次に、添付図面を参照し、非限定的な例だけによって本発明の実施形態を説明する。
以下に、本出願の出願人のネットページシステムの概要を示す。最初に、デジタル印刷されたネットページ用に適合されたネットページシステムを説明する。次に、アナログ印刷されたネットページ用に適合されたネットページシステムを説明する。どちらのネットページシステムも本発明とともに使用することができる。
デジタル方式で印刷されたネットページ用のネットページシステム
注記:Memjet(商標)及びHyperlabel(商標)は、オーストラリアSilverbrook Research Pty Ltd.社の商標である。
好ましい実施形態では、本発明が、ネットページネットワークコンピュータシステムとともに機能するように構成される。このシステムの詳細については後述する。すべての実施態様が、この基本システムに関して後に論じられる特定の詳細及び拡張の全部又は大部分を具体化するわけではないことが理解される。しかしながら、本発明の好ましい実施形態及び態様が機能する文脈を理解しようとするときの外部参照の必要性を低減させるため、この基本システムを、その最も完全な形態に関して説明する。
簡単に概要を述べると、ネットページシステムの好ましい形態は、マップされた表面(mapped surface)、即ちコンピュータシステム内に維持されたその表面のマップへの参照を含む物理表面の形態のコンピュータインターフェースを使用する。これらのマップ参照は、適当な感知装置によって問い合わせることができる。その特定の実施態様に応じて、マップ参照は、目に見えるように又は目に見えないように符号化することができ、マップされた表面でのローカル問合せが、そのマップ内と異なるマップ間の両方において明確なマップ参照を与えるような方法で、マップ参照を定義することができる。このコンピュータシステムは、マップされた表面のフィーチャ(feature)に関する情報を含むことができ、このような情報は、マップされた表面とともに使用される感知装置によって供給されるマップ参照に基づいて取り出すことができる。このようにして取り出される情報は、オペレータと表面フィーチャとの対話に応答して、オペレータに代わりコンピュータシステムによって開始されるアクションの形態をとることができる。
その好ましい形態では、ネットページシステムが、ネットページの生成及び人とネットページとの対話に依存する。ネットページは、テキスト、図形及び画像からなり、通常の紙に印刷されたページではあるが、対話式のウェブページと同様に機能するページである。情報は、肉眼では実質的に見ることができないンクを使用してそれぞれのページに符号化される。しかしながら、このインク、したがって符号化されたデータは光学画像化ペンによって感知することができ、ネットページシステムに送信することができる。
好ましい形態では、情報をネットワークにリクエストし、又はネットワークサーバにプリファランス(preference)を伝えるために、それぞれのページ上のアクティブボタン及びハイパーリンクをこのペンでクリックすることができる。一実施形態では、ネットページ上の手書きのテキストが、ネットページシステム内で自動的に認識され、コンピュータテキストに変換され、これによって書式(form)に記入することができる。他の実施形態では、ネットページ上に記録された署名が自動的に確認され、これによってeコマーストランザクションを安全に許可することができる。
図1に示されているように、印刷されたネットページ1は、ユーザが、この印刷されたページ上に物理的に記入することも、ペンとネットページシステムとの間の通信によって「電子的に」記入することもできる対話式の書式を表すことができる。この例は、名前フィールド及び住所フィールド並びに送信ボタンを含む「リクエスト」書式を示す。このネットページは、目に見えるインクを使用して印刷された図形データ2と、目に見えないインクを使用してタグ4の集合として印刷された符号化されたデータ3とからなる。ネットページネットワーク上に記憶された対応するページ記述5は、そのネットページの個々のエレメントを記述する。具体的には、ページ記述5は、ネットページを介した入力をネットページシステムが正確に解釈することができるように、それぞれの対話エレメント(即ちこの例ではテキストフィールド又はボタン)のタイプ及び空間的広がり(ゾーン)を記述する。例えば送信ボタン6は、対応する図形8の空間的広がりに対応するゾーン7を有する。
図2に示されているように、ネットページペン101は、パーソナルコンピュータ(PC)、ウェブ端末75又はネットページプリンタ601とともに機能する。ネットページペン101の好ましい一形態が図8及び9に示されており、ネットページペン101については後により詳細に説明する。ネットページプリンタは、インターネットに接続された家庭用、オフィス用又はモバイル用の印刷機器である。このペンは無線式であり、短距離無線リンク9を介してネットページネットワークと安全に通信する。短距離通信は、PC、ウェブ端末又はネットページプリンタ内に埋め込まれたローカル中継機能、或いは別個の中継装置44によって提供されたローカル中継機能によってネットページネットワークに中継される。この中継機能は、携帯電話器、又は短距離通信機能と長距離通信機能の両方を含む他の装置によっても提供することができる。
代替実施形態では、ネットページペンが、PC、ウェブ端末、ネットページプリンタ又は中継装置への有線接続、例えばUSB又は他のシリアル接続を利用する。
ネットページプリンタ601は、個人化された新聞、雑誌、カタログ、パンフレット及び他の出版物を定期的に又はオンデマンドで送付することができ、これらの出版物はすべて、対話式ネットページとして高品質で印刷される。ネットページプリンタ601の好ましい一形態が図11から13に示されており、ネットページプリンタ601については後により詳細に説明する。パーソナルコンピュータとは違い、ネットページプリンタは、ユーザのキッチン、食卓の近く、又は玄関の近くなど、朝のニュースが最初に消費される場所に隣接して、例えば壁に取り付けることができる機器である。ネットページプリンタはさらに、卓上型、机上型、携帯型及び小型プリンタの形態をとる。
それらの消費場所で印刷されるネットページは、紙の使いやすさと、対話式媒体の適時性及び対話性とを結合する。
図2に示されているように、ネットページペン101は、印刷されたネットページ1(又は製品アイテム(product item)201)上の符号化されたデータと対話し、短距離無線リンク9を介してこの対話を中継器に伝達する。中継器は、この対話を、解釈のために関連ネットページサーバ10に送る。適当な状況では、このページサーバが、ネットページアプリケーションサーバ13上で実行されているアプリケーションコンピュータソフトウェアに、対応するメッセージを送る。アプリケーションサーバは次いで、起点となったプリンタに印刷される応答を送ることができる。
代替実施形態では、PC、ウェブ端末、ネットページプリンタ又は中継装置が、ローカル又はリモートウェブサーバを含むローカル又はリモートアプリケーションソフトウェアと直接に通信することができる。これに関連して、出力は、ネットページプリンタによって印刷されることに限定されない。出力は、PC又はウェブ端末上に表示することもでき、追加の対話を紙ベースではなくスクリーンベースとすることができ、又はこれら2つの混合とすることができる。
好ましい実施形態では、高速マイクロエレクトロメカニカルシステム(microelectromechanical system:MEMS)に基づくインクジェット(Memjet(商標))プリンタとともに使用することによって、このネットページシステムが相当に便利になる。この技術の好ましい形態では、消費者が、比較的に高速且つ高品質の印刷を手頃な費用で利用できるようになる。その好ましい形態では、ネットページ出版物が、容易なナビゲーション及び快適な取扱いのために互いに結合された、両面にフルカラーで印刷された一組のレターサイズの光沢ページなどの伝統的なニュース雑誌の物理特性を有する。
ネットページプリンタは、拡大しているブロードバンドインターネットアクセスの利用可能性を利用する。ケーブルサービスは、米国の家庭の95%で使用可能であり、ブロードバンドインターネットアクセスを提供するケーブルモデムサービスは既に米国の家庭の20%で使用可能である。このネットページプリンタはより低速の接続でも機能することができるが、送付時間が長くなり、画質が低下する。実際、消費者向けの既存のインクジェットプリンタ及びレーザプリンタを使用しても、このネットページシステムを使用可能にすることはできるが、システムはより低速で動作し、したがって消費者から見てより受け入れがたいものとなる。他の実施形態では、このネットページシステムが専用イントラネット上に置かれる。他の実施形態では、このネットページシステムが、単一のコンピュータ、又はコンピュータによって使用可能にされる装置、例えばプリンタに置かれる。
ネットページネットワーク上のネットページ出版物サーバ14は、印刷品質の出版物をネットページプリンタに送付するように構成される。定期出版物は、購読を申し込んだネットページプリンタに、ポイントキャスティング及びマルチキャスティングインターネットプロトコルを介して自動的に送付される。個人化された出版物はフィルタにかけられ、個々のユーザプロフィールに従ってフォーマットされる。
ネットページプリンタは、任意の数のペンをサポートするように構成することができ、ペンは、任意の数のネットページプリンタとともに機能することができる。好ましい実施態様では、それぞれのネットページペンが固有の識別子を有する。家庭では、着色されたネットページペンの集合を所有することができ、これらを家族の一人ひとりに1本ずつ割り当てることができる。これによって、それぞれのユーザが、ネットページ出版物サーバ又はアプリケーションサーバに対して異なるプロフィールを維持することができる。
さらに、ネットページペンをネットページ登録サーバ11に登録することができ、1つ又は複数の支払いカードアカウントにリンクさせることができる。これにより、ネットページペンを使用してeコマース支払いを安全に許可することができる。ネットページ登録サーバは、ネットページペンによって捕捉された署名を、以前に登録された署名と比較し、それによって、eコマースサーバに対してユーザの識別を認証することができる。他のバイオメトリック情報(biometric)を使用して、識別を確認することもできる。ネットページペンの一形態は、ネットページ登録サーバによって同様の方法で確認される指紋スキャニングを含む。
ネットページプリンタは、朝刊紙などの定期出版物をユーザの介入なしで送付することができるが、頼んでいないジャンクメール(junk mail)を送付しないように、ネットページプリンタを構成することができる。その好ましい形態では、ネットページプリンタが、購読申込みを受けた出版元又は他の方法で許可された出版元からの定期出版物だけを送付する。この点で、ネットページプリンタは、電話番号又は電子メールアドレスを知っているジャンクメールの差出人から丸見えのファックス装置又は電子メールアカウントとは異なる。
1 ネットページシステムアーキテクチャ
このシステムのオブジェクトモデルはそれぞれ、ユニファイドモデリングランゲージ(Unified Modeling Language:UML)のクラス図を使用して記述される。クラス図は、関係によって接続された一組のオブジェクトクラスからなり、ここでは2種類の関係、即ち関連(association)及び汎化(generalization)が重要である。関連は、オブジェクト間、即ちクラスのインスタンス間のある種類の関係を表す。汎化は実際のクラスを関係付けるものであり、以下のように理解することができる:あるクラスが、そのクラスのすべてのオブジェクトの集合と考えられ、クラスAがクラスBの汎化である場合、Bは単純にAの部分集合である。UMLは、2次モデリング、即ち「クラスのクラス」を直接にはサポートしない。
それぞれのクラスは、クラスの名称が記された長方形として描かれる。この長方形は、水平線によって名称から分けられたそのクラスの属性のリスト、及び水平線によって属性リストから分けられたそのクラスの操作のリストを含む。しかしながら、以下のクラス図で操作がモデリングされることはない。
関連は、2つのクラスをつなぐ線として描かれ、任意選択で、どちらかの端に関連の多重度が書き込まれる。デフォルトの多重度は1である。アスタリスク(*)は「many」、即ちゼロ以上の多重度を示す。それぞれの関連には任意選択でその名称が記入され、やはり任意選択で、どちらかの端に対応するクラスのロール(role)が記入される。白抜きの菱形は、集約(aggregation)関連(「is−part−of」)を示し、関連線のアグリゲータ(aggregator)端に描かれる。
汎化関係(「is−a」)は、2つのクラスをつなぐ実線として描かれ、汎化端には矢印(白抜きの三角形)が付けられる。
クラス図が複数の図に分割されると、複製されたクラスは、それを定義する主図を除き、破線の輪郭線で示される。クラス図は、それが定義されたところだけ属性とともに示される。
1.1 ネットページ
ネットページは、その上にネットページネットワークが構築される基礎である。ネットページは、公表された情報及び対話型サービスに対する紙ベースのユーザインターフェースを提供する。
ネットページは、そのページのオンライン記述への参照が目に見えないタグとして付けられた印刷されたページ(又は他の表面領域)からなる。オンラインページ記述は、ネットページサーバによって持続的に維持される。ページ記述は、テキスト、図形及び画像を含むページの目に見えるレイアウト及び内容を記述する。ページ記述はさらに、ボタン、ハイパーリンク及び入力フィールドを含むページ上の入力エレメントを記述する。ネットページは、ネットページの表面にネットページペンによってなされたマーキングが、ネットページシステムによって同時に捕捉され、処理されることを可能にする。
複数のネットページが同じページ記述を共有することができる。しかしながら、他の点ではまったく同じページを介しての入力を区別できるように、デジタル印刷されたそれぞれのネットページには固有のページ識別子が割り当てられる。このページIDは、非常に多数のネットページを区別するのに足る十分な精度を有する。対照的に、ネットページがアナログプロセス(後述)によって印刷されるときには、複数のネットページが同じページ記述を共有し、固有のページ識別子によって区別されない。
ページ記述へのそれぞれの参照は印刷されたタグの中に符号化される。タグは、そのタグが表面に現れた固有のページを識別し、それによってページ記述を間接的に識別する。タグはさらに、そのページ上におけるそのタグ自体の位置を識別する。タグの特性については後により詳細に説明する。
タグは、通常の紙などの赤外線を反射する被印刷物上に、赤外線を吸収するインクで印刷される。近赤外波長は人の眼には見えないが、適当なフィルタを備えた固体イメージセンサによって容易に感知される。
タグは、ネットページペン内のエリアイメージセンサ(area image sensor)によって感知され、タグデータは、最も近いネットページプリンタを介してネットページシステムに伝送される。ネットページペンは無線式であり、短距離無線リンクを介してネットページプリンタと通信する。ページを1回クリックするだけでもネットページペンが少なくとも1つのタグを確実に画像化することができるように、タグは十分に小さく、且つ密集して配置される。ペンとページとの対話はステートレス(stateless)であるため、ページと対話するたびに、ペンがページID及び位置を認識することが重要である。表面の損傷をある程度許容できるように、タグは、誤りを訂正できるように符号化される。
ネットページサーバは、印刷されたそれぞれのネットページの固有のページインスタンスを維持し、これによって、ネットページサーバは、印刷されたそれぞれのネットページのページ記述中の入力フィールドに対してユーザが供給した異なる一組の値を維持することができる。
ページ記述、ページインスタンス及び印刷されたネットページ間の関係が図4に示されている。印刷されたネットページを、印刷されたネットページ文書(document)45の部分とすることができる。ページインスタンスは、それを印刷したネットページプリンタと、それをリクエストしたネットページユーザ(分かっている場合)の両方に関連付けられる。
図4に示されているように、例えば製品アイテムのラベル、包装又は実際の表面に印刷されたときなど、製品アイテムなどの1つの物理オブジェクトに、1つ又は複数のネットページを関連付けることもできる。
1.2 ネットページタグ
1.2.1 タグデータの内容
好ましい一形態では、それぞれのタグが、そのタグが現れた領域及びその領域内でのそのタグの位置を識別する。タグはさらに、その領域全体に関係するフラグ又はそのタグに関係するフラグを含むことができる。1つ又は複数のフラグビットは例えば、タグ感知装置がその領域の記述を参照する必要なしに、そのタグのそのエリアに関連付けられた機能を指示するフィードバックを供給するようタグ感知装置に知らせる。ネットページペンがハイパーリンクのゾーン内にあるとき、ネットページペンは例えば「アクティブエリア(active area)」LEDを点灯することができる。
後により明確に説明するが、好ましい一実施形態では、それぞれのタグが、容易に認識される変化しない構造を含み、この構造は、最初の検出を助け、表面によって又は感知プロセスによって引き起こされるゆがみ(warp)の影響を最小化するのに役立つ。タグは、ページ全体を覆い、ページを1回クリックするだけでもネットページペンが少なくとも1つのタグを確実に画像化することができるように、十分に小さく、且つ密集して配置されることが好ましい。ペンとページとの対話はステートレスであるため、ページと対話するたびに、ペンがページID及び位置を認識することが重要である。
好ましい一実施形態では、タグが指す領域がページ全体と一致し、したがって、タグ中に符号化された領域IDが、タグが表面に現れたページのページIDと同義である。他の実施形態では、タグが指す領域を、ページ又は他の表面の任意の部分領域とすることができる。例えば、タグが指す領域を対話エレメントのゾーンと一致させることができ、その場合、領域IDは、対話エレメントを直接に識別することができる。
好ましい形態では、それぞれのタグが120ビットの情報を含む。一般に、領域IDには最大100ビット、タグIDには少なくとも16ビットが割り当てられ、残りのビットはフラグなどに割り当てられる。タグ密度が1平方インチ当たり64個であるとすると、16ビットのタグIDは、最大1024平方インチの領域サイズをサポートする。単純に隣接した領域及びマップを使用することによって、タグIDの精度を増大させることなくより大きな領域を連続的にマップすることができる。100ビットの領域IDによって、2100(約1030、即ち100万×1兆×1兆)個の異なる領域を一意的に識別することができる。
1.2.2 タグデータの符号化
一実施形態では、(15,5)リード−ソロモン(Reed−Solomen)符号を使用して、120ビットのタグデータが冗長に符号化される。この符号は、それぞれが15個の4ビット記号からなる6個の符号語(codeword)からなる360個の符号化されたビットを与える。(15,5)符号は、符号語あたり5個までの記号誤りを訂正することを可能にし、即ち、符号語あたり33%までの符号誤り率を許容する。
それぞれの4ビット記号は、タグの中に空間的にコヒーレントな方法で表され、6つの符号語の記号がタグ内で空間的にインタリーブされる。このことは、バースト誤り(空間的に隣接する複数のビットに影響を及ぼす誤り)が、全体としてできるだけ少ない数の記号及び任意の1つの符号語内のできるだけ少ない数の記号に損傷を与えることを保証し、したがってバースト誤りを完全に訂正することができる可能性を最大にする。
(15,5)リード−ソロモン符号の代わりに適当な任意の誤り訂正符号、例えば、より多くの又はより少ない冗長性を有し、同じ又は異なる記号及び符号語サイズを有するリード−ソロモン符号、他のブロック符号、又は畳込み符号などの異なる種類の符号を使用することができる(例えば、その内容が参照によって組み込まれる、Stephen B.Wicker、「Error Control Systems for Digital Communication and Storage」、Prentice−Hall、1995年を参照されたい)。
タグが付けられた領域との感知装置を介した「シングルクリック」対話をサポートするためには、感知装置が領域のどこにあろうとも、又はどの向きに配置されていようとも、感知装置は、その視野の中に、少なくとも1つのタグ全体を収めることができなければならない。したがって、必要な感知装置の視野の直径はタグのサイズ及び間隔の関数である。
1.2.3 タグの構造
図5aは、4つの透視ターゲット(perspective target)17を有するタグ726の形態のタグ4を示す。タグ726は、60個の4ビットリード−ソロモン記号706(記号の議論については後の図44から46の説明を参照されたい)を表し、合計240ビットを表す。このタグでは、マクロドット(macrodot)と呼ばれるマーク748が存在することによってそれぞれのビットが「1」を表し、対応するマクロドットが不在しないことによってそれぞれのビットが「0」を表す。図5cは、例示のためすべて「1」ビットを含む9つのタグの正方形タイリング(tiling)728を示す。透視ターゲットは、隣接するタグ間で共有されるように設計されていることに留意されたい。図6は、16個のタグの正方形タイリング、及び2つのタグの対角線をまたぐ対応する最小視野193を示す。
(15,7)リード−ソロモン符号を使用すると、符号化された240ビットを生み出すために、112ビットのタグデータが冗長に符号化される。バースト誤りに対する障害許容力(resilience)を最大化するために、タグ内で、4つの符号語が空間的にインタリーブされる。上記と同じく16ビットのタグIDを仮定すると、これは、92ビットまでの領域IDを可能にする。
タグの集団がターゲットに似た構造を生成することがないように、データを担持したタグのマクロドット748は、近傍のマクロドットと重ならないように設計される。これによってインクも節約される。透視ターゲットはタグの検出を可能にし、そのため、追加のターゲットが不要となる。
タグは、センサに対するタグの4つの可能な方向の一義化を可能にする方向フィーチャを含むことができるが、本発明は、タグデータ内に方向データを埋め込むことに関する。例えば、図5aに示されているように、タグのそれぞれの方向(回転上の向き)がその方向に置かれた1つの符号語を含むように、4つの符号語を配置することができる。それぞれの記号には、その符号語の番号(1〜4)及びその符号語内の記号の位置(A〜O)が記されている。タグの復号は、回転方向ごとに1つの符号語を復号することからなる。それぞれの符号語は、それが第1の符号語であるかどうかを指示する単一のビットか、又はそれがどの符号語であるかを指示する2つのビットを含むことができる。後者の方法は、例えば1つの符号語のデータ内容だけが必要な場合に、所望のデータを得るのに最大2つの符号語を復号すればよいので有利である。これは例えば、ストローク(stroke)内で領域IDが変化しないと予想され、したがってストロークの最初に領域IDが復号されるだけである場合に当てはまる。ストローク内では、タグIDを含む符号語だけが求められる。さらに、ストローク内では感知装置の回転がゆっくりと予想可能に変化するので、一般に、フレームあたり1つの符号語だけを復号すればよい。
透視ターゲットを完全に省き、その代わりに、自己整合性(self−registering)のデータ表現に依存することも可能である。この場合、それぞれのビット値(又はマルチビット値)が一般に、明示のグリフ(glyph)によって表される。即ち、「0」ビット値がグリフの不在によって表される。このことは、データ格子が高密度に占有される(well−populated)ことを保証し、したがって、データサンプリング中に格子が確実に識別され、その透視歪み(perspective distorotion)が検出され、続いて補正されることを可能にする。タグ境界が検出されることを可能にするため、それぞれのタグデータはマーカパターンを含まなければならず、信頼できる検出を可能にするために、これらは冗長に符号化されなければならない。このようなマーカパターンのオーバヘッドは、明示の透視ターゲットのオーバヘッドと同様である。特許文献4には、このような様々なスキームが記載されている。
図5cの配置728は、正方形タグ726を使用して、任意のサイズの平面にタグを敷き詰める、即ち隙間又は重なりなしにタグを配置することができることを示している。
好ましい実施形態では、本明細書に記載されたタグ付けスキームが、区別のない単一のマクロドットの有無を使用して単一のデータビットを符号化するが、タグ付けスキームは、特許文献4に示されたグリフのセットなどの区別分けされたグリフのセットを使用して、シングルビット値又はマルチビット値を表すこともできる。
1.2.4 タグの画像処理及び復号
