリンが、ミノサイクリン、テトラサイクリン、オーレオマイシン、テラマイシン、デメチルクロルテトラサイクリン、ロリテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、およびチゲサイクリンからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
  16. 前記抗精神病薬が定型抗精神病薬である、請求項14に記載の方法。
  17. 前記抗精神病薬が非定型抗精神病薬である、請求項14に記載の方法。
  18. 前記定型抗精神病薬が、ハロペリドール、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン、ペルフェナジン、ピモジド、チオリダジン、チオチキセン、トリフロペラジン、およびトリフルプロマジンからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
  19. 前記非定型抗精神病薬が、オランザピン、リスペリドン、クロザピン、クエチアピン、パリペリドン、ジプラシドン、およびアリピプラゾールからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
  20. 前記テトラサイクリンがミノサイクリンである、請求項14に記載の方法。
  21. 前記ミノサイクリンが10mg〜約500mgの1日投与量で投与される、請求項20に記載の方法。
  22. 前記ミノサイクリンが50mg〜約200mgの1日投与量で投与される、請求項21に記載の方法。
  23. 前記医薬組成物が、さらに薬理学的に許容できる賦形剤、希釈剤または担体を含む単一製剤として前記活性成分を含む、請求項14に記載の方法。
  24. 前記製剤の投与様式が、経口、経皮(transdermal)、経皮(percutaneous)、静脈内、非経口、筋肉内、鼻腔内、および直腸内からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
  25. 前記製剤の種類が、錠剤、咀嚼錠、カプセル剤、シロップ、懸濁剤、液剤、鼻内噴霧剤、坐薬、経皮パッチ、およびインプラントからなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
  26. 前記製剤が改変放出製剤である、請求項23に記載の方法。
  27. 前記改変放出製剤が、遅延放出製剤、徐放製剤、制御放出製剤、パルス的放出製剤、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
  28. 前記テトラサイクリンおよび前記抗精神病薬の両方の放出が改変放出である、請求項26に記載の方法。
  29. 前記テトラサイクリンの放出のみが改変されている、請求項26に記載の方法。
  30. 前記抗精神病薬の放出のみが改変されている、請求項26に記載の方法。
  31. 前記抗精神病薬が、前記テトラサイクリンの実質的に前に放出される、請求項26に記載の方法。
  32. 前記製剤が経口投与される、請求項24に記載の方法。
  33. 前記障害が、統合失調症、双極性障害、気分障害、外傷後障害、摂食障害、強迫性障害、化学物質関連障害、身体表現性障害、および人格障害における微小精神病性エピソードからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
  34. 前記障害が統合失調症である、請求項33に記載の方法。
  35. 精神病性障害の治療方法であって、それを必要とする被験者に、治療上有効量の少なくとも1種のテトラサイクリンと治療上有効量の少なくとも1種の抗精神病薬とを含む併用療法を投与することを含む方法。
  36. 前記被験者がヒトである、請求項35に記載の方法。
  37. 前記投与が実質的に同時である、請求項35に記載の方法。
  38. 前記投与が逐次的である、請求項35に記載の方法。
  39. 前記投与が一定間隔で行われる、請求項35に記載の方法。
  40. 前記投与が可変間隔で行われる、請求項35に記載の方法。
  41. 前記障害が、統合失調症、双極性障害、気分障害、外傷後障害、摂食障害、強迫性障害、化学物質関連障害、身体表現性障害、および人格障害における微小精神病性エピソードからなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
  42. 前記障害が統合失調症である、請求項41に記載の方法。
  43. 精神病性障害の治療方法であって、それを必要とする患者に、活性成分として治療上有効量の少なくとも1種のテトラサイクリンを含む医薬組成物を投与することを含む方法。
