JP2010506842A - 半減期が短縮された分子、その組成物および使用 - Google Patents

半減期が短縮された分子、その組成物および使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、免疫グロブリン分子のFc領域の少なくともFcRn結合性部分を含み、かつ、野生型免疫グロブリン分子と比較して改変されたアミノ酸配列を有するポリペプチドを提供する。このポリペプチドは、短縮されたin vivo血清中半減期を有し、様々な方法に用いることができる。
【選択図】 なし

Description

1.発明の分野
本発明は、血清中半減期が短縮された免疫グロブリンポリペプチドに関する。この免疫グロブリンポリペプチドは、FcRnに結合し、かつ、対応する野生型免疫グロブリンと比較して、少なくとも1つのアミノ酸置換を含むように改変された免疫グロブリンの一部を含む。
2.発明の背景
本発明は、FcRnに結合し、かつ、野生型免疫グロブリン定常ドメインと比較して、1つ以上のアミノ酸改変を含む免疫グロブリン定常部の少なくとも一部を含む、ポリペプチドを包含する。上記少なくとも1つのアミノ酸改変によって、FcRnに対する、免疫グロブリン定常ドメインまたはそのフラグメントのアフィニティーが低減し、かつ、該ポリペプチドの血清中半減期が短縮される。このようなポリペプチドは、特に、例えば、疾患または障害の治療、予防、診断、および予後判定に用途を有する。
3.発明の概要
本発明の一実施形態は、免疫グロブリン分子のFc領域の少なくとも1つのFcRn結合性部分を含むポリペプチドである。このポリペプチドは、野生型免疫グロブリン分子と比較して、少なくとも1つのアミノ酸改変を含む。
本発明の別の実施形態は、疾患または障害の診断、予後判定、モニター、もしくは治療方法である。この方法は、免疫グロブリン分子のFc領域の少なくとも1つのFcRn結合性部分を含み、かつ、野生型免疫グロブリン分子と比較して、少なくとも1個のアミノ酸改変を含むポリペプチドを投与するステップを含む。
4.図面の簡単な説明
本特許または出願ファイルには、カラーで作成した少なくとも1枚の図面が含まれる。カラー図面を含む本特許または特許出願公報のコピーは、要求および必要な手数料の支払い後に、特許庁から提供される。
アミノ酸置換の位置を示すMEDI-524定常領域アミノ酸配列(配列番号1)。アミノ酸は、定常領域においてL251、M252、S254、R255、T256、V308、L309、Q311、D312、G385、Q386、P387、N389、H433、N434、およびY436の各位置(グレーで示し、かつ下線を引いた)で置換された。 pH 6.0での固定化ヒトFcRnに対する脱最適化(deoptimazed)Fc突然変異体の結合比較。これは、選択突然変異体および繰返しwt(MEDI-524)注入を示す典型的なセンサーグラムである。 pH 6.0での脱最適化Fc突然変異体のヒトFcRn結合。突然変異体を固定化ヒトFcRn上に流しながら、RUを各突然変異体について測定した。 pH 7.4でのヒトFcRn表面に対するG385P、P387V、N389G、N389S、およびG385S+Q386Iの結合。比較のためにpH 6での野生型(MEDI-524)の結合を示す。 pH 7.4でのヒトFcRn表面に対するN434L、Y436T、L251S、M252T、およびM252Sの結合。比較のためにpH 6での野生型(MEDI-524)の結合を示す。 pH 7.4でのヒトFcRn表面に対するS254W、S254R、R255V、T256Lの結合。比較のためにpH 6での野生型(MEDI-524)の結合を示す。 pH 7.4でのヒトFcRn表面に対するL309W、L309N、Q311G、D312G、およびD312Iの結合。比較のためにpH 6での野生型(MEDI-524)の結合を示す。 pH 7.4でのヒトFcRn表面に対するL309F+Q311L、L309E+Q311V、L309R+Q311W、G385W、T256Wの結合。比較のためにpH 6での野生型(MEDI-524)の結合を示す。 pH 7.4でのヒトFcRn表面に対するL309W、Q386V、Q386L、P387G、H433Lの結合。比較のためにpH 6での野生型(MEDI-524)の結合を示す。 pH 7.4でのヒトFcRn表面に対するY436I、R255T、T256H、N434S+Y436S、M252W、およびN434Gの結合。比較のためにpH 6での野生型(MEDI-524)の結合を示す。 pH 6.0でのMEDI-524(wt)表面に対する、様々な濃度のヒトFcRnの結合。 pH 6.0および7.4でのMEDI-524(wt)表面に対する、ヒトFcRnおよびオボアルブミンの結合。 pH 6.0での突然変異体G385S+Q386I表面に対する、様々な濃度のヒトFcRnの結合。 pH 6.0および7.4での突然変異体G385S+Q386I表面に対する、ヒトFcRnおよびオボアルブミンの結合。 pH 6.0での突然変異体L309N表面に対する、様々な濃度のヒトFcRnの結合。 pH 6.0および7.4での突然変異体L309N表面に対する、ヒトFcRnおよびオボアルブミンの結合。 pH 6.0および7.4での突然変異体L251S表面に対する、ヒトFcRnおよびオボアルブミンの結合。 pH 6.0および7.4での突然変異体N434L表面に対する、ヒトFcRnおよびオボアルブミンの結合。 pH 6.0および7.4での突然変異体M252T表面に対する、ヒトFcRnおよびオボアルブミンの結合。 pH 6.0および7.4での突然変異体S254W表面に対する、ヒトFcRnおよびオボアルブミンの結合。 pH 6.0および7.4での突然変異体S254R表面に対する、ヒトFcRnおよびオボアルブミンの結合。 酸性pHでのヒトFcRnに対する突然変異体N434L(四角)、G385S + Q386I(三角)、およびM252T(ひし形)の結合についてのELISAデータ。全ての突然変異体が、Numax(MEDI-524)(丸)と比較して、低い結合を示している。 酸性pHでのヒトFcRnに対する突然変異体S254W(四角)、S254R(三角)およびL309N(ひし形)の結合についてのELISAデータ。全ての突然変異体が、Numax(MEDI-524)(丸)と比較して、低い結合を示している。
5.詳細な説明
5.1.定義
本明細書で用いる用語「IgG Fc領域」とは、IgG分子のパパイン消化によって得られる結晶化可能フラグメントに関連するIgG分子の部分を意味する。Fc領域は、ジスルフィド結合により結合したIgG分子の2本の重鎖のC末端半分から構成される。この領域には、抗原結合活性はないが、炭水化物部分と、補体およびFc受容体(FcRn受容体など)に対する結合部位が含まれる。Fcフラグメントは、パパイン切断部位(これはKabat(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版、1991 NIH Pub. No. 91-3242参照)などのEUインデックスに従えば、約216位である)でヒンジ領域のN-末端を開始し、ヒンジ、CH2、およびCH3ドメインを含む、抗体の重鎖定常領域の部分である。
本明細書で用いる用語「IgGヒンジ-Fc領域」または「ヒンジ-Fcフラグメント」とは、Fc領域(残基231〜446)と、Fc領域のN-末端から延びるヒンジ領域(残基216〜230)とから構成されるIgG分子の領域を意味する。
「CH2ドメイン」は、例えば約EU231〜340位に及ぶ重鎖分子の部分を包含する。CH2ドメインは、もう1つのドメインと密接にペア形成していない点で固有である。正確には、2本のN結合型分枝炭水化物鎖が、インタクトなナイーブIgG分子の2つのCH2ドメインに挟まれて位置している。
「CH3ドメイン」は、CH2ドメインのC-末端から(例えば、EU番号付けシステムで、約残基341〜446から)約110残基延びる重鎖分子の部分を包含する。CH3ドメインは、一般に、抗体のC-末端部分を形成する。しかし、免疫グロブリンの中には、追加のドメインがCH3ドメインから延びて、この分子のC-末端部分を形成するものもある(例えば、IgMのμ鎖およびIgEのε鎖におけるCH4ドメイン)。
用語「定常ドメイン」とは、抗原結合部位を含む免疫グロブリンの他の部分、すなわち、可変ドメインと比較して、より保存されたアミノ酸配列を有する免疫グロブリン分子の部分を意味する。定常ドメインは、重鎖のCH1、CH2およびCH3ドメイン、および軽鎖のCHLドメインを含む。
「融合タンパク質」とは、本来は天然には結合していない第2のポリペプチドに結合した第1のポリペプチドを含むキメラポリペプチドを意味する。例えば、融合タンパク質は、Fc領域の少なくとも1部分(例えば、FcRとの結合をもたらすFc領域の部分)をコードするアミノ酸配列と、非免疫グロブリンポリペプチド、例えば、受容体のリガンド結合性ドメインまたはリガンドの受容体結合性ドメイン、をコードするアミノ酸配列とを含んでいてもよい。上記アミノ酸配列は、通常、別々のタンパク質に存在するものを一緒にして、融合ポリペプチドにしてもよいし、通常、同じタンパク質に存在するものを、融合ポリペプチ中に新たな構成で配置してもよい。融合タンパク質は、例えば、化学合成により、または上記ペプチド領域が所望の関係にコードされたポリヌクレオチドを創製および翻訳することにより、作製してもよい。
「結合した」、「融合した」または「融合」は、交換可能に用いられる。これらの用語は、化学的コンジュゲーションまたは組換え手段などの任意の手段により、2つ以上の要素または成分を共に結合することを意味する。「フレーム内融合」または「機能的に結合した」とは、2つ以上のオープンリーディングフレーム(ORF)の結合により、本来のORFの正確なリーディングフレームを維持する様式で、より長い連続したORFを形成することを意味する。従って、これにより得られる組換え融合タンパク質は、本来のORFによりコードされたポリペプチドに対応する2つ以上のセグメント(通常、これらのセグメントは、天然ではそのように結合されていない)を含む単一のタンパク質である。このように、リーディングフレームは、融合セグメント全体を通じて連続的に作製されるが、例えば、フレーム内リンカー配列により物理的または空間的にこれらのセグメントを隔ててもよい。
本明細書で用いる用語「FcRn受容体」または「FcRn」は、ヒトもしくは霊長類の胎盤、または卵黄嚢(ウサギ)を通した胎児への、および小腸を介した初乳から新生児への、母性IgGの伝達に関与することがわかっているFc受容体(「n」は新生児を示す)を意味する。また、FcRnはIgG分子に結合して、これらを血清中に再循環させることにより、一定の血清IgGレベルの維持に関与することもわかっている。IgG分子に対するFcRnの結合は、厳密にpH依存的であり、最適な結合はpH6.0で起こる。FcRnは、分子量がそれぞれ約50 kDおよび15 kDである2つのポリペプチドのヘテロ二量体を含む。50 kDポリペプチドの細胞外ドメインは、主要組織適合性複合体(MHC)クラスIα-鎖に関連し、また、15 kDポリペプチドは、非多型β2-ミクログロブリン(β2-ミクログロブリン)であることが示された。胎盤および新生児の腸以外に、FcRnは、生物種間の様々な組織で、ならびに様々な種類の内皮細胞系統で発現される。また、ヒト成人血管内皮、筋肉血管および肝シヌソイドでも発現され、これはヒトおよびマウスにおける血清IgGレベルの維持に内皮細胞が最も関与している可能性を示唆している。
本明細書で用いる用語「in vivo半減期」とは、特定のタイプIgG分子またはFcRn結合性部位を含むそのフラグメントの所与の動物の循環における生物学的半減期を意味し、この動物に投与された量の半分が、該動物における循環および/または他の組織から清浄されるのに要する時間によって表される。所与のIgGのクリアランス曲線を時間の関数として構築すると、この曲線は、通常、血管内空間と血管外空間の間での注入IgG分子の平衡を表しかつ一部には分子のサイズによって決定される、急なα相と、血管内空間におけるIgG分子の異化を表す、より長いβ相とを有する二相性である。用語「in vivo半減期」は、β相におけるIgG分子の半減期に実質的に一致する。
IgG分子のFc領域の少なくとも1つのFcRn結合性部分を含む「単離された」または「精製された」ポリペプチドは、タンパク質の由来となる細胞もしくは組織ソースからの細胞材料または他の汚染タンパク質を実質的に含まないか、または、化学的に合成される場合には、化学前駆体もしくはその他の化学物質を実質的に含まない。「細胞材料を実質的に含まない」という表現は、ポリペプチドの単離、または組換えによる作製に用いた細胞の細胞成分から該ポリペプチドが分離されている、ポリペプチドの調製物を包含する。従って、細胞材料を実質的に含まないポリペプチドは、約30%、20%、10%、または5%(乾燥重量)未満の汚染タンパク質を含む抗体、抗体フラグメント、または抗体もしくは抗体フラグメント融合タンパク質の調製物を包含する。ポリペプチドを組換えにより作製する場合には、培養培地を実質的に含まない、すなわち、培養培地がタンパク質調製物の容量の約20%、10%、もしくは5%未満である、ことが好ましい。ポリペプチドを化学合成により作製する場合には、化学前駆体もしくはその他の化学物質を実質的に含まない、すなわち、タンパク質の合成に関与する化学前駆体もしくはその他の化学物質から分離されている、ことが好ましい。従って、このようなポリペプチドの調製物は、目的のポリペプチド以外の化学前駆体または化合物を、約30%、20%、10%、または5%(乾燥重量)未満で含んでいる。本発明が包含するポリペプチドは、単離または精製されたものでよい。
「単離された」核酸分子は、核酸分子の天然供給源に存在する他の核酸分子から分離されたものである。さらに、cDNA分子のような「単離された」核酸分子は、組換え技術により作製された場合には、他の細胞材料、または培地を実質的に含まないか、または、化学的に合成された場合には、化学前駆体もしくはその他の化学物質を実質的に含まないものでよい。「単離された」核酸分子は、cDNAライブラリー内のcDNA分子を含まない。抗体をコードする核酸分子は、単離または精製されたものでよい。融合タンパク質をコードする核酸分子は、単離または精製されたものでよい。
本明細書で用いる用語「宿主細胞」は、核酸分子でトランスフェクトされた、またはファージミドもしくはバクテリオファージに感染した特定の被験細胞、ならびにそのような細胞の子孫または潜在的子孫を意味する。このような細胞の子孫は、後代で起こりうる突然変異または環境の影響、または宿主細胞ゲノムへの核酸分子の組込みのために、核酸分子でトランスフェクトした親細胞と同じではないこともある。
本明細書に記載するアミノ酸の名称は、3文字または1文字記号のいずれかで略記する。
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性(%)を決定するために、最適な比較を目的として配列をアラインメントする(例えば、第2のアミノ酸配列または核酸配列との最適なアラインメントのために、第1のアミノ酸配列または核酸配列の配列中にギャップを導入することができる)。次に、対応するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置のアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列における位置が、第2の配列でのこれに対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占められていれば、その位置で両分子は同一である。2つの配列間の同一性(%)は、両配列が共有する同一位置の数の関数である(すなわち、同一性(%)=同一の重複位置の数/位置の総数×100%)。一実施形態では、2つの配列は同じ長さである。
また、2つの配列同士の同一性は、数学的アルゴリズムを用いて決定することもできる。2つの配列の比較に用いられる数学的アルゴリズムの好ましい非制限的例は、Karlin およびAltschulのアルゴリズム(1990, Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、87:2264-2268)であり、KarlinおよびAltschul(1993, Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、90:5873-5877)に記載のように改変されている。このようなアルゴリズムは、Altschulら(1990, J. Mol. Biol. 215:403)のNBLASTおよびXBLASTプログラムに組み込まれている。BLASTヌクレオチド探索は、本発明の核酸分子に相同的なヌクレオチド配列が得られるようなNBLASTヌクレオチドプログラムパラメーターセット(例えば、スコア=100、ワード長=12)を用いて実施することができる。BLASTタンパク質探索は、本発明のタンパク質分子に相同的なアミノ酸配列が得られるようなXBLASTプログラムパラメーターセット(例えば、スコア=50、ワード長=3)を用いて実施することができる。比較を目的とするギャップ導入アラインメントを取得するためには、Altschulら、1997, Nucleic Acids Res. 25:3389-3402に記載のように、Gapped BLASTを用いることができる。あるいは、PSI-BLASTを用いて、分子間の距離関係を検出する繰返し探索を実施することもできる(同上)。BLAST、Gapped BLAST、およびPSI-Blastプログラムを用いる場合には、それぞれのプログラムのデフォルトパラメーター(例えば、XBLASTおよびNBLASTの)を用いることができる(例えば、http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照)。配列の比較に用いられる数学的アルゴリズムの別の好ましい非制限的例は、MyersおよびMillerのアルゴリズム(1988, CABIOS 4:11-17)である。このようなアルゴリズムは、GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを用いる場合には、PAM120重み付け残基表、ギャップ長ペナルティー12、およびギャップペナルティー4を用いることができる。
ギャップを許容または許容しない、前述のものと類似の技術を用いて、2つの配列間の同一性(%)を決定することができる。同一性(%)を計算する際、典型的には、正確な対合のみを計数する。
5.2 in vivo半減期が短縮されたポリペプチド
本発明は、in vivo半減期が短縮されたポリペプチドを包含する。このポリペプチドは、免疫グロブリンG(IgG)分子のFc領域の少なくとも1つのFcRn結合性部分を含み、かつ、野生型IgG分子と比較して、少なくともアミノ酸残基置換をさらに含む。上記ポリペプチドは、IgG抗体、IgG抗体の定常ドメイン、IgG抗体定常ドメインの1部分、例えば、Kabat(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版、1991 NIH Pub. No.91-3242)のようなEU番号付けシステムに従って、約アミノ酸残基216〜446、もしくは約アミノ酸残基231〜446でもよいし、または、FcRnに結合することができるIgG分子の他の任意のフラグメントであってもよい。これらの分子を用いて、疾患または障害を診断、モニター、または予後判定することができる。イメージング処置のための検出可能な部分に上記分子をコンジュゲートさせれば、より短い血清中半減期は、この処置から得られたイメージのいずれの質も改善することができる。加えて、これらの分子を使用すれば、イメージング処置を受ける個体のポリペプチドおよび検出可能な部分への暴露が低減される。これらの分子はまた、最適な毒性プロフィール未満の治療薬の血清中半減期を短縮するのに望ましいと考えられる。さらに、これらの分子は、妊娠中の治療、または分子の生体分布を改変する上で好ましいかもしれない。血清中半減期が短縮されたポリペプチドは、腎臓または肝臓に優先的に分布しうる。
前記ポリペプチドは、FcRnと相互作用し、かつ、対応するIgG定常ドメインまたはその部分と比較して、FcRnに対するアフィニティーが低減するように改変されたIgG定常ドメインを含む。1以上のアミノ酸改変を残基251、252、254、255、309、312、386、434、または385と386の組合せ、のうちの1以上において実施することができる。一実施形態では、ヒトIgG定常ドメイン、またはそのFcRn結合性ドメインにおいてアミノ酸改変を実施する。
アミノ酸改変は、IgG定常ドメイン、またはそのFcRn結合性フラグメント(例えば、Fcもしくはヒンジ-Fcドメイン)、およびこれに結合する任意の分子のin vivo半減期を短縮し、かつ、FcRnに対するIgG、またはそのフラグメントのアフィニティーを低減する、改変のいずれであってもよく、残基251、252、254、255、309、312、386、434、または385と386の組合せ、のうちの1以上での改変が含まれる。他の実施形態では、このような改変によって、上記分子の生物学的利用能を変更(すなわち、増加または減少)するか、または粘膜表面(例えば、肺の)または標的組織の別の部分への上記分子の輸送(または濃度もしくは半減期)を変更(すなわち、増加または減少)することができる。アミノ酸改変によって、さらに、肺への前記分子の輸送または濃度もしくは半減期を変更することもできる。他の実施形態では、アミノ酸改変により、前記分子が、例えばその毒性のために、必要とされない、心臓、膵臓、肝臓、腎臓、膀胱、胃、大腸もしくは小腸、気道、リンパ節、神経組織(中枢および/または末梢神経組織)、筋肉、表皮、骨、軟骨、関節、血管、骨髄、前立腺、卵巣、子宮、腫瘍または癌組織などへの前記分子の輸送(または濃度もしくは半減期)を変更することも可能である。別の実施形態では、このような改変により、心臓、膵臓、肝臓、腎臓、膀胱、胃、大腸もしくは小腸、気道、リンパ節、神経組織(中枢および/または末梢神経組織)、筋肉、表皮、骨、軟骨、関節、血管、骨髄、前立腺、卵巣、子宮、腫瘍または癌組織などに対する前記分子の生物学的利用能を低減する。別の実施形態では、アミノ酸修飾によって、定常ドメインの他の免疫エフェクターまたは受容体結合性機能、例えば、限定するものではないが、当分野で周知かつ慣用の方法により測定することができる補体結合、ADCC、ならびにFcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIとの結合、を破壊しない、または変更しない。別の実施形態では、定常ドメインの改変FcRn結合性フラグメントは、免疫エフェクター機能または他の受容体結合を媒介する配列を含まない。さらに別の実施形態では、上記エフェクター機能は、選択的に(例えば、エフェクター機能を低減または増加するように)変更される。
いくつかの実施形態では、アミノ酸改変は、残基251、または残基252、または残基254、または残基255、または残基309、または残基312、または残基386、または残基434、または残基385と386の両方、のうちの1以上での置換である。アミノ酸残基251を置換してセリンに、アミノ酸残基252を置換してトレオニンに、アミノ酸残基254を置換してトリプトファンまたはアルギニンに、アミノ酸残基255を置換してバリンに、アミノ酸残基309を置換してアルギニンに、アミノ酸残基312を置換してイソロイシンに、アミノ酸残基386を置換してロイシンに、アミノ酸残基434を置換してロイシンに、そしてアミノ酸残基385および386を置換して、それぞれセリンおよびイソロイシンに、することができる。
別の実施形態では、アミノ酸改変は、残基251、252、254、255、309、312、385、386、および434の全てで行なう。アミノ酸残基251を置換してセリンに、アミノ酸残基252を置換してトレオニンに、アミノ酸残基254を置換してトリプトファンまたはアルギニンに、アミノ酸残基255を置換してバリンに、アミノ酸残基309を置換してアルギニンに、アミノ酸残基312を置換してイソロイシンに、アミノ酸残基434を置換してロイシンに、アミノ酸残基386を置換してロイシンにすることができる。さらに別のアミノ酸残基の置換をアミノ酸残基385で実施して、例えばセリンにすることもできる。
また別の実施形態では、本発明の分子は、残基251、または残基252、または残基254、または残基255、または残基309、または残基312、または残基386、または残基434、または残基385と386の両方、のうちの1以上での置換を有する、Fc領域、またはそのFcRn結合性ドメインを含む。アミノ酸残基251を置換してセリンに、アミノ酸残基252を置換してトレオニンに、アミノ酸残基254を置換してトリプトファンまたはアルギニンに、アミノ酸残基255を置換してバリンに、アミノ酸残基309を置換してアルギニンに、アミノ酸残基312を置換してイソロイシンに、アミノ酸残基386を置換してロイシンに、アミノ酸残基434を置換してロイシンに、アミノ酸残基385および386を置換してそれぞれセリンおよびイソロイシンに、することができる。FcRn結合性ドメインは、残基251、252、254、255、309、312、434、385、または386の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、もしくは9つ全部にアミノ酸置換を有していてもよい。
アミノ酸改変は、当分野で公知のあらゆる方法により実施することができ、多くのそのような方法が当業者には周知かつ慣用である。例えば、しかし限定するものではないが、あらゆる周知のPCRに基づく技術を用いて、アミノ酸置換、欠失および挿入を達成することができる。部位特異的突然変異誘発(例えば、ZollerおよびSmith, Nucl. Acids Res. 10:6487-6500, 1982;Kunkel, Proc. Natl. Acad. Sci USA 82:488, 1985参照;これらの文献は、参照としてその全文を本明細書に組み込む)により、アミノ酸置換を実施してもよい。周知かつ慣用であるアッセイを用いて、FcRnに対するアフィニティーの低減およびin vivo半減期の短縮をもたらす突然変異体を容易にスクリーニングすることができる。例として、IgG定常ドメインまたはそのFcRn結合性フラグメントにおける1以上の残基にアミノ酸置換を導入することができ、突然変異型の定常ドメインまたはフラグメントをバクテリオファージの表面に発現させた後、これらをFcRn結合アフィニティーの低減に関してスクリーニングする。
改変しようとするアミノ酸残基は、表面が露出した残基でもよい。アミノ酸置換を施すのに際し、置換しようとするアミノ酸残基は、保存的アミノ酸置換であってもそうでなくてもよく、例えば、極性残基を極性残基で、親水性残基を親水性残基で、疎水性残基を疎水性残基で、陽性荷電残基を陽性荷電残基で、または陰性荷電残基を陰性荷電残基で、置換する。