図7は、タグの画像処理/復号プロセスの流れを示す。例えばCCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ、走査型レーザ及びフォトダイオードイメージセンサなどのイメージセンサを介してタグパターンの未処理画像202を取得する(200)。次いで、一般に、未処理画像を強調して、改良されたコントラスト及びより均一な画素強度を有する強調された画像206を生成する(204)。画像強調には、グローバル又はローカルレンジエクスパンション(renge expansion)、イコライゼーション(equalisation)などが含まれ得る。次いで、一般に、強調された画像206をフィルタリングして、フィルタリングされた画像210を生成する(208)。画像フィルタリングは、マクロドットは不明瞭にするが、ターゲットは保存するように調整された低域フィルタカーネルサイズを用いた低域フィルタリングからなることができる。ターゲットフィーチャを強調するため、フィルタリングステップ208は、(エッジ検出などの)追加のフィルタリングを含むことができる。次いで、フィルタリングされた画像210を処理して、ターゲットフィーチャの位置を突き止め(212)、一組のターゲットポイントを得る。これは、その空間相互関係がタグの既知のジオメトリと一致するターゲットフィーチャを探索することからなることができる。候補ターゲットは、フィルタリングされた画像210内の最大値から直接に識別することができ、或いは、特許文献3に記載されているようなそれらの(バイナリ又はグレースケール)形状モーメント(一般にフィルタリングされた画像210内のローカル最大値に基づいて強調された画像206内の画素から計算される)によるなど、追加のキャラクタリゼーション(characterisation)及びマッチング(matching)の対象とすることができる。この探索は一般に視野の中心から始まる。探索ステップ212によって見つけられたターゲットポイント214は、イメージセンサ及びその関連光学系によって占有された3次元空間内におけるタグの位置を間接的に識別する。ターゲットポイント214は、ターゲットの(バイナリ又はグレースケール)重心から導き出されるため、ターゲットポイント214は一般に画素精度未満で画定される。
タグの実際の3D変換(transform)を決定し(216)、拡張(extension)によって、タグに対する感知装置の3D変換(又はポーズ(pose))218を決定することが有用であることがある。これは、特許文献3に記載されているように分析的に実行し、又は、(その内容が参照によって本明細書に組み込まれるP.R.Wolf及びB.A.Dewitt、「EIements of Photogrammetry with Applications in GIS」、第3版、McGraw Hill、2000年2月に記載されているように、)観察された透視歪みを有するターゲットポイントが与えられた場合に、(最小2乗法調整などの)最尤推定量を使用してパラメータ値を3D変換に当てはめることによって実行することができる。この3D変換は、タグの3D平行移動(translation)、タグの3D方向(orientation)(回転)、並びに感知装置の焦点距離及びビューポートスケール(viwpoint scale)を含み、したがって当てはめられるべき8つのパラメータ、又は焦点距離及びビューポートスケールが(例えば設計によって又は較正ステップから)既知の場合には6つのパラメータを与える。それぞれのターゲットポイントは、観察された座標を既知の座標に関係付ける一対の観測方程式を与える。8つのパラメータが当てはめられる場合には、最尤推定を可能にする十分な冗長性を提供するために5つ以上のターゲットポイントが必要になる。6つのパラメータが当てはめられる場合には、4つ以上のターゲットポイントが必要となる。タグ設計が、最尤推定を可能にするのに最低限必要な数よりも多くのターゲットを含む場合には、たとえそのターゲットの多くが認識できないほどにまで損傷されている場合でも、タグを認識し、復号することができる。
マクロドット値が正確にサンプリングされることを可能にするため、タグの透視変換が推論されなければならない。タグ空間内の既知のサイズの長方形の透視歪みを有する角とするために、ターゲットポイントのうちの4つが選ばれ、これらの4つのタグ空間/画像空間ポイント対を関係付けるよく理解された方程式を解くことに基づいて、自由度8の透視変換222が推論される(220)(その内容が参照によって本明細書に組み込まれるHeckbert,P.、「Fundamentals of Texture Mapping and Image Warping」、修士論文、EECS学部、カリフォルニア大学バークレー校、技術レポートNo.UCB/CSD89/516、1989年6月を参照されたい)。或いは、可能な場合には、この透視変換を3D変換218から導き出すこともできる。
推論されたタグ空間−画像空間透視変換222を使用して、タグ空間内のそれぞれの既知のデータビット位置を画像空間へ射影する(224)。この射影では、実数値の位置を使用して、強調された入力画像206内の4つの(又は5つ以上の)関連隣接画素を、双線形(又はより高次の)の形式で補間する(224)。その結果得られたマクロドット値を適当なしきい値と比較して、マクロドット値が0ビットを表すのか、又は1ビットを表すのかを判定する。
1つ又は複数の完全な符号語のビットがサンプリングされると、符号語が復号されて(228)、タグの中に符号化された所望のデータ230が得られる。符号語の冗長性を使用して、サンプル値の誤りを検出し又はサンプル値の誤りを訂正することができる。
特許文献3において論議されているように、得られたタグデータ230は、タグを含む表面領域及びその領域内のタグの位置を、直接に又は間接的に識別することができる。したがって、表面領域に対する感知装置の正確な位置を、タグデータ230及びタグに対する感知装置の3D変換218から導き出すことができる。
1.2.6 タグマップ
タグを復号することによって、領域ID、タグID及びタグに対するペン変換が得られる。タグID及びタグに対するペンの位置を、タグを有する領域内の絶対位置に変換するためには、その領域内におけるタグの位置がわかっていなければならない。これはタグマップによって与えられ、タグマップは、タグを有する領域内のそれぞれのタグIDを対応する位置へマップする関数である。タグマップクラス図が、ネットページプリンタクラス図の部分として図22に示されている。
タグマップは、表面領域にタグをタイリングするのに使用されたスキームを反映し、このスキームは表面タイプによって異なりうる。タグを有する複数の領域が同じタイリングスキーム及び同じタグナンバリングスキームを共有するとき、それらの領域はさらに同じタグマップを共有することができる。
ある領域のタグマップは、その領域IDを介して取り出すことができなければならない。したがって、領域ID、タグID及びペン変換が与えられれば、タグマップを取り出すことができ、タグIDを、その領域内の絶対タグ位置に変換することができ、そのタグ位置にタグに対するペン位置を追加して、その領域内におけるペンの絶対位置を与えることができる。
タグIDは、タグマップを介した変換を助けるある構造を有することができる。タグIDは例えば、タグIDが現れた表面タイプに応じて、デカルト座標又は極座標を符号化することができる。タグIDの構造はタグマップによって指示され、タグマップに知られており、したがって、異なるタグマップに関連付けられたタグIDは異なる構造を有することがある。例えば、タグIDは単純に、そのタグの一対のx及びy座標を符号化することができ、この場合、タグマップは単純に座標精度の記録からなることができる。座標精度が固定である場合、タグマップは暗黙(implicit)であることができる。
1.2.7 タグ付けスキーム
2つの異なる表面符号化スキームが重要であり、これらはともに、このセクションで先に説明したタグ構造を使用する。好ましい符号化スキームは、既に論じたとおり「位置指示(location−indicating)」タグを使用する。代替符号化スキームは、オブジェクト指示(object−indicating)タグを使用する。
位置指示タグは、タグを有する領域に関連付けられたタグマップを介して変換されたときにその領域内の固有のタグ位置を与えるタグIDを含む。その領域内におけるペンの位置を与えるために、このタグ位置に、タグに対するペン位置が追加される。この領域内におけるペンの位置は、その領域に関連付けられたページ記述内のユーザインターフェースエレメントに対するペンの位置を決定するために使用される。ユーザインターフェースエレメント自体が識別されるだけでなく、ユーザインターフェースエレメントに対する位置も識別される。したがって、位置指示タグは自明に、特定のユーザインターフェースエレメントのゾーン内の絶対ペン経路の捕捉をサポートする。
オブジェクト指示タグは、その領域に関連付けられたページ記述内のユーザインターフェースエレメントを直接に識別するタグIDを含む。ユーザインターフェースエレメントのゾーン内のすべてのタグがそのユーザインターフェースエレメントを識別し、これにより、すべてのタグは同一であり、したがって区別できない。したがって、オブジェクト指示タグは、絶対ペン経路の捕捉をサポートしない。しかしながら、オブジェクト指示タグは相対ペン経路の捕捉をサポートする。位置サンプリングの頻度が、タグに遭遇する頻度の2倍を超える限り、ストローク内のサンプリングされたあるペン位置から次のペン位置までの変位を明白に決定することができる。
どちらのタグ付けスキームを使用するにせよ、タグは、ネットページ上の関連視覚エレメントと協力して、ユーザ対話エレメントとして機能し、ユーザは、感知装置によってタグデータを読み取り、ネットページシステム内に適当な応答を生成するために、適当な感知装置を使用して印刷されたページと対話することができる。
1.3 文書及びページ記述
文書及びページ記述クラス図の好ましい一実施形態が図25及び26に示されている。
ネットページシステムでは文書が3つのレベルで記述される。最も抽象的なレベルでは、文書836が、そのターミナルエレメント839が、テキストオブジェクト、テキストスタイルオブジェクト、画像オブジェクトなどの内容オブジェクト840に関連付けられた階層構造を有する。文書が、特定のページサイズを有するプリンタ上に、特定のユーザの倍率プリファランスに従って印刷されると、文書にページが打たれ、それ以外の点がフォーマットされる。いくつかのケースでは、特に内容オブジェクトがスタイルに関係している場合に、フォーマット済みのターミナルエレメント835が、その対応するターミナルエレメントに関連付けられた内容オブジェクトとは異なる内容オブジェクトに関連付けられる。特定のページインスタンス830を通して捕捉された入力が、同じページ記述の他のインスタンスを通して捕捉された入力とは別に記録されることを可能にするため、文書及びページのそれぞれの印刷されたインスタンスも別々に記述される。
この最も抽象的な文書記述がページサーバ上に存在することによって、ユーザは、原文書の特定のフォーマットを受け入れることを強制されることなく文書のコピーをリクエストすることができる。ユーザは、例えば異なるページサイズを有するプリンタを通してコピーをリクエストすることができる。反対に、フォーマット済みの文書記述がページサーバに存在することによって、ページサーバは、印刷された特定のページ上のユーザアクションを効率的に解釈することができる。
フォーマット済み文書834は、一組のフォーマット済みページ記述5からなり、フォーマット済みページ記述5はそれぞれ、一組のフォーマット済みターミナルエレメント835からなる。フォーマット済みエレメントはそれぞれ、そのページ上に空間的広がり即ちゾーン58を有する。これは、ハイパーリンク、入力フィールドなどの入力エレメントのアクティブエリアを画定する。
文書インスタンス831はフォーマット済み文書834に対応する。文書インスタンス831は一組のページインスタンス830からなり、ページインスタンス830はそれぞれ、フォーマット済み文書のページ記述5に対応する。ページインスタンス830はそれぞれ、印刷された単一の固有のネットページ1を記述し、ネットページのページID50を記録する。ページインスタンスが、分離してリクエストされたページのコピーを表す場合、そのページインスタンスは文書インスタンスの部分ではない。
ページインスタンスは一組のターミナルエレメントインスタンス832からなる。エレメントインスタンスは、それが特定のインスタンスの情報を記録する場合にのみ存在する。したがって、ハイパーリンクインスタンスはページインスタンスに対して固有のトランザクションID55を記録するため、ハイパーリンクエレメントに対するハイパーリンクインスタンスは存在し、フィールドインスタンスはページインスタンスに対して固有の入力を記録するため、フィールドエレメントに対するフィールドインスタンスは存在する。しかしながら、テキストフローなどの静的エレメントに対するエレメントインスタンスは存在しない。
図27に示されているように、ターミナルエレメントは、静的エレメント843、ハイパーリンクエレメント844、フィールドエレメント845又はページサーバコマンドエレメント846であることができる。図28に示されているように、静的エレメント843は、関連スタイルオブジェクト854を有するスタイルエレメント847、関連スタイル付きテキストオブジェクト855を有するテキストフローエレメント848、関連画像エレメント856を有する画像エレメント849、関連図形オブジェクト857を有する図形エレメント850、関連ビデオクリップオブジェクト858を有するビデオクリップエレメント851、関連オーディオクリップオブジェクト859を有するオーディオクリップエレメント852、又は関連スクリプトオブジェクト860を有するスクリプトエレメント853であることができる。
ページインスタンスは、ページ上で捕捉された、特定の入力エレメントに当てはまらないデジタルインクを記録するために使用されるバックグラウンドフィールド833を有する。
本発明の好ましい形態では、ページ上のタグがそのページ上の位置に変換されることを可能にするため、それぞれのページインスタンスにタグマップ811が関連付けられる。
1.4 ネットページネットワーク
好ましい一実施形態では、図3に示されているように、ネットページネットワークが、インターネットなどのネットワーク19を介して接続された分散した一組のネットページサーバ10、ネットページ登録サーバ11、ネットページIDサーバ12、ネットページアプリケーションサーバ13、ネットページ出版物サーバ14、ウェブ端末75、ネットページプリンタ601及び中継装置44からなる。
ネットページ登録サーバ11は、ユーザ、ペン、プリンタ、アプリケーション及び出版物間の関係を記録し、それによって様々なネットワーク活動を許可するサーバである。ネットページ登録サーバ11はユーザを認証し、アプリケーショントランザクションにおいては、認証されたユーザに代わって署名の代理を務める。ネットページ登録サーバ11はさらに手書き文字認識サービスを提供する。前述のとおり、ネットページサーバ10は、ページ記述及びページインスタンスに関する持続的な情報を維持する。ネットページネットワークは、それぞれがページインスタンスのサブセットを処理する任意の数のページサーバを含む。ページサーバはさらに、それぞれのページインスタンスに対するユーザ入力値を維持するので、ネットページプリンタなどのクライアントはネットページ入力を適当なページサーバに直接に送る。ページサーバは、対応するページの記述に関するこのような入力を解釈する。
ネットページIDサーバ12は、オンデマンドで文書ID51を割り当て、そのID割当てスキームを介してページサーバのロードバランシングを提供する。
ネットページプリンタは、インターネットドメインネームシステム(Domain Name System:DNS)又は同様のシステムを使用して、ネットページID50を、対応するページインスタンスを処理するネットページサーバのネットワークアドレスに分解する。
ネットページアプリケーションサーバ13は、対話式ネットページアプリケーションを記憶したサーバである。ネットページ出版物サーバ14は、ネットページ文書をネットページプリンタに発行するアプリケーションサーバである。ネットページ文書についてはセクション2で詳細に説明する。
ネットページサーバは、IBM、Hewlett Packard、Sun社などのメーカの様々なネットワークサーバプラットホーム上に置くことができる。複数のネットページサーバを単一のホスト上で同時に動かすことができ、単一のサーバをいくつかのホストに分散させることができる。また、ネットページサーバによって提供される機能の一部又は全部、特にIDサーバ及びページサーバによって提供される機能の一部又は全部を、ネットページプリンタなどのネットページ機器又はコンピュータワークステーションに直接に提供し、或いはローカルネットワーク上に直接に提供することができる。
1.5 ネットページプリンタ
ネットページプリンタ601はネットページシステムに登録された機器であり、ネットページ文書をオンデマンドで、及び定期購読によって印刷する。それぞれのプリンタは固有のプリンタID62を有し、インターネットなどのネットワークを介して、理想的にはブロードバンド接続によってネットページネットワークに接続される。
不揮発性メモリ内の識別及びセキュリティ設定を除けば、ネットページプリンタは持続的な記憶装置を含まない。ユーザに関係する限り、「ネットワークがコンピュータである(the network is the computer)」。ネットページは、分散型ネットページサーバ10の助けを借り、特定のネットページプリンタから独立し、空間及び時間を横断して、対話的に機能する。
ネットページプリンタは、定期購読されたネットページ文書をネットページ出版物サーバ14から受け取る。それぞれの文書は、2つの部分、即ちページレイアウトと、ページを埋める実際のテキストオブジェクト及び画像オブジェクトとに分けて配布される。個人化のため、ページレイアウトは一般に特定の購読者ごとに固有であり、そのため、適当なページサーバを介して購読者のプリンタにポイントキャスト(pointcast)される。一方、テキストオブジェクト及び画像オブジェクトは一般に他の購読者と共有され、そのため、すべての購読者のプリンタ及び適当なページサーバにマルチキャスト(multicast)される。
ネットページ出版物サーバは、ポイントキャスト及びマルチキャストへの文書内容のセグメンテーションを最適化する。文書のページレイアウトのポイントキャストを受け取った後、プリンタは、プリンタが受信に使用するマルチキャストを知る。
印刷すべき文書を定義した完全なページレイアウト及びオブジェクトを受け取った後、プリンタはその文書を印刷することができる。
プリンタは、奇数ページ及び偶数ページをラスタ化し、シートの両面に同時に印刷する。プリンタは、この目的にMemjet(商標)印刷ヘッド350を利用する2重化された印刷エンジンコントローラ760及び印刷エンジンを含む。
印刷プロセスは分離された2つの段、即ちページ記述のラスタ化と、ページ画像の展開及び印刷とからなる。ラスタ画像処理装置(raster image processor:RIP)は、並行して動作する1つ又は複数の標準DSP757からなる。2重印刷エンジンコントローラは、印刷エンジン内の印刷ヘッドの動作と同期して、ページ画像をリアルタイムで展開し、ディザ処理し、印刷するカスタムプロセッサからなる。
IR印刷能力を持たないプリンタは、IR吸収性黒インクを使用してタグを印刷する選択肢を有するが、こうすることは、タグがなければ空白になるページのエリアにタグを限定する。このようなページはIR印刷されたページよりも限定された機能を有するが、これらのページもやはりネットページに分類される。
通常のネットページプリンタはネットページを紙のシート上に印刷する。より特化したネットページプリンタは、球体などのより特殊な表面に印刷することができる。それぞれのプリンタは少なくとも1つの表面タイプをサポートし、表面タイプごとに少なくとも1つのタグタイリングスキーム、したがってタグマップをサポートする。文書を印刷するために実際に使用されるタグタイリングスキームを記述したタグマップ811は、その文書のタグを正確に解釈することができるようにその文書に関連付けられる。
図22は、ネットページネットワーク上の登録サーバ11によって維持されたプリンタ関連情報を反映したネットページプリンタクラス図を示す。
下記セクション7では、ネットページプリンタの好ましい一実施形態を、図11から16を参照してより詳細に説明する。
1.5.1 Memjet(商標)印刷ヘッド
ネットページシステムは、サーマルインクジェット、圧電インクジェット、レーザ電子写真技術などを含む広範囲にわたるデジタル印刷技術を用いて製造されたプリンタを使用して機能することができる。しかしながら、消費者に広く受け入れられるためには、ネットページプリンタが以下の特性を有することが望ましい。
・ 写真品質のカラー印刷
・ 高品質のテキスト印刷
・ 高い信頼性
・ 低いプリンタコスト
・ 低いインクコスト
・ 低い紙コスト
・ 単純な操作
・ 無音に近い印刷
・ 高い印刷速度
・ 同時両面印刷
・ コンパクトなフォームファクタ
・ 低い消費電力
市販の印刷技術にこれらの特性をすべて有するものはない。
これらの特性を有するプリンタの製造を可能にするため、本出願人は、Memjet(商標)技術と呼ばれる新たな印刷技術を発明した。Memjet(商標)は、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)技術を使用して製造されるページ幅印刷ヘッドを含むドロップオンデマンド(drop−on−demand)インクジェット技術である。図17は、Memjet(商標)印刷ヘッドの単一の印刷エレメント300を示す。このネットページウォールプリンタ(wallprinter)は、1600dpiのページ幅2重プリンタを形成するために168960個の印刷エレメント300を含む。このプリンタは、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック及び赤外線インク、並びにペーパーコンディショナ及びインク定着剤を同時に印刷する。
印刷エレメント300の長さは約110ミクロン、幅は約32ミクロンである。これらの印刷エレメントのアレイが、CMOS論理、データ転送、タイミング及び駆動回路(図示せず)を含むシリコン基板301上に形成される。
印刷エレメント300の主要要素は、ノズル302、ノズルリム303、ノズルチャンバ304、流体シール305、インクチャネルリム306、レバーアーム307、能動アクチュエータビーム対308、受動アクチュエータビーム対309、能動アクチュエータアンカ310、受動アクチュエータアンカ311、及びインク入口312である。
能動アクチュエータビーム対308は、接合部319のところで受動アクチュエータビーム対309に機械的に接合される。これらのビーム対はともに、それらのそれぞれのアンカ点310及び311に固定される。要素308、309、310、311及び319の組合せは、片持ち梁式の電熱ベンドアクチュエータ320を形成する。
印刷の間、能動アクチュエータビーム対308の電極318を駆動するために、印刷ヘッドのCMOS回路が、印刷エンジンコントローラから適正な印刷エレメントにデータを配布し、ラッチし、バッファする。これによって、約1マイクロ秒の間、ビーム対308に電流が流れ、その結果、ジュール加熱が起こる。ジュール加熱に起因した温度の上昇によって、ビーム対308が膨張する。受動アクチュエータビーム対309は加熱されていないため膨張せず、その結果、これらの2つのビーム対間に応力差が生じる。この応力差は、電熱ベンドアクチュエータ320の片持ち梁端が基板301に向かって曲がることによって部分的に解消される。レバーアーム307がこの運動をノズルチャンバ304に伝える。これによってノズルチャンバ304は、約2ミクロン移動する。これによってインク圧力が増大し、インク321がノズル302から押し出され、インクメニスカス316が盛り上がる。ノズルリム303は、インクメニスカス316が、ノズルチャンバ304の表面を横切って広がることを防ぐ。
ビーム対308と309の温度が等しくなると、アクチュエータ320は元の位置に戻る。このことが、ノズルチャンバ内のインク321からインク滴317がちぎれてとび出すことを助ける。ノズルチャンバは、メニスカス316における表面張力の作用によって再び満たされる。
ネットページプリンタでは、印刷ヘッドの長さが紙の全幅(一般に210mm)である。印刷時、紙は、固定された印刷ヘッドを通り抜けて移動する。印刷ヘッドは、手指を組んだように配列された6列の印刷エレメント300を有し、インク入口によって供給された6つの色又はタイプのインクを印刷する。
動作している間、印刷ヘッドのもろい表面を保護するため、印刷ヘッド基板にはノズルガードウェハが取り付けられる。それぞれのノズルには、インク滴がそこから噴射される対応するノズルガード穴がある。印刷中は、ノズルガード穴が紙の繊維又は他の破片によって塞がれるのを防ぐため、ろ過された空気が給気口を通してノズルガード穴から外部へポンピングされる。インクが乾燥することを防ぐため、プリンタが動作していない間はノズルガードが密封される。