  44. 前記テトラサイクリンが、ミノサイクリン、テトラサイクリン、オーレオマイシン、テラマイシン、デメチルクロルテトラサイクリン、ロリテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、およびチゲサイクリンからなる群から選択される、請求項43に記載の方法。
  45. 前記テトラサイクリンがミノサイクリンである、請求項44に記載の方法。
  46. 前記ミノサイクリンが、10mg〜約500mgの1日投与量で投与される、請求項45に記載の方法。
  47. 前記ミノサイクリンが50mg〜約200mgの1日投与量で投与される、請求項46に記載の方法。
  48. 前記障害が、統合失調症、双極性障害、気分障害、外傷後障害、摂食障害、強迫性障害、化学物質関連障害、身体表現性障害、および人格障害における微小精神病性エピソードからなる群から選択される、請求項43に記載の方法。
  49. 前記障害が統合失調症である、請求項48に記載の方法。
  50. 精神病性障害の治療方法であって、それを必要とする被験者に、治療上有効量の少なくとも1種のテトラサイクリンを含む療法を投与することを含む方法。
  51. 前記被験者がヒトである、請求項50に記載の方法。
  52. 前記投与が一定間隔で行われる、請求項50に記載の方法。
  53. 前記投与が可変間隔で行われる、請求項50に記載の方法。
  54. 前記障害が、統合失調症、双極性障害、気分障害、外傷後障害、摂食障害、強迫性障害、化学物質関連障害、身体表現性障害、および人格障害における微小精神病性エピソードからなる群から選択される、請求項50に記載の方法。
  55. 前記障害が統合失調症である、請求項50に記載の方法。
  56. 統合失調症の臨床的発症を遅らせるかまたは予防する方法であって、それを必要とする被験者に、少なくとも1種のテトラサイクリンを投与することを含む方法。
  57. 前記テトラサイクリンが前記疾患の前駆期の間に投与される、請求項56に記載の方法。
  58. 前記テトラサイクリンが、ミノサイクリン、テトラサイクリン、オーレオマイシン、テラマイシン、デメチルクロルテトラサイクリン、ロリテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、およびチゲサイクリンからなる群から選択される、請求項56に記載の方法。
  59. 前記テトラサイクリンがミノサイクリンである、請求項58に記載の方法。
  60. 前記ミノサイクリンが10mg〜約500mgの1日投与量で投与される、請求項59に記載の方法。
  61. 前記ミノサイクリンが50mg〜約200mgの1日投与量で投与される、請求項60に記載の方法。
  62. 精神病性障害を治療することを必要とする被験者において、精神病性障害を治療するためのキットであって、第1の単位剤形中の薬理学的有効量の少なくとも1種のテトラサイクリンおよび薬理学的に許容できる担体または希釈剤と、第2の単位剤形中の薬理学的有効量の少なくとも1種の抗精神病薬および薬理学的に許容できる担体もしくは希釈剤と、前記第1および第2の剤形を収容するための容器手段とを含むキット。
  63. 前記被験者がヒトである、請求項62に記載のキット。
  64. 前記テトラサイクリンが、ミノサイクリン、テトラサイクリン、オーレオマイシン、テラマイシン、デメチルクロルテトラサイクリン、ロリテトラサイクリン、メタサイクリン、ドキシサイクリン、およびチゲサイクリンからなる群から選択される、請求項62に記載のキット。
  65. 前記抗精神病薬が定型抗精神病薬である、請求項62に記載のキット。
  66. 前記抗精神病薬が非定型抗精神病薬である、請求項62に記載のキット。
  67. 前記定型抗精神病薬が、ハロペリドール、クロルプロマジン、クロルプロチキセン、フルフェナジン、ロキサピン、メソリダジン、ペルフェナジン、ピモジド、チオリダジン、チオチキセン、トリフロペラジン、およびトリフルプロマジンからなる群から選択される、請求項65に記載のキット。
  68. 前記非定型抗精神病薬が、オランザピン、リスペリドン、クロザピン、クエチアピン、パリペリドン、ジプラシドン、およびアリピプラゾールからなる群から選択される、請求項66に記載のキット。
  69. 前記テトラサイクリンがミノサイクリンである、請求項64に記載のキット。
  70. 前記第1の単位剤形および前記第2の単位剤形が1つの容器に収容されている、請求項62に記載のキット。
  71. 前記単位剤形および前記第2の単位剤形が別々の容器に収容されている、請求項62に記載のキット。
  72. 前記障害が、統合失調症、双極性障害、気分障害、外傷後障害、摂食障害、強迫性障害、化学物質関連障害、身体表現性障害、および人格障害における微小精神病性エピソードからなる群から選択される、請求項62に記載のキット。
  73. 前記障害が統合失調症である、請求項72に記載のキット。
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