一実施形態では、本発明は、非改変分子と比較して、in vivo半減期およびFcRnに対するアフィニティーが低減した(ならびに、いくつかの実施形態では、生物学的利用能が改変された、例えば、粘膜表面もしくは他の標的組織への移行が増大または低減した)改変型免疫グロブリン分子(例えば、様々な抗体)を提供する。このような免疫グロブリン分子として、FcRn結合性ドメインを天然に含むIgG分子、ならびにFcRn結合性フラグメントを含むように操作された他の非IgG免疫グロブリン(例えば、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)または免疫グロブリンの断片(すなわち、非IgG免疫グロブリンまたはその一部分とFcRn結合性ドメインとを含む融合タンパク質)などが挙げられる。いずれの場合にも、上記FcRn結合性ドメインは、FcRnに対する定常ドメインフラグメントのアフィニティーを低減する1以上のアミノ酸改変を有する。
これらの改変型免疫グロブリンには、抗原に結合し(好ましくは、免疫特異的に、すなわち、競合して非特異的結合を排除する)(特異的抗原−抗体結合をアッセイするための当分野で周知のイムノアッセイにより判定される)、かつ、FcRn結合性フラグメントを含む免疫グロブリン分子のいずれかが含まれる。このような抗体としては、限定するものではないが、ポリクローナル、モノクローナル、二重特異性、多重特異性、ヒト、ヒト化、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント、F(ab')2フラグメント、ジスルフィド結合型Fvs、ならびにVLもしくはVHドメインのいずれかを含むフラグメント、または、抗原に特異的に結合する、またいくつかの場合では、FcRn結合性ドメインを含むように操作した、もしくはこれに融合させた、相補性決定領域(CDR)をさらに含むフラグメントなどが挙げられる。
本発明のIgG分子、およびそのFcRn結合性フラグメントは、IgGのIgG1サブクラスでよいが、所与の動物の他のIgGサブクラスのいずれでもよい。例えば、ヒトの場合、IgGクラスとして、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4などが挙げられ、マウスIgGとしては、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG2cおよびIgG3などが挙げられる。特定のIgGサブクラス、例えば、マウスIgG2bおよびIgG2cは、例えば、IgG1より高いクリアランス速度を有する(Medesan ら、Eur. J. Immunol., 28:2092-2100, 1998)。従って、IgGサブクラスIgG1を用いる場合、特に、CH2およびCH3ドメインにおいて、1個以上のIgG1残基を他のIgGサブタイプの残基で置換することにより、IgG1のin vivo半減期を短縮するのが有利でであると考えられる。
FcRnに結合する免疫グロブリン、およびその部分は、鳥類および哺乳動物などのあらゆる動物に由来するものでよい。免疫グロブリンは、ヒト、げっ歯動物(例えば、マウスおよびラット)、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、またはニワトリ由来のものでよい。本明細書で用いる「ヒト」免疫グロブリンは、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を包含し、このようなものとして、以下、例えば、Kucherlapatiらによる米国特許第5,939,598号に記載されるような、ヒト免疫グロブリンライブラリーから単離した抗体、または1以上のヒト免疫グロブリンについて形質転換し、内因性免疫グロブリンを発現しない動物から単離した抗体などが挙げられる。
前記ポリペプチドが抗体である場合には、この抗体は、単一特異性、二重特異性、三重特異性またはそれ以上の多重特異性であってもよい。多重特異性抗体は、ポリペプチドの様々なエピトープに特異的であっても、異種エピトープ(例えば、異種ポリペプチドまたは固体支持材料)に特異的であってもよい。例えば、PCT公開WO 93/17715、WO 92/08802;WO 91/00360;WO 92/05793;Tuttら、J. Immunol., 147:60-69, 1991;米国特許第4,474,893号;第4,714,681号;第4,925,648号;第5,573,920号;第5,601,819号;Kostelnyら、J. Immunol., 148:1547-1553, 1992を参照されたい。
抗体には、別のやり方で改変された、すなわち、共有結合が該抗体が抗原と結合することおよび/または抗イディオタイプ応答を発生することを妨げないように、該抗体に任意のタイプの分子を共有結合させることによって、改変された抗体誘導体も含まれる。例えば、しかし限定するものではないが、上記抗体誘導体は、例えば、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、周知の保護基/遮断基による誘導体化、タンパク質分解切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質との結合などにより、改変された抗体を包含する。多数の化学的改変のいずれかを公知の技術により実施してもよく、このようなものとして、限定するものではないが、特異的化学切断、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などが挙げられる。さらに、前記誘導体は、1個以上の非古典的アミノ酸を含んでいてもよい。
モノクローナル抗体は、当分野で公知の広範な技術を用いて作製することができ、このような技術として、ハイブリドーマ、組換え、およびファージ展示技術、もしくはその組合せなどが挙げられる。例えば、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術を用いて作製することができ、このような技術として、当分野で公知のもの、ならびに、例えば、Harlowら、Antibodies: A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory Press, 第2版、1988);Hammerlingら、 Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas, pp. 563-681(Elsevier, N.Y., 1981)(いずれも参照によりその全体を本明細書に組入れる)に教示されているものなどがある。本明細書で用いる用語「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ技術により生産された抗体に限定されるわけではない。用語「モノクローナル抗体」は、あらゆる真核生物、原核生物などの単一クローン、またはファージクローンに由来する抗体を指すのであって、その生産に用いる方法を指すのではない。
ハイブリドーマ技術を用いて、特定の抗体を生産し、スクリーニングする方法は、慣用であり、当分野において周知である。非制限的例では、目的とする抗原で、またはそのような抗原を発現する細胞でマウスを免疫することができる。免疫応答が検出された時点、例えば、その抗原に特異的な抗体がマウス血清に検出された時点で、マウスの脾臓を採取し、脾細胞を単離する。次に、周知の技術により脾細胞を任意の好適な骨髄細胞と融合させる。ハイブリドーマを選択し、限界希釈法によりクローニングする。次に、前記抗原に結合することができる抗体を分泌する細胞に関して、当分野で周知の方法により、ハイブリドーマクローンをアッセイする。陽性ハイブリドーマクローンをマウスに腹腔内接種することにより、一般に高レベルの抗体を含む腹水を産生させることができる。
特定のエピトープを認識する抗体フラグメントを公知の技術により生産することができる。例えば、FabおよびFab(ab')2フラグメントは、パパイン(Fabフラグメントを生産する)またはペプシン(Fab(ab')2フラグメントを生産する)のような酵素を用いて、免疫グロブリン分子のタンパク質分解切断により生産することができる。Fab(ab')2フラグメントは、完全な軽鎖、ならびに、重鎖の可変領域、CH1領域およびヒンジ領域を含む。
例えば、当分野で公知の様々なファージディスプレイ法を用いて抗体を生産することもできる。ファージディスプレイ法では、機能的抗体ドメインが、それらをコードするポリヌクレオチド配列を保持するファージ粒子の表面に提示される。特定の実施形態では、このようなファージを用いて、レパートリーまたはコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えば、ヒトまたはマウスの)から発現された、抗原結合性ドメイン(例えば、FabおよびFvまたはジスルフィド結合安定化Fvなど)を提示することができる。抗原、例えば、標識化抗原、または固体表面またはビーズに結合もしくは捕捉された抗原を用いて、目的の抗原に結合する抗原結合性ドメインを発現するファージを選択または識別することができる。これらの方法に用いるファージは、典型的には、繊維状ファージであり、fdおよびM13などを含む。抗原結合性ドメインは、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIタンパク質のいずれかに組換え融合したタンパク質として発現される。あるいはまた、本発明の免疫グロブリンの改変型FcRn結合性部分をファージディスプレイシステムで発現させることもできる。本発明の免疫グロブリンまたはそのフラグメントを作製するのに用いることができるファージディスプレイ法の例として、以下の文献に開示されているものが挙げられる:Brinkmanら、J. Immunol. Methods, 182:41-50, 1995;Amesら、J. Immunol. Methods, 184:177-186, 1995;Kettleboroughら、Eur. J. Immunol., 24:952-958, 1994;Persicら、Gene, 187:9-18, 1997;Burtonら、Advances in Immunology, 57:191-280, 1994;PCT出願番号PCT/GB91/01134;PCT公開WO 90/02809;WO 91/10737;WO 92/01047;WO 92/18619;WO 93/11236;WO 95/15982;WO 95/20401;および米国特許第5,698,426号;第5,223,409号;第5,403,484号;第5,580,717号;第5,427,908号;第5,750,753号;第5,821,047号;第5,571,698号;第5,427,908号;第5,516,637号;第5,780,225号;第5,658,727号;第5,733,743号および第5,969,108号;これら文献の各々は、参照としてその全文を本明細書に組み込むものとする。
上記参考文献に記載されているように、ファージ選択後、ファージから抗体コード領域を単離して、ヒト抗体などの全抗体、または他のあらゆる所望のフラグメントを生産するのに用いたり、例えば、以下に詳しく説明するように、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母および細菌など、いずれか所望の宿主に発現させたりすることができる。例えば、組換えによりFab、Fab'およびFab(ab')2フラグメントを生産する技術を、以下の文献に開示されているものなど、当分野で公知の方法を用いて利用することができる:PCT公開WO 92/22324;Mullinaxら、BioTechniques, 12(6):864-869, 1992;およびSawaiらAJRI, 34:26-34, 1995;ならびにBetterら、Science, 240:1041-1043, 1988 (これら文献の各々は、参照としてその全文を本明細書に組み込む)。一本鎖Fvsおよび抗体を生産するのに用いることができる技術の例として、以下の文献に記載のものが挙げられる:米国特許第4,946,778号および第5,258,498号;Hustonら、Methods in Enzymology, 203:46-88, 1991;Shuら、PNAS, 90:7995-7999, 1993;ならびに、Skerraら、Science, 240:1038-1040, 1988。
ヒトにおける抗体のin vivoでの使用、およびin vitro検出アッセイを含むいくつかの用途では、キメラ、ヒト化、またはヒト抗体を用いるのが好ましい場合もある。キメラ抗体は、抗体の様々な部分が、様々な動物種に由来する分子であり、例えば、マウスモノクローナル抗体由来の可変領域と、ヒト免疫グロブリン由来の定常領域とを含む抗体などがある。キメラ抗体を生産するための方法は、当分野では公知である。例えば、Morrison, Science, 229:1202, 1985;Oiら、BioTechniques, 4:214 1986;Gilliesら、J. Immunol. Methods, 125:191-202, 1989;米国特許第5,807,715号;第4,816,567号;および第4,816,397号(これらの文献は、参照としてその全文を本明細書に組み込む)を参照されたい。ヒト化抗体は、所望の抗原に結合する、非ヒト種由来の抗体分子であり、非ヒト種由来の1以上の相補性決定領域(CDR)と、ヒト免疫グロブリン分子からのフレームワーク領域とを有する。ヒトフレームワーク領域中のフレームワーク残基は、抗原への結合を改変、好ましくは、改善するために、CDRドナー抗体由来の対応する残基で置換されることが多い。これらのフレームワーク置換は、当分野で周知の方法により識別され、例えば、CDRとフレームワーク残基の相互作用のモデリングにより、抗原結合に重要なフレームワーク残基を識別する方法や、配列の比較により、特定の位置での特異なフレームワーク残基を識別する方法により実施される。例えば、Queenら、米国特許第5,585,089号;Riechmannら、Nature, 332:323, 1988(これらの文献は、参照としてその全文を本明細書に組み込む)を参照されたい。抗体は、当分野で公知の様々な技術を用いてヒト化することができ、そのような技術として、例えば、CDRグラフティング(EP 239,400;PCT公開WO 91/09967;米国特許第5,225,539号;第5,530,101号および第5,585,089号)、ベニアリングまたはリサーフェシング(EP 592,106;EP 519,596;Padlan, Molecular Immunology, 28(4/5):489-498, 1991;Studnickaら、Protein Engineering, 7(6):805-814, 1994; Roguskaら、Proc Natl. Acad. Sci. USA, 91:969-973, 1994)、およびチェインシャフリング(米国特許第5,565,332号)などが挙げられる。尚、上記文献はすべて、参照としてその全文を本明細書に組み込むものとする
ヒト患者の治療処置のためには、完全なヒト抗体が望ましい。ヒト抗体は、当分野で公知の様々な方法により作製することができ、そのような方法として、ヒト免疫グロブリン配列から取得した抗体ライブラリーを用いる、前述のファージディスプレイ方法が挙げられる。米国特許第4,444,887号および第4,716,111号;ならびにPCT公開WO 98/46645;WO 98/50433;WO 98/24893;WO 98/16654;WO 96/34096;WO 96/33735;およびWO 91/10741(これら文献の各々は、参照としてその全文を本明細書に組み込む)を参照されたい。
ヒト抗体はまた、機能的内因性免疫グロブリンを発現することはできないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することはできるトランスジェニックマウスを用いて生産することもできる。ヒト抗体を生産するこの技術の概要については、LonbergおよびHuszar, Int. Rev. Immunol., 13:65-93, 1995を参照されたい。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を生産する上記技術、ならびにこのような抗体を生産するプロトコルに関する詳細な論述は、例えば、PCT公開WO 98/24893;WO 92/01047;WO 96/34096;WO 96/33735;欧州特許第0 598 877号;米国特許第5,413,923号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,569,825号;第5,661,016号;第5,545,806号;第5,814,318号;第5,885,793号;第5,916,771号;および第5,939,598号(これらの文献は、参照としてその全文を本明細書に組み込む)を参照されたい。加えて、Abgenix, Inc.(Freemont, Calif.)、Medarex(NJ)およびGenpharm(San Jose, Calif.)などの会社は、前記の技術に類似した技術を用いた選択した抗原に対するヒト抗体の提供を請け負うことができる。
選択したエピトープを認識する完全なヒト抗体は、「誘導選択(guided selection)」と呼ばれる技術を用いて、生産することができる。この手法では、選択した非ヒトモノクローナル抗体、例えば、マウス抗体を用いて、同じエピトープを認識する完全なヒト抗体の選択を誘導する(Jespersら、Bio/technology, 12:899-903, 1988)。
いくつかの実施形態では、前記改変型抗体は、in vivo治療および/または予防用途を有する。そのように改変することができる治療用および予防用抗体の例を以下に挙げるが、これらに限定されるわけではない:呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染の予防または治療のためのヒト化抗RSVモノクローナル抗体である、SYNAGIS(登録商標)(MedImmune、MD);これもRSV感染の予防および治療のためのヒト化抗RSVモノクローナル抗体である、NUMAX(商標)(MedImmune);転移性乳癌患者の治療のためのヒト化抗HER2モノクローナル抗体である、HERCEPTIN(商標)(Trastuzumab)(Genentech、CA);クローン病患者の治療のためのキメラ抗TNFαモノクローナル抗体である、REMICADE(商標)(infliximab)(Centocor、PA);血餅形成の防止のための血小板上のα-11b/β-3インテグリンを認識する抗糖タンパク質IIb/IIIa受容体F(ab)フラグメントである、REOPRO(商標)(abciximab)(Centocor);α-vインテグリンモノクローナル抗体である、CNTO95 (Centocor);急性腎同種移植片拒絶の防止のための免疫抑制性ヒト化抗CD25モノクローナル抗体である、ZENAPAX(商標)(daclizumab)(Roche Pharmaceuticals、Switzerland)。その他の例として、以下のものが挙げられる:ヒト化抗CD18 F(ab')2(Genentech);ヒト化抗CD18 F(ab')2であるCDP860(Celltech、UK);CD4と融合した抗HIV gp120抗体である、PRO542(Progenics/Genzyme Transgenics);ヒト抗B型肝炎ウイルス抗体である、Ostavir(Protein Design Lab/Novartis);ヒト化抗CMV IgG1抗体である、PROTOVIR(商標)(Protein Design Lab/Novartis);マウス抗TNF-α F(ab')2である、MAK-195(SEGARD)(Knoll Pharma/BASF);抗CD14抗体である、IC14(ICOS Pharm);ヒト化抗VEGF IgG1抗体(Genentech);マウス抗CA 125抗体である、OVAREX(商標)(Altarex);マウス抗17-IA細胞表面抗原IgG2a抗体である、PANOREX(商標)(Glaxo Wellcome/Centocor);マウス抗イディオタイプ(GD3エピトープ)IgG抗体であるBEC2 (ImClone System);キメラ抗EGFR IgG抗体である、IMC-C225(ImClone System);ヒト化抗αVβ3 インテグリン抗体である、VITAXIN(商標)(Applied Molecular Evolution/MedImmune);ヒト化抗CD52 IgG1抗体である、Campath 1H/LDP-03(Leukosite);ヒト化抗CD33 IgG抗体である、Smart M195(Protein Design Lab/Kanebo);キメラ抗CD20 IgG1抗体である、RITUXAN(商標)(IDEC Pharm/Genentech、Roche/Zettyaku);ヒト化抗CD22 IgG抗体である、LYMPHOCIDE(商標)(Immunomedics);ヒト化抗HLA抗体である、Smart ID10(Protein Design Lab);放射線標識したマウス抗HLA DIAGNOSTIC REAGENT抗体である、ONCOLYM(商標)(Lym-1)(Techniclone);ヒト抗IL8抗体である、ABX-IL8(Abgenix);7Fcom3-2H2(および米国特許出願公開番号2005-0002934に開示されるその他の抗体)およびMH9D1(および米国特許出願公開番号2003-0219439に開示されるその他の抗体)などの抗IL9モノクローナル抗体(MedImmune);米国特許出願公開番号2006/0039904に開示の抗EphA2モノクローナル抗体(MedImmune);米国特許出願番号2006/0059592に開示の抗EphA4モノクローナル抗体(MedImmune);米国特許出願公開番号2006/0099207および2006年8月10日付の米国出願番号60/822,044に開示の抗HMGB1モノクローナル抗体(MedImmune);WO 05/059106に開示のIFNαモノクローナル抗体、米国特許出願公開番号2006/0029601に開示のIFNARモノクローナル抗体(MedImmune);重篤な血流感染の予防のための抗ブドウ球菌モノクローナル抗体、例えば、BSYX-A110(Biosynexus、MD)など;ヒト化IgG1抗体である、抗CD11a(Genetech/Xoma);抗ICAM3抗体であるICM3(ICOS Pharm);霊長類化抗CD80抗体である、IDEC-114(IDEC Pharm/Mitsubishi);放射線標識マウス抗CD20抗体である、ZEVALIN(商標)(IDEC/Schering AG);ヒト化抗CD40L抗体である、IDEC-131(IDEC/Eisai);霊長類化抗CD4抗体である、IDEC-151(IDEC);霊長類化抗CD23抗体である、IDEC-152(IDEC/Seikagaku);ヒト化抗CD3 IgGである、SMART抗CD3(Protein Design Lab);ヒト化抗補体因子5(C5)抗体である、5G1.1(Alexion Pharm);ヒト化抗TNF-α抗体である、D2E7(CAT/BASF);ヒト化抗TNF-αFabフラグメントである、CDP870(Celltech);霊長類化抗CD4 IgG1抗体である、IDEC-151(IDEC Pharm/SmithKline Beecham);ヒト抗CD4 IgG 抗体である、MDX-CD4(Medarex/Eisai/Genmab);ヒト化抗TNF-αIgG4抗体である、CDP571(Celltech);ヒト化抗α4β7 抗体である、LDP-02(LeukoSite/Genentech);ヒト化抗CD4 IgG抗体である、OrthoClone OKT4A(Ortho Biotech);ヒト化抗CD40L IgG抗体である、ANTOVA(商標)(Biogen);ヒト化抗VLA-4 IgG抗体であるANTEGREN(商標)(Elan);ヒト抗CD64 (FcγR)抗体である、MDX-33(Medarex/Centeon);ヒト化抗IL-5 IgG4抗体である、SCH55700(Celltech/Schering);それぞれヒト化抗IL-5およびIL-4抗体である、SB-240563およびSB-240683(SmithKline Beecham);ヒト化抗IgE IgG1抗体である、rhuMab-E25(Genentech/Norvartis/Tan- ox Biosystems);霊長類化抗CD23抗体である、IDEC-152(IDEC Pharm);マウス抗CD-147 IgM抗体である、ABX-CBL(Abgenix);ラット抗CD2 IgG抗体である、BTI-322(Medimmune/Bio Transplant);マウス抗CD3 IgG2a抗体である、Orthoclone/OKT3(ortho Biotech);キメラ抗CD25 IgG1抗体である、SIMULECT(商標)(Novartis Pharm);ヒト化抗β2インテグリンIgG抗体である、LDP-01(LeukoSite);マウス抗CD18 F(ab’)2である抗LFA-1(Pasteur-Merieux/Immunotech);ヒト抗TGF-β2抗体である、CAT-152(Cambridge Ab Tech);ならびに、キメラ抗因子VII抗体であるCorsevin M(Centocor)。
別の実施形態では、遺伝子操作によって、抗体の抗原結合部位、Fc受容体結合部位、または補体結合部位で、上記抗体をさらに改変することにより、野生型と比較して、このような活性を増強または低減する。
本発明はまた、IgG分子のFc領域の少なくとも1つのFcRn結合性部分を含み、かつアミノ酸改変を含む、ポリペプチドも提供する。上記IgG分子のFc領域の部分は、EU番号付けに従って、IgG分子の約アミノ酸残基231〜446を含んでもよい。あるいは、上記IgG分子のFc領域の部分は、EU番号付けに従って、IgG分子の約アミノ酸残基216〜446を含んでもよい。前記IgG分子のFc領域の少なくとも1つのFcRn結合性部分を含むポリペプチドは、アミノ酸残基251、252、254、255、309、および/またはアミノ酸残基312に1以上のアミノ酸残基置換を有するCH2ドメイン、および/またはアミノ酸残基386および/または385、ならびに386および/または434に1以上の改変を有するCH3ドメインを含んでもよい。
IgG分子のFc領域の少なくとも1つのFcRn結合性部分を含むポリペプチドは、第2のポリペプチド分子と融合させてもよいし、毒性部分とコンジュゲートさせてもよい。第2のポリペプチド分子または毒性部分は、生物活性分子と呼ぶこともある。