1.6 ネットページペン
このネットページシステムの能動感知装置は一般に、埋め込まれたコントローラ134を使用して、イメージセンサを介してあるページからIR位置タグを捕捉し、復号することができるペン101である。イメージセンサは、近赤外波長のみでの感知を可能にする適当なフィルタを備えた固体デバイスである。後により詳細に説明するが、このシステムは、尖端(nib)が表面と接触したことを感知することができ、このペンは、人間の手書き文字を捕捉する十分な速度(即ち200dpi以上及び100Hz以上)でタグを感知することができる。ペンによって捕捉された情報は暗号化され、プリンタ(又は基地局)に無線で送信され、プリンタ又は基地局は、(既知の)ページ構造に関してそのデータを解釈する。
ネットページペンの好ましい実施形態は、通常のマーキングインクペンと非マーキングスタイラスの両方として機能する。しかしながら、インターネットインターフェースとしてペンが使用されるときなど、ネットページシステムをブラウジングシステムとして使用するのにはマーキング態様は不要である。ネットページペンはそれぞれネットページシステムに登録され、固有のペンID61を有する。図23は、ネットページネットワーク上の登録サーバ11によって維持されたペン関連情報を反映したネットページペンクラス図を示す。
どちらかの尖端がネットページと接触したとき、ペンは、そのページに対するペン自体の位置及び方向を決定する。尖端は力センサに取り付けられており、ペンが「アップ」なのか又は「ダウン」なのかを指示するために、尖端に加わった力がしきい値に対して解釈される。このことは、例えばネットワーク上の情報をリクエストするために、ペンの尖端で押すことによって、ページ上の対話エレメントを「クリックする」ことを可能にする。さらに、例えば署名の完全な動態を確認されることを可能にするため、この力は連続値として捕捉される。
ペンは、尖端の近くのページのエリア193を赤外スペクトルで画像化することによって、ネットページ上のペンの尖端の位置及び方向を決定する。ペンは、最も近いタグを復号し、画像化されたタグ上の観察された透視歪み及びペン光学系の既知のジオメトリから、そのタグに対する尖端の位置を計算する。タグの位置分解能は低い可能性があるが、ページ上のタグ密度はタグサイズに反比例するため、調整された位置分解能は非常に高く、正確な手書き文字認識のために必要とされる最低分解能を超える。
ネットページに対するペンの運動は一連のストロークとして捕捉される。ストロークは、ページ上のタイムスタンプが押された一連のペン位置からなり、ペンダウン事象によって開始され、その後のペンアップ事象によって完了する、さらに、ページIDが変わるたびに、そのネットページのページID50がストロークにタグ付けされ、通常の状況ではそれはストロークの開始時である。
ネットページペンはそれぞれ、コピーアンドペーストなどの操作をユーザが実行することを可能にする、ペンに関連付けられた現在の選択(current selection)826を有する。定義された期間の後にシステムがその選択を破棄することができるように、この選択にはタイムスタンプが押される。現在の選択はページインスタンスの領域を記述する。現在の選択は、ペンを通して捕捉された、そのページのバックグラウンドエリアに対する最も最近のデジタルインクストロークからなる。現在の選択は、選択ハイパーリンク活動化を介して現在の選択があるアプリケーションに送信された後、その特定のアプリケーションに合った方法で解釈される。
ペンはそれぞれ現在の尖端824を有する。現在の尖端824は、ペンによってシステムに最後に通知された尖端である。前述のデフォルトのネットページペンの場合には、マーキングブラックインク尖端か又は非マーキングスタイラス尖端が、現在の尖端である。さらに、ペンはそれぞれ現在の尖端スタイル825を有する。尖端スタイル825は、アプリケーションによって、例えばユーザがパレットからある色を選択したことに応答して、ペンに最後に関連付けられた尖端スタイルである。デフォルトの尖端スタイルは現在の尖端に関連付けられた尖端スタイルである。ペンを通して捕捉されたストロークには現在の尖端スタイルがタグ付けされる。続いてそれらのストロークが再現されるときには、それらのストロークにタグ付けされた尖端スタイルでそれらのストロークが再現される。
ペンが、そのペンが通信することができるプリンタの範囲内にあるとき、ペンはその「オンライン」LEDをゆっくりと点滅させる。ペンが、ページに対するストロークの復号に失敗すると、ペンは、その「誤り」LEDを少しの間活動化させる。ペンが、ページに対するストロークの復号に成功すると、ペンは、その「ok」LEDを少しの間活動化させる。
捕捉された一連のストロークはデジタルインクと呼ばれる。デジタルインクは、線画及び手書き文字のデジタル交換、手書き文字のオンライン認識、及び署名のオンライン確認に対する基礎を形成する。
ペンは無線式であり、デジタルインクを短距離無線リンクを介してネットページプリンタに送信する。送信されたデジタルインクは、プライバシー及びセキュリティのために暗号化され、効率的な送信のためにパケット化されるが、プリンタにおける適時の処理を保証するため、ペンアップ事象が起こると常にフラッシュ(flush)される。
プリンタの範囲外にあるとき、ペンは、デジタルインクを内部メモリにバッファし、内部メモリは、10分を超える連続する手書き文字をバッファする容量を有する。再びプリンタの範囲内に入ると、ペンは、バッファされたすべてのデジタルインクを送信する。
1本のペンを任意の数のプリンタに登録することができるが、すべての状態データは、紙上とネットワーク上の両方のネットページに存在するため、特定の時刻にペンがどのプリンタと通信しているのかはあまり重要ではない。
下記セクション6では、ペンの好ましい一実施形態を、図8から10を参照してより詳細に説明する。
1.7 ネットページ対話
ネットページ1と対話するためにペンが使用されているときに、ネットページプリンタ601は、ストロークに関するデータをペン101から受け取る。ストロークなどの動きを実行するためにペンが使用されているときに、タグ4の符号化されたデータ3がペンによって読み取られる。このデータは、特定のページ及び関連対話エレメントの識別を決定すること、並びにそのページに対するペンの相対的な位置の指示を得ることを可能にする。この指示データはプリンタに送信され、そこで、プリンタは、DNSを介して、このストロークのページID50を、対応するページインスタンス830を維持するネットページサーバ10のネットワークアドレスに分解する。プリンタは次いでそのストロークをページサーバに送信する。そのページが、以前のストロークにおいて最近識別されものである場合、プリンタは、関連ページサーバのアドレスをそのキャッシュの中に既に保有している可能性がある。ネットページはそれぞれ、ネットページサーバによって持続的に維持されたコンパクトなページレイアウトからなる(下記参照)。ページレイアウトは、一般にネットページネットワーク上のどこかに記憶された画像、フォント及びテキスト片などのオブジェクトを指す。
ペンからストロークを受け取ると、ページサーバは、そのストロークが適用されたページ記述を取り出し、そのストロークが、ページ記述のどのエレメントと交差するのかを決定する。ページサーバは次いで、その関連エレメントのタイプの文脈でそのストロークを解釈することができる。
「クリック」は、ペンダウン位置とその後のペンアップ位置との間の距離及び時間がともにある最大値よりも小さいストロークである。クリックによって活動化されるオブジェクトは一般に、クリックが活動化されることを必要とし、したがってより長いストロークは無視される。登録のための「雑な(sloppy)」クリックなどのペンアクションの失敗は、ペンの「ok」LEDからの応答がないことよって指示される。
ネットページのページ記述には2種類の入力エレメント、即ちハイパーリンク及び書式フィールドがある。書式フィールドからの入力も、関連ハイパーリンクの活動化をトリガすることができる。
1.7.1 ハイパーリンク
ハイパーリンクは、リモートアプリケーションにメッセージを送る手段であり、一般に、ネットページシステム内の印刷された応答を出現させる。
ハイパーリンクエレメント844は、ハイパーリンクの活動化を処理するアプリケーション71、アプリケーションへのハイパーリンクを識別するリンクID54、ユーザのアプリケーションエイリアス(alias)ID65をハイパーリンク活動化に含めるようシステムに求める「エイリアス要求(alias required)」フラグ、及びハイパーリンクがお気に入り(favorite)として記録されるとき、又はハイパーリンクがユーザの履歴に現れたときに使用される記述を識別する。ハイパーリンクエレメントクラス図は図29に示されている。
ハイパーリンクが活動化されると、ページサーバは、ネットワーク上のどこかにあるアプリケーションにリクエストを送る。このアプリケーションはアプリケーションID64によって識別され、アプリケーションIDは、DNSを介して通常の方法で分解される。図30に示されているように、ハイパーリンクには、一般ハイパーリンク863、書式ハイパーリンク865及び選択ハイパーリンク864の3つのタイプがある。一般ハイパーリンクは、リンクされた文書に対するリクエストを実現することができ、又は、単純にサーバにプリファランスを知らせることができる。書式ハイパーリンクは対応する書式をアプリケーションに送信する。選択ハイパーリンクは現在の選択をアプリケーションに送信する。現在の選択が例えば単一の語からなるテキスト片を含む場合、アプリケーションは、そのテキスト片が現れた文脈内におけるその語の意味を与える単ページ文書、又は異なる言語への翻訳を戻すことができる。それぞれのハイパーリンクタイプは、どんな情報がアプリケーションに送信されるのかによって特徴づけられる。
対応するハイパーリンクインスタンス862は、ハイパーリンクインスタンスがその上に現れたページインスタンスに対して特定的であることができるトランザクションID55を記録する。トランザクションIDは、そのアプリケーションに対する特定ユーザ向けデータ、例えばユーザに代わって購入アプリケーションによって維持された未決定の購入の「ショッピングカート」を識別することができる。
このシステムは、選択ハイパーリンクの活動化においてペンの現在の選択826を含む。このシステムは、書式ハイパーリンクに活動化において関連フォームインスタンス868の内容を含むが、ハイパーリンクがその「デルタ送信(submit delta)」属性セットを有する場合には、最後の書式送信以後の入力だけが含まれる。システムは、すべてのハイパーリンク活動化において有効なリターンパスを含む。
図31に示されているように、被ハイパーリンクグループ866は関連ハイパーリンクを有するグループエレメント838である。そのグループ内のフィールドエレメントを通して入力が実施されると、そのグループに関連付けられたハイパーリンク844が活動化される。被ハイパーリンクグループを使用して、ハイパーリンクの振舞いをチェックボックスなどのフィールドに関連付けることができる。アプリケーションへの連続入力を提供するために、被ハイパーリンクグループを、書式ハイパーリンクの「デルタ送信」属性とともに使用することもできる。したがって、「黒板(blackboard)」対話モデルをサポートするために、即ち入力が捕捉され、捕捉されると直ぐにそれが共有される場合に、被ハイパーリンクグループを使用することができる。
1.7.2 書式
書式は、印刷されたネットページを通した一組の関連入力を捕捉するために使用される関連入力フィールドの集合を画定する。書式は、あるサーバ上で実行されているアプリケーションソフトウェアプログラムに、ユーザが、1つ又は複数のパラメータを送信することを可能にする。
書式867は、文書階層内のグループエレメント838である。書式867は最終的に、一組のターミナルフィールドエレメント839を含む。書式インスタンス868は、書式の印刷されたインスタンスを表す。書式インスタンス868は、書式のフィールドエレメント845に対応する一組のフィールドインスタンス870からなる。フィールドインスタンスはそれぞれ、対応するフィールドエレメントのタイプによってそのタイプが決まる関連フィールド値871を有する。フィールド値はそれぞれ、特定の印刷された書式インスタンス、即ち1つ又は複数の印刷されたネットページを介しての入力を記録する。書式クラス図は図32に示されている。
書式インスタンスはそれぞれ、その書式がアクティブ(active)、凍結(frozen)、送信済み(submitted)、無効(void)又は期限切れ(expired)であることを指示するステータス872を有する。最初に印刷されたとき書式はアクティブである。その書式に署名されるか、又は凍結時間に達すると書式は凍結になる。その送信ハイパーリンクの1つが活動化されると、そのハイパーリンクがその「デルタ送信」属性セットを持たない限り、書式は送信済みになる。ユーザが、書式無効(void form)、書式リセット(reset form)又は書式複製(duplicate form)ページコマンドを呼び出すと、書式は無効になる。その指定された期限に達すると、即ち書式がアクティブである時間がその書式の指定された寿命を超えると、書式は期限切れになる。書式がアクティブの間は書式への入力が許される。その代わりに、アクティブでない書式を通しての入力は、関連ページインスタンスのバックグラウンドフィールド833に捕捉される。書式の送信は、書式がアクティブ又は凍結のときに許される。書式がアクティブでも又は凍結でもないときに書式を送信しようとすると、その試みは拒絶され、代わりに書式ステータスレポートが出現する。
それぞれの書式インスタンスは、それから派生した書式インスタンスに関連付けられ(59)、したがってバージョン履歴を提供する。これによって、特定の期間内の最新のバージョンを除くすべての書式を探索から除外することができる。
入力はすべてデジタルインクとして捕捉される。デジタルインク873は、タイムスタンプが押された一組のストロークグループ874からなり、ストロークグループ874はそれぞれ、スタイルが指定された一組のストローク875からなる。ストロークはそれぞれ、タイムスタンプが押された一組のペン位置876からなり、ペン位置876はそれぞれ、ペンの方向及び尖端の力を含む。デジタルインククラス図は図33に示されている。
フィールドエレメント845は、チェックボックスフィールド877、テキストフィールド878、線画フィールド879又は署名フィールド880であることができる。フィールドエレメントクラス図は図34に示されている。あるフィールドのゾーン58内で捕捉されたデジタルインクはそのフィールドに割り当てられる。
チェックボックスフィールドは、図35に示されているように関連ブール値881を有する。チェックボックスフィールドのゾーン内で捕捉されたマーク(チック(tick)、クロス(cross)、ストローク、フィルジグザグ(fill zigzag)など)によって、フィールドの値に真の値が割り当てられる。
テキストフィールドは、図36に示されているように関連テキスト値882を有する。テキストフィールドのゾーン内で捕捉されたデジタルインクは、オンライン手書き文字認識を介して自動的にテキストに変換され、そのテキストがフィールドの値に割り当てられる。オンライン手書き文字認識はよく理解されている(例えばTappert,C.、C.Y.Suen及びT.Wakahara、「The State of the Art in On−Line Handwriting Recognition」、IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence、第12巻、8号、1990年8月を参照されたい。この文献の内容は相互参照によって本明細書に組み込まれる)。
署名フィールドは、図37に示されているように関連デジタル署名値883を有する。署名フィールドのゾーン内で捕捉されたデジタルインクは、そのペンの所有者の識別が自動的に確認され、署名フィールドがその一部である書式の内容のデジタル署名が生成され、フィールド値に割り当てられる。このデジタル署名は、その書式を所有するアプリケーションに固有のペンユーザの秘密署名鍵を使用して生成される。オンラインの署名の確認はよく理解されている(例えばPlamondon.R.及びG.Lorette、「Automatic Signature Verification and Writer Identification−The State of the Art」、Pattern Recognition、第22巻、2号、1989年を参照されたい。この文献の内容は相互参照によって本明細書に組み込まれる)。
その「隠し(hidden)」属性がセットされている場合、フィールドエレメントは隠される。隠されたフィールドエレメントはページ上に入力ゾーンを持たず、入力を受け付けない。隠されたフィールドエレメントは、そのフィールドを含む書式が送信されたときに書式データに含まれる関連フィールド値を有することができる。
書式フィールドでは、消去を指示するストライクスルー(strike−through)などの「編集(editing)」コマンドも認識することができる。
手書き文字認識アルゴリズムは、「オフライン」(即ちペンマーキングのビットマップにだけアクセスできる)ではなく、「オンライン」(即ちペンの運動の動態にアクセスできる)で機能するため、手書き文字認識アルゴリズムは、書き手依存トレーニング段階なしで、次行に続く分ち書きされた文字列を比較的に高い正確さで認識することができる。しかしながら、そのうちに手書き文字の書き手依存モデルが自動的に生成され、必要ならば、このモデルを前もって生成することもできる。
既に述べたとおりデジタルインクは一連のストロークからなる。特定のエレメントのゾーンで始まるストロークは、解釈を待つそのエレメントのデジタルインクストリームに付加される。オブジェクトのデジタルインクストリームに付加されなかったストロークは、バックグラウンドフィールドのデジタルインクストリームに付加される。
バックグラウンドフィールドで捕捉されたデジタルインクは選択ジェスチャ(gesture)と解釈される。1つ又は複数のオブジェクトの外接は一般に外接したそれらのオブジェクトの選択と解釈されるが、実際の解釈はアプリケーションによる。
表1は、ペンとネットページとのこれらの様々な対話をまとめたものである。
このシステムは、それぞれのペンの現在の選択を維持する。この選択は単純に、バックグラウンドフィールドで捕捉された最も最近のストロークからなる。予測可能な振舞いを保証するため、この選択は不活動タイムアウト後にクリアされる。
すべてのフィールド内で捕捉された処理前のデジタルインクはネットページサーバ上に保持され、任意選択で、書式がアプリケーションに送信されるときに書式データとともに送信される。これは、アプリケーションが、手書きテキストの変換などの最初の変換を疑った場合に、アプリケーションがこの処理前のデジタルインクに問い合わせることを可能にする。これには例えば、そのアプリケーションに固有のある一貫性チェックに失敗した書式に対するアプリケーションレベルでの人間の介入が含まれる。これを拡張して、書式のバックグラウンドエリア全体を線画フィールドとして指定することもできる。アプリケーションは次いで、書式の明示フィールドの外側にデジタルインクが存在することに基づき、ユーザが、記入済みのフィールドの外側にそれらのフィールドの訂正を記入した可能性があるとの仮定のもとに、その書式を人間のオペレータに送ると判断することができる。
図38は、ネットページに対するペン入力を処理するプロセスの流れ図を示す。このプロセスは、ペンからストロークを受け取り(884)、そのストローク内のページID50が指すページインスタンス830を識別し(885)、ページ記述5を取り出し(886)、ストロークが交差するゾーン58が属するフォーマット済みエレメント839を識別し(887)、フォーマット済みエレメントがフィールドエレメントに対応するかどうかを判定し(888)、そうである場合に、受け取ったストロークをフィールド値871のデジタルインクに付加し(892)、蓄積されたそのフィールドのデジタルインクを解釈し(893)、そのフィールドが被ハイパーリンクグループ866の部分であるかどうかを判定し(894)、そうである場合に、関連ハイパーリンクを活動化し(895)、或いは、フォーマット済みエレメントがハイパーリンクエレメントに対応するかどうかを判定し(889)、そうである場合に、対応するハイパーリンクを活動化し(895)、或いは、入力フィールド又はハイパーリンクがない場合に、受け取ったストロークをバックグラウンドフィールド833のデジタルインクに付加し(890)、受け取ったストロークを、登録サーバによって維持された現在のペンの現在の選択826にコピーする(891)ことからなる。
図38aは、図38に示されたプロセスのステップ893の詳細流れ図を示し、このステップでは、蓄積されたフィールドのデジタルインクがそのフィールドのタイプに従って解釈される。このプロセスは、そのフィールドがチェックボックスであるかどうかを判定し(896)、デジタルインクがチェックマークを表すかどうかを判定し(897)、そうである場合に、フィールド値に真の値を割り当て(898)、或いは、そのフィールドがテキストフィールドであるかどうかを判定し(899)、そうである場合に、適当な登録サーバの助けを借りて、デジタルインクをコンピュータテキストに変換し(900)、変換されたコンピュータテキストをフィールド値に割り当て(901)、或いは、そのフィールドが署名フィールドであるかどうかを判定し(902)、そうである場合に、適当な登録サーバの助けを借りて、デジタルインクをペンの所有者の署名と確認し(903)、対応する書式の内容のデジタル署名を、やはり登録サーバの助けを借り、対応するアプリケーションに関するペン所有者の秘密署名鍵を使用して作成し(904)、そのデジタル署名をフィールド値に割り当てること(905)からなる。
1.7.3 ページサーバコマンド
ページサーバコマンドは、ページサーバによってローカルに処理されるコマンドである。ページサーバコマンドは、書式、ページ及び文書インスタンスに対して直接に機能する。
図39に示されているように、ページサーバコマンド907は、書式無効(void form)コマンド908、書式複製(duplicate form)コマンド909、書式リセット(reset form)コマンド910、書式ステータス取得(get form status)コマンド911、ページ複製(duplicate page)コマンド912、ページリセット(reset page)コマンド913、ページステータス取得(get page status)コマンド914、文書複製(duplicate document)コマンド915、文書リセット(reset document)コマンド916、又は文書ステータス取得(get document status)コマンド917であることができる。
書式無効コマンドは対応する書式インスタンスを無効にする。書式複製コマンドは、対応する書式インスタンスを無効にし、次いで、フィールド値が保持された、現在の書式インスタンスの印刷されたアクティブコピーを生成する。このコピーは、原書式インスタンスと同じハイパーリンクトランザクションIDを含み、そのため、アプリケーションには、原書式インスタンスとの区別がつかない。書式リセットコマンドは、対応する書式インスタンスを無効にし、次いで、フィールド値が破棄された、書式インスタンスの印刷されたアクティブコピーを生成する。書式ステータス取得コマンドは、対応する書式インスタンスのステータスに関する印刷されたレポートを生成し、このレポートは、誰がその書式を発行したのか、いつ印刷されたのか、誰に対して印刷されたのか、及び書式インスタンスの書式ステータスを含む。
書式ハイパーリンクインスタンスはトランザクションIDを含むため、新たな書式インスタンスの生成にはアプリケーションが関与しなければならない。したがって、新たな書式インスタンスをリクエストするボタンは一般にハイパーリンクとして実現される。
ページ複製コマンドは、バックグラウンドフィールド値が保持された、対応するページインスタンスの印刷されたコピーを生成する。そのページが書式を含むか、又は書式の部分である場合、ページ複製コマンドは書式複製コマンドとして解釈される。ページリセットコマンドは、バックグラウンドフィールド値が破棄された、対応するページインスタンスの印刷されたコピーを生成する。そのページが書式を含むか、又は書式の部分である場合、ページリセットコマンドは書式リセットコマンドとして解釈される。ページステータス取得コマンドは、対応するページインスタンスのステータスに関する印刷されたレポートを生成し、このレポートは、誰がそのページを発行したのか、いつ印刷されたのか、誰に対して印刷されたのか、及びそのページが含む又はそのページがその部分である書式の状態を含む。
すべてのネットページ上に現れるネットページロゴ(logo)は通常、ページ複製エレメントに関連付けられる。
フィールド値が保持されたまま、ページインスタンスが複製されるとき、フィールド値はそのネイティブ(native)の形態で印刷される。即ちチェックマークが標準チェックマーク図形として現れ、テキストが活字テキストとして現れる。線画及び署名だけはそれらの元々の書式で現れ、署名には、署名の確認に成功したことを指示する標準図形が添付される。
文書複製コマンドは、バックグラウンドフィールド値が保持された、対応する文書インスタンスの印刷されたコピーを生成する。その文書が書式を含む場合、文書複製コマンドは、書式複製コマンドが実行するのと同じ方法でそれらの書式を複製する。文書リセットコマンドは、バックグラウンドフィールド値が破棄された、対応する文書インスタンスの印刷されたコピーを生成する。その文書が書式を含む場合、文書リセットコマンドは、書式リセットコマンドが実行するのと同じ方法でそれらの書式をリセットする。文書ステータス取得コマンドは、対応する文書インスタンスのステータスに関する印刷されたレポートを生成し、そのレポートは、誰がその文書を発行したのか、いつ印刷されたのか、誰に対して印刷されたのか、及びその文書が含む書式のステータスを含む。
ページサーバコマンドの「オンセレクテッド(on selected)」属性がセットされている場合、コマンドは、そのコマンドを含むページ上ではなく、ペンの現在の選択によって識別されるページ上で機能する。これは、ページサーバコマンドのメニューを印刷することを可能にする。ターゲットページが、指示されたページサーバコマンドに対するページサーバコマンドエレメントを含まない場合、そのコマンドは無視される。
関連ページサーバコマンドエレメントを被ハイパーリンクグループに埋め込むことによって、アプリケーションは、そのアプリケーション固有の処理を提供することができる。ページサーバは、ページサーバコマンドを実行するのではなしに、被ハイパーリンクグループに関連付けられたハイパーリンクを活動化する。
その「隠し(hidden)」属性がセットされている場合、ページサーバコマンドエレメントは隠される。隠されたコマンドエレメントはページ上に入力ゾーンを持たず、そのため、ユーザが直接に活動化することはできない。しかし、そのページサーバコマンドの「オンセレクテッド(on selected)」属性がセットされている場合には、異なるページに埋め込まれたページサーバコマンドを介して、隠されたコマンドエレメントを活動化することができる。
1.8 ネットページの標準フィーチャ
好ましい形態では、そのページがネットページであり、したがって対話特性を有することを指示するため、ネットページがそれぞれ、ページ最下部にネットページロゴを有するように印刷される。このロゴはコピーボタンの働きもする。ほとんどの場合、ロゴを押すとそのページのコピーが生成される。書式の場合には、このボタンが書式全体のコピーを生成する。チケット又はクーポンなどのセキュアドキュメント(secure document)の場合、このボタンは、注記又は広告ページを出現させる。
このデフォルトの単ページコピー機能は、関連ネットページサーバによって直接に処理される。特殊なコピー機能は、ロゴボタンをアプリケーションにリンクすることによって処理される。
1.9 ユーザヘルプシステム
好ましい一実施形態では、ネットページプリンタが、「ヘルプ(help)」と記された単一のボタンを有する。このボタンは、押されると、以下のものを含む単一の情報ヘルプページ46を出現させる。
・ プリンタ接続のステータス
・ プリンタ消耗品のステータス
・ 最上位ヘルプメニュー
・ 文書機能メニュー
・ 最上位ネットページネットワークディレクトリ
ヘルプメニューは、ネットページシステムの使用法に関する階層的マニュアルを提供する。
文書機能メニューは以下の機能を含む。
・ 文書のコピーを印刷する
・ 書式の未記入コピーを印刷する
・ 文書のステータスを印刷する
文書機能は、文書を選択し、次いでこのボタンを押すことによって開始される。文書のステータスは、誰がいつその文書を発行したのか、誰に対して送付されたのか、その後、書式としていつ誰に対して送信されたのかを示す。
プリンタが印刷できない場合には、ヘルプページが利用不能であることは明らかである。この場合、「誤り」ライトが点灯し、ユーザは、ネットワークを介してリモート診断をリクエストすることができる。
2 個人化出版物モデル
以下の説明では、ネットページシステム内の個人化機構を例示する標準的な出版物の例として、ニュースを使用する。ニュースはしばしば、新聞及びニュース雑誌のニュースという限定された意味で使用されるが、この文脈において意図される範囲はそれよりも広い。
ネットページシステムでは、ニュース出版物の編集内容(editorial content)と広告内容(advertising content)とが異なる機構を使用して個人化される。編集内容は、明示的に述べられ、暗黙のうちに捕捉された読者の関心プロフィール(interest profile)に従って個人化される。広告内容は、読者の地域性及び人口統計学的データに従って個人化される。
2.1 編集個人化
購読者は、2種類のニュース源、即ちニュース出版物を送付するニュース源とニュースストリームを送付するニュース源とを利用することができる。ニュース出版物は出版者によって集約され、編集されるが、ニュースストリームは、ニュース出版者によって集約されたり、又はそれを得意とする人によってまとめられたりする。ニュース出版物は一般に伝統的な新聞及びニュース雑誌に対応し、一方、ニュースストリームは、通信社からの「生の」ニュース配信、続き漫画、フリーライターのコラム、友人の電子掲示板又は読者自身の電子メールと、多種多様であり得る。
ネットページ出版物サーバは、編集されたニュース出版物の発行並びに複数のニュースストリームの集約をサポートする。読者によって直接に選択されたニュースストリームの集約、したがってフォーマッティングを処理することによって、サーバは、それがなければ編集管理されないページ上に広告を置くことができる。
購読者は、1つ又は複数の役立つニュース出版物を選択し、購読者それぞれの個人化されたバージョンのニュース出版物を生み出すことによって、日刊新聞を構築する。その結果得られる毎日の版(edition)は印刷され、単一の新聞として綴じられる。家族のそれぞれのメンバーは一般に、異なる日刊出版物を選択し、次いでそれらをカスタマイズすることによって、それぞれ異なる関心や嗜好を表現する。
任意選択で、読者は、出版物ごとに特定の欄を選択する。いくつかの欄は毎日現れ、他の欄は毎週現れる。例えばThe New York Times onlineから毎日入手できる欄には例えば、「Page One Plus」、「National」、「International」、「Opinion」、「Business」、「Arts/Living」、「Technology」、「Sports」などがある。入手可能な欄の集合は出版物ごとに異なり、デフォルトのサブセットも同様である。
読者は、それぞれが任意の数のニュースストリームを利用するあつらえ(カスタム)の欄を生み出すことによってその日刊新聞を拡張することができる。カスタム欄は、電子メールや友人の発表用に(「パーソナル(Personal)」)、又は特定の問題のニュース配信を監視するために(「警戒(Alerts)」又は「切抜き(Clippings)」)生成されることがありうる。
任意選択で、読者は、欄ごとに、そのサイズを定性的に(例えば短い、中位又は長い)、又は数値的に(即ちそのページ数の限界として)指定し、広告の所望の割合を定性的に(例えば高い、普通、低い、なし)、又は数値的に(即ちパーセンテージとして)指定する。
任意選択で、読者はさらに、短い記事をたくさん載せたほうがよいのか、又は長い記事を少数載せたほうがいいのかのプリファランスを表現する。このプリファランスをサポートするため、理想的には、それぞれの記事が短い形態と長い形態の両方で書かれる(又は編集される)。
予想される読者の知識レベルに合うように、例えば子供用と成人用のバージョンを提供するために、記事を異なる複数のバージョンで書く(又は編集する)こともできる。適当なバージョンは読者の年齢に基づいて選択される。読者は、その生物学的な年齢よりも優先される「読者年齢」を指定することができる。
それぞれの欄を構成する記事は、編集者によって選択、順位付けされ、それぞれに有効寿命が割り当てられる。デフォルトでは、それらの記事が、購読者の版内のスペースに制約があることを前提に、関連するすべての購読者に優先順に送付される。
そうすることが適当な欄では、読者が、任意選択で、コラボラティブフィルタリング(collaborative filtering)を使用可能にすることができる。これは次いで、十分に長い寿命を有する記事に適用される。コラボラティブフィルタリングに対して適格な記事はそれぞれ、記事の最後に評価(rating)ボタンを付けて印刷される。これらのボタンは、容易な選択(例えば「好き(liked)」及び「嫌い(disliked)」)を提供することができ、これによって読者が記事を評価する可能性がより高くなる。
したがって、優先順位が高く寿命が短い記事は、編集者によって、必ず読むべきものと効果的に判断され、最も関連のある購読者に送付される。
任意選択で、読者は、セレンディピティファクタ(serendipity factor)を、定性的に(例えば読者を驚かせるか否か)又は数値的に指定する。高いセレンディピティファクタは、コラボラティブフィルタリング中にマッチングに使用されるしきい値を低くする。高いファクタは、対応する欄が読者の指定された容量まで埋められる可能性をより高くする。異なる曜日に対して異なるセレンディピティファクタを指定することができる。
任意選択で、読者はさらに、欄内の特に関心のある話題を指定し、これによって、編集者によって割り当てられる優先順位が変更される。
読者のインターネット接続の速度は、送付される画像の品質に影響を及ぼす。任意選択で、読者は、画像を減らすのがよいのか、又は画像を小さくするのがよいのか、或いはその両方がよいのかのプリファランスを指定する。画像の数又はサイズを低減しない場合には、より低い品質で画像を送付することができる(即ち分解能を下げるか又は圧縮率を大きくする)。
世界レベルで、読者は、量、日付、時間及び通貨の値をローカライズする方法を指定する。これは、単位がヤードポンド法なのか又はメートル法なのかを指定すること、地方時間帯及び時刻表示形式を指定すること、国内通貨を指定すること、並びにそのローカライズ(localization)が原位置での変換からなるのか、又は注釈からなるのかを指定することを含む。デフォルトでは、これらのプリファランスが読者の地域性から導き出される。
視力が弱いことによって引き起こされる読みにくさを低減させるため、読者は、任意選択で、表示を大きくするグローバルプリファランスを指定する。それに応じてテキストと画像の両方が拡大され、それぞれのページに収容される情報が減らされる。
ニュース出版物が書かれる言語、及びその対応するテキスト符号化は出版物の特性であって、ユーザによって表現されるプリファランスではない。しかし、様々な外観の自動翻訳サービスを提供するように、ネットページシステムを構成することができる。
2.2 広告ローカライズ及びターゲティング
広告は一般に編集の文脈を利用するように置かれるため、編集内容の個人化は広告内容に直接影響を及ぼす。例えば、旅行広告は他の欄よりも旅行欄に現れる可能性が高い。広告主(したがって出版者)にとっての編集内容の価値は、合致した人口統計学的特性を有する多数の読者を引き付けるその能力にある。
有効な広告は、地域性及び人口統計学的特性に基づいて配置される。地域性は、特定のサービス業、小売業者などに対する接近、並びに地域社会及び地域環境に関連した特定の興味及び関心を決定する。人口統計学的特性は、一般的な興味及び夢中になる事柄、並びにそれらしい消費パターンを決定する。
ニュース出版者の最も収益が上がる製品は、出版物の地理的カバレージ、読者数、読者の人口統計学的特性、及び広告に使用可能なページ面積によって決まる多次元エンティティである広告「スペース」である。
ネットページシステムでは、ネットページ出版物サーバが、出版物の地理的カバレージ、その欄の読者層、その欄のそれぞれの読者の版のサイズ、それぞれの読者の広告割合、及びそれぞれの読者の人口統計学特性を考慮して、出版物の販売可能な広告スペースのおおよその多次元サイズを欄ごとに計算する。
他の媒体と比較すると、ネットページシステムでは、広告スペースをより詳細に画定することができ、広告スペースの複数の小片を別々に販売することができる。したがって、広告スペースをその真の価値により近い価格で販売することができる。
例えば、同じ広告「枠」をそれぞれ異なる割合でいくつかの広告主に販売することができ、読者の個々のページは、ある広告主又は別の広告主の広告をランダムに受け取り、全体として、それぞれの広告主に販売されたスペースの割合を維持する。
ネットページシステムは、広告を、詳細な製品情報及びオンライン購買に直接にリンクさせることを可能にする。したがって、このことは、広告スペースの本来備わっている価値を高める。
個人化及びローカライズは、ネットページ出版物サーバによって自動的に処理されるため、広告アグリゲータ(aggregator)は、幅広い地理学的カバレージと幅広い人口統計学カバレージの両方を恣意的に提供することができる。後続のディスアグリゲーション(disaggregation)は自動であるため、効率的である。これによって、出版者が広告を直接に獲得するよりも、出版者が広告アグリゲータと取引きしたほうが費用効果は高くなる。たとえ広告アグリゲータが広告収入のある部分を受け取ったとしても、集約のより大きな効率のため、出版者は、残金がプロフィットニュートラル(profit−neutral)でることを見出す可能性がある。広告アグリゲータは広告主と出版者の間を仲介する働きをし、複数の出版物に同じ広告を置くことができる。
ネットページ出版物の広告スペースは伝統的な出版物よりも複雑であるため、ネットページ出版物における広告の配置は、伝統的出版物における広告の配置よりも複雑になりうることを留意する価値がある。広告主、広告アグリゲータ及び出版者の間の十分に複雑な交渉は無視し、ネットページシステムの好ましい形態は、広告スペースの自動オークションのサポートを含む、これらの交渉に対するある自動化されたサポートを提供する。自動化は、小さな広告又は高度にローカライズされた広告など少額の収入を生み出す広告の配置に対して特に望ましい。
配置の交渉がまとまると、アグリゲータは広告を獲得し、編集し、それをネットページ広告サーバ上に記録する。対応して、出版者は、関連ネットページ出版物サーバ上に広告の配置を記録する。ネットページ出版物サーバが、それぞれのユーザの個人化された出版物をレイアウトすると、ネットページ出版物サーバは、ネットページ広告サーバから関連する広告をピックアップする。
2.3 ユーザプロフィール
2.3.1 情報フィルタリング
ニュース及び他の出版物の個人化は、以下のものを含むユーザ固有のプロフィール情報の組合せに依存する。
・ 出版物のカスタマイズ
・ コラボラティブフィルタリングベクトル
・ コンタクトディテール(contact details)
・ プレゼンテーションプリファランス
出版物のカスタマイズは一般に出版物に固有であり、そのため、カスタマイズ情報は、関連ネットページ出版物サーバによって維持される。
コラボラティブフィルタリングベクトルは、いくつかのニュース項目のユーザの評価からなる。コラボラティブフィルタリングベクトルは、推奨を作成するために複数のユーザの様々な関心を相関させるために使用される。単一のコラボラティブフィルタリングベクトルを特定の出版物から独立に維持することにはいくつかの利点があるが、以下の2つの理由から、出版物ごとに別個のベクトルを維持したほうがより実際的である;複数の購読者から同じ出版物へのベクトル間の重なりのほうが、複数の購読者から異なる出版物へのベクトル間の重なりよりも大きい可能性が高く、出版物は、そのユーザのコラボラティブフィルタリングベクトルを、ほかでは見られないそのブランドの価値の一部として提示したい可能性が高い。したがって、コラボラティブフィルタリングベクトルも、関連ネットページ出版物サーバによって維持される。
氏名、番地、郵便番号(ZIPコード)、州、国、電話番号を含むコンタクトディテールは本来グローバルであり、ネットページ登録サーバによって維持される。
量、日付及び時間に対するプリファランスを含むプレゼンテーションも同様にグローバルであり、同じ方法で維持される。
広告のローカライズは、ユーザのコンタクトディテール内に示された地域性に依存し、広告のターゲティングは、生年月日、性別、婚姻状況、収入、職業、教育、又は年齢範囲、収入範囲などの定性的派生情報などの個人情報に依存する。
広告目的のために個人情報を明らかにすることを選択したユーザに関しては、その個人情報が、関連ネットページ登録サーバによって維持される。このような情報がない場合には、ユーザのZIP又はZIP+4コードに関連付けられた人口統計学的データに基づいて広告を差し向けることができる。
それぞれのユーザ、ペン、プリンタ、アプリケーションプロバイダ及びアプリケーションにはそれ自体の固有の識別子が割り当てられ、ネットページ登録サーバは、図21、22、23及び24に示されているようにそれらの間の関係を維持する。登録目的では、出版者は、特殊な種類のアプリケーションプロバイダであり、出版物は、特殊な種類のアプリケーションである。
それぞれのユーザ800は、任意の数のプリンタ802を使用することを許されることができ、それぞれのプリンタは、任意の数のユーザがプリンタを使用することを許すことができる。それぞれのユーザは、デフォルトで定期出版物が送付される単一のデフォルトプリンタを有し(66)、オンデマンドで印刷されたページは、ユーザがそれによって対話しているプリンタに送付される。サーバは、ユーザが自身のデフォルトのプリンタに印刷することを許可した出版者のトラックを保持する。出版者は、特定のプリンタのIDを記録しないが、その代わりにそれが要求されたときにそのIDを分解する。ユーザは、そのプリンタに対する管理特権69を有すると指定されることもあり、それにより、ユーザは、他のユーザがそのプリンタを使用することを許可することができる。これは、プリンタが、このような操作に対する管理特権84を要求する場合にのみ意味を持つ。
ユーザが出版物807の購読を申し込むと808、出版者806(即ちアプリケーションプロバイダ803)は、指定されたプリンタ又はユーザのデフォルトのプリンタに印刷することを許される。この許可は、ユーザによっていつでも取り消すことができる。ユーザはそれぞれいくつかのペン801を有することができるが、ある1本のペンは1人のユーザだけに割り当てられる。あるユーザが特定のプリンタの使用を許可された場合、そのプリンタは、そのユーザのすべてのペンを認識する。
特定のネットページ登録サーバによって維持された対応するユーザプロフィールの位置をDNSを介して通常の方法で突き止めるために、ペンIDが使用される。
ウェブ端末809は、特定のネットページプリンタに印刷することを許可されることができ、それにより、ウェブブラウジング中に遭遇したウェブページ及びネットページ文書を、最も近いネットページプリンタで都合よく印刷することができる。
ネットページシステムは、プリンタプロバイダに代わって、プロバイダのプリンタで印刷された出版物を通して得られた収入に対する料金及び手数料を集めることができる。このような収入には、広告料、クリックスルー料金、eコマース手数料、及びトランザクション料金などが含まれうる。そのプリンタがユーザによって所有されている場合には、そのユーザがプリンタプロバイダである。
さらに、ユーザはそれぞれ、(以前の段落で説明したものなどの)微小な借方及び貸方を蓄積するために使用されるネットページアカウント820、氏名、住所及び電話番号を含むコンタクトディテール815、プライバシー、送付及びローカライズ設定を含むグローバルなプリファランス816、ユーザの符号化された署名818、指紋819などを含む任意の数のバイオメトリックレコード817、システムによって自動的に維持される手書き文字モデル819、並びにそれによってeコマース支払いを実行することができるSET支払いカードアカウント821を有する。
ユーザ固有のネットページアカウントに加えて、ユーザはそれぞれさらに、ユーザが使用を許可されたそれぞれのプリンタに固有のネットページアカウント936を有する。プリンタ固有アカウントはそれぞれ、そのプリンタでのユーザの活動に関係した微小な借方及び貸方を蓄積するために使用される。ユーザには、未決済の借方残高の請求が定期的に送られる。
任意選択で、ユーザは、ネットページユーザディレクトリ823に記載され、それにより、他のユーザがそのユーザを見つけ、電子メール(など)を送ることができる。
2.4 インテリジェントページレイアウト
ネットページ出版物サーバは、それぞれのユーザの個人化された出版物のページを、欄単位で自動的にレイアウトする。大部分の広告は、フォーマット済みの長方形の形態にあるため、編集内容が置かれる前にページ上に置かれる。
ある欄に対する広告の比率は、その欄内の個々のページ上の激しく変化する広告比率によって達成することができ、広告レイアウトアルゴリズムはこれを利用する。このアルゴリズムは、日曜大工の屋根修理が特集されている出版物内に屋根材の広告を特別に配置するなど、密接に関連した編集内容と広告内容とを同じ場所に配置することを試みるように構成される。
次いで、テキスト並びに関連する画像及び図形を含む、そのユーザに対して選択された編集内容が、様々な美的規則に従ってレイアウトされる。
レイアウトがまとまった後、ユーザの明示された欄サイズプリファランスをより厳密に達成することを試みるため、広告の選択及び編集内容の選択を含むこのプロセス全体を繰り返さなければならない。しかしながら、日によってかなり変動するが、そのうちに、平均して欄サイズプリファランスに合わせることができる。
2.5 文書フォーマット
レイアウトされると、文書は、ネットページネットワーク上での効率的な配布及び持続的な記憶のために符号化される。
主要な効率機構は、1人のユーザの版に固有の情報と、複数のユーザの版間で共有されている情報との分離である。この固有情報はページレイアウトからなる。共有情報は、ページレイアウトが参照する、画像、図形及びテキスト片を含むオブジェクトからなる。
テキストオブジェクトは、エクステンシブルスタイルシートランゲージ(Extensible Stylesheet Language:XSL)を使用してエクステンシブルマークアップランゲージ(Extensible Markup Language:XML)で表された完全にフォーマットされたテキストを含む。XSLは、そのテキストがセットされている領域から独立したテキストフォーマッティングの正確な制御を提供し、この場合、テキストフォーマッティングはレイアウトによって提供されている。テキストオブジェクトは、自動翻訳を可能にする埋め込まれた言語符号と、段落フォーマッティングを助ける埋め込まれたハイフネーションヒントとを含む。
画像オブジェクトは画像を、JPEG2000ウェーブレットに基づく圧縮画像フォーマットで符号化する。図形オブジェクトは2D図形を、スケーラブルベクターグラフィックス(Scalable Vector Graphics:SVG)フォーマットで符号化する。
レイアウト自体は、配置された一連の画像及び図形オブジェクト、テキストオブジェクトがその中を流れるリンクされたテキストフローオブジェクト、前述のハイパーリンク及び入力フィールド、並びに透かし領域からなる。これらのレイアウトオブジェクトの概要を表2に示す。このレイアウトは、効率的な配布及び記憶に適したコンパクトなフォーマットを使用する。
2.6 文書の配布
前述のとおり、ネットページネットワーク上での効率的な配布及び持続的な記憶のため、ユーザ固有ページレイアウトは、そのページレイアウトが参照する共有オブジェクトから分離される。
購読申込みがあった出版物の配布の準備が整うと、ネットページ出版物サーバは、ネットページIDサーバ12の助けを借りて、それぞれのページ、ページインスタンス、文書及び文書インスタンスに固有のIDを割り当てる。
ネットページ出版物サーバは、共有内容の最適化された一組のサブセットを計算し、サブセットごとにマルチキャストチャネルを生成し、次いで、それぞれのユーザ固有レイアウトに、そのレイアウトによって使用される共有内容を運ぶマルチキャストチャネルの名前をタグ付けする。このサーバは次いで、それぞれのユーザレイアウトを適当なページサーバを介してそのユーザのプリンタにポイントキャストし、このポイントキャストが完了すると、指定されたチャネル上に共有内容をマルチキャストする。そのポイントキャストを受け取った後、それぞれのページサーバ及びプリンタは、ページレイアウト内に指定されたマルチキャストチャネルを読む。マルチキャストの間に、それぞれのページサーバ及びプリンタは、そのページレイアウトが参照するオブジェクトをマルチキャストストリームから抜き出す。ページサーバは、受け取ったページレイアウト及び共有内容を持続的に保管する。
そのページレイアウトが参照するすべてのオブジェクトを受け取ると、プリンタは、完全に埋められたレイアウトを再形成し、次いでそれをラスタ化し、印刷する。