生物活性分子は、当業者には公知のどのようなポリペプチドまたは合成薬剤でもよい。生物活性分子は、少なくとも5個、少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、もしくは少なくとも100個のアミノ酸残基からなるポリペプチドでよい。生物活性ポリペプチドの例として、限定するものではないが、様々なタイプの抗体、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IFN-γ、IFN-αおよびIFN-β)、細胞接着分子(例えば、CTLA4、CD2、およびCD38)、リガンド(例えば、TNF-α、TNF-β、およびエンドスタチンのような抗血管新生因子)、受容体、成長因子(例えば、PDGF、EGF、NGF、およびKGF)などが挙げられる。
生物活性分子は、腫瘍関連抗原、例えば、pan B抗原(例:CD20)、pan T細胞抗原(例:CD2、CD3、CD5、CD6、CD7)、MAGE-1、MAGE-3、MUC-1、HPV 16、HPV E6、HPV E7、TAG-72、CEA、α-ルイスy、L6-抗原、CD19、CD22、CD25、CD30、CD33、CD37、CD44、CD52、CD56、メゾテリン(mesothelin)、PSMA、HLA-DR、EGF受容体、VEGF受容体、およびHER2受容体に結合する分子であってもよい。
生物活性分子は、接着分子でもよい。接着分子は、細胞が別の細胞と互いに相互作用するのを可能にする膜結合タンパク質である。白血球ホーミング受容体や細胞接着分子、またはその受容体結合性部分など、様々な接着タンパク質を本発明の融合タンパク質に組み込むことができる。白血球ホーミング受容体は、炎症時に、白血球表面に発現され、細胞外マトリックス成分との結合を媒介するβ1インテグリン(例えば、VLA-1、2、3、4、5、および6)と、血管内皮上の細胞接着分子(CAM)に結合するβ2インテグリン(例えば、LF-1、LPAM-1、CR3、およびCR4)とを含む。CAMには、ICAM-1、ICAM-2、VCAM-1、MadCAM-1、E-セレクチン、およびP-セレクチンなどが含まれる。
生物活性分子はまた、細胞毒素(例えば、細胞増殖抑制剤または細胞破壊剤)のような治療部分、治療薬または放射性元素(例えば、α放射体、γ放射体など)であってもよい。細胞増殖抑制剤または細胞破壊剤の例として、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:パクリタキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、ならびにこれらの類似体もしくは相同体。治療薬としては、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:抗代謝剤(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロトスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、ミトマイシンC、およびシスジクロロジアミンプラチナ(II)(DDP)(シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、ならびに抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)。
本発明はまた、アフィニティーが低減した改変型FcRn結合性部位を含む本発明の改変型IgGまたはそのフラグメントをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、ならびに該ポリヌクレオチドを含むベクターも提供する。さらに、本発明は、ストリンジェントな、または、より低いストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で、本発明の改変型IgGをコードするポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドも包含する。
改変型IgGのヌクレオチド配列、およびこれをコードするポリヌクレオチドは、当業者には公知のあらゆる方法により取得することができ、そのような方法として、一般的なDNAシーケンシング法、例えば、ジデオキシチェインターミネーション法(サンガー配列決定法)、およびPCRと組み合わせたオリゴヌクレオチドプライミング法などがそれぞれ挙げられる。
5.3 免疫グロブリン分子のヒンジ-Fc領域内における突然変異の同定
当業者には公知のいずれかの技術を用いて、定常ドメインのアミノ酸残基251、252、254、255、309、312、386、434、または385および386に1以上の改変を導入することができる。例えば、FcRn受容体に対するアフィニティーが低減した定常ドメインまたはそのフラグメントを同定する結合アッセイにより、アミノ酸251、252、254、255、309、312、386、434、または385および386に1以上の改変を有する定常ドメインまたはそのフラグメントをスクリーニングすることができる。FcRn受容体に対する定常ドメインまたはそのフラグメントのアフィニティーを低減するヒンジ-Fcドメインまたはそのフラグメント中の改変を抗体に導入することにより、この抗体のin vivo半減期を短縮することができる。さらに、FcRnに対する定常ドメインまたはそのフラグメントのアフィニティーを低減する定常ドメインまたはそのフラグメント中の改変を生物活性分子と融合させることにより、この生物活性分子のin vivo半減期を短縮し、かつ好ましくは、この分子の生物学的利用能を改変(増大または低減)して、例えば、粘膜表面(もしくはその他の標的組織)(例えば、肺)または標的組織の他の部分への移行を増大または低減することも可能である。このアミノ酸改変により、上記分子の、肺への移行または濃度もしくは半減期を改変したり、上記分子の、心臓、膵臓、肝臓、腎臓、膀胱、胃、大腸もしくは小腸、気道、リンパ節、神経組織(中枢および/または末梢神経組織)、筋肉、表皮、骨、軟骨、関節、血管、骨髄、前立腺、卵巣、子宮、腫瘍もしくは癌組織などへの移行(または濃度もしくは半減期)を改変したりすることができる。一実施形態では、このアミノ酸改変は、定常ドメインの他の免疫エフェクター機能または受容体結合機能、例えば、しかし限定するものではないが、補体結合、ADCC、ならびに、FcγRI、FcγRII、およびFcγRIIIへの結合(当分野で周知かつ慣用の方法によって測定できる)、を破壊しないまたは改変しない。別の実施形態では、定常ドメインの改変型FcRn結合性フラグメントは、免疫エフェクター機能またはその他の受容体結合を媒介する配列を含まない。さらに別の実施形態では、エフェクター機能は、選択的に(例えば、エフェクター機能を低減または増強するために)改変される。
5.3.1 突然変異誘発
突然変異誘発は、当分野で公知の技術のいずれにより実施してもよく、そのような技術として、限定するものではないが、改変しようとする抗体またはそのフラグメントの定常ドメイン(例えば、CH2またはCH3ドメイン)の配列内に1以上の改変を含むオリゴヌクレオチドを合成することを含む。部位特異的突然変異誘発により、所望の突然変異のDNA配列をコードする特定のオリゴヌクレオチド配列、ならびに十分な数の隣接するヌクレオチドを用いて、突然変異体を作製して、欠失接合部を横断する両側に安定な二重らせんを形成するのに十分な大きさおよび配列複雑性のプライマー配列を提供することができる。典型的には、配列の結合部の両側で約10〜約25個またはそれ以上の残基が改変された、約17〜約75ヌクレオチドまたはそれ以上の長さのプライマーが好ましい。1以上の位置に様々な異なる突然変異を導入する、多数のこのようなプライマーを用いて、突然変異体のライブラリーを作製してもよい。
部位特異的突然変異誘発の技術は、様々な刊行物に例示されているように(例えば、Kunkelら、 Methods Enzymol., 154:367-82, 1987を参照;尚、この文献は参照としてその全文を本明細書に組み込む)、当分野では周知である。一般に、部位特異的突然変異誘発は、まず、その配列内に所望のペプチドをコードするDNA配列を含む、一本鎖ベクターを取得するか、または二本鎖ベクターの2本の鎖を切り離すことにより、実施する。一般に合成により、所望の突然変異配列を保持するオリゴヌクレオチドプライマーを作製する。次に、このプライマーを上記一本鎖ベクターとアニーリングさせた後、T7 DNAポリメラーゼのようなDNA重合化酵素に付すことにより、突然変異含有鎖の合成を完了する。このようにして、1本の鎖が本来の非突然変異配列をコードし、2本目の鎖が所望の突然変異を含む、ヘテロ二本鎖が形成される。次に、このヘテロ二本鎖ベクターを用いて、大腸菌細胞などの適切な細胞を形質転換またはトランスフェクトした後、突然変異配列配置を担持する組換えベクターを含むクローンを選択する。理解されるように、この技術は、一般に、一本鎖または二本鎖形態の両方で存在するファージベクターを使用する。部位特異的突然変異誘発に有用な典型的ベクターとして、M13ファージのようなベクターが挙げられる。これらのファージは、市販のものが容易に入手可能であり、当業者であれば、その使用について一般に熟知している。二本鎖プラスミドも、部位特異的突然変異誘発に常用されており、その場合、プラスミドからファージに目的の遺伝子を移入するステップが排除される。
あるいは、Taq DNAポリメラーゼのような市販の熱安定酵素を使用するPCR(商標)を用いて、突然変異誘発性オリゴヌクレオチドプライマーを増幅DNA断片に組み込んだ後、この断片を適切なクローニングまたは発現ベクター中にクローニングすることができる。PCR(商標)媒介の突然変異誘発方法については、例えば、Tomicら、Nucleic Acids Res., 18(6):1656, 1987、およびUpenderら、Biotechniques, 18(1):29-30, 32, 1995(この文献は参照としてその全文を本明細書に組み込む)を参照されたい。また、熱安定ポリメラーゼに加えて、熱安定リガーゼを使用するPCR(商標)を用いて、リン酸化突然変異誘発性オリゴヌクレオチドを増幅DNA断片に組み込んだ後、この断片を適切なクローニングまたは発現ベクター中にクローニングしてもよい(例えば、Michael, Biotechniques, 16(3):410-2, 1994を参照;尚、この文献は参照としてその全文を本明細書に組み込む)。
抗体のFcドメインまたはそのフラグメントの配列変異体を生産する、当業者に公知の他の方法を用いてもよい。例えば、抗体の定常ドメインまたはそのフラグメントのアミノ酸配列をコードする組換えベクターを突然変異誘発因子(例えば、ヒドロキシルアミンなど)で処理することにより、配列変異体を取得することができる。
5.3.2.パンニング
アミノ酸残基251、252、254、255、309、312、386、434、および/または385+386に1以上の改変を有する定常ドメインまたはそのフラグメントを発現するベクター、特にファージをスクリーニングすることにより、FcRnに対するアフィニティーが低減した定常ドメインまたはそのフラグメントを同定して、ファージの集団から、アフィニティーが最も低い結合体を選別することができる。アミノ酸残基251、252、254、255、309、312、386、434、および/または385+386に1以上の改変を有する定常ドメインまたはそのフラグメントのFcRnに対する結合を分析するのに用いることができる免疫アッセイとして、限定するものではないが、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合イムノソルベントアッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、および蛍光免疫アッセイなどが挙げられる。このようなアッセイは慣用であり、当分野において周知である(例えば、Ausubelら編、1994, Current Protocols in Molecular Biology, 第1巻、John Wiley & Sons, Inc.、New Yorkを参照;尚、この文献は参照としてその全文を本明細書に組み込む)。例示的なイムノアッセイについては、本明細書で以下に簡単に説明する(しかし、限定を意図するものではない)。また、BIAcore動態分析を用いて、アミノ酸残基251、252、254、255、309、312、386、434、および/または385+386に1以上の改変を有する定常ドメインまたはそのフラグメントのFcRnに対する結合速度および解離速度を決定することもできる。BIAcore動態アッセイは、その表面にFcRnを固定化したチップ(chips)からの、アミノ酸残基251、252、254、255、309、312、386、434、および/または385+386に1以上の改変を有する定常ドメインまたはその断片の結合および解離を分析することを含む。
5.3.3.配列決定
当分野において公知の様々なシークエンシング反応のいずれかを用いて、アミノ酸残基251、252、254、255、309、312、386、434、および/または385+386に1以上の改変を有する定常ドメインまたはそのフラグメントをコードするヌクレオチド配列を直接配列決定することができる。シークエンシング反応法の例として、MaximおよびGilbert(Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、74:560, 1977)またはSanger(Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、74:5463, 1977)により開発された技術に基づくものが挙げられる。また、様々な自動化配列決定方法のいずれかを使用できることも意図され(Bio/Techniques, 19:448, 1995)、このようなものとして、質量分析法による配列決定(例えば、PCT公開番号WO 94/16101, Cohenら、Adv. Chromatogr., 36:127-162, 1996, およびGriffinら、Appl. Biochem. Biotechnol., 38:147-159, 1993を参照)などがある。
5.4.抗体を生産する組換え方法
抗体またはそのフラグメントを含む、本発明のポリペプチドは、抗体の合成のための当分野で公知のあらゆる方法、例えば、化学的合成または組換え発現技術により生産することができる。
抗体をコードするヌクレオチド配列は、当業者が入手可能なあらゆる情報から得ることができる(すなわち、Genbank、文献から、または慣用のクローニングによる)。特定の抗体またはそのエピトープ結合性フラグメントをコードする核酸を含むクローンは入手できないが、上記抗体分子またはそのエピトープ結合性フラグメントの配列がわかっている場合には、該免疫グロブリンをコードする核酸は、上記配列の3'および5'末端にハイブリダイズ可能な合成プライマーを用いたPCR増幅により、または特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを用いたクローニングにより、例えば、上記抗体をコードするcDNAライブラリーからのcDNAクローンを同定することによって、化学的に合成するか、または好適な供給源(例えば、抗体cDNAライブラリー、または上記抗体を発現する任意の組織もしくは細胞、例えば、抗体を発現するように選択されたハイブリドーマ細胞、から作製されたcDNAライブラリー、またはそこから単離された核酸、好ましくは、poly A.+ RNA)から取得することができる。次に、当分野で周知のいずれかの方法を用いて、PCRにより生産された増幅核酸を、複製可能なクローニングベクター中にクローニングすることができる。
前記抗体のヌクレオチド配列が決定されたら、ヌクレオチド配列を操作するための当分野で周知の方法、例えば、組換えDNA技術、部位特異的突然変異誘発、PCRなど(例えば、Sambrookら、1990, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第2版、Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.;およびAusubelら編、1998, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NYに記載の技術を参照;尚、これらはいずれも参照としてその全文を本明細書に組み込む)を用いて、上記抗体のヌクレオチド配列を操作して、例えば、抗体のエピトープ結合性ドメイン領域、好ましくは、FcRnとの相互作用に関与する抗体のヒンジ-Fc領域に、アミノ酸置換、欠失、および/または挿入を導入することにより、様々なアミノ酸配列を有する抗体を作製することができる。好ましい実施形態では、アミノ酸残基251、252、254、255、309、312、386、434、および/または385+386に1以上の改変を有する抗体を作製する。
抗体の組換え発現には、この抗体をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターの構築が必要である。抗体分子または抗体の重鎖もしくは軽鎖、またはその部分(好ましくは、必ずというわけではないが、重鎖もしくは軽鎖可変領域を含む)をコードするヌクレオチド配列を取得した時点で、当分野で周知の技法を用いた組換えDNA技術により、抗体分子生産のためのベクターを作製することができる。このように、抗体をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを発現させることによりタンパク質を作製する方法を本明細書に記載する。当業者には周知の方法を用いて、抗体コード配列と、適切な転写および翻訳制御シグナルとを含む発現ベクターを構築することができる。このような方法として、例えば、in vitro組換えDNA技術、合成技術、ならびにin vivo遺伝子組換えなどが挙げられる。従って、本発明は、FcRnとの相互作用に関与するアミノ酸残基に1以上の改変を含む抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターを提供する(例えば、PCT公開WO 86/05807;PCT公開WO 89/01036;および米国特許第5,122,464号を参照)。抗体の重鎖可変領域、軽鎖可変領域、重鎖および軽鎖可変領域の両方、重鎖および/または軽鎖可変領域のエピトープ結合性フラグメント、または1以上の相補性決定領域(CDR)をコードするヌクレオチド配列を前記のような発現用ベクターにクローニングすることができる。
従来の技術により、発現ベクターを宿主細胞に移入した後、トランスフェクトした細胞を従来の技術で培養することにより、FcRnに対するアフィニティーが低減し、かつin vivo半減期が短縮した抗体を生産する。従って、本発明は、アミノ酸残基251、252、254、255、309、312、386、434、および/または385+386に1以上の改変を有する抗体、その定常ドメインまたはFcRn結合性フラグメントをコードするポリヌクレオチド(異種プロモーターに機能的に結合されていてもよい)を含む宿主細胞を包含する。
様々な宿主発現ベクター系を用いて、本発明の抗体分子を発現させることができる。このような宿主発現系はビヒクルの形態をしており、このビヒクルにより、目的とするコード配列を生産した後、精製することができるが、上記発現系は細胞の形態であってもよく、この細胞を適切なヌクレオチドコード配列で形質転換またはトランスフェクトすれば、本発明の抗体分子をin situで発現することができる。これらには、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:抗体コード配列を含む、組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換した微生物、例えば、細菌(例:大腸菌、枯草菌);抗体コード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換した酵母(例:サッカロミセスおよびピキア);抗体コード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例:バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;抗体コード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例:カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;およびタバコモザイクウイルス、TMV)に感染した、または抗体コード配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例:Tiプラスミド)で形質転換した植物細胞系;ならびに、哺乳動物細胞のゲノム由来のプロモーター(例:メタロチオネインプロモーター)、または哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例:アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む組換え発現構築物を保有する哺乳動物細胞系(例:COS、CHO、BHK、293、3T3およびNSO細胞)。全組換え抗体分子を発現させるために、大腸菌のような細菌細胞、または真核細胞を用いて、組換え抗体分子の発現を実施することができる。例えば、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)のような哺乳動物細胞は、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要前初期遺伝子プロモーターエレメントのようなベクターと組み合わせれば、抗体の有効な発現系になる(Foeckingら、 Gene, 45:101, 1986、およびCockettら、Bio/Technology, 8:2, 1990)。
細菌系では、発現しようとする抗体分子について意図する用途に応じて、多数の発現ベクターを有利に選択することができる。例えば、抗体分子の医薬組成物の製造を目的として、このようなタンパク質を大量に生産しようとする場合には、容易に精製される融合タンパク質産物の高レベルの発現を指令するベクターが望ましい。このようなベクターとして、限定するものではないが、大腸菌発現ベクターpUR278(Rutherら、EMBO, 12:1791, 1983)、その際、融合タンパク質が生産されるように、抗体コード配列はlacZコード領域と共にインフレームで独立にベクターに連結しうる;ならびに、pINベクター(InouyeおよびInouye, Nucleic Acids Res., 13:3101-3109, 1985およびVan HeekeおよびSchuster, J. Biol. Chem., 24:5503-5509, 1989)が挙げられる。
昆虫系では、オートグラファ・カリフォルニア核多角体病ウイルス(AcNPV)をベクターとして用いて、外来遺伝子を発現させることができる。このウイルスは、ヨウトガ(Spodoptera frugiperda)細胞中で増殖する。このウイルスの非必須領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)中に抗体コード配列を個別にクローニングして、AcNPVプロモーター(例えば、ポリヘドリンプロモーター)の制御下に置くことができる。
哺乳動物宿主細胞においては、多数のウイルスベースの発現系を用いて、本発明の抗体分子を発現させることができる。アデノウイルスを発現ベクターとして用いる場合には、目的とする抗体コード配列をアデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーターおよびトリパータイトリーダー配列、に連結させてもよい。次いで、このキメラ遺伝子をin vitroまたはin vivo組換えによりアデノウイルスゲノムに挿入することができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1またはE3)への挿入により、生存能力があり、かつ、感染宿主において抗体分子を発現させることができる組換えウイルスが得られる(例えば、Logan & Shenk, Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、81:355-359, 1984を参照)。また、挿入した抗体コード配列の効率的な翻訳のために特定の開始シグナルも必要な場合がある。このようなシグナルには、ATG開始コドンおよび隣接配列などがある。さらに、挿入断片全体の翻訳を確実にするために、開始コドンは、所望するコード配列のリーディングフレームと同調的でなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および合成の様々な起原のものでよい。適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどの含有により、発現の効率を高めることができる(例えば、Bitterら、Methods in Enzymol., 153:516-544, 1987を参照)。
以上に加えて、抗体配列の発現をモジュレートする、または抗体を所望の具体的な様式で改変およびプロセシングする、宿主細胞株を選択してもよい。タンパク質産物のこのような改変(例えば、グリコシル化)およびプロセシング(例えば、切断)は、抗体の機能に重要でありうる。様々な宿主細胞が、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセシングおよび修飾のための特徴的かつ特異的作用機構を備えている。適切な細胞株または宿主系を選択して、発現された抗体の正しい修飾およびプロセシングを確実にすることができる。このために、一次転写物の適正なプロセシング、遺伝子産物のグリコシル化、およびリン酸化のための細胞機構を備える真核宿主細胞を用いることができる。このような哺乳動物宿主細胞として、限定するものではないが、CHO、VERO、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、3T3、W138、特に、NS0細胞のような骨髄腫細胞、ならびにその関連細胞株が挙げられる(例えば、Morrisonら、米国特許第5,807,715号参照;尚、これは参照としてその全文を本明細書に組み込む)。