通常の状況では、プリンタは、ページを送付することができる速さよりも速くページを印刷する。それぞれのページの4分の1が画像で覆われていると仮定すると、平均的なページのサイズは400KB未満である。したがって、プリンタは、一時バッファなどを考慮して、その64MBの内部メモリに、100ページを超えるこのようなページを保持することができる。プリンタは毎秒1ページの速度で印刷する。これは、毎秒400KB又は毎秒約3Mbitのページデータに相当し、これは、ブロードバンドネットワーク上での予想される最も高いページデータ送付速度と同様である。
プリンタの紙が切れたときなど、異常な状況下であっても、ユーザは、プリンタの100ページの内部記憶容量を使い切る前に、紙を補給できる可能性が高い。
しかし、その内部メモリがいっぱいになった場合、プリンタは、それが最初に起こったときにマルチキャストを利用することができない。したがって、ネットページ出版物サーバは、再マルチキャストを求めるリクエストをプリンタが送信することを許す。臨界数のリクエストを受け取るか、又は時間切れになると、ネットページ出版物サーバは、対応する共有オブジェクトを再マルチキャストする。
いったん文書が印刷されると、プリンタは、そのページレイアウト及び内容を関連ページサーバから取り出すことによって、正確な複製をいつでも生成することができる。
2.7 オンデマンド文書
ネットページ文書がオンデマンドでリクエストされたときには、そのネットページ文書を、定期出版物とほぼ同じ方法で個人化し、送付することができる。しかしながら、共有内容はないので、マルチキャストが利用されることはなく、リクエストを発したプリンタに直接に送付される。
非ネットページ文書がオンデマンドでリクエストされたときには、その文書は個人化されず、その文書は、その文書をネットページ文書として再フォーマットする指定されたネットページフォーマッティングサーバを介して送付される。ネットページフォーマッティングサーバは、ネットページ出版物サーバの特殊なインスタンスである。ネットページフォーマッティングサーバは、Adobe社のポータブルドキュメントフォーマット(Portable Document Format:PDF)及びハイパーテキストマークアップランゲージ(Hypertext Markup Language:HTML)を含む様々なインターネット文書フォーマットについての知識を有する。HTMLの場合、ネットページフォーマッティングサーバは、印刷されたページのより高い分解能を利用して、ウェブページを、目次を有するマルチコラムフォーマットで提示することができる。ネットページフォーマッティングサーバは、リクエストされたページに直接にリンクされたすべてのウェブページを自動的に含むことができる。ユーザは、この振舞いをプリファランスを介して調整することができる。
ネットページフォーマッティングサーバは、対話性及び持続性を含む標準ネットページ振舞いを、文書の起源及びフォーマットの如何にかかわらず、任意のインターネット文書上で利用できるようにする。ネットページフォーマッティングサーバは、様々な文書フォーマットについての知識を、ネットページプリンタとネットページサーバの両方から隠し、ネットページシステムについての知識をウェブサーバから隠す。
3 セキュリティ
3.1 暗号方式
暗号方式(cryptography)は、機密情報を記憶中及び伝送中に保護するため、及びトランザクションの当事者を認証するために使用される。広範囲に使用されている暗号方式は2種類ある。秘密鍵暗号方式と公開鍵暗号方式である。ネットページネットワークはこれらの両方の暗号方式を使用する。
秘密鍵暗号方式は対称暗号方式とも呼ばれ、メッセージの暗号化と解読に同じ鍵を使用する。メッセージを交換したい2つの当事者は最初に、秘密鍵を安全に交換する手順を整えなければならない。
公開鍵暗号方式は非対称暗号方式とも呼ばれ、2つの暗号化鍵を使用する。これらの2つの鍵は、一方の鍵を使用して暗号化されたメッセージはもう一方の鍵を使用することでしか解読できない方法で数学的に関係付けられる。次いで、これらの鍵の一方が公開され、もう一方の鍵は秘密のまま維持される。公開鍵は、秘密鍵の保有者に宛てたメッセージを暗号化するために使用される。公開鍵を使用して暗号化されると、秘密鍵を使用することでしかメッセージを解読することはできない。したがって、最初に秘密鍵を交換する必要なしに、2つの当事者は安全にメッセージを交換することができる。秘密鍵が安全であることを保証するため、普通は、秘密鍵の保有者がこの鍵対を生成する。
公開鍵暗号方式を使用して、デジタル署名を作成することができる。秘密鍵の保有者は、あるメッセージの既知のハッシュ(hash)を作成し、次いでそのハッシュを秘密鍵を使用して暗号化することができる。その特定のメッセージに関して、暗号化されたハッシュが秘密鍵の保有者の「署名」を構成することは、暗号化されたハッシュを公開鍵を使用して解読し、そのメッセージに対してそのハッシュを確認することによって誰でも確認することができる。その署名がそのメッセージに添付されている場合、そのメッセージの受信者は、そのメッセージが本物であることと、それが伝送中に変更されなかったことの両方を確認することができる。
公開鍵暗号方式を機能させるため、なりすましを防ぐ公開鍵の配布方法がなければならない。これは通常、証明書及び認証局を使用して実行される。認証局は、公開鍵とある人の識別との間の接続を認証する信頼できる第三者機関(trusted third party)である。認証局は、識別文書を調べることによってその人の識別を確認し、次いで、その人の識別詳細及び公開鍵を含むデジタル証明書を作成し、署名する。その認証局を信用する人は誰でも、それが本物であるという高度な確信を持って証明書中の公開鍵を使用することができる。公開鍵を使用する人は、証明書が認証局によって本当に署名されたものであることを確認するだけでよい。認証局の公開鍵は周知である。
大部分のトランザクション環境では、公開鍵暗号方式が、デジタル署名を作成し、秘密セッション鍵を安全に交換することだけに使用される。他のすべての目的には秘密鍵暗号方式が使用される。
以下の議論において、ネットページプリンタとサーバの間の情報の安全な伝送に言及するとき、実際に起こるのは、プリンタがサーバの証明書を入手し、認証局を参照してその証明書を認証し、証明書中の公開鍵−交換鍵を使用して秘密セッション鍵をサーバと交換し、次いで、秘密セッション鍵を使用してメッセージデータを暗号化することである。定義により、セッション鍵は任意に短い寿命を有することができる。
3.2 ネットページプリンタセキュリティ
それぞれのネットページプリンタには製造時に一対の固有の識別子が割り当てられ、その識別子対は、そのプリンタのリードオンリーメモリ及びネットページ登録サーバのデータベースに記憶される。第1のID62は公開IDであり、ネットページネットワーク上でそのプリンタを一意的に識別する。第2のIDは秘密IDであり、プリンタがそのネットワークに最初に登録されるときに使用される。
インストール後にプリンタが最初にネットページネットワークに接続するときに、プリンタは署名公開/秘密鍵対を作成する。プリンタは、秘密ID及び公開鍵をネットページ登録サーバに安全に送信する。サーバは、この秘密IDを、そのデータベース内に記録されたプリンタの秘密IDと比較し、IDが一致した場合に登録を受諾する。サーバは次いで、プリンタの公開IDと公開署名鍵とを含む証明書を作成、署名し、登録データベースにその証明書を記憶する。
ネットページ登録サーバは、プリンタ識別を確認することを可能にする秘密情報にアクセスすることができるため、ネットページプリンタの認証局の働きをする。
ユーザがある出版物の購読を申し込むと、ネットページ登録サーバのデータベース内に、ユーザのデフォルトのプリンタ又は指定されたプリンタにその出版物を印刷することを出版者に許可するレコードが作成される。ページサーバを介してプリンタに送られるあらゆる文書は特定のユーザ宛てに送られ、出版者によって、出版者の秘密署名鍵を使用して署名される。ページサーバは、その出版者が、その出版物を指定されたユーザに送付する許可を受けていることを、登録データベースを介して確認する。ページサーバは、登録データベースに記憶された出版者の証明書から得た出版者の公開鍵を使用して署名を確認する。
ネットページ登録サーバは、そのデータベースに印刷許可を追加するリクエストを、それがプリンタに登録されたペンを介して開始されたものである限り、受け入れる。
3.3 ネットページペンセキュリティ
それぞれのネットページペンには製造時に固有の識別子が割り当てられ、その識別子は、そのペンのリードオンリーメモリ及びネットページ登録サーバのデータベースに記憶される。ペンID61は、ネットページネットワーク上でそのペンを一意的に識別する。
ネットページペンがいくつかのネットページプリンタを「知っている」ことがあり、プリンタがいくつかのペンを「知っている」ことがある。ペンは、プリンタの範囲内にあるときはいつでも無線周波信号を介してプリンタと通信する。ペン及びプリンタが登録されると、それらは定期的にセッション鍵を交換する。ペンがデジタルインクをプリンタに送信するときには、デジタルインクは常に、適当なセッション鍵を使用して暗号化される。デジタルインクは決して普通文では送信されない。
ペンは、そのペンが知るすべてのプリンタのセッション鍵を、プリンタIDによって索引付けして記憶し、プリンタは、そのプリンタが知るすべてのペンのセッション鍵を、ペンIDによって索引付けして記憶する。ペン及びプリンタはともに、セッション鍵用の大きいけれども有限の記憶容量を有し、必要ならば、リースト−リーセントリ−ユーズド(least−recently−used)アルゴリズムに基づいてセッション鍵を忘却する。
ペンがプリンタの範囲内に入ると、ペン及びプリンタはそれらが互いを知っているかどうかを調べる。互いに知らない場合、プリンタは、プリンタがペンを知ることになっているかどうか判定する。これは例えば、そのペンが、プリンタを使用するために登録されたユーザに属するためである。プリンタがそのペンを知ることになるはずであるのに、そのペンを知らない場合、プリンタは自動ペン登録手順を開始する。プリンタがそのペンを知ることになっていない場合、プリンタは、そのペンが充電カップに置かれるまでそのペンを無視することを、そのペンと合意する。そのペンが充電カップに置かれると、プリンタは登録手順を開始する。
ペンは、公開IDの他に秘密鍵−交換鍵を含む。この鍵−交換鍵も、製造時にネットページ登録サーバのデータベースに記録される。登録時、ペンはそのペンIDをプリンタに送信し、プリンタは、ネットページ登録サーバにペンIDを送信する。サーバは、プリンタ及びペンが使用するセッション鍵を生成し、そのセッション鍵をプリンタに安全に送信する。サーバはさらに、ペンの鍵−交換鍵によって暗号化されたセッション鍵のコピーを送信する。プリンタは、そのセッション鍵を、ペンIDによって索引付けして内部的に記憶し、暗号化されたセッション鍵をペンに送信する。ペンは、そのセッション鍵を、プリンタIDによって索引付けして内部的に記憶する。
ペン登録プロトコルにおいては、偽造されたペンがペンになりすますことができるが、実際のペンだけが、プリンタによって送信されたセッション鍵を解読することができる。
以前に登録されてないペンが最初に登録されるときには、ペンがユーザにリンクされるまで、ペンの用途は限定される。登録されてはいるが「所有者がいない」ペンは、ネットページユーザ/ペン登録書式をリクエストし、記入するため、新たなペンが自動的にリンクされた新たなユーザを登録するため、又は既存のユーザに新たなペンを追加するために使用することしか許されない。
ペンが、公開鍵暗号化ではなく秘密鍵を使用するのは、ペンのハードウェア性能の制約のためである。
3.4 セキュアドキュメント
ネットページシステムは、チケット、クーポンなどのセキュアドキュメントの送付をサポートする。ネットページプリンタは透かしを印刷する機能を含むが、透かしを印刷するのは、適正に許可された出版者からのリクエストがあったときだけである。出版者は、出版者の証明書に透かしを印刷するその権限を有し、プリンタはその証明書を認証することができる。
この「透かし」印刷プロセスは、そのページの指定された「透かし」領域内で代替ディザマトリックスを使用する。背中合わせのページは、印刷されるときに一致する鏡像関係の透かし領域を含む。奇数及び偶数ページの透かし領域において使用されるディザマトリックスは、それらの領域を一緒に見たときに干渉効果を生み出すように設計され、この効果は、印刷されたシートを透かして見ることによって得られる。
ページの片面だけを見たときには見えないという点、及び通常の手段によってページがコピーされたときには失われるという点で、この効果は透かしに似ている。
セキュアドキュメントのページは、前記セクション1.9で説明した内蔵ネットページコピー機構を使用してコピーすることができない。このことは、ネットページを認識する(netpage−aware)写真複写機でネットページをコピーすることに対しても言える。
セキュアドキュメントは一般に、eコマーストランザクションの一部として生成される。したがって、セキュアドキュメントは、セクション2で説明したようにユーザがネットページ登録サーバにバイオメトリック情報を登録したときに取り込まれたユーザの写真を含むことができる。
セキュアネットページドキュメントが提示されたとき、受信者は、そのステータスを通常の方法でリクエストすることによって、その真正性を確認することができる。セキュアドキュメントの固有のIDはその文書の寿命の間だけ有効だが、日和見主義的な偽造者(opportunistic forger)によるセキュアドキュメントIDの予測を防ぐため、セキュアドキュメントIDは非連続的に割り当てられる。簡単なポイントオブプレゼンテーション(point−of−presentation)文書確認をサポートするため、確認失敗に対する内蔵フィードバックを有するセキュアドキュメント確認ペンを開発することができる。
暗号法という意味では、透かしもユーザの写真も安全でないことは明らかである。透かしやユーザの写真は単純に、無計画な偽造に対する大きな障害となる。オンライン文書確認、特に確認ペンを使用したオンライン文書確認は、それが必要な場合にセキュリティレベルを追加するが、それでも偽造に対して完全に安全というわけではない。
3.5 拒否の否定
ネットページシステムでは、ユーザによって送信された書式は書式ハンドラ(handler)に確実に送付され、ネットページサーバ上に持続的に保管される。したがって、受信者が送付を拒否することは不可能である。
セクション4で説明するようにしてこのシステムを通してなされるeコマース支払いも、被支払人が拒否することは不可能である。
4 エレクトロニックコマースモデル
4.1 セキュアエレクトロニックトランザクション(SET)
ネットページシステムは、その支払いシステムの1つとしてセキュアエレクトロニックトランザクション(Secure Electronic Transaction:SET)システムを使用する。MasterCard及びVisaによって開発されたSETは支払いカードの周辺で組織され、そのことが用語に反映している。しかしながら、このシステムの多くの部分は、使用されているアカウントのタイプから独立している。
SETでは、カード所有者及び商店主が認証局に登録し、それら自身の公開署名鍵を含む証明書の発行を受ける。認証局は、カード所有者の登録詳細をカード発行人と適宜に確認し、商店主の登録詳細をカード所有者と適宜に確認する。カード所有者及び商店主は、それら自身のコンピュータ上にそれらのそれぞれの秘密署名鍵を安全に記憶する。これらの証明書は、支払いプロセス中に、商店主及びカード所有者を相互に認証し、支払いゲートウェイに対して双方を認証するために使用される。
SETはまだ広範囲には採用されていないが、これは1つには、カード所有者が鍵及び証明書を維持することが煩わしいと考えられているためである。カード所有者鍵及び証明書をサーバ上に維持し、パスワードを介してカード所有者がアクセスできるようにする暫定的な解決策は一定の成功を収めている。
4.2 SET支払い
ネットページシステムでは、ネットページ登録サーバが、SET支払いトランザクションにおいてネットページユーザ(即ちカード所有者)の代理を務める。
ネットページシステムはバイオメトリック情報を使用してユーザを認証し、SET支払いを許可する。このシステムはペンに基づくため、使用されるバイオメトリック情報は、時間変化するペンの位置及び圧力からなるユーザのオンライン署名である。費用は高くなるが、ペンの内部に指紋センサを設計することによって、指紋バイオメトリック情報を使用することもできる。使用されるバイオメトリック情報のタイプは、バイオメトリック情報の捕捉に影響を及ぼすだけであり、システムの許可態様には影響を及ぼさない。
SET支払いを可能にする最初のステップは、ネットページ登録サーバにユーザのバイオメトリック情報を登録することである。これは、ユーザの識別が確認されるのと同時にバイオメトリック情報を捕捉することができる制御された環境、例えば銀行で実施される。バイオメトリック情報は捕捉され、登録データベースに、ユーザのレコードにリンクされた状態で記憶される。さらに、任意選択でユーザの写真が捕捉され、ユーザのレコードにリンクされる。SETカード所有者登録プロセスが完了し、その結果得られる秘密署名鍵及び証明書がこのデータベースに記憶される。ユーザの支払いカード情報も記憶され、この情報は、ネットページ登録サーバに、SET支払いトランザクションにおいてユーザの代理を務めるのに十分な情報を与える。
支払いを完了するため、例えばネットページ注文書式に署名することによって、ユーザが最終的にバイオメトリック情報を供給すると、プリンタは、注文情報、ペンID及びバイオメトリックデータをネットページ登録サーバに安全に送信する。ネットページ登録サーバは、ペンIDによって識別されたユーザについてバイオメトリック情報を確認し、それ以降、SET支払いトランザクションの完了においてユーザの代理を務める。
4.3 マイクロペイメント
低価格文書をオンデマンドで印刷したこと、及び著作権文書をコピーしたことに対する代金をユーザに便利に請求することを可能にするため、さらに、ことによると、広告資料を印刷した際に発生した支出に対する払戻しをユーザが受けることを可能にするために、ネットページシステムは、マイクロペイメント(micro−payment)用の機構を含む。後者は、ユーザに対してすでに提供された交付金のレベルに依存する。
eコマースのためにユーザが登録すると、マイクロペイメントを集めるネットワークアカウントが確立される。ユーザは計算書を定期的に受け取り、未払いの借方残高を標準支払い機構を使用して決済することができる。
このネットワークアカウントを、定期出版物の購読料を集めるように拡張することもでき、そうしない場合には、この購読料は個別の計算書の形態でユーザに提示されることになる。
4.4 トランザクション
ユーザが、特定のアプリケーション文脈においてネットページをリクエストしたときには、アプリケーションは、ページ内に特定ユーザ向けトランザクションID55を埋め込むことができる。そのページを介した以降の入力にはこのトランザクションIDがタグ付けされ、それによってアプリケーションは、ユーザの入力に対して適当な文脈を確立することができる。
しかしながら、特定ユーザに向けたページでないページを介した入力が生じたときには、アプリケーションは、文脈を確立するためにユーザの固有の識別を使用しなければならない。代表的な例には、予め印刷されたカタログページからユーザの仮想「ショッピングカート」にアイテムを追加することなどがある。しかしながら、ユーザのプライバシーを保護するため、ネットページシステムに知られている固有のユーザID60はアプリケーションには明かされない。これは、異なるアプリケーションプロバイダが、独立に蓄積された行動データを容易に相関させることを防ぐためである。
ネットページ登録サーバはその代わりに、図24に示されているように、固有のエイリアスID65を介して、ユーザとアプリケーションの間の匿名関係を維持する。ユーザが、「登録済み(registered)」属性がタグ付けされたハイパーリンクを活動化したときはいつでも、ネットページサーバは、関連アプリケーションID64をペンID61とともにエイリアスID65に変換するようネットページ登録サーバに依頼する。エイリアスIDは次いでハイパーリンクのアプリケーションに送信される。
アプリケーションは、エイリアスIDによって索引付けされた状態情報を維持し、ユーザのグローバル識別を知らなくても、特定ユーザの状態情報を取り出すことができる。
ユーザのそれぞれのアプリケーションが、ユーザに代わって、特定アプリケーションの情報だけを使用して、アプリケーショントランザクションに署名することを可能にするため、このシステムはさらに、ユーザのそれぞれのアプリケーションの独立した証明書及び秘密署名鍵を維持する。
製品バーコード(例えばUPC)及び製品アイテムに関係した同様の「ハイパーリンク」活動化をシステムが送信するのを助けるため、システムは、ユーザに代わって、任意の数の製品タイプに対してお気に入りのアプリケーションを記録する。例えば、あるユーザは、Amazonをそのお気に入りの書店として指名し、別のユーザは、Barnes and Nobleを指名することができる。前者のユーザが、例えば印刷された書評又は実際の書籍を介して、書籍関連情報をリクエストすると、そのユーザにはAmazonによって情報が提供される。
アプリケーションはそれぞれアプリケーションプロバイダに関連付けられ、システムは、クリックスルー(click−through)料金などをプロバイダの貸方及び借方に記入することを可能にするため、それぞれのアプリケーションプロバイダに代わってアカウントを維持する。
アプリケーションプロバイダは定期購読出版物の出版者であることがある。システムは、その定期購読出版物を受け取るユーザの意志及び出版物の予想される頻度を記録する。
5 通信プロトコル
通信プロトコルは、エンティティ(entity)間のメッセージの順序付けられた交換を定義する。ネットページシステムでは、ペン、プリンタ、サーバなどのエンティティが、定義された一組のプロトコルを利用して、ネットページシステムとのユーザ対話を協力して処理する。
プロトコルはそれぞれシーケンス図によって例示され、シーケンス図では、メッセージフローを表すために水平次元が使用され、時間を表すために垂直次元が使用される。エンティティはそれぞれ、エンティティの名称を含む長方形と、エンティティのライフライン(lifeline)を表す垂直コラムとによって表される。エンティティが存在する間、ライフラインは点線で示される。エンティティがアクティブである間、ライフラインは2重線で示される。ここで検討するプロトコルはエンティティを生成も破壊もしないので、エンティティがプロトコルに参加するのを止めるとすぐに、ライフラインは一般に短く切断される。
5.1 定期購読物送付プロトコル
定期購読物送付プロトコルの好ましい一実施形態が図40に示されている。
多数のユーザが定期出版物を購読することがある。ユーザの版はそれぞれ異なるレイアウトを有することができるが、多くのユーザの版が、テキストオブジェクト、画像オブジェクトなどの共通の内容を共有する。したがって、定期購読物送付プロトコルは、文書構造はポイントキャストによって個々のプリンタに送付するが、共有内容オブジェクトはマルチキャストによって送付する。
アプリケーション(即ち出版者)は最初に、それぞれの文書の文書ID51をIDサーバ12から得る。アプリケーションは次いで、その文書ID及びページ記述を含むそれぞれの文書構造を、その文書の新しく割り当てられたIDを担当するページサーバ10に送る。アプリケーションは、それ自体のアプリケーションID64、購読者のエイリアスID65、及びマルチキャストチャネル名の関連セットを含む。アプリケーションは、その秘密署名鍵を使用してそのメッセージに署名する。
ページサーバは、アプリケーションID及びエイリアスIDを使用して、登録サーバから、対応するユーザID60、ユーザの選択されたプリンタID62(これは、そのアプリケーションに対して明示的に選択され、又はユーザのデフォルトのプリンタでよい)、及びアプリケーションの証明書を得る。
アプリケーションの証明書は、ページサーバがメッセージ署名を確認することを可能にする。アプリケーションID及びエイリアスIDがともに定期購読808を識別しない場合、登録サーバへのページサーバのリクエストは失敗に終わる。
ページサーバは次いで、文書ID及びページインスタンスIDを割り当て、ページID50を含むページ記述をプリンタに転送する。ページサーバは、プリンタが受信するマルチキャストチャネル名の関連セットを含む。
ページサーバは次いで、新しく割り当てられたページIDを将来の参照のためにアプリケーションに返す。
アプリケーションが、すべての文書構造を関連ページサーバを介して購読者の選択されたプリンタに配布した後、アプリケーションは、共有オブジェクトの各種サブセットを、以前に選択されたマルチキャストチャネル上でマルチキャストする。ページサーバとプリンタの両方が適当なマルチキャストチャネルを監視し、それらが要求した内容オブジェクトを受け取る。内容オブジェクトは次いで、以前にポイントキャストされた文書構造を埋めることができる。これによって、ページサーバは、そのデータベースに完全な文書を追加することができ、プリンタは、それらの文書を印刷することができる。