組換え抗体の長期的な高収率生産のためには、安定した発現が好ましい。例えば、抗体分子を安定に発現する細胞株を操作してもよい。ウイルス複製起点を含む発現ベクターを使用するというよりむしろ、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)、および選択マーカーにより制御されたDNAで形質転換することができる。外来DNAの導入後、操作した細胞を富化培地中で1〜2日間増殖させてから、選択培地に切り替えてもよい。組換えプラスミド中の選択マーカーは、選択に対する耐性を賦与し、細胞がプラスミドをその染色体中に安定に組み込み、増殖してフォーカスを形成することを可能にするが、次にこのフォーカスをクローニングし、細胞株中に増殖させることができる。この方法は、抗体分子を発現する細胞株を操作するのに、有利に用いることができる。このような操作細胞株は、抗体分子と直接または間接的に相互作用する組成物をスクリーニングおよび評価するのに特に有用でありうる。
多数の選択系を用いることができ、このようなものとして、限定するものではないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら、Cell, 11:223, 1977)、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(SzybalskaおよびSzybalski, Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、48:202, 1992)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら、Cell, 22:8-17, 1980)遺伝子をそれぞれtk-、hgprt-またはaprt- 細胞に用いることができる。また、抗代謝剤耐性を以下の遺伝子についての選択の基礎として用いることもできる:メトトレキサートに対する耐性を賦与するdhfr(Wiglerら、Natl. Acad. Sci. USA, 77:357, 1980およびO'Hareら、 Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、78:1527, 1981);ミコフェノール酸に対する耐性を賦与する、gpt(MulliganおよびBerg, Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、78:2072, 1981);アミノグリコシドG-418に対する耐性を賦与するneo(WuおよびWu, Biotherapy, 3:87-95, 1991;Tolstoshev, Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol., 32:573-596, 1993;Mulligan, Science, 260:926-932, 1993;MorganおよびAnderson, Ann. Rev. Biochem., 62: 191-217, 1993;ならびにMay, TIB TECH, 11(5):155-2 15, 1993);ならびに、ハイグロマイシンに対する耐性を賦与するhygro(Santerreら、Gene, 30:147, 1984)。組換えDNA技術の分野で一般的に知られる方法を慣用的に適用して、所望の組換えクローンを選択することもでき、このような方法は、例えば、Ausubelら(編)、1993, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY;Kriegler, 1990, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NY;第12章および第13章、Dracopoliら(編)、1994, Current Protocols in Human Genetics, John Wiley & Sons, NY;およびColberre-Garapinら、J. Mol. Biol., 150:1, 1981(これらは、参照としてその全文を本明細書に組み込む)を参照されたい。
抗体分子の発現レベルは、ベクター増幅により増大させることができる(外洋については、BebbingtonおよびHentschel, 1987, The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning, 第3巻、Academic Press、New Yorkを参照されたい)。抗体を発現するベクター系中のマーカーが増幅可能である場合には、宿主細胞の培養物中に存在する阻害物質のレベルが増加すれば、マーカー遺伝子のコピー数も増加することになる。増幅された領域は抗体遺伝子と関連しているため、抗体の生産も増加する(Crouseら、Mol., Cell. Biol., 3:257, 1983)。
宿主細胞を本発明の2つの発現ベクターで共トランスフェクトしてもよく、その際、第1のベクターは重鎖由来のポリペプチドをコードし、第2のベクターは軽鎖由来のポリペプチドをコードする。この2つのベクターは、両プラスミドの維持を確実にするための、異なる選択マーカー、または重鎖および軽鎖ポリペプチドの同等の発現を可能にする同一の選択マーカー、を含んでもよい。これに代わり、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方をコードし、発現することができる単一のベクターを用いてもよい。このような状況では、毒性の遊離重鎖の過多を回避するために、重鎖の前に軽鎖を配置すべきである(Proudfoot, Nature, 322:52, 1986;およびKohler, Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、77:2 197, 1980)。重鎖および軽鎖のコード配列は、cDNAまたはゲノムDNAを含んでいてもよい。
本発明に含まれる抗体分子を組換え発現により生産した時点で、免疫グロブリン分子を精製するための当分野で公知のあらゆる方法により精製することができ、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、特に、プロテインA精製後の特異的抗原に対するアフィニティーによるもの、ならびにサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差的溶解性、またはタンパク質精製のための他のあらゆる標準的方法により実施することができる。さらに、本発明の抗体またはそのフラグメントを本明細書に記載の、または当分野で周知の、精製を容易にする異種ポリペプチド配列に融合させてもよい。
5.4.1.抗体コンジュゲート
本発明は、異種ポリペプチド(すなわち、非関連ポリペプチド、またはその部分、好ましくは、該ポリペプチドの少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個、もしくは少なくとも100個のアミノ酸)に、組換えにより融合、または化学的にコンジュゲート(共有および非共有結合の両方を含む)されて、融合タンパク質を生じる抗体またはそのフラグメントを包含する。融合は、必ずしも直接である必要はなく、リンカー配列を介して実施してもよい。異種ポリペプチドに融合またはコンジュゲートした抗体は、当分野で公知の方法を使用するin vitroイムノアッセイおよび精製方法に用いてもよい。例えば、PCT公開番号WO 93/21232;EP 439,095;Naramuraら,Immunol. Lett., 39:91-99, 1994;米国特許第5,474,981号;Gilliesら、PNAS, 89:1428-1432, 1992;およびFellら、J. Immunol., 146:2446-2452, 1991(これらは、参照としてその全文を本明細書に組み込む)を参照されたい。
精製を容易にするペプチドのようなマーカー配列に抗体を融合させることもできる。好ましい実施形態では、このマーカーアミノ酸配列は、ヘキサ−ヒスチジンペプチド、中でも、例えば、pQEベクター中に提供されるタグ(QIAGEN, Inc., 9259 Eton Avenue, Chatsworth, Calif., 91311)であり、それらの多くは市販されている。例えば、Gentzら、Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、86:821-824, 1989に記載のように、ヘキサ−ヒスチジンにより、融合タンパク質の好都合な精製が提供される。精製に有用なその他のペプチドタグとして、限定するものではないが、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質由来のエピトープに対応する赤血球凝集素「HA」タグ(Wilsonら、Cell, 37:767 1984)、および「フラグ」タグ(Knappikら、Biotechniques, 17(4):754-761, 1994)などが挙げられる。
本発明はまた、in vivo半減期の短縮が望まれる診断薬もしくは治療薬またはその他のあらゆる分子(例えば、抗体分子の毒性を増加する物質、またはイメージング用の抗体にコンジュゲートした物質)にコンジュゲートした抗体も包含する。イメージングのために用いられる物質にコンジュゲートした抗体は、例えば、疾患、障害もしくは感染の発症または進行をモニターするために、または、臨床試験手順の一環として、例えば所与の治療レジメンの効能を判定するために、用いることができる。このような物質は、検出可能物質と呼ばれることもある。検出可能物質の例として、様々な酵素、配合群、蛍光材料、発光材料、生物発光材料、放射性材料、陽電子放出金属、および非放射性常磁性金属イオンなどが挙げられる。検出可能物質は、当分野で公知の技術を用いて、抗体に直接、または中間体(例えば、当分野で公知のリンカーなど)を介して間接的に結合またはコンジュゲートさせることができる。本発明に従って診断薬として用いる抗体にコンジュゲートすることができる金属イオンについては、例えば、米国特許第4,741,900号を参照されたい。好適な酵素の例としては、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンステラーゼ;好適な配合群複合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチン;好適な蛍光材料の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロライド、またはフィコエリトリン;発光材料の例としては、ルミノール;生物発光材料の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリン;ならびに好適な放射性材料の例としては、125I、131I、111In、または99mTcが、それぞれ挙げられる。
抗体は、細胞毒素(例えば、細菌増殖抑制剤または細胞破壊剤)のような治療部分、治療薬または放射性元素(例えば、α放射体、γ放射体など)、例えば、抗体またはその部分の半減期が短縮されている場合、該抗体の投与により生じる副作用を低減する毒性物質、とコンジュゲートすることができる。細胞毒素または細胞毒性剤には、細胞に有害なあらゆる物質が含まれる。その例を以下に挙げる:パクリタキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、ならびにこれらの類似体もしくは相同体。治療薬としては、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:抗代謝剤(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロトスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、ミトマイシンC、およびシスジクロロジアミンプラチナ(II)(DDP)(シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))、ならびに抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)。
さらに、所与の生物学的応答を修飾する治療薬または薬剤部分に抗体をコンジュゲートさせてもよい。治療薬または薬剤部分は、古典的な化学治療薬に限定して解釈すべきではない。例えば、薬剤部分は、所望の生物学的活性を保有するタンパク質またはポリペプチドであってもよい。このようなタンパク質として、例えば、以下のものを挙げることができる:アブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、またはジフテリア毒素;腫瘍壊死因子、αインターフェロン(IFN-α)、βインターフェロン(IFN-β)、神経成長因子(NGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、組織プラスミノーゲンアクチベーター(TPA)、アポトーシス剤(例えば、PCT公開番号WO 97/33899に開示のように、TNF-α、TNF-β、AIM I)、AIM II(例えば、PCT公開番号WO 97/34911)、Fasリガンド(Takahashiら、J. Immunol., 6:1567-1574, 1994)、およびVEGI(PCT公開番号WO 99/23105)、血栓薬もしくは抗血管形成薬(例えば、アンギオスタチンまたはエンドスタチン);または生物学的応答修飾物質、例えば、リンホカイン(例:インターロイキン-1(「IL-1」)、インターロイキン-2(「IL-2」)、インターロイキン-6(「IL-6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM-CSF」)、および顆粒球コロニー刺激因子(「G-CSF」)、もしくは成長因子(例えば、成長ホルモン(「GH」))。
このような治療部分を抗体にコンジュゲートする技術はよく知られており、例えば、以下の文献を参照されたい:Arnonら、「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy」, Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Reisfeldら(編)、 1985, pp. 243-56, Alan R. Liss, Inc.); Hellstromら、「Antibodies For Drug Delivery」, Controlled Drug Delivery(第2版)、Robinsonら(編)、1987, pp. 623-53, Marcel Dekker, Inc.);Thorpe, 「Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review」, Monoclonal Antibodies '84:Biological And Clinical Applications, Pincheraら(編)、1985, pp. 475-506); 「Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy」, Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy, Baldwinら(編)、1985, pp. 303-16, Academic Press;ならびにThorpeら、Immunol. Recombinant expression vector., 62:119-58, 1982。
治療部分がコンジュゲートしたまたはしていない抗体またはそのフラグメントは、単独でまたは治療薬として用いることができる細胞傷害性因子および/またはサイトカインと組み合わせて投与される。
あるいは、Segalにより米国特許第4,676,980号(その全文を参照として本明細書に組み込む)に記載のように、抗体を第2の抗体にコンジュゲートさせて、抗体へテロコンジュゲートを形成させることもできる。
また、抗体を固体支持体に接着させてもよく、これは、標的抗原のイムノアッセイまたは精製に特に有用である。このような固体支持体として、限定するものではないが、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたはポリプロピレンなどが挙げられる。
5.5 融合タンパク質の作製方法
融合タンパク質は、標準的な組換えDNA技術またはタンパク質合成技術、例えば、ペプチド合成装置を用いて、作製することができる。例えば、融合タンパク質をコードする核酸分子は、自動化DNA合成装置などの従来の技術により合成することができる。あるいは、2つの連続した遺伝子断片の間に相補的な突出部を生じさせるアンカープライマーを用いて、遺伝子断片のPCR増幅を実施し、その後、これらをアニーリングし、再増幅することによって、キメラ遺伝子配列を作製することもできる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubelら(編)、John Wiley & Sons, 1992を参照)。さらに、生物活性分子をコードする核酸は、この生物活性分子が定常ドメインまたはその断片にインフレームで結合するように、IgG Fcドメインまたはその断片を含む発現ベクターにクローニングすることができる。
ポリペプチドを抗体の定常領域に融合またはコンジュゲートさせる方法は、当分野において公知である。例えば、米国特許第5,336,603号、第5,622,929号、第5,359,046号、第5,349,053号、第5,447,851号、第5,723,125号、第5,783,181号、第5,908,626号、第5,844,095号、および第5,112,946号;EP 307,434;EP 367,166;EP 394,827;PCT公開WO 91/06570、WO 96/04388、WO 96/22024、WO 97/34631、およびWO 99/04813;Ashkenaziら、Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、88: 10535-10539, 1991;Trauneckerら、Nature, 331:84-86, 1988;Zhengら、J. Immunol., 154:5590-5600, 1995;ならびに、Vilら、Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、89:11337-11341, 1992(これらは、参照としてその全文を本明細書に組み込む)を参照されたい。
生物活性分子をコードするヌクレオチド配列は、当業者が入手可能なあらゆる情報(例えば、Genbank、文献から、または慣用のクローニングにより)から取得することができ、FcRnに対するアフィニティーが低減した定常ドメインまたはそのフラグメントをコードするヌクレオチド配列は、本明細書に記載する技術を用いて作製した突然変異体の配列分析により決定してもよいし、あるいは、Genbankまたは文献から入手してもよい。融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、適切な発現ベクター、すなわち、挿入されたタンパク質コード配列の転写および翻訳に必要なエレメントを含むベクター、に挿入することができる。様々な宿主−ベクター系を本発明に用いて、タンパク質コード配列を発現させることができる。このような系として、限定するものではないが、ウイルス(例えば、ワクシニアウイルス、アデノウイルスなど)に感染した哺乳動物細胞系;ウイルス(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;酵母ベクターを含む酵母などの微生物;またはバクテリオファージ、DNA、プラスミドDNA、もしくはコスミドDNAで形質転換した細菌などが挙げられる。ベクターの発現エレメントによって、その強度および特異性が変動する。使用する宿主−ベクター系に応じて、多数の好適な転写および翻訳エレメントのうちのいずれか1つを用いてもよい。
融合タンパク質の発現は、当業者には公知のいずれのプロモーターまたはエンハンサーエレメントにより制御してもよい。融合タンパク質をコードする遺伝子の発現を制御するのに用いることができるプロモーターとして、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:SV40初期プロモーター領域(BernoistおよびChambon, Nature, 290:304-310, 1981)、ラウス肉腫ウイルスの3'ロングターミナルリピート(Yamamotoら、Cell, 22:787-797, 1980)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら、Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、78:1441-1445, 1981)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら、Nature, 296:39-42, 1982)、テトラサイクリン(Tet)プロモーター(Gossenら、Proc. Nat. Acad. Sci. 米国、89:5547-5551, 1995);β-ラクタマーゼプロモーターなどの原核生物発現ベクター(Villa-Kamaroffら、Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、75:3727-3731, 1978)、またはtacプロモーター(DeBoerら、Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、80:21-25, 1983;また、「Useful proteins from recombinant bacteria」 Scientific American, 242:74-94, 1980も参照のこと);ノパリンシンセターゼプロモーター領域を含む植物発現ベクター(Herrera-Estrellaら、Nature, 303:209-213, 1983)またはカリフラワーモザイクウイルス35S RNAプロモーター(Gardnerら、Nucl. Acids Res., 9:2871, 1981)、および光合成酵素リブロースビスリン酸カルボキシラーゼのプロモーター(Herrera-Estrellaら、Nature, 310:115-120, 1984);酵母もしくはその他の真菌由来のプロモーターエレメント、例えば、Gal 4プロモーター、ADC(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PGK(ホスホグリセロールキナーゼ)プロモーター、アルカリホスファターゼプロモーター、ならびに、組織特異性を示し、トランスジェニック動物に使用されてきた、下記の動物転写制御領域:膵腺房細胞で活性のエラスターゼI遺伝子制御領域(Swiftら、Cell 38:639-646, 1984;Ornitzら、50:399-409, Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol., 1986;MacDonald, Hepatology 7:425-515, 1987);膵臓β細胞で活性のインスリン遺伝子制御領域(Hanahan, Nature 315:115-122, 1985)、リンパ系細胞で活性の免疫グロブリン制御領域(Grosschedlら、Cell, 38:647-658, 1984; Adamesら、Nature 318:533-538, 1985; Alexanderら、Mol. Cell. Biol., 7:1436-1444, 1987)、精巣、乳房、リンパ系およびマスト細胞で活性のマウス乳癌ウイルス制御領域(Lederら、Cell, 45:485-495, 1986)、肝臓で活性のアルブミン遺伝子制御領域(Pinkertら、Genes and Devel., 1:268-276, 1987)、肝臓で活性のαフェトプロテイン遺伝子制御領域(Krumlaufら、Mol. Cell. Biol., 5:1639-1648, 1985;Hammerら、Science, 235:53-58, 1987);肝臓で活性のα1-抗トリプシン遺伝子制御領域(Kelseyら、Genes and Devel., 1:161-171, 1987)、骨髄性細胞で活性のβ-グロビン遺伝子制御領域(Mogramら、Nature, 315:338-340, 1985;Kolliasら、Cell, 46:89-94, 1986);脳におけるオリゴデンドロサイト細胞で活性のミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readheadら、Cell, 48:703-712, 1987);骨格筋で活性のミオシン軽鎖-2遺伝子制御領域(Sani, Nature, 314:283-286, 1985);神経細胞で活性のニューロン特異的エノラーゼ(NSE)(Morelliら、Gen. Virol., 80:571-83, 1999);神経細胞で活性の脳由来神経栄養因子(BDNF)遺伝子制御領域(Tabuchiら、Biochem. Biophysic. Res. Comprising., 253:818-823, 1998);星状細胞で活性のグリア原繊維酸性タンパク質(GFAP)プロモーター(Gomesら、Braz. J. Med. Biol. Res., 32(5):619-631, 1999;Morelliら、Gen. Virol., 80:571-83, 1999)および視床下部で活性の性腺刺激放出ホルモン遺伝子制御領域(Masonら、Science, 234:1372-1378, 1986)。
具体的実施形態では、融合タンパク質の発現は、構成的プロモーターにより調節する。別の実施形態では、融合タンパク質の発現は、誘導性プロモーターにより調節する。これらの実施形態によれば、プロモーターは組織特異的プロモーターでよい。
具体的実施形態では、融合タンパク質コード核酸に機能的に結合したプロモーターと、1以上の複製起点と、随意に、1以上の選択マーカー(例えば、抗生物質耐性遺伝子)とを含むベクターを用いる。
哺乳動物宿主細胞では、多数のウイルスベースの発現系を用いることができる。アデノウイルスを発現ベクターとして用いる場合には、融合タンパク質コード配列をアデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーターおよびトリパータイトリーダー配列に連結させてもよい。次いで、このキメラ遺伝子をin vitroまたはin vivo組換えによりアデノウイルスゲノムに挿入することができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1またはE3)への挿入により、生存能力があり、かつ、感染宿主において抗体分子を発現させることができる組換えウイルスが得られる(例えば、Logan & Shenk, Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、81:355-359, 1984を参照)。また、挿入した融合タンパク質コード配列の効率的な翻訳のために特定の開始シグナルが必要なこともある。このようなシグナルとして、ATG開始コドンおよび隣接配列などがある。さらに、開始コドンは、挿入断片全体の翻訳を確実にするために、所望するコード配列のリーディングフレームと同調的でなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および合成の様々な起原のものでよい。適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどを含有させることにより、発現の効率を高めることができる(例えば、Bitterら、Methods in Enzymol., 153:516-544, 1987を参照)。