5.2 ハイパーリンク活動化プロトコル
ハイパーリンク活動化プロトコルの好ましい一実施形態が図42に示されている。
ユーザが、ネットページペンでネットページをクリックすると、ペンは、最も近いネットページプリンタ601にそのクリックを送信する。このクリックは、そのページ及びそのページ上のある位置を識別する。プリンタは既に、ペン接続プロトコルによりそのペンのID61を知っている。
プリンタは、DNSを介して、特定のページID50を処理するページサーバ10aのネットワークアドレスを決定する。ユーザが最近同じページと対話した場合には、このアドレスが既にそのキャッシュにある可能性がある。プリンタは次いで、ペンID、それ自体のプリンタID62、ページID及びクリック位置をページサーバに送る。
ページサーバは、ページIDによって識別されたページ記述5をロードし、もしあれば、クリックされた入力エレメントのゾーン58を決定する。関連入力エレメントがハイパーリンクエレメント844であるとすると、ページサーバは次いで、関連アプリケーションID64及びリンクID54を得、DNSを介して、アプリケーション71を記憶したアプリケーションサーバのネットワークアドレスを決定する。
ページサーバはペンID61を使用して、対応するユーザID60を登録サーバ11から取得し、次いで、グローバルに固有のハイパーリンクリクエストID52を割り当て、ハイパーリンクリクエスト934を構築する。ハイパーリンクリクエストクラス図が図41に示されている。ハイパーリンクリクエストは、リクエストを発したユーザ及びプリンタのIDを記録し、クリックされたハイパーリンクインスタンス862を識別する。ページサーバは次いで、それ自体のサーバID53、ハイパーリンクリクエストID及びリンクIDをアプリケーションに送る。
アプリケーションは、特定アプリケーション向けの論理に従って応答文書を生成し、IDサーバ12から文書ID51を得る。アプリケーションは次いで、その文書を、リクエストを発したページサーバのID及びハイパーリンクリクエストIDとともに、その文書の新しく割り当てられたIDを担当するページサーバ10bに送る。
この第2のページサーバは、ハイパーリンクリクエストID及びアプリケーションIDを第1のページサーバに送って、対応するユーザID及びプリンタID62を得る。そのハイパーリンクリクエストが期限切れであるか、又は異なるアプリケーションに対するものである場合、第1のページサーバはそのリクエストを拒絶する。
第2のページサーバは、文書インスタンス及びページID50を割り当て、新しく割り当てられたページIDをアプリケーションに戻し、完全な文書をそれ自体のデータベースに追加し、最後に、リクエストを発したプリンタにページ記述を送る。
このハイパーリンクインスタンスは、有意味のトランザクションID55を含むことができ、その場合、第1のページサーバは、アプリケーションに送られたメッセージ中のトランザクションIDを含む。これは、アプリケーションが、ハイパーリンク活動化のための特定トランザクション向けの文脈を確立することを可能にする。
ハイパーリンクがユーザエイリアスを要求する場合、即ちその「エイリアス要求(alias required)」属性がセットされている場合、第1のページサーバは、ペンID61とハイパーリンクのアプリケーションID64の両方を登録サーバ11に送って、ペンIDに対応するユーザIDに加えて、アプリケーションID及びユーザIDに対応するエイリアスID65を得る。第1のページサーバは、アプリケーションに送られたメッセージ中のエイリアスIDを含み、これは、アプリケーションが、ハイパーリンク活動化のための特定ユーザ向けの文脈を確立することを可能にする。
5.3 手書き文字認識プロトコル
ユーザが、ネットページペンでネットページ上にストロークを描くと、ペンは、最も近いネットページプリンタにそのストロークを送信する。このストロークは、そのページ及びそのページ上のある経路を識別する。
プリンタは、ペンID61、それ自体のプリンタID62、ページID50及びストローク経路をページサーバ10に通常の方法で転送する。
ページサーバは、ページIDによって識別されたページ記述5をロードし、もしあれば、そのストロークが交差する入力エレメントのゾーン58を決定する。関連入力エレメントがテキストフィールド878であるとすると、ページサーバは、そのストロークを、テキストフィールドのデジタルインクに付加する。
テキストフィールドのそのゾーンにおけるある不活動期間の後、ページサーバは、ペンID及び未決定のストロークを解釈のため登録サーバ11に送る。登録サーバは、そのペンに対応するユーザを識別し、ユーザの蓄積された手書き文字モデル822を使用して、それらのストロークを手書きのテキストとして解釈する。それらのストロークをテキストに変換した後、登録サーバは、リクエストを発したページサーバにそのテキストを戻す。ページサーバは、そのテキストを、テキストフィールドのテキスト値に付加する。
5.4 署名確認プロトコル
ストロークがそのゾーンと交差した入力エレメントが署名フィールド880であるとすると、ページサーバ10は、そのストロークを、署名フィールドのデジタルインクに付加する。
署名フィールドのそのゾーンにおけるある不活動期間の後、ページサーバは、ペンID61及び未決定のストロークを確認のため登録サーバ11に送る。ページサーバはさらに、署名フィールドがその一部分である書式に関連付けられたアプリケーションID64、並びに書式ID56及びその書式のその時点のデータ内容を送る。登録サーバは、そのペンに対応するユーザを識別し、ユーザの動的署名バイオメトリック情報818を使用して、それらのストロークをユーザの署名と確認する。署名を確認した後、登録サーバは、アプリケーションID64及びユーザID60を使用して、ユーザの特定アプリケーション向け秘密署名鍵を識別する。登録サーバは次いで、その鍵を使用して書式データのデジタル署名を生成し、リクエストを発したページサーバにそのデジタル署名を戻す。ページサーバは、そのデジタル署名を署名フィールドに割り当て、関連書式のステータスを凍結にセットする。
デジタル署名は対応するユーザのエイリアスID65を含む。これは、単一の書式が、複数ユーザの署名を捕捉することを可能にする。
5.5 書式送信プロトコル
書式送信プロトコルの好ましい一実施形態が図43に示されている。
書式の送信は、書式ハイパーリンクの活動化によって実施される。したがって、書式の送信は、セクション5.2で定義したプロトコルに従うが、書式に特異的な追加点もいくつかある。
書式ハイパーリンクの場合、ページサーバ10によってアプリケーション71に送られるハイパーリンク活動化メッセージはさらに、書式ID56及びその書式のその時点のデータ内容を含む。書式が署名フィールドを含む場合、アプリケーションは、対応するデジタル署名に関連付けられたエイリアスID65を抽出し、対応する証明書を登録サーバ11から得ることによって、それぞれを確認する。
6 ネットページペンの説明
6.1 ペンの機構
図8及び9を参照すると、全体が参照符号101によって示されたペンは、ペンの諸構成要素を取り付けるための内部空間104を画定する壁103を有するプラスチック成形品の形態のハウジング102を含む。操作時、ハウジング102の一端106にはペントップ105が回転可能に取り付けられる。ハウジング102の反対端108には半透明のカバー107が固定される。カバー107も成形プラスチックからなり、ハウジング102内に取り付けられたLEDのステータスをユーザが見ることができるようにするため半透明の材料から形成される。カバー107は、ハウジング102の端108を実質的に取り囲む主部109と、主部109から後方へ突き出し、ハウジング102の壁103に形成された対応するスロット111にぴったりとはまる突出し部110とを含む。突出し部110の背後のハウジング102内に無線アンテナ112が取り付けられる。カバー107の開口113Aの周囲に、金属製の端片114を受け取るようにねじ山113が配置され、金属製の端片114は対応するねじ山115を含む。インクカートリッジの交換を可能にするため金属製の端片114は取外し可能である。
さらに、カバー107内では、フレキシブルPCB117上に3色ステータスLED116が取り付けられる。アンテナ112もフレキシブルPCB117に取り付けられる。どの方向からもよく視認できるように、ステータスLED116はペン101の上面に取り付けられる。
ペンは、通常のマーキングインクペンとしても、マーキング用ではないスタイラスとしても機能することができる。ハウジング102内には、尖端119を有するインクペンカートリッジ118と、スタイラス尖端121を有するスタイラス120とが並んで取り付けられる。ペントップ105を回転させることによって、インクカートリッジ尖端119又はスタイラス尖端121を、金属製の端片114の開端122を通して前進させることができる。インクカートリッジ118及びスタイラス120にはそれぞれ、それぞれのスライダブロック123及び124が取り付けられる。操作時、ペントップ105には回転可能なカムバレル(cam barrel)125が固定され、ペントップ105とともに回転するように配置される。カムバレル125は、カムバレルの壁181にスロットの形態のカム126を含む。スライダブロック123及び124から突き出したカム従動子127及び128がカムスロット126にぴったりとはまる。カムバレル125が回転すると、スライダブロック123又は124が互いに対して移動して、ペン尖端119又はスタイラス尖端121を金属製の端片114の穴122を通して外側へ突出させる。ペン101は3つの動作状態を有する。トップ105を90°ずつ回転させることによるこれらの3つ状態は以下のとおりである:
・ スタイラス120の尖端121が外、
・ インクカートリッジ118の尖端119が外、及び
・ インクカートリッジ118の尖端119も、スタイラス120の尖端121も外。
ハウジング102内に置かれた電子部品シャシ(chassis)130上に第2のフレキシブルPCB129が取り付けられる。第2のフレキシブルPCB129は、表面に投射する赤外線放射を提供する赤外線LED131を備える。表面から反射された放射を受け取るため、第2のフレキシブルPCB129上にイメージセンサ132が取り付けられる。第2のフレキシブルPCB129はさらに、RF送信器及びRF受信器を含む無線周波チップ133と、ペン101の動作を制御するコントローラチップ134とを備える。カバー107内に、(成形透明プラスチックから形成された)光学系ブロック135が置かれ、表面への赤外線ビームを投射し、イメージセンサ132上への画像を受け取る。電力供給線136が、第2のフレキシブルPCB129上の諸構成要素を、カムバレル125内に取り付けられた電池接点137に接続する。端子138が、電池接点137及びカムバレル125に接続する。カムバレル125内には、3ボルトの充電式電池139が電池接点と接触して置かれる。誘導による電池の139の再充電を可能にするため、第2のフレキシブルPCB129の周囲に誘導充電コイル140が取り付けられる。ペン尖端119又はスタイラス尖端121によって表面に加えられた力を決定することを可能にするため、第2のフレキシブルPCB129はさらに、書くためにスタイラス120又はインクカートリッジ118が使用されたときのカムバレル125内における変位を検出する赤外線LED143及び赤外線フォトダイオード144を備える。IRフォトダイオード144は、スライダブロック123及び124上に取り付けられた反射器(図示せず)を介してIR LED143からの光を検出する。
ペン101を握りやすくするために、ハウジング102の端108の近くにゴム製のグリップパッド141及び142が提供され、トップ105はさらに、ペン101をポケットにクリップ留めするためのクリップ142を含む。
6.2 ペンコントローラ
ペン101は、尖端の近くの表面のエリアを赤外線スペクトルで画像化することによって、ペン101の尖端(スタイラス尖端121又はインクカートリッジ尖端119)の位置を決定するように配置される。ペン101は、最も近い位置タグからの位置データを記録する。ペン101は、光学系135及びコントローラチップ134を利用して、位置タブからの尖端121又は119の距離を計算するように配置される。コントローラチップ134は、画像化されたタグ上で観察された透視歪みから、ペンの方向及び尖端−タグ距離を計算する。
ペン101は、RFチップ133及びアンテナ112を利用して、これらのデジタルインクデータ(このデータは、セキュリティのために暗号化され、効率的な伝送のためにパッケージ化される)をコンピューティングシステムに送信することができる。
ペンが受信器の範囲内にあるとき、デジタルインクデータが形成されると、そのデータは送信される。ペン101が範囲外に移動すると、デジタルインクデータはペン101内でバッファリングされ(ペン101の回路は、表面上でのペンの運動の約12分の間デジタルインクデータを記憶するように配置されたバッファを含む)、後に送信することができる。
コントローラチップ134は、ペン101の内部の第2のフレキシブルPCB129上に取り付けられる。図10は、コントローラチップ134のアーキテクチャをより詳細に示すブロック図である。図10はさらに、RFチップ133、イメージセンサ132、3色ステータスLED116、IR照射LED131、IR力センサLED143及び力センサフォトダイオード144の図表現を示す。
ペンコントローラチップ134は制御プロセッサ145を含む。バス146は、コントローラチップ134の諸構成要素間のデータ交換を可能にする。フラッシュメモリ147及び512KB DRAM148も含まれる。アナログ−デジタル変換器149は、力センサフォトダイオード144からのアナログ信号をデジタル信号に変換するように配置される。
イメージセンサインターフェース152はイメージセンサ132とインターフェースする。RFチップ133とインターフェースするため、トランシーバコントローラ153及びベースバンド回路154も含まれ、RFチップ133は、RF回路155と、アンテナ112に接続されたRF共振器/インダクタ156とを含む。
制御プロセッサ145は、イメージセンサ132を介して表面から得られたタグの位置データを捕捉、復号し、力センサフォトダイオード144を監視し、LED116、131及び143を制御し、無線トランシーバ153を介した短距離無線通信を処理する。制御プロセッサ145は、中程度の性能(約40MHz)の汎用RISCプロセッサである。
プロセッサ145、デジタルトランシーバの構成要素(トランシーバコントローラ153及びベースバンド回路154)、イメージセンサインターフェース152、フラッシュメモリ147及び512KB DRAM148は、単一のコントローラASICに組み込まれる。アナログRF構成要素(RF回路155及びRF共振器/インダクタ156)は別個のRFチップ上に提供される。
イメージセンサはCCD又はCMOSイメージセンサである。タグ付けスキームに応じて、イメージセンサは、約100×100画素から200×200画素までの範囲のサイズを有する。National Semiconductor社のLM9630を含む多くの小型CMOSイメージセンサが市販されている。
ペン101が表面と接触していないとき、コントローラASIC134は、ある不活動期間の後に休止状態に入る。コントローラASIC134は、力センサフォトダイオード144を監視し、ペンダウン事象が起こったときにパワーマネージャ151を介してコントローラ134を目覚めさせる専用回路150を含む。
無線トランシーバは、コードレス電話によって通常使用されている免許の要らない900MHzバンド、或いは免許の要らない2.4GHzの産業科学医療用(ISM:industrial,scientific and medical)バンドで通信し、周波数ホッピング及び衝突検出を使用して、干渉のない通信を提供する。
代替実施形態では、ペンが、基地局即ちネットページプリンタと短距離通信するためのインフラレッドデータアソシエーション(Infrared Data Association:IrDA)インターフェースを含む。
他の実施形態では、ペン101が、ペン101軸の垂直面に取り付けられた一対の直交加速度計を含む。図9及び10では、加速度計190がゴースト輪郭線で示されている。
加速度計を配置することによって、ペン101のこの実施形態は、表面の位置タグを参照することなく運動を感知することができ、このことは、位置タグをより低速でサンプリングすることを可能にする。それぞれの位置タグIDは次いで、表面上の位置ではなく関心のオブジェクトを識別することができる。例えば、オブジェクトがユーザインターフェース入力エレメント(例えばコマンドボタン)である場合、入力エレメントのエリア内のそれぞれの位置タグのタグIDはその入力エレメントを直接に識別することができる。
加速度計によって測定されたx方向及びy方向のそれぞれの加速度は時間について積分されて、瞬間速度及び位置を生成する。
ストロークの開始位置は不明のため、ストローク内の相対位置だけが計算される。位置積分は、感知された加速度の誤差を蓄積するが、加速度計は一般に高い分解能を有し、誤差が蓄積するストロークの持続時間は短い。
7 ネットページプリンタの説明
7.1 プリンタの機構
完全に組み立てられた垂直取付け型のネットページウォールプリンタ601が図11に示されている。ネットページウォールプリンタ601は、図12及び12aに示された2重8.5インチMemjet(商標)印刷エンジン602及び603を使用して、ネットページをレター/A4サイズの媒体に印刷する。ネットページウォールプリンタ601はまっすぐな紙経路を使用し、紙604は、シートの両面にフルカラー、フルブリード(full bleed)で同時印刷する2重印刷エンジン602及び603を通過する。
一体型の紙綴じアセンブリ605が、印刷されたそれぞれのシートの一縁に沿って糊(glue)のストリップを塗布し、それによって、そのシートを前のシートに押し付けたときにそのシートを前のシートに接着することができる。これによって綴じられた最終的な文書618が作成され、綴じられた最終的な文書618は1枚から数百枚の範囲の厚さを有することができる。
2重印刷エンジンに結合された図13に示された交換可能インクカートリッジ627は、定着剤、接着剤並びにシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック及び赤外線インクを貯蔵するためのブラダ又はチャンバを有する。カートリッジはさらに、ベース成形物内にマイクロエアフィルタを含む。マイクロエアフィルタは、ホース639を介してプリンタの内側の空気ポンプ638とインターフェースする。このマイクロエアフィルタは、ろ過された空気を印刷ヘッドに供給して、さもなければ印刷ヘッドのノズルを詰まらせる可能性があるMemjet(商標)印刷ヘッド350内へのマイクロ粒子の進入を防ぐ。カートリッジ内にエアフィルタを組み込むことによって、フィルタの動作寿命がカートリッジの寿命に効果的に結び付けられる。インクカートリッジは、3000ページ(1500シート)の印刷及び糊付け能力を有する完全にリサイクル可能な製品である。
図12を参照すると、モータ駆動の媒体ピックアップローラアセンブリ626が、媒体トレーの一番上のシートを、第1の印刷エンジン602上の紙センサを経て、2重Memjet(商標)印刷ヘッドアセンブリ内へ直接に押し出す。2つのMemjet(商標)印刷エンジン602及び603は、まっすぐな紙経路に沿って、対向直列逐次(opposing in−line sequential)構成に取り付けられている。紙604は、一体型の電動式ピックアップローラ626によって第1の印刷エンジン602内へ引っ張り込まれる。紙604の位置及びサイズが感知され、フルブリード印刷が始まる。同時に、乾燥を助けてできるだけ短時間で乾燥するように、定着剤が印刷される。
紙は、ゴム引きローラに対して作用する(まっすぐな紙経路に沿って整列した)一組の電動式出口スパイクホイールを通って第1のMemjet(商標)印刷エンジン602を出る。これらのスパイクホイールは「湿った」印刷表面と接触し、引き続き第2のMemjet(商標)印刷エンジン603内へシート604を供給する。
図12及び12aを参照すると、紙604は、2重印刷エンジン602及び603から紙綴じアセンブリ605内へ移動する。印刷されたページは、繊維質の支持ローラを有する電動式スパイクホイール軸(axle)670と、スパイクホイール及び瞬間作用糊ホイールを有する別の可動軸との間を通過する。可動軸/糊アセンブリ673は金属製の支持ブラケットに取り付けられ、可動軸/糊アセンブリ673は前方へ送られて、カム軸の作用により歯車を介して電動軸670とインターフェースする。このカム軸は別個のモータが駆動する。
糊ホイールアセンブリ673は、インクカートリッジ627から延びる糊供給ホース641との回転軸継手を有する部分的に中空の軸679からなる。この軸679は、毛管作用によって半径方向の穴を通して接着剤を吸い込む糊ホイールに接続する。前面に開口を有する成形ハウジング682が糊ホイールを取り囲む。金属ブラケットには、軸回転するサイドモールディング及びばね仕掛けの外扉が取り付けられ、これらは、アセンブリ673の残りの部分が前方へ押し出されたときに蝶番式に横に開く。この動きによって、成形ハウジング682の前面から糊ホイールが露出する。不活動期間の間は引張ばねがこのアセンブリを閉じ、糊ホイールに効果的にふたをする。
糊ホイールアセンブリ673内へシート604が入ると、シート604が紙綴じアセンブリ605内へ下方へ送られるときに、(文書の最初のシートを除く)表側の一方の垂直縁に接着剤が塗布される。
7.2 プリンタコントローラアーキテクチャ
ネットページプリンタコントローラは、図14に示されているように、制御プロセッサ750、工場で又は現場でインストールされるネットワークインターフェースモジュール625、無線トランシーバ(トランシーバコントローラ753、ベースバンド回路754、RF回路755並びにRF共振器/インダクタ756)、2重ラスタ画像プロセッサ(raster image processor:RIP)DSP757、2重印刷エンジンコントローラ760a及び760b、フラッシュメモリ658、並びに64MBのDRAM657からなる。
制御プロセッサは、ネットワーク19との通信及びローカル無線ネットページペン101との通信を処理し、ヘルプボタン617を感知し、ユーザインターフェースLED613〜616を制御し、RIP DSP757及び印刷エンジンコントローラ760に供給し、RIP DSP757及び印刷エンジンコントローラ760を同期させる。制御プロセッサは、中程度の性能の汎用マイクロプロセッサからなる。制御プロセッサ750は、高速シリアルバス659を介して印刷エンジンコントローラ760と通信する。
RIP DSPは、ページ記述をラスタ化し、ネットページプリンタの圧縮ページフォーマットに圧縮する。印刷エンジンコントローラはそれぞれ、ページ画像を展開し、ディザ処理し、その関連Memjet(商標)印刷ヘッド350にリアルタイムで(即ち毎分30ページ超の速度で)印刷する。2重印刷エンジンコントローラはシートの両面に同時に印刷する。
マスタ印刷エンジンコントローラ760aは、マスタQAチップ665及びインクカートリッジQAチップ761とともに、紙の送りを制御し、インクの使用を監視する。
プリンタコントローラのフラッシュメモリ658は、プロセッサ750とDSP757の両方のソフトウェア、並びに構成データを保持する。これらは、ブート時に主記憶657にコピーされる。
プロセッサ750、DSP757及びデジタルトランシーバの構成要素(トランシーバコントローラ753及びベースバンド回路754)は、単一のコントローラASIC656に組み込まれる。アナログRF構成要素(RF回路755及びRF共振器/インダクタ756)は別個のRFチップ762上に提供される。ネットページプリンタは、ネットワーク接続を工場で選択し、又は現場で選択することができるようになっているため、ネットワークインターフェースモジュール625は別個に提供される。フラッシュメモリ658及び2×256Mbit(64MB)DRAM657もオフチップ(off−chip)である。印刷エンジンコントローラ760は別個のASIC上に提供される。
様々なネットワークインターフェースモジュール625が提供され、それぞれが、ネットページネットワークインターフェース751、及び任意選択でローカルコンピュータインターフェース又はローカルネットワークインターフェース752を提供する。ネットページネットワークインターネットインターフェースには、POTSモデム、ハイブリッドファイバ−同軸(Hybrid Fiber−Coax:HFC)ケーブルモデム、ISDNモデム、DSLモデム、衛星トランシーバ、現行及び次世代の移動電話トランシーバ、及びワイヤレスローカルループ(wireless local loop:WLL)トランシーバが含まれる。ローカルインターフェースには、IEEE1284(パラレルポート)、10Base−T及び100Base−Tイーサネット(登録商標)、USB及びUSB2.0、IEEE1394(Firewire)、並びに様々な新興のホームネットワーキングインターフェースが含まれる。ローカルネットワーク上でインターネット接続が使用可能な場合には、ローカルネットワークインターフェースを、ネットページネットワークインターフェースとして使用することができる。