融合タンパク質をコードする遺伝子の挿入断片を含む発現ベクターは、次の3つの一般的手法により同定することができる:(a)核酸ハイブリダイゼーション、(b)「マーカー」遺伝子機能の存在または非存在、および(c)挿入した配列の発現。第1の手法の場合、発現ベクターにおける融合タンパク質をコードする遺伝子の存在は、融合タンパク質をコードする挿入遺伝子に相同的な配列を含むプローブを用いた核酸ハイブリダイゼーションにより検出することができる。第2の手法では、ベクターに、融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を挿入することによって起こる特定の「マーカー」遺伝子機能(例えば、チミジンキナーゼ活性、抗生物質に対する耐性、形質転換表現型、バキュロウイルスにおける封入体形成など)の存在または非存在に基づいて、組換えベクター/宿主系を同定および選択することができる。例えば、融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列をベクターのマーカー遺伝子配列内に挿入した場合には、融合タンパク質挿入断片をコードする遺伝子を含む組換え体は、マーカー遺伝子機能の非存在により同定することができる。第3の手法では、組換え体により発現された遺伝子産物(すなわち、融合タンパク質)をアッセイすることにより、組換え発現ベクターを識別することができる。このようなアッセイは、例えば、in vitroアッセイ系における融合タンパク質の物理的または機能的特性、例えば、抗生物活性分子抗体との結合に基づくことができる。
加えて、挿入した配列の発現をモジュレートする、または所望する特定の様式で遺伝子産物を修飾およびプロセシングする宿主細胞株を選択してもよい。特定のプロモーターからの発現は、特定の誘導物質の存在下で増強することができ、このようにして、遺伝子操作した融合タンパク質の発現を制御することができる。さらに、様々な宿主細胞が、翻訳ならびに、翻訳後プロセシングおよび修飾(例えば、タンパク質のグリコシル化、リン酸化)のための特徴的かつ特異的メカニズムを備えている。適切な細胞株または宿主系を選択して、発現させる融合タンパク質の所望の修飾およびプロセシングを確実にすることができる。例えば、細菌系において発現させれば、非グリコシル化産物が生産され、酵母での発現では、グリコシル化産物が生産される。一次転写物の適正なプロセシング、遺伝子産物のグリコシル化およびリン酸化のための細胞機構を備える真核宿主細胞を用いてもよい。このような哺乳動物宿主細胞として、限定するものではないが、以下のものが挙げられる:CHO、VERY、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、3T3、W138、特に、神経細胞株、例えば、SK-N-AS、SK-N-FJ、SK-N-DZヒト神経芽細胞腫(Sugimotoら、J. Natl. Cancer Inst., 73: 51-57, 1984)、SK-N-SHヒト神経芽細胞腫(Biochim. Biophys. Acta, 704: 450-460, 1982)、Daoyヒト小脳髄芽腫(Heら、Cancer Res., 52: 1144-1148, 1992)DBTRG-05MGグリア芽種細胞(Kruseら、1992, In Vitro Cell. Dev. Biol., 28A:609-614, 1992)、IMR-32ヒト神経芽細胞腫(Cancer Res., 30: 2110-2118, 1970)、1321N1ヒト星状細胞腫(Proc. Natl Acad. Sci. 米国、74: 4816, 1997)、MOG-G-CCMヒト星状細胞腫(Br. J. Cancer, 49: 269, 1984)、U87MGヒトグリア芽種−星状細胞腫(Acta Pathol. Microbiol. Scand., 74: 465-486, 1968)、A172ヒトグリア芽種(Olopadeら、Cancer Res., 52: 2523-2529, 1992)、C6ラットグリオーマ細胞(Benda ら、Science, 161: 370-371, 1968)、Neuro-2aマウス神経芽細胞腫(Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、65: 129-136, 1970)、NB41A3マウス神経芽細胞腫(Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、48: 1184-1190, 1962)、SCPヒツジ脈絡叢(Bolinら、J. Virol. Methods, 48: 211-221, 1994)、G355-5、PG-4ネコ正常星状細胞(Haapalaら、J. Virol., 53: 827-833, 1985)、Mpfフェレット脳(Trowbridgeら、In Vitro, 18: 952-960, 1982)、ならびに、次のような正常細胞株:例えば、CRL7030およびHs578BstなどのCTX TNA2ラット正常大脳皮質(Radanyら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 6467-6471, 1992)など。さらに、様々なベクター/宿主発現系が、様々な程度までプロセシング反応に作用しうる。
組換えタンパク質の長期的な高収率生産のためには、安定な発現が好ましい。例えば、融合タンパク質を安定に発現する細胞株を設計することができる。ウイルス複製起点を含む発現ベクターを使用するというよりむしろ、適切な発現制御エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)、および選択マーカーによって制御されたDNAで宿主細胞を形質転換することができる。外来DNAの導入後、操作した細胞を富化培地中で1〜2日間増殖させてから、選択培地に切り替えてもよい。組換えプラスミド中の選択マーカーは、選択に対する耐性を賦与し、細胞がプラスミドをその染色体中に安定に組み込み、増殖してフォーカスを形成できるようにするが、次にこのフォーカスをクローニングし、細胞株中に増殖させることができる。この方法を用いて、示差的に発現したタンパク質または経路遺伝子タンパク質を発現する細胞株を操作することが有利でありうる。このような操作細胞株は、示差的に発現したタンパク質または経路遺伝子タンパク質の内因的活性に影響する化合物をスクリーニングおよび評価するのに特に有用でありうる。
多数の選択系を用いることができ、このようなものとして、限定するものではないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら、Cell, 11:223, 1977)、ヒポキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(SzybalskaおよびSzybalski, Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、48:202, 1992)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら、1980, Cell, 22:817, 1980)遺伝子をそれぞれtk-、hgprt-またはaprt- 細胞に用いることができる。また、下記の遺伝子についての選択の基礎として抗代謝剤耐性を用いることもできる:メトトレキサートに対する耐性を賦与するdhfr(Wiglerら、Natl. Acad. Sci. 米国、77:357, 1980;O'Hareら、Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、78:1527, 1981);ミコフェノール酸に対する耐性を賦与する、gpt(MulliganおよびBerg, Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、78:2072, 1981);アミノグリコシドG-418に対する耐性を賦与するneo(Colberre-Garapinら、J. Mol. Biol. 150:1, 1981);ならびに、ハイグロマイシンに対する耐性を賦与するhygro(Santerreら、Gene, 30:147, 1984)遺伝子。
本発明の融合タンパク質を組換え発現により作製した時点で、タンパク質を精製するのに当分野で公知のあらゆる方法により精製することができ、そのような方法として、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、特に、プロテインA精製後の特異的抗原に対するアフィニティーによるもの、ならびにサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差的溶解性、またはタンパク質精製のための他のあらゆる標準的方法が挙げられる。
5.6 抗体の予防および治療用途
本発明は、抗体ベースの治療法を包含し、これは、疾患、障害、または感染に関連する症状を予防、治療、または改善するために、哺乳動物などの動物、例えば、ヒトに、抗体またはその部分を投与することを含む。本発明の予防および治療化合物は、限定するものではないが、抗体、および抗体をコードする核酸を含む。抗体およびその部分は、当分野で公知のまたは本明細書に記載する、製薬的に許容される組成物として提供することができる。
疾患、障害、または感染のアンタゴニストとして機能する抗体およびその部分を動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトに投与することにより、疾患、障害、または感染に関連する1以上の症状を治療、予防、または改善することができる。例えば、ウイルス抗原およびその宿主細胞受容体との間の相互作用を破壊または阻止する抗体を動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトに投与することにより、ウイルス感染に関連する1以上の症状を治療、予防、または改善することができる。抗体はまた、罹患した細胞および組織、例えば、癌細胞および/または腫瘍もしくは炎症組織の表面に認められる標的抗原を認識し、これに結合して、免疫応答を活性化することにより、上記癌細胞および/または腫瘍もしくは炎症組織により引き起こされた疾患を治療、予防、または改善することができる。
具体的実施形態では、抗体またはそのフラグメントは、該抗体の非存在下での、抗原とその宿主細胞受容体の結合と比較して、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、もしくは少なくとも10%、ウイルスまたは細菌抗原がその宿主細胞受容体に結合するのを阻止する。別の実施形態では、抗体および/またはそのフラグメントの組合せは、該抗体の非存在下での、抗原とその宿主細胞受容体の結合と比較して、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、もしくは少なくとも10%、ウイルスまたは細菌抗原がその宿主細胞受容体に結合するのを阻止する。一実施形態では、上記抗体を用いて、RSV感染を治療または予防する。別の実施形態では、上記抗体を用いて、腫瘍の増殖および/または転移および/または癌細胞および組織を治療、予防、または改善する。さらに別の実施形態では、上記抗体を用いて、炎症を起こした組織を治療、予防、または改善する。
また、ウイルスまたは細菌抗原がその宿主細胞受容体に結合するのは阻止しないが、ウイルスまたは細菌複製を阻害または下方制御する、抗体およびその部分を動物に投与することにより、ウイルスまたは細菌感染に関連する1以上の症状を治療、予防、または改善することもできる。抗体がウイルスまたは細菌複製を阻害または下方制御する能力は、本明細書に記載のまたは当分野で公知の技術により判定することができる。例えば、ウイルス複製の阻害または下方制御は、動物におけるウイルス力価を検出することにより判定することができる。
具体的実施形態では、抗体またはその部分は、該抗体の非存在下でのウイルスまたは細菌複製と比較して、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、もしくは少なくとも10%、ウイルスまたは細菌複製を阻害または下方制御する。別の実施形態では、抗体の組合せは、該抗体の非存在下でのウイルスまたは細菌複製と比較して、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、もしくは少なくとも10%、ウイルスまたは細菌複製を阻害または下方制御する。
また、抗体を用いて、癌細胞の増殖または転移を予防、阻害または低減することも可能である。具体的実施形態では、抗体は、該抗体の非存在下での増殖または転移と比較して、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、もしくは少なくとも10%、癌細胞の増殖または転移を阻害または低減する。別の実施形態では、抗体の組合せは、該抗体の非存在下での増殖または転移と比較して、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、もしくは少なくとも10%、癌の増殖または転移を阻害または低減する。癌の例を以下に挙げるが、これらに限定するわけではない:白血病(例えば、急性リンパ性白血病および急性骨髄性白血病などの急性白血病)、新生物、腫瘍(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨形成肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜性腫瘍、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫、頚癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、グリオーマ、星状細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起細胞種、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、および網膜芽腫)、重鎖病、転移、または制御されない細胞増殖を特徴とするあらゆる疾患もしくは障害。
また、抗体およびそのフラグメントを用いて、炎症性疾患を有する動物、特に哺乳動物が罹患した炎症を軽減することもできる。具体的実施形態では、抗体は、該抗体を投与していない動物における炎症と比較して、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、もしくは少なくとも10%、動物における炎症を軽減する。別の実施形態では、抗体の組合せは、該抗体を投与していない動物における炎症と比較して、少なくとも99%、少なくとも95%、少なくとも90%、少なくとも85%、少なくとも80%、少なくとも75%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも45%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも35%、少なくとも30%、少なくとも25%、少なくとも20%、もしくは少なくとも10%、動物における炎症を軽減する。炎症性疾患の例として、限定するものではないが、慢性関節リウマチ、脊椎性関節症、炎症性腸疾患、および喘息などが挙げられる。
特定の実施形態では、炎症(または癌)の治療に用いる抗体は、改変型抗αvβ3抗体、好ましくはVitaxin抗体(例えば、いずれもHuseによるPCT公開WO 98/33919およびWO 00/78815を参照;両文献とも、参照としてその全文を本明細書に組み込む)である。
また、抗体を用いて、移植片の拒絶を予防することもできる。抗体を用いて、血餅形成を予防することもできる。さらに、免疫応答のアゴニストとして機能する抗体を動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトに投与して、疾患、障害、もしくは感染に関連する1以上の症状を治療、予防または改善することもできる。
1以上の抗原に免疫特異的に結合する1以上の抗体を治療薬として身体に局所的にまたは全身的に使用してもよい。また、本発明の抗体は、例えば、抗体と相互作用するエフェクター細胞の数または活性を増加する働きをする、他のモノクローナルもしくはキメラ抗体、またはリンホカインもしくは造血成長因子(例えば、IL-2、IL-3およびIL-7など)と組み合わせて用いることが有利でありうる。本発明の抗体はまた、例えば、免疫応答を増加する、他のモノクローナルもしくはキメラ抗体、またはリンホカインもしくは造血成長因子(例えば、IL-2、IL-3およびIL-7など)と組み合わせて用いいることが有利でありうる。さらにまた、例えば、抗癌剤、抗炎症剤もしくは抗ウイルス薬など、疾患、障害、もしくは感染を治療するのに用いられる1種以上の薬剤と組合せて本発明の抗体を用いることが有利でありうる。抗癌剤の例として、限定するものではないが、イソプラチン、イフォスファミド、パクリタキセル、タキサン、トポイソメラーゼI阻害剤(例:CPT-11、トポテカン、9-AC、およびGG-211)、ゲムシタビン、ビノレルビン、オキサリプラチン、5-フルオロウラシル(5-FU)、ロイコボリン、ビノレルビン、テモダール、およびタキソールなどが挙げられる。抗ウイルス剤の例として、限定するものではないが、サイトカイン(例:IFN-α、IFN-β、IFN-γ)、逆転写酵素の阻害剤(例:AZT、3TC、D4T、ddC、ddI、d4T、3TC、アデフォビル、エファビレンツ、デラビルジン、ネビラピン、アバカビル、およびその他のジデオキシヌクレオシドもしくはジデオキシフルオロヌクレオシド)、ウイルスmRNAキャッピングの阻害剤、例えば、リバビリン、プロテアーゼの阻害剤、例えば、HIVプロテアーゼ阻害剤(例:アンプレナビル、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、およびサキナビル)、アンホテリシンB、糖タンパク質プロセシング阻害剤としてのカスタノスペルミン、ノイラミダーゼ阻害剤、例えば、インフルエンザウイルスノイラミダーゼ阻害剤(例:ザナミビルおよびオセルタミビル)、トポイソメラーゼI阻害剤(例:カンポトテシンおよびその類似体)、アマンタジン、およびリマンタジンが挙げられる。抗炎症剤の例として、限定するものではないが、非ステロイド性抗炎症剤、例えば、COX-2阻害剤(例:メロキシカム、セレコキシブ、レフェコキシブ、フロスリド、ならびにSC-58635、およびMK-966)、イブプロフェンおよびインドメタシン、ならびに、ステロイド(例:デフラザコルト、デキサメタゾンおよびメチルプレドニゾロン)が挙げられる。
具体的実施形態では、動物に投与する抗体は、該動物と同じ種に由来するものか、または同じ種の反応性を有するものである。従って、好ましい実施形態では、ヒト抗体もしくはヒト化抗体、またはヒト抗体をコードする核酸を治療または予防のためにヒト患者に投与する。
いくつかの実施形態では、in vivo半減期が短縮した免疫グロブリンを受動免疫療法(治療または予防のため)に用いる。一実施形態では、治療/予防薬は、RSVに結合する抗体、例えば、SYNAGIS(登録商標)、NUMAX(商標)、またはその他の抗RSV抗体である。このような抗RSV抗体、および投与方法は、米国特許出願番号09/724,396および09/724,531(いずれも、2000年11月28日にYoungらにより出願されたもので、「Methods of Administering/Dosing Anti-RSV Antibodies For Prophylaxis and Treatment」を発明の名称とする)、ならびに米国特許第6,855,493号および第6,818,216号の一部継続出願(両者共にYoungらによるもので、「Methods of Administering/Dosing Anti-RSV Antibodies for Prophylaxis and Treatment」を発明の名称とする)に開示されており、これらはすべて、その全文を参照として本明細書に組み込む。
具体的実施形態では、動物に投与される融合タンパク質は、該動物と同じ種に由来するものか、または同じ種の反応性を有するものである。従って、好ましい実施形態では、ヒト融合タンパク質、またはヒト融合タンパク質をコードする核酸を治療または予防のためにヒト患者に投与する。
5.7 融合タンパク質およびコンジュゲート分子の予防または治療用途
本発明は、疾患、障害、もしくは感染に関連する症状を予防、治療、または改善するために、哺乳動物などの動物、例えば、ヒトに、融合タンパク質またはコンジュゲート分子を投与することを含む、融合タンパク質またはコンジュゲート分子ベースの治療法を包含する。本発明の予防または治療化合物は、限定するものではないが、融合タンパク質、および融合タンパク質またはコンジュゲート分子をコードする核酸が挙げられる。融合タンパク質およびコンジュゲート分子は、当分野で周知のまたは本明細書に記載の製薬的に許容可能な組成物として提供することができる。
疾患、障害、または感染のアンタゴニストとして機能する本発明の融合タンパク質およびコンジュゲート分子を、哺乳動物などの動物、例えば、ヒトに投与することにより、疾患、障害、または感染に関連する1以上の症状を治療、予防、または改善することができる。さらに、免疫応答のアゴニストとして機能する本発明の融合タンパク質およびコンジュゲート分子を、哺乳動物などの動物、例えば、ヒトに投与することにより、疾患、障害、または感染に関連する1以上の症状を治療、予防、または改善することができる。
1以上の融合タンパク質およびコンジュゲート分子を治療薬として身体に局所的にまたは全身的に使用することができる。また、本発明の融合タンパク質およびコンジュゲート分子は、例えば、抗体と相互作用するエフェクター細胞の数または活性を増加する働きをする、モノクローナルもしくはキメラ抗体、またはリンホカインもしくは造血成長因子(例えば、IL-2、IL-3およびIL-7など)と組み合わせて用いることが有利でありうる。本発明の融合タンパク質およびコンジュゲート分子はまた、例えば、免疫応答を増加する働きをする、モノクローナルもしくはキメラ抗体、またはリンホカインもしくは造血成長因子(例えば、IL-2、IL-3およびIL-7など)と組み合わせて用いることが有利でありうる。さらにまた、例えば、抗癌剤、抗炎症剤もしくは抗ウイルス剤など、疾患、障害、もしくは感染を治療するのに用いられる1種以上の薬剤と本発明の融合タンパク質およびコンジュゲート分子を組み合わせて用いることも有利でありうる。抗癌剤の例として、限定するものではないが、イソプラチン、イフォスファミド、パクリタキセル、タキサン、トポイソメラーゼI阻害剤(例:CPT-11、トポテカン、9-AC、およびGG-211)、ゲムシタビン、ビノレルビン、オキサリプラチン、5-フルオロウラシル(5-FU)、ロイコボリン、ビノレルビン、テモダール、およびタキソールが挙げられる。抗ウイルス剤の例として、限定するものではないが、サイトカイン(例:IFN-α、IFN-β、IFN-γ)、逆転写酵素の阻害剤(例:AZT、3TC、D4T、ddC、ddI、d4T、3TC、アデフォビル、エファビレンツ、デラビルジン、ネビラピン、アバカビル、およびその他のジデオキシヌクレオシドもしくはジデオキシフルオロヌクレオシド)、ウイルスmRNAキャッピングの阻害剤、例えば、リバビリン、プロテアーゼの阻害剤、例えば、HIVプロテアーゼ阻害剤(例:アンプレナビル、インジナビル、ネルフィナビル、リトナビル、およびサキナビル)、アンホテリシンB、糖タンパク質プロセシング阻害剤としてのカスタノスペルミン、ノイラミダーゼの阻害剤、例えば、インフルエンザウイルスノイラミダーゼ阻害剤(例:ザナミビルおよびオセルタミビル)、トポイソメラーゼI阻害剤(例:カンポトテシンおよびその類似体)、アマンタジン、およびリマンタジンが挙げられる。抗炎症剤の例として、限定するものではないが、非ステロイド性抗炎症剤、例えば、COX-2阻害剤(例:メロキシカム、セレコキシブ、レフェコキシブ、フロスリド、ならびにSC-58635、およびMK-966)、イブプロフェンおよびインドメタシン、ならびに、ステロイド(例:デフラザコルト、デキサメタゾンおよびメチルプレドニゾロン)が挙げられる。5.8 抗体または融合タンパク質の投与
本発明は、抗体、融合タンパク質、もしくはコンジュゲート分子、または抗体、融合タンパク質、もしくはコンジュゲート分子を含む医薬組成物、の有効量を被験者に投与することにより、疾患、障害、もしくは感染に関連する1以上の症状を治療、予防または改善する方法を提供する。好ましい態様では、抗体、融合タンパク質もしくはコンジュゲート分子は、実質的に精製されている(すなわち、その効果を制限する、または不要な副作用を生じる物質を実質的に含まない)。具体的実施形態では、被験者は、動物、例えば、哺乳動物、例えば、非霊長類(例:ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラットなど)、ならびに霊長類(例:カニクイザルのようなサルおよびヒト)である。好ましい実施形態では、被験者はヒトである。