無線トランシーバ753は、コードレス電話によって通常使用されている免許の要らない900MHzバンド、或いは免許の要らない2.4GHzの産業科学医療用(ISM)バンドで通信し、周波数ホッピング及び衝突検出を使用して、干渉のない通信を提供する。
プリンタコントローラは任意選択で、ネットページカメラなどの装置から「噴射された(squirted)」データを受け取るインフラレッドデータアソシエーション(IrDA)インターフェースを含む。代替実施形態では、プリンタが、適当に構成されたネットページペンとの短距離通信のためにIrDAインターフェースを使用する。
7.2.1 ラスタ化及び印刷
主プロセッサ750が、文書のページレイアウト及びページオブジェクトを受け取り、それらを確認した後、主プロセッサ750は、DSP757上で適当なRIPソフトウェアを実行する。
DSP757はそれぞれのページ記述をラスタ化し、ラスタ化されたページ画像を圧縮する。主プロセッサは圧縮されたそれぞれのページ画像をメモリに記憶する。複数のDSPをロードバランシングするに最も単純な方法は、それぞれのDSPに別個のページをラスタ化させる方法である。一般にラスタ化された任意の数のページをメモリに記憶することができるため、DSPを常に使用中にしておくことができる。この戦略は、短い文書をラスタ化するときにだけDSPの利用度が低くなる可能性がある。
ページ記述内の透かし領域は、ごくわずかなサイズに損失なしに圧縮され、圧縮されたページ画像の部分を形成する連続階調(contone)分解能バイレベルビットマップにラスタ化される。
印刷されたページの赤外線(IR)層は、符号化されたネットページタグを1インチ当たり約6個の密度で含む。それぞれのタグは、ページID、タグID及び制御ビットを符号化し、それぞれのタグのデータ内容はラスタ化中に生成され、圧縮されたページ画像に記憶される。
主プロセッサ750は、背中合わせのページ画像を2重印刷エンジンコントローラ760に渡す。それぞれの印刷エンジンコントローラ760は、圧縮されたページ画像をそのローカルメモリに記憶し、ページ展開及び印刷パイプラインを開始する。ページ展開及び印刷がパイプライン処理されるのは、114MBのバイレベルCMYK+IRページ画像の全体をメモリに記憶することは非現実的であるためである。
7.2.2 印刷エンジンコントローラ
印刷エンジンコントローラ760のページ展開及び印刷パイプラインは、高速IEEE1394シリアルインターフェース659、標準JPEG復号器763、標準Group 4 Fax復号器764、カスタムハーフトナー(halftoner)/コンポジタ(compositor)ユニット765、カスタムタグ符号器766、ラインローダ(line loader)/フォーマッタ(formatter)ユニット767、及びMemjet(商標)印刷ヘッド350とのカスタムインターフェース768からなる。
印刷エンジンコントローラ760は2重のバッファリングによって動作する。1つのページが、高速シリアルインターフェース659を介してDRAM769にロードされている間に、以前にロードされたページがDRAM769から読み出され、印刷エンジンコントローラパイプラインに通される。そのページの印刷が終わると、たった今ロードされたページが印刷され、その間に別のページがロードされる。
パイプラインの第1段は、JPEG方式で圧縮された連続階調CMYK層を(763で)展開し、Group 4 FAX方式で圧縮されたバイレベルブラック層を(764で)展開し、バイレベルネットページタグ層を、セクション1.2において定義されたタグフォーマットに従ってすべて並列で(766で)レンダリングする。第2段は、連続階調CMYK層を(765で)ディザ処理し、その結果得られたバイレベルCMYK層の上にバイレベルブラック層を(765で)合成する。その結果得られたバイレベルCMYK+IRドットデータは、Memjet(商標)印刷ヘッド350上で印刷するため、(767で)一組のラインバッファによってバッファリングされ、フォーマットされる。これらのラインバッファの大部分はオフチップDRAMに記憶される。最終段は、これらの(定着剤を含む)6チャネルのバイレベルドットデータを、印刷ヘッドインターフェース768を介してMemjet(商標)印刷ヘッド350に印刷する。
2重印刷エンジン構成の場合のように、いくつかの印刷エンジンコントローラ760が同時に使用されるときには、印刷エンジンコントローラ760は共用線同期信号770を介して同期される。(外部マスタ/スレーブピン771を介して選択された)1つの印刷エンジン760だけが共用線上にライン同期信号770を生成する。
印刷エンジンコントローラ760は、ページ展開及びレンダリングパイプラインを同期させ、低速シリアルバス773を介して印刷ヘッド350を構成し、ステッパモータ675、676を制御する低速プロセッサ772を含む。
8.5インチ型のネットページプリンタでは、2つの印刷エンジンがそれぞれ、ページの長さ寸法(11インチ)に沿って毎分30枚のレターページを印刷し、1600dpiで8.8kHzのライン速度を与える。12インチ型のネットページプリンタでは、2つの印刷エンジンがそれぞれ、ページの短尺寸法(8.5インチ)に沿って毎分45枚のレターページを印刷し、10.2kHzのライン速度を与える。これらのライン速度は、現行の設計では30kHz超であるMemjet(商標)印刷ヘッドの動作周波数内に十分に入る。
8 製品タグ付け
自動識別は、バーコード、磁気ストライプカード、スマートカード、RFトランスポンダなどの技術の使用をして、データ処理システムに対するオブジェクトを手による打鍵なしで(半)自動的に識別することを指す。
自動識別の目的のため、製品アイテムは普通、印刷されたバーコードの形態に機械可読に符号化された12桁のユニバーサルプロダクトコード(Universal Product Code:UPC)によって識別される。最も一般的なUPCナンバリングシステムは、5桁のメーカID及び5桁のアイテム番号を含む。その限られた精度のため、UPCは、製品の種別を識別するために使用され、個々の製品アイテムを識別するためには使用されない。ユニフォームコードカウンシル(Uniform Code Council)及びEANインターナショナル(EAN International)は、UPC及び関連コードを、14桁のグローバルトレードアイテムナンバー(Global Trade Item Number:GTIN)のサブセットと定義し、管理している。
サプライチェーンマネジメントにおいては、個々の製品アイテムを一意的に識別し、それによって個々の製品アイテムを追跡できるようにするために、UPCスキームを拡張し、又は別のものに置き換えることにかなりの関心が集まっている。個々のアイテムのタグ付けは、商品の紛失、盗難又は損傷による「縮小」を低減させ、需要主導型の製造及び供給の効率を向上させ、製品使用のプロファイリングを容易にし、顧客経験(customer experience)を向上させることができる。
個々のアイテムのタグ付けには主に2つの競争相手がある。いわゆる2次元バーコードの形態の光学タグと、無線周波識別(radio frequency identification:RFID)タグである。RFIDタグの詳細な説明については、Klaus Finkenzeller、RFID Handbook、John Wiley & Son(1999)を参照されたい。この文献の内容は相互参照によって本明細書に組み込まれる。光学タグには安価であるという利点があるが、読み取るためには光学見通し線(optical line−of−sight)が必要である。RFIDタグには全方向読取りをサポートするという利点があるが、比較的に高価である。金属又は液体の存在は、RFIDタグの性能を相当に妨害する可能性があり、全方向読取りの利点を低下させる。受動型(リーダ給電型)RFIDタグは、2003年末までに数百万個の生産で1つ10セント、その後すぐに1つ5セントにすることが計画されているが、それでも、食料雑貨品などの安価なアイテムに対する業界目標である1セント未満には到達しない。大部分の光学タグが読取り専用であることも欠点として挙げられている。これは、アイテムがサプライチェーンを進むときの状態変化をタグに書き込むことができないことによる。しかしながら、この欠点は、読取り専用タグが、ネットワーク上に動的に維持された情報を参照することができることによって緩和される。
マサチューセッツ工科大学(MIT)のAuto−ID Centerは、インターネットベースのオブジェクトネーミングサービス(Object Naming Service:ONS)及びプロダクトマークアップランゲージ(Product Markup Language:PML)と結合された96ビットのエレクトロニックプロダクトコード(Electronic Product Code:EPC)規格を開発した。スキャンされ又は他の方法で取得された後、EPCは、PMLでポータブルに符号化されたマッチング製品情報を、おそらくはONSを介して探索するために使用される。EPCは、8ビットのヘッダ、28ビットのEPCマネージャ、24ビットのオブジェクトクラス及び36ビットのシリアル番号からなる。EPCの詳細な説明については、Brock,D.L.、「The Electronic Product Code(EPC)」、MIT Auto−ID Center(2001年1月)を参照されたい。この文献の内容は相互参照によって本明細書に組み込まれる。Auto−ID Centerは、EPCと現行のプラクティスとの間の両立性を示すため、EPC上へのGTINのマッピングを定義した(Brock,D.L.、「Integrating the Electronic Product Code(EPC)and the Global Trade Item Number(GTIN)」、MIT Auto−ID Center(2001年11月)。この文献の内容は相互参照によって本明細書に組み込まれる)。
EPCは多くの形態で符号化し、添付することができるが、Auto−ID Centerは、低価格の受動型RFIDタグを使用してEPCを添付することを強く主張し、RFIDタグの価格を短期間に最小化することを可能にするために64ビット版のEPCを定義した。低価格RFIDタグの特性の詳細な説明については、Sarma,S.、「Towards the 5c Tag」、MIT Auto−ID Center(2001年11月)を参照されたい。この文献の内容は相互参照によって本明細書に組み込まれる。市販の低価格受動型RF1Dタグの説明については、「915MHz RFID Tag」、Alien Technology(2002)を参照されたい。この文献の内容は相互参照によって本明細書に組み込まれる。64ビットEPCの詳細な説明については、Brock,D.L.、「The Compact Electronic Product Code」、MIT Auto−ID Center(2001年11月)を参照されたい。この文献の内容は相互参照によって本明細書に組み込まれる。
EPCは、アイテムレベルの固有タグ付け及び追跡に対して使用するだけでなく、ケースレベル及びパレットレベルのタグ付け、並びにコンテナ、トラックなどの他の出荷及び輸送ロジスティック単位のタグ付けに使用することも意図される。分散型PMLデータベースは、アイテムとより高レベルの容器との間の包装、出荷及び輸送階層における動的関係を記録する。
8.1 サプライチェーンにおけるHyperlabelタグ付け
製品アイテムを一意的に識別するために不可視(例えば赤外線)タグ付けスキームを使用することには、それによって、製品の包装又はラベルのグラフィックデザインに影響を与えることなく、製品の表面全体又は製品の表面のかなりの部分にタグ付けすることができるという重要な利点がある。製品の表面全体にタグ付けされる場合、製品の向きは、製品の被スキャン能力に影響を及ぼさない。即ち、目に見えるバーコードの見通し線に関する欠点のかなりの部分が排除される。さらに、このタグは小さく、広範囲に模写されるため、ラベルの損傷もスキャニングを妨げない。
Hyperlabelのタグ付けは、製品アイテムの表面の大きな部分を、光学的に読取り可能な目に見えないタグで覆うことからなる。Hyperlabelタグはそれぞれ、タグがその表面に現れた製品アイテムを一意的に識別する。Hyperlabelタグは、アイテムの製品コード(例えばEPC)を直接に符号化することができ、又はデータベースを探索することによって製品コードを識別する代用IDを符号化することができる。それぞれのHyperlabelタグはさらに、以前に説明したネットページと対話できる下流消費者の利益を提供するため、任意選択で、製品アイテムの表面のタグ自体の位置を識別する。
Hyperlabelタグは、製品の製造及び/又は包装中にデジタルプリンタを使用して取り付けられる。このデジタルプリンタは、他の手段によってテキスト及び図形が印刷された後にHyperlabelタグを印刷するアドオン赤外線プリンタ、又はHyperlabelタグ、テキスト及び図形を同時に印刷する一体型カラー/赤外線プリンタとすることができる。デジタル印刷されたテキスト及び図形は、ラベル又は包装上のあらゆるものを含むことができ、或いは、可変部分だけからなり、他の部分はこれまでどおり他の手段によって印刷することもできる。
8.2 Hyperlabelタグ付け
図18に示されているように、製品の固有アイテムID215は、固有オブジェクトID210の特別な種類として見ることができる。エレクトロニックプロダクトコード(EPC)220はアイテムIDの1つの新興規格である。アイテムIDは一般に製品ID214及びシリアル番号213からなる。製品IDは製品のクラスを識別し、シリアル番号は、そのクラスの特定のインスタンス、即ち個々の製品アイテムを識別する。製品IDは一般に、メーカID211及び製品クラス番号212からなる。最もよく知られた製品IDは、EAN.UCCユニバーサルプロダクトコード(UPC)221及びその異形である。
図19に示されているように、Hyperlabelタグ202は、ページID(又は領域ID)50及び2次元(2D)位置86を符号化する。領域IDはタグを含む表面領域を識別し、位置は、2次元領域内のタグの位置を識別する。当該表面は物理的な製品アイテム201の表面であるため、領域IDと製品アイテムの固有オブジェクトID210、より具体的には領域IDと製品アイテムのアイテムID215との間1対1写像を定義することが有用である。しかしながら、Hyperlabelタグの有用性を危うくすることなく、この写像を多対1とすることができることに留意されたい。例えば、製品アイテムの包装のそれぞれのパネルは、異なる領域ID50を有することができる。反対に、HyperlabelタグはアイテムIDを直接に符号化することができ、この場合、領域IDは、全体のネットページ領域ID割当てからアイテムID割当てを分離するように適当にプレフィクス(prefix)が付けられたアイテムIDを含む。領域IDは、対応する表面領域を、グローバルネットページシステム内で識別される他のすべての表面領域から一意的に区別することに留意されたい。
アイテムID215は、Auto−ID Centerによって提案されたEPC220であることが好ましい。これは、HyperlabelタグとEPCを添付したRFIDタグとの間の直接の両立性を提供するためである。
図19には、任意選択として位置86が示されている。これは、サプライチェーンにおけるHyperlabelタグの有用性の多くの部分は領域ID50に由来することを示すためであり、特定の製品について希望されない場合には、この位置を省略してもよい。
ネットページシステムとの相互運用性のため、Hyperlabelタグ202はネットページタグ4であり、即ち、Hyperlabelタグ202は、ネットページタグの論理構造、物理レイアウト及びセマンティクスを有する。
ネットページペン101などのネットページ感知装置がHyperlabelタグを画像化し、復号するとき、感知装置は、タグの中の符号化された位置、並びにその視野の中のタグの位置及び方向を使用して、タグに対する感知装置自体の位置、したがってタグを含む領域に対する感知装置自体の位置を計算する。Hyperlabelがタグ付けされた表面領域に対して感知装置が移動すると、それによって、感知装置は、その領域に対する装置自体の運動を追跡し、その時間変化する経路を表すタイムスタンプが押された一組の位置サンプルを生成することができる。感知装置がペンであるとき、この経路は一連のストロークからなり、それぞれのストロークは、ペンが表面と接触したときに始まり、ペンが表面から離れたときに終わる。
あるストロークが、領域IDを担当するページサーバIDに転送されると、サーバは、領域IDによってキーされた(keyed)領域の記述を取り出し、その記述に関してストロークを解釈する。例えば、その記述がハイパーリンクを含み、そのストロークがそのハイパーリンクのゾーンと交差する場合、サーバは、そのストロークをそのハイパーリンクの指定と解釈し、そのハイパーリンクを活動化することができる。
8.2.1 アイテムIDの管理
前述のとおり、構造化されたアイテムIDは一般に、メーカID、製品クラス番号及びシリアル番号からなる3レベル符号化を有する。EPCでは、メーカIDがマネージャIDに対応する。メーカIDは、ユニフォームコードカウンシル(UCC)などの運営体によって特定のメーカ235に割り当てられる。それぞれのメーカIDの範囲内では、メーカ235が、特定の製品クラス236に製品クラス番号を割り当て、それぞれの製品クラス番号の範囲内では、メーカが、個々の製品アイテム237にシリアル番号を割り当てる。割当て階層のそれぞれの割当て者(assignor)は、アイテムIDのそれぞれの構成要素が一意的に割り当てられ、その最終的な結果として、アイテムIDが単一の製品アイテムを一意的に識別することを保証する。割り当てられたアイテムID構成要素はそれぞれ固有の割当てを保証するためにロバストに記録され、以後、対応するメーカ、製品又はアイテムについての詳細に対するデータベースキーとなる。製品レベルでは、この情報が、製品の説明、寸法、重量及び価格を含むことができ、アイテムレベルでは、この情報が、アイテムの有効期限及び製造場所を含むことができる。
図20に示されているように、関係付けられた製品クラスの集合を、固有の製品タイプID217によって識別される単一の製品タイプ238として記録することができる。このことは、スキャンされ又は別な方法で取得された製品ID214(又はスキャンされ又は別な方法で取得されたアイテムID215の製品ID部分)を製品タイプ238にマップするベースを提供する。このことは、図24に示されているように、その製品タイプのお気に入りのアプリケーション828が、特定のネットページユーザ800に対して識別されることを可能にする。
サプライチェーンを製品アイテムが移動すると、状態情報が、理想的にはアイテムIDによってキーされたグローバルにアクセス可能なデータベースに維持される。この情報は、包装、出荷及び輸送階層におけるアイテムの動的位置、商品棚上の位置、並びに最終的にその販売日時及び購入者を含むことができる。包装、出荷及び輸送階層では、ケース、パレット、輸送コンテナ、トラックなどのより高レベルの単位がすべてそれら自体のアイテムIDを有し、これが、最終製品アイテムが参加する動的階層を記録するベースを提供する。アイテムのこの概念は、販売可能な製品のアセンブリ又は構成要素又はエレメントのサブコンポーネントにも拡張されることに留意されたい。
図20は、アイテムIDの構造に対応する製品記述階層、動的な包装、出荷及び輸送階層への製品アイテムの動的な参加、並びに製品アイテムの動的所有権を示す。この図が示すように、容器231(例えばケース、パレット、輸送コンテナ又はトラック)は、一意的に識別されるオブジェクト230の特別なケースである。容器が特定のオブジェクトを所有していること、又は容器が特定のオブジェクトをある時間間隔の間、保持し続けていることは、タイムスタンプが押されたオブジェクト位置によって表され、容器がアイテムを保持するのをやめるまで最終時間は明示されない。オブジェクト−容器関係は帰納的であり、このことは、この関係が任意の動的階層を表すことを可能にする。この表現を、オブジェクトの時間変化する相対又は絶対地理的位置を記録するように拡張することができることは明らかである。
エンティティ232が特定のオブジェクトを所有していること、又はエンティティ232が特定のオブジェクトをある時間間隔の間、所有し続けているは、タイムスタンプが押されたオブジェクト所有権233によって表され、エンティティがアイテムを所有するのをやめるまで最終時間は明示されない。例えばネットページユーザが製品アイテムを購入し、その販売が記録されるときに、所有エンティティ232はネットページユーザ800を表すことができる。
図44に示されているように、物理的な製品アイテム201は、製品サーバ251によって製品アイテム237として記録される。製品アイテムは、メーカ、卸売業者、小売業者などのサプライチェーン内の異なる参加者によって管理された複数の製品サーバに記録される可能性がある。しかしながら、利益は、製品アイテムを統一された視点から見ることによって生じ、これは、たとえその視点が仮想的に提供されるものだとしても同じである。
静的アイテム情報と動的アイテム情報の両方を照会し、更新したい異なるサプライチェーン参加者間及び異種のシステム間の相互運用性を助長するため、このような情報交換は理想的には標準表現を使用して実行される。MIT Auto−ID Centerのフィジカルマークアップランゲージ(Physical Markup Languate:PML)は、この目的のために設計された標準表現の一例である。PMLの詳細な説明については、Brock,D.L.他、「The Physical Markup Languate」、MIT Auto−ID Center(2001年6月)を参照されたい。この文献の内容は相互参照によって本明細書に組み込まれる。
8.2.2 領域IDの管理
領域ID50などの構造化されていないIDを、単一のルートノードを有するマルチレベル割当て階層を通してオンデマンドで割り当てることができる。低レベルの割当て者は、より高レベルの割当て者からIDのブロックをオンデマンドで得る。構造化されたIDの割当てとは違い、これらのブロックは、固定されたプレフィクスを有するIDではなく、任意の範囲(又はセット)のIDに対応する。この場合もやはり、割当て階層内のそれぞれの割当て者は、IDのブロック及び個々のIDが一意的に割り当てられることを保証する。この領域IDは以後、その領域に関する情報へのデータベースキーになる。ネットページシステムでは、この情報が、その領域に現れた図形エレメント及び対話エレメントの完全な記述を含む。図形エレメントは、テキストフロー、テキスト、画像などを含むことができる。対話エレメントは、ボタン、ハイパーリンク、チェックボックス、線画フィールド、テキストフィールド及び署名フィールドなどを含むことができる。
8.3 Hyperlabelタグの印刷
Hyperlabelタグプリンタは、製品の製造及び/又は組立ての前、最中又は後に、Hyperlabelタグを製品のラベル、包装又は実際の表面に印刷するデジタルプリンタである。Hyperlabelタグプリンタはネットページプリンタ601の特別なケースである。Hyperlabelタグプリンタは、Hyperlabelタグの連続パターンを、一般に近赤外線吸収インクを使用して表面に印刷する能力を有する。高速環境では、プリンタが、タグレンダリングを加速するハードウェアを含む。これは一般に、タグ位置などの可変タグデータのリアルタイムリード−ソロモン符号化、及び印刷ヘッドのドット分解能での、実際のタグパターンのテンプレートベースのリアルタイムレンダリングを含む。
このプリンタは、他の手段によってテキスト及び図形が印刷された後にHyperlabelタグを印刷するアドオン赤外線プリンタ、又はHyperlabelタグ、テキスト及び図形を同時に印刷する一体型カラー/赤外線プリンタとすることができる。デジタル印刷されたテキスト及び図形は、ラベル又は包装上のあらゆるものを含むことができ、或いは、可変部分だけからなり、他の部分はこれまでどおり他の手段によって印刷することもできる。したがって、赤外線及びブラック印刷能力を有するHyperlabelタグプリンタを、可変データの印刷に使用されている従来の熱転写又はインクジェットプリンタなどの既存のデジタルプリンタの代わりに使用することができる。
以下の議論の目的上、アイテムラベル上に印刷すると言うときには、通常はアイテムの包装に印刷すること、又はアイテムに表面に直接に印刷することを含むことが意図される。さらに、アイテムID215への言及は、領域ID50(又はパネルごとの領域IDの集合)或いはその構成要素を含むことが意図される。