様々な送達系が公知であり、これらを本発明のポリペプチドを投与するのに用いることができるが、このようなものとして、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル中でのカプセル化、抗体または融合タンパク質を発現することができる組換え細胞、受容体媒介のエンドサイトーシス(例えば、WuおよびWu, J. Biol. Chem., 262:4429-4432, 1987を参照)、レトロウイルスまたはその他のベクターの一部としての核酸の構築などが挙げられる。抗体、融合タンパク質もしくはコンジュゲート分子、または医薬組成物を投与する方法としては、限定するものではないが、非経口投与(例:皮内、筋内、腹腔内、静脈内および皮下)、硬膜外、および粘膜(例:鼻内(例えば、WO 03/086443を参照;尚、この文献は、参照として全文を本明細書に組み込む)、および経口投与)挙げられる。具体的実施形態では、抗体、融合タンパク質もしくはコンジュゲート分子、または医薬組成物を筋内、静脈内または皮下投与する。組成物は、全身的または局所的のどちらでも、好都合な経路のいずれか、例えば、注入もしくはボーラス注射、または上皮内層もしくは粘膜皮膚内層(例:口腔粘膜、直腸および腸粘膜など)を介した吸収により、投与してもよいし、また、別の生物活性物質と一緒に投与してもよい。投与は全身的または局所的であることができる。加えて、例えば、吸入器またはネブライザーの使用、ならびにエアロゾル化剤との製剤化により、肺投与も使用することが可能である。例えば、米国特許第6,019,968号;第5,985,320号;第5,985,309号;第5,934,272号;第5,874,064号;第5,855,913号;第5,290,540号;および第4,880,078号;ならびにPCT公開番号WO 92/19244;WO 97/32572;WO 97/44013;WO 98/31346;WO 99/66903、WO 04/058156、WO 03/087339、WO 03/087335およびWO 03/087327(これらは各々、参照としてその全文を本明細書に組み込む)を参照されたい。このような肺もしくは鼻内またはその他の粘膜投与を使用して、本発明の抗体または融合タンパク質もしくはコンジュゲート分子を全身的に送達することができる。好ましい
実施形態では、Alkerms AIR(商標)薬剤肺送達技術(Alkermes, Inc.、Cambridge, Mass)を用いて、抗体、融合タンパク質、コンジュゲート分子、または医薬組成物を投与する。
本発明ではまた、ポリペプチドを密封容器、例えば、分子、例えば、抗体、融合タンパク質、またはコンジュゲート分子、の量を表示したアンプルまたはサシェット中にパッケージングしてもよい。一実施形態では、抗体、融合タンパク質、もしくはコンジュゲート分子は、密封容器中に、乾燥した滅菌凍結乾燥粉末または無水濃縮物として供給し、被験者への投与のために適切な濃度となるよう、例えば、水または食塩水で、再構成することができる。抗体、融合タンパク質、またはコンジュゲート分子は、密封容器中に、少なくとも5 mg、少なくとも10 mg、少なくとも15 mg、少なくとも25mg、少なくとも35 mg、少なくとも45 mg、少なくとも50 mg、または少なくとも75 mgの単位用量で、乾燥した滅菌凍結乾燥粉末として供給することができる。凍結乾燥した抗体、融合タンパク質、またはコンジュゲート分子は、その本来の容器中に2℃〜8℃で保存することができ、また、これらの抗体、融合タンパク質、またはコンジュゲート分子は、再構成後、12時間以内、6時間以内、5時間以内、3時間以内、または1時間以内に投与することができる。別の実施形態では、抗体、融合タンパク質、またはコンジュゲート分子は、抗体、融合タンパク質、またはコンジュゲート分子の量および濃度を表示した密封容器中に液体の状態で供給する。液体状態の抗体、融合タンパク質、またはコンジュゲート分子は、密封容器中に、少なくとも1 mg/ml、 少なくとも2.5 mg/ml、少なくとも5 mg/ml、少なくとも8 mg/ml、少なくとも10 mg/ml、少なくとも15 mg/kgまたは、少なくとも25 mg/mlで供給することができる。
一実施形態では、本発明の組成物を治療が必要な部位に局所投与するのが望ましく、これは、限定するものではないが、例えば、局所注入、注射により、またはインプラントを用いて達成することができる。このインプラントは、多孔性、非多孔性、またはゼラチン状の材料であり、例えば、シリコン膜(sialastic membrane)のような膜、もしくは繊維などが挙げられる。抗体または融合タンパク質を投与する際には、抗体または融合タンパク質が吸収されないような材料を用いるよう注意しなければならない。
別の実施形態では、組成物を小胞、特にリポソーム内で送達することができる(Langer, Science, 249:1527-1533, 1990;Treatら、Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer, Lopez-Berestein and Fidler(編)、Liss, New York, pp. 353-365 (1989); Lopez-Berestein, 同上、pp. 3 17-327を参照;概要については同上参照)。
さらに別の実施形態では、制御放出または持続放出系で組成物を送達することができる。当業者には公知のあらゆる技術を用いて、1種以上の抗体、または1種以上の融合タンパク質を含む除放性製剤を製造することができる。例えば、以下の文献を参照されたい:米国特許第4,526,938号;PCT公開WO 91/05548;PCT公開WO 96/20698;Ningら、「Intratumoral Radioimmunotheraphy of a Human Colon Cancer Xenograft Using a Sustained-Release Gel」 Radiotherapy & Oncology, 39:179-189, 1996;Songら、「Antibody Mediated Lung Targeting of Long-Circulating Emulsions」 PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology, 50:372-397, 1995; Cleekら、「Biodegradable Polymeric Carriers for a bFGF Antibody for Cardiovascular Application」 Pro. Intl. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater., 24:853-854, 1997;およびLamら、「Microencapsulation of Recombinant Humanized Monoclonal Antibody for Local Delivery」 Proc. Int'l. Symp. Control Rel. Bioact. Mater., 24:759-760, 1997(これらは各々、参照としてその全文を本明細書に組み込む)。一実施形態では、制御放出系にポンプを用いてもよい(Langer、前掲;Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng., 14:20, 1987;Buchwaldら、Surgery, 88:507, 1980;およびSaudekら、N. Engl. J. Med., 321:574, 1989を参照)。別の実施形態では、ポリマー材料を用いて、抗体または融合タンパク質の制御放出を達成することができる(例えば、Medical Applications of Controlled Release, LangerおよびWise(編)、CRC Pres., Boca Raton, Fla. (1974);Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, SmolenおよびBall(編)、Wiley, N.Y. (1984); RangerおよびPeppas, J., Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem., 23:61, 1983を参照;また、Levyら、Science, 228:190, 1985;Duringら、Ann. Neurol., 25:351, 1989;Howardら、J. Neurosurg., 7 1:105, 1989); 米国特許第5,679,377号;米国特許第5,916,597号;米国特許第5,912,015号;米国特許第5,989,463号;米国特許第5,128,326号;PCT 公開番号WO 99/15154;ならびに、PCT公開番号WO 99/20253も参照)。さらに別の実施形態では、制御放出系を治療標的(例えば、肺)の近傍に配置することもでき、これにより、全身用量の1部のみが必要となる(例えば、Goodson, Medical Applications of Controlled Release、前掲、第2巻、115-138 (1984)参照)。
その他の制御放出系については、Langerによる総説(Science, 249:1527-1533, 1990)に記載されている。
一実施形態では、本発明の組成物が、抗体または融合タンパク質をコードする核酸である場合、この核酸をin vivoで投与して、そのコードされた抗体または融合タンパク質の発現を促進することができ、その際、適切な核酸発現ベクターの一部として前記核酸を構築し、これを細胞内になるように投与することによって、例えば、レトロウイルスベクターを用いることによって(米国特許第4,980,286号を参照)、またはも直接注射によって、または微粒子ボンバードメント(例えば、遺伝子銃;Biolistic、Dupont)、もしくは脂質もしくは細胞表面受容体もしくはトランスフェクト剤でのコーティングを用いることによって、または核に進入することがわかっているホメオボックス様ペプチドと上記核酸を結合させて投与することによって(例えば、Joliotら、Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、88:1864-1868, 1991参照)、達成することができる。上記以外にも、発現のために、核酸を細胞内に導入し、相同性組換えにより宿主細胞DNA内に組み込むことができる。
本発明はまた、医薬組成物も提供する。このような組成物は、予防または治療に有効な量の、抗体、融合タンパク質、またはコンジュゲート分子と、製薬的に許容される担体を含む。具体的実施形態では、用語「製薬的に許容される」とは、動物、さらに具体的にはヒトにおける使用について、連邦もしくは州政府の規制当局により承認されているか、または米国薬局方もしくはその他の一般に認識されている薬局方に記載されていることを意味する。用語「担体」とは、希釈剤、アジュバント(例えば、フロイント完全および不完全アジュバント、水酸化アルミニウムのような無機ゲル、リゾレシチンのような界面活性物質、プルロニック(pluronic)ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油性エマルション、キーホールリンペットヘモシニン、ジニトロフェノール、ならびに、BCG(カルメット−ゲラン桿菌)およびコリネバクテリウム・パルバム(Corynebacterium parvum)のようなヒトに対して有用と考えられるアジュバント、賦形剤、または治療薬の投与に用いられるビヒクルを指す。このような製剤用担体は、滅菌液体、例えば、水および油でよく、そのようなものとして、石油、動物、植物または合成由来のもの、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などが挙げられる。水は、医薬組成物を静脈内投与する場合に、望ましい担体でありうる。また、食塩水、ならびにデキストロースおよびグリセロール水溶液も、特に、注射液用の液体担体として用ることができる。好適な製剤用賦形剤として、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、白亜、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。所望であれば、前記組成物は、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含んでもよい。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルション、錠剤、丸薬、カプセル、粉末、除放製剤などの形態を採ることができる。経口製剤には、標準的な担体、例えば、医薬グレードの、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリン酸ナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどを含有させることができる。好適な製剤用担体の例は、E. W. Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記載されている。このような組成物は、患者への適正な投与のための形態をもたらすような適量の担体と一緒に、好ましくは精製された形態の、予防または治療に有効な量の、抗体もしくはそのフラグメント、または融合タンパク質またはコンジュゲート分子を含む。製剤は、投与様式に適合するものでければならない。
一実施形態では、ヒトへの静脈内投与に適合させた医薬組成物として、慣用の方法に従い組成物を製剤化する。典型的には、静脈内投与用の組成物は、無菌の等張水性バッファー中の溶液である。必要であれば、組成物は、注射部位の痛みを緩和するために、可溶化剤およびリグノカインのような局所麻酔薬を含んでもよい。
本発明の組成物の成分は、単位投与剤形中に個別に、または混合して、例えば、活性物質の量を示すアンプルまたはサシェットのような密封容器中の、乾燥した凍結乾燥粉末または無水濃縮物として、供給することができる。組成物を注入により投与する場合には、滅菌医薬グレードの水または食塩水を含む注入瓶を用いて、組成物を分散させることができる。組成物を注射により投与する場合には、投与前に成分を混合できるように、注射用滅菌水または食塩水のアンプルを提供することができる。肺(すなわち、吸入)または鼻内経路により組成物を投与する場合には、後に再構成される凍結乾燥粉末、または安定な液体製剤のいずれかをバイアルまたはシリンジもしくは噴霧器中に充填することができる。
本発明の組成物は中性または塩形態として製剤化することができる。製薬的に許容される塩としては、アニオン、例えば、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来するアニオンで形成されたもの、およびカチオン、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来するカチオンで形成されたものが挙げられる。
疾患、障害、または感染に関連する1以上の症状の治療、予防または改善に有効な本発明の組成物の量は、標準的な臨床技術により決定することができる。製剤に使用する正確な用量は、投与経路、被験者の年齢、ならびに、疾患、障害、または感染の重症度によって変わりうるため、医師の判断および各患者の状況に応じて決定すべきである。有効な用量は、in vitroまたは動物モデル(例えば、コトンラットまたはカニクイザル)試験系から取得した用量−応答曲線から推定することができる。
融合タンパク質の場合、被験者に投与する治療または予防に有効な用量は、体重1kg当たり約0.001〜50 mg/kg、約0.01〜25 mg/kg、約0.1〜20 mg/kg、または約1〜10 mg/kg、2〜9 mg/kg、3〜8 mg/kg、4〜7 mg/kg、または5〜6 mg/kgの範囲でよい。抗体の場合には、被験者に投与する治療または予防に有効な用量は、被験者の体重1kg当たり0.1 mg〜200 mg/kgでよい。被験者に投与する用量は、被験者の体重1kg当たり0.1 mg/kg〜20 mg/kg、または被験者の体重1kg当たり1 mg/kg〜10 mg/kgでよい。一般に、ヒト抗体およびヒト融合タンパク質は、外来ポリペプチドに対する免疫応答のために、他の種に由来する融合タンパク質の抗体と比較して、ヒト身体内での半減期が長い。
治療または予防に有効な量の、抗体、融合タンパク質、またはコンジュゲート分子を用いた被験者の治療は、単一の治療を含んでもよいし、一連の治療を含んでもよい。一例では、約1〜10週間、好ましくは2〜8週間、さらに好ましくは約3〜7週間、さらにまた好ましくは約4、5もしくは6週間の期間、毎週1回、約0.1〜30 mg/kg(体重)の範囲で、抗体、融合タンパク質、またはコンジュゲート分子を用いて被験者を治療する。別の実施形態では、本発明の医薬組成物は、1日1回、1日2回、1日3回投与する。別の実施形態では、週1回、週2回、2週間に1回、月1回、6週間に1回、2ヶ月に1回、年2回、もしくは毎年1回、医薬組成物を投与する。また、治療に用いる抗体、融合タンパク質、またはコンジュゲート分子の有効用量は、具体的治療の過程で増加または減少しうることも理解されよう。
5.8.1.遺伝子療法
一実施形態では、抗体または融合タンパク質をコードする配列を含む核酸を投与して、遺伝子療法により、疾患、障害、または感染に関連する1以上の症状を治療、予防または改善する。遺伝子療法とは、発現した、または発現可能な核酸を被験者に投与することにより実施される療法を意味する。本発明のこの実施形態では、核酸により、治療または予防効果を媒介する、コードされた抗体または融合タンパク質が産生される。
本発明によれば、当分野で利用可能なあらゆる遺伝子療法のための方法を用いることができる。その方法の例を以下に記載する。
遺伝子療法の概論については、Goldspielら、Clinical Pharmacy, 12:488-505, 1993; WuおよびWu, Biotherapy, 3:87-95, 1991;Tolstoshev, Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol., 32:573-596, 1993;Mulligan, Science, 260:926-932, 1993;ならびにMorganおよびAnderson, Ann. Rev. biochem. 62:191-217, 1993;TIBTECH 11(5):155-215, 1993を参照されたい。用いることができる組換えDNA技術について、当分野で一般的に知られる方法は、Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY (1993);およびKriegler, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NY (1990)を参照されたい。
一態様では、本発明の組成物は、抗体をコードする核酸を含むが、その際、この核酸は、好適な宿主において上記抗体を発現する発現ベクターの一部である。具体的には、このような核酸は、抗体コード領域に機能的に結合したプロモーター、好ましくは異種プロモーターを有し、その際、このプロモーターは、誘導性または構成的であり、随意に組織特異的である。別の態様では、抗体コード配列と、所望する他の任意の配列とが、ゲノム中の所望の部位で相同性組換えを促進する領域によりフランキングされている核酸分子を用い、これによって、抗体コード核酸の染色体内発現を生じる(KollerおよびSmithies, Proc. Natl. Acad. Sci.米国、86:8932-8935, 1989;およびZijlstraら、Nature, 342:435-438, 1989)。
別の態様では、本発明の組成物は、融合タンパク質をコードする核酸を含み、この核酸は、好適な宿主において上記融合タンパク質を発現する発現ベクターの一部である。具体的には、このような核酸は、融合タンパク質のコード領域に機能的に結合したプロモーター、好ましくは異種プロモーターを有し、このプロモーターは、誘導性または構成的であり、随意に組織特異的である。別の具体的実施形態では、融合タンパク質のコード配列と、所望する他の任意の配列とが、ゲノム中の所望の部位で相同性組換えを促進する領域によりフランキングされている核酸分子を用い、これによって、融合タンパク質コード核酸の染色体内発現を生じる。
被験者への核酸の送達は、直接または間接のいずれでもよく、直接の場合には、被験者を核酸または核酸担持ベクターに直接暴露し、また間接の場合には、まず、上記核酸で細胞をin vitroで形質転換してから、被験者に移植する。これら2つの手法は、それぞれ、in vivoまたはex vivo遺伝子療法として知られている。
一実施形態では、核酸配列をin vivoで直接投与し、そこでこれを発現させて、コード産物を産生させる。これは、当分野で公知の多数の方法のいずれか、例えば、適切な核酸発現ベクターの一部として核酸配列を構築し、これらが細胞内になるように投与することによって、例えば、欠損もしくは弱毒化レトロウイルスまたはその他のウイルスベクターを用いた感染によって(米国特許第4,980,286号を参照)、またはネイキッドDNAの直接注射によって、または微粒子ボンバードメント(例えば、遺伝子銃;Biolistic、Dupont)、もしくは脂質もしくは細胞表面受容体もしくはトランスフェクト剤でのコーティングを用いることによって、または、リポソーム、微粒子、もしくはマイクロカプセル中でのカプセル化によって、、投与することにより、あるいは核に進入することがわかっているペプチドと上記核酸配列を結合させて投与することにより、あるいは受容体媒介のエンドサイトーシスを受けるリガンドと結合させて投与することにより(例えば、WuおよびWu, J. Biol. Chem., 262:4429-4432, 1987を参照)(これを用いて、受容体を特異的に発現する細胞型を標的化することができる)、達成することができる。別の実施形態では、リガンドが融合性ウイルスペプチドを含む、核酸−リガンド複合体を形成することにより、エンドソームを破壊し、それによって核酸がリソソームによる分解を受けないようにすることができる。さらに別の実施形態では、特定の受容体を標的化することにより細胞特異的な取込みおよび発現のために核酸をin vivoで標的化することができる(例えば、PCT公開WO 92/06180;WO 92/22635;WO 92/20316;WO 93/14188;WO 93/20221を参照)。上記以外にも、相同性組換えにより、核酸を細胞内に導入し、宿主細胞DNA内に組み込んで、発現させることもできる(KollerおよびSmithies, Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、86:8932-8935, 1989;およびZijlstraら、Nature, 342:435-438, 1989参照)。
一実施形態では、抗体または融合タンパク質をコードする核酸配列を含むウイルスベクターを用いることができる。例えば、レトロウイルスベクターを用いることができる(Millerら、Meth. Enzymol., 217:581-599, 1993参照)。これらのレトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムの正しいパッケージングおよび宿主細胞DNA中への組込みに必要な成分を含んでいる。遺伝子療法で用いようとする抗体または融合タンパク質をコードする核酸配列を、1以上のベクターにクローニングすることにより、該ヌクレオチド配列を被験者に送達するのを容易にする。レトロウイルスベクターについてさらに詳しくは、Boesenら、Biotherapy, 6:291-302, 1994に見いだすことができ、ここには、レトロウイルスベクターを用いて、造血幹細胞にmdr1遺伝子を送達することにより、この幹細胞を化学療法に対してより耐性にすることが記載されている。遺伝子療法におけるレトロウイルスベクターの使用を記載するその他の参考文献を以下に挙げる:Clowesら、J. Clin. Invest., 93:644-651, 1994;Kleinら、Blood 83:1467-1473, 1994;SalmonsおよびGunzberg, Human Gene Therapy, 4:129-141, 1993;ならびにGrossmanおよびWilson, Curr. Opin. Genetics and Devel., 3:110-114, 1993。
アデノウイルスは、遺伝子療法で用いることができる別のウイルスベクターである。アデノウイルスは、呼吸器上皮に遺伝子を送達するための魅力的なビヒクルでありうる。アデノウイルスは、呼吸器上皮に自然感染し、そこで軽度の疾患を引き起こす。アデノウイルスベースの送達系の他の標的として、肝臓、神経中枢系、内皮細胞、および筋肉が挙げられる。アデノウイルスは、非分裂細胞に感染することができるという利点がある。KozarskyおよびWilson, Current Opinion in Genetics and Development, 3:499-503, 1993は、アデノウイルスベースの遺伝子療法についての概要を示している。Boutら、Human Gene Therapy, 5:3-10, 1994には、アカゲザルの呼吸器上皮に遺伝子を移入するためのアデノウイルスベクターの使用が立証されている。遺伝子療法にアデノウイルスを使用する他の例は、Rosenfeldら、Science, 252:431-434, 1991;Rosenfeldら、Cell, 68:143-155, 1992;Mastrangeliら、J. Clin. Invest., 91:225-234, 1993;PCT公開WO 94/12649;ならびにWangら、Gene Therapy, 2:775-783, 1995に記載されている。好ましい実施形態では、アデノウイルスベクターを使用する。
また、遺伝子療法に使用するのに、アデノ関連ウイルス(AAV)も提案されている(例えば、Walshら、Proc. Soc. Exp. Biol. Med., 204:289-300, 1993, および米国特許第5,436,146号を参照)。
遺伝子療法のための別の手法は、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、またはウイルス感染などの方法により組織培養中の細胞に遺伝子を移入することを含む。これらの移入方法は、選択マーカーを細胞に移入することを含む場合もある。次いで、細胞を選択下に置くことにより、移入した遺伝子を取り込んだ後、これを発現している細胞を単離することができる。次いで、これらの細胞を被験者に送達することができる。
一実施形態では、細胞に核酸を導入した後、得られた組換え細胞をin vivoで投与することができる。このような導入は、当分野で公知のあらゆる方法により実施することができ、そのような方法として、限定するものではないが、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、上記核酸配列を含むウイルスまたはバクテリオファージベクターによる感染、細胞融合、染色体媒介による遺伝子移入、ミクロセル媒介による遺伝子移入、スフェロプラスト融合などが挙げられる。当分野では、外来遺伝子を細胞に導入する多数の技術が知られており(例えば、LoefflerおよびBehr, Meth. Enzymol., 217:599-618, 1993;Cohenら、Meth. Enzymol., 217:618-644, 1993;ならびにClin. Pharma. Ther., 29:69-92, 1985参照)、レシピエント細胞の必要な発生および生理学的機能が破壊されなければ、これらの方法を本発明に従って用いることができる。このような技術は、核酸が細胞により発現可能になるように、核酸を細胞に安定に移入できるものでなければならない。また、安定な移入は、遺伝可能でかつその細胞子孫により発現可能でありうる。
得られた組換え細胞は、当分野で公知の様々な方法により被験者に送達することができる。組換え血液細胞(例えば、造血幹細胞または前駆細胞)を静脈内投与するのが好ましい。使用に想定される細胞の量は、所望の効果、患者の状態などにより左右され、当業者が決定することができる。
遺伝子療法のために核酸を導入することができる細胞には、あらゆる所望の、入手可能な細胞種が含まれ、限定するものではないが、上皮細胞、内皮細胞、角質細胞、繊維芽細胞、筋細胞、肝細胞;血液細胞、例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、巨核球、顆粒球;様々な幹細胞または前駆細胞、造血幹細胞または前駆細胞、例えば、骨髄、臍帯血、末梢血液、胎児肝臓から得られるものなどが挙げられる。
さらに、遺伝子療法に用いられる細胞は、被験者自身に由来するものであってもよい。
遺伝子療法に組換え細胞を用いる一実施形態では、抗体または融合タンパク質をコードする核酸配列を細胞に導入して、該細胞またはその子孫により上記核酸が発現可能になるようにした後、これらの組換え細胞をin vivoで投与することにより、治療効果を得る。具体的実施形態では、幹細胞または前駆細胞を用いる。単離して、in vitroで維持することができるものであれば、どんな幹細胞および/または前駆細胞でも本発明の実施形態に従って用いることができる(例えば、PCT公開WO 94/08598;StempleおよびAnderson, Cell, 7 1:973-985, 1992;Rheinwald, Meth. Cell Bio., 21A:229, 1980;ならびにPittelkowおよびScott, Mayo Clinic Proc., 61:771, 1986を参照)。
具体的実施形態では、遺伝子療法のために導入しようとする核酸は、転写の適切な誘導物質の存在または非存在を制御することにより核酸の発現が制御できるように、コード領域に機能的に結合した誘導性プロモーターを含んでもよい。
5.9 治療または予防有用性の特性決定および証明
様々な方法で、本発明の抗体、融合タンパク質、およびコンジュゲート分子を特性決定することができる。具体的には、抗原に免疫特異的に結合する能力について、本発明の抗体をアッセイすることができる。このようなアッセイは、溶液中(例えば、Houghten, Bio/Techniques, 13:412-421, 1992)、ビーズ上(Lam, Nature, 354:82-84, 1991)、チップ上(Fodor, Nature, 364:555-556, 1993)、細菌上(米国特許第5,223,409号)、胞子上(米国特許第5,571,698号;第5,403,484号;および第5,223,409号)、プラスミド上(Cullら、Proc. Natl. Acad. Sci. 米国、89:1865-1869, 1992)またはファージ上(ScottおよびSmith, Science, 249:386-390, 1990;Devlin, Science, 249:404-406, 1990;Cwirlaら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6378-6382, 1990;ならびにFelici, J. Mol. Biol., 222:301-310, 1991)で実施することができる(上記参照文献の各々は、参照としてその全文を本明細書に組み込む)。抗原またはその断片に免疫特異的に結合することが確認された抗体は、次に、該抗原に対するその特異的アフィニティーについてアッセイすることができる。
本発明の抗体またはそのフラグメントは、当分野で公知のあらゆる方法により、抗原との免疫特異的結合、および他の抗原との交差反応性についてアッセイすることができる。免疫特異的結合および交差反応性を分析するのに用いることができるイムノアッセイとして、限定するものではないが、例えばウェスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合イムノソルベントアッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル内拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射定量アッセイ、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイのような技術を用いた競合的および非競合的アッセイ系、などが挙げられる。このようなアッセイは等分野で慣用かつ周知である(例えば、Ausubelら(編)、1994, Current Protocols in Molecular Biology, 第1巻、John Wiley & Sons, Inc., New Yorkを参照;尚、この文献は、参照としてその全文を本明細書に組み込む)。例示的なイムノアッセイについて以下に簡単に説明する(しかし、限定を意図するわけではない)。
免疫沈降プロトコルは一般に、タンパク質ホスファターゼおよび/またはプロテアーゼ阻害剤(例えば、EDTA、PMSF、アプロチニン、バナジウム酸ナトリウム)を補充した溶解バッファー、例えば、RIPAバッファー(1%NP-40またはTriton X-100、1%デオキシコール酸ナトリウム、0.1%SDS、0.15M NaCl、0.01Mリン酸ナトリウム(pH7.2)、1%Trasylol)中で細胞の集団を溶解させ、この細胞溶解物に目的の抗体を添加し、40℃で所定時間(例えば、1〜4時間)インキュベートし、プロテインAおよび/またはプロテインGセファロースビーズを該細胞溶解物に添加し、40℃で約1時間以上インキュベートし、溶解バッファー中でビーズを洗浄し、SDS/サンプルバッファー中にビーズを再懸濁させることを含む。目的の抗体が特定の抗原を免疫沈降させる能力は、例えばウェスタンブロット分析により、評価することができる。当業者であれば、抗原と抗体の結合を増加し、バックグラウンドを低減するように変更することができるパラメーターについては熟知しているであろう(例えば、セファロースビーズで細胞溶解物を前清浄する)。免疫沈降プロトコルに関するさらなる議論については、Ausubelら(編)、1994, Current Protocols in Molecular Biology, 第1巻、John Wiley & Sons, Inc., New York at 10.16.1を参照されたい。
ウェスタンブロット分析は、一般に、タンパク質サンプルを調製し、ポリアクリルアミドゲル(例えば、抗原の分子量に応じて8%〜20%SDS-PAGE)中でこのタンパク質サンプルの電気泳動を実施し、タンパク質サンプルをポリアクリルアミドゲルから、ニトロセルロース、PVDFまたはナイロンのような膜に転写し、この膜をブロッキング溶液(例えば、3%BSAまたは無脂肪乳を含むPBS)中でブロッキングし、洗浄バッファー(例えば、PBS-Tween 20)中で膜を洗浄し、ブロッキングバッファーで希釈した一次抗体(目的の抗体)で上記膜をブロッキングし、洗浄バッファー中で上記膜を洗浄し、ブロッキングバッファーで希釈した酵素基質(例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)または放射性分子(例えば、.sup.32Pもしくは125I)にコンジュゲートさせた二次抗体(一次抗体、例えば、抗ヒト抗体を認識する)で上記膜をブロッキングし、洗浄バッファー中で上記膜を洗浄し、上記抗原の存在を検出することを含む。当業者であれば、検出されるシグナルを増加し、バックグラウンドノイズを低減するように変更することのできるパラメーターについて熟知しているであろう。ウェスタンブロットプロトコルに関するさらなる議論については、例えば、Ausubelら(編)、1994, Current Protocols in Molecular Biology, 第1巻、John Wiley & Sons, Inc., New York 10.8.1を参照されたい。
ELISAは、抗原を調製し、96ウェルマイクロタイタープレートのウェルにこの抗原をコーティングし、酵素基質(例えば、セイヨウワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)のような検出可能な化合物にコンジュゲートさせた目的の抗体を上記ウェルに添加し、所定時間インキュベートし、上記抗原の存在を検出することを含む。ELISAの場合、検出可能な化合物に目的の抗体をコンジュゲートさせなくてもよく、その代わり、検出可能な化合物にコンジュゲートさせた二次抗体(目的の抗体を認識する)を上記ウェルに添加してもよい。さらに、抗原をウェルにコーティングする代わりに、抗体をウェルにコーティングしてもよい。この場合、コーティング済のウェルに目的の抗原を添加した後、検出可能な化合物にコンジュゲートさせた二次抗体を添加してもよい。当業者であれば、検出されるシグナルを増加するように変更することのできるパラメーター、ならびに当分野で公知のELISAのその他の変更について熟知しているであろう。ELISAに関するさらなる議論については、例えば、Ausubelら(編)、1994, Current Protocols in Molecular Biology, 第1巻、John Wiley & Sons, Inc., New York 11.2.1を参照されたい。
抗原に対する抗体の結合アフィニティー、および抗体−抗原相互作用の解離速度は、競合的結合アッセイにより決定することができる。競合的結合アッセイの一例として、増加する量の非標識抗原の存在下で、目的の抗体と一緒に、標識抗原(例えば、3Hまたは125I)をインキュベートし、標識抗原に結合した抗体を検出することを含むラジオイムノアッセイが挙げられる。抗原に対する本発明の抗体またはそのフラグメントのアフィニティーおよび結合解離速度は、スキャッチャード分析により飽和データから決定することができる。また、ラジオイムノアッセイを用いて、二次抗体との競合も測定することができる。この場合、増加する量の非標識二次抗体の存在下で、標識化合物(例えば、3Hまたは125I)にコンジュゲートさせた本発明の抗体またはそのフラグメントと一緒に、抗原をインキュベートする。
一実施形態では、BIAcore動態分析を用いて、抗原に対する抗体の結合および解離速度を決定することができる。BIAcore動態分析は、その表面に固定化抗体を含むチップからの、抗原のの結合および解離を分析することを含む(以下の実施例の節を参照)。
抗体、融合タンパク質、およびコンジュゲート分子が、抗原とその宿主細胞受容体との結合を阻害する能力についても、当業者には公知の技術を用いてアッセイすることができる。例えば、ウイルス抗原の受容体を発現する細胞を、抗体の存在または非存在下でウイルスと接触させ、この抗体がウイルス抗原の結合を阻害する能力を、例えば、フローサイトメトリーまたはシンチレーションカウンターにより測定することができる。検出可能な化合物、例えば、放射性標識(例:.sup.32P、.sup.35S、および125I)、または蛍光標識(例:フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルデヒドおよびフルオレサミン)で、抗原または抗体を標識することにより、抗原とその宿主細胞受容体間の相互作用を検出することも可能である。あるいは、抗原がその受容体に結合するのを阻害する抗体の能力を無細胞アッセイで決定することもできる。例えば、ウイルスまたはウイルス抗原(例えば、RSV F糖タンパク質)を無細胞アッセイにおいて抗体と接触させて、ウイルスまたはウイルス抗原がその宿主細胞受容体に結合するのを阻害する上記抗体の能力を決定することができる。抗体を固体支持体に固定化し、抗原を検出可能な化合物で標識することができる。これに代わり、抗原を固体支持体に固定化し、抗体を検出可能な化合物で標識することもできる。抗原は、部分的または完全に精製された(例えば、他のポリペプチドを部分的または完全に含まない)ものであっても、細胞溶解物の一部であってもよい。さらに、抗原は、ウイルス抗原と、グルタチオニン-S-トランスフェラーゼのようなドメインとを含む融合タンパク質であってもよい。あるいはまた、当業者には周知の技術(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chamicals;Rockford、Ill.)を用いて、抗原をビオチン化してもよい。
また、抗体、融合タンパク質、およびコンジュゲート分子がウイルスまたは細菌複製を阻害または下方調節する能力についても、当業者には公知の技術を用いてアッセイすることができる。例えば、ウイルス複製は、例えば、Johnsonら、Journal of Infectious Diseases, 176:1215-1224, 1997により記載されているようなプラークアッセイによりアッセイすることができる。さらに、抗体、融合タンパク質、およびコンジュゲート分子がウイルスまたは細菌ポリペプチドの発現を阻害または下方調節する能力についてアッセイすることもできる。当業者に公知の技術、例えば、限定するものではないが、ウェスタンブロット分析、ノーザンブロット分析、およびRT-PCRなどを用いて、ウイルスまたは細菌ポリペプチドの発現を測定することができる。さらには、本発明の抗体、融合タンパク質、およびコンジュゲート分子がシンシチウムの形成を阻止する能力についてアッセイすることもできる。
抗体、融合タンパク質、コンジュゲート分子、および組成物をヒトに使用する前に、in vitroで試験し、次に、所望の治療または予防活性についてin vivoで試験することができる。例えば、本発明の特定の抗体、特定の融合タンパク質、特定のコンジュゲート分子、または組成物の投与が望ましいか否かを決定するのに用いることができるin vitroアッセイには、被験者の組織サンプルを培養して増殖させ、抗体、融合タンパク質、コンジュゲート分子、または組成物に暴露させるか、もしくは投与した後、上記組織サンプルに対するこのような抗体、融合タンパク質、コンジュゲート分子、もしくは組成物の効果を観察する、in vitro細胞培養アッセイが含まれる。様々な具体的実施形態において、疾患または障害に関与する典型的な細胞種の細胞を用いて、in vitroアッセイを実施することにより、本発明の抗体、融合タンパク質、コンジュゲート分子、または組成物がこのような細胞種に対し所望の効果を有するか否かを判定することができる。抗体、融合タンパク質、コンジュゲート分子、または組成物は、ヒトへの投与の前に、in vitroアッセイおよび動物モデル系で試験することができる。
治療に用いる抗体、融合タンパク質、コンジュゲート分子、または組成物は、好適な動物モデル系、例えば、限定するものではないが、ラット、マウス、ウシ、サル、およびウサギなどにおいて、その毒性について試験することができる。抗体、融合タンパク質、コンジュゲート分子、もしくは組成物の毒性に関するin vivo試験のために、当分野で公知の任意の動物モデル系を用いてよい。
ウイルス感染の治療または予防における効力は、抗体、融合タンパク質、コンジュゲート分子、または組成物が、ウイルスの複製を阻害する、ウイルスの伝播を阻害する、ウイルスがその宿主に自身を樹立するのを阻止する、またはウイルス感染に関連する1以上の症状を予防、改善もしくは軽減する能力を検出することにより、明らかにすることができる。治療は、例えば、抗体、融合タンパク質、コンジュゲート分子、または組成物の投与後に、ウイルス負荷の低減、1以上の症状の改善、または死亡率および/または罹患率の減少が認められれば、治療効果があるとみなされる。また、抗体、融合タンパク質、コンジュゲート分子、または組成物がウイルス複製を阻害する、またはウイルス負荷を低減する能力について、これらをin vitroおよびin vivoアッセイで試験することもできる。
細菌感染の治療または予防における効力は、本発明の抗体、融合タンパク質、コンジュゲート分子、または組成物が、細菌の複製を阻害する、または細菌感染に関連する1以上の症状を予防、改善もしくは軽減する能力を検出することにより、明らかにすることができる。治療は、例えば、本発明の抗体、融合タンパク質、または組成物の投与後に、細菌数の減少、1以上の症状の改善、または死亡率および/または罹患率の減少が認められれば、治療効果があるとみなされる。
癌の治療における効力は、抗体、融合タンパク質、コンジュゲート分子、または組成物が、癌細胞の増殖または転移を阻害もしくは低減する、または癌に関連する1以上の症状を改善もしくは軽減する能力を検出することにより、明らかにすることができる。治療は、例えば、抗体、融合タンパク質、コンジュゲート分子、または組成物の投与後に、癌細胞の増殖または転移の低減、癌に関連する1以上の症状の改善、または死亡率および/または罹患率の減少が認められれば、治療効果があるとみなされる。抗体、融合タンパク質、または組成物が腫瘍形成を阻害する能力について、これらをin vitro、ex vivoおよびin vivoアッセイで試験することができる。
炎症性疾患の治療における効力は、抗体、融合タンパク質、コンジュゲート分子、または組成物が、動物における炎症を軽減もしくは阻害する、または炎症性疾患に関連する1以上の症状を改善もしくは軽減する能力を検出することにより、明らかにすることができる。治療は、例えば、抗体、融合タンパク質、コンジュゲート分子、または組成物の投与後に、炎症の軽減、または1以上の症状の改善が認められれば、治療効果があるとみなされる。
抗体、融合タンパク質、コンジュゲート分子、または組成物が、サイトカイン(例えば、IFN-α、IFN-β、IFN-γ、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12、およびIL-15)ならびに活性化マーカー(例えばCD28、ICOS、およびSLAM)の発現を誘導する能力について、in vitroおよびin vivoアッセイで試験することができる。当業者には公知の技術を用いて、サイトカインおよび活性化マーカーの発現レベルを測定することができる。例えば、サイトカインの発現レベルは、例えば、RT-PCRおよびノーザンブロット分析により、およびサイトカインのレベルを分析することにより(例えば、免疫沈降後のウェスタンブロット分析もしくはELISAによる)、測定することができる。
抗体、融合タンパク質、コンジュゲート分子、または組成物が、免疫細胞、例えば、ヒト免疫細胞(例:T細胞、B細胞、およびナチュラルキラー細胞)の生物活性をモジュレートする能力について、in vitroおよびin vivoアッセイで試験することができる。抗体、融合タンパク質、コンジュゲート分子、または組成物が、免疫細胞の生物活性をモジュレートする能力は、抗原の発現を検出する、免疫細胞の増殖を検出する、シグナル伝達分子の活性化を検出する、免疫細胞のエフェクター機能を検出する、または免疫細胞の分化を検出する、ことにより評価することができる。当業者には公知の技術を用いてこれらの活性を測定することができる。例えば、細胞増殖は、3H-チミジン取込みアッセイおよびトリパンブルーによる細胞数カウントによりアッセイすることができる。抗原発現は、例えば、イムノアッセイによりアッセイすることができ、このようなアッセイとして、限定するものではないが、ウェスタンブロット、免疫組織化学、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合イムノソルベントアッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル内拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射定量アッセイ、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイおよびFACS分析のような技術を用いた競合的および非競合的アッセイ方法が挙げられる。シグナル伝達分子の活性化は、例えば、キナーゼアッセイおよび電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)によりアッセイすることができる。
また、抗体、融合タンパク質、コンジュゲート分子、または組成物が、疾患、障害、もしくは感染に罹患した、哺乳動物などの動物、例えばヒト、の生存期間を少なくとも25%、好ましくは少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、または少なくとも99%増加する能力について、試験することもできる。さらに、抗体、融合タンパク質、コンジュゲート分子、または組成物が、疾患、障害、もしくは感染に罹患した、哺乳動物などの動物、例えばヒト、の入院期間を少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、または少なくとも99%短縮する能力について、試験することもできる。当業者には公知の技術を用いて、本発明の抗体または組成物の機能をin vivoで分析することができる。
5.10 抗体および融合タンパク質の診断用途
標識した抗体、融合タンパク質、およびコンジュゲート分子を診断目的に用いて、疾患、障害、もしくは感染を検出、診断、またはモニターすることができる。本発明は、疾患、障害、もしくは感染の検出または診断のために提供され、(a)抗原に免疫特異的に結合する1種以上の抗体を用いて、被験者の細胞または組織サンプルにおける抗原の発現をアッセイするステップと、(b)対照レベル、例えば、正常な組織サンプルにおけるレベルと、上記抗原のレベルを比較するステップとを含み、それによって、対照の抗原レベルと比較して、アッセイした抗原レベルが増加していれば、疾患、障害、もしくは感染を示している。本発明はまた、疾患、障害、もしくは感染の検出または診断のために提供され、(a)抗原に結合する本発明の1以上の融合タンパク質またはコンジュゲート分子を用いて、被験者の細胞または組織サンプルにおける抗原の発現をアッセイするステップと、(b)対照レベル、例えば、正常な組織サンプルにおけるレベルと、上記抗原のレベルを比較するステップとを含み、それによって、対照の抗原レベルと比較して、抗原レベルが増加していれば、疾患、障害、もしくは感染を示している。従って、融合タンパク質またはコンジュゲート分子は、生物活性分子、例えば、リガンド、サイトカインもしくは成長因子、およびヒンジ-Fc領域もしくはその断片を含み、その際、融合タンパク質またはコンジュゲート分子は、検出しようとする抗原に結合することができる。
本明細書に記載する、または当業者には公知の古典的な免疫組織学的方法(例えば、Jalkanenら、J. Cell. Biol., 101:976-985, 1985;Jalkanenら、J. Cell. Biol., 105:3087-3096, 1987を参照)を用いて、生体サンプルにおける抗原レベルをアッセイすることができる。タンパク質遺伝子発現を検出するのに有用な、他の抗体ベースの方法として、イムノアッセイ、例えば、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA)が挙げられる。好適な抗体アッセイ標識は当分野において公知であり、そのような標識として、酵素標識、例えば、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、放射性同位体、例えば、ヨウ素(125I、131I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(121In)およびテクネチウム(99mTc);発光標識、例えば、ルミノール;ならびに蛍光標識、例えば、フルオレセインおよびローダミンが挙げられる。
例えば、SDS-PAGEおよび当業者には公知のイムノアッセイにより、融合タンパク質を用いて生体サンプルにおける抗原レベルをアッセイすることができる。
本発明の一態様は、ヒトにおける疾患、障害、もしくは感染の検出および診断である。一実施形態では、診断は、a)抗原に免疫特異的に結合する有効量の標識抗体を被験者に投与(例えば、非経口、皮下、もしくは腹腔内)するステップと、b)投与後に、被験者において、上記抗原が発現される部位に上記標識抗体を優先的に濃縮させる(かつ、非結合標識分子がバックグラウンドレベルまで清浄される)ための時間間隔を置くステップと、c)バックグラウンドレベルを決定するステップと;d)被験者における標識抗体を検出するステップとを含み、その結果、バックグラウンドレベルを超える標識抗体が検出されれば、上記被験者が疾患、障害、もしくは感染を有することを示す。この実施形態によれば、当業者には公知のイメージングシステムを用いて検出可能なイメージング部分で、抗体を標識する。バックグラウンドレベルは、特定の系について予め決定した標準値と、検出された標識分子の量とを比較することを含む、様々な方法により決定することができる。
別の実施形態では、診断は、a)抗原もしくは別の分子に結合する有効量の標識融合タンパク質またはコンジュゲート分子を被験者に投与(例えば、非経口、皮下、もしくは腹腔内)するステップと、b)投与後に、被験者において、上記抗原もしくは別の分子が発現される部位に上記標識融合タンパク質またはコンジュゲート分子を優先的に濃縮させる(かつ、非結合標識分子がバックグラウンドレベルまで清浄される)ための時間間隔を置くステップと、c)バックグラウンドレベルを決定するステップと;d)被験者における標識融合タンパク質またはコンジュゲート分子を検出するステップとを含み、その結果、バックグラウンドレベルを超える標識融合タンパク質が検出されれば、上記被験者が疾患、障害、もしくは感染を有することを示す。この実施形態によれば、融合タンパク質もしくはコンジュゲート分子は、生物活性分子、例えば、リガンド、サイトカインもしくは成長因子、およびヒンジ-Fc領域もしくはその断片を含み、その際、上記融合タンパク質もしくはコンジュゲート分子は、イメージング部分で標識され、検出しようとする抗原に結合することができる。
当業者には、被験者の大きさ、および用いるイメージングシステムにより、診断イメージを作成するのに必要なイメージング部分の量が決定されることは理解されよう。放射性同位体部分の場合、ヒト被験者では、注射される放射活性の量は、通常、約5〜20ミリキュリーの99mTcである。これに続いて、標識抗体は、特定のタンパク質を含む細胞の位置に優先的的に蓄積する。In vivo腫瘍イメージングについては、S. W. Burchielら、「Immunopharmacokinetics of Radiolabeled Antibodies and Their Fragments」 第13章 Tumor Imaging: The Radiochemical Detection of Cancer, S. W. Burchiel and B. A. Rhodes(編)、Masson Publishing Inc. (1982)に記載されている。