このプリンタは一般に、固定及び/又は可変のテキスト及び図形、並びにHyperlabelタグに含めるアイテムIDをプリンタに供給するホストコンピュータによって制御される。このホストコンピュータは、プリンタのリアルタイム制御を提供することができ、それにより、ホストコンピュータは、印刷の進行に合わせてデータをプリンタにリアルタイムで供給する。最適化として、ホストコンピュータは、印刷が始まる前にプリンタに固定データを供給し、可変データだけをリアルタイムで提供してもよい。このプリンタはさらに、ホストコンピュータによって供給されるパラメータに基づいてアイテムごとの可変データを生成する能力を有してもよい。例えば、ホストコンピュータは、印刷の前にベースアイテムIDをプリンタに供給することができ、プリンタは、このベースアイテムIDを単純に増分して、連続するアイテムIDを生成することができる。或いは、インクカートリッジ内の記憶装置又はプリンタに挿入された他の記憶媒体を固有アイテムIDの供給元とすることができ、その場合、プリンタは、ホストコンピュータによって記録するために、アイテムIDの割当てをホストコンピュータに報告する。
或いは、このプリンタは、以前の製造ステップ中に固有IDがある形態でラベルに印刷されている場合に、Hyperlabelタグが印刷されているラベルから、既存のアイテムIDを読み取る能力を有することができる。例えば、アイテムIDが、目に見える2Dバーコードの形態又はRFIDタグ内に符号化されて、既に存在することがある。前者の場合、プリンタは、光学バーコードスキャナを含むことができる。後者の場合、プリンタは、RFIDリーダを含むことができる。
プリンタはさらに、アイテムIDを他の形態にレンダリングする能力を有することができる。例えば、プリンタは、2Dバーコードの形態のアイテムIDを印刷し、或いは1Dバーコードの形態のアイテムIDの製品ID構成要素を印刷し、或いは書込み可能なRFIDタグ又はライトワンス(write−once)RFIDタグにアイテムIDを書き込む能力を有することができる。
8.4 Hyperlabelタグのスキャニング
アイテム情報は一般に、存在するスキャン事象に応答して、例えばアイテムが配送され、在庫品とするためにスキャンされるとき、アイテムが小売店の商品棚に置かれるとき、及びアイテムが販売時にスキャンされるときに、製品サーバへと流れる。ネットページペンに使用されている技術と同様の技術又は同じ技法を使用したレーザベースの2Dスキャニング及び2Dイメージセンサベースのスキャニングを使用して、Hyperlabelタグが付けられた製品アイテムをスキャンするのには、固定スキャナとハンドヘルドスキャナの両方を使用することができる。
図45に示されているように、固定スキャナ254及びハンドヘルドスキャナ252はともに、製品サーバ251にスキャンデータを送信する。製品サーバは、関連製品サーバとのデータの共有を実現することができる同位(peer)製品サーバ(図示せず)又は製品アプリケーションサーバ250に、製品アイテム事象データを送信することができる。例えば、小売店の在庫の動きは、小売店の製品サーバ上にローカルに記録することができるが、製品アイテムが販売された後にメーカの製品サーバに通知することもできる。
8.5 Hyperlabelタグに基づくネットページ対話
ラベル、包装又は実際の表面にHyperlabelがタグ付けされた製品アイテムは、他のネットページと同じレベルの対話性を提供する。
ネットページと両立する製品タグ付けに対しては強力な主張がなされている。ネットページは、印刷された任意の表面を、ウェブページと同類の細かく区別されたグラフィカルユーザインターフェースに変え、製品の表面へうまくマップする多くのアプリケーションがある。これらのアプリケーションには、様々な種類の製品情報(栄養情報、調理説明書、レシピ、関連製品、賞味期限、サービス説明書、リコール通知)を得ること、ゲームをすること、競技会に参加すること、所有権を管理する(登録、盗品の場合などの問合せ、譲渡)こと、製品フィードバックを提供すること、メッセージ送信、及び間接装置コントロールなどがある。一方、区別のない2Dバーコード又はRFIDに添付されたアイテムIDの場合など、製品タグ付けが画一的である場合、情報ナビゲーションの負担が情報送付装置に伝えられ、情報送付装置が、ユーザ経験の複雑さ又は送付装置ユーザインターフェースの要求される洗練度をかなり増大させる可能性がある。
8.5.1 製品登録
Hyperlabelがタグ付けされた製品は、ネットページペンによって活動化されたときに、そのネットページユーザをその製品の所有者として登録する<登録(register)>ボタンを含むことができる。ネットページシステム上に既に記録されているユーザのコンタクト情報を、製品メーカに自動的に送信することができ、製品メーカは、その情報を顧客データベースに記録することができる。この登録プロセスは、ユーザの電子メールコンタクトリストにそのメーカを自動的に追加することができ、したがって、この登録プロセスは、そのメーカが、優待、リコール通知などのその製品に関連した電子メールをユーザ送ることを可能にする。メーカがその電子メール特権を濫用する場合、ユーザは通常の方法でそれを排除することができる。
8.5.2 製品IDを介した製品情報
製品にHyperlabelタグを付ける利益の一部は、UPCバーコードを復号するようにネットページペンを改良することによって得ることができる。或いは、UPCバーコードスキャナをネットページでも使用できるようにすることもできる。スキャンされたUPCを受け取ると、ネットページシステムは、(以前に記述された)その製品タイプに対するデフォルトのアプリケーション又はお気に入りのアプリケーションにリクエストを送り、そのアプリケーションからの製品情報を、印刷されたネットページなどの形態で出現させる。製品ページはさらに、製品アイテムのシリアル番号を入力し、製品アイテムのユーザの所有権を<登録>ボタンを介して登録する機能を含むことができる。したがって、製品メーカは、製品のインストールされたベース全体に対するネットページリンキングの利益を、その製品自体を変更することなく得ることができる。
8.5.3 特定文脈向け製品ヘルプ
製品の表面全体にHyperlabelがタグ付けされている場合、表面の任意の部分をネットページペンで押すと、製品特定ヘルプを出現させることができる。このヘルプは、押されたエリアに特異的なものであるか、又はその製品全体に関係する。したがって、製品のユーザは、製品の特定の特徴並びに製品全体についての有用な情報に即座にアクセスすることができる。特定の特徴に対するそれぞれのヘルプページを、製品の全体マニュアルにリンクさせることができる。
8.5.4 製品所有権の追跡
製品の表面全体にHyperlabelがタグ付けされている場合、表面の任意の部分をネットページペンで押すことによって、製品の記述及びその時点におけるその製品の所有権を出現させることができる。製品を購入した後に、表面の任意の部分を押すと、ネットページペンの所有者の名義でその製品を自動的に登録することができる。単純にその表面の任意の部分をネットページペンで押すことによって、売りに出された製品の所有権を誰もが知ることができる。新たな所有者によって所有権を登録することができるのは、その時点の所有者が、その製品のステータスページの「売却(sell)」部分に署名することによって所有権を放棄した場合にだけである。これによってその製品は「所有者なし(un−owned)」状態に置かれる。
製品情報及び所有権は、顧客サービスとして製品メーカによって維持され、又は利益指向の第三者によって維持される。
製品メーカの出荷コンピュータシステムは、製品の所有権をメーカから卸売業者又は小売業者に自動的に移すことができ、その後も、サプライチェーンの末端に向かって同様に処理することができる。小売業者の小売コンピュータシステムは、販売されたそれぞれのアイテムに自動的にフリー(free)のマークを付け、又は、その製品の支払いに使用された支払いカードの保有者に所有権を直接に移すことができる。顧客も、ネットページペンを使用して、購入時に製品の所有権を直ぐに登録することができる。
伝統的に盗品の換金場所である質店などは、店に提示されたすべての製品の所有権をチェックするよう法律によって求められることがある。Hyperlabelがタグ付けされた製品は、その表面の大部分又は全部に目に見えない符号を有するため、窃盗犯がHyperlabelタグを除去すること、又はHyperlabelがタグがうまく除去されたかどうかを窃盗犯が知ることさえ難しい。反対に、製品の潜在的な買い手には、その所有権を明白に確立することができるように、その表面からクリーンな読みを得ることができることを保証する義務が課せられる。
製品が賃貸されている場合、或いは他の方法で所有権が複雑であったり、又は複数にまたがったりしている場合、製品登録データベースはそのことを反映することができ、したがって潜在的な買い手に警告することができる。
アナログ印刷されたネットページ用のネットページシステム
前述のとおり、ネットページ又はHyperlabelがタグ付けされた表面にはタグ4の連続アレイが印刷されている。タグ4は一般に、ネットページの固有ページID又は製品アイテムの固有識別子(例えばEPC)、及びそれぞれのタグの位置(例えばデカルトx,y座標)を符号化する。
新聞、雑誌、ラベル及び包装を生産するのには、グラビア、活版、オフセット、フレキソ及びデジタル印刷を含むある範囲のアナログ印刷プロセスが使用される。一部の包装は複数のプロセスを順番に使用して生み出される。例えば、包装の図形を巻取紙フレキソ印刷機で印刷することができ、完成したそれぞれ包装紙上に、バッチ情報及び期限情報が、レーザマーキング又はインクジェットを使用してデジタル印刷される。
ネットページタグ及びHyperlabelタグ4は、カラー印刷機の前又は後に置かれたアドオンデジタルプリンタを使用してデジタル印刷することができる。デジタルアドオンプリンタは、前述のMemjet印刷ヘッド、又はHP Indigo、Xaar、Xeikon、Agfa.dotrix、VideoJet、Mark Andyなどのある範囲の任意の市販レーザ及びインクジェット印刷ヘッドを利用することができる。ネットページ又はHyperlabelデジタルプリンタは、プリンタが追加されるラインに応じて巻取紙又は枚葉紙プリンタとすることができる。
印刷された図形とネットページ/Hyperlabelタグ4との間の位置合せを保証するために、アドオンデジタルプリンタはカラー印刷機と同期していなければならない。これは、従来の手段によって、例えば刷りの印刷と同期した電子信号をカラー印刷機内で生成し、その信号をネットページ/Hyperlabelプリンタに供給することによって、達成することができる。或いは、ネットページ/Hyperlabelプリンタは、ダイカッタをカラー印刷機と同期させるために時に使用されるカラー印刷機によって印刷される基準を、光学的に検出することができる。
ネットページ/Hyperlabelプリンタは、カラー印刷機とおおまかに同期させることができるだけであり、微細な同期は、予めタグ付けされたネットページの余白に関して他のセクションで説明したように、達成される実際の位置合せ精度を測定し、対応するオフセットをネットページサーバデータベースに記録することによって達成することができる。この測定は、包装がまだ巻取紙若しくは枚葉紙の形態にある間に、又は折りたたまれた後に、或いは製品アイテムに使用された後に実施することができる。前者の場合には、例えば前述の基準を介した製品図形の位置合せ精度の検出が依然として必要であり、後者の場合には、ラインに沿って通過する個々のページ又は包装によって図形の位置合せ精度が決定される。これは、ラインの設計において本来的に備わっていることがあり、又はアイテムの通過を検出する光検出器を含むことができる。ネットページ/Hyperlabelタグパターンの検出は、いずれの場合もネットページ又はHyperlabelリーダ101を使用する。
巻取紙又は枚葉紙に、連続する大きな2次元座標空間を符号化し、明示のアイテム識別子を符号化しないネットページ又はHyperlabelタグ4を予め印刷する(又は上流のデジタルネットページ/Hyperlabelプリンタによってインラインで印刷する)ことができる。カラー印刷機を通過した後、それぞれのアイテムの包装は異なる範囲の座標を有する。これらの座標を前述のとおりに検出し、そのアイテム及びそのアイテム識別子に関連付けられたネットページサーバデータベース(及び/又は製品データベース)に記録することができる。続いて、特定のアイテム上のネットページ又はHyperlabelタグ4が読み取られるときに、ネットページサーバ(又は製品サーバ)に問い合わせることによって、その座標をアイテム識別子に変換することができる。
Memjetデジタル印刷ヘッドに関して以前に説明したように、図形とネットページ/Hyperlabelタグ4の両方を印刷するように、デジタル印刷ヘッドを適合させることができる。追加の赤外線インクチャネルを提供することによって、他のデジタル印刷ヘッドも同様に適合させることができる。
タグをデジタル印刷する代わりに、グラビア、活版、オフセット、フレキソ印刷などのアナログプロセスを、例えば製品図形を印刷するのに使用されるカラー印刷機と同じカラー印刷機で使用してタグ4を印刷することもできる。カラー印刷機は、追加の赤外線インクチャネルを提供することによって、即ちタグ4の画像を有する追加の版(plate)を提供することによって、タグ4を印刷するように適合される。タグ版は、コンピュータツーフィルム(CtF)、又はダイレクトコンピュータツープレート(CtP)などの従来の手段によって製作することができる。
アナログ印刷機を使用してタグ4が印刷される場合、それぞれのページ又は製品アイテムの包装に固有ページID又はシリアル番号を印刷することは非現実的である。しかしながら、タグ4は依然として、通常の2次元座標格子を符号化することができる。さらに、このタグは、同じ図形を有するまったく同じに印刷された複数のページ又は包装を識別する非固有ページIDを符号化しなければならない。この非固有IDを「レイアウト番号」と呼ぶことがあり、このレイアウト番号によって、ネットページサーバは、複数のページ又は製品アイテムに対応するページ記述を取り出すことができる。レイアウト番号は、ページ又は包装の特定の図形(及び対話)レイアウトを識別する。タグ4はさらに、それらのタグが、固有ページID又はシリアル番号ではなくレイアウト番号を符号化していると、任意のネットページ又はHyperlabelリーダ101が判定することを可能にするフラグを符号化することができる。
製品アイテムの包装の場合には、レイアウト番号を、図46に示されているように、製品クラスの識別子と対にすることができる。レイアウト番号は、特定の販売促進用、特定の地域用などの新たな図形包装デザインに対する新たな版が製作されたときに正確に変化する。CtPは、頻繁なレイアウト変更を特に便利にする。
アナログ印刷されたHyperlabelタグはしたがって、図47に示されているように、固有のアイテム識別子ではなくレイアウト識別子を符号化することができる。その後のHyperlabelリーダ101を介した製品アイテムとの対話の間に、その対話が通常の方法で解釈されることを可能にする対応するレイアウトを取り出すために、レイアウト識別子が使用される。
それによってHyperlabelリーダがその製品を識別することが可能になるため、レイアウト識別子内に製品識別子を符号化すると都合がよい。しかしながら、レイアウトは識別するが、製品は直接には識別しない純粋なレイアウト識別子を、Hyperlabelタグ内に符号化することも可能である。同等に、Hyperlabelタグ内に純粋な座標格子を符号化し、その座標の範囲を使用して、対応するレイアウトを識別することも可能である。したがって、同じ図形包装レイアウトを共有するすべての製品アイテムは同じ座標格子範囲を共有し、レイアウトが変更されると座標格子範囲も変更されることになる。純粋な座標格子とアイテム識別子又はレイアウト識別子と結合された座標格子との間の同等性は、相互参照に記載された特許出願で論じられている。
オフセット印刷によって印刷されたレイアウトを指示するHyperlabelタグ202は、Hyperlabelタグ202が符号化するレイアウト識別子及び座標格子、並びにHyperlabelタグ202が符号化する製品識別子を介した製品クラスの識別(固有の製品アイテム識別ではない)を介して、通常の方法で対話性を与えることができる。
同様に、図48に示されたオフセット印刷されたネットページタグ4は、ネットページタグ4が符号化する非固有ページID及び座標格子を介して、通常の方法で対話性を与えることができる。非固有ページIDは、ネットページサーバ内の対応するページ記述を識別し、取り出すために使用される。
デジタル又はアナログ印刷されたネットページ用の広告プロトコル
上記のセクション2.1から2.3では、デジタル印刷されたネットページに適した広告プロトコルを説明した。デジタルネットページの配布を示す図2を参照すると、ネットページサーバ10が、オンデマンドでネットページを生成し印刷するように構成されたユーザのネットページプリンタ601(セクション7.2.1及び7.2.2参照)へのネットページの配布を制御する。広告内容を含むネットページ内容はネットページサーバ10によって制御され、それによって、配布されたネットページ1上で宣伝したい広告主との直接の関係をネットページプロバイダに与える。
次に図49を参照すると、アナログ印刷されたネットページに適した広告プロトコルが示されている。この実施形態では、ネットページ1が、デジタルネットページプリンタ601によってではなく、アナログネットページ出版者400によって生成される。ページ出版者400は例えば、標準オフセット印刷機でタグ4を印刷する設備を備えた伝統的な雑誌又は新聞出版者である。同様に、製品アイテム201のHyperlabelがタグ付けされた包装/ラベルが、アナログHyperlabel製作者401によって印刷される。Hyperlabelがタグ付けされた包装/ラベルとネットページ1とはネットページシステムにおいて等価の機能を有することが理解され、そのため、以下の説明では単純にするためネットページ1だけを参照する。
アナログネットページ出版者400は、その出版物内の広告402用の広告スペースの販売を希望しており、広告主と適当な契約を結ぶ。広告402を含むネットページ1は、ネットページ1又は広告の内容に関係した追加情報にユーザがアクセスすることを可能にするハイパーリンクの形態の対話エレメントを含む。
ユーザが、ネットページペン101を使用してハイパーリンクをクリックすると、ウェブ端末75、中継装置として機能するネットページプリンタ601、又は他のある中継装置44(例えば携帯電話)などの適当な中継装置を介して、非固有ページID及びペン位置情報がネットページサーバ10に送られる。ネットページサーバ10はこのページIDを使用して、ネットページ1に対応するページ記述を識別し、取り出す。このページ記述は、同じページIDを有する複数のネットページ1によって共有される。
対応するページ記述を取り出した後、ネットページサーバは、ペン101から受け取った位置情報と、及びネットページ1上のそれぞれのハイパーリンクのゾーンを記述するページ記述とを使用して、そのハイパーリンクに対応するURLを識別する。
(図2に関して説明した)通常のネットページ対話では、識別されたURLの内容が、ウェブ端末75、ネットページプリンタ601又は中継装置44を介してユーザに直接に送られる。しかしながら、本発明では、ネットページサーバ10が、ハイパーリンクの文脈情報をページ記述から識別する。この文脈情報は、ハイパーリンクを含む文の中のキーワードの形態のローカル文脈情報でよい。ハイパーリンクに含まれるキーワードは文脈データに含まれることが好ましい。下線付きのテキスト、太字テキスト又はイタリック体テキストで書かれたキーワードに順位を付けることができる。具体的には、下線が引かれたキーワードは一般にハイパーリンクを示し、最も高い優先順位を受け取ることが好ましい。
URL及び文脈情報を識別した後、ネットページサーバ10は、文脈データ及び任意選択でURLを広告サーバ403に送る。広告サーバ403は一般に、ネットページサーバ10とは別個に所有され、制御される。広告サーバは広告主のURLのデータベースを含む。広告主は、その広告主のURLが、広告サーバ403内であるキーワードに関連付けられるように、値を付ける。例えば、ネットページサーバ10から送られた文脈情報がキーワード「シャンプー」を含むとする。シャンプーメーカは、そのメーカのURLが広告サーバ403に記憶され、キーワード「シャンプー」がネットページサーバ10から受け取られたときに、そのメーカのURLが取り出されるように、値を付ける。異なるいくつかのシャンプーメーカからのいくつかのURLが、最も高い値を付けたメーカのものから取り出され、順位付けされる。
したがって、広告サーバ403は、様々な広告主からの関連URLのリストによって、ネットページサーバ10から受け取ったURL及び文脈情報に応答することができる。このリストは一般に、受け取ったURL及び文脈情報、並びに広告主から広告サーバ403の所有者への支払いに基づく。関連URLがそのリスト中に現れる位置を決定するのには、支払われた金額が使用される。一般に、最も高い値を付けた広告主がそのリストの第1位を占め、最も安い値を付けた広告がそのリストの最下位に載る。
状況によっては、関連URLが広告サーバ403によって取り出されないように、広告主が値を付けることが有利な場合がある。言い換えると、関連URLのリストがエントリを含まなくてもよい。例えば、あるユーザが、その広告スペースに対して対価を支払った第1の広告主によるネットページ1上に置かれたハイパーリンクをクリックした場合、リクエストされた情報がそのユーザに表示されたときに、ライバル企業のURLへのハイパーリンクがユーザに示されることは、第1の広告主の利益にならない。したがって、この場合、第1の広告主は、他の関連URLが取り出されないようにし、それによってネットページ1に元から置かれている第1の広告主の広告の力が最大になるように、値を付けたほうが有利であることを知るであろう。
関連URLのリストが、広告サーバ403からネットページサーバ10に返された後、ネットページサーバは、最初にクリックされたハイパーリンクに対応するウェブページを、ユーザのウェブ端末75、プリンタ601又は他の中継装置44に送る。このウェブページは、関連URLのリストへのハイパーリンクを含む。これらのハイパーリンクは一般に、ウェブページの余白、ヘッダなどのあまり目立たない領域に表示される。ウェブページが、(セクション7.2.1及び7.2.2で説明したされた)デジタルネットページ印刷能力を有するネットページプリンタ601に送られる場合、そのウェブページは、余白、ヘッダなどのネットページのあまり目立たない領域にハイパーリンクのリストが印刷された対応するネットページ1として印刷される。
上記のネットページシステムでは、ネットページサーバ10を運営するネットページプロバイダが、広告サーバ403の所有者によって生み出される広告収入から収入ストリームを生み出すことができることが理解される。ネットページサーバ10の所有者は例えば、広告主のURLがネットページサーバ10に送られるたびに、ネットページサーバの所有者が、関連広告主から広告サーバに支払われる料金のうちのあるパーセンテージを受け取る取決めを、広告サーバ403の所有者と結ぶ。関連URLがネットページサーバ10に送られないようにすることに対して広告主が対価を支払うシナリオに対しても、同様の取決めを結ぶことができる。ネットページサーバ10の所有者に支払う料金は、自動化された方法で電子的に支払うことができる。
ネットページサーバ10の所有者と広告サーバ403の所有者は直接の関係を有するため、前述の取決めを効率的に管理することができる。このことは、オフセット印刷されたネットページ出版物に広告を置く広告主とは対照的であり、この場合には、広告主とアナログネットページ出版者400の間だけに直接の関係がある。
本発明のシステムの追加の利点は、印刷されたネットページ1に置かれた広告をユーザがクリックするか否かにかかわらず、ネットページサーバ10を所有するネットページプロバイダが、広告を通した収入ストリームを生み出すことができることである。例えば、ユーザが、ネットページ1上の関心のニュース項目に関係したハイパーリンクをクリックするとする。広告サーバ403はやはり、広告サーバの所有者に適当な支払いをした様々なニュースサービスプロバイダの関連URLのリストを返すことができる。したがって、広告主から収入を生み出す潜在性が最大化される。
前述のシステム及びその固有の利点は、オフセット印刷されたネットページに適用可能であるだけでなく、デジタル印刷されたネットページにも適用可能であることも理解される。
本発明の以上の説明が純粋に例によってなされたこと、及び特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲内で細部に変更を加えることができることも当然ながら理解される。