複数の変数、例えば用いる標識の種類および投与様式など、に応じて、被験者の部位に標識分子を優先的に濃縮させかつ非結合標識分子がバックグラウンドレベルまで清浄されるための投与後の時間間隔は、6〜48時間、または6〜24時間、または6〜12時間である。別の実施形態では、投与後の時間間隔は、5〜20日、または5〜10日である。
一実施形態では、疾患、障害、もしくは感染のモニタリングは、疾患、障害、もしくは感染を診断する方法を、例えば、初診から1ヶ月後、初診から6ヵ月後、初診から1年後等に繰り返すことにより実施する。
当分野において公知のin vivoスキャン方法を用いて、被験者における標識分子の存在を検出することができる。これらの方法は、用いる標識の種類に応じて変わってくる。当業者であれば、特定の標識を検出する適切な方法を決定することができる。本発明の診断方法に用いることができる方法および装置としては、限定するものではないが、コンピューター断層撮影法(CT)、全身スキャン、例えばポジトロン断層法(PET)、磁気共鳴映像法(MRI)、および音波ホログラフィーなどが挙げられる。
一実施形態では、前記分子を放射性同位体で標識し、これを、放射線応答性外科用機器(Thurstonら、米国特許第5,441,050号)を用いて患者において検出する。別の実施形態では、前記分子を蛍光化合物で標識して、これを、蛍光応答性スキャン装置を用いて患者において検出する。別の実施形態では、前記分子をポジトロン放射性金属で標識して、これを、ポジトロン断層法を用いて患者において検出する。さらに別の実施形態では、前記分子を常磁性標識で標識して、これを、磁気共鳴映像法(MRI)を用いて患者において検出する。
5.11.キット
本発明はまた、本発明の医薬組成物の1種以上の成分を充填した1個以上の容器を含む、医薬パックまたはキットも提供する。このような容器には、医薬品または生物学的製剤の製造、使用もしくは販売を取り締まる政府機関により規定された書式の注意書きを随意に添付してもよく、この注意書きは、ヒトへの投与のための製造、使用もしくは販売についての上記機関による承認を表すものである。
本発明は、前記方法に用いることができるキットを提供する。一実施形態では、キットは、1個以上の容器に、好ましくは精製した形態の抗体、融合タンパク質、またはコンジュゲート分子を含む。具体的実施形態では、本発明のキットは、対照として実質的に単離された抗原を含んでもよい。本発明のキットは、キットに含まれる抗原と反応しない対照抗体、融合タンパク質、またはコンジュゲート分子をさらに含んでもよい。別の具体的実施形態では、本発明のキットは、抗体、融合タンパク質、またはコンジュゲート分子と抗原の結合を検出する手段を含んでいてもよい(例えば、上記抗体、融合タンパク質、またはコンジュゲート分子を、蛍光化合物、酵素基質、放射性化合物もしくは発光化合物などの検出可能な基質にコンジュゲートさせてもよいし、第1の抗体を認識する第2の抗体を検出可能な基質にコンジュゲートさせてもよい)。具体的実施形態では、前記キットは、組換えにより作製した、または化学的に合成した抗原を含んでいてもよい。また、キットに提供される抗原が固体支持体に接着されていてもよい。さらに具体的な実施形態では、前記キットの検出手段は、抗原を接着した固体支持体を含んでいてもよい。このようなキットは、接着していないリポーター標識抗ヒト抗体も含むことができる。この実施形態では、抗体と抗原の結合は、上記リポーター標識抗体の結合により検出することができる。
5.12 改変型IgGヒンジ-Fc断片の半減期短縮についてのin vitroおよびin vivoアッセイ
改変型IgG、ならびにFcRnに結合する改変型IgG定常ドメインを含む分子の結合能力は、様々なin vitroアッセイにより特性決定することができる。WardによるPCT公開WO 97/34631は、様々な方法を詳細に開示しており、この文献は、参照として全文が本明細書に含まれる。
例えば、改変型IgGまたはその断片がFcRcに結合する能力を野生型のIgGのものと比較するために、改変型IgGまたはその断片と野生型IgGとを放射線標識してから、FcRn発現性細胞とin vitroで反応させることができる。次に、細胞結合画分の放射活性を計測し、比較する。このアッセイに用いるFcRn発現性細胞は、B10.DBA/2 マウスの肺から取得したマウス肺毛細血管内皮細胞(B10、D2.PCE)、およびC3H/HeJマウスから取得したSV40形質転換内皮細胞(SVEC)(Kimら、J. Immunol., 40:457-465, 1994)などの内皮細胞系株でよい。しかし、十分な数のFcRnを発現する他のタイプの細胞、例えば10〜40日齢の授乳マウスから単離した消化管刷子縁など、を用いてもよい。あるいは、選択した種の組換えFcRnを発現する哺乳動物細胞も使用することができる。改変型IgGの結合画分の放射活性または野生型のものの放射活性を計測した後、界面活性剤で結合分子を抽出して、細胞の単位数当たりの放出率(%)を計算し、比較することができる。
FcRnに対する改変型IgGのアフィニティーは、例えば、以前記載されている(Popovら、Mol. Immunol., 33:493-502, 1996;Karlssonら、J. Immunol. Methods, 145:229-240, 1991;いずれの文献も、参照としてその全文を本明細書に組み込む)ように、BIAcore 2000 (BIAcore Inc.)を用いて、表面プラズモン共鳴(SPR)測定により、測定することができる。この方法では、FcRn分子をBIAcoreセンサーチップ(例えば、PharmaciaによるCM5チップ)に結合させて、固定化FcRnに対する改変型IgGの結合を特定の流速で測定することにより、BIA評価2.1ソフトウエアを用いてセンサーグラムを取得し、これに基づき、FcRnに対する改変型IgG、定常ドメイン、もしくはその断片の結合速度および解離速度を計算することができる。
FcRnに対する改変型IgGもしくはその断片、ならびに野生型IgGの相対的アフィニティーは、簡単な競合結合アッセイにより測定することもできる。FcRnを固定化した96ウェルプレートのウェルに、様々な量で非標識の改変型IgGまたは野生型IgGを添加する。次に、一定量の放射線標識野生型IgGを各ウェルに添加する。非標識の改変型IgGまたは野生型IgGの量に対して、結合した画分の放射活性(%)をプロットし、改変型ヒンジ-Fcの相対アフィニティーを曲線の傾きから計算することができる。
さらに、FcRnに対する改変型IgGもしくはその断片、ならびに野生型IgGのアフィニティーは、飽和試験およびスキャッチャード分析により測定することもできる。
細胞にわたる改変型IgGもしくはその断片のFcRnによる移入は、in vitro移入アッセイにおいて、放射線標識IgGもしくはその断片とFcRn発現性細胞とを用いて、細胞単層の片面の放射活性と、その裏側の放射活性とを比較することにより、測定することができる。あるいは、このような移入は、10〜14日齢の授乳マウスに、放射線標識した改変型IgGを給餌して、血液サンプル中の放射活性を定期的に計測することによりin vivoで測定することができ、その際、計測された放射活性は、腸を介した循環(または他の任意の標的組織、例えば、肺)中へのIgGの移入を示している。消化管を通じたIgG移入の用量依存的阻害を試験するために、特定比の放射線標識および非標識IgGの混合物をマウスに投与し、血漿の放射能を定期的に測定することができる(Kimら、Eur. J. Immunol., 24:2429-2434, 1994)。
改変型IgGまたはその断片の半減期は、Kimらにより記載された方法(Eur. J. of Immuno. 24:542, 1994)(この文献は、参照としてその全文を本明細書に組み込む)に従う薬物動態試験により測定することができる。この方法によれば、放射線標識した改変型IgGまたはその断片をマウスに静脈内注射し、時間の関数(例えば、注射後3分〜72時間)として、その血漿濃度を定期的に測定する。こうして得られたクリアランス曲線は二相、すなわち、α相とβ相であるはずである。改変型IgGまたはその断片のin vivo半減期の決定のために、β相のクリアランス速度を計算し、野生型IgGのクリアランス速度と比較する。
本明細書に記載する全ての刊行物、特許および特許出願は、刊行物、特許もしくは特許出願の各々が、参照として本明細書に組み込まれると具体的かつ個別に示されるのと同じ範囲まで、参照として本明細書に組み込まれる。
6.実施例
以下の実施例を参照にしながら、本発明を説明する。これらの実施例は、説明のみを目的として記載するのであって、本発明がこれらの実施例に限定されると解釈すべきではなく、むしろ、ここに記載する教示の結果として明らかになるあらゆる全ての変更を含むと解釈すべきである。
IgG変異体の構築、生産、および精製
ヒトサイトメガロウイルス主要前初期(hCMVie)エンハンサー、プロモーターおよび5'-非翻訳領域をコードする哺乳動物発現ベクターに、抗体MEDI-524(また、NUMAX(商標)またはモタビズマブとしても知られる)の可変領域を個別にクローニングした(Boshart, M.ら、(1985) A very strong enhancer is located upstream of an immediate early gene of human cytomegalovirus. Cell 41, 521-530)。この系において、ヒトγ1鎖が、ヒトκ鎖と一緒に分泌される(Johnson, S.ら、(1997) Development of a humanized monoclonal antibody (MEDI-493) with potent in vitro and in vivo activity against respiratory syncytial virus. J. Infect. Dis. 176, 1215-1224)。
MEDI-524の251、252、254、255、256、308、309、311、312、385、386、387、389、433、434、および436位にアミノ酸置換を起こすような突然変異を発現ベクターに導入した。図1を参照されたい。NNS変性コドンまたはトリプトファンコドン(TGG)を用いて、突然変異を導入した。突然変異誘発は、Quick Change II Site-Directed Mutagenesis Kit(Stratagene)を用いて実施した。表1に、発現ベクターに突然変異を導入するのに使用したオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列を記載する。
Figure 2010506842
Figure 2010506842
Figure 2010506842
Figure 2010506842
重鎖に不要な突然変異が導入されていないことを確認するために、ABI3730シーケンサーでクローンを配列決定した。Qiagen Maxi精製キットを用いて、DNA構築物を精製し、野生型MEDI-524軽鎖を発現するベクターおよびリポフェクタミン2000トランスフェクション試薬(Invitrogen)と一緒に、ヒト胚性腎293細胞中に一過的に共トランスフェクトした。所望のIgGを発現する上清を1mLのHiTrap Protein A HPカラム(GE Healthcare)で精製した。ビシンコニン酸法(BCA)を用いて、野生型及び突然変異体IgGの濃度を決定した。SDS PAGE分析により、各IgGの純度が95%超であることを確認した。
置換のために選択した16のアミノ酸残基:L251、M252、S254、R255、T256、V308、L309、Q311、D312、G385、Q386、P387、N389、H433、N434、およびY436が、ヒトFcRnとの相互作用に重要であることがわかっている(Dall’Acquaら、(2002) Increasing the affinity of a human IgG1 for the neonatal Fc receptor: Biological consequences. J. Immunol. 169, 5171-5180)。作製された置換MEDI-524免疫グロブリン全て(表2)のうち、構造を改変する可能性があるシステインまたはプロリンは廃棄した。選択されたアミノ酸残基置換は、対応する野生型残基と化学的に可能な限り相違するようにした。合計35のMEDI-524置換免疫グロブリンが作製された。表2を参照。
Figure 2010506842
表面プラズモン共鳴およびELISA結合分析のためのヒトFcRnの発現および精製
記載されている(Dall’Acqua, W. et al., (2002) Increasing the affinity of a human IgG1 for the neonatal Fc receptor: Biological consequences. J. Immunol 169, 5171-5180)ように、ヒトFcRnα鎖の細胞外ドメインとβ2-ミクログロブリンをヨウトガ(Spodoptera frugiperda)細胞(Sf9)において発現させた。上清を塩酸でpH 6.0に調整してから、10 mLのIgG Sepharose 6 Fast Flowカラム(APBiotech)にロードした。このカラムを200 mLの50 mM MES(pH 5.8)で洗浄した後、0.1 M Tris-Cl、pH 8.0でFcRnを溶出した。精製したFcRnをPBSに対して透析し、−80℃で保存した。タンパク質濃度をビシンコニン酸法(BCA)により計算した。SDS-PAGEゲル上でのFcRnの視覚化により、これが、>95%均質であることがわかった。
表面プラズモン共鳴測定
最初に、BIAcore 3000装置を用いて、ヒトFcRnに対する野生型および全てのアミノ酸置換型MEDI-524免疫グロブリンの結合をpH 6.0で分析した。
まず、0.05%Tween 20を含む50mM PBS、pH 6.0に対して、実施例2に記載のように発現および精製したヒトFcRnをバッファー交換した後、標準的アミン結合化学作用を用いてCM5センサーチップ上に高密度で固定化した。10mM NaOAc(pH 5.0)中1μMの濃度で、ヒトFcRnを結合させた。固定化レベルは、約6,300〜7,200 RUの範囲であった。
結合実験は、50mM PBS、pH 6.0、0.05%Tween 20中、200nMの各IgGを用いて、流速10μL/分、25℃で25分実施した。解離データを5分にわたって収集した後、50mM 炭酸ナトリウム、pH 9.1の1分パルスでFcRn表面から結合IgGを除去した。MEDI-524(wt)を突然変異体の間に散在させて、アッセイの全工程にわたり、固体化FcRnの活性の変化をモニターした。
pH 6.0で実施した選択センサーグラムを図2に示し、図3にまとめる。多くの置換型MEDI-524免疫グロブリンは依然としてヒトFcRnに結合することができたが、9つの置換型MEDI-524免疫グロブリン(S254R、S254W、M252T、L309N、N434L、R255V、D312I、Q386L、およびL251S)は、pH 6.0で、FcRnとの結合に有意な低減を示した。
0.05%Tween 20を含む50mM PBS、pH 7.4においてアッセイを繰り返すことにより、これら突然変異のいずれかが、ヒトFcRnに対するIgG結合のpH依存性に影響を与えたか否かを決定した。pH 6.0およびpH 7.4でのMEDI-524(wt)結合をpH 7.4アッセイにおける対照として実施した。すべての場合で、非コーティング細胞にもIgGを流し、これらのブランクランから得たセンサーグラムをヒトFcRn結合チップを用いて得られたセンサーグラムから減じた。全てのFc突然変異体について、MEDI-524wtと同様、pH 7.4での有意な結合は観察されなかった(図4〜10)。
ヒトFcRn への選択MEDI-524置換型免疫グロブリンのさらなる結合分析
固定化IgGを用いたBIAcoreにより、および/またはELISAベースの手法を酸性および/または中性pHの両方で用いることによって、MEDI-524置換型免疫グロブリンS254R、S254W、M252T、L309N、N434L、R255V、D312I、およびL251Sをさらに特性決定した。
BIAcore.これら8つのアミノ酸置換型MEDI-524免疫グロブリンとヒトFcRnとの相互作用の平衡結合定数(KD)を決定するために、さらなるBIAcore分析を実施した。このKd試験には、9つ目のアミノ酸置換型MEDI-524免疫グロブリン(G385S+Q386I)も含まれた。
このBIAcore分析のセットでは、MEDI-524野生型と選択アミノ酸置換型免疫グロブリンを固定化した。10mM 酢酸ナトリウム(pH 4.0)中25℃で、IgGを200nMで固定化した。固定化レベルは、典型的には、約2,400〜3,400 RUの範囲であった。いくつかの場合では、初めに、50 mM PBS(pH 6.0)、0.05% Tween 20または50 mM PBS(pH 7.4)、0.05% Tween 20中で250 nMのヒトFcRnまたはオボアルブミンを用いて、結合実験を約50分間実施した。PBS(pH 7.4)の1分パルスを3回実施することによりIgG表面を再生した。選択アミノ酸置換型免疫グロブリンについての結果は、図12、図14、図16、図17〜21に示す。Kd測定の次のランでは、50 mM PBS(pH 6.0)、0.05% Tween 20中、16 nM〜2,860 nMまでのヒトFcRnの希釈シリーズを用いた(選択アミノ酸置換型免疫グロブリンについての結果は、図11、図13、図15)。データは典型的には50分間で収集し、その後、PBS(pH 7.4)の1分パルスを3回実施してIgG表面を再生した。BIAevaluation 4.1ソフトウエアを用いて、ランを分析した。非特異的結合の補正後、試験したヒトFcRnの各濃度について平衡状態での応答(Req)を測定することにより、結合等温線(定常状態モデル)から、解離結合定数(KD)を決定した。表3を参照されたい。
Figure 2010506842
ELISA.野生型MEDI-524およびMEDI-524 N434L、G385S+Q386I、M252T、S254W、S254R、およびL309N免疫グロブリン変異体を、炭酸塩コーティングバッファー中1μg/ウェルの濃度でNunc MaxiSorpマイクロタイタープレートにコーティングした。50mM NaClと0.1% Tween 20とを含む50 mMリン酸ナトリウムバッファー(pH 5.8)でプレートを洗浄してから、50%SuperBlock(Pierce)、50mMリン酸ナトリウムバッファー(pH 5.8)および50mM NaClでブロッキングした。その後の洗浄後、ブロッキングバッファー中50μg/mLのヒトFcRnの3倍希釈液を添加した。結合したFcRnをHRPコンジュゲート型ウサギ抗ヒトβ2ミクログロブリン(AbCam)で検出した。結果を図22〜23に示す。
これらBIAcoreおよびELISA分析の結果から、(i)S254R、S254W、M252T、L309N、R255V、D312I、N434L、およびL251Sが、中性pH(7.4)ではヒトFcRnに対する有意な結合を示さなかったこと、ならびに(ii)S254R、S254W、M252T、L309N、R255V、D312I、N434L、およびL251Sは、pH 6.0では、ヒトFcRnに対して様々な程度の脱最適化結合を示したことが明らかになった。MEDI-524およびMEDI-524置換型免疫グロブリンのアフィニティーは次のように要約することができる:
Figure 2010506842
当業者であれば、本明細書に記載した本発明の具体的実施形態の多くの同等物を認識するか、またはこれ以上の慣用の実験を用いることなく、確認することができる。このような同等物は、添付の請求項によって包含されるものとする。

Claims (34)

  1. 免疫グロブリンG(IgG)分子のFc領域の少なくとも1つのFcRn結合性部分を含むポリペプチドであって、このポリペプチドが、以下:
    バリンによるEUアミノ酸残基255での置換、
    アスパラギンによるEUアミノ酸残基309での置換、
    イソロイシンによるEUアミノ酸残基312での置換、
    ロイシンによるEUアミノ酸残基386での置換、
    からなる群より選択される、少なくとも1つのアミノ酸改変を含む、上記ポリペプチド。
  2. 前記Fc領域のFcRn結合性部分が、EU番号付けによる、IgG分子の約アミノ酸残基231〜446を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
  3. 前記Fc領域のFcRn結合性部分が、EU番号付けによる、IgG分子の約アミノ酸残基216〜446を含む、請求項2に記載のポリペプチド。
  4. 前記Fc領域のFcRn結合性部分が、IgG分子を含む、請求項3に記載のポリペプチド。
  5. 前記IgG分子がIgGサブタイプ1である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  6. 前記IgG分子がIgGサブタイプ2である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  7. 前記IgG分子がIgGサブタイプ3である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  8. 前記IgG分子がIgGサブタイプ4である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  9. 毒性部分を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  10. 前記毒性部分が、放射性元素である、請求項9に記載のポリペプチド。
  11. 前記毒性部分が、細胞増殖抑制剤または細胞破壊剤である、請求項9に記載のポリペプチド。
  12. 第1のポリペプチドであって、免疫グロブリンG(IgG)分子のFc領域のFcRn結合性部分を含み、以下:
    バリンによるEUアミノ酸残基255での置換、
    アスパラギンによるEUアミノ酸残基309での置換、
    イソロイシンによるEUアミノ酸残基312での置換、および
    ロイシンによるEUアミノ酸残基386での置換、
    からなる群より選択される、少なくとも1つのアミノ酸改変を含む、上記第1ポリペプチドと、
    第2のポリペプチドを含む、融合タンパク質。
  13. 前記Fc領域のFcRn結合性部分が、EU番号付けによる、IgG分子の約アミノ酸残基231〜446を含む、請求項12に記載の融合タンパク質。
  14. 前記Fc領域のFcRn結合性部分が、EU番号付けによる、IgG分子の約アミノ酸残基231〜446を含む、請求項12に記載の融合タンパク質。
  15. 前記Fc領域のFcRn結合性部分が、EU番号付けによる、IgG分子の約アミノ酸残基216〜446を含む、請求項12に記載の融合タンパク質。
  16. 前記IgG分子がIgGサブタイプ1である、請求項12〜15のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
  17. 前記IgG分子がIgGサブタイプ2である、請求項12〜15のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
  18. 前記IgG分子がIgGサブタイプ3である、請求項12〜15のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
  19. 前記IgG分子がIgGサブタイプ4である、請求項12〜15のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
  20. 前記第2ポリペプチドが腫瘍関連抗原に結合する、請求項12〜15のいずれか一項に記載の融合タンパク質。
  21. 前記腫瘍関連抗原が上皮増殖因子受容体である、請求項20に記載の融合タンパク質。
  22. 前記上皮増殖因子受容体がHER2である、請求項20に記載の融合タンパク質。
  23. 疾患または障害を治療する方法であって、
    免疫グロブリンG(IgG)分子のFc領域の少なくとも1つのFcRn結合性部分を含む有効量のポリペプチドを投与するステップを含み、このポリペプチドが、以下:
    バリンによるEUアミノ酸残基255での置換、
    アスパラギンによるEUアミノ酸残基309での置換、
    イソロイシンによるEUアミノ酸残基312での置換、
    ロイシンによるEUアミノ酸残基386での置換、
    からなる群より選択される、少なくとも1つのアミノ酸改変を含む、上記方法。
  24. 前記疾患または障害が癌である、請求項23に記載の方法。
  25. 前記疾患または障害が炎症性疾患である、請求項23に記載の方法。
  26. 前記疾患または障害が感染症である、請求項23に記載の方法。
  27. 前記ポリペプチドが毒性部分を含む、請求項24に記載の方法。
  28. 前記毒性部分が、細胞増殖抑制剤または細胞破壊剤である、請求項27に記載の方法。
  29. 疾患または障害を診断、モニター、もしくは予後判定する方法であって、
    免疫グロブリンG(IgG)分子のFc領域の少なくとも1つのFcRn結合性部分を含むポリペプチドを投与するステップ、ここで、このポリペプチドは、以下:
    バリンによるEUアミノ酸残基255での置換、
    アスパラギンによるEUアミノ酸残基309での置換、
    イソロイシンによるEUアミノ酸残基312での置換、および
    ロイシンによるEUアミノ酸残基386での置換、
    からなる群より選択される、少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、
    その際、上記ポリペプチドが、検出可能な物質を含み、また、上記ポリペプチドが、疾患または障害に罹患した部位に濃縮する、ならびに、
    上記ポリペプチドを検出するステップ
    を含む、上記方法。
  30. 前記疾患または障害が癌である、請求項29に記載の方法。
  31. 前記疾患または障害が感染症である、請求項29に記載の方法。
  32. 前記疾患または障害が炎症性疾患である、請求項29に記載の方法。
  33. 請求項1に記載のポリペプチドを含む、医薬組成物。
  34. 請求項12に記載の融合タンパク質を含む、医薬組成物。
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